(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022083968
(43)【公開日】2022-06-06
(54)【発明の名称】積層型電子部品及びその実装基板
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20220530BHJP
H01G 2/06 20060101ALI20220530BHJP
【FI】
H01G4/30 201F
H01G4/30 201G
H01G4/30 513
H01G4/30 516
H01G2/06 500
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021144358
(22)【出願日】2021-09-03
(31)【優先権主張番号】10-2020-0160267
(32)【優先日】2020-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】カン、ジョン モ
(72)【発明者】
【氏名】アン、ジン モ
(72)【発明者】
【氏名】アン、ガ ヨン
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AC09
5E001AF06
5E001AH07
5E082AA01
5E082AB03
5E082EE04
5E082EE23
5E082EE35
5E082FF05
5E082FG26
5E082GG10
5E082GG11
5E082GG28
5E082JJ03
5E082JJ12
5E082JJ23
5E082PP09
(57)【要約】
【課題】積層型電子部品を提供する。
【解決手段】本発明の一実施形態による積層型電子部品は、誘電体層及び内部電極を含み、第1方向に対向する第1及び第2面、上記第1及び第2面と連結されて第2方向に対向する第3及び第4面、上記第1~第4面と連結されて第3方向に対向する第5及び第6面を有する本体と、上記第3及び第4面に配置される接続部、上記接続部から上記第2面の一部まで延びる上部バンド部、及び上記第1面の一部まで延びる下部バンド部を含む外部電極と、を含む積層型電子部品であって、上記外部電極は、上記下部バンド部の外表面に配置されるPdめっき層を含み、上記Pdめっき層は上記接続部の一部まで延びて配置される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層及び内部電極を含み、第1方向に対向する第1及び第2面、前記第1及び第2面と連結されて第2方向に対向する第3及び第4面、前記第1~第4面と連結されて第3方向に対向する第5及び第6面を有する本体と、
前記第3及び第4面に配置される接続部、前記接続部から前記第2面の一部まで延びる上部バンド部、及び前記第1面の一部まで延びる下部バンド部を含む外部電極と、を含む積層型電子部品であって、
前記外部電極は、前記下部バンド部の外表面に配置されるPdめっき層を含み、前記Pdめっき層は前記接続部の一部まで延びて配置される、積層型電子部品。
【請求項2】
前記本体の第3方向の中央で前記第1及び第2方向に切断した断面において、前記外部電極の第1方向の最低点から最高点までの第1方向の距離をT、前記外部電極の第1方向の最低点から前記Pdめっき層の第1方向の最高点までの第1方向の距離をhとしたときに、
0.44T<hを満たす、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項3】
前記Tが2375μm以上2625μm以下であり、
前記hが1100μm超過である、請求項2に記載の積層型電子部品。
【請求項4】
前記Tが1520μm以上1680μm以下であり、
前記hが790μm超過である、請求項2または3に記載の積層型電子部品。
【請求項5】
前記Tが1187.5μm以上1312.5μm以下であり、
前記hが760μm超過である、請求項2~4のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項6】
前記Tが760μm以上840μm以下であり、
前記hが730μm超過である、請求項2~5のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項7】
前記Tが475μm以上525μm以下であり、
前記hが455μm超過である、請求項2~6のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項8】
前記外部電極は、前記本体上に配置される電極層と、前記電極層上に配置される導電性樹脂層と、前記導電性樹脂層上に配置されるNiめっき層と、を含み、
前記Pdめっき層は前記Niめっき層の外表面に配置される、請求項1~7のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項9】
前記外部電極は、前記本体上に配置される電極層と、前記電極層上に配置されるNiめっき層と、を含み、
前記Pdめっき層は前記Niめっき層の外表面に配置される、請求項1~8のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項10】
前記外部電極のうち、前記Pdめっき層が形成されていない領域の外表面には絶縁層が配置される、請求項1~9のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項11】
前記外部電極のうち、前記上部バンド部の外表面にはPdめっき層が配置されない、請求項1~10のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項12】
電極パッドが配置された基板と、
誘電体層及び内部電極を含み、第1方向に対向する第1及び第2面、前記第1及び第2面と連結されて第2方向に対向する第3及び第4面、前記第1~第4面と連結されて第3方向に対向する第5及び第6面を有する本体と、前記第3及び第4面に配置される接続部、前記接続部から前記第2面の一部まで延びる上部バンド部、及び前記第1面の一部まで延びる下部バンド部を含む外部電極と、を含み、前記外部電極は、前記下部バンド部の外表面に配置されるPdめっき層を含み、前記Pdめっき層は前記接続部の一部まで延びて配置される、積層型電子部品と、
前記外部電極と前記電極パッドを接着している導電性樹脂接着体と、を含む、積層型電子部品の実装基板。
【請求項13】
前記Pdめっき層の第1方向の最高点が、導電性樹脂接着剤の第1方向の最高点を超える、請求項12に記載の積層型電子部品の実装基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型電子部品及びその実装基板に関する。
【背景技術】
【0002】
積層型電子部品の1つである積層セラミックキャパシター(MLCC:Multi-Layer Ceramic Capacitor)は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)及びプラズマディスプレイパネル(PDP:Plasma Display Panel)などの映像機器、コンピューター、スマートフォン、及び携帯電話などの種々の電子製品のプリント回路基板に取り付けられ、電気を充電または放電させる役割を果たすチップ形態のコンデンサーである。
【0003】
近年、自動車用電装部品に対する業界の関心が高くなっており、積層セラミックキャパシターにおいても、自動車もしくはインフォテインメントシステムに用いられるために、高信頼性及び高強度特性が求められている。
【0004】
特に、エンジンルームの周りに配置される積層セラミックキャパシターは高温の環境に露出することになる。この場合、積層セラミックキャパシターの外部電極、基板と積層セラミックキャパシターの外部電極を接着する半田(Solder)などの温度変化による膨張収縮により機械的ストレスが発生し、半田自体にクラックが生じ得る。
【0005】
これを防止するために、半田(Solder)の代わりに、導電性樹脂接着剤を用いて積層型キャパシターを基板に実装する方案が提案されている。これにより、積層型キャパシターのめっき層の構造も変更される必要性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の様々な目的の1つは、信頼性に優れた積層型電子部品を提供することにある。
【0007】
本発明の様々な目的の1つは、製造コストが低減された積層型電子部品を提供することにある。
【0008】
本発明の様々な目的の1つは、導電性樹脂接着剤を用いて基板に好適に実装可能な積層型電子部品を提供することにある。
【0009】
但し、本発明の目的は上述の内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解されることができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態による積層型電子部品は、誘電体層及び内部電極を含み、第1方向に対向する第1及び第2面、上記第1及び第2面と連結されて第2方向に対向する第3及び第4面、上記第1~第4面と連結されて第3方向に対向する第5及び第6面を有する本体と、上記第3及び第4面に配置される接続部、上記接続部から上記第2面の一部まで延びる上部バンド部、及び上記第1面の一部まで延びる下部バンド部を含む外部電極と、を含む積層型電子部品であって、上記外部電極は、上記下部バンド部の外表面に配置されるPdめっき層を含み、上記Pdめっき層は上記接続部の一部まで延びて配置される。
【0011】
本発明の他の実施形態による積層型電子部品の実装基板は、電極パッドが配置された基板と、誘電体層及び内部電極を含み、第1方向に対向する第1及び第2面、上記第1及び第2面と連結されて第2方向に対向する第3及び第4面、上記第1~第4面と連結されて第3方向に対向する第5及び第6面を有する本体と、上記第3及び第4面に配置される接続部、上記接続部から上記第1面の一部まで延びる上部バンド部、及び上記第2面の一部まで延びる下部バンド部を含む外部電極と、を含み、上記外部電極は、上記下部バンド部の外表面に配置されるPdめっき層を含み、上記Pdめっき層は上記接続部の一部まで延びて配置される積層型電子部品と、上記外部電極と上記電極パッドを接着している導電性樹脂接着体と、を含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明の様々な効果の1つは、外部電極の腐食や析出を防止し、信頼性を向上させたことである。
【0013】
本発明の様々な効果の1つは、Pdめっき層の配置を最適化することで、積層型電子部品の信頼性を向上させながらも、製造コストを低減したことである。
【0014】
本発明の様々な効果の1つは、導電性樹脂接着剤を用いて、基板に好適に実装可能な積層型電子部品を提供することができる。
【0015】
但し、本発明の多様で且つ有益な利点と効果は上述の内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態による積層型電子部品の斜視図を概略的に示したものである。
【
図3】本発明の一実施形態による本体を分解して概略的に示した分解斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態による積層型電子部品が実装された実装基板の斜視図を概略的に示したものである。
【
図6】本発明の一実施形態の一変形例であり、
図1のI-I'に沿った断面図である。
【
図7】本発明の一実施形態の他の変形例による積層型電子部品の斜視図を概略的に示したものである。
【
図8】
図7のIII-III'に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(または強調表示や簡略化表示)がされることがある。
【0018】
なお、本発明を明確に説明すべく、図面において説明と関係ない部分は省略し、様々な層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示し、同一思想の範囲内において機能が同一である構成要素に対しては同一の参照符号を用いて説明する。さらに、明細書全体において、ある構成要素を「含む」というのは、特に異なる趣旨の説明がされていない限り、他の構成要素を除外する趣旨ではなく、他の構成要素をさらに含むことができるということを意味する。
【0019】
図面において、第1方向は本体の厚さ方向または積層方向、第2方向は本体の長さ方向、第3方向は本体の幅方向と定義されることができる。
【0020】
積層型電子部品
図1は本発明の一実施形態による積層型電子部品の斜視図を概略的に示したものである。
【0021】
【0022】
図3は本発明の一実施形態による本体を分解して概略的に示した分解斜視図である。
【0023】
図4は本発明の一実施形態による積層型電子部品が実装された実装基板の斜視図を概略的に示したものである。
【0024】
【0025】
以下、
図1から
図5を参照して、本発明の一実施形態による積層型電子部品100について説明する。
【0026】
本発明の一実施形態による積層型電子部品100は、誘電体層111及び内部電極121、122を含み、第1方向に対向する第1及び第2面1、2、上記第1及び第2面と連結されて第2方向に対向する第3及び第4面3、4、上記第1~第4面と連結されて第3方向に対向する第5及び第6面5、6を有する本体110と、上記第3及び第4面に配置される接続部A1、A2、上記接続部から上記第2面の一部まで延びる上部バンド部B1a、B2a、及び上記第1面の一部まで延びる下部バンド部B1b、B2bを含む外部電極131、132と、を含む積層型電子部品であって、上記外部電極は、上記下部バンド部の外表面に配置されるPdめっき層131d、132dを含み、上記Pdめっき層は上記接続部A1、A2の一部まで延びて配置される。
【0027】
本体110は、誘電体層111及び内部電極121、122が交互に積層されている。
【0028】
本体110の具体的な形状は特に制限されないが、図示されたように、本体110は、六面体形状またはそれに類似の形状からなることができる。焼成過程における、本体110に含まれているセラミック粉末の収縮により、本体110は、完全な直線を有する六面体形状ではないが、実質的に六面体形状を有することができる。
【0029】
本体110は、第1方向に互いに対向する第1及び第2面1、2と、上記第1及び第2面1、2と連結されて第2方向に互いに対向する第3及び第4面3、4と、第1及び第2面1、2と連結され、且つ第3及び第4面3、4と連結されて第3方向に互いに対向する第5及び第6面5、6と、を有することができる。
【0030】
本体110を成す複数の誘電体層111は焼成された状態であって、隣接する誘電体層111の間の境界は、走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を用いずには確認が困難な程度に一体化されていることができる。
【0031】
本発明の一実施形態によると、上記誘電体層111を形成する原料は、十分な静電容量を得ることができれば特に制限されない。例えば、チタン酸バリウム系材料、鉛複合ペロブスカイト系材料、またはチタン酸ストロンチウム系材料などが使用できる。上記チタン酸バリウム系材料は、BaTiO3系セラミック粉末を含むことができ、上記セラミック粉末の例として、BaTiO3、BaTiO3にCa(カルシウム)、Zr(ジルコニウム)などが一部固溶された(Ba1-xCax)TiO3、Ba(Ti1-yCay)O3、(Ba1-xCax)(Ti1-yZry)O3、またはBa(Ti1-yZry)O3などが挙げられる。
【0032】
また、上記誘電体層111を形成する材料は、チタン酸バリウム(BaTiO3)などの粉末に、本発明の目的に応じて、種々のセラミック添加剤、有機溶剤、結合剤、分散剤などが添加されることができる。
【0033】
本体110は、上記本体110の内部に配置され、上記誘電体層111を挟んで互いに対向するように配置される第1内部電極121及び第2内部電極122を含んで容量が形成される容量形成部と、上記容量形成部の上部及び下部に形成された保護層112、113と、を含むことができる。
【0034】
上記容量形成部は、キャパシターの容量形成に寄与する部分であり、誘電体層111を挟んで複数の第1及び第2内部電極121、122を繰り返して積層することで形成されることができる。
【0035】
上記上部保護層112及び下部保護層113は、単一の誘電体層または2つ以上の誘電体層を容量形成部の上下面にそれぞれ上下方向に積層することで形成されることができ、基本的に、物理的または化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0036】
上記上部保護層112及び下部保護層113は、内部電極を含まず、誘電体層111と同一の材料を含むことができる。
【0037】
内部電極121、122は、誘電体層111を挟んで互いに対向するように配置されることができる。
【0038】
内部電極121、122は、誘電体層を挟んで互いに対向するように交互に配置される第1及び第2内部電極121、122を含むことができる。
【0039】
第1及び第2内部電極121、122は、本体110の第3及び第4面3、4にそれぞれ露出することができる。
【0040】
図2を参照すると、第1内部電極121は第4面4から離隔して第3面3を介して露出し、第2内部電極122は、第3面3から離隔して第4面4を介して露出することができる。本体の第3面3には第1外部電極131が配置されて第1内部電極121と連結され、本体の第4面4には第2外部電極132が配置されて第2内部電極122と連結されることができる。
【0041】
すなわち、第1内部電極121は、第2外部電極132とは連結されず、第1外部電極131と連結され、第2内部電極122は、第1外部電極131とは連結されず、第2外部電極132と連結される。したがって、第1内部電極121は第4面4から一定距離離隔して形成され、第2内部電極122は第3面3から一定距離離隔して形成される。
【0042】
第1及び第2内部電極121、122は、その間に配置された誘電体層111により互いに電気的に分離されることができる。
【0043】
図3を参照すると、本体110は、第1内部電極121が印刷された誘電体層111と、第2内部電極122が印刷された誘電体層111とを厚さ方向(第1方向)に交互に積層した後、焼成することで形成されることができる。
【0044】
内部電極121、122を形成する材料は特に制限されず、電気導電性に優れた材料を用いることができる。例えば、内部電極121、122は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)、及びこれらの合金のうち1つ以上を含む内部電極用導電性ペーストをセラミックグリーンシートに印刷することで形成されることができる。
【0045】
上記内部電極用導電性ペーストの印刷方法としては、スクリーン印刷法またはグラビア印刷法などを用いることができるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0046】
外部電極131、132は、本体110の第3及び第4面に配置される接続部A1、A2と、上記接続部から上記第2面の一部まで延びる上部バンド部B1a、B2aと、上記第1面の一部まで延びる下部バンド部B1b、B2bと、を含むことができる。
【0047】
外部電極131、132は、第3面に配置される第1外部電極131と、第4面に配置される第2外部電極132と、を含むことができる。
【0048】
図2を参照して、第1外部電極131の領域を配置位置によって区分すると、第1外部電極131は、本体の第3面3に配置される第1接続部A1と、第1接続部A1から第2面2の一部まで延びる第1上部バンド部B1aと、第1接続部A1から第1面1の一部まで延びる第1下部バンド部B1bと、を含むことができる。
【0049】
第2外部電極132の領域を配置位置によって区分すると、第2外部電極132は、本体の第4面4に配置される第2接続部A2と、第2接続部A2から第2面2の一部まで延びる第2上部バンド部B2aと、第2接続部A2から第1面1の一部まで延びる第2下部バンド部B2bと、を含むことができる。
【0050】
外部電極131、132は、下部バンド部B1b、B2bの外表面に配置されるPdめっき層131d、132dを含み、上記Pdめっき層131d、132dは、上記接続部A1、A2の一部まで延びて配置されることができる。この際、Pdめっき層131d、132dは、接続部A1、A2の一部までのみ延びて配置されるため、外部電極131、132のうち上部バンド部B1a、B2aの外表面にはPdめっき層が配置されない。
【0051】
一般に、積層型電子部品を基板に実装するために、半田(Solder)を用いて積層型電子部品の外部電極と基板の電極パッドを接着させていた。しかし、半田を用いる場合、積層型電子部品の外部電極、基板と外部電極を接着する半田(Solder)などの温度変化による膨張収縮により機械的ストレスが発生し、半田自体にクラックが発生する恐れがあった。
【0052】
それを防止するために、半田(Solder)の代わりに、導電性樹脂接着剤を用いて積層型キャパシターを基板に実装する方案が提案されている。導電性樹脂接着剤の熱硬化温度は半田(Solder)の融点に比べて低い。したがって、半田(Solder)の代わりに導電性樹脂接着剤を用いる場合、熱応力を減少させることができるため、信頼性を向上させることができる。
【0053】
導電性樹脂接着剤を用いて基板に実装する場合、外部電極の腐食や析出を防止し、信頼性を向上させるために、最外層のめっき層をPdめっき層とすることが好ましい。しかし、Pdは高価であるため、積層型電子部品の製造コストが増加するという問題がある。
【0054】
本発明によると、Pdめっき層131d、132dを一部のみに配置することで、製造コストを低減しながらも、外部電極の腐食や析出を防止し、信頼性を向上させることができる。すなわち、導電性樹脂接着剤230、240と接触される領域のみにPdめっき層131d、132dを配置することで、製造コストを低減しながらも、Pdめっき層を外部電極の外表面の全体に配置した場合と同様に外部電極の腐食や析出を防止し、信頼性を向上させる効果も確保することができる。
【0055】
Pdめっき層131d、132dは耐腐食性に優れるため、外部電極131、132と導電性樹脂接着剤230、240の親和性を高めることができ、導電性樹脂接着剤230、240との電気的連結性を向上させることができる。
【0056】
一方、本発明のPdめっき層131d、132dとは、Pdを含む金属からなるものを意味し得る。但し、Pdめっき層131d、132dがPdのみからなる場合のみを意味するのではなく、Pd-Ni合金または他のPd合金を含むことができ、Pd以外の他の金属元素を含んでもよい。
【0057】
Pdめっき層131d、132dを下部バンド部B1b、B2bの外表面から接続部A1、A2に延びた形態に形成するための方法は、特に限定する必要はない。
【0058】
例えば、積層型電子部品の一部のみをPdめっき浴に浸してPdめっきを行うことで、外部電極の一部のみにPdめっき層を形成することができる。
【0059】
他の例として、外部電極のうち、Pdめっき層が配置されるべき領域を除いた領域に絶縁層を形成した後、Pdめっきを行うことでPdめっき層を形成することができる。この際、絶縁層を形成する方法は特に限定されず、例えば、絶縁物質をコーティングすることで絶縁層を形成することができる。また、絶縁層は後で除去することができるが、除去しなくてもよい。
【0060】
図2を参照すると、外部電極の第1方向の最低点から最高点までの第1方向の距離をT、上記外部電極の第1方向の最低点から上記Pdめっき層の第1方向の最高点までの第1方向の距離をhとしたときに、0.44T<hを満たすことができる。
【0061】
ここで、Tは積層型電子部品の厚さを意味し、hはPdめっき層の最大高さを意味し得る。
【0062】
hが0.44T以下である場合には、実装時に最小限に確保しなければならない導電性樹脂接着剤230、240の高さhsよりもPdめっき層の高さhが低くなり、基板の電極パッド221、222との機械的結合力または電気的連結性を十分に確保できなくなる恐れがある。
【0063】
hの上限は特に限定する必要はない。但し、Pdめっき層131d、132dが接続部A1、A2の一部まで延びて配置されることにより、外部電極131、132のうち上部バンド部B1a、B2aの外表面には、Pdめっき層が配置されない。
【0064】
一方、積層型電子部品の厚さTに応じて、積層型電子部品100と基板210との要求される機械的結合力及び/または電気的連結性が変わり得て、それに応じて、必要な伝導性接着剤の高さhsが変わり得る。したがって、積層型電子部品の厚さTに応じて、Pdめっき層の高さhを適宜調節することができる。
【0065】
一実施形態において、Tが2375μm以上2625μm以下である場合、積層型電子部品と基板との要求される機械的結合力及び電気的連結性を確保するための伝導性接着剤の高さは1100μm程度である。したがって、上記hは1100μm超過であることができる。この際、積層型電子部品は3225(長さ3.2mm、幅2.5mm)サイズであることができる。
【0066】
一実施形態において、Tが1520μm以上1680μm以下である場合、積層型電子部品と基板との要求される機械的結合力及び電気的連結性を確保するための伝導性接着剤の高さは790μm程度である。したがって、上記hは790μm超過であることができる。この際、積層型電子部品は3216(長さ3.2mm、幅1.6mm)サイズであることができる。
【0067】
一実施形態において、Tが1187.5μm以上1312.5μm以下である場合、積層型電子部品と基板との要求される機械的結合力及び電気的連結性を確保するための伝導性接着剤の高さは760μm程度である。したがって、上記hは760μm超過であることができる。この際、積層型電子部品は2012(長さ2.0mm、幅1.2mm)サイズであることができる。
【0068】
一実施形態において、Tが760μm以上840μm以下である場合、積層型電子部品と基板との要求される機械的結合力及び電気的連結性を確保するための伝導性接着剤の高さは730μm程度である。したがって、上記hは730μm超過であることができる。この際、積層型電子部品は1608(長さ1.6mm、幅0.8mm)サイズであることができる。
【0069】
一実施形態において、Tが475μm以上525μm以下である場合、積層型電子部品と基板との要求される機械的結合力及び電気的連結性を確保するための伝導性接着剤の高さは455μm程度である。したがって、上記hは455μm超過であることができる。この際、積層型電子部品は1005(長さ3.2mm、幅1.6mm)サイズであることができる。
【0070】
この際、外部電極131、132の第1方向の最低点と最高点、Pdめっき層の第1方向の最高点、T及びhは、上記本体の第3方向の中央で第1及び第2方向に切断した断面で測定したものであることができる。すなわち、
図2のような断面を露出させて測定した値であることができる。また、上記本体の第3方向の中央は、上記本体の第3方向の1/2地点を意味し得る。測定のための観察ツールは特に限定する必要はなく、例えば、光学顕微鏡(Optical microscope)、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、SEM)などを用いることができる。
【0071】
一般に、外部電極131、132の第1方向のサイズは、本体110の第3方向の中央で測定した値が最大値であり、第3方向の中央から遠くなるにつれて次第に小さい値を有し得るため、本体110の第3方向の中央で第1及び第2方向に切断した断面を基準に測定することが好ましい。一方、第1及び第2方向の断面を露出させるための切断工程、ポリシング工程などによって一部測定誤差が発生し得るが、かかる誤差範囲内の数値は、本発明で提示した数値範囲の均等な範囲であることに留意すべきである。
【0072】
この際、外部電極131、132は、本体上に配置される電極層131a、132aと、上記電極層上に配置される導電性樹脂層131b、132bと、上記導電性樹脂層上に配置されるNiめっき層131c、132cと、を含み、上記Pdめっき層131d、132dは上記Niめっき層131c、132cの外表面に配置されることができる。
【0073】
電極層131a、132aは、金属などのように電気導電性を有するものであれば何れの物質を用いて形成されてもよく、電気的特性、構造的安定性などを考慮して具体的な物質が決定されることができる。
【0074】
例えば、電極層131a、132aは、導電性金属及びガラスを含むことができる。
【0075】
電極層131a、132aに用いられる導電性金属は、静電容量を形成するために上記内部電極と電気的に連結されることができる材質であれば特に制限されず、例えば、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)、及びこれらの合金からなる群から選択される1つ以上を含むことができる。
【0076】
電極層131a、132aは、上記導電性金属粉末にガラスフリットを添加して用意された導電性ペーストを塗布した後、焼成することで形成されることができる。
【0077】
また、電極層131a、132aは、原子層蒸着(Atomic Layer Deposition、ALD)法、分子層蒸着(Molecular Layer Deposition、MLD)法、化学気相蒸着(Chemical Vapor Deposition、CVD)法、スパッタリング(Sputtering)法などを用いて形成されてもよい。
【0078】
また、電極層131a、132aは、本体110上に導電性金属を含むシートを転写する方式により形成されてもよい。
【0079】
導電性樹脂層131b、132bは、導電性金属及びベース樹脂を含むことができる。
【0080】
導電性樹脂層131b、132bに含まれる導電性金属は、電極層131a、132aと電気的に連結されるようにする役割を果たす。
【0081】
導電性樹脂層131b、132bに含まれる導電性金属は、電極層131a、132aと電気的に連結されることができる材質であれば特に制限されず、例えば、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)、及びこれらの合金からなる群から選択される1つ以上を含むことができる。
【0082】
導電性樹脂層131b、132bに含まれる導電性金属は、球状粉末及びフレーク状粉末のうち1つ以上を含むことができる。すなわち、導電性金属は、フレーク状粉末のみからなるか、球状粉末のみからなってもよく、フレーク状粉末と球状粉末が混合された形態であってもよい。
【0083】
ここで、球状粉末は、完全な球状ではない形態も含むことができ、例えば、長軸と短軸の長さの割合(長軸/短軸)が1.45以下である形態を含むことができる。
【0084】
フレーク状粉末は、平らで且つ長い形態を有する粉末を意味し、特に制限されるものではないが、例えば、長軸と短軸の長さの割合(長軸/短軸)が1.95以上であることができる。
【0085】
上記球状粉末及びフレーク状粉末の長軸と短軸の長さは、積層型電子部品の第3方向の中央部で切断した第1方向及び第2方向の断面(L-T断面)を走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、SEM)でスキャンして得た画像から測定することができる。
【0086】
導電性樹脂層131b、132bに含まれるベース樹脂は、接合性の確保及び衝撃吸収の役割を果たす。
【0087】
導電性樹脂層131b、132bに含まれるベース樹脂は、接合性及び衝撃吸収性を有し、導電性金属粉末と混合してペーストを作製可能なものであれば特に制限されず、例えば、エポキシ系樹脂及びアクリル樹脂のうち1つ以上を含むことができる。
【0088】
また、導電性樹脂層131b、132bは、導電性金属、金属間化合物、及びベース樹脂を含むことができる。
【0089】
Niめっき層131c、132cは、電極層131a、132a及び導電性樹脂層131b、132bの腐食を防止する役割を果たすことができる。
【0090】
Niめっき層131c、132cは酸化されやすいため、導電性樹脂接着剤との電気的連結性を十分に確保することが困難であり得る。本発明によると、Pdめっき層131d、132dがNiめっき層131c、132cの外表面に配置されるため、導電性樹脂接着剤との電気的連結性を十分に確保することができる。
【0091】
図6は本発明の一実施形態の一変形例であり、
図1のI-I'に沿った断面図である。
【0092】
本発明の一実施形態の一変形例によると、外部電極131'、132'は導電性樹脂層を含まない。外部電極131'、132'は、本体上に配置される電極層131a'、132a'と、上記電極層上に配置されるNiめっき層131c、132cと、を含み、上記Pdめっき層131d、132dは上記Niめっき層131c、132cの外表面に配置されることができる。
【0093】
図7は本発明の一実施形態の他の変形例による積層型電子部品の斜視図を概略的に示したものである。
図8は
図7のIII-III'に沿った断面図である。
【0094】
図7及び
図8を参照すると、本発明の一実施形態の他の変形例による積層型電子部品200は、外部電極131、132のうち、Pdめっき層が形成されていない領域の外表面に、絶縁層141、142が配置されることができる。
【0095】
これにより、Pdめっき層の高さhをより容易に正確に制御することができ、Pdめっき層が形成されていない領域の腐食や析出をより確実に防止することができ、信頼性をさらに向上させることができる。
【0096】
積層型電子部品の実装基板
以下、本発明の他の実施形態による積層型電子部品の実装基板1000について詳細に説明する。
【0097】
本発明の他の実施形態による積層型電子部品の実装基板1000は、本発明の一実施形態による積層型電子部品100が実装された形態である。したがって、本発明の一実施形態による積層型電子部品が実装された実装基板の斜視図を概略的に示した
図4、及び
図4のII-II'に沿った断面図である
図5を参照して説明し、本発明の一実施形態による積層型電子部品100の特徴と重複される説明は省略する。
【0098】
図4及び
図5を参照すると、積層型電子部品の実装基板1000は、電極パッド221、222が配置された基板210と、誘電体層111及び内部電極121、122を含み、第1方向に対向する第1及び第2面1、2、上記第1及び第2面と連結されて第2方向に対向する第3及び第4面3、4、上記第1~第4面と連結されて第3方向に対向する第5及び第6面5、6を有する本体110と、上記第3及び第4面に配置される接続部A1、A2、上記接続部から上記第2面の一部まで延びる上部バンド部B1a、B2a、及び上記第1面の一部まで延びる下部バンド部B1b、B2bを含む外部電極131、132と、を含み、上記外部電極が、上記下部バンド部の外表面に配置されるPdめっき層131d、132dを含み、上記Pdめっき層が上記接続部A1、A2の一部まで延びて配置される積層型電子部品100と、上記外部電極131、132と上記電極パッド221、222を接着している導電性樹脂接着体230、240と、を含む。
【0099】
この際、電極パッド221、222は、互いに離隔して配置され、積層型電子部品100の第1及び第2外部電極131、132とそれぞれ電気的に連結されることができる。
【0100】
導電性樹脂接着剤230、240の熱硬化温度は半田(Solder)の融点に比べて低い。したがって、半田(Solder)の代わりに導電性樹脂接着剤を用いる場合、熱応力を減少させることができるため、信頼性を向上させることができる。
【0101】
導電性樹脂接着剤230、240は導電性金属及びベース樹脂を含むことができる。導電性金属は、外部電極131、132と電極パッド221、222との電気的連結性を確保する役割を果たし、ベース樹脂は、熱応力を減少させてクラックを抑える役割を果たすことができる。ベース樹脂の種類は特に限定されず、例えば、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂であることができる。
【0102】
この際、Pdめっき層131d、132dの第1方向の最高点は、導電性樹脂接着剤230、240の第1方向の最高点を超えることができる。すなわち、導電性樹脂接着剤の高さhsが、Pdめっき層の高さhより低いことができる。これにより、Pdめっき層131d、132dを一部のみに配置することで、製造コストを低減しながらも、外部電極131、132の腐食や析出を防止し、信頼性を向上させることができる。すなわち、導電性樹脂接着剤230、240と接触される領域のみにPdめっき層131d、132dを配置することで、製造コストを低減しながらも、Pdめっき層を外部電極の外表面全体に配置した場合と同様に外部電極の腐食や析出を防止し、信頼性を向上させる効果も確保することができる。
【0103】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態及び添付図面により限定されず、添付の特許請求の範囲により限定しようとする。よって、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で、当技術分野の通常の知識を有する者による多様な形態の置換、変形、及び変更が可能であり、これも本発明の範囲に属するといえる。
【符号の説明】
【0104】
100 積層型電子部品
110 本体
111 誘電体層
121、122 内部電極
131、132 外部電極
131a、132a 電極層
131b、132b 導電性樹脂層
131c、132c Niめっき層
131d、132d Pdめっき層
141、142 絶縁層
1000 実装基板
210 基板
221、222 電極パッド
230、240 導電性樹脂接着剤