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特開2022-83434着色感光性樹脂組成物及びそれから調製される多層硬化フィルム
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  • 特開-着色感光性樹脂組成物及びそれから調製される多層硬化フィルム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022083434
(43)【公開日】2022-06-03
(54)【発明の名称】着色感光性樹脂組成物及びそれから調製される多層硬化フィルム
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/004 20060101AFI20220527BHJP
   G03F 7/033 20060101ALI20220527BHJP
   G03F 7/031 20060101ALI20220527BHJP
   G03F 7/095 20060101ALI20220527BHJP
   G03F 7/38 20060101ALI20220527BHJP
   G03F 7/40 20060101ALI20220527BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20220527BHJP
【FI】
G03F7/004 501
G03F7/033
G03F7/004 503Z
G03F7/031
G03F7/095
G03F7/004 505
G03F7/38 501
G03F7/40
G02B5/20 101
G02B5/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021189607
(22)【出願日】2021-11-22
(31)【優先権主張番号】10-2020-0159138
(32)【優先日】2020-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0129605
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】509266480
【氏名又は名称】ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ・コリア・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】特許業務法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム・スンクン
(72)【発明者】
【氏名】パク・キョンチェ
【テーマコード(参考)】
2H148
2H196
2H225
【Fターム(参考)】
2H148AA01
2H148BA03
2H148BD11
2H148BE35
2H148BG01
2H148BH15
2H196DA01
2H196HA01
2H225AC21
2H225AC36
2H225AD06
2H225AD10
2H225AE13P
2H225AM13P
2H225AM23P
2H225AM32P
2H225AN39P
2H225AN62P
2H225AN94P
2H225AN95P
2H225AN96P
2H225AN97P
2H225AN98P
2H225AP03P
2H225AP10P
2H225BA05P
2H225BA16P
2H225BA32P
2H225CA15
2H225CB02
2H225CC01
2H225CC13
2H225DA25
(57)【要約】      (修正有)
【課題】着色感光性樹脂組成物及びそれから調製される多層硬化フィルムを提供する。
【解決手段】本発明の着色感光性樹脂組成物は、優れた解像度、可視性及び同様のものを維持する一方、SCI(正反射光を含む)方法によって測定された反射率RSCI、SCE(正反射光を含まない)方法によって測定された反射率RSCE及びこれらの間の比率(RSCE/RSCI)が優れており、且つ適切な範囲で均一なフィルム厚さを有する。そのため、この組成物は、高い反射率及び高い遮光性などの物理的特性を同時に満たす多層硬化フィルムに形成され得る。加えて、この組成物から硬化フィルムが形成される場合、単一の現像プロセスで多層フィルム上にパターンを形成することが可能である。そのため、この組成物は、量子ドットディスプレイデバイスのために有利に使用され得る。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色感光性樹脂組成物であって、
(A)コポリマー;
(B)光重合性化合物;
(C)光重合開始剤;及び
(D)着色剤
を含み、
前記コポリマー(A)が第1のコポリマー(A1)を含む場合、前記着色剤(D)は、白色着色剤(D1)を含み、
前記コポリマー(A)が第2のコポリマー(A2)を含む場合、前記着色剤(D)は、白色以外の着色剤(D2)を含み、
前記第1のコポリマー(A1)は、(a1)エチレン性不飽和カルボン酸、エチレン性不飽和カルボン酸無水物又はこれらの組み合わせに由来する構造単位;(a2)芳香環を含有するエチレン性不飽和化合物に由来する構造単位;(a3)エポキシ基を含有するエチレン性不飽和化合物に由来する構造単位;及び(a4)(a1)~(a3)と異なるエチレン性不飽和化合物に由来する構造単位を含み、及び
前記第2のコポリマー(A2)は、(b1)エチレン性不飽和カルボン酸、エチレン性不飽和カルボン酸無水物又はこれらの組み合わせに由来する構造単位;及び(b2)エポキシ基を含有するエチレン性不飽和化合物に由来する構造単位を含み、且つ(b3)フッ素を含有するエチレン性不飽和化合物に由来する構造単位;及び(b4)(b1)~(b3)と異なるエチレン性不飽和化合物に由来する構造単位の少なくとも1つを含む、着色感光性樹脂組成物。
【請求項2】
前記白色着色剤(D1)は、酸化チタン(TiO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化亜鉛(ZnO)及び二酸化ケイ素(SiO)からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1に記載の着色感光性樹脂組成物。
【請求項3】
前記白色着色剤(D1)は、(固形分を基準として)前記第1のコポリマー(A1)の100重量部に対して20~65重量部の量で用いられる、請求項1に記載の着色感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記白色着色剤(D1)は、120nm~400nmの粒径を有する、請求項1に記載の着色感光性樹脂組成物。
【請求項5】
前記白色以外の着色剤(D2)は、黄色着色剤、紫色着色剤、赤色着色剤、オレンジ色着色剤、青色着色剤及び黒色着色剤からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1に記載の着色感光性樹脂組成物。
【請求項6】
前記白色以外の着色剤(D2)は、(固形分を基準として)前記第2のコポリマー(A2)の100重量部に対して3~30重量部の量で用いられる、請求項1に記載の着色感光性樹脂組成物。
【請求項7】
前記白色以外の着色剤(D2)は、50nm~200nmの粒径を有する、請求項1に記載の着色感光性樹脂組成物。
【請求項8】
エポキシ化合物、光塩基発生剤、チオール系化合物、エポキシ樹脂に由来する化合物及び接着補助剤からなる群から選択される少なくとも1種の添加剤をさらに含む、請求項1に記載の着色感光性樹脂組成物。
【請求項9】
第1の着色感光性樹脂組成物から形成された第1の硬化フィルムと、第2の着色感光性樹脂組成物から形成された第2の硬化フィルムとを含む多層硬化フィルムであって、
前記第1の着色感光性樹脂組成物は、(A1)第1のコポリマー;(B)光重合性化合物;(C)光重合開始剤;及び(D1)白色着色剤を含み、
前記第2の着色感光性樹脂組成物は、(A2)第2のコポリマー;(B)光重合性化合物;(C)光重合開始剤;及び(D2)白色以外の着色剤を含み、及び
前記多層硬化フィルムは、6μm以上の総厚さを有する、多層硬化フィルム。
【請求項10】
前記多層硬化フィルムについて、SCI(正反射光を含む)方法によって測定された反射率RSCI及びSCE(正反射光を含まない)方法によって測定された反射率RSCEは、それぞれ以下の関係:
(関係1)50%≦RSCI
(関係2)40%≦RSCE
(関係3)50%≦RSCE/RSCI
を満たす、請求項9に記載の多層硬化フィルム。
【請求項11】
前記第1の硬化フィルム及び前記第2の硬化フィルムは、それぞれ10μm以下の厚さを有する、請求項9に記載の多層硬化フィルム。
【請求項12】
前記第2の硬化フィルムは、複数の層で構成される、請求項11に記載の多層硬化フィルム。
【請求項13】
前記第2の硬化フィルムは、2~10層で構成される、請求項12に記載の多層硬化フィルム。
【請求項14】
6μm~20μmの総厚さを有する、請求項9に記載の多層硬化フィルム。
【請求項15】
量子ドットバリアリブの構造体として使用される、請求項9に記載の多層硬化フィルム。
【請求項16】
多層硬化フィルムを調製するプロセスであって、
(1)基材上に第1の着色感光性樹脂組成物をコートし、且つそれを硬化させて第1の硬化フィルムを形成すること;
(2)前記第1の硬化フィルム上に第2の着色感光性樹脂組成物をコートし、且つそれを硬化させて第2の硬化フィルムを形成すること;及び
(3)前記第2の硬化フィルムを露光及び現像してパターンを形成し、且つ次いでそれをポストベークすること
を含み、
前記第1の着色感光性樹脂組成物は、(A1)第1のコポリマー;(B)光重合性化合物;(C)光重合開始剤;及び(D1)白色着色剤を含み、
前記第2の着色感光性樹脂組成物は、(A2)第2のコポリマー;(B)光重合性化合物;(C)光重合開始剤;及び(D2)白色以外の着色剤を含み、及び
前記多層硬化フィルムは、6μm以上の総厚さを有する、プロセス。
【請求項17】
工程(1)及び(2)において、前記硬化させることは、50~900秒にわたって70~140℃で実行される、請求項16に記載の多層硬化フィルムを調製するプロセス。
【請求項18】
前記硬化させることは、50~400秒にわたる70~100℃でのプレベークと、100~500秒にわたる80~140℃でのミッドベークとを含む、請求項17に記載の多層硬化フィルムを調製するプロセス。
【請求項19】
工程(3)における前記ポストベークは、10~60分にわたって150~300℃で実行される、請求項16に記載の多層硬化フィルムを調製するプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、量子ドットバリアリブとして適用可能な優れた遮光性及び反射率を有する着色感光性樹脂組成物並びにこの組成物から調製される、量子ドットバリアリブのための多層硬化フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、量子ドット(QD)を用いる様々な電子デバイスへの関心が高まっている。
【0003】
量子ドットは、約10nm以下の直径を有する半導体材料のナノ結晶として量子閉じ込めの効果をもたらす材料である。この量子ドットは、数十万以上の電子で構成されているが、ほとんどの電子は、原子核に固く結び付いており、その結果、結び付いていない自由電子の数は、約1~100個に制限されている。そのような場合、電子のエネルギーレベルは、連続帯を形成するバルク状態での半導体と異なる電気特性及び光学特性を示すように不連続的に制限される。この量子ドットは、たとえ材料タイプが変化しなくても、各粒径について異なる長さの光波長を発生させることにより、様々な色を生じ得る。この量子ドットは、従来の発光体と比べて高い色純度及び光安全性という利点を有することから、この量子ドットは、ディスプレイ、太陽電池、バイオセンサー及び照明等の様々な分野で現在使用されており、且つ次世代の発光デバイスとして注目を集めている。
【0004】
図1は、典型的な量子ドットデバイスを例示する概略図である。図1を参照すると、この量子ドットデバイスの基材構造体(100)は、透明な基材(110)と、この基材(110)上でエリアを区分するために形成されたバリアリブ(120)とを含む。区分されたそれぞれのエリア内には、異なる量子ドット溶液(即ち第1の量子ドット溶液(130)、第2の量子ドット溶液(140)及び第3の量子ドット溶液(150))が存在する。第1の量子ドット溶液(130)、第2の量子ドット溶液(140)及び第3の量子ドット溶液(150)は、エネルギーレベルが異なる量子ドットで構成されている。即ち、これらの量子ドット溶液は、量子ドットのサイズ又は材料が操作された場合に異なる発光波長帯を有するように設定されている。
【0005】
一般に、上記のうちのバリアリブ(120)は、感光性樹脂組成物から硬化フィルムとして形成され得る。バリアリブ(120)は、区分されたエリアに流れたそれぞれの色の組成物が混合することが防止されるように、区分分離(又はブロッキング)として機能するべきである。加えて、バリアリブ(120)は、着色OLED等の光源からの光漏れにより引き起こされるコントラスト及び色純度の悪化を防止することができるべきである。従って、近年、高い反射率及び遮光性という性能を有する硬化フィルムが求められている。
【0006】
加えて、量子ドットデバイスに適用されるために、均一なフィルム及び適切なフィルム厚さを達成して、優れた解像度を維持することが必要である。例えば、フィルムが均一でないか又はフィルム厚さが過度に小さい場合、このフィルムは、バリアリブに適しておらず、そのため、量子ドット溶液がバリアリブをオーバーフローする場合があり、その結果、色の混合が生じるか、又は不十分な色純度に起因して解像度の悪化が生じる。この問題を解決するために感光性樹脂組成物を厚くコートして硬化させることにより、フィルム厚さが調節される場合、均一なコーティングを達成することが困難であり、そのため、汚れ又は汚染が発生し得るという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】日本特許第6318699号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、解像度及びパターン特性が優れたままに維持される一方、高い遮光性及び高い反射率を有する着色感光性樹脂組成物と、それから調製される多層硬化フィルムとを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、着色感光性樹脂組成物であって、(A)コポリマー;(B)光重合性化合物;(C)光重合開始剤;及び(D)着色剤を含み、コポリマー(A)が第1のコポリマー(A1)を含む場合、着色剤(D)は、白色着色剤(D1)を含み、コポリマー(A)が第2のコポリマー(A2)を含む場合、着色剤(D)は、白色以外の着色剤(D2)を含み、第1のコポリマー(A1)は、(a1)エチレン性不飽和カルボン酸、エチレン性不飽和カルボン酸無水物又はこれらの組み合わせに由来する構造単位;(a2)芳香環を含有するエチレン性不飽和化合物に由来する構造単位;(a3)エポキシ基を含有するエチレン性不飽和化合物に由来する構造単位;及び(a4)(a1)~(a3)と異なるエチレン性不飽和化合物に由来する構造単位を含み、及び第2のコポリマー(A2)は、(b1)エチレン性不飽和カルボン酸、エチレン性不飽和カルボン酸無水物又はこれらの組み合わせに由来する構造単位;及び(b2)エポキシ基を含有するエチレン性不飽和化合物に由来する構造単位を含み、且つ(b3)フッ素を含有するエチレン性不飽和化合物に由来する構造単位;及び(b4)(b1)~(b3)と異なるエチレン性不飽和化合物に由来する構造単位の少なくとも1つを含む、着色感光性樹脂組成物を提供する。
【0010】
別の目的を達成するために、本発明は、第1の着色感光性樹脂組成物から形成された第1の硬化フィルムと、第2の着色感光性樹脂組成物から形成された第2の硬化フィルムとを含む多層硬化フィルムであって、第1の着色感光性樹脂組成物は、(A1)第1のコポリマー;(B)光重合性化合物;(C)光重合開始剤;及び(D1)白色着色剤を含み、第2の着色感光性樹脂組成物は、(A2)第2のコポリマー;(B)光重合性化合物;(C)光重合開始剤;及び(D2)白色以外の着色剤を含み、及び多層硬化フィルムは、6μm以上の総厚さを有する、多層硬化フィルムを提供する。
【0011】
さらに別の目的を達成するために、本発明は、多層硬化フィルムを調製するプロセスであって、(1)基材上に第1の着色感光性樹脂組成物をコートし、且つそれを硬化させて第1の硬化フィルムを形成すること;(2)第1の硬化フィルム上に第2の着色感光性樹脂組成物をコートし、且つそれを硬化させて第2の硬化フィルムを形成すること;及び(3)第2の硬化フィルムを露光及び現像してパターンを形成し、且つ次いでそれをポストベークすることを含み、第1の着色感光性樹脂組成物は、(A1)第1のコポリマー;(B)光重合性化合物;(C)光重合開始剤;及び(D1)白色着色剤を含み、第2の着色感光性樹脂組成物は、(A2)第2のコポリマー;(B)光重合性化合物;(C)光重合開始剤;及び(D2)白色以外の着色剤を含み、及び多層硬化フィルムは、6μm以上の総厚さを有する、プロセスを提供する。
【0012】
発明の有利な効果
本発明の着色感光性樹脂組成物は、優れた解像度、可視性及び同様のものを維持する一方、SCI(正反射光を含む)方法によって測定された反射率RSCI、SCE(正反射光を含まない)方法によって測定された反射率RSCE及びこれらの間の比率(RSCE/RSCI)が優れており、且つ適切な範囲で均一なフィルム厚さを有する。そのため、この組成物は、高い反射率及び高い遮光性などの物理的特性を同時に満たす多層硬化フィルムに形成され得る。加えて、この組成物から硬化フィルムが形成される場合、単一の現像プロセスで多層フィルム上にパターンの形成することが可能である。そのため、この組成物は、量子ドットディスプレイデバイスのために有利に使用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】典型的な量子ドットデバイスを例示する概略図である。
図2】本発明の実施形態に係る2層硬化フィルムを含む多層硬化フィルムの概略図である。
図3】本発明の別の実施形態に係る3層硬化フィルムを含む多層硬化フィルムの概略図である。
図4】本発明のさらに別の実施形態に係るn+1層硬化フィルムを含む多層硬化フィルムの概略図である。
図5】光学顕微鏡で観察された実施例3~14の多層硬化フィルムの断面及び側面の写真を示す。
図6】光学顕微鏡で観察された比較例1~9の多層硬化フィルムの断面及び側面の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、下記で説明されているものに限定されない。むしろ、本発明の趣旨が変更されない限り、それは、様々な形態に改変され得る。
【0015】
本明細書全体にわたり、ある部分がある要素を「含む」と称される場合、別途明記しない限り、他の要素が除外されるのではなく、他の要素が含まれ得ると理解される。加えて、本明細書で使用される成分の量、反応条件及び同様のものに関する全ての数字及び表現は、別途明記しない限り、用語「約」で修飾されていると理解しなければならない。
【0016】
本発明は、着色感光性樹脂組成物であって、(A)コポリマー;(B)光重合性化合物;(C)光重合開始剤;及び(D)着色剤を含み、コポリマー(A)が第1のコポリマー(A1)を含む場合、着色剤(D)は、白色着色剤(D1)を含み、コポリマー(A)が第2のコポリマー(A2)を含む場合、着色剤(D)は、白色以外の着色剤(D2)を含み、第1のコポリマー(A1)は、(a1)エチレン性不飽和カルボン酸、エチレン性不飽和カルボン酸無水物又はこれらの組み合わせに由来する構造単位;(a2)芳香環を含有するエチレン性不飽和化合物に由来する構造単位;(a3)エポキシ基を含有するエチレン性不飽和化合物に由来する構造単位;及び(a4)(a1)~(a3)と異なるエチレン性不飽和化合物に由来する構造単位を含み、及び第2のコポリマー(A2)は、(b1)エチレン性不飽和カルボン酸、エチレン性不飽和カルボン酸無水物又はこれらの組み合わせに由来する構造単位;及び(b2)エポキシ基を含有するエチレン性不飽和化合物に由来する構造単位を含み、且つ(b3)フッ素を含有するエチレン性不飽和化合物に由来する構造単位;及び(b4)(b1)~(b3)と異なるエチレン性不飽和化合物に由来する構造単位の少なくとも1つを含む、着色感光性樹脂組成物を提供する。
【0017】
具体的には、この着色感光性樹脂組成物は、第1のコポリマー(A1);光重合性化合物(B);光重合開始剤(C);及び白色着色剤(D1)を含む第1の着色感光性樹脂組成物であり得る。加えて、この着色感光性樹脂組成物は、第2のコポリマー(A1);光重合性化合物(B);光重合開始剤(C);及び白色以外の着色剤(D2)を含む第2の着色感光性樹脂組成物であり得る。
【0018】
[第1の着色感光性樹脂組成物]
第1の着色感光性樹脂組成物は、(A1)第1のコポリマー;(B)光重合性化合物;(C)光重合開始剤;及び(D1)白色着色剤を含み得る。第1の着色感光性樹脂組成物は、必要に応じて、(E)界面活性剤、(F)添加剤、例えばエポキシ化合物、チオール系化合物、光塩基発生剤及び接着補助剤、並びに/又は(G)溶媒をさらに含み得る。
【0019】
第1の着色感光性樹脂組成物から第1の硬化フィルムが形成され得る。第1の硬化フィルムは、基材上にコートされることにより形成される。第1の硬化フィルムは、下記の成分を含むことから、第1の硬化フィルムは、高い反射率特性を満たし得る。
【0020】
以下では、各成分を詳細に説明する。
【0021】
以下では、用語「(メタ)アクリル」は、「アクリル」及び/又は「メタクリル」を指し、用語「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」及び/又は「メタクリレート」を指す。
【0022】
下記で説明する各成分の重量平均分子量(g/モル又はDa)は、ポリスチレン標準を基準としてゲル浸透クロマトグラフィー(GPC、溶出液:テトラヒドロフラン)により測定されている。
【0023】
(A1)第1のコポリマー
第1のコポリマー(A1)は、(a1)エチレン性不飽和カルボン酸、エチレン性不飽和カルボン酸無水物又はこれらの組み合わせに由来する構造単位;(a2)芳香環を含有するエチレン性不飽和化合物に由来する構造単位;(a3)エポキシ基を含有するエチレン性不飽和化合物に由来する構造単位;及び(a4)(a1)~(a3)と異なるエチレン性不飽和化合物に由来する構造単位を含む。
【0024】
第1のコポリマーは、現像性を実現するためのアルカリ可溶性樹脂であり、本組成物中では結合剤として機能する。具体的には、第1のコポリマーは、構造中に芳香環及びエポキシ基を一緒に含むことから、硬化フィルムは、形成された場合、この組成物がコートされた後にベースとしての役割を果たし得、且つ最終パターンを実行するための構造としての役割を果たし得る。
【0025】
(a1)エチレン性不飽和カルボン酸、エチレン性不飽和カルボン酸無水物又はこれらの組み合わせに由来する構造単位
構造単位(a1)は、エチレン性不飽和カルボン酸、エチレン性不飽和カルボン酸無水物又はこれらの組み合わせに由来し得る。
【0026】
エチレン性不飽和カルボン酸及びエチレン性不飽和カルボン酸無水物は、分子中に少なくとも1個のカルボキシル基を含有する重合性不飽和モノマーであり得る。この例として、下記が挙げられ得る:不飽和モノカルボン酸、例えば(メタ)アクリル酸、クロトン酸、α-クロロアクリル酸及び桂皮酸;不飽和ジカルボン酸及びその無水物、例えばマレイン酸、マレイン酸無水物、フマル酸、イタコン酸、イタコン酸無水物、シトラコン酸、シトラコン酸無水物及びメサコン酸;3価以上の不飽和ポリカルボン酸及びその無水物;並びに2価以上のポリカルボン酸のモノ[(メタ)アクリロイルオキシアルキル]エステル、例えばモノ[2-(メタ)アクリロイルオキシエチル]スクシネート、モノ[2-(メタ)アクリロイルオキシエチル]フタレート並びに同様のもの。
【0027】
上記の中でも、不飽和モノカルボン酸に由来する構造単位(例えば、(メタ)アクリル酸に由来する構造単位)が現像性及び重合性の観点から好ましい。上記で例示された化合物に由来する構造単位は、単独で又は2種以上の組み合わせで本コポリマーに含有され得る。
【0028】
構造単位(a1)の含有量は、第1のコポリマーを構成する構造単位の総モル数を基準として5~65モル%、10~65モル%、10~50モル%、10~40モル%、10~35モル%又は15~35モル%であり得る。上記の範囲内では、構造単位(a1)は、有利な現像性を有し得る。
【0029】
(a2)芳香環を含有するエチレン性不飽和化合物に由来する構造単位
構造単位(a2)は、芳香環を含有するエチレン性不飽和化合物に由来し得る。
【0030】
芳香環を含有するエチレン性不飽和化合物の特定の例として、下記が挙げられ得る:フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、p-ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、p-ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート;スチレン;アルキル置換基を含有するスチレン、例えばメチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、トリエチルスチレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、ヘプチルスチレン及びオクチルスチレン;ハロゲンを含有するスチレン、例えばフルオロスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン及びヨードスチレン;アルコキシ置換基を含有するスチレン、例えばメトキシスチレン、エトキシスチレン及びプロポキシスチレン;4-ヒドロキシスチレン、p-ヒドロキシ-α-メチルスチレン、アセチルスチレン;並びにビニルトルエン、ジビニルベンゼン、ビニルフェノール、o-ビニルベンジルメチルエーテル、m-ビニルベンジルメチルエーテル、p-ビニルベンジルメチルエーテル、o-ビニルベンジルグリシジルエーテル、m-ビニルベンジルグリシジルエーテル、p-ビニルベンジルグリシジルエーテル並びに同様のもの。
【0031】
上記で例示された化合物に由来する構造単位は、単独で又は2種以上の組み合わせで本コポリマーに含有され得る。本組成物の重合性のために、これらの例の中でも、スチレン系化合物に由来する構造単位が好ましい。この構造単位は、第1のコポリマーの反応性を調節すること及びアルカリ水溶液へのこの第1のコポリマーの溶解性を増加させることが可能であり、そのため、本組成物のコーティング性を顕著に向上させ得る。
【0032】
構造単位(a2)の含有量は、第1のコポリマーを構成する構造単位の総モル数を基準として1~70モル%、1~60モル%、1~50モル%、1~45モル%又は3~45モル%であり得る。上記の範囲内では、構造単位(a2)は、耐化学性の観点でより有利である。
【0033】
(a3)エポキシ基を含有するエチレン性不飽和化合物に由来する構造単位
構造単位(a3)は、エポキシ基を含有するエチレン性不飽和化合物に由来し得る。
【0034】
エポキシ基を含有するエチレン性不飽和化合物の特定の例として、下記が挙げられ得る:グリシジル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシブチル(メタ)アクリレート、4,5-エポキシペンチル(メタ)アクリレート、5,6-エポキシヘキシル(メタ)アクリレート、6,7-エポキシヘプチル(メタ)アクリレート、2,3-エポキシシクロペンチル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、α-エチルグリシジルアクリレート、α-n-プロピルグリシジルアクリレート、α-n-ブチルグリシジルアクリレート、N-(4-(2,3-エポキシプロポキシ)-3,5-ジメチルベンジル)アクリルアミド、N-(4-(2,3-エポキシプロポキシ)-3,5-ジメチルフェニルプロピル)アクリルアミド、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、2-メチルアリルグリシジルエーテル及び同様のもの。上記で例示された化合物に由来する構造単位は、単独で又は2種以上の組み合わせで本コポリマーに含有され得る。
【0035】
上記の中でも、グリシジル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル及び4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテルに由来する構造単位から選択される少なくとも1つが重合性及び硬化フィルムの強度の向上の観点からより好ましい。具体的には、これにより、架橋反応による構造の形成(即ち十分なフィルム強度を有する硬化フィルムの形成)が可能である。さらに、これは、耐化学性を硬化フィルムに付与し得る。加えて、これは、十分なフィルムの基強度を維持しつつ、硬化中に本組成物のパターン流動性を調節することが可能であり、それにより硬化フィルム上でのパターンの形成が可能になり、且つ下方材との結合強度が向上される。
【0036】
構造単位(a3)の含有量は、第1のコポリマーを構成する構造単位の総モル数を基準として1モル%~40モル%、1モル%~30モル%、1モル%~20モル%、1モル%~10モル%、5モル%~30モル%、5モル%~20モル%、5モル%~15%又は5モル%~12モル%であり得る。上記の範囲内では、構造単位(a3)は、プロセス中の残留物及びプリベーク時のマージンの観点でより有利であり得る。
【0037】
(a4)(a1)~(a3)と異なるエチレン性不飽和化合物に由来する構造単位
構造単位(a4)は、(a1)~(a3)と異なるエチレン性不飽和化合物に由来する構造単位を含み得る。
【0038】
構造単位(a1)~(a3)と異なるエチレン性不飽和化合物に由来する構造単位の特定の例として、下記が挙げられ得る:不飽和カルボン酸エステル、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-クロロプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、メチルα-ヒドロキシメチルアクリレート、エチルα-ヒドロキシメチルアクリレート、プロピルα-ヒドロキシメチルアクリレート、ブチルα-ヒドロキシメチルアクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、3-メトキシブチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、トリフルオロ(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロイソプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート及びジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート;N-ビニル基を含有する第三級アミン、例えばN-ビニルピロリドン、N-ビニルカルバゾール及びN-ビニルモルホリン;不飽和エーテル、例えばビニルメチルエーテル及びビニルエチルエーテル;不飽和イミド、例えばN-フェニルマレイミド、N-(4-クロロフェニル)マレイミド、N-(4-ヒドロキシフェニル)マレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド並びに同様のもの。上記で例示された化合物に由来する構造単位は、単独で又は2種以上の組み合わせで本コポリマーに含有され得る。
【0039】
上記の中でも、不飽和カルボン酸エステル及び飽和イミドに由来する構造単位の少なくとも1つ(例えば、メチル(メタ)アクリレート及びN-フェニルマレイミドに由来する構造単位)が重合性及び硬化フィルムの強度の向上の観点からより好ましい。
【0040】
構造単位(a4)の含有量は、第1のコポリマーを構成する構造単位の総モル数を基準として1~80モル%、10~80モル%、10~70モル%、10~60モル%、10~55モル%、20~50モル%又は20~55モル%であり得る。上記の範囲内では、本組成物の貯蔵安定性が維持され得、且つフィルム保持率がより有利に向上され得る。
【0041】
ある実施形態によれば、構造単位(a1)~(a4)を有する第1のコポリマーの例として、下記が挙げられ得る:(メタ)アクリル酸/スチレン/グリシジル(メタ)アクリレート/メチル(メタ)アクリレートのコポリマー、(メタ)アクリル酸/スチレン/4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル/メチル(メタ)アクリレートのコポリマー、(メタ)アクリル酸/スチレン/グリシジル(メタ)アクリレート/N-フェニルマレイミドのコポリマー、(メタ)アクリル酸/スチレン/グリシジル(メタ)アクリレート/N-シクロヘキシルマレイミドのコポリマー及び(メタ)アクリル酸/スチレン/4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル/N-フェニルマレイミドのコポリマー。
【0042】
第1のコポリマー(A1)は、(a1)メタクリル酸に由来する構造単位;(a2)スチレンに由来する構造単位;(a3)グリシジルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル又はこれらの混合物に由来する構造単位;及び(a4)メチルメタクリレート、N-フェニルマレイミド又はこれらの混合物に由来する構造単位を含み得る。
【0043】
第1のコポリマーは、4,000~20,000Da、4,000~15,000Da、5,000~20,000Da、5,000~15,000Da又は10,000~15,000Daの重量平均分子量(Mw)を有し得る。上記の範囲内では、現像時のパターンプロファイルが有利であり得、且つフィルム保持率及び耐化学性のような特性が向上され得る。
【0044】
第1のコポリマー(A)は、上記の構造単位(a1)~(a4)が由来し得るモノマー、ラジカル重合開始剤及び溶媒を反応器に充填し、続いて窒素を充填し、この混合物を緩やかに撹拌して重合させることにより調製され得る。
【0045】
ラジカル重合開始剤は、アゾ化合物、例えば2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)及び2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル);又はベンゾイルペルオキシド、ラウリルペルオキシド、t-ブチルペルオキシピバレート、1,1-ビス(t-ブチルペルオキシ)シクロヘキサン又は同様のものであり得るが、これらに限定されない。ラジカル重合開始剤は、単独で又は2種以上の組み合わせで使用され得る。
【0046】
溶媒は、コポリマーの調製で通常使用されるあらゆる従来の溶媒であり得、例えばプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)であり得る。
【0047】
(B)光重合性化合物
第1の着色感光性樹脂組成物は、下記で説明する光重合性化合物を含み得る。この光重合性化合物は、少なくとも1つのエチレン性不飽和二重結合を有する単官能性エステル化合物又は多官能性エステル化合物であり得る。特に、この光重合性化合物は、耐化学性の観点から、少なくとも2つの官能基を有する多官能性化合物であり得る。
【0048】
光重合性化合物は、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジ(トリメチロールプロパン)テトラアクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレートとコハク酸とのモノエステル、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレートとコハク酸とのモノエステル、ペンタエリトリトールトリアクリレート-ヘキサメチレンジイソシアネート(ペンタエリトリトールトリアクリレートとヘキサメチレンジイソシアネートとの反応生成物)、トリペンタエリトリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリトリトールオクタ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエポキシアクリレート、エチレングリコールモノメチルエーテルアクリレート及びこれらの混合物からなる群から選択され得るが、これらに限定されない。
【0049】
市販の光重合性化合物の例として、下記が挙げられ得る:(i)一官能性(メタ)アクリレート、例えば東亞合成株式会社製のAronix M-101、M-111及びM-114、日本化薬株式会社製のKAYARAD T4-110S、T-1420及びT4-120S並びに大阪有機化学工業株式会社製のV-158及びV-2311;(ii)二官能性(メタ)アクリレート、例えば東亞合成株式会社製のAronix M-210、M-240及びM-6200、日本化薬株式会社製のKAYARAD HDDA、HX-220及びR-604並びに大阪有機化学工業株式会社製のV-260、V-312及びV-335 HP;並びに(iii)三官能性以上の(メタ)アクリレート、例えば東亞合成株式会社製のAronix M-309、M-400、M-403、M-405、M-450、M-7100、M-8030、M-8060及びTO-1382、日本化薬株式会社製のKAYARAD TMPTA、DPHA及びDPHA-40H並びに大阪有機化学工業株式会社製のV-295、V-300、V-360、V-GPT、V-3PA、V-400及びV-802。
【0050】
光重合性化合物の含有量は、溶媒を除く固形分を基準として、第1のコポリマー(A1)の100重量部に対して10~200重量部、10~150重量部、50~150重量部、70~150重量部、70~130重量部、80~150重量部、80~120重量部、90~120重量部又は90~100重量部であり得る。
【0051】
光重合性化合物の量が上記の範囲内である場合、パターン現像性及びコーティング特性が優れたものであり得る一方、フィルム保持率が一定に維持される。光重合性化合物の量が上記の範囲未満である場合、現像時間がより長くなり、これは、プロセス及び残留物に影響を及ぼす場合がある。光重合性化合物の量が上記の範囲を超える場合、パターン解像度が過剰に高くなるという問題が引き起こされる場合がある。
【0052】
(C)光重合開始剤
第1の着色感光性樹脂組成物は、下記で説明する光重合開始剤を含み得る。この光重合開始剤は、任意の既知の光重合開始剤であり得る。
【0053】
光重合開始剤は、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、オニウム塩系化合物、ベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、多核キノン系化合物、チオキサントン系化合物、ジアゾ系化合物、イミドスルホネート系化合物、オキシム系化合物、カルバゾール系化合物、スルホニウムボレート系化合物、ケトン系化合物及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0054】
具外的には、光重合開始剤は、オキシム系化合物、トリアジン系化合物又はこれらの組み合わせであり得る。具体的には、オキシム系化合物とトリアジン系化合物との組み合わせが使用され得る。
【0055】
光重合開始剤の特定の例として、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、ベンゾイルペルオキシド、ラウリルペルオキシド、t-ブチルペルオキシピバレート、1,1-ビス(t-ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、p-ジメチルアミノアセトフェノン、2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、ベンジルジメチルケタール、ベンゾフェノン、ベンゾインプロピルエーテル、ジエチルチオキサントン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-p-メトキシフェニル-s-トリアジン、2-トリクロロメチル-5-スチリル-1,3,4-オキサジアゾール、9-フェニルアクリジン、3-メチル-5-アミノ-((s-トリアジン-2-イル)アミノ)-3-フェニルクマリン、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾイルダイマー、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(o-エトキシカルボニル)オキシム、1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-オクタン-1,2-ジオン-2-(o-ベンゾイルオキシム)、o-ベンゾイル-4’-(ベンズメルカプト)ベンゾイル-ヘキシル-ケトキシム、2,4,6-トリメチルフェニルカルボニル-ジフェニルホスホニルオキシド、ヘキサフルオロホスホロ-トリアルキルフェニルスルホニウム塩、2-メルカプトベンゾイミダゾール、2,2’-ベンゾチアゾリルジスルフィド、2-[4-(2-フェニルエテニル)フェニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチルベンジル)-1-(4-モルホリン-4-イルフェニル)-ブタン-1-オン及びこれらの混合物が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0056】
参考までに、市販のオキシム系光重合開始剤の例として、OXE-01(BASF)、OXE-02(BASF)、OXE-03(BASF)、N-1919(ADEKA)、NCI-930(ADEKA)、NCI-831(ADEKA)、SPI05(Samyang)、SPI02(Samyang)及びSPI03(Samyang)から選択される少なくとも1つが挙げられる。トリアジン系光重合開始剤の例として、(E)-2-(4-スチリルフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-(2-フェニルエテニル)フェニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン(Triazine Y,Tronly)及び同様のものが挙げられる。
【0057】
光重合開始剤の含有量は、溶媒を除く固形分を基準として、第1のコポリマーの100重量部に対して1~20重量部、1~15重量部、1~13重量部、3~20重量部、3~15重量部又は3~13重量部であり得る。
【0058】
具体的には、第1のコポリマー(A1)の100重量部に対して、光重合開始剤として、1~20重量部、1~15重量部、3~20重量部又は3~15重量部の量のオキシム系化合物が用いられ得る。
【0059】
加えて、第1のコポリマー(A1)の100重量部に対して、光重合開始剤として、0.05~4重量部、0.5~4重量部、1~4重量部、1~3重量部、1~2.5重量部、1~2重量部又は1~1.5重量部の量のトリアジン系化合物が用いられ得る。
【0060】
オキシム系化合物が上記の範囲内の量で用いられる場合、高感度と共に現像特性及びコーティング特性が向上され得る。加えて、トリアジン系化合物が上記の範囲内の量で用いられる場合、高感度と共にパターンの形成時の耐化学性及びテーパー角が優れている硬化フィルムを得ることができる。
【0061】
(D1)白色着色剤
第1の着色感光性樹脂組成物は、高い反射率を付与するために白色着色剤(D1)を含み得る。
【0062】
白色着色剤は、白色金属着色剤であり得る。例えば、白色着色剤は、酸化チタン(TiO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化亜鉛(ZnO)及び二酸化ケイ素(SiO)からなる群から選択される少なくとも1つであり得る。
【0063】
白色着色剤は、光を反射する性質を有することから、硬化フィルムが第1の着色感光性樹脂組成物から形成される場合、反射率を向上させるように機能する。具体的には、白色着色剤は、屈折率が大きい粒子で構成されていることから、入射光のほぼ100%が反射及び散乱され、これは、反射率を向上させるのに役立つ。着色剤の粒子が無色透明である場合、光は、吸収及び散乱されない。
【0064】
白色着色剤(D1)の含有量は、溶媒を除く固形分を基準として、第1のコポリマー(A1)の100重量部に対して10~80重量部、10~70重量部、20~80重量部、20~70重量部、20~65重量部、30~70重量部又は30~65重量部であり得る。上記の範囲内では、白色着色剤(D1)は、高い反射特性を達成し得る。
【0065】
具体的には、白色着色剤は、例えば、酸化チタン(TiO)を含み得る。
【0066】
例えば、白色着色剤は、酸化チタン(TiO)を含み得、この酸化チタン(TiO)は、固形分を基準として、第1のコポリマー(A1)の100重量部に対して10~80重量部、10~70重量部、20~80重量部、20~70重量部、20~65重量部、30~70重量部又は30~65重量部の量で用いられ得る。上記の範囲内では、白色着色剤は、高い反射特性を達成し得る。
【0067】
白色着色剤の粒径は、120nm~400nm、150nm~400nm、200nm~400nm、230nm~350nm、230nm~330nm、250nm~400nm、250nm~380nm又は280nm~350nmであり得る。白色着色剤の粒径が上記の範囲内である場合、白色着色剤は、高い反射特性を達成し得る。例えば、白色着色剤は、120nm~400nm又は250~400nmの直径を有するルチル型TiOを含み得る。そのような場合、白色着色剤は、高い反射特性を達成するためにより有利であり得る。
【0068】
(E)界面活性剤
第1の着色感光性樹脂組成物は、被覆性を向上させ、且つ欠損の発生を防止するために界面活性剤をさらに含み得る。
【0069】
界面活性剤の種類は、特に限定されないが、例えばフッ素系界面活性剤又はシリコーン系界面活性剤が使用され得る。
【0070】
市販のシリコーン系界面活性剤として、下記が挙げられ得る:ダウコーニング東レシリコーン株式会社製のDC3PA、DC7PA、SH11PA、SH21PA及びSH8400、GE東芝シリコーン株式会社製のTSF-4440、TSF-4300、TSF-4445、TSF-4446、TSF-4460及びTSF-4452、BYK製のBYK-333、BYK-307、BYK-3560、BYK UV-3535、BYK-361N、BYK-354及びBYK-399並びに同様のもの。これらは、単独で又はこれらの2種以上の組み合わせで使用され得る。
【0071】
市販のフッ素系界面活性剤として、大日本インキ化学工業株式会社(DIC)製のMegaface F-470、F-471、F-475、F-482、F-489及びF-563が挙げられ得る。
【0072】
これらの界面活性剤の中でも好ましいのは、本組成物の被覆性の観点から、BYK製のBYK-333及びBYK-307並びにDIC製のF-563であり得る。
【0073】
界面活性剤の含有量は、溶媒を除く固形分を基準として、第1のコポリマー(A1)の100重量部に対して0.01~5重量部、0.01~3重量部、0.1~3重量部、0.1~1重量部又は0.1~0.5重量部であり得る。上記の範囲内では、本感光性樹脂組成物を滑らかにコートし得る。
【0074】
(F)添加剤
加えて、第1の着色感光性樹脂組成物は、多層硬化フィルムの物理的特性が悪影響を受けない範囲内において、エポキシ化合物、光塩基発生剤、チオール系化合物、エポキシ樹脂に由来する化合物及び接着補助剤からなる群から選択される少なくとも1種の添加剤をさらに含み得る。
【0075】
エポキシ化合物は、少なくとも1つのエポキシ基を含有する不飽和モノマー又はそのホモオリゴマー若しくはヘテロオリゴマーであり得る。少なくとも1つのエポキシ基を含有する不飽和モノマーの例として、下記が挙げられ得る:グリシジル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル、3,4-エポキシブチル(メタ)アクリレート、4,5-エポキシペンチル(メタ)アクリレート、5,6-エポキシヘキシル(メタ)アクリレート、6,7-エポキシヘプチル(メタ)アクリレート、2,3-エポキシシクロペンチル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、α-エチルグリシジルアクリレート、α-n-プロピルグリシジルアクリレート、α-n-ブチルグリシジルアクリレート、N-(4-(2,3-エポキシプロポキシ)-3,5-ジメチルベンジル)アクリルアミド、N-(4-(2,3-エポキシプロポキシ)-3,5-ジメチルフェニルプロピル)アクリルアミド、アリルグリシジルエーテル、2-メチルアリルグリシジルエーテル、o-ビニルベンジルグリシジルエーテル、m-ビニルベンジルグリシジルエーテル、p-ビニルベンジルグリシジルエーテル又はこれらの混合物。具体的には、グリシジル(メタ)アクリレートが使用され得る。
【0076】
少なくとも1つのエポキシ基を含有する不飽和モノマーの市販のホモオリゴマーの例として、MIPHOTO GHP-03HHP(グリシジルメタクリレート、Miwon Commercial Co.,Ltd.)が挙げられ得る。
【0077】
エポキシ化合物は、下記の構造単位をさらに含み得る。
【0078】
具体的な例として、下記に由来する構造単位が挙げられる:スチレン;アルキル置換基を含有するスチレン、例えばメチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、トリエチルスチレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、ヘプチルスチレン及びオクチルスチレン;ハロゲンを含有するスチレン、例えばフルオロスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン及びヨードスチレン;アルコキシ置換基を含有するスチレン、例えばメトキシスチレン、エトキシスチレン及びプロポキシスチレン;p-ヒドロキシ-α-メチルスチレン、アセチルスチレン;芳香族環を含有するエチレン性不飽和化合物、例えばジビニルベンゼン、ビニルフェノール、o-ビニルベンジルメチルエーテル、m-ビニルベンジルメチルエーテル、p-ビニルベンジルメチルエーテル;不飽和カルボン酸エステル、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-クロロプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、メチルα-ヒドロキシメチルアクリレート、エチルα-ヒドロキシメチルアクリレート、プロピルα-ヒドロキシメチルアクリレート、ブチルα-ヒドロキシメチルアクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、3-メトキシブチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、p-ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、p-ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート及びジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート;N-ビニル基を含有する三級アミン、例えばN-ビニルピロリドン、N-ビニルカルバゾール及びN-ビニルモルホリン;不飽和エーテル、例えばビニルメチルエーテル及びビニルエチルエーテル;不飽和イミド、例えばN-フェニルマレイミド、N-(4-クロロフェニル)マレイミド、N-(4-ヒドロキシフェニル)マレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド及び同様のもの。上記で例示された化合物に由来する構造単位は、単独で又はこれらの2種以上の組み合わせでエポキシ化合物に含有され得る。
【0079】
エポキシ化合物は、100~30,000Da、1,000~30,000Da、1,000~20,000Da、3,000~20,000Da、3,000~18,000Da、5,000~20,000Da又は5,000~15,000Daの重量平均分子量を有し得る。上記の範囲内では、より低いパターンによる工程差が有利に改善され得、且つ現像時のパターンプロファイルが有利であり得る。
【0080】
エポキシ化合物の含有量は、溶媒を除く固形分を基準として、第1のコポリマー(A1)の100重量部に対して1~30重量部、1~10重量部又は1~5重量部であり得る。上記の範囲内では、現像時のパターンプロファイルが有利であり得、且つ耐化学性及弾性的復元力が向上され得る。
【0081】
光塩基発生剤は、光(又は活性化エネルギー線)の照射時に塩基を発生させる特性を有する化合物を含み得る。例えば、光塩基発生剤は、300nm以上の波長でも感光性範囲を有する高感受性化合物を含み得る。
【0082】
光塩基発生剤は、ポリアミン光塩基発生剤成分を含む架橋性化合物を含み得る。本発明は、そのような光塩基発生剤を含むことから、硬化フィルムを調製する場合に低温で且つ/又は短い期間中に硬化することが可能であり、及び微細パターンを形成することが可能である。加えて、光塩基発生剤は、光(例えば、UV)の照射時に塩基を発生させることから、空気中の酸素により阻害されず、その結果、硬化フィルムの腐食又は劣化の防止に有用である。
【0083】
光塩基発生剤が露光された場合、ポリアミン光塩基発生剤成分のペンダント光塩基基が寸断されるか又は光分解して、アミン基が生じる。このアミン基は、多官能性アミン反応性成分のアミン反応性基と反応して、(メタ)アクリレートコポリマー成分を架橋し得る。
【0084】
光塩基発生剤の例として、下記が挙げられる:WPBG-018(和光、CAS No.122831-05-7、9-アントリルメチル-N,N-ジエチルカルバメート)、WPBG-027(CAS No.1203424-93-4、(E)-1-ピペリジノ-3-(2-ヒドロキシフェニル)-2-プロペン-1-オン)、WPBG-266(CAS No.1632211-89-2、1,2-ジイソプロピル-3-ビス(ジメチルアミノ)メチレン)グアニジウム2-(3-ベンゾイルフェニル)プロピオネート)、WPBG-300(CAS No.1801263-71-7、1,2-ジシクロヘキシル-4,4,5,5-テトラメチルビグアニジニウムn-ブチルトリフェニルボレート)及び同様のもの。光塩基発生剤は、単独で又はその2種以上の組み合わせで使用され得る。
【0085】
光塩基発止剤の含有量は、溶媒を除く固形分を基準として、第1のコポリマー(A1)の100重量部に基づいて0~10重量部、0~6重量部又は0.01~5重量部であり得る。上記の範囲内では、現像時のパターンプロファイルが有利であり得、且つ耐化学性が優れたものであり得る。
【0086】
チオール系化合物は、フリーラジカル又は触媒機能のための添加物として使用され得る。チオール系化合物は、UV照射又は熱反応による光硬化変換速度を高め得、且つ熱反応による反応エネルギーを低下させることによりエポキシ変換速度を高め得る。チオール系化合物は、酸素によるラジカルの消滅を防止する。チオール系化合物はまた、光重合性化合物(B)による架橋作用により架橋度を高め、それにより低温でも硬化度を改善することにより、構造をより密にするという効果をもたらす。
【0087】
チオール系化合物の例として、分子中に2個以上のメルカプト基を有する化合物が挙げられる。例えば、この化合物は、脂肪族チオール化合物又は芳香族チオール化合物であり得る。
【0088】
脂肪族チオール化合物の例として、下記が挙げられ得る:メタンジチオール、1,2-エタンジチオール、1,2-プロパンジチオール、1,3-プロパンジチオール、1,4-ブタンジチオール、1,5-ペンタンジチオール、1,6-ヘキサンジチオール、1,2-シクロヘキサンジチオール、3,4-ジメトキシブタン-1,2-ジチオール、2-メチルシクロヘキサン-2,3-ジチオール、1,2-ジメルカプトプロピルメチルエーテル、2,3-ジメルカプトプロピルメチルエーテル、ビス(2-メルカプトエチル)エーテル、テトラキス(メルカプトメチル)メタン、ビス(メルカプトメチル)スルフィド、ビス(メルカプトメチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトエチル)スルフィド、ビス(メルカプトエチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトメチルチオ)メタン、ビス(2-メルカプトエチルチオ)メタン、1,2-ビス(2-メルカプトメチルチオ)エタン、1,2-ビス(2-メルカプトエチルチオ)エタン、1,3-ビス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,3-ビス(2-メルカプトエチルチオ)プロパン、1,2,3-トリス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,2,3-トリス(2-メルカプトエチルチオ)プロパン、1,2,3-トリス(3-メルカプトプロピルチオ)プロパン、4-メルカプトメチル-1,8-ジメルカプト-3,6-ジチアオクタン、5,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,8-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、1,1,3,3-テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、4,6-ビス(メルカプトメチルチオ)-1,3-ジチアン、2-(2,2-ビス(メルカプトメチルチオ)エチル)-1,3-ジチエタン、テトラキス(メルカプトメチルチオメチル)メタン、テトラキス(2-メルカプトエチルチオメチル)メタン、ビス(2,3-ジメルカプトプロピル)スルフィド、2,5-ビスメルカプトメチル-1,4-ジチアン、エチレングリコールビス(2-メルカプトアセテート)、エチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオネート)、ジエチレングリコールビス(2-メルカプトアセテート)、ジエチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオネート)、2,3-ジメルカプト-1-プロパノール(3-メルカプトプロピオネート)、3-メルカプト-1,2-プロパンジオールビス(2-メルカプトアセテート)、3-メルカプト-1,2-プロパンジオールジ(3-メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(2-メルカプトアセテート)、ジトリメチロールプロパンテトラキス(2-メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、ジトリメチロールプロパンテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、トリメチロールエタントリス(2-メルカプトアセテート)、トリメチロールエタントリス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2-メルカプトアセテート)、ジペンタエリスリトールヘキサ(2-メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールジ(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールトリス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラ(3-メルカプトプロピオネート)(PETMP)、ジペンタエリスリトールヘキサ(3-メルカプトプロピオネート)、グリセリンジ(2-メルカプトアセテート)、グリセリントリス(2-メルカプトアセテート)、グリセリンジ(3-メルカプトプロピオネート)、グリセリントリス(3-メルカプトプロピオネート)、1,4-シクロヘキサンジオールビス(2-メルカプトアセテート)、1,4-シクロヘキサンジオールビス(3-メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシメチルスルフィドビス(2-メルカプトアセテート)、ヒドロキシメチルスルフィドビス(3-メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシエチルスルフィド(2-メルカプトアセテート)、ヒドロキシエチルスルフィド(3-メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシメチルジスルフィド(2-メルカプトアセテート)、ヒドロキシメチルジスルフィド(3-メルカプトプロピオネート)、チオグリコール酸ビス(2-メルカプトエチルエステル)、チオジプロピオン酸ビス(2-メルカプトエチルエステル)及びN,N’,N’’-トリス(β-メルカプトプロピルカルボニルオキシエチル)イソシアヌレート。
【0089】
芳香族チオール化合物の例として、下記が挙げられ得る:1,2-ジメルカプトベンゼン、1,3-ジメルカプトベンゼン、1,4-ジメルカプトベンゼン、1,2-ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,4-ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2-ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,4-ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,3-トリメルカプトベンゼン、1,2,4-トリメルカプトベンゼン、1,3,5-トリメルカプトベンゼン、1,2,3-トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,4-トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3,5-トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,3-トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,3,5-トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,4-トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、2,5-トルエンジチオール、3,4-トルエンジオール、1,4-ナフタレンジオール、1,5-ナフタレンジオール、2,6-ナフタレンジオール、2,7-ナフタレンジオール、1,2,3,4-テトラメルカプトベンゼン、1,2,3,5-テトラメルカプトベンゼン、1,2,4,5-テトラメルカプトベンゼン、1,2,3,4-テトラキス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,3,5-テトラキス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,4,5-テトラキス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,3,4-テトラキス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,3,5-テトラキス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,4,5-テトラキス(メルカプトエチル)ベンゼン、2,2’-ジメルカプトビフェニル及び4,4’-ジメルカプトビフェニル。
【0090】
チオール系化合物は、脂肪族チオール化合物であり得る。具体的には、それは、ペンタエリスリトールテトラ(3-メルカプトプロピオネート)(PETMP)、SIRIUS-501(SUBARU-501、大阪有機化学工業株式会社)及びグリコルリル誘導体(TS-G、四国化成工業株式会社)が挙げられ得る。
【0091】
チオール系化合物の含有量は、溶媒を除く固形分を基準として、第1のコポリマー(A1)の100重量部に対して1~30重量部、1~20重量部、1~15重量部又は1~10重量部であり得る。チオール系化合物の量が上記の範囲内である場合、現像時のパターンプロファイルが有利であり得、且つ耐化学性が優れたものであり得る。
【0092】
エポキシ樹脂に由来する化合物は、少なくとも1つの二重結合を有し、カルド主鎖構造を有し得るか、ノボラック系樹脂であり得るか、又は側鎖に二重結合を含有するアクリル酸樹脂であり得る。
【0093】
エポキシ樹脂に由来する化合物の重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレンを基準としてゲル浸透クロマトグラフィーにより決定された場合、3,000~18,000Da又は5,000~10,000Daの範囲であり得る。エポキシ樹脂に由来する化合物の量が上記の範囲内である場合、現像時のパターンプロファイルが有利であり得、且つ耐化学性及び弾性復元力のような特性が向上され得る。
【0094】
具体的には、エポキシ樹脂に由来する化合物は、以下の式1:
【化1】
(式1において、
Xは、それぞれ独立して、
【化2】
であり;Lは、それぞれ独立して、C1~10アルキレン基、C3~20シクロアルキレン基又はC1~10アルキレンオキシ基であり;R~Rは、それぞれ独立して、H、C1~10アルキル基、C1~10アルコキシ基、C2~10アルケニル基又はC6~14アリール基であり;Rは、H、メチル、エチル、CHCHCl-、CHCHOH-、CH=CHCH-又はフェニルであり;nは、0~10の整数である)
によって表されるカルド主鎖構造を有する化合物であり得る。
【0095】
1~10アルキレン基の特定の例として、下記が挙げられ得る:メチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、ブチレン、イソブチレン、sec-ブチレン、t-ブチレン、ペンチレン、イソペンチレン、t-ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、イソオクチレン、t-オクチレン、2-エチルヘキシレン、ノニレン、イソノニレン、デシレン、イソデシレン及び同様のもの。C3~20シクロアルキレン基の特定の例として、下記が挙げられ得る:シクロプロピレン、シクロブチレン、シクロペンチレン、シクロヘキシレン、シクロヘプチレン、デカリニレン、アダマンチレン及び同様のもの。C1~10アルキレンオキシ基の特定の例として、下記が挙げられ得る:メチレンオキシ、エチレンオキシ、プロピレンオキシ、ブチレンオキシ、sec-ブチレンオキシ、t-ブチレンオキシ、ペンチレンオキシ、ヘキシレンオキシ、ヘプチレンオキシ、オクチレンオキシ、2-エチル-ヘキシレンオキシ及び同様のもの。C1~10アルキル基の特定の例として、下記が挙げられ得る:メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、t-ブチル、ペンチル、イソペンチル、t-ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、t-オクチル、2-エチルヘキシル、ノニル、イソノニル、デシル、イソデシル及び同様のもの。C1~10アルコキシ基の特定の例として、下記が挙げられ得る:メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブチルオキシ、sec-ブトキシ、t-ブトキシ、ペントキシ、ヘキシルオキシ、ヘプトキシ、オクチルオキシ、2-エチル-ヘキシルオキシ及び同様のもの。C2~10アルケニル基の特定の例として、ビニル、アリル、ブテニル、プロペニル及び同様のものが挙げられ得る。C6~14アリール基の特定の例として、フェニル、トリル、キシリル、ナフチル及び同様のものが挙げられ得る。
【0096】
一例として、カルド主鎖構造を有するエポキシ樹脂に由来する化合物は、反応スキーム1によって表される下記の合成経路で調製され得る。
【化3】
反応スキーム1において、Halは、ハロゲンであり;X、R、R及びLは、上記の式1で定義されたのと同じである。
【0097】
カルド主鎖構造を有するエポキシ樹脂に由来する化合物は、カルド主鎖構造を有するエポキシ樹脂と不飽和塩基性酸とを反応させてエポキシ付加体を生成し、次いでそのようにして得られたエポキシ付加体と多塩基性酸無水物とを反応させることにより得ることができるか、又はそのようにして得られた生成物と一官能性エポキシ化合物若しくは多官能性エポキシ化合物とをさらに反応させることにより得ることができる。当技術分野で既知の任意の不飽和塩基性酸(例えば、アクリル酸、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、桂皮酸、ソルビン酸及び同様のもの)を使用し得る。当技術分野で既知の任意の多塩基性酸無水物(例えば、コハク酸無水物、マレイン酸無水物、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物及び同様のもの)を使用し得る。当技術分野で既知の任意の一官能性エポキシ化合物又は多官能性エポキシ化合物(例えば、グリシジルメタクリレート、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、プロピルグリシジルエーテル、イソプロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、イソブチルグリシジルエーテル、ビスフェノールZグリシジルエーテル及び同様のもの)を使用し得る。
【0098】
一例として、カルド主鎖構造を有するエポキシ樹脂に由来する化合物が、反応スキーム2によって表される下記の合成経路で調製され得る。
【化4】
反応スキーム2において、Rは、それぞれ独立して、H、C1~10アルキル基、C1~10アルコキシ基、C2~10アルケニル基又はC6~14アリール基であり;R10及びR11は、それぞれ独立して、6個の炭素原子を有する飽和若しくは不飽和の脂肪族環若しくは芳香族環であり;nは、1~10の整数であり;X、R、R及びLは、上記の式1で定義されたのと同じである。
【0099】
カルド主鎖構造を有するエポキシ樹脂に由来する化合物が使用される場合、カルド主鎖構造は、基材への硬化材料の接着性、耐アルカリ性、加工性、強度及び同様のものを改善し得る。さらに、微細解像度での画像は、末硬化部分が現像時に除去されると、パターンで形成され得る。
【0100】
エポキシ樹脂に由来する化合物の含有量は、溶媒を除く固形分を基準として、第1のコポリマー(A1)の100重量部に対して0~50重量部、0~40重量部、0.01~50重量部、0.01~40重量部又は0.01~30重量部であり得る。エポキシ樹脂に由来する化合物が上記の量範囲内で用いられる場合、現像時の現像性及びパターンプロファイルが有利であり得る。
【0101】
第1の着色感光性樹脂組成物は、基材への接着性を向上させるために接着補助剤をさらに含み得る。
【0102】
接着補助剤は、カルボキシル基、(メタ)アクリロイル基、イソシアネート基、アミノ基、メルカプト基、ビニル基及びエポキシ基からなる群から選択される少なくとも1つの反応性基を有し得る。好ましくは、この接着補助剤は、イソシアネート基を有し得る。
【0103】
接着補助剤の例として、下記が挙げられる:トリメトキシシリル安息香酸、γ-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ-イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、N-フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン及びこれらの混合物。
【0104】
好ましくは、接着補助剤は、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン又はN-フェニルアミノプロピルトリメトキシシランであり得る。より好ましくは、接着補助剤は、イソシアネート基を含有する接着補助剤であるN-フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン又はこれらの混合物であり得る。
【0105】
接着補助剤の含有量は、固形分を基準として、第1のコポリマー(A1)の100重量部に対して0.001~5重量部、0.01~5重量部、0.01~4重量部、0.01~3重量部、0.1~4重量部、0.1~3重量部又は0.1~0.2重量部であり得る。上記の範囲内では、基材への接着性がさらに向上され得る。
【0106】
(G)溶媒
第1の着色感光性樹脂組成物は、上記の成分と溶媒とが混合されている液状組成物として調製され得る。第1の着色感光性樹脂組成物中の成分と相溶性であるが、反応しない、当技術分野で既知の任意の溶媒を感光性樹脂組成物の調製での溶媒として使用し得る。
【0107】
溶媒の例として、下記が挙げられ得る:グリコールエーテル、例えばエチレングリコールモノエチルエーテル;エチレングリコールアルキルエーテルアセテート、例えばエチルセロソルブアセテート;エステル、例えばエチル2-ヒドロキシプロピオネート;ジエチレングリコール、例えばジエチレングリコールモノメチルエーテル;プロピレングリコールアルキルエーテルアセテート、例えばプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びプロピレングリコールプロピルエーテルアセテート;並びにアルコキシアルキルアセテート、例えば3-メトキシブチルアセテート。溶媒は、単独で又は2種以上の組み合わせで使用され得る。
【0108】
溶媒の含有量は、具体的に限定されないが、第1の着色感光性樹脂組成物の被覆性及び安定性の観点から、溶媒を除く固形分を基準として、第1のコポリマー(A1)の100重量部に対して50~200重量部又は80~150重量部であり得る。上記の範囲内では、この樹脂組成物は、滑らかにコートされ、且つ作業プロセスで起こり得る遅延マージンが小さい。
【0109】
加えて、第1の着色感光性樹脂組成物は、硬化フィルムの物理的特性が悪影響を受けない範囲内において、他の添加剤(例えば、酸化防止剤及び安定剤)をさらに含み得る。
【0110】
上記で説明されている成分を含む第1の着色感光性樹脂組成物は、慣用法により混合して、液状組成物として調製され得る。例えば、着色剤を事前に分散樹脂、分散剤及び溶媒と混合し、着色剤の平均粒径が所望の値に達するまでビーズミルを使用して分散させ、それにより着色剤分散液を調製する。そのような場合、界面活性剤及び/又はコポリマーを部分的又は完全にブレンドし得る。この着色剤分散液にコポリマー及び界面活性剤の残余、光重合性化合物及び光重合開始剤が添加される。必要に応じて、エポキシ化合物等の添加剤又は追加の溶媒を特定の濃度までさらにブレンドし、続いてこれを十分に撹拌して、第1の着色感光性樹脂組成物を液相で調製する。
【0111】
本発明は、そのような第1の着色感光性樹脂組成物を基材上にコートして硬化させることにより、第1の硬化フィルムを提供し得る。具体的には、第1の着色感光性樹脂組成物を、所望の厚さ(例えば、4μm~8μm)において、スピンコーティング法、スリットコーティング法、ロールコーティング法、スクリーン印刷法、アプリケーター法又は同様のものにより、予め処理した基材上にコートし、第1の着色感光性樹脂組成物を、それから溶媒を除去することにより硬化させて、第1の硬化フィルムが形成される。最終的に形成される第1の硬化フィルムの厚さは、10μm以下、8μm以下、6μm以下、4μm~9μm又は5μm~9μmであり得る。
【0112】
[第2の着色感光性樹脂組成物]
第2の着色感光性樹脂組成物は、(A2)第2のコポリマー;(B)光重合性化合物;(C)光重合開始剤;及び(D2)白色以外の着色剤を含み得る。第2の着色感光性樹脂組成物は、必要に応じて、上記で説明されている(E)界面活性剤、(F)添加剤、例えばエポキシ化合物、チオール系化合物、光塩基発生剤及び接着補助剤、並びに/又は(G)溶媒をさらに含み得る。
【0113】
第2の着色感光性樹脂組成物を第1の硬化フィルム上にコートして、第2の硬化フィルムを形成し得る。第2の硬化フィルムは、下記の成分を含むことから、高い遮光性を満たし得る。
【0114】
以下では、各成分を詳細に説明する。
【0115】
(A2)第2のコポリマー
第2のコポリマー(A2)は、(b1)エチレン性不飽和カルボン酸、エチレン性不飽和カルボン酸無水物又はこれらの組み合せに由来する構造単位;及び(b2)エポキシ基を含有するエチレン性不飽和化合物に由来する構造単位を含み、且つ(b3)フッ素を含有するエチレン性不飽和化合物に由来する構造単位;及び(b4)(b1)~(b3)と異なるエチレン性不飽和化合物に由来する構造単位の少なくとも1つを含み得る。
【0116】
ある実施形態によれば、第2のコポリマーは、構造単位(b1)、(b2)及び(b3)を含み得る。
【0117】
別の実施形態によれば、第2のコポリマーは、構造単位(b1)、(b2)及び(b4)を含み得る。
【0118】
さらに別の実施形態によれば、第2のコポリマーは、構造単位(b1)~(b4)を含み得る。
【0119】
第2のコポリマーは、現像性を実現するためのアルカリ可溶性樹脂であり、硬化フィルムが形成される場合にベースとしての役割を果たし得、且つ最終パターンを形成するための構造体としての役割を果たし得る。
【0120】
(b1)エチレン性不飽和カルボン酸、エチレン性不飽和カルボン酸無水物又はこれらの組み合わせに由来する構造単位
構造単位(b1)は、エチレン性不飽和カルボン酸、エチレン性不飽和カルボン酸無水物又はこれらの組み合わせに由来し得る。
【0121】
エチレン性不飽和カルボン酸及びエチレン性不飽和カルボン酸無水物は、分子中に少なくとも1つのカルボキシル基を含有する重合性不飽和モノマーであり得る。これらは、構造単位(a1)が由来し得る、上記で例示された化合物と同じであり得る。
【0122】
構造単位(b1)の含有量は、第2のコポリマーを構成する構造単位の総モル数を基準として5~65モル%、10~65モル%、10~50モル%、10~40モル%、10~35モル%、15~35モル%、20~35モル%又は20~30モル%であり得る。上記の範囲内では、構造単位(b1)は、有利な現像性を有し得る。
【0123】
(b2)エポキシ基を含有するエチレン性不飽和化合物に由来する構造単位
構造単位(b2)は、エポキシ基を含有するエチレン性不飽和化合物に由来し得る。
【0124】
例えば、このエポキシ基を含有するエチレン性不飽和化合物は、構造単位(a3)が由来し得る、上記で例示された化合物と同じであり得る。
【0125】
構造単位(b2)の含有量は、第2のコポリマーを構成する構造単位の総モル数を基準として1モル%~40モル、1モル%~30モル%、1モル%~20モル%、1モル%~10モル%、5モル%~30モル%、5モル%~20モル%、5モル%~15モル%又は5モル%~12モル%であり得る。上記の範囲内では、構造単位(b2)は、プロセス中の残留物及びプリベーク時のマージンの観点でより有利であり得る。
【0126】
(b3)フッ素を含有するエチレン性不飽和化合物に由来する構造単位
構造単位(b3)は、フッ素を含有するエチレン性不飽和化合物に由来し得る。
【0127】
フッ素を含有するエチレン性不飽和化合物の例として、ノナフルオロフェニル(メタ)アクリレート、2,2,2-トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロイソプロピル(メタ)アクリレート及びオクタフルオロフェニル(メタ)アクリレートが挙げられ得る。フッ素を含有するエチレン性不飽和化合物に由来する構造単位(b2)は、第2の硬化フィルムを含む多層硬化フィルムが量子ドットバリアリブとして使用される際、バリアリブ間の区分にインクが注入された場合でも、明瞭な解像度及びパターン形成が可能であるように機能する。具体的には、フッ素含有硬化フィルムが量子ドットバリアリブに適用される場合、量子ドット溶液がインクジェット法で満たされる際、隣接領域へのオーバーフローイングによる量子ドット溶液の放出を防止することが可能である。
【0128】
構造単位(b3)の含有量は、第2のコポリマーを構成する構造単位の総モル数を基準として10~80モル%、10~70モル%、20~70モル%、20~60モル%、30~70モル%、30~60モル%、40~60モル%又は50~60モル%であり得る。上記の範囲内では、硬化フィルムの遮光性がさらに向上され得る。
【0129】
(b4)(b1)~(b3)と異なるエチレン性不飽和化合物に由来する構造単位
構造単位(b4)は、(b1)~(b3)と異なるエチレン性不飽和化合物に由来し得る。
【0130】
例えば、(b1)~(b3)と異なるエチレン性不飽和化合物は、構造単位(a2)及び/又は(a4)が由来し得る、上記で例示された化合物と同じであり得る。
【0131】
構造単位(b4)の含有量は、第2のコポリマーを構成する構造単位の総モル数を基準として10~80モル%、10~70モル%、20~70モル%、20~60モル%、20~50モル%、20~40モル%又は20~30モル%であり得る。上記の範囲内では、本組成物の貯蔵安定性が維持され得、且つフィルム保持率がより有利に向上され得る。
【0132】
ある実施形態によれば、第2のコポリマーを構成する構造単位の例として、下記が挙げられ得る:(メタ)アクリル酸/グリシジル(メタ)アクリレート/スチレン/メチル(メタ)アクリレートのコポリマー、(メタ)アクリル酸/グリシジル(メタ)アクリレート/ノナフルオロフェニル(メタ)アクリレート/2,2,2-トリフルオロエチル(メタ)アクリレートのコポリマー、(メタ)アクリル酸/グリシジル(メタ)アクリレート/スチレン/ノナフルオロフェニル(メタ)アクリレートのコポリマー、(メタ)アクリル酸/グリシジル(メタ)アクリレート/スチレン/メチル(メタ)アクリレート/ノナフルオロフェニル(メタ)アクリレートのコポリマー。
【0133】
第2のコポリマーは、(b1)メタクリル酸に由来する構造単位;及び(b2)グリシジルメタクリレートに由来する構造単位を含み、且つ(b3)ノナフルオロフェニルメタクリレート、2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレート又はこれらの混合物に由来する構造単位;及び(b4)スチレン、メチルメタクリレート又はこれらの混合物に由来する構造単位の少なくとも1つを含み得る。
【0134】
第2のコポリマーは、4,000~20,000Da、4,000~16,000Da、5,000~20,000Da、5,000~16,000Da又は10,000~16,000Daの重量平均分子量(Mw)を有し得る。上記の範囲内では、より低いパターンによる工程差が有利に改善され得、現像時のパターンプロファイルが有利であり得、且つフィルム保持率及び耐化学性が向上され得る。
【0135】
第2のコポリマーは、上記の構造単位(b1)、(b2)、(b3)及び/又は(b4)が由来し得るモノマー、ラジカル重合開始剤及び溶媒を反応器に充填し、続いて窒素を充填し、この混合物を緩やかに撹拌して重合させることにより調製され得る。
【0136】
ラジカル重合開始剤は、アゾ化合物、例えば2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)及び2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル);又はベンゾイルペルオキシド、ラウリルペルオキシド、t-ブチルペルオキシピバレート、1,1-ビス(t-ブチルペルオキシ)シクロヘキサン又は同様のものであり得るが、これらに限定されない。ラジカル重合開始剤は、単独で又は2種以上の組み合わせで使用され得る。
【0137】
溶媒は、コポリマーの調製で通常使用されるあらゆる従来の溶媒であり得、例えばプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)であり得る。
【0138】
(B)光重合性化合物
第2の着色感光性樹脂組成物は、上記で説明されている光重合性化合物を含み得る。
【0139】
光重合性化合物の含有量は、溶媒を除く固形分を基準として、第2のコポリマー(A2)の100重量部に対して10~200重量部、10~150重量部、50~150重量部、70~150重量部、70~130重量部、80~150重量部、80~120重量部、90~110重量部又は95~100重量部であり得る。
【0140】
光重合性化合物の量が上記の範囲内である場合、パターン現像性及びコーティング特性が優れたものであり得る一方、フィルム保持率が一定に維持される。光重合性化合物の量が上記の範囲未満である場合、現像時間がより長くなり、これは、プロセス及び残留物に影響を及ぼす場合がある。光重合性化合物の量が上記の範囲を超える場合、パターン解像度が過剰に高くなるという問題が引き起こされる場合がある。
【0141】
(C)光重合開始剤
第2の着色感光性樹脂組成物は、上記で説明されている光重合開始剤を含み得る。
【0142】
光重合開始剤の含有量は、溶媒を除く固形分を基準として、第2のコポリマー(A2)の100重量部に対して1~20重量部、1~15重量部、1~10重量部又は1~5重量部であり得る。
【0143】
具体的には、第2のコポリマー(A2)の100重量部に対して、光重合開始剤として、0.05~4重量部、0.5~4重量部、1~4重量部、1~3重量部、1~2.5重量部又は1~2重量部の量のオキシム系化合物が用いられ得る。
【0144】
加えて、第2のコポリマー(A2)の100重量部に対して、光重合開始剤として、0.05~4重量部、0.5~4重量部、1~4重量部、1~3重量部又は1~2.5重量部の量のトリアジン系化合物が用いられ得る。
【0145】
オキシム系化合物が上記の範囲内の量で用いられる場合、高感度と共に現像特性及びコーティング特性が向上され得る。加えて、トリアジン系化合物が上記の範囲内の量で用いられる場合、高感度と共にパターンの形成時の耐化学性及びテーパー角が優れている硬化フィルムを得ることができる。
【0146】
(D2)白色以外の着色剤
第2の着色感光性樹脂組成物は、遮光性を付与するために、発色現像が高く且つ耐熱性が優れている着色剤を含み得る。この着色剤は、白色以外の着色剤(D2)であり得る。
【0147】
白色以外の着色剤は、黄色着色剤、紫色着色剤、赤色着色剤、オレンジ色着色剤、青色着色剤及び黒色着色剤からなる群から選択される少なくとも1つであり得る。
【0148】
白色以外の着色剤は、上記で説明した着色された着色剤であり、第2の着色感光性樹脂組成物から硬化フィルムが形成される場合、遮光性を向上させるように機能する。
【0149】
白色以外の着色剤は、Color Index(英国染料染色学会刊)で着色剤として分類されているあらゆる化合物を含み得、且つ当技術分野で既知のあらゆる染料を含み得る。
【0150】
黄色着色剤、紫色着色剤、赤色着色剤、オレンジ色着色剤及び青色着色剤の特定の例として、下記が挙げられる:C.I.Pigment Yellow 139、138、154、180及び181;C.I.Pigment Violet13、14、19、23、25、27、29、32、33、36、37及び38;C.I.Pigment Red 254及び177;C.I.Pigment Orange 64及び71;C.I.Pigment Blue 15(15:3、15:4、15:6等)、16、21、28、60、64及び76。高い遮光性及び高い反射率の観点から、C.I.Pigment Yellow 139、C.I.Pigment Violet 29、C.I.Pigment Red 254、C.I.Pigment Orange 64並びにC.I.Pigment Blue 15:6及び60が好ましい。
【0151】
黒色着色剤は、黒色有機着色剤、黒色無機着色剤又はこれらの混合物であり得る。
【0152】
黒色有機着色剤は、アニリンブラック、ラクタムブラック及びペリレンブラックからなる群から選択される少なくとも1つであり得る。具体的には、黒色有機着色剤は、有機ブラックを含有するBK-7539(株式会社トクシキ)であり得る。そのような場合、高い反射率、高い遮光性、光学密度及び同様のものが改善され得る。
【0153】
黒色無機着色剤は、カーボンブラック、チタンブラック、金属酸化物(例えば、Cu-Fe-Mn系酸化物)及び合成鉄黒又は同様ものであり得る。具体的には、黒色無機着色剤は、カーボンブラックを含有するBK-7544(株式会社トクシキ)であり得る。
【0154】
黄色着色剤の含有量は、第2のコポリマー(A2)の100重量部に対して3~50重量部、3~30重量部、3~20重量部、3~10重量部又は5~10重量部であり得る。
【0155】
紫色着色剤の含有量は、第2のコポリマー(A2)の100重量部に対して3~50重量部、3~30重量部、3~20重量部、3~10重量部又は5~10重量部であり得る。
【0156】
赤色着色剤の含有量は、第2のコポリマー(A2)の100重量部に対して3~50重量部、3~30重量部、3~20重量部、3~10重量部又は5~10重量部であり得る。
【0157】
オレンジ色着色剤の含有量は、第2のコポリマー(A2)の100重量部に対して3~50重量部、3~30重量部、3~20重量部、3~10重量部又は5~10重量部であり得る。
【0158】
青色着色剤の含有量は、第2のコポリマー(A2)の100重量部に対して3~50重量部、3~30重量部、3~20重量部、3~10重量部又は5~10重量部であり得る。
【0159】
黒色有機着色剤、黒色無機着色剤又はこれらの混合物の含有量は、第2のコポリマー(A2)の100重量部に対して3~50重量部、3~30重量部、3~20重量部、3~10重量部又は5~10重量部であり得る。
【0160】
白色以外の着色剤の2種以上が使用される場合、これらの着色剤の総含有量は、溶媒を除く固形分を基準として、第2のコポリマー(A2)の100重量部に基づいて3~30重量部、3~20重量部、3~15重量部又は3~10重量部であり得る。
【0161】
上記の範囲内では、透過率が低く、そのため、所望の高い遮光特性が満たされ得、同時に高い反射率特性を得ることができる。
【0162】
白色以外の着色剤の粒径は、40nm~200nm、45nm~200nm、50nm~200nm、50nm~180nm、50nm~150nm、55nm~130nm、55nm~127nm又は55nm~120nmであり得る。白色以外の着色剤の粒径が上記の範囲内である場合、発色現像及び耐熱性がさらに向上され得、高い反射率特性を達成するのにより有利であり得る。
【0163】
(E)界面活性剤
第2の着色感光性樹脂組成物は、被覆性を向上させ、且つ欠損の発生を防止するために、上記で説明されている界面活性剤をさらに含み得る。
【0164】
界面活性剤の含有量は、溶媒を除く固形分を基準として、第2のコポリマー(A2)の100重量部に対して0.01~5重量部、0.01~3重量部、0.1~3重量部、0.1~1重量部又は0.1~0.5重量部であり得る。上記の範囲内では、本感光性樹脂組成物を滑らかにコートし得る。
【0165】
(F)添加剤
加えて、第2の着色感光性樹脂組成物は、多層硬化フィルムの物理的特性が悪影響を受けない範囲内において、上記で説明されているエポキシ化合物、光塩基発生剤、チオール系化合物、エポキシ樹脂に由来する化合物及び接着補助剤からなる群から選択される少なくとも1種の添加剤をさらに含み得る。
【0166】
ここで、エポキシ化合物の含有量は、溶媒を除く固形分を基準として、第2のコポリマー(A2)の100重量部に対して1~30重量部、1~10重量部又は1~5重量部であり得る。
【0167】
加えて、光塩基発止剤の含有量は、溶媒を除く固形分を基準として、第2のコポリマー(A2)の100重量部に対して0~10重量部であり得、具体的には0~6重量部であり得、より具体的には0.01~5重量部であり得る。上記の範囲内では、現像時のパターンプロファイルが有利であり得、且つ耐化学性が優れたものであり得る。
【0168】
加えて、チオール系化合物の含有量は、溶媒を除く固形分を基準として、第2のコポリマー(A2)の100重量部に対して1~30重量部、1~20重量部、1~15重量部又は1~10重量部であり得る。チオール系化合物の量が上記の範囲内である場合、現像時のパターンプロファイルが有利であり得、且つ耐化学性が優れたものであり得る。
【0169】
加えて、エポキシ樹脂に由来する化合物の含有量は、溶媒を除く固形分を基準として、第2のコポリマー(A2)の100重量部に対して0~50重量部であり得、具体的には0~40重量部であり得、より具体的には0.01~50重量部、0.01~40重量部又は0.01~30重量部であり得る。エポキシ樹脂に由来する化合物が上記の量範囲内で用いられる場合、現像時の現像性及びパターンプロファイルが有利であり得る。
【0170】
(G)溶媒
第2の着色感光性樹脂組成物を、上記の成分と溶媒とが混合されている液状組成物として調製され得る。上記で説明されている第2の着色感光性樹脂組成物中の成分と相溶性であるが、反応しない溶媒は、第1の着色感光性樹脂組成物で説明されている溶媒と同じであり得る。
【0171】
溶媒の含有量は、具体的に限定されないが、第2の着色感光性樹脂組成物の被覆性及び安定性の観点から、溶媒を除く固形分を基準として、第2のコポリマー(A2)の100重量部に対して50~200重量部又は80~150重量部であり得る。上記の範囲内では、この樹脂組成物は、滑らかにコートされ、且つ作業プロセスで起こり得る遅延マージンが小さい。
【0172】
加えて、第2の着色感光性樹脂組成物は、硬化フィルムの物理的特性が悪影響を受けない範囲内において、他の添加剤(例えば、酸化防止剤及び安定剤)をさらに含み得る。
【0173】
上記で説明されている成分を含む第2の着色感光性樹脂組成物は、慣用法により混合して、液状組成物として調製され得る。例えば、着色剤を事前に分散樹脂、分散剤及び溶媒と混合し、着色剤の平均粒径が所望の値に達するまでビーズミルを使用して分散させ、それにより着色分散液を調製する。そのような場合、界面活性剤及び/又はコポリマーを部分的又は完全にブレンドし得る。この着色剤分散液にコポリマー及び界面活性剤の残余、光重合性化合物並びに光重合開始剤が添加され得る。必要に応じて、エポキシ化合物等の添加剤又は追加の溶媒を特定の濃度までさらにブレンドし、続いてこれを十分に撹拌して、第2の着色感光性樹脂組成物を液相で調製する。
【0174】
本発明は、そのような第2の着色感光性樹脂組成物を第1の硬化フィルム上にコートして硬化させることにより、第2の硬化フィルムを提供し得る。具体的には、第2の感光性樹脂組成物を所望の厚さ(例えば、4μm~8μm)において第1の硬化フィルム上にコートし、第2の感光性樹脂組成物を、それから溶媒を除去することにより硬化させて、第2の硬化フィルムが形成される。
【0175】
最終的に形成される第2の硬化フィルムの厚さは、10μm以下、8μm以下、6μm以下、4μm~9μm又は5μm~9μmであり得る。
【0176】
[硬化フィルム]
本発明は、第1の着色感光性樹脂組成物及び第2の着色感光性樹脂組成物から形成された多層硬化フィルムを提供し得る。
【0177】
具体的には、本発明の多層硬化フィルムは、第1の着色感光性樹脂組成物から形成された第1の硬化フィルムと、第2の着色感光性樹脂組成物から形成された第2の硬化フィルムとを含み、第1の着色感光性樹脂組成物は、(A1)第1のコポリマー;(B)光重合性化合物;(C)光重合開始剤;及び(D1)白色着色剤を含み、第2の着色感光性樹脂組成物は、(A2)第2のコポリマー;(B)光重合性化合物;(C)光重合開始剤;及び(D2)白色以外の着色剤を含み、及びこの多層硬化フィルムは、6μm以上の総厚さを有する。
【0178】
本多層硬化フィルムは、量子ドットバリアリブの構造体として使用され得る。
【0179】
ある実施形態に係る多層硬化フィルムでは、図2図4に示すように、一定間隔でパターンが形成され得る。この多層硬化フィルムは、1つの第1の硬化フィルムと、多層の第2硬化フィルムとで構成され得る。そのような場合、第2の硬化フィルムは、2~10層を有し得、これらの層は、第1の硬化フィルム上に順次積層され得る。
【0180】
第1の硬化フィルム及び第2の硬化フィルムは、それぞれ10μm以下、8μm以下、6μm以下、4μm~9μm又は5μm~9μmの厚さを有し得る。加えて、第1の硬化フィルム及び第2の硬化フィルムを含む多層硬化フィルムは、6μm以下、6μm~20μm、6μm~18μm又は10μm~18μmの総厚さを有し得る。
【0181】
ある実施形態によれば、図2に示すように、多層硬化フィルム(200)は、基材(210)上に形成された第1の硬化フィルム(211)及び第2の硬化フィルム(212)を含む2層で構成され得る。具体的には、多層硬化フィルム(200)は、2層の多層硬化フィルム(200)であり得、この多層硬化フィルム(200)は、2層硬化フィルムを露光及び現像してパターンを形成し、且つ次いでそれをポストベークすることにより調製され、この2層硬化フィルムは、基材(210)上に第1の着色感光性樹脂組成物をコートして硬化させることにより形成された第1の硬化フィルム(211)と、第1の硬化フィルム(211)上に第2の着色感光性樹脂組成物をコートして硬化させることにより形成された第2の硬化フィルム(212)とを含む。
【0182】
別の実施形態によれば、図3に示すように、多層硬化フィルム(300)は、1層の第1の硬化フィルム(311)と、2層の第2の硬化フィルム(312、313)とを含む3層で構成され得る。具体的には、多層硬化フィルム(300)は、3層の多層硬化フィルム(300)であり得、この多層硬化フィルム(300)は、3層硬化フィルムを露光及び現像してパターンを形成し、且つ次いでそれをポストベークすることにより調製され、この3層硬化フィルムは、基材(310)上に第1の着色感光性樹脂組成物をコートして硬化させることにより形成された第1の硬化フィルム(311)と、第1の硬化フィルム(311)上に第2の着色感光性樹脂組成物をコートして硬化させることにより形成された第2の硬化フィルム(312)と、第2の硬化フィルム(312)上に第2の着色感光性樹脂組成物をコートして硬化させることにより形成された第3の硬化フィルム(313)とを含む。
【0183】
さらに別の実施形態によれば、図4に示すように、多層硬化フィルム(400)は、1層の第1の硬化フィルム(411)と、n層の第2の硬化フィルム(412、413...n)とを含むn+1層の多層硬化フィルム(400)であり得る。具体的には、多層硬化フィルム(400)は、n+1層の多層硬化フィルム(400)であり得、この多層硬化フィルム(400)は、n+1層の硬化フィルムを露光及び現状してパターンを形成し、且つ次いでそれをポストベークすることにより調製され、このn+1層の硬化フィルムは、基材(410)上に第1の着色感光性樹脂組成物をコートして硬化させることにより形成された第1の硬化フィルム(411)と、第1の硬化フィルム(411)上に第2の着色感光性樹脂組成物をコートして硬化させる工程を繰り返すことにより形成されたn層の第2の硬化フィルム(412、413...n)とを含む。ここで、nは、2以上であり得、具体的には2~10、2~8、2~6又は2~5であり得る。
【0184】
本多層硬化フィルムでは、それぞれの硬化フィルムの厚さは、同じであるか又は異なり得る。
【0185】
本多層硬化フィルムは、α-ステップ機器(Alpha-ステッププロフィロメーター)であるSCAN PLUSを使用して、装置プローブチップの垂直運動による高低差に関して測定される。この硬化フィルムの厚さは、この結果から得られる。最終フィルム厚さは、露光及び現像によりパターンを形成し、且つ次いでそれをポストベークすることにより調製された多層硬化フィルムの最終フィルムに関して測定された値を指す。この値は、多層硬化フィルム全体をカバーする。最終フィルム厚さは、6μm以上、6μm~20μm、6μm~18μm又は10μm~18μmであり得る。
【0186】
加えて、本多層硬化フィルムでは、360nm~740nm又は550nmの波長でSCI(正反射光を含む)方法によって測定された反射率RSCI及びSCE(正反射光を含まない)方法によって測定された反射率RSCEは、それぞれ以下の関係:
(関係1)50%≦RSCI
(関係2)40%≦RSCE
(関係3)50%≦RSCE/RSCI
を満たし得る。
【0187】
具体的には、RSCIは、50%以上、51%以上、52%以上、50~90%、50~80%又は53~70%であり得;RSCEは、40%以上、42%以上、44%以上、45%以上、40~90%、40~80%、43~80%、44~70%又は44~60%であり得;これらの間の比率(RSCE/RSCI)は、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、80~99%、80~95%、90~99%又は90~95%であり得る。そのため、高い反射率及び高い遮光性という特性が満たされ得、且つ黄色、赤色、紫色又は同様の色の着色光の漏れが防止され得る。そのようにして調製された多層硬化フィルムは、優れた特性を有することから、量子ドットディスプレイデバイスのために有利に使用され得る。
【0188】
[多層硬化フィルムの調製]
本発明は、下記の方法により多層硬化フィルムを調製し得る。単一の現像プロセスにおいて、量子ドットバリアリブに好適な均一なフィルム厚さを有する多層パターンを形成することが可能である。
【0189】
具体的には、多層硬化フィルムを調製するプロセスは、(1)基材上に第1の着色感光性樹脂組成物をコートし、且つそれを硬化させて第1の硬化フィルムを形成すること;(2)第1の硬化フィルム上に第2の着色感光性樹脂組成物をコートし、且つそれを硬化させて第2の硬化フィルムを形成すること;及び(3)第2の硬化フィルムを露光及び現像してパターンを形成し、且つ次いでそれをポストベークすることを含む。そのような場合、第1の着色感光性樹脂組成物は、(A1)第1のコポリマー;(B)光重合性化合物;(C)光重合開始剤;及び(D1)白色着色剤を含み、及び第2の着色感光性樹脂組成物は、(A2)第2のコポリマー;(B)光重合性化合物;(C)光重合開始剤;及び(D2)白色以外の着色剤を含む。
【0190】
第1の着色感光性樹脂組成物と第2の着色感光性樹脂組成物とは、上記で説明された通りである。
【0191】
より具体的には、ある実施形態に係る多層硬化フィルムを調製するプロセスは、基材上に第1の着色感光性樹脂組成物をコートし、且つそれを硬化させて第1の硬化フィルムを形成すること(工程1)を含み得る。
【0192】
第1の硬化フィルムを形成する工程では、本発明に係る感光性樹脂組成物を、所望の厚さ(例えば、4μm~8μm)において、スピンコーティング法、スリットコーティング法、ロールコーティング法、スクリーン印刷法、アプリケーター法又は同様のものにより、予め処理した基材上にコートし、この感光性樹脂組成物を、それから溶媒を除去することにより硬化させて、第1の硬化フィルムが形成される。
【0193】
基材として、様々な無機基材(例えば、ガラス基材、ITO蒸着基材、SiN蒸着基材及びSiON蒸着基材)を使用し得る。量子ドットバリアリブの構造体を形成するために使用され得る限り、あらゆる材料を基材に使用し得る。
【0194】
第1の硬化フィルムを形成するために硬化させることは、50~900秒にわたって70℃~140℃で実行され得る。硬化させることは、1回又は2回以上で実行され得る。
【0195】
硬化させることを1回で実行する場合、硬化させることを50秒~800秒、100秒~800秒、150秒~600秒又は150秒~500秒にわたって70℃~140℃、80℃~130℃又は90℃~130℃で実行し得る。
【0196】
硬化させることを2回以上で実行する場合、例えば、硬化させることを50秒~400秒、50秒~300秒又は100秒~300秒にわたって70℃~100℃又は70℃~90℃でプレベークとして実行し得、次いで100秒~500秒又は100秒~300秒にわたって80℃~140℃又は90℃~130℃でミッドベークとして実行し得る。
【0197】
ある実施形態に係る多層硬化フィルムを調製するプロセスは、第1の硬化フィルム上に第2の着色感光性樹脂組成物をコートし、且つそれを硬化させて第2の硬化フィルムを形成すること(工程2)を含み得る。
【0198】
第2の硬化フィルムを形成する工程では、第2の着色感光性樹脂組成物を、所望の厚さ(例えば、4μm~8μm)において、上記の工程1で得られた第1の硬化フィルム上にコートし、第2の着色感光性樹脂組成物を、それから溶媒を除去することにより硬化させて、第2の硬化フィルムが形成される。
【0199】
第2の硬化フィルムを形成するために硬化させることは、50~900秒にわたって70℃~140℃で実行され得る。硬化させることは、1回又は2回以上で実行され得る。
【0200】
硬化させることを1回で実行する場合、硬化させることを50秒~800秒、100秒~800秒、150秒~600秒又は150秒~500秒にわたって70℃~140℃、80℃~130℃又は90℃~130℃で実行し得る。
【0201】
硬化させることを2回以上で実行する場合、例えば、硬化させることを50秒~400秒、50秒~300秒又は100秒~300秒にわたって70℃~100℃又は70℃~90℃でプレベークとして実行し得、次いで100秒~500秒又は100秒~300秒にわたって80℃~140℃又は90℃~130℃でミッドベークとして実行し得る。
【0202】
第1の硬化フィルムの硬化条件と、第2の硬化フィルムの硬化条件とは、同じであるか又は異なり得る。
【0203】
工程2の直後且つ工程3前に、第2の硬化フィルム上にn層の第2の硬化フィルムをさらに形成し得、次いで露光及び現像する。そのような場合、第2の硬化フィルム上に形成される1つ又は複数の硬化フィルムの調製に使用される感光性樹脂組成物は、第2の硬化フィルムの調製で使用される感光性樹脂組成物と同じであるか又は異なり得る。しかしながら、最後の硬化フィルム(n番目の硬化フィルム)は、第2の着色感光性樹脂組成物で形成されるべきである。そのような場合に使用される第2の着色感光性樹脂組成物において、フッ素を含有するエチレン性不飽和化合物に由来する構造単位(b3)を含むコポリマーが用いられることは、遮光性の観点からより有利である。
【0204】
ある実施形態に係る多層硬化フィルムを調製するプロセスは、この多層硬化フィルムを露光及び現像してパターンを形成し、且つ次いでそれをポストベークすること(工程3)を含む。
【0205】
工程3では、第1の硬化フィルム及び第2の硬化フィルムの上にパターンを形成するために、その上に、所定の形状を有するマスクを配置し、次いで200nm~500nmの活性光線を照射する。照射に使用される光源として、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、アルゴンガスレーザー又は同様のものを使用し得る。必要に応じて、X線、電子線又は同様のものも使用し得る。露光のための光の照射量は、組成物の成分の種類及び組成比並びに乾燥コーティングの厚さに依存して変化し得る。高圧水銀ランプが使用される場合、照射量は、(365nmの波長で)500mJ/cm以下であり得る。
【0206】
露光工程後、現像液として水性アルカリ性溶液(炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム又は同様のもの)を使用して不要部分を溶解除去し、それにより露光部分のみが残ってパターンが形成される。現像により得られた画像パターンは、室温まで冷却され、熱風循環型乾燥炉中でポストベークされ、それにより最終パターンを得る。
【0207】
露光は、各パターンの間隔が10μm~30μmであるようにマスクを配置し、このマスクに活性光線を照射することにより実施され得る。
【0208】
現像を50秒~300秒にわたって実行し得、具体的には100秒~300秒にわたって実行し得る。
【0209】
パターンの形成時の硬化(即ちポストベーク)を10分~60分、20分~50分又は20分~40分にわたって150℃~300℃、180℃~280℃又は200℃~260℃で実行し得る。
【0210】
ある実施形態に係る多層硬化フィルムを調製するプロセスによれば、各層上にパターン(即ち多層パターン)を形成することが可能であり、さらに、このパターンは、単一の現像プロセスで量子ドットバリアリブに好適な均一なフィルム厚さを有する。
【0211】
本発明を実施するための実施形態
以下では、下記の実施例を参照して本発明をより詳細に説明する。しかしながら、これらの実施例は、本発明を例示するために提供され、本発明の範囲は、これらの実施例のみに限定されない。
【0212】
下記の合成例では、重量平均分子量を、ポリスチレン標準を基準としてゲル浸透クロマトグラフィー(GPC、溶離液:テトラヒドロフラン)により決定する。
【実施例0213】
調製実施例1:第1のコポリマー(A1-1)の調製
還流凝縮器及びスターラーを取り付けた500mlの丸底フラスコに、23モル%のメタクリル酸、43モル%のスチレン、9モル%のグリシジルメタクリレート及び25モル%のメチルメタクリレートで構成された単量体混合物100gを、ラジカル重合開始剤としての2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)2gと一緒に充填し、これらの混合物をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)300gに溶解させた。その後、この液状混合物を70℃まで加熱して5時間にわたり撹拌して重合させて、固形分が31重量%であるコポリマーA1-1を得た。そのようにして調製されたコポリマーA1-1は、重量平均分子量が12,000Daであり、酸価が100mg KOH/gであり、且つ多分散性(Mw/Mn)が2.80であった。
【0214】
調製実施例2:第1のコポリマー(A-2)の調製
単量体の種類及び含有量を、下記の表1に示すように変更した以外、調製実施例1と同じ手順を実行して、固形分が31重量%であるコポリマーA1-2を調製した。そのようにして調製されたコポリマーA1-2は、重量平均分子量が14,000Daであり、酸価が100mg KOH/gであり、且つ多分散性(Mw/Mn)が2.48であった。
【0215】
調製実施例3:第2のコポリマー(A2-1)の調製
単量体の種類及び含有量を、下記の表2に示すように変更した以外、調製実施例1と同じ手順を実行して、固形分が31重量%であるコポリマーA2-1を調製した。そのようにして調製されたコポリマーA2-1は、重量平均分子量が14,100Daであり、酸価が100mg KOH/gであり、且つ多分散性(Mw/Mn)が3.23であった。
【0216】
調製実施例4:第2のコポリマー(A2-2)の調製
還流凝縮器及びスターラーを取り付けた250mlの丸底フラスコに、30モル%のメタクリル酸、10モル%のグリシジルメタクリレート、50モル%のノナフルオロフェニルメタクリレート及び10モル%のトリフルオロヘキシルメタクリレートで構成された単量体混合物30gを、ラジカル重合開始剤としてのV-59 2.74gと一緒に充填し、これらの混合物をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)30gに溶解させた。その後、この液状混合物を窒素雰囲気下において、80℃まで加熱された溶媒が入ったフラスコに4時間かけて滴下し、次いで20時間にわたり重合させて、固形分が30~33重量%であるコポリマーA2-2を得た。そのようにして調製されたコポリマーA2-2は、重量平均分子量が15,000Daであり、酸価が90~100mg KOH/gであり、且つ多分散性(Mw/Mn)が2.04であった。
【0217】
調製実施例5:第2のコポリマー(A2-3)の調製
還流凝縮器及びスターラーを取り付けた500mlの丸底フラスコに、23モル%のメチルメタクリレート、50モル%のシクロヘキシルメタクリレート及び27モル%のメタクリル酸で構成された単量体混合物100gを、溶媒としてのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)300g及びラジカル重合開始剤としての2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)2gと一緒に充填した。次いで、この混合物を70℃まで加熱して5時間にわたり撹拌して、固形分が31重量%であるコポリマーA2-3を得た。そのようにして調製されたコポリマーA2-3は、酸価が107mg KOH/gであり、且つゲル浸透クロマトグラフィーにより測定されたポリスチレン基準の重量平均分子量(Mw)が34,432Daであった。
【0218】
調製実施例6:第2のコポリマー(A2-4)の調製
還流凝縮器及びスターラーを取り付けた500mlの丸底フラスコに、26モル%のメチルメタクリレート、40モル%のスチレン及び34モル%のメタクリル酸で構成された単量体混合物100gを、溶媒としてのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)300g及びラジカル重合開始剤としての2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)2gと一緒に充填した。次いで、この混合物を70℃まで加熱して5時間にわたり撹拌して、固形分が31重量%であるコポリマーA2-4を得た。そのようにして調製されたコポリマーA2-4は、酸価が161mg KOH/gであり、且つゲル浸透クロマトグラフィーにより測定されたポリスチレン基準の重量平均分子量(Mw)が16,313Daであった。
【0219】
【表1】
【0220】
【表2】
【0221】
実施例:感光性樹脂組成物の調製
下記の実施例で使用される成分は、下記の通りである。
【0222】
【表3】
【0223】
実施例1:第1の着色感光性樹脂組成物の調製
調製実施例1の第1のコポリマー(A1-1)80重量部、調製実施例2の第1のコポリマー(A1-2)20重量部、光重合性化合物(B)としてのDPHA 92重量部、光重合開始剤(C)としてのSPI05(C-1)8.5重量部、SPI02(C-2)1.4重量部及びTriazine-Y(C-3)1.4重量部、白色着色剤(D1)としてのTIS-010 65重量部、界面活性剤(E)としてのF-563 0.2重量部並びに添加剤としてのエポキシ化合物(F-1)3重量部及びXS1075(F-2)0.3重量部を均一にブレンドした。ここで、それぞれの含有量は、溶媒を除く固形分を基準としたものである。この混合物を、この混合物の固形分が27重量%となるように、溶媒としてのPGMEAに溶解させた。得られたものを、2時間にわたり撹拌機を使用して混合して、第1の着色感光性樹脂組成物を液相で調製した。
【0224】
実施例2:第2の着色感光性樹脂組成物の調製
調製実施例3の第2のコポリマー(A2-1)100重量部、光重合性化合物(B)としてのDPHA 100重量部、光重合開始剤(C)としてのSPI02(C-2)1.1重量部及びTrizine-Y(C-3)2.2重量部、白色以外の着色剤(D2)としてのPY139-3(D-1)6重量部並びに界面活性剤(E)としてのF-563 0.2重量部を均一にブレンドした。ここで、それぞれの含有量は、溶媒を除く固形分を基準としたものである。この混合物を、この混合物の固形分が19重量%となるように、溶媒としてのPGMEAに溶解させた。得られたものを、2時間にわたり撹拌機を使用して混合して、第2の着色感光性樹脂組成物を液相で調製した。
【0225】
実施例3:多層硬化フィルムの調製
実施例1及び2で調製された第1の着色感光性樹脂組成物及び/又は第2の着色感光性樹脂組成物を使用して、下記の方法で硬化フィルムを調製した。
【0226】
第1の着色感光性樹脂組成物を、1μmシリンジフィルタを使用して予め処理し、スピンコーターを使用してガラス基材上にコートし、150秒にわたり90℃でプレベークして、6.0μm以上の厚さを有するコーティングフィルムを形成した。このコーティングフィルムを300秒にわたり130℃でミッドベークにさらに供して溶媒を除去して、第1の硬化フィルム(即ち下方フィルム)を形成した。
【0227】
次いで、1μmシリンジフィルタを使用して予め処理した第2の着色感光性樹脂組成物を第1の硬化フィルム上にコートし、150秒にわたり90℃でプレベークして、6.0μm以上の厚さを有する第2の硬化フィルム(即ち上方フィルム)を形成し、それにより2層の多層硬化フィルムが得られた。
【0228】
5cm×5cmのエリアが100%露光され、且つ基材とのギャップが接触で最小限になるように、この多層硬化フィルム上にマスクを配置した。その後、波長が200nm~450nmである光を放射するアライナー装置(モデル名:MA6)を使用して、特定の期間にわたり、365nmの波長を基準にして150mJ/cmの露光量で露光した。次いで、露光されていない部分が完全に洗い流されるまで、23℃において0.04重量%の水酸化カリウムの水性現像液で現像した。そのようにして形成されたパターンを30分にわたり230℃でオーブン中においてポストベークして、6.0~18(±0.5)μmの総厚さを有する多層硬化フィルムを得た。
【0229】
実施例4~14
表4及び5に示される成分及び含有量を有する第1の着色感光性樹脂組成物及び第2の着色感光性樹脂組成物を使用した以外、実施例3と同じ方法で実施例4~14の多層硬化フィルムを調製した。
【0230】
【表4】
【0231】
【表5】
【0232】
比較例1~9
表6及び7に示される成分及び含有量を有する第1の着色感光性樹脂組成物及び第2の着色感光性樹脂組成物を使用した以外、実施例3と同じ方法で比較例1~9の多層硬化フィルムを調製した。
【0233】
【表6】
【0234】
【表7】
【0235】
評価例1:現像時間
硬化フィルムを調製するプロセスにおいて、0.04重量%の水酸化カリウムの水溶液で、露光されていない部分が完全に洗い流される時間(基材下の現像装置のステージOリング部が完全に見えるまでの時間)を測定した。
○:現像時間が200秒以下であった場合
×:現像時間が200秒を超えた場合
【0236】
評価例2:解像度
実施例で得られた硬化フィルムでの線形パターンのパターン解像度及び限界寸法(CD;単位:μm)を測定するために、ラインCDをマイクロ光学顕微鏡(STM6-LM、製造業者:OLYMPUS)及びX線走査型電子顕微鏡(SEM;S4300)で観察した。結果を下記の表8及び9並びに図5に示す。
○:ラインCDが0μm超~40μmであった場合
×:ラインCDが40μm超又は0μmであった場合
【0237】
評価例3:フィルム厚さ
実施例で得られた硬化フィルムを、それぞれα-ステップ機器(Alpha-ステッププロフィロメーター)であるSCAN PLUSを使用して、装置プローブチップの垂直運動による高低差に関して測定した。この結果から硬化フィルムの厚さを得た。
【0238】
初期フィルム厚さに関して、上部フィルムのプレベーク直後に形成されたフィルムの厚さを測定した。最終フィルム厚さに関して、ポストベーク後のフィルム厚さを測定した。
○:初期厚さ及び最終厚さがそれぞれ6μm以上であった場合
×:初期厚さ及び最終厚さがそれぞれ6μm未満であった場合
【0239】
評価例4:反射率
実施例で得られた硬化フィルムを、それぞれ分光光度計デバイス(CM-3700A)を使用して、SCI(正反射光を含む)方法による反射率RSCI及びSCE(正反射光を含まない)方法による反射率RSCEに関して測定した。これらの間の比率(RSCE/RSCI)を算出した。
【0240】
全反射率(RSCI)が50%以上であった場合には○と評価し;50%未満であった場合には×と評価した。
【0241】
散乱反射率(RSCE)が40%以上であった場合には○と評価し;40%未満であった場合には×と評価した。
【0242】
比率RSCE/RSCIが50%以上であった場合には○と評価し;50%未満であった場合には×と評価した。
【0243】
評価例5:接触角
実施例で得られた硬化フィルムを、それぞれ脱イオン水(DI水)及び接触角測定装置(DM300,Kyowa)を使用して接触角に関して測定した。
【0244】
【表8】
【0245】
【表9】
【0246】
表8及び9での結果を参照すると、実施例3~14の多層硬化フィルムは、それぞれ優れた解像度及びパターン特性を維持する一方、高い遮光性及び高い反射率を有した。
【0247】
具体的には、実施例3~14の多層硬化フィルムは、それぞれ6μm~20μmの総厚さを有し、それにより量子ドットバリアリブに使用されるのに十分な厚さが形成された。厚さが上記の範囲内である多層硬化フィルムが量子ドットバリアリブとして使用される場合、量子ドット溶液が滴下された際、このバリアリブをオーバーフローしないであろう。そのため、有色の組成物は、混合されず、解像度の悪化を防止することが可能である。
【0248】
加えて、実施例3~14の多層硬化フィルムは、優れたRSCE値及びRSCI値を示しただけでなく、これらの間の比率(RSCE/RSCI)も最大92.7%であり、それにより高い反射特性が満たされた。
【0249】
一方、白色着色剤中のTiOの含有量並びに白色着色剤及び白色以外の着色剤の粒子サイズに応じて反射率が変動することを確認した。
【0250】
具体的には、実施例3及び4の多層硬化フィルムは、それぞれ比較例1~9の多層硬化フィルムと比較して反射率が顕著に優れており、且つ実施例5~14の多層硬化フィルムと比較してさらに向上されていた。
【0251】
加えて、図5は、光学顕微鏡で観察された実施例3~14の多層硬化フィルムの断面及び側面の写真を示す。図5から確認されるように、実施例3~14の多層硬化フィルムは、全て線の幅及び色が明瞭且つ明確であり、フィルム厚さが均一であり且つ厚かった。
【0252】
対照的に、図6から分かるように、比較例1~9の多層硬化フィルムは、実施例3~14の硬化フィルムと比較して線の幅及び色が明瞭でなく、厚さの均一性が低いか、又はフィルム厚さが過剰に低く、バリアリブとして適していなかった。
【符号の説明】
【0253】
100 基材構造体
110 透明基材
120 バリアリブ
130 第1の量子ドット溶液
140 第2の量子ドット溶液
150 第3の量子ドット溶液
200、300、400 多層硬化フィルム
210、310、410 基材
211、311、411 第1の硬化フィルム
212、312、313、412、413、n 第2の硬化フィルム
図1
図2
図3
図4
図5
図6