(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022083965
(43)【公開日】2022-06-06
(54)【発明の名称】車体
(51)【国際特許分類】
B62D 25/20 20060101AFI20220530BHJP
B62D 21/00 20060101ALI20220530BHJP
B60K 1/04 20190101ALI20220530BHJP
【FI】
B62D25/20 F
B62D21/00 B
B60K1/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021117403
(22)【出願日】2021-07-15
(31)【優先権主張番号】10-2020-0160299
(32)【優先日】2020-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(71)【出願人】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞株式会社
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100198029
【弁理士】
【氏名又は名称】綿貫 力
(72)【発明者】
【氏名】チェ、ジホ
(72)【発明者】
【氏名】ソン、ジョンソプ
【テーマコード(参考)】
3D203
3D235
【Fターム(参考)】
3D203AA04
3D203AA31
3D203AA33
3D203AA34
3D203BA12
3D203BB06
3D203BB12
3D203CA52
3D203CA74
3D203CB09
3D203DA09
3D203DA35
3D203DB05
3D235AA02
3D235BB06
3D235CC15
3D235DD35
3D235EE64
3D235FF06
3D235FF07
3D235FF09
3D235FF12
(57)【要約】 (修正有)
【課題】製造原価を節減することができ、側面剛性/側面強度などを改善することができる、車体構造を提供する。
【解決手段】開示された車体構造は、センタフロア2aおよびリアフロア2bを有するフロア組立体2と、前記フロア組立体2の両側に連結された1対のサイド構造3と、前記フロア組立体2の両側に連結された1対のサイドシル10と、を含むことができる。各サイドシル10は、車両の室内に向かうインナサイドシルと、車両の室外に向かうアウタサイドシルと、前記インナサイドシルと前記アウタサイドシルとの間に配置された第1サイドシル補強材13および第2サイドシル補強材14と、を含むことができる。前記第1サイドシル補強材13の後方端部が前記第2サイドシル補強材14の前方端部に重畳するように構成されることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センタフロアおよびリアフロアを有するフロア組立体と、
前記フロア組立体の両側に連結された1対のサイド構造と、
前記フロア組立体の両側に連結された1対のサイドシルと、を含み、
各サイドシルは、車両の室内に向かうインナサイドシルと、車両の室外に向かうアウタサイドシルと、前記インナサイドシルと前記アウタサイドシルとの間に配置された第1サイドシル補強材および第2サイドシル補強材と、を含み、
前記第1サイドシル補強材の後方端部が前記第2サイドシル補強材の前方端部に重畳するように構成される、車体構造。
【請求項2】
各サイド構造は、車両の前方に向かうフロントサイド領域、および車両の後方に向かうリアサイド領域を有し、
前記第1サイドシル補強材は、前記フロントサイド領域の下端に配置され、前記第2サイドシル補強材は、前記リアサイド領域の下端に配置される、請求項1に記載の車体構造。
【請求項3】
前記第1サイドシル補強材は、その後方端部に限定された切開部を有し、前記切開部は、前記第1サイドシル補強材の長さ方向に沿って延びる、請求項2に記載の車体構造。
【請求項4】
前記第2サイドシル補強材の前方部は、前記第1サイドシル補強材の前記切開部内に収容される、請求項3に記載の車体構造。
【請求項5】
前記第1サイドシル補強材は、各サイド構造に一体に連結され、前記第2サイドシル補強材は、前記フロア組立体に一体に連結される、請求項1に記載の車体構造。
【請求項6】
前記フロア組立体の下方に配置された電池組立体をさらに含み、
前記電池組立体は、電池ハウジング、および前記電池ハウジングの両側に備えられた1対のサイドマウントを有し、
前記電池組立体は、各サイドマウントを介して、前記第1サイドシル補強材および前記第2サイドシル補強材に連結される、請求項1に記載の車体構造。
【請求項7】
前記電池組立体の各サイドマウントは、マウントボルトを介して、前記第1サイドシル補強材の後方端部および前記第2サイドシル補強材の前方端部に共通に連結される、請求項6に記載の車体構造。
【請求項8】
前記第1サイドシル補強材に埋め込まれた第1貫通パイプと、
前記各サイドマウントを通過し、前記第1貫通パイプにネジ結合される第1マウントボルトと、を含む、請求項6に記載の車体構造。
【請求項9】
前記第2サイドシル補強材に埋め込まれた第2貫通パイプと、
前記各サイドマウントを通過し、前記第2貫通パイプにネジ結合される第2マウントボルトと、を含む、請求項6に記載の車体構造。
【請求項10】
前記第1サイドシル補強材の後方部に埋め込まれた第3貫通パイプと、
前記第2サイドシル補強材の前方部に埋め込まれた第4貫通パイプと、
前記各サイドマウントを通過し、前記第3貫通パイプおよび前記第4貫通パイプに共通にネジ結合される第3マウントボルトと、を含む、請求項6に記載の車体構造。
【請求項11】
前記フロア組立体の下方に配置された水素タンクをさらに含み、
前記水素タンクは、支持フレームを介して、前記第1サイドシル補強材および前記第2サイドシル補強材に連結され、
前記支持フレームは、マウントボルトを介して、前記第1サイドシル補強材の後方端部および前記第2サイドシル補強材の前方端部に共通に連結される、請求項1に記載の車体構造。
【請求項12】
前記支持フレームは、前記第1サイドシル補強材に連結される第1横メンバと、前記第2サイドシル補強材に連結される第2横メンバと、前記第1サイドシル補強材の後方部および前記第2サイドシル補強材の前方部に共通に連結される第3横メンバと、を含む、請求項11に記載の車体構造。
【請求項13】
前記第1サイドシル補強材に埋め込まれた第1貫通パイプと、
前記第1横メンバを通過し、前記第1貫通パイプにネジ結合される第1マウントボルトと、を含む、請求項12に記載の車体構造。
【請求項14】
前記第2サイドシル補強材に埋め込まれた第2貫通パイプと、
前記第2横メンバを通過し、前記第2貫通パイプにネジ結合される第2マウントボルトと、を含む、請求項12に記載の車体構造。
【請求項15】
前記第1サイドシル補強材の後方部に埋め込まれた第3貫通パイプと、
前記第2サイドシル補強材の前方部に埋め込まれた第4貫通パイプと、
前記第3横メンバを通過し、前記第3貫通パイプおよび前記第4貫通パイプに共通にネジ結合される第3マウントボルトと、を含む、請求項12に記載の車体構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体構造に関し、より詳しくは、側面剛性/側面強度などを改善することで車両の衝突性能を向上させた車体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境および石油資源の枯渇に対する危機認識が高まるにつれて、環境に優しい自動車である、電気自動車(Electric Vehicle)および燃料電池電気自動車(FCEV、Fuel Cell Electric Vehicle)に対する研究開発が浮び上がっている。電気自動車としては、PHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle)、BEV(Battery Electric Vehicle)などが挙げられる。
【0003】
電気自動車は、車体に高電圧の電池組立体が取り付け(mount)られており、高電圧の電池組立体は、1つ以上の電池セル(または電池モジュール)と、1つ以上の電池セルと関わる電装品と、電池セルおよび電装品が取り付けられる電池ケースと、電池ケースの上部をカバーするカバーと、を含む。電池ケースは、その内部に複数のクロスメンバが固定され、電池ケースは、複数のクロスメンバにより、剛性や強度などが強化される。
【0004】
車両は、フロアの左右側に配置された1対のサイドシル(side sill)を含む。各サイドシルの前方端は、フロントサイドメンバの後方端に結合され、各サイドシルの後方端は、リアサイドメンバの前方端に結合される。サイドシルは、車両の側面衝突および前方衝突などから乗客室を保護する役割を有する。
【0005】
各サイドシルは、フロアの縁に結合されるインナサイドシルと、車両の外部に向かうアウタサイドシルと、インナサイドシルとアウタサイドシルとの間に介在されるサイドシル補強材と、を含む。
【0006】
SUV(Sport utility vehicle)、セダンなどは、車体のフロントサイド領域にスイング可能に取り付けられたフロントサイドドア、および車体のリアサイド領域にスイング可能に取り付けられたリアサイドドアを有する。サイドシル補強材の断面は、フロントサイド領域およびリアサイド領域において同一に維持される。
【0007】
多目的自動車(MPV、Multi Purpose Vehicle)は、車体のフロントサイド領域にスイング可能に取り付けられたフロントサイドドア、および車体のリアサイド領域にスライディング可能に取り付けられたリアサイドドアを有し、フロントサイドドアはスイングドアで構成され、リアサイドドアはスライディングドアで構成される。多目的自動車は、リアサイド領域に位置したサイドシルに配置されたローラガイドトラックを有し、ローラガイドトラックは、スライディングドアのローラキャリアの移動をガイドするように構成される。ローラガイドトラックがリアサイド領域においてサイドシルに配置されることにより、サイドシル補強材の断面は、フロントサイド領域およびリアサイド領域の間で変化する。すなわち、リアサイド領域におけるサイドシル補強材の断面積は、フロントサイド領域におけるサイドシル補強材の断面積より減少する。特に、一定の長さを有するサイドシル補強材が押出工程により作られた後、リアサイド領域に取り付けられるローラガイドトラックに符合するように一定の部分がカットされる。
【0008】
このように、スライディングドアが適用された一部の車両は、サイド補強材の一部がカットされるため、車体の組み立て工程が複雑になり、スクラップ量の増大によりその製造原価が増加するという短所がある。
【0009】
この背景技術の部分に記載された事項は、発明の背景に対する理解を増進するために作成されたものであって、該技術が属する分野における通常の知識を有する者に周知の従来技術ではない事項を含むことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記のようなことを考慮して導き出されたものであり、製造原価を節減することができ、側面剛性/側面強度などを改善することができる、車体構造を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記のような目的を達成するための本発明の一側面に係る車体構造は、センタフロアおよびリアフロアを有するフロア組立体と、前記フロア組立体の両側に連結された1対のサイド構造と、前記フロア組立体の両側に連結された1対のサイドシルと、を含むことができる。各サイドシルは、車両の室内に向かうインナサイドシルと、車両の室外に向かうアウタサイドシルと、前記インナサイドシルと前記アウタサイドシルとの間に配置された第1サイドシル補強材および第2サイドシル補強材と、を含むことができる。前記第1サイドシル補強材の後方端部が前記第2サイドシル補強材の前方端部に重畳するように構成されることができる。
【0012】
各サイド構造は、車両の前方に向かうフロントサイド領域、および車両の後方に向かうリアサイド領域を有し、前記第1サイドシル補強材は、前記フロントサイド領域の下端に配置され、前記第2サイドシル補強材は、前記リアサイド領域の下端に配置されることができる。
【0013】
前記第1サイドシル補強材は、その後方端部に限定された切開部を有し、前記切開部は、前記第1サイドシル補強材の長さ方向に沿って延びることができる。
【0014】
前記第2サイドシル補強材の前方部は、前記第1サイドシル補強材の前記切開部内に収容されることができる。
【0015】
前記第1サイドシル補強材は、各サイド構造に一体に連結され、前記第2サイドシル補強材は、前記フロア組立体に一体に連結されることができる。
【0016】
前記フロア組立体の下方に配置された電池組立体をさらに含むことができる。前記電池組立体は、電池ハウジング、および前記電池ハウジングの両側に備えられた1対のサイドマウントを有することができる。前記電池組立体は、各サイドマウントを介して、前記第1サイドシル補強材および前記第2サイドシル補強材に連結されることができる。
【0017】
前記電池組立体の各サイドマウントは、マウントボルトを介して、前記第1サイドシル補強材の後方端部および前記第2サイドシル補強材の前方端部に共通に連結されることができる。
【0018】
本発明の実施形態に係る車体構造は、前記第1サイドシル補強材に埋め込まれた第1貫通パイプと、前記各サイドマウントを通過し、前記第1貫通パイプにネジ結合される第1マウントボルトと、を含むことができる。
【0019】
本発明の実施形態に係る車体構造は、前記第2サイドシル補強材に埋め込まれた第2貫通パイプと、前記各サイドマウントを通過し、前記第2貫通パイプにネジ結合される第2マウントボルトと、を含むことができる。
【0020】
本発明の実施形態に係る車体構造は、前記第1サイドシル補強材の後方部に埋め込まれた第3貫通パイプと、前記第2サイドシル補強材の前方部に埋め込まれた第4貫通パイプと、前記各サイドマウントを通過し、前記第3貫通パイプおよび前記第4貫通パイプに共通にネジ結合される第3マウントボルトと、を含むことができる。
【0021】
本発明の他の実施形態に係る車体構造は、前記フロア組立体の下方に配置された水素タンクをさらに含み、前記水素タンクは、支持フレームを介して、前記第1サイドシル補強材および前記第2サイドシル補強材に連結され、前記支持フレームは、マウントボルトを介して、前記第1サイドシル補強材の後方端部および前記第2サイドシル補強材の前方端部に共通に連結されることができる。
【0022】
前記支持フレームは、前記第1サイドシル補強材に連結される第1横メンバと、前記第2サイドシル補強材に連結される第2横メンバと、前記第1サイドシル補強材の後方部および前記第2サイドシル補強材の前方部に共通に連結される第3横メンバと、を含むことができる。
【0023】
本発明の他の実施形態に係る車体構造は、前記第1サイドシル補強材に埋め込まれた第1貫通パイプと、前記第1横メンバを通過し、前記第1貫通パイプにネジ結合される第1マウントボルトと、を含むことができる。
【0024】
本発明の他の実施形態に係る車体構造は、前記第2サイドシル補強材に埋め込まれた第2貫通パイプと、前記第2横メンバを通過し、前記第2貫通パイプにネジ結合される第2マウントボルトと、を含むことができる。
【0025】
本発明の他の実施形態に係る車体構造は、前記第1サイドシル補強材の後方部に埋め込まれた第3貫通パイプと、前記第2サイドシル補強材の前方部に埋め込まれた第4貫通パイプと、前記第3横メンバを通過し、前記第3貫通パイプおよび前記第4貫通パイプに共通にネジ結合される第3マウントボルトと、を含むことができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によると、車両のフロントサイド領域の下端に配置された第1サイドシル補強材および車体のリアサイド領域の下端に配置された第2サイドシル補強材の重畳部が相対的に短くなることで、第1サイドシル補強材の後方端部において切開部を形成するためのカット長さが最小化されることができ、それにより、製造原価を大幅に節減することができる。
【0027】
本発明によると、第1サイドシル補強材が各サイド構造の下端に一体に連結され、第2サイドシル補強材がフロア組立体の各縁に一体に連結されることで、車体の組み立て時に第1サイドシル補強材および第2サイドシル補強材をさらに組み立てる必要がないため、従来と同一の組み立て工数を維持することができ、それにより、投資費および製造原価を節減することができる。
【0028】
本発明によると、フロア組立体の下方に組み立てられる電池組立体または水素タンクがマウントボルトなどを介して第1サイドシル補強材の後方端部および第2サイドシル補強材の前方端部に共通に連結されることで、第1サイドシル補強材および第2サイドシル補強材の連結剛性が強化されることができ、車体の剛性/強度などが改善されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の実施形態に係る車体を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示された車体のサイド構造を示す斜視図である。
【
図3】
図1に示された車体のフロア組立体を示す斜視図である。
【
図9】本発明の他の実施形態に係る車体の底面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の一部の実施形態を例示的な図面により詳細に説明する。各図面の構成要素に参照符号を付する際、同一の構成要素に対しては他の図面上に表示されても可能な限り同一の符号を付するようにしていることに留意しなければならない。また、本発明の実施形態を説明するにおいて、関連した公知の構成または機能に関する具体的な説明が本発明の実施形態に対する理解を妨げると判断される場合には、その詳細な説明は省略する。
【0031】
本発明の実施形態の構成要素を説明するにおいて、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を用いることができる。このような用語はその構成要素を他の構成要素と区別するためのものに過ぎず、その用語により当該構成要素の本質や順番または順序などが限定されることはない。また、別に定義されない限り、技術的または科学的な用語を含めてここで用いられる全ての用語は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者により一般的に理解されるものと同一の意味を有する。一般的に用いられる辞書に定義されているような用語は、関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有するものと解釈されなければならず、本出願で明らかに定義しない限り、理想的または過度に形式的な意味に解釈されない。
【0032】
図1を参照すると、本発明の実施形態に係る車体1は、フロア組立体2と、フロア組立体2の両側に連結された1対のサイド構造3と、を含むことができる。
【0033】
図1および
図3を参照すると、フロア組立体2は、センタフロア2aと、センタフロア2aの後方縁に連結されたリアフロア2bと、センタフロア2aの前方に連結されたダッシュパネル2cと、ダッシュパネル2cに連結されたフロントサイドメンバ2dと、を含むことができる。センタフロア2aおよびリアフロア2bは、車両の長さ方向に沿って配列されることができる。
【0034】
図4を参照すると、各サイド構造3は、車両の前方に隣接したフロントサイド領域4と、車両の後方に隣接したリアサイド領域5と、を有することができる。フロントサイドドアがフロントサイド領域4にスイング可能に取り付けられることができ、リアサイドドアがリアサイド領域5にスライディング可能に取り付けられることができる。
【0035】
図1を参照すると、本発明の実施形態に係る車体1は、フロア組立体2の両側縁に連結された1対のサイドシル10を含むことができる。特に、各サイドシル10は、センタフロア2aおよびリアフロア2bに連結されることができる。
【0036】
各サイドシル10は、車両の室内に向かうインナサイドシル11と、車両の室外に向かうアウタサイドシル12と、インナサイドシル11とアウタサイドシル12との間に配置された第1および第2サイドシル補強材13、14と、を含むことができる。
【0037】
インナサイドシル11は、車両の長さ方向に沿って延びることができ、インナサイドシル11は、締結具、溶接などにより、センタフロア2aの各縁およびリアフロア2bの各縁に結合されることができる。
図6および
図8を参照すると、インナサイドシル11の前方端部は、締結具、溶接などにより、センタフロア2aの各縁に連結されることができる。
図7を参照すると、インナサイドシル11の後方端部は、締結具、溶接などにより、リアフロア2bの各縁に連結されることができる。
【0038】
アウタサイドシル12は、車両の長さ方向に沿って延びることができ、アウタサイドシル12は、各サイド構造3の下端に一体に連結されることができる。
【0039】
アウタサイドシル12が締結具、溶接などによりインナサイドシル11に結合されることで、アウタサイドシル12およびインナサイドシル11は、キャビティを限定することができ、第1サイドシル補強材13および第2サイドシル補強材14は、キャビティ内に配置されることができる。第1サイドシル補強材13および第2サイドシル補強材14は、車両の長さ方向に沿って一列に連結されることができ、第1サイドシル補強材13の後方端部13aが、第2サイドシル補強材14の前方端部14aに連結されることができる。
【0040】
第1サイドシル補強材13は、フロントサイド領域4の下端に位置することができ、そこで、第1サイドシル補強材13は、フロントサイドドア(図示せず)の下方に位置することができる。フロントサイドドアはスイングドアであるため、第1サイドシル補強材13は、インナサイドシル11およびアウタサイドシル12により限定されたキャビティ内に全体的に満たされることができる。
【0041】
第1サイドシル補強材13は、車両の長さ方向に沿って延びることができ、第1サイドシル補強材13は、その後方端部13aに限定された切開部13bを有することができる。切開部13bは、第1サイドシル補強材13の長さ方向に延びることができる。第1サイドシル補強材13の後方端部13aの下部が一定の長さにカットされることで、切開部13bは、第1サイドシル補強材13の後方端部の下部に限定されることができる。
【0042】
第2サイドシル補強材14は、リアサイド領域5の下端に位置することができ、そこで、第2サイドシル補強材14は、リアサイドドア(図示せず)の下方に位置することができる。リアサイドドアはスライディングドアであり、ローラガイドトラック16がサイドシル10の上部に位置し、ローラガイドトラック16は車両の室外に向かって開放され、ローラガイドトラック16はリアサイドドアのローラキャリア18の移動をガイドするように構成されることができる。第2サイドシル補強材14は、ローラガイドトラック16の下方に配置されることができ、そこで、第2サイドシル補強材14は、サイドシル10のキャビティ内で、サイドシル10の底と隣接するように配置されることができる。第2サイドシル補強材14は、車両の長さ方向に沿って延びることができ、第2サイドシル補強材14は、第1サイドシル補強材13の切開部13bに収容される前方端部14aを有することができる。
【0043】
第2サイドシル補強材14の前方端部14aが第1サイドシル補強材13の切開部13bに収容されることで、第1サイドシル補強材13の後方端部13aは、第2サイドシル補強材14の前方端部14aに対して重畳することができ、それにより、第1サイドシル補強材13の後方端部13aおよび第2サイドシル補強材14の前方端部14aは、一定の長さ(s)を有する重畳部15を形成することができる。重畳部15は、フロントサイド領域4内に位置することができる。
【0044】
このように、本発明は、フロントサイド領域4の下端に配置された第1サイドシル補強材13およびリアサイド領域5の下端に配置された第2サイドシル補強材14の重畳部15が相対的に短くなることで、第1サイドシル補強材13の後方端部13aにおいて切開部13bを形成するためのカット長さが最小化されることができ、それにより、製造原価を大幅に節減することができる。
【0045】
第1サイドシル補強材13は、アウタサイドシル12にブラケットなどを介して取り付けられることができ、アウタサイドシル12は、各サイド構造3の下端に一体に連結されることができる。第1サイドシル補強材13は、アウタサイドシル12を介して、各サイド構造3の下端に一体に連結されることができる。すなわち、各サイド構造3は、アウタサイドシル12および第1サイドシル補強材13を含むシングルアセンブリ構造であることができる。
【0046】
第2サイドシル補強材14は、インナサイドシル11にブラケットなどを介して取り付けられることができ、インナサイドシル11は、フロア組立体2のセンタフロア2aの各縁およびリアフロア2bの各縁に連結されることができる。第2サイドシル補強材14は、インナサイドシル11を介して、フロア組立体2の各縁に一体に連結されることができる。すなわち、フロア組立体2は、インナサイドシル11および第2サイドシル補強材14を含むシングルアセンブリ構造であることができる。
【0047】
上述したように、第1サイドシル補強材13が各サイド構造3の下端に一体に連結され、第2サイドシル補強材14がフロア組立体2の各縁に一体に連結されることで、車体1の組み立て時に第1サイドシル補強材13および第2サイドシル補強材14をさらに組み立てる必要がないため、従来と同一の組み立て工数を維持することができ、それにより、投資費および製造原価を節減することができる。
【0048】
図5~
図8を参照すると、本発明の実施形態に係る車体は、フロア組立体2のセンタフロア2aおよびリアフロア2bの下方に配置された電池組立体50をさらに含むことができ、電池組立体50は、1つ以上の電池セル(または電池モジュール)と、1つ以上の電池セルと関わる電装品と、電池セルおよび電装品が取り付けられる電池ハウジング51と、電池ハウジング51の上部をカバーする電池カバー52と、を含むことができる。
【0049】
電池ハウジング51は、その両側に個別的に備えられた1対のサイドマウント53を有することができる。各サイドマウント53は、サイドシル10に向かって延びることができ、各サイドマウント53は、複数のマウントボルト61、62、63および複数の貫通パイプ71、72、73a、73bを介して、第1および第2サイドシル補強材13、14に連結されることができる。特に、電池組立体50の各サイドマウント53がマウントボルト61、62、63を介して第1サイドシル補強材13の後方端部13aおよび第2サイドシル補強材14の前方端部14aに共通に連結されることで、第1サイドシル補強材13および第2サイドシル補強材14の連結剛性が強化されることができ、車体の側面強度/側面剛性が改善されることができる。
【0050】
各サイドマウント53の前方部は、1つ以上の第1マウントボルト61および1つ以上の第1貫通パイプ71を介して、第1サイドシル補強材13に連結されることができる。
図6を参照すると、第1貫通パイプ71が第1サイドシル補強材13の内部に埋め込まれることができ、第1マウントボルト61がサイドマウント53の貫通孔を通過し第1貫通パイプ71にネジ結合されることで、電池組立体50の各サイドマウント53は、第1サイドシル補強材13に連結されることができる。
【0051】
各サイドマウント53の後方部は、1つ以上の第2マウントボルト62および1つ以上の第2貫通パイプ72を介して、第2サイドシル補強材14に連結されることができる。
図7を参照すると、第2貫通パイプ72が第2サイドシル補強材14の内部に埋め込まれることができ、第2マウントボルト62がサイドマウント53の貫通孔を通過し第2貫通パイプ72にネジ結合されることで、電池組立体50の各サイドマウント53は、第2サイドシル補強材14に連結されることができる。
【0052】
各サイドマウント53の中間部は、1つ以上の第3マウントボルト63、1つ以上の第3貫通パイプ73a、および1つ以上の第4貫通パイプ73bを介して、第1サイドシル補強材13および第2サイドシル補強材14の重畳部15に連結されることができる。
図8を参照すると、第3貫通パイプ73aが第1サイドシル補強材13の後方端部13aの内部に埋め込まれることができ、第4貫通パイプ73bが第2サイドシル補強材14の前方端部14aの内部に埋め込まれることができる。第3貫通パイプ73aは、車両の高さ方向に沿って第4貫通パイプ73bに整列することができ、第3マウントボルト63がサイドマウント53の貫通孔を通過し第3貫通パイプ73aおよび第4貫通パイプ73bに共通にネジ結合されることで、電池ハウジング51のサイドマウント53は、第1サイドシル補強材13の後方端部13aおよび第2サイドシル補強材14の前方端部14aに共通に連結されることができる。
【0053】
図6~
図8を参照すると、サイドマウント53はその上面からサイドシル10に向かって突出した支持突起54を有することができ、支持突起54がサイドシル10と接触することで、サイドシル10は支持突起54により安定的に支持されることができる。
【0054】
図9~
図12を参照すると、本発明の他の実施形態に係る車体は、センタフロア2aおよびリアフロア2bの下方に配置された複数の水素タンク81、82をさらに含むことができ、複数の水素タンク81、82は、複数の取り付けバンドまたは複数の取り付けブラケット81a、82aおよび支持フレーム83を介して、車体の下方に取り付けられることができる。各取り付けブラケット81a、82aは、それに該当する水素タンク81、82と直接的に接触するように構成されることができる。例えば、各取り付けブラケット81a、82aは、水素タンク81、82の外面に対応するように半円形状で構成されることができる。複数の取り付けブラケット81a、82aは、支持フレーム83に連結されることができる。支持フレーム83は、複数のマウントボルト161、162、163および複数の貫通パイプ171、172、173a、173bを介して、第1および第2サイドシル補強材13、14に連結されることができる。特に、支持フレーム83は、マウントボルト161、162、163を介して第1サイドシル補強材13の後方端部13aおよび第2サイドシル補強材14の前方端部14aに共通に連結されることで、第1サイドシル補強材13および第2サイドシル補強材14の連結剛性が強化されることができる。
【0055】
支持フレーム83は、車両の幅方向に沿って延びた複数の横メンバ(transverse member)83a、83b、83c、および車両の長さ方向に沿って延びた複数の縦メンバ(longitudinal member)83d、83eを含むことができる。
【0056】
複数の横メンバ83a、83b、83cは、第1サイドシル補強材13に連結される第1横メンバ83aと、第2サイドシル補強材14に連結される第2横メンバ83bと、第1サイドシル補強材13の後方端部13aおよび第2サイドシル補強材14の前方端部14aに連結される第3横メンバ83cと、を含むことができる。第1横メンバ83aの各端部は、それに該当するサイドシル10の第1サイドシル補強材13に結合されることができ、第2横メンバ83bの各端部は、それに該当するサイドシル10の第2サイドシル補強材14に結合されることができ、第3横メンバ83cの各端部は、それに該当するサイドシル10の第1サイドシル補強材13および第2サイドシル補強材14間の重畳部15に結合されることができる。
【0057】
図10を参照すると、第1貫通パイプ171が第1サイドシル補強材13の内部に埋め込まれることができ、第1マウントボルト161が第1横メンバ83aの貫通孔を通過し第1貫通パイプ171にネジ結合されることで、支持フレーム83の第1横メンバ83aの各端部は、第1サイドシル補強材13に結合されることができる。第1横メンバ83aはその上面からサイドシル10に向かって突出した第1支持突起84aを有することができ、第1支持突起84aがサイドシル10と直接的に接触することで、サイドシル10は第1支持突起84aによって安定的に支持されることができる。
【0058】
図11を参照すると、第2貫通パイプ172が第2サイドシル補強材14の内部に埋め込まれることができ、第2マウントボルト162が第2横メンバ83bの貫通孔を通過し第2貫通パイプ172にネジ結合されることで、支持フレーム83の第2横メンバ83bの各端部は、第2サイドシル補強材14に結合されることができる。第2横メンバ83bはその上面からサイドシル10に向かって突出した第2支持突起84bを有することができ、第2支持突起84bがサイドシル10と直接的に接触することで、サイドシル10は第2支持突起84bによって安定的に支持されることができる。
【0059】
図12を参照すると、第3貫通パイプ173aが第1サイドシル補強材13の後方端部13aの内部に埋め込まれることができ、第4貫通パイプ173bが第2サイドシル補強材14の前方端部14aの内部に埋め込まれることができる。第3マウントボルト163が第3横メンバ83cの貫通孔を通過し第3貫通パイプ173aおよび第4貫通パイプ173bに共通にネジ結合されることで、支持フレーム83の第3横メンバ83cの各端部は、第1サイドシル補強材13の後方端部13aおよび第2サイドシル補強材14の前方端部14aに共通に結合されることができる。第3横メンバ83cはその上面からサイドシル10に向かって突出した第3支持突起84cを有することができ、第3支持突起84cがサイドシル10と直接的に接触することで、サイドシル10は第3支持突起84cによって安定的に支持されることができる。
【0060】
以上の説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したものに過ぎず、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲で多様な修正および変形が可能である。
【0061】
したがって、本発明に開示された実施形態は本発明の技術思想を限定するためのものではなく説明するためのものであって、このような実施形態により本発明の技術思想の範囲が限定されるものではない。本発明の保護範囲は後述の請求範囲により解釈されなければならず、それと同等な範囲内にある全ての技術思想は本発明の権利範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0062】
1 車体
2 フロア組立体
3 サイド構造
4 フロントサイド領域
5 リアサイド領域
10 サイドシル
11 インナサイドシル
12 アウタサイドシル
13 第1サイドシル補強材
14 第2サイドシル補強材
15 重畳部
16 ローラガイドトラック
50 電池組立体
51 電池ハウジング
53 サイドマウント
61、62、63 マウントボルト
71、72、73a、73b 貫通パイプ
81、82 水素タンク
83 支持フレーム
83a、83b、83c 横メンバ