(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022084143
(43)【公開日】2022-06-07
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
H05B 33/06 20060101AFI20220531BHJP
H01L 27/32 20060101ALI20220531BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20220531BHJP
H05B 33/22 20060101ALI20220531BHJP
H05B 33/12 20060101ALI20220531BHJP
【FI】
H05B33/06
H01L27/32
H05B33/14 A
H05B33/22 Z
H05B33/12 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020195811
(22)【出願日】2020-11-26
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金城 拓海
【テーマコード(参考)】
3K107
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC23
3K107DD38
3K107DD89
3K107DD90
3K107EE03
3K107FF13
3K107FF15
(57)【要約】
【課題】高い環境耐性を実現することが可能な表示装置を提供する。
【解決手段】実施形態に係る表示装置は、基材と、基材の上に配置された駆動トランジスタと、駆動トランジスタの上に配置された第1絶縁層と、第1絶縁層の上に配置されたカソード電極と、カソード電極の上に配置された発光層を含む有機層と、有機層を覆うアノード電極と、第1絶縁層の上に配置され、カソード電極に重畳する開口部を有する第2絶縁層と、第2絶縁層の上に配置された隔壁とを備える。アノード電極は、第1及び第2絶縁層に設けられた第1コンタクトホールを介して駆動トランジスタに電気的に接続される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
前記基材の上に配置された駆動トランジスタと、
前記駆動トランジスタの上に配置された第1絶縁層と、
前記第1絶縁層の上に配置されたカソード電極と、
前記カソード電極の上に配置された発光層を含む有機層と、
前記有機層を覆うアノード電極と、
前記第1絶縁層の上に配置され、前記カソード電極に重畳する開口部を有する第2絶縁層と、
前記第2絶縁層の上に配置された隔壁と
を備え、
前記アノード電極は、前記第1及び第2絶縁層に設けられた第1コンタクトホールを介して前記駆動トランジスタに電気的に接続される
表示装置。
【請求項2】
前記隔壁は、上部の幅が下部の幅よりも大きい形状を有する請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記隔壁は、前記基材の主面の法線方向を軸として対称な形状を有する請求項2記載の表示装置。
【請求項4】
前記隔壁は、前記基材の主面の法線方向を軸として非対称な形状を有する請求項2記載の表示装置。
【請求項5】
前記アノード電極は、平面視において前記有機層を囲う位置に配置されている接続電極と接続され、
前記接続電極は、前記第1コンタクトホールを介して前記駆動トランジスタに接続される
請求項1記載の表示装置。
【請求項6】
前記有機層は、前記接続電極と非接触である請求項5記載の表示装置。
【請求項7】
前記カソード電極は、画素が配置されていない周辺領域と重畳する第1絶縁層に設けられた第2コンタクトホールを介して、当該カソード電極に電圧を供給する配線に接続される請求項1記載の表示装置。
【請求項8】
前記カソード電極は、画素が配置されている表示領域と重畳する第1絶縁層に設けられた第3コンタクトホールを介して、当該カソード電極に電圧を供給する配線に接続される請求項1記載の表示装置。
【請求項9】
前記第1コンタクトホールと対向する前記カソード電極の端部を覆う絶縁部材を更に備える請求項1記載の表示装置。
【請求項10】
前記第1コンタクトホールの内面を覆う絶縁部材を更に備える請求項1記載の表示装置。
【請求項11】
第1画素と重畳する領域において、前記カソード電極は前記第1絶縁層の上に配置され、前記アノード電極は前記有機層を覆っており、
前記第1画素とは異なる第2画素と重畳する領域において、前記アノード電極は前記第1絶縁層の上に配置され、前記カソード電極は前記有機層を覆っている
請求項1記載の表示装置。
【請求項12】
前記第1画素と重畳する領域において前記第1絶縁層の上に配置されたカソード電極には、第1電圧が供給され、
前記第2画素と重畳する領域において前記有機層を覆うカソード電極は、第2電圧が供給される
請求項11記載の表示装置。
【請求項13】
前記第1画素と重畳する領域に配置された有機層及び前記第2画素と重畳する領域に配置された有機層は、それぞれ同一の色を発光する発光層を含む請求項11または12記載の表示装置。
【請求項14】
前記第1画素と重畳する領域に配置された有機層及び前記第2画素と重畳する領域に配置された有機層は、それぞれ異なる色を発光する発光層を含む請求項11または12記載の表示装置。
【請求項15】
基材と、
前記基材の上に配置された駆動トランジスタと、
前記駆動トランジスタの上に配置された第1絶縁層と、
前記第1絶縁層の上に配置されたカソード電極と、
前記カソード電極の上に配置された発光層を含む有機層と、
前記有機層を覆うアノード電極と、
前記第1絶縁層の上に配置され、前記カソード電極に重畳する開口部を有する第2絶縁層と
を具備し、
前記アノード電極は、前記第1及び第2絶縁層に設けられたコンタクトホールを介して前記駆動トランジスタに電気的に接続される
表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示素子として有機発光ダイオード(OLED)を適用した表示装置が実用化されている。表示素子は、アノード電極(画素電極)とカソード電極(共通電極)との間に有機層を備えている。有機層は、発光層の他に、機能層を含む。
【0003】
ところで、上記した機能層には例えば電子注入層等が含まれるが当該電子注入層は、フッ化リチウム及びカルシウム等のアルカリ金属(またはアルカリ金属化合物)等により形成され、水分等によって容易に変質する。このような変質は、ダークスポット等の要因になる。
【0004】
表示装置においては駆動トランジスタが形成されるアレイ基板側にアノード電極を配置し、対向基板側にカソード電極を配置する構成が一般的であるが、このような構成の場合には上記した電子注入層が水分等の影響を受けやすく、環境耐性が低下することが懸念される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008-135325号公報
【特許文献2】特開2000-195677号公報
【特許文献3】特開2005-259550号公報
【特許文献4】特開2014-154382号公報
【特許文献5】特開2016-213380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、高い環境耐性を実現することが可能な表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係る表示装置は、基材と、前記基材の上に配置された駆動トランジスタと、前記駆動トランジスタの上に配置された第1絶縁層と、前記第1絶縁層の上に配置されたカソード電極と、前記カソード電極の上に配置された発光層を含む有機層と、前記有機層を覆うアノード電極と、前記第1絶縁層の上に配置され、前記カソード電極に重畳する開口部を有する第2絶縁層と、前記第2絶縁層の上に配置された隔壁とを備える。前記アノード電極は、前記第1及び第2絶縁層に設けられた第1コンタクトホールを介して前記駆動トランジスタに電気的に接続される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る表示装置の構成の一例を示す図。
【
図6】カソード電極に形成された開口部を含まない断面を示す図。
【
図14】カソード電極の端部を被覆する被覆部材について説明するための図。
【
図15】コンタクトホールを被覆する被覆部材について説明するための図。
【
図16】ストライプ上に分割して形成されたカソード電極を示す図。
【
図17】表示領域と重畳する絶縁層に設けられたコンタクトホールを示す図。
【
図18】他の方法で形成される有機層及びアノード電極の一例を示す図。
【
図19】更に他の方法で形成される有機層及びアノード電極の一例を示す図。
【
図20】第2実施形態における画素に含まれる副画素のレイアウトの一例を示す図。
【
図21】画素に含まれる副画素のレイアウトの他の例を示す図。
【
図22】
図20のC-C´線に沿う表示装置の概略的な断面図。
【
図23】カソード電極とアノード電極との配置を入れ替える構成の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の各実施形態について説明する。
なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一または類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
【0010】
なお、図面には、必要に応じて理解を容易にするために、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸を記載する。X軸に沿った方向を第1方向Xと称し、Y軸に沿った方向を第2方向Yと称し、Z軸に沿った方向を第3方向Zと称する。X軸及びY軸によって規定される面をX-Y平面と称し、X軸及びY軸によって規定される面をX-Z平面と称する。X-Y平面を見ることを平面視という。また、本実施形態においては、第3方向Zを上と定義し、第3方向Zの反対側の方向を下と定義する。「第1部材の上の第2部材」及び「第1部材の下の第2部材」とした場合、第2部材は、第1部材に接していてもよく、第1部材から離れて位置していてもよい。
【0011】
本実施形態に係る表示装置DSPは、表示素子として有機発光ダイオード(OLED)を備える有機エレクトロルミネッセンス表示装置であり、テレビ、パソコン、携帯端末及び携帯電話等に搭載される。
【0012】
(第1実施形態)
まず、第1実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る表示装置DSPの構成の一例を示す図である。表示装置DSPは、絶縁性のアレイ基板(基材)10の上に、画像を表示する表示領域DAと、表示領域DAの外側の周辺領域SAとを有している。アレイ基板10は、ガラスであってもよいし、可撓性を有する樹脂フィルムであってもよい。
【0013】
表示領域DAは、第1方向X及び第2方向Yにマトリクス状に配列された複数の画素PXを備えている。
【0014】
ここで、画素PXの一構成例について簡単に説明する。画素PXは、画素回路1と、表示素子20とを備えている。画素回路1は、画素スイッチ2と、駆動トランジスタ3と、キャパシタ4とを備えている。画素スイッチ2及び駆動トランジスタ3は、例えば薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)により構成されたスイッチ素子である。
【0015】
画素スイッチ2について、ゲート電極は走査線GLに接続され、ソース電極は信号線SLに接続され、ドレイン電極はキャパシタ4を構成する一方の電極及び駆動トランジスタ3のゲート電極に接続されている。駆動トランジスタ3について、ソース電極はキャパシタ4を構成する他方の電極及び電源線PLに接続され、ドレイン電極は表示素子20のアノード電極に接続されている。表示素子20のカソード電極は、給電線FLに接続されている。なお、画素回路1の構成は、図示した例に限らない。
【0016】
表示素子20は、発光素子である有機発光ダイオード(OLED)である。本実施形態において、複数の画素PXの各々は、例えば同一の波長に対応した光を出射する表示素子20を備えるものとする。この場合、表示素子20は、例えば白色の光を出射するように構成されているものとする。なお、表示素子20の構成については、後述する。
【0017】
このような表示装置DSPによれば、上記した画素回路1(駆動トランジスタ3)が画素PX(表示素子20)を駆動することによって、表示領域DAに画像を表示することができる。
【0018】
次に、
図2を参照して、本実施形態に係る表示装置DSPの概要について説明する。本実施形態に係る表示装置DSPは上記したように有機エレクトロルミネッセンス表示装置であるが、このような表示装置DSPにおいては、アノード電極(陽極)とカソード電極(陰極)との間に備えられる有機層に対して駆動電流を供給することによって、当該有機層に含まれる発光層を発光させることができる。このアノード電極、カソード電極及び有機層が上記した表示素子20を構成する。なお、
図2に示すように有機層には発光層以外に電子注入層、電子輸送層及び正孔輸入層等の機能層が含まれるが、当該有機層は他の機能層を含む構成であってもよい。
【0019】
ここで、
図2の左側は、一般的な有機エレクトロルミネッセンス表示装置のアノード電極、カソード電極及び有機層の位置関係を示している。
図2の左側に示すように、一般的な有機エレクトロルミネッセンス表示装置においては、アレイ基板上にアノード電極、有機層及びカソード電極が順次配置される。なお、アノード電極、有機層及びカソード電極を挟んでアレイ基板と対向する位置には対向基板が配置されている。この対向基板は光透過性を有し、発光層が発光することによって表示素子20から出射された光は、当該対向基板を介して視認される。
【0020】
ところで、有機層に含まれる例えば電子注入層には水分等により変質しやすいアルカリ金属等が用いられているが、一般的な有機エレクトロルミネッセンス表示装置において、当該電子注入層はカソード電極側に形成されている。また、一般に、電子注入層と接する位置に配置される電子輸送層を形成する材料(電子輸送性材料)は活性が高い。このため、
図2の左側に示すようにアレイ基板側にアノード電極を配置し、対向基板側にカソード電極を配置すると、カソード電極側に形成される電子注入層が水分等の影響を受けやすく、環境耐性が低下する。
【0021】
そこで、本実施形態に係る表示装置DSP(有機エレクトロルミネッセンス表示装置)においては、
図2の右側に示すように、アレイ基板側にカソード電極を配置し、対向基板側にアノード電極を配置する構成を採用する。
なお、本実施形態においては、便宜的に対向基板を備えるものとして説明するが、当該対向基板が省略される構成も可能であり、また、当該対向基板に代えて偏光板等が設置される構成であってもよい。
【0022】
以下、
図3を参照して、本実施形態における表示素子20の構成について説明する。表示装置DSPにおいて、上記した画素回路1はアレイ基板10上に配置されるが、
図3においては当該画素回路1に備えられる駆動トランジスタ3のみが簡略化して示されている。
【0023】
絶縁層11は、駆動トランジスタ3を覆うようにアレイ基板10上に配置されている。絶縁層11は、表示素子20の下地層に相当し、例えば有機絶縁層である。
【0024】
絶縁層12は、絶縁層11の上に配置されている。絶縁層12は、例えば有機絶縁層である。絶縁層12は、表示素子20または当該表示素子20を備える画素PXを区画するように形成されており、例えばリブ等と称される場合がある。
【0025】
表示素子20は、カソード電極CD、有機層OR及びアノード電極ADを備えている。本実施形態においては、上記したようにカソード電極CDがアレイ基板10側に配置されており、アノード電極ADが図示しない対向基板側に配置されている。
【0026】
カソード電極CDは、複数の表示素子20または当該複数の表示素子20の各々を備える複数の画素PXに対して共通に配置された電極であり、例えば共通電極等と称される場合がある。アノード電極ADは、表示素子20毎または当該表示素子20を備える画素PX毎に配置された電極であり、例えば画素電極等と称される場合がある。
【0027】
カソード電極CDは、絶縁層11の上に配置され、その一部が絶縁層12によって覆われている。カソード電極CDは、例えば表示領域DAの外側の周辺領域SAに配置された給電線FLと電気的に接続される。この場合、カソード電極CDは、
図3に示すように周辺領域SAと重畳する絶縁層11に形成されたコンタクトホールCH1を介して給電線FLと接続される。給電線FLは、カソード電極CDに対して共通電圧を供給するための配線(補助配線)である。
【0028】
なお、カソード電極CDは、例えばインジウム錫酸化物(ITO)やインジウム亜鉛酸化物(IZO)等の透明導電材料によって形成された透明電極である。なお、カソード電極CDは、銀、アルミニウムなどの金属材料によって形成された金属電極であってもよい。また、カソード電極CDは、透明電極及び金属電極の積層体であってもよい。カソード電極CDは、例えば透明電極、金属電極及び透明電極の順に積層された積層体として構成されていてもよいし、3層以上の積層体として構成されていてもよい。
【0029】
絶縁層12は、各画素PXにおいてカソード電極CDに重畳する開口部OPを有している。有機層ORは、絶縁層12の上に配置され、開口部OPを通じてカソード電極CDに接している。
図3においては示されていないが、有機層ORは、上記したように発光層及び機能層を含む。
【0030】
アノード電極ADは、有機層ORを覆うように形成されている。アノード電極ADは、例えばITOやIZO等の透明導電材料によって形成された透明電極である。なお、アノード電極ADは透明導電材料のほかに、光を透過する程度に薄くした金属による電極、あるいは、この金属と透明導電材料を積層した電極でもよい。また、アノード電極ADは、透明な保護膜(無機絶縁膜及び有機絶縁膜の少なくとも1つを含む)によって覆われていてもよい。
【0031】
ここで、本実施形態においては、一般的な有機エレクトロルミネッセンス表示装置と同様のアレイ基板10(TFTアレイ)の設計で表示装置DSPを駆動するように、対向基板側に配置されたアノード電極ADを駆動トランジスタ3と電気的に接続させる。
【0032】
具体的には、駆動トランジスタ3を露出させるように絶縁層11及び12を貫通するコンタクトホールCH2を形成し、当該コンタクトホールCH2の上に接続電極Cを配置する。接続電極Cは、コンタクトホールCH2から画素PXの外周に沿うように絶縁層12上に形成されており、アノード電極ADの端部と接している。このような構成によれば、接続電極C及びコンタクトホールCH2を介して、アノード電極ADを駆動トランジスタ3に接続させることができる。なお、コンタクトホールCH2は、絶縁層11及び12において絶縁層毎にコンタクトホールCH2をそれぞれ別の工程で形成してもよいし、絶縁層11、12を形成後に一度の工程で絶縁層11、12を貫通してコンタクトホールCH2を形成してもよい。
【0033】
なお、本実施形態において、アノード電極ADは接続電極Cと接する(接続される)が、有機層ORは接続電極Cと接しない(接続されない)構成とすることが好ましい。
【0034】
また、
図3に示す例では、アノード電極ADが接続電極C及びコンタクトホールCH2を介して駆動トランジスタ3に接続されているが、コンタクトホールCH2を介して当該アノード電極ADを駆動トランジスタ3に接続することができるのであれば、接続電極Cは省略されてもよい。
【0035】
また、本実施形態において、接続電極C(または絶縁層12)上の画素PX間の境界に相当する位置には隔壁13が配置されている。隔壁13は、逆テーパ形状を有している。なお、逆テーパ形状とは、
図3に示す隔壁13のように上部の幅が下部(底部)の幅よりも大きい形状を意味する。隔壁13の側面は、第3方向Zに対して傾斜した平面であってもよいし、曲面であってもよい。また、隔壁13は、上部から下部に向けて段階的に幅が小さくなる複数の部分によって構成されていてもよい。
【0036】
更に、隔壁13は、平面視において絶縁層12と重畳し、画素PXを区画するように形成されている。上記した有機層ORは例えば異方性あるいは指向性のある真空蒸着法によって形成され、隔壁13が配置された状態で有機層ORを形成するための有機材料を例えば表示領域DA全体に蒸着した場合、隔壁13は逆テーパ形状を有しているため、当該隔壁13の側面には有機層ORは殆ど形成されない。これによれば、隔壁13によって画素PX毎に分断されるような有機層ORを形成することができる。
【0037】
また、アノード電極ADについては、有機層ORの真空蒸着時よりも指向性が小さく、あるいは等方性のある真空蒸着法によって形成される。この場合には、アノード電極ADは隔壁13の側面及び上面、隔壁13の逆テーパによる軒下部分の絶縁層12上を覆い、アノード電極ADは接続電極Cに接続される。
図3においては示されていないが、上記したように有機層OR及びアノード電極ADが形成された場合には隔壁13の上面は有機層OR及びアノード電極ADで覆われる。
【0038】
なお、
図3においては省略されているが、アノード電極AD及び隔壁13等の上には対向基板(絶縁基板)が例えば接着剤等を介して接着される。
【0039】
次に、
図4は、画素PXの概略的な平面図である。ここでは、上記した開口部OP、有機層OR、アノード電極AD及び接続電極Cの平面視における位置関係について主に説明する。
【0040】
図4において、枠101は開口部OP(つまり、画素開口)の端部を表しており、枠102は有機層ORの端部(有機着膜端)を表しており、枠103はアノード電極ADの端部(アノード端)を表している。
【0041】
本実施形態において接続電極C(コンタクト配線)は、開口部OP及び有機層ORを囲う(つまり、画素PXの外周に沿う)ように配置されており、アノード電極AD及びコンタクトホールCH2と重畳している。これにより、アノード電極ADは、接続電極C及びコンタクトホールCH2を介してアレイ基板10上に配置されている駆動トランジスタ3と電気的に接続される。
【0042】
図4においては接続電極Cが画素PXの外周に沿うように配置されるものとして説明したが、画素PXが矩形状に区画されているものとすると、接続電極Cは、当該画素PXの少なくとも1つの辺に沿うような形状に形成されていてもよい。
【0043】
また、
図4においてはコンタクトホールCH2が画素PXの1辺の中央付近に形成されているが、当該コンタクトホールCH2は、画素PX毎に形成されるのであれば、例えば画素PXの角部等に形成されても構わない。
【0044】
次に、
図5を参照して、カソード電極CDについて説明する。
図5は、平面視におけるカソード電極CDを示している。
【0045】
カソード電極CDは上記したように複数の画素PX(表示素子20)に対して共通に配置された電極であるため、当該表示領域DAに配置されている複数の画素PXに亘って一様に形成される。しかしながら、本実施形態においてはカソード電極CDがアレイ基板10側に配置される構成であるため、
図5に示すように、カソード電極CDには、アノード電極ADを駆動トランジスタ3に接続するための開口部201が形成される。本実施形態においては、このような開口部201が画素PX毎に形成され、当該開口部201内を通過するようにコンタクトホールCH2が形成される。
【0046】
また、カソード電極CDは周辺領域SAと重畳する位置にも形成されており、当該周辺領域SAと重畳する絶縁層11に形成された複数のコンタクトホールCH1を介して給電線FLと接続される。
【0047】
図5においては、カソード電極CDが複数のコンタクトホールCH1を介して給電線FLと接続されるものとして説明したが、当該コンタクトホールCH1の数または位置は適宜変更されても構わない。
【0048】
なお、上記した
図3は、
図5に示すA-A´線に沿う断面(カソード電極CDに形成された開口部201を含む断面)を示している。詳細については説明を省略するが、例えば
図5に示すB-B´線に沿う断面(カソード電極CDに形成された開口部201を含まない断面)においては、
図6に示すようにコンタクトホールCH2は形成されていない。
【0049】
また、
図5においてはカソード電極CDに形成される開口部201の形状として矩形形状が示されているが、当該開口部201の形状に制限はなく、例えば円形形状等であってもよい。また、上記した絶縁層12が有する開口部OPと重畳する位置にカソード電極CDが配置され、かつ、コンタクトホールCH2が形成可能であれば、開口部201のサイズについても制限はない。例えばアレイ基板10として透明ポリイミドのような光透過性を有する基材を用いる場合には、開口部201のサイズを大きくすることで、表示装置DSP全体の透過率を向上させる(つまり、透明化する)ようにしてもよい。この場合、例えばカソード電極CDをメッシュ化する(メッシュ配線等で形成する)ことにより、更に透過率を向上させてもよい。
【0050】
上記したように本実施形態においては、カソード電極CDがアレイ基板10(基材)上の絶縁層11の上に配置され、アノード電極ADがカソード電極CDの上に配置された有機層ORを覆うように形成され、当該アノード電極ADは、絶縁層11及び12(第1及び第2絶縁層)に設けられたコンタクトホールCH2(第1コンタクトホール)を介して画素PXを駆動する駆動トランジスタ3に電気的に接続される。
【0051】
ここで、一般的な有機エレクトロルミネッセンス表示装置のようにアレイ基板10側にアノード電極ADを配置し、対向基板側にカソード電極CDを配置した場合には環境耐性が低くなってしまうところ、単にアレイ基板10側にカソード電極CDを配置し、対向基板側にアノード電極ADを配置する構成とした場合には、有機層ORを流れる電流の向きを逆転させる必要があるため、TFTアレイ(アレイ基板10)の設計を大幅に変更しなければならず、多大なコストが発生することが懸念される。
【0052】
これに対して、本実施形態においては、対向基板側に配置されたアノード電極ADがコンタクトホールCH2を介して駆動トランジスタ3に接続されるため、有機層ORに流れる電流の向きが逆であっても、一般的な有機エレクトロルミネッセンス表示装置に適用されるTFTアレイの設計で各画素PX(表示素子20)の駆動を実現することができる。
【0053】
更に、本実施形態においては、絶縁層12(または接続電極C)の上であって、互いに隣接する2つの画素PX(第1及び第2画素)の境界に隔壁13が配置される。このような構成によれば、例えば複数の画素PXに亘って有機層OR及びアノード電極ADを形成するための適切な材料を蒸着することにより、ファインマスク等を用いることなく、各画素PXに備えられる表示素子20(有機層OR及びアノード電極AD)を適切に分断(区画)することができる。
【0054】
また、本実施形態においては、画素PXの外周に沿う位置に接続電極Cが配置され、当該接続電極Cにアノード電極ADが接続される(接する)構成により、接続抵抗を低減することができる。更に、本実施形態においては、アノード電極ADが接続電極Cと接し、かつ、有機層ORが接続電極Cと接しない(つまり、非接触である)ように有機層OR及びアノード電極ADを形成することにより、アノード電極ADと接続電極Cとの接触面積を確保するとともに、有機層ORを介したリーク電流の発生を抑制することができる。
【0055】
また、本実施形態においては、周辺領域SAと重畳する絶縁層11に設けられたコンタクトホールCH1(第2コンタクトホール)を介してカソード電極CDと給電線FLとを接続する構成により、適切にカソード電極CDに共通電圧を供給することができる。
【0056】
以下、本実施形態の変形例について説明する。まず、
図7~
図13を参照して、本実施形態において用いられる隔壁13の変形例について説明する。なお、
図7~
図9及び
図13は、絶縁層12、隔壁13、接続電極C及びコンタクトホールCH2の部分のみを示している。
【0057】
本実施形態においては
図3に示すように隔壁13が逆テーパ形状を有するものとして説明したが、隔壁13は、例えば
図7に示すようなT字形状を有していてもよい。この
図7に示す隔壁13においても、上記した逆テーパ形状と同様に上部の幅が下部の幅よりも大きい形状であるため、画素PX(有機層OR及びアノード電極AD)を適切に分断することができる。
【0058】
このような第3方向Z(つまり、アレイ基板10の主面の法線方向)を軸として対称(左右対称)な形状を有する隔壁13を用いた場合には、当該隔壁13の安定性を向上させることができる。
【0059】
なお、左右対称な形状を有する隔壁13としては、
図8に示すような形状の隔壁13が用いられても構わない。
【0060】
一方、例えば
図9に示すような逆L字形状を有する隔壁13が用いられても構わない。このような第3方向Z(つまり、アレイ基板10の主面の法線方向)を軸として非対称(左右非対称)な形状を有する隔壁13を用いた場合には、当該隔壁13を絶縁層12の上面の例えば第1方向Xの端部側に寄せて配置することによって、絶縁層12上に形成される接続電極Cの平面視における面積を大きくすることができる。
【0061】
ここで、
図10は、
図9に示す隔壁13を用いた場合の画素PXの概略的な平面図である。この場合、接続電極Cは、上記した
図4に示すように画素PXの外周に沿うように形成することはできないが、アノード電極ADとの接触面積を大きくすることができるため、接続抵抗を低減することができる。
【0062】
なお、例えば
図9に示す隔壁13を用いて有機材料を蒸着する場合、当該有機材料が隔壁13を回り込み、絶縁層12の上面と当該隔壁13とによって形成される空間301内に進入することによって、
図11に示すように当該絶縁層12の上に配置されている接続電極Cを覆う有機層ORが形成される場合がある。
【0063】
この場合、例えば
図12に示すように空間301と接する隔壁13の各面(側面401及び下面402)に接続電極Cを形成しておくことにより、絶縁層12の上面に配置された接続電極Cが有機層ORで覆われたとしても、アノード電極ADは例えば隔壁13の側面401等に形成された接続電極Cと接するため、画素PX(表示素子20)を駆動することができる。更に、隔壁13の下面402に形成された接続電極Cと接するようにアノード電極ADが形成された場合には、アノード電極ADと接続電極Cとの接触面積をより大きくすることができる。
【0064】
なお、左右非対称な形状を有する隔壁13としては、
図13に示すような形状(台形形状)を有する隔壁13が用いられても構わない。
【0065】
次に、本実施形態において用いられるカソード電極CDの変形例について説明する。まず、本実施形態においては、
図5において説明したように画素PX毎にカソード電極CDに開口部201が形成され、当該開口部201の中をコンタクトホールCH2が通過する構成であるが、このような構成によれば、コンタクトホールCH2とカソード電極CDが近接するため、強い電界が発生する可能性がある。この場合には、電気化学的な反応が促進され、カソード電極CDの腐食または溶出が懸念される。
【0066】
このため、本実施形態においては、例えば
図14に示すように、被覆部材501でカソード電極CDの開口部201を形成する端部(エッジ)を被覆する(つまり、被覆部材501がカソード電極CDの端部を覆う)構成としてもよい。この場合、被覆部材501は、コンタクトホールCH2と対向するカソード電極CDの端部を覆うように形成されていればよい。更に、例えば
図15に示すように、被覆部材502でコンタクトホールCH2を被覆する(つまり、被覆部材502がコンタクトホールCH2の内面を覆う)構成としてもよい。
【0067】
この場合、被覆部材501及び502は、絶縁層11(または絶縁層12)と同様の材料で形成されていればよいが、例えばシリコン酸化物(SiO)、シリコン窒化物(SiN)または絶縁性高分子等の絶縁性及び被覆性の高い材料から形成されるものとする。なお、被覆部材501及び502の両方を形成する構成とすることも可能である。
【0068】
このような構成によれば、例えばカソード電極CDから溶出した金属イオンが絶縁層11(平坦化層)と絶縁層12(リブ)との界面を浸透することによってカソード電極CDとアノード電極ADが接続される(ショートする)ような事態を防止することが可能となる。
【0069】
また、本実施形態においては表示領域DAに配置されている複数の画素PXに亘ってカソード電極CDが形成されるものとして説明したが、カソード電極CDは、例えば
図16に示すように、ストライプ上に分割して形成されていてもよい。この場合には、ストライプ上に分割されたカソード電極CD毎に当該カソード電極CDを給電線FLに接続するためのコンタクトホールCH1が形成されていればよい。
【0070】
ここでは、カソード電極CDがストライプ上に分割されるものとして説明したが、当該カソード電極CDは、例えば1つの画素PX毎または隣接する複数の画素PX毎に分割されてもよい。
【0071】
また、上記したようにカソード電極CDが分割されて形成される場合、当該カソード電極CDは、
図17に示すように画素PXが配置されている表示領域DAと重畳する絶縁層11に設けられたコンタクトホールCH3(第3コンタクトホール)を介して給電線FLに接続されてもよい。このような構成の場合には、
図3に示すように周辺領域SAにコンタクトホールCH1を設ける必要がないため、周辺領域SAを縮小し、狭額縁化を実現することができる。
【0072】
なお、本実施形態においては、カソード電極CDには給電線FLを介して共通電圧が供給されるものとして説明したが、上記したようにカソード電極CDを分割して形成している場合には、当該カソード電極CD(つまり、画素PX)毎に異なる電圧を供給するような構成とすることが可能である。
【0073】
更に、カソード電極CDを分割して形成している場合には、例えば所定の画素PX(第1画素)においてはカソード電極CDをアレイ基板10側に配置し、当該画素PXとは異なる画素PX(第2画素)においてはアノード電極ADをアレイ基板10側に配置するような構成とすることも可能である。
【0074】
ここで、本実施形態においては、画素PX(有機層OR及びアノード電極AD)を絶縁層12の上に配置された隔壁13によって分断(区画)するものとして説明したが、当該有機層OR及びアノード電極ADは、例えばファインマスク等を用いたパターニングや、全面に成膜した後のエッチング等によって形成されても構わない。このような構成の場合には、例えば
図18のように有機層OR及びアノード電極ADを形成することができる。
【0075】
更に、有機層OR及びアノード電極ADは、例えば
図19に示すように絶縁層12にトレンチ601を設けることにより形成されてもよい。なお、トレンチ601は、下部(底部)の幅が上部の幅よりも大きい形状を有する。また、トレンチ601の側面は、例えば第3方向Zに対して傾斜している。このようなトレンチ601によれば、有機層OR及びアノード電極ADを形成するための材料を複数の画素PXに亘って蒸着した場合に、当該トレンチ601の部分で当該有機層OR及びアノード電極AD(つまり、画素PX)を分断することができる。
【0076】
なお、本実施形態においては複数の画素PXの各々が同一の波長に対応した光を出射する表示素子20を備えるものとして説明したが、この表示素子20が白色の光を出射する(つまり、発光色が白色である)場合を想定する。この場合には、例えば表示装置DSPが表示素子20と対向する位置(対向基板方向の位置)に赤色、緑色及び青色に着色されたカラーフィルタを備えることにより、各画素PXから赤色、緑色及び青色の光を出射することができるため、多色表示が可能となる。
【0077】
また、表示素子20が紫外光を出射する(つまり、発光色が紫外光である)場合には、表示素子20に対向する位置に光変換層が配置されることで、多色表示を実現できる。
【0078】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。以下の説明においては、前述した第1実施形態と同一の部分についてはその詳しい説明を省略する。ここでは、第1実施形態と異なる部分について主に説明する。
【0079】
前述した第1実施形態においては複数の画素PXの各々が同一の波長に対応した光を出射する表示素子20を備える(つまり、複数の画素PXが同一の色を表示する)ものとして説明したが、本実施形態は、複数の画素PXの各々が異なる色を表示する副画素SP1、SP2及びSP3を備えている点で、前述した第1実施形態とは異なる。一例では、画素PXは、赤色を表示する副画素SP1、緑色を表示する副画素SP2及び青色を表示する副画素SP3を備えている。なお、画素PXは、上記の3色の副画素の他に、白色等の他の色の副画素を加えた4個以上の副画素を備えていてもよい。
【0080】
なお、上記したように画素PXが副画素SP1、SP2及びSP3を備える構成である場合、当該副画素SP1、SP2及びSP3の各々は、前述した第1実施形態において説明した画素回路1と表示素子20とを備える。
【0081】
ここで、
図20は、画素PXに含まれる副画素のレイアウトの一例を示す図である。ここでは、4個の画素PXに着目して説明する。
【0082】
1個の画素PXを構成する副画素SP1、副画素SP2及び副画素SP3は、それぞれ第2方向Yに延びた略長方形状に形成され、第1方向Xに並んでいる。第1方向Xに並んだ2個の画素PXに着目すると、隣接する副画素の表示色は互いに異なる。また、第2方向Yに並んだ2個の画素PXに着目すると、隣接する副画素の表示色は同一である。なお、副画素SP1、副画素SP2及び副画素SP3の各々の面積は、同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0083】
図21は、画素PXに含まれる副画素のレイアウトの他の例を示す図である。1個の画素PXを構成する副画素SP1及び副画素SP2は第2方向Yに並び、副画素SP1及び副画素SP3は第1方向Xに並び、副画素SP2及び副画素SP3は第1方向Xに並んでいる。副画素SP1は第1方向Xに延びた略長方形状に形成され、副画素SP2及び副画素SP3は第2方向Yに延びた略長方形状に形成されている。副画素SP2の面積は副画素SP1の面積より大きく、副画素SP3の面積は副画素SP2の面積より大きい。なお、副画素SP1の面積は、副画素SP2の面積と同一であってもよい。
【0084】
第1方向Xに並んだ2個の画素PXに着目すると、副画素SP1及び副画素SP3が交互に配置された領域と、副画素SP2及び副画素SP3が交互に配置された領域とにおいて、隣接する副画素の表示色は互いに異なる。
【0085】
第2方向Yに並んだ2個の画素PXに着目すると、副画素SP1及び副画素SP2が交互に配置された領域において、隣接する副画素の表示色は、互いに異なる。また、複数の副画素SP3が並んだ領域においては、隣接する副画素の表示色は同一である。
【0086】
なお、
図20及び
図21に示した各副画素の外形は例えば表示素子20が有するアノード電極ADまたは当該表示素子20の発光領域(開口部OP)の外形に相当するが、当該
図20及び
図21は単に副画素SP1、SP2及びSP3のレイアウトを説明するために簡略化して示したものであり、必ずしも実際の形状を反映したものとは限らない。
【0087】
以下、
図22は、
図20のC-C´線に沿う表示装置DSPの概略的な断面図である。前述した第1実施形態においては表示素子20がカソード電極CD、有機層OR及びアノード電極ADを備え、当該有機層ORが同一の色を発光する発光層を含む(つまり、全ての画素PXが同一の色を表示する)ものとして説明したが、本実施形態においては、異なる色を発光する発光層を含む有機層OR1、OR2及びOR3が形成される。
【0088】
具体的には、副画素SP1と重畳する領域においては例えば赤色を発光する発光層を含む有機層OR1が形成されており、当該有機層OR1は、アレイ基板10側に配置されているカソード電極CD1の上に配置されるとともに、アノード電極AD1で覆われている。このカソード電極CD1、有機層OR1及びアノード電極AD1は、副画素SP1が備える表示素子20Rに相当する。
【0089】
また、副画素SP2と重畳する領域においては例えば緑色を発光する発光層を含む有機層OR2が形成されており、当該有機層OR2は、アレイ基板10側に配置されているカソード電極CD1の上に配置されるとともに、アノード電極AD2で覆われている。このカソード電極CD2、有機層OR2及びアノード電極AD2は、副画素SP2が備える表示素子20Gに相当する。
【0090】
更に、副画素SP3と重畳する領域においては例えば青色を発光する発光層を含む有機層OR3が形成されており、当該有機層OR3は、アレイ基板10側に配置されているカソード電極CD3の上に配置されるとともに、アノード電極AD3で覆われている。このカソード電極CD3、有機層OR3及びアノード電極AD3は、副画素SP3が備える表示素子20Bに相当する。
【0091】
なお、アノード電極AD1、AD2及びAD3の各々がコンタクトホールCH2を介して副画素SP1、SP2及びSP3毎に設けられている駆動トランジスタ3にそれぞれ接続されている点については、前述した第1実施形態において説明したアノード電極AD及びコンタクトホールCH2と同様であるため、ここではその詳しい説明については省略する。
【0092】
ここで、本実施形態においては、前述した
図5に示すようにカソード電極CDが表示領域DAに配置されている複数の画素PX(副画素SP1、SP2及びSP3)に亘って形成されていてもよいが、
図22においては、当該カソード電極が副画素毎に分割して形成されている例が示されている。この場合、カソード電極CD1、CD2及びCD3の各々は、副画素SP1、SP2及びSP3の各々が配置されている領域と重畳する絶縁層11に設けられたコンタクトホールCH3を介して給電線FLと接続されていればよい。
【0093】
なお、ここでは副画素毎に分割してカソード電極CD1、CD2及びCD3が形成されているものとして説明したが、当該カソード電極CD1は、例えば複数の副画素SP1に共通して形成されていてもよい。同様に、カソード電極CD2は複数の副画素SP2に共通して形成されていてもよいし、カソード電極CD3は複数の副画素SP3に共通して形成されていてもよい。すなわち、本実施形態においては、有機層の発光色(つまり、表示色)毎にカソード電極CD1、CD2及びCD3を設ける構成としても構わない。
【0094】
このような構成の場合には、表示色に応じた異なる電圧をカソード電極CD1、CD2及びCD3に供給するような構成とすることが可能である。
【0095】
更に、本実施形態は、複数の副画素SP1、SP2及びSP3のうちの少なくとも1つにおいてカソード電極とアノード電極との配置を入れ替える構成としてもよい。このような構成によれば、例えば有機層の発光色に応じて副画素SP1、SP2及びSP3毎に最適な積層構造を採用することができる。
【0096】
ここで、例えば青色を表示する副画素SP3においては、他の副画素SP1及びSP2と比べて、表示素子20B(有機層OR3)の駆動が不安定である場合がある。この場合、副画素SP3においては、有機層OR3の環境耐性を向上させるために、カソード電極CD3をアレイ基板10側に配置する構成を採用することができる。一方、カソード電極をアレイ基板10側に配置すると、表示素子20の駆動効率(発光効率)が低下することが考えられる。このため、副画素SP1及びSP2においては、アノード電極AD1及びAD2をアレイ基板10側に配置する構成を採用することができる。なお、
図23は、上記したように副画素SP3においてはカソード電極CD3をアレイ基板10側に配置し、副画素SP1及びSP2においてはアノード電極AD1及びAD2をアレイ基板10側に配置した構成を示している。
【0097】
また、発光色毎に有機層を形成するような製造プロセスの場合において、例えば赤色を発光する有機層OR1が最初に形成される場合を想定する。この場合、有機層OR1は、他の有機層OR2及びOR3が形成されている間に外気等による影響を受ける可能性がある。このような場合には、例えば副画素SP1においてカソード電極CD1をアレイ基板10側に配置することにより、環境耐性を向上させるようにしてもよい。
【0098】
上記した各実施形態によれば、高い環境耐性を実現することが可能な表示装置を提供することができる。
【0099】
以上、本発明の実施形態として説明した表示装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての表示装置も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0100】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変形例に想到し得るものであり、それら変形例についても本発明の範囲に属するものと解される。例えば、上述の実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、若しくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0101】
また、上述の実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について、本明細書の記載から明らかなもの、または当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0102】
DSP…表示装置、DA…表示領域、SA…周辺領域、PX…画素、SP1,SP2、SP3…副画素、CD,CD1,CD2,CD3…カソード電極、AD,AD1,AD2,AD3…アノード電極、OR,OR1,OR2,OR3…有機層、FL…給電線、C…接続電極、CH1,CH2,CH3…コンタクトホール、10…アレイ基板(基材)、11,12…絶縁層(第1及び第2絶縁層)、13…隔壁、20…表示素子、501,502…被覆部材、601…トレンチ。