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  • 特開-探傷装置及び探傷方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022083911
(43)【公開日】2022-06-06
(54)【発明の名称】探傷装置及び探傷方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 29/36 20060101AFI20220530BHJP
   G01N 29/04 20060101ALI20220530BHJP
【FI】
G01N29/36
G01N29/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020195529
(22)【出願日】2020-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】000003388
【氏名又は名称】東京計器株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504412451
【氏名又は名称】東京計器レールテクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101856
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 日出夫
(72)【発明者】
【氏名】獅子谷 卓
(72)【発明者】
【氏名】小坂 勝
(72)【発明者】
【氏名】若泉 貴之
(72)【発明者】
【氏名】小沢 金吾
(72)【発明者】
【氏名】山城 英二
【テーマコード(参考)】
2G047
【Fターム(参考)】
2G047AA06
2G047AC09
2G047BA03
2G047BC02
2G047BC03
2G047BC11
2G047BC18
2G047EA10
2G047GG02
2G047GG06
2G047GG20
2G047GG28
2G047GG30
2G047GG33
(57)【要約】
【課題】より正確に底面エコーを判定することができる技術を提供する。
【解決手段】超音波によりレールの探傷を行う探傷装置であって、レールの頭部において底面に向けて超音波を発信するとともに超音波を受信する探触子と、受信された超音波において、所定の振幅閾値以上の波形を反射エコーとして選択する選択部124と選択された反射エコーにおける最大振幅値を算出する算出部125と、算出された最大振幅値が最大である反射エコーをレールの底面を反射面とする底面エコーと判定する判定部126とを備えた。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波によりレールの探傷を行う探傷装置であって、
前記レールの頭部において底面に向けて超音波を発信するとともに超音波を受信する探触子と、
前記受信された超音波において、所定の振幅閾値以上の波形を反射エコーとして選択する選択部と、
前記選択された反射エコーにおける最大振幅値を算出する算出部と、
前記算出された最大振幅値が最大である反射エコーを前記レールの底面を反射面とする底面エコーと判定する判定部と
を備える探傷装置。
【請求項2】
前記選択部は、所定の時間範囲内にある反射エコーを選択することを特徴とする請求項1に記載の探傷装置。
【請求項3】
超音波によりレールの探傷を行う探傷方法であって、
探触子により前記レールの頭部において底面に向けて超音波を発信するとともに超音波を受信し、
前記受信された超音波において、所定の振幅閾値以上の波形を反射エコーとして選択し、
前記選択された反射エコーにおける最大振幅値を算出し、
前記算出された最大振幅値が最大である反射エコーを前記レールの底面を反射面とする底面エコーと判定する探傷方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、超音波によるレールの探傷に関する。
【背景技術】
【0002】
レール内部の損傷、レール表面の摩耗や腐食などを検出するための検査として、超音波探傷が従来から行われている。また、レールの底部に生じる腐食に対しては、レールの頭部において上方から発信した超音波の反射エコーを受信することによって、レールの高さを測定し、この高さに基づいて腐食が生じているか否かの検査がなされている。
【0003】
このような腐食検査においては、レールの底部における底面を反射面とする反射エコーを底面エコーとし、超音波の発信から底面エコーの受信までの時間をレール深さ、即ちレール高さに換算した解析結果が作業者に提示される。
【0004】
なお、関連する技術として、レールの内部を超音波探傷する探傷装置であって、超音波を送信するとともに、送信した超音波の反射波を受信する複数の探触子と、各々の探触子が受信した反射波に基づいてレール内部の傷を検知する装置本体とを備え、複数の探触子が並列に配置されることを特徴とする探傷装置、が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-144110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の腐食検査においては、反射エコーに対してゲート区間を設定し、このゲート区間内において最短時間で検出される反射エコーを底面エコーとしていた。しかしながら、反射エコーにはレールにおける底面以外の部分から反射される虚像エコーが含まれ、最短時間で検出される反射エコーを底面エコーとすると、虚像エコーが底面エコーと判定されてしまうことがある、という問題があった。
【0007】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、より正確に底面エコーを判定することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するため、本実施形態の探傷装置は、超音波によりレールの探傷を行う探傷装置であって、前記レールの頭部において底面に向けて超音波を発信するとともに超音波を受信する探触子と、前記受信された超音波において、所定の振幅閾値以上の波形を反射エコーとして選択する選択部と、前記選択された反射エコーにおける最大振幅値を算出する算出部と、前記算出された最大振幅値が最大である反射エコーを前記レールの底面を反射面とする底面エコーと判定する判定部とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、より正確に底面エコーを判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係る探傷装置の全体構成を示す概略図である。
図2】探傷装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】制御装置の機能構成を示すブロック図である。
図4】底面エコー判定処理の動作を示すフローチャートである。
図5】複数の反射エコーを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
【0012】
(探傷装置のハードウェア構成)
本実施形態に係る探傷装置の全体構成及びハードウェア構成について説明する。図1,2は、本実施形態に係る探傷装置の全体構成、ハードウェア構成を示す図である。
【0013】
図1に示すように、本実施形態に係る探傷装置1は、制御装置10と探触子11とを備え、レール2の高さを測定する。探傷装置1による探傷対象であるレール2は、敷設方向に延在する鉄道用のレールであり、最上部に形成された頭部21と、頭部21と比較して小さい幅に形成され、その上端が頭部21に接続される腹部22と、腹部22の下端に接続され、頭部21と比較して大きな幅に形成される底部23とを有する。
【0014】
探傷装置1は、レール2の頭部21における上面211に探触子11が設置された状態で底部23に向けて超音波ビームを発信し、この超音波ビームが底部23における底面231を反射面として反射された反射エコーを底面エコーとして受信する。また、探傷装置1は、超音波ビームの発信時点から底面エコーの受信時点までの時間に基づいて、レール2の深さを高さとして測定することにより、レール2の底部23の腐食を探傷する。
【0015】
図2に示すように、探触子11は、超音波ビームを発信する発信部111と、振動の振幅を検知することによって発信部111により発信された超音波ビームの反射エコーを受信する受信部112とを備える。なお、探触子11は、対象物に対して反射法による超音波測定を行うものであれば良く、本実施形態においては、説明上、探触子11を発信部111と受信部112とが異なる振動子である二振動子探触子としたが、発信部111と受信部112とが同一の振動子である一振動子探触子としても良い。また、図2においては、発信部111と受信部112とがレール2の幅方向(図2中左右方向)に異なる位置に配されているが、発信部111と受信部112とをレール2の長手方向(レールの延在方向)に異なる位置に配するようにしても良い。
【0016】
制御装置10は、ハードウェアとして、CPU(Central Processing Unit)101、RAM102、記憶装置103、入力部104、ディスプレイ105、入出力I/F106を備える。CPU101は、RAM102と協働して後述する各種機能を実行する。記憶装置103は、不揮発性のメモリであり、各種データを記憶する。入力部104は、レール2の探傷を行う作業者が探傷装置1の操作を行うための入力装置である。ディスプレイ105は、液晶ディスプレイのような静止画または動画を表示可能な表示装置であり、探傷に係る各種情報を作業者に提示する出力装置である。
【0017】
入出力I/F106は、探触子11との情報の入出力を行うインターフェイスであり、具体的には、出力として、発信部111に対して超音波ビームを発信させる指示データを送信するとともに、入力として、受信部112が受信した振動の振幅の時系列データを取得する。
【0018】
(制御装置の機能構成)
制御装置の機能構成について説明する。図3は、制御装置の機能構成を示すブロック図である。
【0019】
図3に示すように、制御装置10は、機能として、制御部121、取得部122、設定部123、選択部124、算出部125、判定部126を備える。制御部121は、探触子11に超音波ビームを発信させる。取得部122は、探触子12に受信された振動の振幅を時系列に取得することにより、反射エコーを取得する。
【0020】
設定部123は、取得部122により取得された反射エコーに対して、予め定められた時間範囲と振幅閾値とを条件として含むゲート区間を設定する。選択部124はゲート区間内の反射エコーを順次選択する。算出部125は、選択部124により選択された反射エコーのピーク値を算出する。判定部126は、ゲート区間内の反射エコーのうち、算出部125により算出されたピーク値が最大である反射エコーを底面エコーと判定する。
【0021】
(制御装置の動作)
制御装置の動作として、底面エコー判定処理の動作について説明する。この底面エコー判定処理は、反射エコーの取得後に行われ、複数の反射エコーのいずれかを底面エコーと判定する処理である。図4は、底面エコー判定処理の動作を示すフローチャートである。図5は、複数の反射エコーを示す図である。
【0022】
図4に示すように、反射エコーの取得後、設定部123は、図5に示すように、反射エコーに対して予め設定された時間範囲TRを設定する(S101)。図5において、縦軸は振幅であり、横軸はレール深さ、即ち超音波ビームの発信時点からの時間である。この時間範囲TRは、底面エコーが必ず含まれるような範囲に適宜定められる。また、設定部123は、所定の振幅値に定められる振幅閾値THを反射エコーに対して設定する(S102)。
【0023】
次に、選択部124は、時間範囲TR内にあり振幅閾値TH以上であるゲート区間内の反射エコーのうち、未選択の反射エコーを選択する(S103)。ここで、選択部124は、振幅閾値THを上回る振幅波形の立ち上がり時点Rから振幅閾値THを下回る振幅波形の立ち下がり時点Fまでを1つの反射エコーとして選択を行う。
【0024】
次に、算出部125は、選択中の反射エコーに対して、この反射エコーの最大振幅Pをピーク値として算出し(S104)、選択部124がゲート区間内に未選択の反射エコーが存在するか否かを判定する(S105)。
【0025】
ゲート区間内に未選択の反射エコーが存在する場合(S105,YES)選択部124は、再度、ゲート区間内の反射エコーのうち、未選択の反射エコーを選択する(S103)。
【0026】
一方、ゲート区間内に未選択の反射エコーが存在しない場合(S105,NO)、判定部126は、ピーク値が最大である反射エコーを底面エコーと判定する(S106)。
【0027】
底面エコー判定処理によれば、図5に示される複数の反射エコーを対象とした場合、ゲート区間内の反射エコーE1~E3が選択され、このうち、ピーク値が最大である反射エコーE2が底面エコーと判定され、反射エコーE1,E3を含む他の全ての反射エコーが底面231以外の部分を反射面とした虚像エコーと判定される。これによって、反射エコーにおける虚像エコーと底面エコーとをより精度良く弁別することができる。
【0028】
本発明の実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0029】
1 探傷装置
122 取得部
123 設定部
124 選択部
125 算出部
126 判定部
図1
図2
図3
図4
図5