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特開2022-83514カウルモールとカウルトップガーニッシュとの連結構造
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  • 特開-カウルモールとカウルトップガーニッシュとの連結構造 図1
  • 特開-カウルモールとカウルトップガーニッシュとの連結構造 図2
  • 特開-カウルモールとカウルトップガーニッシュとの連結構造 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022083514
(43)【公開日】2022-06-06
(54)【発明の名称】カウルモールとカウルトップガーニッシュとの連結構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 13/04 20060101AFI20220530BHJP
   B60J 10/70 20160101ALI20220530BHJP
   B60J 1/02 20060101ALI20220530BHJP
【FI】
B60R13/04 Z
B60J10/70
B60J1/02 111N
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020194860
(22)【出願日】2020-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】000240949
【氏名又は名称】片山工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000107619
【氏名又は名称】スターライト工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114074
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 嘉一
(74)【代理人】
【識別番号】100222324
【弁理士】
【氏名又は名称】西野 千明
(72)【発明者】
【氏名】横山 浩章
(72)【発明者】
【氏名】井上 絵
(72)【発明者】
【氏名】野田 政和
【テーマコード(参考)】
3D023
3D201
【Fターム(参考)】
3D023AA01
3D023AB01
3D023AB11
3D023AC26
3D023AD02
3D023AD25
3D201AA12
3D201AA13
3D201BA01
3D201CB02
3D201DA18
(57)【要約】
【課題】フロントガラスの下端側にカウルモールを介してカウルトップガーニッシュを組付ける際に、カウルモールがカウルトップガーニッシュ等から剥がれにくく、組付け性に優れるカウルモールとカウルトップガーニッシュとの連結構造の提供を目的とする。
【解決手段】カウルモールとカウルトップガーニッシュとの連結構造であって、前記カウルモールは、フロントガラスの下端側表面を被覆する被覆部と、前記被覆部から車両内側に向かって垂下した挿入部とを有し、前記挿入部は、車両前方側に圧接部を有し、前記カウルトップガーニッシュは、車両内側に向かって垂下した垂下部を有し、前記垂下部は、前記圧接部が圧接する被圧接部を有することを特徴とする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カウルモールとカウルトップガーニッシュとの連結構造であって、
前記カウルモールは、フロントガラスの下端側表面を被覆する被覆部と、前記被覆部から車両内側に向かって垂下した挿入部とを有し、
前記挿入部は、車両前方側に圧接部を有し、
前記カウルトップガーニッシュは、車両内側に向かって垂下した垂下部を有し、
前記垂下部は、前記圧接部が圧接する被圧接部を有することを特徴とするカウルモールとカウルトップガーニッシュとの連結構造。
【請求項2】
前記カウルトップガーニッシュは、前記垂下部から車両後方側へ折り曲げた後方端部を有し、
前記後方端部は、前記フロントガラスの下端側裏面に当接する当接部を有することを特徴とする請求項1に記載のカウルモールとカウルトップガーニッシュとの連結構造。
【請求項3】
前記カウルモールの被覆部は、前記フロントガラスの下端側表面に向かって突出したリップを有することを特徴とする請求項1又は2に記載のカウルモールとカウルトップガーニッシュとの連結構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のカウルモールとカウルトップガーニッシュとの連結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のフロントウインドガラス(以下、フロントガラスという)の下端側に、カウルモールを介してカウルトップガーニッシュが取り付けられている。
例えば特許文献1に、カウルトップガーニッシュ(冷却水ボックスカバー)の内側に設けたリブを、フロントガラスの下端側裏面に固着されたカウルモール(成形体)のばね脚部に係止し、カウルモールに設けた封隙舌状部がフロントガラスの下端面とカウルトップガーニッシュとの間に押し嵌め可能な構造を開示する。
このような構造は止水性が充分とは言えず、また、カウルトップガーニッシュのリブをカウルモールのばね脚部に向かって上方から下方へ挿入係止する際に大きな挿入抵抗があり、フロントガラスの下端部に上下方向の曲げ荷重が掛かるため、フロントガラスの端部に破損が生じたり、フロントガラスの裏面に固着したカウルモールが剥がれる恐れがある。
特許文献2は、カウルトップガーニッシュ(カウルルーバ)の上縁部に近接して下方へ突出させた係止リブを、一対の弾性リップを有するカウルモール(モール)の嵌合部に上方から押し込み係止させる構造を開示するが、やはりフロントガラスの破損やカウルモールがフロントガラスの裏面から剥がれる恐れが懸念される。
特許文献3は、断面略S字形状のカウルモール(モール)の下端側保持部でフロントガラス(ウインドシールドガラス)を保持し、カウルモールの上側保持部に設けられた係合部にカウルトップガーニッシュの上縁部に設けた被係合部を係合する構造を開示する。
しかし、同公報に開示する構造はカウルモール及びカウルトップガーニッシュを重力に逆らって上方へ持ち上げる必要があり、組付作業が容易ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3621919号公報
【特許文献2】特許第5907134号公報
【特許文献3】特許第6314440号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、フロントガラスの下端側にカウルモールを介してカウルトップガーニッシュを組付ける際に、カウルモールがカウルトップガーニッシュ等から剥がれにくく、組付け性に優れるカウルモールとカウルトップガーニッシュとの連結構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、カウルモールとカウルトップガーニッシュとの連結構造であって、前記カウルモールは、フロントガラスの下端側表面を被覆する被覆部と、前記被覆部から車両内側に向かって垂下した挿入部とを有し、前記挿入部は、車両前方側に圧接部を有し、前記カウルトップガーニッシュは、車両内側に向かって垂下した垂下部を有し、前記垂下部は、前記圧接部が圧接する被圧接部を有することを特徴とする。
このように、カウルモールの挿入部をカウルトップガーニッシュの垂下部に対して上方から車両前方側へ圧接することで、フロントガラスの組付け方向にカウルモールとカウルトップガーニッシュが圧接する。
これにより、例えばカウルモールとカウルトップガーニッシュの間に差し込まれるようにフロントガラスを組付ける際に、カウルモールとカウルトップガーニッシュが引き剥がされる方向にほとんど力が加わることなく、組付けが可能になる。
また、カウルモールは、カウルトップガーニッシュに対して上方から車両前方側へ圧接することで、例えば両面テープ等にて圧接固定しやすく、カウルトップガーニッシュから剥がれにくい。
【0006】
本発明において、カウルトップガーニッシュは、前記垂下部から車両後方側へ折り曲げた後方端部を有し、前記後方端部は、前記フロントガラスの下端側裏面に当接する当接部を有してもよい。
また、本発明において、カウルモールの被覆部は、前記フロントガラスの下端側表面に向かって突出したリップを有することが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、フロントガラスの端部にカウルトップガーニッシュを組付ける際にカウルモールを介在させたものであり、カウルモールの挿入部をカウルトップガーニッシュの垂下部に対して上方から車両前方側へ圧接し、例えば両面テープ等で固定できる。
そのため、カウルモールとカウルトップガーニッシュ等に挟み込まれるようにフロントガラスを組付ける際に、カウルモールとカウルトップガーニッシュを引き剥がす方向に力をほとんど掛けることなく、組付けが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係るカウルモールとカウルトップガーニッシュの連結構造であって、実施例1の断面図を示し、(a)、(b)、(c)に組付手順を示す。
図2】実施例2の断面図を(a)、(b)に示す。
図3】カウルモールとカウルトップガーニッシュの車両への組付位置を示し、A-A線断面に相当する図を図1図2に示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図3は、車両のフロント部を示す。
カウルトップガーニッシュ20は、ボンネット2とフロントガラス1との空間部に車両幅方向に沿って取り付けられ、カウルトップガーニッシュ20とフロントガラス1との組付け作業や止水性等を考慮して、カウルモール10が設けられている。
【0010】
カウルモール10とカウルトップガーニッシュ20との連結構造例として、図1に実施例1の断面図を示し、図2に実施例2の断面図を示す。
以下、図1図2の左右方向を車両の前後方向とし、上下方向を車両の外内方向として説明する。
【0011】
図1に示すように、実施例1のカウルトップガーニッシュ20は樹脂成形品であり、カウルトップガーニッシュ20の上縁部20aから車両内側(図における下側)に向かって垂下した垂下部21と、垂下部21から車両後方側(図における右側)へ折り曲げた後方端部22を有する。
なお、カウルトップガーニッシュ20を形成する樹脂は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ABS、AES等を用いることができる。
このうち、軽量性、加工性、引張強度、圧縮強度、耐衝撃性が優れる点では、ポリプロピレンが好ましい。
垂下部21は、その一部が段差状であってもよく、本実施例においては垂下部21の上部に段差部24を設けてある。
垂下部21はその車両後方側(図における右面側)に、後述するカウルモール10の挿入部12と圧接する被圧接部21aを有する。
後方端部22は、先端側にフロントガラス1の下端側裏面1bに当接する当接部23を有し、当接部23は、フロントガラス1の下端側裏面1bに当接する程度に後方端部22から上方に向かい、突出形成されるものである。
この当接部23は、車両幅方向に沿って間隔を設けて後方端部22に形成されてもよく、当接部23の数に制限はない。
当接部23はその車両後方側(図における右面側)に、車両後方斜め下方に向かって傾斜する斜面部23aを有してもよい。
本実施例は垂下部21、後方端部22及び当接部23とで溝部を形成した例であるが、本実施例の断面構造に限定されない。
【0012】
カウルモール10は樹脂成形品であって、金属製の芯材10aに樹脂を被覆してある。
カウルモール10は、フロントガラス1の下端側表面1aを被覆する被覆部11と、被覆部11から車両内側に向かって垂下した挿入部12を有する。
挿入部12はその車両前方側(図における左面側)に圧接部12aを有し、両面テープ等の接着材30を介してカウルトップガーニッシュ20の垂下部21と圧接する。
接着材30は、両面テープ等の接着材の他に、ネジ、ボルト、嵌合構造、溶着等の接合などであってもよく、製造コストを下げる等の観点から、両面テープ等の接着材により接合するのが望ましい。
挿入部12と垂下部21は、互いに圧接する面が大きくなるほど固着が安定するため、挿入部12は垂下部21とほぼ平行となるように被覆部11から所定の長さを有して垂下していることが好ましい。
被覆部11の上面は、フラット面に形成され、意匠面となる。
また、被覆部11には、フロントガラス1に向かって突出する第1リップ13と第2リップ14、カウルトップガーニッシュ20に向かって突出する第3リップ15を設けてある。
本実施例で第1リップ13は、被覆部11のフロントガラス1側の端部からフロントガラス1の下端側表面1aに向かうように、車両後方斜め下方(図における右斜め下)に向かって延長するように張り出したリップ形状になっている。
第2リップ14は、被覆部11のフロントガラス1側の下面からフロントガラス1の下端側表面1aに向かうように、車両前方斜め下方(図における左斜め下)に向かって延長するように張り出したリップ形状になっていて、第1リップ13の位置よりもカウルトップガーニッシュ20側に設けてある。
第1リップ13と第2リップ14のようにリップを二重に形成することで、単一リップであるよりも、止水性、異物(ゴミ、砂等)侵入防止機能が向上する。
また、第1リップ13と第2リップ14からなる二重リップが、断面略「ハ」字形状となるように被覆部11に配設してあることで、リップのガラスに対する荷重バランスを均等に保つ事ができる。
一方、第3リップ15は、被覆部11のカウルトップガーニッシュ20側の端部からカウルトップガーニッシュ20、本実施例ではカウルトップガーニッシュ20の段差部24に向かって張り出したリップ形状になっている。
第1リップ13、第2リップ14及び第3リップ15は、止水性、組付抵抗等を考慮すると、組付け時に撓む弾性体、例えば軟質樹脂であるのが好ましい。
【0013】
次に、組付けについて説明する。
カウルモール10は、図1(a)に示すようにその挿入部12をカウルトップガーニッシュ20の垂下部21にほぼ平行となるように上方から近接し、接着材30を介して垂下部21の被圧接部21aに挿入部12の圧接部12aを圧接固定する。
図1(b)に示すようにフロントガラス1は、このカウルモール10とカウルトップガーニッシュ20の間に差し込まれるように組付けられる。
カウルモール10の挿入部12がカウルトップガーニッシュ20の垂下部21に圧接する方向は、フロントガラス1の組付け方向とほぼ同一となるため、カウルモール10とカウルトップガーニッシュ20を引き剥がす方向に力が加わることはない。
この際、カウルトップガーニッシュ20の当接部23は、その斜面部23aがフロントガラス1の差し込みを補助する誘い込みとして作用するため、カウルトップガーニッシュ20を水平方向に動かすことでフロントガラス1を差し込むことができ、組付けが容易である。
これにより、図1(c)に示すようにフロントガラス1の下端縁部1cとカウルトップガーニッシュ20の垂下部21が対向するように組付けられる。
この状態では、カウルモール10の第1リップ13と第2リップ14の先端が互いに逆方向へ、フロントガラス1の下端側表面1aに折り曲がるようにして当接しシール部を形成する。
また、カウルモール10の第3リップ15の先端はカウルトップガーニッシュ20の段差部24へ折り曲がるようにして当接しシール部を形成する。
これにより、フロントガラス1の下端側表面1aは、カウルモール10の被覆部11に覆われるように組付けられる。
このように、組付け時にカウルモール10の第1リップ13、第2リップ14がフロントガラス1の下端側表面1aに弾性的に当接するため、組付け時にフロントガラス1に加わる力は弱い。
本実施例は、カウルトップガーニッシュ20の上縁部20a上面とカウルモール10の被覆部11上面とがフラットに連結した例であるが、必ずしもフラットに連結しなくてもよい。
【0014】
図2に実施例2を示すが、本実施例のカウルトップガーニッシュ20は、実施例1の後方端部22、当接部23を有さない例である。
なお、本実施例におけるカウルモール10の挿入部12とカウルトップガーニッシュ20の垂下部21は、実施例1と同様の方法で圧接固定することができる。
この場合であっても、フロントガラス1は、カウルモール10とカウルトップガーニッシュ20以外の間に、又は、カウルモール10と実施例1とは相違するような当接部を有するカウルトップガーニッシュ20の間に、差し込まれるように組付けることができる。
また、実施例2は、実施例1の段差部24を有さないカウルトップガーニッシュ20の例であり、カウルモール10の第3リップ15は、カウルトップガーニッシュ20の上縁部20aと垂下部21との接続部に当接しシール部を形成する。
【符号の説明】
【0015】
1 フロントガラス
1a 下端側表面
1b 下端側裏面
10 カウルモール
11 被覆部
12 挿入部
12a 圧接部
13 第1リップ
14 第2リップ
20 カウルトップガーニッシュ
21 垂下部
21a 被圧接部
22 後方端部
23 当接部
図1
図2
図3