(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022083644
(43)【公開日】2022-06-06
(54)【発明の名称】回転式ホイルトラップおよび光源装置
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20220530BHJP
H05G 2/00 20060101ALI20220530BHJP
【FI】
G03F7/20 503
G03F7/20 521
H05G2/00 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020195077
(22)【出願日】2020-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】000102212
【氏名又は名称】ウシオ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109380
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 恵
(74)【代理人】
【識別番号】100109036
【弁理士】
【氏名又は名称】永岡 重幸
(72)【発明者】
【氏名】藪田 泰伸
【テーマコード(参考)】
2H197
4C092
【Fターム(参考)】
2H197CA10
2H197FA01
2H197GA01
2H197GA05
2H197GA20
2H197GA24
2H197HA03
4C092AA06
4C092AA15
4C092AB19
4C092AB20
4C092AC09
(57)【要約】
【課題】ホイルの破断といった不具合が短期間で発生することなく、比較的長期間の稼働寿命を有する回転式ホイルトラップ、およびそれを備えた光源装置を提供する。
【解決手段】回転式ホイルトラップ22は、プラズマ発生部が発生させるプラズマPの近傍に配置されて回転動作し、プラズマPから放射される光を透過し、当該プラズマPから放出されるデブリを捕捉する。回転式ホイルトラップ22は、複数のホイル51と、ホイル51を支持する支持部材(ハブ)53と、を有する。ホイル51は、圧延により引張加工された圧延薄板であり、回転動作によって当該ホイル51にかかる遠心力の方向と、ホイル51の引張加工された方向である圧延方向とが一致または略一致している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ発生部が発生させるプラズマの近傍に配置されて回転動作し、前記プラズマから放射される光を透過し、当該プラズマから放出されるデブリを捕捉する回転式ホイルトラップであって、
複数のホイルと、
前記ホイルを支持する支持部材と、を有し、
前記ホイルは、圧延により引張加工された圧延薄板であり、
前記回転動作によって当該ホイルにかかる遠心力の方向と、前記ホイルの前記引張加工された方向である圧延方向とが一致または略一致していることを特徴とする回転式ホイルトラップ。
【請求項2】
前記遠心力の方向と前記圧延方向とのなす角が、0°以上20°以下であることを特徴とする請求項1に記載の回転式ホイルトラップ。
【請求項3】
前記プラズマ発生部は、前記光を放射する原料を励起し、前記プラズマを発生させるように構成されており、
前記ホイルは、前記原料の融点に相当する温度以上の状態で回転動作することを特徴とする請求項1または2に記載の回転式ホイルトラップ。
【請求項4】
前記圧延方向は、前記圧延薄板を構成する結晶粒が伸長している方向であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の回転式ホイルトラップ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の回転式ホイルトラップと、
前記プラズマ発生部と、を備えることを特徴とする光源装置。
【請求項6】
前記光は、極端紫外光を含むことを特徴とする請求項5に記載の光源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高温プラズマから放出されるデブリを捕捉する回転式ホイルトラップ、およびその回転式ホイルトラップを備える光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体集積回路の微細化および高集積化につれて、露光用光源の短波長化が進められている。次世代の半導体露光用光源としては、特に波長13.5nmの極端紫外光(以下、「EUV(Extreme Ultra Violet)光」ともいう。)を放射する極端紫外光光源装置(以下、「EUV光源装置」ともいう。)の開発が進められている。
EUV光源装置において、EUV光(EUV放射)を発生させる方法はいくつか知られている。それらの方法のうちの一つに、極端紫外光放射種(以下、「EUV放射種」ともいう。)を加熱して励起することにより高温プラズマを発生させ、その高温プラズマからEUV光を取り出す方法がある。
【0003】
このような方法を採用するEUV光源装置は、高温プラズマの生成方式により、LPP(Laser Produced Plasma:レーザ生成プラズマ)方式と、DPP(Discharge Produced Plasma:放電生成プラズマ)方式とに分けられる。
DPP方式のEUV光源装置は、EUV放射種(気相のプラズマ原料)を含む放電ガスが供給された電極間の間隙に高電圧を印加して、放電により高密度高温プラズマを生成し、そこから放射される極端紫外光を利用するものである。DPP方式としては、例えば、特許文献1に記載されているように、放電を発生させる電極表面に液体状の高温プラズマ原料(例えば、Sn(スズ))を供給し、当該原料に対してレーザビーム等のエネルギービームを照射して当該原料を気化し、その後、放電によって高温プラズマを生成する方法が提案されている。このような方式は、LDP(Laser Assisted Discharge Plasma)方式と呼ばれることもある。
【0004】
EUV光源装置は、半導体デバイス製造におけるリソグラフィ装置の光源装置として使用される。あるいは、EUV光源装置は、リソグラフィに使用されるマスクの検査装置の光源装置として使用される。つまり、EUV光源装置は、EUV光を利用する他の光学系装置(利用装置)の光源装置として使用される。
EUV光は大気中では減衰しやすいので、プラズマから利用装置までは、減圧雰囲気つまり真空環境におかれている。
【0005】
一方、LDP方式で生成されたプラズマからはデブリが高速で放散される。デブリは、高温プラズマ原料の粒子(プラズマ原料がスズの場合は、スズ粒子)、およびプラズマの発生に伴いスパッタリングされる放電電極の材料粒子を含む。デブリは、利用装置に到達すると、利用装置内の光学素子の反射膜を損傷または汚染させ性能を低下させることがある。そのため、デブリが利用装置に侵入しないように、放散されたデブリを捕捉するデブリ低減装置(DMT(Debris Mitigation Tool)とも言う。)が提案されている(特許文献1)。
【0006】
デブリ低減装置は、空間を細かく分割するように配置されている複数のホイル(薄膜や薄い平板)を有するホイルトラップ(foil trap)を備える。
複数のホイルにより細かく分割された各空間においては、当該空間でのコンダクタンスを下げて圧力を上げる機能が奏される。デブリがこれらのホイルにより分割された各空間(圧力が上昇した領域)を進行すると、この圧力が上昇した領域におけるデブリと雰囲気ガスとの衝突確率が上がる。その結果、デブリの飛散速度が低下し、またデブリの進行方向が変わるため、デブリはデブリ低減装置に捕捉される。
【0007】
ホイルトラップとしては、複数のホイルの位置が固定された固定式ホイルトラップと、複数のホイルがデブリと能動的に衝突する作用を加えた回転式ホイルトラップがある。回転式ホイルトラップは、中央に配置された回転軸を中心として、半径方向に放射状に配置された複数のホイルを備え、上記回転軸を中心に複数のホイルを回転させることでプラズマから飛来するデブリと当該ホイルとを衝突させる。
なお、一つのデブリ低減装置は、回転式ホイルトラップと固定式ホイルトラップとの双方を備えていてもよいし、いずれか一方のみを備えていてもよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明者は、EUV光源装置を稼働し、デブリ低減装置を構成する回転式ホイルトラップの回転動作によるデブリ低減動作を実施中に、回転式ホイルトラップによっては、当該回転式ホイルトラップを構成する複数のホイルの一部が比較的短時間の稼働で破断するという不具合が発生することに着目した。
上記不具合は、一部の回転式ホイルトラップのみで発生し、比較的多くの回転式ホイルトラップでは、上記不具合が発生した回転式ホイルトラップよりも数倍の使用時間を経ても上記不具合は発生していなかった。
【0010】
よって、上記不具合は回転式ホイルトラップの稼働寿命によるものとは考えにくく、ある特定の同一ロットで製造した回転式ホイルトラップにおいて起こる不具合ではないかと考えた。
そこで、同一ロットで製造した複数の回転式ホイルトラップについて、不具合の発生度合いを調査した。その結果、この不具合は同一ロットで製造した全ての回転式ホイルトラップ(特に、同一ロットで製造したホイル)で発生するわけではないことが分かった。具体的には、同一ロットで製造した回転式ホイルトラップのうち、ある回転式ホイルトラップでは約44時間後にホイルの一部が破断したが、約2ヵ月稼働しても一切ホイルの破断が発生しない回転式ホイルトラップも存在した。
【0011】
本発明は、プラズマの近傍に配置されて当該プラズマから放射される光を透過し、当該プラズマから放出されるデブリを捕捉する回転式ホイルトラップであって、ホイルの破断といった不具合が短期間で発生することなく、比較的長期間の稼働寿命を有する回転式ホイルトラップ、およびそれを備えた光源装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明に係る回転式ホイルトラップの一態様は、プラズマ発生部が発生させるプラズマの近傍に配置されて回転動作し、前記プラズマから放射される光を透過し、当該プラズマから放出されるデブリを捕捉する回転式ホイルトラップであって、複数のホイルと、前記ホイルを支持する支持部材と、を有し、前記ホイルは、圧延により引張加工された圧延薄板であり、前記回転動作によって当該ホイルにかかる遠心力の方向と前記ホイルの前記引張加工された方向である圧延方向とが一致または略一致している。
【0013】
このように、ホイルの圧延方向を遠心力方向と一致または略一致させることで、プラズマからの熱放射やデブリの衝突、光の照射といった様々な負荷を受ける環境下での回転式ホイルトラップの回転動作に伴うホイルの破断等の不具合の発生を抑制することができる。
【0014】
また、上記の回転式ホイルトラップにおいて、前記遠心力の方向と前記圧延方向とのなす角は、0°以上20°以下であってもよい。
この場合、回転式ホイルトラップの回転動作に伴うホイルの破断等の不具合の発生を確実に抑制することができる。
【0015】
さらに、上記の回転式ホイルトラップにおいて、前記プラズマ発生部は、前記光を放射する原料を励起し、前記プラズマを発生させるように構成されており、前記ホイルは、前記原料の融点に相当する温度以上の状態で回転動作してもよい。
この場合、ホイルに付着した原料(デブリ)が液化して、液滴となったデブリが回転するホイル上を遠心力により回転の半径方向に移動してホイル外に離脱するため、ホイル上にデブリが堆積しないようにすることができる。そして、このような高温環境下で回転式ホイルトラップを回転動作させた場合であっても、当該回転動作に伴うホイルの破断等の不具合の発生を適切に抑制することができる。
【0016】
また、上記の回転式ホイルトラップにおいて、前記圧延方向は、前記圧延薄板を構成する結晶粒が伸長している方向とすることができる。
この場合、結晶粒の長径方向が遠心力方向と一致または略一致するように構成することができる。ホイルの圧延方向は、SEM(Scanning Electron Microscope)等により容易に判断することができる。
【0017】
さらに、本発明に係る光源装置の一態様は、上記の回転式ホイルトラップと、前記プラズマ発生部と、を備える。ここで、プラズマ発生部から放射される光は、極端紫外光が含まれてもよい。
これにより、比較的長期間の稼働寿命を有する回転式ホイルトラップを備えた光源装置(極端紫外光光源装置)とすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の回転式ホイルトラップは、プラズマの近傍に配置され、当該プラズマから放出されるデブリを捕捉する回転式ホイルトラップであって、ホイルの破断といった不具合が短期間で発生することなく、比較的長期間の稼働寿命を有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本実施形態に係る極端紫外光光源装置を示す概略図である。
【
図2】極端紫外光光源装置の一部を示す側面断面図である。
【
図4】固定式ホイルトラップのホイルの上面図である。
【
図7】ホイルの長手方向と短手方向とを説明する図である。
【
図9】圧延方向と遠心力方向との関係を示す図である。
【
図10】圧延方向と遠心力方向とのなす角を示す図である。
【
図11】圧延方向と遠心力方向とのなす角の許容範囲の調査結果である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態は本発明を限定するものではなく、実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の構成に必須のものとは限らない。実施形態の構成は、本発明が適用される装置の仕様や各種条件(使用条件、使用環境等)によって適宜修正または変更され得る。本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲によって確定され、以下の個別の実施形態によって限定されない。また、以下の説明に用いる図面は、各構成を分かり易くするため、実際の構造と縮尺および形状などと異なることがある。
【0021】
図1は、実施形態に係る極端紫外光光源装置のチャンバ内および接続チャンバ内を水平方向に切断して示す断面図、
図2は、実施形態に係るデブリ低減部およびデブリ収容部の概略構成を示す断面図である。なお、本実施形態では、LDP方式の極端紫外光光源装置(EUV光源装置)を例にとる。
【0022】
図1において、EUV光源装置1は、極端紫外光(EUV光)を放出する。この極端紫外光の波長は、例えば、13.5nmである。
具体的には、EUV光源装置1は、放電を発生させる一対の放電電極EA、EBの表面にそれぞれ供給された液相のプラズマ原料SA、SBにレーザビームLB等のエネルギービームを照射して当該プラズマ原料SA、SBを気化させる。その後、放電電極EA、EB間の放電領域Dの放電によってプラズマPを発生させる。プラズマPからはEUV光が放出される。
【0023】
EUV光源装置1は、例えば、半導体デバイス製造におけるリソグラフィ装置の光源装置またはリソグラフィに使用されるマスクの検査装置の光源装置として使用可能である。例えば、EUV光源装置1がマスク検査装置用の光源装置と使用される場合、プラズマPから放出されるEUV光の一部が取り出され、マスク検査装置に導光される。マスク検査装置は、EUV光源装置1から放出されるEUV光を検査光として、マスクのブランクス検査またはパターン検査を行う。ここで、EUV光を用いることにより、5~7nmプロセスに対応することができる。なお、EUV光源装置1から取り出されるEUV光は、
図2の遮熱板23に設けられた開口部KAにより規定される。
【0024】
図1および
図2に示すように、EUV光源装置1は、光源部2、デブリ低減部3およびデブリ収容部4を備える。光源部2は、LDP方式に基づいてEUV光を発生させる。デブリ低減部3は、光源部2から放射されるEUV光とともに飛散するデブリを捕捉する。デブリ収容部4は、光源部2で発生したデブリおよびデブリ低減部3で捕捉されたデブリなどを収容する。
【0025】
また、EUV光源装置1は、内部で発生されるプラズマPを外部と隔離するチャンバ11を備える。チャンバ11は、剛体、例えば、金属から形成される。チャンバ11は、真空筐体であり、その内部は、プラズマ原料SA、SBを加熱励起するための放電を良好に発生させ、EUV光の減衰を抑制するために、減圧雰囲気にされる。
【0026】
光源部2は、チャンバ11内部に配置される。光源部2は、一対の放電電極EA、EBを備える。放電電極EA、EBは、同形同大の円板状部材であり、例えば、放電電極EAがカソードとして使用され、放電電極EBがアノードとして使用される。放電電極EA、EBは、例えば、モリブデン(Mo)、タングステン(W)またはタンタル(Ta)などの高融点金属から形成される。放電電極EA、EBは、互いに離隔した位置に配置され、放電電極EA、EBの周縁部が近接している。このとき、プラズマPが生成される放電領域Dは、放電電極EA、EBの周縁部が互いに最も接近した放電電極EA、EB間の間隙に位置する。
【0027】
パルス電力供給部13より放電電極EA、EBに電力を給電することにより、放電領域Dで放電が発生する。そして、各放電電極EA、EBの回転に基づいて放電領域Dに輸送されたプラズマ原料SA、SBは、放電時に放電電極EA、EB間に流れる電流により加熱励起され、EUV光を放出するプラズマPが発生する。
【0028】
放電電極EAは、モータMAの回転軸JAに連結され、放電電極EAの軸線周りに回転する。放電電極EBは、モータMBの回転軸JBに連結され、放電電極EBの軸線周りに回転する。モータMA、MBは、チャンバ11の外部に配置され、各モータMA、MBの回転軸JA、JBは、チャンバ11の外部から内部に延びる。回転軸JAとチャンバ11の壁の間の隙間は、シール部材PAで封止され、回転軸JBとチャンバ11の壁の間の隙間は、シール部材PBで封止される。シール部材PA、PBは、例えば、メカニカルシールである。各シール部材PA、PBは、チャンバ11内の減圧雰囲気を維持しつつ、回転軸JA、JBを回転自在に支持する。
このように各放電電極EA、EBは、個別のモータMA、MBによって回転軸JA、JBを介してそれぞれ駆動される。これらのモータMA、MBの回転駆動は、制御部12によって制御される。
【0029】
チャンバ11の内部には、液相のプラズマ原料SAが貯留されるコンテナCAと、液相のプラズマ原料SBが貯留されるコンテナCBとが配置される。各コンテナCA、CBには、加熱された液相のプラズマ原料SA、SBが供給される。液相のプラズマ原料SA、SBは、例えば、スズである。
【0030】
コンテナCAは、放電電極EAの下部が液相のプラズマ原料SAに浸されるようにプラズマ原料SAを収容する。コンテナCBは、放電電極EBの下部が液相のプラズマ原料SBに浸されるようにプラズマ原料SBを収容する。従って、放電電極EA、EBの下部には、液相のプラズマ原料SA、SBが付着する。放電電極EA、EBの下部に付着した液相のプラズマ原料SA、SBは、放電電極EA、EBの回転に伴って、プラズマPが発生される放電領域Dに輸送される。
【0031】
チャンバ11の外部には、レーザ源(エネルギービーム照射装置)14が配置される。レーザ源14は、放電領域Dに輸送された放電電極EAに付着したプラズマ原料SAにエネルギービームを照射して、当該プラズマ原料SAを気化させる。レーザ源14は、例えば、Nd:YVO4(Neodymium-doped Yttrium Orthovanadate)レーザ装置である。このとき、レーザ源14は、波長1064nmの赤外領域のレーザビームLBを発する。ただし、エネルギービーム照射装置は、プラズマ原料SAの気化が可能であれば、レーザビームLB以外のエネルギービームを発する装置であってもよい。
【0032】
レーザ源14によるレーザビームLBの照射タイミングは、制御部12によって制御される。レーザ源14から放出されたレーザビームLBは、例えば、集光レンズ15を含む集光手段を介して可動ミラー16に導かれる。集光手段は、放電電極EAのレーザビーム照射位置におけるレーザビームLBのスポット径を調整する。集光レンズ15および可動ミラー16は、チャンバ11の外部に配置される。
【0033】
集光レンズ15で集光されたレーザビームLBは、可動ミラー16により反射され、チャンバ11の壁に設けられた透明窓20を通過して、放電領域D付近の放電電極EAの周縁部に照射される。
ここで、可動ミラー16の姿勢を調整することにより、放電電極EAにおける赤外レーザビームLBの照射位置が調整される。可動ミラー16の姿勢の調整は、作業員が手動で実施してもよいし、後述する監視装置43からのEUV光の強度情報に基づき、制御部12が可動ミラー16の姿勢制御を行ってもよい。この場合、可動ミラー16は、図示を省略した可動ミラー駆動部により駆動される。
【0034】
放電領域D付近の放電電極EAの周縁部にレーザビームLBを照射するのを容易にするため、放電電極EA、EBの軸線は平行ではない。回転軸JA、JBの間隔は、モータMA、MB側が狭く、放電電極EA、EB側が広くなっている。これにより、放電電極EA、EBの対向面側を接近させつつ、放電電極EA、EBの対向面側と反対側をレーザビームLBの照射経路から退避させることができ、放電領域D付近の放電電極EAの周縁部にレーザビームLBを照射するのを容易にすることができる。
【0035】
放電電極EBは、放電電極EAと可動ミラー16との間に配置される。可動ミラー16で反射されたレーザビームLBは、放電電極EBの外周面付近を通過した後、放電電極EAの外周面に到達する。このとき、レーザビームLBが放電電極EBで遮光されないように、放電電極EBは、放電電極EAよりも、モータMB側の方向(
図1の左側)に退避される。
放電領域D付近の放電電極EAの外周面に付着された液相のプラズマ原料SAは、レーザビームLBの照射により気化され、気相のプラズマ原料SAとして放電領域Dに供給される。
【0036】
放電領域DでプラズマPを発生させるため(気相のプラズマ原料SAをプラズマ化するため)、パルス電力供給部13は、放電電極EA、EBに電力を供給する。そして、レーザビームLBの照射により放電領域Dに気相のプラズマ原料SAが供給されると、放電領域Dにおける放電電極EA、EB間で放電が生じる。このとき、パルス電力供給部13は、パルス電力を周期的に放電電極EA、EBに供給する。
パルス電力供給部13は、チャンバ11の外部に配置される。パルス電力供給部13から延びる給電線は、フィードスルーFA、FBを通過して、チャンバ11の内部に延びる。フィードスルーFA、FBは、チャンバ11の壁に埋設されてチャンバ11内の減圧雰囲気を維持するシール部材である。なお、プラズマPを発生させるためのレーザ源14の動作およびパルス電力供給部13の動作は、制御部12により制御される。
【0037】
パルス電力供給部13から延びる2つの給電線は、フィードスルーFA、FBを介してそれぞれコンテナCA、CBに接続される。コンテナCA、CBは、導電性材料から形成され、各コンテナCA、CBの内部に収容されるプラズマ原料SA、SBもスズなどの導電性材料である。各コンテナCA、CBの内部に収容されているプラズマ原料SA、SBには、放電電極EA、EBの下部がそれぞれ浸されている。従って、パルス電力供給部13からパルス電力がコンテナCA、CBに供給されると、そのパルス電力は、プラズマ原料SA、SBをそれぞれ介して放電電極EA、EBに供給される。放電電極EA、EB間で放電が発生すると、放電領域Dにおける気相のプラズマ材料SAが電流により加熱励起されて、プラズマPが発生する。
【0038】
プラズマPからはEUV光が放出される。EUV光は、他の光学系装置である利用装置(リソグラフィ装置またはマスク検査装置)で利用される。本実施形態においては、EUV光はマスク検査装置で利用される。
【0039】
チャンバ11と利用装置との間には、接続チャンバ21が配置される。接続チャンバ21は、剛体、例えば、金属から形成されている。接続チャンバ21は、真空筐体であり、その内部も、チャンバ11の内部と同様、EUV光の減衰を抑制するため減圧雰囲気にされる。
【0040】
接続チャンバ21の内部空間は、チャンバ11の壁に形成された貫通孔である窓部17を介してチャンバ11と連通する。また、接続チャンバ21の内部空間は、接続チャンバ21の壁に形成された貫通孔である窓部27を介して利用装置(マスク検査装置)42と連通する。
図2では、利用装置42の一部のみを示す。放電領域DのプラズマPから放出されたEUV光は、窓部17、27を通じて利用装置(マスク検査装置)42に導入される。
【0041】
一方、プラズマPからはEUV光とともにデブリDBが高速で様々な方向に放散される。デブリDBは、プラズマ原料SA、SBであるスズ粒子およびプラズマPの発生に伴いスパッタリングされる放電電極EA、EBの材料粒子を含む。
これらのデブリDBは、プラズマPの収縮および膨張過程を経て、大きな運動エネルギーを得る。すなわち、プラズマPから発生するデブリDBは、高速で移動するイオン、中性原子および電子を含み、このようなデブリDBは、利用装置42に到達すると、利用装置42内の光学素子の反射膜を損傷または汚染させ、性能を低下させることがある。
【0042】
そのため、デブリDBが利用装置42に侵入しないように、デブリDBを捕捉するデブリ低減部3が接続チャンバ21内に設けられる。デブリ低減部3は、複数のホイルの位置が固定された固定式ホイルトラップ24と、ホイルがデブリと能動的に衝突する作用を加えた回転式ホイルトラップ22とを備える。固定式ホイルトラップ24は、接続チャンバ21から利用装置(マスク検査装置)42へと進行するEUV光の光路上において、回転式ホイルトラップ22と利用装置24と間に設けられる。なお、一つのデブリ低減部3においては、回転式ホイルトラップ22と固定式ホイルトラップ24の双方を設けてもよいし、いずれか一方を設けてもよい。
【0043】
図3は、
図2の回転式ホイルトラップの構成例を示す正面図である。
図3において、回転式ホイルトラップ22は、複数のホイル(ブレード)51と、外側リング52と、中心のハブ(支持部材)53と、を備える。外側リング52はハブ53に同心であり、各ブレード51は、外側リング52とハブ53との間に配置されている。ここで、各ブレード51は、薄膜または薄い平板である。各ブレード51は、ほぼ等しい角間隔をおいて放射状に配置される。各ブレード51は、ハブ53の中心軸線JMを含む平面上にある。回転式ホイルトラップ22の材料は、例えば、タングステンおよび/またはモリブデンなどの高融点金属である。
【0044】
回転式ホイルトラップ22の複数のブレード51は、プラズマP(発光点)から窓部27に向かって進むEUV光を遮らないように、窓部27に向かって進むEUV光の光線方向に平行に配置される。
すなわち、
図2に示すように、各ブレード51がハブ53の中心軸線JMを含む平面上に配置された回転式ホイルトラップ22は、ハブ53の中心軸線JMの延長線上にプラズマP(発光点)が存在するように配置される。これにより、ハブ53および外側リング52を除けば、EUV光は各ブレード51の厚みの分のみ遮光され、回転式ホイルトラップ22を通過するEUV光の割合(透過率ともいう)を最大にすることが可能となる。
【0045】
ハブ53は、モータ(回転駆動装置)MCの回転軸JCに連結され、ハブ53の中心軸線JMは、回転軸JCの中心軸線に合致する。このとき、モータMCの回転軸JCは、回転式ホイルトラップ22の回転軸とみなすことができる。回転式ホイルトラップ22は、モータMCに駆動されて回転し、回転するブレード51は、プラズマPから到来するデブリDBに衝突してデブリDBを捕捉し、当該デブリDBが利用装置42に侵入するのを阻止する。
【0046】
回転式ホイルトラップ22は、接続チャンバ21内に配置されるのに対して、モータMCは、接続チャンバ21の外に配置される。接続チャンバ21の壁には、回転軸JCが通過する貫通孔が形成されている。回転軸JCと接続チャンバ21の壁の間の隙間は、例えば、メカニカルシールからなるシール部材PCで封止される。シール部材PCは、接続チャンバ21内の減圧雰囲気を維持しつつ、モータMCの回転軸JCを回転自在に支持する。
【0047】
回転式ホイルトラップ22は、プラズマPからの放射により高温となる。このため、回転式ホイルトラップ22の過熱を防止するために、回転軸JCを中空にして冷却水を流通させ、回転式ホイルトラップ22を冷却することがある。また、回転時のモータMC自体も発熱するため、モータMCの周囲に水冷配管41を巻き付けて除熱してもよい。水冷配管41には水が流され、熱交換によりモータMCを冷却する。
【0048】
また、プラズマPから回転式ホイルトラップ22への放射を低減し、回転式ホイルトラップ22の過熱を防止するため、接続チャンバ21内には遮熱板23が配置される。遮熱板23は、プラズマPから放出されるEUV光の一部を取り出すための任意の形状(例えば、円形)の開口部KAを備える。遮熱板23は、プラズマPの近傍に配置されるため、例えば、モリブデンまたはタングステンなどの高融点材料から構成される。
開口部KAは、回転式ホイルトラップ22の回転軸JMから偏心した位置に設けられる。このとき、プラズマPから放出されるEUV光の一部は、開口部KAを介し、回転式ホイルトラップ22の回転軸方向(
図2における左右方向)に対して傾斜角度をもって所定の立体角で遮熱板23から取り出される。
【0049】
回転式ホイルトラップ22は、遮熱板23の開口部KAを通過したEUV光の光線束(以下、EUV取出光とも言う。)の主光線UL上にブレード51が位置するように配置されている。遮熱板23の開口部KAから取り出されたEUV光は、デブリ低減部3を通過して、窓部27を介して利用装置(マスク検査装置装置)42に導入される。
【0050】
回転式ホイルトラップ22は、プラズマPから放散されるデブリDBのうち比較的低速のデブリDBを捕捉するが、固定式ホイルトラップ24は、プラズマPから放散されるデブリDBのうち、回転式ホイルトラップ22で捕捉できなかった高速で進行するデブリDBを捕捉する。
図2に示すように、固定式ホイルトラップ24は、EUV取出光の主光線UL上に配置される。
また、固定式ホイルトラップ24は、遮熱板23の開口部KAにより進行方向が制限されたEUV光であるEUV取出光が通過する領域に対応させた形状を備える。
【0051】
図4は、
図2の固定式ホイルトラップの構成例を示す上面図、
図5は、
図2の固定式ホイルトラップの構成例を示す断面図である。
図4および
図5において、固定式ホイルトラップ24は、複数のホイル61と、ホイル61を支持する固定枠(固定部材)60とを備える。
ホイル61は、
図5に示すように、EUV取出光の主光線UL方向に直交する断面において、それぞれ等間隔に配置される。また、固定枠60は、例えば、正面から見て矩形状となっている。なお、固定枠60の外形は、任意の形状であってよい。さらに、複数のホイル61は、
図4に示すように、主光線UL方向に直交する方向から見ると、EUV取出光の光線方向に伸びるように放射状に配置される。
【0052】
固定式ホイルトラップ24の複数のホイル61は、固定式ホイルトラップ24が配置された空間を細かく分割することにより、その部分のコンダクタンスを下げて圧力を局所的に上げる働きをする。固定式ホイルトラップ24にガスを適宜供給することにより、固定式ホイルトラップ24における圧力を上げるようにする。言い換えると、接続チャンバ21内において、固定式ホイルトラップ24内にガスを局在化させて圧力が比較的高い部分を設定する。ここで、固定式ホイルトラップ24に供給するガスは、EUV光に対して透過率の高いガスが望ましく、例えば、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)などの希ガスまたは水素(H2)などが用いられる。
【0053】
回転式ホイルトラップ22で捕捉できなかった高速のデブリDBは、固定式ホイルトラップ24における圧力が上がった領域でガスとの衝突確率が上がるために速度が低下する。また、ガスとの衝突によりデブリDBの進行方向も変わる。固定式ホイルトラップ24は、このようにして速度が低下して進行方向が変わったデブリDBを、ホイル61または固定枠60により捕捉する。
【0054】
また、接続チャンバ21内には、カバー部材25が配置される。カバー部材25は、回転式ホイルトラップ22を包囲し、回転式ホイルトラップ22により捕捉されたデブリDBが接続チャンバ21の内部に飛散するのを防止する。カバー部材25は、入射側開口部KIおよび出射側開口部KOA、KOBを備える。入射側開口部KIは、回転式ホイルトラップ22に入射するEUV光が遮光されない位置に設けられる。出射側開口部KOAは、入射側開口部KIおよび回転式ホイルトラップ22を通過して固定式ホイルトラップ24に入射するEUV光が遮光されない位置に設けられる。出射側開口部KOBは、入射側開口部KIおよび回転式ホイルトラップ22を通過して監視装置43に入射するEUV光が遮光されない位置に設けられる。
【0055】
回転式ホイルトラップ22により捕捉されたデブリDBの少なくとも一部は、遠心力により回転式ホイルトラップ22のブレード51上を径方向に移動し、ブレード51の端部から離脱して、カバー部材25の内面に付着する。
カバー部材25は、図示を省略した加熱手段またはEUV放射を受ける遮熱板23からの二次輻射によって加熱され、当該加熱によりカバー部材25の内面に付着したデブリDBは固化せず、液相状態を保持する。カバー部材25の内面に付着したデブリDBは、重力によりカバー部材25の下部に集まり、カバー部材25の下部から排出管26を介してカバー部材25の外に排出されて廃原料となり、デブリ収容部4に収容される。これにより、カバー部材25は、回転式ホイルトラップ22のブレード51の端部から離脱したデブリDBが接続チャンバ21の内部に飛散するのを防止することができる。
【0056】
デブリ収容部4は、デブリ収容容器31を備える。デブリ収容容器31は、接続チャンバ21の外部に配置され、接続チャンバ21に取り付けられる。デブリ収容容器31は、デブリDBおよび廃原料を含む収容物SUを貯蔵する。
【0057】
接続チャンバ21の底壁には、デブリ収容容器31の内部空間と接続チャンバ21の内部空間とを連通させる貫通孔37が形成されている。デブリ収容容器31は、上部にフランジ32を備える。フランジ32で囲まれたデブリ収容容器31の開口部は、接続チャンバ21の貫通孔37に重ねられる。そして、フランジ32が接続チャンバ21の底壁に、例えば、ネジで固定されることで、デブリ収容容器31が接続チャンバ21に取り付けられる。フランジ32と接続チャンバ21の底壁の間の間隙は、ガスケット33により封止される。遮熱板23は、直立した状態で貫通孔37の上方に配置される。排出管26の排出口は、貫通孔37の上方に配置される。このとき、遮熱板23および排出管26からのデブリDBの落下位置にデブリ収容容器32が配置される。
【0058】
排出管26を介してカバー部材25の外に排出された廃原料は、重力方向に落下し、接続チャンバ21の下方(
図2の下側)に配置されているデブリ収容容器31に溜められる。一方、プラズマPから様々な方向に放散されるデブリDBの一部は、チャンバ11の窓部17を通じて接続チャンバ21に侵入すると、遮熱板23の窓部17と対面する面に堆積する。遮熱板23に堆積したデブリDBは、プラズマPからの放射により溶融し、ある程度の量に達すると、液滴となって重力により遮熱板23の下方に移動する。そして、遮熱板23の下方に移動したデブリDBが遮熱板23から離脱し、接続チャンバ21の下方へ落下することで、デブリ収容容器31に収容される。
【0059】
このように遮熱板23は、プラズマPから回転式ホイルトラップ22へのEUV放射を制限して回転式ホイルトラップ22の過熱を防止したり、開口部KAによりプラズマPから放出されるEUV光の一部を取り出したりするのみならず、回転式ホイルトラップ22に向けて進行するデブリDBをできるだけ少なくし、回転式ホイルトラップ22の負荷を減少させる。
【0060】
また、LDP方式のEUV光源装置1においては、放電部(放電電極EA、EBなど)に供給されるプラズマ原料(スズ)SA、SBの一部が漏出することがある。例えば、プラズマ原料SA、SBの一部は、コンテナCA、CBから漏出する場合がある。漏出したプラズマ原料SA、SBは、プラズマPの発生に寄与しないため、廃原料となる。上記した放電部から漏出したプラズマ原料SA、SBは、図示を省略した包囲部材により捕集される。
【0061】
包囲部材により廃原料として捕集されたプラズマ原料SA、SBをデブリ収容容器31に導くために、接続チャンバ21内には受け板部材(shovel)18が設置される。受け板部材18は、窓部17から貫通孔37にかけて掛け渡されるように傾斜姿勢で支持される。受け板部材18は、廃原料として捕集されたプラズマ原料SA、SBが受け板部材18上で融点以上に維持されるように、図示を省略した加熱手段(ヒータ)で加熱される。そして、包囲部材により廃原料として捕集されたプラズマ原料SA、SBおよび接続チャンバ21に侵入したデブリDBの一部は、受け板部材18に導かれてデブリ収容容器31に落下する。
【0062】
ここで、デブリDBの大部分はスズであり、廃材料もスズであるので、デブリ収容容器31は、スズ回収容器と呼ぶこともできる。デブリ収容容器31の周囲には、デブリ収容容器31を加熱する加熱手段としてのヒータ配線34が巻き付けられている。加熱手段は、デブリ収容容器31本体に埋設されていてもよい。
EUV光源装置1の稼働中では、ヒータ配線34に給電することによって、デブリ収容容器の内部は、スズの融点以上に加熱され、デブリ収容容器31内部に蓄積されたスズは液相にされる。
【0063】
デブリ収容容器31の内部のスズを液相とする理由は、デブリ収容容器31の内部に蓄積されるデブリDBが固化すると、デブリDBが落下しやすい地点での蓄積物が、あたかも鍾乳洞の石筍のように成長するからである。デブリDBの蓄積物が石筍状に成長すると、例えば、カバー部材25の排出管26がデブリDBにより封鎖されてカバー部材25内にデブリDBが蓄積される。このとき、カバー部材25内に蓄積されたデブリDBの少なくとも一部が回転式ホイルトラップ22に接触し、回転式ホイルトラップ22の回転を妨げたり、回転式ホイルトラップ22を損傷したりすることがある。
あるいは、カバー部材25に設けられている出射側開口部KOA、KOBの一部がカバー部材25内に蓄積されたデブリDBにより封鎖されて、出射側開口部KOA、KOBを通過するEUV光の一部が遮られることもある。
よって、デブリ収容容器31の内部の収容物であるスズを液相にすることで、デブリ収納容器31内でスズを平坦化し、石筍のような成長を回避しながらデブリ収納容器31内にスズを貯蔵することが可能となる。
【0064】
デブリ収容容器31に蓄積されたスズを回収する場合、ヒータ配線34への給電を止めてデブリ収容容器31内部の加熱を停止する。そして、デブリ収容容器31の温度が常温に到達してデブリ収容容器31に貯蔵されるスズを固化させた上で、接続チャンバ21内部を大気圧に戻す。その後、デブリ収容容器31を接続チャンバ21から取り外し、スズの溜まっていない新しいデブリ収容容器を接続チャンバ21に取り付ける。
接続チャンバ21から取り外されたデブリ収容容器31の内部のスズは固相になっているが、そのデブリ収容容器31を再加熱して内部のスズを再度液相とすることによって、デブリ収容容器31からスズを取り出すことができる。接続チャンバ21から取り外し、内部からスズを除去したデブリ収容容器31は再利用することができる。
【0065】
さらに、接続チャンバ21の外部には、EUV光を監視する監視装置43が配置される。監視装置43は、EUV光を検出する検出器またはEUV光の強度を測定する測定器である。接続チャンバ21の壁には、EUV光が通過する貫通孔であるEUV光案内孔28が形成され、EUV光案内孔28と監視装置43と間には、EUV光が接続チャンバ21の外に漏れずに通過する案内管29が設けられている。
【0066】
遮熱板23には、開口部KAとは別の位置に、プラズマPから放出されるEUV光の一部を取り出すための任意の形状(例えば、円形)の開口部KBが設けられる。
プラズマPと開口部KBの中心部を結ぶ直線の延長線上には、監視装置43、EUV光案内孔28および案内管29が配置されている。従って、プラズマPから放出されるEUV光の一部は、チャンバ11の窓部17、遮熱板23の開口部KB、カバー部材25の入射側開口部KI、回転式ホイルトラップ22の複数のブレード51の隙間、カバー部材25の出射側開口部KOB、接続チャンバ21の壁のEUV光案内孔28および案内管29の内腔を順次通過して、監視装置43に到達する。このようにして、EUV光を監視装置43によって監視することができる。
【0067】
上述したように、回転式ホイルトラップ22は、ほぼ等しい角間隔をおいて放射状に配置された複数のホイル(ブレード)51を有する。各ブレード51は、高融点金属により構成される薄膜または薄い平板である。より詳細には、各ブレード51は、例えば複数回の圧延による引張加工により製造されたモリブデン薄板からなり、その厚みは、例えば0.1~0.3mmである。なお、ブレード51は、タングステンからなる圧延薄板より構成することもできる。
【0068】
従来、上記のように複数のホイル(ブレード)を有する回転式ホイルトラップにおいては、比較的短時間の稼働で、ブレードの一部が、例えばハブ(回転軸)近傍で破断するという不具合が発生することがあった。なお、ここでいう稼働とは、EUV光源装置におけるEUV発光動作中に回転式ホイルトラップを回転動作させ、デブリを捕捉する動作を行うことをいう。
上記不具合は、一部の回転式ホイルトラップのみで発生し、比較的多くの回転式ホイルトラップでは、上記不具合が発生した回転式ホイルトラップよりも数倍の使用時間を経ても不具合が発生していなかった。そのため、上記不具合は回転式ホイルトラップの稼働寿命によるものとは考えにくく、本発明者は、ある特定の同一ロットで製造された回転式ホイルトラップにおいて起こる不具合ではないかと考えた。
そこで、本発明者は、同一ロットで製造された複数の回転式ホイルトラップについて、不具合の発生度合いを調査した。その結果、この不具合は同一ロットで製造された全ての回転式ホイルトラップ(特に、同一ロットで製造したブレード)で発生するわけではないことが分かった。
【0069】
本発明者は、同一ロットで製造された回転式ホイルトラップをさらに調査し、ブレードを構成する高融点金属製の圧延薄板の圧延方向と、ブレードの形状との関係を調べた。
なお、ここでは、圧延により引張加工された方向を「圧延方向」と称することにする。より具体的には、「圧延方向」とは、
図6に示すように、金属製圧延薄板100の結晶粒101が伸長している方向(結晶粒101の長径方向)をいう。引張加工する方向を変えて複数回の圧延を行っている場合には、より結晶粒101が伸長している方向を圧延方向という。
金属製圧延薄板100の結晶構造は、SEM(Scanning Electron Microscope)等により容易に観察することが可能である。
【0070】
同一ロットで製造されたモリブデン製の圧延薄板から得たブレード(長片)について調査した結果、ブレードの長手方向と圧延方向とが一致しているブレードと、ブレードの短手方向と圧延方向とが一致しているブレードとが混在していることが判明した。
ここで、
図7に回転式ホイルトラップ22Aを模式的に示すように、ブレードの長手方向とは、ブレード51Aの長辺方向であり、回転式ホイルトラップ22Aの回転軸JMにほぼ直交する方向Aである。また、ブレードの短手方向とは、ブレード51Aの短辺方向であり、回転式ホイルトラップの回転軸JMにほぼ平行な方向Bである。
【0071】
そして、同一ロットで製造された複数の回転式ホイルトラップについて、不具合が発生したブレードを調べたところ、破断等の不具合が発生したいずれのブレードも圧延方向がブレード短手方向と略一致していることが分かった。
回転式ホイルトラップの回転動作中に、回転式ホイルトラップの各ブレードにかかる力は遠心力である。ここで、遠心力の方向は、ブレード長手方向Aと平行な方向である。
図7に示す回転式ホイルトラップ22Aのようにブレード長手方向Aが回転軸JMに対して直交する場合、遠心力の方向は、回転軸JMに対して直交し、回転軸JMから外方に向かう方向Fとなる。
つまり、ブレードの圧延方向が、回転式ホイルトラップが回転動作した際にブレードに作用する遠心力方向Fとほぼ直交する場合に、回転式ホイルトラップの回転動作に伴うブレードの破断等の不具合が発生していることが分かった。
【0072】
このことから、回転式ホイルトラップのブレードが高融点金属製の圧延薄板からなる場合、当該ブレードを構成する圧延薄板の圧延方向と、回転式ホイルトラップが回転動作した際にブレードに作用する遠心力方向とができるだけ一致する方が、上記の両方向が一致しない(例えば互いに直交する)場合よりも、上記不具合の発生を抑制できる可能性が高いと推察される。
【0073】
上記仮説を検証するために、圧延による引張加工にて形成した高融点金属製の圧延薄板について、圧延で引張加工された方向(圧延方向)の引張試験と、圧延方向ではない方向の引張試験とを実施し、それぞれの引張強さを調べた。なお、この引張試験において、圧延方向ではない方向は、圧延方向と直交する方向とした。また、引張試験の試験試料とする金属製圧延薄板としては、モリブデンよりなる厚み0.15mmの圧延薄板を用いた。
【0074】
図8(a)は、金属製圧延薄板100の圧延方向Rの引張試験、
図8(b)は、金属製圧延薄板100の圧延方向Rと直交する方向の引張試験を示す図である。
図8(a)に示すように、圧延方向Rの引張試験を行った結果、金属製圧延薄板100が破断に至るまでの引張試験力Tの最大値は1.22kN、引張強度は801MPaであった。一方、
図8(b)に示すように、圧延方向Rに直交する方向の引張試験を行った結果、金属製圧延薄板100が破断に至るまでの引張試験力Tの最大値は1.04kN、引張強度は680MPaであった。
すなわち、圧延方向Rの引張強度は、圧延方向Rに直交する方向の引張強度よりも約120MPa強いことが分かった。
また同時に、圧延方向Rの引張試験力Tの最大値である1.22kNのみならず、圧延方向Rに直交する方向の引張試験力Tの最大値である1.04kNは、回転式ホイルトラップの回転動作中に各ブレードにかかる遠心力の大きさよりも明らかに大きいことも分かった。
【0075】
回転式ホイルトラップの回転動作中に各ブレードにかかる遠心力の大きさは、計算上、約60Nである。
したがって、上記不具合は、単なる遠心力のみによるものではなく、EUV光源装置特有の発光中に発生する不具合であると考えられる。
実際に、EUV発光動作をせずに回転式ホイルトラップを単独で回転させて不具合の発生状況を調査したところ、ブレードに作用する遠心力方向Fとブレードの圧延方向Rとが一致していなくても(直交していても)、ブレードの破断等の不具合は確認されなかった。
【0076】
図1および
図2に示すように、デブリ低減装置の一部である回転式ホイルトラップ22は、接続チャンバ21内に配置される。その位置は、チャンバ11内にて発生するプラズマPに比較的近く、回転式ホイルトラップ22はプラズマPから放射される熱を受ける。そのため、EUV光源装置1の稼働中においては、回転式ホイルトラップ22の温度は高温となる。
上記のように、回転式ホイルトラップ22の過熱を防止するため、接続チャンバ21内には遮熱板23が配置されている。EUV光源装置1の停止後、回転式ホイルトラップ22のモリブデン(Mo)製の各ブレード51を観察したところ、Moの再結晶化には至っていなかった。このことから、遮熱板23により、回転式ホイルトラップ22の温度は、Moの再結晶化温度未満に抑えられていることがわかる。
一方で、各ブレード51が捕捉したデブリ(スズ)は、固化することなく遠心力により回転式ホイルトラップ22のブレード51上を径方向外側に移動し、ブレード51の端部から離脱して、カバー部材25の内面に付着する。よって、回転式ホイルトラップ22は、スズの融点(約232℃)よりも高い温度に保たれている。
つまり、回転式ホイルトラップ22の温度は250~800℃になっているものと考えられる。
【0077】
また、上記のように、回転式ホイルトラップ22の各ブレード51は、デブリと衝突する。デブリは、プラズマPの収縮および膨張過程を経て大きな運動エネルギーを得ており、デブリに含まれる高速の中性原子等が各ブレード51に衝突する。
さらに、プラズマPは、電極間の放電によりプラズマ原料(スズ)に電気エネルギーが注入され、プラズマ原料が励起されることで生成される。その際、プラズマ原料は様々な準位に励起されるので、プラズマPからはEUV光のみならず、様々な波長の光が放射される。
【0078】
このように、EUV光源装置の稼働中は、回転式ホイルトラップの各ブレードは、プラズマPからの熱放射、高速中性原子(スズ)を含むデブリの衝突、EUV光およびそれ以外の波長の光の照射という様々な負荷を受ける。
そのため、ブレードに作用する遠心力方向がブレードの圧延方向とは異なる方向(例えば圧延方向に直交する方向)である場合には、引張強度が比較的弱いことに加えて上記負荷の影響を受けることにより、比較的短時間の稼働にてブレードが破断するという不具合が発生したものと考えられる。また、ブレードの破断は、EUV光が直接当たらないハブ(回転軸)近傍で発生していることから、上記負荷のうち、熱とデブリ(特に熱)の影響が大きいものと考えられる。
【0079】
以上のように、本発明者は、プラズマの近傍の高温環境下に配置されて回転動作し、当該プラズマから放射される光を透過し、当該プラズマから放出されるデブリを捕捉する回転式ホイルトラップにおいて、ブレードの圧延方向とブレードに作用する遠心力方向とが異なる(直交または略直交する)場合に、ホイルの破断といった特有の不具合が短期間で発生するという新たな知見を得た。そして、上記不具合は、ブレードの圧延方向とブレードに作用する遠心力方向とを一致させることで抑制することができることも見出した。
【0080】
なお、回転式ホイルトラップは、必ずしも
図7に示すようにブレード長手方向Aが回転軸JMと直交するように構成されるものではない。
例えば
図9の実線で示す回転式ホイルトラップ22のように、ブレード長手方向Aが回転軸JMに対して斜めになるようにブレード51が配置される場合もある。この場合にも、
図9に示すように、ブレード51の圧延方向Rは、ブレード51に作用する遠心力方向F(ブレード長手方向A)と一致することが好ましい。
【0081】
上記のようにブレード長手方向Aが回転軸JMに対して斜めになるようにブレード51が配置される構成の回転式ホイルトラップ22の場合、
図7に示す回転式ホイルトラップ22Aと比較して、回転軸JMから遠い地点におけるブレードによるデブリの捕捉確率を高めることができる。以下、この点について説明する。
【0082】
図9の実線で示すようにブレード長手方向が回転軸JMに対して斜めになるように構成されたブレード51では、
図9の破線で示すようにブレード長手方向が回転軸JMと直交するように構成されたブレード51Aと比較して、ブレードのプラズマP側端部がプラズマPにより近くなる。このとき、回転軸JMに近い地点では、プラズマPからブレード51AのプラズマP側端部までの距離Pd1’と、プラズマPからブレード51のプラズマP側端部までの距離Pd1との差は小さいが、回転軸JMに遠い地点では、距離Pd2’に対して距離Pd2が大幅に短くなる。
そのため、
図9の実線で示すようにブレード長手方向が回転軸JMに対して斜めになるように構成されている場合、回転軸JMよりも遠い地点での隣り合うブレード間の間隔は、プラズマPから望むと、
図9の破線で示すようにブレード長手方向が回転軸JMと直交するように構成されている場合よりも、より狭くなる。したがって、回転軸JMから遠い地点におけるブレードによるデブリの捕捉確率を高めることができる。
【0083】
以上のように、回転式ホイルトラップを構成する圧延薄板であるブレードの圧延方向と、回転式ホイルトラップの回転動作時にブレードにかかる遠心力方向とは、一致していることが好ましい。しかしながら、各ブレードの製造上、各ブレードの形状と圧延方向との関係が必ずしも所望の関係となるとは限らない。
ここで、所望の関係とは、各ブレードを回転式ホイルトラップに取り付けて回転動作をさせた際、ブレードの圧延方向とブレードに作用する遠心力方向とが一致するような関係である。
【0084】
そこで、ブレードの圧延方向とブレードに作用する遠心力方向との不一致がどの程度まで許容されるかを調査した。その結果を
図11に示す。
図11において、θは、ブレードの圧延方向とブレードに作用する遠心力方向とのずれ具合を示しており、
図10に示すように、圧延方向Rと遠心力方向Fとのなす角度で定義した。また、この
図11において、「〇」はブレードの破断が発生しなかった場合、「×」はブレードの破断が発生した場合を示す。
なお、稼働条件は、電極への入力電力を9kW、1日あたりの稼働時間を8hとした。
【0085】
図11に示すように、θ=82°、θ=90°の場合、ブレードの一部に破断が発生した。具体的には、θ=82°の場合、累積稼働時間が約64時間でブレードの破断が発生し、θ=90°の場合は、累積稼働時間が約44時間でブレードの破断が発生した。
一方、θ=0°、θ=8°、θ=20°の場合は、累積稼働時間が約64時間に到達しても破断は発生しなかった。これらの3つの水準においては、更に累積稼働時間が約2ヵ月となるまで継続したが、不具合は発生しなかった。
このように、少なくともθが0°以上20°以下の場合は、上記不具合が確実に抑制されることが確認できた。したがって、圧延方向Rと遠心力方向Fとのなす角度θは、0°以上20°以下とすることが好ましい。
【0086】
以上説明したように、本実施形態における回転式ホイルトラップ22は、プラズマ発生部である光源部2が発生させるプラズマPの近傍に配置されて回転動作し、プラズマPから放射される光を透過し、当該プラズマPから放出されるデブリを捕捉する。回転式ホイルトラップ22は、プラズマPを通る軸を回転軸として回転可能な複数のホイル51と、回転軸上に配置されてホイル(ブレード)51を支持するハブ(支持部材)53と、を有する。
そして、ブレード51は、圧延により引張加工された圧延薄板であって、回転動作によって当該ブレード51にかかる遠心力方向Fと、ブレード51の圧延方向Rとが一致または略一致するように構成されている。ここで、遠心力方向Fと圧延方向Rとのなす角は、0°以上20°以下であることが好ましい。
【0087】
これにより、プラズマPからの熱放射やデブリの衝突、光の照射といった様々な負荷を受ける環境下での回転式ホイルトラップ22の回転動作に伴うブレード51の破断等の不具合の発生を適切に抑制することができる。
なお、ブレード51の破断等の不具合を回避するためには、ブレード51の厚みを厚くして強度を上げることも考えられる。しかしながら、回転式ホイルトラップ22においては、EUV光は各ブレード51の厚み分だけ遮光される。そのため、回転式ホイルトラップ22を通過するEUV光の割合(透過率)を、例えば90%といった高い透過率で維持するためには、各ブレード51の厚みを厚くすることはできない。
本実施形態における回転式ホイルトラップ22は、ブレード51の厚みを例えば0.15mmとすることでEUV光の高い透過率を維持しつつ、ホイル(ブレード)の破断といった不具合の発生が抑制された、比較的長期間の稼働寿命を有する回転式ホイルトラップとすることができる。
【0088】
(変形例)
上記実施形態においては、高温プラズマ原料に照射するエネルギービームとしてレーザを用いる場合について説明したが、レーザに代えてイオンビームや電子ビーム等を用いることもできる。
また、上記実施形態においては、DPP方式のEUV光源装置に適用する場合について説明したが、LPP方式のEUV光源装置にも適用可能である。なお、LPP方式とは、プラズマ生成用ドライバレーザをターゲット材料に照射し、当該ターゲット材料を励起させてプラズマを生成する方式である。
【0089】
さらに、上記実施形態においては、回転式ホイルトラップ22を備える光源装置がEUV光源装置である場合について説明したが、当該光源装置は、VUV(真空紫外光)を取り出すVUV光源装置や、X線を取り出すX線発生装置であってもよい。
光源装置をVUV光源装置として機能させる場合、このVUV光源装置は、基板の表面改質用光源、オゾン発生用光源、基板の貼り合わせ用光源として用いることもできる。
一方、光源装置をX線発生装置として機能させる場合、このX線発生装置は、医療用分野においては、胸部X線写真撮影や、歯科X線写真撮影、CT(Computer Tomogram)といった用途に用いることもできる。また、このX線発生装置は、工業用分野においては、構造物や溶接部などの物質内部を観察する非破壊検査、断層非破壊検査といった用途に用いることもできる。さらに、このX線発生装置は、研究用分野においては、物質の結晶構造を解析するためのX線解析、物質の構成元素を分析するためのX線分光(蛍光X線分析)といった用途に用いることもできる。
【符号の説明】
【0090】
1…極端紫外光光源装置(EUV光源装置)、2…光源部、3…デブリ低減部、4…デブリ収容部、11…チャンバ、21…接続チャンバ、22…回転式ホイルトラップ、23…遮熱板、24…固定式ホイルトラップ、31…デブリ収容容器、51…ホイル、52…外側リング、53…ハブ、DB…デブリ、F…遠心力方向、R…圧延方向