(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022084102
(43)【公開日】2022-06-07
(54)【発明の名称】レール整理台車
(51)【国際特許分類】
E01B 29/16 20060101AFI20220531BHJP
【FI】
E01B29/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020195730
(22)【出願日】2020-11-26
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 展示日:令和1年11月27日~29日 展示会名:第6回鉄道技術展2019 Mass-Trans Innovation Japan 2019 開催場所:幕張メッセ 5・6・7・8ホール(〒261-8550 千葉市美浜区中瀬2-1)
(71)【出願人】
【識別番号】390007607
【氏名又は名称】大鉄工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391054475
【氏名又は名称】鉄友工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】特許業務法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂本 士
(72)【発明者】
【氏名】星野 誠一
【テーマコード(参考)】
2D057
【Fターム(参考)】
2D057BA12
(57)【要約】
【課題】道床上の旧レールを新レールに交換するレール交換機から後方に送り出された旧レールを整理するレール整理台車を提供する。
【解決手段】レール整理台車1は、道床上の旧レールRoを新レールに交換するレール交換機から後方に送り出された旧レールRoにおいて空中にあり支持されていない非接地部分を外側に押すガイド9と、道床に置かれた一対のレールR上を転がることにより、ガイド9と共に前方に移動する複数の走行ローラ3とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道床上の旧レールを新レールに交換するレール交換機から後方に送り出された前記旧レールにおいて空中にあり支持されていない非接地部分を外側に押すガイドと、
前記道床に置かれた一対のレール上を転がることにより、前記ガイドと共に前方に移動する複数の走行ローラと、を備える、レール整理台車。
【請求項2】
前記ガイドを左右に移動させる左右位置調整機構をさらに備える、請求項1に記載のレール整理台車。
【請求項3】
前記レール整理台車は、前記ガイドを2つ備えており、
2つの前記ガイドは、前記道床に置かれた前記一対のレールの右側および左側に1つずつ配置され、
前記左右位置調整機構は、2つの前記ガイドを互いに独立して左右に移動させる、請求項2に記載のレール整理台車。
【請求項4】
前記ガイドを上下に移動させる上下位置調整機構をさらに備える、請求項1~3のいずれか一項に記載のレール整理台車。
【請求項5】
前記ガイドを左右に傾ける傾き調整機構をさらに備える、請求項1~4のいずれか一項に記載のレール整理台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道床上の旧レールを新レールに交換するレール交換機から後方に送り出された旧レールを整理するレール整理台車に関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1には、牽引手段によって牽引される3つの台車を備えるレール交換機が開示されている。道床上の旧レールは、最後尾の台車の上を通り、この台車から後方に送り出される。送り出された旧レールは、レール交換機から離れるにしたがって垂れ下がり道床に降りる。特許文献1の
図1Fおよび
図1Gには、旧レールが最後尾の台車から外側に広がらずに着地することが描かれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
レール交換機から排出された旧レールは、建築限界(線路上を走行する車両に建造物等を接触させずに建造物等を設置できる領域の限界を示す境界線)外などの線路上を走行する車両の邪魔にならない位置まで退避させる必要がある。特許文献1には、道床の敷設位置から撤去された旧レールがどのような位置に配置されるかが詳細に記載されていない。
車両の邪魔にならない位置に旧レールを置く場合、レール交換機から後方に排出された旧レールをバール等で外側に押すことが考えられる。しかしながら、この方法では、旧レールを交換する交換区間の全域でレール交換機に追従しながら旧レールを押し続ける必要があり、肉体的な負担が大きい。旧レールをバール等で押す多くの要員が必要にもなる。特に、一対の旧レールを同時に交換する場合は、さらに多くの要員が必要になる。
【0005】
旧レールを人力で外側に押す代わりに、レール交換機の最後尾の台車から旧レールが離れる排出位置を外側に移動させることが考えられる。しかしながら、この方法では、旧レールを下から支持するローラを外側に移動させる必要があり、このローラを保持する台車のフレームの幅を広げる必要もある。そのため、台車の重量が増加し、台車の運搬に要する負担が増える。
【0006】
そこで、本発明の一つの目的は、道床上の旧レールを新レールに交換するレール交換機から後方に送り出された旧レールを整理するレール整理台車を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、道床上の旧レールを新レールに交換するレール交換機から後方に送り出された前記旧レールにおいて空中にあり支持されていない非接地部分を外側に押すガイドと、前記道床に置かれた一対のレール上を転がることにより、前記ガイドと共に前方に移動する複数の走行ローラと、を備える、レール整理台車を提供する。
【0008】
この構成によれば、旧レールを支えながら外側に案内するのではなく、旧レールにおいて空中にあり支持されていない非接地部分をガイドで外側に押す。これにより、旧レールがレール交換機から離れる排出位置よりも外側に旧レールを押し出すことができる。さらに、着地する前に旧レールを外側に押すので、旧レールを地面に沿って移動させる場合よりも負担が少ない。加えて、旧レールを下または上から支えながら外側に案内する場合に比べて、レール整理台車の幅を抑えることができ、レール整理台車の重量を軽減できる。
【0009】
複数の走行ローラが道床に置かれた一対のレール上を転がると、レール整理台車が一対のレール上を走行し、複数の走行ローラと共にガイドが前方に移動する。したがって、レール交換機から後方に排出され続ける旧レールをガイドで外側に押し続けながら、ガイドをレール交換機に追従させることができる。これにより、旧レールを交換し終わるまでガイドをレール交換機に追従させることができ、車両の邪魔にならない位置で旧レールを地面に置くことができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、前記ガイドを左右に移動させる左右位置調整機構をさらに備える、請求項1に記載のレール整理台車である。
この構成によれば、旧レールを外側に押すガイドを道床に対して左右に移動させる。これにより、左右方向への旧レールの押出量を変更でき、撤去された旧レールが地面に置かれる位置を左右に調整できる。さらに、レール交換機とレール整理台車との間隔が変動したり、線路の曲線半径や勾配が変化したりすると、旧レールにおいてレール整理台車の外側に位置する部分が左右に動く。ガイドを左右に移動させれば、ガイドを旧レールに追従させることができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、前記レール整理台車は、前記ガイドを2つ備えており、2つの前記ガイドは、前記道床に置かれた前記一対のレールの右側および左側に1つずつ配置され、前記左右位置調整機構は、2つの前記ガイドを互いに独立して左右に移動させる、請求項2に記載のレール整理台車である。
この構成によれば、旧レールを外側に押すガイドがレール整理台車を支持する一対のレールの両側に1つずつ配置される。したがって、一対のレールの右側だけでなく左側でも旧レールを外側に押すことができる。さらに、一方のガイドを左右に移動させると、それに連動して他方のガイドが左右に移動するのではなく、2つのガイドを個別に左右に移動させることができ、左右方向へのガイドの移動量を個別に設定できる。したがって、撤去された旧レールが地面に置かれる位置を、一対のレールの右側および左側で個別に調整できる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、前記ガイドを上下に移動させる上下位置調整機構をさらに備える、請求項1~3のいずれか一項に記載のレール整理台車である。
この構成によれば、旧レールを外側に押すガイドを道床に対して上下に移動させる。したがって、ガイドをレールの頭部の側面だけに接触させたり、レールの底部の側面だけに接触させたりできる。さらに、レール交換機とレール整理台車との間隔が変動したり、線路の曲線半径や勾配が変化したりすると、旧レールにおいてレール整理台車の外側に位置する部分が上下に動く。ガイドを上下に移動させれば、ガイドを旧レールに追従させることができる。したがって、ガイドを上下に長くしなくても、旧レールをガイドで外側に押し続けることができる。
【0013】
請求項5に記載の発明は、前記ガイドを左右に傾ける傾き調整機構をさらに備える、請求項1~4のいずれか一項に記載のレール整理台車である。
この構成によれば、旧レールを外側に押すガイドを左右に傾ける。これにより、旧レールに対してガイドを左右に傾けることができ、ガイドが旧レールに接触する旧レールの接触位置を変更できる。さらに、ガイドを左右に傾ければ、2本の旧レールの継目がレール整理台車の外側を通過する場合でも、ガイドでレールを外側に押しながら、2本の旧レールの継目に配置された継目板や継目ボルトにガイドが接触することを回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係るレール整理台車を示す模式的な平面図である。
【
図5】開位置に位置するサイドローラを示すレール整理台車の正面図である。
【
図6】ガイドローラおよびその周辺を示す図である。
【
図7】下向きに傾けられたガイドローラを示す図である。
【
図8】下向きに傾けられたガイドローラを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下では、本発明の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
以下では、交換すべきレールRを旧レールRoといい、旧レールRoと交換されるレールRを新レールRnという。新レールRnおよび旧レールRoを区別しない場合は、単に、レールRという。以下の説明における「外側」は、道床に敷設された一対のレールRの間の空間を左右に二等分する直線である線路中心WOから左右方向に遠ざかる方向を意味する。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態に係るレール整理台車1を示す模式的な平面図である。
図1中の矢印Fおよび矢印Lは、それぞれ、レール整理台車1の前方向および左方向を示している。他の図についても同様である。
図1に示すように、レール整理台車1は、道床上の旧レールRoを新レールRnに交換するレール交換機101の後方で道床上の一対のレールR上を走行しながら、レール交換機101から後方に送り出された旧レールRoを空中で外側に押す装置である。
図1は、レール交換機101が3つの台車102を含み、最後尾の台車102の後方にレール整理台車1が配置された例を示している。台車102の数は3以外であってもよい。レール交換機101は、自走式であってもよいし、牽引式であってもよい。
図1は、軌陸バックホウなどの牽引手段100によってレール交換機101が牽引される例を示している。
【0017】
レール整理台車1は、ワイヤ等の連結手段103によってレール交換機101に連結される。レール交換機101が一対のレールR上を走行すると、レール整理台車1は、レール交換機101によって牽引され、レール交換機101から一定またはほぼ一定の距離だけ後方に離れた位置で一対のレールR上を走行する。レール整理台車1は、ワイヤ等の連結手段103に代えて、エンジンなどの原動機を備えていてもよい。つまり、レール整理台車1は、牽引式ではなく、自走式であってもよい。この場合、レール交換機101とレール整理台車1との間隔を一定に保ちながら、レール整理台車1を走行させればよい。
【0018】
図1は、レール交換機101が、道床の敷設位置に置かれた一対の旧レールRoを撤去しながら、一対の旧レールRoがなくなった所に一対の新レールRnを順次配置していく例を示している。レール整理台車1は、一対の旧レールRoの間に配置され、両者の間隔を押し広げる。一対の旧レールRoの間隔は、最後尾の台車102からレール整理台車1に近づくにしたがって広がり、レール整理台車1の後方でほぼ一定となる。一対の旧レールRoは、レール整理台車1の後方で着地する。着地した旧レールRoは、敷設位置に配置された新レールRnと平行またはほぼ平行である。したがって、レール整理台車1をレール交換機101に追従させれば、最後尾の台車102から旧レールRoが離れる排出位置よりも外側で旧レールRoを地面に置くことができる。
【0019】
図2は、レール整理台車1の正面図である。
図3は、レール整理台車1の平面図である。
図4は、レール整理台車1の左側面図である。
図5は、開位置に位置するサイドローラ5を示すレール整理台車1の正面図である。
図2中の矢印Uおよび矢印Lは、それぞれ、レール整理台車1の上方向および左方向を示している。他の図についても同様である。
図4では、レール整理台車1の一部を省略している。以下では、特に断りがない限り、ガイドローラ9が鉛直であるときのレール整理台車1について説明する。
【0020】
図2および
図3に示すように、レール整理台車1は、敷設位置に配置された一対のレールR上を転がる少なくとも一対の走行ローラ3と、少なくとも一対の走行ローラ3によって支持されたフレーム2とを備えている。
図3は、2対の走行ローラ3が設けられた例を示している。一方の対は、フレーム2の前方に配置されており、他方の対は、フレーム2の後方に配置されている。4つの走行ローラ3は、フレーム2に固定された4つの固定ブラケット4を介してフレーム2に連結されている。対をなす2つの走行ローラ3は、一対のレールR上に配置される。
【0021】
図2に示すように、フレーム2は、一対のレールRよりも上方に配置されている。レール整理台車1を前方から水平に見ると、走行ローラ3は、フレーム2に重なっている。固定ブラケット4は、フレーム2の前方または後方に配置されている。フレーム2の幅は、道床に配置されたまくらぎMの幅よりも狭い。フレーム2の幅は、まくらぎMの幅以上であってもよい。
図2に示す例では、フレーム2の右端は、まくらぎMの右側の端面と右側のレールRとの間に配置されており、フレーム2の左端は、まくらぎMの左側の端面と左側のレールRとの間に配置されている。
【0022】
図4および
図5に示すように、走行ローラ3は、レールRの頭部の上面上を転がる円筒状のローラ部3rと、レールRの頭部の内側に配置される円環状のフランジ部3fとを含む。フランジ部3fは、ローラ部3rと同軸であり、ローラ部3rの外周面から外方に突出している。フランジ部3fは、レールRの頭部の内側の側面と左右方向に向かい合う。一対のレールRに対する左右方向へのレール整理台車1の移動は、フランジ部3fとレールRとの接触によって規制される。
【0023】
図3に示すように、レール整理台車1は、さらに、敷設位置に配置された一対のレールRの頭部の側面上を転がる少なくとも一対のサイドローラ5を備えている。
図3は、2対のサイドローラ5が設けられた例を示している。一方の対は、フレーム2の前方に配置されており、他方の対は、フレーム2の後方に配置されている。前方のサイドローラ5は、一対のレールRの内側に配置され、後方のサイドローラ5は、一対のレールRの外側に配置される。少なくとも1つのサイドローラ5が右側または左側のレールRの右側に配置され、少なくとも1つのサイドローラ5が右側または左側のレールRの左側に配置されるのであれば、4つのサイドローラ5をどのように配置してもよい。
【0024】
サイドローラ5は、平面視でフレーム2に重ならないようにフレーム2の前方または後方に配置されている。サイドローラ5は、平面視で走行ローラ3に重なっていてもよいし、重なっていなくてもよい。
図3は、サイドローラ5が平面視で走行ローラ3に重なっている例を示している。サイドローラ5は、サイドローラ5の鉛直な中心線まわりに回転する。走行ローラ3は、走行ローラ3の水平な中心線まわりに回転する。サイドローラ5の中心線は、走行ローラ3の中心線とフレーム2との間に配置されている。
【0025】
図4および
図5に示すように、サイドローラ5は、レールRの頭部の側面上を転がる円筒状のローラ部5rと、レールRの頭部の下方に配置される円環状のフランジ部5fとを含む。フランジ部5fは、ローラ部5rと同軸であり、ローラ部5rの外周面から外方に突出している。フランジ部5fは、平面視でレールRの頭部に重なる。レールRの底部は、フランジ部5fよりも下方に配置され、平面視でフランジ部5fに重なる。
【0026】
後述するガイドローラ9で旧レールRoを外側に押すと、ガイドローラ9を内側に押す反力が旧レールRoからレール整理台車1に加わる。この反力が大きいと、走行ローラ3のフランジ部3fだけでなく、サイドローラ5のローラ部5rも、レール整理台車1を支持するレールRの頭部に横方向(左右方向)に押し付けられる。これにより、旧レールRoを外側に押しているときに、レール整理台車1を支持する一対のレールRに対してレール整理台車1が横方向に移動することを防止できる。
【0027】
さらに、ガイドローラ9で旧レールRoを外側に押すと、ガイドローラ9を斜め上に内側に押す反力が旧レールRoからレール整理台車1に加わることがある。この反力が大きいと、サイドローラ5のフランジ部5fがレール整理台車1を支持するレールRの頭部に引っ掛かり、このレールRの頭部に下から押し付けられる。これにより、旧レールRoを外側に押しているときに、レール整理台車1を支持する一対のレールRに対してレール整理台車1が浮き上がることを防止できる。
【0028】
図5に示すように、サイドローラ5は、サイドローラ5がレールRに接触する閉位置(
図5において二点鎖線で示すサイドローラ5の位置)と、サイドローラ5がレールRから離れた開位置(
図5において実線で示すサイドローラ5の位置)と、の間でレールRに対して左右に移動可能である。サイドローラ5は、ボルトなどの締結手段によって閉位置に固定されていてもよいし、バネで閉位置に保持されていてもよい。
【0029】
サイドローラ5は、サイドローラ5から上方に延びるサポートシャフト6に支持されている。サイドローラ5は、サポートシャフト6に対してサイドローラ5の中心線まわりに回転可能である。サポートシャフト6は、前後方向に水平に延びる連結ピン7を介して固定ブラケット8に連結されている。固定ブラケット8は、固定ブラケット4を介してフレーム2に固定されている。サイドローラ5は、連結ピン7まわりにフレーム2に対して回転可能である。
【0030】
道床上で前後に向かい合う2本のレールRは、
図5に示す2枚の継目板104と継目ボルト105とを介して連結される。2枚の継目板104は、レールRの内側および外側でレールRの頭部および底部の間に配置される。継目ボルト105は、2枚の継目板104とレールRの腹部を左右に貫通する。サイドローラ5がレールRの内側および外側のいずれに配置される場合でも、サイドローラ5は、継目板104が配置された場所を通る。レール整理台車1が2本のレールRの継目を通過するときに、サイドローラ5を一時的に開位置まで跳ね上げれば、サイドローラ5が継目板104に接触することを回避できる。
【0031】
図2に示すように、レール整理台車1は、レール交換機101から後方に送り出された旧レールRoを空中で外側に押す2つのガイドローラ9と、2つのガイドローラ9を回転可能に保持する2つのローラホルダ10と、2つのローラホルダ10を介して2つのガイドローラ9を支持する2つのサポートアーム24とを備えている。一方のガイドローラ9は、一方のサポートアーム24を介してフレーム2に支持されており、他方のガイドローラ9は、他方のサポートアーム24を介してフレーム2に支持されている。ガイドローラ9およびローラホルダ10は、後述する上下位置調整機構11および傾き調整機構16を介してサポートアーム24に支持されている。
【0032】
ガイドローラ9は、まくらぎMよりも上方に配置される。ガイドローラ9は、地面から離れている。2つのガイドローラ9は、フレーム2の右側および左側に配置されている。右側のガイドローラ9は、レール整理台車1においても最も右側に配置されており、左側のガイドローラ9は、レール整理台車1においても最も左側に配置されている。
図3に示すように、ガイドローラ9は、フレーム2の前方の走行ローラ3よりも後方で、かつ、フレーム2の後方の走行ローラ3よりも前方の位置に配置されている。2つのガイドローラ9は、前後にずれた2つの位置にそれぞれ配置されていてもよいし、左右方向に並んでいてもよい。
図3は前者の例を示している。
【0033】
図4に示すように、ガイドローラ9は、上下方向に延びる円筒状の外周面9oと、ガイドローラ9の中心線L1に沿って上下に延びるセンターシャフト9sとを含む。センターシャフト9sは、ガイドローラ9の外周面9oよりもガイドローラ9の軸方向(ガイドローラ9の中心線L1に沿う方向)に長い。センターシャフト9sは、ガイドローラ9の2つの端面からガイドローラ9の軸方向に突出している。ガイドローラ9の外周面9oの外径は、センターシャフト9sの外径よりも大きい。ガイドローラ9の外周面9oは、旧レールRoにおいて空中にあり支持されていない非接地部分(
図2に示す部分)に内側から押し付けられる。
【0034】
図4は、ガイドローラ9の高さ(上下方向への外周面9oの長さ)がレールRの高さの2倍以上であり、ガイドローラ9の外径(外周面9oの外径)がレールRの頭部の幅(左右方向への長さ)よりも大きい例を示している。ガイドローラ9が上下に長ければ、ガイドローラ9を容易にレールRに接触させることができる。その一方で、ガイドローラ9が上下に長いと、ガイドローラ9の重量が増加する。ガイドローラ9の外径が増加すると、ガイドローラ9の強度だけでなく、ガイドローラ9の重量も増加する。ガイドローラ9の高さおよび外径は、
図4に示す例に限られず、ガイドローラ9の強度および重量等を考慮して設定すればよい。
【0035】
ガイドローラ9は、ローラホルダ10に保持されている。ガイドローラ9は、ローラホルダ10に対してガイドローラ9の中心線L1まわりに回転可能である。ガイドローラ9は、レール交換機101から後方に送り出された旧レールRoを空中で外側に押しながら、旧レールRoとガイドローラ9との間で発生する摩擦力で旧レールRoおよびローラホルダ10に対して転がる。これにより、旧レールRoを滑らかに後方に案内できる。
【0036】
ローラホルダ10は、ガイドローラ9の上方および下方に配置された一対のサポートプレート10sと、ガイドローラ9の内側に配置されたベースプレート10bとを含む。一対のサポートプレート10sは、ベースプレート10bから外側に突出している。ガイドローラ9のセンターシャフト9sは、一対のサポートプレート10sに支持されている。ガイドローラ9の外周面9oは、一対のサポートプレート10sの間に配置されており、ベースプレート10bから外側に離れている。サポートプレート10sの外端は、ガイドローラ9の外端よりも内側に配置されている(
図2参照)。
【0037】
図2に示すように、レール整理台車1は、ガイドローラ9を左右に移動させる左右位置調整機構27を備えている。左右位置調整機構27は、ガイドローラ9が最も外側に位置する最外位置(
図2において実線で示すガイドローラ9の位置)と、ガイドローラ9が最も内側に位置する最内位置(
図2において二点鎖線で示すガイドローラ9の位置)と、の間でガイドローラ9およびローラホルダ10をフレーム2に対して左右に平行移動させる。
【0038】
左右位置調整機構27は、最外位置から最内位置までの範囲内の任意の位置でガイドローラ9を保持する。したがって、左右位置調整機構27は、左右方向へのガイドローラ9の位置を連続的に変更できる。左右位置調整機構27は、左右方向へのガイドローラ9の位置を段階的に変更可能であってもよい。具体的には、左右位置調整機構27は、最外位置から最内位置までの範囲内の連続しない複数の位置でガイドローラ9を保持可能であってもよい。
【0039】
左右位置調整機構27は、サポートアーム24を左右に伸縮させることにより、ガイドローラ9およびローラホルダ10を左右に平行移動させるスライド機構である。サポートアーム24は、フレーム2に固定された固定アーム26と、固定アーム26に対して左右に移動可能な可動アーム25とを含む。固定アーム26からの可動アーム25の突出量が増加または減少すると、サポートアーム24が左右に伸長または収縮し、ガイドローラ9およびローラホルダ10がフレーム2に対して左右に平行移動する。
【0040】
図3に示すように、左右位置調整機構27は、サポートアーム24を左右に伸縮させる雄ネジ28および雌ネジ29を含む。雄ネジ28および雌ネジ29は、サポートアーム24内に配置されている。雄ネジ28を回転させると、雌ネジ29は、雄ネジ28に対して回転せずに雄ネジ28に沿って雄ネジ28の軸方向に移動する。雌ネジ29が雄ネジ28に対して雄ネジ28の軸方向に移動すると、可動アーム25は固定アーム26に対して左右に移動する。これにより、ガイドローラ9およびローラホルダ10がフレーム2に対して左右方向に連続的に移動し、左右方向へのガイドローラ9の位置が調整される。
【0041】
左右位置調整機構27は、ガイドローラ9を左右に移動させるために作業者によって操作される左右位置操作部30を含む。左右位置操作部30には、雄ネジ28および雌ネジ29を相対回転させる工具が取り付けられる。左右位置操作部30は、ソケットが取り付けられる断面多角形の外周面を有していてもよいし、ヘキサゴンレンチやドライバが挿入される穴を形成した内周面を有していてもよい。作業者が工具を用いて左右位置操作部30を回転させると、雄ネジ28が回転し、雌ネジ29が雄ネジ28に対して雄ネジ28の軸方向に移動する。これにより、ガイドローラ9がフレーム2に対して左右に移動する。
【0042】
図3は、工具の一例であるコードレスのインパクトレンチ106を左右位置操作部30に取り付け、インパクトレンチ106で左右位置操作部30を回転させる例を示している。この例では、左右位置操作部30は、固定アーム26に対してガイドローラ9とは反対側に配置されている。工具は、インパクトレンチ106以外の電動工具であってもよいし、ソケットレンチやドライバなどの手動工具であってもよい。インパクトレンチ106などの電動工具で左右位置操作部30を回転させれば、レールRの交換中でも左右方向へのガイドローラ9の位置を容易に変更できる。
【0043】
左右位置操作部30を回転させると、ガイドローラ9は、最外位置から最内位置までの範囲内で左右に移動する。最外位置は、ガイドローラ9の少なくとも一部がまくらぎMの端面よりも外側に配置される位置である。ガイドローラ9の最内位置は、ガイドローラ9の少なくとも一部がまくらぎMの端面よりも内側に配置される位置であってもよい。最外位置は、ガイドローラ9の少なくとも一部が建築限界外に配置される位置であってもよいし、ガイドローラ9が建築限界内に配置される位置であってもよい。
【0044】
レール交換機101から後方に送り出され、ガイドローラ9によって空中で外側に押された旧レールRoの一部は、ガイドローラ9から後方に離れた後に僅かに外側に広がって、もしくは、ガイドローラ9から後方に離れた後に外側に広がらずに、地面に降りる。そのため、ガイドローラ9の少なくとも一部を建築限界外まで移動させれば、建築限界外でガイドローラ9と旧レールRoとを接触させることができ、建築限界外で旧レールRoを地面に置くことができる。
【0045】
図6は、ガイドローラ9およびその周辺を示す図である。
図6(a)は、ガイドローラ9の平面図であり、
図6(b)は、ガイドローラ9の正面図である。
図6(c)は、ガイドローラ9をガイドローラ9の軸方向に移動させる上下位置調整機構11を内側から見た図である。
図7および
図8は、下向きに傾けられたガイドローラ9を示す図である。
図6(b)に示すように、レール整理台車1は、ガイドローラ9を上下に移動させる上下位置調整機構11を備えている。上下位置調整機構11は、ガイドローラ9が最も上方に位置する最上位置と、ガイドローラ9が最も下方に位置する最下位置と、の間でガイドローラ9およびローラホルダ10をガイドローラ9の軸方向にサポートアーム24に対して平行移動させる。
【0046】
図6(b)は、最上位置に位置するガイドローラ9等の一部を一点鎖線で示しており、最下位置に位置するガイドローラ9等の一部を二転鎖線で示している。上下位置調整機構11は、最上位置から最下位置までの範囲内の任意の位置でガイドローラ9を保持する。上下位置調整機構11は、ガイドローラ9の軸方向へのガイドローラ9の位置を段階的に変更可能であってもよい。
【0047】
図6(c)に示すように、上下位置調整機構11は、ガイドローラ9の中心線L1と平行な雄ネジ12と、雄ネジ12に取り付けられた雌ネジ13と、雄ネジ12の両端を支持する一対のエンドプレート14とを含む。一対のエンドプレート14は、ローラホルダ10に固定されており、雌ネジ13は、後述する傾き調整機構16を介してサポートアーム24に連結されている。一対のエンドプレート14がサポートアーム24に連結され、雌ネジ13がローラホルダ10に固定されてもよい。
【0048】
雄ネジ12を回転させると、雄ネジ12は、雌ネジ13に対して雄ネジ12の軸方向に移動する。
図6(c)中の二点鎖線は、便宜的に、雌ネジ13が雄ネジ12に対して上下に移動するように描いている。雄ネジ12が雌ネジ13に対して雄ネジ12の軸方向に移動すると、ガイドローラ9およびローラホルダ10はサポートアーム24に対してガイドローラ9の軸方向に平行移動する。つまり、ガイドローラ9が鉛直であれば、ガイドローラ9は、鉛直な姿勢のまま上方または下方に移動する。ガイドローラ9が左右に傾いていれば、ガイドローラ9は、傾斜角度が一定のまま上方または下方に移動する。これにより、上下方向へのガイドローラ9の位置が調整される。
【0049】
上下位置調整機構11は、ガイドローラ9を上下に移動させるために作業者によって操作される上下位置操作部15を含む。上下位置操作部15には、雄ネジ12および雌ネジ13を相対回転させる工具が取り付けられる。上下位置操作部15は、ソケットが取り付けられる断面多角形の外周面を有していてもよいし、ヘキサゴンレンチやドライバが挿入される穴を形成した内周面を有していてもよい。上下位置操作部15は、雄ネジ12の上方に配置されている。上下位置操作部15は、雄ネジ12と同軸である。
【0050】
作業者が工具を用いて上下位置操作部15を回転させると、雄ネジ12が回転し、雄ネジ12が雌ネジ13に対して雄ネジ12の軸方向に移動する。これにより、ガイドローラ9がサポートアーム24に対して上下に移動する。したがって、インパクトレンチ106(
図3参照)などの電動工具で上下位置操作部15を回転させれば、レールRの交換中でも上下方向へのガイドローラ9の位置を容易に変更できる。
【0051】
図7および
図8に示すように、レール整理台車1は、ガイドローラ9を左右に傾ける傾き調整機構16を備えている。傾き調整機構16は、ガイドローラ9が鉛直な鉛直位置(
図6(b)に示す位置)と、左右へのガイドローラ9の傾斜角度が最も大きい最大傾斜位置(
図8に示す位置)と、の間で90度未満の回転角でガイドローラ9およびローラホルダ10をサポートアーム24に対して左右に回転させる。傾き調整機構16は、ガイドローラ9の傾斜角度を段階的に変更する。傾き調整機構16は、鉛直位置から最大傾斜位置までの範囲内の任意の位置でガイドローラ9を保持可能であってもよい。
【0052】
傾き調整機構16は、サポートアーム24に対して左右に傾くターンブラケット17と、サポートアーム24に固定された下側固定ブラケット19と、ターンブラケット17と下側固定ブラケット19と連結する下側連結ピン18とを含む。傾き調整機構16は、さらに、サポートアーム24に固定された上側固定ブラケット23と、ターンブラケット17と上側固定ブラケット23との間に介在する傾き調整フレーム21と、ターンブラケット17と傾き調整フレーム21と連結する上側連結ピン20と、上側固定ブラケット23と可動アーム25とを連結する内側連結ピン22とを含む。
【0053】
図6(a)に示すように、ターンブラケット17は、複数のボルトによって上下位置調整機構11の雌ネジ13に固定されている。雄ネジ12を回転させると、ガイドローラ9およびローラホルダ10は、ターンブラケット17に対してガイドローラ9の軸方向に移動する。
図6(b)に示すように、ターンブラケット17には、ガイドローラ9の軸方向に並んだ複数の穴17hが形成されている。傾き調整フレーム21にも、直線状に並んだ複数の穴21hが形成されている。
図6(b)は、ターンブラケット17および傾き調整フレーム21のそれぞれに3つの穴が形成された例を示している。
【0054】
図6(b)において、上側連結ピン20は、ターンブラケット17の最も上側の穴17hと傾き調整フレーム21の最も外側の穴21hとに挿入されており、下側連結ピン18は、ターンブラケット17の最も下側の穴17hに挿入されている。
図6(b)において、内側連結ピン22は、傾き調整フレーム21の最も内側の穴21hに挿入されている。上側連結ピン20および下側連結ピン18は、ターンブラケット17のいずれの穴17hにも挿入可能である。上側連結ピン20および内側連結ピン22は、傾き調整フレーム21のいずれの穴21hにも挿入可能である。
【0055】
ターンブラケット17は、水平な下側連結ピン18まわりに下側固定ブラケット19に対して回転可能であり、水平な上側連結ピン20まわりに傾き調整フレーム21に対して回転可能である。傾き調整フレーム21は、水平な内側連結ピン22まわりに上側固定ブラケット23に対して回転可能である。
図7および
図8に示すように、ターンブラケット17を下側連結ピン18まわりに下側固定ブラケット19に対して回転可能させると、ガイドローラ9が外側に斜めに倒れ、ガイドローラ9の外周面9oが下に向けられる。
【0056】
図6(b)は、ターンブラケット17の3つの穴17hが上下方向に並んでおり、ガイドローラ9が鉛直である状態を示している。
図7に示すように、上側連結ピン20を、ターンブラケット17の真ん中の穴17hと、傾き調整フレーム21の最も外側の穴21hとに挿入すると、ガイドローラ9が外側に斜めに傾く。
図8に示すように、内側連結ピン22を、傾き調整フレーム21の最も内側の穴21hに挿入すると、ガイドローラ9の傾斜角度が
図7に示す傾斜角度より大きくなる。
【0057】
図7および
図8に示すように、ガイドローラ9を左右に傾ければ、ガイドローラ9が旧レールRoに接触する旧レールRoの接触位置を変更できる。これにより、ガイドローラ9を旧レールRoの頭部および底部の両方に接触させることもできる。それだけではなく、ガイドローラ9を傾けたりガイドローラ9の軸方向に移動させたりすれば、2本の旧レールRoの継目がレール整理台車1の外側を通過する場合でも、ガイドローラ9が継目板104や継目ボルト105に接触することを回避しながら、ガイドローラ9で旧レールRoを外側に押すことができる。
【0058】
以上のように本実施形態では、旧レールRoを支えながら外側に案内するのではなく、旧レールRoにおいて空中にあり支持されていない非接地部分をガイドローラ9で外側に押す。これにより、旧レールRoがレール交換機101から離れる排出位置よりも外側に旧レールRoを押し出すことができる。さらに、着地する前に旧レールRoを外側に押すので、旧レールRoを地面に沿って移動させる場合よりも負担が少ない。加えて、旧レールRoを下または上から支えながら外側に案内する場合に比べて、レール整理台車1の幅を抑えることができ、レール整理台車1の重量を軽減できる。
【0059】
複数の走行ローラ3が道床に置かれた一対のレールR上を転がると、レール整理台車1が一対のレールR上を走行し、複数の走行ローラ3と共にガイドローラ9が前方に移動する。したがって、レール交換機101から後方に排出され続ける旧レールRoをガイドローラ9で外側に押し続けながら、ガイドローラ9をレール交換機101に追従させることができる。これにより、旧レールRoを交換し終わるまでガイドローラ9をレール交換機101に追従させることができ、車両の邪魔にならない位置で旧レールRoを地面に置くことができる。
【0060】
本実施形態では、旧レールRoを外側に押すガイドローラ9を道床に対して左右に移動させる。これにより、左右方向への旧レールRoの押出量を変更でき、撤去された旧レールRoが地面に置かれる位置を左右に調整できる。さらに、レール交換機101とレール整理台車1との間隔が変動したり、線路の曲線半径や勾配が変化したりすると、旧レールRoにおいてレール整理台車1の外側に位置する部分が左右に動く。ガイドローラ9を左右に移動させれば、ガイドローラ9を旧レールRoに追従させることができる。
【0061】
本実施形態では、旧レールRoを外側に押すガイドローラ9がレール整理台車1を支持する一対のレールRの両側に1つずつ配置される。したがって、一対のレールRの右側だけでなく左側でも旧レールRoを外側に押すことができる。さらに、一方のガイドローラ9を左右に移動させると、それに連動して他方のガイドローラ9が左右に移動するのではなく、2つのガイドローラ9を個別に左右に移動させることができ、左右方向へのガイドローラ9の移動量を個別に設定できる。したがって、撤去された旧レールRoが地面に置かれる位置を、一対のレールRの右側および左側で個別に調整できる。
【0062】
本実施形態では、旧レールRoを外側に押すガイドローラ9を道床に対して上下に移動させる。したがって、ガイドローラ9をレールRの頭部の側面だけに接触させたり、レールRの底部の側面だけに接触させたりできる。さらに、レール交換機101とレール整理台車1との間隔が変動したり、線路の曲線半径や勾配が変化したりすると、旧レールRoにおいてレール整理台車1の外側に位置する部分が上下に動く。ガイドローラ9を上下に移動させれば、ガイドローラ9を旧レールRoに追従させることができる。したがって、ガイドローラ9を上下に長くしなくても、旧レールRoをガイドローラ9で外側に押し続けることができる。
【0063】
本実施形態では、旧レールRoを外側に押すガイドローラ9を左右に傾ける。これにより、旧レールRoに対してガイドローラ9を左右に傾けることができ、ガイドローラ9が旧レールRoに接触する旧レールRoの接触位置を変更できる。さらに、ガイドローラ9を左右に傾ければ、2本の旧レールRoの継目がレール整理台車1の外側を通過する場合でも、ガイドローラ9でレールRを外側に押しながら、2本の旧レールRoの継目に配置された継目板104や継目ボルト105にガイドローラ9が接触することを回避できる。
【0064】
他の実施形態
本発明は、前述の実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
例えば、旧レールRoの非接地部分を外側に押すガイドは、ローラでなくてもよい。つまり、ガイドは、回転できなくてもよい。この場合、外側に凸の円弧状の水平断面を有する帯状の部分がガイドの表面に設けられるのであれば、ガイドは、円柱以外の形状であってもよい。
【0065】
ガイドローラ9の数は1つであってもよい。つまり、レール整理台車1の右側または左側だけにガイドローラ9を設けてもよい。
左右位置調整機構27は、2つのガイドローラ9を互いに独立して左右に移動させるのではなく、2つのガイドローラ9を連動させながら2つのガイドローラ9を左右に移動させてもよい。
【0066】
ターンブラケット17に形成された複数の穴17hを用いてガイドローラ9を上下に移動させてもよい。具体的には、上下に並んだ4つ以上の穴17hをターンブラケット17に形成し、これらの穴17hのうち上側連結ピン20および下側連結ピン18が挿入される2つを変更することにより、上下方向へのガイドローラ9の位置を段階的に変更してもよい。この場合、上下位置調整機構11の雄ネジ12および雌ネジ13を省略してもよい。
【0067】
ガイドローラ9を上下に移動させたり、左右に傾けたりする必要がなければ、上下位置調整機構11および傾き調整機構16の少なくとも一方を省略してもよい。
ガイドローラ9を左右に移動させるために作業者によって操作される左右位置操作部30は、インパクトレンチ106などの工具を用いるのではなく、作業者の手で直接操作されてもよい。この場合、作業者の手で操作されるハンドルを左右位置操作部30に設ければよい。同様に、上下位置操作部15は、作業者の手で直接操作されてもよい。
【0068】
図1では、一対の旧レールRoを線路の両側に排出しながら、線路の両側に仮置きされた一対の新レールRnを敷設位置に配置する例について説明したが、一対の旧レールRoを線路の片側に排出してもよいし、一対の新レールRnを線路の片側に仮置きしてもよい。一対の旧レールRoではなく、片方の旧レールRoだけを新レールRnに交換してもよい。
【0069】
レール整理台車1が旧レールRoを下または上から支えながら外側に案内する場合、線路の片側だけに旧レールRoを排出するときに、レール整理台車1における旧レールRoとは反対側の部分にカウンターウェイトなどの重りを積載する必要が生じることがある。レール整理台車1は、旧レールRoを支えながら外側に案内するのではなく、旧レールRoにおいて空中にあり支持されていない非接地部分をガイドローラ9で外側に押す。したがって、重量物であるカウンターウェイトを用いる必要がなく、カウンターウェイトを取り扱う作業者の負担を軽減できる。
【0070】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0071】
1:レール整理台車、2:フレーム、3:走行ローラ、3f:フランジ部、3r:ローラ部、4:固定ブラケット、5:サイドローラ、5f:フランジ部、5r:ローラ部、6:サポートシャフト、7:連結ピン、8:固定ブラケット、9:ガイドローラ、9o:ガイドローラの外周面、9s:センターシャフト、10:ローラホルダ、10b:ベースプレート、10s:サポートプレート、11:上下位置調整機構、12:雄ネジ、13:雌ネジ、14:エンドプレート、15:上下位置操作部、16:傾き調整機構、17:ターンブラケット、17h:穴、18:下側連結ピン、19:下側固定ブラケット、20:上側連結ピン、21:傾き調整フレーム、21h:穴、22:内側連結ピン、23:上側固定ブラケット、24:サポートアーム、25:可動アーム、26:固定アーム、27:左右位置調整機構、28:雄ネジ、29:雌ネジ、30:左右位置操作部、100:牽引手段、101:レール交換機、102:台車、103:連結手段、104:継目板、105:継目ボルト、106:インパクトレンチ、L1:ガイドローラの中心線、M:まくらぎ、R:レール、Rn:新レール、Ro:旧レール、WO:線路中心