(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022083827
(43)【公開日】2022-06-06
(54)【発明の名称】デッキ設備
(51)【国際特許分類】
B61B 1/02 20060101AFI20220530BHJP
【FI】
B61B1/02
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020195385
(22)【出願日】2020-11-25
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】305019129
【氏名又は名称】JFE西日本ジーエス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】有安 省司
(72)【発明者】
【氏名】長田 和久
【テーマコード(参考)】
3D101
【Fターム(参考)】
3D101AD01
(57)【要約】
【課題】簡易な機構によって、デッキ部から移動体への乗り移りを容易とすることを目的とする。
【解決手段】移動してきた移動体に対する人員の乗り降りを行うためのデッキ部2を有するデッキ設備であって、上記デッキ部2を支持する土台部1と、上記デッキ部2を、上記土台部1上の初期位置から、上記移動体に向けて上記土台部1に対し張り出すように横方向にスライド可能とするスライド機構と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動してきた移動体に対する人員の乗り降りを行うためのデッキ部を有するデッキ設備であって、
上記デッキ部を支持する土台部と、
上記デッキ部を、上記土台部上の初期位置から、上記移動体に向けて上記土台部に対し張り出すように横方向にスライド可能とするスライド機構と、
を備えるデッキ設備。
【請求項2】
上記スライド機構は、
上記デッキ部に固定され、上記横方向に向けて延在する第1の案内レールと、
上記土台部に固定され上記第1の案内レールによって案内される第1の車輪と、
上記土台部に固定され、上記横方向に向けて延在する第2の案内レールと、
上記デッキ部に固定され、上記第2の案内レールによって案内される第2の車輪と、
を備え、
上記横方向において、上記第1の車輪が、上記第2の車輪よりも、上記張り出し側に配置される、
請求項1に記載したデッキ設備。
【請求項3】
上記土台部からの上記デッキ部の浮き上がりを防止する浮き上がり防止機構を備え、
上記浮き上がり防止機構は、
上記デッキ部に回転自在に支持されるローラと、
上記土台部に設けられ、上記横方向に延在すると共に、上記ローラが下方から転動可能に当接する転動面と、
を備える、
請求項2に記載したデッキ設備。
【請求項4】
上記土台部に対する上記デッキ部の上記横方向への移動を拘束するロック機構を備え、
上記ロック機構は、
上記土台部に設けられて、上記横方向に延在し歯を下方に向けたラック部と、
上記デッキ部に設けられて上下方向に移動可能なペダル部と、
上記ペダル部をデッキ部に対し上方に付勢するバネ部材と、
上部を上記ペダル部に連結して下方に延在する上下フレームと、
上記上下フレームの下部に支持され、上記ラック部の歯に噛み合い可能な噛み合い歯を上方に向けた噛合部と、
を備え、上記ペダルがバネ部材のバネ力で上方に変位している状態では、上記噛み合い歯が、上記ラック部の歯に噛み合っている、
請求項1~請求項3のいずれ1項に記載したデッキ設備。
【請求項5】
上記土台部に対し上記デッキ部を上記横方向に駆動する駆動機構を備える、
請求項1~請求項4のいずれ1項に記載したデッキ設備。
【請求項6】
上記駆動機構は、
上記デッキ部に回転自在に支持された歯車と、
上記土台部に設けられ、上記歯車の歯と噛み合う噛み合い部が上記横方向に沿って並ぶ噛み合いレールと、
を備える請求項5に記載したデッキ設備。
【請求項7】
上記歯車はスプロケットであり、上記噛み合いレールがローラチェーンである、
請求項6に記載したデッキ設備。
【請求項8】
上記歯車はピニオンギアであり、上記噛み合いレールがラックから構成される、
請求項6に記載したデッキ設備。
【請求項9】
上記デッキ部に支持されたハンドルと、
上記ハンドルの回転を上記歯車に伝達する伝達機構と、
を備える請求項6~請求項8のいずれか1項に記載したデッキ設備。
【請求項10】
上記駆動機構は、上記スライド方向に軸を向けたシリンダ装置を備える、
請求項6に記載したデッキ設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動してきたトラック等の車両や鉄道車両などからなる移動体に対する乗り降りを行うために、床の上方にデッキ部が設置されたデッキ設備に関する。
【背景技術】
【0002】
移動してきたトラックの荷台への乗り移りを楽に実行できるようにするため、上記荷台の高さ位置と同じくらいの高さ位置にデッキ部が設置され、デッキ部を介してトラックの荷台への乗り移り等を可能としている。なお、デッキ部までは、例えばデッキ設備が有する階段によって昇降する。
【0003】
ここで、デッキ部の横(側方)にトラックが停車するが、デッキ部とトラックとの間の距離が広すぎる場合には、デッキ部からトラックへ乗り移り難い。
これに対応するため、例えば、従来のデッキ設備では、
図12に示すように、デッキ部2からトラック100側に向けてタラップ200を降ろし、そのタラップ200を利用することで、トラック100への乗り移りを容易にしていた。
【0004】
しかし、トラックの停車位置によって、トラックとデッキ部との間の距離も変わってくる。このため、上記のようなタラップでは、トラックの停車位置によっては、タラップとトラックとの間に、所要以上の隙間が開いてしまうといった課題がある。
【0005】
ここで、本発明が想定する地上を走行するトラックなどの移動体への乗り移り用のデッキ設備において、タラップのたぐいの特許文献を発見できなかった。ただし、飛行機内への乗り移り用のタラップの機構の例として、例えば特許文献1に記載の構造がある。
【0006】
また、仮にタラップを横方向へ可動式に構成することを想定した場合、タラップとデッキ部の床面との間に段差が形成されるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記のような点に着目してなされたもので、簡易な機構によって、デッキ部から移動体への乗り移りを容易とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
課題解決のために、本発明の一態様は、移動してきた移動体に対する人員の乗り降りを行うためのデッキ部を有するデッキ設備であって、上記デッキ部を支持する土台部と、上記デッキ部を、上記土台部上の初期位置から、上記移動体に向けて上記土台部に対し張り出すように横方向にスライド可能とするスライド機構と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明の態様によれば、デッキ部自体が移動体に向けてスライド可能となっているので、デッキ部との床面に段差が形成されることなく、簡易な機構によって、デッキ部と移動してきた移動体との間の乗り移りを容易とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に基づく実施形態に係るスライド機構を説明する概念図である。
【
図2】本発明に基づく実施形態に係るデッキ設備を示す正面図である。
【
図3】本発明に基づく実施形態に係るデッキ設備を示す上面図である。
【
図4】スライド機構を説明する図であり、(a)はスライド方向に直交する方向から見た図、(b)は張り出し側(前方)から見た図、(c)は後方から見た図である。
【
図5】浮き上がり防止機構を説明する図であり、(a)はスライド方向に直交する方向から見た図、(b)はスライド方向から見た(a)のX-X断面図である。
【
図6】スライド方向に直交する方向から見た、ロック機構を説明する図であって、(a)はロック状態を、(b)はロック解除状態を示す図である。
【
図7】スライド方向から見た、ロック機構を説明する図であって、(a)はロック状態を、(b)はロック解除状態を示す図である。
【
図8】スライド方向に直交する方向から見た、駆動機構を説明する図である。
【
図9】スライド方向から見た、駆動機構を説明する図である。
【
図12】従来のデッキ設備の例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
本実施形態では、移動体としてトラック(産業車両)を例に挙げて説明する。ただし、移動体は、産業車両に限定されない。
【0013】
(構成)
図1に示すように、本実施形態のデッキ設備は、床面を走行し停車したトラック100に対する人員の乗り降りを行うためのデッキ部2(床面部)を有する。デッキ部2は、例えばトラック100の荷台と同じ高さとなるように、土台部1の上に設置されている。
【0014】
本実施形態のデッキ設備は、デッキ部2自体を横方向(停車したトラック100側)にスライド可能とするスライド機構を備える。そのスライド機構によって、デッキ部2は、土台部1上の初期位置(
図1で右端側の一点鎖線の位置)から、停車したトラック100に向けて土台部1から張り出す方向に、横方向(
図1では左方向)へスライド可能となっている。
ここで、本明細書では、スライドさせる横方向に直交する方向を長手方向と呼ぶこともある。
【0015】
本実施形態のスライド機構は、
図1に示すように、第1の案内レール3と、第1の車輪4と、第2の案内レール5と、第2の車輪6とを備える。
【0016】
第1の案内レール3は、デッキ部2に固定され、スライド方向(横方向)に向けて延在している。第1の車輪4は、土台部1に回転に固定され、第1の案内レール3によって案内されて、スライド方向に上記第1の案内レール3上を転動可能となっている。
また、第2の案内レール5は、土台部1に固定され、スライド方向に向けて延在している。第2の車輪6は、デッキ部2に固定され、第2の案内レール5によって案内されて、スライド方向に上記第2の案内レール5上を転動可能となっている。
【0017】
そして、第1の車輪4側を、第2の車輪6よりも張り出し側に配置することで、スライドするデッキ部2の張り出し可能な量を稼ぐようにしている。張り出し可能な量を大きく設定する観点からは、
図1に示すように、第1の車輪4を、土台部1の張り出し方向側の端部に設けると共に、第2の車輪6を、デッキ部2の張り出し方向とは反対側の端部に設けることが好ましい。
【0018】
図1中、符号7は、デッキ部2の浮き上がり防止機構を構成するローラを表す。
符号8は、ロック機構のペダル部を表す。ペダル部8を踏むことでデッキ部2のスライドのロックが解除され、ペダルを踏まない状態では、デッキ部2がスライド方向に移動することが拘束される。
【0019】
符号9は、駆動機構への駆動量及びスライド方向を指示する操作子としてのハンドルを表す。ロックが解除された状態では、ハンドル9の回転量及び回転方向に応じて、駆動機構(
図1では不図示)が駆動されて、土台部1に対してデッキ部2が横方向にスライドするように構成されている。
符号10は手摺りを表す。符号11は、土台部1の浮き上がりを防止するバランスウエイトである。
【0020】
以下に、本実施形態のデッキ設備について、より詳細に説明する。
本実施形態のデッキ設備は、
図2及び
図3に示すように、土台部1の上に、デッキ部2が支持されている。
【0021】
土台部1は、軽量化やデッキ設備の周りが視認可能などのために、柱1Bや梁1A等の組み合わせで構成される。
デッキ部2は、スライド方向(
図2では紙面方向、
図3では上下方向)に直交する長手方向に延在して通路を構成する。デッキ部2には、左右両側に設けられた階段1Cによって地面からデッキ部2の床面2aに昇降可能となっている。
【0022】
本実施形態では、デッキ部2は、長手方向に沿って、3つに区分され、区画毎に個別に、デッキ部2がスライド方向に移動可能となっている。これによって、乗り移る位置によって、使用するデッキ部2の位置を変更する。
【0023】
符号10は、デッキ部2から立ち上がった手摺り部であって、各区画の中央部に位置する手摺り部10Aが開閉可能となっていて、その開閉位置から人員が乗り移り可能となっている。
そして、区画毎に、個別に、スライド機構、浮き上がり防止機構、ロック機構、及び駆動機構が設置されている。
【0024】
<スライド機構>
本実施形態では、スライド機構は、スライドさせるデッキ部2毎に長手方向に離して2箇所以上設置される。スライド機構は、スライドさせるデッキ部2毎に1箇所でも構わないが、左右に離隔してそれぞれ設けることが好ましい。
本実施形態では、スライド機構は、
図2に示すように、人員が乗り移る位置(手摺り10Aの位置)よりも左右方向外側にそれぞれ設けられている。また、スライド機構部分は、デッキ部2の荷重を土台部1に伝達する部分であるため、
図2に示すように、正面から見て、柱1Bと上下で重なる位置に配置する。具体的には、スライド機構は、
図4に示すように、左右の柱1B間に掛け渡された梁1Dとその上方に位置するデッキ部2の下面の間に配置される。
【0025】
上述のように、スライド機構は、第1の案内レール3と、第1の車輪4と、第2の案内レール5と、第2の車輪6とを備える。本実施形態では、
図4に示すように、第1の案内レール3と第2の案内レール5とが上下で重なるように配置されている。
【0026】
第1の案内レール3は、
図4に示すように、デッキ部2の下面に固定され、スライド方向(横方向)に向けて延在している。本実施形態では、第1の案内レール3は等辺山形鋼から構成され、
図4(b)のように、山形の角部を下方に向けて配置されている。
【0027】
第1の車輪4は、土台部1の柱1Bの上側に設置されている。本実施形態の第1の車輪4は、アングルレール車輪から構成され、第1の案内レール3によって案内されて、スライド方向に上記第1の案内レール3上を転動可能となっている。
【0028】
第2の案内レール5は、
図4に示すように、土台部1の前後の柱1Bの上側に固定され、スライド方向(横方向)に向けて延在している。本実施形態では、第2の案内レール5は等辺山形鋼から構成され、
図4(c)のように、山形の角部を上方に向けて配置されている。
【0029】
第2の車輪6は、デッキ部2に下面に設置されている。本実施形態の第2の車輪6は、アングルレール車輪から構成され、第2の案内レール5によって案内されて、スライド方向に上記第1の案内レール3上を転動可能となっている。
【0030】
デッキ部2の下面の2箇所に上記スライド機構を設ける。この結果、デッキ部2は、
図4に示すように、土台部1上の初期位置(
図4(a))から、トラック100側に向けて、土台部1に対し張り出すように横方向にスライド可能なる。
【0031】
<浮き上がり防止機構>
土台部1からのデッキ部2の浮き上がりを防止する浮き上がり防止機構を備える。
本実施形態では、
図2及び
図5に示すように、デッキ部2と土台部1との間における、左右両側(スライド機構よりも外側)にそれぞれ浮き上がり防止機構が設けられている。
【0032】
浮き上がり防止機構は、デッキ部2に回転自在に支持されるローラ7と、土台部1に設けられて横方向に延在すると共にローラ7が下方から転動可能に当接する転動面と、を備える。
【0033】
本実施形態では、
図5に示すように、前後の柱1B間に連結し、前後方向(スライド方向)に軸を向けた梁部材としての溝形鋼1Eが配置されている。溝形鋼1Eは、下方のウエブ部が水平となるように配置され、そのウエブ部の下面が、上記の転動面となる。転動面を構成する梁部材は、溝形鋼1Eでなくても良い。
【0034】
また
図5に示すように、上端部をデッキ部2に固定されて下方に延びるブラケット71を有し、そのブラケット71の下端部に軸付きローラ7が取り付けられている。ローラ7は、ブラケット71から溝形鋼1Eの下方に張り出すように当該ブラケット71に取り付けられて、該ローラ7は、転動面に下側から転動可能に当接している。これによって、ローラ7は、デッキ部2のスライドに応じて、溝形鋼1Eの下面(転動面)に沿って移動し、土台部1に対しデッキ部2が上方に変位しようとすると、ローラ7が転動面によって上方への移動が規制されることで、デッキ部2の浮き上がりを防止する。
【0035】
<ロック機構>
土台部1に対するデッキ部2のスライド方向への移動を拘束するロック機構を備える。
デッキ部2の床面には、バネ部材のバネ力によってデッキ部2に対し上方に付勢されたペダル部8を備える。ロック機構は、そのペダル部8に対する下方への荷重が無負荷の状態では、デッキ部2のスライドを拘束する、つまりロック状態にする。一方、ペダル部8を人員が踏むことでペダル部8が下方に変位すると、ロック状態を解除して、土台部1に対するデッキ部2のスライドを可能となる。
【0036】
これによって、人員がデッキ部2の床面2aを通行する場合に、不用意にデッキ部2がスライドすることが防止されると共に、デッキ部2をスライドさせたい場合には、ペダル部8を踏むという簡単な動作によって、デッキ部2をスライドできるようにする。
【0037】
ペダル部8は、
図3に示すように、張り出し側とは反対側のデッキ部2の床面2a位置に設けられている。すなわち、デッキ部2のスライドを操作する位置は、張り出し側とは反対側のデッキ部2となっていて、デッキ部2のスライドの際の安定を確保できるようになっている。
【0038】
本実施形態のロック機構は、
図6及び
図7に示すように、ラック部83、ペダル部8、バネ部材、上下部材82、及び噛合部84を備える。
【0039】
ラック部83は、土台部1に設けられて、スライド方向に延在している。ラック部83は、歯が下方に向いた状態で、複数の歯がスライド方向に並んでいる。
ペダル部8は、上記のようにデッキ部2の床面に設けられて、上下方向に変位可能となっている。ペダル部8の下面から、デッキ部2を貫通して、下方に延在する上下部材82を有する。
【0040】
上下部材82は、デッキ部2下面に設けられたブラケット81に支持されている。その支持構造は、上下部材82から張り出す張出部82aとブラケット81から張り出す張出部81aとが上下で対向配置され、その対向する張出部82a、81a間に軸を上下に向けたバネ部材としてのコイルスプリング85が配置されている。コイルスプリング85は、圧縮コイルバネであって、対向する張出部82a、81a間が接近する方向にバネ力(付勢力)を発揮する。これによって、ペダル部8は上方に変位する。
【0041】
また、上下部材82の下部に噛合部84が固定されている。噛合部84は、上下部材82からラック部83側に張り出して、ラック部83と上下で対向している。噛合部84は、上面にラック部83の歯と噛み合い可能な噛み合い歯を有する。そして、コイルスプリング85のバネ力によって、
図6(a)及び
図7(a)に示すように、噛合部84の噛み合い歯がラック部83の歯に当接して噛み合うことで、ロック状態になると共に、ペダル部8の上方への変位量が規制される。
【0042】
このロック状態からペダル部8が踏み込まれて、コイルスプリング85のバネ力に抗して、ペダル部8が下方に変位すると、
図6(b)及び
図7(b)に示すように、噛合部84が下方に変位する。これによって、噛合部84とラック部83の噛み合いが解除されて、デッキ部2がスライド可能となる。なお、符号86の棒体は、ペダル部8の下方への変位量を規制する部品である。
【0043】
<駆動機構>
土台部1に対しデッキ部2をスライド方向に駆動する駆動機構を備える。
駆動機構は、例えば、デッキ部2に回転自在に支持された歯車と、土台部1に設けられ歯車の歯と噛み合う噛み合い部がスライド方向に沿って並ぶ噛み合いレールと、を備える。
【0044】
本実施形態の駆動機構は、
図8及び
図9に示すように、操作子としてのハンドル9、伝達機構、歯車を構成するスプロケット94、及び噛み合いレールを構成するローラチェーン95を備える。
【0045】
ハンドル9は、デッキ部2に回転可能に支持されてデッキ部2の上方(例えば1.2m上方)に位置する。上面視において、ハンドル9は、ペダル部8に近傍(デッキ部2における張り出し側とは反対側)に設けられ、人員がペダル部8を足で操作しつつハンドル9を回転可能な位置に設けられている。
【0046】
ハンドル9の回転は、伝達機構によってスプロケット94に伝達可能となっている。
本実施形態の伝達機構は、上下に延在する軸部材91と、軸部材91の軸回転をスプロケット94に伝達するウォーム減速機93とを備える。
【0047】
ハンドル9の水平軸周りの回転は、例えば傘歯車によって上下軸周りの回転に変換されて軸部材91に伝達され、軸部材91の上下軸周りに回転は、ウォーム減速機93によって水平軸周りの回転に変換されてスプロケット94に伝達される。符号92はカップリングを示す。
【0048】
本実施形態では、2つのスプロケット94を有し、
図9に示すように、2つのスプロケット94はウォーム減速機93の左右両側に配置されている。
【0049】
土台部1には、各スプロケット94に噛み合うローラチェーン95が設けられている。ローラチェーン95は、スライド方向に延在するように配置されている。
【0050】
これによって、ハンドル9の回転によってスプロケット94が回転し、左右のスプロケット94がローラチェーン95に噛み合うことで、土台部1に対してデッキ部2がスライド方向に移動する駆動力を発揮する。
駆動機構は、
図2に示すように、上面視でデッキ部2の左右方向中央部に配置されている。
【0051】
ここで、駆動機構の駆動部本体の機構は、スプロケット94とローラチェーン95の組合せに限定されない。例えば
図10に示すように、ラック111とピニオンギアオン110の組合せから構成されていても良いし、
図11のようにスライド方向に軸を向けたシリンダ装置112で構成されていても良い。
【0052】
また、操作部分を機械的構造の場合を例示しているが、電動や油圧回路で駆動される構成でもよい。
【0053】
(動作その他)
本実施形態のデッキ設備では、作業員は、階段1Cによってデッキ部2に移行し、デッキ部2の床面に沿って目的のデッキ部2位置まで移動する。このとき、各デッキ部2は、ロック機構でスライドがロックされているため、不用意にデッキ部2がスライドすることがない。
【0054】
目的とするデッキ部2まで移動したら、ペダル部8を踏んでロックを解除状態として、ハンドル9を回して、デッキ部2を初期位置から停止しているトラック100側にスライドさせる。目的の位置までデッキ部2がスライドしたら、トラック100に乗り移って作業を行い。作業が完了したら、再びデッキ部2に乗り移る。
【0055】
デッキ部2に乗り移ったら、ペダルを踏んでロックを解除した状態でハンドル9を逆回転することで、デッキ部2を初期位置に戻す。デッキ部2が初期値に戻ったら、ペダルの踏込みを解除する。これによって、デッキ部2はスライドしないようにロックされる。
【0056】
このように本実施形態では、デッキ部2自体がスライドすることで、デッキ部2からトラック100への乗り移りがやりやすくなる。
また、トラック100の停止位置に応じてデッキ部2自体のスライド量を変更することで、トラック100の停止位置に応じて、デッキ部2からトラック100への乗り移りがやりやすくなる。
【0057】
(その他)
本開示は、以下のような構成も取ることができる。
(1)本実施形態は、移動してきた移動体に対する人員の乗り降りを行うためのデッキ部2を有するデッキ設備であって、上記デッキ部2を支持する土台部1と、上記デッキ部2を、上記土台部1上の初期位置から、上記移動体に向けて上記土台部1に対し張り出すように横方向にスライド可能とするスライド機構と、を備える。
【0058】
この構成によれば、デッキ部2自体が移動体に向けてスライド可能となっているので、デッキ部2との床面に段差が形成されることなく、簡易な機構によって、デッキ部2と移動してきた移動体との間の乗り移りを容易とすることができる。
【0059】
(2)上記スライド機構は、上記デッキ部2に固定され、上記横方向に向けて延在する第1の案内レール3と、上記土台部1に固定され上記第1の案内レール3によって案内される第1の車輪4と、上記土台部1に固定され、上記横方向に向けて延在する第2の案内レール5と、上記デッキ部2に固定され、上記第2の案内レール5によって案内される第2の車輪6と、を備え、上記横方向において、上記第1の車輪4が、上記第2の車輪6よりも、上記張り出し側に配置される。
この構成によれば、簡易な機構で、デッキ部2をスライド可能とすることができる。
【0060】
(3)上記土台部1からの上記デッキ部2の浮き上がりを防止する浮き上がり防止機構を備え、上記浮き上がり防止機構は、上記デッキ部2に回転自在に支持さえるローラ7と、上記土台部1に設けられ、上記横方向に延在すると共に、上記ローラ7が下方から転動可能に当接する転動面と、を備える。
この構成によれば、土台部1に対しデッキ部2を張り出すようにスライドさせても、デッキ部2の浮き上がりを防止可能となる。
【0061】
(4)上記土台部1に対する上記デッキ部2の上記横方向への移動を拘束するロック機構を備え、上記ロック機構は、上記土台部1に設けられて、上記横方向に延在し歯を下方に向けたラック部83と、上記デッキ部2に設けられて上下方向に移動可能なペダル部8と、上記ペダル部8をデッキ部2に対し上方に付勢するバネ部材と、上部を上記ペダル部8に連結して下方に延在する上下フレームと、上記上下フレームの下部に支持され、上記ラック部83の歯に噛み合い可能な噛み合い歯を上方に向けた噛合部84と、を備え、上記ペダルがバネ部材のバネ力で上方に変位している状態では、上記噛み合い歯が、上記ラック部83の歯に噛み合っている。
【0062】
この構成によれば、デッキ部2をスライドさせたい場合以外でのデッキ部2の不用意なスライドが防止されて、デッキ部2をスライド可能に構成しても、デッキ部2を通行する際の妨げとなることが回避される。
すなわち、デッキ部2をスライド可能に構成しても、ロック機構を備えることで、従来と同様にデッキ部2の上を通行することが出来る。更に、トラックに乗り移るために、デッキ部2を横方向にスライドさせるときも、任意のスライド位置でデッキ部2の位置が固定(ロック)できて、トラックへの乗り移り、及びトラックからデッキ部2への乗り移りを安全に行うことが可能となる。
【0063】
(5)上記土台部1に対し上記デッキ部2を上記横方向に駆動する駆動機構を備える。
駆動機構を有することで、デッキ部2をスライド方向に駆動可能となる。
【0064】
(6)上記駆動機構は、上記デッキ部2に回転自在に支持された歯車と、上記土台部1に設けられ、上記歯車の歯と噛み合う噛み合い部が上記横方向に沿って並ぶ噛み合いレールと、を備える。
【0065】
例えば、上記歯車はスプロケット94であり、上記噛み合いレールがローラチェーン95である。また例えば、上記歯車はピニオンギアであり、上記噛み合いレールがラックから構成される。
この構成によれば、確実に、デッキ部2をスライド方向に駆動可能となる。
【0066】
(7)上記駆動機構は、上記スライド方向に軸を向けたシリンダ装置を備える。
この構成によれば、確実に、デッキ部2をスライド方向に駆動可能となる。
【符号の説明】
【0067】
1 土台部
1E 溝形鋼
2 デッキ部
3 第1の案内レール
4 第1の車輪
5 第2の案内レール
6 第2の車輪
7 ローラ
8 ペダル部
9 ハンドル
83 ラック部
84 噛合部
85 コイルスプリング(バネ部材)
91 軸部材
93 ウォーム減速機
94 スプロケット(歯車)
95 ローラチェーン(噛み合いレール)
100 トラック
100 噛合部
110 ピニオンギアオン(歯車)
111 ラック(噛み合いレール)
112 シリンダ装置
【手続補正書】
【提出日】2021-12-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動してきた移動体に対する人員の乗り降りを行うためのデッキ部を有するデッキ設備であって、
上記デッキ部を支持する土台部と、
上記デッキ部を、上記土台部上の初期位置から、上記移動体に向けて上記土台部に対し張り出すように横方向にスライド可能とするスライド機構と、
上記土台部に対し上記デッキ部を上記横方向に駆動する駆動機構と、
を備え、
上記駆動機構は、上記デッキ部に回転自在に支持された歯車と、上記土台部に設けられ、上記歯車の歯と噛み合う噛み合い部が上記横方向に沿って並ぶ噛み合いレールと、を備え、
更に、
上記デッキ部に支持されたハンドルと、上記ハンドルの回転を上記歯車に伝達する伝達機構と、を備える、
デッキ設備。
【請求項2】
上記スライド機構は、
上記デッキ部に固定され、上記横方向に向けて延在する第1の案内レールと、
上記土台部に固定され上記第1の案内レールによって案内される第1の車輪と、
上記土台部に固定され、上記横方向に向けて延在する第2の案内レールと、
上記デッキ部に固定され、上記第2の案内レールによって案内される第2の車輪と、
を備え、
上記横方向において、上記第1の車輪が、上記第2の車輪よりも、上記張り出し側に配置される、
請求項1に記載したデッキ設備。
【請求項3】
上記土台部からの上記デッキ部の浮き上がりを防止する浮き上がり防止機構を備え、
上記浮き上がり防止機構は、
上記デッキ部に回転自在に支持されるローラと、
上記土台部に設けられ、上記横方向に延在すると共に、上記ローラが下方から転動可能に当接する転動面と、
を備える、
請求項2に記載したデッキ設備。
【請求項4】
上記土台部に対する上記デッキ部の上記横方向への移動を拘束するロック機構を備え、
上記ロック機構は、
上記土台部に設けられて、上記横方向に延在し歯を下方に向けたラック部と、
上記デッキ部に設けられて上下方向に移動可能なペダル部と、
上記ペダル部をデッキ部に対し上方に付勢するバネ部材と、
上部を上記ペダル部に連結して下方に延在する上下フレームと、
上記上下フレームの下部に支持され、上記ラック部の歯に噛み合い可能な噛み合い歯を上方に向けた噛合部と、
を備え、上記ペダル部がバネ部材のバネ力で上方に変位している状態では、上記噛み合い歯が、上記ラック部の歯に噛み合っている、
請求項1~請求項3のいずれ1項に記載したデッキ設備。
【請求項5】
上記歯車はスプロケットであり、上記噛み合いレールがローラチェーンである、
請求項1~請求項4のいずれか1項に記載したデッキ設備。
【請求項6】
上記歯車はピニオンギアであり、上記噛み合いレールがラックから構成される、
請求項1~請求項4のいずれか1項に記載したデッキ設備。
【請求項7】
上記駆動機構は、上記スライド方向に軸を向けたシリンダ装置を備える、
請求項1~請求項4のいずれか1項に記載したデッキ設備。