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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022083688
(43)【公開日】2022-06-06
(54)【発明の名称】賃料計算システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/16 20120101AFI20220530BHJP
【FI】
G06Q50/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020195164
(22)【出願日】2020-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】307018209
【氏名又は名称】ハウスコム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】川西 直人
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC27
(57)【要約】
【課題】入居希望者の費用に関するニーズを満たす条件を提示する。
【解決手段】希望額入力部は、月額賃料に係る希望額及び初期費用に係る希望額の少なくとも一方の入力を受け付ける。提示部は、入力された希望額に基づいて、一の不動産物件に係る月額賃料候補及び初期費用候補の何れか一方、又は希望額以下の条件での貸借が可能な不動産物件を提示する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
月額賃料に係る希望額及び初期費用に係る希望額の少なくとも一方の入力を受け付ける希望額入力部と、
入力された前記希望額に基づいて、一の不動産物件に係る月額賃料候補及び初期費用候補の何れか一方、又は前記希望額以下の条件での貸借が可能な不動産物件を提示する提示部と
を備える賃料計算システム。
【請求項2】
複数の不動産物件に係る月額賃料及び初期費用を記憶する記憶部を備え、
前記提示部は、前記複数の不動産物件の中の1つの不動産物件に係る月額賃料候補及び初期費用候補の何れか一方、又は前記複数の不動産物件のうち前記希望額での貸借が可能な不動産物件を提示する
請求項1に記載の賃料計算システム。
【請求項3】
前記複数の不動産物件の中から1つの不動産物件の選択を受け付ける選択部と、
選択された前記不動産物件に係る月額賃料及び初期費用に基づいて、月額賃料に係る希望額が入力された場合に初期費用候補を算出し、初期費用に係る希望額が入力された場合に月額賃料候補を算出する計算部と
を備える請求項2に記載の賃料計算システム。
【請求項4】
月額賃料に係る希望額及び初期費用に係る希望額が入力された場合に、前記記憶部が記憶する月額賃料及び初期費用に基づいて、前記複数の不動産物件の中から前記希望額での貸借が可能な不動産物件を検索する検索部
を備える請求項2に記載の賃料計算システム。
【請求項5】
前記記憶部は、前記複数の不動産物件に係る転貸借の可否を示す転貸借フラグを記憶し、
前記提示部は、前記転貸借フラグが転貸借可能を示す不動産物件に係る月額賃料候補及び初期費用候補の何れか一方、又は前記転貸借フラグが転貸借可能を示し前記希望額以下の条件での貸借が可能な不動産物件並びに前記月額賃料及び前記初期費用が前記希望額以下の不動産物件を提示する
請求項2から請求項4の何れか1項に記載の賃料計算システム。
【請求項6】
提示された前記不動産物件の貸主に対して、前記不動産物件の賃貸借契約に係る契約書を発行する契約発行部を備える
請求項1から請求項5の何れか1項に記載の賃料計算システム。
【請求項7】
前記契約発行部は、前記不動産物件の貸主に、前記貸主と業者との賃貸借契約に係る契約書を発行し、利用者に、前記業者と前記利用者との転貸借契約の契約書とを発行する
請求項6に記載の賃料計算システム。
【請求項8】
一の利用者について、月額賃料別に保証者による賃貸借保証の可否を示す保証データを取得する保証データ取得部と、
前記月額賃料に係る希望額又は前記月額賃料候補が前記保証データにおいて賃貸借保証が可能とされる月額賃料以下であるか否かを判定する判定部を備える
請求項1から請求項7の何れか1項に記載の賃料計算システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、賃料計算システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、入居時に必要となる初期費用を抑えるために、初期費用を契約月数で除算した額を月額賃料に加算することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-140327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
入居希望者は、入居の費用について、必ずしも初期費用を抑えたいとは限らない。例えば、初期費用として準備できる金額が決まっている場合や、月額賃料を安価に抑えたい場合には、初期費用を抑えることは必ずしも入居希望者のニーズにかなわない。
本発明の目的は、入居希望者の費用に関するニーズに柔軟に対応することができる賃料計算システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、賃料計算システムは、月額賃料に係る希望額及び初期費用に係る希望額の少なくとも一方の入力を受け付ける希望額入力部と、入力された前記希望額に基づいて、一の不動産物件に係る月額賃料候補及び初期費用候補の何れか一方、又は前記希望額以下の条件での貸借が可能な不動産物件を提示する提示部とを備える。
【発明の効果】
【0006】
上記態様によれば、賃料計算システムは、入居希望者の費用に関するニーズを満たす条件を提示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施形態に係る賃料計算システムの構成を示す概略ブロック図である。
図2】第1の実施形態に係る賃料計算システムの利用者登録動作を示すフローチャートである。
図3】第1の実施形態に係る賃料計算システムの物件検索動作を示すフローチャートである。
図4】第1の実施形態に係る詳細ページの例を示す図である。
図5】第2の実施形態に係る賃料計算システムの物件検索動作を示すフローチャートである。
図6】少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
〈第1の実施形態〉
《賃料計算システム1の構成》
以下、図面を参照しながら実施形態について詳しく説明する。
図1は、第1の実施形態に係る賃料計算システム1の構成を示す概略ブロック図である。第1の実施形態に係る賃料計算システム1は、業者が取り扱う複数の不動産物件から利用者が選択した物件について、利用者が希望する条件を満たすように賃料の計算を行う。利用者は、例えばインターネットを経由して賃料計算システム1にアクセスする。
【0009】
賃料計算システム1は、利用者登録部11、利用者記憶部12、保証リクエスト部13、登録通知部14、認証部15、物件記憶部16、物件提示部17、選択部18、希望額入力部19、計算部20、賃料提示部21、契約発行部22を備える。
【0010】
利用者登録部11は、利用者から賃料計算システム1の利用登録を受け付ける。利用者登録部11は、利用者からメールアドレス、ログインパスワード、氏名、性別、配偶者の有無、生年月日、住所、電話番号、及び勤務先情報の入力を受け付ける。利用者登録部11は、入力されたデータを利用者記憶部12に記録する。利用者登録部11は、さらに利用者から収入を証明する書類のスキャンデータなどの入力を受け付けてもよい。
【0011】
利用者記憶部12は、利用者に関する情報を記憶する。具体的には、利用者記憶部12は、メールアドレス、ログインパスワード、氏名、性別、配偶者の有無、生年月日、住所、電話番号、勤務先情報、保証データ及び本登録フラグを関連付けて記憶する。保証データは、保証者である賃貸保証会社による賃貸借保証の可否を示すデータである。保証データは複数の月額賃料別に記憶される。例えば、利用者記憶部12は、ある利用者に関連付けて、月額賃料が5万円の場合における賃貸借保証の可否を示す保証データ、月額賃料が10万円の場合における賃貸借保証の可否を示す保証データ、月額賃料が15万円の場合における賃貸借保証の可否を示す保証データを記憶している。本登録フラグは、利用者に関するデータが本登録であるか否かを示すフラグである。データが仮登録の場合、本登録フラグはFalseを示し、データが本登録の場合、本登録フラグはTrueを示す。本登録フラグは、賃貸保証会社による利用者の賃貸借保証の審査が完了するまで、Falseを示す。
【0012】
保証リクエスト部13は、利用者登録部11に入力された利用者についての賃貸借保証の審査を要求する保証リクエストを、賃貸保証会社に送信する。保証リクエスト部13は、一の利用者について、異なる月額賃料に係る保証リクエストを生成する。保証リクエスト部13は、利用者の収入額に基づいて保証リクエストに係る月額賃料を決定してよい。審査リクエストには、利用者登録部11に入力された情報が含まれる。保証リクエスト部13は、賃貸保証会社から審査データを受信すると、当該審査データを利用者記憶部12に記録する。
【0013】
登録通知部14は、利用者記憶部12が記憶する利用者データが本登録になった場合、当該利用者データに係るメールアドレス宛に登録通知を送信する。
【0014】
認証部15は、利用者からメールアドレス及びログインパスワードの入力を受け付け、利用者記憶部12が記憶する利用者データに基づいて利用者の認証を行う。
【0015】
物件記憶部16は、業者が取り扱う複数の不動産物件の情報を記憶する。具体的には、物件記憶部16は、物件のID、名称、所在地、初期費用、月額賃料、転貸借フラグ、貸主の氏名及び貸主のメールアドレスを記憶する。転貸借フラグは、貸主が当該物件の転貸借を許可しているか否かを示すフラグである。転貸借が許可されている場合、転貸借フラグはTrueを示し、転貸借が許可されていない場合、転貸借フラグはFalseを示す。業者は、物件記憶部16に物件の情報を登録する際に、予め貸主に転貸借の可否を確認しておく。具体的には、業者が賃借人となる場合に、当該業者が転貸人とし、利用者を転借人とする転貸借契約を許可するか否かを、業者は予め確認しておく。
【0016】
物件提示部17は、物件記憶部16が記憶する物件の一覧を提示する。物件提示部17は、利用者から物件の検索条件の入力を受け付け、検索条件を満たす物件のみを提示してもよい。また物件提示部17は、利用者からソート条件の入力を受け付け、ソート条件に従って物件を並べ替えて提示してもよい。
【0017】
選択部18は、利用者から、物件提示部17が提示した物件の一覧に含まれる1つの物件の選択を受け付ける。
【0018】
希望額入力部19は、利用者から初期費用の希望額又は月額賃料の希望額の入力を受け付ける。
【0019】
計算部20は、選択部18が選択を受け付けた物件に係る初期費用及び月額賃料に基づいて、初期費用と月額賃料の複数の組み合わせを計算する。例えば、計算部20は、初期費用がゼロとなる場合の初期費用と月額賃料の組み合わせ、及び月額賃料が二分の一になる場合の初期費用と月額賃料の組み合わせを計算する。
計算部20は、選択部18が選択を受け付けた物件に係る初期費用及び月額賃料と、希望額入力部19に入力された希望額とに基づいて、初期費用候補又は月額賃料候補を計算する。具体的には、希望額入力部19に初期費用の希望額が入力された場合、計算部20は、月額賃料候補を算出する。他方、希望額入力部19に月額賃料の希望額が入力された場合、計算部20は、初期費用候補を算出する。
【0020】
賃料提示部21は、計算部20が算出した初期費用候補又は月額賃料候補を含む物件の詳細ページを提示する。
【0021】
契約発行部22は、利用者から契約の意思表示の入力を受け付け、賃貸借契約に係る契約書を発行する。契約発行部22は、契約の意思表示を示した費用が、物件記憶部16が記憶する初期費用及び月額賃料の組み合わせと一致する場合、物件の貸主と利用者との賃貸借契約の契約書を発行する。他方、契約発行部22は、契約の意思表示を示した費用が、物件記憶部16が記憶する初期費用及び月額賃料の組み合わせと一致しない場合、物件の貸主と業者との賃貸借契約の契約書、及び業者と利用者との転貸借契約の契約書を発行する。契約発行部22が発行する契約書は、書面の契約書であってもよいし、電子契約書であってもよい。契約発行部22は、入居審査のために貸主のメールアドレスに利用者データを送信してもよい。
【0022】
《利用者登録時の動作》
第1の実施形態に係る賃料計算システム1による賃料計算を行うために、利用者は予め賃料計算システム1に利用者情報を登録する。すなわち、賃料計算システム1は利用者のアカウントを生成する。利用者がPCやスマートホンなどの利用者端末を用いて賃料計算システム1へアクセスすると、賃料計算システム1は、新規登録ボタンとログインボタンとを含むトップページを表示する。利用者は、賃料計算システム1のアカウントを有していない場合、新規登録ボタンを押下する。
【0023】
図2は、第1の実施形態に係る賃料計算システム1の利用者登録動作を示すフローチャートである。賃料計算システム1が新規登録ボタンの押下を受け付けると、利用者登録部11は、利用者の氏名、性別、メールアドレス、ログインパスワード、配偶者の有無、生年月日、住所、電話番号、及び勤務先情報の入力フォーム並びに登録ボタンを含む入力ページを生成し、利用者端末に送信する(ステップS1)。入力フォームには、収入を証明する書類のスキャンデータのアップロードフォームが含まれていてもよい。利用者が入力フォームに必要な情報を入力し、登録ボタンを押下すると、利用者登録部11は、利用者端末から利用者データを受信する(ステップS2)。利用者登録部11は、受信した利用者データを利用者記憶部12に記録する(ステップS3)。このとき利用者登録部11は、当該利用者データに関連付けられた本登録フラグをFalseに設定する。
【0024】
保証リクエスト部13は、利用者から入力された勤務先情報が示す収入額に基づいて、保証の可否を求める複数の月額賃料を生成し、各月額賃料に係る保証リクエストを賃貸保証会社に送信する(ステップS4)。例えば、保証リクエスト部13は、利用者の月収の1/2、1/3、1/4の月額賃料それぞれについての保証リクエストを送信する。賃貸保証会社は、保証リクエストに基づいて、保証の可否を示す保証データを生成し、保証データを賃料計算システム1に送信する。保証リクエスト部13は、賃貸保証会社から保証データを受信すると(ステップS5)、保証データを利用者登録部11に記録する(ステップS6)。このとき利用者登録部11は、当該利用者データに関連付けられた本登録フラグをTrueに設定する。登録通知部14は、当該利用者データに含まれるメールアドレスに、アカウントの登録が完了した旨の通知を送信する(ステップS7)。
【0025】
《物件検索時の動作》
図3は、第1の実施形態に係る賃料計算システム1の物件検索動作を示すフローチャートである。アカウントを登録した利用者は、賃料計算システム1が提示するトップページのログインボタンを押下する。賃料計算システム1の認証部15は、メールアドレスとログインパスワードの入力フォームと決定ボタンとを含むログインページを生成し、利用者端末に送信する(ステップS21)。利用者が入力フォームに必要な情報を入力し、決定ボタンを押下すると、認証部15は、利用者端末からログインデータを受信する(ステップS22)。認証部15は、受信したログインデータに基づいて、利用者記憶部12が記憶するメールアドレス及びログインパスワードと一致するか否かを判定する(ステップS23)。
【0026】
メールアドレス又はログインパスワードが利用者記憶部12が記憶する利用者データと一致しない場合(ステップS23:NO)、認証部15は、ステップS21に戻り、ログインページを再表示する。このとき、認証部15は、メールアドレス及びログインパスワードの少なくとも一方が誤っている旨を表示する。メールアドレス及びログインパスワードが利用者記憶部12が記憶する利用者データと一致する場合(ステップS23:YES)、認証部15は、当該利用者データに関連付けられた本登録フラグがTrueを示すか否かを判定する(ステップS24)。本登録フラグがFalseを示す場合(ステップS24:NO)、認証部15は、ステップS21に戻り、ログインページを再表示する。このとき、認証部15は、登録処理が完了していない旨を表示する。
【0027】
本登録フラグがTrueを示す場合(ステップS24:YES)、物件提示部17は、物件の条件の入力を受け付ける条件入力ページを生成し、利用者端末に送信する(ステップS25)。物件の条件の例としては、物件の地域、ペット飼育の可否、築年数、駐車場の有無、オートロックの有無などが挙げられる。利用者が条件入力ページにおいて物件の条件を指定すると、物件提示部17は、物件記憶部16から条件に合致する物件データを読み出し、物件一覧ページを生成して利用者端末に送信する(ステップS26)。物件一覧ページには、物件ごとに当該物件の詳細ページへのリンクが張られている。物件一覧ページには、例えば、各物件の外観、所在地及び月額賃料が表示される。
【0028】
利用者が任意の物件のリンクを選択すると、選択部18は、ページリクエストに含まれるクエリに基づいて、選択された物件を特定する(ステップS27)。選択部18は、物件記憶部16を参照し、選択された物件の転貸借フラグがTrueを示すか否かを判定する(ステップS28)。転貸借フラグがFalseである場合(ステップS28:NO)、賃料提示部21は、利用者記憶部12が記憶する保証データを参照し、当該物件に係る月額賃料が、保証データが保証可能であることを示す月額賃料以下であるか否かを判定する(ステップS29)。物件に係る月額賃料が、保証可能な月額賃料以下である場合(ステップS29:YES)、賃料提示部21は、物件記憶部16が記憶する初期費用及び月額賃料の表示と、入居希望ボタンとを含む詳細ページを生成し、利用者端末に送信する(ステップS30)。他方、物件に係る月額賃料が、保証可能な月額賃料より高い場合(ステップS29:NO)、賃料提示部21は、月額賃料が高いために入居できない旨を示すページを利用者端末に送信し(ステップS31)、処理をステップS26に戻す。
【0029】
転貸借フラグがTrueである場合(ステップS28:YES)、計算部20は、物件記憶部16が記憶する初期費用及び月額賃料に基づいて、初期費用がゼロとなる場合の初期費用と月額賃料の組み合わせ、及び月額賃料が二分の一になる場合の初期費用と月額賃料の組み合わせを計算する(ステップS32)。計算部20は、例えば以下の式(1)に基づいて初期費用がゼロとなる場合の初期費用候補C0´と月額賃料候補C1´の組み合わせを計算する。また計算部20は、例えば以下の式(2)に基づいて月額賃料が二分の一になる場合の初期費用候補C0´と月額賃料候補C1´の組み合わせを計算する。
【0030】
【数1】
・・・(1)
【数2】
・・・(2)
【0031】
C0は、物件記憶部16が記憶する初期費用を示す。C1は、物件記憶部16が記憶する月額賃料を示す。fは、業者の手数料を示す。手数料fは、例えば以下の式(3)によって求める。すなわち、初期費用候補C1´が初期費用C1より大きい場合、手数料fは初期費用候補C1´と初期費用C1の差に所定のゲインgを乗算した値であってよい。ゲインgは、0より大きい数値である。ゲインgは、1以下であることが好ましい。すなわち、初期費用候補C1´が初期費用C1以下である場合、手数料fは1000円である。なお、他の実施形態に係る手数料は、式(3)によらずに求められてもよい。例えば手数料は条件によらず定額であってよいし、賃料の総額によって求められてもよい。
【0032】
【数3】
・・・(3)
【0033】
賃料提示部21は、利用者記憶部12が記憶する保証データを参照し、物件記憶部16が記憶する月額賃料C1、及びステップS32で算出した月額賃料候補C1´のそれぞれについて、保証データが保証可能であることを示す月額賃料以下であるか否かを判定する(ステップS33)。賃料提示部21は、物件記憶部16が記憶する初期費用C0及び月額賃料C1の表示と、ステップS32で算出した初期費用候補C0´及び月額賃料候補C1´の表示と、希望賃料計算フォームと、入居希望ボタンとを含む詳細ページを生成し、利用者端末に送信する(ステップS34)。図4は、第1の実施形態に係る詳細ページの例を示す図である。希望賃料計算フォームには、初期費用又は月額賃料を選択するラジオボタンと、希望額を入力するテキストボックスとが含まれる。入居希望ボタンは、初期費用C0及び月額賃料C1の組み合わせ、並びに複数の初期費用候補C0´及び月額賃料候補C1´の組み合わせのそれぞれに対応して設けられる。なお、入居希望ボタンは、保証可能な月額賃料以下の月額賃料C1又は月額賃料候補C1´に係るものだけが有効(押下可能)に設定され、保証可能な月額賃料より高い月額賃料C1又は月額賃料候補C1´に係るものは、無効(押下不可)に設定される。
【0034】
賃料提示部21は、利用者が希望賃料計算フォームに値を入力したか否かを判定する(ステップS35)。利用者が希望賃料計算フォームに値を入力した場合(ステップS35:YES)、計算部20は、入力された条件に従って初期費用候補C0´と月額賃料候補C1´を計算する(ステップS36)。具体的には、ラジオボタンにおいて初期費用が選択された場合、計算部20は、以下の式(4)に基づいて初期費用候補C0´と月額賃料候補C1´の組み合わせを計算する。他方、ラジオボタンにおいて月額賃料が選択された場合、計算部20は、以下の式(5)に基づいて初期費用候補C0´と月額賃料候補C1´の組み合わせを計算する。
【0035】
【数4】
・・・(4)
【数5】
・・・(5)
【0036】
Ciは、希望賃料計算フォームのテキストボックスに入力された希望額である。
【0037】
賃料提示部21は、処理をステップS33に戻し、計算された初期費用候補C0´と月額賃料候補C1´を含む詳細ページを生成する。
【0038】
次に、賃料提示部21は、入居希望ボタンが押下された否かを判定する(ステップS37)。入居希望ボタンが押下されずに詳細ページが閉じられた場合(ステップS37:NO)、賃料計算システム1は処理をステップS26に戻す。他方、入居希望ボタンが押下された場合(ステップS37:YES)、契約発行部22は、物件記憶部16が記憶する初期費用C0及び月額賃料C1に係る入居希望ボタンが押下されたか否かを判定する(ステップS38)。すなわち、契約発行部22は、物件の貸主が提示した賃料に係るボタンが押下されたか否かを判定する。
【0039】
物件記憶部16が記憶する初期費用C0及び月額賃料C1に係る入居希望ボタンが押下された場合(ステップS38:YES)、契約発行部22は、物件の貸主と利用者との賃貸借契約の契約書の入力フォームを含む契約ページを生成し、利用者端末に送信する(ステップS39)。
【0040】
他方、初期費用候補C0´と月額賃料候補C1´に係る入居希望ボタンが押下された場合(ステップS38:NO)、契約発行部22は、物件記憶部16が記憶する当該物件の貸主と業者との賃貸借契約の電子契約書を生成し、貸主のメールアドレスに送信する(ステップS40)。また、契約発行部22は、業者と利用者との転貸借契約の契約書の入力フォームを含む契約ページを生成し、利用者端末に送信する(ステップS41)。
【0041】
《作用・効果》
これにより、賃料計算システム1は、利用者が選択した物件について、利用者が希望する条件を満たす初期費用及び月額賃料の候補を提示することができる。また、賃料計算システム1は、利用者が希望する条件に係る初期費用及び月額賃料による賃貸契約を支援することができる。
【0042】
〈第2の実施形態〉
第1の実施形態に係る賃料計算システム1は、利用者が検索して選択した不動産物件について、その賃料のバリエーションを計算するものである。これに対し、第2の実施形態に係る賃料計算システム1は、利用者が提示した賃料の条件で借りることができる不動産物件を検索するものである。
【0043】
《賃料計算システム1の構成》
第2の実施形態に係る賃料計算システム1は、第1の実施形態と、物件提示部17、希望額入力部19、計算部20の挙動が異なる。
【0044】
希望額入力部19は、利用者から初期費用の希望額及び月額賃料の希望額の両方の入力を受け付ける。
【0045】
計算部20は、物件記憶部16が記憶する物件のうち、転貸借フラグがTrueであるものについて、希望額入力部19に入力された初期費用の希望額を満たすように、月額賃料候補を算出する。
【0046】
物件提示部17は、物件記憶部16が記憶する物件のうち、初期費用及び月額賃料が希望額以下のもの、及び計算部が計算した月額賃料候補が月額賃料の希望額以下のものを、利用者に提示する。
【0047】
《利用者登録時の動作》
第2の実施形態に係る賃料計算システム1の利用者登録時の動作は、第1の実施形態と同様である。
【0048】
《物件検索時の動作》
図5は、第2の実施形態に係る賃料計算システム1の物件検索動作を示すフローチャートである。アカウントを登録した利用者は、賃料計算システム1が提示するトップページのログインボタンを押下する。賃料計算システム1の認証部15は、メールアドレスとログインパスワードの入力フォームと決定ボタンとを含むログインページを生成し、利用者端末に送信する(ステップS61)。利用者が入力フォームに必要な情報を入力し、決定ボタンを押下すると、認証部15は、利用者端末からログインデータを受信する(ステップS62)。認証部15は、受信したログインデータに基づいて、利用者記憶部12が記憶するメールアドレス及びログインパスワードと一致するか否かを判定する(ステップS63)。
【0049】
メールアドレス又はログインパスワードが利用者記憶部12が記憶する利用者データと一致しない場合(ステップS63:NO)、認証部15は、ステップS61に戻り、ログインページを再表示する。メールアドレス及びログインパスワードが利用者記憶部12が記憶する利用者データと一致する場合(ステップS63:YES)、認証部15は、当該利用者データに関連付けられた本登録フラグがTrueを示すか否かを判定する(ステップS64)。本登録フラグがFalseを示す場合(ステップS64:NO)、認証部15は、ステップS61に戻り、ログインページを再表示する。
【0050】
本登録フラグがTrueを示す場合(ステップS64:YES)、希望額入力部19は、初期費用の希望額及び月額賃料の希望額の入力を受け付ける希望額入力ページを生成し、利用者端末に送信する(ステップS65)。利用者が希望額入力ページにおいて初期費用の希望額及び月額賃料の希望額を指定すると、希望額入力部19は、初期費用の希望額及び月額賃料の希望額を受信する(ステップS66)。計算部20は、物件記憶部16が記憶する物件のうち、転貸借フラグがTrueであるものについて、初期費用の希望額を満たすように、月額賃料候補を算出する(ステップS67)。つまり、計算部20は、式(4)に基づいて月額賃料候補C1´を計算する。
【0051】
物件提示部17は、物件記憶部16が記憶する物件のうち、初期費用及び月額賃料が希望額以下のものであって月額賃料が保証データが保証可能であることを示す月額賃料以下であるもの、及びステップS67で計算した月額賃料候補が月額賃料の希望額以下のものであって月額賃料候補が、保証データが保証可能であることを示す月額賃料以下であるものに係る物件データを読み出し、物件一覧ページを生成して利用者端末に送信する(ステップS68)。物件一覧ページには、物件ごとに当該物件の詳細ページへのリンクが張られている。物件一覧ページには、例えば、各物件の外観、所在地及び月額賃料が表示される。物件提示部17は、物件一覧ページのうち、ステップS67で計算した月額賃料候補が月額賃料の希望額以下の物件には、そのことがわかるマークを付してもよい。
【0052】
利用者が任意の物件のリンクを選択すると、選択部18は、ページリクエストに含まれるクエリに基づいて、選択された物件を特定する(ステップS69)。賃料提示部21は、選択された物件に関連付けて物件記憶部16が記憶する初期費用及び月額賃料が希望額以下であるか否かを判定する(ステップS70)。すなわち、賃料提示部21は、貸主が提示した賃料がステップS66で受信した希望額以下であるか否かを判定する。
【0053】
選択された物件が、物件記憶部16が記憶する初期費用及び月額賃料が希望額以下の物件である場合(ステップS70:YES)、賃料提示部21は、物件記憶部16が記憶する初期費用及び月額賃料の表示と、入居希望ボタンとを含む詳細ページを生成し、利用者端末に送信する(ステップS71)。賃料提示部21は、入居希望ボタンが押下された否かを判定する(ステップS72)。入居希望ボタンが押下されずに詳細ページが閉じられた場合(ステップS72:NO)、賃料計算システム1は処理をステップS68に戻す。他方、入居希望ボタンが押下された場合(ステップS72:YES)、契約発行部22は、物件の貸主と利用者との賃貸借契約の契約書の入力フォームを含む契約ページを生成し、利用者端末に送信する(ステップS73)。
【0054】
他方、選択された物件が、物件記憶部16が記憶する初期費用及び月額賃料が希望額以下の物件でない場合(ステップS70:NO)、賃料提示部21は、ステップS66で受信した初期費用の希望額及びステップS67で算出した月額賃料候補の表示と、入居希望ボタンとを含む詳細ページを生成し、利用者端末に送信する(ステップS74)。賃料提示部21は、入居希望ボタンが押下された否かを判定する(ステップS75)。入居希望ボタンが押下されずに詳細ページが閉じられた場合(ステップS75:NO)、賃料計算システム1は処理をステップS68に戻す。他方、入居希望ボタンが押下された場合(ステップS75:YES)、契約発行部22は、物件記憶部16が記憶する当該物件の貸主と業者との賃貸借契約の電子契約書を生成し、貸主のメールアドレスに送信する(ステップS76)。また、契約発行部22は、業者と利用者との転貸借契約の契約書の入力フォームを含む契約ページを生成し、利用者端末に送信する(ステップS77)。
【0055】
《作用・効果》
これにより、賃料計算システム1は、利用者が希望する条件を満たす初期費用及び月額賃料で借りることができる物件を提示することができる。また、賃料計算システム1は、利用者が希望する条件に係る初期費用及び月額賃料による賃貸契約を支援することができる。
【0056】
〈他の実施形態〉
以上、図面を参照して一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、様々な設計変更等をすることが可能である。すなわち、他の実施形態においては、上述の処理の順序が適宜変更されてもよい。また、一部の処理が並列に実行されてもよい。
上述した実施形態に係る賃料計算システム1は、単独のコンピュータによって構成されるものであってもよいし、賃料計算システム1の構成を複数のコンピュータに分けて配置し、複数のコンピュータが互いに協働することで賃料計算システム1として機能するものであってもよい。
【0057】
上述した実施形態に係る賃料計算システム1は、インターネットを経由して利用者からのアクセスを受け付けるが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係る賃料計算システム1は、業者の店舗内に設置され、業者の担当者によって操作されるものであってもよい。この場合、賃料計算システム1は、必ずしも利用者のアカウントを生成しなくてもよい。
【0058】
上述した実施形態に係る賃料計算システム1は、初期費用及び月額賃料の少なくとも一方の入力に基づいて賃料候補の計算を行うが、他の実施形態においては、さらに契約月数の入力を受け付けてもよい。契約月数が長いほど、月ごとの初期費用の分担を小さくすることができる。
【0059】
上述した実施形態に係る賃料計算システム1は、一の利用者について、異なる月額賃料に係る保証リクエストを生成するが、これに限られない。例えば、賃貸保証会社が保証リクエストに対して保証可能な上限額を示す審査データを生成するのであれば、賃料計算システム1は、一つの保証リクエストを生成するものであってよい。
【0060】
上述した実施形態に係る物件記憶部16は、各物件について転貸借フラグを記憶するが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係る賃料計算システム1は、転貸借フラグを記憶せず、利用者が物件を選択したときに、都度当該物件の貸主に転貸借の可否を問い合わせるものであってもよい。
【0061】
また、上述した実施形態に係る賃料計算システム1は、月額賃料候補又は初期費用候補に手数料を加算するが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係る賃料計算システム1は、手数料の加算を行わなくてもよい。また他の実施形態に係る賃料計算システム1は、手数料に加えて又は手数料に代えて、保険料、積立金、他のサービスの利用料金などを、月額賃料候補又は初期費用候補に加算してもよい。
【0062】
〈コンピュータ構成〉
図6は、少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
コンピュータ50は、プロセッサ51、メインメモリ53、ストレージ55、インタフェース57を備える。
上述の賃料計算システム1は、コンピュータ50に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でストレージ55に記憶されている。プロセッサ51は、プログラムをストレージ55から読み出してメインメモリ53に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、プロセッサ51は、プログラムに従って、上述した各記憶部に対応する記憶領域をメインメモリ53に確保する。プロセッサ51の例としては、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphic Processing Unit)、マイクロプロセッサなどが挙げられる。
【0063】
プログラムは、コンピュータ50に発揮させる機能の一部を実現するためのものであってもよい。例えば、プログラムは、ストレージに既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせ、または他の装置に実装された他のプログラムとの組み合わせによって機能を発揮させるものであってもよい。なお、他の実施形態においては、コンピュータ50は、上記構成に加えて、または上記構成に代えてPLD(Programmable Logic Device)などのカスタムLSI(Large Scale Integrated Circuit)を備えてもよい。PLDの例としては、PAL(Programmable Array Logic)、GAL(Generic Array Logic)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)が挙げられる。この場合、プロセッサ51によって実現される機能の一部または全部が当該集積回路によって実現されてよい。このような集積回路も、プロセッサの一例に含まれる。
【0064】
ストレージ55の例としては、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ等が挙げられる。ストレージ55は、コンピュータ50のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インタフェース57または通信回線を介してコンピュータ50に接続される外部メディアであってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ50に配信される場合、配信を受けたコンピュータ50が当該プログラムをメインメモリ53に展開し、上記処理を実行してもよい。少なくとも1つの実施形態において、ストレージ55は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0065】
また、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、当該プログラムは、前述した機能をストレージ55に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0066】
1…賃料計算システム 11…利用者登録部 12…利用者記憶部 13…保証リクエスト部 14…登録通知部 15…認証部 16…物件記憶部 17…物件提示部 18…選択部 19…希望額入力部 20…計算部 21…賃料提示部 22…契約発行部 50…コンピュータ 51…プロセッサ 53…メインメモリ 55…ストレージ 57…インタフェース
図1
図2
図3
図4
図5
図6