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特開2022-83903コンテンツ配信装置およびコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022083903
(43)【公開日】2022-06-06
(54)【発明の名称】コンテンツ配信装置およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20220530BHJP
   G06F 3/16 20060101ALI20220530BHJP
   G06F 3/0481 20220101ALI20220530BHJP
   G06F 13/00 20060101ALI20220530BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06F3/16 540
G06F3/0481
G06F13/00 650R
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020195513
(22)【出願日】2020-11-25
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 本願発明に係る「コンテンツ配信装置およびコンピュータプログラム」を公開した情報 1.掲載年月日:2020年10月9日 掲載アドレス:https://asobi-dramatic.net 2.開催年月日:2020年11月22日及び23日 開催アドレス:https://asobi-dramatic_xyz.ovice.in/
(71)【出願人】
【識別番号】520463433
【氏名又は名称】株式会社アセティア
(74)【代理人】
【識別番号】100113804
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 敏
(74)【代理人】
【識別番号】100101384
【弁理士】
【氏名又は名称】的場 成夫
(72)【発明者】
【氏名】豊沢 朱門
【テーマコード(参考)】
5B084
5E555
5L049
【Fターム(参考)】
5B084AA02
5B084AA12
5B084AA18
5B084AA26
5B084AB06
5B084AB07
5B084AB13
5B084AB30
5B084AB36
5B084AB39
5B084BA03
5B084BB14
5B084CD09
5B084CF12
5B084DB02
5B084DC02
5B084DC03
5B084EA47
5E555AA27
5E555AA72
5E555AA76
5E555BA01
5E555BA04
5E555BA46
5E555BA85
5E555BA87
5E555BB01
5E555BB04
5E555BC04
5E555BD01
5E555BE17
5E555CC01
5E555DB32
5E555DB55
5E555DB57
5E555FA00
5L049CC18
(57)【要約】      (修正有)
【課題】予め許諾された閲覧者に係る通信端末にて所定のコンテンツを提供し、コンテンツ制作サイドの経済的リスクを下げることに寄与するコンテンツ提供装置を提供する。
【解決手段】コンテンツ提供装置は、通信端末が閲覧する端末閲覧画面に対して、動画配信サーバが提供する動画データを表示させるための動画データ表示領域と、動画データに関わる舞台地図を表示するための舞台地図データ表示領域を出力させる閲覧画面出力手段と、閲覧者に対応させたアバターを提供するアバター提供手段と、端末閲覧画面に当該アバターを表示させるアバター表示手段と、アバターを操作するアバター操作データを受信するアバター操作データ受信手段と、アバター操作データに基づいたアバターを端末閲覧画面の中で出力させる閲覧画面制御手段と、を備え、アバター操作データに基づいたアバターがの舞台地図データ表示領域において移動可能とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め許諾された閲覧者に係る通信端末にて所定のコンテンツが閲覧可能であるように提供するコンテンツ提供装置であって、
前記の通信端末が閲覧する端末閲覧画面に対して、
動画配信サーバが提供する動画データを表示させるための動画データ表示領域、
および前記の動画データに関わる舞台地図を表示するための舞台地図データ表示領域、
を出力させる閲覧画面出力手段と、
前記の通信端末に係る閲覧者に対応させたアバターを提供するアバター提供手段と、
前記の端末閲覧画面に当該アバターを表示させるアバター表示手段と、
そのアバター提供手段にて提供されたアバターを前記の閲覧者が自らに係る通信端末にて操作するアバター操作データを受信するアバター操作データ受信手段と、
前記のアバター操作データに基づいたアバターを前記の端末閲覧画面の中で出力させる閲覧画面制御手段と、
を備え、
前記の閲覧画面出力手段は、動画配信サーバから受信した動画URLを前記の通信端末へ送信することによって、当該動画データを前記の端末閲覧画面の中で前記の動画データ表示領域にて表示させることとし、
前記のアバター操作データに基づいたアバターが前記の舞台地図データ表示領域において移動可能とした
コンテンツ提供装置。
【請求項2】
前記の動画配信サーバは、前記のコンテンツ提供装置の内部に備えることとした
請求項1に記載のコンテンツ提供装置。
【請求項3】
前記の動画配信サーバが配信する動画データを蓄積する動画データ蓄積手段を備えた
請求項1または請求項2のいずれかに記載のコンテンツ提供装置。
【請求項4】
閲覧者に係る通信端末の一部には、前記の舞台地図データ表示領域におけるアバターの移動ができないように制御することとした
請求項1から請求項3のいずれかに記載のコンテンツ提供装置。
【請求項5】
前記のアバター操作データに基づいたアバターが前記の舞台地図データ表示領域において移動した場合、
前記の閲覧画面制御手段は、前記の動画データ表示領域から当該アバターまでの距離に応じて当該閲覧者に係る通信端末における音量を調節することとした
請求項1から請求項4のいずれかに記載のコンテンツ提供装置。
【請求項6】
前記の閲覧画面出力手段は、前記の舞台地図データ表示領域におけるアバターに対するアバター操作データに基づいて、当該アバター操作データに係る通信端末において閲覧可能なアイテムデータをも出力させることとした
請求項1から請求項5のいずれかに記載のコンテンツ提供装置。
【請求項7】
前記の閲覧画面出力手段は、閲覧に供されるコンテンツに関連する販売可能なグッズに関する販売グッズデータをも出力させることとし、
販売グッズデータを閲覧した閲覧者に係る通信端末から送信されてくる前記のグッズに関する購入申し込みの意思表示である購入データを受信するグッズ購入データ受信手段を備え、
前記の購入データに係るグッズがデジタルデータである場合には、当該グッズに関するデジタルグッズを送信することとした
請求項1から請求項6のいずれかに記載のコンテンツ提供装置。
【請求項8】
予め許諾された閲覧者に係る通信端末にて所定のコンテンツが閲覧可能であるように提供するコンテンツ提供装置を制御するコンピュータプログラムであって、
前記の通信端末が閲覧する端末閲覧画面に対して、動画配信サーバが提供する動画データを表示させるための動画データ表示領域、および前記の動画データに関わる舞台地図を表示するための舞台地図データ表示領域を出力させる閲覧画面出力手順と、
前記の通信端末に係る閲覧者に対応させたアバターを提供するアバター提供手順と、
前記の端末閲覧画面に当該アバターを表示させるアバター表示手順と、
そのアバター提供手順にて提供されたアバターを前記の閲覧者が自らに係る通信端末にて操作するアバター操作データを受信するアバター操作データ受信手順と、
前記のアバター操作データに基づいたアバターを前記の端末閲覧画面の中で出力させるとともに、前記のアバター操作データに基づいたアバターが前記の舞台地図データ表示領域において移動させるように出力する閲覧画面制御手順と、
を、前記のコンテンツ提供装置に実行させることとし、
前記の閲覧画面出力手順においては、動画配信サーバから受信した動画URLを前記の通信端末へ送信することによって、当該動画データを前記の端末閲覧画面の中で前記の動画データ表示領域にて表示させることとした
コンピュータプログラム。
【請求項9】
前記の動画配信サーバは、前記のコンテンツ提供装置の内部に備えることとした
請求項8に記載のコンピュータプログラム。
【請求項10】
前記の動画配信サーバが配信する動画データを蓄積する動画データ蓄積手順をも前記のコンテンツ提供装置に実行させることとした
請求項8または請求項9のいずれかに記載のコンピュータプログラム。
【請求項11】
前記の閲覧画面制御手順においては、閲覧者に係る通信端末の一部には、前記の舞台地図データ表示領域におけるアバターの移動ができないように制御することとした
請求項8から請求項10に記載のコンピュータプログラム。
【請求項12】
前記のアバター操作データに基づいたアバターが前記の舞台地図データ表示領域において移動した場合、
前記の閲覧画面制御手順においては、前記の動画データ表示領域から当該アバターまでの距離に応じて当該閲覧者に係る通信端末における音量を調節することとした
請求項8から請求項11のいずれかに記載のコンピュータプログラム。
【請求項13】
前記の閲覧画面出力手順においては、閲覧に供されるコンテンツに関連する販売可能なグッズに関する販売グッズデータをも出力させることとし、
販売グッズデータを閲覧した閲覧者に係る通信端末から送信されてくる前記のグッズに関する購入申し込みの意思表示である購入データを受信するグッズ購入データ受信手順と、
前記の購入データに係るグッズがデジタルデータである場合には、当該グッズに関するデジタルグッズを送信するデジタルグッズ送信手順と、
を前記のコンテンツ提供装置に実行させることとした
請求項8から請求項12のいずれかに記載のコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動画や音声などからなるコンテンツデータを配信するとともに、配信されるコンテンツデータへ閲覧者が参加できる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
(ソーシャルディスタンスが求められる時代の到来)
新型コロナウィルスの感染拡大をきっかけとして、新型コロナウィルスへの感染を防ぐため、ソーシャルディスタンス(人と人との距離を保つ新時代の生活様式)が求められる時代となった。
【0003】
(ソーシャルディスタンスと演劇)
舞台および観客席を備えた劇場において、三次元の舞台装置の下で俳優が演技をし、それを観客席へ入場した観客が観劇する、というのが、演劇というエンターテイメントである。
演劇は、これまでの観客席が満席となった場合には、ソーシャルディスタンスが保てない。また、俳優同士も大きな声を発したり、近接したりする場面が避けられない。
これらの事情から、観客動員数に制限を設けたり、俳優同士が近接しにくい演目とするなど、ソーシャルディスタンスを確保するために、これまでには無かった制限が課せられたり、その制限の中での工夫がなされるようになった。
【0004】
(在宅とエンターテイメントとの関係)
新型コロナウィルスへの感染を防ぐため、外出を自粛する傾向が強まっている。そのため、エンターテイメントに対しても、「在宅で楽しめる」という要望が強まっている。
さて、「在宅で楽しめる」という要望を多くの人が叶えようという場合、在宅のままコンテンツを入手(購入)し、在宅のまま消費する、という行動パターンが典型的である。より具体的な例としては、映画配信サービス会社との契約(課金)を済ませ、通信回線を通じて動画コンテンツを視聴する、というものである。
【0005】
(参加型エンターテイメントの増加)
受け身のエンターテイメント、たとえば「映画の視聴」は、提供されるコンテンツを視聴するだけであり、消費者は受け身となるため、繰り返して楽しめるものは少ない。そのため、能動的に関わることができるようにするため、チャット機能やテキスト機能と称される機能を消費者が操作する端末に与えるソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の人気が高まっている。
【0006】
能動的に関わることができるエンターテイメントの代表例は、ゲームである。対戦型、ロールプレイ型、クイズ型など様々な種類に分けられるが、時間経過に伴って変化するという要素があるため、飽きにくいという長所がある。その瞬間にしか体験できないリアルタイム性が提供してくれる緊張感は、魅力的である。加えて、インターネットにて参加者が流動的となるようなゲームの場合、更に飽きにくい。
【0007】
テキストデータのみならず、画像の発信(「画像投稿」などと呼ばれる)が可能なSNSも普及した。
たとえば、台詞を吹き出し状に示したキャラクタの画像や、喜怒哀楽等のアクションをしているキャラクタの画像を発信(投稿)することで、言葉では言い表せない感情や想いをキャラクタに代弁して貰うというサービスである。
【0008】
画像投稿のサービスを発展させた技術として、たとえば特許文献1に開示された技術がある。
すなわち、ユーザ発信を監視し、異なる視聴ユーザにより発信タイミングが連続的で且つ発信内容に関連性がある発信が、ある程度の規模まで連鎖的に継続された場合に、新たな付加価値のある特典を与えるべく制御をすることを中核とする技術である。
【0009】
(アバター技術)
前述した「キャラクタでの代弁」は、キャラクタが予め用意されているため、用意されているキャラクタから選ぶしかない。その問題を解決するために、参加者の顔画像を使う技術も実現している。
しかし、不特定多数が参加可能なバーチャル空間では、いわゆる「仮想キャラクタ(アバター)」を登場させる、という技術の方が、顔画像を公開する技術よりも安全性(プライバシー保護)の面から普及している。そのアバターを参加者が操作できるようにする技術の一例として、特許文献2がある。
【0010】
(仮想的アイテムのインターネット生放送への投入)
ネットワークを介してライブコンテンツを配信するサービスが「インターネット生放送」として普及している。
さて、ライブハウスや劇場などの現実空間における生のパフォーマンスをする演技者に対して、ご祝儀や花束などを渡すことがある。これをバーチャル空間でも実現するための技術として、花や所定のロゴをインターネット生放送の視聴者が購入し、表示画面上で投げ込むなどの画像を表示させる技術もある。その一例が、特許文献3に開示された技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2019-71957号公報
【特許文献2】特開2019-179502号公報
【特許文献3】特開2020-161159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
(インフラ整備では解決できない問題の存在)
前述したように、ライブハウスでのコンサートや劇場での演劇などを、インターネット生放送でネットユーザに届けるインフラストラクチャは整いつつある。
しかし、整いつつあるインフラストラクチャを活用して提供されるコンテンツについては、コンテンツの制作者サイド、コンテンツに対して対価を支払う消費者サイドのいずれにも、潜在的な(または既に顕在化している)問題があると考えられる(図1参照)。
【0013】
(パフォーマー、俳優、コンテンツ作者)
ライブハウスでのパフォーマーや演劇での俳優にとって、質の高いコンテンツを提供するためには、練習などの準備時間が必要であり、大量生産は困難である(コンテンツを大量生産した場合のほとんどは、粗製乱造となって一度で飽きられてしまう)。
小説家、脚本家などのコンテンツ作者も、質の高いコンテンツ作成にはある程度の時間を要する。大量生産は困難であり、少ないコンテンツで多様に、何度も愉しんで貰うことを望みつつ作成している。
【0014】
(コンテンツ制作組織)
質の高いコンテンツは投資額が嵩む。すなわち、パフォーマーや俳優を抱える製作組織においては、投資額を回収できるかどうかについてリスクを伴う。投資リスクの問題は、新型コロナウィルスの流行の前から存在していたわけであるが、ライブハウスや劇場への入場人数に制限が課せられる昨今、そのリスクが増大していると言える。
【0015】
(コンテンツ消費者の要望多様化や変化)
コンテンツ消費者は、瞬発力や反射神経や動体視力などの身体能力を用いたゲーム(対戦型や冒険型など)を、疲れるからといった理由で欲しない人(受け身で愉しみたい人)も少なくない。一方で、能動的に関われるコンテンツを希望する消費者もいる。
常に新しいコンテンツを欲する消費者もいれば、気に入ったコンテンツを何度でも深く愉しみたいという消費者もいる。
結局、コンテンツ消費者をマスで捉えた場合には、多様な要望を持っており、また「新時代の生活様式」に応じて変化している。変化に対応できない消費者もいるので、コンテンツ消費者の要望多様化は進んでいる。
【0016】
本発明が解決しようとする課題は、コンテンツ消費者の要望多様化や変化に応えつつ、コンテンツ制作サイドの経済的リスクを下げることに寄与する技術を提供することにある。
【0017】
なお、後述する本願発明に類似する先行特許出願を検索するため、以下のような検索式を用いた。
[動画/CL]*[アバター/CL+分身/CL]*[配信/CL+送信/CL]*[参加者/SP+視聴者/SP]
=14件
[動画/CL]*[アバター/SP+分身/SP]*[配信/CL+送信/CL]*[劇/SP]
=5件
【0018】
上述の検索式にて、前述の特許文献1~3も抽出しているが、本願発明に類似すると思われる先行特許出願は発見できなかった。
【課題を解決するための手段】
【0019】
前述した課題を解決するため、コンテンツ提供装置に係る第一の発明、第一の発明に係るコンテンツ提供装置を制御するコンピュータプログラムに係る第二の発明を提供する。
【0020】
(第一の発明)
第一の発明は、予め許諾された閲覧者に係る通信端末(たとえばスマートフォン)にて所定のコンテンツが閲覧可能であるように提供するコンテンツ提供装置に係る。
そのコンテンツ提供装置は、
前記の通信端末が閲覧する端末閲覧画面に対して、 動画配信サーバが提供する動画データを表示させるための動画データ表示領域、および前記の動画データに関わる舞台地図を表示するための舞台地図データ表示領域を出力させる閲覧画面出力手段と、
前記の通信端末に係る閲覧者に対応させたアバターを提供するアバター提供手段と、
前記の端末閲覧画面に当該アバターを表示させるアバター表示手段と、
そのアバター提供手段にて提供されたアバターを前記の閲覧者が自らに係る通信端末にて操作するアバター操作データを受信するアバター操作データ受信手段と、
前記のアバター操作データに基づいたアバターを前記の端末閲覧画面の中で出力させる閲覧画面制御手段と、
を備える。
前記の閲覧画面出力手段は、動画配信サーバから受信した動画URLを前記の通信端末へ送信することによって、当該動画データを前記の端末閲覧画面の中で前記の動画データ表示領域にて表示させることとした
コンテンツ提供装置に係る(図2~4における「劇提供サーバ群」参照)。
【0021】
(用語説明)
「予め許諾された閲覧者に係る通信端末」とは、誰でもアクセスできる状態ではないことを趣旨としている。事前登録制や所定の料金を支払い済みといった場合に付与されるパスワードなどが「許諾」に該当する。
【0022】
「コンテンツ」としては、デジタルデータ化された音声、テキスト、静止画、動画あるいはそれらの組み合わせである。演劇、歌詞を伴うか否かに関わらない楽曲演奏、スポーツの試合、芸能などのパフォーマンスなど、多様である。
【0023】
「動画データに関わる舞台地図」とは、たとえば動画データが演劇であれば、その演劇の舞台となっている見取り図、動画データが戦闘系のゲームであれば戦場の地図、動画データが歌詞を伴う楽曲であれば歌詞に関連する場所の地図である。
「舞台地図」とは、動画データが演劇であれば、演劇の舞台となっている場所の地図(家の中が舞台であれば、その家の見取り図)である。 二次元の地図でも三次元の地図でも良いし、それらを組み合わせても良い。 ソフトウェアで提供できるので、拡大縮小を部分的に可能としたり、所定のボタンを仕込んでおいてボタンのタップ操作にて文字や画像などが表示できるようにしたり、といった仕掛けを組み込んでおくことができる。
【0024】
「動画データ表示領域」に表示させる動画データは、リアルタイム配信される動画データでなくてもよい。すなわち、予め収録した録画データでも良い。動画データを蓄積しておいてオンデマンドにて使用することも可能である(図9図10参照)。
【0025】
「動画データ」と「動画データに関わる舞台地図」との組み合わせによって、提供できるコンテンツを多様化させたり深化させたりすることが可能となる。
たとえば、犯人探しをテーマとする舞台劇を動画データで再生しつつ、犯人捜しに参加するために舞台地図内を動き回る、といった参加が可能となる。
【0026】
「舞台地図」に組み込まれた仕掛けが多様であれば、動画データが同じであっても異なる楽しみ方が可能となる。こうした仕掛けなどの工夫によって、一人の閲覧者が同じコンテンツを何度も愉しむことができることとなる。コンテンツ制作者にとっては、一つの動画データを中心として、コンテンツ多様化させたり深化させたりする可能性のあるシステムとなる。結果として、コンテンツ制作サイドの経済的リスクを下げることに寄与する。
【0027】
「閲覧画面制御手段」は、「舞台地図」に組み込まれた仕掛けを、閲覧者がアバターを介して操作した場合(アバター操作データをアバター操作データ受信手段に対して送信した場合)、その閲覧者に係る通信端末のみに前記の仕掛けに関する文字や画像が表示されるように制御している(図7参照)。
【0028】
「コンテンツ提供装置」は、データ通信機能、CPU、ランダムアクセスメモリ、データ蓄積のためのストレージなどを備えたコンピュータである。データ処理量が多い場合には、サーバ群として構成される。
【0029】
「動画配信サーバ」は、コンテンツ提供装置の内部に備えることとしてもよい(図8参照)。 一方、コンテンツ提供装置とは物理的に別の存在である動画配信サーバとし、そのサーバから閲覧者に係る通信端末へ直接送信させることとすれば、コンテンツ提供装置としての負荷を軽減できる。
【0030】
(作用)
所定のコンテンツの閲覧を希望する者は、予め許諾を得る。
コンテンツ提供装置は、 動画配信サーバが提供する動画データを表示させるための動画データ表示領域、および前記の動画データに関わる舞台地図を表示するための舞台地図データ表示領域を、予め許諾された閲覧者に係る通信端末において、閲覧画面出力手段によって出力可能であるようにする。
【0031】
閲覧者は、通信端末を介してアバター提供手段から提供されたアバターを出力させ、必要に応じて操作する。すなわち、アバター操作データを通信端末からアバター操作データをコンテンツ提供装置へ出力する。コンテンツ提供装置は、アバター操作データを受信し、閲覧画面制御手段によってアバター操作データに基づいた動作を端末閲覧画面の中で出力させる。
閲覧者は、動画データ表示領域に出力される動画データを閲覧しつつ、舞台地図データ表示領域において自らのアバターを操作することができる。舞台地図データは、閲覧している動画データに関連しているので、動画データを受け身ではなく能動的に愉しむことができる。
【0032】
(第一の発明のバリエーション1)
第一の発明は、閲覧者に係る通信端末の一部には、前記の舞台地図データ表示領域におけるアバターの移動ができないように制御することとしてもよい(図2図6参照)。
【0033】
(用語説明)
「閲覧者に係る通信端末の一部」をどのように特定するのか、については、様々な方法がある。代表的には、事前許諾の段階で「アバターが移動できる/できない」を選択してもらう方法である。「アバターが移動できる」を選択した閲覧者は「参加者」となり、「アバターが移動できない」という選択をした閲覧者は「観覧者」となる。
「閲覧者に係る通信端末の一部」を抽選制としたり、選択式のクイズを出題して正答の早い者順としたり、というようにルールを閲覧者に開示して運用することでもよい。
【0034】
(作用)
自分のアバターが舞台地図データ表示領域において移動できる、できないという選択または制限によって、提供されるコンテンツに対して、閲覧者は異なった楽しみ方ができる。
コンテンツ提供装置を運用する側は、舞台地図データ表示領域におけるアバターの移動ができない通信端末を設定することで、コンテンツ提供装置における情報処理能力を合理的に分散させることができる。
【0035】
たとえば、「アバターが移動できる」を選択した閲覧者は「参加者」となって能動的に愉しみ、「アバターが移動できない」という選択をした閲覧者は、「観覧者」として受動的に愉しむことができる。
【0036】
(第一の発明のバリエーション2)
第一の発明におけるバリエーション1は、以下のように形成すると、より好ましい。
すなわち、前記のアバター操作データに基づいたアバターが前記の舞台地図データ表示領域において移動した場合、
前記の閲覧画面制御手段は、前記の動画データ表示領域から当該アバターまでの距離に応じて当該閲覧者に係る通信端末における音量を調節することとするのである(図6参照)。
【0037】
(用語説明)
「距離に応じた音量の調整」は、閲覧者が自らの通信端末における音量調整をしても、聞こえる音量を大きくすることができないようにするのである。現実世界と同じように、距離の二乗に反比例するといった設定が臨場感を再現する上では好ましい。しかし、提供するコンテンツに対する演出の仕方であるので、一律に決めておく必要はない。
【0038】
(作用)
閲覧者が自らの通信端末を操作することで、舞台地図データ表示領域における動画データ表示領域からアバターまでの距離が遠くなると、動画データ表示領域の動画データとして出力される音量が小さくなる。そのため、閲覧者が聞き取りを重視したいと考える場合には、舞台地図データ表示領域における動画データ表示領域から自らのアバターを遠ざけないようにアバターを操作する。
【0039】
(第一の発明のバリエーション3)
第一の発明は、以下のように形成すると、より好ましい。
すなわち、前記の閲覧画面出力手段は、前記の舞台地図データ表示領域におけるアバターに対するアバター操作データに基づいて、当該アバター操作データに係る通信端末において閲覧可能なアイテムデータをも出力させることとするのである(図7参照)。
【0040】
(用語説明)
アイテムデータは、単なる表示の場合や、タップ操作などによって動画や拡大画像が現れる隠れアイテムの場合を含む。
【0041】
(第一の発明のバリエーション4)
第一の発明は、以下のように形成すると、より好ましい。
すなわち、前記の閲覧画面出力手段は、閲覧に供されるコンテンツに関連する販売可能なグッズに関する販売グッズデータをも出力させることとし、
販売グッズデータを閲覧した閲覧者に係る通信端末から送信されてくる前記のグッズに関する購入申し込みの意思表示である購入データを受信するグッズ購入データ受信手段を備え、
前記の購入データに係るグッズがデジタルデータである場合には、当該グッズに関するデジタルグッズを送信することとするのである(図11参照)。
【0042】
(用語説明)
「販売グッズ」とは、デジタル化できるグッズに限らない。ただし、デジタル化できるグッズであれば、本発明に係るコンテンツ提供装置によって、タイムリーな販売が可能である。例えば、コンテンツがゲームなどである場合に、ゲームを解くためのヒントになるようなデータなどであってもよい。
動画データ表示領域に演劇が出力される場合にその演劇の台本やテーマソング、動画データ表示領域に俳優が登場する場合にはその俳優の関連グッズ、動画データ表示領域にアニメーション動画が出力される場合にはアニメキャラクタの関連グッズ、舞台地図データ表示領域に示されるアイテムに関連するグッズ(たとえば、アイテムの精密画像)などである。
【0043】
(作用)
覧画面出力手段は、閲覧に供されるコンテンツに関連する販売可能なグッズに関する販売グッズデータをも出力させる。販売グッズデータを閲覧した閲覧者が購入を決め、自らに係る通信端末から申し込みの意思表示としての購入データを送信する。
送信されてくる購入データは、グッズ購入データ受信手段が受信する。購入データに係るグッズがデジタルデータである場合には、当該グッズに関するデジタルグッズを送信する。
【0044】
(第二の発明)
第二の発明は、第一の発明に係るコンテンツ提供装置を制御するコンピュータプログラムであり、予め許諾された閲覧者に係る通信端末にて所定のコンテンツが閲覧可能であるように提供するコンテンツ提供装置を制御するコンピュータプログラムに係る。
そのコンピュータプログラムは、
前記の通信端末が閲覧する端末閲覧画面に対して、動画配信サーバが提供する動画データを表示させるための動画データ表示領域、および前記の動画データに関わる舞台地図を表示するための舞台地図データ表示領域を出力させる閲覧画面出力手順と、
前記の通信端末に係る閲覧者に対応させたアバターを提供するアバター提供手順と、
前記の端末閲覧画面に当該アバターを表示させるアバター表示手順と、
そのアバター提供手順にて提供されたアバターを前記の閲覧者が自らに係る通信端末にて操作するアバター操作データを受信するアバター操作データ受信手順と、
前記のアバター操作データに基づいたアバターを前記の端末閲覧画面の中で出力させるとともに、前記のアバター操作データに基づいたアバターが前記の舞台地図データ表示領域において移動させるように出力する閲覧画面制御手順と、
を、前記のコンテンツ提供装置に実行させることとし、
前記の閲覧画面出力手順においては、動画配信サーバから受信した動画URLを前記の通信端末へ送信することによって、当該動画データを前記の端末閲覧画面の中で前記の動画データ表示領域にて表示させることとするのである。
【0045】
(第二の発明のバリエーション1)
第二の発明は、前記の閲覧画面制御手順においては、閲覧者に係る通信端末の一部には、前記の舞台地図データ表示領域におけるアバターの移動ができないように制御することとすると、より好ましい。
【0046】
(第二の発明のバリエーション2)
第二の発明におけるバリエーション1は、以下のように形成すると、より好ましい。
すなわち、 前記のアバター操作データに基づいたアバターが前記の舞台地図データ表示領域において移動した場合、
前記の閲覧画面制御手順においては、前記の動画データ表示領域から当該アバターまでの距離に応じて当該閲覧者に係る通信端末における音量を調節することとするのである。
【0047】
(第二の発明のバリエーション3)
第二の発明は、 前記の閲覧画面出力手順においては、閲覧に供されるコンテンツに関連する販売可能なグッズに関する販売グッズデータをも出力させることとし、
販売グッズデータを閲覧した閲覧者に係る通信端末から送信されてくる前記のグッズに関する購入申し込みの意思表示である購入データを受信するグッズ購入データ受信手順と、
前記の購入データに係るグッズがデジタルデータである場合には、当該グッズに関するデジタルグッズを送信するデジタルグッズ送信手順と、
を前記のコンテンツ提供装置に実行させることとしてもよい。
【0048】
第二の発明に係るコンピュータプログラムを格納したコンピュータから、通信回線を通じて他の端末手段へ伝送することも可能である。
また、第二の発明に係るコンピュータプログラムを記録媒体へ記憶させて提供することもできる。 ここで、「記録媒体」とは、それ自身では空間を占有し得ないプログラムを担持することができる媒体である。例えば、ハードディスク、CD-R、DVD-R、フラッシュメモリなどである。
【発明の効果】
【0049】
第一の発明によれば、コンテンツ消費者の要望多様化や変化に応えつつ、コンテンツ制作サイドの経済的リスクを下げることに寄与するコンテンツ提供装置を提供することができた。
第二の発明によれば、コンテンツ消費者の要望多様化や変化に応えつつ、コンテンツ制作サイドの経済的リスクを下げることに寄与するコンテンツ提供装置の制御用コンピュータプログラムを提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1】従来のエンターテイメントに関する問題点を、関係者の立場で指摘する様子を示す概念図である。
図2】本発明における実施形態の全体を概念的に示す図である。
図3】本発明における実施形態(図2に示した概念)の構成を示すブロック図である。
図4】参加者が多数になった場合の構成を示すためのブロック図である。
図5】参加者と閲覧者との相違を示すためのブロック図である。
図6】アバターを操作した場合に、操作した端末にて聞こえる音量と距離との関係を示すための図である。
図7】舞台地図におけるアバターによる操作と、操作した端末にて表示される内容との関係を示すための図である。
図8】動画配信機能を劇提供サーバ群の内部へ取り込んだ実施形態を示すブロック図である。
図9】動画配信サーバ内に劇データを格納する実施形態を示すブロック図である。
図10】劇提供サーバ群に劇データを格納する実施形態を示すブロック図である。
図11】配信されるコンテンツに関連するグッズの販売形態を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下、本発明を図面および実施形態に基づいて、説明する。ここで使用する図面は、図2から図11である。必要に応じて、図1も参照する。
なお、図中の矢印については、実線が有線通信、二点破線が無線通信を示している。
【0052】
図2
図2では、朗読劇を演じる俳優たち、劇進行役を兼ねたゲームホスト、ゲームに参加する観客A、朗読劇を観覧する観客Bという人間がそれぞれ遠隔に存在し、それぞれが電子情報機器を介して関わっていることを示している。なお、観客は図示の都合上2名のみを示しているが、実際には多数の観客がいる(後述)。
【0053】
俳優たちは、劇場(図示を省略)にて朗読劇を演じ、その朗読劇はデジタルビデオカメラや通信機器にて、音声を含んだ動画データとして動画配信サーバ(動画プラットフォーム=図中では「動画PF」)へ送られる。
動画配信サーバは、インターネットを介して、観客A,観客Bに係る通信端末へ配信するため、限定URLを作成する。そして、その限定URLを入手した視聴者に係る通信端末からのアクセスに対して、朗読劇の動画データを配信する。ただし、観客A,観客Bに係る通信端末の画面には、朗読劇の動画データ以外の画像などが組み合わせて出力される(後述)。
【0054】
ゲームホストは、朗読劇の動画データを視聴しつつ、観客A,Bのためにホストとして音声で案内をする。その音声は、劇提供サーバ群を介して、観客A,観客Bに係る通信端末のスピーカから出力される。
【0055】
劇提供サーバ群は、朗読劇として演じられている舞台の地図を出力するための素材データ等を予め蓄積している。また、観客がアバターを表示するロビー、パーティ会場に関する素材、朗読劇の動画データを出力する動画データ表示領域のためのデータなども予め蓄積している。
【0056】
観客A,Bは、前述してきた朗読劇を鑑賞するため、予め鑑賞料金を精算し、鑑賞のための限定URLやパスワードを入手している。その限定URLやパスワードを使って自らの通信端末にてアクセスすると、端末の出力画面には、上から劇舞台地図、中央に朗読劇の動画データ、その下にバーティ会場、その下にロビーが出力される。
【0057】
観客は自らを示すアバターを、前記の出力画面上に表示させる。図中では、観客Aのアバターがパーティ会場、観客Bのアバターがロビーにいるように図示している。
【0058】
図3
図3では、図2に示した概要を実現するためのハードウェア構成(機能)をブロック図で示している。また、主なデータ送信については、カッコ書きの数字とともに示しており、数字の若い順にデータが送信されたり加工されたりしていることを示している。
【0059】
劇場では、俳優たちが朗読劇を演じ、その演じている様子は、劇生データ送信手段が動画配信サーバへ送信する(1)。
動画配信サーバでは、劇生データを劇生データ受信手段が受信し、限定URL生成手段が限定RULを生成する。そして、生成した限定URLを劇提供サーバ群へ送信する(2)
【0060】
劇提供サーバ群では、限定URL受信手段が限定URLを受信し、閲覧画面出力手段に埋め込む。
一方、劇生データに合わせて、ゲームホストは音声による進行データを進行データ送信手段にて閲覧画面出力手段へ提供する(3)。
また、予め蓄積してある閲覧素材データベースにおける舞台地図などの素材データを閲覧画面出力手段へ提供する(4)。
【0061】
閲覧画面出力手段は、限定URL、進行データ、素材データを、予め許諾された参加者端末へ送信する(5)。
参加者端末においては、受信した限定URLを動画配信サーバへ送信し(6)、動画データを受信する(7)。動画データ受信手段にて受信した動画データは、参加者端末における閲覧手段(出力画面)に出力される。
【0062】
参加者は、自らの通信端末のアバター操作手段を操作することによってアバター操作データを劇提供サーバ群へ送信する(8)。
劇提供サーバ群は、アバター操作データ受信手段がアバター操作データを受信する。そして、閲覧画面制御手段を介して、アバター操作を反映させたアバター操作反映データが参加者端末において出力されるようにする(9)。
【0063】
図4
図4では、参加者が多い場合に、どのような情報処理をしているか、を示すための図である。
参加者に係る通信端末(参加者端末)が100台毎に、劇提供サーバ(L,M,N,・・・)をひとつ設けている。すなわち、参加者端末から送信されてくるアバター操作データを受信し、閲覧画面制御手段によって閲覧画面へ反映させるためのサーバを、物理的に、100台ずつ区切っている。
【0064】
図中では、参加者端末P1からP100は、劇提供サーバLが担当することとして示している。 同様に、参加者端末Q1からQ100は劇提供サーバMが、参加者端末R1からR100は劇提供サーバNが、それぞれ担当する。
アバター操作データに対応させてアバター操作反映データを閲覧画面へリアルタイムに近い体感を、参加者端末に与えることができるようにするには、多くの演算処理能力を必要とするためである。
【0065】
図中では、閲覧画面出力手段までを独立させないこととして示しているが、閲覧画面出力手段までを、劇提供サーバ(L,M,N,・・・)のそれぞれに備えることとしても良い。
【0066】
参加者端末100台毎にサーバ1台を割り当てることとして説明したが、参加者端末の対応数は、サーバによるリアルタイム処理能力によって異なる。たとえば、参加者端末からのアバター操作データが多い場合には、対応する参加者端末の数を減らすとともにサーバ数を増やすことで対応する。
【0067】
図5
図5では、参加者に係る通信端末と観覧者に係る通信端末(観覧者端末)との相違について、どのような情報処理をしているか、を示すための図である。
【0068】
観覧者端末は、アバターを操作する権限を与えられていないため、参加者に係る通信端末と異なり、アバター操作手段を備えていない。すなわち、観覧者端末はアバター操作データを発信しない。
参加者端末が発信するアバター操作データのリアルタイム処理には大きな負担がサーバに掛かるので、観覧者端末へ動画データ、進行データ、素材データを提供するサーバとは別にしている。
【0069】
なお、図5では、参加者端末に対応する劇提供サーバと観覧者端末に対応するサーバとを別々に備えることとしたが、参加者端末と観覧者端末とを混在させて対応することを避けた方が良い、ということではない。
【0070】
図6
図6は、参加者端末が操作するアバターAは、動画データ表示領域である「ステージ」から劇舞台地図において離れれば離れるほど、参加者端末にて再生される動画データにおける音量SAが小さくなるようにしていることを示すための概念図である。
【0071】
参加者Aは、参加者端末の出力画面にて朗読劇を閲覧することができるものの、参加者端末から再生される音量SAは、劇舞台地図上でステージから離れるほど小さくなってしまう。したがって、劇舞台地図上での動きを優先するか、朗読劇の音声を優先するか、駆け引きをしながらアバターAを操作することとなる。
【0072】
図中では、ステージ中央のパーティ会場側に動画(朗読劇)の再生用スピーカが設置されていると仮定している。その再生用スピーカの位置とパーティ会場にて観覧のみをしているアバターBとの距離をDBとする。また、劇舞台地図を移動していたアバターAと再生用スピーカの位置との距離をDAとする。そして、DA=DB+L(距離の差)であるとすれば、
SA=kSB/LL(kは定数)
となる(LLはLの二乗)。
なお、この実施形態においては、音声SAを上記のようにすることとしているが、このようにしなければならない、ということではない。
【0073】
図7
図7は、舞台地図にてアバターAがアクションを起こした例示である。
劇舞台地図出力領域の中に、書籍が広げられている箇所、鋏が落ちている箇所、レポート用紙が落ちている箇所があったとする。そして、参加者Aが自らの通信端末P1を用いてアバターAを操作することでレポート用紙に近づき、タップしたとする(図7(a))。
【0074】
図7(b)の左側に示しているように、参加者Aの通信端末P1にのみ、レポート用紙のメモが拡大表示される。そして、そのメモに記載されている内容は、朗読劇の進行において知っていると、劇中のある趣旨が読み取れたり、劇中に示される疑問を解決する糸口となったりする。
【0075】
当然であるが、アバターを劇舞台地図のところへ移動させる権限を持たない観覧者Bに掛かる通信端末P2においては、参加者Aが読み取ることのできたレポート用紙のメモ内容を閲覧することはできない(図7(b)右側)。
【0076】
上述したように、参加者Aと観覧者Bとでは、朗読劇の楽しみ方が異なる。
参加者Aは、アバターAを操作することで、朗読劇の中では明かされないアイテムを閲覧したり、謎解き情報を収集したりすることができる。すなわち、積極的な参加型のエンターテイメントを愉しむことができる。
観覧者Bは、アバターBによる操作に興じることなく、朗読劇をじっくり愉しむことができる。すなわち、自らがアクションを起こすことなく、受け身でエンターテイメントを愉しむことができる。
【0077】
参加者Aとしては、図6で示したように、アバターAの操作によって朗読劇の音声が聞こえにくくなったり、操作に気を取られて聞き漏らしたりすることがあり得る。それを原因として、朗読劇の全容が理解できない可能性を残す。一度参加したにも関わらず全容解明ができなかったという不満が残ることで、もう一度参加したい(あるいは参加ではなく観覧したい)、という気持ちにつながる。
結果として、参加者Aのようなタイプの消費者が複数回にわたって愉しめる可能性がある、ということとになる。
【0078】
観覧者Bとしては、図7(b)で示したように、朗読劇のみでは明かされないアイテムや情報を入手できないので、朗読劇の全容が理解できない可能性を残す。一度観覧したにも関わらず全容解明ができなかったという不満が残ることで、もう一度観覧したい(あるいは観覧ではなく参加したい)、という気持ちにつながる。
結果として、観覧者Bのようなタイプの消費者が複数回にわたって愉しめる可能性がある、ということとになる。
【0079】
図8
図8は、動画配信機能を劇提供サーバ群の内部へ取り込んだ実施形態を示すブロック図である。すなわち、動画配信サーバを、劇提供サーバ群とは物理的に分離していた実施形態を示した図3と異なり、動画配信装置として示している。
【0080】
動画配信機能を劇提供サーバ群の内部へ取り込んだことにより、参加者端末(観覧者端末でも同じ)における画面出力の際に、図3では必要だった限定URLは不要となる。そのため、限定URL生成手段が不要となる。同時に、参加者端末が限定URLを送信する必要もなくなる。
【0081】
なお、図8では動画配信手段から動画データを送信しているように図示しているが、柄面画面出力手段にて、進行データや素材データとともに送信するようにしてもよい。
【0082】
図9
図9は、動画配信サーバ内に劇データを格納する劇データベースを備えた実施形態を示している。
劇場の劇生データ送信手段から送信されてくる劇生データを動画配信サーバの劇生データ受信手段にて受信したら、その劇生データは、劇データベースへ格納する(1)。
【0083】
また、劇提供サーバ群が参加者端末へ(図示を省略しているが、観覧者端末にも)送信する進行データおよび素材データも受信し、劇データベースへ格納する(5)。
参加者端末への動画データの配信は、劇データベースへ一旦格納された動画データを送信する(7)。
【0084】
劇生データと、進行データおよび素材データとは、別々のタイミングで劇データベースへ格納しているが、それぞれのデータを合成(必要に応じて編集=たとえば、進行データを削除したり改変したりする)することができる。
劇データベースを備えることによって、朗読劇コンテンツのリアルタイム視聴(参加および観覧)のみならず、オンデマンドでの提供が可能となる。
【0085】
オンデマンドでの提供が可能となることで、リアルタイム視聴がスケジュール的に適わなかった顕在的な消費者、リアルタイム配信時にはこの朗読劇コンテンツの存在を知らなかった潜在的な消費者、などにも提供することが可能となる。
【0086】
図10
図10で示す実施形態は、図9に示した動画配信サーバの機能を劇提供サーバ群の内部に取り込んだものである。
動画配信サーバの機能を劇提供サーバ群の内部に取り込んだことによる特徴は図8に示した実施形態にて説明しており、劇データベースを備えたことによる特徴は図9に示した実施形態にて説明しているので、図10についての詳細な説明は省略する。
【0087】
図11
図11で示す実施形態は、前述してきた実施形態によって提供されるコンテンツ(朗読劇やゲーム進行など)に関連するグッズの販売システムを含んでいる。
【0088】
閲覧画面出力手段に対して、関連素材データベースから、販売グッズデータをも出力させる。販売グッズデータとは、たとえば舞台地図に登場するアイテムをタップするとそのアイテムの詳細や販売価格が表示される、といったデータである。朗読劇に登場する俳優を紹介する場面を設定し、その俳優の関連グッズを紹介するデータ、朗読劇のエンディングでテーマソングのダウンロード方法を提示するデータなども、販売グッズデータである。また、朗読劇をより楽しむためのデータ(例えば、ゲームを解くためのヒントになるようなデータなど)などであってもよい。
【0089】
参加者端末(観覧者端末でも良い)において、グッズ購入データ送信手段が劇提供サーバ群から提供されて出力される。参加者は、販売グッズデータの中から購入を検討し(10)、グッズ購入データ送信手段を用いて、購入の申し込み意思確認や支払い方法などの手続を含む購入データを劇提供サーバ群へ送信する(11)。
【0090】
送信されてきた購入データは、劇提供サーバ群におけるグッズ購入データ受信手段が受信する。そして、購入データに係る購入グッズが送信してきた通信端末においてダウンロードが可能なデジタルデータであるならば、関連素材データベースなどを介して当該通信端末へ購入に係るデジタルグッズを送信する(13)。
【0091】
購入に係るグッズがデジタルデータではない、または通信端末でダウンロードができないなどの場合には、別途、郵送するなどの手続を実施する。
【0092】
(実施形態によって期待される効果)
前述してきた実施形態によって、図1に例示したエンターテイメント関係者における課題を解決することに寄与するか否かを検証する。
消費者の多様化については、能動的に関われるコンテンツを希望する消費者には参加者として、受け身で愉しめる消費者には観覧者として愉しんでもらえる可能性がある。
【0093】
新しいコンテンツを欲する消費者に対しては、朗読劇と参加型ゲームとを組み合わせた新たなエンターテイメントであるので、愉しんでもらえる可能性がある。
また、気に入ったコンテンツを何度でも愉しみたい消費者に対しては、アバターを操作して参加しないと全容解明が難しかったり、アバターを操作したことによって聞き逃してしまって全容解明が難しかったり、という仕掛けを準備したコンテンツであるので、愉しんでもらえる可能性がある。
【0094】
俳優やコンテンツ作家に対しては、リアルタイム配信というインフラ活用によって、劇場と消費者居住地という物理的な距離を無しに、本実施形態に係るコンテンツを提供することができる。
何度も愉しんでもらえる可能性を秘めたコンテンツ提供インフラとなるので、時間を掛けた質の高いパフォーマンスを出すモチベーションを提供できる可能性につながる。
【0095】
販売システム(図11参照)を備えたことにより、俳優の関連グッズや劇の台本などの売り上げが見込めるため、俳優やコンテンツ作家にとって収入源を増やすこととなる。
【0096】
コンテンツ制作組織に対しては、一人の消費者が複数回愉しめる可能性のあるコンテンツであり、且つオンデマンドでの提供にも対応しているので、俳優による劇場での一度の演技が複合的な収益を見込める。結果として、ひとつのコンテンツ制作に投資できる金額も確保しやすくなる。
【0097】
前述した実施形態では、提供するコンテンツを劇提供サーバ群による朗読劇(に謎解きなどのゲーム性を加味した複合コンテンツ)としたが、本発明に係る技術が提供できるコンテンツはこれに限られるものではない。
たとえば、マーダーミステリにカードを加えたゲーム、アドベンチャー系のゲーム、推理小説を映像化したドラマ、落語、など、様々なエンターテイメント素材をコンテンツとして提供できる。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明は、エンターテイメント業、エンターテイメントをデジタル化して通信する情報通信サービス業、エンターテイメントをデジタル化したり管理運営したりするのに必要な機器の製造業やメンテナンス業、エンターテイメントのデジタルデータを扱うデータサービス業、などにおいて、利用可能性を有する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11