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特開2022-83629冷凍機のメンテナンス装置、および、冷凍機のメンテナンス方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022083629
(43)【公開日】2022-06-06
(54)【発明の名称】冷凍機のメンテナンス装置、および、冷凍機のメンテナンス方法
(51)【国際特許分類】
   F25B 9/00 20060101AFI20220530BHJP
【FI】
F25B9/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020195055
(22)【出願日】2020-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】591176306
【氏名又は名称】アルバック・クライオ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 政通
(72)【発明者】
【氏名】奥山 昴
(72)【発明者】
【氏名】柴田 倖宏
(72)【発明者】
【氏名】湯山 純平
(57)【要約】
【課題】冷凍機および冷却対象に対する水分の付着を抑制可能としたメンテナンス装置、および、メンテナンス方法を提供する。
【解決手段】冷凍機のディスプレーサが収納されたシリンダと連結した被冷却対象と接続可能に構成された第1グローブボックス11であって、シリンダから取り出されるシリンダを除く冷凍機部分を収納するための第1グローブボックス空間を区切る第1グローブボックス11と、第1グローブボックス空間内に位置し、冷凍機を収納することが可能な第1容器13と、第1グローブボックス空間内に位置する第1蓋部14とを備える。第1蓋部14は、被冷却対象と第1グローブボックス11とが接続された状態において、シリンダと第1グローブボックス空間との連通を遮断することが可能に構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷凍機のディスプレーサが収納されたシリンダと連結した被冷却対象と接続可能に構成されたグローブボックスであって、前記シリンダから取り出される前記シリンダを除く冷凍機部分を収納するための第1グローブボックス空間を区切る前記グローブボックスと、
前記第1グローブボックス空間内に位置し、冷凍機を収納することが可能な容器と、
前記第1グローブボックス空間内に位置する蓋部と、を備え、
前記蓋部は、被冷却対象と前記グローブボックスとが接続された状態において、前記シリンダと前記第1グローブボックス空間との連通を遮断することが可能に構成されている
冷凍機のメンテナンス装置。
【請求項2】
前記グローブボックスは、前記第1グローブボックス空間と前記被冷却対象とを駆動部を通過させて前記第1グローブボックス空間に内包して接続するための孔を囲み、前記グローブボックスを前記被冷却対象に気密に取り付けるための取付部をさらに備える
請求項1に記載の冷凍機のメンテナンス装置。
【請求項3】
前記グローブボックスは、第1グローブボックスであり、
前記容器は、第1容器であり、
前記蓋部は、第1蓋部であり、
前記メンテナンス装置は、
前記被冷却対象と接続可能に構成された第2グローブボックスであって、シリンダ内空間と連通可能に構成された空間を区切る前記第2グローブボックスと、
前記第2グローブボックスが区切る第2グローブボックス空間内に位置する第2容器と、をさらに備え、
前記第2容器は、前記被冷却対象に連結された前記シリンダに取り付ける第2ディスプレーサと第2駆動部を収納可能に構成されている
請求項1または2に記載の冷凍機のメンテナンス装置。
【請求項4】
前記容器は、前記容器において前記ディスプレーサを収納する空間を区画する伸縮部を備える
請求項1または2に記載の冷凍機のメンテナンス装置。
【請求項5】
前記冷凍機は、前記容器に収納される前記ディスプレーサと、前記容器から露出する駆動部とを備え、
前記容器は、前記ディスプレーサを収納した状態において、前記駆動部に接して前記ディスプレーサを収納する空間を封止する封止部を備える
請求項1または2に記載の冷凍機のメンテナンス装置。
【請求項6】
第1グローブボックス空間を区切るグローブボックスと、冷凍機が連結された被冷却対象とを接続し、ディスプレーサをシリンダから取り外して、前記第1グローブボックス空間内に収容されている容器に前記ディスプレーサを収納すること、および、
前記第1グローブボックス空間内の蓋部を用いて、前記第1グローブボックス空間とシリンダ内空間との連通を遮断すること、を含む
冷凍機のメンテナンス方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍機のメンテナンス装置、および、冷凍機のメンテナンス方法に関する。
【背景技術】
【0002】
冷却対象の冷却を行う冷凍機のメンテナンスでは、グローブボックスが用いられている。冷却対象に取り付けられた冷凍機のメンテナンスでは、まず、交換用の冷凍機を収容したグローブボックスを被冷却対象に取り付ける。この際に、被冷却対象に取り付けられた冷凍機の一部が、グローブボックスが区切る空間に露出するように、被冷却対象に対してグローブボックスを取り付ける。グローブボックスが区切る空間内には、ヘリウムガスが供給される。次いで、被冷却対象に取り付けられた冷凍機からシリンダを除く冷凍機部分を取り外し、グローブボックス内に収容する。そして、交換用のシリンダを除く冷凍機部分を被冷却対象に連結されたシリンダに取り付ける(例えば、特許文献1、2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-169991号公報
【特許文献2】特開2000-146333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、シリンダを除く冷凍機部分が被冷却対象から取り外されてから交換用のシリンダを除く冷凍機部分がシリンダに取り付けられるまでの間にわたって、シリンダはグローブボックスが区切る空間に露出する。グローブボックス内がヘリウムガスによって置換されていても、グローブボックス内には少なからず水分が存在する。こうした水分がシリンダに付着すると、冷却の効率が低下するから、シリンダに対する水分の付着を抑えることが好ましい。このように、冷凍機のメンテナンスにおいて、冷凍機に対する水分の付着を抑えることが求められている。
【0005】
本発明は、冷凍機に対する水分の付着を抑制可能とした冷凍機のメンテナンス装置、および、冷凍機のメンテナンス方法を提供し、交換用のシリンダを除く冷凍機部分を予冷した状態で交換することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための冷凍機のメンテナンス装置は、冷凍機のディスプレーサが収納されたシリンダと連結した被冷却対象と接続可能に構成されたグローブボックスであって、前記シリンダから取り出される前記シリンダを除く冷凍機部分を収納するための第1グローブボックス空間を区切る前記グローブボックスと、前記第1グローブボックス空間内に位置し、ディスプレーサを収納することが可能な容器と、前記第1グローブボックス空間内に位置する蓋部と、を備える。前記蓋部は、被冷却対象と前記グローブボックスとが接続された状態において、前記シリンダと前記第1グローブボックス空間との連通を遮断することが可能に構成されている。なお、容器にはディスプレーサと駆動部の双方を収納してもよい。
【0007】
上記課題を解決するための冷凍機のメンテナンス方法は、第1グローブボックス空間を区切るグローブボックスと、冷凍機が連結された被冷却対象とを接続し、ディスプレーサをシリンダから取り外して、前記第1グローブボックス空間内に収容されている容器に前記ディスプレーサを収納すること、および、前記第1グローブボックス空間内の蓋部を用いて、前記第1グローブボックス空間とシリンダ内空間との連通を遮断すること、を含む。
【0008】
上記各構成によれば、シリンダ内空間と第1グローブボックス空間との連通が蓋部によって遮断されるから、シリンダ内空間に水が混入することが抑えられる。また、冷凍機が第1グローブボックス空間内の容器に収納されるから、シリンダ内空間から取り出されたディスプレーサに対する水分の付着が抑えられる。
【0009】
上記冷凍機のメンテナンス装置において、前記グローブボックスは、前記第1グローブボックス空間と前記被冷却対象とを駆動部を通過させて前記第1グローブボックス空間に内包して接続するための孔を囲み、前記グローブボックスを前記被冷却対象に気密に取り付けるための取付部をさらに備えている。
【0010】
上記構成によれば、グローブボックスを被冷却対象に取り付けるための取付部が第1グローブボックス空間と被冷却対象とを接続するための孔を囲むため、グローブボックスを被冷却対象に取り付けたのちに、駆動部とディスプレーサとをシリンダから取り出すことで、第1グローブボックス空間とシリンダ内空間とを連通させることが可能となる。
【0011】
上記冷凍機のメンテナンス装置において、前記グローブボックスは、第1グローブボックスであり、前記容器は、第1容器であり、前記蓋部は、第1蓋部であり、前記メンテナンス装置は、前記被冷却対象と接続可能に構成された第2グローブボックスであって、シリンダ内空間と連通可能に構成された空間を区切る前記第2グローブボックスと、前記第2グローブボックスが区切る第2グローブボックス空間内に位置する第2容器と、をさらに備え、前記第2容器は、前記被冷却対象に連結された前記シリンダに取り付ける第2ディスプレーサと第2駆動部を収納可能に構成されてもよい。
【0012】
上記構成によれば、シリンダを除く第1冷凍機部分の取り外しと第2冷凍機部分の取り付けとを1つのグローブボックスを用いて同時に行う場合に比べて、各グローブボックスの大きさを縮小することができる。そのため、メンテナンスに必要な空間を縮小することができる。
【0013】
上記冷凍機のメンテナンス装置において、前記容器は、前記容器において前記ディスプレーサを収納する空間を区画する伸縮部を備えてもよい。上記構成によれば、容器にディスプレーサを収縮した伸縮部を伸長しながら収納することができるので、作業空間がディスプレーサ部の略2倍ではなく、略1倍になり、グローブボックス内の空間を小さくすることが可能である。
【0014】
上記冷凍機のメンテナンス装置において、前記冷凍機は、前記容器に収納される前記ディスプレーサと、前記容器から露出する駆動部とを備え、前記容器は、前記ディスプレーサを収納した状態において、前記駆動部に接して前記ディスプレーサを収納する空間を封止する封止部を備えておりディスプレーサへの水分の付着がさらに抑えられる。ディスプレーサと駆動部の双方を収納する場合は、グローブボックス内の空間に対して密閉する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1実施形態の冷凍機のメンテナンス装置が備える第1グローブボックスの構成を模式的に示す装置構成図。
図2】第1実施形態の冷凍機のメンテナンス方法を説明するための工程図。
図3】同実施形態の冷凍機のメンテナンス方法を説明するための工程図。
図4】同実施形態の冷凍機のメンテナンス方法を説明するための工程図。
図5】同実施形態の冷凍機のメンテナンス方法を説明するための工程図。
図6】同実施形態の冷凍機のメンテナンス方法を説明するための工程図。
図7】同実施形態の冷凍機のメンテナンス方法を説明するための工程図。
図8】第2実施形態の冷凍機のメンテナンス方法を説明するための工程図。
図9】同実施形態の冷凍機のメンテナンス方法を説明するための工程図。
図10】同実施形態の冷凍機のメンテナンス方法を説明するための工程図。
図11】同実施形態の冷凍機のメンテナンス方法を説明するための工程図。
図12】同実施形態の冷凍機のメンテナンス方法を説明するための工程図。
図13】同実施形態の冷凍機のメンテナンス方法を説明するための工程図。
図14】第3実施形態の冷凍機のメンテナンス装置が備えるグローブボックスの構成を模式的に示す装置構成図。
図15】第3実施形態の冷凍機のメンテナンス方法を説明するための工程図。
図16】同実施形態の冷凍機のメンテナンス方法を説明するための工程図。
図17】同実施形態の冷凍機のメンテナンス方法を説明するための工程図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[第1実施形態]
図1から図7を参照して、冷凍機のメンテナンス装置および冷凍機のメンテナンス方法の第1実施形態を説明する。以下では、冷凍機のメンテナンス装置、および、冷凍機のメンテナンス方法を順に説明する。本開示において、冷凍機のメンテナンス装置は、被冷却対象に取り付けられた冷凍機のメンテナンス、すなわち、シリンダを除く冷凍機部分の交換を含む処理を行うための装置である。また、本開示において、冷凍機のメンテナンス方法は、被冷却対象に取り付けられた冷凍機のシリンダを除く冷凍機部分の交換を含む処理を行う方法である。
【0017】
[冷凍機のメンテナンス装置]
図1を参照して冷凍機のメンテナンス装置を説明する。なお、本実施形態のメンテナンス装置は、図1に示される第1グローブボックスと、図4に示される第2グローブボックスとを備えている。第1グローブボックスと第2グローブボックスとは被冷却対象のメンテナンスにおいて用いられるタイミングが異なる一方で、冷凍機のメンテナンスに必要な構成は共通である。そのため、第1グローブボックス、および、第1グローブボックス内に位置する機能部を説明する一方で、第2グローブボックス、および、第2グローブボックス内に位置する機能部の説明を省略する。
【0018】
図1が示すように、メンテナンス装置10は、第1グローブボックス11、第1容器13、および、第1蓋部14を備えている。第1グローブボックス11は、第1グローブボックス空間を区切る。第1容器13は、第1グローブボックス空間内に位置し、ディスプレーサもしくはディスプレーサと駆動部を収納することが可能に構成されている。第1蓋部14は、第1グローブボックス空間内に位置している。第1蓋部14は、第1グローブボックス空間が被冷却対象に連結したシリンダ内空間に連通した状態から、シリンダ内空間と第1グローブボックス空間との連通を遮断し、シリンダ内空間を第1グローブボックス空間に対して封止することが可能に構成されている。
【0019】
シリンダ内空間が第1グローブボックス空間に対して第1蓋部14によって封止されるから、シリンダに水分が付着することが抑えられる。また、ディスプレーサが第1グローブボックス空間内の第1容器13に収納されるから、冷却されたディスプレーサに対する水分の付着が抑えられる。
【0020】
第1グローブボックス11は、第1挿入口11Rおよび第2挿入口11Lを有している。第1挿入口11Rには、第1グローブボックス11内に位置する第1グローブ12Rが接続されている。第2挿入口11Lには、第1グローブボックス11内に位置する第2グローブ12Lが接続されている。
【0021】
第1グローブボックス11は、第1連結孔11Aを有している。第1連結孔11Aは、第1グローブボックス空間をシリンダ内空間に連通するための孔である。第1グローブボックス11の外表面には、取付部15が位置している。取付部15は、第1連結孔11Aを囲んでいる。取付部15は、第1グローブボックス11を被冷却対象に取り付ける。第1グローブボックス11を被冷却対象に取り付けるための取付部15が第1グローブボックス空間とシリンダ内空間を連通させるための第1連結孔11Aを囲むから、第1グローブボックス11と被冷却対象との接続後に、駆動部およびディスプレーサをシリンダから取り外すことにより、第1グローブボックス空間とシリンダ内空間との連通を進めることが可能となる。
【0022】
取付部15は、第1グローブボックス11の外表面から離れる方向に向けて突き出ている。取付部15は、第1連結孔11Aを囲む環状を有している。取付部15は、被冷却対象に対して取り付けられた場合に、被冷却対象との接続部を封止することが可能に構成されている。例えば、取付部15は、被冷却対象と接触する部分に封止部を備えている。取付部15において被冷却対象と接触する部分は、例えば取付部15が突き出る方向における取付部15の先端である。
【0023】
上述したように、第1グローブボックス空間には、第1容器13および第1蓋部14が位置している。第1容器13は、伸縮部13Aを備えている。伸縮部13Aは、第1容器13においてディスプレーサもしくはディスプレーサおよび駆動部を収納する空間を区画する。第1容器13にディスプレーサもしくはディスプレーサおよび駆動部が収納されていないときに伸縮部13Aを収縮させることによって、ディスプレーサもしくはディスプレーサおよび駆動部を第1容器13に収納するときの作業空間を縮小することが可能である。
【0024】
冷凍機は、ディスプレーサと、駆動部と、シリンダとを備えている。第1容器13は、さらに封止部13Bを備えている。封止部13Bは、第1容器13がディスプレーサもしくはディスプレーサおよび駆動部を収納した状態において、ディスプレーサもしくはディスプレーサおよび駆動部を収納する空間を封止する。そのため、第1容器13に収納されたディスプレーサへの水分の付着がさらに抑えられる。
【0025】
本実施形態では、封止部13Bは、伸縮部13Aが有する開口の周りに位置している。封止部13Bは、伸縮部13Aにディスプレーサが収納されている状態において、駆動部のフランジに締結することによって、伸縮部13Aが区切る空間をディスプレーサとともに封止する。ディスプレーサと駆動部の双方を収納する場合は、封止部材をグローブボックス内に用意し、封止部13Bを封止する。
【0026】
第1蓋部14は、シリンダ内空間を第1グローブボックス空間に対して封止することが可能な部材である。第1蓋部14は、例えばシール部材を周囲に備えたフランジである。シール部材は、例えば弾性を有した部材である。シール部材は、例えば樹脂製またはゴム製であってよい。
【0027】
メンテナンス装置10は、排気部16とガス供給部17とをさらに備えている。排気部16は、第1グローブボックス11に接続されている。排気部16は、第1グローブボックス11が区切る第1グローブボックス空間を排気する。排気部16は、例えば、ポンプおよびバルブなどを備えている。ガス供給部17は、第1グローブボックス11に接続されている。ガス供給部17は、第1グローブボックス空間に不活性ガスを供給する。ガス供給部17は、例えば不活性ガス容器およびバルブなどを備えている。不活性ガスは、例えばヘリウムガスであることが好ましい。
【0028】
[冷凍機のメンテナンス方法]
図2から図7を参照して、冷凍機のメンテナンス方法を説明する。
第1冷凍機31は、第1ディスプレーサ31Aと第1駆動部31Bとシリンダ32とを備えている。第1ディスプレーサ31Aは、シリンダ32内に挿入される部分であり、第1駆動部31Bは、シリンダ32から露出する部分である。第1冷凍機31は、例えばギフォード・マクマホン冷凍機であってよい。
【0029】
メンテナンス方法は、第1グローブボックス空間を被冷却対象に連結した冷凍機の第1駆動部31Bを内包するように第1グローブボックス11を被冷却対象に締結すること、第1グローブボックス空間に第1ディスプレーサ31Aを取り込むこと、および、被冷却対象に連結したシリンダ32内空間を封止することを含む。第1グローブボックス11を被冷却対象に取り付けて、第1グローブボックス11が区切る第1グローブボックス空間に、被冷却対象と連結した冷凍機31の第1駆動部31Bを内包させる。メンテナンスの対象となる第1ディスプレーサ31Aを冷却対象と連結したシリンダ32から取り外して、第1グローブボックス空間に第1ディスプレーサ31Aを取り込み、第1グローブボックス11内の第1容器13に第1ディスプレーサ31Aを収納する。第1グローブボックス11内の第1蓋部14を用いて、第1グローブボックス空間に対して被冷却対象に連結したシリンダ32内空間を封止する。以下、図面を参照して、メンテナンス方法を詳しく説明する。
【0030】
図2が示すように、冷凍機のメンテナンス方法では、まず、第1グローブボックス11を被冷却対象30に接続する。被冷却対象30は、例えば超電導磁石を備える装置であって、核磁気共鳴装置であってよい。この際に、第1グローブボックス11が備える取付部15を用いて、第1グローブボックス11を被冷却対象30に接続する。これにより、第1グローブボックス11の第1グローブボックス空間に被冷却対象30に締結した冷凍機の第1駆動部31Bを内包する。シリンダ32には、第1ディスプレーサ31Aが挿入されている。第1ディスプレーサ31Aおよび第1駆動部31Bは、新しいディスプレーサおよび駆動部に交換される対象である。
【0031】
図3が示すように、第1ディスプレーサ31Aをシリンダ32から取り出し、第1ディスプレーサ31Aもしくは第1ディスプレーサ31Aおよび第1駆動部31Bを第1容器13内に取り込む。この際に、第1冷凍機31のメンテナンスを行う作業者が、例えば第1挿入口11Rを通じて第1グローブ12Rに片手を挿入し、かつ、第2挿入口11Lを通じて第2グローブ12Lに他の片手を挿入する。そして、作業者は、第1グローブ12Rおよび第2グローブ12Lを装着した状態で、第1ディスプレーサ31Aをシリンダ32から引き抜く。次いで、作業者は、収縮させた状態の伸縮部13Aに第1ディスプレーサ31Aもしくは第1ディスプレーサ31Aおよび第1駆動部31Bを伸長させつつ収納し、かつ、封止部13Bで封止する。
一方で、作業者は、第1ディスプレーサ31Aをシリンダ32から引き抜いた後に、第1蓋部14を用いてシリンダ32の開口を封止する。
【0032】
図4は、第1グローブボックス11とは異なる第2グローブボックスが、新しい冷凍機を冷却するための予冷用装置40に接続された状態を示している。
【0033】
図4が示すように、メンテナンス装置10は、第2グローブボックス21をさらに備えている。第2グローブボックス21内には、第2容器23が位置している。上述したように、第1容器13は、被冷却対象30から取り外された第1ディスプレーサ31Aもしくは第1ディスプレーサ31Aおよび第1駆動部31Bを収納可能に構成されている。これに対して、第2容器23は、被冷却対象30に取り付ける第2ディスプレーサ41Aもしくは第2ディスプレーサ41Aおよび第2駆動部41Bを収納可能に構成されている。なお、第2容器23は、第1容器13と同様に、伸縮部23Aと封止部23Bとを備えている。伸縮部23Aは、第2容器23において第2ディスプレーサ41Aもしくは第2ディスプレーサ41Aおよび第2駆動部41Bを収納する空間を区画する。伸縮部23Aは、第2ディスプレーサ41Aもしくは第2ディスプレーサ41Aおよび第2駆動部41Bを収納していない状態において、収縮されている。
【0034】
このようにメンテナンス装置10は、2つのグローブボックス11,21を備えるから、第1ディスプレーサ31Aおよび第1駆動部31Bの取り外しと第2ディスプレーサ41Aおよび第2駆動部41Bの取り付けとを1つのグローブボックスを用いて同時に行う場合に比べて、各グローブボックス11,21の大きさを縮小することができる。そのため、メンテナンスに必要な空間を縮小することができる。さらに、被冷凍対象と新しい冷凍機を冷却するための予冷用装置40とを距離を離して設置することができる。
【0035】
第2グローブボックス21は、第1グローブボックス11と同様に、第1挿入口21Rおよび第2挿入口21Lを備えている。第1挿入口21Rには第1グローブ22Rが接続され、かつ、第2挿入口21Lには第2グローブ22Lが接続されている。第2グローブボックス21内には、第2蓋部24が位置している。
【0036】
第2グローブボックス21は、第2連通孔21Aを備えている。第2グローブボックス21の外表面には、取付部25が位置している。取付部25は、第2連通孔21Aを囲む環状を有している。取付部25は、第1グローブボックス11に位置する取付部15と同様に、第2グローブボックス21の外表面から離れる方向に突き出た形状を有している。
【0037】
第2グローブボックス21には、第1グローブボックス11と同様に、排気部26とガス供給部27とが接続されている。排気部26は、第2グローブボックス21が区切る第2グローブボックス空間を排気する。排気部26は、例えば、ポンプおよびバルブなどを備えている。ガス供給部27は、第2グローブボックス空間に不活性ガスを供給する。ガス供給部27は、例えば不活性ガス容器及びバルブなどを備えている。不活性ガスは、例えばヘリウムガスが好ましい。
【0038】
第2グローブボックス21は、取付部25によって予冷用装置40に接続されている。予冷用装置40は、第2冷凍機41を備えている。予冷用装置40は、第2冷凍機41を駆動することによって、第2冷凍機41を冷却するための装置である。第2グローブボックス21が予冷用装置40に接続される際には、第2冷凍機41は自身の駆動によって冷却されている。
【0039】
第2冷凍機41は、第2ディスプレーサ41Aと第2駆動部41Bとシリンダ42を備えている。第2ディスプレーサ41Aはシリンダ42内に挿入される部分であり、第2駆動部41Bは、シリンダ42から露出する部分である。第2冷凍機41は、第1冷凍機31と同様に、ギフォード・マクマホン冷凍機であってよい。
【0040】
図5が示すように、第2ディスプレーサ41Aをシリンダ42から取り出し、第2ディスプレーサ41Aもしくは第2ディスプレーサ41Aおよび第2駆動部41Bを第2容器23内に取り込む。この際に、作業者が、例えば第1挿入口21Rを通じて第1グローブ22Rに片手を挿入し、かつ、第2挿入口21Lを通じて第2グローブ22Lに他の片手を挿入する。そして、作業者は、第1グローブ22Rおよび第2グローブ22Lを装着した状態で、第2ディスプレーサ41Aをシリンダ42から引き抜く。次いで、作業者は、収縮させた状態の伸縮部23Aに、第2冷凍機41の第2ディスプレーサ41Aもしくは第2ディスプレーサ41Aおよび第2駆動部41Bを、伸縮部23Aを伸長させつつ収納し、かつ、封止部23Bで封止する。
【0041】
一方で、作業者は、第2ディスプレーサ41Aをシリンダ42から引き抜いた後に、第2蓋部24を用いてシリンダ42の開口を封止する。
図6は、第2冷凍機41を収納した第2グローブボックス21が、被冷却対象30に接続された状態を示している。
【0042】
図6が示すように、第2グローブボックス21内の第2容器23に第2ディスプレーサ41Aもしくは第2ディスプレーサ41Aおよび第2駆動部41Bを収納した後に、第2グローブボックス21が予冷用装置40との接続を解除した後、被冷却対象30に接続される。この際に、第2グローブボックス21に位置する取付部25を用いて、第2グローブボックス21が被冷却対象30に接続される。なお、被冷却対象30と第1グローブボックス11との接続が解除された後に、被冷却対象30に対して第2グローブボックス21が接続される。上述したように、被冷却対象30におけるシリンダ32の開口は、第1蓋部14によって塞がれている。グローブボックス交換時に、グローブボックス内に水分を含む空気が流入するが、第2ディスプレーサ41Aもしくは第2ディスプレーサ41Aおよび第2駆動部41Bは第2容器23にて、シリンダ32内空間は第1蓋部14によって保護されているので、水分を含む空気の流入は防止される。
【0043】
図7が示すように、第2グローブボックス21内部を真空排気し、その後不活性ガスを流入する。次に、第2容器23に収納された第2ディスプレーサ41Aを被冷却対象30のシリンダ32に挿入する。この際に、作業者は、例えば第1挿入口21Rを通じて第1グローブ22Rに片手を挿入し、かつ、第2挿入口21Lを通じて第2グローブ22Lに他の片手を挿入する。作業者は、第1グローブ22Rおよび第2グローブ22Lを装着した状態で、第2ディスプレーサ41Aもしくは第2ディスプレーサ41Aおよび第2駆動部41Bを第2容器23から引き抜く。作業者は、シリンダ32の開口から第1蓋部14を取り外し、シリンダ32内に第2ディスプレーサ41Aを挿入する。これにより、被冷却対象30に取り付けていた第1冷凍機31の第1ディスプレーサ31Aおよび第1駆動部31Bを新しい第2ディスプレーサ41Aおよび第2駆動部41Bに交換する作業が完了する。
【0044】
以上説明したように、メンテナンス装置およびメンテナンス方法の第1実施形態によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)シリンダ内空間と第1グローブボックス空間との連通が第1蓋部14によって遮断されるから、シリンダ内空間に水が混入することが抑えられる。また、ディスプレーサもしくはディスプレーサおよび駆動部が第1グローブボックス空間内の第1容器13に収納されるから、冷却されたディスプレーサに対する水分の付着が抑えられる。
【0045】
(2)第1容器13に第1ディスプレーサ31Aもしくは第1ディスプレーサ31Aおよび第1駆動部31Bが収納されていないときに伸縮部13Aを収縮させることによって、第1ディスプレーサ31Aもしくは第1ディスプレーサ31Aおよび第1駆動部31Bを第1容器13に収納する作業空間が縮小される。なお、作業空間に余裕がある場合は、伸縮部13Aは筒状の固定形状でもよい。
【0046】
(3)封止部13Bは、第1容器13が第1ディスプレーサ31Aもしくは第1ディスプレーサ31Aおよび第1駆動部31Bを収納した状態において、第1ディスプレーサ31Aもしくは第1ディスプレーサ31Aおよび第1駆動部31Bを収納する空間を封止するから、第1容器13に収納された第1ディスプレーサ31Aへの水分の付着がグローブボックス交換時にも抑えられる。
【0047】
(4)2つのグローブボックス11,21を備えるから、各グローブボックス11,21の大きさを縮小することができる。そのため、メンテナンスに必要な空間を縮小することができる。また、被冷却対象と第2冷凍機の予冷用装置40と距離を離して設置することができる。
【0048】
[第2実施形態]
図8から図13を参照して、冷凍機のメンテナンス装置および冷凍機のメンテナンス方法の第2実施形態を説明する。第2実施形態では、冷凍機のメンテナンス装置がグローブボックスを1つのみを備える点が、第1実施形態と異なっている。そのため以下では、こうした相違点を詳しく説明する。なお、第2実施形態の冷凍機のメンテナンス装置は、第1実施形態において説明した第1グローブボックスと同一の構成を有したグローブボックスを備えるため、グローブボックス構成についての詳しい説明を省略し、冷凍機のメンテナンス方法のみを説明する。
【0049】
[冷凍機のメンテナンス方法]
図8が示すように、本実施形態の冷凍機のメンテナンス方法では、まず、第1グローブボックス11が、取付部15によって予冷用装置40に接続される。予冷用装置40は、第2冷凍機41を備えている。予冷用装置40は、第2冷凍機41を駆動することによって、第2冷凍機41を冷却するための装置である。第1グローブボックス11が予冷用装置40に接続される際には、第2冷凍機41は自身の駆動によって冷却されている。第2冷凍機41は、第2ディスプレーサ41Aと第2駆動部41Bとシリンダ42を備えている。第2ディスプレーサ41Aはシリンダ42内に挿入される部分であり、第2駆動部41Bは、シリンダ42から露出する部分である。
【0050】
図9が示すように、第2ディスプレーサ41Aをシリンダ42から取り出し、第2ディスプレーサ41Aもしくは第2ディスプレーサ41Aおよび第2駆動部41Bを第1容器13内に取り込む。この際に、作業者は、第1グローブ12Rおよび第2グローブ12Lを装着した状態で、第2ディスプレーサ41Aをシリンダ42から引き抜く。次いで、作業者は、収縮させた状態の伸縮部13Aに、第2ディスプレーサ41Aもしくは第2ディスプレーサ41Aおよび第2駆動部41Bを、伸縮部13Aを伸長させつつ収納し、かつ、封止部13Bで封止する。一方で、作業者は、第2ディスプレーサ41Aをシリンダ42から引き抜いた後に、第1蓋部14を用いてシリンダ42の開口を封止する。
【0051】
図10が示すように、第2ディスプレーサ41Aおよび第2駆動部41Bを収納した第1グローブボックス11が予冷用装置40との接続を解除した後、被冷却対象30に接続される。この際に、第1グローブボックス11が備える取付部15を用いて、第1グローブボックス11を被冷却対象30に接続する。これにより、第1グローブボックス11の第1グローブボックス空間に被冷却対象30に締結した冷凍機31の第1駆動部31Bを内包する。シリンダ32には、第1ディスプレーサ31Aが挿入されている。第1ディスプレーサ31Aおよび第1駆動部31Bは、新しいディスプレーサおよび駆動部に交換される対象である。
【0052】
図11が示すように、第1グローブボックス11内部を真空排気し、その後不活性ガスを流入する。次いで、第1ディスプレーサ31Aおよび第1駆動部31Bを第2ディスプレーサ41Aおよび第2駆動部41Bと交換するために、第1容器13内の第2ディスプレーサ41Aもしくは第2ディスプレーサ41Aおよび第2駆動部41Bを第1容器13から取り出す。また、第1ディスプレーサ31Aをシリンダ32から取り出す。シリンダ32から取り出された第1ディスプレーサ31Aは、第1グローブボックス11内に配置される。
【0053】
図12が示すように、第1グローブボックス11内に収納された第2ディスプレーサ41Aを被冷却対象30のシリンダ32に挿入する。作業者は、シリンダ32内に第2ディスプレーサ41Aを挿入する。
【0054】
図13が示すように、第1ディスプレーサ31Aもしくは第1ディスプレーサ31Aおよび第1駆動部31Bを第1容器13内に取り込む。この際に、作業者は、収縮させた状態の伸縮部13Aに、第1ディスプレーサ31Aもしくは第1ディスプレーサ31Aおよび第1駆動部31Bを、伸縮部13Aを伸長させつつ収納し、かつ、封止部13Bで封止する。
【0055】
以上説明したように、メンテナンス装置およびメンテナンス方法の第2実施形態によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(5)メンテナンス装置10が第1グローブボックス11のみを備えるから、メンテナンス装置10が第1グローブボックス11と第2グローブボックスとの両方を備える場合に比べて、メンテナンス装置10を構成する部材の点数を削減することが可能である。
【0056】
[第3実施形態]
図14から図17を参照して、冷凍機のメンテナンス装置および冷凍機のメンテナンス方法の第3実施形態を説明する。第3実施形態では、冷凍機のメンテナンス装置がグローブボックスを1つのみ備える点が、第1実施形態と異なっている。そのため以下では、こうした相違点を詳しく説明する。また、以下では、冷凍機のメンテナンス装置、および、冷凍機のメンテナンス方法を順に説明する。
【0057】
[冷凍機のメンテナンス装置]
図14を参照して、冷凍機のメンテナンス装置を説明する。
図14が示すように、メンテナンス装置50は、グローブボックス51を備えている。グローブボックス51は、2対の挿入口を備えている。2対の挿入口における一方は、第1挿入口51ARおよび第2挿入口51ALである。2対の挿入口における他方は、第1挿入口51BRおよび第2挿入口51BLである。
【0058】
第1挿入口51ARには、第1グローブ52ARが接続されている。第2挿入口51ALには、第2グローブ52ALが接続されている。一方で、第1挿入口51BRには、第1グローブ52BRが接続されている。第2挿入口51BLには、第2グローブ52BLが接続されている。なお、本実施形態のメンテナンス装置50では、一人の作業者がメンテナンスの作業を行ってもよいし、二人の作業者が同時にメンテナンスの作業を行ってもよい。メンテナンス装置50によれば、二人の作業者が同時に作業を行うことが可能であるから、メンテナンス装置が2つのグローブボックスを備える場合に比べて、メンテナンスに必要な時間を短縮することが可能である。
【0059】
グローブボックス51が区切る空間には、第1容器53A、第2容器53B、第1蓋部54A、および、第2蓋部54Bが位置している。各容器53A,53Bは、冷凍機の収納に用いられる。各蓋部54A,54Bは、グローブボックス51が区画する空間と他の空間とが連通した状態から、グローブボックス51が区画する空間と他の空間との連通を遮断し、他の空間をグローブボックス51が区切る空間に対して封止するために用いられる。各容器53A,53Bは、第1実施形態の各容器13,23と同様に、伸縮部53AA,53BA、および、封止部53AB,53BBを備えている。
【0060】
グローブボックス51は、第1連結孔51Aおよび第2連結孔51Bを備えている。グローブボックス51の外表面には、第1取付部55Aおよび第2取付部55Bが位置している。第1取付部55Aは、第1連結孔51Aを囲む環状を有している。第1取付部55Aは、グローブボックス51の外表面から離れる方向に突き出ている。第2取付部55Bは、第2連結孔51Bを囲む環状を有している。第2取付部55Bは、グローブボックス51の外表面から離れる方向に突き出ている。
【0061】
メンテナンス装置50は、排気部56およびガス供給部57を備えている。排気部56は、グローブボックス51に接続されている。排気部56は、グローブボックス51が区画する空間を排気する。排気部56は、例えば、ポンプおよびバルブなどを備えている。ガス供給部57は、グローブボックス51に接続されている。ガス供給部57は、グローブボックスが区画する空間に不活性ガスを供給する。ガス供給部57は、例えば不活性ガス容器およびバルブなどを備えている。不活性ガスは、例えば、ヘリウムガスであることが好ましい。
【0062】
[冷凍機のメンテナンス方法]
図15から図17を参照して、冷凍機のメンテナンス方法を説明する。
図15が示すように、被冷却対象30に取り付けられた第1冷凍機31の第1ディスプレーサ31Aおよび第1駆動部31Bを新しい第2ディスプレーサ41Aおよび第2駆動部に交換する際には、まず、グローブボックス51が、被冷却対象30と冷却槽60との両方に接続される。冷却槽60には、第2冷凍機41を冷却するための冷媒61が充填されている。冷媒61は、例えば液体窒素であってよい。第2冷凍機41は、シリンダ42部分が冷媒61内に位置することによって、シリンダ42内の第2ディスプレーサ41Aが冷媒61によって冷却されている。
【0063】
この際に、グローブボックス51は、第1取付部55Aによって被冷却対象30に接続される。一方で、グローブボックス51は、第2取付部55Bによって冷却槽60に接続される。グローブボックス51が区切る空間は、第1冷凍機31の第1ディスプレーサ31Aをシリンダ32から引き抜いたとき、シリンダ内空間と連通する。グローブボックス51が区切る空間は第2冷凍機41の第2ディスプレーサ41Aを冷却槽60内で冷却されたシリンダ42から引き抜いたとき、シリンダ内空間に連通する。
【0064】
図16が示すように、第1冷凍機31の第1ディスプレーサ31Aもしくは第1ディスプレーサ31Aと第1駆動部31Bが第1容器53Aに取り込まれ、かつ、第2冷凍機41の第2ディスプレーサ41Aもしくは第2ディスプレーサ41Aと第2駆動部41Bが第2容器53Bに取り込まれる。この際に、第1作業者が、第1挿入口51ARを通じて第1グローブ52ARに片手を挿入し、かつ、第2挿入口51ALを通じて第2グローブ52ALに他の片手を挿入する。これに対して、第2作業者が、第1挿入口51BRを通じて第1グローブ52BRに片手を挿入し、かつ、第2挿入口51BLを通じて第2グローブ52BLに他の片手を挿入する。
【0065】
第1作業者は、シリンダ32から第1冷凍機31の第1ディスプレーサ31Aを引き抜いて、第1冷凍機31の第1ディスプレーサ31Aもしくは第1ディスプレーサ31Aと第1駆動部31Bを第1容器53Aに取り込む。この際に、第1冷凍機31の第1ディスプレーサ31Aが伸縮部53AAに収納され、かつ、第1駆動部31Bが封止部53ABに接触する。ディスプレーサと駆動部の双方を収納する場合は、封止部材をグローブボックス内に用意し、封止部53ABを封止する。第1作業者は、第1蓋部54Aを用いてシリンダ32の開口を塞ぐ。第2作業者は、冷却槽60内のシリンダ42から第2冷凍機41の第2ディスプレーサ41Aを引き抜いて、第2冷凍機41の第2ディスプレーサ41Aもしくは第2ディスプレーサ41Aと第2駆動部41Bを第2容器53Bに取り込む。この際に、第2冷凍機41の第2ディスプレーサ41Aが伸縮部53BAに収納され、かつ、第2駆動部41Bが封止部53BBに接触する。ディスプレーサと駆動部の双方を収納する場合は、封止部材をグローブボックス内に用意し、封止部53BBを封止する。第2作業者は、第2蓋部54Bを用いて冷却槽60内のシリンダ42の開口を塞ぐ。
【0066】
図17が示すように、第2冷凍機41の第2ディスプレーサ41Aが被冷却対象30のシリンダ32に挿入される。この際に、第1作業者は、第1グローブ52ARおよび第2グローブ52ALを装着した状態で、第2容器53Bから第2冷凍機41の第2ディスプレーサ41Aを取り出す。次いで、第1作業者は、第2冷凍機41の第2ディスプレーサ41Aを被冷却対象30のシリンダ32に挿入する。これにより、被冷却対象30に取り付けられた第1冷凍機31の第1ディスプレーサ31Aおよび第1駆動部31Bが、新しい第2ディスプレーサ41Aおよび第2駆動部41Bに交換される。
【0067】
なお、本実施形態のメンテナンス方法では、一人の作業者によってメンテナンスに関わる作業が行われてもよい。この場合には、作業者が、第1ディスプレーサ31Aおよび第1駆動部31Bの取り外し、第1ディスプレーサ31Aおよび第1駆動部31Bの収納、第2ディスプレーサ41Aおよび第2駆動部41Bの取り外し、第2ディスプレーサ41Aおよび第2駆動部41Bの収納、および、第2ディスプレーサ41Aおよび第2駆動部41Bの取り付けを行えばよい。
【0068】
以上説明したように、メンテナンス装置およびメンテナンス方法の第3実施形態によれば、上述した(1)から(3)の効果に加えて、以下に記載の効果を得ることができる。
(6)二人の作業者が同時に作業を行うことが可能であるから、メンテナンスに必要な時間を短縮することが可能である。
【0069】
[変更例]
なお、上述した各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。
[冷却用装置]
・第1実施形態のメンテナンス方法において用いられる予冷用装置40は、第3実施形態のメンテナンス方法において用いられる冷却槽60に変更されてもよい。この場合であっても、第2冷凍機41を冷却することが可能である。
【0070】
[冷却槽]
・第3実施形態のメンテナンス方法において用いられる冷却槽60は、第1実施形態のメンテナンス方法において用いられる予冷用装置40に変更されてもよい。この場合であっても、第2冷凍機41を冷却することは可能である。
【0071】
[第2蓋部]
・メンテナンス装置10,50は、第2蓋部24,54Bを備えなくてもよい。この場合であっても、メンテナンス装置10,50が第1蓋部14,54Aを備えることによって、シリンダ32に対する水分の付着を抑えることは可能である。
【0072】
[第1容器]
・メンテナンス装置10,50は、第1容器13,53Aを備えてなくてもよい。この場合であっても、メンテナンス装置10,50が第2容器23,53Bを備えることによって、第2ディスプレーサ41Aへの水分の付着を抑えることは可能である。
【0073】
[各容器]
・第3実施形態の各容器53A,53Bは、封止部53AB,53BBを備えなくてもよい。この場合であっても、各容器53A,53Bにおいて区画される空間に冷凍機31,41が収納されることによって、冷凍機31,41への水分の付着を抑えることはできる。
【0074】
・各容器13,23,53A,53Bにおいて、各容器13,23,53A,53Bが区画する空間は伸縮可能でなくてもよい。この場合であっても、各容器13,23,53A,53Bが第1ディスプレーサ31Aもしくは第1ディスプレーサ31Aおよび第1駆動部31B、第2ディスプレーサ41Aもしくは第2ディスプレーサ41Aおよび第2駆動部41Bを収納可能な大きさを有する空間を区画することによって、収納された第1ディスプレーサ31A、第2ディスプレーサ41Aへの水分の付着が抑えられる。
【符号の説明】
【0075】
10,50…メンテナンス装置
11…第1グローブボックス
11A,51A…第1連結孔
13,53A…第1容器
13A,23A,53AA,53BA…伸縮部
13B,23B,53AB,53BB…封止部
14,54A…第1蓋部
15,25…取付部
21…第2グローブボックス
21A,51B…第2連結孔
23,53B…第2容器
24,54B…第2蓋部
30…被冷却対象
31…第1冷凍機
31A…第1ディスプレーサ
41A…第2ディスプレーサ
31B…第1駆動部
41B…第2駆動部
32,42…シリンダ
41…第2冷凍機
51…グローブボックス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17