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  • 特開-機械式駐車装置 図1
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  • 特開-機械式駐車装置 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022084114
(43)【公開日】2022-06-07
(54)【発明の名称】機械式駐車装置
(51)【国際特許分類】
   E04H 6/42 20060101AFI20220531BHJP
【FI】
E04H6/42 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020195759
(22)【出願日】2020-11-26
(71)【出願人】
【識別番号】000198363
【氏名又は名称】IHI運搬機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000512
【氏名又は名称】弁理士法人山田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】何 天蕊
(57)【要約】
【課題】車両に付着した雪が内部に持ち込まれることを防止でき、部品の錆や他の車両を汚してしまうことを回避し得る機械式駐車装置を提供する。
【解決手段】車両Cに付着した雪を融かす融雪装置200と、融雪装置200で融かした水及び残存する雪を車両Cから除去する除去装置300とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に付着した雪を融かす融雪装置と、
該融雪装置で融かした水及び残存する雪を車両から除去する除去装置と
を備えた機械式駐車装置。
【請求項2】
前記融雪装置は、
送風機と、
該送風機から導入される空気を加熱する熱交換器と、
該熱交換器で加熱された空気を車両に吹き付ける噴射ノズルと
を備えた請求項1記載の機械式駐車装置。
【請求項3】
前記除去装置は、入出庫口の扉に取り付けられ且つ車両に押し付けられる吸水部材を備えた請求項1又は2記載の機械式駐車装置。
【請求項4】
前記除去装置は、
入出庫口の扉に取り付けられ且つ車両の両幅端を検知する近接センサと、
該近接センサで検知される車両の両幅端に基づき、入出庫口の扉の駆動装置へ開口幅調節信号を出力する制御器と
を備えた請求項3記載の機械式駐車装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械式駐車装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、寒冷多雪地域では、車両に付着した雪がタワーパーキングやエレベータパーキング等の機械式駐車装置に持ち込まれると、融けた水でパレットが錆びたり、該パレットの下方に格納されている車両が汚れたりする可能性がある。
【0003】
前記パレットの下方に格納されている車両が融けた水で汚れることを防ぐ手段を備えた機械式駐車装置と関連する一般的技術水準を示すものとしては、例えば、特許文献1がある。
【0004】
又、機械式駐車装置ではないが、小規模駐車場等の消雪装置を示すものとしては、例えば、特許文献2がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実公平7-5166号公報
【特許文献2】特開平2-269209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されているものでは、パレットの下面に集水タンク等の排水装置を設けなければならず、余分な設置スペースが必要となり、車両の格納効率に影響を及ぼしたり、或いは集水タンクに溜まった水によって部品が錆びたりする虞があった。
【0007】
又、特許文献2に開示されているものは、単に雪を融かすだけで、融けた水の処理については全く考慮されておらず、機械式駐車装置への適用は困難となっていた。
【0008】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなしたもので、車両に付着した雪が内部に持ち込まれることを防止でき、部品の錆や他の車両を汚してしまうことを回避し得る機械式駐車装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、車両に付着した雪を融かす融雪装置と、
該融雪装置で融かした水及び残存する雪を車両から除去する除去装置と
を備えた機械式駐車装置に係るものである。
【0010】
前記機械式駐車装置において、前記融雪装置は、
送風機と、
該送風機から導入される空気を加熱する熱交換器と、
該熱交換器で加熱された空気を車両に吹き付ける噴射ノズルと
を備えることができる。
【0011】
又、前記除去装置は、入出庫口の扉に取り付けられ且つ車両に押し付けられる吸水部材を備えることができる。
【0012】
更に又、前記除去装置は、
入出庫口の扉に取り付けられ且つ車両の両幅端を検知する近接センサと、
該近接センサで検知される車両の両幅端に基づき、入出庫口の扉の駆動装置へ開口幅調節信号を出力する制御器と
を備えることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の機械式駐車装置によれば、車両に付着した雪が内部に持ち込まれることを防止でき、部品の錆や他の車両を汚してしまうことを回避し得るという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の機械式駐車装置の実施例を示す平断面図である。
図2図1のII-II矢視図である。
図3】本発明の機械式駐車装置の実施例における扉の開口幅調節制御ブロック図である。
図4】本発明の機械式駐車装置の実施例におけるフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0016】
図1図4は本発明の機械式駐車装置の実施例である。
【0017】
本実施例の場合、機械式駐車装置100は、融雪装置200と、除去装置300とを備えている。
【0018】
前記融雪装置200は、車両Cに付着した雪を融かす装置であって、送風機210と、熱交換器220と、噴射ノズル230とを備えている。
【0019】
前記熱交換器220は、前記送風機210から導入される空気を加熱するものであって、例えば、前記送風機210に送風管240を介して接続されるダクト250の内部に伝熱管(図示せず)を配設し、該伝熱管の内部に高温流体を流通させる構造のものを採用することができる。但し、この構造に限定されるものではなく、空気を加熱できれば、どのような構造であっても良い。
【0020】
前記噴射ノズル230は、前記ダクト250の側面に設けられ、前記熱交換器220で加熱された空気を車両Cに吹き付けるようになっている。
【0021】
前記除去装置300は、前記融雪装置200で融かした水及び残存する雪を車両Cから除去するものであって、入出庫口110の扉120に、車両Cに押し付けられる吸水部材310を取り付けて構成されている。尚、前記入出庫口110の扉120は、車両Cの幅方向へ左右一対設けられ、駆動装置130(図3参照)によりガイドレール130に沿ってスライド自在となるよう配設されている。
【0022】
前記吸水部材310としては、例えば、シグナスローラと称される吸水・保水性能に優れたポリビニルアルコール(PVA:polyvinyl alcohol)製のスポンジローラ、或いはマイクロファイバが表面に設けられたローラ等を用いることができる。
【0023】
又、前記除去装置300は、近接センサ320と、制御器330(図3参照)とを備えている。
【0024】
前記近接センサ320は、例えば、レーザ等を用いた非接触式のセンサで、入出庫口110の扉120に取り付けられ、車両Cの両幅端を検知するようになっている。前記近接センサ320を扉120に取り付ける位置は、機械式駐車装置100の床面レベルからおよそ700mm程度の高さで、扉120の車両C側における端部からおよそ30mm程度に設定することができる。
【0025】
前記制御器330は、前記近接センサ320で検知される車両Cの両幅端に基づき、入出庫口110の扉120の駆動装置130へ開口幅調節信号331を出力するようになっている。因みに、前記近接センサ320の取り付け位置を扉120の車両C側における端部からおよそ30mm程度にした場合、車両Cの入庫時に、前記入出庫口110の扉120による開口幅を全開状態から狭めていき、前記近接センサ320と車両Cの幅端との距離がおよそ30mmとなった時点で、前記制御器330から入出庫口110の扉120の駆動装置130へ出力される開口幅調節信号331により、前記入出庫口110の扉120を停止させるように設定しておけば、前記除去装置300の吸水部材310を車両Cに押し付けることができる。
【0026】
次に、上記実施例の作用を説明する。
【0027】
寒冷多雪地域において、雪が付着した車両Cが機械式駐車装置100に入庫する際(図4のステップS1参照)には、入出庫口110の扉120が開いた状態で、先ず、融雪装置200が作動する。該融雪装置200が作動すると、送風機210から導入される空気が送風管240を介してダクト250に送り込まれ、熱交換器220で加熱され、熱風が噴射ノズル230から吹き出され、車両Cに付着した雪を融かす(図4のステップS2参照)。
【0028】
続いて、車両Cの前進に伴い、近接センサ320によって車両Cの両幅端が検知され、該近接センサ320で検知された車両Cの両幅端に基づき、制御器330から入出庫口110の扉120の駆動装置130へ開口幅調節信号331が出力され、前記扉120が車両Cに合わせて開口幅調節される(図4のステップS3参照)。因みに、前記近接センサ320の取り付け位置を扉120の車両C側における端部からおよそ30mm程度にしてある場合、前記車両Cの入庫時における前進に伴い、前記入出庫口110の扉120による開口幅が全開状態から狭められ、前記近接センサ320と車両Cの幅端との距離がおよそ30mmとなった時点で、前記制御器330から入出庫口110の扉120の駆動装置130へ出力される開口幅調節信号331により、前記入出庫口110の扉120が停止し、前記除去装置300の吸水部材310が車両Cに触れる程度に押し付けられることとなる。
【0029】
前記除去装置300の吸水部材310が車両Cに触れる程度に押し付けられた状態で車両Cが扉120を通過すると(図4のステップS4参照)、前記融雪装置200で融かした水及び残存する雪が車両Cから除去される(図4のステップS5参照)。
【0030】
これにより、特許文献1に開示されているもののように、パレットの下面に集水タンク等の排水装置を設けなくて済み、余分な設置スペースが不要で、車両Cの格納効率に影響を及ぼさず、集水タンクに溜まった水によって部品が錆びる心配もない。
【0031】
又、特許文献2に開示されているものとは異なり、単に融雪装置200で雪を融かすだけではなく、該融雪装置200で融かした水及び残存する雪は除去装置300で除去されて機械式駐車装置100の内部に持ち込まれないため、機械式駐車装置100へ適用する上で有効となる。
【0032】
こうして、車両Cに付着した雪が内部に持ち込まれることを防止でき、部品の錆や他の車両Cを汚してしまうことを回避し得る。
【0033】
そして、本実施例の場合、前記融雪装置200は、送風機210と、該送風機210から導入される空気を加熱する熱交換器220と、該熱交換器220で加熱された空気を車両Cに吹き付ける噴射ノズル230とを備えている。このように構成すると、融雪装置200の送風機210から導入される空気を熱交換器220で加熱し、熱風を噴射ノズル230から吹き出すことができ、車両Cに付着した雪を効率良く融かすことができる。
【0034】
又、前記除去装置300は、入出庫口110の扉120に取り付けられ且つ車両Cに押し付けられる吸水部材310を備えている。このように構成すると、前記融雪装置200で融かした水を吸水部材310で吸い取りつつ、残存する雪を車両Cから除去することができる。
【0035】
更に又、前記除去装置300は、入出庫口110の扉120に取り付けられ且つ車両Cの両幅端を検知する近接センサ320と、該近接センサ320で検知される車両Cの両幅端に基づき、入出庫口110の扉120の駆動装置130へ開口幅調節信号331を出力する制御器330とを備えている。このように構成すると、近接センサ320によって車両Cの両幅端を検知し、該近接センサ320で検知された車両Cの両幅端に基づき、制御器330から入出庫口110の扉120の駆動装置130へ開口幅調節信号331を出力することができ、前記扉120の開口幅を車両Cに合わせて調節する上で有効となる。
【0036】
尚、本発明の機械式駐車装置は、上述の実施例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0037】
100 機械式駐車装置
110 入出庫口
120 扉
130 ガイドレール
130 駆動装置
200 融雪装置
210 送風機
220 熱交換器
230 噴射ノズル
240 送風管
250 ダクト
300 除去装置
310 吸水部材
320 近接センサ
330 制御器
331 開口幅調節信号
C 車両
図1
図2
図3
図4