(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022083648
(43)【公開日】2022-06-06
(54)【発明の名称】扉ロック装置
(51)【国際特許分類】
E05C 5/00 20060101AFI20220530BHJP
E05C 7/04 20060101ALI20220530BHJP
E05B 65/00 20060101ALI20220530BHJP
A01G 9/14 20060101ALI20220530BHJP
【FI】
E05C5/00
E05C7/04
E05B65/00 A
A01G9/14 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020195081
(22)【出願日】2020-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】000221568
【氏名又は名称】東都興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122323
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 憲
(72)【発明者】
【氏名】石塚 大
(72)【発明者】
【氏名】海老原 瑞己
【テーマコード(参考)】
2B029
【Fターム(参考)】
2B029AA01
2B029BB03
2B029BB09
2B029GA02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ビニールハウスの扉のロックとロック解除が容易にできるとともに、錠前や鍵の紛失を防止できる扉ロック装置を提供する。
【解決手段】開口部と開口部を開閉する扉10Aとを有するビニールハウスにおける扉10Aを閉じた状態でロックする扉ロック装置1において、扉10Aのビニールハウスの外側を向く面に取付けられる取っ手部材2と、取っ手部材2に扉10Aの移動方向と一致しない方向を軸として軸方向へ移動可能であって軸回りに回転可能に保持されるロック片6と、扉10Aを閉じた状態でビニールハウスの取っ手部材2と対向する位置に取付けられるとともにロック片6を抜き差し可能な差込部5を有する対向部材3とを備えたことを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部と前記開口部を開閉する扉とを有するビニールハウスにおける前記扉を閉じた状態でロックする扉ロック装置において、
前記扉の前記ビニールハウスの外側を向く面に取付けられる取っ手部材と、
前記取っ手部材に前記扉の移動方向と一致しない方向を軸として前記軸方向へ移動可能であって前記軸回りに回転可能に保持されるロック片と、
前記扉を閉じた状態で前記ビニールハウスの前記取っ手部材と対向する位置に取付けられるとともに前記ロック片を抜き差し可能な差込部を有する対向部材とを備えた
ことを特徴とする扉ロック装置。
【請求項2】
前記取っ手部材は、筒状のソケットを有し、
前記ロック片は、前記ソケット内に軸方向移動自在及び回転自在に挿入されるロッド部と、前記ロッド部に対して平行に配置され前記差込部に抜き差し可能なピン部と、前記ロッド部と前記ピン部の一端同士を連結する連結部とを有し、
前記ロッド部の軸方向長さは前記ピン部の軸方向長さよりも長い
ことを特徴とする請求項1に記載の扉ロック装置。
【請求項3】
前記ロッド部の軸方向長さは前記ソケットと前記ピン部の軸方向長さの合計よりも長くなっており、
前記ロッド部の他端に着脱自在に設けられて前記ソケットの端部に当接可能なストッパを有する
ことを特徴とする請求項2に記載の扉ロック装置。
【請求項4】
前記連結部がU字状であって、前記ロック片がJ字状となる
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の扉ロック装置。
【請求項5】
前記ソケットは上下方向に沿って延びており、
前記ロック片は前記差込部に上側から抜き差しされる
ことを特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載の扉ロック装置。
【請求項6】
前記取っ手部材は、前記扉に固定される基部と前記基部から反扉側に向けて延びる平板状の取っ手部とを有し、
前記ソケットは、前記取っ手部の延長方向の長さの半分よりも前記基部側に配置されている
ことを特徴とする請求項2から5のいずれか一項に記載の扉ロック装置。
【請求項7】
前記対向部材は、前記ロック片を抜き差し可能な筒状の前記差込部を有して、前記取っ手部材と同一の形状とされている
ことを特徴とする請求項2から6のいずれか一項に記載の扉ロック装置。
【請求項8】
前記ピン部は、前記差込部の少なくとも半分まで差し込み可能な軸方向長さに設定されている
ことを特徴とする請求項7に記載の扉ロック装置。
【請求項9】
前記対向部材は、前記扉と対となって前記開口部を前記扉と共に開閉可能な相手側扉に設けられる
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の扉ロック装置。
【請求項10】
前記対向部材は、前記扉が前記開口部を閉じた際に前記扉に対向する柱体に設けられる
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の扉ロック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、扉ロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
扉ロック装置としては、ビニールハウスの開口部を開閉する扉を閉じた状態でロックするものがある。
【0003】
例えば、特許文献1に示すビニールハウスは、開口部と、開口部の幅方向に沿ってスライド自在に取付けられる左右一対の扉と、各扉のビニールハウスの外側を向く面に固定される取っ手金具とを備えている。この取っ手金具は、扉に固定される基部と、基部から反扉側に向けて立ち上がる取っ手部とを備え、各取っ手部には互いに対向する開口孔が形成されている。
【0004】
そして、従来は、各開口孔にチェーンロックを通して鍵を掛けたり或いは各開口孔に南京錠の掛け金を通して鍵を掛けたりするなどして、扉の施錠を行っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の手段では、扉をロックするために、わざわざチェーンロックや南京錠等の錠前と鍵を用意する必要がある。
【0007】
そのため、扉をロックする目的が、第三者のビニールハウス内への侵入を防止するなどの防犯目的ではなく、風などによって扉が自然に開かないようにするだけである場合にまで、わざわざチェーンロックや南京錠を使って扉を施錠するのは非常に面倒であった。
【0008】
加えて、従来の手段では、錠前と鍵をビニールハウスとは別の場所に保管しておく必要があるため、錠前や鍵の管理が面倒である上、錠前や鍵を紛失してしまう可能性があった。
【0009】
そこで、本発明は、ビニールハウスの扉のロックとロック解除が容易にできるとともに、紛失の恐れがない扉ロック装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成させるため、本発明は、開口部と前記開口部を開閉する扉とを有するビニールハウスにおける前記扉を閉じた状態でロックする扉ロック装置において、前記扉の前記ビニールハウスの外側を向く面に取付けられる取っ手部材と、前記取っ手部材に前記扉の移動方向と一致しない方向を軸として前記軸方向へ移動可能であって前記軸回りに回転可能に保持されるロック片と、前記扉を閉じた状態で前記ビニールハウスの前記取っ手部材と対向する位置に取付けられるとともに前記ロック片を抜き差し可能な差込部を有する対向部材とを備えたことを特徴とする。この構成によると、取っ手部材に保持されるロック片を差込部から抜き差しするだけで扉のロックとロック解除を行うことができる。
【0011】
また、本発明の扉ロック装置では、前記取っ手部材は、筒状のソケットを有し、前記ロック片は、前記ソケット内に軸方向移動自在及び回転自在に挿入されるロッド部と、前記ロッド部に対して平行に配置され前記差込部に抜き差し可能なピン部と、前記ロッド部と前記ピン部の一端同士を連結する連結部とを有し、前記ロッド部の軸方向長さは前記ピン部の軸方向長さよりも長くなっていてもよい。この構成によると、ロッド部の他端側への移動を連結部によって規制できるので、ロック片がロッド部の他端側から抜けるのを防止できる。
【0012】
また、本発明の扉ロック装置は、前記ロッド部の軸方向長さは前記ソケットと前記ピン部の軸方向長さの合計よりも長くなっており、前記ロッド部の他端に着脱自在に設けられて前記ソケットの端部に当接可能なストッパを有していてもよい。この構成によると、ロッド部がソケットから抜けてしまうのを防止できるので、ロック片の紛失をより確実に防止できる。
【0013】
また、本発明の扉ロック装置では、前記連結部がU字状であって、前記ロック片がJ字状となっていてもよい。この構成によると、作業者が軍手を付けた状態であっても、連結部を摘みやすくなるので、扉ロック装置のロック操作及びロック解除の操作を容易に行える。
【0014】
また、本発明の扉ロック装置では、前記ソケットは上下方向に沿って延びており、前記ロック片は前記差込部に上側から抜き差しされるようになっていてもよい。この構成によると、重力によりロック片の抜け止めがされるので、ロック片が意図せず差込部から抜けてしまうのをより確実に防止できる。
【0015】
また、本発明の扉ロック装置では、前記取っ手部材は、前記扉に固定される基部と前記基部から反扉側に向けて延びる平板状の取っ手部とを有し、前記ソケットは、前記取っ手部の延長方向の長さの半分よりも前記基部側に配置されていてもよい。この構成によると、取っ手部材を扉に取付ける際に、ソケットに邪魔されることなく取っ手部の先端側を掴むことができるので、取っ手部材を扉へ取付ける作業が容易となる。
【0016】
また、本発明の扉ロック装置では、前記対向部材は、前記ロック片を抜き差し可能な筒状の前記差込部を有して、前記取っ手部材と同一の形状とされていてもよい。この構成によると、取っ手部材と対向部材を別々に製造する必要がないため、製造コストを低減できる。
【0017】
また、本発明の扉ロック装置では、前記ピン部は、前記差込部の少なくとも半分まで差し込み可能な軸方向長さに設定されていてもよい。この構成によると、ピン部が差込部から抜けにくくなるので、扉のロックが意図せず解除されてしまうのをより確実に防止できる。
【0018】
また、本発明の扉ロック装置では、前記対向部材は、前記扉と対となって前記開口部を前記扉と共に開閉可能な相手側扉に設けられていてもよい。この構成によると、ビニールハウスの扉が両開きである場合に、扉をロックすることができる。
【0019】
また、本発明の扉ロック装置では、前記対向部材は、前記扉が前記開口部を閉じた際に前記扉に対向する柱体に設けられていてもよい。この構成によると、ビニールハウスの扉が片開きの場合に、扉をロックすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の扉ロック装置によれば、ビニールハウスの扉のロックとロック解除が容易にできるとともに紛失を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】第一の実施の形態の扉ロック装置が設けられたビニールハウスを示す斜視図である。
【
図2】ロック状態の第一の実施の形態の扉ロック装置を示す斜視図である。
【
図3】第一の実施の形態の扉ロック装置の分解斜視図である。
【
図5】解除状態の第一の実施の形態の扉ロック装置を示す斜視図である。
【
図6】解除状態からロック状態に切り替わる途中の動作を示す第一の実施の形態の扉ロック装置を示す斜視図である。
【
図7】第二の実施の形態の扉ロック装置を示す斜視図である。
【
図9】第二の実施の形態の第一変形例における扉ロック装置を示す斜視図である。
【
図11】第二の実施の形態の第二変形例における扉ロック装置の対向部材を示す斜視図である。
【
図13】第二の実施の形態の第三変形例における扉ロック装置の対向部材を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、図面を参照しながら本実施の形態について説明する。いくつかの図面を通して付された同じ符号は同じ部品を示す。
【0023】
第一の実施の形態の扉ロック装置1は、開口部Oと、開口部Oを開閉する扉10Aと、扉10Aと対となって開口部Oを開閉可能な相手側扉10Bとを有するビニールハウスHにおいて扉10A,10Bを閉じた状態でロックするものである。具体的には、本発明の扉ロック装置1は、
図1から
図6に示すように、扉10AのビニールハウスHの外側を向く面に取付けられる取っ手部材2と、取っ手部材2に扉10A,10Bの移動方向と一致しない方向を軸として軸方向へ移動可能であって軸回りに回転可能に保持されるロック片6と、扉10A,10Bを閉じた状態でビニールハウスHの取っ手部材2と対向する位置に取付けられるとともにロック片6を抜き差し可能な差込部5を有する対向部材3とを備える。
【0024】
本実施の形態のビニールハウスHは、
図1に示すように、ビニールハウスHの奥行方向に並べて配置される複数のアーチパイプ20と、アーチパイプ20,20間に奥行方向に沿って架け渡される複数の第一シート定着フレーム21とを備え、第一シート定着フレーム21を介して屋根側シートS1がアーチパイプ20に沿うように展張されている。
【0025】
また、
図1に示すように、ビニールハウスHの妻側には、ビニールハウスHの妻側に配置されるアーチパイプ20を下側から支持するとともにビニールハウスHの幅方向に沿って配置される複数の支柱パイプ22と、各支柱パイプ22,22間にビニールハウスHの幅方向に沿って架け渡される複数の第二シート定着フレーム23とが設けられている。
【0026】
さらに、ビニールハウスHの妻側には、
図1に示すように、支柱パイプ22と第二シート定着フレーム23と地面Gとによって囲われて形成される矩形の開口部Oが設けられている。そして、ビニールハウスHの妻側の開口部O以外の部分に第二シート定着フレーム23を介して妻側シートS2が展張されており、開口部OはビニールハウスHの出入り口として機能する。なお、開口部OはビニールハウスHの少なくとも一方の妻側に設けられていればよいが、両側に設けられていてもよい。
【0027】
戻って、ビニールハウスHの妻側には、
図1に示すように、開口部Oの上端側の縁に沿うように支柱パイプ22,22間に架け渡されて設置される上側レール24と、地面Gに沿うように支柱パイプ22,22間に架け渡されて設置される下側レール25とが設けられている。さらに、上側レール24と下側レール25間には、開口部Oを開閉可能な一対の扉10A,10Bが、ビニールハウスHの幅方向である
図1中左右方向に対してスライド自在に装着されている。このように、本実施の形態では、ビニールハウスHの開口部Oは、両開きの扉10A,10Bによって開閉されている。
【0028】
本実施の形態の扉10A,10Bは、
図1に示すように、互いに構造を同じくしてともに枠体11と、枠体11に展張される扉用シートS3とを備えている。具体的には、枠体11は、上下に延びる左右一対の縦フレーム材11a,11bと、一対の縦フレーム材11a,11bの上端と下端の間にそれぞれ架け渡される上下一対の横フレーム材11c,11cと、一対の横フレーム材11c,11c間に所定の間隔で配置されて一対の縦フレーム材11a,11b間に架け渡される二本の中間フレーム材11dとを有する。
【0029】
各フレーム材11a,11b,11c,11dは、それぞれ開口幅が底部の幅よりも狭い溝12を有しており、枠体11は、当該溝12がビニールハウスHの外側を向くように設置されている。そして、
図1に示すように、各フレーム材11a,11b,11c,11dの溝12に扉用シートS3を挿入し、その上から波型のばね13を挿入することで、ばね13の弾発力によって枠体11に扉用シートS3を展張している。
【0030】
また、詳細には説明しないが、枠体11の上端と下端にはそれぞれ図示しないローラが取付けられており、扉10A,10Bが上側レール24と下側レール25上をローラを介して走行できるようになっている。なお、本実施の形態の扉10A,10Bの構成は、一例であって、上記構成には限定されない。
【0031】
つづいて、本実施の形態の扉ロック装置1について詳細に説明する。本実施の形態の扉ロック装置1は、
図2に示すように、扉10AのビニールハウスHの外側を向く面に取付けられる取っ手部材2と、相手側扉10BのビニールハウスHの外側を向く面の取っ手部材2と対向する位置に取付けられる対向部材3と、取っ手部材2に扉10A,10Bの移動方向と一致しない方向を軸として軸方向へ移動可能であって軸回りに回転可能に保持されて対向部材3の差し込み部に抜き差し可能なロック片6とを備える。
【0032】
以下、本実施の形態の扉ロック装置1の各部について詳細に説明する。本実施の形態では、取っ手部材2と対向部材3は、
図2に示すように、互いに構造をともにして同一の形状とされているため、取っ手部材2と対向部材3の詳細な構造について同時に説明する。
【0033】
本実施の形態の取っ手部材2及び対向部材3は、
図1,
図2に示すように、左右の扉10A,10Bの互いに対向する縦フレーム材11a(以下、「内側縦フレーム材11a」とする。)の互いに対向する位置にそれぞれ取付けられている。具体的には、取っ手部材2及び対向部材3は、
図2,
図3に示すように、矩形平板状であって長手方向が内側縦フレーム材11aの延長方向と一致するように内側縦フレーム材11aに固定される基部2a(3a)と、基部2a(3a)の図中左右側側端のいずれか一方から反内側縦フレーム材側に向けて延びる平板状の取っ手部2b(3b)と、取っ手部2b(3b)の基端から基部2a(3a)の延長方向に沿って延びる突出部2c(3c)とを有する。なお、基部2a(3a)の形状は、一例であって、矩形平板状には限定されない。
【0034】
本実施の形態では、
図2中左側にある扉10Aに設けられる取っ手部材2は、取っ手部2bが基部2aの図中右側側端に位置するように内側縦フレーム材11aに取付けられている。他方、
図2中右側にある相手側扉10Bに設けられる対向部材3は、取っ手部3bが基部3aの図中左側側端に位置するように内側縦フレーム材11aに取付けられている。すなわち、本実施の形態では、取っ手部材2と対向部材3は、
図2に示すように、扉10A,10Bを閉じた際に、取っ手部2b,3b同士が最も接近するように各扉10A,10Bに取付けられている。ただし、取っ手部2b(3b)の設けられる位置は基部2a(3a)の左右側側端には限定されず、例えば、基部2a(3a)の中央付近に設けられてもよい。
【0035】
また、
図3に示すように、基部2a(3a)の中央には取っ手部材2と対向部材3を扉10A,10Bに取付けする後述のボルト30を挿通可能な四角形の取付孔2d(3d)が形成されている。さらに、基部2a(3a)の内側縦フレーム材11a側の面には、基部2a(3a)の長手方向に沿って延びて互いに対向する一対の突起2e,2e(3e,3e)が設けられている。一対の突起2e,2e(3e,3e)の間隔は、内側縦フレーム材11aの溝12の開口幅と符合する長さに設定されている。
【0036】
また、
図2,
図3に示すように、各取っ手部2b(3b)の他方の取っ手部3b(2b)と対向しない側の面には、上下方向に沿って延びる筒状のソケット4と差込部5が設けられている。ソケット4はロック片6を保持するために取っ手部材2に設けられており、差込部5はロック片6の抜き差しによる対向部材3へのロック片6の着脱のために対向部材3に設けられている。ソケット4と差込部5は役割は異なるが、本実施の形態のロック装置1ではともに筒状とされて同一の形状として、それぞれ、取っ手部材2と対向部材3とに設けられている。
【0037】
具体的には、ソケット4と差込部5は、
図4に示すように、取っ手部2b(3b)の延長方向の長さの半分よりも基部2a(3a)側に配置されている。ただし、ソケット4と差込部5は、取っ手部2b(3b)の延長方向の真ん中や、取っ手部2b(3b)の延長方向の長さの半分よりも先端側に設けられてもよい。さらに、
図2,
図3に示すように、取っ手部2b(3b)の先端とソケット4及び差込部5との間には上下方向に長い角丸長方形の長孔2f(3f)が形成されている。
【0038】
つづいて、本実施の形態の取っ手部材2と対向部材3を内側縦フレーム材11aに取付ける方法について説明する。ここで、内側縦フレーム材11aの溝12の底部には、
図3に示すように、内側縦フレーム材11aの任意の高さ位置に形成された丸孔14が設けられている。
【0039】
まず、作業者は取っ手部2b(3b)を掴みながら、基部2a(3a)に設けられた一対の突起2e,2e(3e,3e)を内側縦フレーム材11aの溝12の開口端に嵌合させた状態で、基部2a(3a)の取付孔2d(3d)を内側縦フレーム材11aの丸孔14に対向させる。
【0040】
この際、一対の突起2e,2e(3e,3e)の間隔は内側縦フレーム材11aの溝12の開口幅と符合する長さであるため、一対の突起2e,2e(3e,3e)を内側縦フレーム材11aの溝12の開口端に嵌合すると、取っ手部材2と対向部材3が内側縦フレーム材11aの軸方向を横切る方向へ移動する動きを規制できる。つまり、一対の突起2e,2e(3e,3e)は、取っ手部材2と対向部材3が内側縦フレーム材11aの軸方向に沿って移動するのを案内するガイドとして機能する。よって、取付孔2d(3d)と丸孔14を対向させる際に、縦方向の位置合わせをするだけでよくなるため、取付孔2d(3d)と丸孔14を対向させる作業が容易となる。
【0041】
なお、本実施の形態では、一対の突起2e,2e(3e,3e)を取っ手部材2と対向部材3の内側縦フレーム材11aの軸方向移動を案内するガイドとしているが、一対の突起2e,2e(3e,3e)をガイドとするのは一例であって、一対の突起2e,2e(3e,3e)に代えて、例えば、基部2a(3a)の内側縦フレーム材11a側の面に内側縦フレーム材11aの溝12の開口幅に符合する幅の凸部を設け、当該凸部を上記ガイドとしてもよい。ただし、一対の突起2e,2e(3e,3e)は、上記凸部に比べて断面積が小さいので、一対の突起2e,2e(3e,3e)をガイドとした方が材料を削減できるので好ましい。
【0042】
戻って、
図4に示すように、取付孔2d(3d)と丸孔14を対向させた状態で、基部2a(3a)側からボルト30の螺子軸30aを挿入して反対側からナット31を締め付ける。すると、ボルト30の頭部30bとナット31とで取っ手部材2と対向部材3の基部2a(3a)が挟持されるので、取っ手部材2と対向部材3が扉10A,10Bの内側縦フレーム材11aに固定される。
【0043】
ここで、本実施の形態のボルト30は、
図3、
図4に示すように、頭部30bと螺子軸30aの間に基部2a(3a)の取付孔2d(3d)と符合する四角状の嵌合部30cを有しており、ボルト30の挿入時に嵌合部30cが取付孔2d(3d)に嵌合されるので、ボルト30の軸回りの回転が防止される。よって、ボルト30の螺子軸30aにナット31を螺合する際に、ボルト30が軸回りに回転することがない。
【0044】
なお、本実施の形態では、基部2a(3a)の取付孔2d(3d)と嵌合部30cは、それぞれ四角状に形成されているが、ボルト30の回り止めをできればよいので、取付孔2d(3d)と嵌合部30cの形状は、真円以外の形状であればよい。あるいは他の方法でボルト30の回り止めをしてもよい。なお、ボルト30は、回り止めの機構を備えていない他のネジであってもよい。
【0045】
また、
図3に示すように、本実施の形態のボルトの30の頭部30bの外周は円形に形成されている上、頭部30bにはドライバーを差し込み可能な溝が設けられていない。よって、ビニールハウスHの外側から取っ手部材2と対向部材3を取り外せないようになっている。
【0046】
また、本実施の形態では、ソケット4と差込部5が取っ手部2b(3b)の延長方向の長さの半分よりも基部2a(3a)側に配置されているので、取っ手部材2と対向部材3を扉10A,10Bの内側縦フレーム材11aに取付ける際に、ソケット4又は差込部5に邪魔されることなく取っ手部2b(3b)の先端側を掴むことができる。よって、本実施の形態では、取っ手部材2と対向部材3を扉10A,10Bの内側縦フレーム材11aへ取付ける作業が容易となる。
【0047】
次に、ロック片6について詳細に説明する。本実施の形態のロック片6は、
図2,
図3に示すように、取っ手部材2に設けられるソケット4内に軸方向移動自在及び回転自在に挿入されるロッド部6aと、ロッド部6aに対して平行に配置されるとともにロッド部6aよりも軸方向長さが短く形成されて対向部材3に設けられる差込部5内に抜き差し可能なピン部6bと、ロッド部6aとピン部6bの一端同士を連結するU字状の連結部6cとを備えて全体としてJ字状に形成されている。
【0048】
具体的には、ロッド部6aは、円柱状であって、一端側を上向きにした状態で、ソケット4内に摺動自在及び回転自在に挿入されている。この際、ロッド部6aは、支えられていないと、重力によってソケット4内を下方向へ移動するが、ロッド部6aと連結部6cの間の部分がソケット4の上端に引っ掛かるので、ロッド部6aの下方向への移動は連結部6cによって規制されて、ロック片6はソケット4に保持される。
【0049】
ソケット4は、筒状であって、上下方向に沿って設けられているので、ロック片6は、扉10A,10Bの移動方向である横方向とは一致しない上下方向へ移動可能であって、ロッド部6aの軸回りに回転できる。
【0050】
また、本実施の形態のロッド部6aの軸方向長さは、ソケット4の軸方向長さとピン部6bの軸方向長さの合計よりも長くなるように設定されている。そのため、ロッド部6aがソケット4に保持された状態では、
図2に示すように、ロッド部6aの他端がソケット4の下端から突出するようになっている。
【0051】
また、本実施の形態のピン部6bは、円柱状であって、差込部5内に挿入される際に、外周が差込部5の内周に摺接するようになっている。さらに、
図2に示すように、本実施の形態のピン部6bの軸方向長さは、ピン部6bが差込部5に差し込まれた状態で、ピン部6bの下端が差込部5の上下方向の中間より下方に配置される長さ、つまり差込部5に半分以上差し込まれる長さに設定されているため、ピン部6bは差込部5から抜けにくくなっている。ただし、ピン部6bの軸方向長さは、特に限定されず、差込部5に抜き差しできるようになっていればよい。
【0052】
また、
図2に示すように、ロッド部6aの他端には、一方のソケット4の内径よりも外径が大きいストッパ15が着脱自在に設けられている。具体的には、
図3に示すように、ロッド部6aの他端外周には螺子溝6dが形成されており、その螺子溝6dにナットで構成されるストッパ15が螺合されている。
【0053】
すると、ロック片6は、ストッパ15がソケット4の下端に当接するまでしか上方向に移動できなくなるので、ロッド部6aがソケット4から抜けてしまうのを確実に防止できる。また、この際、ロッド部6aの軸方向長さは、ソケット4の軸方向長さとピン部6bの軸方向長さの合計よりも長いため、少なくともストッパ15がソケット4の下端に当接する際には、ピン部6bが差込部5から抜けた状態となる。
【0054】
また、本実施の形態のストッパ15は、ロッド部6aの他端外周に着脱自在に設けられている。そのため、ロック片6をソケット4に組み付ける場合には、ストッパ15を外した状態のロッド部6aをソケット4に上側から挿入し、ソケット4の下端から突出するロッド部6aの他端外周に形成される螺子溝6dにストッパ15を螺合すればよい。このようにすれば、ソケット4の内径よりも外径が大きいストッパ15を有するロッド部6aを備えるロック片6をソケット4に容易に組み付けることができる。
【0055】
つづいて、扉ロック装置1による扉10A,10Bのロック作業について詳細に説明する。まず、左右の扉10A,10Bをそれぞれ内向きにスライドさせて、扉を閉じていく。この際、扉ロック装置1は、
図5に示すように、扉10A,10Bをロックしていない状態(解除状態)となっている。具体的には、解除状態の扉ロック装置1は、
図5に示すように、ロック片6のピン部6bが、取っ手部材2の取っ手部2bを挟んで差込部5の反対側(図中左側)を向いた状態となっている。このように、ピン部6bを差込部5の反対側に向けておくと、扉10A,10Bを閉じる際に、ピン部6bが差込部5に干渉するのを回避できる。
【0056】
なお、本実施の形態では、取っ手部2b(3b)の延長方向(
図5中紙面奥行方向)の長さが、ロック片6のロッド部6aとピン部6bの間の距離よりも長くなるように設定されている。そのため、ソケット4にロッド部6aと連結部6cの間の部分が引っ掛かった状態では、ロッド部6aが回転して差込部5の反対側を向いているピン部6bが差込部5側へ移動しようとしても、ピン部6bが取っ手部材2の取っ手部2bに当接するため、ピン部6bが差込部5側へ移動するのを防止できる。
【0057】
また、本実施の形態の取っ手部材2と対向部材3の取っ手部2b,3bの基端には、それぞれ、互いに接近する方向に向けて延びる突出部2c,3cが設けられている。そのため、扉10A,10Bを閉じた状態では、
図5に示すように、少なくとも各突出部2c,3cの突出長さを合計した長さの幅を有する隙間が取っ手部2b,3b間に形成される。よって、扉10A,10Bを閉じる際に、作業者が取っ手部2b,3b間に指を挟むのを防止できる。
【0058】
次に、
図6に示すように、扉10A,10Bを閉じた状態で、連結部6cを摘んでロック片6を引き上げ、ロック片6をピン部6bの先端が差込部5に対向する位置まで回転させる。
【0059】
ここで、ソケット4及び差込部5と基部2a,3aの間の
図4中で上下方向の距離は、作業者が軍手を付けた状態でロック片6の連結部6cを人差し指と親指で摘める距離、つまり、扉10A,10Bの内側縦フレーム材11aとロック片6の間に軍手を付けた人差し指が入る長さ(本実施の形態では約5mm)に設定されている。また、本実施の形態では、ロック片6の連結部6cは、U字状に形成されているため、軍手を付けた状態でも連結部6cを摘みやすくなっている。
【0060】
なお、
図2から
図6では、内側縦フレーム材11aの溝12に挿入されている扉用シートS3と扉用シートS3を内側縦フレーム材11aに固定するばね13は、理解を容易にするために省略している。
【0061】
戻って、ピン部6bの先端を差込部5に対向させた状態から、
図2に示すように、ロッド部6aを下方向に移動させてピン部6bを差込部5に差し込む。すると、ロック片6の移動方向が上下方向であるのに対し、扉10A,10Bの移動方向が左右方向であるので、ロック片6と扉10A,10Bの移動方向が一致しない。よって、扉10A,10Bが外向きにスライドして開こうとしても、ロック片6が扉10A,10Bの移動を規制するので、扉10A,10Bが開かないようになる。つまり、ピン部6bを差込部5に差し込むと、扉ロック装置1は、ロック状態となる。
【0062】
また、本実施の形態では、ロック片6の移動方向が上下方向であるため、重力によってロック片6の抜け止めが行われる。よって、ロック片6のピン部6bが意図せず差込部5から抜けてしまうのを確実に防止できる。
【0063】
さらに、ロッド部6aとピン部6bは、それぞれソケット4と差込部5に摺動自在に挿入されている。そのため、ロッド部6aとピン部6bは径方向にガタつかず、異音の発生を抑制できる。
【0064】
以上より、本実施の形態の扉ロック装置1は、扉10A,10Bを簡易的にロックすることができる。なお、図示しないが、第三者のビニールハウスH内への侵入を防止するなど防犯を目的とする場合は、長孔2f,3fにチェーンロックや南京錠を差し込んで鍵をかけることで、扉10A,10BをビニールハウスHの外側から開けられないように施錠することもできる。また、扉10A,10Bのロック状態を解除する場合は、上記ロック作業と反対の操作を行えばよい。
【0065】
前述したように、本実施の形態の扉ロック装置1は、扉10A,10BのビニールハウスHの外側を向く面に取付けられる取っ手部材2と、取っ手部材2に扉10Aの移動方向と一致しない方向を軸として軸方向へ移動可能であって軸回りに回転可能に保持されるロック片6と、扉10Aを閉じた状態でビニールハウスHの取っ手部材2と対向する位置に取付けられるとともにロック片6を抜き差し可能な差込部5を有する対向部材3とを備えている。
【0066】
この構成によると、ロック片6を差込部5から抜き差しするだけで、扉10A,10Bのロックとロック解除を行うことができるので、扉10A,10Bが風などで自然に開いてしまうのを防止するだけであれば、チェーンロックや南京錠を使う必要がなく、従来に比べてロック作業とロック解除の作業が非常に容易となる。また、ロック片6が扉10Aに取付けられた取っ手部材2に保持されているので、ロック片6を紛失する恐れがない。
【0067】
さらに、ロック片6は取っ手部材2に軸回りに回転可能に保持されているので、扉10A,10Bを閉じる際に対向部材3に干渉しない位置へロック片6を避けておくことができる。
【0068】
なお、本実施の形態では、扉10A,10Bが左右方向に移動する引き戸となっており、本実施の形態のロック片6は、扉10A,10Bの移動方向である左右方向と一致しない方向である上下方向を軸として軸方向へ移動可能であって軸回りに回転可能に取っ手部材2に保持されている。つまり、本実施の形態では、ロック片6の移動方向は、上下方向となっている。
【0069】
ただし、ロック片6の移動方向は、扉10A,10Bの移動方向と一致しない方向であれば、上下方向には限定されない。例えば、扉10A,10Bがビニールハウスの内側又は外側に向けて開く開き戸である場合など、扉10A,10Bの移動方向が左右方向以外の場合には、ロック片6の移動方向を左右方向としてもよい。この場合でも、ロック片6の移動方向が、扉10A,10Bの移動方向と一致しないので、扉10A,10Bを閉じた状態でロックできる。
【0070】
つまり、扉ロック装置1は、ロック片6の移動方向を、扉10A,10Bの移動方向と一致しない方向に設定すれば、扉10A,10Bを閉じた状態でロックできる。よって、扉ロック装置1は、上下、左右、前後のいずれの方向に移動する扉であっても、閉じた状態でロックできる。
【0071】
また、ロック片6の軸方向が本実施の形態の扉ロック装置1のように扉10A,10Bの移動方向に直交する方向であると、ロック時に扉10A,10Bに開方向への力が加わってもロック片6が差込部5から抜け出る方向へ分力が作用しないので有利となる。
【0072】
なお、本実施の形態では、ビニールハウスHの開口部Oは出入り口であるが、開口部Oは出入り口には限られず、例えば換気用の開口であってもよい。
【0073】
また、本実施の形態の扉ロック装置1では、取っ手部材2は、筒状のソケット4を有し、ロック片6は、ソケット4内に軸方向移動自在及び回転自在に挿入されるロッド部6aと、ロッド部6aに対して平行に配置され差込部5に抜き差し可能なピン部6bと、ロッド部6aとピン部6bの一端同士を連結する連結部6cとを有し、ロッド部6aの軸方向長さはピン部6bの軸方向長さよりも長くなっている。
【0074】
この構成によると、ロッド部6aの他端側への移動を連結部6cによって規制できるので、ロック片6がロッド部6aの他端側から抜けるのを防止できる。
【0075】
また、本実施の形態の扉ロック装置1では、ロッド部6aの軸方向長さはソケット4とピン部6bの軸方向長さの合計よりも長くなっており、ロッド部6aの他端にはソケット4の端部に当接可能なストッパ15が着脱自在に設けられている。
【0076】
この構成によると、ロッド部6aがソケット4から抜けてしまうのをストッパ15で防止できるので、ロック片6の紛失をより確実に防止できる。また、ストッパ15はロッド部6aの他端に着脱自在に設けられているため、ロッド部6aをソケット4内に挿通してからロッド部6aの他端にストッパ15を取付ければ、ストッパ15を有するロッド部6aを備えるロック片6を一方のソケット4に容易に組み付けることができる。
【0077】
なお、本実施の形態のストッパ15は、ナットで構成されているが、一例であって、ロッド部6aの他端に着脱自在に設けられていれば、ナットには限定されない。また、ストッパ15は省略されてもよい。
【0078】
また、本実施の形態の扉ロック装置1では、連結部6cがU字状であって、ロック片6がJ字状となっている。この構成によると、作業者が軍手を付けた状態であっても、連結部6cを摘みやすくなるので、扉ロック装置1のロック操作及びロック解除の操作を容易に行える。
【0079】
ただし、連結部6cは、ロッド部6aとピン部6bの一端同士を連結する限りにおいて、形状は特には限定されず、例えば、連結部6cを直線状として、ロック片6を全体としてコ字状に形成してもよい。なお、連結部6cが指で摘みにくい形状となる場合には、作業者はロッド部6aの他端側を摘んでロック片6を操作すればよい。
【0080】
また、本実施の形態の扉ロック装置1では、ソケット4は上下方向に沿って延びており、ロック片6は差込部5に上側から抜き差しされている。この構成によると、重力によりロック片6の抜け止めがされるので、ロック片6が意図せず差込部5から抜けてしまうのをより確実に防止できる。
【0081】
また、本実施の形態の扉ロック装置1では、対向部材3は、ロック片6を抜き差し可能な筒状の差込部5を有して、取っ手部材2と同一の形状とされている。この構成によると、取っ手部材2と対向部材3を別々に製造する必要がないため、扉ロック装置1の製造コストを低減できる。
【0082】
また、本実施の形態の扉ロック装置1では、取っ手部材2と対向部材3は、それぞれ扉10A,10Bに固定される基部2a(3a)と基部2a(3a)から反扉側に向けて延びる平板状の取っ手部2b(3b)とを有し、ソケット4と差込部5は、それぞれ取っ手部2b(3b)の延長方向の長さの半分よりも基部2a(3a)側に配置されている。
【0083】
この構成によると、取っ手部材2と対向部材3を扉10A,10Bに取付ける際に、ソケット4又は差込部5に邪魔されることなく取っ手部2b(3b)の先端側を掴むことができるので、取っ手部材2と対向部材3を扉10A,10Bへ取付ける作業が容易となる。
【0084】
また、本実施の形態の扉ロック装置1では、ピン部6bは、差込部5の少なくとも半分まで差し込み可能な軸方向長さに設定されている。この構成によると、ピン部6bの軸方向長さが差込部5の半分以下までしか差し込みできない長さに設定される場合に比べて、ピン部6bが差込部5から抜けにくくなる。よって、扉10A,10Bのロックが意図せず解除されてしまうのをより確実に防止できる。ただし、ピン部6bの軸方向長さは、特に限定されず、差込部5に抜き差しできる長さがあればよい。
【0085】
また、本実施の形態の扉ロック装置1では、対向部材3は、扉10Aと対となって開口部Oを扉10Aと共に開閉可能な相手側扉10Bに設けられている。この構成によると、両開きの扉10A,10Bをロックすることができる。また、取っ手部材2と対向部材3が、いずれも扉10A,10Bに取付けられるため、取っ手部材2と対向部材3を同一の形状としやすくなる。
【0086】
なお、本実施の形態では、取っ手部材2は、ビニールハウスHを妻側から見て。左側の扉10Aに取付けられているが、取っ手部材2を左右どちらの扉に取付けるかは作業者の扉ロック装置1の操作のしやすさなどを鑑みて任意に決定されればよい。
【0087】
つづいて、第二の実施の形態の扉ロック装置1Aについて詳細に説明する。第二の実施の形態の扉ロック装置1Aは、第一の実施の形態の一対の扉10A,10Bの代わりに左右方向に移動して開口部Oを開閉する片開きの扉10Cを閉じた状態でロックするために利用される。第二の実施の形態の扉ロック装置1Aは、
図7に示すように、第一の実施の形態の扉ロック装置1で対向部材3を相手側扉10Bに設けたのに対し、対向部材40を扉10Cに対向する柱体50に設けた点で異なる。
【0088】
以下、第二の実施の形態の扉ロック装置1Aが第一の実施の形態の扉ロック装置1と異なる部分について詳細に説明し、説明の重複を避けるため、同じ部材については同様の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0089】
本実施の形態の柱体50は、地面から上下方向に起立して妻側のアーチパイプ20を下側から支持するとともに、開口部Oの縁の一辺を構成する鋼材である。具体的には、柱体50は、
図8に示すように、ビニールハウスHの内側を向く面である背面50aと、背面50aの開口部O側端(図中左端)から延びて開口部O側を向く面である内側面50bと、背面50aの開口部O側端(図中右端)から延びて反開口部側を向く面である外側面50cと、内側面50bと外側面50cの反背面側端を接続するとともにビニールハウスHの外側を向く面である正面50dとを備える。そして、柱体50の正面50dには、
図8に示すように、開口幅が底部の幅よりも狭い溝51が柱体50の軸方向に沿って形成されている。
【0090】
また、本実施の形態の扉10Cの構造は、第一の実施の形態の扉10A,10Bと同じであるため、詳細な説明を省略するが、扉10Cは、
図8に示すように、柱体50に対して奥行方向でビニールハウスHの内側にずれた位置に配置されている。
【0091】
本実施の形態の対向部材40は、
図7,
図8に示すように、差込部43を有する対向部材本体41と、対向部材本体41とともに柱体50を挟持する挟持片42とを備える。
【0092】
詳細には、対向部材本体41は、
図7,
図8に示すように、柱体50の背面50aに沿って延びる板状の背面側板部41aと、背面側板部41aの開口部O側端である一端(図中左端)から柱体50の内側面50bに対向するように延びる内側板部41bと、内側板部41bの先端から延びて柱体50の溝51の開口部O側の開口端に引っ掛けられるフック部41cと、背面側板部41aの反開口部側端である他端(図中右端)から柱体50の外側面50cに対向しつつ柱体50から離間する方向に向けて傾斜しながら柱体50の奥行方向の幅(
図8中上下方向の幅)の中間付近まで延びる傾斜板部41dと、傾斜板部41dの端部から反柱体側に向けて延びるプレート部41eとを備える。そして、本実施の形態では、内側板部41bのフック部41c側である先端側を反柱体側に向けて膨らむように折り曲げることで、内側板部41bに断面コ字状の差込部43を設けている。
【0093】
このように、差込部43は曲げ加工によって形成されており、切断や切削の加工を行わないため、差込部43にバリが生じない。よって、対向部材40の製造時にバリを除去する工程を省くことができる。
【0094】
他方、挟持片42は、
図7,
図8に示すように、柱体50の溝51の反開口部側の開口端に引っ掛けられるフック部42aと、対向部材本体41のプレート部41eと対向するプレート部42bと、フック部42aとプレート部42bを接続する接続板部42cとを備える。
【0095】
また、各プレート部41e,42bには、それぞれ、各フック部41c,42aを柱体50の溝51の開口端に引っ掛けた状態で互いに対向する孔41f,42dが形成されている。
【0096】
そして、対向部材40は、各孔41f,42dにボルト44を挿入し、ボルト44の螺子軸44aにナット45を螺合して締め付けて、柱体50を対向部材本体41と挟持片42とで挟持することで、柱体50に取付けられる。
【0097】
また、本実施の形態では、
図7に示すように、挟持片42に設けられた孔42dは、四角状に形成されている。そして、ボルト44は、頭部44bと螺子軸44aの間に挟持片42の孔42dと符合する四角状の嵌合部44cを有しており、ボルト44の挿入時に嵌合部44cが孔44eに嵌合されるので、ボルト44の軸回りの回転が防止される。よって、ボルト44の螺子軸44aにナット45を螺合する際に、ボルト44が軸回りに回転することがない。ただし、上記回り止めの機構は省略されてもよく、ボルト44は嵌合部44cを備えていない他のネジであってもよい。
【0098】
次に、本実施の形態の取っ手部材2は、
図8に示すように、取っ手部2bが基部2aの反柱体側である図中左側側端に位置するように扉10Cの柱体50側の縦フレーム材11aに取付けられている。また、ロック片6を保持するソケット4は、取っ手部2bの柱体50側の面に設けられている。
【0099】
なお、取っ手部材2は、取っ手部2bが基部2aの柱体50側である
図8中右側側端に位置するように扉10Cの縦フレーム材11aに取付けられてもよい。ただし、本実施の形態のように、取っ手部材2を、取っ手部2bが基部2aの図中左側側端に位置するように扉10Cの縦フレーム材11aに取付けた場合、
図8に示すように、扉10Cを閉じた際に、基部2aが柱体50に対して奥行方向で前後に重なるので、扉10Cと柱体50の間に隙間が生じない。
【0100】
つづいて、第二の実施の形態の扉ロック装置1Aによる片開きの扉10Cのロック作業について詳細に説明する。まず、扉10Cを、ソケット4が差込部43に対向するまで、閉方向(
図7,
図8中右方向)にスライドさせる。この際、図示しないが、ロック片6のピン部6bを、取っ手部2bを挟んで対向部材40の反対側に配置しておき、扉10Cを閉じる際にピン部6bが対向部材40に干渉しないようにしておく。
【0101】
次に、ソケット4が差込部43に対向するまで扉10Cを閉じた状態で、ロック片6を引き上げてから、対向部材40側に向けて回転させて、ピン部6bを差込部43に差し込む。
【0102】
すると、ロック片6の移動方向が上下方向であるのに対し、扉10Cの移動方向が左右方向であるので、ロック片6と扉10Cの移動方向が一致しない。よって、扉10Cが開方向(
図7,
図8中左方向)にスライドして開こうとしても、ロック片6が扉10Cの移動を規制するので、扉10Cが開かないようになる。つまり、ピン部6bを差込部43に差し込むと、扉ロック装置1Aは、ロック状態となる。
【0103】
なお、本実施の形態の扉10Cは引き戸であったが、扉10Cは開き戸であってもよい。扉10Cが開き戸であっても、ロック片6の移動方向が扉10Cの移動方向に一致しないので、扉10Cを閉じた状態でロックできる。
【0104】
以上のように、第二の実施の形態の扉ロック装置1Aでは、対向部材40は、扉10Cが開口部Oを閉じた際に扉10Cに対向する柱体50に設けられている。この構成によると、ビニールハウスHの扉10Cが片開きの場合にも、扉10Cをロックすることができる。
【0105】
また、上述した第二の実施の形態の対向部材40の構成は、一例であって、差込部43を有して柱体50に取付け可能であれば、特に限定されない。例えば、
図9,
図10に示す対向部材40Aのように、差込部43Aを、内側板部41bの先端側の一部を内側板部41bの延長方向に沿って切り起して形成される切り起し片41gと、切り起し片41gを貫通する差込孔41hとで構成し、差込孔41hにロック片6を抜き差しするようにしてもよい。
【0106】
また、柱体50Aが円筒状の場合には、対向部材40Bは、例えば、
図11,
図12に示すように、柱体50Aの外周に沿って湾曲する一対の抱持片40Ba,40Baと、各抱持片40Ba,40Baの一端同士を連結する断面U字状の差込部40Bbと、各抱持片40Ba,40Baの他端からそれぞれ突出するとともに互いに対向する孔40Bdを有するプレート片40Bcとを備えるものとしてもよい。
【0107】
この構成によると、一対のプレート片40Bc,40Bc間の隙間を押し広げて、当該隙間を通じて柱体50Aを一対の抱持片40Ba,40Ba間に挿入して、抱持片40Ba,40Baで柱体50Aを抱持した状態で、各プレート片40Bc,40Bcの孔40Bdにボルト70を挿入し、反対側からナット71で締め付けることで、対向部材40Bを円筒状の柱体50Aに取付けできる。さらに、本実施の形態の対向部材40Bでは、差込部40Bbにロック片6を抜き差しできる。
【0108】
また、柱体50Bが四角柱状の場合には、対向部材40Cは、例えば、
図13に示すように、柱体50Bの外周に当接し互いに対向するとともに孔40Cbを有する左右一対の固定板部40Ca,40Caと、一対の固定板部40Ca,40Caの互いに対向する端部同士を接続する断面U字状の差込部40Ccとを備えるものとしてもよい。
【0109】
この構成によると、柱体50Bにおける開口部O側を向く面に一対の固定板部40Ca,40Caを当接させた状態で、各固定板部40Ca,40Caの孔40Cbを介してネジ80を柱体50Bにねじ込めば、対向部材40Cを四角柱状の柱体50Bに取付けできる。さらに、本実施の形態の対向部材40Cでは、差込部40Ccにロック片6を抜き差しできる。
【0110】
なお、
図7から
図10では、扉10Cの縦フレーム材11aの溝12に挿入されている扉用シートS3と扉用シートS3を縦フレーム材11aに固定するばね13は、理解を容易にするために省略している。
【0111】
以上、本発明の好ましい実施の形態を詳細に説明したが、特許請求の範囲から逸脱なく改造、変形及び変更ができるのは当然である。
【符号の説明】
【0112】
1,1A・・・扉ロック装置、2・・・取っ手部材、2a・・・基部、2b・・・取っ手部、3,40,40A,40B,40C・・・対向部材、3a・・・基部、3b・・・取っ手部、4・・・ソケット、5,43,43A,40Bb,40Cc・・・差込部、6・・・ロック片、6a・・・ロッド部、6b・・・ピン部、6c・・・連結部、10A,10C・・・扉、10B・・・相手側扉、15・・・ストッパ、50,50A,50B・・・柱体、H・・・ビニールハウス、O・・・開口部