(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022083757
(43)【公開日】2022-06-06
(54)【発明の名称】災害管理サーバ
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/08 20120101AFI20220530BHJP
G06Q 50/26 20120101ALI20220530BHJP
【FI】
G06Q10/08
G06Q50/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020195274
(22)【出願日】2020-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】520462894
【氏名又は名称】眞貴田 正博
(74)【代理人】
【識別番号】100133411
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 龍郎
(74)【代理人】
【識別番号】100112416
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 定信
(72)【発明者】
【氏名】眞貴田正博
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA16
5L049CC35
(57)【要約】 (修正有)
【課題】災害が生じたときに、支援物資を各地域間で調整し合うことができる災害管理サーバを提供する。
【解決手段】災害管理サーバ110は、第1の地域に含まれる少なくとも1つの第1の管理場所で管理されるリソースに関する第1リソース情報と、第1の地域とは異なる第2の地域に含まれる少なくとも1つの第2の管理場所で管理されるリソースに関する第2リソース情報と、災害が発生したことを示す災害発生情報と、を通信する通信部116と、第1リソース情報及び第2リソース情報を記憶する記憶部118と、通信部及び記憶部を制御する制御部であって、第1の地域に含まれる少なくとも1つの場所で被災したことを示す災害発生情報を受信したときに、第2の管理場所で管理されているリソースを第1の管理場所に移動することを決定し、リソースの提供の決定を示す情報を通信部116から第2の管理場所に送信する制御部と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の地域に含まれる少なくとも1つの第1の管理場所で管理されるリソースに関する第1リソース情報と、前記第1の地域とは異なる第2の地域に含まれる少なくとも1つの第2の管理場所で管理されるリソースに関する第2リソース情報と、災害が発生したことを示す災害発生情報と、を通信する通信部と、
前記第1リソース情報及び前記第2リソース情報を記憶する記憶部と、
前記通信部及び前記記憶部を制御する制御部であって、
前記第1の地域に含まれる少なくとも1つの場所で被災したことを示す災害発生情報を受信したときに、前記第2の管理場所で管理されているリソースを前記第1の管理場所に移動することを決定し、
リソースの提供の決定を示す情報を前記通信部から前記第2の管理場所に送信する制御部と、を備える災害管理サーバ。
【請求項2】
第1の地域に含まれる少なくとも1つの第1の備蓄場所に備蓄されている備蓄品に関する第1備蓄情報と、前記第1の地域とは異なる第2の地域に含まれる少なくとも1つの第2の備蓄場所に備蓄されている備蓄品に関する第2備蓄情報と、災害が発生したことを示す災害発生情報と、を通信する通信部と、
前記第1備蓄情報及び前記第2備蓄情報を記憶する記憶部と、
前記通信部及び前記記憶部を制御する制御部であって、
前記第1の地域に含まれる少なくとも1つの場所で被災したことを示す災害発生情報を受信したときに、前記第2の備蓄場所に備蓄されている備蓄品を前記第1の備蓄場所に移動することを決定し、
備蓄品の移動の決定を示す情報を前記通信部から前記第2の備蓄場所に送信する制御部と、を備える災害管理サーバ。
【請求項3】
前記制御部は、
前記記憶部から前記第2備蓄情報を読み出し、前記第2の備蓄場所から前記第1の地域に移動可能な備蓄品を抽出する請求項2に記載の災害管理サーバ。
【請求項4】
前記制御部は、
前記通信部が、前記災害発生情報を受信した後に、備蓄品の不足を示す不足情報を前記第1の地域から受信したときに、前記第2の備蓄場所に備蓄されている備蓄品のうち移動可能な備蓄品を前記不足情報に基づいて決定する請求項2に記載の災害管理サーバ。
【請求項5】
前記通信部は、
前記第1の地域及び前記第2の地域とは異なる第3の地域に位置する第3の備蓄場所に備蓄されている備蓄品に関する第3備蓄情報をさらに通信することができ、
前記制御部は、
前記通信部が、さらに、備蓄品の不足を示す不足情報を前記第1の地域から受信したときに、前記第3の備蓄場所に備蓄されている備蓄品のうち移動可能な備蓄品を前記不足情報に基づいて決定する請求項4に記載の災害管理サーバ。
【請求項6】
前記第1の地域に含まれる少なくとも1つの場所で被災したことを示す災害発生情報は、前記第2の地域では被災していないことも示す情報である請求項2に記載の災害管理サーバ。
【請求項7】
前記制御部は、災害が発生していないときには、備蓄品の提供を希望する旨の情報、備蓄場所の提供を希望する旨の情報を前記通信部から送信させる請求項2に記載の災害管理サーバ。
【請求項8】
前記制御部は、災害が発生していないときには、前記第1備蓄情報及び前記第2備蓄情報から、備蓄品が消費期限に達するか否かを判断する請求項2に記載の災害管理サーバ。
【請求項9】
前記制御部は、災害が発生していないときには、前記第1備蓄情報及び前記第2備蓄情報から、備蓄品の数量が、所定の数量に達しているか否かを判断する請求項2に記載の災害管理サーバ。
【請求項10】
避難対象である人間及び動物の少なくとも一方に関する避難対象情報と、前記避難対象の避難を依頼する依頼者に関する依頼者情報と、を有する避難対象関連情報と、
人間及び動物の避難場所に関する避難場所情報と、前記避難場所を提供する避難場所提供者に関する避難提供者情報と、を有する提供場所関連情報と、を記憶する記憶部と、
災害が発生する可能性があるとき又は災害が発生したときに、避難の希望の問い合わせを前記依頼者に送信し、
避難を希望する情報が前記依頼者に基づいて送信されたときに、前記避難対象の少なくとも一部が収容可能か否かの問い合わせを前記場所提供者の少なくとも一部に送信する制御部と、を備える災害管理サーバ。
【請求項11】
前記避難対象関連情報及び前記提供場所関連情報は、災害が発生していないときに更新される、請求項10に記載の災害管理サーバ。
【請求項12】
前記避難対象関連情報は、災害が発生していない地域の前記避難対象情報及び前記依頼者情報によって更新され、
前記提供場所関連情報は、災害が発生していない地域の前記避難場所情報及び前記避難提供者情報によって更新される、請求項10に記載の災害管理サーバ。
【請求項13】
前記動物がペットである請求項10に記載の災害管理サーバ。
【請求項14】
前記避難場所は、被災地とは異なる地域に位置する福祉施設、ホテル、病院である、請求項10に記載の災害管理サーバ。
【請求項15】
前記記憶部は、
人間及び動物の移動手段に関する移動手段情報と、前記移動手段を提供する移動手段提供者に関する移動手段提供者情報と、有する提供移動手段情報を、さらに記憶し、
前記制御部は、
災害が発生する可能性があるとき又は災害が発生したときに、避難の希望の問い合わせを前記依頼者に送信し、
避難を希望する情報が前記依頼者から送信されたときに、前記避難対象の少なくとも一部を移動可能か否かの問い合わせを前記移動手段提供者の少なくとも一部に送信する、請求項10に記載の災害管理サーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
備蓄品をシェアする災害管理サーバに関する。
【背景技術】
【0002】
災害時の対策のために備蓄品を管理するとともに、災害時には、備蓄品を配布できるようにする支援システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、災害用備蓄物資の在庫を管理するとともに、備蓄品を配布するための災害支援装置や災害支援システムなどが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-120647号公報
【特許文献2】特開2004-157843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した支援システムや在庫管理装置などは、災害時に備えて物資を備蓄品として備蓄する。これらのシステムなどでは、支援物資を供給できる供給者(倉庫など)と、被災者とが、互いに独立した存在となっていた。すなわち、支援物資を供給する者は、常に、供給する者の側であり、支援物資が供給される者は、常に、供給される者の側であった。このため、災害が頻繁に生じたときなどには、支援物資が不足する地域と、支援物資が蓄えている地域との差が拡大し得るシステムであった。
【0006】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、災害が生じたときに、支援物資を各地域間で調整し合うことができる災害管理サーバを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による災害管理サーバの特徴は、
少なくとも1つの第1の地域に位置する第1の備蓄場所に備蓄されている備蓄品に関する第1備蓄情報と、前記第1の地域とは異なる少なくとも1つの第2の地域に位置する第2の備蓄場所に備蓄されている備蓄品に関する第2備蓄情報と、災害が発生したことを示す災害発生情報と、を通信する通信部と、
前記第1備蓄情報及び前記第2備蓄情報を記憶する記憶部と、
前記通信部及び前記記憶部を制御する制御部であって、
前記第1の地域で災害が発生したことを示す災害発生情報を受信したときに、前記第2の備蓄場所に備蓄されている備蓄品を前記第1の地域に移動することを決定し、
備蓄品の移動の決定を示す情報を前記通信部から前記第2の備蓄場所に送信する制御部と、を備えることである。
【発明の効果】
【0008】
災害が生じたときに、支援物資を各地域間で調整し合うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施の形態による災害管理システム10の構成を示す概略図である。
【
図2】本実施の形態による災害管理サーバ110の機能を示す機能ブロック図である。
【
図3】災害管理サーバ処理を示すフローチャートである。
【
図4】リソースシェア勧誘処理を示すフローチャートである。
【
図5】新たに加入を希望する被提供者が現れた場合の被提供者新規加入処理を示すフローチャートである。
【
図6A】備蓄品データベースDB10の例を示すテーブルである。
【
図6B】被提供者データベースDB20の例を示すテーブルである。
【
図6C】物的資源データベースDB30の例を示すテーブルである。
【
図6D】人的資源データベースDB40の例を示すテーブルである。
【
図6E】資金データベースDB50の例を示すテーブルである。
【
図6F】避難計画データベースDB60の例を示すテーブルである。
【
図7】消費期限管理処理を示すフローチャートである。
【
図9】データ管理処理を示すフローチャートである。
【
図10】緊急時リソース提供処理を示すフローチャートである。
【
図11】緊急時データ送信処理を示すフローチャートである。
【
図12】BCPデータベースDB70の例を示すテーブルである。
【
図13】災害発生事前判断処理を示すフローチャートである。
【
図14】災害準備処理を示すフローチャートである。
【
図15A】避難希望個人・施設データベースDB80の例を示すテーブルである。
【
図15B】宿泊収容施設提供者データベースDB90の例を示すテーブルである。
【
図15C】交通手段提供者データベースDB100の例を示すテーブルである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<<<<本実施の形態の概要>>>>
<<第1の実施の態様>>
第1の実施の態様によれば、
第1の地域に含まれる少なくとも1つの第1の管理場所で管理されるリソースに関する第1リソース情報と、前記第1の地域とは異なる第2の地域に含まれる少なくとも1つの第2の管理場所で管理されるリソースに関する第2リソース情報と、災害が発生したことを示す災害発生情報と、を通信する通信部と、
前記第1リソース情報及び前記第2リソース情報を記憶する記憶部(例えば、後述する
図6に示す備蓄品データベースDB10など)と、
前記通信部及び前記記憶部を制御する制御部であって、
前記第1の地域に含まれる少なくとも1つの場所で被災したことを示す災害発生情報を受信したときに、前記第2の管理場所で管理されているリソースを前記第1の管理場所に移動することを決定し(例えば、後述するステップS1015~S1019など)、
リソースの提供の決定を示す情報を前記通信部から前記第2の管理場所に送信する(例えば、後述するステップS1021など)制御部と、を備える災害管理サーバが提供される。
【0011】
災害管理サーバは、通信部と、記憶部と、制御部とを備える。
【0012】
通信部は、第1リソース情報及び第2リソース情報を送受信する。第1リソース情報及び第2リソース情報は、物的資源や、人的資源や、資金などがある。物的資源には、復旧に必要な建材や機械・機器や工具や道具などの各種の資材や、資材を運搬するためのトラックや航空機や船などの各種の移動手段などがある。人的資源には、労力を提供する者のほか、土木、電気、通信などの分野に精通し復旧活動ができる者などがある。また、資金は、物的資源の一種であるが、さまざまな物的資源の購入やレンタルなどに用いたり、人的資源の確保などに用いたりするための元手となるものである。
【0013】
第1リソース情報は、第1の管理場所で管理されているリソースに関する情報である。第1の管理場所は、第1の地域に位置する。第1の管理場所は、少なくとも1つあり、1つの管理場所でも、複数の管理場所でもよい。第1リソース情報は、第1の管理場所に設置されている第1の管理場所提供者端末装置から送信される。第1の管理場所提供者端末装置は、第1の管理場所に設置されていなくてもよい。第1の管理場所提供者端末装置は、第1の管理場所提供者によって管理され、第1の管理場所で管理されているリソースに関する情報を送受信できる端末装置であればよい。第1リソース情報は、例えば、第1の管理場所で管理されているリソースの種類(名称など)、数量や、消費期限などの情報のほか、前述したような物的資源や人的資源や資金などの情報がある。
【0014】
第2リソース情報は、第2の管理場所で管理されているリソースに関する情報である。第2の管理場所は、第2の地域に位置する。第2の管理場所は、少なくとも1つあり、1つの管理場所でも、複数の管理場所でもよい。第2リソース情報は、第2の管理場所に設置されている第2の管理場所提供者端末装置から送信される。第2の管理場所提供者端末装置は、第2の管理場所に設置されていなくてもよい。第2の管理場所提供者端末装置は、第2の管理場所提供者によって管理され、第2の管理場所で管理されているリソースに関する情報を送受信できる端末装置であればよい。第2リソース情報は、例えば、第2の管理場所で管理されているリソースの種類(名称など)、数量や、消費期限などの情報のほか、前述したような物的資源や人的資源や資金などの情報がある。
【0015】
前述したように、原則として、第1の管理場所は、第1の地域に位置し、第2の管理場所は、第2の地域に位置するが、管理場所は他の場所でもよい。管理場所の温度や湿度などの環境や、建物の大きさや倉庫の大きさなどに応じて、近隣の地域の管理場所にすることができる。
【0016】
記憶部は、第1リソース情報及び第2リソース情報を記憶する。
【0017】
通信部は、第1の地域に含まれる少なくとも1つの場所で被災したことを示す災害発生情報を受信することができる。被災した場所は、1つの場所でも、複数の場所でもよい。制御部は、災害発生情報を受信したことに基づいて、第1の地域とは異なる第2の地域の第2の管理場所で管理されているリソースを第1の地域に移動することを決定する。さらに、制御部は、リソースの移動の決定を示す情報を第2の管理場所に送信する。例えば、リソースの移動の決定を示す情報は、第2の管理場所提供者端末装置に送信される。なお、リソースの移動の決定を示す情報は、第2の管理場所提供者が知得できる端末装置に送信すればよい。
【0018】
災害が発生した第1の地域に、第2の地域で管理していたリソースを提供することができる。リソースを各地域間で調整し合うことで、被災した第1の地域を支援することができる。
【0019】
<<第2の実施の態様>>
第2の実施の態様によれば、
第1の地域に含まれる少なくとも1つの第1の備蓄場所に備蓄されている備蓄品に関する第1備蓄情報と、前記第1の地域とは異なる第2の地域に含まれる少なくとも1つの第2の備蓄場所に備蓄されている備蓄品に関する第2備蓄情報と、災害が発生したことを示す災害発生情報と、を通信する通信部と、
前記第1備蓄情報及び前記第2備蓄情報を記憶する記憶部(例えば、後述する
図6に示す備蓄品データベースDB10など)と、
前記通信部及び前記記憶部を制御する制御部であって、
前記第1の地域に含まれる少なくとも1つの場所で被災したことを示す災害発生情報を受信したときに、前記第2の備蓄場所に備蓄されている備蓄品を前記第1の備蓄場所に移動することを決定し(例えば、後述するステップS1015~S1019など)、
備蓄品の移動の決定を示す情報を前記通信部から前記第2の備蓄場所に送信する(例えば、後述するステップS1021など)制御部と、を備える災害管理サーバが提供される。
【0020】
災害管理サーバは、通信部と、記憶部と、制御部とを備える。
【0021】
通信部は、第1備蓄情報及び第2備蓄情報を送受信する。
【0022】
第1備蓄情報は、第1の備蓄場所に備蓄されている備蓄品に関する情報である。第1の備蓄場所は、第1の地域に位置する。第1の備蓄場所は、少なくとも1つあり、1つの備蓄場所でも、複数の備蓄場所でもよい。第1備蓄情報は、第1の備蓄場所に設置されている第1の備蓄場所提供者端末装置から送信される。第1の備蓄場所提供者端末装置は、第1の備蓄場所に設置されていなくてもよい。第1の備蓄場所提供者端末装置は、第1の備蓄場所提供者によって管理され、第1の備蓄場所に備蓄されている備蓄品に関する情報を送受信できる端末装置であればよい。第1備蓄情報は、例えば、第1の備蓄場所に備蓄されている物資の種類(名称など)、数量や、消費期限などの情報がある。
【0023】
第2備蓄情報は、第2の備蓄場所に備蓄されている備蓄品に関する情報である。第2の備蓄場所は、第2の地域に位置する。第2の備蓄場所は、少なくとも1つあり、1つの備蓄場所でも、複数の備蓄場所でもよい。第2備蓄情報は、第2の備蓄場所に設置されている第2の備蓄場所提供者端末装置から送信される。第2の備蓄場所提供者端末装置は、第2の備蓄場所に設置されていなくてもよい。第2の備蓄場所提供者端末装置は、第2の備蓄場所提供者によって管理され、第2の備蓄場所に備蓄されている備蓄品に関する情報を送受信できる端末装置であればよい。第2備蓄情報は、例えば、第2の備蓄場所に備蓄されている物資の種類(名称など)、数量や、消費期限などの情報がある。
【0024】
前述したように、原則として、第1の備蓄場所は、第1の地域に位置し、第2の備蓄場所は、第2の地域に位置するが、備蓄場所は他の場所でもよい。備蓄場所の温度や湿度などの環境や、建物の大きさや倉庫の大きさなどに応じて、近隣の地域の備蓄場所にすることができる。
【0025】
記憶部は、第1備蓄情報及び第2備蓄情報を記憶する。
【0026】
通信部は、第1の地域に含まれる少なくとも1つの場所で被災したことを示す災害発生情報を受信することができる。被災した場所は、1つの場所でも、複数の場所でもよい。制御部は、災害発生情報を受信したことに基づいて、第1の地域とは異なる第2の地域の第2の備蓄場所に備蓄されている備蓄品を第1の地域に移動することを決定する。さらに、制御部は、備蓄品の移動の決定を示す情報を第2の備蓄場所に送信する。例えば、備蓄品の移動の決定を示す情報は、第2の備蓄場所提供者端末装置に送信される。なお、備蓄品の移動の決定を示す情報は、第2の備蓄場所提供者が知得できる端末装置に送信すればよい。
【0027】
災害が発生した第1の地域に、第2の地域で備蓄していた備蓄品を提供することができる。備蓄品を各地域間で調整し合うことで、被災した第1の地域を支援することができる。
【0028】
<<第3の実施の態様>>
第3の実施の態様は、第2の実施の態様において、
前記制御部は、
前記記憶部から前記第2備蓄情報を読み出し、前記第2の備蓄場所から前記第1の地域に移動可能な備蓄品を抽出する(例えば、後述するステップS1019など)。
【0029】
第2の備蓄場所から第1の地域に提供可能な備蓄品を決定することで、第2の備蓄場所では備蓄されていないや既に不足している物資を決定することができ、不足する物資を迅速に決定することができる。
【0030】
<<第4の実施の態様>>
第4の実施の態様は、第2の実施の態様において、
前記制御部は、
前記通信部が、前記災害発生情報を受信した後に、備蓄品の不足を示す不足情報を前記第1の地域から受信したときに、前記第2の備蓄場所に備蓄されている備蓄品のうち移動可能な備蓄品を前記不足情報に基づいて決定する(例えば、後述するステップS1013及びS1019など)。
【0031】
第1の地域で実際に不足している備蓄品の情報を取得して、第2の備蓄場所に備蓄されている備蓄品から提供可能なものを決定することができる。
【0032】
<<第5の実施の態様>>
第5の実施の態様は、第4の実施の態様において、
前記通信部は、
前記第1の地域及び前記第2の地域とは異なる第3の地域に位置する第3の備蓄場所に備蓄されている備蓄品に関する第3備蓄情報をさらに通信することができ(例えば、後述するステップS1023など)、
前記制御部は、
前記通信部が、さらに、備蓄品の不足を示す不足情報を前記第1の地域から受信したときに、前記第3の備蓄場所に備蓄されている備蓄品のうち移動可能な備蓄品を前記不足情報に基づいて決定する(例えば、後述するステップS1015~S1019など)。
【0033】
第2の備蓄場所に備蓄されている備蓄品では足りない場合には、第3の備蓄場所に備蓄されている備蓄品をさらに追加して第1の地域に提供することができる。
【0034】
<<第6の実施の態様>>
第6の実施の態様は、第2の実施の態様において、
前記第1の地域に含まれる少なくとも1つの場所で被災したことを示す災害発生情報は、前記第2の地域では被災していないことも示す情報である。
【0035】
第1の地域で災害が発生して被災したときに、災害が発生していない第2の地域を決定することができる。第1の地域で災害が発生したときに、既に第2の地域でも災害が発生しているような場合には、第2の地域を除外することで第2の地域の復興を促進することができる。
【0036】
<<第7の実施の態様>>
第7の実施の態様は、第2の実施の態様において、
前記制御部は、災害が発生していないときには、備蓄品の提供を希望する旨の情報、備蓄場所の提供を希望する旨の情報を前記通信部から送信させる(例えば、後述するステップS411~S413など)。
【0037】
災害が発生していないときには、災害の発生に備えて、備蓄品を提供してくれる者や、備蓄場所を提供してくれる者を募集することで、準備することができる。
【0038】
<<第8の実施の態様>>
第8の実施の態様は、第2の実施の態様において、
前記制御部は、災害が発生していないときには、前記第1備蓄情報及び前記第2備蓄情報から、備蓄品が消費期限に達するか否かを判断する(例えば、後述するステップS711~S721など)。
【0039】
備蓄品の消費期限を管理することで、適切な状態の備蓄品を提供することができる。
【0040】
<<第9の実施の態様>>
第9の実施の態様は、第2の実施の態様において、
前記制御部は、災害が発生していないときには、前記第1備蓄情報及び前記第2備蓄情報から、備蓄品の数量が、所定の数量に達しているか否かを判断する(例えば、後述するステップS811~S819など)。
【0041】
備蓄品の数量を管理することで、備蓄品を不足なく提供することができる。
【0042】
<<第10の実施の態様>>
第10の実施の態様によれば、
避難対象である人間及び動物の少なくとも一方に関する避難対象情報と、前記避難対象の避難を依頼する依頼者に関する依頼者情報と、を有する避難対象関連情報と、
人間及び動物の避難場所に関する避難場所情報と、前記避難場所を提供する避難場所提供者に関する避難提供者情報と、を有する提供場所関連情報と、を記憶する記憶部と、
災害が発生する可能性があるとき又は災害が発生したときに、避難の希望の問い合わせを前記依頼者に送信し、
避難を希望する情報が前記依頼者に基づいて送信されたときに、前記避難対象の少なくとも一部が収容可能か否かの問い合わせを前記場所提供者の少なくとも一部に送信する制御部と、を備える災害管理サーバが提供される。
【0043】
災害管理サーバは、記憶部と制御部とを備える。
【0044】
記憶部は、避難対象関連情報と、提供場所関連情報とを記憶する。
【0045】
避難対象関連情報は、避難対象情報及び依頼者情報を有する。避難対象情報及び依頼者情報は、未だ災害が発生してないが、災害の発生を想定して、事前に避難を希望する者を集って収集した情報である。なお、避難対象情報及び依頼者情報は、災害の発生後に、災害の規模などに応じて緊急に収集してもよい。避難対象は、人間及び動物の少なくとも一方である。災害が発生したときには、人間が避難するだけでなく、動物も避難の対象に含まれる。人間及び動物のうちのいずれか一方のみの避難でもよい。
【0046】
依頼者情報は、避難対象の避難を依頼する者である。依頼者自らが、避難の対象となる場合を含めて、避難の対象が、依頼者と異なる場合も含まれる。例えば、障碍者であれば、その家族が依頼者となる場合がある。福祉施設や病院などにいる老人や病人などが避難の対象であるときは、福祉施設や病院が依頼者となる。また、避難の対象がペットである場合には、その飼い主が依頼者となる。
【0047】
提供場所関連情報は、避難場所情報及び避難提供者情報を有する。避難場所情報及び避難提供者情報は、未だ災害が発生してないが、災害の発生を想定して、事前に避難場所を提供できる者を集って収集した情報である。なお、避難場所情報及び提供場所関連情報は、災害の発生後に、災害の規模などに応じて緊急に収集してもよい。避難場所は、旅館やホテルなどの一般的な宿泊施設のほか、病院や老人ホームなどの福祉施設なども含む。また、ペットホテルや動物病院やなども含まれる。避難場所情報は、避難を希望する対象に応じた場所の情報が収集されて記憶される。
【0048】
避難提供者情報は、避難場所を提供する者の施設の名称や担当者の氏名などである。災害が発生したときには、避難提供者に連絡して、宿泊や収容などが可能か否かを問い合わせる。
【0049】
制御部は、まず、災害が発生する可能性があるとき又は災害が発生したときに、避難の希望の問い合わせを依頼者に送信する。災害が発生する可能性は、例えば、気象情報や、ニュース情報、SNS情報等の各種の情報から判断することができる。例えば、台風などの大雨などによる災害は、予想地域や予想雨量などから、災害が発生する可能性を決定することができる。さらに、SNSやライブカメラなどの情報を参考にしてもよい。災害が発生したことは、気象庁や国土交通省などの機関からの各種の災害情報などから判断することができる。各種の災害情報などから、地域や規模を決定することができる。
【0050】
依頼者が、避難の希望の問い合わせを受信して、避難対象の避難を希望する場合には、希望する旨の情報を災害管理サーバに送信する。
【0051】
次いで、制御部は、避難を希望する情報が依頼者に基づいて送信されたときに、避難対象の少なくとも一部が収容可能か否かの問い合わせを前記場所提供者の少なくとも一部に送信する。
【0052】
避難を希望する情報は、依頼者に基づいて送信された情報であればよい。既に災害が発生しているときには、通信手段が十分に機能していないこともあり得る。避難を希望する情報を、依頼者が直接送信できない場合もある。このため、避難を希望する情報の送信は、依頼者でない他者からの送信であっても、依頼者の意思に基づく送信であればよい。また、避難を希望する情報は、口頭による伝達であっても、最終的に災害管理サーバで管理できる情報に変換できる情報であればよい。
【0053】
災害の規模や地域に応じて避難対象の数や範囲が決まるので、避難対象の全てである必要はなく、避難対象の少なくとも一部であればよい。場所提供者も全てである必要はなく、避難対象のうちの避難を希望するものが収容できればよく、場所提供者の少なくとも一部であればよい。
【0054】
このようにすることで、災害が発生したときに、避難を希望する避難対象である人間や動物を、的確に避難させることができる。
【0055】
<<第11の実施の態様>>
第11の実施の態様は、第10の実施の態様において、
前記避難対象関連情報及び前記提供場所関連情報は、災害が発生していないときに更新される。
【0056】
<<第12の実施の態様>>
第12の実施の態様は、第10の実施の態様において、
前記避難対象関連情報は、災害が発生していない地域の前記避難対象情報及び前記依頼者情報によって更新され、
前記提供場所関連情報は、災害が発生していない地域の前記避難場所情報及び前記避難提供者情報によって更新される。
【0057】
災害が発生していない状況や、災害の影響を受けにくい状況で、事前に、避難対象関連情報や提供場所関連情報を更新しているので、通常時から情報を収集して災害に備えることができる。また、災害が発生したときには、慌てて対応する必要がなく、通信状態が不安定な状態でも、的確に避難させることができる。
【0058】
<<第13の実施の態様>>
第13の実施の態様は、第10の実施の態様において、
前記動物がペットである。
【0059】
<<第14の実施の態様>>
第14の実施の態様は、第10の実施の態様において、
前記避難場所は、被災地とは異なる地域に位置する福祉施設、ホテル、病院である。
【0060】
<<第15の実施の態様>>
第15の実施の態様は、第10の実施の態様において、
前記記憶部は、
人間及び動物の移動手段に関する移動手段情報と、前記移動手段を提供する移動手段提供者に関する移動手段提供者情報と、有する提供移動手段情報を、さらに記憶し、
前記制御部は、
災害が発生する可能性があるとき又は災害が発生したときに、避難の希望の問い合わせを前記依頼者に送信し、
避難を希望する情報が前記依頼者から送信されたときに、前記避難対象の少なくとも一部を移動可能か否かの問い合わせを前記移動手段提供者の少なくとも一部に送信する。
【0061】
自力で移動できる者だけでなく、移動手段を要する病人や要介護者や要支援者や病人や怪我人やペットなどを的確に移動させて避難させることができる。
【0062】
<<<<本実施の形態の詳細>>>>
【0063】
<<<定義等>>>
本実施の形態による災害管理サーバは、主に、備蓄品をシェア可能に管理するためのサーバである。災害管理サーバは、災害管理システムの管理者などによって構築され運用される。備蓄品は、災害時に必要となる食料品や日用品などの物資である。
【0064】
<<通常時における災害管理システム>>
災害管理システムは、災害が起こっていない通常時には、国土の各地において、災害時に備えて、各種の物資を備蓄品として備蓄する。災害管理システムは、通常時には、備蓄品の消費期限や数などを管理もする。
【0065】
災害管理システムは、災害が起こっていない通常時には、被提供者、物資提供者、備蓄場所提供者、作業提供者などによるネットワークを形成する。ここでのネットワークは、人、資金、物資、交通手段、資源などを提供し合い共有するためのつながりである。すなわち、災害管理システムは、備蓄品など物資だけでなく、互いに協力し合う人的なつながりも共有資源としてシェアする。被提供者、物資提供者、備蓄場所提供者、作業提供者については、後述する。
【0066】
<<災害時における災害管理システム>>
災害が起きたときには、まず、災害が起きた災害地域(被災地)で備蓄しておいた備蓄品を用いる。災害が大きい場合や、災害から復興が長びく場合などには、災害地域の備蓄品のみでは足りなくなる可能性もある。災害地域で備蓄品が不足したときには、災害が起きていない非災害地域で備蓄しておいた備蓄品を災害地域に送り届ける。すなわち、災害管理システムは、国土のいずれかの地域で災害が起きたときには、災害が起きた災害地域と、災害が起きていない非災害地域との間で、備蓄品を融通しあうシステムである。言い換えれば、災害管理システムは、国土の様々な地域の間で備蓄品を共有資源としてシェアするためのシステムである。災害管理システムによって、国土のいずれかの地域で災害が起きたときには、様々な地域の間で備蓄していた備蓄品を融通しあうことができる。
【0067】
<<備蓄品となる物資>>
備蓄品となる物資は、食料品や、生活用品や、日用品や、簡易施設などである。食料品は、レトルト食品や水などである。生活用品は、衣料品や寝具などである。日用品は、せっけんやタオルなどである。簡易施設は、非常用電源や、非常用暖房、簡易トイレなどである。備蓄品となり得る物資は、災害が起こったときに、災害地域や避難先などで必要になる物である。災害が生じていない通常時には、備蓄品が消費されたり使用されたりすることはない。後述する消費期限による管理などを除いて、通常時には、備蓄品は備蓄された状態が維持される。
【0068】
<<被提供者>>
被提供者は、災害が起きたときに備蓄品が提供される者である。例えば、被提供者には、老人ホームや、病院や、学校や、各種の企業等がある。災害管理システムに加入することで被提供者となる。なお、災害管理システムへの加入に際して、会費や管理費などを支払うのが好ましい。災害管理システムの運営や、物資提供者、備蓄場所提供者、作業提供者などへの支払に役立てることができる。
【0069】
<<物資提供者>>
物資提供者は、備蓄品となり得る各種の物資を提供する者である。例えば、製造業者や、販売業者等がある。寄付による物資の提供もあれば、購入による物資の提供もある。
【0070】
<<備蓄場所提供者>>
備蓄場所提供者は、災害が起きていない通常時に、備蓄品を備蓄(一時保管など)する部屋や建物や土地などの場所を提供する者である。災害時には、備蓄品は、搬出されて被提供者や災害地域に搬送される。例えば、銀行や郵便局や役所などの施設などがある。
【0071】
<<作業提供者>>
作業提供者は、災害時に物資の搬送や、人員移送(避難、派遣)や、緊急時通信確保(一時的補助的)や、電源確保(一時的補助的)などの各種の作業を提供するものである。災害が起きたときには、作業提供者によって、備蓄品が、備蓄場所から被提供者や災害地域に搬送される。
【0072】
<<地域>>
地域は、災害の発生を監視できる国土の領域に含まれる。地域は、災害及んだ範囲や災害の種類や性質に応じて、区域や数を適宜に定めることができる。台風などの水害の場合には、台風の軌跡に応じて及ぶ範囲が決まり、地域は広範囲になりやすい。地震などの場合には、地震だけでなく津波や火災などの2次的被害の種類や性格に応じて、地域を定めることができる。また、地域は、一つだけでなく、複数の地域とすることができる。地域は、災害管理システム10が、管理しやすい区域や数にすることができる。
【0073】
<<リソース>>
リソースには、物的資源や、人的資源や、資金などがある。物的資源には、復旧に必要な建材や機械・機器や工具や道具などの各種の資材や、資材を運搬するためのトラックや航空機や船などの各種の移動手段などの物に関する資源がある。人的資源には、復旧作業をするための労力を提供する者のほか、建築、土木、電気、ガス、水道、下水、通信、道路、橋などのさまざまな分野に精通し復旧活動ができる者などの人に関する資源がある。また、資金は、物的資源の一種であるが、さまざまな物的資源の購入やレンタルなどに用いたり、人的資源の確保のために用いたりするための元手となるものである。
【0074】
以下に、本実施の形態について図面に基づいて説明する。
【0075】
<<<災害管理システム10の構成>>>
図1は、災害管理システム10の構成を示す概略図である。
【0076】
災害管理システム10は、主に、通信ネットワーク100と災害管理サーバ110と被提供者端末装置120と物資提供者端末装置130と備蓄場所提供者端末装置140と作業提供者端末装置150とを有する。本実施の形態では、被提供者端末装置120と物資提供者端末装置130と備蓄場所提供者端末装置140と作業提供者端末装置150とは、ともに複数台あり、複数の被提供者端末装置120と複数の物資提供者端末装置130と複数の備蓄場所提供者端末装置140と複数の作業提供者端末装置150とが、通信ネットワーク100を介して災害管理サーバ110に互いに通信可能に接続されている。
【0077】
<<通信ネットワーク100>>
通信ネットワーク100は、インターネットのほか、社内LAN(Local Area Network)などデータやコマンドなどの各種の情報を送受信できる回線であればよく、有線でも無線でもよい。さらに、衛星端末を用いることで災害時においても通信できるようにすることができる。
【0078】
<<災害管理サーバ110(災害管理サーバ)>>
災害管理サーバ110は、通信ネットワーク100を介して、被提供者端末装置120と物資提供者端末装置130と備蓄場所提供者端末装置140と作業提供者端末装置150とが互いに通信可能に接続されている。災害管理サーバ110は、災害管理システムを提供する事業者(以下、災害管理システム提供事業者)が管理したり制御したりできる装置である。災害管理サーバ110は、災害管理システム提供事業者の事業所などに設置される。なお、災害管理サーバ110が設置される場所は、災害管理システム提供事業者によって制御可能な場所であればよく、一定の事業所には限られない。
【0079】
災害管理サーバ110は、CPU(中央処理装置)、ROM(リードオンリーメモリ)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、HDD(ハードディスクドライブ)、I/F(通信インターフェース装置)や入力操作装置(キーボード、マウス、タッチパネルなど)などを備えたパーソナルコンピュータ、タブレット型コンピュータ、携帯型端末装置などにすることができる。災害管理サーバ110は、各種の演算処理及びデータ処理や、被提供者端末装置120と物資提供者端末装置130と備蓄場所提供者端末装置140と作業提供者端末装置150との通信処理などの各種の処理を実行できる装置である。
【0080】
災害管理サーバ110は、データベースマネジメントシステム(以下、DBMSと称する)を介してアクセス可能なデータベースを有する。データベースは、災害管理サーバ110がアクセス可能なHDDの所定の記憶領域に読み書き可能に形成されている。データベースには、備蓄品データベースDB10、被提供者データベースDB20、物的資源データベースDB30、人的資源データベースDB40、資金データベースDB50、避難計画データベースDB60、BCPデータベースDB70などがある(後述する
図2参照)。
【0081】
災害管理サーバ110がアクセス可能なHDDなどには、各種のプログラムが記憶されている。例えば、通信ネットワーク100を介して被提供者端末装置120と物資提供者端末装置130と備蓄場所提供者端末装置140と作業提供者端末装置150と通信を行うためのプログラムや、DBMSを介してデータベースにデータを入出力するためのプログラムや、被提供者端末装置120や物資提供者端末装置130や備蓄場所提供者端末装置140や作業提供者端末装置150から送信された情報に基づいて各種の処理を実行するためのプログラムや、その他の各種計算等を行うためのプログラム等の各種プログラムがある(後述する
図3~
図5、
図7~
図11に示すフローチャート参照)。
【0082】
さらにまた、災害管理サーバ110のCPUは、上述した各種のプログラムを実行する。
【0083】
<<<機能ブロック図>>>
図2は、災害管理サーバ110の機能を示す機能ブロック図である。災害管理サーバ110は、主に、演算部112と、入出力部114と、通信部116と、記憶部118とを備える。
【0084】
<演算部112>
演算部は、主にCPUによって構成され、災害管理サーバ110における各種の処理のための演算が実行される。
【0085】
<入出力部114>
入出力部114は、主に、キーボード、マウス、ディスプレイ、タッチパネル、スピーカー、マイクロフォン、カメラなど(図示せず)からなる。入出力部114は、災害管理サーバ110の管理者や操作者が操作したり視認したりできるユーザインターフェースを構成する。
【0086】
<通信部116>
通信部116は、主に、通信インターフェース装置によって構成される。通信部116は、主に、被提供者端末装置120と物資提供者端末装置130と備蓄場所提供者端末装置140と作業提供者端末装置150との通信をするためのインターフェース装置である。通信部116は、ほかに、災害管理システム提供事業者の他の端末装置との通信も可能にする。
【0087】
<記憶部118>
記憶部118は、主に、ROM、RAM、HDDなどによって構成される。ROMは、災害管理サーバ110のBIOSやファームウェアなどを記憶しCPUの主記憶装置として機能する。RAMは、CPUの主記憶装置として機能し、CPUが実行するためのプログラムを展開して記憶したり、CPUの演算処理の結果などを一時的に記憶したりする。
【0088】
HDDは、CPUの補助記憶装置として機能し、CPUが実行する各種のプログラムやデータベースなどを記憶する。さらに、HDDには、被提供者端末装置120や物資提供者端末装置130や備蓄場所提供者端末装置140や作業提供者端末装置150で表示するための各種のWEBサイト用のデータも記憶されている。その他に、記憶部118として、SSD(ソリッドステートドライブ)や、各種のメモリーカードなどの補助記憶装置も適宜に用いることができる。
【0089】
本実施の形態では、HDDには、所定の記憶領域にデータベースが読み書き可能に形成されている。データベースには、備蓄品データベースDB10、被提供者データベースDB20、物的資源データベースDB30、人的資源データベースDB40、資金データベースDB50、避難計画データベースDB60、BCPデータベースDB70などがある。備蓄品データベースDB10、被提供者データベースDB20、物的資源データベースDB30、人的資源データベースDB40、資金データベースDB50からリソース管理データベースを構成する。
【0090】
<<<災害管理システム10における処理>>>
以下では、
図3~
図9を参照して、災害管理システム10の処理について説明する。なお、災害管理サーバ110や被提供者端末装置120や物資提供者端末装置130や備蓄場所提供者端末装置140や作業提供者端末装置150は、初期化などの起動時の処理は完了しており、いずれも定常に動作しているものとする。
【0091】
<<災害管理サーバ処理>>
図3は、災害管理サーバ処理を示すフローチャートである。災害管理サーバ処理は、災害管理サーバ110において実行される。
【0092】
最初に、災害管理サーバ110のCPUは、国土のいずれかの地域で災害が発生したか否かを判断する(ステップS311)。災害の発生の有無は、全国瞬時警報システム(J-ALERT)や、各種のニュースサイトからの情報や、各種の気象情報を提供する気象情報サイトからの情報などを取得したり抽出したりすることによって判断することができる。また、全国に設置されている地震計や降雨計や風速計などの各種の測定装置やセンサ(図示せず)の出力信号を取得することによっても災害の発生を判断することができる。
【0093】
災害管理サーバ110のCPUは、災害が発生していない、すなわち、通常時と判断したときには、後述するリソースシェア勧誘処理を呼び出して実行する(ステップS313)。災害時に互いに協力し合うためのつながりを少しでも多く形成するために、災害が起きていない通常の状態のときには、災害管理システム10によるリソースシェアの勧誘活動を定期的に実行する。
【0094】
次に、災害管理サーバ110のCPUは、後述する消費期限管理処理を呼び出して実行する(ステップS315)。備蓄品の消費期限を管理する処理であり、備蓄品の品質を常に維持することができる。
【0095】
次に、災害管理サーバ110のCPUは、後述する数量管理処理を呼び出して実行する(ステップS317)。備蓄品の数や量を管理する処理であり、災害時に不足なく備蓄品を提供することができる。
【0096】
次に、災害管理サーバ110のCPUは、後述するデータ管理処理を呼び出して実行する(ステップS319)。災害管理サーバ110のCPUは、被提供者が所有したり管理したりしている各種のデータを事前に預かって保管する。災害時には、預かっている各種のデータを被提供者に提供することで、被提供者は、直ちにデータを利用することができ、関係各所への連絡や様々な復旧活動などを円滑にすることができる。
【0097】
次に、災害管理サーバ110のCPUは、後述するBCP管理処理を呼び出して実行する(ステップS321)。事前に、被災する恐れのある設備や、復旧が必要になる設備や、復旧の仕方などを定めておくことで、迅速に復旧することができる。
【0098】
災害管理サーバ110のCPUは、ステップS311の判断処理で災害が発生したと判断したときには、後述する緊急時リソース提供処理を呼び出して実行し(ステップS321)、緊急時データ送信処理を呼び出して実行する(ステップS323)。
【0099】
図3に示すように、災害管理サーバ110のCPUは、災害の発生の有無によって、実行する処理を切り替える。通常時は、災害に備えた準備活動をし、災害時は、予め備えていた準備を活用することができる。
【0100】
なお、国土の複数の地域で災害が発生した場合には、災害が起きた災害地域(被災地)と、災害が起きていない非災害地域とを適宜に画定して処理を実行する。
【0101】
<<リソースシェア勧誘処理>>
図4は、リソースシェア勧誘処理を示すフローチャートである。リソースシェア勧誘処理は、災害管理サーバ110において実行される。
【0102】
最初に、災害管理サーバ110のCPUは、リソースシェアの勧誘情報を発信する(ステップS411)。
【0103】
リソースシェアの勧誘情報の発信は、地上波テレビや地上波ラジオや衛星放送などの代理店への広告の依頼、ネット広告、動画サイト広告のサイトへの依頼や、メールマガジンによる送信、自社サイトの更新など、各種のメディアで行うことができる。
【0104】
次に、災害管理サーバ110のCPUは、勧誘情報の発信による応答に応じて、各種のデータベースを更新する(ステップS315)。
【0105】
例えば、備蓄品が新たに追加された場合には、備蓄品データベースDB10を更新する。新たに加入を希望する被提供者が現れた場合には、被提供者データベースDB20を更新する。新たに物的資源の提供を希望する提供者が現れた場合には、物的資源データベースDB30を更新する。新たに人的資源の提供を希望する提供者が現れた場合には、人的資源データベースDB40を更新する。新たに資金の提供を希望する提供者が現れた場合には、資金データベースDB50を更新する。
【0106】
<<被提供者新規加入処理>>
図5は、新たに加入を希望する被提供者が現れた場合の被提供者新規加入処理を示すフローチャートである。被提供者新規加入処理は、災害管理サーバ110と被提供者端末装置120とにおいて実行される。
【0107】
<被提供者端末装置120の処理>
最初に、被提供者端末装置120のCPUは、災害管理システム10への加入の申し込み情報を送信する(ステップR511)。新たに被提供者となることを希望する者が、被提供者端末装置の入力操作装置を操作することで、加入の申し込み情報が入力される。
【0108】
<災害管理サーバ110の処理>
災害管理サーバ110のCPUは、被提供者端末装置120から送信された申し込み情報を受信する(ステップS511)。
【0109】
災害管理サーバ110のCPUは、新たに被提供者となる者が加入要件を満たすか否かを判断する(ステップS513)。
【0110】
災害管理サーバ110のCPUは、加入要件を満たす場合には、新たに被提供者となる者を被提供者として、被提供者データベースDB20に登録する(ステップS515)。
【0111】
災害管理サーバ110のCPUは、登録が完了したことを示す登録完了情報を送信する(ステップS517)。
【0112】
<被提供者端末装置120の処理>
被提供者端末装置120のCPUは、災害管理サーバ110から送信された登録完了情報を受信する(ステップR517)。
【0113】
災害が起きていないときには、被提供者を勧誘して増やす。自分の地域で災害があったときには、自分の地域のために備蓄しておいた備蓄品をすぐに利用することができる。また、自分の地域だけでなく、他の地域で災害等が生じたときには、他の地域に提供するため備蓄する。いずれかの地域で災害が起きたときには、お互いに物資を補い合えるように備蓄品として備蓄することができる。
【0114】
<<備蓄品データベースDB10>>
図6Aは、備蓄品データベースDB10の例を示すテーブルである。例えば、備蓄品データベースDB10は、備蓄品名称、備蓄場所、数量、消費期限、提供者などを記憶する。備蓄品名称は、備蓄品として備蓄されている物資である。備蓄場所は、備蓄品が備蓄されている場所である。例えば、備蓄場所は、住所や建物や倉庫や棚などの情報である。数量は、備蓄場所に備蓄している備蓄品の数や量である。消費期限は、備蓄場所に備蓄している備蓄品の消費期限である。例えば、消費期限は、食品などの場合には、品質劣化の心配なく食せる期限である。提供者は、備蓄品として備蓄されている物資を提供した者である。
【0115】
後述するように、備蓄品の数や量について、十分である否かを管理する。通常時に数量を管理することによって、災害が起こったときに、不足なく備蓄品を提供することができる。
【0116】
後述するように、消費期限に達しているか否かや消費期限に近づいているか否かを管理する。通常時に消費期限を管理することによって、災害が起こったときに、適切な品質に維持された物資を提供することができる。
【0117】
備蓄品データベースDB10は、通常には、物資が新たに提供されて備蓄品として備蓄が開始されたときに更新される。また、災害が起こったときには、備蓄品が提供されて使用されたときに更新される。
【0118】
<<被提供者データベースDB20>>
図6Bは、被提供者データベースDB20の例を示すテーブルである。例えば、被提供者データベースDB20は、備蓄品の提供を希望する被提供者名
(法人名)、担当者名、連絡先として住所、電話番号、メールアドレス、希望物資などからなる。
【0119】
<<物的資源データベースDB30>>
図6Cは、物的資源データベースDB30の例を示すテーブルである。例えば、物的資源データベースDB30は、物的資源名、場所/連絡先、数量、提供者などからなる。
【0120】
<<人的資源データベースDB40>>
図6Dは、人的資源データベースDB40の例を示すテーブルである。例えば、人的資源データベースDB40は、担当者名、
連絡先として住所、電話番号、メールアドレス、分野などからなる。
【0121】
<<資金データベースDB50>>
図6Eは、資金データベースDB50の例を示すテーブルである。例えば、資金データベースDB50は、資金、連絡先などからなる。
【0122】
<<避難計画データベースDB60>>
図6Fは、避難計画データベースDB60の例を示すテーブルである。例えば、避難計画データベースDB60は、会社名、ベット数、管理者数、従業員数、看護師数、介護士数、利用者数、その家族等々、会社のリソース情報などからなる。
【0123】
<<消費期限管理処理>>
図7は、消費期限管理処理を示すフローチャートである。消費期限管理処理は、災害管理サーバ110において実行される。消費期限管理処理は、災害が起こっていない通常時に、定期的に呼び出されて実行される。例えば、1週間毎や、1ヶ月毎などに、呼び出されて実行される。
【0124】
最初に、災害管理サーバ110のCPUは、備蓄品データベースDB10を検索する(ステップS711)。例えば、災害管理サーバ110のCPUは、
図6に示す備蓄品データベースDB10の消費期限のフィールドのデータを読み出す。
【0125】
次に、災害管理サーバ110のCPUは、備蓄品データベースDB10から読み出した消費期限が近づいている備蓄品を抽出する(ステップS713)。例えば、消費期限まで1ヶ月となっている備蓄品を抽出する。
【0126】
次に、災害管理サーバ110のCPUは、消費期限が近づいている備蓄品が存在する場合には、備蓄場所提供者に対象の備蓄品及び数量を送信する(ステップS715)。備蓄場所提供者は、この情報を知得することによって、消費期限が近づいている備蓄品を正確に認識することができる。備蓄場所提供者は、対象となった備蓄品を寄付するか廃棄するかなどの処分の内容を決定する。
【0127】
次に、災害管理サーバ110のCPUは、対象備蓄品の提供者に再度の提供を依頼する旨の情報を送信するか、販売サイトなどに対象備蓄品を購入するための情報を送信する(ステップS717)。
【0128】
対象となっている備蓄品を、前回に提供してくれた提供者が、再度、提供してくれる場合には、前回の提供者から物資を提供してもらう。一方、前回の提供者から物資を改めて提供してもらうことができない場合には、物資を販売している販売サイトなどにアクセスして、物資を購入する。
【0129】
次に、災害管理サーバ110のCPUは、再度の備蓄が完了した場合には(ステップS719)、備蓄品データベースDB10を更新する(ステップS721)。
【0130】
なお、前回の提供者から物資を提供してもらうことができず、かつ、購入することもできない場合には、備蓄品データベースDB10に不足している旨の情報を登録する。
【0131】
<<数量管理処理>>
図8は、数量管理処理を示すフローチャートである。数量管理処理は、災害管理サーバ110において実行される。数量管理処理は、災害が起こっていない通常時に、定期的に呼び出されて実行される。例えば、1週間毎や、1ヶ月毎などに、呼び出されて実行される。
【0132】
最初に、災害管理サーバ110のCPUは、備蓄品データベースDB10を検索する(ステップS781)。例えば、災害管理サーバ110のCPUは、
図6に示す備蓄品データベースDB10の数量のフィールドのデータを読み出す。
【0133】
次に、災害管理サーバ110のCPUは、備蓄品データベースDB10から読み出した数量が、被提供者が希望する数量よりも少ない備蓄品を抽出する(ステップS813)。
【0134】
次に、災害管理サーバ110のCPUは、被提供者が希望する数量よりも少ない備蓄品が存在する場合には、対象備蓄品の提供者に再度の提供を依頼する旨の情報を送信するか、販売サイトなどに対象備蓄品を購入するための情報を送信する(ステップS815)。
【0135】
対象となっている備蓄品を、前回に提供してくれた提供者が、再度、提供してくれる場合には、前回の提供者から物資を提供してもらう。一方、前回の提供者から物資を改めて提供してもらうことができない場合には、物資を販売している販売サイトなどにアクセスして、物資を購入する。
【0136】
次に、災害管理サーバ110のCPUは、数量を満たした場合には(ステップS817)、備蓄品データベースDB10を更新する(ステップS819)。
【0137】
なお、前回の提供者から物資を提供してもらうことができず、かつ、購入することもできない場合には、備蓄品データベースDB10に不足している旨の情報を登録する。
【0138】
<<データ管理処理>>
図9は、データ管理処理を示すフローチャートである。データ管理処理は、災害管理サーバ110において実行される。データ管理処理は、災害が起こっていない通常時に、被提供者から希望があったときに呼び出されて実行される。
【0139】
ここでのデータは、被提供者が所有したり管理したりしている各種のデータである。災害が生じていない通常時には、被提供者が滞りなくアクセスできるデータであるが、災害時にアクセスできないと支障が生ずる可能性のあるデータである。例えば、従業員の連絡先や取引先の連絡先などの関係各所の連絡先の情報や、経理情報などの被提供者の経済活動に必要なデータなどがある。災害時に、これらのデータを被提供者がアクセスできるようにすることで、災害時における被提供者の活動を円滑にすることができ、様々な復旧活動などを促進することができる。例えば、
図6Fに示す避難計画データベースDB60などがある。
【0140】
最初に、災害管理サーバ110のCPUは、データ管理希望を受信したか否かを判断する(ステップS911)。すなわち、被提供者が、データの管理を希望しているか否かを判断する。
【0141】
災害管理サーバ110のCPUは、データ管理希望を受信したときには、データを受信したか否かを判断する(ステップS913)。すなわち、被提供者が管理を希望するデータを受信したか否かをする。
【0142】
災害管理サーバ110のCPUは、データを受信したときには、受信したデータを所定の記憶装置の記憶領域(記憶部118)に保存する(ステップS915)。これにより、避難計画データベースDB60に各種のデータが記憶される。
【0143】
なお、被提供者が管理を希望するデータを保存する記憶装置は、前述した記憶部118にすることができる。さらに、災害管理サーバ110(災害管理システム提供事業者)が設置された地域でも災害が起こる可能性がある。このため、災害管理システム提供事業者自身のデータだけでなく、被提供者から預かるデータも含めて、各種のデータの冗長性を有するように、国土の複数の箇所に設置した記憶装置に保存するのが好ましい。特定の地域で災害が生じた場合でも、災害が起こっていない地域に設置した記憶装置からデータを避難計画データベースDB60から読み出すことできる。
【0144】
<<緊急時リソース提供処理>>
図10は、緊急時リソース提供処理を示すフローチャートである。緊急時リソース提供処理は、災害管理サーバ110において実行される。前述したように、いずれかの地域で災害発生しているときに、呼び出されて実行される(
図3のステップS321)。
【0145】
最初に、災害管理サーバ110のCPUは、激甚災害であることが明らかであるか否かを判断する(ステップS1011)。激甚災害であれば、備蓄品の過不足を確認するまでもなく、災害が起こっていない非災害地域から備蓄品を集めて、災害地域(被災地)に送る準備を開始する必要がある。一方、激甚災害でない場合には、備蓄品の過不足を確認し、備蓄品が不足している情報を得てから、必要な備蓄品を非災害地域から集めて災害地域(被災地)に送る準備をする。
【0146】
ステップS1011の激甚災害であるか否かの判断は、各種の情報から判断することができる。前述したように、ステップS311では、災害が発生したか否かを判断している。この判断に利用する各種のニュースサイトからの情報や、各種の気象情報を提供する気象情報サイトからの情報などから判断することができる。例えば、災害に関する情報の発信の頻度や、情報量の多さなどほか、情報の内容などから、激甚災害であるか否かを判断することができる。また、地震計や降雨計や風速計などの各種の測定装置やセンサ(図示せず)の出力信号の大きさなどからも激甚災害であるか否かを判断することができる。
【0147】
次に、災害管理サーバ110のCPUは、激甚災害でないときには、備蓄品が足りない情報を受信する(ステップS1013)。備蓄品が足りない情報は、備蓄品を被提供者に配送したときに、取得することができる。災害が起きたときには、まず、災害地域内の備蓄場所提供者が備蓄している備蓄品を被提供者に配送する。このときに、配送した者が、配送した備蓄品で足りたか不足したかを知得することができ、配送した者が、備蓄品が足りない情報を発信することができる。
【0148】
次に、災害管理サーバ110のCPUは、備蓄品データベースDB10から、災害地域に近くで被災していない他地域の備蓄場所提供者を決定する(ステップS1015)。備蓄品データベースDB10に登録されている備蓄場所提供者の住所を検索することで決定することができる。
【0149】
次に、災害管理サーバ110のCPUは、人的資源データベースDB40から、他地域の作業提供者を決定する(ステップS1017)。人的資源データベースDB40に登録されている作業提供者の住所や作業の種類などを検索することで決定することができる。
【0150】
次に、災害管理サーバ110のCPUは、備蓄品データベースDB10から、備蓄品及び数・量を決定する(ステップS1019)。備蓄品データベースDB10に登録されている備蓄品の種類と、その数量を検索することで決定することができる。
【0151】
次に、災害管理サーバ110のCPUは、ステップS1015で決定した他地域の備蓄場所提供者及びステップS1017で決定した作業提供者に、ステップS1019で決定した備蓄品及び数・量の情報を送信する(ステップS1021)。関係者に備蓄品の種類と、その数量を報知することができる。
【0152】
次に、災害管理サーバ110のCPUは、ステップS1019で決定した備蓄品の数量が足りるか否かを判断する(ステップS1023)。備蓄品の数量が足りる場合には、決定した備蓄場所提供者から備蓄品を被提供者に配送する作業が行われる。ステップS1019で決定した備蓄品の数量が足りない場合には、同じ備蓄場所提供者が備蓄している残りの備蓄品をさらに追加したり、別の備蓄場所提供者が備蓄している備蓄品を新たに追加したりするために、ステップS1015に処理を戻す。
【0153】
このように処理をすることで、備蓄品などの物資が必要な場合に、物資の要求をする情報を送信して、物資を円滑に提供することができる。例えば、複数の備蓄場所提供者が備蓄している備蓄品を、不足分に応じて次々に被提供者に提供することができる。
【0154】
激甚災害である場合には、災害地域で備蓄した備蓄品では足りない可能性が十分に高いので、直ちに、ステップS1015に処理を移して、非災害地域から備蓄品を集めて災害地域に送るための処理を実行する。
【0155】
<<緊急時データ送信処理>>
図11は、緊急時データ送信処理を示すフローチャートである。災害時にアクセスできないと支障が生ずる可能性のあるデータを被提供者に提供するための処理である。緊急時データ送信処理は、災害管理サーバ110において実行される。
【0156】
最初に、災害管理サーバ110のCPUは、通信可能であるか否かを判断する(ステップS1111)。
【0157】
次に、災害管理サーバ110のCPUは、通信できない場合には、通信復旧の作業提供者を決定し(ステップS1113)、決定した作業提供者によって通信復旧作業が行われる。
【0158】
次に、災害管理サーバ110のCPUは、通信できる場合には、被提供者からデータの送信依頼があったか否かを判断する(ステップS1115)。
【0159】
次に、災害管理サーバ110のCPUは、被提供者から送信依頼があった場合には、データを記憶装置から読み出して被提供者に送信する(ステップS1117)。
【0160】
<<BCPデータベースDB70>>
図12は、BCPデータベースDB70の例を示すテーブルである。BCPデータベースDB70は、
図2に示すように、災害管理サーバ110の記憶部118に記憶される。例えば、BCPデータベースDB70は、被災する恐れのある設備、復旧が必要になる設備、その復旧の仕方などからなる。これらの情報をBCPデータベースDB70に事前に記憶させておくことで、災害が発生したときに、被災する恐れのある設備や復旧が必要になる設備を優先して調査し、被災している場合には、復旧の仕方に従って、復旧させることができ、迅速かつ円滑に復旧させることができる。
【0161】
特に、災害が発生していない通常のときに、定期的にBCPデータベースDB70を更新することで、実際に災害があったときに、災害によって機械やボイラーが壊れた場合などでも、迅速にリソースを割り当てることができる。
【0162】
<<人間及び動物の避難システム>>
前述した例は、災害が発生していないときには、災害に備えて各種のリソースを事前に確保し、災害が発生したときには、事前に確保しておいたリソースを被災していない地域から被災した地域に提供するシステムであった。以下では、このようなリソースの提供の別の態様として、人及び動物の避難に特化したシステムについて説明する。
【0163】
<人間>
人間は、健常者、障碍者、病人、怪我人、介護を要する者などの避難を希望する全ての人間を含む。すなわち、災害が発生する前には、自宅で生活している者、介護施設などで生活している者、病院に入院している者などを含む。また、災害が発生したときに、自力で移動できる者(徒歩や自分の運転など自ら移動できる者)、他者の力を借りて移動できる者(介護されて移動できる者、交通機関を利用して移動できる者など)などを含む。人間は、災害が発生したときに、避難を要する者、避難を希望する者である。避難の希望は、自ら発しても、介護者などの管理者が発してもよい。
【0164】
<動物>
動物は、災害が発生する前では、人間とともに生活しているペットを含む。さらに、動物は、家畜や動物園の動物などを含んでもよい。人間と同様に、災害が発生したときに、避難を要する生き物である。避難の希望は、ペットを飼っている飼い主や、動物の所有者や管理者や動物園などが発する。
【0165】
<<災害発生事前判断処理>>
図13は、災害発生事前判断処理を示すフローチャートである。避難の依頼を事前に登録している施設や個人に対して、災害が発生する可能性があるときや、災害が発生したときには、実際に避難を希望するか否かを確認するための処理である。
【0166】
最初に、災害管理サーバ110のCPUは、災害情報、気象情報、ニュース情報、SNS情報、ライブカメラ等の各種の災害関連情報を受信する(ステップS1311)。災害が発生する可能性や、災害が実際に発生したことを判断できる情報であればよい。
【0167】
次に、災害管理サーバ110のCPUは、災害の危険度、緊急度、影響地域を決定する(ステップS1313)。危険度は、甚大、大、中、小などがある。緊急度は、既に発生、24時間以内に発生する可能性、3日以内に発生する可能性、1週間内に発生する可能性などがある。影響地域は、災害の影響を受けている地域や、災害の影響を受ける可能性のある地域である。
【0168】
次に、災害管理サーバ110のCPUは、ステップS1313で決定した災害の危険度、緊急度、影響地域から報知する必要があるか否かを判断する(ステップS1315)。
【0169】
災害管理サーバ110のCPUは、報知する必要がないと判断したときには(NO)、直ちに本サブルーチンを終了する。
【0170】
災害管理サーバ110のCPUは、報知する必要があると判断したときには(YES)、避難希望の問い合わせ情報を生成する(ステップS1317)。問い合わせ情報は、ステップS1313で決定した災害の危険度、緊急度、影響地域などの避難の判断に要する各種の情報である。
【0171】
次に、災害管理サーバ110のCPUは、避難希望の問い合わせ情報を送信する送信先を抽出する(ステップS1319)。影響地域などに基づいて、
図15Aに示す避難希望個人・施設データベースDB80から送信先を決定することができる。
【0172】
図15Aは、避難希望個人・施設データベースDB80を示すテーブルである。
図15Aに示す避難希望個人・施設データは、災害が発生したときに、避難を希望する個人のデータと施設のデータとを記憶する。例えば、避難希望個人・施設データは、個人の氏名、施設の名称や、その住所、管理者の連絡先や、対象や、人数、交通手段などがある。個人も施設にいる人間も避難の対象である。施設は、病院や老人ホームなどがある。また、避難の対象は、人間でもペットなどの動物でもよい。交通手段は、自力で避難できるか、移動手段の提供が必要かを区別するための情報である。
【0173】
ステップS1319の処理は、影響地域などに基づいて、
図15Aの個人や施設の住所から必要な送信先を抽出する処理である。
【0174】
次に、災害管理サーバ110のCPUは、抽出した送信先の施設及び個人に避難希望問い合わせ情報を送信し(ステップS1321)、本サブルーチンを終了する。
【0175】
このように、事前に避難の依頼があった個人や施設に対して、災害の可能性などがあるときには、実際に避難を希望する否かの意思を確認することができる。
【0176】
なお、避難の依頼者は、避難対象の避難を依頼する者である。依頼者自らが、避難の対象となる場合だけでなく、依頼者が、避難の対象と異なる場合もある。例えば、避難の対象が障碍者であれば、その家族が避難の依頼者となる。福祉施設や病院などにいる老人や病人などが避難の対象であれば、福祉施設や病院が避難の依頼者となる。また、避難の対象がペットであれば、その飼い主が避難の依頼者となる。
【0177】
<<災害準備処理>>
図14は、災害準備処理を示すフローチャートである。
図13の処理によって、実際に、避難対象について避難を希望する場合には、避難対象を避難させる場所と移動手段とを確保する必要がある。
図14は、避難場所及び移動手段を確保するための処理である。
【0178】
最初に、災害管理サーバ110のCPUは、施設及び個人からの避難希望情報を受信する(ステップS1411)。
【0179】
次に、災害管理サーバ110のCPUは、受信した避難希望情報に基づいて、
図15Aのテーブルを参照して、避難を希望する施設及び個人の避難に必要な施設及び交通を決定する(ステップS1413)。
【0180】
次に、災害管理サーバ110のCPUは、
図15B及び
図15Cのテーブルを参照して、施設提供者及び移動手段提供者を抽出する(ステップS1415)。
図15Bは、避難先の施設の名称、施設の種類、場所などを記憶する宿泊収容施設提供者データベースDB90である。
図15Cは、避難するときの移動手段の組織の名称、場所、車種などを記憶する交通手段提供者データベースDB100である。
図15B及び
図15Cに示すテーブルも、未だ災害が発生してないが、災害の発生を想定して、事前に避難場所や移動手段を提供できる者を集って収集した情報である。
【0181】
次に、災害管理サーバ110のCPUは、ステップS1415の処理で抽出した施設提供者及び移動手段提供者に、避難対処の受け入れが可能か否かの問い合わせ情報を送信する(ステップS1417)。施設提供者及び移動手段提供者は、受け入れが可能である場合には、人数や対象者などの受け入れ可能な条件を含む情報を災害管理サーバ110に送信する。
【0182】
次に、災害管理サーバ110のCPUは、施設提供者及び移動手段提供者から、避難の受入が可能である情報を受信する(ステップS1419)。
【0183】
次に、災害管理サーバ110のCPUは、避難を希望する避難対象のすべてが避難可能であるか否かを判断する(ステップS1421)。災害管理サーバ110のCPUは、避難を希望する避難対象のすべてが避難可能でないと判断したときには(NO)、ステップS1415に処理を戻す。範囲を広げて施設提供者及び移動手段提供者を抽出する。例えば、多少遠距離となっても、避難を受け入れてもらえる施設提供者及び移動手段提供者を探す。
【0184】
災害管理サーバ110のCPUは、避難を希望する避難対象のすべてが避難可能であると判断したときには(YES)、本サブルーチンを終了する。
【0185】
このようにして、災害が発生したときには、個人だけでなく、病院や老人ホームなどにいる病人や老人なども、的確に避難させることができる。さらに、人間だけでなく、ペットなどの動物も的確に避難させることができる。
【0186】
<<<<本実施の形態の範囲>>>>
上述したように、本発明は、本実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす記載及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきでない。本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態等を含む。
【符号の説明】
【0187】
10 災害管理システム
100 通信ネットワーク
110 災害管理サーバ
120 被提供者端末装置
130 物資提供者端末装置
140 備蓄場所提供者端末装置
150 作業提供者端末装置