(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022083765
(43)【公開日】2022-06-06
(54)【発明の名称】窓開閉システム
(51)【国際特許分類】
E05F 11/04 20060101AFI20220530BHJP
【FI】
E05F11/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020195287
(22)【出願日】2020-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】503428703
【氏名又は名称】オイレスECO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108442
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義孝
(72)【発明者】
【氏名】大石 守
(72)【発明者】
【氏名】平塚 鉄也
【テーマコード(参考)】
2E050
【Fターム(参考)】
2E050NA03
2E050QA02
2E050QB03
2E050QC03
2E050QD02
2E050QE03
(57)【要約】
【課題】手間と時間とを要せず、窓本体を閉鎖状態から開放状態にスムースに旋回させて窓本体を容易に開放することができ、窓本体を開放状態から閉鎖状態にスムースに旋回させて窓本体を容易に閉鎖することができる窓開閉システムを提供する。
【解決手段】窓開閉システム10は、スライダー19をガイドライン18の下端から上下方向上方へスライドさせて牽引チェーンを上下方向上方へ作動させ、牽引チェーンに係合するスプロケットの回転によって第1及び第2ローラーを回転させて第1及び第2旋回チェーンを一方向へ繰り出して窓本体13a,13bを閉鎖状態から開放状態に旋回させ、スライダー19をガイドライン18の上端から上下方向下方へスライドさせて牽引チェーンを上下方向下方へ作動させ、スプロケットの回転によって第1及び第2ローラーを回転させて第1及び第2旋回チェーンを他方向へ引っ張って窓本体13a,13bを開放状態から閉鎖状態に旋回させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
窓フレームに回転可能に設置された回転端部を中心に自由端部が上下方向へ旋回する窓本体と、前記窓本体の自由端部に連結されて該窓本体を閉鎖状態から開放状態に旋回させつつ該開放状態から該閉鎖状態に旋回させる旋回チェーンと、前記窓本体を閉鎖状態から開放状態に旋回させるために前記旋回チェーンを一方向へ繰り出すとともに、該窓本体を開放状態から閉鎖状態に旋回させるために該旋回チェーンを他方向へ引っ張るチェーン作動手段とを備えた窓開閉システムであって、
前記チェーン作動手段が、前記窓フレームの下方に位置して上下方向へ延びるガイドラインと、前記ガイドラインに沿って上下方向へスライドするスライダーと、前記スライダーに連結されて該スライダーの上下方向のスライドに伴って上下動する牽引部材と、前記牽引部材の上下移動に伴って回転し、前記旋回チェーンを巻き取るとともに該旋回チェーンを繰り出す回転機構とから形成され、
前記窓開閉システムは、前記スライダーを前記ガイドラインにおいて上下方向へスライドさせて前記牽引部材を上下方向へ作動させ、前記回転機構を回転させつつ前記旋回チェーンを一方向へ繰り出して前記窓本体を閉鎖状態から開放状態に旋回させ、又は、前記回転機構を回転させつつ前記旋回チェーンを他方向へ引っ張って前記窓本体を開放状態から閉鎖状態に旋回させることを特徴とする窓開閉システム。
【請求項2】
前記窓開閉システムは、前記スライダーを前記ガイドラインの下端から上下方向上方へスライドさせて前記牽引部材を上下方向上方へ作動させ、前記回転機構を回転させつつ前記旋回チェーンを一方向へ繰り出して前記窓本体を閉鎖状態から開放状態に旋回させ、前記スライダーを前記ガイドラインの上端から上下方向下方へスライドさせて前記牽引部材を上下方向下方へ作動させ、前記回転機構を回転させつつ前記旋回チェーンを他方向へ引っ張って前記窓本体を開放状態から閉鎖状態に旋回させる請求項1に記載の窓開閉システム。
【請求項3】
前記窓フレームが、上下方向へ離間対向して横方向へ延びる上方フレーム及び下方フレームと、横方向へ離間対向して上下方向へ延びる第1及び第2側方フレームとから形成され、前記窓本体が、前記下方フレームに回転可能に連結されて前記閉鎖状態において該下方フレームに気密に密着する前記回転端部と、閉鎖動作において前記上方フレームに気密に密着する閉鎖位置に旋回しつつ開放動作おいて上下方向下方の開放位置に旋回する前記自由端部とを有し、前記旋回チェーンが、前記窓本体を閉鎖状態から開放状態に旋回させる初動時に、その直動性によって前記自由端部の旋回を助長する繰り出し力を発揮し、前記窓開閉システムは、前記窓本体の自由端部が閉鎖位置から開放位置に旋回する初動時に前記旋回チェーンの繰り出し力を利用して旋回しつつ、前記初動時を除く旋回過程において前記窓本体の自重によって該窓本体の自由端部が上下方向下方へ自動的に旋回する請求項1又は請求項2に記載の窓開閉システム。
【請求項4】
前記牽引部材が、前記スライダーに一端部が連結されて該スライダーの上下方向のスライドに伴って上下動する牽引チェーンであり、前記回転機構が、前記窓フレームに回転可能に設置されて横方向へ延びるロッドと、前記ロッドの一方に形成されて前記牽引チェーンが係合し、該牽引チェーンの上下動に伴って回転するスプロケットと、前記ロッドの他方に形成されて前記旋回チェーンが連結され、前記スプロケットの回転に伴って前記旋回チェーンを繰り出すとともに該旋回チェーンを巻き取るローラーとから形成されている請求項1ないし請求項3いずれか記載の窓開閉システム。
【請求項5】
前記回転機構が、前記ロッドの他方に設置されて巻き方向又は巻き方向とは逆方向へねじれた場合、ねじれた角度に比例する反対方向へトルクを発現するトーションスプリングを含み、前記窓開閉システムは、前記旋回チェーンを繰り出す方向へ前記ロッドが回転したときに前記トーションスプリングが巻き方向又は巻き方向とは逆方向へねじれ、前記トーションスプリングが前記旋回チェーンを引っ張る方向へトルクを発現し、前記トーションスプリングのトルクによって前記ローラーへの旋回チェーンの巻取りが助長される請求項4に記載の窓開閉システム。
【請求項6】
前記窓開閉システムが、前記窓フレームを形成する第1側方フレームと第2側方フレームとのうちのいずれか一方から下方へ延びる架設ユニットを含み、前記ガイドラインが、前記架設ユニットに形成され、前記窓フレームの下方に位置して上下方向へ延びている請求項3ないし請求項5いずれかに記載の窓開閉システム。
【請求項7】
前記架設ユニットが、互いに対向して上下方向へ延びる第1ガイドプレート及び第2ガイドプレートと、前記第1及び第2ガイドプレートの間に位置して上下方向へ延びるベースプレートとから形成され、前記牽引チェーンを上下動可能に収容する第1チェーン収容スペースが、前記第1ガイドプレートの側に形成されて上下方向へ延びているとともに、前記牽引チェーンを上下動可能に収容する第2チェーン収容スペースが、前記第2ガイドプレートの側に形成されて上下方向へ延びている請求項6に記載の窓開閉システム。
【請求項8】
前記チェーン作動手段が、前記スライダーを上下方向下方へスライドさせて該スライダーが前記ガイドラインの下端に位置したときに、前記牽引チェーンに緊張力を付与しつつ前記スライダーのスライドをロックするロック機構を含む請求項4ないし請求項7いずれかに記載の窓開閉システム。
【請求項9】
前記ロック機構が、前記ガイドラインの下端に形成された係合カムと、前記スライダーの下端に回転可能に設置され、該スライダーの下端に位置する回転基端部に係合ピンを有して該係合ピンが前記係合カムの外周縁を移動する旋回レバーとから形成され、前記窓開閉システムは、前記スライダーを前記ガイドラインの下端に移動させた後、前記旋回レバーを正逆いずれか一方に回転させ、前記係合ピンを前記係合カムの外周縁に沿って所定のロック位置に移動させることで、前記牽引チェーンに緊張力を付与した状態で前記スライダーのスライドがロックされ、前記スライダーのスライドがロックされた状態で前記旋回レバーを正逆いずれか他方に回転させ、前記係合ピンを前記係合カムの外周縁に沿って所定のロック解除位置に移動させることで、前記ガイドラインにおけるスライダーのスライドが可能となる請求項8に記載の窓開閉システム。
【請求項10】
前記窓開閉システムが、前記ガイドラインの所定の箇所に装脱可能に設置されて前記スライダーの上下方向へのスライドを停止させるストッパーを含み、前記窓開閉システムは、前記ガイドラインにおける前記ストッパーの設置位置を調節することで、前記ガイドラインの下端からの前記スライダーの上下方向へのスライド距離を調節可能であり、前記窓本体の自由端部の前記上方フレームから下方への旋回角度を調節可能である請求項1ないし請求項9いずれかに記載の窓開閉システム。
【請求項11】
前記窓開閉システムが、前記スライダーに設置されて該スライダーを前記ガイドラインの所定の箇所に固定する固定手段を含み、前記窓開閉システムは、前記スライダーを前記ガイドラインにおいて上下方向へスライドさせる過程において前記固定手段を利用して該スライダーを該ガイドラインの所定の箇所で固定可能であり、前記窓本体の自由端部を前記上方フレームから下方へ任意の角度で旋回させた状態で該窓本体を開放可能である請求項1ないし請求項9いずれかに記載の窓開閉システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窓開閉システムに関し、更に詳細には、排煙窓に好適に使用される窓開閉システムに関する。
【背景技術】
【0002】
窓枠に対して変位可能に組み付けられた障子(窓本体)と、その障子を開閉作動させるハンドルボックスとを備えた窓開閉装置が開示されている(特許文献1参照)。ハンドルボックスは、操作者が障子を閉じる操作を行う際に、操作者により回転操作されるハンドル部と、ハンドル部の操作によって発生した回転力を利用して障子を閉じる向きに変位させる開閉機構と、ハンドル部の操作によって発生した回転力が入力される入力部とを有し、粘性流体の粘性抵抗を利用して回転力を開閉機構に伝達する流体継手とを備えている。流体継手は、粘性流体が封入されて開閉機構に回転力を出力する出力軸が設けられたケーシングと、ケーシング内に回転可能に収納されて入力部に入力された回転力を受けて回転する回転体を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に開示の窓開閉装置は、開放状態にある障子(窓本体)を閉じる場合、操作者がワイヤーを巻き取る向きに巻取ハンドルを回転させる。巻取ハンドルを回転させる操作は、巻取ハンドルを何回も回転させなければならず、操作者にとってその閉鎖作業が煩わしく、開放状態にある障子の閉鎖に手間と時間とを要する。又、巻取ハンドルが窓から離間した位置に設置され、巻取ハンドルの操作中に窓の開閉状態がわかりづらい場合、どこまで巻取ハンドルを回転させれば障子が閉鎖されたかが分かり難く、障子を完全に閉鎖させる途中でハンドルの回転を止め、障子の閉鎖が不完全な状態で放置される場合がある。
【0005】
本発明の目的は、手間と時間とを要せず、窓本体を閉鎖状態から開放状態にスムースに旋回させて窓本体を容易に開放することができ、窓本体を開放状態から閉鎖状態にスムースに旋回させて窓本体を容易に閉鎖することができる窓開閉システムを提供することにある。本発明の他の目的は、窓本体の閉鎖位置を明確に確認することができ、窓本体の閉鎖が不完全な状態で放置されることはなく、窓本体を完全な状態で確実に閉鎖することができる窓開閉システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための本発明の前提は、窓フレームに回転可能に設置された回転端部を中心に自由端部が上下方向へ旋回する窓本体と、窓本体の自由端部に連結されて窓本体を閉鎖状態から開放状態に旋回させつつ開放状態から閉鎖状態に旋回させる旋回チェーンと、窓本体を閉鎖状態から開放状態に旋回させるために旋回チェーンを一方向へ繰り出すとともに、窓本体を開放状態から閉鎖状態に旋回させるために旋回チェーンを他方向へ引っ張るチェーン作動手段とを備えた窓開閉システムである。
【0007】
前記前提における本発明の特徴は、チェーン作動手段が、窓フレームの下方に位置して上下方向へ延びるガイドラインと、ガイドラインに沿って上下方向へスライドするスライダーと、スライダーに連結されてスライダーの上下方向のスライドに伴って上下動する牽引部材と、牽引部材の上下移動に伴って回転し、旋回チェーンを巻き取るとともに旋回チェーンを繰り出す回転機構とから形成され、窓開閉システムは、スライダーをガイドラインにおいて上下方向へスライドさせて牽引部材を上下方向へ作動させ、回転機構を回転させつつ旋回チェーンを一方向へ繰り出して窓本体を閉鎖状態から開放状態に旋回させ、又は、回転機構を回転させつつ旋回チェーンを他方向へ引っ張って窓本体を開放状態から閉鎖状態に旋回させることにある。
【0008】
本発明の一例として、窓開閉システムは、スライダーをガイドラインの下端から上下方向上方へスライドさせて牽引部材を上下方向上方へ作動させ、回転機構を回転させつつ旋回チェーンを一方向へ繰り出して窓本体を閉鎖状態から開放状態に旋回させ、スライダーをガイドラインの上端から上下方向下方へスライドさせて牽引部材を上下方向下方へ作動させ、回転機構を回転させつつ旋回チェーンを他方向へ引っ張って窓本体を開放状態から閉鎖状態に旋回させる。
【0009】
本発明の他の一例としては、窓フレームが、上下方向へ離間対向して横方向へ延びる上方フレーム及び下方フレームと、横方向へ離間対向して上下方向へ延びる第1及び第2側方フレームとから形成され、窓本体が、下方フレームに回転可能に連結されて閉鎖状態において下方フレームに気密に密着する回転端部と、閉鎖動作において上方フレームに気密に密着する閉鎖位置に旋回しつつ開放動作おいて上下方向下方の開放位置に旋回する前記自由端部とを有し、旋回チェーンが、窓本体を閉鎖状態から開放状態に旋回させる初動時に、その直動性によって自由端部の旋回を助長する繰り出し力を発揮し、窓開閉システムは、窓本体の自由端部が閉鎖位置から開放位置に旋回する初動時に旋回チェーンの繰り出し力を利用して旋回しつつ、初動時を除く旋回過程において窓本体の自重によって窓本体の自由端部が上下方向下方へ自動的に旋回する。
【0010】
本発明の他の一例としては、牽引部材が、スライダーに一端部が連結されてスライダーの上下方向のスライドに伴って上下動する牽引チェーンであり、回転機構が、窓フレームに回転可能に設置されて横方向へ延びるロッドと、ロッドの一方に形成されて牽引チェーンが係合し、牽引チェーンの上下動に伴って回転するスプロケットと、ロッドの他方に形成されて旋回チェーンが連結され、スプロケットの回転に伴って旋回チェーンを繰り出すとともに旋回チェーンを巻き取るローラーとから形成されている。
【0011】
本発明の他の一例としては、回転機構が、ロッドの他方に設置されて巻き方向又は巻き方向とは逆方向へねじれた場合、ねじれた角度に比例する反対方向へトルクを発現するトーションスプリングを含み、窓開閉システムは、旋回チェーンを繰り出す方向へロッドが回転したときにトーションスプリングが巻き方向又は巻き方向とは逆方向へねじれ、トーションスプリングが旋回チェーンを引っ張る方向へトルクを発現し、トーションスプリングのトルクによってローラーへの旋回チェーンの巻取りが助長される。
【0012】
本発明の他の一例としては、窓開閉システムが、窓フレームを形成する第1側方フレームと第2側方フレームとのうちのいずれか一方から下方へ延びる架設ユニットを含み、ガイドラインが、架設ユニットに形成され、窓フレームの下方に位置して上下方向へ延びている。
【0013】
本発明の他の一例としては、架設ユニットが、互いに対向して上下方向へ延びる第1ガイドプレート及び第2ガイドプレートと、第1及び第2ガイドプレートの間に位置して上下方向へ延びるベースプレートとから形成され、牽引チェーンを上下動可能に収容する第1チェーン収容スペースが、第1ガイドプレートの側に形成されて上下方向へ延びているとともに、牽引チェーンを上下動可能に収容する第2チェーン収容スペースが、第2ガイドプレートの側に形成されて上下方向へ延びている。
【0014】
本発明の他の一例としては、チェーン作動手段が、スライダーを上下方向下方へスライドさせてスライダーがガイドラインの下端に位置したときに、牽引チェーンに緊張力を付与しつつスライダーのスライドをロックするロック機構を含む。
【0015】
本発明の他の一例としては、ロック機構が、ガイドラインの下端に形成された係合カムと、スライダーの下端に回転可能に設置され、スライダーの下端に位置する回転基端部に係合ピンを有して係合ピンが係合カムの外周縁を移動する旋回レバーとから形成され、窓開閉システムは、スライダーをガイドラインの下端に移動させた後、旋回レバーを正逆いずれか一方に回転させ、係合ピンを係合カムの外周縁に沿って所定のロック位置に移動させることで、牽引チェーンに緊張力を付与した状態でスライダーのスライドがロックされ、スライダーのスライドがロックされた状態で旋回レバーを正逆いずれか他方に回転させ、係合ピンを係合カムの外周縁に沿って所定のロック解除位置に移動させることで、ガイドラインにおけるスライダーのスライドが可能となる。
【0016】
本発明の他の一例としては、窓開閉システムが、ガイドラインの所定の箇所に装脱可能に設置されてスライダーの上下方向へのスライドを停止させるストッパーを含み、窓開閉システムは、ガイドラインにおけるストッパーの設置位置を調節することで、ガイドラインの下端からのスライダーの上下方向へのスライド距離を調節可能であり、窓本体の自由端部の上方フレームから下方への旋回角度を調節可能である。
【0017】
本発明の他の一例としては、窓開閉システムが、スライダーに設置されてスライダーをガイドラインの所定の箇所に固定する固定手段を含み、窓開閉システムは、スライダーをガイドラインにおいて上下方向へスライドさせる過程において固定手段を利用してスライダーをガイドラインの所定の箇所で固定可能であり、窓本体の自由端部を上方フレームから下方へ任意の角度で旋回させた状態で窓本体を開放可能である。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る窓開閉システムによれば、スライダーをガイドラインにおいて上下方向へスライドさせて牽引部材を上下方向へ作動させて回転機構を回転させつつ旋回チェーンを一方向へ繰り出して窓本体を閉鎖状態から開放状態に旋回させるから、スライダーの上下方向へのスライド操作だけで窓本体を閉鎖状態から開放状態に旋回させることができ、手間と時間とを要せず、窓本体を閉鎖状態から開放状態にスムースに旋回させて窓本体を容易に開放することができる。窓開閉システムは、スライダーをガイドラインにおいて上下方向へスライドさせて牽引部材を上下方向へ作動させて回転機構を回転させつつ旋回チェーンを他方向へ引っ張って窓本体を開放状態から閉鎖状態に旋回させるから、スライダーの上下方向へのスライド操作だけで窓本体を開放状態から閉鎖状態に旋回させることができ、手間と時間とを要せず、窓本体を開放状態から閉鎖状態にスムースに旋回させて窓本体を容易に閉鎖することができる。窓開閉システムは、開放された窓本体を閉鎖する場合、従来技術のように巻取ハンドルを何回も回転させる必要はなく、スライダーを上下方向へスライドさせればよく、開放状態にある窓本体を単純なスライド操作で短時間に閉鎖することができる。
【0019】
スライダーをガイドラインの下端から上下方向上方へスライドさせて牽引部材を上下方向上方へ作動させ、回転機構を回転させつつ旋回チェーンを一方向へ繰り出して窓本体を閉鎖状態から開放状態に旋回させ、スライダーをガイドラインの上端から上下方向下方へスライドさせて牽引部材を上下方向下方へ作動させ、回転機構を回転させつつ旋回チェーンを他方向へ引っ張って窓本体を開放状態から閉鎖状態に旋回させる窓開閉システムは、スライダーの上下方向上方へのスライド操作だけで窓本体を閉鎖状態から開放状態に旋回させることができ、手間と時間とを要せず、窓本体を閉鎖状態から開放状態にスムースに旋回させて窓本体を容易に開放することができるとともに、スライダーの上下方向下方へのスライド操作だけで窓本体を開放状態から閉鎖状態に旋回させることができ、手間と時間とを要せず、窓本体を開放状態から閉鎖状態にスムースに旋回させて窓本体を容易に閉鎖することができる。窓開閉システムは、開放された窓本体を閉鎖する場合、従来技術のように巻取ハンドルを何回も回転させる必要はなく、スライダーを上下方向下方へスライドさせればよく、開放状態にある窓本体を単純なスライド操作で短時間に閉鎖することができる。
【0020】
窓フレームが上方フレーム及び下方フレームと第1及び第2側方フレームとから形成され、窓本体が下方フレームに回転可能に連結された回転端部と上下方向下方の開放位置に旋回する自由端部とを有し、旋回チェーンが窓本体を閉鎖状態から開放状態に旋回させる初動時にその直動性によって自由端部の旋回を助長する繰り出し力を発揮し、窓本体の自由端部が旋回の初動時に旋回チェーンの繰り出し力を利用して旋回しつつ、初動時を除く旋回過程において窓本体の自重によって窓本体の自由端部が上下方向下方へ自動的に旋回する窓開閉システムは、旋回チェーンの繰り出し力及び窓本体の自重を利用することで、スライダーを上下方向(上下方向上方)へスライドさせたときに窓本体を確実に旋回させることができ、スライダーの上下方向(上下方向上方)へのスライド操作によって手間と時間とを要せずに窓本体を閉鎖状態から開放状態にスムースに旋回させて窓本体を容易に開放することができる。窓開閉システムは、初動時を除く旋回過程において窓本体の自重によって窓本体の自由端部が上下方向下方へ自動的に旋回するから、非常時においてスライダーのスライド操作を要せずに窓本体を一気に開放することができる。
【0021】
牽引部材がスライダーに一端部が連結されてスライダーの上下方向のスライドに伴って上下動する牽引チェーンであり、回転機構が窓フレームに回転可能に設置されて横方向へ延びるロッドと牽引チェーンの上下動に伴って回転するスプロケットとスプロケットの回転に伴って記旋回チェーンを繰り出すとともに旋回チェーンを巻き取るローラーとから形成されている窓開閉システムは、スライダーをガイドラインにおいて上下方向(上下方向上方)へスライドさせて牽引チェーンを上下方向へ作動させ、牽引チェーンの上下方向(上下方向上方)への作動によってスプロケットを回転させて旋回チェーンをローラーから繰り出し、窓本体を閉鎖状態から開放状態に旋回させるから、スライダーの上下方向(上下方向上方)へのスライド操作だけで窓本体を閉鎖状態から開放状態に旋回させることができ、手間と時間とを要せず、窓本体を閉鎖状態から開放状態にスムースに旋回させて窓本体を容易に開放することができる。又、牽引チェーンの上下方向(上下方向下方)への作動によってスプロケットを回転させて旋回チェーンをローラーに巻き取り、窓本体を開放状態から閉鎖状態に旋回させるから、スライダーの上下方向(上下方向下方)へのスライド操作だけで窓本体を開放状態から閉鎖状態に旋回させることができ、手間と時間とを要せず、窓本体を開放状態から閉鎖状態にスムースに旋回させて窓本体を容易に閉鎖することができる。
【0022】
回転機構がねじれた角度に比例する反対方向へトルクを発現するトーションスプリングを含み、旋回チェーンを繰り出す方向へロッドが回転したときにトーションスプリングが巻き方向又は巻き方向とは逆方向へねじれ、トーションスプリングが旋回チェーンを引っ張る方向(巻き取る方向)へトルクを発現し、トーションスプリングのトルクによってローラーへの旋回チェーンの巻取りが助長される窓開閉システムは、開放状態にある窓本体を閉鎖する場合、窓本体の自重によってスライダーを上下方向下方又は上下方向上方へスライドさせる際に力を要するが、トーションスプリングのトルクによってローラーへの旋回チェーンの巻取りが助長されるから、トーションスプリングを利用することで、大きな力を要せずにスライダーを上下方向下方又は上下方向上方へスライドさせることができ、窓本体を開放状態から閉鎖状態にスムースに旋回させて窓本体を容易に閉鎖することができる。
【0023】
窓フレームを形成する第1側方フレームと第2側方フレームとのうちのいずれか一方から下方へ延びる架設ユニットを含み、ガイドラインが架設ユニットに形成され、窓フレームの下方に位置して上下方向へ延びている窓開閉システムは、ガイドラインを窓フレームの下方から上下方向へ延びるように架設ユニットに形成することで、スライダーに力を作用させ易い位置にスライダーが配置され、スライダーを上下方向上方や上下方向下方へ容易にスライドさせることができ、窓本体を閉鎖状態から開放状態にスムースに旋回させて窓本体を容易に開放することができるとともに、窓本体を開放状態から閉鎖状態にスムースに旋回させて窓本体を容易に閉鎖することができる。
【0024】
架設ユニットが互いに対向して上下方向へ延びる第1ガイドプレート及び第2ガイドプレートと第1及び第2ガイドプレートの間に位置して上下方向へ延びるベースプレートとから形成され、牽引チェーンを上下動可能に収容する第1チェーン収容スペースが第1ガイドプレートの側に形成されて上下方向へ延びているとともに、牽引チェーンを上下動可能に収容する第2チェーン収容スペースが第2ガイドプレートの側に形成されて上下方向へ延びている窓開閉システムは、牽引チェーンが第1及び第2チェーン収容スペースに上下動可能に収容されることで、スライダーをガイドラインにおいて上下方向(スライダーをガイドラインの下端から上下方向上方)へスライドさせて牽引チェーンを第1及び第2チェーン収容スペースにおいて上下方向に作動させ、牽引チェーンの作動によってスプロケットを回転させて旋回チェーンをローラーから繰り出し、窓本体を閉鎖状態から開放状態に旋回させるから、スライダーの上下方向(上下方向上方)へのスライド操作だけで窓本体を閉鎖状態から開放状態に旋回させることができ、手間と時間とを要せず、窓本体を閉鎖状態から開放状態にスムースに旋回させて窓本体を容易に開放することができる。窓開閉システムは、スライダーをガイドラインにおいて上下方向(スライダーをガイドラインの上端から上下方向下方)へスライドさせて牽引チェーンを第1及び第2チェーン収容スペースにおいて上下方向に作動させ、牽引チェーンの作動によってスプロケットを回転させて旋回チェーンをローラーに巻き取り、窓本体を開放状態から閉鎖状態に旋回させるから、スライダーの上下方向(上下方向下方)へのスライド操作だけで窓本体を開放状態から閉鎖状態に旋回させることができ、手間と時間とを要せず、窓本体を開放状態から閉鎖状態にスムースに旋回させて窓本体を容易に閉鎖することができる。
【0025】
スライダーを上下方向下方へスライドさせてスライダーがガイドラインの下端に位置したときに、牽引チェーンに緊張力を付与しつつスライダーのスライドをロックするロック機構を含む窓開閉システムは、ロック機構によってスライダーのスライド(上下動)をロックすることで、窓本体の閉鎖位置を明確に確認することができ、窓本体の閉鎖が不完全な状態で放置されることはなく、窓本体を完全な状態で確実に閉鎖することができる。窓開閉システムは、牽引チェーンに緊張力を付与した状態でスライダーのスライドをロックするから、牽引チェーンが緩むことはなく、窓本体を気密に閉鎖することができ、窓本体の閉鎖時における空気の通流を防ぐことができる。
【0026】
ロック機構がガイドラインの下端に形成された係合カムと、スライダーの下端に回転可能に設置され、スライダーの下端に位置する回転基端部に係合ピンを有して係合ピンが係合カムの外周縁を移動する旋回レバーとから形成され、スライダーをガイドラインの下端に移動させた後、旋回レバーを正逆いずれか一方に回転させ、係合ピンを係合カムの外周縁に沿って所定のロック位置に移動させることで、牽引チェーンに緊張力を付与した状態でスライダーのスライドがロックされ、スライダーのスライドがロックされた状態で旋回レバーを正逆いずれか他方に回転させ、係合ピンを係合カムの外周縁に沿って所定のロック解除位置に移動させることで、ガイドラインにおけるスライダーのスライドが可能となる窓開閉システムは、ガイドラインの下端において旋回レバーを正逆いずれか一方に回転させ、係合ピンを係合カムの外周縁に沿って所定のロック位置に移動させ、牽引チェーンに緊張力を付与しつつスライダーのスライド(上下動)をロックするから、係合ピンをロック位置に移動させることで、窓本体の閉鎖位置を明確に確認することができ、窓本体の閉鎖が不完全な状態で放置されることはなく、窓本体を完全な状態で確実に閉鎖することができる。窓開閉システムは、牽引チェーンに緊張力を付与した状態でスライダーのスライドをロックするから、牽引チェーンが緩むことはなく、窓本体を気密に閉鎖することができ、窓本体の閉鎖時における空気の通流を防ぐことができる。窓開閉システムは、スライダーのスライドがロックされた状態で旋回レバーを正逆いずれか他方に回転させ、係合ピンを係合カムの外周縁に沿って所定のロック解除位置に移動させることでロックが解除されるから、スライダーのスライドがロックされたロック状態からそのロックを容易に解除することができ、窓本体の開放を容易に行うことができる。
【0027】
ガイドラインの所定の箇所に装脱可能に設置されてスライダーの上下方向へのスライドを停止させるストッパーを含み、ガイドラインにおけるストッパーの設置位置を調節することで、ガイドラインの下端からのスライダーの上下方向へのスライド距離を調節可能であり、窓本体の自由端部の上方フレームから下方への旋回角度を調節可能である窓開閉システムは、ガイドラインにおけるストッパーの設置位置を調節することで、窓本体の自由端部の上方フレームから下方への旋回角度を調節することができるから、開放時の窓本体の開放面積を調節することができ、窓本体を通流する空気の風量を調節することができる。
【0028】
スライダーに設置されてスライダーをガイドラインの所定の箇所に固定する固定手段を含み、スライダーをガイドラインにおいて上下方向へスライドさせる過程において固定手段を利用してスライダーをガイドラインの所定の箇所で固定可能であり、窓本体の自由端部を上方フレームから下方へ任意の角度で旋回させた状態で窓本体を開放可能である窓開閉システムは、固定手段を利用してスライダーをガイドラインの所定の箇所で固定することで、窓本体の自由端部を上方フレームから下方へ任意の角度で旋回させた状態で窓本体を開放することができるから、固定手段を利用して開放時の窓本体の開放面積を調節することができ、窓本体を通流する空気の風量を調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図3】窓本体が開放された状態で示す部分拡大正面図。
【
図7】ロック機構の一例を示す架設ユニットの部分拡大図。
【
図9】回転機構の一例を示す駆動ユニットの部分拡大上面図。
【
図10】
図9から続く駆動ユニットの部分拡大上面図。
【
図11】窓本体を閉鎖した状態の窓開閉システムの部分拡大側面図。
【
図12】断面で示す
図11と同様の窓開閉システムの部分拡大側面図。
【
図13】窓本体を開放した状態の窓開閉システムの部分拡大側面図。
【
図14】断面で示す
図13と同様の窓開閉システムの部分拡大側面図。
【
図15】他の一例として示す架設ユニットの側面図。
【
図16】スライダーがストッパーに当接した状態で示す架設ユニットの側面図。
【
図17】止めネジによってスライダーがガイドラインの所定の箇所に固定された状態を示す架設ユニットの部分拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
一例として示す窓開閉システム10の正面図である
図1等の添付の図面を参照し、本発明に係る窓開閉システムの詳細を説明すると、以下のとおりである。尚、
図2は、窓開閉システム10の上面図であり、
図3は、窓本体13aが開放された状態で示す部分拡大正面図である。
図1,2では、上下方向を矢印X、横方向を矢印Yで示し、前後方向を矢印Zで示す。
図1では、2つの第1及び第2窓フレーム12a,12bと2つの第1及び第2窓本体13a,13bとを図示しているが、窓フレームや窓本体の数に特に限定はなく、窓フレームや窓本体が1つであってもよく、窓フレームや窓本体が3つ以上であってもよい。
【0031】
窓開閉システム10(排煙オペレーター)は、常時は空気の入れ替え用(室内換気用)として利用され、緊急時(火災発生時等)は有害な煙を排気する排煙窓として利用される。窓開閉システム10は、第1窓フレーム12a及び第2窓フレーム12bと、第1窓フレーム12aに設置された第1窓本体13a(第1障子)及び第2窓フレーム12bに設置された第2窓本体13b(第2障子)と、第1窓本体13aを旋回させる第1旋回チェーン14a及び第2窓本体13bを旋回させる第2旋回チェーン14bと、架設ユニット15(チェーンボックス)と、第1駆動ユニット16a及び第2駆動ユニット16bと、それら旋回チェーン14a,14bを作動(繰り出し又は巻き取り)させるチェーン作動手段17とを備えている。
【0032】
チェーン作動手段17は、ガイドライン18(スライドライン)、スライダー19、ロック機構20、牽引チェーン21(牽引部材)、第1回転機構22a及び第2回転機構22bから形成されている。ガイドライン18やスライダー19、ロック機構20、牽引チェーン21は、架設ユニット15に設置されている。第1回転機構22aは、第1駆動ユニット16a(
図2参照)に設置され、第2回転機構22bは、第2駆動ユニット16b(
図2参照)に設置されている。
【0033】
第1窓フレーム12a及び第2窓フレーム12bは、所定の建築物の高所(天井近傍)に施設され、横方向へ長い矩形の同形同大のそれらが横方向へ並んでいる。それら窓フレーム12a,12bは、天井近傍に設置されて横方向へ直状に延びる上方フレーム23と、上方フレーム23の下方に設置されて横方向へ直状に延びる下方フレーム24と、上下方向へ直状に延びる第1側方フレーム25a及び第2側方フレーム25bとから形成されている。
【0034】
それら窓フレーム12a,12bでは、上方フレーム23及び下方フレーム24が互いに平行するように上下方向へ離間対向し、第1側方フレーム25a及び第2側方フレーム25bが互いに平行するように横方向へ離間対向している。それら窓フレーム12a,12bでは、上下方フレーム23,24と第1及び第2側方フレーム25a,25bとが横方向へ長い矩形の同形同大の2つの窓(障子)設置空間を画成している。第1及び第2窓フレーム12a,12bの大きさや形状について特に限定はなく、その大きさや形状を自由に設計することができる。
【0035】
上下方フレーム23,24と第1及び第2側方フレーム25a,25bとは、略アングル形状(L字状)に成形されている。上方フレーム23は、窓本体13a,13bの自由端部36の直上に位置して横方向へ延びる上枠プレート26と、上枠プレート26に直交して横方向へ延びていて窓本体13a,13bの自由端部36の後面が気密に当接する上当接プレート27とを有する。下方フレーム24は、それら窓本体13a,13bの回転端部35の直下に位置して横方向へ延びる下枠プレート28と、下枠プレート28に直交して横方向へ延びていて窓本体13a,13bの回転端部35の後面が気密に当接する下当接プレート29とを有する。
【0036】
第1側方フレーム25aは、窓本体13a,13bの第1側部37aの側方に位置して上下方向へ延びる第1側枠プレート30と、第1側枠プレート30に直交して上下方向へ延びていて窓本体13a,13bの第1側部37aの後面が気密に当接する第1当接プレート31とを有する。第2側方フレーム25bは、窓本体13a,13bの第2側部37bの側方に位置して上下方向へ延びる第2側枠プレート32と、第2側枠プレート32に直交して上下方向へ延びていて窓本体13a,13bの第2側部37bの後面が気密に当接する第2当接プレート33とを有する。
【0037】
第1及び第2窓フレーム12a,12bには、樹脂サッシやアルミサッシ、アルミ樹脂複合サッシが使用され、既存の接続手段によってそれら窓フレーム12a,12bが壁に接続されているとともに、それら窓フレーム12a,12bどうしが接続されている。第1及び第2窓フレーム12a,12b(第1及び第2窓本体13a,13b)の直下には、窓フレーム(樹脂サッシやアルミサッシ、アルミ樹脂複合サッシ)にガラス(ガラス障子)が嵌め込まれた開閉可能な窓設備34が施設されている。窓フレーム12a,12bと窓設備34とは、既存の接続手段によって接続されている。尚、第1及び第2窓フレーム12a,12b(第1及び第2窓本体13a,13b)の直下に壁が施設される場合がある。
【0038】
第1及び第2窓本体13a,13b(障子)は、第1及び第2窓フレーム12a,12bに旋回可能に取り付けられ、横方向へ長い矩形の同形同大のそれらが横方向へ並んでいる。第1及び第2窓本体13a,13bは、閉鎖状態(閉鎖位置)から開放状態(全開位置)に旋回するとともに、開放状態から閉鎖状態に旋回する。第1及び第2窓本体13a,13bの大きさや形状について特に限定はなく、第1及び第2窓フレーム12a,12bの大きさや形状に応じてその大きさや形状を自由に設計することができる。
【0039】
それら窓本体13a,13bは、窓フレーム12a,12bの下方フレーム24に回転可能に連結(設置)されて横方向へ直状に延びる回転端部35(回転フレーム)と、回転端部35から上方へ離間対向して横方向へ直状に延びる自由端部36(旋回フレーム)と、横方向へ離間対向して上下方向へ直状に延びる第1側部37a(第1側方フレーム37a)及び第2側部37b(第2側方フレーム37b)とを有する。それら自由端部36の横方向中央には、障子金具38が設置・固定されている。
【0040】
回転端部35は、窓本体13a,13bの閉鎖状態(閉鎖位置)において下方フレーム24の下当接プレート29に気密に密着し、第1及び第2側部37a,37bは、窓本体13a,13bの閉鎖状態において第1及び第2側方フレーム25a,25bの第1及び第2当接プレート31,33に気密に密着する。自由端部36は、閉鎖状態において上方フレーム23の上当接プレート27に気密に密着する閉鎖位置に旋回するとともに、開放状態において上下方向下方の全開位置に旋回する。窓本体13a,13b(回転端部35や自由端部36、第1及び第2側部37a,37bの内側)には、ガラスが嵌め込まれている。回転端部35や自由端部36、第1及び第2側部37a,37bは、樹脂サッシやアルミサッシ、アルミ樹脂複合サッシから作られている。
【0041】
第1及び第2旋回チェーン14a,14b(ローラチェーン)は、スチールやステンレス、チタン等の金属から作られ、第1旋回チェーン14aの先端部が第1窓本体13aの自由端部36の障子金具38に連結され、第2旋回チェーン14bの先端部が第2窓本体13bの自由端部36の障子金具38に連結されている。それら旋回チェーン14a,14bは、第1及び第2窓本体13a,13bを閉鎖状態から開放状態に旋回させるとともに、それら窓本体13a,13bを開放状態から閉鎖状態に旋回させる。
【0042】
第1及び第2旋回チェーン14a,14bは、その軸方向(延びる方向)へ移動する直動性(直進性)を有する。それらチェーン14a,14bは、第1及び第2窓本体13a,13bを閉鎖状態から開放状態に旋回させる初動時(旋回開始時)に、その直動性によって自由端部36の旋回を助長する(促進する)繰り出し力(蹴り出し力)を発揮し、それら窓本体13a,13bを開放状態に旋回させる初動時に、それら窓本体13a,13bの自由端部36に旋回力を付与する。
【0043】
窓開閉システム10では、第1及び第2旋回チェーン14a,14bが一方向(前後方向前方)へ繰り出すことで、上方フレーム23に気密に密着する第1及び第2窓本体13a,13bの自由端部36が回転端部35を中心に上下方向下方へ旋回し、それら窓本体13a,13bが閉鎖状態(閉鎖位置)から開放状態(全開位置)に旋回する(
図13参照)。第1及び第2旋回チェーン14a,14bの繰り出し寸法によってそれら窓本体13a,13bの上下方向下方への旋回角度が異なり、それら旋回チェーン14a,14bの繰り出し寸法を調節することによって窓本体13a,13bの開放時における開放面積を調節することができる。窓開閉システム10は、第1及び第2旋回チェーン14a,14bが他方向(前後方向後方)へ引き取られることで、上下方向下方へ旋回した第1及び第2窓本体13a,13bの自由端部36が回転端部35を中心に上下方向上方へ旋回し、それら窓本体13a,13bが開放状態(全開位置)から閉鎖状態(閉鎖位置)に旋回する(
図11参照)。
【0044】
図4は、一例として示す架設ユニット15の側面図であり、
図5は、架設ユニット15の部分拡大上面図である。
図6は、架設ユニット15の部分拡大斜視図であり、
図7は、ロック機構20の一例を示す架設ユニット15の部分拡大図である。
図8は、
図7から続く架設ユニット15の部分拡大図であり、
図9は、回転機構22a,22bの一例を示す駆動ユニット16a,16bの部分拡大上面図である。
図10は、
図9から続く駆動ユニット16a,16bの部分拡大上面図である。
図4では、架設ユニット15のカバープレート42を破断して示す。
図6では、係合カム69の図示を省略している。
図9,10では、窓本体13a,13bの図示を省略している。
【0045】
架設ユニット15は、アルミやステンレス、その他の合金等の金属又は合成樹脂から作られ、第1窓フレーム12aの第2側方フレーム25bから下方へ直状に延びている。尚、架設ユニット15が第1窓フレーム12aの第1側方フレーム25aから下方へ直状に延びていてもよく、架設ユニット15が第2窓フレーム12bの第1側方フレーム25aから下方へ直状に延びていてもよい。又、架設ユニット15が第2窓フレーム12bの第2側方フレーム25bから下方へ直状に延びていてもよい。
【0046】
架設ユニット15は、前後方向へ対向して上下方向へ延びる同形同大の第1架設プレート39及び第2架設プレート40と、第1及び第2架設プレート39,40の間に位置し、それら架設プレート39,40に直交して上下方向へ延びるベースプレート41及びカバープレート42と、第1架設プレート39の側に位置し、第1架設プレート39と並行して上下方向へ延びる第1チェーン収容スペース43(第1ガイド凹部)と、第2架設プレート40の側に位置し、第2架設プレート40と並行して上下方向へ延びる第2チェーン収容スペース44(第2ガイド凹部)とから形成されている。
【0047】
架設ユニット15では、第1及び第2架設プレート39,40とベースプレート41とが一体成型され、その断面形状がコ字状に成形されている。架設ユニット15には、それらプレート39~41に囲繞された上下方向へ長い収容スペース45が画成されている。架設ユニット15では、カバープレート42がガイドライン18の上端58から上方に延びる第1及び第2架設プレート39,40に着脱可能に設置され、架設ユニット15の収容スペース45を被覆している。架設ユニット15は、第1架設プレート39が所定の連結手段(ブラケット、ボルト及びナット、リベット、溶接等)によって第1窓フレーム12aの第2側方フレーム25aと窓設備34の窓フレームとに連結・固定されている。
【0048】
第1チェーン収容スペース43(第1ガイド凹部)は、第1架設プレート39に隣接して上下方向へ延びる第1ガイドプレート46と、第1ガイドプレート46から第2架設プレート40の側に離間して上下方向へ延びる第2ガイドプレート47と、第1及び第2ガイドプレート46,47の間に位置して上下方向へ延びる第1ガイドベースプレート48とから形成されている。第1及び第2ガイドプレート46,47は、アングル形状(L字状)に成形されている。第1及び第2ガイドプレート46,47と第1ガイドベースプレート48とは、架設ユニット15の収容スペース45に収容され、第1ガイドベースプレート48が所定の連結手段(ボルト及びナット、リベット、溶接等)によって架設ユニット15のベースプレート41に連結・固定されている。第1チェーン収容スペース43には、牽引チェーン21が上下動可能(摺動可能)に収容される。
【0049】
第2チェーン収容スペース44(第2ガイド凹部)は、第2架設プレート40に隣接して上下方向へ延びる第3ガイドプレート49と、第3ガイドプレート49から第1架設プレート39の側に離間して上下方向へ延びる第4ガイドプレート50と、第3及び第4ガイドプレート49,50の間に位置して上下方向へ延びる第2ガイドベースプレート51とから形成されている。第3及び第4ガイドプレート49,50は、アングル形状(L字状)に成形されている。第3及び第4ガイドプレート49,50と第2ガイドベースプレート51とは、架設ユニット15の収容スペース45に収容され、第2ガイドベースプレート51が所定の連結手段(ボルト及びナット、リベット、溶接等)によって架設ユニット15のベースプレート41に連結・固定されている。第2チェーン収容スペース44には、牽引チェーン21が上下動可能(摺動可能)に収容されている。第1チェーン収容スペース43の第2ガイドプレート47と第2チェーン収容スペース44の第4ガイドプレート50とが連結プレート52によって連結され、第1チェーン収容スペース43と第2チェーン収容スペース44とが一体に繋がっている。
【0050】
第1及び第2駆動ユニット16a,16bは、アルミやステンレス、その他の合金等の金属から作られ、横方向へ並ぶ(隣接する)窓フレーム12a,12bの上方フレーム23に配置されて横方向へ直状に延びている。それら駆動ユニット16a,16bは、前後方向へ対向して横方向へ延びる第1プレート53及び第3プレート55と、第1及び第3プレート53,55の間に位置し、それらプレート53,55と直交して横方向へ延びる第2プレート54と、駆動ユニット16a,16bの側方及び中央に位置する軸受プレート56とから形成されている。
【0051】
第1及び第2駆動ユニット16a,16bでは、第1~第3プレート53~55が一体成型され、その断面形状がコ字状に成形されている。それら駆動ユニット16a,16bには、第1~第3プレート53~55に囲繞された横方向へ長い第1及び第2収容スペース57a,57bが画成されている。第1及び第2駆動ユニット16a,16bでは、第1プレート53が窓フレーム12a,12bの上方フレーム23に所定の連結手段(ブラケット、ボルト及びナット、リベット、溶接等)によって連結・固定されている。
【0052】
ガイドライン18は、架設ユニット15に形成され、窓本体13a,13b(第1及び第2窓フレーム12a,12b)の下方に位置し、第1窓フレーム12aを形成する第2側方フレーム25bから下方へ延びている。尚、ガイドライン18が第2窓フレーム12bの第2側方フレーム25bから下方へ延びていてもよく、第1窓フレーム12a又は第2窓フレーム12bの第1側方フレーム25aから下方へ延びていてもよい。ガイドライン18は、上下方向の長さ寸法を任意に調節(変更)することができ、スライダー19を上下動させることが容易な高さ(スライダー19を少ない力で上下動させることが容易な高さ)に設定することができる。ガイドライン18は、窓本体13a,13bの側に位置する上端58(カバープレート42の下端)と、地上の側に位置する下端60と、上端58及び下端60の間で上下方向へ延びる中間部59(移動スペース)とを有する。
【0053】
スライダー19は、アルミやステンレス、その他の合金等の金属から作られ、上下方向へ長い略板状に成形された上部プレート61と、上下方向へ長い略板状に成形されて上部プレート61の下方に位置する下部プレート62とから形成されている。スライダー19は、ガイドライン18の中間部59(移動スペース)に配置され、第1チェーン収容スペース43(第1ガイド凹部)を上下方向へ摺動することで、ガイドライン18の下端60から上端58に向かって中間部59(架設ユニット15の上下方向中央エリア)を上下方向上方へスライドするとともに、ガイドライン18の上端58から下端60に向かって中間部59(架設ユニット15の上下方向中央エリア)を上下方向下方へスライドする。
【0054】
上部プレート61の上端部には、牽引チェーン21の一端部63が連結されている。上部プレート61の下端には、プレート61に直交して前後方向へ延びる第1連結部64が一体に成形されている。下部プレート62の上端には、プレート62に直交して前後方向へ延びていて第1連結部64に対向する第2連結部65が一体に成形されている。第1及び第2連結部64,65には、後記する調節ネジ67のネジ部68を螺着するネジ孔66(螺着孔)が形成されている。
【0055】
上部プレート61の第1連結部64及び下部プレート62の第2連結部65には、それらプレート61,62の上下方向の離間寸法を調節する調節ネジ67が設置されている。調節ネジ67は、そのネジ部68が第1及び第2連結部64,65のネジ孔66(螺着孔)に螺着されている。調節ネジ67のネジ部68には、ナットが螺着されている。
【0056】
例えば、調節ネジ67を時計回り方向(正方向)へ回転させることで、第1連結部64と第2連結部65とが次第に近接し、上部プレート61と下部プレート62との上下方向の離間寸法を短くすることができ、調節ネジ67を反時計回り方向(逆方向)へ回転させることで、第1連結部64と第2連結部65とが次第に離間し、上部プレート61と下部プレート62との上下方向の離間寸法を長くすることができる。
【0057】
図示はしていないが、スライダー19の下面に摺動駒(図示せず)が固定されていてもよい。この場合、摺動駒が架設ユニット15の第1チェーン収容スペース43(第1ガイド凹部)に摺動可能に挿入(係入)され、スライダー19がガイドライン18の中間部59(移動スペース)に配置される。摺動駒が第1チェーン収容スペース43を上下方向へ摺動することで、スライダー19がガイドライン18の下端60から上端58に向かって中間部59(架設ユニット15の上下方向中央エリア)を上下方向上方へスライドするとともに、スライダー19がガイドライン18の上端58から下端60に向かって中間部59を上下方向下方へスライドする。
【0058】
尚、ガイドライン18の中間部59(架設ユニット15の上下方向中央エリア)に延びる第1ガイドプレート46及び第4ガイドプレート50にガイドレール(ガイド溝)が形成され、スライダー19の一方の側縁部が第1ガイドプレート46に形成されたガイドレール(ガイド溝)に摺動可能に係入し、スライダー19の他方の側縁部が第4ガイドプレート50に形成されたガイドレール(ガイド溝)に摺動可能に係入していてもよい。スライダー19の一方の側縁部及び他方の側縁部がガイドレールに摺動可能に係入することで、スライダー19がガイドレール(ガイドライン18)の下端60から上端58に向かって中間部59を上下方向上方へスライドするとともに、スライダー19がガイドレールの上端58から下端60に向かって中間部59を上下方向下方へスライドする。
【0059】
ロック機構20は、スライダー19を上下方向下方へスライドさせてスライダー19がガイドライン18の下端60に位置したときに、牽引チェーン21に所定の緊張力(テンション)を付与した状態でスライダー19のスライド(上下動)をロックする。ロック機構20は、アルミやステンレス、その他の合金等の金属から作られた係合カム69(平面カム)及び旋回レバー70(旋回ハンドル)から形成されている。
【0060】
係合カム69は、架設ユニット15のガイドライン18の下端60に配置され、所定の連結手段(ボルト、リベット、溶接等)によってガイドライン18の下端60(架設ユニット15の第1及び第2架設プレート39,40とベースプレート41との下端)に連結(固定)されている。係合カム69は、上下方向下方へ下り勾配に傾斜する外周縁72を有する。尚、外周縁72が上下方向下方へ弧を画いていてもよい。
【0061】
旋回レバー70は、スライダー19の下部プレート62の下端に設置され、回転基端部73と把持部74(取っ手)とから形成されている。回転基端部73は、下部プレート62の下端に回転可能に取り付けられている。旋回レバー70は、回転基端部73を中心に把持部74が窓本体13aの旋回方向(前後方向)(時計回り方向又は反時計回り方向)へ旋回(回転)する。把持部74(取っ手)の回転基端部73の側には、その側縁部から側方(外方)へ延びる旋回アーム75が一体に成形されている(繋がっている)。旋回アーム75には、架設ユニット15のベースプレート41に向かって凸となる係合ピン76が形成されている。係合ピン76は、係合カム69に係脱可能に係合する。
【0062】
旋回アーム75は、把持部74(旋回レバー70)を反時計回り方向に旋回させたときに、旋回アーム74の先端77が架設ユニット15の第2架設プレート40の内面に当接し、把持部74の反時計回り方向へのそれ以上の旋回が停止する。旋回アーム75の側方(外方)への延出寸法を調節することで、把持部74(旋回レバー70)の反時計回り方向の旋回範囲を調節することができる。把持部74の反時計回り方向への旋回範囲を調節することで、旋回アーム75の反時計回り方向への必要以上の旋回を防ぐことができ、旋回レバー70によるスライダー19の操作性を向上させることができる。
【0063】
係合ピン76は、把持部74(旋回レバー70)の旋回(回転)に伴って旋回アーム75とともに窓本体13aの旋回方向(前後方向)(時計回り方向又は反時計回り方向)へ旋回(回転)する。旋回レバー70では、係合ピン76が係合カム69の外周縁72を摺動可能に移動する。把持部74(旋回レバー70)を上下方向下方へ押圧しつつ(押し下げつつ)、把持部74(取っ手)に旋回力を加えた状態で、係合ピン76が係合カム69の外周縁72を一方向へ摺動するとともに(乗り越えるとともに)、係合カム69の外周縁72を他方向へ摺動することができる(乗り越えることができる)。係合ピン76は、係合カム69の外周縁72を一方向へ移動した(乗り越えた)状態で係合カム69に係合する。
【0064】
窓開閉システム10では、係合ピン76が外周縁72を一方向又は他方向へ摺動する(乗り越える)ことができるように、係合カム69の外周縁72に対する係合ピン76の位置が調節されている。スライダー19の調節ネジ67を反時計回り方向(逆方向)へ回転させ、上部プレート61と下部プレート62との上下方向の離間寸法を長くすることで、牽引チェーン21に作用させる緊張力を弱くしつつ、旋回レバー70の係合ピン76が係合カム69の外周縁72を一方向又は他方向へ容易に摺動可能(乗り越え可能)にすることができる。スライダー19の調節ネジ67を時計回り方向(正方向)へ回転させ、上部プレート61と下部プレート62との上下方向の離間寸法を短くすることで、牽引チェーン21に作用させる緊張力を強くすることができる反面、旋回レバー70の係合ピン76が係合カム69の外周縁72を一方向又は他方向へ摺動させる(乗り越えさせる)際に力を要する。上部プレート61と下部プレート62との上下方向の離間寸法の長短を調節することで、牽引チェーン21に作用させる緊張力を強くしたり弱くしたりすることができるから、第1及び第2窓本体13a,13bの閉鎖状態における自由端部36の上当接プレート27に対する密着度合いを調節することができ、窓開閉システム10の閉鎖状態における気密度を調節することができる。
【0065】
窓開閉システム10では、調節ネジ67を利用して上部プレート61と下部プレート62との上下方向の離間寸法を調節することで、スライダー19のスライド(上下動)をロックする際に、牽引チェーン21に最適な緊張力を作用させることができるとともに、旋回レバー70の係合ピン76が係合カム69の外周縁72を一方向又は他方向へ適度な力で摺動可能(乗り越え可能)にすることができる。
【0066】
牽引チェーン21(牽引部材)は、スチールやステンレス、チタン等の金属から作られ、その一端部63がスライダー19の上部プレート61の上端部に連結された状態で第1チェーン収容スペース43(第1ガイド凹部)及び第2チェーン収容スペース44(第2ガイド凹部)に収容されて上下方向へ延びている。牽引チェーン21は、スライダー19の上下方向のスライド(上下動)に伴って第1チェーン収容スペース43及び第2チェーン収容スペース44において上下動する。尚、牽引チェーン21の他端部78(自由端部)は、第2チェーン収容スペース44(第2ガイド凹部)に位置し、後記するスプロケット80から下方へ垂下している。
【0067】
牽引チェーン21は、スライダー19がガイドライン18の下端60から上端58に向かって中間部59(架設ユニット15の上下方向中央エリア)を上下方向上方へスライドすると、それに連動してその一端部63が上下方向上方へ移動し、牽引チェーン21全体が上下方向へ作動する。スライダー19がガイドライン18の上端58から下端に向かって中間部59を上下方向下方へスライドすると、それに連動してその一端部63が上下方向下方へ移動し、牽引チェーン21全体が上下方向へ作動する。
【0068】
第1及び第2回転機構22a,22bは、スライダー19の上下方向へのスライドによる牽引チェーン21の上下動に連動し、第1及び第2旋回チェーン14a,14bを一方向(前後方向前方)へ繰り出し、それら旋回チェーン14a,14bを他方向(前後方向後方)へ引き取る(巻き取る)。第1回転機構22aは、第1ロッド79a、スプロケット80、第1ローラー81a、第1リング取付ドラム82a、第1トーションスプリング83aから形成されている。第1ロッド79a、スプロケット80、第1ローラー81a、第1リング取付ドラム82a、第1トーションスプリング83aは、第1駆動ユニット16aの第1収容スペース57aに設置(収容)されている。
【0069】
第2回転機構22bは、第2ロッド79b、第2ローラー81b、第2リング取付ドラム82b、第2トーションスプリング83bから形成されている。第2ロッド79b、第2ローラー81b、第2リング取付ドラム82b、第2トーションスプリング83bは、第2駆動ユニット16bの第2収容スペース57bに設置(収容)されている。
【0070】
第1及び第2ロッド79a,79bは、アルミやステンレス、その他の合金等の金属又は合成樹脂から作られ、円柱状に成形されている。第1及び第2ロッド79a,79bは、第1及び第2駆動ユニット16a,16bの第1及び第2収容スペース57a,57bに回転可能に収容されて(窓フレーム12a,12bに回転可能に設置されて)横方向へ延びている。
【0071】
第1ロッド79aは、その一端部及び中間部が第1駆動ユニット16aの軸受プレート56に回転可能に支持されている。第2ロッド79bは、その一端部及び中間部が第2駆動ユニット16bの軸受プレート56に回転可能に支持されている。第1及び第2ロッド79a,79bは、それらの他端部において繋がり、一体になっている。従って、第1及び第2ロッド79a,79bは、一方が時計回り方向(正方向)へ回転すると他方も時計回り方向(正方向)へ回転し、一方が反時計回り方向(逆方向)へ回転すると他方も反時計回り方向(逆方向)へ回転する。
【0072】
スプロケット80は、炭素鋼や圧延鋼、ステンレス鋼、焼結合金等の金属又は合成樹脂から作られ、第1ロッド79aの他端部に取り付けられている。スプロケット80の歯には、牽引チェーン21が係合している。スプロケット80は、牽引チェーン21の上下動に伴って時計回り方向(正方向)又は反時計回り方向(逆方向)へ回転し、第1及び第2ロッド79a,79bに回転力を伝達する。
【0073】
スプロケット80は、その外径の寸法を調節可能である。スプロケット80の周速(スライダー19の速度)が同一という条件下、スプロケット80の外径を大きくすることで、第1及び第2ロッド79a,79bの径に対してスプロケット80の径の比率が大きくなり、窓本体13a,13bを開放状態から閉鎖状態へ上下方向上方に旋回させる際の力(スライダーを下方へ押し下げる力)が小さくて済むのに対し、窓本体13a,13bを開放状態から閉鎖状態にするために必要な第1及び第2ロッド79a,79bの総回転数は変わらないから、スプロケット80の外径の寸法を大きくした分、スライダー19の上下方向の移動寸法が長くなる。逆に、スプロケット80の外径を小さくすることで、第1及び第2ロッド79a,79bの径に対してスプロケット80の径の比率が小さくなり、窓本体13a,13bを開放状態から閉鎖状態へ上下方向上方に旋回させる際の力(スライダーを下方へ押し下げる力)が大きくなる反面、スライダー19の上下方向の移動寸法が短くなる。
【0074】
窓開閉システム10は、スプロケット80の外径を大きくすることで、第1及び第2窓本体13a,13bの閉鎖状態と開放状態との間におけるスライダー19の上下方向の移動寸法が増加するが、大きな力を要せずにスライダー19を上下方向下方へスライドさせることができ、それら窓本体13a,13bを閉鎖状態から開放状態に容易に旋回させることができるとともに、窓本体13a,13bを開放状態から閉鎖状態に容易に旋回させることができる。
【0075】
窓開閉システム10は、スプロケット80の外径を小さくすることで、スライダー19を上下方向下方へスライドさせるときに力を要するが、第1及び第2窓本体13a,13bの閉鎖状態と開放状態との間におけるスライダー19の上下方向の移動寸法(スライド距離)を減少させることができ、スライダー19を短い距離スライドさせるだけでそれら窓本体13a,13bを閉鎖状態から開放状態に旋回させることができるとともに、窓本体13a,13bを開放状態から閉鎖状態に旋回させることができる。
【0076】
第1及び第2ローラー81a,81bは、合成樹脂又はアルミやステンレス、その他の合金等の金属から作られ、円筒状に成形されている。第1ローラー81aは、第1駆動ユニット16aの第1収容スペース57aに収容され、第1ロッド79aの中間部に設置されている(嵌め込まれている)。第2ローラー81bは、第2駆動ユニット16bの第2収容スペース57bに収容され、第2ロッド79bの中間部に設置されている(嵌め込まれている)。
【0077】
第1ローラー81aは、第1ロッド79aの回転に伴って時計回り方向(正方向)又は反時計回り方向(逆方向)へ回転し、第2ローラー81bは、第2ロッド79bの回転に伴って時計回り方向(正方向)又は反時計回り方向(逆方向)へ回転する。第1ローラー81aには、第1旋回チェーン14aの他端部が連結・固定され、第2ローラー81bには、第2旋回チェーン14bの他端部が連結・固定されている。
【0078】
第1ロッド79aの他端部の側からスプロケット80を見たときに、第1ローラー81aが反時計回り方向へ回転することで、
図9に示すように、第1ローラー81aに第1旋回チェーン14aが他方向(前後方向後方)へ引き取られる。第1ローラー81aが時計回り方向へ回転することで、
図10に示すように、第1ローラー81aから第1旋回チェーン14aが一方向(前後方向前方)へ繰り出す。第2ロッド79bの他端部の側からスプロケット80を見たときに、第2ローラー81bが時計回り方向へ回転することで、第2ローラー81bに第2旋回チェーン14bが他方向(前後方向後方)へ引き取られる。第2ローラー81bが反時計回り方向へ回転することで、第2ローラー81bから第2旋回チェーン14bが一方向(前後方向前方)へ繰り出す。
【0079】
第1及び第2リング取付ドラム82a,82bは、合成樹脂又はアルミやステンレス、その他の合金等の金属から作られ、円筒状に成形されている。第1リング取付ドラム82aは、第1駆動ユニット16aの第1収容スペース57aに収容され、第1ロッド79aの一端部の側(第1ローラー81aの横方向外方)に設置されている(嵌め込まれている)。第2リング取付ドラム82bは、第2駆動ユニット16bの第2収容スペース57bに収容され、第2ロッド79bの一端部の側(第2ローラー81bの横方向外方)に設置されている(嵌め込まれている)。
【0080】
尚、窓本体13a,13bの大きさや形状に応じて第1リング取付ドラム82aが第1ロッド79aの中間部に設置され(嵌め込まれ)、第1ローラー81aが第1ロッド79aの一端部の側(第1リング取付ドラム82aの横方向外方)に設置されていてもよい(嵌め込まれていてもよい)。第2リング取付ドラム82bが第2ロッド79bの中間部に設置され(嵌め込まれ)、第2ローラー81bが第2ロッド79bの一端部の側(第2リング取付ドラム82bの横方向外方)に設置されていてもよい(嵌め込まれていてもよい)。
【0081】
第1及び第2トーションスプリング83a,83bは、硬鋼線やステンレス鋼線、ばね用リン青銅から作られている。第1トーションスプリング83aは、第1リング取付ドラム82aに取り付けられ、第1ロッド79aの軸方向へ延びている。第2トーションスプリング83bは、第2リング取付ドラム82bに取り付けられ、第2ロッド79bの軸方向へ延びている。それらトーションスプリング83a,83bのアーム形状は、ショートフックやストレート、1段曲げ等を使用することができる。それらトーションスプリング83a,83bの外径や内径、巻き数は、第1及び第2窓本体13a,13b(障子)の上下方向上方への旋回に必要なトルク(スライダー19の上下方向下方へのスライドに必要な補助力)によって任意に設定することができる。
【0082】
第1回転機構22aでは、第1トーションスプリング83aに第1リング取付ドラム82aが挿通された状態で、第1トーションスプリング83aのアームの固定点が第1駆動ユニット16aの第1プレート~第3プレート53~55や軸受プレート56のいずれかに連結・固定され、第1トーションスプリング83aのアームの荷重点が第1ロッド79aの外周縁に連結・固定されている。
【0083】
第2回転機構22bでは、第2トーションスプリング83bに第2リング取付ドラム82bが挿通された状態で、第2トーションスプリング83aのアームの固定点が第2駆動ユニット16bの第1プレート~第3プレート53~55や軸受プレート56のいずれかに連結・固定され、第2トーションスプリング83bのアームの荷重点が第2ロッド79bの外周縁に連結・固定されている。
【0084】
第1及び第2トーションスプリング83a,83bは、第1及び第2ロッド79a,79bが時計回り方向へ回転し、第1及び第2ローラー81a,81bから第1及び第2旋回チェーン14a,14bが一方向(前後方向前方)へ繰り出された場合、巻き方向へねじれ、又は、巻き方向とは逆方向へねじれる。第1及び第2トーションスプリング83a,83bは、巻き方向とは逆方向へねじれた場合、ねじれた角度に比例する反対方向(巻き方向)へトルク(反発力)を発現し、巻き方向へねじれた場合、ねじれた角度に比例する反対方向(巻き方向とは逆方向)へトルク(反発力)を発現する。窓開閉システム10では、窓本体13a,13bを上下方向下方から上方へ旋回させるときのスライダー19に作用する荷重が1.5~2kg程度になるように、第1及び第2トーションスプリング83a,83bのトルク(外径や内径、巻き数、反発係数)が調節されている。
【0085】
図11は、窓本体13a,13bを閉鎖した状態の窓開閉システム10の部分拡大側面図であり、
図12は、断面で示す
図11と同様の窓開閉システム10の部分拡大側面図である。
図13は、窓本体13a,13bを開放した状態の窓開閉システム10の部分拡大側面図であり、
図14は、断面で示す
図13と同様の窓開閉システム10の部分拡大側面図である。
図12,14では、牽引チェーン21(牽引部材)を露出させた状態で示す。
【0086】
第1及び第2窓本体13a,13bが閉鎖された状態からそれら窓本体13a,13bの自由端部36を上下方向下方へ旋回させて窓本体13a,13bを開放する手順の一例は、以下のとおりである。窓開閉システム10は、それが施設された建築物に出入りする人の手動によって操作される。尚、第1及び第2窓本体13a,13bが閉鎖された状態では、第1及び第2旋回チェーン14a,14bが第1及び第2ローラー81a,81bにおいて他方向(前後方向後方)へ引き取られ(巻き取られ)、それら窓本体13a,13bの自由端部36が閉鎖位置に旋回し、回転端部35が下方フレーム24に気密に密着し、第1及び第2側部37a,37bが第1及び第2側方フレーム25a,25bに気密に密着しているとともに、自由端部36が上方フレーム23に気密に密着している。
【0087】
更に、スライダー19がガイドライン18の下端60に位置し、旋回レバー70の係合ピン76が係合カム69の外周縁72を一方向へ摺動して(乗り越えて)係合ピン76がロック位置に移動し、牽引チェーン21に緊張力が付与された状態でスライダー19のスライド(上下動)がロックされている。スライダー19のスライドがロックされた状態では、
図7に示すように、旋回レバー70がガイドライン18の下端60から下方へ垂下している。
【0088】
最初に、旋回レバー70の把持部74(取っ手)を把持した状態で、旋回レバー70を上下方向下方へ押圧しつつ(押し下げつつ)、旋回レバー70の把持部74に反時計回り方向(逆方向)へ旋回力を加える。把持部74に旋回力を加えることで、旋回アーム75及び係合ピン76が反時計回り方向(逆方向)へ旋回しつつ、係合ピン76が係合カム69の外周縁72を他方向へ摺動し(乗り越え)、係合ピン76がロック解除位置に移動し、係合ピン76と係合カム69との係合が解除される。係合ピン76をロック解除位置に移動させると、スライダー19のスライド(上下動)のロックが解除されるとともに、牽引チェーン21に作用する緊張力が解除される。
【0089】
旋回レバー70の把持部74を反時計回り方向へ旋回させると、旋回アーム75も同様に反時計回り方向(逆方向)へ旋回し、
図8に示すように、旋回アーム75の先端77が架設ユニット15の第2架設プレート40の内面に当接する。旋回アーム75の先端77が第2架設プレート40の内面に当接すると、その時点で把持部74(旋回レバー70)の反時計回り方向の旋回が停止する。
【0090】
旋回レバー70(把持部74)は、ガイドライン18の下端60から下方へ垂下した
図7の状態からを反時計回り方向(逆方向)へ15~20°旋回させることで、ロックが解除されるように、旋回アームの75延出寸法や係合カム69と係合ピン76との位置関係が調節されている。更に、反時計回り方向(逆方向)へ15~20°旋回させた時点で、旋回アーム75の先端77が架設ユニット15の第2架設プレート40の内面に当接するように旋回アーム75の延出寸法が調節されている。
【0091】
次に、旋回レバー70の把持部74(取っ手)を把持した状態で、旋回レバー70とともにスライダー19をガイドライン18の下端60から上端58に向かって上下方向上方へスライドさせる(押し上げる)。スライダー19を上下方向上方へスライドさせると、第1チェーン収容部43に位置する牽引チェーン21がスライダー19のスライドに連動して上方へ作動し、牽引チェーン21に係合するスプロケット80が時計回り方向へ回転する。スプロケット80が回転すると、それに連動して第1及び第2ロッド79a,79b(回転機構22a,22b)が時計回り方向へ回転し、第1及び第2ロッド79a,79bの回転に伴って第1及び第2ローラー81a,81bが時計回り方向へ回転する。第1及び第2ローラー81a,81bが時計回り方向へ回転すると、
図13,14に示すように、第1及び第2旋回チェーン14a,14bが第1及び第2ローラー81a,81bから一方向(前後方向前方)へ繰り出される。
【0092】
第1及び第2窓本体13a,13bを閉鎖状態から開放状態に旋回させる初動時(旋回開始時)において、第1及び第2旋回チェーン14a,14bが第1及び第2ローラー81a,81bから一方向(前後方向前方)へ繰り出されると、それら旋回チェーン14a,14bの直動性(直進性)により、第1及び第2窓本体13a,13bの自由端部36の上下方向下方への旋回をそれら旋回チェーン14a,14bが助長する(促進する)繰り出し力(蹴り出し力)を発揮し、それら旋回チェーン14a,14bによって第1及び第2窓本体13a,13bの自由端部36が前後方向前方へ押圧され(押し出され)、それら窓本体13a,13bの自由端部36に上下方向下方への旋回力が付与される。
【0093】
第1及び第2窓本体13a,13bは、それら窓本体13a,13bの自由端部36が閉鎖位置から開放位置に旋回する初動時に第1及び第2旋回チェーン14a,14bの繰り出し力を利用して旋回し、初動時を除く旋回過程においてそれら窓本体13a,13bの自重によって窓本体13a,13bの自由端部36が回転端部35を中心に上下方向下方へ自動的に旋回する。第1及び第2窓本体13a,13bの自由端部36が上下方向下方へ自動的に旋回することで、第1及び第2旋回チェーン14a,14bが一方向(前後方向前方)へ自動的に繰り出され、第1及び第2ロッド79a,79b(回転機構22a,22b)が時計回り方向へ自動的に回転するとともに、スプロケット80が時計回り方向へ自動的に回転する。更に、牽引チェーン21が上方へ自動的に作動し、スライダー19がガイドライン18の上端58に向かって上方へ自動的にスライドする。
【0094】
第1ローラー81aから第1旋回チェーン14aが一方向(前後方向前方)へ繰り出され、第1ロッド79a(第1リング取付ドラム82a)が時計回り方向へ回転した場合、第1トーションスプリング83aがそのアームの固定点をねじれ基端としてアームの荷重点が巻き方向とは逆方向へねじれ、又は、巻き方向へねじれる。第2ローラー81bから第2旋回チェーン14bが一方向(前後方向前方)へ繰り出され、第2ロッド79b(第2リング取付ドラム82b)が時計回り方向へ回転した場合、第2トーションスプリング83bがそれらのアームの固定点をねじれ基端としてそれらのアームの荷重点が巻き方向とは逆方向へねじれ、又は、巻き方向へねじれる。
【0095】
第1及び第2トーションスプリング83a,83bが巻き方向とは逆方向へねじれ、又は、巻き方向へねじれると、それらトーションスプリング83a,83bがねじれた角度に比例する反対方向(巻き方向又は巻き方向とは逆方向)へトルクを発現し、それらトーションスプリング83a,83bのトルクによって第1及び第2窓本体13a,13bの自由端部36に開放位置から閉鎖位置に向かって上下方向上方へ旋回する旋回力が付与される。
【0096】
窓開閉システム10は、スライダー19をガイドライン18の下端60から上端58に向かって中間部59(架設ユニット15の上下方向中央エリア)を上下方向上方へスライドさせて牽引チェーン21(牽引部材)を上下方向上方へ作動させ、牽引チェーン21の上方への作動によってスプロケット80(回転機構22a,22b)を回転させて第1及び第2旋回チェーン14a,14bを第1及び第2ローラー81a,81bから繰り出し、第1及び第2窓本体13a,13bを閉鎖状態から開放状態に旋回させるから、スライダー19の上下方向上方へのスライド操作だけでそれら窓本体13a,13bを閉鎖状態から開放状態に旋回させることができ、手間と時間とを要せず、第1及び第2窓本体13a,13bを閉鎖状態から開放状態にスムースに旋回させてそれら窓本体13a,13bを容易に開放することができる。
【0097】
窓開閉システム10は、第1及び第2窓本体13a,13bの自由端部36が閉鎖位置から開放位置に旋回する初動時に第1及び第2旋回チェーン14a,14bの繰り出し力(トルク)を利用して旋回しつつ、初動時を除く旋回過程においてそれら窓本体13a,13bの自重によって窓本体13a,13bの自由端部36が上下方向下方へ自動的に旋回するから、第1及び第2旋回チェーン14a,14bの繰り出し力を利用することで、スライダー19を上下方向上方へスライドさせる初動時にそれら窓本体13a,13bを確実に旋回させることができ、スライダー19の上方へのスライド操作によって窓本体13a,13bを閉鎖状態から開放状態にスムースに旋回させて窓本体13a,13bを容易に開放することができる。窓開閉システム10は、初動時に第1及び第2旋回チェーン14a,14bの繰り出し力(トルク)によって窓本体13a,13bの自由端部36が旋回するとともに、初動時を除く旋回過程において第1及び第2窓本体13a,13bの自重によってそれら窓本体13a,13bの自由端部36が上下方向下方へ自動的に旋回することで、非常時においてスライダー19のスライド操作を要せずにそれら窓本体13a,13bを一気に開放することができる。
【0098】
窓開閉システム10は、スライダー19のスライドがロックされた状態で把持部74(旋回レバー70)を反時計回り方向(正逆いずれか他方)に回転させ、係合ピン76を係合カム69の外周縁72を摺動した(乗り越えた)ロック解除位置に移動させることでロックが解除されるから、スライダー19のスライドがロックされたロック状態からそのロックを容易に解除することができ、第1及び第2窓本体13a,13bの開放を容易に行うことができる。
【0099】
窓開閉システム10は、スライダー19のスライドがロックされた状態から把持部74(旋回レバー70)を15~20°旋回させることでロックが解除されるから、スライダー19のスライドがロックされた状態から把持部74(旋回レバー70)を大きく旋回(例えば、90°旋回)させることなく、ロックを簡単かつ速やかに解除することができる。
【0100】
第1及び第2窓本体13a,13bが開放された状態から窓本体13a,13bの自由端部36を上下方向上方へ旋回させてそれら窓本体13a,13bを閉鎖させる手順の一例は、以下のとおりである。旋回レバー70の把持部74(取っ手)を把持した状態で、旋回レバー70とともにスライダー19をガイドライン18の上端58から下端60に向かって上下方向下方へスライドさせる(押し下げる)。尚、第1及び第2トーションスプリング83a,83bのトルク(反発力)により、窓本体13a,13bを上下方向下方から上方へ旋回させるときのスライダー19に作用する荷重(kg)が1.5~2kg程度に調節されている。
【0101】
スライダー19を下方へスライドさせると、スライダー19のスライドに連動して牽引チェーン21が上下方向下方へ作動し、牽引チェーン21に係合するスプロケット80が反時計回り方向へ回転する。スプロケット80が回転すると、それに連動して第1及び第2ロッド79a,79b(回転機構22a,22b)が反時計回り方向へ回転し、第1及び第2旋回チェーン14a,14bが第1及び第2ローラー81a,81bに他方向(前後方向後方)へ巻き取られる。
【0102】
第1及び第2旋回チェーン14a,14bが第1及び第2ローラー81a,81bに巻き取られることで、第1及び第2窓本体13a,13bの自由端部36が開放位置から閉鎖位置に向かって上下方向上方へ旋回を開始する。第1及び第2トーションスプリング83a,83bのトルクによって第1及び第2窓本体13a,13bの自由端部36に開放位置から閉鎖位置に向かって旋回する旋回力が付与されているから、スライダー19のスライドに窓本体13a,13bの自重全体がかかることはなく、窓本体13a,13bの自重からトーションスプリング83a,83bの反発力を差し引いた荷重(1.5~2kgの範囲)がスライダー19に作用する。
【0103】
スライダー19をガイドライン18の下端60にスライドさせる(押し下げる)ことで、第1及び第2窓本体13a,13bが開放状態から閉鎖状態に旋回する。第1及び第2窓本体13a,13bが閉鎖されると、第1及び第2トーションスプリング83a,83bのねじれが戻り、それらトーションスプリング83a,83bのトルクが0になる。スライダー19をガイドライン18の下端60にスライドさせた後、旋回レバー70の把持部74を把持した状態で、旋回レバー70を上下方向下方へ押圧しつつ(押し下げつつ)、把持部74に時計回り方向(正方向)へ旋回力を加える。
【0104】
把持部74に旋回力を加え、旋回レバー70を時計回り方向(正方向)へ15~20°旋回させることで、係合ピン76が時計回り方向(正方向)へ旋回しつつ、係合ピン76が係合カム69の外周縁72を一方向へ摺動し(乗り越え)、係合ピン76がロック位置に移動し、係合ピン76と係合カム69とが係合する。係合ピン76をロック位置に移動させると、旋回レバー70がガイドライン18の下端60から下方へ垂下し、牽引チェーン21に緊張力が付与され、スライダー19のスライド(上下動)がロックされる。係合ピン76がロック位置に移動し、牽引チェーン21に緊張力が付与されることで、回転端部35が下方フレーム24に気密に密着し、第1及び第2側部37a,37bが第1及び第2側方フレーム25a,25bに気密に密着するとともに、自由端部36が上方フレーム23に気密に密着する。
【0105】
窓開閉システム10は、スライダー19をガイドライン18の上端58から下方へスライドさせて牽引チェーン21(牽引部材)を上下方向下方へ作動させ、牽引チェーン21の下方への作動によってスプロケット80(回転機構22a,22b)を回転させて第1及び第2旋回チェーン14a,14bを第1及び第2ローラー81a,81bに巻き取り、第1及び第2窓本体13a,13bを開放状態から閉鎖状態に旋回させるから、スライダー19の上下方向下方へのスライド操作だけでそれら窓本体13a,13bを開放状態から閉鎖状態に旋回させることができ、手間と時間とを要せず、第1及び第2窓本体13a,13bを開放状態から閉鎖状態にスムースに旋回させてそれら窓本体を容易に閉鎖することができる。窓開閉システム10は、開放された窓本体13a,13bを閉鎖する場合、従来技術のように巻取ハンドルを何回も回転させる必要はなく、スライダー19を上下方向下方へスライドさせればよく、開放状態にある窓本体13a,13bを単純なスライド操作で短時間に閉鎖することができる。
【0106】
窓開閉システム10は、ガイドライン18の下端60において旋回レバー70の把持部74を時計回り方向(正方向)に回転させ、旋回レバー70の係合ピン76を係合カム69の外周縁72を摺動した(乗り越えた)ロック位置に移動させ、牽引チェーン21に緊張力を付与しつつスライダー19のスライド(上下動)をロックするから、係合ピン76をロック位置に移動させることで、第1及び第2窓本体13a,13bの閉鎖位置を明確に確認することができ、それら窓本体13a,13bの閉鎖が不完全な状態で放置されることはなく、窓本体13a,13bを完全な状態で確実かつ気密に閉鎖することができる。
【0107】
窓開閉システム10は、牽引チェーン21に緊張力を付与した状態でスライダー19のスライドをロックするから、牽引チェーン21が緩むことはなく、第1及び第2窓本体13a,13bを気密に閉鎖することができ、それら窓本体13a,13bの閉鎖時における空気の通流を防ぐことができる。窓開閉システム10は、スライダー19のロックが解除された状態から旋回レバー70の把持部74を15~20°旋回させることでスライダー19のスライドをロックすることができるから、スライダー19のロックが解除された状態から旋回レバー70の把持部74を大きく旋回(例えば、90°旋回)させることなく、スライダー70のスライドを簡単かつ速やかにロックすることができる。
【0108】
第1及び第2トーションスプリング83a,83bを利用することなく開放状態にある第1及び第2窓本体13a,13bを閉鎖する場合、それら窓本体13a,13bの自重によってスライダー19を上下方向下方へスライドさせる際に相当な力を要するが、窓開閉システム10は、それらトーションスプリング83a,83bのトルク(反発力)によって第1及び第2ローラー81a,81bへの第1及び第2旋回チェーン14a,14bの巻取りが助長され、窓本体13a,13bを上下方向下方から上方へ旋回させるときのスライダー19に作用する荷重が1.5~2kg程度になるように、それらトーションスプリング83a,83bのトルクが調節されているから、それらトーションスプリング83a,83bを利用することで、大きな力を要せずにスライダー19を上下方向下方へ楽にスライドさせることができ、第1及び第2窓本体13a,13bを開放状態から閉鎖状態にスムースに旋回させて窓本体13a,13bを容易に閉鎖することができる。
【0109】
図15は、他の一例として示す架設ユニット15の側面図であり、
図16は、スライダー19がストッパー84に当接した状態で示す架設ユニット15の側面図である。
図17は、止めネジ85によってスライダー19がガイドライン18の所定の箇所に固定された状態を示す架設ユニット15の部分拡大図であり、
図18は、
図17のA-A線矢視断面図である。
図15~
図18に示す架設ユニット15が
図4のそれと異なるところは、架設ユニット15のガイドライン18の所定の箇所にストッパー84が設置されている点、スライダー19に止めネジ85(固定手段)が設置されている点にある。
【0110】
図15~
図18の架設ユニット15を備えた窓開閉システム11のその他の構成は
図1の窓開閉システム10のそれらと同一であるから、窓開閉システム11のその他の構成については
図1の説明を援用する。尚、架設ユニット15の構成は
図4のそれと同一であるから、
図4の説明を援用するとともに
図4と同一の符号を付すことで、架設ユニット15の構成の説明は省略する。
【0111】
架設ユニット15のガイドライン18には、ストッパー84が着脱可能に取り付けられている。ストッパー84は、所定の連結手段によってガイドライン18の中間部59(移動スペース)の所定の箇所(ベースプレート41や連結プレート52)に設置される。ストッパー84には、上下方向上方へスライドしたスライダー19の上部プレート61の上端が当接する。上部プレート61の上端がストッパー84に当接すると、スライダー19のそれ以上の上方へのスライドが停止する。
【0112】
ストッパー84のガイドライン18の中間部59(移動スペース)における設置位置は、任意に決定することができる。ガイドライン18の中間部59におけるストッパー84の設置位置を調節することで、ガイドライン18におけるスライダー19の上下方向の移動距離(スライド距離)を調節することができ、第1及び第2窓本体13a,13bの上下方向下方への旋回角度(開放面積)を調節することができる。
【0113】
スライダー19のスライド(上下動)のロックを解除し、旋回レバー70とともにスライダー19をガイドライン18の下端60から上端58に向かって上下方向上方へスライドさせると、旋回過程において第1及び第2窓本体13a,13bの自重によって窓本体13a,13bの自由端部36が回転端部35を中心に上下方向下方へ自動的に旋回するとともに、スライダー19がガイドライン18の上端58に向かって上方へ自動的にスライドするが、スライダー19の上部プレート61の上端がストッパー84に当接すると、スライダー19のガイドライン18におけるスライドが停止し、その時点で、牽引チェーン21の上下方向上方への作動が停止し、スプロケット80の時計回り方向への回転が停止するとともに、第1及び第2旋回チェーン14a,14bの一方向(前後方向前方)への繰り出しが停止する。
【0114】
スライダー19がストッパー84に当接し、それら旋回チェーン14a,14bの繰り出しが停止した時点で、第1及び第2窓本体13a,13bの自由端部36の上下方向下方への旋回が停止する。ストッパー84のガイドライン18の中間部59(移動スペース)における設置位置によって第1及び第2窓本体13a,13bの上下方向下方への旋回角度が異なり、それら窓本体13a,13bの開放時における開放面積が異なる。
【0115】
止めネジ85(固定手段)は、アルミやステンレス、その他の合金等の金属又は合成樹脂から作られ、操作部86(頭部)、ネジ部87、スライド停止用ローラー88とから形成されている。止めネジ85では、ネジ部87の頂部が操作部86に固定され、スライド停止用ローラー88がネジ部87の底部に挿通・固定されている。ネジ部87はスライダー19の上部プレート61に形成されたネジ孔(螺着孔)に螺着されている。止めネジ85の操作部86を時計回り方向(正方向)へ回転させると、ネジ部87が架設ユニット15の連結プレート52(ベースプレート41)に向かって前進(移動)し、止めネジ85の操作部86を反時計回り方向(逆方向)へ回転させると、ネジ部が架設ユニット15の連結プレート52(ベースプレート41)から離間する方向へ後退(移動)する。
【0116】
止めネジ85を利用するには、旋回レバー70を把持しつつ、旋回レバー70とともにスライダー19をガイドライン18の下端60から上端58に向かって上下方向上方へ次第にスライドさせる過程において、ガイドライン18の所定の箇所でスライダー19のスライドを停止させる。スライダー18のスライドを停止させた時点において、止めネジ85の操作部86を反時計回り方向(逆方向)へ回転させ、ネジ部87を架設ユニット15の連結プレート52(ベースプレート41)から離間させるように後退させる。ネジ部87を後退させると、ネジ部87に取り付けられたスライド停止用ローラー88のテーパー部が第2及び第3ガイドプレート47,49の内面から内方へ張り出す突起部に押し当たり、その時点でスライダー19が架設ユニット15に固定される。スライダー19が架設ユニット15に固定されることで、スライダー19のそれ以上の上方へのスライドが阻止され、第1及び第2旋回チェーン14a,14bの一方向(前後方向前方)への繰り出しが停止する。
【0117】
止めネジ85のスライド停止用ローラー88のテーパー部が第2及び第3ガイドプレート47,49の内面の突起部に押し当たり、それら旋回チェーン14a,14bの繰り出しが停止した時点で、第1及び第2窓本体13a,13bの自由端部36の上下方向下方への旋回が停止する。止めネジ85を利用したガイドライン18におけるスライダー19の固定位置によって第1及び第2窓本体13a,13bの上下方向下方への旋回角度が異なり、それら窓本体13a,13bの開放時における開放面積が異なる。
【0118】
止めネジ85によってスライダー19を連結プレート52に固定した後、スライダー19の固定を解除するには、止めネジ85の操作部86を時計回り方向(正方向)へ回転させ、ネジ部87を連結プレート52(ベースプレート41)に向かって前進させる。ネジ部87を前進させると、スライド停止用ローラー88のテーパー部が第2及び第3ガイドプレート47,49の内面の突起部から離れ、スライド停止用ローラー88のテーパー部による第2及び第3ガイドプレート47,49の内面の突起部への押圧が解除され、スライダー19の固定が解除されてスライダー19の上下方向へのスライドが可能となる。
【0119】
窓開閉システム11は、ガイドライン18におけるストッパー84の設置位置を調節することで、ガイドライン18の下端60からのスライダー19の上方への移動距離(スライド距離)を調節可能であり、第1及び第2窓本体13a,13bの自由端部36の上方フレーム23から下方への旋回角度を調節することができるから、ストッパー84によって開放時の窓本体13a,13bの開放面積を調節することができ、それら窓本体13a,13bを通流する空気の風量を調節することができる。
【0120】
窓開閉システム11は、止めネジ85(固定手段)を利用してスライダー19をガイドライン18の所定の箇所で固定することで、窓本体13a,13bの自由端部36を上方フレーム23から下方へ任意の角度で旋回させた状態で窓本体13a,13bを開放することができるから、止めネジ85を利用して開放時の窓本体13a,13bの開放面積を調節することができ、窓本体13a,13bを通流する空気の風量を調節することができる。
【符号の説明】
【0121】
10 窓開閉システム
11 窓開閉システム
12a 第1窓フレーム
12b 第2窓フレーム
13a 第1窓本体(第1障子)
13b 第2窓本体(第2障子)
14a 第1旋回チェーン
14b 第2旋回チェーン
15 架設ユニット
16a 第1駆動ユニット
16b 第2駆動ユニット
17 チェーン作動手段
18 ガイドライン
19 スライダー
20 ロック機構
21 牽引チェーン(牽引部材)
22a 第1回転機構
22b 第2回転機構
23 上方フレーム
24 下方フレーム
25a 第1側方フレーム
25b 第2側方フレーム
26 上枠プレート
27 上当接プレート
28 下枠プレート
29 下当接プレート
30 第1側枠プレート
31 第1当接プレート
32 第2側枠プレート
33 第2当接プレート
34 窓設備
35 回転端部(回転フレーム)
36 自由端部(旋回フレーム)
37a 第1側部(第1側方フレーム)
37b 第2側部(第2側方フレーム)
38 障子金具
39 第1架設プレート
40 第2架設プレート
41 ベースプレート
42 カバープレート
43 第1チェーン収容スペース(第1ガイド凹部)
44 第2チェーン収容スペース(第2ガイド凹部)
45 収容スペース
46 第1ガイドプレート
47 第2ガイドプレート
48 第1ガイドベースプレート
49 第3ガイドプレート
50 第4ガイドプレート
51 第2ガイドベースプレート
52 連結プレート
53 第1プレート
54 第2プレート
55 第3プレート
56 軸受プレート
57a 第1収容スペース
57b 第2収容スペース
58 上端
59 中間部(移動スペース)
60 下端
61 上部プレート
62 下部プレート
63 一端部
64 第1連結部
65 第2連結部
66 ネジ孔(螺着孔)
67 調節ネジ
68 ネジ部
69 係合カム
70 旋回レバー(旋回ハンドル)
72 外周縁
73 回転基端部
74 把持部(取っ手)
75 旋回アーム
76 係合ピン
77 先端
78 他端部(自由端部)
79a 第1ロッド
79b 第2ロッド
80 スプロケット
81a 第1ローラー
81b 第2ローラー
82a 第1リング取付ドラム
82b 第2リング取付ドラム
83a 第1トーションスプリング
83b 第2トーションスプリング
84 ストッパー
85 止めネジ(固定手段)
86 操作部
87 ネジ部
88 スライド停止用ローラー