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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022083470
(43)【公開日】2022-06-06
(54)【発明の名称】粒子の滞留を改善した撹拌装置
(51)【国際特許分類】
   B01F 27/90 20220101AFI20220530BHJP
   B01F 23/50 20220101ALI20220530BHJP
【FI】
B01F7/18 B
B01F3/12
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020194794
(22)【出願日】2020-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】516086107
【氏名又は名称】三広アステック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100098408
【弁理士】
【氏名又は名称】義経 和昌
(74)【代理人】
【識別番号】100195693
【弁理士】
【氏名又は名称】細井 玲
(72)【発明者】
【氏名】石畑 敦啓
【テーマコード(参考)】
4G035
4G078
【Fターム(参考)】
4G035AB46
4G035AE01
4G078AA01
4G078BA05
4G078CA01
4G078CA12
4G078DA01
4G078DB10
(57)【要約】
【課題】撹拌装置における粒子の滞留の回避。
【解決手段】一態様において、本発明は、粒子と液体とを含む撹拌対象物を入れるための円筒形の容器と、容器内の所定の高さに配置された撹拌翼であって、第1の平坦面を有する第1の部材及び第2の平坦面を有する第2の部材を含み、第1の平坦面及び第2の平坦面が、回転軸を挟んで第1の間隔を空けて互いに対向した状態で回転軸を中心として回転可能である、撹拌翼と、撹拌翼を回転させる回転駆動装置とを含む、撹拌装置を提供する。撹拌翼の回転軸は、容器の中心軸と同軸又は平行であり、容器は、逆円錐形の内部底面を有している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子と液体とを含む撹拌対象物を入れるための円筒形の容器と、
前記容器内の所定の高さに配置された撹拌翼であって、第1の平坦面を有する第1の部材及び第2の平坦面を有する第2の部材を含み、前記第1の平坦面及び前記第2の平坦面が、回転軸を挟んで第1の間隔を空けて互いに対向した状態で前記回転軸を中心として回転可能である、撹拌翼と、
前記撹拌翼を回転させる回転駆動装置と
を含み、
前記撹拌翼の前記回転軸は、前記容器の中心軸と同軸又は平行に配置され、
前記容器は、逆円錐形の内部底面を有する、撹拌装置。
【請求項2】
前記内部底面の頂点角度は、60度以上かつ120度以下である、請求項1に記載の撹拌装置。
【請求項3】
前記撹拌翼の前記回転軸は、前記容器の前記中心軸から所定の距離に、前記容器の前記中心軸と平行に配置される、請求項1又は請求項2に記載の撹拌装置。
【請求項4】
前記所定の距離は、前記容器の直径の三分の一以下である、請求項3に記載の撹拌装置。
【請求項5】
粒子と液体とを含む撹拌対象物を入れるための正多角柱形の容器と、
前記容器内の所定の高さに配置された撹拌翼であって、第1の平坦面を有する第1の部材及び第2の平坦面を有する第2の部材を含み、前記第1の平坦面及び前記第2の平坦面が、回転軸を挟んで第1の間隔を空けて互いに対向した状態で前記回転軸を中心として回転可能である、撹拌翼と、
前記撹拌翼を回転させる回転駆動装置と
を含み、
前記撹拌翼の前記回転軸は、前記容器の中心軸と同軸又は平行に配置され、
前記容器は、逆正多角錐形の内部底面を有する、撹拌装置。
【請求項6】
前記内部底面の各角錐面と前記容器の前記中心軸の成す角度は、30度以上かつ60度以下である、請求項5に記載の撹拌装置。
【請求項7】
前記撹拌翼の前記回転軸は、前記容器の前記中心軸から所定の距離に、前記容器の前記中心軸と平行に配置される、請求項5又は請求項6に記載の撹拌装置。
【請求項8】
前記所定の距離は、前記容器に内接する仮想的円筒の直径の三分の一以下である、請求項7に記載の撹拌装置。
【請求項9】
前記第1の平坦面及び前記第2の平坦面が、前記容器内に入れた前記液体に少なくとも部分的に浸漬され、前記回転軸を中心として回転されたときに、前記第1の平坦面と前記第2の平坦面の間に侵入した撹拌対象物が、遠心力によって前記回転軸から遠ざかる方向に吐出され、同時に、前記回転軸に沿った方向から撹拌対象物が前記第1の平坦面と前記第2の平坦面の間に吸い込まれる、請求項1~8の何れか一項に記載の撹拌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撹拌装置に関し、特に、互いに対向する2つの平行な平坦面を有する撹拌翼と、ホッパー容器のような逆円錐形若しくは逆正多角錘形の内部底面を有する容器とを有する撹拌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図12は、特許文献1に開示されているような従来技術による撹拌装置の一例を示している。特許文献1は、本出願人による特許出願の出願公開公報である。撹拌装置20は、円筒形の容器2と、容器2内に配置された撹拌翼4とを含む。撹拌翼4は、回転軸6を挟んで互いに対向する2枚のプレート部材8を含む。図13(A)に示されるように、容器2内に撹拌対象物である粒子12と液体14を入れ、回転軸6を中心として撹拌翼4を回転させると、図13(B)に示されるように、2枚のプレート部材8間に侵入した撹拌対象物は、遠心力によって回転軸6から遠ざかる方向に吐出され、同時に、撹拌翼4の下方から撹拌対象物が吸い込まれる。その結果、矢印で示されるような流れが、容器2内に生成される。これによって粒子12と液体14は、容器2内で撹拌される。
【0003】
しかしながら、撹拌装置20のような従来の撹拌装置では、図13(B)に示されるように、一部の粒子12が容器2の底(特に、撹拌翼4の直下の領域)に滞留し、粒子12と液体14を良好に撹拌できないことがあった。本発明の目的の一つは、このような容器2の底における粒子12の滞留を回避することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-111060号公報
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】(A)は、本発明の一実施形態による撹拌装置の断面図である。(B)は、同撹拌装置のA-A線断面図である。
図2】(A)は、図1の撹拌装置の撹拌翼の斜視図である。(B)は、同撹拌翼の分解斜視図である。(C)は、同撹拌翼の正面図である。
図3】(A)は、図1の撹拌装置の動作前の撹拌対象物の状態を示す図である。(B)は、図1の撹拌装置の動作中の撹拌対象物の流れを示す図である。
図4】(A)は、本発明の一実施形態による撹拌装置の断面図である。(B)は、同撹拌装置のB-B線断面図である。
図5】(A)は、図4の撹拌装置の動作前の撹拌対象物の状態を示す図である。(B)は、図4の撹拌装置の動作中の撹拌対象物の流れを示す図である。
図6】(A)は、本発明の一実施形態による撹拌装置の断面図である。(B)は、同撹拌装置のC-C線断面図である。
図7】(A)は、図6の撹拌装置の動作前の撹拌対象物の状態を示す図である。(B)は、図6の撹拌装置の動作中の撹拌対象物の流れを示す図である。
図8】(A)は、本発明の一実施形態による撹拌装置の断面図である。(B)は、同撹拌装置のD-D線断面図である。
図9】(A)は、図8の撹拌装置の動作前の撹拌対象物の状態を示す図である。(B)は、図8の撹拌装置の動作中の撹拌対象物の流れを示す図である。
図10】(A)は、本発明の一実施形態による撹拌装置の断面図である。(B)は、同撹拌装置のE-E線断面図である。
図11】(A)は、図10の撹拌装置の動作前の撹拌対象物の状態を示す図である。(B)は、図10の撹拌装置の動作中の撹拌対象物の流れを示す図である。
図12】(A)は、従来技術による撹拌装置の断面図である。(B)は、同撹拌装置のF-F線断面図である。
図13】(A)は、図12の撹拌装置の動作前の撹拌対象物の状態を示す図である。(B)は、図12の撹拌装置の動作中の撹拌対象物の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
一態様において、本発明は、粒子と液体とを含む撹拌対象物を入れるための円筒形の容器と、前記容器内の所定の高さに配置された撹拌翼であって、第1の平坦面を有する第1の部材及び第2の平坦面を有する第2の部材を含み、前記第1の平坦面及び前記第2の平坦面が、回転軸を挟んで第1の間隔を空けて互いに対向した状態で前記回転軸を中心として回転可能である、撹拌翼と、前記撹拌翼を回転させる回転駆動装置とを含む、撹拌装置を提供する。前記撹拌翼の前記回転軸は、前記容器の中心軸と同軸又は平行に配置され、前記容器は、逆円錐形の内部底面を有している。
【0007】
前記内部底面の頂点角度は、60度以上かつ120度以下である場合がある。前記撹拌翼の前記回転軸は、前記容器の前記中心軸から所定の距離に、前記容器の前記中心軸と平行に配置される場合がある。前記所定の距離は、前記容器の直径の三分の一以下である場合がある。
【0008】
他の態様において、本発明は、粒子と液体とを含む撹拌対象物を入れるための正多角柱形の容器と、前記容器内の所定の高さに配置された撹拌翼であって、第1の平坦面を有する第1の部材及び第2の平坦面を有する第2の部材を含み、前記第1の平坦面及び前記第2の平坦面が、回転軸を挟んで第1の間隔を空けて互いに対向した状態で前記回転軸を中心として回転可能である、撹拌翼と、前記撹拌翼を回転させる回転駆動装置とを含む、撹拌装置を提供する。前記撹拌翼の前記回転軸は、前記容器の中心軸と同軸又は平行に配置され、前記容器は、逆正多角錐形の内部底面を有している。
【0009】
前記内部底面の各角錐面と前記容器の前記中心軸の成す角度は、30度以上かつ60度以下である場合がある。前記撹拌翼の前記回転軸は、前記容器の前記中心軸から所定の距離に、前記容器の前記中心軸と平行に配置される場合がある。前記所定の距離は、前記容器に内接する仮想的円筒の直径の三分の一以下である場合がある。
【0010】
上記何れかの態様の撹拌装置において、前記第1の平坦面及び前記第2の平坦面が、前記容器内に入れた前記液体に少なくとも部分的に浸漬され、前記回転軸を中心として回転されたとき、前記第1の平坦面と前記第2の平坦面の間に侵入した撹拌対象物は、遠心力によって前記回転軸から遠ざかる方向に吐出され、同時に、前記回転軸に沿った方向から撹拌対象物が、前記第1の平坦面と前記第2の平坦面の間に吸い込まれる場合がある。
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の種々の実施形態について詳しく説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態による撹拌装置100を示している。撹拌装置100は、粒子と液体とを含む撹拌対象物を入れるための円筒形の容器102と、容器102内の所定の高さに設けられた撹拌翼104とを含む。撹拌翼104の所定の高さは、容器102内に撹拌対象物を入れたときに、撹拌翼104が少なくとも部分的に撹拌対象物に浸漬されるように、容器102の高さ(深さ)や撹拌対象物の量に応じて適宜決定されてよい。撹拌翼104は、シャフト116を介して回転駆動装置118(例えば、モーター)に結合されている。回転駆動装置118は、回転軸106を中心として撹拌翼104を回転させることができる。撹拌翼104の回転軸106は、円筒形の容器102の中心軸107と同軸である。回転駆動装置118のフランジ部122は、ボルトとナットからなる固定具124によって、円筒形の容器102の蓋126に形成された開口部の縁に結合されている。ただし、ボルトとナットの組み合わせは、固定具124の一例に過ぎない。回転駆動装置118のフランジ部122を容器102の蓋126の開口部の周りに結合する手段は、他の如何なる手段であってもよい。
【0013】
容器102は、円筒形の側壁128と、側壁128の下端から下向きに突出する逆円錐形の底壁130とを含む。容器102の内部底面130A(すなわち、底壁130の内部表面)は、逆円錐形である。この例では、内部底面130Aの頂点角度θ1は、60度である。ただし、頂点角度θ1は、約60度から約120度までの間の任意の角度であってよい。例えば、頂点角度θ1は、90度又は120度であってよい。容器102は、発明の作用が得られる範囲内で、如何なる材料から形成されてもよい。一実施形態において、容器102は、アルミニウムやステンレスのような金属から形成される。一実施形態において、容器102は、プラスチックやアクリルのような樹脂から形成される。
【0014】
撹拌装置100は、容器102を地面、床面又は机上面等に対して垂直に支持するために、容器102に結合された4本の脚140を有している。ただし、脚140は、容器102を地面、床面又は机上面に対して垂直に支持する手段の一例にすぎない。容器102の支持手段は、容器102を地面、床面又は机上面等に対して垂直に支持するものであれば、他の如何なる手段であってもよい。また、容器102の支持手段が、必ずしも容器102に結合されている必要はない。例えば、容器102の支持手段は、容器102を取り外し可能に搭載できるホルダーであってもよい。
【0015】
図2は、図1に示した撹拌装置100の撹拌翼104の構成を示している。撹拌翼104は、第1の平坦面132Aを有する第1の部材132、及び第2の平坦面134Aを有する第2の部材134を含む。撹拌翼104は、支持部材135をさらに含む。第1の部材132及び第2の部材134は、支持部材135に結合されている。第1の平坦面132A及び第2の平坦面134Aは、支持部材135によって、回転軸106を挟んで所定の間隔D1を空けて互いに対向した状態に維持されている。ただし、他の例において、第1の部材132、第2の部材134、及び支持部材135の少なくとも一部は、一体に形成されてもよい。支持部材135は、シャフト116を介して回転駆動装置118に結合されている。第1の平坦面132A及び第2の平坦面134Aは、回転駆動装置118によって、回転軸106を中心として回転させることができる。第1の部材132の第1の平坦面132Aと第2の部材134の第2の平坦面134Aとの間は、第1の部材132及び第2の部材134の幅(W)方向に開放されている。また、第1の部材132の第1の平坦面132Aと第2の部材134の第2の平坦面134Aとの間は、回転軸106に沿って下方(回転駆動装置118から遠ざかる方向)に開放されている。
【0016】
第1の部材132及び第2の部材134は、平坦面132A及び平坦面134Aをそれぞれ有するものであれば、如何なる形状のものであってもよい。一実施形態において、第1の部材132及び第2の部材134はそれぞれ、板状部材である。一実施形態において、第1の部材132及び第2の部材134はそれぞれ、矩形の板状部材である。一実施形態において、第1の部材132及び第2の部材134はそれぞれ、台形(上辺を短辺とするものと、下辺を短辺とするものとの両方を含む)、円形、楕円形、又は菱形の板状部材である。一実施形態において、第1の部材132及び第2の部材134はそれぞれ、半球形部材である。
【0017】
支持部材135は、第1の部材132の第1の平坦面132A及び第2の部材134の第2の平坦面134Aを、回転軸106を挟んで第1の間隔D1を空けて互いに対向した状態に維持するものであれば、如何なる形状を有するものであってもよい。一実施形態において、支持部材135は、図2(A)に示されるような板状部材である。支持部材135が板状部材である場合、板状部材は、撹拌対象物の上下方向の流動を容易にする1つ又は複数の開口部を有する場合がある。一実施形態において、支持部材135は、H字型のフレーム部材である。
【0018】
第1の部材132の第1の平坦面132A及び第2の部材134の第2の平坦面134Aはそれぞれ、発明の作用が得られる範囲内で、様々な形状、回転軸106の方向における様々な高さH、及び回転軸106に直交する方向における様々な幅Wを有することができる。一実施形態において、第1の平坦面132A及び第2の平坦面134Aは、同一の形状を有する。一実施形態において、第1の平坦面132A及び第2の平坦面134Aは、異なる形状を有する。一実施形態において、第1の平坦面132A及び第2の平坦面134Aは、回転軸106の方向における同一の高さHを有する。一実施形態において、第1の平坦面132A及び第2の平坦面134Aは、回転軸106の方向における異なる高さを有する。一実施形態において、第1の平坦面132A及び第2の平坦面134Aは、回転軸106に直交する方向における同一の幅Wを有する。一実施形態において、第1の平坦面132A及び第2の平坦面134Aは、回転軸106に直交する方向における異なる幅を有する。一実施形態において、第1の平坦面132A及び第2の平坦面134Aはそれぞれ、矩形の形状を有する。一実施形態において、第1の平坦面132A及び第2の平坦面134Aはそれぞれ、台形(上辺を短辺とするものと、下辺を短辺とするものとの両方を含む)、円形、楕円形、又は菱形の形状を有する。
【0019】
第1の部材132、第2の部材134、及び支持部材135はそれぞれ、発明の作用が得られる範囲内で、如何なる材料から形成されてもよい。一実施形態において、第1の部材132、第2の部材134、及び支持部材135はそれぞれ、アルミニウムやステンレスのような金属から形成される。一実施形態において、第1の部材132、第2の部材134、及び支持部材135はそれぞれ、プラスチックやアクリルのような樹脂から形成される。一実施形態において、第1の部材132、第2の部材134、及び支持部材135の少なくとも一部は、他の部材とは個別に作成され、溶接や接着剤によって他の部材と結合される場合がある。一実施形態において、第1の部材132、第2の部材134、及び支持部材135の少なくとも一部は、単一の板状材料から曲げ加工によって一体的に形成される場合がある。一実施形態において、第1の部材132、第2の部材134、及び支持部材135の少なくとも一部は、射出成型や押出し成型のような成型によって一体的に形成される場合がある。
【0020】
一実施形態において、回転軸106は、第1の平坦面132Aと第2の平坦面134Aの間に配置される。一実施形態において、回転軸106は、第1の平坦面132Aと第2の平坦面134Aの間に、第1の平坦面132A及び第2の平坦面134Aから均等な距離に配置される。一実施形態において、第1の部材132及び第2の部材134は、同一の幅Wを有し、回転軸106は、第1の部材132及び第2の部材134の幅(W)方向における両縁から、均等な距離に配置される。ただし、回転軸106の位置は、必ずしもこのような幾何学上の中心でなくてもよく、発明の作用が得られる範囲内で、幾何学上の中心から多少のずれがあってもよい。
【0021】
図3は、図1に示した撹拌装置100における撹拌対象物(すなわち、粒子112と液体114)の流れを示している。図3(A)に示されるように粒子112と液体114を容器102に入れ、図3(B)に示されるように撹拌翼104を液体114に浸漬させた状態で回転させると、第1の平坦面132Aと第2の平坦面134Aの間に侵入した撹拌対象物は、遠心力によって回転軸106から遠ざかる方向に吐出され、同時に、回転軸106に沿って下方から撹拌対象物が、第1の平坦面132Aと第2の平坦面134Aの間に吸い込まれる。その結果、容器102内の粒子112と液体114に、矢印で示されるような流れが発生する。
【0022】
図3(B)において、撹拌翼104によって回転軸106から遠ざかる方向に吐出された撹拌対象物の大部分は、まず、容器102の円筒形の側壁128に当たって下向きに転向される。ここで、容器102の底壁130は、円筒形の側壁128の下端から下向きに逆円錐形に突出している。そのため、容器102の側壁128付近に生じた下向きの流れは、次に、容器102の内部底面130Aに沿って底壁130の頂点136に向かって進み、そこで互いに衝突し、上向きの流れに変わる。このとき、底壁130の頂点136付近に衝突による乱流が発生する。そのため、本発明によれば、容器102内の底壁130の頂点136付近にある粒子112を上向きに巻き上げることができ、したがって、容器102の底に粒子112の滞留を生じることなく、粒子112と液体114を撹拌することが可能となる。
【0023】
図4及び図5は、図1及び図3に示した撹拌装置100に類似する他の実施形態による撹拌装置200を示している。撹拌装置200は、容器202の内部底面230A(すなわち、底壁230の内部表面)の頂点角度θ1が120度である点を除き、撹拌装置100と同様である。頂点角度θ1を様々に変えて撹拌装置の動作を試験したところ、図5(B)に示されるように、容器202の内部底面230Aの頂点角度θ1を約120度まで拡大しても、容器202の底に粒子212の滞留は生じないことが分かった。撹拌装置100の構成要素に対応する撹拌装置200の構成要素には、撹拌装置100の構成要素の符号に「100」を加えた符号を付して、重複する説明を省略する。
【0024】
図6及び図7は、図1及び図3に示した撹拌装置100に類似する他の実施形態による撹拌装置300を示している。撹拌装置300は、容器302の内部底面330A(すなわち、底壁330の内部表面)の頂点角度θ1が120度である点、及び、撹拌翼304の回転軸306が、容器302の中心軸307から所定の距離D2だけずらした位置に、容器302の中心軸307と平行に配置されている点を除き、撹拌装置100と同様である。図7(B)に示されるように、撹拌翼304によって回転軸306から遠ざかる方向に吐出された撹拌対象物の大部分は、まず、容器302の円筒形の側壁328に当たって下向きに転向される。この下向きの流れは、次に、容器302の内部底面330Aに沿って底壁330の頂点336に向かって進み、頂点336からわずかに離れた場所で互いに衝突し、斜め上向きの流れに変わる。このとき、底壁330の頂点336付近に衝突による乱流が発生する。撹拌装置300では、撹拌翼304の回転軸306を容器302の中心軸307から所定の距離D2だけずらすことにより、より強い乱流を発生させることができる。そのため、容器302内の底壁330の頂点336付近にある粒子312を、より強い力で上向きに巻き上げることが可能となる。所定の距離D2は、円筒形の容器302の直径の約三分の一以下である。撹拌装置100の構成要素に対応する撹拌装置300の構成要素には、撹拌装置100の構成要素の符号に「200」を加えた符号を付して、重複する説明を省略する。
【0025】
図8及び図9は、図1及び図3に示した撹拌装置100に類似する他の実施形態による撹拌装置400を示している。撹拌装置400は、円筒形の容器402が、円筒形の側壁428と、側壁428の下に延びる基部430とを含む点を除き、撹拌装置100と同様である。基部430の上面は、逆円錐形に凹んでおり、容器402の内部底面430Aを画定している。基部430の下面は、平坦であり、容器402の外部底面430Bを画定している。外部底面430Bは、容器402の中心軸407に対して垂直である。そのため、撹拌装置400は、容器402を地面、床面又は机上面等に直接置くだけで、追加の支持部材(例えば、図1に示した脚140)を必要とせずに、容器402を地面、床面又は机上面等に対して垂直に維持することができる。一実施形態において、容器402は、プラスチックやアクリルのような樹脂から形成される。一実施形態において、容器402は、アルミニウムやステンレスのような金属から形成される。撹拌装置100の構成要素に対応する撹拌装置400の構成要素には、撹拌装置100の構成要素の符号に「300」を加えた符号を付して、重複する説明を省略する。
【0026】
図10及び図11は、図1及び図3に示した撹拌装置100に類似する他の実施形態による撹拌装置500を示している。撹拌装置500は、正四角柱形の容器502を含む点、及び容器502の内部底面530A(すなわち、底壁530の上面)が逆正四角錘形である点を除き、撹拌装置100と同様である。図10(A)において、撹拌翼504の回転軸506は、容器502の中心軸507と同軸である。容器502の内部底面530Aは、4つの角錘面(「側面」とも呼ばれる二等辺三角形の面)530A-1、530A-2、530A-3、530A-4を含む。この例では、内部底面530Aの各角錐面530A-1、530A-2、530A-3、530A-4と容器502の中心軸507との間の角度θ2は、60度である。ただし、角度θ2は、約30度から約60度までの間の任意の角度であってよい。例えば、角度θ2は、45度又は30度であってよい。図11(B)に示されるように、容器502内には、円筒形の容器(例えば、図5(B)に示した円筒形の容器202)の場合と同様の撹拌対象物の流れが発生し、容器502内の底壁530の頂点536付近にある粒子512を上向きに巻き上げることができる。したがって、容器502の底に粒子512の滞留を生じることなく、粒子512と液体514を撹拌することができる。
【0027】
他の例において、容器502は、正六角柱形、正八角柱形、及び正十二角柱形のような、任意の角数の正多角柱形の容器であってよく、したがって、任意の角数の逆正多角錘形の内部底面530Aを有する場合がある。さらに他の例において、撹拌翼504の回転軸506は、図6及び図7に示した撹拌装置300の場合と同様に、容器502の中心軸507から所定の距離D3だけずらした位置に、容器502の中心軸507と平行に配置される場合がある。所定の距離D3は、容器502の側壁528に内接する仮想的円筒(図示せず)の直径の約三分の一以下である。撹拌装置100の構成要素に対応する撹拌装置500の構成要素には、撹拌装置100の構成要素の符号に「400」を加えた符号を付して、重複する説明を省略する。
【0028】
上記のとおり、本発明によれば、互いに対向する2つの平行な平坦面を有する撹拌翼を、逆円錐形又は逆正多角錘形の内部底面を有する容器と組み合わせることで、容器の底に粒子の滞留を生じることなく、粒子と液体を良好に撹拌することが可能になる。
【0029】
本発明の種々の実施形態に関する上記説明は、例示を目的としたものであり、発明の範囲を制限するものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって規定される。
【符号の説明】
【0030】
102、202、302、402、502 容器
104、204、304、404、504 撹拌翼
118、218、318、418、518 回転駆動装置
130A、230A、330A、430A、530A 内部底面
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