(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022084151
(43)【公開日】2022-06-07
(54)【発明の名称】コンロ
(51)【国際特許分類】
F24C 3/12 20060101AFI20220531BHJP
【FI】
F24C3/12 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020195821
(22)【出願日】2020-11-26
(71)【出願人】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100174344
【弁理士】
【氏名又は名称】安井 雅俊
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼野 訓昌
(57)【要約】
【課題】使用前に複数の加熱部のこれまでの使用状況がわかるコンロを提供する。
【解決手段】コンロは電池駆動式であり、被調理物を加熱する複数の加熱部を備える。コンロの天板には、表示部22が設けられる。表示部22は電子ペーパーで構成され、表示内容を保持可能で且つ電気的に更新可能である。コンロは加熱部の使用に応じて使用履歴情報を記憶する。コンロは記憶した使用履歴情報に基づき、グラフ情報91と前回の使用情報92を表示部22に表示する。グラフ情報91は、複数の加熱部の夫々の使用回数を棒グラフで示した情報である。前回の使用情報92は、前回使用した加熱部の場所と燃焼時間の情報である。これにより、ユーザは、使用前の電源がオフした状態であっても加熱部のこれまでの使用状況を瞬時に把握できる。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被調理物を加熱する複数の加熱部を備えた電池駆動式のコンロであって、
表示内容を保持可能で且つ電気的に更新可能な電子ペーパーで構成され、各種情報を表示可能な表示部と、
前記表示部における前記各種情報の表示と更新を行う表示制御部と、
前記複数の加熱部の使用履歴を記録する記録部と
を備え、
前記表示制御部は、
前記記録部が記録した前記複数の加熱部の前記使用履歴に基づき、前記複数の加熱部のこれまでの使用状況を示す使用情報を前記表示部に表示する使用情報表示部を備えたこと
を特徴とするコンロ。
【請求項2】
前記加熱部のオンオフの操作を行う操作部を備え、
前記使用情報表示部は、前記操作部による前記加熱部のオフ操作時において、前記表示部に前記使用情報を表示、又は前記表示部に表示された前記使用情報を更新すること
を特徴とする請求項1に記載のコンロ。
【請求項3】
前記使用情報は、前記加熱部毎の使用回数の情報を含むこと
を特徴とする請求項1又は2に記載のコンロ。
【請求項4】
前記使用情報表示部は、前記加熱部毎の前記使用回数をグラフで表示すること
を特徴とする請求項3に記載のコンロ。
【請求項5】
前記複数の加熱部は、天板の上面に設けられた左右一対の右コンロバーナと左コンロバーナを備え、
前記記録部が記録した前記使用履歴に基づき、前記右コンロバーナと前記左コンロバーナの夫々の使用割合を算出する算出部と、
前記算出部が算出した前記右コンロバーナ及び前記左コンロバーナの夫々の前記使用割合の差が閾値以上か判断する判断部と
を備え、
前記表示制御部は、
前記判断部が前記使用割合の差が前記閾値以上と判断した場合、前記使用割合が小さい方の前記加熱部の使用を促すガイド情報を前記表示部に表示するガイド情報表示部を備えたこと
を特徴とする請求項3又は4に記載のコンロ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンロに関する。
【背景技術】
【0002】
天板の上面に、右コンロ、左コンロ、奥コンロの3つのコンロバーナを備え、筐体内にグリルを備えたビルトインコンロが知られている(例えば、特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
天板の上面において、例えば右コンロをよく使用し、それ以外のコンロバーナをあまり使用しないユーザの場合、右コンロのみ劣化が進んでしまい、結果的にコンロ寿命を短くする要因にもなっていた。また、コンロ使用前において、ユーザは、各コンロバーナをこれまでどの程度使用しているのか分からない。それ故、コンロバーナの使用頻度が偏らないように調整することができなかった。
【0005】
本発明の目的は、使用前に複数の加熱部のこれまでの使用状況がわかるコンロを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1のコンロは、被調理物を加熱する複数の加熱部を備えた電池駆動式のコンロであって、表示内容を保持可能で且つ電気的に更新可能な電子ペーパーで構成され、各種情報を表示可能な表示部と、前記表示部における前記各種情報の表示と更新を行う表示制御部と、前記複数の加熱部の使用履歴を記録する記録部とを備え、前記表示制御部は、前記記録部が記録した前記複数の加熱部の前記使用履歴に基づき、前記複数の加熱部のこれまでの使用状況を示す使用情報を前記表示部に表示する使用情報表示部を備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項2のコンロは、前記加熱部のオンオフの操作を行う操作部を備え、前記使用情報表示部は、前記操作部による前記加熱部のオフ操作時において、前記表示部に前記使用情報を表示、又は前記表示部に表示された前記使用情報を更新してもよい。
【0008】
請求項3のコンロの前記使用情報は、前記加熱部毎の使用回数の情報を含んでもよい。
【0009】
請求項4のコンロの前記使用情報表示部は、前記加熱部毎の前記使用回数をグラフで表示してもよい。
【0010】
請求項5のコンロの前記複数の加熱部は、天板の上面に設けられた左右一対の右コンロバーナと左コンロバーナを備え、前記記録部が記録した前記使用履歴に基づき、前記右コンロバーナと前記左コンロバーナの夫々の使用割合を算出する算出部と、前記算出部が算出した前記右コンロバーナ及び前記左コンロバーナの夫々の前記使用割合の差が閾値以上か判断する判断部とを備え、前記表示制御部は、前記判断部が前記使用割合の差が前記閾値以上と判断した場合、前記使用割合が小さい方の前記加熱部の使用を促すガイド情報を前記表示部に表示するガイド情報表示部を備えてもよい。
【発明の効果】
【0011】
請求項1のコンロによれば、加熱部のこれまでの使用状況を示す使用情報が表示部に表示されるので、ユーザは使用情報を参考にして使用する加熱部を適切に選択できる。そして、表示部は電子ペーパーであるので、電源がオフの状態であっても電力消費無しで、使用情報を表示し続けることができる。これにより、コンロは、ユーザに対して、使用頻度の高い加熱部の清掃、メンテナンスを促すことができるので、コンロの耐久性を向上できる。また、使用情報を確認することで、例えば、グリル等の特定の加熱部を汚したくないユーザ自身、若しくは第三者が特定の加熱部を使用してしまったかも容易に確認できる。なお、使用情報の例として、過去に使用した加熱部の場所、使用時間、使用回数、使用割合、火力パターン等の各種情報が挙げられる。
【0012】
請求項2のコンロによれば、加熱部のオフ操作が行われたタイミングで、使用情報が表示部に表示又は更新され、その表示内容が保持される。これにより、ユーザは表示部に表示された使用情報を参考にして、例えば加熱部の使用頻度が偏らないように、次に使用する加熱部を適切に選択できる。
【0013】
請求項3のコンロによれば、表示部に加熱部毎の使用回数が表示されるので、ユーザは加熱部毎の使用回数に応じて使用する加熱部を選択できる。
【0014】
請求項4のコンロによれば、表示部に加熱部毎の使用回数がグラフで表示されるので、ユーザは具体的な数値よりも、使用頻度が一定の加熱部に偏っていることを瞬時にイメージできる。
【0015】
請求項5のコンロによれば、天板上の右コンロバーナと左コンロバーナのうち、ユーザに対して使用回数が少ない方の加熱部の使用を促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2】コンロ1の電気的構成を示すブロック図である。
【
図3】不揮発性メモリ74の各種記憶領域を示す概念図である。
【
図7】グラフ情報91と前回の使用情報92が表示部22に表示された状態((1)通常時、(2)右コンロのメンテナンスを促す表示)の図である。
【
図8】グラフ情報91と前回の使用情報92が表示部22に表示された状態((1)左コンロの使用を促す表示、(2)グラフ情報91の使用回数の縮尺が変更された状態)の図である。
【
図9】使用履歴情報75が表示部22に表示された状態の図である。
【
図10】グラフ情報95(使用時間)と前回の使用情報92が表示部22に表示された状態の図(変形例)である。
【
図11】グラフ情報96(使用割合)と前回の使用情報92が表示部22に表示された状態の図(変形例)である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を説明する。以下に記載される装置構成、制御上の処理などは、特定的な記載がない限り、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明する為に用いられるものである。
【0018】
図1を参照し、コンロ1の構造を説明する。コンロ1は、ビルトインコンロである。コンロ1の上面には、天板3が設置される。天板3において、右手前には右コンロバーナ4(以下、右コンロ4と呼ぶ)、左手前には左コンロバーナ5(以下、左コンロ5と呼ぶ)、中央奥側には奥コンロバーナ6(以下、奥コンロ6と呼ぶ)が設けられる。右コンロ4、左コンロ5、奥コンロ6(以下纏めて呼ぶ場合は、コンロ4~6と呼ぶ)の夫々の中央には、鍋底に当接して調理鍋の温度を検出するセンサ組立20が設けられる。センサ組立20は、上下方向に出退可能に設けられ、サーミスタ40(
図2参照)を格納する。各コンロ4~6の近傍には、失火を検出する為の熱電対50(
図2参照)、点火する為のイグナイタ60(
図2参照)の点火電極(図示略)が設けられる。天板3の後方部には、コンロ1内に設置されたグリル庫(図示略)の排気口7が設けられる。
【0019】
天板3の上面で、右コンロ4と左コンロ5に挟まれる間の中央前側には、平面視略矩形状の表示部22が設けられる。表示部22は赤、黒、白の3色表示が可能な電子ペーパーであり、表示内容を保持可能で且つ電気的に更新可能である。本実施形態の電子ペーパーは、3色電子インクで表示する周知のマイクロカップ(登録商標)方式を採用するが、この方式以外でもよく、例えばカラー表示可能なAdvanced Color ePaper (登録商標)を採用してもよい。
【0020】
表示部22には、コンロ1の加熱部である右コンロ4、左コンロ5、奥コンロ6、グリルにおけるこれまでの使用回数や、前回使用された加熱部の場所、使用時間(燃焼時間)等が表示される(
図7参照)。表示部22に表示される各種情報は、基本的に黒と白の2色で表示されるが、後述のように、特定の部分を赤色で表示することで、その部分をユーザに注目させることができる。なお、表示部22の具体的な表示内容については後述する。
【0021】
コンロ1の前面の右上部で、且つ後述の操作つまみ11の直上には、電源ボタン25が設けられる。電源ボタン25を押下することで、コンロ1の電源をオン又はオフする。コンロ1の前面の略中央には、グリル扉8が設けられる。グリル扉8は手前側に移動可能に支持され、コンロ1内部に設けられるグリル庫(図示略)の前側の開口部を開閉する。グリル庫内には、グリルバーナ(図示略)が設けられる。グリルバーナの近傍にも、熱電対50とイグナイタ60の点火電極が設けられる。グリル扉8の右側の領域には、右側から左側に向かって順に、正面視円形状の操作つまみ11,12が横一列に並んで設けられる。グリル扉8の左側の領域にも、操作つまみ11,12と同一高さ位置に、同一円形状の操作つまみ13,14が設けられる。
【0022】
操作つまみ11は右コンロ4、操作つまみ12はグリルバーナ、操作つまみ13は奥コンロ6、操作つまみ14は左コンロ5を、点火又は消火する為に押下される。操作つまみ11~14は、対応するバーナの消火時、コンロ1の前面とほぼ面一の状態である(
図1参照)。点火の為に押下されると、後述する制御回路70によって、対応するバーナへの点火処理が実行され、公知のプッシュ・プッシュ機構(図示略)によって、操作つまみ11~14は、コンロ1前面から前方に向けて略円柱状に突出し、該突出した状態で回動操作が可能となる。操作つまみ11~14を回動操作すると、制御回路70によって、回動操作量に応じたガス量になるように、対応するバーナへのガス供給量が調整される。
【0023】
コンロ1の内部には、4つのガス量調節機構30(
図2参照)が設けられる。ガス量調節機構30は、対応するコンロ4~6、及びグリルバーナへのガス供給量を調整する。ガス量調節機構30は、弁機構部31とモータ32を備える。弁機構部31は、例えばガス流路を流れるガス量を調整するニードル弁や電磁弁等の各種弁を備える。モータ32は、弁機構部31の弁を駆動し、ガス流路を流れるガス流量が調整される。モータ32の駆動は、制御回路70によって制御される。
【0024】
操作つまみ11~14を押し込んで手前に突出させると、制御回路70は、ガス量調節機構30のモータ32に通電する。これにより、弁機構部31が駆動され、ガス流路が開放されることで、対応するバーナにガスが供給される。そして、操作つまみ11~14の回転方向と回転角度に応じて、制御回路70は、モータ32を正逆方向に回転し、弁機構部31における弁の開度を調節する。これにより、ガス流路を流れるガス量が調節されることで、対応するバーナの火力が調節される。また、操作つまみ11~14をコンロ1内部に押し込んで収容させると、制御回路70は、モータ32を逆回転させる。これにより、弁機構部31の弁は逆向きに駆動され、ガス流路が閉じられることで、対応するバーナへのガスの供給が遮断される。
【0025】
コンロ1の電源がオンの状態で、電源ボタン25を3秒以上長押しすると、チャイルドロックが設定される。チャイルドロックが設定されると、コンロ1の内部に設けられたチャイルドロック機構(図示略)が作動し、操作つまみ11~14の操作を不能とする。なお、チャイルドロック機構は周知なので、説明を省略する。チャイルドロックにより、各コンロ4~6、及びグリルバーナの点火操作が制限される。チャイルドロックが設定された状態で、電源ボタン25を3秒以上長押しすることで、チャイルドロックが解除される。
【0026】
図2を参照し、コンロ1の電気的構成を説明する。コンロ1は、制御回路70を備える。制御回路70は、CPU71、ROM72、RAM73、不揮発性メモリ74等を備える。CPU71は、コンロ1の各種動作を統括制御する。ROM72は、表示制御プログラム等の各種プログラムを記憶する。表示制御プログラムは、後述の表示制御処理(
図5参照)を実行するものである。RAM73は、各種情報を一時的に記憶する。不揮発性メモリ74は、後述の各種データを記憶する。
【0027】
制御回路70には、電源回路81、サーミスタ入力回路82、熱電対入力回路83、イグナイタ回路84、操作パネル24、モータ制御回路85、チャイルドロック制御回路86、音声出力回路87、ブザー回路88、表示制御回路89、センサ19等が電気的に各々接続される。使用者によって電源ボタン25が押下されると、電源回路81は、乾電池17から供給される電力を各種回路に供給するので、コンロ1の電源はオンする。使用者によって電源ボタン25が再押下されると、電源回路81は、各種回路への電力供給を遮断するので、コンロ1の電源はオフする。
【0028】
サーミスタ入力回路82は、各バーナに設けられたセンサ組立20に格納するサーミスタ40からの検出信号を、制御回路70に入力する。熱電対入力回路83は、熱電対50からの検出値(熱起電力に対応する信号)を、制御回路70に入力する。イグナイタ回路84は、CPU71からの制御信号に基づき、対応するバーナのイグナイタ60を駆動する。操作パネル24は、コンロ1の前面パネルの右下部分に収容され、該部分を押し込むことによって手前側に引き出される。操作パネル24は、使用者によるタイマ設定、調理メニューに応じた火力制御の選択等の入力操作等を受け付け、該入力信号を制御回路70に入力する。モータ制御回路85は、CPU71からの制御信号に基づき、4つのガス量調節機構30のモータ32の駆動を制御する。チャイルドロック制御回路86は、CPU71からの制御信号に基づき、チャイルドロック機構の駆動を制御する。
【0029】
音声出力回路87は、CPU71からの制御信号に基づき、音声のデジタル信号をアナログ信号に変換し、スピーカ77に出力する。ブザー回路88は、CPU71の制御信号に基づき、圧電ブザー78を駆動する。表示制御回路89は、CPU71からの制御信号に基づき、表示部22に後述の各種情報を表示する。センサ19は、操作つまみ11~14の夫々に設けられ、操作つまみ11~14の回転方向と回転角度を検出し、該検出信号を制御回路70に入力する。CPU71は、センサ19からの検出信号に基づき、操作つまみ11~14の回転方向と回転角度に対応するように、モータ32の出力軸を回転させ、弁機構部31を駆動させる。これにより、ガス流路を流れるガス量が調節され、対応するバーナの火力が調節される。
【0030】
ガス量調節機構30には、ポジションセンサ35が設けられる。ポジションセンサ35は、モータ32の出力軸の回転角度を検出し、該検出信号を制御回路70に入力する。CPU71は、ポジションセンサ35からの検出信号に基づき、モータ32の出力軸の回転角度を認識できるので、不揮発性メモリ74に記憶するバーナ火力情報を参照することで、対応するバーナ火力を特定できる。
【0031】
図3を参照し、不揮発性メモリ74の各種記憶領域を説明する。不揮発性メモリ74は、パラメータ記憶領域741、火力情報記憶領域742、使用履歴情報記憶領域743、使用回数記憶領域744等を備える。パラメータ記憶領域741は、温調制御等の各種パラメータを記憶する。火力情報記憶領域742は、バーナ火力情報等の各種データを記憶する。バーナ火力情報とは、モータ32の出力軸の回転角度とバーナ火力とを対応づけた情報である。本実施形態では、火力小から大までを1~10の10段階に分け、夫々の段階に対してモータ32の回転角度を割り当てている。これにより、CPU71は、モータ32の出力軸の回転角度に基づき、対応するバーナ火力を特定できる。使用履歴情報記憶領域743は、後述の使用履歴情報75を記憶する。使用回数記憶領域744は、加熱部毎の使用回数を記憶する。
【0032】
図4を参照し、使用履歴情報75を説明する。使用履歴情報75は、コンロ1における4つの加熱部の使用履歴の情報である。使用履歴情報75は、加熱部の使用毎に、履歴No、場所、燃焼時間の各種情報を含む。履歴Noは、加熱部の使用毎に付与される。場所は、使用された加熱部の場所である。燃焼時間は、使用された加熱部の燃焼時間である。加熱部の夫々の使用に応じて、加熱部の点火から消火までの燃焼時間が記録され、加熱部の場所共に使用履歴情報75として、使用履歴情報75に蓄積される。
【0033】
図5を参照し、表示制御処理を説明する。ユーザが電源ボタン25を押下し、コンロ1の電源がオンすると、CPU71はROM72から表示制御プログラムを読み出し、本処理を実行する。
【0034】
CPU71は初期化操作を受け付けたか否か判断する(S11)。初期化操作とは、表示部22に表示された後述の注意マーク911(
図7(2))と注意メッセージを消去する操作である。注意マーク911と注意メッセージは特定の加熱部のメンテナンスを促す表示である。初期化操作は、操作パネル24で行う。初期化操作が無かった場合(S11)、CPU71は履歴表示操作を受け付けたか否か判断する(S21)。ユーザは、コンロ1におけるこれまでの使用履歴を確認したい場合、操作パネル24で履歴表示操作を行う。履歴表示についても後述する。
【0035】
履歴表示操作を受け付けなかった場合(S21:NO)、CPU71は、点火された加熱部が有るか否か判断する(S14)。CPU71は、熱電対50からの検出信号に基づき、点火された加熱部の有無を判断する。点火された加熱部が無い場合(S14:NO)、CPU71はユーザにより電源がオフされたか否か判断する(S20)。電源がオフされていない場合(S20:NO)、CPU71はS11に戻る。
【0036】
点火された加熱部が有る場合(S14:YES)、CPU71は、熱電対50からの検出値に基づき、点火された加熱部の場所を特定し(S15)、図示外のタイマを用いて燃焼時間の計測を開始する(S16)。次いで、CPU71は消火された加熱部が有るか否か判断する(S17)。消火された加熱部が無い場合(S17:NO)、CPU71はS11に戻る。消火された加熱部が有る場合(S17:YES)、CPU71は表示処理を実行する(S18)。
【0037】
図6を参照し、表示処理を説明する。CPU71は熱電対50からの検出信号に基づき、消火された加熱部の場所を特定する(S31)。CPU71は消火された加熱部の燃焼時間の計測を終了する(S32)。CPU71は、消火された加熱部の使用履歴として履歴Noを昇順で付与し、消火された加熱部の場所と、計測した燃焼時間を使用履歴情報75として不揮発性メモリ74に記憶する(S33)。
【0038】
CPU71は、不揮発性メモリ74に記憶された使用履歴情報75に基づき、加熱部毎のこれまでの使用回数を算出する(S34)。CPU71は算出した使用回数を不揮発性メモリ74の使用回数記憶領域744に一旦記憶し、それに基づきグラフ情報91を作成する。
図7(1)に示すように、CPU71は、作成したグラフ情報91を表示部22の左側に表示する(S35)。グラフ情報91は、右から順に、右コンロ、奥コンロ、左コンロのこれまでの使用回数を数値と棒グラフで示す。
【0039】
CPU71は表示部22の右側に、前回の使用情報92として、消火された加熱部の燃焼時間を表示する(S36)。さらにCPU71は、前回の使用情報92の下方に、コンロ1の加熱部の場所を示したコンロ絵柄921を表示し、消火された加熱部を赤色で強調表示する(S37)。なお、
図7(1)では、右コンロ4が消火されたときの表示部22を示す。このとき、右コンロ4の燃焼時間である「3分25秒」が表示され、その下方において、コンロ絵柄921の右コンロ部分が赤色(図中では太字で示す)で表示される。
【0040】
次いで、CPU71は使用履歴情報75を参照し、使用回数が規定回数に到達した加熱部が有るか否か判断する(S38)。規定回数は加熱部毎に設定され、メンテナンスを行うのが望ましい回数(例えば100回毎に設定)に設定するとよい。規定回数に到達した加熱部が無い場合(S38:NO)、CPU71は処理を後述のS41に進める。
【0041】
一方、使用回数が規定回数に到達した加熱部が有る場合(S38:YES)、
図7(2)に示すように、CPU71は表示部22に表示されたグラフ情報91において、規定回数に到達した加熱部に注意マーク911を表示して強調すると共に(S39)、表示部22の下側に「右コンロのメンテナンスを行ってください」という注意メッセージを表示する(S40)。これにより、表示部22を見たユーザは、右コンロ4のメンテナンスが必要であることを速やかに認識できる。
【0042】
次いで、CPU71は、天板3の上面において、右コンロ4と左コンロ5の夫々の使用割合(%)を算出する(S41)。例えば、右コンロ4と左コンロ5が何れも強火力バーナの場合、コンロ1の設置環境やユーザの好み等により、その使用割合に大きな差が生じることがある。コンロ1の耐久性の観点から、右コンロ4と左コンロ5の夫々の使用割合は均等であるのが望ましい。そこでCPU71は、算出した使用割合の差が閾値以上か否か判断する(S42)。閾値は例えば50%であるが、自由に変更可能である。
【0043】
使用割合の差が閾値以上であった場合(S42:YES)、CPU71は、グラフ情報91において、使用割合の小さい方の加熱部に矢印であるガイドマーク912を表示して強調表示すると共に(S45)、表示部22の下側に「左コンロの使用をお勧めします」というガイドメッセージを表示する(S46)。これにより、表示部22を見たユーザは、右コンロ4と左コンロ5のうち、右コンロ4を優先的に使用していたことを認識できるので、次回以降、使用割合が均等になるように、左コンロ5も使用するようにできる。
【0044】
使用割合の差が閾値未満であった場合(S42:NO)、CPU71は、グラフ情報91において、ガイドマーク912による強調表示中か否か判断する(S43)。強調表示されていなければ(S43:NO)、CPU71は本処理を終了し、
図5の表示制御処理の後述のS19に処理を進める。強調表示されている場合(S43:YES)、CPU71は、ガイドマーク912とガイドメッセージを消去して強調表示を解除する(S44)。CPU71は本処理を終了し、
図5の表示制御処理の後述のS19に処理を進める。
【0045】
図5に戻り、CPU71は表示処理の終了後(S18)、燃焼中の加熱部が有るか否か判断する(S19)。燃焼中の加熱部が有る場合(S19:YES)、CPU71はS17に戻り上記処理を繰り返す。燃焼中の加熱部が無い場合(S19:NO)、CPU71は電源がオフされたか否か判断する(S2)。電源がオフされた場合(S20:YES)、CPU71は本処理を終了する。
【0046】
なお、表示部22に表示されるグラフ情報91において、使用回数に応じて棒グラフは上方に延びるので、例えば
図8(2)に示すように、最も多い使用回数が所定回数(例えば100回)を超える毎に、縦軸である使用回数の縮尺を変えて4本のグラフ全体が表示されるようにしてもよい。
【0047】
また、
図7(2)に示すように、グラフ情報91の右コンロ4に注意マーク911が表示されている場合、ユーザは右コンロ4の清掃を行う。清掃後、ユーザは電源をオンし、表示部22に表示された注意マーク911と注意メッセージを消去する必要がある。そこで、ユーザは、これらのメンテナンスの強調表示を解除する為、操作パネル24で初期化操作を行う。
図5に示すように、CPU71は初期化操作を受け付けた場合(S11:YES)、注意マーク911と注意メッセージを消去することで、メンテナンスの強調表示を解除する(S12)。これにより、ユーザは、表示部22に表示された注意マーク911と注意メッセージを消去できる。以下、CPU71は上記処理を実行する。
【0048】
また、ユーザは、コンロ1のこれまでの使用履歴を確認したい場合がある。その場合、ユーザは、操作パネル24で履歴表示操作を行う。
図5に示すように、コンロ1の電源がオンされた状態で、操作パネル24において履歴表示操作を受け付けた場合(S11:NO、S21:YES)、CPU71は不揮発性メモリ74の使用履歴情報記憶領域743から使用履歴情報75(
図4参照)を読み出し、
図9に示すように、表示部22に表示する(S22)。このとき、使用履歴情報75が表示部22の画面に収まらない場合は分割して表示してもよく、若しくはスクロール表示するようにしてもよい。ユーザは表示部22に表示された使用履歴情報75を確認することで、これまで使用された加熱部の使用状況をより詳細に把握できる。CPU71は電源がオフされたか否か判断し(S20)、電源がオンであれば(S20:NO)、S11に戻って上記処理を繰り返す。
【0049】
このように、本実施形態のコンロ1では、表示部22には、グラフ情報91と前回の使用情報92が表示される。表示部22は電子ペーパーなので、電源がオフされた後でも電力消費無しでその表示内容が保持される。これにより、ユーザは電源をオンする前に、表示部22に表示されたグラフ情報91と前回の使用情報92を確認することで、コンロ1のこれまでの使用状況を加熱部毎に容易に把握できる。
【0050】
グラフ情報91は、加熱部毎のこれまでの使用回数を棒グラフで示すので、ユーザは加熱部毎の使用回数を瞬時に認識できる。また、棒グラフで示すことから、ユーザは使用頻度の大小をイメージで簡単に把握できるので、使用頻度が均等となるようにコンロ1の加熱部を適切に使い分けることができる。これにより、本実施形態はコンロ1の耐久性を向上できる。
【0051】
また、電源がオフの状態では、前回の使用情報92が表示部22に表示されているので、例えば、右コンロ4が直近で使用されていた場合、右コンロ4の周囲がまだ冷めずに熱くなっている可能性がある。電源がオフの状態では、全ての加熱部が消火されているので、加熱部を見ただけでは分からないが、表示部22に表示された前回の使用情報92を確認することで、前回使用した加熱部の場所を把握できる。さらに、本実施形態では、コンロ絵柄921の前回使用した加熱部を赤色で表示するので、前回使用した加熱部を直感的に認識できる。これにより、前回使用した加熱部に手を触れない等、十分に気を付けることができる。
【0052】
また、コンロ1のユーザの中には、右コンロ4、左コンロ5、奥コンロ6は使用するが、グリルは使用したくないというユーザもいる。この場合、ユーザは、表示部22に表示されたグラフ情報91を確認することで、グリルが使用されていないことを容易に認識することもできる。
【0053】
以上説明したように、本実施形態のコンロ1は電池駆動式であり、被調理物を加熱する複数の加熱部を備える。複数の加熱部とは、右コンロ4、左コンロ5、奥コンロ6、グリルである。コンロ1の天板3には、表示部22が設けられる。表示部22は電子ペーパーで構成され、表示内容を保持可能で且つ電気的に更新可能である。コンロ1のCPU71は、表示部22における各種情報の表示と更新を行う。CPU71は使用履歴情報75を記憶する。使用履歴情報75は、複数の加熱部の使用履歴の情報である。CPU71は使用履歴情報75に基づき、グラフ情報91と前回の使用情報92を表示部22に表示する。グラフ情報91は、複数の加熱部の夫々の使用回数を棒グラフで表示したものである。前回の使用情報92は、前回使用した加熱部の場所と使用時間(燃焼時間)の情報である。
【0054】
ユーザは、表示部22に表示されたグラフ情報91と前回の使用情報92を参考にすることで、使用頻度が偏らないように、使用する加熱部を適切に選択できる。そして、表示部22は電子ペーパーであるので、電源がオフの状態であっても電力消費無しで、グラフ情報91と前回の使用情報92を表示し続けることができる。これにより、コンロ1は、ユーザに対して、使用頻度の高い加熱部の清掃、メンテナンスを促すことができるので、コンロの耐久性を向上できる。また、グラフ情報91と前回の使用情報92を確認することで、例えば、グリル等の特定の加熱部を汚したくないユーザ自身、若しくは第三者が特定の加熱部を使用してしまったかも容易に確認できる。
【0055】
上記説明において、CPU71は本発明の「表示制御部」の一例である。
図6のS33の処理を実行するCPU71は本発明の「記録部」の一例である。S35とS36の夫々の処理を実行するCPU71は本発明の「使用情報表示部」の一例である。グラフ情報91と前回の使用情報92は本発明の「使用情報」の一例である。操作つまみ11~14は本発明の「操作部」の一例である。
図6のS41の処理を実行するCPU71は本発明の「算出部」の一例である。S42の処理を実行するCPU71は本発明の「判断部」の一例である。S45とS46の夫々の処理を実行するCPU71は本発明の「ガイド情報表示部」の一例である。表示部22に表示されたガイドマーク912とガイドメッセージは、本発明の「ガイド情報」の一例である。
【0056】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。本実施形態のコンロ1はガスコンロであるが、電磁調理式のコンロであってもよい。コンロ1が筐体内にグリル庫を備えるが、グリル庫は省略してもよい。コンロバーナの数も上記実施形態に限定しない。
【0057】
上記実施形態において、表示部22に表示するグラフ情報91は、4つの加熱部のこれまでの使用回数を棒グラフで示したものであるが、例えば、
図10に示すように、4つの加熱部のこれまでの使用時間(燃焼時間)を棒グラフで示したグラフ情報95を表示してもよい。また、使用回数、使用時間の他に、4つの加熱部の使用割合を棒グラフで示してもよい。また、使用回数等を棒グラフ以外のグラフの種類で示してもよく、例えば、
図11に示すように、4つの加熱部の使用割合を円グラフで示したグラフ情報96を表示してもよい。
【0058】
上記実施形態では、4つの加熱部の夫々の燃焼時間を使用時間として不揮発性メモリ74に記憶するが、例えば、時計機能を用いて加熱部の点火時刻と消火時刻を記憶してもよい。この場合、加熱部を使用した時刻が分かるので、いつどの加熱部をどの位使ったかをより詳細に把握できる。
【0059】
上記実施形態では、電源ボタン25を押下することで、コンロ1の電源をオンオフするものであるが、例えば、操作つまみ11~13の点火操作と消火操作に連動して電源がオンオフするものであってもよい。
【0060】
上記実施形態では、天板3の上面前側の中央部に表示部22が設けられるが、表示部22を設ける場所は、天板3以外でもよく、例えば筐体2の前面に設けてもよい。また、表示部22の形状についても矩形状に限定されない。表示部22は、赤、黒、白の3色表示が可能な電子ペーパーであるが、2色表示の電子ペーパーであってもよい。表示する色についても赤、黒、白以外の組み合わせであってもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 コンロ
4 右コンロ
5 左コンロ
6 奥コンロ
11~14 操作つまみ
17 乾電池
22 表示部
71 CPU
75 使用履歴情報
91 グラフ情報
92 前回の使用情報
96 グラフ情報
911 注意マーク
912 ガイドマーク