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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022083701
(43)【公開日】2022-06-06
(54)【発明の名称】塔状建物頂部に設置される構造体
(51)【国際特許分類】
   E04H 12/00 20060101AFI20220530BHJP
【FI】
E04H12/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020195193
(22)【出願日】2020-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】000153616
【氏名又は名称】株式会社巴コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100087491
【弁理士】
【氏名又は名称】久門 享
(74)【代理人】
【識別番号】100104271
【弁理士】
【氏名又は名称】久門 保子
(72)【発明者】
【氏名】川添 俊之
(72)【発明者】
【氏名】高山 秀勝
(57)【要約】      (修正有)
【課題】超大型高層サイロ等塔状建物の頂部に設置される構造物を、クレーンにより施工可能とする構造体を提供する。
【解決手段】塔体C頂部に、正方形配置された断面性能が同等の大梁G1、4本により、第1支持架構が構築され、大梁G1、1本の重量はクレーンの全楊重能力限界以下である。各大梁G1の中点を結び断面性能が同等の中間梁G2、4本により、第2支持架構が構成され、前記第2支持架構と剛接合された補強梁gが塔体C頂部の開口部躯体まで掛け渡されている。前記第2支持架構と同じ要領にて、第(N-1)支持架構(整数N≧2)を構成する4本の梁の中点を結び正方形配置された断面性能が同等の中間梁4本により、第N支持架構が構成されている。最後の第N支持架構の四隅に長さが同じで断面性能が同等の火打ち梁が配設され、それらの中点を結ぶ4本の最上部支持梁Tにて、最上部支持架構が構成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円形もしくは4の倍数の正多角形の平面を有する塔状建物頂部に設置される構造体であって、前記塔状建物の塔体頂部に対して、
1)前記塔体頂部の開口部躯体に、平面視で正方形配置にて掛け渡され、同等の断面性能を有する4本の大梁により、第1支持架構が構成されている。
2)前記第1支持架構と辺の長さを同じくし、平面視で前記第1支持架構を45度回転させた配置にて、前記塔体頂部の開口部躯体に掛け渡された補強架構が、前記第1支持架構との交差部にて連結されており、前記補強架構を構成する4本の補強大梁は、同等の断面性能を有し、前記第1支持架構の上または下に、もしくは前記第1支持架構の大梁と同じ高さに配設され、接合されている。
3)前記第1支持架構の各大梁の中点を結び、同等の断面性能を有する4本の中間梁によって第2支持架構が構成されており、前記第2支持架構は、前記第1支持架構の上に載せられ、もしくは前記第1支持架構の大梁と同じ高さに配設され、接合されている。
4)前記第2支持架構と同じ要領にて、第(N-1)支持架構(但し、整数N≧2)を構成する4本の梁の中点を結び、同等の断面性能を有する4本の中間梁によって、第N支持架構が構成されている。
5)最後の第N支持架構の正方形の四隅に、長さが同じで断面性能が同等の火打ち梁が前記最後の第N支持架構の上に載せられ、もしくは前記最後の第N支持架構の中間梁と同じ高さに配設されている。
6)前記火打ち梁の中点を結ぶ4本の最上部支持梁にて、最上部支持架構が構成されている。
以上の構成を特徴とする、塔状建物頂部に設置される構造体。
【請求項2】
円形もしくは4の倍数の正多角形の平面を有する塔状建物頂部に設置される構造体であって、前記塔状建物の塔体頂部に対して、
1)前記塔体頂部の開口部躯体に、平面視で正方形配置にて掛け渡され、同等の断面性能を有する4本の大梁により、第1支持架構が構成されている。
2)前記第1支持架構の各大梁の中点を結び、同等の断面性能を有する4本の中間梁によって第2支持架構が構成されており、前記第2支持架構は、前記第1支持架構の上に載せられ、もしくは前記第1支持架構の大梁と同じ高さに配設され、接合されている。
3)前記第2支持架構が接続された前記第1支持架構の各大梁の中点から、前記第1支持架構の各大梁に直交して外方向に、補強梁が前記塔体頂部の開口部躯体まで掛け渡されており、前記補強梁は、少なくとも前記第2支持架構と剛接合されている。
4)以下、前記第2支持架構と同じ要領にて、第(N-1)支持架構(但し、整数N≧2)を構成する4本の梁の中点を結び、同等の断面性能を有する4本の中間梁によって、第N支持架構が構成されている。
5)最後の第N支持架構の正方形の四隅に、長さが同じで断面性能が同等の火打ち梁が前記最後の第N支持架構の上に載せられ、もしくは前記最後の第N支持架構の中間梁と同じ高さに配設されている。
6)前記火打ち梁の中点を結ぶ4本の最上部支持梁にて、最上部支持架構が構成されている。
以上の構成を特徴とする、塔状建物頂部に設置される構造体。
【請求項3】
円形もしくは4の倍数の正多角形の平面を有する塔状建物頂部に設置される構造体であって、前記塔状建物の塔体頂部に対して、
1)前記塔体に内接する仮想正方形を拡大した正方形の4辺上に、長さが同じで断面性能が同等の4本の大梁が配置され、その大梁両端が塔体頂部の開口部躯体に定着されて、第1支持架構が構成されている。
2)前記第1支持架構の各大梁の中点を結び、同等の断面性能を有する4本の中間梁によって第2支持架構が構成されており、前記第2支持架構は、前記第1支持架構の上に載せられ、もしくは前記第1支持架構の大梁と同じ高さに配設され、接合されている。
3)前記第2支持架構の中間梁と同じ要領にて、第(N-1)支持架構(但し、整数N≧2)を構成する4本の梁の中点を結び、同等の断面性能を有する4本の中間梁によって、第N支持架構が構成されている。
4)最後の第N支持架構の正方形の四隅に、長さが同じで断面性能が同等の火打ち梁が前記最後の第N支持架構の上に載せられ、もしくは前記最後の第N支持架構の中間梁と同じ高さに配設されている。
5)前記火打ち梁の中点を結ぶ4本の最上部支持梁にて、最上部支持架構が構成されている。
以上の構成を特徴とする、塔状建物頂部に設置される構造体。
【請求項4】
円形もしくは4の倍数の正多角形の平面を有する塔状建物頂部に設置される構造体であって、前記塔状建物の塔体頂部に対して、
1)前記塔体に内接する仮想正方形を拡大した正方形の4辺上に、長さが同じで断面性能が同等の4本の大梁が配置され、その大梁両端が塔体頂部の開口部躯体に定着されて、第1支持架構が構成されている。
2)前記第1支持架構を構成する4本の大梁に対して45°の角度を成して架け渡される4本の中間梁は、長さが同じで断面性能が同等であって、相互に交差することなく、1本の前記大梁に接合される前記中間梁の2つの支持点は一定の距離を置いて、ハの字状に、前記第1支持架構の大梁の上に載せられ、もしくは前記第1支持架構の大梁と同じ高さに配設され、接合されて、第2支持架構が構成されている。
3)前記第2支持架構の中間梁と同じ要領にて、第(N-1)支持架構(但し、整数N≧2)を構成する4本の梁に掛け渡され、長さが同じで断面性能が同等の4本の中間梁によって、第N支持架構が構成されている。
4)最後の第N支持架構の正方形の四隅に、長さが同じで断面性能が同等の火打ち梁が前記最後の第N支持架構の上に載せられ、もしくは前記最後の第N支持架構の中間梁と同じ高さに配設されている。
5)前記火打ち梁の中点を結ぶ4本の最上部支持梁にて、最上部支持架構が構成されている。
以上の構成を特徴とする、塔状建物頂部に設置される構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば石炭貯蔵サイロ等の軒高の高い塔状建物の頂部に設置される構造体の構成に関するものであり、構造体の上に機械室等の施設建屋を設置することができる。
【背景技術】
【0002】
従来、石炭やバイオマスチップ等の貯蔵に使用されるサイロは内部が空洞で軒高の高い塔状建物であり、その機械室等を覆う屋根部の架構は、外形が円錐台状であることが多く、構造的にシェル構造に近いことから、構成部材数が非常に多いので、施工中の屋根架構等を支持する仮設支柱を用いる在来工法では、多量の仮設資材を必要とし、現場組立てに多くの時間を要する構造体であった。そのため、地上付近の低い位置で屋根架構等のほぼ全体を組立て、仕上げ等も取付けた状態にして、リフトアップする工法が採用されることがあった。
【0003】
リフトアップ工法の場合、屋根架構等はサイロの塔体本体が出来上がってからリフトアップされるが、施工手順としては、先ず塔体本体の基礎工事がなされ、それに引続いて、地上部で屋根架構の組立ておよび仕上げ等の施工、その後、その屋根架構等を取り巻く塔体本体の躯体工事の順番となる。従って、屋根架構および仕上げ等の工事が完了するまで、地上部塔体の施工に着手できず、工期が長くなる欠点があった。
【0004】
また、サイロの平面形状は円形状であることが多く、大きなものでは直径50m×高さ50mを超える規模になるため、リフトアップ工事のための仮設資材(ジャッキ受鉄骨等)の総重量が150t程度になることもあり、かつ、塔体が複数ある場合は、機材の組立ておよび解体が各塔体についてのリフトアップ工事毎に必要であった。即ち、工程と工期および施工コストの面で改善の余地があった。
【0005】
上記の問題を解決することを目的とした先行技術としては、例えば特許文献1がある。特許文献1記載の発明は、図7(a)に図示のように、円筒状サイロ等建物の塔体Cの躯体頂部に、先ず大梁Gを1本ずつ、図7(b)に図示のような大型のクレーン1にて楊重して架け渡し、梁間隔をWとする剛強な井桁状大梁を構築した後、その井桁状大梁を本設架構として、以降はそれら大梁を頼りに、その上部に屋根架構や機械室等施設建屋3を構築する工法であるので、在来工法のような仮設支柱は不要となり、また、リフトアップ工法の場合には必要な多量の仮設資材の数量も大幅に減らすことができ、かつ塔体躯体工事を先行させることができる工法である。
【0006】
しかし、井桁状に大梁Gを組むと、その大梁G全長は塔体Cの直径に近い長さになるため、例えば、塔体直径が60m以上になると、大梁G1本の自重が非常に重くなり、大型クレーンを2台使用した相吊りでもその楊重が困難な場合があった。
【0007】
即ち、特許文献1記載の発明に係る工法は、前記のような大きな効果があるが、塔体直径が非常に大きい場合では、クレーンの楊重能力で限界付けられ、その工法の適用範囲を拡張することができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第6736226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前記のように、特許文献1記載の発明に係る工法では、使用されるクレーンの楊重能力に限界付けられて、対応できない規模の超大型サイロ等塔状建物に対して、前記クレーンと同じ楊重能力であっても、その塔状建物頂部に設置される構造物の施工を可能とする構造体を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る第1手段は、円形もしくは4の倍数の正多角形の平面を有する塔状建物頂部に設置される構造体であって、前記塔状建物の塔体頂部に対して、
1)前記塔体頂部の開口部躯体に、平面視で正方形配置にて掛け渡され、同等の断面性能を有する4本の大梁により、第1支持架構が構成されている。
2)前記第1支持架構と辺の長さを同じくし、平面視で前記第1支持架構を45度回転させた配置にて、前記塔体頂部の開口部躯体に掛け渡された補強架構が、前記第1支持架構との交差部にて連結されており、前記補強架構を構成する4本の補強大梁は、同等の断面性能を有し、前記第1支持架構の上または下、もしくは前記第1支持架構の大梁と同じ高さに配設され、接合されている。
3)前記第1支持架構の各大梁の中点を結び同等の断面性能を有する4本の中間梁によって第2支持架構が構成されており、前記第2支持架構は、前記第1支持架構の上に載せられ、もしくは前記第1支持架構の大梁と同じ高さに配設され、接合されている。
4)以下、前記第2支持架構と同じ要領にて、第(N-1)支持架構(但し、整数N≧2)を構成する4本の梁の中点を結び同等の断面性能を有する4本の中間梁によって、第N支持架構が構成されている。
5)最後の第N支持架構の正方形の四隅に、長さが同じで断面性能が同等の火打ち梁が前記最後の第N支持架構の上に載せられ、もしくは前記最後の第N支持架構の中間梁と同じ高さに配設されている。
6)前記火打ち梁の中点を結ぶ4本の最上部支持梁にて、最上部支持架構が構成されている。
以上の構成を特徴とする、塔状建物頂部に設置される構造体である。
【0011】
1)において、前記第1支持架構を構成する大梁1本の重量は、1台もしくは同時使用される複数台のクレーンの全楊重能力限界以下であるように設定されている。
【0012】
また、前記4本の最上部支持梁は、同等の断面性能とし、その長さは、前記塔状建物頂部に設置される機械室等施設建屋の規模に応じて決定され、またそれに合わせて、前記火打ち梁の長さも決定することができる。前記最上部支持架構の上に、前記機械室等施設建屋を組立てることができる。
【0013】
以上のように本発明の第1手段に係る構造体は、平面視で正方形配置された前記各支持架構を45度ずつ回転しながら、入れ子状に梁が配設されるので、前記塔状建物頂部に設置される構造物の重量は、順次それぞれの梁に概ね均等に分散されて、最終的に第1支持架構によって塔体頂部の開口部躯体に伝達されることになると共に、最大重量となる第1支持架構の大梁が、特許文献1記載の発明の井桁状に組まれる大梁よりも短くなり、軽量化を図ることができる。
【0014】
即ち、楊重能力限界が同じクレーンを用いても、本発明の方が、より直径の大きいサイロ等塔状建物頂部へ大梁を楊重することが可能になる。
【0015】
また、本発明に係る第2手段は、円形もしくは4の倍数の正多角形の平面を有する塔状建物頂部に設置される構造体であって、前記塔状建物の塔体頂部に対して、
1)前記塔体頂部の開口部躯体に、平面視で正方形配置にて掛け渡され、同等の断面性能を有する4本の大梁により、第1支持架構が構成されている。
2)前記第1支持架構の各大梁の中点を結び、同等の断面性能を有する4本の中間梁によって第2支持架構が構成されており、前記第2支持架構は、前記第1支持架構の上に載せられ、もしくは前記第1支持架構の大梁と同じ高さに配設され、接合されている。
3)前記第2支持架構が接続された前記第1支持架構の各大梁の中点から、前記第1支持架構の各大梁に直交して外方向に、補強梁が前記塔体頂部の開口部躯体まで掛け渡されており、前記補強梁は、少なくとも前記第2支持架構と剛接合されている。
4)以下、前記第2支持架構と同じ要領にて、第(N-1)支持架構(但し、整数N≧2)を構成する4本の梁の中点を結び同等の断面性能を有する4本の中間梁によって、第N支持架構が構成されている。
5)最後の第N支持架構の正方形の四隅に、長さが同じで断面性能が同等の火打ち梁が前記最後の第N支持架構の上に載せられ、もしくは前記最後の第N支持架構の中間梁と同じ高さに配設されている。
6)前記火打ち梁の中点を結ぶ4本の最上部支持梁にて、最上部支持架構が構成されている。
以上の構成を特徴とする、塔状建物頂部に設置される構造体である。
【0016】
1)において、前記第1支持架構を構成する大梁1本の重量は、1台もしくは同時使用される複数台のクレーンの全楊重能力限界以下であるように設定されている。
【0017】
また、前記4本の最上部支持梁は、同等の断面性能とし、その長さは、前記塔状建物頂部に設置される機械室等施設建屋の規模に応じて決定され、またそれに合わせて、前記火打ち梁の長さも決定することができる。前記最上部支持架構の上に、前記機械室等施設建屋を組立てることができる。
【0018】
上記本発明の第2手段では、前記第1支持架構の各大梁に直交して外方向に取り付けられる補強梁が、前記第1支持架構の各大梁を補強するので、本発明の第1手段における補強架構を省くことが可能になる。
【0019】
また、本発明に係る第3手段は、円形もしくは4の倍数の正多角形の平面を有する塔状建物頂部に設置される構造体であって、前記塔状建物の塔体頂部に対して、
1)前記塔体に内接する仮想正方形を拡大した正方形の4辺上に、長さが同じで断面性能が同等の4本の大梁が配置され、その大梁両端が塔体頂部の開口部躯体に定着されて、第1支持架構が構成されている。
2)前記第1支持架構の各大梁の中点を結び、同等の断面性能を有する4本の中間梁によって第2支持架構が構成されており、前記第2支持架構は、前記第1支持架構の上に載せられ、もしくは前記第1支持架構の大梁と同じ高さに配設され、接合されている。
3)以下、前記第2支持架構の中間梁と同じ要領にて、第(N-1)支持架構(但し、整数N≧2)を構成する4本の梁の中点を結び正方形配置された、同等の断面性能を有する4本の中間梁によって、第N支持架構が構成されている。
4)最後の第N支持架構の正方形の四隅に、長さが同じで断面性能が同等の火打ち梁が前記最後の第N支持架構の上に載せられ、もしくは前記最後の第N支持架構の中間梁と同じ高さに配設されている。
5)前記火打ち梁の中点を結ぶ4本の最上部支持梁にて、最上部支持架構が構成されている。
以上の構成を特徴とする、塔状建物頂部に設置される構造体である。
【0020】
1)において、前記第1支持架構を構成する大梁1本の重量は、1台もしくは同時使用される複数台のクレーンの全楊重能力限界以下であるように設定されている。
【0021】
なお、前記第2支持架構が接続された前記第1支持架構の各大梁の中点から、前記第1支持架構の各大梁に直交して外方向に、少なくとも前記第2支持架構と剛接合された補強梁が、前記塔体頂部の開口部躯体まで掛け渡されてもよい。
【0022】
また、前記4本の最上部支持梁は、同等の断面性能とし、その長さは、前記塔状建物頂部に設置される機械室等施設建屋の規模に応じて決定され、またそれに合わせて、前記火打ち梁の長さも決定することができる。前記最上部支持架構の上に、前記機械室等施設建屋を組立てることができる。
【0023】
上記本発明の第3手段は、前記第1および第2手段における第1支持架構の大梁と同じ長さで同重量の大梁を、前記塔体に内接する前記仮想正方形を拡大した正方形の4辺上にクレーンで楊重して、四隅を切り落された正方形(以下、隅切り正方形と称す。)を成す第1支持架構を構成することが可能になるので、前記塔体頂部の開口部躯体に定着される大梁を正方形配置とする前記第1および第2手段が対応できる最大内径の塔体よりも、更に大きな内径の塔体にも適用が可能になる。
【0024】
また、本発明に係る第4手段は、円形もしくは4の倍数の正多角形の平面を有する塔状建物頂部に設置される構造体であって、前記塔状建物の塔体頂部に対して、
1)前記塔体に内接する仮想正方形を拡大した正方形の4辺上に、長さが同じで断面性能が同等の4本の大梁が配置され、その大梁両端が塔体頂部の開口部躯体に定着されて、第1支持架構が構成されている。
2)前記第1支持架構を構成する4本の大梁に対して45°の角度を成して架け渡される4本の中間梁は、長さが同じで断面性能が同等であって、相互に交差することなく、1本の前記大梁に接合される前記中間梁の2つの支持点は一定の距離を置いて、ハの字状に、前記第1支持架構の大梁の上に載せられ、もしくは前記第1支持架構の大梁と同じ高さに配設され、接合されて、第2支持架構が構成されている。
3)以下、前記第2支持架構の中間梁と同じ要領にて、第(N-1)支持架構(但し、整数N≧2)を構成する4本の梁に掛け渡され、長さが同じで断面性能が同等の4本の中間梁によって、第N支持架構が構成されている。
4)最後の第N支持架構の正方形の四隅に、長さが同じで断面性能が同等の火打ち梁が前記最後の第N支持架構の上に載せられ、もしくは前記最後の第N支持架構の中間梁と同じ高さに配設されている。
5)前記火打ち梁の中点を結ぶ4本の最上部支持梁にて、最上部支持架構が構成されている。
以上の構成を特徴とする、塔状建物頂部に設置される構造体である。
【0025】
1)において、前記大梁1本の重量は、1台もしくは同時使用される複数台のクレーンの全楊重能力限界以下であるように設定されている。
【0026】
また、前記4本の最上部支持梁は、同等の断面性能とし、その長さは、前記塔状建物頂部に設置される機械室等施設建屋の規模に応じて決定され、またそれに合わせて、前記火打ち梁の長さも決定することができる。前記最上部支持架構の上に、前記機械室等施設建屋を組立てることができる。
【0027】
上記本発明の第4手段では、前記第1支持架構の大梁が支える前記第2支持架構の中間梁の支持点が、前記第1支持架構の1本の大梁上で一定の距離を置いて2点に分かれるので、前記第1乃至第3手段のように、1点集中の場合よりも前記第1支持架構の大梁の曲げモーメントが小さくなり、その大梁の重量軽減に繋がる。また、前記第N支持架構を支持する前記第(N-1)支持架構の中間梁についても同様である。
【0028】
以上記載の本発明の手段4つに共通して、前記第(N-1)支持架構(但し、整数N≧2)が支持する前記第N支持架構を、前記第(N-1)支持架構の上に載せるなど、階段状に設置される場合、塔体中央に行く程、支持架構を構成する梁の地上からの高さが高くなる。このことは、例えばサイロのように、貯蔵物が建物頂部中央から落とし込まれて円錐状に堆積する場合には、内部空間の有効利用に繋がる。
【0029】
また、以上記載の本発明の手段4つに共通して、前記第1支持架構は正方形もしくは正方形に近い配置であるため、それら前記第1支持架構を構成する大梁が定着される塔体頂部の開口部躯体の平面形状は、4の倍数の正多角形であれば、全支持架構の平面配置は4分の1対称となり、塔状建物頂部に設置される構造物の荷重は、比較的均等に分散して塔体頂部の開口部躯体へ伝達されるので、必ずしも円である必要はない。
【0030】
なお、前記各支持架構を構成する4本の梁の断面性能に、ある程度の差があっても、塔状建物頂部に設置される構造物の荷重が、分散されて塔体頂部に伝達された時のばらつきは、それ程大きくないので、塔体への影響は少なく、厳密に同じ断面性能を有する必要はない。
【発明の効果】
【0031】
本発明は以上のような手段によるので、次のような効果がある。
(1)最も長い第1支持架構の大梁は、塔体直径が同じでも、特許文献1記載の発明の方法よりも短くでき、大梁のサイズダウンに繋がり、1本当りの重量が減る。
(2)第3および第4手段では、第1支持架構の大梁を、塔体に内接する仮想正方形を拡大した正方形の4辺上に、隅切り正方形配置で設置するので、第1および第2手段によって第1支持架構を正方形配置とする場合よりも大きな内径の塔体への適用が可能になる。
【0032】
(3)第4手段では、下段梁(前記第(N-1)支持架構の梁)が支える上段梁(前記第N支持架構の梁)の支持点が、一定の距離を置いて2点に分かれるので、支持架構が正方形配置の時のような1点集中の場合よりも、下段梁の曲げモーメントが小さくなり、梁の重量が軽減される。
(4)以上より、使用されるクレーンの楊重能力に限界付けられて、特許文献1記載の発明の方法では対応できなかったような、より大口径の塔状建物にも対応が可能になる。
(5)支持架構の全体構成が4分の1対称であり均等な梁配置なので、機械室等施設の積載荷重に偏りがあっても、塔体頂部の開口部躯体に伝達される荷重は比較的均等に分散され、応力集中が回避されるため塔体の負担が軽減される。
【0033】
(6)クレーンを用いて全ての部材を塔状建物頂部に楊重して構造物を構築できるので、仮設支柱を必要とする従来工法や、リフトアップ工法よりも経済的である。
(7)各支持架構間に段差を付けて塔体中央に行く程、支持架構を構成する梁の地上からの高さを高くすることができるので、サイロのように、貯蔵物が建物頂部中央から落とし込まれて円錐状に堆積される場合には、内部空間を有効に使え、軒高も下げられる。
(8)各支持架構間の段差の数を調整することも出来るので、貯蔵物の種類や建物用途に応じて、屋根部の形状を選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の第1実施例であり、(a)は架構梁伏図、(b)は塔体上部の断面図であって、(a)のイ-イ断面視を示す。
図2】本発明の第2実施例であり、(a)は架構梁伏図、(b)は塔体上部の断面図であって、(a)のイ-イ断面視を示す。
図3】本発明の第3実施例の架構梁伏図である。
図4】本発明の第4実施例の架構梁伏図である。
図5】本発明の第2実施例における別の態様例であり、(a)は、第2支持架構と第3支持架構との間のみに段差がある場合、(b)は、各支持架構の高さが全て同じ場合を示す。
図6】塔体頂部の開口部躯体の平面形状が正八角形の場合の例であり、(a)は本発明の第1実施例、(b)は同じく第4実施例に対応した架構梁伏図である。
図7】特許文献1記載の発明に係る実施例であり、(a)は、井桁状大梁の伏図を示し、(b)のロ-ロ断面視である。(b)は、塔体上部に設置される構造物の施工状況を示すイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明に係る構造体の第1実施例を、図1を参照して説明する。
図1に図示のように、サイロの塔体C頂部の開口部躯体に、先ず、同等の断面性能を有する4本の大梁Gが、クレーンにて1本ずつ順次掛け渡され、その梁端部が定着され、図1(a)に図示のように、平面視で正方形配置の第1支持架構が構築される。
【0036】
次に、前記第1支持架構と辺の長さを同じくする正方形配置で、4本の補強大梁G1aから成る補強支持架構が、平面視で前記第1支持架構を45度回転させた配置にて、塔体C頂部の開口部躯体に掛け渡され、前記第1支持架構と前記補強支持架構とは星型正八角形の梁組を構成し、両支持架構の大梁は交差部にて連結される。
【0037】
前記補強支持架構の4本の補強大梁G1aは、同等の断面性能であり、前記第1支持架構の上または下に接合される。あるいは、両支持架構の梁を同じ高さにして接合してもよい。
【0038】
最も長く重い大梁は、前記第1支持架構を構成する大梁Gであり、1本当りの重量は、1台もしくは同時に使用される(例えば、2台のクレーンによる相吊りの場合のような)複数のクレーンの全楊重能力限界以下であるように設計される必要があるが、本実施例における大梁GおよびG1aの長さLは、塔体C直径の約1/√2と短く、かつ8本掛け渡されるので、特許文献1記載の発明に係る井桁状大梁Gに比べて、かなりの軽量化が可能となる。
【0039】
例えば、直径50mのサイロにおいて、井桁状大梁Gの梁間隔W(図7(a)参照)を20mとした時、大梁G長さは46.2mだが、より大きい直径60mのサイロであっても、本発明によれば、大梁Gの長さL図1(a)参照)は60m/√2≒42.0mで済む。
【0040】
即ち、大梁Gの長さは大梁Gよりも短いので、その重量も大梁Gよりも軽くできる。よって、大梁を井桁状配置にするとクレーン2台による相吊りをしても楊重しきれない場合であっても、第1支持架構が塔体Cにほぼ内接する正方形配置とする本発明による構造体であれば、大梁の楊重が可能になるので、より大口径のサイロに適用範囲を拡張できると言える。
【0041】
次に、前記第1支持架構の各大梁Gの中点を結び正方形配置された4本の中間梁Gにより、第2支持架構が構築される。
【0042】
前記第2支持架構の4本の中間梁Gは、同等の断面性能であり、前記第1支持架構の上に載せられて接合される。あるいは、両支持架構の梁を同じ高さにして接合してもよい。
【0043】
以下、前記第2支持架構を構成する4本の中間梁Gと同じ要領にて、第N支持架構の中間梁G図1では、N=3~4)が、第(N-1)支持架構の各中間梁GN-1の中点を結び正方形配置にて配設される。
【0044】
最後となる第N支持架構(図1では、N=4)の正方形の四隅に、長さが同じで断面性能が同等の火打ち梁Hが前記第N支持架構の上に載せられ、もしくは前記第N支持架構の中間梁Gと同じ高さに配設されている。
【0045】
火打ち梁Hの中点を結ぶ4本の最上部支持梁Tにて、最上部支持架構が構成されており、最上部支持梁Tは、同等の断面性能を有し、その長さは、塔状建物頂部に設置される機械室等の施設建屋3の規模に応じて決定され、またそれに合わせて、前記火打ち梁Hの長さも決定される。
【0046】
施設建屋3は、前記最上部支持架構の最上部支持梁Tを頼りに床組みされ、その上に構築される。
【0047】
以上のように、前記各支持架構を構成する4本の梁長さは同じであるので、断面性能が同等であれば、施設建屋3内の積載荷重に偏在があっても、塔体C頂部の開口部躯体に定着された大梁Gの支持点に作用する鉛直荷重は、集中することなく比較的均等に分散されるので、塔体Cの負担が軽減される。
【0048】
図2は、本発明の第2実施例である。図2に図示のように、サイロの塔体C頂部の開口部躯体に、先ず、同等の断面性能を有する4本の大梁Gが、クレーンにて1本ずつ順次掛け渡され、その梁端部が定着され、図2(a)に図示のように、平面視で正方形配置の第1支持架構が構築される。
【0049】
前記第1支持架構を構成する大梁G1本の重量は、1台もしくは同時に使用される(例えば、2台のクレーンによる相吊りの場合のような)複数のクレーンの全楊重能力限界以下であるように設定されている。
【0050】
同等の断面性能を有する4本の中間梁Gが、前記第1支持架構の各大梁Gの中点を結んで掛け渡され、第2支持架構が構成されており、前記第2支持架構は、前記第1支持架構の上に載せられ、もしくは前記第1支持架構の大梁Gと同じ高さに配設され、接合されている。
【0051】
前記第2支持架構が接続された前記第1支持架構の各大梁Gの中点から、前記第1支持架構の各大梁Gに直交して外方向に、補強梁gが前記塔体C頂部の開口部躯体まで掛け渡されており、前記補強梁gは、少なくとも前記第2支持架構と剛接合されている。
【0052】
最も長く重い大梁は、前記第1支持架構を構成する大梁Gであり、前記第1実施例と同じく、本実施例における大梁の長さは、塔体C直径の約1/√2と短く、かつ前記第2支持架構と剛接合される補強梁gが設置されるので、特許文献1記載の発明に係る井桁状大梁Gに比べて、かなりの軽量化が可能となる。
【0053】
第3支持架構以降の形態は、前記第1実施例と同様であり、以下、前記第2支持架構と同じ要領にて、第(N-1)支持架構(図2では、N=3~4)の各中間梁GN-1の中点を結び正方形配置された、同等の断面性能を有する4本の中間梁Gによって、第N支持架構が構成されている。
【0054】
最後となる第N支持架構(図2では、N=4)の正方形の四隅に、長さが同じで断面性能が同等の火打ち梁Hが前記第N支持架構の上に載せられ、もしくは前記第N支持架構の中間梁Gと同じ高さに配設されている。
【0055】
火打ち梁Hの中点を結ぶ4本の最上部支持梁Tにて、最上部支持架構が構成されており、最上部支持梁Tは、同等の断面性能を有し、その長さは、塔状建物頂部に設置される機械室等の施設建屋3の規模に応じて決定され、またそれに合わせて、前記火打ち梁Hの長さも決定される。
【0056】
施設建屋3は、前記最上部支持架構の最上部支持梁Tを頼りに床組みされ、その上に構築される。
【0057】
上記第2実施例では、前記第1支持架構の各大梁Gに直交して外方向に取り付けられた補強梁gが、前記第1支持架構の各大梁Gを補強するので、本発明の第1実施例における補強架構G1aを省くことが可能になる。
【0058】
本発明の第3実施例は、前記第2実施例における前記第1支持架構の各大梁Gのような正方形配置ではなく、図3に図示の架構梁伏図のように、塔体Cに内接する仮想正方形Sを拡大した正方形4辺上に大梁Gを配置して、隅切り正方形配置の第1支持架構を構成するものである。
【0059】
即ち、仮想正方形Sの辺の長さLよりも短い長さLで、断面性能が同等の4本の大梁Gにより第1支持架構が構成され、その大梁Gの両端が塔体C頂部の開口部躯体に定着されており、大梁G1本の重量は、1台もしくは同時使用される複数台のクレーンの全楊重能力限界以下であるように設定されている。
【0060】
前記第1支持架構の各大梁Gの中点を結び正方形配置された4本の中間梁Gにより構成される第2支持架構およびそれ以降の各支持架構の構成は、前記第2実施例と同じである。
【0061】
但し、本実施例の場合には、前記第2実施例の大梁Gの長さとほぼ同じである仮想正方形Sの辺の長さLに比べ、本実施例の大梁Gの長さLは短くなり、前記第2実施例の大梁Gと断面性能が同等であれば、曲げ強度および曲げ剛性が高まるので、前記第2実施例では設置される補強梁gは、必ずしも設けなくてもよいかもしれない。
【0062】
図4は、本発明の第4実施例の架構梁伏図であり、第1支持架構の各大梁Gは、前記第3実施例における第1支持架構の各大梁Gの配置と同じであるが、前記第1支持架構の内側に配設される中間梁G(但し、整数N≧2)の配置が異なる。
【0063】
即ち、前記第1支持架構を構成する4本の大梁Gに対して45°の角度をなして架け渡される4本の中間梁Gは、長さが同じで断面性能が同等であって、相互に交差することなく、1本の前記大梁Gに接合される前記中間梁Gの支持点は一定の距離を置いて、ハの字状に、前記第1支持架構の大梁Gの上に載せられ、もしくは前記第1支持架構の大梁Gと同じ高さに配設され、接合されて、第2支持架構が構成されている。
【0064】
以下、前記第2支持架構の中間梁Gと同じ要領にて、第(N-1)支持架構(図4では、N=3~4)を構成する4本の梁に対して45°の角度をなして、長さが同じで断面性能が同等の4本の中間梁Gが、その中間梁GN-1上の2つの支持点は一定の距離いてハの字状に掛け渡され、第N支持架構が構成されている。
【0065】
上記本発明の第4実施例では、前記第1支持架構の大梁Gが支える前記第2支持架構の中間梁Gの支持点が、前記第1支持架構の1本の大梁G上で一定の距離を置いて2点に分かれるので、前記第1乃至第3実施例のように、1点集中の場合よりも前記第1支持架構の大梁Gの曲げモーメントが小さくなり、その大梁Gの重量軽減に繋がる。また、前記第N支持架構を支持する前記第(N-1)支持架構(図4では、N=3~4)の中間梁GN-1についても同様である。
【0066】
最後となる第N支持架構(図4では、N=4)と、その隅切り正方形の四隅に配設される火打ち梁Hおよび最上部架構他については、前記第3実施例と同じ要領にて設置される。
【0067】
以上記載の実施例4つに共通して、前記第N支持架構が前記第(N-1)支持架構(但し、整数N≧2)に上載され、階段状に構築された場合は、塔体C中央に行く程、支持架構を構成する梁の床からの高さが高くなるので、サイロのように、貯蔵物2(図1(b)、図2(b)参照)が施設建屋3の中央直下から落とし込まれて円錐状に堆積する場合には、内部空間の有効利用の観点から好ましく、サイロの軒高さを低く抑えることができる。
【0068】
また、図1(b)、図2(b)に図示のように、支持架構を全て階段状に構築するのではなく、例えば、図5(a)に図示のように、中間梁Gと中間梁Gの間にのみに段差を設けた形態、あるいは、図5(b)に図示のように、中間梁G~Gおよび最上部支持梁Tの高さを大梁Gと同じとした形態にすることもできる。
【0069】
全ての梁が階段状に重ねられる場合よりも、水平な屋根面が増えるので、前記のような内部空間の有効利用の観点では不利だが、屋根部外装工事においては、仕上げ面積(表面積)が減る、あるいは、雨漏りの弱点になり易い段差部(出隅および入隅)が減るので、コスト減に寄与すると共に、各支持架構間の段差の数を調整することで、貯蔵物の種類や建物用途に応じて、屋根部の形状を選択することができる。
【0070】
また、以上記載の実施例4つに共通して、前記第1支持架構は正方形もしくは正方形に近い配置であるため、それらの支持架構を構成する大梁Gが定着される塔体C頂部の開口部躯体の平面形状は、4の倍数の正多角形であれば、全支持架構の平面配置は4分の1対称となり、塔状建物頂部に設置される構造物の荷重は、分散して塔体C頂部の開口部躯体へ伝達され、集中が避けられるので、必ずしも円である必要はない。例えば、開口部躯体が正八角形の場合の平面配置例を、図6(a)、(b)に示す。(a)は本発明の第1実施例に対応し、(b)は同じく第4実施例に対応する。
【0071】
なお、前記各支持架構を構成する4本の梁の断面性能に、ある程度の差があっても、塔状建物頂部に設置される構造物の重量が分散されて、塔体頂部に伝達された時のばらつきはそれ程大きくないので、塔体への影響は小さく、厳密に同じ断面性能とする必要はない。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、石炭貯蔵サイロ等の塔状で高層の建物頂部に設置される構造物の施工において、仮設支柱による従来工法やリフトアップ工法に比べて、低コストおよび工期短縮を実現するクレーンによる施工方法を提供するものであって、尚かつ、特許文献1記載の発明の方法ではクレーンの楊重能力で限界付けられるような、更に大型の塔状建物まで適用範囲を広げ、その頂部に設置される構造物の施工合理化に大いに貢献するものである。
【符号の説明】
【0073】
1:クレーン
2:貯蔵物
3:施設建屋
C:塔体
G:大梁(井桁配置)
:大梁
1a:補強大梁
2、3、:中間梁
g:補強梁
H:火打ち梁
1:大梁の長さ
:仮想正方形一辺の長さ
S:仮想正方形
T:最上部支持梁
W:梁間隔(井桁配置)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7