(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022083597
(43)【公開日】2022-06-06
(54)【発明の名称】加熱用包装体
(51)【国際特許分類】
B65D 81/34 20060101AFI20220530BHJP
【FI】
B65D81/34 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020195010
(22)【出願日】2020-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】平田 賢一
【テーマコード(参考)】
3E013
【Fターム(参考)】
3E013BA08
3E013BB04
3E013BC01
3E013BD12
3E013BE01
3E013BF03
3E013BG02
3E013BG15
(57)【要約】
【課題】自由度が大きく、加熱する調理用食品の形状や大きさなどの仕様変化に対応し易く、マイクロ波加熱による良好な焼き目を付けることが可能な包装体を得る。
【解決手段】調理用食品(4)と、発熱台紙(2)と、それらを覆うスリーブ(3)と、からなる包装体であって、発熱台紙は、少なくとも誘電加熱が可能な導電性物質層(212)を有する発熱層(21)と紙基材層(22)とを有する積層体であって、前記発熱台紙は少なくとも2枚以上の複数からなり、該スリーブで調理用食品を囲んだ時に、それぞれの発熱台紙が対向し、かつ、調理食品に密着したことを特徴とする加熱用包装体。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理用食品と、発熱台紙と、それらを覆うスリーブと、からなる包装体であって、
発熱台紙は、少なくとも誘電加熱が可能な導電性物質層を有する発熱層と紙基材層とを有する積層体であって、
前記発熱台紙は少なくとも2枚以上の複数からなり、
該スリーブで調理用食品を囲んだ時に、それぞれの発熱台紙が対向し、かつ、調理食品に密着したことを特徴とする加熱用包装体。
【請求項2】
前記発熱台紙を構成する積層体の発熱層が、金属蒸着膜を施したプラスチックフィルムからなることを特徴とする請求項1に記載の加熱用包装体。
【請求項3】
前記積層体に用いられる金属蒸着膜が、アルミニウムの蒸着膜としたことを特徴とする請求項2に記載の加熱用包装体。
【請求項4】
前記発熱台紙に用いられる紙基材層が、坪量90~450g/cm2の紙からなることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の加熱用包装体。
【請求項5】
前記発熱台紙に用いられる紙基材層が、油分と水分の少なくともいずれかを吸収可能としたことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の加熱用包装体。
【請求項6】
前記スリーブは、スリーブの一端と他端とを合わせて固定し、筒状に形成可能な容器としたことを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の加熱用包装体。
【請求項7】
前記スリーブは、筒の端部に蓋を設けた容器としたことを特徴とする請求項6に記載の加熱用包装体。
【請求項8】
前記スリーブは、左右を易破断線で形成した開封帯を設けた容器とし、その開封開始端部を、周囲から突き出したつかみ部としたことを特徴とする請求項6に記載の加熱用包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主としてマイクロ波の照射による誘電加熱で加熱調理する簡易的な調理用食品などを収容した加熱用包装体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、プラスチックフィルムのシーラント側を合わせ、背シールと上下の端縁部をヒートシールしたピロー包装袋や、スタンディングパウチなどを使用して、レトルト食品などを収納し、電子レンジ等で包装袋に入れたまま加熱する包装体がある。
このような包装体を加熱するには、ピロー包装袋では、蒸気抜きする背シールを上方に向けて加熱する。スタンディングパウチでは、底部を下にして、上方に蒸気抜き部を予め加工しておき、加熱によって、蒸気抜き部が優先して開口し、包装体内部が一定の内圧が上昇した時点で、内部の蒸気等を抜き始め、調理する一定時間、その内圧を維持可能に設定されている。
ところで、上記のような包装体では、内部に収納されている食品の水分等の双極子になる成分を含有していると、それがマイクロ波によって振動して高温になり、加熱される。しかし、焼き餃子のように焼き目を付けたい食品であっても、焼き目が付かないで、蒸した状態に加熱されるだけである。そこで、焼き目を付ける場合には、より高温に加熱する工夫が必要である。
【0003】
例えば、特許文献1では、
マイクロ波の照射による誘電加熱が可能な導電性物質層を有する第1発熱体及び第2発熱体と、
前記第1発熱体が積層された折り曲げ可能な第1支持部と、
前記第2発熱体が積層された折り曲げ可能な第2支持部と、
前記第1支持部と前記第2支持部とを連結する屈曲可能な連結部と、を備え、
前記第1支持部、前記第2支持部及び前記連結部は、屈曲可能な材質であり、
前記連結部は、前記第1支持部及び前記第2支持部の外周縁の一辺同士を部分的に連結する連結体として形成され、
前記連結体には折り目が形成され、前記連結体は、前記第1発熱体と前記第2発熱体とが対向して位置するとともに、前記第1発熱体上に載置された被加熱物に前記第2発熱体が接触するように、前記折り目に沿って谷折りとなるよう屈曲される、加熱補助部材を提案している。
【0004】
しかしながら、この加熱補助部材では、第1支持部と第2支持部とを連結する屈曲可能な連結部を作る必要がある。この連結部は、加熱する食材の形状や量によって、寸法や形状、あるいは設備を変える必要が発生するなど、煩雑な問題を抱えやすい問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、自由度が大きく、加熱する調理用食品の形状や大きさなどの仕様変化に対応し易く、マイクロ波加熱による良好な焼き目を付けることが可能な包装体を得ることが、本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に係る包装体は、
調理用食品と、発熱台紙と、それらを覆うスリーブと、からなる包装体であって、
発熱台紙は、少なくとも誘電加熱が可能な導電性物質層を有する発熱層と紙基材層とを有する積層体であって、
前記発熱台紙は少なくとも2枚以上の複数からなり、
該スリーブで調理用食品を囲んだ時に、それぞれの発熱台紙が対向し、かつ、調理食品に密着したことを特徴とする加熱用包装体である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の加熱用包装体は、個々の調理用食品に対して、それぞれ対向する発熱台紙で挟まれ、かつ、密着した状態にスリーブで覆われるだけである。この為、発熱台紙の配置は自由度が高く、スリーブの寸法や形状を変更するだけで、どのような調理用食品にも対応できる為、生産性が高く、効率的な加熱用包装体とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係る加熱用包装体の第1実施形態例で、加熱する時の包装形態を示す平面図と、その断面図である。
【
図2】本発明に係る加熱用包装体の第1実施形態例に使用するスリーブのブランクと、加熱台紙の正面図と、断面図である。
【
図3】本発明に係る加熱用包装体の第2実施形態例におけるスリーブのブランクと、その加熱する時の外観斜視図である。
【
図4】本発明に係る加熱用包装体の第3実施形態例と第4実施形態例で、加熱する時の包装形態を示す横断面図である。
【
図5】本発明に係る加熱用包装体の第5実施形態例で、使用するスリーブのブランクと、加熱する時の包装形態の外観を示す斜視図である。
【
図6】本発明に係る加熱用包装体の第6実施形態例で、使用するスリーブのブランクと、加熱する時の包装形態の外観を示す斜視図である。
【
図7】本発明に係る加熱用包装体の第7実施形態例で、使用するスリーブのブランクと、加熱する時の包装形態の外観を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の加熱用包装体の実施形態について、図で説明する。
図1-1は、本発明に係る加熱用包装体1の第1実施形態例で、加熱する時の包装形態を示す平面図である。
加熱する包装形態では、スリーブ3しか外観には出ないが、内部に発熱台紙2が複数配置されている。
スリーブ3は、筒状になった、紙を主体とした包装体で、耐熱性を有し、かつ、加熱後に開封しやすいように、左右に易破断線311からなる開封部31を有し、その端部はスリーブ周縁から飛び出したつまみ部312を有している。
【0011】
図1-2、
図1-3は本発明に係る加熱用包装体の第1実施形態例で、加熱する時の包装形態を示す縦断面図と横断面図である。
加熱用包装体1は、発熱台紙2と該発熱台紙を覆うスリーブ3と、調理用食品4と、から構成されている。
発熱台紙2は複数あって、調理用食品4に対して対向するように設置されている。この図では上下に2枚の発熱台紙2で調理用食品4を挟んで密着し、それをスリーブ3が外側から覆って、発熱台紙2が調理用食品4に密着した状態を保持する形態になっている。
スリーブ3は、
図1-2に示すように、少なくとも一端が開放されており、加熱時に発生する水蒸気等は、その開放されている端部から放出される。
第1実施形態例では、スリーブの断面は長方形である角柱形状の筒であるが、その形状は、調理用食品の形状に合わせたり、料理の盛り付けに合わせたりして、別の形状であってもかまわない。
【0012】
図2-1は、本発明に係る加熱用包装体の第1実施形態例に使用するスリーブ3のブランク30である。
発熱台紙2を貼る長方形の表面板32と、裏面板34とがあって、それらの間には側面板33で繋がっている。
裏面板34には、左右が易破断線311で繋止した開封部31があって、その一端、あるいは両端は、裏面板34の端辺から飛び出したつまみ部312を形成している。
【0013】
易破断線311は、図では破断する方向に伸びる破線状の直線と、その破線状の直線の端部に該直線に対して傾斜し、へ文字が飛び飛びに連なった形状にしている。
これは、破断で破断した亀裂が多少曲がっても次の破線状の直線につなげることができるようにしているが、単なる破線の形状であっても、ハタマタ、レーザー光を走査した脆弱線であってもかまわない。ただ、直角方向の引っ張る力によって、簡単に破断してしまい、マイクロ波加熱中に破損しないだけの強度は必要である。
また、第1実施形態例では、易破断線311の一方が、側面板33と繋止している罫線で繋がっているが、必ずしも罫線の部分を易破断線311とし、易破断線311を罫線として繋げる必要はない。
【0014】
裏面板34の側面板33と繋がる端辺とは異なる他方の端辺には、側面繋止板35が罫線を介して繋止している。この側面繋止板35は、表面板32の側面板33と繋がる端辺とは異なる他方の端辺に罫線を介して繋止している側面のりしろ板36と、接着されるようになっている。
接着には、食品と同時に加熱されるので、耐熱性が高い接着剤が好ましい。耐熱性のあるプラスチック製鋲等で繋止しても良い。
【0015】
上記スリーブ3は、基材として厚みが坪量150~600g/cm2の板紙が良い。
紙質としては、バージン紙、カード紙、カップ原紙、コートボール紙、などが使用できる。また、それらに晒しクラフト紙、上質紙を積層したものであってもかまわない。
発生する油や蒸気などで腰が低下しすぎないように、耐熱性の樹脂フィルムを積層したものであってもかまわない。それらは、耐熱性が200℃以上であることが望ましい。
スリーブに使用する紙は、断熱によって高温になって取り出す時にやけどしにくくする役目と、形状を維持する役目があり、また、廃棄する時に焼却しやすいものであることが望ましい。
【0016】
図2-2は、本発明に係る加熱用包装体の第1実施形態例に使用する加熱台紙の正面図と、断面図、およびその部分拡大断面図である。
発熱台紙2の形状が長円で示されているが、調理用食品の形状に合わせて、大部分、あるいは焦げ目の付けたい面形状に合わせた形状で良い。
発熱台紙2は、少なくとも誘電加熱が可能な導電性物質層212を有する発熱層21と紙基材層22とを有する積層体で構成される。
ここで、導電性物質層212を有する発熱層21は、耐熱性フィルム層211の内面に導電性物質層212を設けた発熱層21と、導電性物質層212側に紙基材層22を貼り合せたものである。
調理用食品には、発熱台紙2の発熱層21面側が接するように配置される。
【0017】
耐熱性フィルム層211は、導電性物質層212の発熱に対して耐え得るフィルムで、毒性のある物質を溶出することがないものであれば、特に限定されない。例えば、ポリエ
チレンテレフタレート、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、ポリメチルペンテン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホンなどが使用できるが、特に、二軸延伸した状態で熱固定したポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。
内容物が焼き付いて、耐熱性フィルム層211表面に固着して外れなくならないように、さらにシリコーン樹脂層を表面に設けても良い。
耐熱性フィルム層211の厚みは15~30μmが好ましい。すなわち、15μm未満では、強度がなく、内容物と擦れるなどした時に引き裂かれたりしやすい。また、30μm以上では、熱伝導性が低下し、充分な熱を伝導あるいは放射できない。
【0018】
導電性物質層212は、マイクロ波の照射により振動し、発熱する導電性物質の層であり、耐熱性フィルム層211を介して内容物に接する面側に配置する。
導電性物質としては、アルミニウム、ニッケル、ステンレススチール、金、銀、白金、亜鉛などの導電性を有する金属薄膜で、これらの金属を耐熱性フィルム層上に蒸着、あるいはスパッタリングなどによって、薄膜を形成して製造される。中でも、価格、生産性などからアルミニウムの薄膜が好ましい。
【0019】
金属薄膜の厚みは、50~150オングストロームが好ましい。50オングストローム未満では、金属が点在し、黒色化して薄膜層を形成しにくく、マイクロ波照射しても安定して加熱できない。150オングストローム以上では、可撓性が悪化し、膜の安定性がなくなるので、50~150オングストロームとする。
【0020】
紙基材層22としては、厚みが坪量90~450g/cm2の板紙が良い。
紙質としては、油分と水分の少なくともいずれかを吸収可能とした素材とし、バージン紙、カード紙、カップ原紙、コートボール紙、などが使用できる。また、それらに晒しクラフト紙、上質紙を積層したものであってもかまわない。
不織布を断熱材層として用いても良い。不織布を用いる場合には、耐熱性が200℃以上であることが望ましい。
紙基材層22は、断熱によって外側のスリーブ3に熱を伝えない役目と、面としての形状を維持する役目があり、かつ、廃棄する時に焼却しやすいものであることが望ましい。
【0021】
紙基材層22と導電性物質層212を有する発熱層21とは、耐熱性の接着剤層23で接着される。
エポキシ系やアクリルゴム系、あるいは、縮合型と付加重合型をブレンドしたポリイミド系接着剤など、250℃以上の耐熱性を有する接着剤が好ましい。
【0022】
図3は、本発明に係る加熱用包装体1の第2実施形態例におけるスリーブ3のブランク30の図と、加熱用包装体1を加熱する時の外観斜視図である。
このスリーブ3は、細長い筒状の一端に、蓋部37を設けたもので、蓋のりしろ371が裏面板34内側に差し込まれ、発熱した熱が逃げにくくした構造の加熱用包装体1である。
調理用食品4が発熱台紙2に接して、高温になる間に、水蒸気等が発生するが、あまりそれらを放出し過ぎると、調理用食品4の温度が上昇しない。
そこで、発生した水蒸気等は放出するが、冷気が入って通り抜けないように、一端を閉鎖すると、加熱する効率を格段に向上させることができる。
調理し終わった加熱用包装体1は、飛び出していて熱くない開封部のつまみ部312を引っ張れば、容易に開封することができる。
【0023】
図4は、本発明に係る加熱用包装体1の第3実施形態例と第4実施形態例における加熱用包装体1を加熱する時の横断面図である。
第1実施形態例や第2実施形態例では、断面が長方形のスリーブを使用していたが、より
発熱台紙2を調理用食品4表面に密着させて、焼き目を付けやすくしたスリーブである。第3実施形態例では、側面板33や側面繋止板35の高さが、調理用食品4の厚みよりも低くし、調理用食品4によって表面板32や裏面板34が外側に反った形状となる。そして、それだけ、内部の発熱台紙2が調理用食品4の表面に圧着できるので、高い温度に加熱することができる。ただ、側面側には、空気の通り道が確保できているので、発生した水蒸気等でスリーブが破損するなどの事故は発生せず、焼き目を確実に付けることができる。
【0024】
第4実施形態例では、側面板や側面繋止板が無くなり、調理用食品4の厚み分、表面板32や裏面板34が外側に反った形状となる。そして、それだけ、内部の発熱台紙2が調理用食品4の表面に圧着できるので、より高い温度に加熱することができる。また、側面側には、空気の通り道は確保できているので、発生した水蒸気等でスリーブが破損するなどの事故は発生せず、焼き目を確実に付けることができる。
【0025】
図5は、本発明に係る加熱用包装体の第5実施形態例で、使用するスリーブ3のブランクと、加熱する時の包装形態の外観を示す斜視図である。
このスリーブ3は、細長い筒状の両端に、蓋を設けたもので、裏面板34と表面板32の上下方向の両端が曲線の罫線によって蓋に繋止されていることによって、上下両端の蓋が内側に反った形状になるので、閉じ易い形状となっている。
裏面板34には、左右を易破断線311で形成されている開封部31が、中央の長手方向に設けられている。更に、裏面板34の上端と下端には、上記開封部31の易破断線311に続けて、更に、右側面板331側にも易破断線311を設けて、より大きく開口できるように設計されている。
【0026】
また、裏面板34の上下両端に設けた蓋は、上方では表面板32に繋止している上内蓋372があって、その外側に裏面板34に繋止する上外蓋382が被さるようにして閉鎖している。そして、下方では表面板32に繋止している下内蓋373があって、その外側に裏面板34に繋止している下外蓋383が被さるようにして閉鎖できる。
このように、上下両端の蓋を閉めると、電子レンジで加熱した熱が外に逃げにくくなるので、より、効率的に加熱することができる。
【0027】
ここで、上記開封部31の上端には、裏面板34端面から飛び出したつまみ部312が設けられている。
このつまみ部312を裏面板34から引き上げると、開封部31は左右両側の易破断線311が破断し、裏面板34中央の全長に渡たる細長くて大きな開口部を開けることができる。
さらに、開封部31の右側面板331側を引き上げると、裏面板の右側面板331側も開封し、より大きく開口できる。
ここまで大きく開口すると、スリーブ3の内部に、持ち手39が見えるようになる。
そこで、持ち手39と残る裏面板34の間に手を入れて、スリーブ3全体を持ち上げることによって、やけどしないで、持ち手39の裏側にある調理用食品4を取り出すことができる。
この第5実施形態例は、側面板の高さが、表面板と裏面板の中央の高さよりも低いので、内部の発熱台紙2を、表裏からしっかり調理用食品に圧接し、確実で、効率よく加熱可能とすることができる。
【0028】
図6は、本発明に係る加熱用包装体の第6実施形態例で、使用するスリーブ3のブランクと、加熱する時の包装形態の外観を示す斜視図である。
このスリーブ3は、細長い筒状の両端に、蓋を設けたもので、裏面板34と表面板32の上下方向の両端が曲線の罫線によって蓋に繋止されていることによって、上下両端の蓋が
内側に反った形状になるので、閉じ易い形状となっている。
さらに、第5実施形態例と同じように、裏面板34には、左右を易破断線311で形成された開封部31が、中央の長手方向に設けられている。更に、裏面板34の上端と下端には、上記開封部31の易破断線311に続けて、更に、右側面板331側にも易破断線311を設けて、より大きく開口できるように設計されている。
ここで、上記開封部31の上端には、裏面板34端面から飛び出したつまみ部312が設けられている。
【0029】
また、裏面板34の上下両端に設けた蓋は、上方では表面板32に繋止している上内蓋372があって、その外側に裏面板34に繋止する上外蓋382が被さるようにして閉鎖している。また、下方では表面板32に繋止している下内蓋373があって、その外側に裏面板34に繋止している下外蓋383が被さるようにして閉鎖できる。ここまで特徴は、第5実施形態例と同様である。
第6実施形態例では、上内蓋372の中央に上内蓋差し込み部3721が、下内蓋373の中央には下内蓋差し込み部3731が、それぞれ形成され、その左右に切り欠きが設けられている。
【0030】
さらに、上外蓋部382の中央に上外蓋切り込み部3821が、下外蓋部383の中央に下外蓋切り込み部3831が、それぞれ形成されている。
上記上内蓋差し込み部3721は上外蓋切り込み部3821に、下内蓋差し込み部3731は下外蓋切り込み部3831に、それぞれ差し込まれ、上内蓋372に上外蓋382が被さった状態で固定され、下内蓋373に下外蓋383が被さった状態で固定できる。
この為、搬送時に、調理用食品がスリーブ3から抜け落ちたりしない。
【0031】
加熱調理後、このスリーブ3を開封するには、第5実施形態例と同じで、まず、つまみ部312を裏面板34から引き上げて、開封部31は左右両側の易破断線311が破断し、裏面板34中央の全長に渡たる細長くて大きな開口部を開ける。
さらに、開封部31の右側面板331側を引き上げ、裏面板の右側面板331側も開封し、より大きく開口させることができる。
このように大きく開口すると、第5実施形態例と同じように、スリーブ3の内部に、持ち手39が見える。
そこで、持ち手39と残る裏面板34の間に手を入れて、スリーブ3全体を持ち上げることによって、やけどしないで、持ち手39の裏側にある調理用食品4を取り出すことができる。
【0032】
図7は、本発明に係る加熱用包装体の第7実施形態例で、使用するスリーブ3のブランクと、加熱する時の包装形態の外観を示す斜視図である。
第7実施形態例も、第5実施形態例や第6実施形態例と同じように、スリーブ3は、細長い筒状の両端に、蓋を設けたもので、裏面板34と表面板32の上下方向の両端が曲線の罫線によって蓋に繋止されていることによって、上下両端の蓋が内側に反った形状になるので、閉じ易い形状となっている。
さらに、第5実施形態例や第6実施形態例と同じように、裏面板34には、左右を易破断線311で形成された開封部31が、中央の長手方向に設けられている。そして、裏面板34の上端と下端には、上記開封部31の易破断線311に続けて、右側面板331側にも易破断線311を設けて、より大きく開口できるように設計されている。
ここで、上記開封部31の上端には、裏面板34端面から飛び出したつまみ部312が設けられている。
【0033】
また、裏面板34の上下両端に設けた蓋は、上方では裏面板34に繋止する上内蓋384があって、その内側に表面板32に繋止している上外蓋374が被さるようにして閉鎖している。そして、下方では裏面板34に繋止している下内蓋385があって、その外側に表面板32に繋止している下外蓋375が被さるようにして閉鎖できる。
第7実施形態例では、上内蓋372の中央上端に上内蓋差し込み部3722が、下内蓋373の中央下端には下内蓋差し込み部3732が、それぞれ形成され、その繋止部の左右に切り欠きが設けられている。
さらに、上外蓋部382と裏面板3とが繋止している繋止線上に裏面上切り込み部341が、下外蓋部383と裏面板3とが繋止している繋止線上に裏面下切り込み部342が、それぞれ形成されている。
上記上内蓋差し込み部3722は裏面上切り込み部341に、下内蓋差し込み部3732は裏面下切り込み部342に、それぞれ、スリーブ3の中に挿入される。このようにして、上内蓋372に上外蓋382が被さった状態で固定でき、また、下内蓋373に下外蓋383が被さった状態で固定できる。
この為、搬送時に、調理用食品がスリーブ3から抜け落ちたりしない。
【0034】
加熱調理後、このスリーブ3を開封するには、第5実施形態例と同じで、まず、つまみ部312を裏面板34から引き上げて、開封部31は左右両側の易破断線311が破断し、裏面板34中央の全長に渡たる細長くて大きな開口部を開ける。
この時、この第7実施形態例では、開封部31の上端と下端には、裏面上切り込み部341と裏面下切り込み部342の切り込みがあるので、開封部31の左右に形成されている易破断線311を破断すると、スリーブ3から開封部31が完全に取り外せるようになる。
さらに、開封部31の右側面板331側を引き上げ、裏面板の右側面板331側も開封し、より大きく開口させる。
このように大きく開口すると、スリーブ3の内部に、持ち手39が見える。
そこで、持ち手39と残る裏面板34の間に手を入れて、スリーブ3全体を持ち上げることによって、やけどしないで、持ち手39の裏側にあり、表裏を発熱台紙2で挟まれた調理用食品4を取り出すことができる。
【0035】
以上のように、調理用食品4に対して、それぞれ対向する発熱台紙2で挟んで高温に調理可能な面を形成するので、個々の調理用食品4に確実に焦げ目を付ける高温の加熱が可能である。
【0036】
本加熱用包装体に使用する加熱用食品は、肉や野菜などのような水分や油分を多く含む食材を内包し、小麦粉等で包んだ餃子や、鯖やイワシ、アジ、など魚の干物や、冷凍したハンバーグ、焼き肉など、多彩な食品を想定している。
水分や油分など、双極子を有する分子を含有する食品は、マイクロ波によって大きな振動エネルギーを得ることができるので、短時間で容易に高熱に調理することができる。
特に、周囲に出た煮汁が出ても、発熱台紙に接した面が200℃を越え、高温にすることによって、高い食感を醸し出すことができるなど、高い効果を得ることができる。
【0037】
以上に示すように、本発明の加熱用包装体は、個々の調理用食品に対して、それぞれ対向した複数の発熱台紙で挟むことによって、発熱面積が広く、効率的で大きな加熱力を得ることが出来るので、安定した焼き目を得ることができる。その為、加熱済みの冷凍食品の再加熱だけではなく、未加熱の生の冷凍食品であっても加熱調理可能とすることができる。
特に、発熱台紙とスリーブを別々に製造し、調理用食品の対向する面にそれぞれ発熱台紙が配置されるようにするだけなので、全体を包むスリーブ形状は自由度が高く、一般的な紙器製造ラインで、効率よく製造することが可能である。
又、発熱台紙も、長円だけでなく、長方形であっても三角であっても、調理用食品に合わせて、積層した台紙を用意し、それを単に形状に合わせて断裁したり抜いたりするだけな
ので、自由度が高く、効率よく製造することができる。
その為、汎用の設備を使用して、製造が可能であること、未加熱の冷凍食品に使用可能であることなどから、商品の価格を抑えやすいなど、本発明のメリットは大きい。
【符号の説明】
【0038】
1・・・・・・・・加熱用包装体
2・・・・・・・・発熱台紙
21・・・・・・・発熱層
211・・・・・・耐熱性フィルム層
212・・・・・・導電性物質層
22・・・・・・・紙基材層
23・・・・・・・接着剤層
3・・・・・・・・スリーブ
31・・・・・・・開封部
311・・・・・・易破断線
312・・・・・・つまみ部
32・・・・・・・表面板
33・・・・・・・側面板
331・・・・・・右側面板
332・・・・・・左側面板
34・・・・・・・裏面板
341・・・・・・裏面上切り込み部
342・・・・・・裏面下切り込み部
35・・・・・・・側面繋止板
36・・・・・・・側面のりしろ板
37・・・・・・・蓋部
371・・・・・・蓋のりしろ
372・・・・・・上内蓋(表面板繋止)
3721・・・・・上内蓋差し込み部
3722・・・・・上内蓋差し込み部
373・・・・・・下内蓋(表面板繋止)
3731・・・・・下内蓋差し込み部
3732・・・・・下内蓋差し込み部
374・・・・・・上外蓋(表面板繋止)
375・・・・・・下外蓋(表面板繋止)
382・・・・・・上外蓋(裏面板繋止)
3821・・・・・上外蓋切り込み部
383・・・・・・下外蓋(裏面板繋止)
3831・・・・・下外蓋切り込み部
384・・・・・・上内蓋(裏面板繋止)
385・・・・・・下内蓋(裏面板繋止)
39・・・・・・・持ち手
4・・・・・・・・調理用食品