(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022083533
(43)【公開日】2022-06-06
(54)【発明の名称】攪拌装置および乾燥装置
(51)【国際特許分類】
B01F 27/72 20220101AFI20220530BHJP
B01F 35/90 20220101ALI20220530BHJP
B01D 1/00 20060101ALI20220530BHJP
F26B 17/20 20060101ALI20220530BHJP
F26B 3/22 20060101ALI20220530BHJP
【FI】
B01F7/08 C
B01F15/06 Z
B01D1/00 Z
F26B17/20
F26B3/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020194888
(22)【出願日】2020-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】特許業務法人青海特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】妹尾 悟史
(72)【発明者】
【氏名】宮浦 拓人
(72)【発明者】
【氏名】出田 武臣
【テーマコード(参考)】
3L113
4D076
4G037
4G078
【Fターム(参考)】
3L113AA07
3L113AB05
3L113AC08
3L113AC45
3L113AC46
3L113AC48
3L113AC49
3L113AC58
3L113AC59
3L113AC61
3L113AC63
3L113AC67
3L113AC86
3L113BA36
3L113DA02
4D076AA14
4D076BA02
4D076CD04
4D076DA10
4D076FA03
4D076FA22
4D076HA09
4D076HA11
4G037CA03
4G037EA03
4G078AA01
4G078AB09
4G078AB20
4G078BA01
4G078BA09
4G078CA01
4G078DA14
4G078DB02
4G078EA03
(57)【要約】
【課題】攪拌効率を向上する。
【解決手段】攪拌装置(乾燥装置100)は、被処理物を収容する容器110と、容器110内に回転可能に設けられる回転軸120と、回転軸120から立設し、回転軸120の周方向および回転軸120の延在方向にそれぞれ離隔し、少なくとも一部の断面が多角形形状の第1アームを有する複数のアーム130と、複数のアーム130の先端に取り付けられ、回転軸120の回転方向に湾曲した攪拌羽根140と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理物を収容する容器と、
前記容器内に回転可能に設けられる回転軸と、
前記回転軸から立設し、前記回転軸の周方向および前記回転軸の延在方向にそれぞれ離隔し、少なくとも一部の断面が多角形形状の第1アームを有する複数のアームと、
前記複数のアームの先端に取り付けられ、前記回転軸の回転方向に湾曲した攪拌羽根と、
を備える攪拌装置。
【請求項2】
前記容器は、
筒形状の外筒と、
少なくとも、前記外筒の軸方向の一方を封止する鏡板と、
を有し、
前記複数のアームは、前記鏡板の近傍に設けられ、前記回転軸の回転に応じて前記鏡板に前記被処理物を押し付ける形状ではない第2アームを有する請求項1に記載の攪拌装置。
【請求項3】
前記第1アームの断面は、前記攪拌羽根と略平行な面を有する矩形形状である請求項1または2に記載の攪拌装置。
【請求項4】
前記攪拌羽根は、前記回転軸の回転によって、前記回転軸の略中央に向けて前記被処理物を移動させ、
前記複数のアームは、前記回転軸の略中央に設けられ、少なくとも一部の断面が、円形状である第3アームを有する請求項1から3のいずれか1項に記載の攪拌装置。
【請求項5】
前記容器に収容された被処理物を加熱する加熱部を備える請求項1から4のいずれか1項に記載の攪拌装置。
【請求項6】
被処理物を収容する容器と、
前記容器内に回転可能に設けられる回転軸と、
前記回転軸から立設し、前記回転軸の周方向および前記回転軸の延在方向にそれぞれ離隔し、少なくとも一部の断面が多角形形状の第1アームを有する複数のアームと、
前記複数のアームの先端に取り付けられ、前記回転軸の回転方向に湾曲した攪拌羽根と、
前記容器に収容された被処理物を加熱する加熱部と、
を備える乾燥装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、攪拌装置および乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体、粉体、または、スラリー等の被処理物を攪拌する攪拌装置として、リボンミキサが広く利用されている(例えば、特許文献1)。リボンミキサは、容器と、回転軸と、複数のアームと、攪拌羽根(リボン)とを備える。容器は、円筒形状であり、被処理物を収容する。回転軸は、容器内に設けられる。アームは、円柱形状であり、回転軸と攪拌羽根とを連結する。攪拌羽根は、回転軸の回転方向に湾曲した螺旋形状の部材である。リボンミキサは、回転軸に伴って回転する攪拌羽根により、被処理物を流動させて攪拌する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載されたような従来のリボンミキサにおいて、攪拌効率を向上する技術の開発が希求されている。
【0005】
本開示は、このような課題に鑑み、攪拌効率を向上することが可能な攪拌装置および乾燥装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示の一態様に係る攪拌装置は、被処理物を収容する容器と、容器内に回転可能に設けられる回転軸と、回転軸から立設し、回転軸の周方向および回転軸の延在方向にそれぞれ離隔し、少なくとも一部の断面が多角形形状の第1アームを有する複数のアームと、複数のアームの先端に取り付けられ、回転軸の回転方向に湾曲した攪拌羽根と、を備える。
【0007】
また、容器は、筒形状の外筒と、少なくとも、外筒の軸方向の一方を封止する鏡板と、を有し、複数のアームは、鏡板の近傍に設けられ、回転軸の回転に応じて鏡板に被処理物を押し付ける形状ではない第2アームを有してもよい。
【0008】
また、第1アームの断面は、攪拌羽根と略平行な面を有する矩形形状であってもよい。
【0009】
また、攪拌羽根は、回転軸の回転によって、回転軸の略中央に向けて被処理物を移動させ、複数のアームは、回転軸の略中央に設けられ、少なくとも一部の断面が、円形状である第3アームを有してもよい。
【0010】
容器に収容された被処理物を加熱する加熱部を備えてもよい。
【0011】
上記課題を解決するために、本開示の一態様に係る乾燥装置は、被処理物を収容する容器と、容器内に回転可能に設けられる回転軸と、回転軸から立設し、回転軸の周方向および回転軸の延在方向にそれぞれ離隔し、少なくとも一部の断面が多角形形状の第1アームを有する複数のアームと、複数のアームの先端に取り付けられ、回転軸の回転方向に湾曲した攪拌羽根と、容器に収容された被処理物を加熱する加熱部と、を備える。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、攪拌効率を向上することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、実施形態に係る乾燥装置を説明する図である。
【
図2】
図2は、攪拌羽根による被処理物の流れ方向について説明する第1の図である。
【
図3】
図3は、攪拌羽根による被処理物の流れ方向について説明する第2の図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係るアームを説明する図である。
【
図6】
図6は、容器内における、流体の混合率が40%以上60%未満となる領域の割合と、攪拌時間との関係を説明する図である。
【
図7】
図7は、ポリマーの混合割合を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本開示を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本開示に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0015】
図1は、本実施形態に係る乾燥装置100を説明する図である。
図1中、破線の矢印は、回転軸120の回転方向を示す。また、本実施形態の
図1をはじめとする以下の図では、垂直に交わるX軸(水平方向)、Y軸(水平方向)、Z軸(鉛直方向)を図示の通り定義している。
【0016】
乾燥装置100は、被処理物を乾燥させる。被処理物は、例えば、下水処理で生じる汚泥、食品残渣等である。
図1に示すように、乾燥装置100(攪拌装置)は、容器110と、回転軸120と、複数のアーム130と、攪拌羽根140と、加熱部170とを含む。
【0017】
容器110は、被処理物を収容する。容器110は、外筒112と、鏡板114とを含む。外筒112は、円筒形状の中空部材である。鏡板114は、外筒112の両端に形成される開口を封止する。本実施形態において、容器110は、軸方向が水平方向(
図1中、±X軸方向)となるように設置される。
【0018】
外筒112には、供給管112aと、排出管112bが連通される。供給管112aは、外筒112の上部における略中央に連通する。乾燥前の被処理物は、供給管112aを通じて、容器110内に導かれる。供給管112aには、開閉弁116aが設けられる。
【0019】
排出管112bは、外筒112の下部における略中央に連通する。乾燥後の被処理物は、排出管112bを通じて、容器110から排出される。排出管112bには、開閉弁116bが設けられる。
【0020】
回転軸120は、容器110内に回転可能に設けられる。回転軸120は、外筒112の延在方向に延在するように容器110内に設けられる。つまり、回転軸120は、水平方向(
図1中、±X軸方向)に延在する。本実施形態において、回転軸120は、回転軸120の中心軸が、外筒112の中心軸と実質的に一致するように、容器110内に設けられる。回転軸120は、不図示のモータによって、
図1中、A方向またはB方向に回転される。
【0021】
アーム130は、回転軸120から立設する。複数のアーム130は、回転軸120の周方向および回転軸120の延在方向にそれぞれ規則的に離隔して、回転軸120に設けられる。
【0022】
攪拌羽根140は、複数のアーム130の先端に取り付けられる。攪拌羽根140は、回転軸120の回転方向に湾曲した螺旋形状の平板である。攪拌羽根140は、アーム130によって、回転軸120と離隔して設けられる。攪拌羽根140は、回転軸120の回転によって、回転軸120の略中央に向けて被処理物を移動させる。本実施形態において、攪拌羽根140は、第1羽根ユニット150と、第2羽根ユニット160とを含む。
【0023】
第1羽根ユニット150は、回転軸120の一方(
図1中、左側)の端部から略中央に亘って設けられる。本実施形態において、第1羽根ユニット150は、第1外羽根152と、第1内羽根154とを含む。第1内羽根154は、第1外羽根152よりも回転軸120側に設けられる。第1内羽根154は、第1外羽根152と螺旋の巻き方向が逆である。
【0024】
第2羽根ユニット160は、回転軸120の他方(
図1中、右側)の端部から略中央に亘って設けられる。本実施形態において、第2羽根ユニット160は、第1羽根ユニット150と同様に、第2外羽根162と、第2内羽根164とを含む。第2外羽根162は、第1外羽根152と螺旋の巻き方向が逆である。第2内羽根164は、第2外羽根162よりも回転軸120側に設けられる。第2内羽根164は、第2外羽根162と螺旋の巻き方向が逆である。つまり、第1外羽根152と第2内羽根164とは、螺旋の巻き方向が同じである。また、第1内羽根154と、第2外羽根162とは、螺旋の巻き方向が同じである。
【0025】
加熱部170は、容器110に収容された被処理物を加熱する。加熱部170は、例えば、電気ヒータ、スチームトレース等である。本実施形態において、加熱部170は、容器110および回転軸120を加熱することで、被処理物を間接的に加熱する。なお、理解を容易にするために、
図1において、回転軸120を加熱する加熱部170の図示を省略する。
【0026】
続いて、乾燥装置100を用いた被処理物の乾燥について説明する。まず、開閉弁116bを閉弁し、開閉弁116aを開弁する。そして、供給管112aを通じて、容器110内に被処理物を供給する。被処理物の供給が終了したら、開閉弁116aを閉弁する。続いて、回転軸120の回転を開始するとともに、加熱部170による加熱を開始する。
【0027】
図2、
図3は、攪拌羽根140による被処理物の流れ方向について説明する図である。
図2に示すように、回転軸120が、
図2中、A方向(
図2中、+X側から見て反時計回り)に回転されると、第1羽根ユニット150の第1外羽根152は、
図2中、白抜き矢印で示すように、被処理物を-X軸方向(左の鏡板114側)に移動させる。また、第1羽根ユニット150の第1内羽根154は、
図2中、黒矢印で示すように、被処理物を+X軸方向(容器110の略中央)に移動させる。
【0028】
一方、第2羽根ユニット160の第2外羽根162は、
図2中、白抜き矢印で示すように、被処理物を+X軸方向(右の鏡板114側)に移動させる。また、第2羽根ユニット160の第2内羽根164は、
図2中、黒矢印で示すように、被処理物を-X軸方向(容器110の略中央)に移動させる。
【0029】
また、
図3に示すように、回転軸120が、
図3中、B方向(
図3中、+X側から見て時計回り)に回転されると、第1羽根ユニット150の第1外羽根152は、
図3中、白抜き矢印で示すように、被処理物を+X軸方向(容器110の略中央)に移動させる。また、第1羽根ユニット150の第1内羽根154は、
図3中、黒矢印で示すように、被処理物を-X軸方向(左の鏡板114側)に移動させる。
【0030】
一方、第2羽根ユニット160の第2外羽根162は、
図3中、白抜き矢印で示すように、被処理物を-X軸方向(容器110の略中央)に移動させる。また、第2羽根ユニット160の第2内羽根164は、
図3中、黒矢印で示すように、被処理物を+X軸方向(右の鏡板114側)に移動させる。
【0031】
不図示のモータは、回転軸120の回転方向を、A方向と、B方向とに交互に切り換える。これにより、攪拌羽根140による被処理物の流動方向が反転する。したがって、攪拌羽根140は、被処理物を効率よく攪拌することが可能となる。
【0032】
そうすると、加熱部170によって加熱された容器110と被処理物との接触頻度、および、加熱部170によって加熱された回転軸120と被処理物との接触頻度が増加する。これにより、乾燥装置100は、被処理物を乾燥させる。被処理物の乾燥が終了すると、開閉弁116bを開弁し、回転軸120の回転方向をB方向として、被処理物を容器110の略中央に集約し、排出管112bから外部に排出する。
【0033】
ところで、従来の乾燥装置は、すべてのアームが円柱形状である。攪拌羽根の内羽根よりも回転軸側は、攪拌羽根による攪拌効果が及びにくい。このため、すべてのアームが円柱形状であると、容器内における、回転軸の近傍、つまり、アームの付け根部分において、被処理物の流動性が低くなってしまう。そこで、本実施形態に係る乾燥装置100は、アーム130の形状を工夫することで、被処理物の流動性が低くなる箇所を削減することができる。以下、本実施形態に係るアーム130の形状について説明する。
【0034】
図4は、本実施形態に係るアーム130を説明する図である。
図4Aは、回転軸120およびアーム130を説明する図である。
図4Bは、
図4Aにおける左側の端アーム134を説明する図である。
図4Cは、攪拌アーム136dを説明する図である。
【0035】
図4Aに示すように、アーム130は、中央アーム132と、端アーム134と、攪拌アーム136とを含む。
【0036】
中央アーム132(第3アーム)は、回転軸120の略中央に、4本設けられる。4本の中央アーム132は、回転軸120の周方向に略等間隔に設けられる。つまり、隣り合う2本の中央アーム132の為す角は、例えば、90°である。中央アーム132は、断面が円形状である。つまり、中央アーム132は、円柱である。
【0037】
端アーム134(第2アーム)は、回転軸120の両端に、2本ずつ設けられる(合計4本)。つまり、端アーム134は、鏡板114の近傍に設けられる。回転軸120の一方の端部、または、他方の端部に設けられる2本の端アーム134の為す角は、例えば、90°である。
【0038】
攪拌アーム136(第3アーム)は、回転軸120における、中央アーム132と端アーム134との間に設けられる。攪拌アーム136は、攪拌アーム136a~攪拌アーム136dを含む。攪拌アーム136aおよび攪拌アーム136bは、
図4A中左側の端アーム134と、中央アーム132との間に設けられる。攪拌アーム136cおよび攪拌アーム136dは、
図4A中右側の端アーム134と、中央アーム132との間に設けられる。攪拌アーム136a、攪拌アーム136b、攪拌アーム136cおよび、攪拌アーム136dは、それぞれ2本ずつ、回転軸120に設けられる(合計8本)。
【0039】
2本の攪拌アーム136aの為す角は、例えば、90°である。同様に、2本の攪拌アーム136bの為す角、2本の攪拌アーム136cの為す角、および、2本の攪拌アーム136dの為す角は、例えば、90°である。
【0040】
回転軸120の延在方向における、端アーム134と攪拌アーム136aとの間の距離、攪拌アーム136aと攪拌アーム136bとの間の距離、攪拌アーム136bと中央アーム132との距離、中央アーム132と攪拌アーム136dとの距離、攪拌アーム136dと攪拌アーム136cとの距離、攪拌アーム136cと端アーム134との距離は、略等しい。
【0041】
第1外羽根152は、端アーム134、攪拌アーム136a、攪拌アーム136b、中央アーム132に接続される。第1内羽根154は、端アーム134、攪拌アーム136a、攪拌アーム136b、中央アーム132に接続される。なお、第1内羽根154に接続される端アーム134、攪拌アーム136a、攪拌アーム136b、中央アーム132は、第1外羽根152に接続される端アーム134、攪拌アーム136a、攪拌アーム136b、中央アーム132よりも短い。
【0042】
第2外羽根162は、端アーム134、攪拌アーム136c、攪拌アーム136d、中央アーム132に接続される。第2内羽根164は、端アーム134、攪拌アーム136c、攪拌アーム136d、中央アーム132に接続される。なお、第2内羽根164に接続される端アーム134、攪拌アーム136c、攪拌アーム136d、中央アーム132は、第2外羽根162に接続される端アーム134、攪拌アーム136c、攪拌アーム136d、中央アーム132よりも短い。
【0043】
図4Bに示すように、端アーム134は、断面が三角形状である。本実施形態において、端アーム134の断面形状は、回転軸120の端部側に、鏡板114と略平行な底辺134aを有し、回転軸120の中央側に頂点134bを有する二等辺三角形状である。つまり、底辺134aと、頂点134bとを結ぶ辺134cは、直線である。
【0044】
図4Cに示すように、攪拌アーム136dは、回転軸120と第2内羽根164とを接続する。攪拌アーム136dは、断面が矩形形状である。本実施形態において、攪拌アーム136dの断面形状は、
図4C中、±X軸方向に互いに対向する2つの辺138aを有し、
図4C中、Z軸方向に互いに対向する2つの辺138bを有する平行四辺形状である。攪拌アーム136dにおける辺138aに相当する面138cは、第2内羽根164と略平行である。また、攪拌アーム136dにおける辺138bに相当する面138dは、回転軸120の延在方向と略平行である。
【0045】
同様に、攪拌アーム136aの断面は、第1外羽根152と略平行な面を有する矩形形状である。攪拌アーム136bの断面は、第1内羽根154と略平行な面を有する矩形形状である。攪拌アーム136cは、第2外羽根162と略平行な面を有する矩形形状である。
【0046】
以上説明したように、本実施形態に係る乾燥装置100は、攪拌アーム136を備える。上記したように、攪拌アーム136は、攪拌羽根140と略平行な面を有する。これにより、攪拌アーム136は、攪拌羽根140の機能、つまり、被処理物を流動させる(回転により被処理物を押す)機能を補助することができる。したがって、乾燥装置100は、すべてのアームが円柱形状である従来技術の乾燥装置と比較して、容器110内において、被処理物の流動性が低くなる箇所を削減することが可能となる。攪拌アーム136は、特に、回転軸120近傍、つまり、攪拌アーム136の付け根部分における被処理物の流動性を向上させることができる。このため、乾燥装置100は、被処理物の攪拌効率を向上させることができ、被処理物の乾燥効率を向上させることが可能となる。
【0047】
また、攪拌アーム136は、断面形状が矩形形状であるため、アームが円柱形状である従来技術と比較して、比表面積が大きい。このため、乾燥装置100は、攪拌アーム136と被処理物との接触面積、つまり、伝熱面積を従来技術よりも大きくすることができる。したがって、乾燥装置100は、従来技術と比較して、効率よく被処理物を加熱(乾燥)することが可能となる。
【0048】
また、上記したように、鏡板114の近傍に設けられる端アーム134は、回転軸120の端部側に、鏡板114と略平行な底辺134aを有し、回転軸120の中央側に頂点134bを有する三角形状の断面を有する。このため、端アーム134は、回転軸120が回転しても、底辺134aに相当する面が被処理物を鏡板114に押し付けてしまう事態を回避することができる。また、端アーム134は、回転軸120の回転により、辺134cに相当する面によって、被処理物を回転軸120の略中央側に移動させることができる。したがって、端アーム134は、鏡板114への被処理物の移動を抑制することが可能となる。これにより、端アーム134は、鏡板114近傍における被処理物の滞留を抑制することができ、被処理物の攪拌効率を向上させることが可能となる。
【0049】
また、上記したように、回転軸120の略中央に設けられる中央アーム132は、円柱形状である。これにより、中央アーム132は、第1羽根ユニット150による被処理物の流動、および、第2羽根ユニット160による被処理物の流動を阻害する事態を回避することができる。したがって、乾燥装置100は、被処理物の攪拌効率を向上させることが可能となる。
【0050】
[第1実施例]
本実施形態に係る乾燥装置100(実施例)と、すべてのアームが円柱形状である従来技術の攪拌装置(比較例)とを用い、流体の流速分布のシミュレーションを行った。流体は、模擬汚泥を用いた。
【0051】
図5は、流速分布を説明する図である。
図5Aは、実施例の流速分布を説明する図である。
図5Bは、比較例の流速分布を説明する図である。
【0052】
図5Bに示すように、比較例の攪拌装置は、破線で囲った領域において、流体がほとんど流動していないことが分かった。
【0053】
これに対し、
図5Aに示すように、実施例の乾燥装置100は、破線で囲った領域つまり、攪拌アーム136aと攪拌アーム136bとの間、および、攪拌アーム136cと攪拌アーム136dとの間で、流体の流速が向上することが分かった。
【0054】
図6は、容器内における、流体の混合率が40%以上60%未満となる領域の割合と、攪拌時間との関係を説明する図である。
図6中、横軸は、攪拌時間[s(秒)]を示す。
図6中、縦軸は、流体の混合率が40%以上60%未満となる領域の割合[%]を示す。また、
図6中、四角は、実施例を示し、丸は、比較例を示す。
【0055】
図6に示すように、実施例は、攪拌時間が長くなるに従って、流体の混合率が40%以上60%未満となる領域の割合が、比較例よりも増加することが分かった。また、攪拌時間が14秒の場合、実施例は、流体の混合率が40%以上60%未満となる領域の割合が、比較例よりも約28%増加することが分かった。
【0056】
以上の結果から、本実施形態に係る乾燥装置100は、比較例とは異なり、流体がほとんど流動しない箇所(流動性が低くなる箇所)を削減できることが確認された。
【0057】
[第2実施例]
本実施形態に係る乾燥装置100(実施例)と、すべてのアームが円柱形状である従来技術の攪拌装置(比較例)とを用い、所定時間(60秒)攪拌し、攪拌中の流体の混合割合(%)を測定した。流体は、着色ポリマーを用いた。また、画像処理を用いて、混合割合を算出した。
【0058】
図7は、ポリマーの混合割合を説明する図である。
図7Aは、1回目の試験結果を説明する図である。
図7Bは、2回目の試験結果を説明する図である。
図7Cは、3回目の試験結果を説明する図である。
図7Dは、4回目の試験結果を説明する図である。
図7Eは、5回目の試験結果を説明する図である。
図7A~
図7E中、横軸は、ポリマーの割合[%]を示す。
図7A~
図7E中、縦軸は、領域を示す。また、
図7A~
図7E中、四角は、実施例を示し、丸は、比較例を示す。なお、
図7A~
図7E中、ポリマーの割合が50%に近いほど、混合率が高い。
【0059】
図7A~
図7Eに示すように、実施例は、比較例よりもポリマーの割合が50%に近くなる領域が多いことが分かった。
【0060】
以上の結果から、本実施形態に係る乾燥装置100は、比較例よりも、容器110内の全領域に亘って流体の混合率が高いことが確認された。
【0061】
[第3実施例]
本実施形態に係る乾燥装置100(実施例)と、すべてのアームが円柱形状である従来技術の攪拌装置(比較例)とを用い、含水率99%のスラリー(汚泥の含水率80%に相当)を乾燥させた。
【0062】
図8は、乾燥時間を説明する図である。
図8中、横軸は、乾燥時間[min(分)]を示す。
図8中、縦軸は含水率[%]を示す。また、
図8中、四角は、実施例を示し、丸は、比較例を示す。
【0063】
図8に示すように、実施例は、スラリーの含水率が96%(汚泥の含水率60%に相当)に到達する時間が、比較例よりも約25分短縮されることが分かった。
【0064】
以上の結果から、本実施形態に係る乾燥装置100は、比較例よりも短時間で被処理物を乾燥できることが確認された。
【0065】
以上、添付図面を参照しながら実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0066】
例えば、上述した実施形態において、乾燥装置100が加熱部170を備える場合を例に挙げた。しかし、加熱部170は、必須の構成ではない。例えば、容器110と、回転軸120と、アーム130と、攪拌羽根140とを備える攪拌装置が提供される。
【0067】
また、上記実施形態において、攪拌アーム136の断面が矩形形状である場合を例に挙げた。しかし、攪拌アーム136は、攪拌羽根140と略平行な面を有していれば形状に限定はない。例えば、攪拌アーム136の断面は、多角形形状であってもよい。
【0068】
また、上記実施形態において、攪拌アーム136は、すべての断面が矩形形状である場合を例に挙げた。しかし、攪拌アーム136は、少なくとも一部の断面、例えば、回転軸120から所定の範囲の断面が矩形形状または多角形形状であってもよい。
【0069】
また、上記実施形態において、端アーム134の断面が三角形状である場合を例に挙げた。しかし、端アーム134は、回転軸120の回転に応じて、鏡板114に被処理物を押し付ける形状でなければ、形状に限定はない。端アーム134は、回転軸120の軸方向に対して傾斜した傾斜面であって、回転軸120の回転方向の前方から回転方向の後方に向かうに従って回転軸120の端部側に近づく傾斜面がなければよい。つまり、端アーム134は、鏡板114と対向する傾斜面であって、回転軸120の端部から回転軸120の中央に向かって、鏡板114との距離が漸増する傾斜面がなければよい。端アーム134が上記傾斜面を有する場合、回転軸120の回転によって傾斜面が被処理物を鏡板114に押し付けてしまう。そこで、端アーム134が、上記傾斜面を有しないことにより、回転軸120の回転によって、被処理物を鏡板114に押し付けてしまう事態を回避することができる。
【0070】
また、端アーム134は、回転軸120の回転に応じて、被処理物を回転軸120の中央側に移動させる形状であってもよい。端アーム134は、回転軸120の軸方向に対して傾斜した傾斜面であって、回転軸120の回転方向の前方から回転方向の後方に向かうに従って回転軸120の中央側に近づく傾斜面を有していてもよい。これにより、端アーム134は、被処理物を回転軸120の中央側に移動させることができる。端アーム134の断面は、例えば、2つの辺134cの形状が、2つの辺134c間の距離が、回転軸120の略中央に向かうに従って漸減する湾曲形状であってもよい。また、端アーム134の断面が矩形形状であってもよい。この場合、端アーム134は、回転軸120の端部側に鏡板114と略平行な下底を有し、回転軸120の中央側に、上底を有する台形であってもよい。
【0071】
また、上記実施形態において、中央アーム132の断面が円形状である場合を例に挙げた。しかし、攪拌羽根140が流動媒体を一方向に移動させる形状である場合、中央アーム132の断面は、攪拌アーム136と実質的に同一であってもよい。
【0072】
また、上記実施形態において、アーム130は、中央アーム132、端アーム134、および、攪拌アーム136を備える場合を例に挙げた。しかし、アーム130は、すべて攪拌アーム136で構成されてもよい。また、アーム130は、中央アーム132と、攪拌アーム136とを構成されてもよい。また、アーム130は、中央アーム132と、端アーム134とで構成されてもよい。
【0073】
また、上記実施形態において、回転軸120が水平方向に延在する場合を例に挙げた。しかし、回転軸120は、鉛直方向に延在して設けられたり、水平方向から所定角度傾斜して設けられたりしてもよい。なお、回転軸120が鉛直方向に延在する場合、外筒112も軸方向が鉛直方向となるように設置されるとよい。この場合、外筒112の上端を封止する鏡板114を省略してもよい。また、この際、アーム130のうち、最も上方に位置するアーム130の断面は、矩形形状であってもよい。つまり、最も上方に位置するアーム130は、攪拌アーム136であってもよい。
【0074】
本開示は、例えば、持続可能な開発目標(SDGs)の目標7「手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保する」に貢献することができる。
【符号の説明】
【0075】
100 乾燥装置(攪拌装置)
110 容器
112 外筒
114 鏡板
120 回転軸
130 アーム
132 中央アーム(第3アーム)
134 端アーム(第2アーム)
136 攪拌アーム(第1アーム)
136a 攪拌アーム(第1アーム)
136b 攪拌アーム(第1アーム)
136c 攪拌アーム(第1アーム)
136d 攪拌アーム(第1アーム)
140 攪拌羽根
170 加熱部