(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022083813
(43)【公開日】2022-06-06
(54)【発明の名称】スポットエアコン
(51)【国際特許分類】
F24F 1/028 20190101AFI20220530BHJP
【FI】
F24F1/028
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020195356
(22)【出願日】2020-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】391007242
【氏名又は名称】三菱重工冷熱株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100163212
【氏名又は名称】溝渕 良一
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【弁理士】
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100156535
【弁理士】
【氏名又は名称】堅田 多恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【弁理士】
【氏名又は名称】林 道広
(72)【発明者】
【氏名】池田 義昭
(72)【発明者】
【氏名】所谷 雅史
【テーマコード(参考)】
3L049
【Fターム(参考)】
3L049BB07
3L049BC01
3L049BD03
(57)【要約】
【課題】駆動モータによる騒音を低減できるスポットエアコンを提供する。
【解決手段】空調用通路R1は、パネル185により構成される筒状のダクト16により排熱用通路R2と区画され、ダクト16の内部に一方の送風機5が設置されており、一方の送風機5は、駆動モータ53とファン54とを備え、駆動モータ53は、ダクト16におけるファン54と供給口10aとの間の通気空間S1を避けた位置に配置されている。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調用の熱交換器、及び排熱用の熱交換器が1つの筐体内に収容されたスポットエアコンであって、
前記筐体は、吸込口から取り込んだ外気が前記空調用の熱交換器と熱交換された空調済み空気を一方の送風機により供給口から供給する空調用通路と、他の吸込口から取り込んだ外気が前記排熱用の熱交換器と熱交換された排空気を他方の送風機により排気口から排出する排熱用通路と、を備え、
前記空調用通路は、パネルにより構成される筒状のダクトにより前記排熱用通路と区画され、前記ダクトの内部に前記一方の送風機が設置されており、
前記一方の送風機は、駆動モータとファンとを備え、前記駆動モータは、前記ダクトにおける前記ファンと前記供給口との間の通気空間を避けた位置に配置されていることを特徴とするスポットエアコン。
【請求項2】
前記パネルは、少なくとも一部が防音パネルであることを特徴とする請求項1に記載のスポットエアコン。
【請求項3】
前記防音パネルは、2枚の板材の間に充填材が充填されたサンドイッチパネルであることを特徴とする請求項2に記載のスポットエアコン。
【請求項4】
前記空調用に用いられる前記一方の送風機は、前記駆動モータの駆動軸回りに前記ファンが回転可能に取付けられてユニット化されており、前記ファンは外径方向に送風することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のスポットエアコン。
【請求項5】
前記駆動モータの駆動軸は、前記吸込口の中心軸に平行、かつ前記供給口の中心軸に交差するように配置されており、前記ダクトは前記吸込口と前記供給口とを繋ぐようにL字状に延びていることを特徴とする請求項4に記載のスポットエアコン。
【請求項6】
前記駆動モータは、前記パネルの内面から離間して配置されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のスポットエアコン。
【請求項7】
前記ダクトは、複数のフレームから構成される枠体と、前記枠体にボルトで取付けられる前記パネルと、から構成されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のスポットエアコン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、局所的に空気調和を行うことができるスポットエアコンに関する。
【背景技術】
【0002】
工場や製鉄所などの作業場や屋外において、作業環境を改善するために局所的に空気調和を行うことができるスポットエアコンが用いられている。このようなスポットエアコンには、圧縮機、凝縮器、膨張弁、蒸発器から主に構成されるヒートポンプと、凝縮器用送風機および蒸発器用送風機と、を備えており、これらが1つの筐体内に収容されているものがある。このようなスポットエアコンは、筐体の取り扱いが容易で機動性が高く、任意の場所に移動させることが容易になっている。
【0003】
特許文献1に示されるスポットエアコンは、筐体内が仕切部材により区画されており、仕切部材の内部には蒸発器および蒸発器用送風機のファンが配置されているとともに、筐体に設けられた空気の吸込口と供給口とが連通され、空調済み空気を供給可能となっている。また、筐体内の仕切部材の外側部分には、凝縮器、凝縮器用送風機のファン、駆動モータ、膨張弁、および圧縮機が配置されているとともに、別の吸込口と排気口が形成され、空調の際に生じる余熱を排出可能となっている。
【0004】
仕切部材の内部において吸込口から取り込まれた外気は、蒸発器と熱交換されて冷却され、蒸発器用送風機により供給口から空調済み空気として適所に供給される。また、筐体内において別の吸込口から取り込まれた外気は、凝縮器と熱交換されて加温され、凝縮器用送風機により排気口から外部に排出され、すなわち排熱されるようになっている。
【0005】
また、筐体内には両軸の駆動モータが設置されており、蒸発器用送風機のファンと凝縮器用送風機のファンとを同時に駆動するように構成されている。この駆動モータは、筐体内の仕切部材の外側部分に配置されており、その蒸発器側の駆動軸が仕切部材を貫通してその内部に配置され、蒸発器用送風機のファンを仕切部材の内部で駆動させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11-230609号公報(第3頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1のスポットエアコンにあっては、駆動モータが筐体内の仕切部材の外側部分に配置されているため、仕切部材内を流れる蒸発器により冷却された冷気(すなわち、空調済み空気)の流れが駆動モータにより阻害される虞がない。しかしながら、駆動モータは筐体の外面を構成する壁面パネルのみで囲繞されているため、駆動モータの駆動音が筐体外に漏れ出し、騒音が大きく、スポットエアコンが配置される作業環境に影響を及ぼすという問題があった。
【0008】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、駆動モータによる騒音を低減できるスポットエアコンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明のスポットエアコンは、
空調用の熱交換器、及び排熱用の熱交換器が1つの筐体内に収容されたスポットエアコンであって、
前記筐体は、吸込口から取り込んだ外気が前記空調用の熱交換器と熱交換された空調済み空気を一方の送風機により供給口から供給する空調用通路と、他の吸込口から取り込んだ外気が前記排熱用の熱交換器と熱交換された排空気を他方の送風機により排気口から排出する排熱用通路と、を備え、
前記空調用通路は、パネルにより構成される筒状のダクトにより前記排熱用通路と区画され、前記ダクトの内部に前記一方の送風機が設置されており、
前記一方の送風機は、駆動モータとファンとを備え、前記駆動モータは、前記ダクトにおける前記ファンと前記供給口との間の通気空間を避けた位置に配置されていることを特徴としている。
この特徴によれば、壁面パネルにより構成された筐体とは別体のダクト内に空調用送風機の駆動モータが収容される。すなわち、駆動モータは、筐体とその内部のダクトにより二重に囲繞されるので、駆動モータによる騒音を低減できる。また、一方の送風機の駆動モータがファンと供給口との間の通気空間を避けた位置に配置されているので、空調用熱交換器を通過した空調済み空気の流れを阻害しない状態で駆動モータをダクト内に収容することができる。
【0010】
前記パネルは、少なくとも一部が防音パネルであることを特徴としている。
この特徴によれば、防音パネルにより駆動モータによる騒音を低減できる。
【0011】
前記防音パネルは、2枚の板材の間に充填材が充填されたサンドイッチパネルであることを特徴としている。
この特徴によれば、充填材により防音機能を高めるとともに、表面の板材を滑らかに構成できる。言い換えれば、表面に凹凸を有する充填材がダクト内に露出しないため、空調済み空気の流れを円滑にすることができ、ダクト内での圧力損失を低減できる。
【0012】
前記空調用に用いられる前記一方の送風機は、前記駆動モータの駆動軸回りに前記ファンが回転可能に取付けられてユニット化されており、前記ファンは外径方向に送風することを特徴としている。
この特徴によれば、ファンは外径方向に送風するため、空調済み空気の流れを避けた位置に駆動モータを配置することができる。
【0013】
前記駆動モータの駆動軸は、前記吸込口の中心軸に平行、かつ前記供給口の中心軸に交差するように配置されており、前記ダクトは前記吸込口と前記供給口とを繋ぐようにL字状に延びていることを特徴としている。
この特徴によれば、ファンの外径方向に送風された空調済み空気が供給口に向けて直線的に流れるので、ダクト内での圧力損失を低減できる。
【0014】
前記駆動モータは、前記パネルの内面から離間して配置されていることを特徴としている。
この特徴によれば、駆動モータがパネルに接触しないため、駆動モータの振動がパネルに伝達されず、騒音を抑制できる。
【0015】
前記ダクトは、複数のフレームから構成される枠体と、前記枠体にボルトで取付けられる前記パネルと、から構成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、ダクトの構造強度を向上させることができる。また、枠体に対してパネルがボルトで着脱可能であることからダクト内のメンテナンスを行いやすい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】(a)は本発明の実施例におけるスポットエアコンを示す正面斜視図、(b)は同じく背面斜視図である。
【
図3】蒸発器と給気ファンボックスとを繋ぐ連結管路部材を示す分解斜視図である。
【
図4】給気ファンボックスを示す分解斜視図である。
【
図5】(a)はパネルを示す上面図、(b)は(a)のA-A断面図である。
【
図6】(a)は給気ファンボックスを左方から見た側面図、(b)は(a)のB-B断面図である。
【
図7】(a)は給気ファンボックスの正面図、(b)は給気ファンボックスを右方から見た側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係るスポットエアコンを実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例0018】
実施例1に係るスポットエアコンにつき、
図1から
図9を参照して説明する。以下、スポットエアコンの吹出口側を正面側(前方側)とし、正面から見て左右をスポットエアコンの左右側として説明する。
【0019】
図1に示されるように、スポットエアコン1は、工場や製鉄所などの作業場に配置され、作業者の近傍に対して局所的に空気調和を行うことができるものであり、作業環境を改善することができるようになっている。本実施例では、スポットエアコン1を冷房用として使用する形態を例示するが、暖房用にも使用可能である。
【0020】
図1及び
図2に示されるように、スポットエアコン1は、略直方体を成す筐体10と、筐体10内に収容されたヒートポンプ20と、から主に構成されている。筐体10は、複数のフレーム材11aにより組み立てられた枠体11と、枠体11に取付けられ筐体10の外面を構成する複数の壁面パネル12と、により組み立てられている。
【0021】
筐体10の前面には、後述する空調済み空気A1を空調対象となる適所に供給する供給口10aが設けられている。また、筐体10の上面には、後述する排空気A2を筐体10の外部に排出する排気口10bが設けられている。また、筐体10の右面には空調用の吸込口10cが、筐体10の背面には排熱用の吸込口10dが設けられている。吸込口10c及び吸込口10dには通気性を有するカバー部材14,15が取付けられており、吸込む外気に含まれる塵芥等の微粒子を捕捉するとともに雨粒の進入を防止し、後述する排熱用熱交換器22、空調用熱交換器23に外部から触れることが防止されている。尚、カバー部材15は塵芥等の微粒子を捕捉するフィルター機能がなくてもよい。
【0022】
また、筐体10の底面を構成する壁面パネル12は、ドレンパンとして機能しており、筐体10内で発生したドレン水を一時的に貯留し、図示しない排水口より筐体10外に排出できるようになっている。
【0023】
この筐体10の内部には、空調用の吸込口10cと供給口10aとの間を繋ぐ空調用通路R1と、排熱用の吸込口10dと排気口10bとの間を繋ぐ排熱用通路R2と、が設けられている。空調用通路R1は、筒状のダクト16により構成されており、排熱用通路R2は筐体10の内部空間におけるダクト16以外の空間で構成されている。すなわち、筐体10の内部で空調用通路R1と排熱用通路R2はダクト16により区画されている。
【0024】
ヒートポンプ20は、圧縮機21、排熱用熱交換器22、膨張弁(図示略)、空調用熱交換器23、アキュームレータ24から主に構成され、圧縮機21、排熱用熱交換器22、膨張弁、空調用熱交換器23、アキュームレータ24の順に熱媒を循環させるようになっている。冷房時には、空調用熱交換器23は蒸発器として機能し、また排熱用熱交換器22は凝縮器として機能する。
【0025】
熱媒は、圧縮機21によって高温高圧の過熱蒸気となり、排熱用熱交換器22によって吸込口10dから吸い込んだ空気と熱交換され低温高圧の過冷却液となり、膨張弁により減圧されて低温低圧の湿り蒸気となり、空調用熱交換器23によって吸込口10cから吸い込んだ空気と熱交換されて少し過熱された蒸気となる。このように、吸込口10cから吸い込んだ空気は、空調用熱交換器23と熱交換されて冷却された空調済み空気A1となる。また、アキュームレータ24は空調用熱交換器23で蒸発されなかった液熱媒を気体と液体に分離して、液熱媒が圧縮機21に吸い込まれることが防止されるようになっている。
【0026】
尚、暖房時には、ヒートポンプ20の圧縮機21、空調用熱交換器23、膨張弁、排熱用熱交換器22の順、すなわち冷房時とは逆向きに熱媒を循環させればよい。このとき、空調用熱交換器23は凝縮器として機能し、また排熱用熱交換器22は蒸発器として機能する。より詳しくは、排熱用熱交換器22は低温の熱媒の熱を外気と熱交換して外気から吸熱するようになっている。換言すれば、排熱用熱交換器22は外気と熱交換して熱媒の低温の熱を筐体10の外部に排熱している。
【0027】
圧縮機21、排熱用熱交換器22、膨張弁、アキュームレータ24は、排熱用通路R2に配置されており、空調用熱交換器23は、空調用通路R1に配置されている。具体的には、排熱用熱交換器22は排熱用の吸込口10dの近傍に配置され、空調用熱交換器23は空調用の吸込口10cの近傍に配置されている。
【0028】
排気口10bには、他方の送風機としての排熱用送風機2が取付けられている。排熱用送風機2は、ファン3と駆動モータ(図示略)とがユニット化されており、上下方向を向く駆動モータの駆動軸4回りにファン3が回転するようになっている。この排熱用送風機2により排熱用の吸込口10dから外気が排熱用通路R2内に導入され、排熱用熱交換器22と熱交換された後、排熱用通路R2を通って排気口10bから上方に排空気A2として排出される。
【0029】
図7及び
図8を参照して、ダクト16内には、一方の送風機としての空調用送風機5が取付けられている。空調用送風機5は、ファン54と駆動モータ53とがユニット化されている。この空調用送風機5により空調用の吸込口10cから外気が空調用通路R1内に導入され、空調用熱交換器23と熱交換された後、空調用通路R1を通って供給口10aから前方に空調済み空気A1として供給される(
図1(a)参照)。尚、空調用送風機5の具体的な構造は後に詳述する。
【0030】
次に、ダクト16の構造について説明する。
図2に示されるように、ダクト16は、空調用熱交換器23と、空調用熱交換器23に接続される連結管路部材17と、連結管路部材17に接続される給気ファンボックス18と、給気ファンボックス18と供給口10aとを連通する連結管路部材19と、から主に構成されている。具体的には、ダクト16は、空調用の吸込口10cから左方に水平に延びた後、排気口10bに向けて略90度前方に向けて水平に延びる平面視で略L字状を成している。
【0031】
空調用熱交換器23は、熱媒が導通される管が蛇行して延びるとともに、当該管が貫通する複数のフィンを備えた熱交換部(図示略)と、熱交換部を覆う筒状のケース23aとを備えており、空調用の吸込口10cから導入された外気はケース23a内を通るようになっている。このケース23aは左右方向を向いて配置されている。
【0032】
図3に示されるように、連結管路部材17は、上向きコ字状の上部フレーム171及び下部フレーム172と、上面視略Z字クランク状の後部フレーム173と、上面視略S字クランク状の前部フレーム174と、を備えており、各フレーム171~174が側面視ロ字状をなすように溶接またはボルトナット等の固定手段により固定されて構成されている。この連結管路部材17は、空調用熱交換器23のケース23aに連通するように接続される。各フレーム171~174は、連結管路部材17の外面を構成する部分と交差する方向に延びる部分を有しているので、連結管路部材17の捻れなどに対する構造強度が高くなっている。
【0033】
また、連結管路部材17の前面を構成する前部フレーム174の板部174aには、前後方向に貫通する開口174bが形成されており、開口174bは、板部174aに着脱可能に取付けられる蓋部材175により閉塞されている。蓋部材175を取外すことにより、開口174bを点検窓として使用することができ、連結管路部材17内を適宜メンテナンスすることができる。
【0034】
図4に示されるように、給気ファンボックス18は、底部パネル181、フレームパネル182、フレーム183により構成される枠体184と、枠体184の上面、背面、左面に取付けられるパネル185と、から主に構成されている。底部パネル181は、金属製の板部材から構成されており、底面部181aと、底面部181aの前辺、左辺、後辺から立ち上がる立上部181bを備えている。
【0035】
フレームパネル182は、底部パネル181の右辺から上方に立ち上がる右側面部182aと、右側面部182aの前辺、後辺における立上部181bの上部から左方に延びる延設部182bと、右側面部182aの上辺から左方に延びる延設部182cとを備えている。右側面部182aの中央部には左右に貫通し連結管路部材17と連通する開口部182dが形成されている。尚、底部パネル181およびフレームパネル182は、別部材で構成されていてもよいし、1枚の金属板を折り曲げて形成されていてもよい。
【0036】
フレーム183は、L字状の金属製のフレームであり、L字状の接続金具186を介してフレーム183同士、底部パネル181またはフレームパネル182と接続されている。
【0037】
底部パネル181、フレームパネル182、フレーム183が組み立てられた枠体184は略直方体の骨子を構成している。底部パネル181およびフレームパネル182の縁部とフレーム183は、断面略L字状を成しているので、枠体184の構造強度が高くなっている。
【0038】
図5に示されるように、パネル185は、ガルバニウム等の鋼材から薄い板状に成形された内板185aと、同じくガルバニウム等の鋼材から薄い板状に成形され内板185aと対向して配置される外板185bと、内板185aと外板185bの四辺の縁部に固定された樹脂製の縁材185cと、内板185a、外板185b、および縁材185cで囲まれた空間に充填される発泡性の充填材185dと、により構成されている。パネル185は、内板185a、外板185b、および縁材185cにより内部に充填材185dを狭持した所謂サンドイッチパネルであり、断熱性および遮音性に優れる。すなわち、パネル185は、防音パネルとして機能している。
【0039】
図6に示されるように、パネル185は、ボルト8により枠体184の外面側に取付けられる。具体的には、
図6(b)に示されるように、パネル185と枠体184のフレーム183(または底部パネル181の縁部、フレームパネル182の縁部)とは、断面L字状のパッキン9を介して接続されており、各パネル185と枠体184との隙間から空気漏れや音漏れが生じることが防止されている。
【0040】
図2及び
図9に示されるように、連結管路部材19は、断面コ字状の上板材19a、右板材19b、左板材19c、下板材19dが正面視ロ字状に組み立てられることで構成されている。この連結管路部材19は、給気ファンボックス18の前面側の開口と供給口10aとの間を連結している。
【0041】
次に、給気ファンボックス18に対する空調用送風機5の組み付け態様について
図7および
図8を用いて説明する。
【0042】
図7及び
図8に示されるように、空調用送風機5は、フレームパネル182に取付けられ中央に左右に貫通する貫通孔51aを有するベース板51と、貫通孔51aに連通するようにベース板51に固定される筒状部材52と、筒状部材52の左方に配置され駆動軸53aが左右方向に延びる駆動モータ53と、駆動軸53aに固定され筒状部材52と駆動モータ53との間に配置されるファン54と、から主に構成されている。
【0043】
ベース板51は、貫通孔51aが形成される立設面部51bと、立設面部51bの四辺からフレームパネル182側に向けて延びる延設部51cと、を備えた断面コ字状に構成されており、立設面部51bとフレームパネル182の右側面部182aとがパッキン57を介してボルト55及びナット56により固定されている。このとき、ベース板51の延設部51cがフレームパネル182の右側面部182aに押し付けられるので、ベース板51とフレームパネル182とが強固に固定されるとともに、パッキン57によりベース板51とフレームパネル182との間の密封性が向上し、かつ制振性にも優れる。
【0044】
また、ベース板51には、正面視U字状のフレーム58が前後に離間して固定されている。このフレーム58は、筒状部材52よりも左方の位置で駆動モータ53を給気ファンボックス18のパネル185および底部パネル181の内面から離間させた状態で支持している。尚、筒状部材52は、中心軸が左右方向に向いた状態でベース板51に固定されている。
【0045】
駆動モータ53は、その駆動軸53aが筒状部材52の中心軸と同軸を向いている。ファン54は、駆動モータ53の駆動軸53aと共に回転するようになっており、筒状部材52を通じて導入される空調済み空気A1を外径側に送風するようになっている(
図9参照)。
【0046】
次に、空調用通路R1内を流れる空調済み空気A1の流れについて
図9を用いて説明する。
【0047】
図9に示されるように、スポットエアコン1の運転時には、空調用送風機5が動作することにより、外気A3が空調用の吸込口10cを通じて空調用通路R1内に流入する。空調用通路R1内に流入した外気A3は、空調用熱交換器23を通過したときに熱交換されて空調済み空気A1となる。空調済み空気A1は、連結管路部材17および空調用送風機5の筒状部材52を通過し、ダクト16内にてファン54により外径側の全周囲に送風される。
【0048】
ファン54により外径側に送風された空調済み空気A1の大部分は、このファン54の外径側の周囲を上面のパネル185、背面のパネル185、および底部パネル181に沿って流れ、連結管路部材19に向けて合流し、メインストリームとして連結管路部材19から供給口10aまで直線的に延びる通気空間S1を流れる。また、ファン54により外径側に送風された空調済み空気A1の一部は、ファン54よりも奥側となる左面のパネル185側の滞留空間S2に移動しながら連結管路部材19を通って供給口10aから適所に供給される。尚、滞留空間S2は、通気空間S1に連通し、この通気空間S1よりも空調済み空気A1の流れが緩慢な空間である。
【0049】
以上説明したように、壁面パネル12により囲まれた筐体10とは別体のダクト16内に空調用送風機5の駆動モータ53が収容される。すなわち、駆動モータ53は、筐体10とその内部のダクト16により二重に囲繞されるので、駆動モータ53による騒音を低減できる。また、空調用送風機5の駆動モータ53がファン54と供給口10aとの間の通気空間S1を避けた位置、すなわち滞留空間S2に配置されているので、空調用熱交換器23を通過した空調済み空気A1の流れを阻害しない状態で駆動モータ53をダクト16内に収容することができる。
【0050】
また、滞留空間S2にも空調済み空気A1の一部が流れ込むので、駆動モータ53が空調済み空気A1により冷却され、駆動モータ53が過剰に発熱することを防止できる。
【0051】
また、駆動モータ53が配置される給気ファンボックス18のパネル185は、防音パネルであるため、防音パネルであるパネル185により駆動モータ53による騒音を効果的に低減できる。
【0052】
また、パネル185は、2枚の内板185a及び外板185bの間に充填材185dが充填されたサンドイッチパネルであり、充填材185dにより防音機能を高めるとともに、空調用通路R1及び排熱用通路R2に面する内板185a及び外板185bの表面を滑らかに構成できる。言い換えれば、表面に凹凸を有する充填材185dがダクト16内および筐体10内に露出しないため、空調済み空気A1および排空気A2の流れを円滑にすることができ、ダクト16内(すなわち空調用通路R1内)および筐体10内(すなわち排熱用通路R2内)での圧力損失を低減できる。
【0053】
また、断熱機能を有する充填材185dを採用しているので、防音機能に加えて筐体10とダクト16との間での断熱効果を得ることができる。
【0054】
また、空調用送風機5は、駆動モータ53の駆動軸53a回りにファン54が回転可能に取付けられてユニット化されており、ファン54は外径方向に送風するようになっている。これによれば、ファン54は外径方向に送風ため、空調済み空気A1の流れを避けた滞留空間S2に駆動モータ53を配置することができる。
【0055】
また、駆動モータ53の駆動軸53aは、空調用の吸込口10cの中心軸に平行、かつ供給口10aの中心軸に直交するように配置されており、ダクト16は吸込口10cと供給口10aとを繋ぐようにL字状に延びている。これによれば、ファン54の外径方向に送風された空調済み空気A1が供給口10aに向けて通気空間S1を直線的に流れるので、ダクト16内での圧力損失を低減できる。
【0056】
また、駆動モータ53は、フレーム58により給気ファンボックス18のパネル185および底部パネル181の内面から離間させた状態で支持されており、駆動モータ53がパネル185および底部パネル181に接触しないため、駆動モータ53の振動がパネル185および底部パネル181に伝達されず、騒音を抑制できる。
【0057】
また、ダクト16を構成する給気ファンボックス18は、複数の底部パネル181、フレームパネル182、フレーム183から構成される枠体184と、枠体184にボルト8で取付けられるパネル185と、から構成されているため、ダクト16の構造強度を向上させることができる。また、枠体184に対してパネル185がボルト8で着脱可能であることから、パネル185を枠体184から取外すことでダクト16内のメンテナンスを行いやすい。
【0058】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0059】
例えば、前記実施例では、ダクト16の一部を構成する給気ファンボックス18の上面、左面、背面に防音機能及び断熱機能を有するパネル185が取付けられる形態を例示したが、ダクトが防音機能及び断熱機能を有していないパネルで構成されていてもよい。防音機能及び断熱機能を有していないパネルであっても空調用送風機は筐体とダクトにより二重に囲繞されるので、駆動モータによる騒音を低減できる。
【0060】
また、ダクトの外面全体がサンドイッチパネルにより構成されていてもよい。すなわち、連結管路部材17、給気ファンボックス18、連結管路部材19の外面がサンドイッチパネルにより構成されていてもよい。これによれば、ダクトの防音機能及び断熱機能を高めることができる。
【0061】
また、前記実施例では、パネル185がサンドイッチパネルである形態を例示したが、少なくとも防音機能を有する部材であれば自由に変更できる。
【0062】
また、前記実施例では、駆動モータ53とファン54とがユニット化された空調用送風機5を用いる形態を例示したが、駆動モータ53がダクト16内の通気空間S1を避けた位置に配置されていれば、駆動モータとファンとがユニット化されていなくてもよい。例えば、平行に配置された駆動モータの駆動軸とファンの回転軸とがベルトで連結されていてもよい。
【0063】
また、前記実施例では、ダクト16が空調用の吸込口10cから排気口10bに向けて略L字状に延びている形態を例示したが、これに限られず、直線状に延びていてもよいし、湾曲して延びていてもよい。
【0064】
また、前記実施例では、駆動モータ53がパネル185および底部パネル181の内面から離間させた状態で支持されている形態を例示したが、駆動モータの一部がダクトの外面を構成するパネルに一部当接していてもよい。
【0065】
また、前記実施例では、枠体184にパネル185が取付けられている形態を例示したが、パネルのみで構成されていてもよい。また、枠体に対してパネルが溶接等で固定されていてもよい。この場合、点検窓等を別個に形成することが好ましい。