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特開2022-83943ポール状部材の接合器具及びポール状部材、並びにポール状部材の接合方法
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  • 特開-ポール状部材の接合器具及びポール状部材、並びにポール状部材の接合方法 図1
  • 特開-ポール状部材の接合器具及びポール状部材、並びにポール状部材の接合方法 図2
  • 特開-ポール状部材の接合器具及びポール状部材、並びにポール状部材の接合方法 図3
  • 特開-ポール状部材の接合器具及びポール状部材、並びにポール状部材の接合方法 図4
  • 特開-ポール状部材の接合器具及びポール状部材、並びにポール状部材の接合方法 図5
  • 特開-ポール状部材の接合器具及びポール状部材、並びにポール状部材の接合方法 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022083943
(43)【公開日】2022-06-06
(54)【発明の名称】ポール状部材の接合器具及びポール状部材、並びにポール状部材の接合方法
(51)【国際特許分類】
   E04H 12/18 20060101AFI20220530BHJP
   F16B 7/18 20060101ALI20220530BHJP
【FI】
E04H12/18 A
F16B7/18 A
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2020206328
(22)【出願日】2020-11-25
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-08-11
(71)【出願人】
【識別番号】515045994
【氏名又は名称】有限会社三立電気
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 恒明
【テーマコード(参考)】
3J039
【Fターム(参考)】
3J039AA01
3J039BB01
3J039GA04
(57)【要約】
【課題】 構造が簡単で、汎用性が高く、複数のポール状部材の接合が可能な接合方法と、それに用いる部材を提供する。
【解決手段】 筒形状で、側面に複数の第一の貫通孔が設けられた本体と、本体の側面に垂直に接合され、第二の貫通孔が設けられた板状の接合部材を有する、ポール状部材の接合器具を、一方のポール状部材の端部に取り付け、他方のポール状部材の端部にも、前記のポール状部材の接合器具を取り付けた後、両方のポール状部材の接合器具を重ね合わせ、ボルト、ナットなどを用いて接合固定する。これを工事現場などの仮設電柱に応用する際は、予め、一方のポール状部材の基部を地中に埋設固定し、地上に露出している端部に、ポール状部材の接合器具を取り付け、前記の手順で、ポール状部材の接合固定を行う。この方法によれば、ポール状部材を適当な長さに分割できるので、搬入や設置の作業が容易になる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒形状を有し、側面に複数の第一の貫通孔を有する本体と、前記本体の側面の垂直方向に一体に接合され、少なくとも一つの第二の貫通孔を有する板状の接合用部材を複数有することを特徴とする、ポール状部材の接合器具であって、前記板状の接合用部材は、前記本体の一方の底面よりも突出した突出部を有し、前記第二の貫通孔の中心は、前記本体の一方の底面の位置または底面よりも外側に配されてなることを特徴とするポール状部材の接合器具。
【請求項2】
前記ポール状部材の接合器具に、嵌合可能な断面形状を有し、少なくとも一方の端部の近傍の側面の、端部から、前記接合器具における前記第一の貫通孔の中心と前記第二の貫通孔の中心との距離よりも短い距離を有する位置に、第一の接合手段が設けられてなることを特徴とする、ポール状部材。
【請求項3】
前記ポール状部材の一方の端部を、前記ポール状部材の接合器具の、前記突出部が配される側の反対側から、前記第一の接合手段と、前記ポール状部材の接合器具における前記第一の貫通孔の位置が一致するように挿入する挿入工程、
前記ポール状部材の接合器具における前記第一の貫通孔から、第二の接合手段を挿入し、前記第一の接合手段と前記第二の接合手段を係合させて、前記ポール状部材の接合器具と前記ポール状部材を一体化して、接合機能付きポール状部材を構成する、取り付け工程、
複数の前記接合機能付きポール状部材の、前記ポール状部材の接合器具を取り付けた側を対向させ、前記ポール状部材の接合器具における、前記板状の接合用部材を重ね合わせ、前記第二の貫通孔を介して、第三の接合手段により接合する接合工程を有することを特徴とする、ポール状部材の接合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のポール状部材を接合するための接合器具に関し、特に基部を地中に埋設して直立させたポール状部材の上端に、さらにポール状部材を接合して構成するポールに適した接合器具と、それを用いたポール状部材の接合方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポール状の部材は、旗竿、小規模のアンテナなどに用いられ、建築物の工事現場では、電源を導入するための仮設電柱として用いられている。特に仮設電柱のような用途においては、ポールを設置するための面積や、設置作業に要する面積が、必ずしも十分に確保できないため、必要な長さのポールを搬入するのも困難なことがある。
【0003】
このような場合は、所要長のポールを、適当な長さに分割して搬入に、基部となる部分を予め地中に埋設して設置し、その上に、ポールの部材を継ぎ足す形で接合するという工法が有用と考えられる。
【0004】
このような例として、特許文献1には、一対の板状部材を有し、前記一対の板状部材は、前記一対の板状部材のうちの一方の板状部材が有する面と他方の板状部材が有する面とが当接した状態から離反した状態へと開閉可能に、接続手段を介して接続されており、前記一方の板状部材が有する面のうち、当該一方の板状部材と他方の板状部材とを当接させた際に当該他方の板状部材と当接する当接面とは反対側の面側に突出し、仮設電柱用ポールを連結可能なよう構成された第1の連結部材と、前記他方の板状部材が有する面のうち、当該他方の板状部材と前記一方の板状部とを当接させた際に当該一方の板状部材と当接する当接面とは反対側の面側に突出し、地面に埋没する埋没用ポールを連結可能なよう構成された第2の連結部材と、を有する仮設電柱支持具が開示されている。
【0005】
しかしながら、ここに開示されている仮設電柱支持具は、ポールの端面に接合された、板状の部材を有する構成で、さらに板状の部材にヒンジを接合することが必要であり、製造コストを要する他、板状部材を接合したポールを他用途にそのまま適用できないという課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3205639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、前記の状況に鑑み、構造が簡単で、汎用性が高く、複数のポール状部材の接合が可能な接合方法と、それに用いる部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記課題の解決のため、ポール状部材とは別個に作製される、ポール状部材の接合器具の構造を、鋭意検討した結果なされたものである。
【0009】
上記課題を解決するための、本発明の一態様に係るポール状部材の接合器具は、筒形状を有し、側面に複数の第一の貫通孔を有する本体と、前記本体の側面の垂直方向に一体に接合され、少なくとも一つの第二の貫通孔を有する板状の接合用部材を複数有することを特徴とする、ポール状部材の接合器具であって、前記板状の接合用部材は、前記本体の一方の底面よりも突出した突出部を有し、前記第二の貫通孔の中心は、前記本体の一方の底面の位置または底面よりも外側に配されてなることを特徴とする。
【0010】
また本発明の一態様に係るポール状部材は、前記ポール状部材の接合器具に、嵌合可能な断面形状を有し、少なくとも一方の端部の近傍の側面の、端部から、前記接合器具における前記第一の貫通孔の中心と前記第二の貫通孔の中心との距離よりも短い距離を有する位置に、第一の接合手段が設けられてなることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の一態様に係るポール状部材の接合方法は、
前記ポール状部材の一方の端部を、前記ポール状部材の接合器具の、前記突出部が配される側の反対側から、前記第一の接合手段と、前記ポール状部材の接合器具における前記第一の貫通孔の位置が一致するように挿入する挿入工程、
前記ポール状部材の接合器具における前記第一の貫通孔から、第二の接合手段を挿入し、前記第一の接合手段と前記第二の接合手段を係合させて、前記ポール状部材の接合器具と前記ポール状部材を一体化して、接合機能付きポール状部材を構成する、取り付け工程、
複数の前記接合機能付きポール状部材の、前記ポール状部材の接合器具を取り付けた側を対向させ、前記ポール状部材の接合器具における、前記板状の接合用部材を重ね合わせ、前記第二の貫通孔を介して、第三の接合手段により接合する接合工程を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るポール状部材の接合方法は、環状の部材に簡単な加工を施した接合器具と、端部の側面に穿孔加工などの簡単な加工を施したポール状部材を用いるので、低コストで、必要な部材が得られる。また、地中に埋設した、基部となるポール状部材に、他のポール状部材を接続する作業は、ボルト・ナットのような接合手段を係合するだけなので、所要長の1本のポール状部材を設置するよりも、設置作業が容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】 本発明に係るポール状部材の接続器具の一例を示す図、図1(a)は平面図、図1(b)は側面図。
図2】 本発明に係るポール状部材の一例を示す図、図2(a)は平面図、図2(b)は側面図。
図3】 本発明に係るポール状部材の接続器具にポール状部材を取り付けた状態の一例を示す図、図2(a)は平面図、図2(b)は側面図。
図4】 本発明に係るポール状部材の接続器具を用いて、2本のポール状部材を接合する工程の一例を示す図。
図5】 本発明に係るポール状部材の接続器具を用いた2本のポール状部材を接合した状態の一例を示す図。
図6】 本発明に係るポール状部材の接続器具を用いた2本のポール状部材を接合した状態の他の例を示す図、図6(a)はポール状部材の接続器具の側面図、図6(b)はポール状部材、図6(c)は接合した状態。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の実施の形態について、具体的な図を参照しながら、説明する。図1は、本発明に係るポール状部材の接続器具の一例を示す図で、図1(a)は平面図、図1(b)は側面図である。
【0015】
本体1は、鋼材などで構成され、図1に示したように、本発明に係るポール状部材の接合器具は、筒形状、ここ示した例では、円筒形状を有し、側面に等配された四つの第一の貫通孔2a、2b、2c、2dが設けられている。ここでは例として円筒形状のものを示したが、例えば断面が正方形の筒でも使用可能である。
【0016】
そして、本体1の側面には、それぞれに第二の貫通孔4a、4b、4c、4dが設けられた板状の接合部材3a、3b、3c、3dが、本体1の図1(b)における上側の端面よりも、上側の先端部が突出した位置となるように、溶接などで接合されている。そして、第二の貫通孔の中心は、本体1における前記の上側の端面と、ほぼ一致する位置に配されている。
【0017】
図2は、本発明に係るポール状部材5の一例を示す図で、図2(a)は平面図、図2(b)は側面図である。ポール状部材5は、本体1と同様に鋼材などで構成され、側面に等配された四つの第一の接合手段51a、51b、51c、51dが設けられている。ここでは、第一の接合部として貫通孔を示したが、雌ネジを切ったネジ穴とすることも可能である。
【0018】
そして、第一の接合部51a、51b、51c、51dの中心位置は、図2における上側の端部から、本体1における前記第一の貫通孔2a、2b、2c、2dの中心と前記板状の接合用部材4a、4b、4c、4dの突出部が配される側の底面との距離を有する位置、及び第一の貫通孔2a、2b、2c、2dの中心の位置に配される。つまり、図1(b)と図2(b)に記載されたwの長さは同一である。
【0019】
図3は、本発明に係るポール状部材の接合器具に、ポール状部材を取り付けた状態の一例を示す図で、図2(a)は平面図、図2(b)は側面図である。ここでは、図3に示したように、本体1aの図示していない第一の貫通孔2a、2b、2c、2dと、ポール状部材5aに設けられた図示していない第一の接合手段51a、51b、51c、51dとを一致させ、第二の接合手段、つまり、ボルト6a、6b、6c、6dと、ナット7a、7b、7c、7dを用いて、ポール状部材5aの一方の端部に、本発明に係るポール状部材の接合器具を取り付け、一体化する。
【0020】
図4は、本発明に係るポール状部材の接合器具を用いて、2本のポール状部材を接合する工程の一例を示す図である。図4に示したように、予め、ポール状部材5aの基部、つまり、図4における下側の端部を、地中に埋設固定する。このポール状部材5aの図4における上端に、前述のように、ポール状部材の接合器具の本体1aを取り付け、同様にポール状部材の接合器具の本体1bを取り付けたポール状部材5bの、それぞれの板状の接合用部材3e、3fを、図示しない第二の貫通孔の中心が位置するように配し、第三の接合手段8aを用いて、それぞれのポール状部材5a、5bが、第二の貫通孔を中心に回動可能な状態で接合する。
【0021】
なお、この作業は、ポール部材5bを、ポール状部材の接合器具が取り付けられていない側を接地させた状態で行うことが可能であり、第三の接合手段として、六角穴付きボルトと図4の裏側に配されたナットを用いているが、一方の板状部材にボルトに対応した雌ネジを設けて、接合することも可能なのは、勿論である。
【0022】
図5は、本発明に係るポール状部材の接続器具を用いた2本のポール状部材を接合した状態の一例を示す図である。図4に示したように、2本のポール状部材5a、5bのそれぞれの板状の接合用部材の一つを介して接合し、ポール状部材5bを直立させ、他の3対の板状の接合部材を重ね合わせ、ボルト、ナットを螺合し、締め付けることにより、2本のポール状部材の接合が完了する。
【0023】
図6は、本発明に係るポール状部材の接続器具を用いた2本のポール状部材を接合した状態の他の例を示す図で、図6(a)はポール状部材の接続器具の側面図、図6(b)はポール状部材、図6(c)は接合した状態である。ここに示したwとwは、図1図2に示したwよりも長くなっている。つまり、図3ないし図5に示した例では、ポール状部材の接続器具の、図における上側の底面と、ポール状部材の端部の底面が一致した状態で接合されているが、図6に示した例のように、w≧wの関係であれば、ポール状部材の接合器具とポール状部材の接合に支障がないこと示している。
【0024】
以上に説明したように、本発明によれば、複数のポール状部材を簡単に接合するための部材と、それを用いたポール状部材の接合方法を提供できる。なお、本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の分野における通常の知識を有する者であれば想到し得る、各種変形、修正を含む、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても、本発明に含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0025】
1,1a,1b・・・本体
2a,2b,2c,2d・・・第一の貫通孔
3a,3b,3c,3d,3e,3f・・・板状の接合部材
4a,4b,4c,4d・・・第二の貫通孔
5,5a,5b・・・ポール状部材
51a,51b,51c,51d・・・第一の接合手段
6a,6b,6c,6d・・・ボルト
7a,7b,7c,7d・・・ナット
8a,8b,8c,8d・・・第三の接合手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2021-04-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項2
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項2】
請求項1に記載されたポール状部材の接合器具に、嵌合可能な断面形状を有し、少なくとも一方の端部の近傍の側面の、端部から、前記接合器具における前記第一の貫通孔の中心と前記第二の貫通孔の中心との距離よりも短い距離を有する位置に、第一の接合手段が設けられてなることを特徴とする、ポール状部材。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項3
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項3】
請求項2に記載されたポール状部材の一方の端部を、前記ポール状部材の接合器具の、前記突出部が配される側の反対側から、前記第一の接合手段と、前記ポール状部材の接合器具における前記第一の貫通孔の位置が一致するように挿入する挿入工程、
前記ポール状部材の接合器具における前記第一の貫通孔から、第二の接合手段を挿入し、前記第一の接合手段と前記第二の接合手段を係合させて、前記ポール状部材の接合器具と前記ポール状部材を一体化して、接合機能付きポール状部材を構成する、取り付け工程、
複数の前記接合機能付きポール状部材の、前記ポール状部材の接合器具を取り付けた側を対向させ、前記ポール状部材の接合器具における、前記板状の接合用部材を重ね合わせ、前記第二の貫通孔を介して、第三の接合手段により接合する接合工程を有することを特徴とする、ポール状部材の接合方法。