(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022008350
(43)【公開日】2022-01-13
(54)【発明の名称】個人衛生システム
(51)【国際特許分類】
A61C 17/22 20060101AFI20220105BHJP
【FI】
A61C17/22 B
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021146376
(22)【出願日】2021-09-08
(62)【分割の表示】P 2020535326の分割
【原出願日】2018-09-13
(31)【優先権主張番号】17192762.7
(32)【優先日】2017-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】508117514
【氏名又は名称】ブラウン ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 卓久
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 一真
(72)【発明者】
【氏名】インゴ、フェッター
(72)【発明者】
【氏名】レオ、ファランダ
(72)【発明者】
【氏名】マティアス、シーバーン
【テーマコード(参考)】
3B202
【Fターム(参考)】
3B202AA01
3B202AB26
3B202BE10
3B202GA07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】位置情報判定とトリートメントパラメータ値判定とを有する個人衛生システムを提供する。
【解決手段】個人衛生システム1は、トリートメントヘッド110を有する個人衛生デバイス100と、トリートメントセッション中の複数のタイムインスタンスにおいて、トリートメントヘッドの位置情報を判定するための位置判定ユニット210と、複数のタイムインスタンスにおいて、トリートメントパラメータ値を判定するためのセンサユニットと、判定された位置情報及び判定されたトリートメントパラメータ値を処理して、位置分解トリートメントデータを生成するためのプロセッサユニット200と、位置分解トリートメントデータを記憶するためのメモリユニットと、現在の位置情報及び記憶された位置分解トリートメントデータに基づいて、個人衛生システムの動作をトリガするための制御ユニットと、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
個人衛生システム、特に、口腔ケアシステムであって、
トリートメントヘッドを有する個人衛生デバイス、特に、口腔ケアデバイスと、
トリートメントセッション中の複数のタイムインスタンスにおいて、特に、ユーザのトリートメント領域に関する、前記トリートメントヘッドの位置情報を判定するための位置判定ユニットと、
前記複数のタイムインスタンスにおいて、少なくとも1つのトリートメントパラメータのトリートメントパラメータ値を判定するためのセンサユニットと、
前記判定された位置情報及び前記判定されたトリートメントパラメータ値を処理して、少なくとも位置分解トリートメントデータを生成するためのプロセッサユニットと、
前記少なくとも位置分解トリートメントデータを記憶するためのメモリユニットと、
少なくとも現在の位置情報及び前記記憶された位置分解トリートメントデータに基づいて、前記個人衛生システムの動作をトリガするための制御ユニットと、を備える、システム。
【請求項2】
前記プロセッサユニットは、前記位置情報を規定数の位置ゾーンに分解し、位置ゾーン毎に前記トリートメントパラメータを蓄積するように配置され、蓄積とは、特に、時間加重で前記トリートメントパラメータ値を加算又は平均することを意味し、任意で、各位置ゾーンについて、前記判定された位置情報が前記各位置ゾーンに関連する場合、位置ゾーンカウンタを増加させる、請求項1に記載の個人衛生システム。
【請求項3】
前記制御ユニットは、現在の前記トリートメントセッションの規定期間が経過した後又は規定回数のトリートメントセッションが実施された後にのみ、前記個人衛生システムの前記動作をトリガするように配置される、請求項1又は2に記載の個人衛生システム。
【請求項4】
前記制御ユニットのワークフローに影響を与える少なくとも1つの命令コマンドを入力するためのユーザインターフェースユニットを備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の個人衛生システム。
【請求項5】
ユーザ識別ユニットを備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の個人衛生システム。
【請求項6】
少なくとも1つのトリートメントセッションから、特に、少なくとも2つ以上のトリートメントセッションから、位置分解トリートメントデータを処理するためのトリートメントデータ分析ユニットを備える、請求項1~5のいずれか一項に記載の個人衛生システム。
【請求項7】
前記位置判定ユニットは、ビデオカメラ、磁気センサ、静電容量センサ、IRセンサ、温度センサ、加速度センサ、ジャイロスコープ、傾斜センサ、超音波エミッタ、及び超音波受信機のうちの少なくとも1つ、又は、これらの任意の組み合わせを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の個人衛生システム。
【請求項8】
前記個人衛生システムは、前記位置判定ユニットが位置マップを判定するための位置情報を組み立てる校正モードを備える、請求項1~7のいずれか一項に記載の個人衛生システム。
【請求項9】
前記位置判定ユニットは、前記位置マップを、少なくとも2つの位置ゾーン、特に、少なくとも5つの位置ゾーン、更には、少なくとも16の位置ゾーンに、セグメント化するように配置される、請求項8に記載の個人衛生システム。
【請求項10】
前記プロセッサユニットの少なくとも一部は、前記個人衛生デバイスと物理的に分離されたデバイス内に配設され、特に、前記デバイスは、スマートフォン又はクラウドコンピュータである、請求項1~9のいずれか一項に記載の個人衛生システム。
【請求項11】
前記センサユニットは、圧力センサ、移動センサ、傾斜センサ、プラークセンサ、トルクセンサ、口臭センサ、化学センサ、pHセンサ、又はモータ電流センサ、及び/又は、モータ電圧センサのうちの少なくとも1つを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の個人衛生システム。
【請求項12】
ディスプレイを更に備え、前記制御ユニットは、前記個人衛生システムの前記動作として、トリートメントデータ、及び/又は、分析されたトリートメントデータ、及び/又は、トリートメントアドバイスの表示をトリガするように配置される、請求項1~11のいずれか一項に記載の個人衛生システム。
【請求項13】
前記トリートメントヘッドを、周波数又は振幅のうちの少なくとも1つを有する運動に駆動するための駆動ユニットを更に備え、前記制御ユニットは、前記個人衛生システムの前記動作として、前記トリートメントヘッドが駆動される前記周波数、及び/又は、前記振幅をトリガするように配置される、請求項1~12のいずれか一項に記載の個人衛生システム。
【請求項14】
視覚的、聴覚的、又は触覚的に知覚可能な方法で情報を指示するためのインジケータユニットを更に備え、前記制御ユニットは、前記個人衛生システムの前記動作として、前記インジケータユニットによる指示をトリガするように配置される、請求項1~13のいずれか一項に記載の個人衛生システム。
【請求項15】
前記制御ユニットは、前記現在位置についての前記位置分解トリートメントデータからの値を、少なくとも第1の閾値と比較し、前記比較結果に基づいて、前記動作をトリガするように配置される、請求項1~14のいずれか一項に記載の個人衛生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリートメントセッション中に個人衛生デバイスのトリートメントヘッドの位置情報を判定するための位置判定ユニットと、トリートメントパラメータ値を判定するためのセンサユニットと、を備える、個人衛生デバイスに関連する。
【背景技術】
【0002】
口腔ケアシステムなどの個人衛生システムは、個人衛生デバイス(例えば、電動歯ブラシ)と、個人衛生デバイスのトリートメントヘッドの現在の位置情報を判定するための位置判定ユニットと、を備え得ることが知られている。また、個人衛生デバイスは、個人衛生デバイスのトリートメントヘッドがユーザのトリートメント領域に押し付けられる圧力などのトリートメントパラメータをモニタリングするためのセンサユニットを備え得ることも、一般的に知られている。文書DE 10 2008 027 317 B4号は、このような特徴の組み合わせを有する口腔衛生システムを全般的に検討している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】DE 10 2008 027 317 B4号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の目的は、既知の個人衛生システムを上回るように改善された、位置情報判定とトリートメントパラメータ値判定とを有する個人衛生システムを提供することであり、特に、この場合の改善は、位置情報及びトリートメントパラメータ値情報を使用することによるものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様によると、個人衛生システム、特に、口腔ケアシステムであって、トリートメントヘッドを有する個人衛生デバイス、特に、口腔ケアデバイスと、トリートメントセッション中の複数のタイムインスタンスにおいて、特に、ユーザのトリートメント領域に関する、トリートメントヘッドの位置情報を判定するための位置判定ユニットと、複数のタイムインスタンスにおいて、少なくとも1つのトリートメントパラメータのトリートメントパラメータ値を判定するためのセンサユニットと、判定された位置情報及び判定されたトリートメントパラメータ値を処理して、少なくとも位置分解トリートメントデータを生成するためのプロセッサユニットと、少なくとも位置分解トリートメントデータを記憶するためのメモリユニットと、少なくとも現在の位置情報及び記憶された位置分解トリートメントデータに基づいて、個人衛生システムの動作をトリガするための制御ユニットと、を備える、システムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本開示を、例示的実施形態の詳細な説明及び図面の参照によって更に明らかにする。図中、
【
図1】本開示による、一例としての個人衛生システムの図である。
【
図2】本開示の個人衛生システムの機能構成要素の概略図である。
【
図3A】トリートメントセッション中に得られる、一例としての位置情報の図である。
【
図3B】同一のトリートメントセッション中に得られる、一例としてのトリートメントパラメータ値の図である。
【
図3C】完全なトリートメントセッション中に、個人衛生デバイスのトリートメントヘッドが種々の位置ゾーンに位置決めされていたときの位置分解トリートメント時間の、蓄積された時間の図である。
【
図3D】完全なトリートメントセッション中に、その間
図3Bに示される判定されたトリートメント値が第1の閾値を上回っていた位置分解トリートメント時間の、蓄積された時間の図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書の文脈において、「個人衛生」とは、皮膚及びその付属器(すなわち、毛及び爪)並びに、歯及び口腔(舌、歯茎などを含む)の育成(又はケア)を意味するものとし、一方では、疾病の予防並びに健康の維持及び強化(「衛生」)を目指し、また一方では、皮膚及びその付属物の美容的処置並びに外観の改善を目指すものである。これは、ウェルビーイングの維持及び強化を含む。これには、スキンケア、ヘアケア、口腔ケア、及びネイルケアを含む。これには、顎ひげケア、シェービング、及び脱毛など、その他のグルーミング行為も更に含む。従って、「個人衛生デバイス」とは、このような育成又はグルーミング行為を実施するための任意のデバイス、例えば、皮膚マッサージデバイス又は皮膚ブラシなどの(美容)皮膚トリートメントデバイス、ウェットカミソリ、電動シェーバー又はトリマー、電気脱毛器や、手動又は電動の歯ブラシ、(電動)フロス、(電動)イルリガートル、(電動)舌クリーナ、又は(電動)歯茎マッサージ器などの口腔ケアデバイスを意味する。これは、本提案の個人衛生システムが、このような育成又はデバイスの領域のうちの1つ又は複数の領域で、これらの育成又はデバイスの領域のうちのそれ以外の1つ又は複数においてよりも、より顕著な利点を有し得ることを除外するものでない。
【0008】
本提案の個人衛生システムは、トリートメントヘッドを有する個人衛生デバイスを備える。トリートメントヘッドは、(駆動ユニットにより)アクティブに駆動されてもよく、よって電動個人衛生デバイスと称され、手動個人衛生デバイスとは称されない。後者の場合には、トリートメントヘッドがアクティブに駆動されることはない(手動歯ブラシ又はウェットカミソリのように、ユーザによって手動で動かされ得る)。電動歯ブラシは、電動個人衛生デバイスの一例、特に、電動口腔ケアデバイスのグループの一例である。手動歯ブラシは、手動個人衛生デバイスの一例、特に、手動口腔ケアデバイスのグループの一例である。
【0009】
本開示による個人衛生システムは、動作中に(すなわち、トリートメントセッション中に)、複数のタイムインスタンスにて、トリートメントヘッドの位置情報を判定する位置判定ユニットを備える。ヘッドは、通常、ユーザのトリートメント領域で使用されるため、トリートメントヘッドの位置情報は、特に、ユーザのトリートメント領域に関して判定されてもよい。位置情報は、固定の座標系に対する空間内の絶対位置、又は、非固定の参照系に関して判定された相対位置であってもよい(例えば、トリートメント領域は、ユーザが空間内を移動する際の非固定の参照系を表し、ここでいう空間とは、例えば、バスルームなどの固定の参照系を意味する)。位置情報は、統計解析などの結果であってもよく、従って、空間内の絶対位置又は相対位置でなくてもよい。このような場合、位置情報は、例えば、左上臼歯又は右下頬などの位置ゾーンであってもよい。文書EP 3 141 151 A1号は、遠隔カメラ(例えば、スマートフォンのカメラ)と、個人衛生デバイス内に配設された加速度計を使用して、空間内の絶対位置又は相対位置でなく、ユーザのトリートメント領域に関する位置ゾーンを判定する位置判定方法について記載している。位置検出ユニットは、ビデオカメラ、磁気センサ、静電容量センサ、IRセンサ、温度センサ、加速度センサ、ジャイロスコープ、傾斜センサ、超音波エミッタ及び超音波受信機のうちの少なくとも1つ、又は、これらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0010】
ユーザのトリートメント領域は、育成、ケア、又はグルーミングされるべきユーザの領域である。例えば、通常、歯ブラシとして実現される個人衛生デバイスのユーザのトリートメント領域は、ユーザの歯(並びに、或る程度の歯茎及び/又は舌)を含むユーザの口腔であり、ウェットカミソリとして実現される個人衛生デバイスのトリートメント領域は、ユーザの毛の生えた領域(例えば、顔面の毛のある領域)を含む。位置判定ユニットが位置情報を判定するタイムインスタンスは、すべてが一定の時間的距離を有するインスタンスであってもよい(例えば、位置情報及びトリートメントパラメータ値は、1ミリ秒(ms)毎、10ms毎、100ms毎、1秒毎、2秒毎、5秒毎、10秒毎などで判定されてもよい)。トリートメントヘッドの位置情報の判定には、種々の技術が採用されてもよい。これらの技術には、映画の特殊効果で既知のモーショントラッキング技術が含まれてもよい。前述の欧州特許出願EP 3 141 151 A1号は、個人衛生デバイス内に配設された加速度センサより提供される加速度センサデータと組み合わせて、個人衛生デバイスを使用中のユーザのライブビデオのビデオストリーム解析を利用する技術について記載している。米国特許第8,744,192 B2号は、カメラと、個人衛生デバイス上及びユーザの解剖学的構造(例えば、顔)上のランドマークとを使用する、位置検出技術について記載している。トリートメント領域及びトリートメントヘッドの空間における絶対位置を、位置情報として提供し得るものであり、これによりトリートメント領域に対するトリートメントヘッドの位置を演算可能とする技術がある一方で、機械学習の概念を適用して、トレーニング済みのアルゴリズムに基づいて、トリートメント領域との関連でトリートメントヘッドの位置を直接、位置情報として提供する技術もある(例えば、前述のEP 3 141 151 A1号は、このような技術について記載している)。基本的には無限数の絶対位置が存在するが、位置情報は、トリートメント領域を網羅する(特に、規定の)有限数の位置ゾーンに分割されて、位置情報の判定に、位置ゾーンのレベルでの位置の直接判定が含まれ得るようにする。前述の文書EP 3 141 151 A1号は、位置判定ユニットが、個人衛生デバイスの加速度計データとの組み合わせにおいて、ライブビデオの解析に基づいて、個人衛生デバイスのトリートメントヘッドの存在する確率が最も高い位置ゾーンを、位置情報として出力することについて記載している。EP 3 141 151 A1号の関連内容は、参照として本明細書中に含まれる。
【0011】
個人衛生システムは更に、動作中、位置情報が判定されるものと同一又は異なるタイムインスタンスにおいて、少なくとも1つのトリートメントパラメータの現在の値を判定するセンサユニットを備える。以下、ほとんどの例は、トリートメントヘッドがトリートメント領域に対して適用される接触圧力に基づくものであるが、これらの例は、非限定的なものと考慮されなければならず、トリートメントパラメータは、(個人衛生デバイスがモータを、例えば、トリートメントヘッドを駆動するためのモータを備える場合)モータ電流センサ及び/又はモータ電圧センサによって測定されるモータ電流又はモータ電圧、pHセンサからの出力、口臭センサからの出力、個人衛生デバイスの向き又は傾斜を示す、向きセンサ又は傾斜センサからの出力、トルクセンサからの出力、移動センサからの出力、トリートメントヘッドとトリートメント領域との間の接触領域における化学薬品量を測定する化学センサからの出力など、トリートメントセッションの任意の他の関心対象パラメータであってもよい。センサユニットはまた、時間を「感知」するクロック(「時間センサ」)を含むものとして理解されるべきである。そして、トリートメントパラメータは時間となり、トリートメントパラメータ値はクロック値となる。いくつかの実施形態において、センサユニットは、クロックと、更なるセンサ(例えば、圧力センサ)とを備える。実施形態において、位置情報の判定と、時間以外のトリートメントパラメータ値の判定が、時間的に等距離のタイムインスタンスで生じる場合、追加のクロック値が必要とされなくてもよい。センサユニットは、前述のタイプのうち、2つ以上のセンサを備えてもよいが、皮膚水分センサ、皮膚色センサ、髪色センサなど、他のセンサも考えられる。
【0012】
個人衛生デバイスは、位置分解トリートメントデータを生成するために、少なくともトリートメントパラメータの現在の値と現在の位置情報とを処理するためのプロセッサユニットを追加で備える。トリートメントパラメータ値及び位置情報は時系列に提供される(トリートメントセッション中の複数のタイムインスタンスにおいて判定される)ものの、トリートメントデータ自体は、位置分解されたもので、時系列でなくてもよい(これは、個人衛生システムが、代替又は追加として、トリートメントデータ値及び位置情報の時系列を記憶することを排除するものでない)。一般に、位置分解トリートメントデータは、位置ゾーン情報に変換された位置情報とトリートメントパラメータ値のペアで構成されてもよい。ここで位置ゾーンとは、定量的又は定性的に、定義され得る位置領域を意味する(以下に示す例を参照のこと)。プロセッサユニットは、追加又は代替として、各位置ゾーンに対するトリートメントパラメータ値を蓄積してもよい。蓄積とは、単なる加算を意味してもよく、或いは、時間荷重による重みづけを意味してもよい。位置分解トリートメントデータはまた、例えば、位置情報、トリートメントパラメータ値(時間以外)、及びクロック値(又は有効時間幅、すなわち、連続するタイムインスタンス間の時間)など、データ点の3つ組を含んでもよい。各タイムインスタントにおいて、単一のトリートメントパラメータ値でなく、いくつか(すなわち、2つ以上)の異なるトリートメントパラメータ値が判定及び記憶されてもよい。ユーザを識別可能な情報、日付及び/又は時刻の情報(例えば、午前のタイミングか、午後のタイミングか)、使用されたトリートメントヘッドについての情報(異なるトリートメントヘッドが使用可能な場合)など、更なるデータが追加されてもよい。
【0013】
プロセッサユニットは、トリートメント領域(個々のユーザに対して異なってもよい)が事前に定義された数のトリートメントゾーンに分割されるように(例えば、口腔ケアの場合、トリートメントゾーンは、個々の歯の表面、個々の歯、又は複数の歯を含む歯科的ゾーンであってもよく、シェービングの場合、トリートメントゾーンは、左頬、右頬、顎、上唇、及び首など、顔の毛の生えた部分のサブ領域であってもよい)、事前にプログラムされるか、又は校正されてもよい。校正モードにおいて、ユーザは、個人衛生デバイスを使用し、トリートメントセッションで到達し得る関連位置を網羅した位置マップを生成することができるように、トリートメント領域の一部又は全部のトリートメントを(連続して)行うように、アドバイスされてもよい。トリートメント領域の部分は、トリートメント領域全体が、それらに分割され得る位置ゾーンと一致してもよい。いくつかの実施形態において、トリートメント領域の部分は、位置ゾーンに組み合わせられる。歯ブラシの校正モードにおいて、ユーザは、歯列の異なる部分のトリートメントを連続して行うように求められてもよい。そして、ユーザがトリートメント領域の特定部分のトリートメントを行うべき期間に判定された位置情報を参照として使用し、続くトリートメントセッションで、位置ゾーンを判定してもよい。そして、続くトリートメントセッションでは、校正モード中に判定された位置情報の範囲内に収まる位置情報が、各位置ゾーンに関連する。このように、位置マップを使用して、トリートメント領域を位置ゾーンに分割してもよい。例えば、一実施形態において、トリートメント領域が歯を含む場合、ユーザが次いで口腔内に存在するすべての歯のトリートメントを行うように求められるように、校正モードが配置されてもよい。そして、結果として得られた位置マップを位置ゾーンにグループ化してもよい。また比較的単純な実施形態においては、位置マップが2つの位置ゾーンに分割され、例えば、1つの位置ゾーンを上の歯1つの位置ゾーンを下の歯とするか、又は、1つの位置ゾーンを左の歯1つの位置ゾーンが右の歯とする。他の実施形態において、位置マップは、4つの位置ゾーンに分割される(すなわち、歯列の4つの象限を反映させる)か、又は5つのゾーンに分割される(4つの象限に加え、前歯の位置ゾーンを含む)。当然のことながら、他の任意の数の位置ゾーンが使用されてもよく、例えば、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12等の位置ゾーンが使用されてもよい。歯は、2本ずつ、16のゾーンにグループ化されてもよい。歯のグループは更に、各グループについて、頬側の、舌側の、咬合の、及び/又は、切歯の、歯の表面の位置ゾーンに分割されてもよい。これが最大32の歯の各々について実施された場合、84の位置ゾーンが使用されてもよい。その他の個人衛生デバイスについては、他の位置ゾーンが適用されてもよい。例えば、ウェットカミソリの場合、位置ゾーンには、左右の頬領域、顎領域、首領域、及び上唇領域が含まれてもよい。口腔ケアデバイスの場合、校正モードにより、位置ゾーン判定をカスタマイズできるように、ユーザが特定の歯が欠損していることを入力できるようにしてもよい。一般に、プロセッサユニットは、ユーザ入力が校正モードの詳細及び/又は位置ゾーンの定義をカスタマイズできるように配置されてもよい。プロセッサユニットは、特に、1つの追加位置ゾーン、例えば、何らかの理由により、位置ゾーンに割り当てることのできない位置情報のために使用され得る「ゼロ番目の」位置ゾーンを有するように配置されてもよい。
【0014】
実施形態において、トリートメントヘッドの接触圧力がトリートメントパラメータである場合、プロセッサユニットは、個人衛生デバイスが各位置ゾーンで使用されている間の各位置ゾーンの時間を蓄積してもよい。代替又は追加として、接触圧力が第1の閾値を上回っている時間を位置ゾーン毎に蓄積してもよい。他の実施形態において、プロセッサユニットは、現在のトリートメントパラメータ値と現在の位置情報とを読み出したペアを、定期的に収集する(高度な実施形態では、データ点の3つ組が収集され、この場合、更に、トリートメントセッション開始以降の時間が他の2つのデータエントリに加えられる)。プロセッサユニットは、特に、現在のトリートメントセッションで生成されたトリートメントデータとともに、少なくとも1つ前のトリートメントセッションで収集されたトリートメントデータを蓄積するように配置されてもよい。より多くのトリートメントデータが蓄積されるほど、トリートメントデータがよりよく解析可能となる。これは、各タイムインスタンスで判定されたデータの2つ組、3つ組、4つ組などシーケンス全体が記憶され、以降に生じ得る解析のために保管されることを排除するものでない。
【0015】
個人衛生デバイスは、上述のとおり、位置分解トリートメントデータを記憶するためのメモリユニットを備える。位置分解トリートメントデータとは、例えば、位置情報(例えば、判定された位置ゾーン)と、トリートメントパラメータ値の2つ組のシーケンスを意味してもよく、又は、位置ゾーン毎に蓄積(又は時間平均)されたトリートメントパラメータ値を意味してもよい。
【0016】
最後に、個人衛生システムは、現在の位置情報と、記憶された位置分解トリートメントデータとに基づき、個人衛生システムの動作をトリガする制御ユニットを備える。再び、トリートメントパラメータが接触圧力である例を挙げると、制御ユニットは、現在の位置情報が、第1の閾値を上回る接触圧力が以前に(且つ、場合によっては反復して)検出されたか、又は、過度に高い接触圧力の蓄積時間が第1の閾値を上回る(例えば、この閾値は、蓄積時間値であってもよく、又は、現在の位置ゾーンにおける蓄積時間のうちの少なくとも5%の間、過度に高い接触圧力が検出されたなど、相対的な値であってもよい)トリートメントゾーンに関連する場合、ユーザが推奨接触圧力値を尊重するように、例えば、警告を示してもよい。制御ユニットは、少なくとも十分な長さのトリートメントセッションが処理された後にのみ、この警告を開始してもよく、十分な長さとは、通常のトリートメントセッションより短い期間を意味してもよく(例えば、通常のトリートメントセッションが2分間続く場合には1分間を意味してもよい)、或いは、1つ又は複数のトリートメントセッションを意味してもよい。一般に、個人衛生システムの動作は、ユーザによって視覚的、聴覚的、又は触覚的に認識可能な動作を含んでもよい。視覚的に認識可能な動作は、LEDなどの可視インジケータをオンにすることであってもよく、或いは、例えば、LCD又はOLEDディスプレイ上への情報又は命令ユニットの表示であってもよい。聴覚的に認識可能な動作は、音源(例えば、ビープ音装置)をオンにすることや、録音した命令の再生であってもよい。触覚的に認識可能な動作は、振動器の振幅又は周波数の一方の変化(例えば、振動器が短くオンにされる)や、駆動ユニット(例えば、トリートメントヘッドを駆動するために使用される)の振幅又は周波数の一方の変化であってもよい。
【0017】
制御ユニットは、現在のトリートメントパラメータ値を第1の(特に、規定の)閾値と比較して、個人衛生デバイスの動作をその比較結果に従わせるように配置されてもよい。代替又は追加として、制御ユニットは、現在位置についての記憶された位置分解トリートメントデータからの値を、第1の(特に、規定の)閾値と比較し、個人衛生デバイスの動作をその比較結果に従わせるように配置されてもよい。例えば、記憶された位置分解トリートメントデータの値が、平均接触圧力であってもよく、制御ユニットは、現在の位置に対するこの平均接触圧力が第1の閾値を上回る場合に、トリートメントアドバイス(すなわち、命令)の表示のみを行うこととなる。制御ユニットはまた、2つの閾値と比較して、現在の値が第1の閾値のみを上回るものの第2の閾値は上回らないか、又は、現在の値が第2の閾値も上回るか、に基づいて動作させてもよい。従って、制御ユニットは、エスカレートする動作システムを提供することができる。例えば、現在のトリートメントパラメータの値が第1及び第2の閾値の間にある場合には、命令の表示のみが行われるが、現在の値が第2の閾値を超えている場合には、制御ユニットによって、触覚的に知覚可能な指示がトリガされる。いくつかの実施形態において、制御ユニットは、所与の位置ゾーンに対するトリートメントセッション中に、既に提供された動作の数に基づき、動作をエスカレートさせてもよい。
【0018】
個人衛生システムの一部又はいくつかの部分は、個人衛生デバイスから物理的に分離したデバイス内に配置されてもよい。例えば、プロセッサユニットは、個人衛生デバイスから物理的に分離したデバイス内に配設されてもよい。プロセッサユニットは、スマートフォン又はコンピュータ、例えば、クラウドコンピュータ内に配設されてもよい。従って、個人衛生システムは、個人衛生デバイスと分離した装置との間の通信手段、例えば、標準又は独自の無線接続を備えてもよい。無線接続は、WLAN接続であってもよく、又はインターネットを介して確立されてもよい。
【0019】
個人衛生システムは、トリートメントセッションの前、その間、又は後に、情報又は命令を表示するように配置されたディスプレイを備えてもよい。情報には、トリートメントデータ又は解析されたトリートメントデータが含まれてもよい。情報又は命令は、特に、個人衛生システムにおいてトリガされたアクションとして、表示されてもよい。ディスプレイは、個人衛生デバイスに配置されてもよく、又は、個人衛生デバイスから物理的に分離していてもよい(例えば、物理的に分離したデバイスとしてスマートフォンが使用される場合、スマートフォンのディスプレイが個人衛生デバイスのディスプレイを実現してもよい)。個人衛生システムの前述の構成要素のうちの1つ以上を各々が備える、互いに異なる分離したデバイスが使用されてもよい。例えば、ディスプレイが第1の分離したデバイス内に配設されてもよく、プロセッサユニットが他の分離したデバイス内に配設されてもよい。個人衛生デバイス及び他の任意の分離したデバイスは、有線又は無線の通信を確立するための送信機及び受信機のうちの少なくとも1つを備えてもよい。送信機及び受信機を有するデバイスは、代わりに、送受信機を備えてもよい。
【0020】
個人衛生システムは、制御ユニットのワークフローに影響を与える少なくとも1つの命令コマンドを入力するためのユーザインタフェース(個人衛生デバイス又は物理的に分離したデバイスに配置される)を備えてもよい。これには、個人衛生システムの動作をカスタマイズする可能性が含まれる。
【0021】
個人衛生デバイスは、ユーザ識別ユニットを備えてもよい。これは、ユーザインタフェースにより、(例えば、ユーザの氏名をタイピングするか、過去に生成された一覧よりユーザの氏名を選択することによるか、又は指紋センサなどにより)現在のユーザを入力できるように配置されてもよい。代替又は追加として、これは、ユーザの写真を撮影するカメラと、写真解析プログラムとによって配置されてもよい。カメラはまた、ユーザの特定のジェスチャーを識別できるように配置されてもよい(例えば、特定数の指を見せることで、現在のユーザを判定してもよく、4本の指を見せれば、可能性のあるユーザの一覧のうち4番目のユーザが、現在、個人衛生システムを使用していることを意味するなど)。
【0022】
前述のとおり、個人衛生システムは、現在の位置情報と、少なくとも記憶された位置分解トリートメントデータとに基づき、個人衛生システムの動作をトリガする制御ユニットを備える。トリガされるアクションは、以下のうちの1つ以上であってもよい。
-トリートメントデータ、及び/又は、情報、及び/又は、トリートメントアドバイスを表示すること(この場合、情報には、異なる位置ゾーンにおいて蓄積されたトリートメントデータのマップなど、解析された位置分解トリートメントデータが含まれてもよい)
-少なくとも規定期間、駆動されるトリートメントヘッドの周波数又は振幅を変化させること
-視覚的、聴覚的、又は触覚的に知覚可能な信号を送達するように、インジケータユニットを制御することであって、この場合のインジケータユニットは、光源(例えば、LED)、音源(例えば、スピーカ)、又は振動源(例えば、圧電振動器などの振動器)であってもよい。
【0023】
この動作は、特に、位置分解トリートメントデータが現在の位置ゾーンに対する閾値を上回る場合にトリガされる。1つの閾値の代わりに、第1の閾値と、少なくとも第2の閾値とを使用することができ、位置分解トリートメントパラメータが第2の閾値を上回る値を有するときに、トリガされる動作がエスカレートされ、例えば、トリガされる動作が、そのときは単に視覚的に知覚可能なフィードバックのみを行うことではなく、ユーザに視覚的且つ聴覚的に知覚可能なフィードバックを行うことを含んでもよい。
【0024】
本明細書中に提案される個人衛生システムにより、過去に記録された挙動と、ある程度の高確率でこれから再び生じ得る挙動について、各挙動が「良い」挙動であったか、又は、「悪い」挙動であったかに応じて、それぞれの挙動が推奨されるか、推奨されないかというフィードバックをユーザに提供することができるようになる。従って、悪い挙動(例えば、或る位置ゾーンにおいて過度に高い圧力を用いること)が低減され、良い挙動が刺激され、全体としての挙動が改善され得る。
【0025】
図1は、本開示による、個人衛生システム1の一例としての図である。個人衛生システム1は、ここでは電動歯ブラシとして実現される個人衛生デバイス100と、分離して設けられたディスプレイ及びプロセッサユニット200とを備える。個人衛生デバイス100は、ユーザのトリートメント領域にトリートメントを適用する、例えば、口腔内の歯をブラッシングするためのトリートメントヘッド110と、ハンドル120とを備える。図示のとおり、ユーザ300は、トリートメント領域320(ここでは、口腔)にトリートメントヘッド110を位置決めするために、手310でハンドル120を掴むことができる。分離して設けられたディスプレイ及びプロセッサユニット200は、カメラ220とディスプレイ230とを有する位置判定ユニット210を備える。個人衛生デバイス100と、分離して設けられたディスプレイ及びプロセッサユニット200とは、無線通信を行うように配置されてもよい(例えば、両方とも、各送受信機ユニットを備えてもよく、無線通信は、Bluetooth(産業規格IEEE 802.15.1)などの規格に準拠したものであってもよく、又は、独自のプロトコルに準拠してもよい。
図1に示される個人衛生システムは、単なる一例である。他の実施形態において、個人衛生システムのすべての関連特徴は、個人衛生デバイス自体に収容される(例えば、カメラからの動画又は写真ストリームに基づく位置判定を実施するために、カメラがトリートメントヘッド内、又はトリートメントヘッド付近に配設されてもよい)。
【0026】
図2は、個人衛生システム1Aの関連機能特徴の概略図である。個人衛生システム1Aは、トリートメントヘッド11を有する個人衛生デバイス10と、破線の四角で示される処理構成50とを備える。
図1に示されるとおり、個人衛生デバイス10内、又は、少なくとも1つの分離したデバイス内に、処理構成50の種々の構成要素が配設されてもよい。いくつかの実施形態において、処理構成50の種々の部品は、少なくとも2つの異なるデバイス内に物理的に配設され、そのうちの1つが、個人衛生デバイスであってもよい。
【0027】
図示の一例としての実施形態において、個人衛生デバイス10は、トリートメントヘッド11と、ハンドル12とを備える。駆動ユニット40、エネルギー源41、及び無線で信号の受信及び送信を行うための追加の送受信機42など、種々の構成要素がハンドル12内に収容されてもよいことが概略的に示されている。ここでの個人衛生デバイス10は、光源31(例えば、LED)、音源32(例えば、スピーカ)、振動源33(例えば、圧電振動機)など、種々のインジケータ要素と、ディスプレイ34と、を備える。個人衛生デバイスはまた、少なくとも1つのトリートメントパラメータの値を動作中に判定するためのセンサユニット20も備える。センサユニット20は、上述したセンサのうちの1つ又は複数を備えてもよい。
【0028】
更に、個人衛生システム1Aは、位置判定ユニット60を備える(この位置判定ユニット60は、図示の例において、個人衛生デバイス10内に配設された第1の構成要素61(例えば、加速度計)と、個人衛生デバイスから物理的に分離したデバイス内に配設された第2の構成要素62(例えば、カメラ)とを有する。位置判定ユニット60は、トリートメントセッション中に、時間的に連続して(すなわち、位置情報は、トリートメントセッション中の複数のタイムインスタンスで判定される)、トリートメントヘッド11の位置情報、特に、ユーザのトリートメント領域との関連でトリートメントヘッド11の位置情報を判定するように配置される。
【0029】
処理構成50は、制御ユニット70と、ユーザインターフェースユニット71と、無線でデータの受信及び送信を行うための送受信機72とを備える。更に、処理構成50は、プロセッサユニット80と、メモリユニット90とを備える。ここでの位置判定ユニット60は、プロセッサユニット80と連結され、また送受信機42及び72とも連結されて、プロセッサユニット80の専用の部分を使用して位置情報が判定されるようにする。
【0030】
センサユニット20は、トリートメントセッション中、時間的に連続して、少なくとも1つのトリートメントパラメータのトリートメントパラメータ値を判定するように配置される。トリートメントパラメータ値が判定されるタイムインスタンスは、位置情報が判定されるタイムインスタンスと一致する必要はない。関連する位置情報及びトリートメントパラメータ値の2つ組は、時間的に互いに最も近いものを見つけるか、又は値の間で補間を行うことにより、判定されてもよい。プロセッサユニット80は、判定された位置情報と、各関連するトリートメントパラメータ値とを処理して、少なくとも位置分解トリートメントデータを生成するように配置される。このプロセスのために、位置情報は、位置ゾーン毎に分類されて、(特に、規定の)限定数の位置可能性を提供するようにしてもよい。メモリユニット90は、プロセッサユニット80と連結され、少なくとも位置分解トリートメントデータを記憶するように配置される。いくつかの実施形態において、メモリユニット90を使用して、得られたすべての位置情報とトリートメントパラメータ値との完全な一覧を記憶し、任意で、判定時刻を示す時間値とともに記憶する。任意で、トリートメントセッションを実施したユーザ、及び/又は、使用されたトリートメントヘッドのタイプなど、更なる情報を記憶してもよい。制御ユニット70は、少なくとも、現在の位置情報と記憶された位置分解トリートメントデータとに基づいて、個人衛生システム1Aの動作をトリガするように配置される。このような動作は、特に、そこから過去の改善可能なトリートメント挙動が導出可能な、記憶された位置分解トリートメントデータを考慮して、ユーザのトリートメント挙動を改善するように選択されてもよい。
【0031】
図3Aは、単一のトリートメントセッション中に得られた、一例としての位置情報Pの図であり(ここでの位置情報は、既に位置ゾーン情報として示されており、本例においては、5つの位置ゾーンが使用されている)、ここでは、トリートメントセッションがタイムインスタントt
0で開始し、タイムインスタントt
eで終了している。ここでは、位置情報が連続線として示されているが、これは、トリートメントセッション中の複数の連続したタイムインスタンスで得られた位置情報の図であることが理解される。また図示されていないが、ユーザがトリートメントセッション中に短い休憩を取り得ることも理解されなければならない。
図3Bは、同じトリートメントセッション中に得られた一例としてのトリートメントパラメータ値Tの図である。
図3Cは、トリートメントセッションに亘って蓄積された位置分解トリートメントデータ
【0032】
【数1】
の図であり(
図3Cに示される状況は、トリートメントセッション全体に亘る蓄積を表している)、位置毎のトリートメント時間が蓄積されている。
図3Dは、
図3Cに示されるのと同様の位置分解トリートメントデータ
【0033】
【数2】
の図であるが、
図3Dでは、
図3Bに示されるトリートメントパラメータVが第1の閾値V
1を超えている時間が蓄積されている。
【0034】
図3Aは、トリートメントセッション中、個人衛生デバイスのヘッドが使用された位置ゾーンを示している。トリートメント期間ΔT=(t
e-t
0)は、2分間継続したものであってもよい。タイムインスタントtにおいて、位置ゾーンP(t)は、ここでは位置3である(本例では、5つの位置ゾーン1~5が使用されている)。個人衛生デバイスは、電動歯ブラシであり、位置判定ユニットは、カメラを使用して、電動歯ブラシを保持した手を含む、ユーザの顔の動画ストリームを提供するものであったことが想定される。そして、位置ゾーンは、機械学習プロセスで識別され得る動画写真中の特徴に基づいて位置ゾーンを判定する、トレーニング済みのアルゴリズムによって直接判定可能である。当然のことながら、モーションキャプチャ技術など、他の技術を用いることも可能である。位置情報は、位置ゾーンの形態での位置情報の代わりに、例えば、固定点(固定点は、特に、トリートメントゾーンに対して固定されてもよい)に関して、所与のタイムインスタントにトリートメントヘッドが配置された箇所を示す、3次元位置ベクトルであってもよい。
【0035】
図3Bは、
図3Aと同じトリートメントセッション中にセンサユニットによって測定されるトリートメントパラメータ値Vを示している。タイムインスタントtにおいて、測定されたトリートメントパラメータ値は、V(t)である。本例において判定されたトリートメントパラメータは、トリートメントヘッドが歯に対して押し付けられた圧力であってもよい。曲線V(t)は、単に説明のために示されたものであり、実際の曲線V(t)が必ずしも示される必要はない。歯ブラシヘッドに適用されたトリートメント圧力は、推奨される圧力範囲内に収まることが最適であることが知られている。圧力が低過ぎれば、効果的なクリーニングができず、圧力が高過ぎれば、歯茎の健康に影響を及ぼしかねない。1つのオプションとして、プロセッサユニットは、トリートメントパラメータに対して、それより下回っていればトリートメント時間がカウントされない、第1の閾値V
0を適用してもよい(各期間は蓄積されず、ユーザには、適用された圧力が低過ぎることが指示されてもよい)。
図3Bに示される例においては、すべてのトリートメントパラメータ値V(t)が常にこの閾値V
0を上回っていた。第2の閾値V
1が
図3Bに示されており、この第2の閾値V
1は、適用されたトリートメント圧力が高過ぎることを示すように設定されたものであり得る。第3の閾値V
2は、トリートメント圧力が非常に高過ぎるので、即時対応がなされるべきであること、例えば、トリートメントパラメータが第3の閾値V
2を上回っている時間の間、電動歯ブラシの駆動が低減され得ることを示すため、追加的に使用されたものであり得る。
【0036】
【0037】
【数3】
の(位置分解トリートメントデータの1つの可能性としての)図である。
図3Cは、トリートメント期間の終了時における状況を示している。蓄積されたトリートメント時間の列が、トリートメント期間の開始時におけるゼロから、図示の長さまで伸びることが想像できる。いくつかの実施形態において、個人衛生システムは、トリートメントセッション中に、蓄積された位置分解トリートメントデータの現在の状況を表示するように配置されてもよい。ここでは、トリートメントゾーン毎の理想的な期待トリートメント時間を示す閾値
【0038】
【数4】
が使用される(ここでは、すべての位置ゾーンについて同一の蓄積トリートメント時間が理にかなっていることを想定する)。図から見てとれるように、位置ゾーン1~3における蓄積トリートメント時間は、閾値を上回ったものの、位置ゾーン4及び5における積算トリートメント時間は、低過ぎた。例えば、位置ゾーン4及び5は、右上下の臼歯に関連するものであってもよく、これらは、通常、前歯又は左上下の臼歯よりも短いトリートメント時間でブラッシングされる。個人衛生システムは、自身のメモリユニットに、この位置分解トリートメントデータを記憶するように配置される。連続したトリートメントセッションにおいて、記憶されたこの位置分解トリートメントデータは、以下のように使用されてもよい。現在の位置ゾーンが一旦位置ゾーン4又は5のいずれかになると、制御ユニットは、個人衛生システムの動作として、ユーザへのブラッシングアドバイスの表示をトリガし、ユーザが従来から放置してきた位置ゾーンを現在ブッシングしていることを、ユーザに知らせてもよい。結果として、ユーザが現在のブラッシング位置により多くの時間を掛けることで、その人のトリートメント挙動を改善する。
図3Cに示される列sは、現在のトリートメントセッションのトリートメントパラメータ値と位置情報とによって変更されてもよいことが理解される。プロセッサユニットは、一定の時間が経過したデータを破棄するように配置されてもよく、例えば、列は、過去10回のトリートメントセッションからの情報のみを示してもよい(この場合、10という数字は単に任意の数であり、最後のトリートメントセッションのみが使用されてもよく、最後の2つ、3つ、4つなど、又は、最後の11、12、13、20、30、50、100などのトリートメントセッションが使用されてもよい)。プロセッサユニットは、現在のトリートメント挙動との比較を行うことができ、且つ、挙動の改善をトラッキングすることができるように、過去のトリートメントセッションからの各情報を保持するように配置されてもよい。
図3Cに関して、個人衛生システムでトリガされた動作は、位置ゾーン1及び3で長いトリートメント時間が使用されないようにやや促すものであり、位置ゾーン4及び6におけるトリートメント時間を増やすように積極的に勧めるものであってもよい。例えば、列は、位置ゾーン4及び5における全体のトリートメント時間が、トリートメントセッション毎に10秒短過ぎることを示していてもよい。従って、ユーザが現在、位置ゾーン4又は5のブラッシングを行っているときに、現在のゾーンでより長くブラッシングを行うアドバイスを、トリガされた動作として表示してもよいが、達成されるべき増加と矛盾しない、特定の期間に限って表示する。
【0039】
位置分解トリートメントデータは、ユーザが単位時間毎に位置ゾーンに費やす時間のパーセンテージをデータが反映するように、規格化されてもよい。次いで、異なるトリートメントセッションから得られた各蓄積結果は、組み合わせられて(且つ、再び規格規定化されて)、特に、数のトリートメントセッションの平均を表すことができる。例えば、プロセッサユニットは、上述のとおり、最後の10のトリートメントセッションから得られた位置分解トリートメントデータを常に組み合わせるように配置されてもよい。これにより、積算された位置分解トリートメントデータが理想のトリートメントに更に近似すれば、ユーザは、その人のトリートメント挙動の持続的な改善を識別することができる。
【0040】
図3Dは、適用された圧力値(
図3B)が第1の閾値V
1を上回っていた、位置ゾーン毎の蓄積されたトリートメント時間
【0041】
【数5】
の図である。これは、位置分解トリートメントデータの追加又は代替の例であり、この位置分解トリートメントデータは、トリートメントセッションの時間に亘って積算される。蓄積されたデータが、圧力閾値を上回るトリートメント時間のパーセンテージを示すように、閾値圧力を上回るトリートメント時間も、位置ゾーン毎のトリートメント時間へと規格化されてもよい。次のトリートメントセッションにおいて、制御ユニットは、圧力閾値を上回るトリートメント時間が比較的高い際に、少なくとも位置ゾーン1~4に対して適用される圧力を低減する旨のアドバイスを、動作としてトリガしてもよい。このアドバイスは、種々の方法のうちの少なくとも1つでユーザに示されてもよく、例えば、このアドバイスは、光源(例えば、LED)を点灯又は点滅させることで伝えられるか、ディスプレイ(例えば、LCD又はOLEDディスプレイ)上に可読テキストとして提供されるか、音声信号又はボイスメッセージとして示されるか、触覚信号(例えば、振動)として伝えられてもよい。圧力閾値を上回るトリートメント時間のかなりのパーセンテージが1つの位置ゾーンでのみ存在した場合、制御ユニットは、現在の位置情報が各位置ゾーンに関連する場合にのみ、このようなアドバイスをトリガしてもよい。制御ユニットはまた、トリガされる動作をエスカレートするように配置されてもよい。例えば、前回のトリートメントセッションに亘って、特定の位置ゾーンについて、圧力閾値を上回るトリートメント時間が改善されなかった場合、制御ユニットは、例えば、上述のアドバイスの表示に加え、音声での警告を追加してもよく、或いは、モータの速度又は振幅を低減してもよい。
【0042】
図3C及び3Dに示される位置分解トリートメントデータへの追加又は代替として、他の位置分解トリートメントデータが生成されてもよく、例えば、位置ゾーン毎の平均適用圧力が判定されるか、又は、位置ゾーン毎の最大又は最小適用圧力が判定されてもよい。当然のことながら、使用されるセンサに応じて、トリートメント時間又は適用圧力への追加又は代替として、他の多くのトリートメントパラメータが、位置分解トリートメントデータとして判定及び記憶されてもよい。
【0043】
本明細書にて開示された寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、このような寸法はそれぞれ、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図されている。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。