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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022083886
(43)【公開日】2022-06-06
(54)【発明の名称】作業経路決定装置
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/02 20200101AFI20220530BHJP
   A47L 9/28 20060101ALN20220530BHJP
【FI】
G05D1/02 H
G05D1/02 S
A47L9/28 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020195484
(22)【出願日】2020-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】000004651
【氏名又は名称】日本信号株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】特許業務法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 慎平
【テーマコード(参考)】
3B057
5H301
【Fターム(参考)】
3B057DA00
5H301AA01
5H301AA10
5H301BB11
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301DD01
5H301DD06
5H301DD15
5H301HH01
5H301HH11
5H301HH15
5H301HH18
5H301LL01
5H301LL06
(57)【要約】
【課題】作業対象領域に障害物がある場合に作業経路を決定するための処理の負荷を軽減すること。
【解決手段】情報取得部11は、領域情報及び障害物情報を取得する。作業経路決定部12は、取得された領域情報が示す作業対象領域を、取得された障害物情報が示す障害物に接する直線で複数の分割領域に分割する。作業経路決定部12は、作業開始領域又は起点領域から隣接する分割領域を順次選択して作業経路上の分割領域群を選択する。作業経路決定部12は、最後に選択した分割領域群に隣接する未選択の分割領域がないが、作業対象領域に未選択の分割領域がある場合は、作業経路を決定し直す。作業経路決定部12は、作業対象領域に未選択の分割領域がないと判断した場合は、これまでに選択した作業経路に基づいて清掃ロボット20の移動経路を決定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
障害物を含む作業対象領域を前記障害物に接する直線で複数の分割領域に分割し、作業を開始する分割領域から隣接する分割領域を順次選択して作業経路を決定する
作業経路決定装置。
【請求項2】
作業を開始する分割領域から連続する未選択の分割領域の長さが最も長くなる方向の複数の分割領域を作業経路上の最初の分割領域群として選択する
請求項1に記載の作業経路決定装置。
【請求項3】
最後に選択した分割領域群に隣接する未選択の分割領域のうち、連続する未選択の分割領域の長さが最も長くなる方向の1以上の分割領域を作業経路上の新たな分割領域群として選択する
請求項2に記載の作業経路決定装置。
【請求項4】
作業を開始する分割領域から連続する未選択の分割領域の面積が最も広くなる方向の複数の分割領域を作業経路上の最初の分割領域群として選択する
請求項1に記載の作業経路決定装置。
【請求項5】
最後に選択した分割領域群に隣接する未選択の分割領域のうち、連続する未選択の分割領域の面積が最も広くなる方向の1以上の分割領域を作業経路上の新たな分割領域群として選択する
請求項4に記載の作業経路決定装置。
【請求項6】
未選択の分割領域がいずれも最後に選択した分割領域群に隣接しない場合、未選択の分割領域と、作業経路上において当該未選択の分割領域に隣接する選択済みの分割領域とを次の分割領域として選択する
請求項3又は5に記載の作業経路決定装置。
【請求項7】
作業経路上で一方向に連続する1以上の分割領域内において、当該1以上の分割領域の長さが長い方向への移動とUターンにより当該1以上の分割領域の全域を走査する分割領域内の移動経路を決定する
請求項1から6のいずれか1項に記載の作業経路決定装置。
【請求項8】
前記移動経路の隣り合う直線部分の間隔を、前記移動経路を作業しながら移動する移動装置の作業範囲の幅以下にする
請求項7に記載の作業経路決定装置。
【請求項9】
前記作業範囲に未作業の領域が常に含まれるように移動経路を決定する
請求項8に記載の作業経路決定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業経路を決定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
作業経路を決定する技術として、特許文献1には、進行方向の前方に障害物が検出されたときは、その都度、その障害物位置を除く未清掃エリア全体を最短走行距離で清掃可能とする最新走行経路情報を新たに生成し、その最新走行経路情報及び走行位置情報に基づいて走行し、その走行を完了したときに、障害物位置を最短走行距離で清掃可能とする最終走行経路情報を生成する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-17428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のように作業経路を決定する処理を行う際には、処理の負荷が小さいことが望ましい。作業対象領域に障害物があるとその障害物を避けて作業経路を決定する必要があるが、障害物の位置、形状及び大きさはまちまちなので、作業経路を決定するための処理の負荷が大きくなりやすい。
本発明は、上記の背景に鑑み、作業対象領域に障害物がある場合に作業経路を決定するための処理の負荷を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、障害物を含む作業対象領域を前記障害物に接する直線で複数の分割領域に分割し、作業を開始する分割領域から隣接する分割領域を順次選択して作業経路を決定する作業経路決定装置を第1の態様として提供する。
【0006】
第1の態様の作業経路決定装置によれば、分割領域を用いない場合に比べて、作業対象領域に障害物がある場合に作業経路を決定するための処理の負荷を軽減することができる。
【0007】
上記の第1の態様の作業経路決定装置において、作業を開始する分割領域から連続する未選択の分割領域の長さが最も長くなる方向の複数の分割領域を作業経路上の最初の分割領域群として選択する、という構成が第2の態様として採用されてもよい。
【0008】
第2の態様の作業経路決定装置によれば、作業経路に含まれるUターンの数が少なくなりやすいようにすることができる。
【0009】
上記の第2の態様の作業経路決定装置において、最後に選択した分割領域群に隣接する未選択の分割領域のうち、連続する未選択の分割領域の長さが最も長くなる方向の1以上の分割領域を作業経路上の新たな分割領域群として選択する、という構成が第3の態様として採用されてもよい。
【0010】
第3の態様の作業経路決定装置によれば、作業経路に含まれるUターンの数が少なくなりやすいようにすることができる。
【0011】
上記の第1の態様の作業経路決定装置において、作業を開始する分割領域から連続する未選択の分割領域の面積が最も広くなる方向の複数の分割領域を作業経路上の最初の分割領域群として選択する、という構成が第4の態様として採用されてもよい。
【0012】
第4の態様の作業経路決定装置によれば、作業対象領域のうちより広い領域での作業が先に行われやすいようにすることができる。
【0013】
上記の第4の態様の作業経路決定装置において、最後に選択した分割領域群に隣接する未選択の分割領域のうち、連続する未選択の分割領域の面積が最も広くなる方向の1以上の分割領域を作業経路上の新たな分割領域群として選択する、という構成が第5の態様として採用されてもよい。
【0014】
第5の態様の作業経路決定装置によれば、作業対象領域のうちより広い領域での作業が先に行われやすいようにすることができる。
【0015】
上記の第3又は第5の態様の作業経路決定装置において、未選択の分割領域がいずれも最後に選択した分割領域群に隣接しない場合、未選択の分割領域を作業経路上において当該未選択の分割領域に隣接する選択済みの分割領域の次の分割領域として選択する、という構成が第6の態様として採用されてもよい。
【0016】
第6の態様の作業経路決定装置によれば、未選択の分割領域をなくすことができる。
【0017】
上記の第1から第6のいずれか1の態様の作業経路決定装置において、作業経路上で一方向に連続する1以上の分割領域内において、当該1以上の分割領域の長さが長い方向への移動とUターンにより当該1以上の分割領域の全域を走査する分割領域内の移動経路を決定する、という構成が第7の態様として採用されてもよい。
【0018】
第7の態様の作業経路決定装置によれば、作業経路に含まれるUターンの数が少なくなりやすいようにすることができる。
【0019】
上記の第7の態様の作業経路決定装置において、前記移動経路の隣り合う直線部分の間隔を、前記移動経路を作業しながら移動する移動装置の作業範囲の幅以下にする、という構成が第8の態様として採用されてもよい。
【0020】
第8の態様の作業経路決定装置によれば、移動経路の隣り合う直線部分の間に未作業の領域が残らないようにすることができる。
【0021】
上記の第8の態様の作業経路決定装置において、前記作業範囲に未作業の領域が常に含まれるように移動経路を決定する、という構成が第9の態様として採用されてもよい。
【0022】
第9の態様の作業経路決定装置によれば、未作業の領域に対する作業が全く発生しない移動経路をなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】実施例に係る自動清掃システムの構成を表す図
図2】作業対象領域の一例を表す図
図3】分割領域群の選択方法を説明するための図
図4】分割領域群の選択の見直し方法を説明するための図
図5】詳細な作業経路の決定方法を説明するための図
図6】経路決定処理における動作手順の一例を表す図
図7】変形例の分割領域群の選択方法を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0024】
[1]実施例
図1は実施例に係る自動清掃システム1の構成を表す。自動清掃システム1は、床を清掃する際の作業経路を決定する作業経路決定装置10と、自律走行を行いながら床を自動的に清掃する清掃ロボット20とを備える。清掃ロボット20は、走行部21と、作業部22と、動作制御部23と、作業経路記憶部24とを備える。
【0025】
走行部21は、モータ、ギア及びタイヤ等を有し、清掃ロボット20を走行させる。作業部22は、モータ、ギア、回転式のブラシ、洗浄水の発射機構、スクイージー及び汚水の格納部等を有し、ブラシを回転させて洗浄水で床面を清掃した後、洗浄水が汚れてできた汚水をかき集めて格納部に取り込む。動作制御部23は、走行部21及び作業部22の動作を制御する。動作制御部23は、プロセッサ、メモリ及びストレージを備える。プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の演算装置、レジスタ及び周辺回路等を有する。
【0026】
メモリは、プロセッサが読み取り可能な記録媒体であり、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等を有する。ストレージは、プロセッサが読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ハードディスクドライブ又はフラッシュメモリ等を有する。プロセッサは、RAMをワークエリアとして用いてROMやストレージに記憶されているプログラムを実行することで走行部21及び作業部22の動作を制御する。
【0027】
作業経路記憶部24は、自装置が部屋を清掃する際に走行する移動経路により表される作業経路を記憶する。動作制御部23は、作業経路記憶部24を参照し、記憶されている作業経路(移動経路)に沿って自装置を走行させるように走行部21の動作を制御する。また、動作制御部23は、作業経路の走行中、清掃作業を行うよう作業部22の動作を制御する。作業経路記憶部24は、作業経路決定装置10から送信されてくる作業経路を記憶する。
【0028】
作業経路決定装置10は、清掃ロボット20の作業経路を決定する装置である。作業経路決定装置10は、情報取得部11と、作業経路決定部12とを備える。情報取得部11は、作業経路を決定するために必要な情報を取得する。情報取得部11は、例えば、清掃作業を行う対象の領域(以下「作業対象領域」と言う)を示す領域情報と、作業領域の中に存在する障害物の位置、形状、大きさを示す障害物情報とを取得する。
【0029】
作業対象領域は、通常は部屋の床が露出している領域である。障害物とは、例えば、作業対象領域である部屋の中に配置された柱、壁の張り出した部分及び家具等である。
図2は作業対象領域の一例を表す。図2では、鉛直上方から見た長方形の形をした部屋が作業対象領域A1として表されている。情報取得部11は、例えば、作業対象領域A1の左上角を原点とする2次元座標系における4つの角の座標を領域情報として取得する。
【0030】
作業対象領域A1には、図2(a)に表すように、障害物B1及びB2が存在している。障害物B1及びB2は、いずれも、鉛直上方から見て長方形の形をしている。情報取得部11は、例えば、上記の2次元座標系における障害物B1及びB2のそれぞれ4つの角の座標を障害物情報として取得する。情報取得部11は、外部装置から送信されてきたデータ又は自装置に入力されたデータを領域情報及び障害物情報として取得し、取得した情報を作業経路決定部12に供給する。
【0031】
作業経路決定部12は、供給された領域情報及び障害物情報に基づき、清掃ロボット20の作業経路を決定する。作業経路決定部12は、具体的には、次のように作業経路を決定する。作業経路決定部12は、まず、作業対象領域A1のように障害物(作業対象領域A1の場合はB1及びB2)を含む作業対象領域をその障害物に接する直線で複数の分割領域に分割する。図2の例では、作業経路決定部12は、図2(b)に表すように、作業対象領域を13個の分割領域に分割する。
【0032】
作業経路決定部12は、図2の例では、障害物B1の上辺、下辺、左辺、右辺にそれぞれ接する接線C1、C2、C3、C4と、障害物B2の左辺、右辺にそれぞれ接する接線C5、C6とによって、作業対象領域A1を分割領域D1~D13に分割する。なお、図2の例では、障害物B2の上辺、下辺にはそれぞれ接線C1、C2が接している。分割領域D1~D5は、作業対象領域A1のうち接線C1よりも上の領域を4本の接線C3~C6で区切った領域である。
【0033】
作業対象領域A1のうち、分割領域D6は、接線C1、C2、C3に囲まれた領域であり、分割領域D7は、接線C1、C2、C4、C5に囲まれた領域である。分割領域D8は、接線C1、C2、C6に囲まれた領域である。また、作業対象領域A1のうち、分割領域D9~D13は、接線C2よりも下の領域を4本の接線C3~C6で区切った領域である。
【0034】
次に、作業経路決定部12は、作業を開始する分割領域(以下「作業開始領域」と言う)から隣接する分割領域を順次選択して作業経路を決定する。作業経路決定部12は、例えば、符号の数値が最も小さい分割領域D1を作業開始領域とする。作業経路決定部12は、作業開始領域から連続する未選択の分割領域(以下「未選択連続領域」と言う)の長さが最も長くなる方向の複数の分割領域を作業経路上の最初の分割領域群として選択する。
【0035】
図3は分割領域群の選択方法を説明するための図である。図3では、図2に表す作業対象領域A1及び分割領域D1~D13が表されている。作業経路決定部12は、作業開始領域である分割領域D1に隣接する分割領域D2に向かう方向(右方向)と、同じく作業開始領域である分割領域D1に隣接する分割領域D6に向かう方向(下方向)とについて、未選択連続領域の長さを算出する。図3の例の場合、右方向には分割領域D2~D5が未選択連続領域として存在し、下方向には分割領域D6、D9が未選択連続領域として存在する。
【0036】
未選択連続領域である分割領域D1~D5の右方向に沿った長さは、同じく未選択連続領域である分割領域D1,D6、D9の下方向に沿った長さよりも長い。よって、作業経路決定部12は、図3(a)に表すように、分割領域D1~D5を作業経路上の最初の分割領域群として選択する。なお、未選択連続領域は、必ずしも複数の分割領域ではなく、1つの分割領域であってもよい。
【0037】
作業経路決定部12は、選択した最初の分割領域群のうち、未選択の分割領域が隣接する分割領域から、次の分割領域群の起点となるもの(以下「起点領域」と言う)を選択する。作業経路決定部12は、未選択の分割領域が隣接する分割領域が複数ある場合は、次の優先順位に従い起点領域を選択する。作業経路決定部12は、まず、各分割領域に符号に含まれる数値を割り当てる(例えば分割領域D2には「2」を割り当てる)。
【0038】
作業経路決定部12は、分割領域群の両端の分割領域(図3の例では分割領域D1及びD5)のうち割り当てられた数値が小さい方(図3の例では分割領域D1)を最優先で起点領域として選択する。作業経路決定部12は、両端の分割領域のうち数値が小さい方に未選択の分割領域が隣接していない場合は、両端の分割領域のうち数値が大きい方を起点領域として選択する。
【0039】
作業経路決定部12は、両端の分割領域のどちらにも未選択の分割領域が隣接していない場合は、両端以外の分割領域のうち、未選択の分割領域が隣接し且つ数値が最も小さいものを起点領域として選択する。作業経路決定部12は、図3の例では、前述したとおり、分割領域D1を次の起点領域として選択する。作業経路決定部12は、選択した分割領域群を順次通過する経路と、次の起点領域となる分割領域までの経路とを作業経路として決定する。
【0040】
作業経路決定部12は、図3の例の場合、図3(a)に表すように、分割領域D1からD5に向かい、そこから折り返して次の起点領域である分割領域D1に向かう経路を作業経路として決定する。作業経路決定部12は、こうして最初の作業経路上の分割領域群を選択すると、次に、最後に選択した分割領域群に隣接する未選択の分割領域のうち、未選択連続領域(連続する未選択の分割領域)の長さが最も長くなる方向の1以上の分割領域を作業経路上の新たな分割領域群として選択する。
【0041】
図3の例の場合、起点領域である分割領域D1には下方向にだけ未選択の分割領域が隣接しているので、下方向が連続する未選択の分割領域の長さが最も長くなる方向になる。そこで、作業経路決定部12は、図3(b)に表すように、起点領域である分割領域D1と、下方向に連続する未選択の分割領域D6、D9とを作業経路上の次の分割領域群として選択する。
【0042】
作業経路決定部12は、選択した分割領域群のうち未選択の分割領域が隣接しているのは分割領域D9だけなので、分割領域D9を次の起点領域として選択する。作業経路決定部12は、分割領域D9には右方向にだけ未選択の分割領域が隣接しているので、図3(c)に表すように、右方向に連続する未選択の分割領域D9~D13を作業経路上の次の分割領域群として選択する。
【0043】
作業経路決定部12は、選択した分割領域群のうち未選択の分割領域が隣接しているのが分割領域D11、D13の2つあるので、上述した優先順位に従い、分割領域群の両端のうち割り当てられた数値が大きい方である分割領域D13を次の起点領域として選択する。作業経路決定部12は、分割領域D13には上方向にだけ未選択の分割領域が隣接しているので、図3(c)に表すように、上方向に連続する未選択の分割領域D13、D8を作業経路上の次の分割領域群として選択する。
【0044】
作業経路決定部12は、未選択の分割領域がいずれも最後に選択した分割領域群に隣接していない場合、それまでに選択してきた分割領域群を繋げた作業経路E1を一旦確定させる。作業経路決定部12は、確定させた作業経路E1を採用した場合に、作業対象領域A1に未選択の分割領域が残っていないか否かを判断する。未選択の分割領域が残っている場合、作業経路決定部12は、未選択の分割領域が含まれるように作業経路を決定し直す。
【0045】
図4は分割領域群の選択の見直し方法を説明するための図である。図4では、図3に表す作業対象領域A1及び分割領域D1~D13が表されており、図4(a)では、図3で決定された作業経路E1が表されている。図4(a)に表されているように、図3に表す作業経路E1を決定した場合、分割領域D7が未選択の分割領域として残ることになる。この場合、作業経路決定部12は、次の手順で作業経路を決定し直す。
【0046】
作業経路決定部12は、まず、分割領域D7に隣接する分割領域(図4の例では分割領域D3、D11)のうち、割り当てられた数値が最も小さいもの(図4の例では分割領域D3)を特定する。作業経路決定部12は、未選択の分割領域が複数ある場合も、同様に、それらの分割領域に隣接する分割領域のうち割り当てられた数値が最も小さいものを、中断領域として特定する。
【0047】
次に、作業経路決定部12は、図3の説明で決定した作業経路に含まれる分割領域のうち、特定した中断領域以降に続くものを作業経路から一旦削除する。これにより、先に決定された作業経路が、中断領域までで中断されることになる。続いて、作業経路決定部12は、特定した中断領域と、中断領域に隣接する未選択の分割領域とを(図4の例では中断領域である分割領域D3と未選択の分割領域D7を)、次の作業経路上の分割領域群として選択する。
【0048】
なお、作業経路決定部12は、特定した中断領域に隣接する未選択の分割領域が離れた位置に複数ある場合は、そのうちの割り当てられた数値が最も小さいものを次の作業経路上の分割領域群として選択する。また、作業経路決定部12は、特定した中断領域に隣接する未選択の分割領域の先にさらに他の未選択の分割領域が連続して存在する場合は、中断領域と、それら複数の未選択の分割領域(未選択連続領域)とを次の作業経路上の分割領域群として選択する。
【0049】
このように、作業経路決定部12は、未選択の分割領域がいずれも最後に選択した分割領域群に隣接していない場合、未選択の分割領域(図4の例では分割領域D7)と、作業経路上においてその未選択の分割領域に隣接する選択済みの分割領域(図4の例では分割領域D3)とを次の分割領域として選択する。この後は、作業経路決定部12は、図3で説明した方法で作業経路を決定する。
【0050】
作業経路決定部12は、図4の例であれば、選択した分割領域群の両端にある分割領域D3、D7のうち割り当てられた数値が最も小さい方(分割領域D3)に未選択の分割領域が隣接しているので、図4(b)に表すように、分割領域D3を次の起点領域として決定する。その後は、作業経路決定部12は、図4(c)に表すように、分割領域D3~D5を次の分割領域群として選択する。
【0051】
引き続き、作業経路決定部12は、図4(c)に表すように、分割領域D5、D8、D13を次の分割領域群として選択し、分割領域D13、D12、D11、D10、D9を次の分割領域群として選択し、分割領域D9、D6を次の分割領域群として選択する。作業経路決定部12は、図4(c)に表す作業経路E2を一旦確定させる。作業経路E2を採用した場合、作業対象領域A1に未選択の分割領域が残らなくなる。
【0052】
その場合、作業経路決定部12は、作業経路E2を作業対象領域A1における作業経路として確定させ、作業経路E2に含まれる分割領域群の全域を走査する、清掃ロボット20の移動経路を決定する。
図5は詳細な作業経路の決定方法を説明するための図である。作業経路決定部12は、より具体的には、作業経路上で一方向に連続する1以上の分割領域内において、それらの1以上の分割領域の長さが長い方向への移動とUターンにより移動経路を決定する。
【0053】
作業経路決定部12は、例えば右方向に連続する分割領域D1~D3内において、長さが長い右方向への移動とUターンにより移動経路を決定する。図5の例では、作業経路決定部12は、図5(a)に表すように、右方向に移動する経路F1と、Uターンするための経路F2と、左方向に移動する経路F3と、再度Uターンするための経路F4と、再度右方向に移動する経路F5とを決定している。
【0054】
また、作業経路決定部12は、経路F5のあとに再度Uターンするための経路F6と、左方向に移動する経路F7と、再度Uターンするための経路F8と、再度右方向に移動する経路F9とを決定している。このように分割領域群内を往復する往復経路によって、分割領域群の全体が作業範囲に含まれるようになっていく。作業経路決定部12は、この往復経路において隣り合う直線部分(例えば経路F1及びF3)の間隔を、それらの移動経路を作業しながら移動する移動装置(本実施例では清掃ロボット20)の作業範囲の幅以下にする。
【0055】
往復経路における直線部分の間隔を作業範囲の幅より大きくすると、清掃ロボット20が移動経路のとおりに移動したときに直線部分の間に未作業の領域が残ってしまう。本実施例では、直線部分の間隔を作業範囲の幅以下にすることで、移動経路の隣り合う直線部分の間に未作業の領域が残らないようにすることができる。また、作業経路決定部12は、作業範囲に未作業の領域が常に含まれるように移動経路を決定する。
【0056】
そのため、作業経路決定部12は、例えば、分割領域群である分割領域D3~D5の起点領域である分割領域D3において、次の作業経路の開始位置まで未作業の領域が残るように余白G1を確保し、余白G1にかからないように経路F1~F9を決定する。また、作業経路決定部12は、経路F9を、次の分割領域群である分割領域D3、D7における往復経路の開始位置H1までの長さとする。
【0057】
作業経路決定部12は、経路F9に続けて、分割領域D3、D7における往復経路を決定する。作業経路決定部12は、図5(b)に表すように、この往復経路が先の分割領域群である分割領域D1~D3の往復経路に交差しないように決定する。そして、作業経路決定部12は、分割領域D3、D7における往復経路の最後の経路F11を、余白G1を通過して次の分割領域群である分割領域D3~D5の往復経路の開始位置H2までの長さで決定する。
【0058】
以降、作業経路決定部12は、図5(b)に表すように、次の分割領域群における往復経路を、その次の分割領域群における往復経路の開始位置までの経路として決定する。以上のとおり作業範囲に未作業の領域が常に含まれるように移動経路が決定されることで、未作業の領域に対する作業が全く発生しない無駄な移動経路をなくすことができる。また、その結果、無駄な移動経路が生じる場合に比べて、移動経路が短くなりやすいようにすることができる。
【0059】
作業経路決定部12は、以上のとおり全ての移動経路を決定すると、決定した移動経路により表される作業経路を清掃ロボット20に送信する。清掃ロボット20の作業経路記憶部24が送信されてきた作業経路を記憶することで、清掃ロボット20が記憶された作業経路(移動経路)に沿った移動及び作業を行うことができるようになる。
【0060】
作業経路決定装置10は、上記の構成により、作業経路を決定する経路決定処理を行う。
図6は経路決定処理における動作手順の一例を表す。まず、作業経路決定装置10(情報取得部11)は、領域情報及び障害物情報を取得する(ステップS11)。次に、作業経路決定装置10(作業経路決定部12)は、取得された領域情報が示す作業対象領域を、取得された障害物情報が示す障害物に接する直線で複数の分割領域に分割する(ステップS12)。
【0061】
続いて、作業経路決定装置10(作業経路決定部12)は、作業開始領域又は起点領域から隣接する分割領域を順次選択して作業経路上の分割領域群を選択する(ステップS13)。次に、作業経路決定装置10(作業経路決定部12)は、最後に選択した分割領域群に隣接する未選択の分割領域があるか否かを判断する(ステップS14)。作業経路決定装置10(作業経路決定部12)は、隣接する未選択の分割領域がある(YES)と判断した場合は、未選択の分割領域に隣接する分割領域から起点領域を選択し(ステップS15)、ステップS13に戻って次の分割領群を選択する。
【0062】
作業経路決定装置10(作業経路決定部12)は、隣接する未選択の分割領域がない(NO)と判断した場合は、作業対象領域に未選択の分割領域があるか否かを判断する(ステップS16)。作業経路決定装置10(作業経路決定部12)は、作業対象領域に未選択の分割領域がある(YES)と判断した場合は、これまで選択した分割領域群に含まれる分割領域から中断領域を特定する(ステップS17)。
【0063】
次に、作業経路決定装置10(作業経路決定部12)は、特定した中断領域以降の分割領域を削除した上で(ステップS18)、ステップS13に戻って次の分割領群を選択する。作業経路決定装置10(作業経路決定部12)は、作業対象領域に未選択の分割領域がない(NO)と判断した場合は、これまでに選択した作業経路に基づいて清掃ロボット20の移動経路を決定する(ステップS19)。そして、作業経路決定装置10(作業経路決定部12)は、決定した移動経路により表される作業経路を清掃ロボット20に送信して(ステップS20)、この動作手順を終了する。
【0064】
作業対象領域に障害物がある場合、障害物を避けるように作業経路を決定しなければならないが、障害物の位置、形状及び大きさはまちまちなので、作業経路を決定するための処理の負荷が大きくなりやすい。特に、作業対象領域において何の基準もなく作業経路を決定するとなると、自由度が高すぎて処理の負荷が大きくなりやすい。本実施例では、分割領域を用いることで、分割領域を用いない場合に比べて、決定し得る作業経路のパターンが少なくなり、作業対象領域に障害物がある場合に作業経路を決定するための処理の負荷を軽減することができる。
【0065】
同じ面積の領域であれば往復経路における直線部分が長いほどUターンの数が少なくなる。本実施例では、作業開始領域又は起点領域から連続する未選択の分割領域の長さが最も長くなる方向に分割領域群を選択することで、この長さが最も短くなる方向に分割領域群を選択する場合に比べて、作業対象領域の全体で作業経路に含まれるUターンの数が少なくなりやすいようにすることができる。また、本実施例では、未選択の分割領域がある場合に作業経路を決定し直すので、未選択の分割領域をなくすことができる。
【0066】
上述した実施例は本発明の実施の一例に過ぎず、以下のように変形させてもよい。また、実施例及び各変形例は必要に応じてそれぞれ組み合わせてもよい。
【0067】
[2-1]障害物
実施例では、長方形の作業対象領域と辺が平行になる長方形の障害物が存在したが、これに限らない。例えば、長方形だが辺が作業対象領域の辺と平行になっていない障害物が存在してもよいし、円形、楕円形、四角形以外の多角形又は不定形の形状の障害物が存在してもよい。
【0068】
それらの場合、作業経路決定部12は、長方形の作業対象領域の各辺と平行な線を障害物の接線として、それらの接線を境界とする分割領域に作業対象領域を分割すればよい。その場合、障害物と分割領域との隙間にいずれの分割領域にも含まれない領域(以下「隙間領域」と言う)が生じるが、この領域が十分に小さければ、作業に大きな影響を与えないので作業範囲に含まれなくても問題ない。
【0069】
ただし、この領域が大きい場合又は小さくとも作業範囲に含める必要がある場合は、作業経路決定部12は、例えば次のように分割領域を定めればよい。作業経路決定部12は、例えば、隙間領域に隣接する分割領域に隙間領域を結合したものを新たな分割領域とする。隙間領域に隣接する分割領域が複数ある場合は、作業経路決定部12は、定められた優先順位(例えば割り当てられた番号が小さい方を優先)に従い、結合する分割領域を決めればよい。
【0070】
また、作業経路決定部12は、より単純に、隙間領域をそのまま分割領域として分割を行ってもよい。本変形例によれば、作業対象領域にどのような形状、向き及び大きさの障害物があったとしても、その障害物に基づき作業対象領域が複数の分割領域に分割されるので、実施例と同様に、作業対象領域に障害物がある場合に作業経路を決定するための処理の負荷を軽減することができる。
【0071】
[2-2]分割領域への割り当て方法
作業経路決定部12は、実施例では、各分割領域に数値を割り当てたが、その割当方法は実施例と異なっていてもよい。作業経路決定部12は、実施例では、数値の小さい方から順番に、作業対象領域の左上隅の分割領域から右方向に並ぶ分割領域に対して割り当てていく。
【0072】
そして、作業経路決定部12は、右端の分割領域に達したら左端に戻って割り当て済みの分割領域の1つ下の分割領域から右方向に並ぶ分割領域に対して割り当てていくことを繰り返し行った。作業経路決定部12は、本変形例では、数値の大きい方から順番に割り当ててもよいし、作業対象領域の左上隅ではなく右上隅、左下隅、右下隅の分割領域から順番に割り当ててもよい。
【0073】
また、作業経路決定部12は、右方向ではなく、左方向、上方向又は下方向に並ぶ分割領域に対して順番に数値を割り当ててもよい。また、作業経路決定部12は、数値を割り当てる代わりに、アルファベット又は五十音等の順番が決まっている記号を割り当ててもよい。要するに、2以上の分割領域からいずれかを選択しなければならない場合に、各分割領域の優先順位を決めるルールを策定可能な情報が割り当てられていればよい。
【0074】
[2-3]起点領域の選択方法
作業経路決定部12は、実施例とは異なる方法で起点領域を選択してもよい。作業経路決定部12は、実施例では、A:両端の分割領域のうち数値が小さい方、B:両端の分割領域のうち数値が大きい方、C:両端以外の分割領域のうち未選択の分割領域が隣接し且つ数値が最も小さいものとすると、A>B>C(Aを最優先、AがなければB、BもなければC)という優先順位で起点領域を選択した。
【0075】
作業経路決定部12は、本変形例では、優先順位をC>B>Aとしてもよいし、B>A>Cとしてもよい。また、作業経路決定部12は、選択した分割領域群に含まれる分割領域のうち、未選択の分割領域が隣接する方向における未選択連続領域を比較して起点領域を選択してもよい。具体的には、作業経路決定部12は、隣接する未選択連続領域の長さが最も長い分割領域を起点領域として選択してもよい。
【0076】
なお、作業経路決定部12は、選択した分割領域群に含まれる分割領域のうち未選択連続領域に隣接する分割領域も加えた長さを比較してもよい。その場合、図3(a)の例であれば、分割領域D1~D5の長さと分割領域D1、D6、D9の長さとが比較される。また、作業経路決定部12は、未選択連続領域(又はそれに隣接する分割領域を加えたもの)の広さが最も広いものを起点領域として選択してもよい。
【0077】
[2-4]分割領域群の選択方法
作業経路決定部12は、実施例とは異なる方法で分割領域群を選択してもよい。作業経路決定部12は、例えば、作業開始領域から連続する未選択の分割領域の面積が最も広くなる方向の複数の分割領域を作業経路上の最初の分割領域群として選択する。
図7は本変形例の分割領域群の選択方法を説明するための図である。図7では、障害物B11だけが存在する作業対象領域A11が表されている。
【0078】
作業経路決定部12は、作業対象領域A11を分割領域D21~D29に分割している。作業経路決定部12は、作業開始領域である分割領域D21に隣接する分割領域D22に向かう方向(右方向)と、同じく作業開始領域である分割領域D21に隣接する分割領域D24に向かう方向(下方向)とについて、連続する未選択の分割領域の広さを算出する。
【0079】
作業経路決定部12は、算出した広さが広くなる方向(図7の例では下方向)の分割領域D24、D26と作業開始領域である分割領域D21とを作業経路上の最初の分割領域群として選択する。それ以降も、作業経路決定部12は、最後に選択した分割領域群に隣接する未選択の分割領域のうち、連続する未選択の分割領域の面積が最も広くなる方向の1以上の分割領域を作業経路上の新たな分割領域群として選択する。
【0080】
図7は本変形例の分割領域群の選択方法を説明するための図である。図7(a)では、長方形の領域の一部に別の長方形の領域が繋がったL字の形をして且つ障害物B11が存在する作業対象領域A11が表されている。この場合、作業経路決定部12は、図7(b)に表すように、作業対象領域A11に外接する長方形の領域A12を作業対象領域とし、作業対象領域A11との差分となる領域を障害物B12とした上で分割を行う。
【0081】
図7の例では、作業経路決定部12は、図7(b)に表すように、障害物B11の接線C11、C12、C13、C14に加えて障害物B12の接線C15によって、分割領域D21~D29へ分割する。作業経路決定部12は、分割領域D21を作業開始領域とした場合、まず、右方向に連続する未選択の分割領域D22、D23との分割領域群の広さと、下方向に連続する未選択の分割領域D24、D26との分割領域群の広さとを比較する。
【0082】
この場合は前者の方が広いので、作業経路決定部12は、図7(c)に表すように、分割領域D21、D22、D23を最初の分割領域群として選択する。ここで、説明の便宜上、作業経路決定部12は、起点領域を上述したB>A>Cの優先順位で選択する(この場合は分割領域D23を選択する)ものとする。次に、作業経路決定部12は、未選択の分割領域が下方向にしか隣接していないので、図7(c)に表すように、下方向の分割領域D23、D25、D28を次の分割領域群として選択する。
【0083】
作業経路決定部12は、未選択の分割領域が隣接するのが分割領域D28だけなので、分割領域D28を起点領域として選択する。作業経路決定部12は、分割領域D28の右方向の未選択連続領域の広さと分割領域D28の左方向の未選択連続領域の広さとを比較し、大きい方である右方向の未選択連続領域(分割領域D29)と起点領域(分割領域D28)とを次の分割領域群として、図7(c)に表すように選択する。
【0084】
なお、図7の例の場合は、作業経路決定部12は、未選択の分割領域が残っているので、中断領域を特定して作業経路を決定し直す。本変形例では、例えば分割領域D21からの分割領域群の選択の場合、下方向の方が右方向よりも長いが、面積が広い右方向の分割領域が選択される。また、分割領域D28からの分割領域群の選択の場合、左方向の2つの未選択連続領域ではなく、右方向の1つの未選択連続領域が選択される。
【0085】
本変形例では、上記のとおり作業開始領域又は起点領域から連続する未選択の分割領域の広さが最も広くなる方向に分割領域群を選択することで、この広さが最も狭くなる方向に分割領域群を選択する場合に比べて、作業対象領域のうちより広い領域での作業が先に行われやすいようにすることができる。
【0086】
[2-5]作業
実施例では、作業対象領域において清掃作業が行われたが、作業対象領域で行われる作業はこれに限らない。例えば、作業対象領域が畑である場合にドローンを用いた農薬散布の作業が行われてもよい。また、作業対象領域が水田である場合に自動走行する田植え機を用いた田植えの作業が行われてもよい。
【0087】
なお、水田や畑で田植え機やドローンの移動を妨げるものがなかったとしても、作業対象領域が長方形でなければ、図7(b)の説明で述べたように作業対象領域に外接する長方形との差分を障害物と見做せばよい。要するに、障害物が存在し得る領域において行われるものであれば、どのような作業が行われてもよい。
【0088】
[2-6]発明のカテゴリ
本発明は、自動清掃システム1の他、作業経路決定装置10及び清掃ロボット20が実施する処理を実現するための情報処理方法としても捉えられるし、自動清掃システム1を制御するコンピュータを機能させるためのプログラムとしても捉えられる。このプログラムは、それを記憶させた光ディスク等の記録媒体の形態で提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してコンピュータにダウンロードさせ、それをインストールして利用可能にするなどの形態で提供されてもよい。
【符号の説明】
【0089】
1…自動清掃システム、10…作業経路決定装置、11…情報取得部、12…作業経路決定部、20…清掃ロボット、21…走行部、22…作業部、23…動作制御部、24…作業経路記憶部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7