IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ブラザー工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-スキャナ、制御プログラム 図1
  • 特開-スキャナ、制御プログラム 図2
  • 特開-スキャナ、制御プログラム 図3
  • 特開-スキャナ、制御プログラム 図4
  • 特開-スキャナ、制御プログラム 図5
  • 特開-スキャナ、制御プログラム 図6
  • 特開-スキャナ、制御プログラム 図7
  • 特開-スキャナ、制御プログラム 図8
  • 特開-スキャナ、制御プログラム 図9
  • 特開-スキャナ、制御プログラム 図10
  • 特開-スキャナ、制御プログラム 図11
  • 特開-スキャナ、制御プログラム 図12
  • 特開-スキャナ、制御プログラム 図13
  • 特開-スキャナ、制御プログラム 図14
  • 特開-スキャナ、制御プログラム 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022084120
(43)【公開日】2022-06-07
(54)【発明の名称】スキャナ、制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20220531BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20220531BHJP
【FI】
H04N1/00 127B
H04N1/00 L
H04N1/00 350
G03G21/00 386
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020195769
(22)【出願日】2020-11-26
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】奥野 哲也
【テーマコード(参考)】
2H270
5C062
【Fターム(参考)】
2H270KA59
2H270NB00
2H270PA81
2H270QA13
2H270QA23
2H270QA33
2H270ZC03
2H270ZC04
2H270ZC06
5C062AA02
5C062AA05
5C062AA13
5C062AA35
5C062AA37
5C062AB02
5C062AB20
5C062AB23
5C062AB38
5C062AB42
5C062AC02
5C062AC05
5C062AC08
5C062AC38
5C062AC58
5C062AF10
5C062AF12
5C062AF14
(57)【要約】
【課題】スキャン処理を実行する場合に、ユーザインタフェースの使い勝手の低下を抑制することを目的とする。
【解決手段】コントローラ56は、宛先に関連付けられたユーザIDがメモリに記憶されているか否かを判断する。ユーザIDの記憶がないと判断された場合に、操作キーを無効化し、ユーザIDの記憶があると判断された場合に、操作キーを有効化する。有効化された操作キーが操作された場合に、作成されたスキャンデータを、宛先に送信するための処理であるプッシュスキャン処理を実行する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリと、コントローラと、操作キーを有するユーザインタフェースとを備えるスキャナであって、
前記コントローラは、
スキャンデータの宛先に応じた宛先情報を前記メモリに記憶する宛先記憶処理と、
前記メモリに前記宛先情報が記憶されているか否かを判断する判断処理と、
前記判断処理により、前記宛先情報の記憶がないと判断された場合に、前記操作キーを無効化し、前記宛先情報の記憶があると判断された場合に、前記操作キーを有効化する無効化処理と、
前記有効化された操作キーが操作された場合に、作成された前記スキャンデータを、前記宛先情報により指定される宛先に送信するための処理であるスキャン処理と、
を実行するスキャナ。
【請求項2】
前記ユーザインタフェースは、表示部を有し、前記操作キーは、前記表示部に表示されるアイコンであり、
前記無効化処理では、前記判断処理により前記宛先情報の記憶があると判断されている場合に、前記操作キーを前記表示部に表示することで、前記操作キーを有効化する請求項1に記載のスキャナ。
【請求項3】
前記無効化処理では、前記判断処理により前記宛先情報の記憶がないと判断された場合に、前記操作キーを前記表示部に表示しないことで、前記操作キーを無効化する請求項2に記載のスキャナ。
【請求項4】
前記コントローラは、
設定画面を表示させ、前記設定画面は、前記スキャン処理を含む前記スキャナが実行可能な複数の処理のうち、前記操作キーの操作により実行される処理の設定を受付ける画面であり、
前記無効化処理では、
前記判断処理により前記宛先情報の記憶があると判断された場合に、前記設定画面で、前記スキャン処理を選択候補に表示させ、かつ前記スキャン処理が選択された場合に、前記操作キーを有効化し、
前記判断処理により前記宛先情報の記憶がないと判断された場合に、前記設定画面で、前記スキャン処理を選択候補に表示させないことで、前記操作キーを無効化する請求項1に記載のスキャナ。
【請求項5】
前記コントローラは、前記無効化処理により前記操作キーが有効化された後に、前記宛先情報が前記メモリから削除された場合は、前記操作キーの操作に応じて実行される処理を、前記スキャン処理から、前記スキャン処理と異なる所定の処理に設定する請求項4に記載のスキャナ。
【請求項6】
前記コントローラは、前記メモリに前記宛先情報が記憶されていない状態から、前記メモリに前記宛先情報が記憶されたことで、前記スキャン処理が実行可能になった場合、前記スキャン処理が実行可能となったことを通知する通知処理を行う請求項1~5のいずれか一項に記載のスキャナ。
【請求項7】
前記コントローラは、前記スキャナに対するログインユーザの入力を受付け可能であり、
前記判断処理により判断される前記宛先情報は、前記ログインユーザに関する宛先を示す情報であり、
前記無効化処理では、前記判断処理により前記ログインユーザに関する前記宛先情報の記憶があると判断された場合に、前記操作キーを有効化する請求項1~6いずれか一項に記載のスキャナ。
【請求項8】
前記宛先記憶処理では、前記宛先情報に関連付けて、前記宛先を識別するための情報を前記メモリに記憶し、
前記判断処理では、前記ログインユーザにより入力された情報と、前記メモリに記憶されている前記宛先を識別するための情報との比較結果に基づいて、前記メモリに前記ログインユーザに関する前記宛先情報の記憶があると判断する請求項7に記載のスキャナ。
【請求項9】
通信インタフェースを備え、
前記コントローラは、前記通信インタフェースを介してサーバと通信可能であり、
前記サーバは、前記宛先情報を記憶可能であり、端末から前記宛先情報の追加又は削除の指示を受付け、受付けた前記指示に応じて、前記宛先情報を更新し、前記更新された宛先情報を前記スキャナに送信し、
前記宛先記憶処理では、前記サーバから送信された前記宛先情報を前記メモリに記憶する請求項1~8のいずれか一項に記載のスキャナ。
【請求項10】
メモリと、ユーザインタフェースとを備えるスキャナ装置のコントローラで実行可能な制御プログラムであって、
前記制御プログラムは、前記コントローラに、
スキャンデータの宛先を示す宛先情報を前記メモリに記憶する宛先記憶処理と、
前記メモリに前記宛先情報が記憶されているか否かを判断する判断処理と、
前記判断処理により、前記宛先情報の記憶がないと判断された場合に、前記ユーザインタフェースが有する操作キーを無効化し、前記宛先情報の記憶があると判断された場合に、前記操作キーを有効化する無効化処理と、
前記有効化された操作キーが操作された場合に、作成された前記スキャンデータを、前記宛先情報により指定される宛先に送信するための処理であるスキャン処理と、
を実行させる制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スキャンデータを所定の宛先に送信する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、スキャン処理を実行可能なスキャナが記載されている。スキャナは、スキャン処理において、スキャンデータを作成し、作成されたスキャンデータを予め登録された宛先に送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-195100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記構成のスキャナでは、宛先の登録又は削除が可能であるため、ユーザがスキャン処理を使用する場面で、宛先が登録されていない場合がある。このような場合、例えば、ユーザがユーザインタフェースを操作しても、プッシュスキャンを実行できないことが懸念される。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みたものであり、スキャン処理を実行する場合に、ユーザインタフェースの使い勝手の低下を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明では、メモリと、コントローラと、操作キーを有するユーザインタフェースとを備えるスキャナに関する。コントローラは、スキャンデータの宛先に応じた宛先情報をメモリに記憶する宛先記憶処理と、メモリに宛先情報が記憶されているか否かを判断する判断処理と、判断処理により、宛先情報の記憶がないと判断された場合に、操作キーを無効化し、宛先情報の記憶があると判断された場合に、操作キーを有効化する無効化処理と、有効化された操作キーが操作された場合に、作成されたスキャンデータを、宛先情報により指定される宛先に送信するための処理であるスキャン処理と、を実行する。「宛先情報」とは、宛先を識別可能な情報であり、「宛先情報を記憶する」とは、メモリに記憶された宛先情報から、宛先を特定できる状態にあることをいう。例えば、宛先情報は、宛先に応じて固有に設定された情報以外にも、連続する数字やアルファベットを用いるものであってもよい。この場合において、新たな宛先を登録する場合に、この宛先に対して既に削除された宛先情報と同じ値の宛先情報を再度設定するものであってもよい。「操作キーを有効にする」とは、操作キーを通常の機能を発揮できる状態にすることをいい、具体的には、操作キーの操作に伴いコントローラに信号が出力され、コントローラが出力された信号を受付けることをいう。一方、操作キーを無効にするとは、操作キーを通常の機能を発揮できない状態にすることをいい、操作キーの操作を受付けないことや、コントローラが操作キーの操作に伴う信号を受付けないことをいう。
【0007】
上記構成では、メモリに宛先情報が記憶されておらず、宛先情報の記憶がないと判断された場合に、操作キーを無効化することで、スキャン処理を実行するための操作を受付けず、宛先情報の記憶があると判断された場合に、操作キーを有効化することで、スキャン処理を実行するための操作を受付ける。これにより、宛先情報がメモリに記憶されておらず、スキャンデータを送信できない状態では、ユーザによる、スキャン処理の実行指示を入力できないようにすることができる。その結果、ユーザの利便性を高めることができる。
【0008】
本発明は、種々の形態により実現することが可能であり、スキャナの発明以外にも、スキャナのコントローラが実行する制御プログラムの発明としても実現することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】スキャンシステムの構成図。
図2】管理情報を説明する図。
図3】管理情報の更新手順を示すタイミングチャート。
図4】待受画面を表示後の処理の手順を説明するフローチャート。
図5】待受画面を説明する図。
図6】通知画面を説明する図。
図7】操作アイコンを無効化する際の処理の手順を示すフローチャート。
図8】機能選択画面を説明する図。
図9】宛先画面を説明する図。
図10】スキャン実行画面を説明する図。
図11】操作アイコンが無効化された機能選択画面を説明する図。
図12】第2実施形態に係る操作アイコンを無効化する処理の手順を示すフローチャート。
図13】第3実施形態に係る操作アイコンを無効化する処理の手順を示すタイミングチャート。
図14】宛先が登録されていない場合のEWS画面を説明する図。
図15】宛先が登録されている場合のEWS画面を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1実施形態)
本実施形態係に係るスキャンシステムを、図面を参照しつつ説明する。
図1に示すスキャンシステム100は、端末10と、サーバ30,31,32と、MFP(Multifunction Peripheral/Printer/Productの略称)50とを備えている。端末10と、サーバ30,31,32と、MFP50とはネットワーク200に接続されている。本実施形態では、ネットワーク200は、インターネットであってもよいし、ローカルエリアネットワーク(LAN)であってもよいし、LANとインターネットとの組み合わせであってもよい。また、ネットワーク200は、有線の他、無線でもよいし有線と無線の組み合わせにより構成されていてもよい。本実施形態は、端末10とMFP50とは、ネットワークの一部を構成する不図示のルータとの間で無線により接続されており、端末10又はMFP50とサーバ30,31,32とは、インターネットを介して接続されているものとする。本実施形態では、MFP50がスキャナの一例である。
【0012】
MFP50のハードウェア構成について説明する。MFP50は、バス51、通信IF52、プリンタ部53、読取部54、ユーザIF55、コントローラ56、メモリ57及びFAX部58を備えている。MFP50を構成する各部は、バス51を介して通信可能に接続されている。IFは、Interfaceの略称である。
【0013】
通信IF52は、所定の通信プロトコルに準拠して、MFP50をネットワーク200に接続する。通信IF52は、例えば、IEEEの802.11の規格およびそれに準ずる規格に基づいて、Wi-Fi(R)(登録商標)方式の無線通信を行うことが可能とされている。また、通信IF52は、端末10との間でBluetooth(登録商標)などの近距離無線通信を行うものであってもよい。
【0014】
ユーザIF55は、コントローラ56とユーザとの間に介在するインタフェースであり、本実施形態では、タッチパネル551や、物理キーとしての操作キー552を備えている。タッチパネル551は、タッチセンサを有しており、タッチセンサによる検出結果に応じた信号を出力する。なお、本実施形態における「タッチ」とは、入力媒体をタッチパネル551の表示画面に接触させる操作全般を含む。また、入力媒体をタッチパネル551との間の距離がごく僅かな位置まで入力媒体を近接させることを、前述の「タッチ」の概念に含めてもよい。さらに入力媒体とは、ユーザの指であってもよいし、タッチペン等であってもよい。
【0015】
プリンタ部53は、シートやディスクなどの被記録媒体に画像を印刷するプリント動作を実行する。プリンタ部53の記録方式としては、記録媒体としてのインクを被記録媒体に吐出するインクジェット方式や、感光体にトナー像を形成し、形成されたトナー像を被記録媒体に転写する電子写真方式などを採用することができる。読取部54は、原稿に記録されている画像を読み取ってスキャンデータを作成するスキャン処理を実行する。MFP50のコントローラ56は、読取部54に、ADF(Auto Document Feeder)又は読取り台にセットされた原稿を読み取らせることで、スキャンデータを作成させ、作成されたスキャンデータを、通信IF52を介してサーバ30又は端末10に送信することができる。FAX部58は、所定のプロトコルに従いFAX処理を実行する。また、MFP50は、複数の動作を組み合わせた複合動作を実行可能であってもよい。プリンタ部53によるプリント動作と、読取部54によるスキャン処理とを組み合わせたコピー処理は、複合動作の一例である。
【0016】
本実施形態では、スキャン処理には、「Scan to File」、「Scan to Email」、「Scan to Mobile」、「Scan to OCR」、「Scan to Image」、「Scan to Media」の個別処理が含まれる。「Scan to File」は、スキャンデータをネットワーク200に接続された不図示のFTPサーバに保存させる個別処理である。「Scan to Email」は、スキャンデータを指定されたメールアドレスを宛先としてEmailで送信する個別処理である。「Scan to OCR」は、スキャンデータをテキストデータに変換する個別処理である。「Scan to Image」は、グラフィックアプリケーションを起動させて、スキャンデータをグラフィックアプリケーションにより編集させる個別処理である。なお、「Scan to Media」は、スキャンデータをMFP50に接続されたUSB等の外部メディアに保存する個別処理である。
【0017】
「Scan to Mobile」は、ユーザIF55を介してユーザからスキャン処理の実行指示を受け付けたことを契機に、MFP50に、スキャンデータを作成させ、作成されたスキャンデータをサービス提供サーバ30にアップロードさせる個別処理である。サービス提供サーバ30にアップロードされたスキャンデータは、端末10を操作することによりダウンロードすることが可能である。本実施形態では、「Scan to Mobile」がプッシュスキャン処理の一例である。
【0018】
コントローラ56は、CPUや、ASIC(Application Specific Integrated Circuitの略称)等により構成されており、プリンタ部53、読取部54、ユーザIF55の各動作を制御する。メモリ57は、コントローラ56が実行する各種プログラムを保存している。
【0019】
本実施形態において、メモリ57は、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリーが組み合わされて構成されている。また、メモリ57は、コンピュータであるコントローラ56が読み取り可能なストレージ媒体であってもよい。ストレージ媒体とは、CD-ROM、DVD-ROM等の記録媒体も含まれる。以下、後述するメモリ15においても同様である。
【0020】
メモリ57には、制御プログラム40が記憶されている。コントローラ56は、制御プログラム40を実行することにより、上述した、スキャン処理、プリント処理、FAX処理等の各動作を実行することができる。また、メモリ57のデータ記憶領域には、コントローラ56が参照するデータとして、能力情報41と、管理情報42(図2)とが記憶されている。
【0021】
能力情報41は、MFP50の性能を示す複数の項目を含んでおり、例えば、構造体形式の情報である。能力情報41には、スキャン処理に関係する項目として、「原稿サイズ」、「解像度」、「カラー設定」、「読取り形式」、「ファイル形式」の各項目が記憶されている。「原稿サイズ」は、MFP50がスキャン処理を実行する際の原稿の読取り範囲を示す情報である。例えば、「A4」は、A4サイズの読取り範囲で原稿を読取ることを示す情報であり、「自動」は、読取り範囲を原稿に合わせて自動で調整できることを示す情報である。「解像度」は、スキャン処理を実行する際のスキャンデータの解像度を示す情報である。「カラー設定」は、MFP50がスキャン処理を実行する際のスキャンデータの色の有無を設定する情報であり、例えば、「カラー」や、「モノクロ」を含んでいる。「読取り形式」は、MFP50がスキャン処理を実行する際の原稿の読取り面(両面、片面)を示す情報である。「ファイル形式」は、MFP50がスキャン処理を実行する際のスキャンデータのファイル形式(JPEG,TIFE)を示す情報である。なお、能力情報41の項目として、「ADF傾き補正」、「明るさ」、「コントラスト」、「白紙除去」の項目が含まれていてもよい。
【0022】
管理情報42は、「Scan to Mobile」において登録された宛先に関する情報が記憶されている。本実施形態では、図2に示すように、管理情報42には、「ユーザID」、「表示名」、「スキャン設定」の各項目を含んでいる。管理情報42のうち、「ユーザID」は、スキャンシステム100上で宛先となる装置を管理するために割り振られる情報である。「表示名」は、宛先をMFP50のユーザIF55に表示させる際の表示名を示す情報である。本実施形態では、表示名が、宛先を識別するための情報の一例である。「スキャン設定」は、宛先を対象とするスキャン処理を実行する際のスキャン設定であり、能力情報41により示される範囲内で設定可能である。これ以外にも、管理情報42には、装置のMACアドレスや、制御プログラム40のプログラムIDといった、宛先となる装置を識別する識別情報が含まれていてもよい。
【0023】
次に、サーバ30,31,32について説明する。各サーバ30,31,32は、コンピュータとしてのCPUと、通信IFと、メモリとを備えている。サービス提供サーバ30は、MFP50により作成されたスキャンデータがアップロードされるサーバである。サービス提供サーバ30は、アップロードされたスキャンデータを、端末10からの指示に応じて、端末10にダウンロードさせることができる。情報収集サーバ31は、管理情報42を管理するサーバである。
【0024】
プッシュ通知サーバ32は、スキャンデータがサービス提供サーバ30にアップロードされた際に、宛先となる装置にプッシュ通知を送信するサーバである。プッシュ通知サーバ32が、プッシュ通知を提供する仕組みの一例としては、APNS(Apple Push Notification Service)や、GCM(Google Cloud Messaging for Android)を用いることができる。本実施形態では、APNSやGCMのサービスを利用する場合、プッシュ通知サーバ32は、通知情報として、宛先となる装置の所在を示すアドレスを、プッシュ通知IDに関連付けて登録しており、宛先となる装置は、プッシュ通知サーバ32からプッシュ通知IDを取得しているものとする。なお、プッシュ通知は、APNSやGCMのプロトコルに応じた通知である。「プッシュ通知ID」は、プッシュ通知を行う場合に、宛先を識別する情報である。
【0025】
次に、端末10について説明する。端末10は、スマートフォンやタブレット端末である。端末10は、バス11と、端末側CPU12と、ユーザIF13と、通信IF14と、メモリ15とを備えている。これらの構成要素は、バス11を介して互いに通信可能に接続されている。
【0026】
ユーザIF13は、MFP50のユーザIF55と同様の構成であり、タッチパネルや、操作キーを備えている。通信IF14は、MFP50の通信IF14と同様の構成である。なお、通信IF14は、基地局を介した移動通信システムを利用した無線通信を行うものであってもよい。
【0027】
端末側CPU12は、メモリ15に記憶されたプログラムを実行することで、端末10の各部を制御する。メモリ15には、OS20(Operating Systemの略称)と、アプリケーションプログラム21と、ブラウザプログラム22が記憶されている。以下では、アプリケーションプログラムを、「アプリケーション」と略称する。また、プログラムを実行するCPUのことを、単にプログラム名でも記載する場合がある。例えば、「アプリケーション21が」という記載は、「アプリケーション21を実行する端末側CPU12が」ということを意味する場合がある。
【0028】
なお、本実施形態では、主に、プログラムに記述された命令に従ったCPUの処理を示す。すなわち、以下の説明における「判断」、「抽出」、「選択」、「算出」、「決定」、「特定」、「取得」、「受付」、「制御」等の処理は、CPUやコントローラの処理を表している。CPUによる処理は、OS20を介したハードウェア制御も含む。なお「取得」は要求を必須とはしない概念で用いる。すなわち、アプリケーション21が要求することなくデータを受信するという処理も、「CPUがデータを取得する」という概念に含まれる。また、本明細書中の「データ」とは、コンピュータに読取可能な形式で表される。そして、実質的な意味内容が同じでフォーマットが異なるデータは、同一のデータとして扱われるものとする。本明細書中の「情報」についても同様である。
【0029】
OS20は、アプリケーション21に対して、OS20が備える機能の利用、サーバ30,31,32及びMFP50との通信、及び他のプログラムの機能の利用を可能にするAPI(Application Programming Interface)を備えている。アプリケーション21は、OS20の機能により、通信IF14を介して接続可能なMFP50に対して、プリント処理、スキャン処理等の指示を行う。ブラウザプログラム22は、MFP50又はサーバ30,31,32と通信し、MFP50から送信されたWebページデータを表示させることができる。
【0030】
次に、図3を用いて、個別処理「Scan to Mobile」で使用される宛先の登録又は削除を実行するための処理を説明する。図3に示す各処理のうち、端末10が実行する処理は、アプリケーション21により実行され、MFP50が実行する処理は、制御プログラム40により実行される。なお、端末10、MFP50、サーバ30,31との間のネットワーク接続は既に確立されているものとする。
【0031】
ステップS11(以下、単にS11と称す。)では、アプリケーション21は、ユーザIF13に登録画面を表示し、ユーザによる入力操作を、ユーザIF13を介して受け付ける。登録画面は、ユーザによる入力操作に応じて、端末10の情報を管理情報42に登録又は削除するための画面である。新たな宛先を登録する場合、ユーザは、ユーザIF13に表示された登録画面上で、MFP50を指定し、登録対象の宛先(即ち、端末10)に関する情報として表示名やスキャン設定を入力する。一方、既に登録済みの宛先を削除する場合、登録画面上で、削除対象の宛先に関する情報を消去する。ここでは、宛先を登録する場合を例に説明を行う。
【0032】
S12では、アプリケーション21は、MFP50のプッシュスキャン処理の宛先として、MFP50の装置IDと、S11で入力を受付け付けた表示名及びスキャン設定と、自装置のプッシュ通知IDとを、登録要求とともに送信する。装置IDは、MFPを識別するための情報であり、事前にアプリケーション21がMFP50などから取得すればよい。S13では、サービス提供サーバ30は、端末10から送信された各情報を、管理情報42に記憶する更新処理を行う。具体的には、登録対象となる宛先に対してユーザIDを割り当て、このユーザIDに対して宛先に関する表示名、及びスキャン設定を関連付けて記憶する。本実施形態では、管理情報42により管理可能なユーザIDの数には、上限数が定められている。例えば、図2に示す管理情報42では、「User1」~「UserN」までのN数(Nは1以上の整数)のユーザIDに対して宛先となる装置に関する情報(表示名、スキャン設定、プッシュ通知ID)を関連付けて記憶可能である。新たな宛先が登録される場合、N数のユーザIDの中から装置に関する情報が関連づけられていないユーザIDが割り当てられ、割り当てられたユーザIDに対して宛先に関する情報が記憶される。図2では図示されていないが、サービス提供サーバ30に記憶される管理情報42には、ユーザIDに関連付けて、宛先となる装置から送信されたプッシュ通知IDと、装置IDとが記憶される。
【0033】
S14では、サービス提供サーバ30は、S13で更新された管理情報42を、装置IDと共に情報収集サーバ31に送信する。本実施形態では、サービス提供サーバ30は、新たに宛先となる装置の情報が追加された管理情報42を一括で情報収集サーバ31に送信する。なお、S14において、サービス提供サーバ30は、自装置のアドレスを示すURLを、管理情報42と共に、情報収集サーバ31に送信するものであってもよい。
【0034】
S15では、情報収集サーバ31は、サービス提供サーバ30から送信された更新後の管理情報42及び装置IDを、そのまま、MFP50に送信する。装置IDは、図4に示す処理に先立って、事前にMFP50のメモリ57に記憶されるものであってもよい。
【0035】
MFP50の制御プログラム40は、情報収集サーバ31から送信された更新後の管理情報42を受信すると、S16で、宛先記憶処理を行う。この宛先記憶処理では、制御プログラム40は、受信された更新後の管理情報42を現在メモリ57に記憶されている管理情報42に上書きすることにより、管理情報42を一括で更新する。これにより、制御プログラム40は、端末10を、宛先に登録する。なお、MFP50のメモリ57に記憶される管理情報42には、ユーザIDに関連付けて、情報収集サーバ31から送信された装置IDが記憶される。
【0036】
次に、管理情報42に新たな宛先に関する情報が記憶されたことで宛先の登録が行われた場合に、コントローラ56が実行する処理の手順を、図4を用いて説明する。S20では、待受画面を表示する。待受画面は、MFP50のメイン電源が投入されたことを契機にユーザIF55のタッチパネル551に表示される画面である。図5に示すように、待受画面60は、MFP50が実行可能な処理の指定操作を受付ける画面である。本実施形態では、待受画面60は、FAX指定アイコン61、コピー指定アイコン62、スキャン指定アイコン63、ショートカットアイコン64を含んでいる。FAX指定アイコン61は、FAX処理に対する実行操作を受付けるアイコンである。コピー指定アイコン62は、コピー処理に対する実行操作を受付けるアイコンである。スキャン指定アイコン63は、スキャン処理に対する実行操作を受付けるアイコンである。ショートカットアイコン64は、既に登録済みのショートカットキーを含むショートカット画面の表示指示を受付けるアイコンである。
【0037】
S21では、管理情報42が更新されたか否かを判断する。上述のように、宛先の登録又は削除が行われる場合、サービス提供サーバ30から、情報収集サーバ31を経由して更新後の管理情報42が一括で送信され、メモリ57に記憶された管理情報42が更新される。本実施形態では、制御プログラム40は、管理情報42の更新を示す履歴情報をメモリ57に記憶しており、この履歴情報を参照することで、管理情報42が更新されたか否かを判断すればよい。なお、S21を否定判定した場合、S21に戻る。
【0038】
S21を肯定判定した場合、S22に進み、管理情報42を参照する。S23では、管理情報42にユーザIDを含む新たな宛先に関する情報が記憶されているか否かを判断する。管理情報42の更新により、宛先に関する情報が記憶されていなければ、S23を否定判定し、S21に戻る。一方、管理情報42の更新により、ユーザIDを含む宛先に関する情報が記憶されていれば、S23を肯定判定し、S24に進む。
【0039】
S24では、待受画面60に通知アイコンを表示させる。図5に示す待受画面60では、上部に通知アイコン66が表示されている。通知アイコン66は、新たな宛先が登録されたことにより、個別機能である「Scan to Mobile」が実行可能となったことを示すテキスト画像を含んでいる。本実施形態では、ユーザIDが宛先情報の一例である。
【0040】
S25では、S24で表示された通知アイコン66に対する操作を検出したか否かを判断する。通知アイコン66に対する操作を検出しない場合、S25を否定判定し、S21に戻る。一方、通知アイコン66に対する操作を検出した場合、S25を肯定判定し、S26に進む。
【0041】
S26では、個別機能「Scan to Mobile」が実行可能となったことを示す通知画面をユーザIF55に表示させる。図6に示す通知画面67には、宛先が登録されたことにより、個別機能「Scan to Mobile」が実行可能となったことを示すテキスト画像が表示されている。更に、通知画面67には、端末10が個別機能「Scan to Mobile」を実行するためのアプリケーションプログラムのインストールを促すテキスト画像が表示されている。なお、既にアプリケーションプログラムがインストールされている場合、通知画面67にアプリケーションプログラムをインストールする旨を通知するテキスト画像を表示しなくともよい。本実施形態では、制御プログラム40がS24~S26で実行する処理が通知処理の一例である。
【0042】
S27では、通知画面67を非表示にする指示操作を検出した場合、S28に進む。なお、通知画面67を非表示にする指示操作を検出しない場合、待機する。S28では、通知画面67及び待受画面60に表示された通知アイコン66を非表示にする。そして、S21に戻る。
【0043】
次に、待受画面60でスキャン指定アイコン63が操作されたことを契機に実行される処理を、図7を用いて説明する。図7に示す処理は、制御プログラム40により実行される処理であるため、主体の記載を省略する。
【0044】
S30では、メモリ57に記憶された管理情報42を参照する。S31では、管理情報42に、ユーザIDが記憶されているか否かを判断する。管理情報42にユーザIDが記憶されており、S31を肯定判定する場合、S32に進み、「Scan to Mobile」に対応する操作アイコンのある機能選択画面をユーザIF55に表示させる。
【0045】
S32においてユーザIF55に表示される機能選択画面70は、図8に示すように、スキャン処理のうち、個別処理の選択を受付ける操作アイコン71,72,73を含んでいる。このうち、操作アイコン71は、個別機能「Scan to Media」の指示操作を受付けるアイコンである。操作アイコン72は、個別機能「Scan to Mobile」の指示操作を受付けるアイコンである。操作アイコン73は、個別機能「Scan to Email」の指示操作を受付けるアイコンである。本実施形態では、変更アイコン74,75の操作に応じて、操作アイコン71~73を、機能選択画面70内で中央に位置させることで、ユーザによる指定操作を受付け可能に設定することができる。図8に示す機能選択画面70では、操作アイコン72がユーザによる指示を受付け可能なアイコンに設定されている。
【0046】
S32で表示された機能選択画面70で、操作アイコン72が操作されたことを検出すると、S34を肯定判定し、S35に進む。なお、機能選択画面70で、操作アイコン71,73が操作されたことを検出した場合、図7で示す処理とは別の処理が実行される。
【0047】
S35では、管理情報42により登録された宛先は2件以上あるか否かを判断する。例えば、図3で示した処理により2件の宛先が登録されている場合、管理情報42には、2件分のユーザID及びこのユーザIDに関連付けられた表示名等が記憶されている。S35を肯定判定すると、S36に進む。
【0048】
S36では、宛先画面をユーザIF55に表示させる。宛先画面は、管理情報42に記憶された表示名が一覧表示される画面である。図9に示す宛先画面76では、宛先の指定を受付けるための宛先アイコン77,78,79が含まれている。各宛先アイコン77~79には、管理情報42に記憶された表示名のうち表示名「ユーザA」、「ユーザB」、「ユーザC」が表示されている。
【0049】
S37では、宛先画面76に含まれる宛先アイコン77~79いずれかの指定操作を検出したか否かを判断する。S37を否定判定する場合、待機する。一方、S37を肯定判定すると、図10に示すスキャン実行画面80をユーザIF55に表示させる。スキャン実行画面80は、指定された宛先を対象とする個別処理「Scan to Mobile」の実行指示を受付ける画面である。図10に示すスキャン実行画面80は、宛先画面76上で、宛先アイコン77が操作された場合に表示される画面である。スキャン実行画面80には、設定変更アイコン81、実行アイコン82を含んでいる。
【0050】
設定変更アイコン81は、指定された宛先に関連づけられたスキャン設定を変更する場合に、ユーザによる指定操作を受付けるアイコンである。設定変更アイコン81それぞれには、管理情報42で、ユーザID「User1」に関連付けて記憶された現在のスキャン設定(用紙サイズ「A4」、色設定「モノクロ」、解像度「200 dpi」)が表示されている。実行アイコン82は、現在指定されている宛先を対象とする個別処理「Scan to Mobile」を開始する場合に、ユーザによる指定操作を受付けるアイコンである。
【0051】
S35に戻り、登録された宛先が1件しかない場合、S38に進み、現在登録されている宛先に応じたスキャン実行画面80をユーザIF55に表示させる。スキャン実行画面80で実行アイコン82が指定操作された場合、宛先を対象とする「Scan to Mobile」を実行する。具体的には、制御プログラム40は、読取り台にセットされた原稿を読取部54に読取らせることでスキャンデータを作成させる。なお、ユーザが、スキャン処理の実行をキャンセルするアイコンをタッチ操作した場合、制御プログラム40はスキャン処理を実行しない。
【0052】
制御プログラム40は、作成されたスキャンデータを、サービス提供サーバ30に送信する。このとき、制御プログラム40は、スキャンデータと共に、宛先に関するユーザIDをサービス提供サーバ30に送信する。サービス提供サーバ30は、MFP50から送信されたスキャンデータを受信すると、スキャンデータをメモリにアップロードする。このとき、サービス提供サーバ30は、スキャンデータを管理するためのジョブ管理テーブルに、スキャンデータに含まれる、ラベル名、モデル名、実行日時、データサイズ、サムネイル画像を、送信されたユーザIDに関連付けて記憶する。
【0053】
サービス提供サーバ30は、プッシュ通知サーバ32に、プッシュ通知の送信要求と共に、プッシュ通知IDと、スキャンデータのアップロード先を指定するURLとを送信する。サービス提供サーバ30から送信されるプッシュ通知IDは、宛先(ここでは、端末10)のユーザIDに対応するプッシュ通知IDである。プッシュ通知サーバ32は、プッシュ通知の送信要求を受信すると、自装置が記憶する通知情報上で、プッシュ通知IDに関連付けられた装置(ここでは、端末10)のアドレスを参照する。そして、参照されたアドレスに、プッシュ通知を送信する。本実施形態では、プッシュ通知には、スキャンデータのアップロード先を指定するURLと、このURLを画面に表示させるためのWebページデータとが含まれている。
【0054】
端末10のアプリケーション21は、プッシュ通知を受信すると、トップ画面上で、プッシュ通知を受信したことを示す通知画像を表示させる。これにより、端末10を操作するユーザは、端末10を宛先とするスキャンデータが、サービス提供サーバ30にアップロードされたことを確認することができる。アプリケーション21は、ユーザIF13を介して通知画像に対する操作を検出すると、ブラウザプログラム22により、プッシュ通知に含まれるWebページデータを用いて、ダウンロード指定画面を表示させる。ダウンロード指定画面には、プッシュ通知に含まれるURLが表示される。アプリケーション21は、ダウンロード指定画面上で、URLの指定操作を受付けると、指定されたURLにアップロードされたスキャンデータのダウンロード要求を、サービス提供サーバ30に送信する。
【0055】
一方、管理情報42に宛先に関連付けられたユーザIDが記憶されておらず、S31を否定判定する場合、S33に進み、個別処理「Scan to Mobile」に対応する操作アイコン72が表示されない機能選択画面70をユーザIF55に表示させる。図11に示すように、S33で表示される機能選択画面70では、操作アイコンは、操作アイコン71,73のみが表示される。即ち、機能選択画面70上での個別処理「Scan to Mobile」の指定操作が、受付け不可能になる。その後、図7の処理を終了する。
【0056】
以上説明した本実施形態では、以下の効果を奏することができる。
MFP50のコントローラ56は、管理情報42にユーザIDが記憶されているか否かを判断し、ユーザIDの記憶がないと判断した場合に、個別処理「Scan to Mobile」の指示操作を受付けるための操作アイコン72を機能選択画面70に表示させない。これにより、宛先にスキャンデータを送信できない状態では、ユーザによる、個別処理「Scan to Mobile」の実行指示を入力できないようにすることができる。その結果、ユーザの利便性を高めることができる。
【0057】
コントローラ56は、ユーザIDが記憶されていると判断した場合に、タッチパネル551に表示される機能選択画面70に、操作アイコン72を表示する。これにより、ユーザは、MFP50に個別処理「Scan to Mobile」を実行させることができることを視覚的に認識することができる。その結果、ユーザの利便性を高めることができる。
【0058】
コントローラ56は、管理情報42に、ユーザIDが記憶されていないと判断した場合に、機能選択画面70で操作アイコン72を表示しない。これにより、ユーザは、MFP50に個別処理「Scan to Mobile」を実行させることができないことを視覚的に認識することができる。その結果、ユーザの利便性を高めることができる。
【0059】
コントローラ56は、管理情報42にユーザIDが記憶されていない状態から、ユーザIDが記憶されたことで、個別処理「Scan to Mobile」が実行可能になった場合、待受画面60上で通知する。これにより、ユーザは、待受画面60を確認することで、個別処理「Scan to Mobile」が実行可能になったことを認識することができるため、ユーザの利便性をいっそう高めることができる。
【0060】
MFP50のコントローラ56は、端末10の操作に応じて更新された管理情報42をメモリ57に記憶する。これにより、端末10の操作に応じてユーザIDを削除可能なMFP50においても、本発明を適用することができる。
【0061】
(第1実施形態の変形例)
上述した第1実施形態におけるS28の処理では、操作アイコン72を機能選択画面70で非表示とした。これに代えて、操作アイコン72を、表示を維持したまま、操作を受付けないようにすることで、無効化してもよい。この場合において、無効化された操作アイコン72は、例えば、グレーアウト表示することで、無効化されていない場合の操作アイコン72と区別すればよい。
【0062】
上述した第1実施形態では、新たな宛先が登録された場合に、待受画面60に通知アイコン66を表示させた。これに代えて、新たな宛先が登録された場合に、機能選択画面70に個別機能「Scan to Mobile」が実行可能となったことを示す通知を行ってもよい。
【0063】
上述した第1実施形態では、管理情報42には、スキャン設定が記憶された。これに代えて、管理情報42にはスキャン設定が記憶されていなくともよい。この場合において、制御プログラム40は、個別処理「Scan to Mobile」を実行する際に、ユーザIF55を介して個別にスキャン設定の変更等を受付ければよい。
【0064】
(第2実施形態)
第2実施形態では、第1実施形態と異なる構成を主に説明を行う。第2実施形態において第1実施形態と同一の箇所については同じ符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0065】
本実施形態では、MFP30にユーザがログインした状態で、ログインユーザのユーザIDが記憶されている場合に、コントローラ56は、個別処理「Scan to Mobile」に係る操作アイコン72をユーザIF55に表示させる。本実施形態において、待受画面60でスキャン指定アイコン63が操作されたことを契機に実行される処理を、図12を用いて説明する。図12に示す処理は、制御プログラム40により実行される処理であるため、主体の記載を省略する。
【0066】
S40では、MFP50にユーザがログイン中であるか否かを判断する。本実施形態では、ユーザIF55の操作に応じて、タッチパネル551にログイン画面を表示させることができる。例えば、ログイン画面には、ユーザ名及びパスワード情報を入力する入力フィールドと、ログインボタンとが表示される。ユーザによるユーザ名及びパスワード情報の入力、及びログインボタンの操作を受付けると、入力されたユーザ名およびパスワード情報に対して認証を行う。そして、認証が成立した場合、MFP50をログイン状態に移行させることができる。ログイン中でなければ、S40を否定判定して、S33に進む。一方、ログイン中である場合、S40を肯定判定し、S30に進む。
【0067】
S30では、メモリ57に記憶された管理情報42を参照する。S41では、管理情報42に記憶された宛先を認識できる情報である表示名と、ログイン画面で入力されたユーザ名との比較結果に基づいて、管理情報42にログインユーザに関する情報があるか否かを判断する。具体的には、管理情報42に記憶された表示名とログインユーザのユーザ名とが一致する場合に、管理情報42にログインユーザに関する情報があると判断する。これ以外にも、ログイン画面で入力されたユーザ名が、管理情報42に記憶された表示名に含まれている場合に、管理情報42にログインユーザに関する情報が記憶されていると判断してもよい。この場合において、ユーザ名と表示名とは1対1で対応している必要はなく、ログインユーザが2つ以上の装置を宛先として登録している場合、ユーザ名と表示名とは1対他数であってもよい。S41を肯定判定する場合、S32に進み、個別機能「Scan to Mobile」に対応する操作アイコンのある機能選択画面(図8)をユーザIF55に表示させる。
【0068】
管理情報42に記憶されたユーザIDが、宛先に関するユーザを個別に識別可能な文字等を含んでいる場合、S41で、管理情報42に記憶されたユーザIDと、ログイン画面で入力されたユーザ名との比較結果に基づいて、管理情報42にログインユーザに関する情報があるか否かを判断してもよい。
【0069】
第1実施形態と同様、S32で表示された機能選択画面70で、操作アイコン72が操作されたことを検出すると、S34を肯定判定し、S35に進む。そして、S35~S37の処理を経由した後、S38でスキャン実行画面80(図10)をユーザIF55に表示させる。
【0070】
一方、管理情報42にログインユーザに関する情報が記憶されておらず、S41を否定判定する場合、S33に進み、個別処理「Scan to Mobile」に対応する操作アイコン72が表示されない機能選択画面70(図11)をユーザIF55に表示させる。即ち、個別処理「Scan to Mobile」に対する指示操作を受付け不可能にする。S38又はS33を終了すると、図12に示す処理を終了する。
【0071】
以上説明した本実施形態では、制御プログラム40は、管理情報42にログインユーザに関するユーザIDが記憶されていると判断した場合に、個別処理「Scan to Mobile」に応じた操作アイコン72を機能選択画面70に表示させる。これにより、ログインユーザがMFP50にログインしている場面では、ログインユーザの宛先を示すユーザIDが記憶されている場合に、個別処理「Scan to Mobile」の実行指示が受付けられるため、ユーザの利便性をいっそう高めることができる。
【0072】
(第3実施形態)
第3実施形態では、第1実施形態と異なる構成を主に説明を行う。第3実施形態において第1実施形態と同一の箇所については同じ符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0073】
第1実施形態では、MFP50のユーザIF55は、タッチパネル551を有していた。これに代えて本実施形態では、MFP50のユーザIF55は、タッチパネル551を有しておらず、物理キーである操作キー552のみを有している。制御プログラム40は、操作キー552に対して、MFP50により実行可能な個別処理のうち、操作キー552の操作により実行される処理を設定することができる。これにより、ユーザは、操作キー552を操作することで、設定された個別処理をMFP50に実行させることができる。
【0074】
図13は、操作キー552に、個別処理を設定するための処理の手順を説明するタイミングチャートである。S50では、端末10(アプリケーション21)は、MFP50に対してウェブ画面の表示要求を送信する。本実施形態のMFP50はウェブサーバ機能(以下EWS:Embedded Web Serverと称す)を備えており、端末10などのウェブブラウザからの要求に応じた画面を表示することが可能である。の制御プログラム40は、端末10からの表示要求を受信すると、S51で、EWS画面データを送信する。EWS画面データは、端末10のブラウザプログラム22にEWS画面を表示させるためのWebページデータである。
【0075】
制御プログラム40は、EWS画面データを受信すると、S52で、受信されたEWS画面データによりブラウザプログラム22にEWS画面を表示させる。図14図15は、一例としてブラウザプログラム22によりユーザIF55に表示されたEWS画面300を説明する図である。EWS画面300は、設定領域301、項目指定領域302を含んでいる。項目指定領域302は、MFP50(EWS)により提供可能なサービスを示す項目が一覧表示される領域である。ユーザは、端末10を操作することで、項目指定領域302に表示された項目を指定して、サービスの実行や、サービスに係る設定を行うことができる。設定領域301は、項目指定領域302で指定されたサービスに関する画面が表示される領域である。なお、S52では、項目指定領域302上で項目の指定が行われていないため、設定領域301には何ら画面が表示されていない。
【0076】
ユーザが端末10のユーザIF13に表示されたEWS画面300において、項目指定領域302に含まれる項目303(「Scan to 〇〇」)の指定操作を行うと、S53では、アプリケーション21は、指定された項目303に応じた画面データをMFP50に要求する。画面データは、EWS画面300の設定領域301に表示させる画像を表示するためのデータである。本実施形態では、制御プログラム40は、EWS画面300全体を表示するためのWebページデータを送信するのではなく、端末10から送信された要求に応じて、EWS画面300の一部(本実施形態では、設定領域301)を表示するための画像データを端末10に送信する。
【0077】
制御プログラム40は、画面データの要求を受信すると、S54で、管理情報42を参照する。S55では、管理情報42に宛先に関連付けられたユーザIDが記憶されているか否かを判断する。S55を否定判定すると、S56に進む。S56では、「Scan to 〇〇」の項目303で分類されるサービスのうち、個別処理「Scan to Mobile」以外の処理を選択候補とする画面データである第1候補データを端末10に送信する。本実施形態では、項目「Scan to 〇〇」に属する個別処理は、上述した、個別処理「Scan to File」、「Scan to OCR」、「Scan to Image」、「Scan to Email」、「Scan to Mobile」がある。
【0078】
アプリケーション21は、MFP50から第1候補データを受信すると、S57で、ブラウザプログラム22に、第1候補データを用いて、EWS画面300を表示させる。本実施形態では、EWS画面300の設定領域301には、指定可能な個別処理を表示するドロップボックス304が表示される。具体的には、図14に示すように、設定領域301には、第1候補データにより示される「File」、「OCR」、「Image」、「Email」の各個別処理の一部名称がドロップボックス304に表示される。言い換えると、S57では、ドロップボックス304には、個別処理「Scan to Mobile」の一部名称である「Mobile」が表示されない。このため、ユーザは、EWS画面300を操作することで、個別処理「Scan to Mobile」を操作キー552の操作により実行される処理に設定することができない。
【0079】
S55に戻り、管理情報42に宛先に関連づけられたユーザIDが記憶されている場合、S55を肯定判定し、S58に進む。S58では、項目303で分類される全ての個別処理を候補とする画面データである第2候補データを端末10に送信する。即ち、第2候補データには、個別処理『Scan to Mobile』が候補として含まれる。
【0080】
アプリケーション21は、MFP50から第2候補データを受信すると、S59で、ブラウザプログラム22に、第2候補データを用いて、EWS画面300を表示させる。S59で表示されるEWS画面300には、図15に示すように、設定領域301には項目303により分類される、「File」、「OCR」、「Image」、「Email」、「Mobile」の全ての個別処理の一部名称がドロップボックス304に表示される。このため、ユーザは、EWS画面300を操作することで、個別処理「Scan to Mobile」を操作キー552の操作により実行される処理に設定することができる。
【0081】
以下、端末10に表示されたEWS画面300上で、「Mobile」の指定操作が行われた場合を例に説明を行う。アプリケーション21は、S60でユーザによる指定操作を受付けた個別処理を含む設定情報を送信する。
【0082】
制御プログラム40は、端末10から送信された設定情報を受信すると、S61で、個別処理(ここでは、「Scan to Mobile」)を操作キー552の操作により実行される処理に設定する設定処理を行う。これにより、ユーザによる操作キー552の操作を契機に、制御プログラム40は、個別処理「Scan to Mobile」を実行する。
【0083】
その後、端末10を操作することで、宛先の削除が行われた場合、図3で示す処理に従い、サービス提供サーバ30に削除対象となった宛先に関する情報(ユーザID、表示名、スキャン設定)が削除された管理情報42が上書きされる。サービス提供サーバ30から、S62で、情報収集サーバ31を経由して、更新後の管理情報42がMFP50に送信される。
【0084】
制御プログラム40は、更新後の管理情報42を受信すると、S63では、受信された管理情報42をメモリ57に上書きすることで、管理情報42を一括で更新する。S64では、制御プログラム40は、操作キー552の操作により実行される個別処理を、個別処理「Scan to Mobile」から他の個別処理に変更する。これは、宛先が削除されたことに伴い、個別処理「Scan to Mobile」が実行することができなくなったためである。本実施形態では、制御プログラム40は、個別処理「Scan to Mobile」から、デフォルトで設定された個別処理に変更する。例えば、デフォルトで設定された個別処理は、個別処理「Scan to Media」である。
【0085】
以上説明した本実施形態では、制御プログラム40は、管理情報42に、ユーザIDが記憶されていると判断された場合に、EWS画面300で、個別処理「Scan to Mobile」を選択候補に表示させ、かつ個別処理「Scan to Mobile」が選択された場合に、個別処理「Scan to Mobile」を操作キー552の操作により実行される処理に設定する。一方、制御プログラム40は、管理情報42に、ユーザIDの記憶されていないと判断した場合に、EWS画面300で、個別処理「Scan to Mobile」を選択候補に表示させない。これにより、端末10を操作することで、個別処理「Scan to Mobile」の実行指示の有無を切換え可能な構成においても、本発明と同様の効果を奏することができる。
【0086】
制御プログラム40は、操作キー552に個別処理「Scan to Mobile」が設定された後に、ユーザIDを含む宛先に関する情報が削除された場合は、操作キー552の操作に応じて実行される処理を、個別処理「Scan to Mobile」からデフォルトの個別処理に変更する。これにより、プッシュ通知IDが記憶されていない状態において、ユーザが誤って操作キー552を操作した場合に、MFP10が何らかの個別処理の実行を開始するため、操作キー552を操作してもMFP10が何ら動作しない場合と比べて、ユーザがMFP10の故障を誤認識するのを防止することができる。
【0087】
(第3実施形態の変形例)
上述した第3実施形態では、EWS画面300上で、操作キー552の操作により実行される個別処理を設定した。これに代えて、EWS画面300上で、タッチパネル551に表示される操作アイコンの操作により実行される個別処理を設定してもよい。この場合においても、制御プログラム40は、S61で、個別処理の設定を行えばよい。
【0088】
上述した第3実施形態では、端末10にEWS画面300を表示させることで、操作キー552の操作により実行される個別処理を設定した。これに代えて、MFP10に、EWS画面300を表示してもよい。
【0089】
(その他の実施形態)
本明細書で開示される技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
上述した各実施形態では、宛先情報をプッシュ通知IDとし、個別処理「Scan to Mobile」を例に説明を行った。これに代えて、制御プログラム40が、個別処理「Scan to Email」を行う場合に、宛先情報であるメールアドレスが削除されているか否かに応じて、操作アイコン73(図8)の表示・非表示を行ってもよい。この場合において、制御プログラム40は、図7のS33で、操作アイコン73を非表示にした機能選択画面70を表示すればよい。
【0090】
上述した各実施形態では、管理情報42上で、ユーザIDを用いて端末10を識別した。これに代えて、管理情報42には、ユーザIDに代えて、装置のシリアル番号や、アプリケーション21を識別するプログラムID等の識別情報を用いてもよい。
【0091】
MFP50をスキャナとして説明したことは一例であり、スキャナは、スキャン処理のみを備える装置であってもよい。
【符号の説明】
【0092】
40…制御プログラム、50…MFP、55…ユーザIF、56…コントローラ、57…メモリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15