(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022083593
(43)【公開日】2022-06-06
(54)【発明の名称】運動訓練装置
(51)【国際特許分類】
A63B 23/12 20060101AFI20220530BHJP
A63B 21/005 20060101ALI20220530BHJP
A63B 24/00 20060101ALI20220530BHJP
A61H 1/02 20060101ALI20220530BHJP
【FI】
A63B23/12
A63B21/005
A63B24/00
A61H1/02 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020195006
(22)【出願日】2020-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098589
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 善章
(74)【代理人】
【識別番号】100098062
【弁理士】
【氏名又は名称】梅田 明彦
(74)【代理人】
【識別番号】100147599
【弁理士】
【氏名又は名称】丹羽 匡孝
(72)【発明者】
【氏名】佐直 洋介
(72)【発明者】
【氏名】高谷 昭一
【テーマコード(参考)】
4C046
【Fターム(参考)】
4C046AA04
4C046AA49
4C046BB05
4C046BB08
4C046CC01
4C046DD02
4C046DD33
4C046EE06
(57)【要約】
【課題】高さ方向においてコンパクトな運動訓練装置を提供する。
【解決手段】運動訓練装置は、XY平面で移動可能な操作部3と、操作部3をX軸方向に移動する第1アクチュエータ機構AXと、第1アクチュエータ機構AXをY軸方向に移動する第2アクチュエータ機構AYとを備えている。第1アクチュエータ機構AXが有する第1ベルト10、第1ガイドロッド9および第2アクチュエータ機構AYが有する第2ベルト53、第2ガイドロッド55、第3ベルト46と第3ガイドロッド48は、装置の高さ方向において第4ベルト41と第5ベルト40との間で重複して配置されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が力センサを有する操作部を操作することにより前記力センサに入力された情報に基づいて駆動モータにより前記操作部をXY平面で移動させる運動訓練装置において、
前記XY平面と平行な基台と、
前記基台上で前記操作部を保持する第1保持部材と、
前記XY平面のX軸方向に並べて配置された2つのプーリーに架け渡されており、前記第1保持部材を前記X軸方向に移動させる第1ベルトと、
前記第1保持部材を前記X軸方向に移動可能にガイドするための第1ガイド部材と、
前記第1ガイド部材の一端および前記プーリーの一方を保持する第2保持部材と、
前記第2保持部材を前記X軸方向と直交するY軸方向に移動させる第2ベルトと、
前記第2保持部材を前記Y軸方向に移動可能にガイドするための第2ガイド部材と、
前記第1ガイド部材の他端および前記プーリーの他方を保持する第3保持部材と、
前記第3保持部材を前記第2保持部材と同期して前記Y軸方向に移動させる第3ベルトと、
前記第3保持部材を前記Y軸方向に移動可能にガイドするための第3ガイド部材と、
前記第2保持部材に設けられ、前記第1ベルトを駆動するための第1駆動モータと、
前記第2ベルトおよび第3ベルトを駆動するための第2駆動モータと、
前記第2駆動モータの駆動を前記第2ベルトに伝達する第4ベルトと、
前記第2駆動モータの駆動を前記第3ベルトに伝達する第5ベルトと、を備え、
前記XY平面と直交する方向である前記基台からの高さ方向において、前記第1ベルト、前記第1ガイド部材、前記第2ベルト、前記第2ガイド部材、前記第3ベルトおよび前記第3ガイド部材は、前記第4ベルトと前記第5ベルトとの間で重複して配置されていることを特徴とする運動訓練装置。
【請求項2】
前記第2駆動モータは前記基台上で使用者とは反対側の略中央部に設けられており、
前記第2ベルトおよび前記第2ガイド部材と前記第3ベルトおよび第3ガイド部材とは前記X軸方向において前記第2駆動モータに対してそれぞれ反対側で且つ前記Y軸方向に平行に延設するように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の運動訓練装置。
【請求項3】
前記第1ガイド部材は前記X軸方向に平行に配置された2本のガイドロッドで、前記2本のガイドロッドの間に前記第1ベルトが前記X軸方向に延設されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の運動訓練装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は運動訓練装置に係り、特に、使用者の平面運動を支援可能な運動訓練装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、運動機能を向上させるために様々な運動訓練が行われている。例えば、机上を拭くような動作で肩や肘を屈伸させるワイピング訓練や傾斜したボード上で手を上下方向に滑動させるサンディング訓練が広く行われている。そして、これらの運動訓練を支援するために種々の運動訓練装置が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、XY平面で移動可能な操作部と、X軸およびY軸方向駆動モータを有し操作部をXY平面で駆動するアクチュエータ機構と、操作部に作用するX軸およびY軸方向の力Fx,Fyを検出する力センサと、力センサで検出されたX軸およびY軸方向の力Fx,Fyに基づいてX軸およびY軸方向駆動モータを制御する制御部とを備えた運動訓練装置が開示されている。この運動訓練装置では、第1直動ガイド部材上に操作部を設け、その第1直動ガイド部材を第2直動ガイド部材上で第2直動ガイド部材と直交するように配置し、第2直動ガイド部材上で第1直動ガイド部材をY軸方向に移動し、さらに第1直動ガイド部材上で操作部をX軸方向に移動することで操作部がXY平面で移動可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
肢体の運動訓練をする際に、操作部の可動範囲を広く確保することで、肢体の筋力強化や関節の可動域改善が効果的に行われる。しかし、特許文献1の構成では操作部の広い可動範囲を確保した場合、操作部を支持する支持部材の強度が必要となり、装置厚み(XY平面と直交する方向のサイズ)が厚くなることが避けられなかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、使用者が力センサを有する操作部を操作することにより力センサに入力された情報に基づいて駆動モータにより操作部をXY平面で移動させる運動訓練装置であって、XY平面と平行な基台と、基台上で操作部を保持する第1保持部材と、XY平面のX軸方向に並べて配置された2つのプーリーに架け渡されており、第1保持部材をX軸方向に移動させる第1ベルトと、第1保持部材をX軸方向に移動可能にガイドするための第1ガイド部材と、第1ガイド部材の一端およびプーリーの一方を保持する第2保持部材と、第2保持部材をX軸方向と直交するY軸方向に移動させる第2ベルトと、第2保持部材をY軸方向に移動可能にガイドするための第2ガイド部材と、第1ガイド部材の他端およびプーリーの他方を保持する第3保持部材と、第3保持部材を第2保持部材と同期してY軸方向に移動させる第3ベルトと、第3保持部材をY軸方向に移動可能にガイドするための第3ガイド部材と、第2保持部材に設けられ、第1ベルトを駆動するための第1駆動モータと、第2ベルトおよび第3ベルトを駆動するための第2駆動モータと、第2駆動モータの駆動を第2ベルトに伝達する第4ベルトと、第2駆動モータの駆動を第3ベルトに伝達する第5ベルトと、を備え、XY平面と直交する方向である基台からの高さ方向において、第1ベルト、第1ガイド部材、第2ベルト、第2ガイド部材、第3ベルトおよび第3ガイド部材は、第4ベルトと第5ベルトとの間で重複して配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、基台と直交する方向である高さ方向にコンパクトな運動訓練装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明が適用可能な実施形態の運動訓練装置の外観斜視図である。
【
図2】実施形態の運動訓練装置の装置本体の斜視図である。
【
図3】第1アクチュエータ機構の詳細を示す断面図である。
【
図4】第2アクチュエータ機構の詳細を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明が適用可能な実施形態の運動訓練装置について説明する。なお、本実施形態の運動訓練装置は略水平な載置面に載置され、例えば、使用者(運動訓練者)の上肢の運動機能向上を目的として行われる運動訓練に使用される(
図1参照)。運動訓練装置1は、
図1に示すように、操作部3を有し、使用者Uは運動訓練装置1の前側に位置し、例えば上肢運動訓練を行うために、右腕ULを前方に伸ばして操作部3を右手で把持している。尚、本明細書中では、
図1の運動訓練装置1における使用者Uの手前側を前側、奥側を後側と称することとする。
【0010】
運動訓練装置1は、XY平面(載置面および基台2と平行な水平面)で移動可能な操作部3と、操作部3をX軸方向(
図2の矢印Xの方向)に移動させる第1アクチュエータ機構AXと、操作部3及び第1アクチュエータ機構AXをY軸方向(
図2の矢印Yの方向)に移動させる第2アクチュエータ機構AYとを備えている。操作部3はハンドル部材62に作用するX軸およびY軸方向の力を検出する力センサ60(
図5参照)を備えている。さらに運動訓練装置1は、コンピュータPC(制御部70)とモニター76とを備えており、コンピュータPCは力センサ60、モータ制御部27,31及びモニター76に接続されている。X軸およびY軸方向駆動モータ6,30は、XY平面での操作部3の位置を検出するためのエンコーダ(不図示)と一体に構成されている。
【0011】
これらの構成により、力センサ60やエンコーダからの入力値に基づいてコンピュータPCおよびモータ制御部27,31はX軸およびY軸方向駆動モータ6,30の駆動を制御し、操作部3をXY平面上で移動させ、訓練情報や操作部3の移動軌跡等をモニター76に表示する。
【0012】
以下、
図2~
図5に基づいて各構成について詳細に説明する。
操作部3は第1スライダーブロック4(第1保持部材)に取付プレート5を介して取り付けられており、第1スライダーブロック4と一体となって移動するように構成されている。第1スライダーブロック4は、XY平面上のX軸方向に延設した第1ガイドロッド9aおよび9bに沿ってスライド可能に設けられている。そして第1ベルト10の一部は、ベルト固定プレート28とビス29によって第1スライダーブロック4に固定されている。これにより、第1ベルト10が第1モータ(X軸方向駆動モータ)6によって回転駆動すると、第1スライダーブロック4は第1ガイドロッド9a,9bに沿ってX軸方向にスライド移動する。
【0013】
図3に示す通り、第1アクチュエータ機構AXの第1モータ6の駆動は軸13、プーリー14、ベルト15、プーリー17および軸16を介してプーリー18に伝達される。第1モータ6は支持板21に設けられており、支持板21は支持板11に固定されている。支持板11は軸16を回転可能に支持し、第2スライダーブロック7とモータ制御部27を固定支持している(支持板11及び第2スライダーブロック7を併せて第1ガイドロッド9a,9bの一端およびプーリー18を保持する第2保持部材という)。X軸方向において第1モータ6の反対側には支持板12,24が設けられている。支持板12,24は軸19を回転可能に支持し、第3スライダーブロック8を固定支持している。軸19にはプーリー20が設けられており、プーリー18とプーリー19との間に第1ベルト10が架け渡されている。また、第1ガイドロッド9a,9bの一端は第2スライダーブロック7に固定支持され、第1ガイドロッド9a,9bの他端は第3スライダーブロック8に固定支持されている(支持板12,24及び第3スライダーブロック8を併せて第1ガイドロッド9a,9bの他端およびプーリー20を保持する第3保持部材という)。
【0014】
上述した通り、第1スライダーブロック4は第1ベルト10の一部が固定されており、第1モータ6を駆動するとプーリー18が回転してプーリー19と共にベルト10が回転するため、第1スライダーブロック4は第1ガイドロッド9a,9bに沿ってX軸方向にスライド移動するように構成されている。なお、第1ベルト10と第1ガイドロッド9a,9bはそれぞれX軸方向に平行で且つ第1ベルト10の両側に第1ガイドロッド9aと9bが配置され、基台2からの高さ位置は略同一となっている。
【0015】
第1アクチュエータ機構AXが有する第2スライダーブロック7と第3スライダーブロック8は、第3ガイドロッド48と第2ガイドロッド55に対してY軸方向にスライド移動可能に支持されており、第3ベルト46と第2ベルト53が回転することで第1アクチュエータ機構AX全体がY軸方向に移動可能となっている。
図3に示す通り、第2ベルト53の一部は、第2スライダーブロック7に固定された支持板21に設けられたベルト固定プレートにビス23によって固定されている。また、第3ベルト46の一部は、第3スライダーブロック8に固定された支持板24に設けられたベルト固定プレート25にビス26によって固定されている。そして、第2アクチュエータ機構AYの第2モータ(Y軸方向駆動モータ)30が回転駆動することによって第3ベルト46および第2ベルト53が回転し、それにより第1アクチュエータ機構AXはY軸方向にスライド移動する。
【0016】
次に、
図2と
図4を用いて第2アクチュエータ機構AYについて説明する。第2アクチュエータ機構AYは第1アクチュエータ機構AXをY軸方向に移動させるための機構である。第2モータ30およびモータ制御部31は基台2に設けられた支持板34,支柱33および支持板32からなる支持フレームの上部に設けられている。この支持フレームは使用者と反対の装置奥側(基台2のモニター76側)の中央部に固定されている。
【0017】
第2モータ30には不図示の軸およびプーリーが設けられており、プーリー36との間でベルト37が架け渡されている。支持板32と34との間には軸35が回転可能に支持され、この軸35にはプーリー37,38および39が設けられており、プーリー36の回転力が軸35を通じてプーリー38および39に伝達される。
【0018】
支持フレーム32~34のX軸方向の両側にはコの字に形成された支持板45a,52aが設けられている。支持板45aは軸43を回転可能に支持しており、軸43にプーリー42と44aが設けられている。プーリー38とプーリー42にはベルト40が架け渡されており、第2モータ30の回転駆動をベルト37,プーリー36,軸35,プーリー38,ベルト40,プーリー42および軸43を介してプーリー44aに伝達する(つまりベルト40は第2モータ30の駆動を第3ベルト46に伝達するための第5ベルトである。)。
【0019】
支持板45a近傍にはガイド支持部47aが設けられており、第3ガイドロッド48の一端を支持している。また、基台2上で支持板45aのY軸方向における反対側(装置右手前側)には支持板45aの対となる支持板45bとガイド支持部47aの対となるガイド支持部47bとが配置されている。
【0020】
支持板45bは軸43bを回転可能に支持し、軸43bにはプーリー44aの対となるプーリー44bが設けられている。第3ベルト46はプーリー44aと44bとの間で架け渡されており、上述した通りその一部が第3スライダーブロック8と一体に移動するベルト固定プレート25に固定されている。また、ガイド支持部47bは第3ガイドロッド48の他端を支持し、ガイド支持部47aと共に第3ガイドロッド48を固定支持している。第3ベルト46と第3ガイドロッド48とはそれぞれY軸方向に平行に延設され、基台2からの高さ位置は略同一となっている。
【0021】
X軸方向において支持フレームに対して支持板45aの反対側(基台2の左奥側)には支持板52aが配置されている。支持板52aは軸49を回転可能に支持しており、軸49にプーリー50と51aが設けられている。プーリー39とプーリー50にはベルト41が架け渡されており、第2モータ30の回転駆動をベルト37,プーリー36,軸35,プーリー39,ベルト41,プーリー50および軸49を介してプーリー51aに伝達する(つまりベルト41は第2モータ30の駆動を第2ベルト53に伝達するための第4ベルトである。)。
【0022】
支持板52a近傍にはガイド支持部54aが設けられており、第2ガイドロッド55の一端を支持している。また、基台2上で支持板52aのY軸方向における反対側(装置左手前側)には支持板52aの対となる支持板52bとガイド支持部54aの対となるガイド支持部54bとが配置されている。
【0023】
支持板52bは軸49bを回転可能に支持し、軸49bにはプーリー51aの対となるプーリー51bが設けられている。第2ベルト53はプーリー51aと51bとの間で架け渡されており、上述した通りその一部が第2スライダーブロック7と一体に移動するベルト固定プレート22に固定されている。また、ガイド支持部54bは第2ガイドロッド55の他端を支持し、ガイド支持部54aと共に第2ガイドロッド55を固定支持している。第3ベルト46と第3ガイドロッド48とはそれぞれY軸方向に平行に延設され、基台2からの高さ位置は略同一となっている。
【0024】
上述した通り、第2モータ30の回転駆動はプーリー44aとプーリー51aに伝達され、第3ベルト46と第2ベルト53が回転する。これにより、第3ベルト46と第2ベルト53にそれぞれ固定された第3スライダーブロック8と第2スライダーブロック7(つまり第1アクチュエータ機構AX全体)が第2ガイドロッド8と第2ガイドロッド55に沿ってY軸方向にスライド移動する。
【0025】
ここで、
図4を参照するとベルト40とベルト41とはX軸方向に平行に延設しているが、高さ方向(基台2からの距離)が異なっている。具体的には、ベルト40の下方にベルト41が配置されている。そして、この高さ方向において、第3ベルト46、第3ガイドロッド48、第2ベルト53および第2ガイドロッド55はベルト40とベルト41との間で略同一高さに配置されている。
【0026】
また、
図2図3を参照すると、操作部3をX軸方向に移動させるための第1ガイドロッド9a,9bおよび第1ベルト10は操作部3および第1アクチュエータ機構AXをY軸方向に移動させるための第3ガイドロッド48と第2ガイドロッド55との間で、且つ、Y軸方向に平行に配置された第3ガイドロッド48,第3ベルト46,第2ガイドロッド55および第2ベルト53に対して直交するX軸方向に延設するように配置されている。そして、これらの第1ベルト10,第1ガイドロッド9a・9b,第3ベルト46,第3ガイドロッド48,第2ベルト53および第2ガイドロッド55は、高さ方向においてベルト40とベルト41との間に配置されている。これにより、従来の運動訓練装置に比べて高さ方向において薄く構成することができる。
【0027】
言い換えると、
図4において基台2からプーリー44a,51aの上端までの距離(XY平面と直交する方向、つまり高さ)をL1、基台2からプーリー44a,51aの下端までの距離をL2、基台2からプーリー38,42の下端までの距離をL3、基台2からプーリー39,50までの距離をL4としたときに、以下の関係が成り立つように各部材が配置されている。「L1>L2」「L3>L1」「L2>L4」。よって、「L3>L1>L2>L4」となり、プーリー44aとプーリー51aとはL3とL4との間に配置されている。そして、ベルトはそれぞれプーリーの上端と下端との間で架け渡されており、第3ベルト46,第2ベルト53の高さ方向における中央と第3ガイドロッド48,第2ガイドロッド55の高さ方向の中央とが略同一で、第3ガイドロッド48の上端がベルト40に干渉せず、第2ガイドロッド55の下端がベルト41に干渉しないように配置されている。
【0028】
また、
図3において基台2とプーリー18,19の上端までの距離がL1、基台2とプーリー18,19の下端までの距離がL2となるように配置されている。以上から、第1ベルト10、第1ガイドロッド9a,9b、第3ベルト46、第3ガイドロッド48、第2ベルト53および第2ガイドロッド55は、高さ方向においてL3とL4との間、すなわちプーリー38,42の下端とプーリー39,50の上端との間で重複して配置されている。
【0029】
また、第1ベルト10は第1ガイドロッド9a,9bに挟まれるように配置されている。よって、使用者が操作部3に力を加えた際に第1ガイドロッド9aまたは9bを中心に回転する力を受けることができ、回転方向の移動を抑えることができる。
【0030】
操作部3は、
図1に示すように第1スライダーブロック4の前方向に配置され、
図5に示すように、比較的短い垂直な操作ロッド61と、その上端に設けられたハンドル部材62とからなる。本実施形態のハンドル部材62は、使用者Uの上肢ULの運動機能を訓練するために片手で掴むことができるように、比較的厚い小型の円形ディスク状に形成されている。ハンドル部材62は、使用者が掴んだ手で回すことができるように、操作ロッド61を中心に回動可能に取り付けられる。
【0031】
また、操作部3は、操作ロッド61に一体に設けられた力センサ60を有する。力センサ60は、取付プレート5を介して、第1アクチュエータ機構AXのスライダーブロック4に一体に固定されている。力センサ60は、使用者が自力で操作部3を動かす自動動作及び操作部3の力で上肢又は下肢を動かす他動動作のいずれにおいても、ハンドル部材62から操作ロッド61に作用する使用者の力を検出する。本実施形態では、力センサ60として、歪みゲージを用いた6軸力覚センサが採用されている。
【0032】
一般に、6軸力覚センサは、直交する3軸方向x,y,zの力(Fx,Fy,Fz)とx,y,z3軸周りのモーメント(Mx,My,Mz)とを検出することができる。本実施形態では、6軸力覚センサを、そのX軸及びY軸が、第1アクチュエータ機構AXの左右方向(第1ガイドロッド9a,9bと平行な方向)及び前後方向(第3ガイドロッド48および第3ガイドロッド53と平行な方向)とそれぞれ一致するように配向する。
【0033】
これにより、力センサ60は、使用者の上肢又は下肢が操作部3を動かし又は該操作部により動かされるとき、操作ロッド61が使用者の上肢又は下肢から直接受ける力を、前後方向の力成分と左右方向の力成分とそれらに直交する垂直方向の力成分とに分けて、更に前後方向、左右方向及び垂直方向の各軸周りにそれぞれ作用するモーメントとして、検出することができる。
【0034】
実際の運動訓練装置1の使用において、力センサ60が検出する前後方向(Y軸方向)、左右方向(X軸方向)及び垂直方向(XY平面と直交する高さ方向)の力成分は、第1及び/又は第2駆動モータ6、30の回転力と使用者が操作部3に及ぼす力との差分、即ち操作部3が使用者の上肢又は下肢から受ける抗力として検出される。例えば、他動動作の訓練において、使用者の力は、操作部3の移動に対する抵抗として、第1及び/又は第2駆動モータ6、30に作用する負荷即ち回転抗力である。自動動作の訓練では、使用者の力による操作部3の移動に対して、第1及び/又は第2駆動モータ6、30の回転力が抵抗として即ち使用者に負荷を与えるように作用する。
【0035】
更に運動訓練装置1は、第1モータ6及び第2モータ30を制御するための制御部70を備える。制御部70は、
図6に示すように、駆動制御部71(モータ制御部27,31を含む。モータ制御部27,30は
図1のPCの中に組み込んでもよい。)と、信号制御部72と、表示制御部73と、メモリ74と、それらを制御管理するための制御CPU75とを備える。
【0036】
駆動制御部71は、第1モータ6及び第2モータ30に接続され、それらの駆動を制御する。信号制御部72は、力センサ60接続され、力センサ60出力される信号を受信する。表示制御部73は、モニター装置76に接続され、該モニター装置の表示を制御する。メモリ74は、運動訓練装置1を動作させるためのプログラムに加えて、例えば使用者の個人データや訓練履歴等の訓練に関するデータを保存する。
【0037】
なお、運動訓練装置1の詳細な制御は特開2020-89621に記載されているため説明を省略する。
【0038】
本実施形態では、操作部3を取付プレート5を介して第1スライダーブロック4と高さ方向において重複する位置に設け、操作部3の下端が基台2から浮いている状態で固定する態様を示したが、取付プレート5の下面に自由回転するコロなどの摺動部材を設けて基台2上で滑らかに動くようにした上で取付プレート5の下面と基台2とが接触するように構成してもよい。これにより、使用者による下方にかかる力を基台2で受けることができる。
【0039】
また、操作部3を第1スライダーブロック4の上部に取り付けるようにしてもよい。そうすることで操作部3の可動領域がより装置奥側に広げることができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
以上述べたとおり、本発明は、高さ方向にコンパクトな運動訓練装置を提供するものであるため、運動訓練装置の製造、販売に寄与するので、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0041】
1 運動訓練装置
2 基台
3 操作部
4 第1スライダーブロック
6 Y軸方向駆動モータ
7 第2スライダーブロック
8 第3スライダーブロック
9 第1ガイドロッド(9a,9b)
10 第1ベルト
30 X軸方向駆動モータ
40 第5ベルト
41 第4ベルト
46 第3ベルト
48 第3ガイドロッド
53 第2ベルト
55 第2ガイドロッド
60 力センサ
70 制御部
AX 第1アクチュエータ機構
AY 第2アクチュエータ機構