(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022083473
(43)【公開日】2022-06-06
(54)【発明の名称】無線通信装置、無線通信システム及び無線通信方法
(51)【国際特許分類】
H04W 16/14 20090101AFI20220530BHJP
H04W 84/12 20090101ALI20220530BHJP
H04W 24/04 20090101ALI20220530BHJP
H04W 72/04 20090101ALI20220530BHJP
【FI】
H04W16/14
H04W84/12
H04W24/04
H04W72/04 111
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020194798
(22)【出願日】2020-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500112146
【氏名又は名称】サイレックス・テクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】桑原 哲也
(72)【発明者】
【氏名】北村 亘
(72)【発明者】
【氏名】倉谷 泰弘
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA03
5K067AA14
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE16
5K067GG09
5K067JJ03
(57)【要約】
【課題】無線通信が行われない期間を可及的に短くすることができる、DFS機能を備えた無線通信装置を提供する。
【解決手段】無線装置10(無線通信装置)は、第1のチャンネルを用いて第1の信号の送信を行うと共に、当該第1のチャンネルと同じ周波数のレーダー波の監視を行い、当該レーダー波が検出された場合には第1のチャンネルを用いた第1の信号の送信を停止する通信部11と、通信部11による無線通信と併行して、第2のチャンネルを用いて第2の信号の送信を行うと共に、当該第2のチャンネルと同じ周波数のレーダー波の監視を行い、当該レーダー波が検出された場合には第2のチャンネルを用いた第2の信号の送信を停止する通信部12と、を備え、通信部11が第1の信号の送信を停止した場合、通信部12は、第2のチャンネルを用いて第1の信号の送信を行う。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
DFS(Dynamic Frequency Selection)機能が要求される複数のチャンネルのうちから選択されるチャンネルを用いて無線通信対象との間で無線通信を行う無線通信装置であって、
前記複数のチャンネルに含まれる第1のチャンネルを用いて第1の信号の送信を行うと共に、当該第1のチャンネルと同じ周波数のレーダー波の監視を行い、当該レーダー波が検出された場合には前記第1のチャンネルを用いた前記第1の信号の送信を停止する第1通信部と、
前記第1通信部による無線通信と併行して、前記複数のチャンネルに含まれ且つ前記第1のチャンネルとは異なる第2のチャンネルを用いて第2の信号の送信を行うと共に、当該第2のチャンネルと同じ周波数のレーダー波の監視を行い、当該レーダー波が検出された場合には前記第2のチャンネルを用いた前記第2の信号の送信を停止する第2通信部と、を備え、
前記第1通信部が前記第1の信号の送信を停止した場合、前記第2通信部は、前記第2のチャンネルを用いて前記第1の信号の送信を行う
ことを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
前記第1の信号は、前記第2の信号と同一のコマンドデータを少なくとも含む、
請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記第1通信部及び前記第2通信部の何れか一方が前記無線通信対象との間で無線通信のリンクを確立するものであり、
前記第1通信部が前記無線通信対象と無線通信のリンクを確立しており、前記第2通信部が前記無線通信対象との無線通信のリンクを確立していない状態において、前記第1通信部は、前記第1の信号の送信と併行して、前記第2のチャンネルを示す切替先情報を前記無線通信対象へ送信する、
請求項2に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記切替先情報は、前記第1通信部から送信される前記第1の信号のデータフレームに含まれる、
請求項3に記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記第1の信号と、前記第2の信号とは、それぞれ異なるコマンドデータを含み、前記第1の信号の優先度は、前記第2の信号の優先度よりも高い、
請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の無線通信装置と、
前記無線通信装置と無線通信を行う前記無線通信対象と、を備える、
無線通信システム。
【請求項7】
前記無線通信システムは、コントローラと移動体との通信に用いられ、
前記無線通信対象は、前記移動体に搭載され、
前記コントローラは、前記無線通信装置及び前記無線通信対象を介して前記移動体と通信を行う、
請求項6に記載の無線通信システム。
【請求項8】
DFS機能が要求される複数のチャンネルのうちから選択されるチャンネルを用いて無線通信対象との間で無線通信を行う無線通信方法であって、
前記複数のチャンネルに含まれる第1のチャンネルを用いて第1の信号の送信を行うと共に、当該第1のチャンネルと同じ周波数のレーダー波の監視を行い、当該レーダー波が検出された場合には前記第1のチャンネルを用いた前記第1の信号の送信を停止する第1ステップと、
前記第1ステップにおける無線通信と併行して、前記複数のチャンネルに含まれ且つ前記第1のチャンネルとは異なる第2のチャンネルを用いて第2の信号の送信を行うと共に、当該第2のチャンネルと同じ周波数のレーダー波の監視を行い、当該レーダー波が検出された場合には前記第2のチャンネルを用いた前記第2の信号の送信を停止する第2ステップと、
前記第1ステップにおいて前記第1の信号の送信を停止した場合、前記第2のチャンネルを用いて前記第1の信号の送信を行う第3ステップと、を含む
ことを特徴とする無線通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信装置、無線通信システム及び無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、IEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers)802.11で標準化された無線LAN(Local Area Network)規格では、5GHz帯の特定の周波数帯の無線通信において、DFS(Dynamic Frequency Selection)機能を実装することが義務付けられている(例えば特許文献1参照)。DFS機能は、主に気象観測用として使われているCバンドレーダーへの悪影響を避けるための機能であり、具体的には、特定のチャンネルにおいてレーダー波を監視し、当該チャンネルにおいてレーダー波を検出した場合に当該チャンネルを用いた電波の発信を停止し、使用するチャンネルを他のチャンネルに移動する機能である。例えば日本では、W53帯のチャンネル(具体的には52チャンネルから64チャンネル)及びW56帯のチャンネル(具体的には100チャンネルから140チャンネル)について、DFS機能の実装が義務付けられている。
【0003】
特許文献1では、無線通信装置は、通信用系統と、モニタ用系統と、を備え、通信用系統が所定のチャンネルで無線通信を行うのと併行して、当該チャンネルとは異なるチャンネルの周波数のレーダー波をモニタ用系統にて監視する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に開示された技術では、通信用系統で用いられているチャンネルと同じ周波数のレーダー波がモニタ用系統で検出された場合、モニタ用系統で監視していたチャンネルを通信用系統に設定し、通信用系統において設定されたチャンネルでの無線通信を開始するといったプロセスが必要になる。このため、通信用系統で行っていた無線通信が途切れる期間が長くなるという問題がある。
【0006】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、無線通信が行われない期間を可及的に短くすることができる、DFS機能を備えた無線通信装置などを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る無線通信装置は、DFS機能が要求される複数のチャンネルのうちから選択されるチャンネルを用いて無線通信対象との間で無線通信を行う無線通信装置であって、前記複数のチャンネルに含まれる第1のチャンネルを用いて第1の信号の送信を行うと共に、当該第1のチャンネルと同じ周波数のレーダー波の監視を行い、当該レーダー波が検出された場合には前記第1のチャンネルを用いた前記第1の信号の送信を停止する第1通信部と、前記第1通信部による無線通信と併行して、前記複数のチャンネルに含まれ且つ前記第1のチャンネルとは異なる第2のチャンネルを用いて第2の信号の送信を行うと共に、当該第2のチャンネルと同じ周波数のレーダー波の監視を行い、当該レーダー波が検出された場合には前記第2のチャンネルを用いた前記第2の信号の送信を停止する第2通信部と、を備え、前記第1通信部が前記第1の信号の送信を停止した場合、前記第2通信部は、前記第2のチャンネルを用いて前記第1の信号の送信を行うことを特徴とする。
【0008】
これによれば、第1通信部が第1のチャンネルを用いて第1の信号の送信を行うと共に、第1のチャンネルと同じ周波数のレーダー波を監視するのと併行して、第2通信部は、第2のチャンネルを用いて第2の信号の送信を行うと共に、第2のチャンネルと同じ周波数のレーダー波を監視する。これにより、第2通信部は、第1通信部が第1のチャンネルにおいてレーダー波を検出したときにはすでに第2のチャンネルにおいてレーダー波の監視を開始しており、第1通信部が第1のチャンネルと同じ周波数のレーダー波を検出した時点で、第2通信部が第2のチャンネルにおいてレーダー波を所定時間(例えば60秒)以上検出していない状態となっているようにすることができる。すなわち、第1通信部が第1のチャンネルと同じ周波数のレーダー波を検出した時点において、第2通信部は第2のチャンネルと同じ周波数のレーダー波が所定時間以上検出されないことをすでに確認しているため、第1通信部がレーダー波を検出した場合でも、第2通信部によって第2のチャンネルを用いた第1の信号の送信をすぐに開始することができる。このため、第2通信部は、第1通信部が第1のチャンネルと同じ周波数のレーダー波を検出して第1の信号の送信を停止した場合に、所定時間待つことなく継続して第2のチャンネルを用いて第1の信号の送信を行うことができる。したがって、無線通信が行われない期間を可及的に短くすることができる。
【0009】
特に、上記特許文献1に開示された通信用系統では、信号の送信に用いるチャンネルをこれまで使っていたチャンネルから新たなチャンネルに切り替えるため、処理にある程度の時間(例えば500msから1s)がかかる。したがって、上記特許文献1に開示された技術では、チャンネルの切り替えにかかる時間、無線通信が途切れてしまう。
【0010】
これに対して、本発明の無線通信装置によれば、第1のチャンネルを用いて第1の信号の送信を行う第1通信部において第1のチャンネルと同じ周波数のレーダー波が検出されたときに、第1通信部がチャンネルを切り替えて引き続き第1の信号の送信を行うということはせず、第2のチャンネルを用いて第2の信号の送信を行っている第2通信部が引き継いで第1の信号の送信を行う。すなわち、第2通信部は、これまで第2の信号の送信に用いていた第2のチャンネルから新たなチャンネルに切り替えるということをせず、第1の信号の送信をそのまま第2のチャンネルを用いて即座に行うことができる。したがって、本発明では、無線通信装置(親機)のチャンネルの切り替えにかかる時間、無線通信が途切れてしまうことを抑制できる。
【0011】
例えば、前記第1の信号は、前記第2の信号と同一のコマンドデータを少なくとも含んでいてもよい。
【0012】
これによれば、無線通信装置と無線通信対象との間の無線通信の冗長化を実現できる。
【0013】
例えば、前記第1通信部及び前記第2通信部の何れか一方が前記無線通信対象との間で無線通信のリンクを確立するものであり、前記第1通信部が前記無線通信対象と無線通信のリンクを確立しており、前記第2通信部が前記無線通信対象との無線通信のリンクを確立していない状態において、前記第1通信部は、前記第1の信号の送信と併行して、前記第2のチャンネルを示す切替先情報を前記無線通信対象へ送信してもよい。
【0014】
無線通信対象は、無線通信のリンクが確立している第1通信部から、第2通信部が第2の信号の送信に用いている第2のチャンネルを示す切替先情報を取得しており、且つ第2通信部は、無線通信対象との無線通信のリンクを確立していない状態においても、第1通信部による無線通信と併行して第2の信号を送信している。このため、第1通信部がレーダー波を検出するなどして無線通信対象との無線通信を停止した場合、切替先情報を用いて第2通信部と無線通信対象との間で速やかに無線通信のリンクを確立できる。
【0015】
例えば、前記切替先情報は、前記第1通信部から送信される前記第1の信号のデータフレームに含まれていてもよい。
【0016】
このように、切替先情報を第1の信号のデータフレームに含めることで、切替先情報を無線通信対象に通知することができる。
【0017】
例えば、前記第1の信号と、前記第2の信号とは、それぞれ異なるコマンドデータを含み、前記第1の信号の優先度は、前記第2の信号の優先度よりも高くてもよい。
【0018】
これによれば、優先度の高い信号の送信が行われない期間を可及的に短くできる。
【0019】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る無線通信システムは、上記の無線通信装置と、前記無線通信装置と無線通信を行う前記無線通信対象と、を備える。
【0020】
これによれば、無線通信が行われない期間を可及的に短くすることができる、DFS機能を備えた無線通信システムを提供できる。
【0021】
例えば、前記無線通信システムは、コントローラと移動体との通信に用いられ、前記無線通信対象は、前記移動体に搭載され、前記コントローラは、前記無線通信装置及び前記無線通信対象を介して前記移動体と通信を行ってもよい。
【0022】
このように、無線通信が行われない期間を可及的に短くすることができる、DFS機能を備えた無線通信システムをコントローラと移動体との通信に適用できる。
【0023】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る無線通信方法は、DFS機能が要求される複数のチャンネルのうちから選択されるチャンネルを用いて無線通信対象との間で無線通信を行う無線通信方法であって、前記複数のチャンネルに含まれる第1のチャンネルを用いて第1の信号の送信を行うと共に、当該第1のチャンネルと同じ周波数のレーダー波の監視を行い、当該レーダー波が検出された場合には前記第1のチャンネルを用いた前記第1の信号の送信を停止する第1ステップと、前記第1ステップにおける無線通信と併行して、前記複数のチャンネルに含まれ且つ前記第1のチャンネルとは異なる第2のチャンネルを用いて第2の信号の送信を行うと共に、当該第2のチャンネルと同じ周波数のレーダー波の監視を行い、当該レーダー波が検出された場合には前記第2のチャンネルを用いた前記第2の信号の送信を停止する第2ステップと、前記第1ステップにおいて前記第1の信号の送信を停止した場合、前記第2のチャンネルを用いて前記第1の信号の送信を行う第3ステップと、を含むことを特徴とする。
【0024】
これによれば、無線通信が行われない期間を可及的に短くすることができる、DFS機能が用いられる無線通信方法を提供できる。
【0025】
なお、本発明は、装置として実現できるだけでなく、その装置を構成する処理手段をステップとする方法として実現したり、それらステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現したり、そのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体として実現したり、そのプログラムを示す情報、データ又は信号として実現したりすることもできる。そして、それらプログラム、情報、データ及び信号は、インターネットなどの通信ネットワークを介して配信してもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明により、無線通信が行われない期間を可及的に短くすることができる、DFS機能を備えた無線通信装置などを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】実施の形態に係る無線通信システムの適用例を示す構成図である。
【
図2】実施の形態に係る無線通信システムの一例を示す構成図である。
【
図3】実施の形態に係る第1通信部に着目した無線通信装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図4】実施の形態に係る第2通信部に着目した無線通信装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図5】実施の形態に係る無線通信システムの起動時の動作を説明するための図である。
【
図6】実施の形態に係る無線通信システムの通常のコマンドデータの送受信時の動作を説明するための図である。
【
図7】切替先情報を含むデータフレームのデータ構造の一例を示す図である。
【
図8】実施の形態に係る無線通信システムの通常のレスポンスデータの送受信時の動作を説明するための図である。
【
図9】実施の形態に係る無線通信システムのレーダー波の検出時の動作を説明するための図である。
【
図10A】変更指示情報を含むデータフレームのデータ構造の一例を示す図である。
【
図10B】変更指示情報を含むデータフレームのデータ構造の他の一例を示す図である。
【
図11】実施の形態に係る無線通信システムのチャンネルの変更指示に対する肯定応答時の動作を説明するための図である。
【
図12A】肯定応答情報を含むデータフレームのデータ構造の一例を示す図である。
【
図12B】肯定応答情報を含むデータフレームのデータ構造の他の一例を示す図である。
【
図13】実施の形態に係る無線通信システムのレーダー波検出後、新たなチャンネルのレーダー波の監視開始時の動作を説明するための図である。
【
図14】実施の形態に係る無線通信システムの新たなチャンネルのレーダー波の監視開始時における、レスポンスデータの送受信時の動作を説明するための図である。
【
図15】実施の形態に係る無線通信システムの新たなチャンネルを用いた信号の送信開始時の動作を説明するための図である。
【
図16】コマンドデータの種類を含むデータフレームのデータ構造の一例を示す図である。
【
図17A】コマンドデータの種類として第1通信部に登録されたチャンネルの通知を含むデータフレームのデータ構造の一例を示す図である。
【
図17B】コマンドデータの種類として第2通信部に登録されたチャンネルの通知を含むデータフレームのデータ構造の一例を示す図である。
【
図18】第1通信部及び第2通信部に登録されたチャンネル及び各チャンネルの状態が記載されたテーブルの一例を示す図である。
【
図19A】コマンドデータの種類として通信部の切り替えの通知を含むデータフレームのデータ構造の一例を示す図である。
【
図19B】コマンドデータの種類として通信部の切り替えの通知を含むデータフレームのデータ構造の他の一例を示す図である。
【
図20A】コマンドデータの種類としてチャンネルの状態の通知を含むデータフレームのデータ構造の一例を示す図である。
【
図20B】コマンドデータの種類としてチャンネルの状態の通知を含むデータフレームのデータ構造の他の一例を示す図である。
【
図21】チャンネルの状態の通知によってテーブルが書き換えられることを説明するための図である。
【
図22】その他の実施の形態に係る無線通信システムの一例を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0029】
以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、より好ましい形態を構成する任意の構成要素として説明される。なお、同一の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0030】
(実施の形態)
[無線通信システムの適用例]
まず、本発明の無線通信システムの適用例について説明する。
【0031】
図1は、実施の形態に係る無線通信システム1の適用例を示す構成図である。
【0032】
無線通信システム1は、無線装置10及び20を備える。無線装置10は、DFS機能が要求される複数のチャンネルのうちから選択されるチャンネルを用いて無線通信対象との間で無線通信を行う無線通信装置の一例である。無線装置20は、無線通信対象の一例である。
図1では、無線通信システム1が2組の無線装置10及び20を備える例が示されているが、無線通信システム1は、1組の無線装置10及び20を備えていてもよいし、3組以上の無線装置10及び20を備えていてもよい。
【0033】
無線通信システム1は、コントローラ100と移動体200との通信に用いられる。コントローラ100は、移動体200を無線で制御するためのコントローラである。移動体200は、コントローラ100により移動制御をはじめとする各種制御が行われる。移動体200は、搬送台車であってもよいし、車両であってもよい。
【0034】
無線装置20は、移動体200に搭載される。コントローラ100は、無線装置10及び20を介して移動体200と通信を行う。具体的には、コントローラ100は移動体200への情報を上位デバイス30へ送信し、上位デバイス30は当該情報を無線装置10へ送信し、無線装置10は当該情報を無線で無線装置20へ送信し、無線装置20は当該情報をステーションデバイス40へ送信し、ステーションデバイス40は当該情報に応じて移動体200を制御する。
【0035】
[無線通信装置及び無線通信システム]
以下、実施の形態に係る無線装置10(無線通信装置)及び無線通信システム1について図面を用いて説明する。
【0036】
図2は、実施の形態に係る無線通信システム1の一例を示す構成図である。なお、
図2には、無線通信システム1以外に、上位デバイス30及びステーションデバイス40も示している。
【0037】
無線通信システム1は、上述したように、無線装置10及び20を備える。無線装置10は、上位デバイス30に接続される。例えば、無線装置10は、有線(有線LAN(Local Area Network)ケーブルなど)により上位デバイス30に接続される。無線装置20は、ステーションデバイス40に接続される。例えば、無線装置20は、有線によりステーションデバイス40に接続される。
【0038】
無線装置10は、上述したように、DFS機能が要求される複数のチャンネルのうちから選択されるチャンネルを用いて無線通信対象との間で無線通信を行う無線通信装置である。無線装置10は、プロセッサ、メモリ及び無線回路などを含むコンピュータである。メモリは、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)などであり、プロセッサにより実行されるプログラムを記憶することができる。
【0039】
無線装置10は、通信部11及び12を備える。通信部11及び12は、例えば、無線装置10内でそれぞれ別体(例えば別基板)として設けられており、通信部11は、基板上に設けられた無線回路及びアンテナなどにより実現され、通信部12は、通信部11とは異なる基板上に設けられた無線回路及びアンテナなどにより実現される。通信部11及び12は、メモリに格納されたプログラムを実行するプロセッサなどによって制御される。なお、本実施の形態における通信部11及び12は、無線装置10内でそれぞれ別体として説明するが、無線装置10内の1つの基板上に実現されてもよい。
【0040】
通信部11は、予め定められた複数のチャンネルに含まれる第1のチャンネルを用いて第1の信号の送信を行うと共に、当該第1のチャンネルと同じ周波数のレーダー波の監視を行い、当該レーダー波が検出された場合には第1のチャンネルを用いた第1の信号の送信を停止する第1通信部の一例である。
【0041】
通信部12は、第1通信部による無線通信と併行して、予め定められた複数のチャンネルに含まれ且つ第1のチャンネルとは異なる第2のチャンネルを用いて第2の信号の送信を行うと共に、当該第2のチャンネルと同じ周波数のレーダー波の監視を行い、当該レーダー波が検出された場合には第2のチャンネルを用いた第2の信号の送信を停止する第2通信部の一例である。
【0042】
無線装置20は、無線装置10の無線通信対象となる装置である。無線装置20は、プロセッサ、メモリ及び無線回路などを含むコンピュータである。メモリは、ROM及びRAMなどであり、プロセッサにより実行されるプログラムを記憶することができる。
【0043】
無線装置20は、通信部21を備える。通信部21は、無線回路及びアンテナなどにより実現される。通信部21は、メモリに格納されたプログラムを実行するプロセッサなどによって制御される。
【0044】
通信部11及び12の何れか一方が無線装置20の通信部21との間で無線通信のリンクを確立するものである。言い換えると、通信部11と通信部21との間で無線通信のリンクが確立されている場合、通信部12と通信部21との間で無線通信のリンクは確立せず、通信部12と通信部21との間で無線通信のリンクが確立されている場合、通信部11と通信部21との間で無線通信のリンクは確立しない。ここで、無線通信のリンクが確立されている状態とは、通信部11と通信部21との間、あるいは通信部12と通信部21との間で、無線通信により信号の送受信が相互に行われている状態である。
【0045】
次に、無線装置10の動作について、
図3を用いて通信部11に着目したときの動作を説明し、
図4を用いて通信部12に着目したときの動作を説明する。
【0046】
図3は、実施の形態に係る通信部11に着目した無線装置10の動作の一例を示すフローチャートである。
【0047】
通信部11は、複数のチャンネルに含まれる第1のチャンネルを用いて第1の信号の送信を行うと共に(ステップS11)、当該第1のチャンネルと同じ周波数のレーダー波の監視を行う(ステップS12)。当該複数のチャンネルは、例えば、DFS機能の実装が義務付けられているW53帯のチャンネル(具体的には52チャンネルから64チャンネル)及びW56帯のチャンネル(具体的には100チャンネルから140チャンネル)である。
【0048】
次に、無線装置10は、通信部11が第1のチャンネルと同じ周波数のレーダー波を検出したか否かを判定する(ステップS13)。
【0049】
通信部11が第1のチャンネルと同じ周波数のレーダー波を検出しない場合(ステップS13でNo)、当該レーダー波が検出されるまでステップS11からステップS13までの処理が繰り返さえる。
【0050】
通信部11は、第1のチャンネルと同じ周波数のレーダー波を検出した場合(ステップS13でYes)、第1の信号の送信を停止する(ステップS14)。第1のチャンネルと同じ周波数のレーダー波との干渉を避けるために、第1のチャンネルを用いた第1の信号の送信を停止する必要があるためである。
【0051】
図4は、実施の形態に係る通信部12に着目した無線装置10の動作の一例を示すフローチャートである。
【0052】
通信部12は、複数のチャンネルに含まれ且つ第1のチャンネルとは異なる第2のチャンネルを用いて第2の信号の送信を行うと共に(ステップS21)、当該第2のチャンネルと同じ周波数のレーダー波の監視を行う(ステップS22)。当該複数のチャンネルは、上述したように、例えば、DFS機能の実装が義務付けられているW53帯のチャンネル及びW56帯のチャンネルである。通信部12における第2のチャンネルを用いた第2の信号の送信、及び、第2のチャンネルと同じ周波数のレーダー波の監視は、通信部11による無線通信と併行して行われる。ここでは、通信部12は無線装置10の無線通信対象となる装置(例えば、無線装置20)との間で無線通信のリンクを確立していない。
【0053】
次に、無線装置10は、通信部11による第1の信号の送信が停止したか否かを判定する(ステップS23)。すなわち、無線装置10は、
図3のステップS13において、通信部11が第1のチャンネルと同じ周波数のレーダー波を検出し、ステップS14において、第1の信号の送信が停止したか否かを判定する。
【0054】
通信部11が第1の信号の送信を停止していない場合(ステップS23でNo)、無線装置10は、通信部12が第2のチャンネルと同じ周波数のレーダー波を検出したか否かを判定する(ステップS24)。
【0055】
通信部12が第2のチャンネルと同じ周波数のレーダー波を検出しない場合(ステップS24でNo)、当該レーダー波が検出されるまでステップS21からステップS24までの処理が繰り返される。
【0056】
通信部12は、第2のチャンネルと同じ周波数のレーダー波を検出した場合(ステップS24でYes)、第2の信号の送信を停止する(ステップS25)。第2のチャンネルと同じ周波数のレーダー波との干渉を避けるために、第2のチャンネルを用いた第2の信号の送信を停止する必要があるためである。
【0057】
通信部11が第1の信号の送信を停止した場合(ステップS23でYes)、通信部12は、第2のチャンネルを用いて第1の信号の送信を行う(ステップS26)。例えば、第1の信号は、第2の信号と同一のコマンドデータを少なくとも含んでいてもよい。例えば、第1の信号がコマンドデータAを含み、第2の信号も同じコマンドデータAを含み、第1の信号と第2の信号とが同じ信号であってもよい。この場合に、通信部11が第1の信号の送信を停止したときには、通信部12は、第2のチャンネルを用いて引き続き第2の信号の送信を行う。第1の信号と第2の信号とが同じ信号であり、通信部12が第2のチャンネルを用いて第2の信号の送信を行うことは、第2のチャンネルを用いて第1の信号を送信することにもなるためである。また、例えば、第1の信号がコマンドデータA+Bを含み、第2の信号がコマンドデータAを含んでいてもよい。この場合に、通信部11が第1の信号の送信を停止したときには、通信部12は、第2のチャンネルを用いて、これまで送信していた第2の信号(コマンドデータA)にコマンドデータBを追加した第1の信号の送信を行う。いずれの場合であっても、無線装置10と無線装置20との間の無線通信の冗長化を実現できる。
【0058】
また、通信部12は、ステップS26において第2のチャンネルを用いて第1の信号の送信を行うと共に、当該第2のチャンネルと同じ周波数のレーダー波の監視を行う(ステップS27)。
【0059】
次に、無線装置10は、通信部12が第2のチャンネルと同じ周波数のレーダー波を検出したか否かを判定する(ステップS28)。
【0060】
通信部12が第2のチャンネルと同じ周波数のレーダー波を検出しない場合(ステップS28でNo)、当該レーダー波が検出されるまでステップS26からステップS28までの処理が繰り返される。
【0061】
通信部12は、第2のチャンネルと同じ周波数のレーダー波を検出した場合(ステップS28でYes)、第1の信号の送信を停止する(ステップS29)。第2のチャンネルと同じ周波数のレーダー波との干渉を避けるために、第2のチャンネルを用いた第1の信号の送信を停止する必要があるためである。
【0062】
以上のように、通信部11が第1のチャンネルを用いて第1の信号の送信を行うと共に、第1のチャンネルと同じ周波数のレーダー波を監視するのと併行して、通信部12は、第2のチャンネルを用いて第2の信号の送信を行うと共に、第2のチャンネルと同じ周波数のレーダー波を監視する。これにより、通信部12は、通信部11が第1のチャンネルにおいてレーダー波を検出したときにはすでに第2のチャンネルにおいてレーダー波の監視を開始しており、通信部11が第1のチャンネルと同じ周波数のレーダー波を検出した時点で、通信部12が第2のチャンネルにおいてレーダー波を所定時間(例えば60秒)以上検出していない状態となっているようにすることができる。すなわち、通信部11が第1のチャンネルと同じ周波数のレーダー波を検出した時点において、通信部12は第2のチャンネルと同じ周波数のレーダー波が所定時間以上検出されないことをすでに確認しているため、通信部11がレーダー波を検出した場合でも、通信部12によって第2のチャンネルを用いた第1の信号の送信をすぐに開始することができる。このため、通信部12は、通信部11が第1のチャンネルと同じ周波数のレーダー波を検出して第1の信号の送信を停止した場合に、所定時間待つことなく継続して第2のチャンネルを用いて第1の信号の送信を行うことができる。したがって、無線通信が行われない期間を可及的に短くすることができる。
【0063】
また、本発明の無線装置10によれば、第1のチャンネルを用いて第1の信号の送信を行う通信部11において第1のチャンネルと同じ周波数のレーダー波が検出されたときに、通信部11がチャンネルを切り替えて引き続き第1の信号の送信を行うということはせず、第2のチャンネルを用いて第2の信号の送信を行っている通信部12が引き継いで第1の信号の送信を行う。すなわち、通信部12は、これまで第2の信号の送信に用いていた第2のチャンネルから新たなチャンネルに切り替えるということをせず、第1の信号の送信をそのまま第2のチャンネルを用いて即座に行うことができる。したがって、本発明では、無線装置10のチャンネルの切り替えにかかる時間、無線通信が途切れてしまうことを抑制できる。
【0064】
[無線通信システムの動作の具体例]
次に、無線通信システム1の動作について具体例を挙げて説明する。
【0065】
図5は、実施の形態に係る無線通信システム1の起動時の動作を説明するための図である。
【0066】
無線装置10が起動した場合、無線装置10は、上位デバイス30から使用可能なチャンネル情報を取得する。例えば、使用可能なチャンネル情報には、W56帯、W53帯及びW52帯のチャンネルを示す情報が含まれており、無線装置10は、W56帯のチャンネル(例えばここでは、100チャンネル、116チャンネル及び132チャンネル)を通信部11において使用するように設定し、W53帯のチャンネル(例えばここでは52チャンネル)を通信部12において使用するように設定する。また、無線装置10は、W52帯のチャンネル(例えばここでは36チャンネル)を通信部12において使用するように設定する。
【0067】
例えば、上位デバイス30は、無線装置20における通信部21が100チャンネルで受信待ちをしていることを認識しており、無線装置10に100チャンネルを用いて信号を送信するように指示する。通信部11は、W56帯の100チャンネル、116チャンネル及び132チャンネルのうち100チャンネル(第1のチャンネルに対応)を用いて第1の信号を送信する。W56帯のチャンネルの使用には、DFS機能の実装が義務付けられているため、通信部11は、1分間、100チャンネルと同じ周波数のレーダー波を監視し、その間は100チャンネルを用いた第1の信号の送信待ちをする。また、通信部12は、W53帯の52チャンネル(第2のチャンネルに対応)を用いて第2の信号を送信する。W53帯のチャンネルの使用には、DFS機能の実装が義務付けられているため、通信部12は、1分間、52チャンネルと同じ周波数のレーダー波を監視し、その間は52チャンネルを用いた第2の信号の送信待ちをする。
【0068】
図6は、実施の形態に係る無線通信システム1の通常のコマンドデータの送受信時の動作を説明するための図である。
【0069】
上位デバイス30はコマンドデータを生成し、無線装置10は上位デバイス30からコマンドデータを取得する。通信部11は、1分間の100チャンネルと同じ周波数のレーダー波の監視中に、当該レーダー波を検出しなかった場合、上位デバイス30から取得したコマンドデータを第1の信号に含めて、100チャンネルを用いて第1の信号を送信する。また、通信部12は、1分間の52チャンネルと同じ周波数のレーダー波の監視中に、当該レーダー波を検出しなかった場合、上位デバイス30から取得したコマンドデータを第2の信号に含めて、52チャンネルを用いて第2の信号を送信する。例えば、第1の信号に含まれるコマンドデータと第2の信号に含まれるコマンドデータは同じデータであり、無線装置10は、100チャンネル及び52チャンネルを用いて、上位デバイス30から取得したコマンドデータをコンカレントに送信する。なお、通信部11は、1分間の100チャンネルと同じ周波数のレーダー波の監視後も、引き続き当該レーダー波の監視を続け、通信部12は、1分間の52チャンネルと同じ周波数のレーダー波の監視後も、引き続き当該レーダー波の監視を続ける。
【0070】
通信部21は100チャンネルで受信待ちをしているため、100チャンネルで第1の信号を送信する通信部11は通信部21と無線通信のリンクを確立し、52チャンネルで第2の信号を送信する通信部12は通信部21と無線通信のリンクを確立していない。通信部21は、100チャンネルで第1の信号を受信し、第1の信号に含まれるコマンドデータをステーションデバイス40に出力する。ステーションデバイス40は、取得したコマンドデータに応じた処理を行う。
【0071】
通信部11が無線装置20と無線通信のリンクを確立しており、通信部12が無線装置20との無線通信のリンクを確立していない状態において、通信部11は、第1の信号の送信と併行して、第2のチャンネル(ここでは52チャンネル)を示す切替先情報を無線装置20へ送信する。例えば、切替先情報は、通信部11から送信される第1の信号のデータフレームに含まれる。これについて、
図7を用いて説明する。
【0072】
図7は、切替先情報を含むデータフレームのデータ構造の一例を示す図である。
【0073】
図7に示されるように、データフレームには、コマンドデータ及びそのデータ長と、切替先情報として移行予定待受けチャンネル(例えば52チャンネル)を示す情報とが含まれる。これにより、切替先情報を含む第1の信号を受信した無線装置20は、今後チャンネルを切り替える際には、切替先情報が示す52チャンネルに切り替えればよいことを認識できる。
【0074】
なお、切替先情報は、通信部11から送信される第1の信号のデータフレームに含まれていなくてもよく、第1の信号とは別に、少なくとも切替先情報を含む信号(切替先情報のみを含む信号であってもよい)が通信部11から無線装置20へ1回以上送信されてもよい。
【0075】
このように、無線装置20は、無線通信のリンクが確立している通信部11から、通信部12が第2の信号の送信に用いている第2のチャンネルを示す切替先情報を取得しており、且つ通信部12は、無線装置20との無線通信のリンクを確立していない状態においても、通信部11による無線通信と併行して第2の信号を送信している。このため、通信部11がレーダー波を検出するなどして無線装置20との無線通信を停止した場合、切替先情報を用いて通信部12と無線装置20との間で速やかに無線通信のリンクを確立できる。
【0076】
図8は、実施の形態に係る無線通信システム1の通常のレスポンスデータの送受信時の動作を説明するための図である。
【0077】
ステーションデバイス40は、取得したコマンドデータに対するレスポンスデータを生成し、無線装置20は、ステーションデバイス40からレスポンスデータを取得する。通信部21は、100チャンネルを用いてレスポンスデータを送信する。
【0078】
通信部21と無線通信のリンクが確立している通信部11は、100チャンネルでレスポンスデータを受信し、レスポンスデータを上位デバイス30に出力する。例えば、無線装置10及び20間のコマンドデータ及びレスポンスデータの送受信は約数msで行われる。
【0079】
図9は、実施の形態に係る無線通信システム1のレーダー波の検出時の動作を説明するための図である。
【0080】
例えば、通信部11は、100チャンネルを用いて第1の信号の送信を行っているときに、100チャンネルと同じ周波数のレーダー波を検出したとする。無線装置10は、100チャンネルと同じ周波数のレーダー波を検出したことを上位デバイス30に通知する。上位デバイス30は、100チャンネルを用いた第1の信号の送信を停止して、52チャンネルを用いた第1の信号の送信を開始するために、無線装置20の待受けチャンネルを52チャンネルに変更させるための変更指示情報を生成する。DFS機能の要求仕様上、通信部11は、レーダー波を検出した後、例えば260ms以内に送信を停止する必要がある。言い換えると、通信部11は、レーダー波を検出した後、例えば260ms経過するまでは信号を送信することができる。通信部11は、レーダー波を検出した後、第1の信号の送信と併行して、変更指示情報を無線装置20へ送信する。例えば、変更指示情報は、通信部11から送信される第1の信号のデータフレームに含まれる。これについて、
図10Aを用いて説明する。
【0081】
図10Aは、変更指示情報を含むデータフレームのデータ構造の一例を示す図である。
【0082】
図10Aに示されるようにデータフレームには、コマンドデータ及びそのデータ長と、変更指示情報として、例えば無線装置20の待受けチャンネルを52チャンネルに変更させるための情報とが含まれる。これにより、変更指示情報を含む第1の信号を受信した無線装置20は、待受けチャンネルを変更指示情報が示す52チャンネルに切り替える。
【0083】
なお、変更指示情報は、通信部11から送信される第1の信号のデータフレームに含まれていなくてもよい。これについて、
図10Bを用いて説明する。
【0084】
図10Bは、変更指示情報を含むデータフレームのデータ構造の他の一例を示す図である。
【0085】
第1の信号とは別に、
図10Bに示されるように、少なくとも変更指示情報を含む信号(切替先情報のみを含む信号であってもよい)が通信部11から無線装置20へ送信されてもよい。これにより、変更指示情報だけを優先して無線装置20に送信することができる。
【0086】
図11は、実施の形態に係る無線通信システム1のチャンネルの変更指示に対する肯定応答時の動作を説明するための図である。
【0087】
ステーションデバイス40は、取得したコマンドデータに対するレスポンスデータを生成する。また、ステーションデバイス40は、変更指示情報を取得したことに対する肯定応答(ACK)情報を生成する。通信部21は、100チャンネルを用いてレスポンスデータを含む信号を送信する。例えば、肯定応答情報は、通信部21から送信される、レスポンスデータを含む信号のデータフレームに含まれる。これについて、
図12Aを用いて説明する。
【0088】
図12Aは、肯定応答情報を含むデータフレームのデータ構造の一例を示す図である。
【0089】
図12Aに示されるようにデータフレームには、コマンドデータ及びそのデータ長と、肯定応答情報として、例えば無線装置20の待受けチャンネルを52チャンネルに変更させることに対するACKとが含まれる。
【0090】
なお、肯定応答情報は、通信部21から送信される、レスポンスデータを含む信号のデータフレームに含まれていなくてもよい。これについて、
図12Bを用いて説明する。
【0091】
図12Bは、肯定応答情報を含むデータフレームのデータ構造の他の一例を示す図である。
【0092】
レスポンスデータを含む信号とは別に、
図12Bに示されるように、少なくとも肯定応答情報を含む信号(肯定応答情報のみを含む信号であってもよい)が通信部21から無線装置10へ送信されてもよい。これにより、肯定応答情報だけを優先して無線装置10に送信することができる。
【0093】
通信部21と無線通信のリンクが確立している通信部11は、100チャンネルでレスポンスデータ及び肯定応答情報を受信し、レスポンスデータ及び肯定応答情報を上位デバイス30に出力する。これにより、上位デバイス30は、生成したコマンドデータ及び変更指示情報がステーションデバイス40へ届いたことを認識することができる。
【0094】
なお、通信部11がレーダー波を検出した後、無線装置10と無線装置20との通信環境によっては、例えば260ms経過するまでに通信部21が変更指示情報を受信できない場合が考えられる。具体的には、以下のような状況が考えられる。
【0095】
例えば、1つの無線装置10に対して無線装置20の数が50台存在する場合、無線装置10と1つの無線装置20とがコマンドデータ及びレスポンスデータの送受信を約2msで行うとすると、50台の無線装置20は、最大で100msに1回は無線装置10からコマンドデータを受信する。例えば、無線装置10は、ある無線装置20にコマンドデータを送信した直後にレーダー波を検出した場合、その100ms後に当該無線装置20にコマンドデータを送信し、その際に変更指示情報を当該無線装置20に通知する。当該変更指示情報が当該無線装置20に届かなった場合、無線装置10はその100ms後もまだコマンドデータを送信できるため、再度変更指示情報を当該無線装置20に通知するが、当該変更指示情報も当該無線装置20に届かない場合がある。このような場合、通信部21が待受けチャンネルを変更できず、無線装置10と無線装置20との無線通信が途切れてしまうおそれがあるが、このような場合に備えて、無線装置10は、
図7に示したように切替先情報を前もって無線装置20に送信している。
【0096】
例えば、無線装置20は、所定時間(例えば200msなど)、現在の待受けチャンネル(例えば100チャンネル)でコマンドデータを受信できなかった場合、切替先情報が示すチャンネル(例えば52チャンネル)に自動的に切り替える機能を有する。これにより、通信部21が変更指示情報を受信できない場合であっても、無線装置20は切替先情報を用いて待受けチャンネルを変更でき、無線装置10と無線装置20との無線通信が途切れてしまうことを抑制できる。
【0097】
なお、無線装置10と無線装置20との通信環境が、通信部21が無線装置10からの変更指示情報の受信を失敗しにくい環境である場合などには、必ずしも切替先情報が無線装置20へ送信されなくてもよい。無線装置20は、変更指示情報を受信できた場合には、切替先情報がなくても待受けチャンネルの変更を行うことができるためである。
【0098】
図13は、実施の形態に係る無線通信システム1において100チャンネルでレーダー波検出後、52チャンネルで通信をしつつ、新たなチャンネル(例えば116チャンネル)のレーダー波の監視開始時の動作を説明するための図である。
【0099】
無線装置20は、待受けチャンネルを52チャンネルに変更し、通信部21は、52チャンネルで受信待ちをしているため、52チャンネルで第1の信号を送信する通信部12は通信部21と無線通信のリンクを確立する。通信部21は、52チャンネルで第1の信号を受信し、第1の信号に含まれるコマンドデータをステーションデバイス40に出力する。ステーションデバイス40は、取得したコマンドデータに応じた処理を行う。
【0100】
一方、通信部12は、52チャンネルと同じ周波数のレーダー波の監視中に、当該レーダー波を1分間検出しなかったことをすでに確認しているため、上位デバイス30から取得したコマンドデータを第1の信号に含めて、52チャンネルを用いて第1の信号を送信する。なお、第1の信号は、第2の信号と同じ信号であるため、通信部12は、通信部11が100チャンネルと同じ周波数のレーダー波を検出した後も、52チャンネルを用いて第2の信号を送信し続けることで、52チャンネルを用いて第1の信号を送信することになる。
【0101】
ここで、例えば、通信部12が送信する第1の信号のデータフレームには、切替先情報として移行予定待受けチャンネル(例えば116チャンネル)を示す情報が含まれる。これにより、切替先情報を含む第1の信号を受信した無線装置20は、今後チャンネルを切り替える際には、切替先情報が示す116チャンネルに切り替えればよいことを認識できる。
【0102】
一方、通信部11は、100チャンネルを用いた第1の信号の送信を停止し、W56帯における100チャンネル、116チャンネル及び132チャンネルのうち、100チャンネル以外のチャンネル(ここでは116チャンネル)と同じ周波数のレーダー波の監視を開始する。また、レーダー波が検出された周波数を含むチャンネル(ここでは100チャンネル)を用いた信号の送信は、DFS機能の要求仕様上、レーダー波が検出されてから一定の停止期間(例えば30分間)は禁止されているため、無線装置10は、100チャンネルを用いた信号の送信についての上記停止期間のカウントアップを開始する。
【0103】
図14は、実施の形態に係る無線通信システム1の新たなチャンネル(例えば116チャンネル)のレーダー波の監視開始時における、レスポンスデータの送受信時の動作を説明するための図である。
【0104】
ステーションデバイス40は、取得したコマンドデータに対するレスポンスデータを生成し、無線装置20は、ステーションデバイス40からレスポンスデータを取得する。通信部21は、52チャンネルを用いてレスポンスデータを送信する。
【0105】
通信部21と無線通信のリンクが確立している通信部12は、52チャンネルでレスポンスデータを受信し、レスポンスデータを上位デバイス30に出力する。
【0106】
図15は、実施の形態に係る無線通信システム1の新たなチャンネル(例えば116チャンネル)を用いた信号の送信開始時の動作を説明するための図である。
【0107】
通信部11は、116チャンネルと同じ周波数のレーダー波の監視を開始した後、1分間当該レーダー波を検出せず、116チャンネルを用いた通信が可能な状態になり、通信部11は、上位デバイス30から取得したコマンドデータを信号に含めて、116チャンネルを用いて当該信号を送信する。その際に、無線装置10は、通信部11が通信可能状態になり、さらに、送信開始状態になったことを上位デバイス30に通知する。以降、通信部12が52チャンネルと同じ周波数のレーダー波を検出した場合には、通信部11が通信部12から引き継いで116チャンネルを用いて第1の信号の送信を行うことができる。
【0108】
なお、通信部11及び12が1分間以内に連続的にレーダー波を検出した場合には、通信部11及び12が共に新たなチャンネルについてのレーダー波の1分間の監視状態になり、通信が最大で1分間途切れるおそれがある。そこで、通信部11及び12の少なくとも一方(例えばここでは通信部12)は、DFS機能を実装することが義務付けられていない帯域(例えばW52帯)のチャンネル(例えば36チャンネル)を用いた通信機能を有している。これにより、通信部11及び12が共にレーダー波の1分間の監視状態になった場合には、通信部12は、36チャンネルを用いて無線装置20との間で無線通信を行う(その際に、待受けチャンネルを36チャンネルに変更させる指示が無線装置20に対して行われる)。ただし、W52帯は、工場などで頻繁に使用される帯域であるため、W52帯のチャンネルを常時使用しないことが望ましい。そこで、通信部11で新たなチャンネルについてのレーダー波が1分間検出されないことを確認できた場合には、通信部12は、36チャンネルを用いた無線通信を停止し、通信部11は、当該新たなチャンネルを用いて無線装置20との間で無線通信を行う(その際に、待受けチャンネルを当該新たなチャンネルに変更させる指示が無線装置20に対して行われる)。
【0109】
[待受けチャンネルの変更方法の他の例]
無線装置20の待受けチャンネルの変更方法として、切替先情報又は変更指示情報を用いる例について説明したが、これに限らない。例えば、無線装置20の待受けチャンネルを変更させるために、切替先情報又は変更指示情報のような次の待受けチャンネルを示す情報を信号のデータフレームに含ませて無線装置20に送信しなくてもよい。以下、無線装置20の待受けチャンネルの変更方法の他の例として、
図16から
図21を用いて説明する。
【0110】
図16は、コマンドデータの種類を含むデータフレームのデータ構造の一例を示す図である。
【0111】
図16に示されるように、無線装置10の通信部11及び12から無線装置20の通信部21へ送信される信号のデータフレームには、コマンドデータの内容及びそのデータ長と、コマンドデータの種類とが含まれていてもよい。コマンドデータの種類としては、ステーションデバイス40の制御の他に、通信部11に登録されたチャンネル(具体的には通信部11が信号の送信に用いるチャンネル)の通知、通信部12に登録されたチャンネル(具体的には通信部12が信号の送信に用いるチャンネル)の通知、通信部の切り替えの通知及び各チャンネルの状態の通知などがある。
【0112】
図17Aは、コマンドデータの種類として通信部11に登録されたチャンネルの通知を含むデータフレームのデータ構造の一例を示す図である。
【0113】
例えば、通信部11では、レーダー波を検出するごとに、100チャンネル、116チャンネル、132チャンネル、100チャンネル、・・・の順序で使用するチャンネルが遷移する。コマンドデータの種類が通信部11に登録されたチャンネルの通知であるコマンドデータの内容は、
図17Aに示されるように「100、116、132」であり、これは通信部11が上記遷移をすることを意味する。
【0114】
図17Bは、コマンドデータの種類として通信部12に登録されたチャンネルの通知を含むデータフレームのデータ構造の一例を示す図である。
【0115】
例えば、通信部12では、レーダー波を検出するごとに、52チャンネル、36チャンネル、52チャンネル、・・・の順序で使用するチャンネルが遷移する。コマンドデータの種類が通信部12に登録されたチャンネルの通知であるコマンドデータの内容は、
図17Bに示されるように「52、36」であり、これは通信部12が上記遷移をすることを意味する。
【0116】
このようなコマンドデータを無線装置10から取得した無線装置20は、
図18に示されるようなテーブルを生成することができる。
【0117】
図18は、通信部11及び12に登録されたチャンネル及び各チャンネルの状態が記載されたテーブルの一例を示す図である。
【0118】
無線装置20は、
図18に示されるように、通信部11では、レーダー波を検出するごとに、100チャンネル、116チャンネル、132チャンネル、100チャンネル、・・・の順序で使用するチャンネルが遷移し、通信部12では、レーダー波を検出するごとに、52チャンネル、36チャンネル、52チャンネル、・・・の順序で使用するチャンネルが遷移することを認識する。また、
図18には、通信部11に登録されたチャンネルの状態及び通信部12に登録されたチャンネルの状態が示される。「可」のチャンネルは、監視の開始後1分間レーダー波が検出されなかったチャンネル、及び、レーダー波が検出された後30分経過した後に監視が再開され1分間レーダー波が検出されなかったチャンネルを示す。「不可」のチャンネルは、監視の開始後1分間のレーダー波の監視が終了していないチャンネル、レーダー波が検出された後30分経過していないチャンネル、及び、レーダー波が検出された後30分経過した後に監視が再開され1分間のレーダー波の監視が終了していないチャンネルを示す。チャンネルの状態については後述する。
【0119】
例えば、通信部11と通信部21とは、100チャンネルを用いた無線通信のリンクが確立しており、通信部12は、通信部21との無線通信のリンクは確立していないが、52チャンネルを用いて信号の送信を行っているとする。通信部11は、100チャンネルと同じ周波数のレーダー波を検出した場合、通信部の切り替えの通知を無線装置20へ行う。
【0120】
図19Aは、コマンドデータの種類として通信部の切り替えの通知を含むデータフレームのデータ構造の一例を示す図である。
【0121】
図19Bは、コマンドデータの種類として通信部の切り替えの通知を含むデータフレームのデータ構造の他の一例を示す図である。
【0122】
図19Aに示されるように、コマンドデータの種類として通信部の切り替えの通知を含む信号(通信部の切り替えの通知のみを含む信号であってもよい)が通信部11から無線装置20へ送信される。或いは、
図19Bに示されるように、コマンドデータと共にコマンドデータの種類として通信部の切り替えの通知を含む信号が通信部11から無線装置20へ送信されてもよい。
【0123】
これら2つに例示した通信部の切り替えの通知には、次の待受けチャンネルを示す情報は含まれていないが、無線装置20は、通信部の切り替えの通知を受け取ることで、待受けチャンネルを次の待受けチャンネルに変更することができる。例えば、無線装置20は、現在のチャンネルが通信部11に登録された100チャンネルであることを認識しており、通信部の切り替えの通知を受け取ったときに、
図18に示されるテーブルを参照することで、待受けチャンネルを通信部12に登録された52チャンネルに変更すればよいことがわかるためである。
【0124】
また、無線装置10は、レーダー波の検出の状況に応じて、チャンネルの状態の通知を含むデータフレームの信号を無線装置20へ送信する。
【0125】
図20Aは、コマンドデータの種類としてチャンネルの状態の通知を含むデータフレームのデータ構造の一例を示す図である。
【0126】
図20Bは、コマンドデータの種類としてチャンネルの状態の通知を含むデータフレームのデータ構造の他の一例を示す図である。
【0127】
図20Aに示されるように、コマンドデータの種類としてチャンネルの状態の通知を含む信号(チャンネルの状態の通知のみを含む信号であってもよい)が通信部11から無線装置20へ送信される。或いは、
図20Bに示されるように、コマンドデータと共にコマンドデータの種類としてチャンネルの状態の通知を含む信号が通信部11から無線装置20へ送信されてもよい。
【0128】
チャンネルの状態の通知は、例えば、無線装置10において、あるチャンネルの状態が「可」となったときには、無線装置20において
図18に示されるようなテーブルで管理されている当該チャンネルの状態を「可」に変更するための情報が含まれる。同じように、チャンネルの状態の通知は、例えば、無線装置10において、あるチャンネルの状態が「不可」となったときには、無線装置20において
図18に示されるようなテーブルで管理されている当該チャンネルの状態を「不可」に変更するための情報が含まれる。
【0129】
例えば、通信部11が監視の開始後1分間100チャンネルと同じ周波数のレーダー波を検出しなかった場合、100チャンネルの状態を「可」に変更するための情報が無線装置20へ送信される。このとき、通信部11では、116チャンネル及び132チャンネルと同じ周波数のレーダー波は監視されていないため、116チャンネル及び132チャンネルの状態を「不可」に変更するための情報が無線装置20へ送信される。同じように、通信部12が監視の開始後1分間52チャンネルと同じ周波数のレーダー波を検出しなかった場合、52チャンネルの状態を「可」に変更するための情報が無線装置20へ送信される。一方で、36チャンネルは、DFS機能を実装することが義務付けられていない帯域のチャンネルであるため、52チャンネルの状態についても「可」に変更するための情報が無線装置20へ送信される。このようにして、無線装置20では、
図18に示されるようなテーブルが保持される。
【0130】
そして、通信部11において、100チャンネルと同じ周波数のレーダー波が検出された場合、
図18に示されるテーブルは、
図21に示されるようなテーブルに書き換えられる。
【0131】
図21は、チャンネルの状態を通知によってテーブルが書き換えられることを説明するための図である。
【0132】
通信部11において、100チャンネルと同じ周波数のレーダー波が検出されたため、100チャンネルの状態を「不可」に変更するための情報が無線装置20へ送信され、
図21に示されるように、無線装置20で保持されているテーブルにおいて、100チャンネルの状態が「不可」に変更される。また、通信部11において、116チャンネルと同じ周波数のレーダー波の監視の開始後1分間当該レーダー波が検出されなかった場合、116チャンネルの状態を「可」に変更するための情報が無線装置20へ送信され、図示していないが、無線装置20で保持されているテーブルにおいて、116チャンネルの状態が「可」に変更される。これにより、無線装置20は、通信部12に登録された52チャンネルを待受けチャンネルにしている場合に、今後、通信部の切り替えの通知を受け取ったときには、保持しているテーブルを参照することで、状態が「可」の通信部11に登録された116チャンネルを待受けチャンネルに変更することができる。また、その際に、無線装置20は、無線装置10から52チャンネルの状態を「不可」に変更するための情報が送信されるため、無線装置20で保持されているテーブルにおいて、52チャンネルの状態が「不可」に変更される。
【0133】
このように、無線装置20の待受けチャンネルを変更させるために、切替先情報又は変更指示情報のような次の待受けチャンネルを示す情報を含む信号が無線装置20に送信されなくてもよく、無線装置20において、待受けチャンネルを変更するためのテーブルが保持され、当該テーブルを参照することで無線装置20の待受けチャンネルが変更されてもよい。
【0134】
(その他の実施の形態)
以上、本発明の無線装置10(無線通信装置)及び無線通信システム1について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したもの、及び、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【0135】
例えば、上記実施の形態では、無線装置20は単一の通信部21を備え、無線装置20の通信部21と無線装置10の通信部11及び12のいずれかとが、選択的に通信リンクを確立する例について説明したが、これに限らない。例えば、無線装置20は、複数の通信部を備え、無線装置20の複数の通信部のそれぞれと、無線装置10が備える通信部11及び12のそれぞれとが、通信リンクを確立してもよい。これについて、
図22を用いて説明する。
【0136】
図22は、その他の実施の形態に係る無線通信システム1aの一例を示す構成図である。
【0137】
図22に示されるように、無線通信システム1aは、無線装置10a及び20aを備える。無線装置10aは、DFS機能が要求される複数のチャンネルのうちから選択されるチャンネルを用いて無線通信対象との間で無線通信を行う無線通信装置の一例である。無線装置20aは、無線通信対象の一例である。
【0138】
無線装置10aは通信部11a及び12aを備え、無線装置20aは通信部21a及び22aを備える。通信部11aは、通信部21aとの間で無線通信のリンクを確立するものであり、通信部12aは、通信部22aとの間で無線通信のリンクを確立するものである。通信部11a及び12aのその他の機能は、通信部11及び12と同じであるため、その他の機能の詳細の説明は省略する。
【0139】
例えば、通信部11aから送信される第1の信号と、通信部12aから送信される第2の信号とは、それぞれ異なるコマンドデータを含む。例えば、第1の信号は、移動体200に物品を搬送させるための搬送指令などを含む信号であり、第2の信号は、移動体200の移動経路における渋滞情報などを含む信号である。この態様において、第1の信号の優先度は、第2の信号の優先度よりも高い。すなわち、通信部11aは、通信部12aよりも優先度の高い信号を送信する。上記実施の形態で説明したように、通信部11aが第1の信号の送信を停止した場合、通信部12aは、第2のチャンネルを用いて第1の信号の送信を行うため、第1の信号の送信を停止した場合に、所定時間待つことなく継続して第2のチャンネルを用いて、第2の信号よりも優先度の高い第1の信号の送信を行うことができる。したがって、優先度の高い信号の送信が行われない期間を可及的に短くできる。
【0140】
例えば、上記実施の形態では、無線装置10は、2つの通信部(例えば通信部11及び12)を備える例について説明したが、3つ以上の通信部を備えていてもよく、この場合3重化などのさらなる多重化が可能となる。
【0141】
また、本発明は、無線装置10、10a(無線通信装置)及び無線通信システム1、1aとして実現できるだけでなく、無線通信装置を構成する構成要素が行うステップ(処理)を含む無線通信方法として実現できる。
【0142】
無線通信方法は、DFS機能が要求される複数のチャンネルのうちから選択されるチャンネルを用いて無線通信対象との間で無線通信を行う無線通信方法であって、
図3及び
図4に示されるように、複数のチャンネルに含まれる第1のチャンネルを用いて第1の信号の送信を行うと共に、当該第1のチャンネルと同じ周波数のレーダー波の監視を行い、当該レーダー波が検出された場合には第1のチャンネルを用いた第1の信号の送信を停止する第1ステップ(ステップS11、ステップS12、ステップS13及びステップS14)と、第1ステップにおける無線通信と併行して、複数のチャンネルに含まれ且つ第1のチャンネルとは異なる第2のチャンネルを用いて第2の信号の送信を行うと共に、当該第2のチャンネルと同じ周波数のレーダー波の監視を行い、当該レーダー波が検出された場合には第2のチャンネルを用いた第2の信号の送信を停止する第2ステップ(ステップS21、ステップS22、ステップS24及びステップS25)と、第1ステップにおいて第1の信号の送信を停止した場合(ステップS23でYes)、第2のチャンネルを用いて第1の信号の送信を行う第3ステップ(ステップS26)と、を含む。
【0143】
また、例えば、それらのステップは、コンピュータ(コンピュータシステム)によって実行されてもよい。そして、本発明は、それらの方法に含まれるステップを、コンピュータに実行させるためのプログラムとして実現できる。さらに、本発明は、そのプログラムを記録したCD-ROMなどである非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体として実現できる。
【0144】
例えば、本発明が、プログラム(ソフトウェア)で実現される場合には、コンピュータのCPU、メモリ及び入出力回路などのハードウェア資源を利用してプログラムが実行されることによって、各ステップが実行される。つまり、CPUがデータをメモリ又は入出力回路などから取得して演算したり、演算結果をメモリ又は入出力回路などに出力したりすることによって、各ステップが実行される。
【0145】
また、上記実施の形態の無線通信装置に含まれる複数の構成要素は、それぞれ、専用又は汎用の回路として実現されてもよい。これらの構成要素は、1つの回路として実現されてもよいし、複数の回路として実現されてもよい。
【0146】
また、上記実施の形態の無線通信装置に含まれる複数の構成要素は、集積回路(IC:Integrated Circuit)であるLSI(Large Scale Integration)として実現されてもよい。これらの構成要素は、個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。LSIは、集積度の違いにより、システムLSI、スーパーLSI又はウルトラLSIと呼称される場合がある。
【0147】
また、集積回路はLSIに限られず、専用回路又は汎用プロセッサで実現されてもよい。上述したように、プログラム可能なFPGA、又は、LSI内部の回路セルの接続及び設定が再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサが、利用されてもよい。
【0148】
さらに、半導体技術の進歩又は派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて、無線通信装置に含まれる各構成要素の集積回路化が行われてもよい。
【0149】
その他、実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0150】
本発明は、DFS機能を実装することが義務付けられている帯域を使用する無線通信装置などに利用できる。
【符号の説明】
【0151】
1、1a 無線通信システム
10、10a、20、20a 無線装置
11、11a、12、12a、21、21a、22a 通信部
30 上位デバイス
40 ステーションデバイス
100 コントローラ
200 移動体