(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022084204
(43)【公開日】2022-06-07
(54)【発明の名称】回転電機の回転子
(51)【国際特許分類】
H02K 1/32 20060101AFI20220531BHJP
H02K 9/08 20060101ALI20220531BHJP
【FI】
H02K1/32 E
H02K9/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020195911
(22)【出願日】2020-11-26
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】横江 晴佳
(72)【発明者】
【氏名】谷山 賀浩
(72)【発明者】
【氏名】加幡 安雄
(72)【発明者】
【氏名】白 志仁
【テーマコード(参考)】
5H601
5H609
【Fターム(参考)】
5H601AA16
5H601CC02
5H601DD01
5H601DD09
5H601DD11
5H601EE25
5H601GA02
5H601GA22
5H601GB05
5H601GB12
5H601GB33
5H601GC12
5H601GE02
5H601GE16
5H601GE17
5H601GE18
5H601JJ05
5H609PP02
5H609PP06
5H609PP07
5H609PP08
5H609PP09
5H609QQ03
5H609QQ11
5H609QQ14
5H609QQ18
5H609RR38
5H609RR39
(57)【要約】
【課題】 十分な冷却性能を維持し、通風損失を低減させることができるようにする。
【解決手段】 実施形態によれば、回転子軸と、前記回転子軸の外周側に設けられる回転子スポークと、前記回転子スポークの外周側に設けられる回転子リムと、前記回転子リムの外周側において周方向に一定の間隔で配置される複数のポールとを備えた、回転電機の回転子において、前記回転子リムの軸方向両面の外側を流れる冷却ガスを当該面に沿って内径側から外径側へ導いた後に軸方向に位置するポール間もしくはポールの方へ導くガイド部材と、前記回転子リムもしくは前記回転子スポークに取り付けられ、前記ガイド部材を支持する複数の支持部材とを具備する、回転電機の回転子が提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転子軸と、前記回転子軸の外周側に設けられる回転子スポークと、前記回転子スポークの外周側に設けられる回転子リムと、前記回転子リムの外周側において周方向に一定の間隔で配置される複数のポールとを備えた、回転電機の回転子において、
前記回転子リムの軸方向両面の外側を流れる冷却ガスを当該面に沿って内径側から外径側へ導いた後に軸方向に位置するポール間もしくはポールの方へ導くガイド部材と、
前記回転子リムもしくは前記回転子スポークに取り付けられ、前記ガイド部材を支持する複数の支持部材と、
を具備する、回転電機の回転子。
【請求項2】
前記ガイド部材は、前記回転子リムの軸方向両面の外側をそれぞれ覆うように配置される円環状の板と、当該円環状の板の外径側端部から軸方向に位置するポール間もしくはポールの方へ延在する円筒状の板とからなる、
請求項1に記載の回転電機の回転子。
【請求項3】
前記ガイド部材を構成する前記円筒状の板の回転子径方向位置は、前記回転子リムの外径側端部よりも外径側で且つ固定子の内径側端部よりも内径側の所定の位置に配置される、
請求項2に記載の回転電機の回転子。
【請求項4】
前記複数の支持部材は、それぞれ、回転子径方向に延在する板からなる、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の回転電機の回転子。
【請求項5】
前記複数の支持部材は、それぞれ、ガイド部材の外形側端部まで延在する板からなる、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の回転電機の回転子。
【請求項6】
前記ガイド部材は、当該回転子の外径側に導かれる冷却ガスの流れの向きを軸方向に位置するポール間もしくはポールの方へ緩やかに転換させる湾曲面を有する、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の回転電機の回転子。
【請求項7】
前記回転子リムもしくは前記ガイド部材に取り付けられ、当該回転子の外径側へ向かう冷却ガスの流れの向きを軸方向に位置するポール間もしくはポールの方へ緩やかに転換させる湾曲面を有する整流板をさらに具備する、
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の回転電機の回転子。
【請求項8】
前記ガイド部材は、当該回転子の回転方向側に導かれる冷却ガスの流れの向きを軸方向に位置するポール間もしくはポールの方へ緩やかに転換させる湾曲面を有する、
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の回転電機の回転子。
【請求項9】
前記回転子リムもしくは前記ガイド部材に取り付けられ、当該回転子の回転方向へ向かう冷却ガスの流れの向きを軸方向へ緩やかに転換させる湾曲面を有する整流板をさらに具備する、
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の回転電機の回転子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、回転電機の回転子に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、水車発電機等の回転電機は、冷却ガスが機内を循環する通風冷却構造を有する。水車発電機には定速機と可変速機とがあり、それぞれ構造が異なる。以下では、定速機の構造を例に説明する。
【0003】
水車発電機は、発電機と水車とから構成され、発電機は回転子と固定子とを備えている。この発電機の構成の具体例を
図14に示す。
【0004】
図14に示されるように、発電機100は、上部軸受51a、下部軸受51b、コレクタ52、風道カバー53等を備え、風道カバー53の内側に回転子61および固定子62が配置される。
【0005】
回転子61は、上部軸受51aと下部軸受51bとの間に、上部軸1aと下部軸1bとを有する回転子軸(シャフト)1を備え、この回転子軸に回転子スポーク3を介して回転子リム7が取り付けられている。この回転子リム7の外径側には、周方向に等間隔で複数の突極型のポール(磁極)9が配置されている。各ポール9は、磁極鉄心と回転子コイル(界磁コイル)10とから構成される。また、回転子リム7には、回転子スポーク3の内部から各ポール9へ径方向に連通するリムダクト(図示せず)が軸方向および周方向に複数配置されている。
【0006】
一方、固定子62は、固定子フレーム31内に収められた固定子鉄心32、固定子コイル33、接続銅帯34等を備える。また、固定子フレーム31の外側には、冷却器(ガスクーラ)35も取り付けられている。
【0007】
このような構成の発電機100では、回転子コイル10が巻かれた磁極鉄心を有するポール9、固定子鉄心32、固定子コイル33等が発熱するため、機内に冷却ガスを循環させて冷却する。この冷却ガスの循環は、回転子61の回転による遠心ファン効果を利用するのが一般的である。
【0008】
冷却ガスは、回転子61の遠心ファン効果により、回転子スポーク3に設けられた流入孔4から回転子スポーク3の内部に取り入れられ、回転子リム7内に設けられたリムダクトを通じて、ポール9間を通り抜ける。ポール9を冷却して高温となった冷却ガスは、回転子61と固定子62との間のエアギャップGに排出される。
【0009】
エアギャップGに排出された高温の冷却ガスの一部は、エアギャップGから回転子軸方向に流出し、残りの冷却ガスは、固定子鉄心32内に設けられた固定子ダクト(図示せず)を通り、固定子鉄心32の外径側にある鉄心背面36に流出し、固定子フレーム31の外径側に取り付けられた冷却器35の冷却水等と熱交換する。冷却器35との熱交換により温度が低下した冷却ガスは、固定子フレーム31の外側から回転子61側に送られ、再び回転子スポーク3に設けられた流入孔4から回転子スポーク3の内部に取り入れられて循環することになる。
【0010】
回転電機の冷却技術に関しては、効率向上を目的に、より少ない冷却ガスを用い、より効果的に冷却を行うための構造や構成の技術開発が進められている、例えば回転子部の回転子スポーク内の冷却ガスの流れを整流化し、通風損失を低減する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述した構成においては、冷却ガスは回転子スポーク機構の上端側と下端側の端板に設けられた流入孔から回転子スポーク内部に流入する。回転子スポーク機構の内部空間は強度上の制約や製造上の制約からリムダクトに対して広い空間となる為、流入した冷却ガスは回転子スポーク機構の中央近傍で衝突し、複雑な流動となって渦などが発生し、様々な通風損失が生じることで冷却効率の低下を招く。
【0013】
本発明が解決しようとする課題は、十分な冷却性能を維持し、通風損失を低減させることが可能な回転電機の回転子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
実施形態によれば、回転子軸と、前記回転子軸の外周側に設けられる回転子スポークと、前記回転子スポークの外周側に設けられる回転子リムと、前記回転子リムの外周側において周方向に一定の間隔で配置される複数のポールとを備えた、回転電機の回転子において、前記回転子リムの軸方向両面の外側を流れる冷却ガスを当該面に沿って内径側から外径側へ導いた後に軸方向に位置するポール間もしくはポールの方へ導くガイド部材と、前記回転子リムもしくは前記回転子スポークに取り付けられ、前記ガイド部材を支持する複数の支持部材とを具備する、回転電機の回転子が提供される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、十分な冷却性能を維持し、通風損失を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】第1の実施形態に係る回転電機の構成を示す縦断面図。
【
図2】
図1中に示される回転電機の回転子に備えられるガイド部材の一部を上側もしくは下側から回転子軸方向に見た図。
【
図3】第1の実施形態の変形例に係る回転電機の構成を示す縦断面図。
【
図4】
図3中に示される回転電機の回転子に備えられるガイド部材の一部を上側もしくは下側から回転子軸方向に見た図。
【
図5】第2の実施形態に係る回転電機の構成を示す縦断面図。
【
図7】
図5中に示される整流板の1つを拡大して示す正面図、上面図、および側面図をそれぞれ示す図。
【
図8】第3の実施形態に係る回転電機の構成を示す縦断面図。
【
図9】
図8中に示される回転子のA-A断面形状を示す縦断面図。
【
図11】
図9中に示される整流板の1つを拡大して示す正面図、上面図、および側面図をそれぞれ示す図。
【
図13】同実施形態の整流板の1つを拡大して示す正面図、上面図、および側面図をそれぞれ示す図。
【
図14】一般的な回転電機(発電機)の構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0018】
[第1の実施形態]
最初に、
図1~
図4を参照して、第1の実施形態について説明する。なお、前述した
図14と共通する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0019】
図1は、第1の実施形態に係る回転電機の構成を示す縦断面図である。
図2は、
図1中に示される回転電機の回転子に備えられるガイド部材の一部を上側もしくは下側から回転子軸方向に見た図である。
図3、4は、
図1、2中に示される支持部材の変形例を示す図である。
【0020】
図1に示すように、回転子軸1には回転子スポーク機構2が固設されており、この回転子スポーク機構2は、回転子軸1を中心に放射線状に回転子軸1表面から外側に伸びた回転子スポーク3とこの回転子スポーク3の上端および下端にそれぞれ固着された端板5とから構成される。端板5の内径側には、複数の流入孔4が配置される。回転子スポーク3の外周側には、回転子リム7が配置される。回転子リム7は、回転子軸方向に積層された複数の電磁鋼板により構成され、その一部にリムダクト8が設けられている。回転子リム7の外周側には、ポール9が周方向に複数配置され、ポール9には、回転子コイル10が巻かれている。このように構成される回転子61の外側には固定子62が配置されている。
【0021】
一般的な回転電機では、機内を冷却する方法として、回転子軸1と回転子61に付随する構造物の回転に伴う遠心ファン作用により冷却ガス6を循環するラジアル通風方式が採用されており、冷却ガス6が端板5に設けられた複数の流入孔4より回転子スポーク機構2内に流入し、その後、回転子スポーク機構2内を外周方向に移動し、回転子リム7に設けられたリムダクト8を通過してポール9の間に流出すると同時に回転子コイル10を冷却するように構成されている。
【0022】
本実施形態では、
図1、
図2に示すようにガイド部材14および複数の支持部材15が回転子61に設けられており、これにより流路が形成され、かつ、追加された構造物の回転に伴う遠心ファン作用が加わることで、冷却ガス6の一部はこれらの部材を通じてポール9の間に導かれ、回転子コイル10を冷却するように構成されている。
【0023】
ガイド部材14は、回転子リム7の軸方向両面の外側を流れる冷却ガス6を当該面に沿って内径側から外径側へ導いた後に軸方向に位置するポール9間もしくはポール9の方へ導くものである。複数の支持部材15は、回転子リム7もしくは回転子スポーク機構2の端板5に取り付けられ、ガイド部材14を支持するものである。
【0024】
ガイド部材14は、具体的には、回転子リム7の軸方向両面の外側をそれぞれ覆うように配置される円環状(ドーナツ形状)の板と、当該円環状の板の外径側端部から軸方向に位置するポール9間もしくはポール9の方へ延在する円筒状の板とからなる。複数の支持部材15は、それぞれ、例えば回転子径方向へ直線状に延在する板からなる。
【0025】
なお、ガイド部材14を構成する円筒状の板の回転子径方向位置(もしくは、円環状の板の外径側端部の回転子径方向位置)は、回転子リム7の外径側端部よりも外径側で且つ固定子62の内径側端部よりも内径側の所定の位置に配置される。
【0026】
このように構成された回転電機においては、回転子61が回転している間、冷却ガス6の一部は、回転子軸1と回転子61に付随する構造物の回転に伴う遠心ファン作用により、ガイド部材14の円環状の板の内径側から、ガイド部材14と端板5との間に流入し、内径側から外径側へ放射状に延びる複数の支持部材15をガイドとして外径側に移動した後、ガイド部材14の円筒状の板に沿って軸方向に位置するポール9間もしくはポール9の方へ向きを転換する。向きを転換した冷却ガス6の一部は更に外径方向に流出し、残りの冷却ガス6はポール9間に流出すると同時に回転子コイル10を冷却する。
【0027】
なお、ガイド部材14と端板5の間に流入する冷却ガス6によって、設計上十分な冷却性能を保つことができるのであれば、流入孔4を塞ぎ、冷却ガス6がスポーク3内部空間を通過しない構成としても良い。これによりスポーク3内で発生する風損を排除することが可能となる。
【0028】
本実施形態によれば、回転子スポーク3の内部空間を通らずに回転子コイル9を冷却させることもできるため、必要な冷却性能を維持しつつ、複雑な流動となり渦が発生するスポーク3内を通る冷却ガス6の流量を極力抑えることで、スポーク3内で発生する風損を減らすことができ、その結果、冷却性能の維持と通風損失の低減を両立させることが可能となる。
【0029】
なお、上述の説明では、
図2に示されるように、複数の支持部材15は、それぞれ回転子径方向へ直線状に延在する板からなる場合の例を挙げたが、支持部材15に形状はこの例に限定されるものではない。例えば
図3、4に示されるように、複数の支持部材15は、それぞれガイド部材14の外形側端部まで延びているものであってもよい。外形側端部まで延びていることで、最も冷却が必要な回転子コイル10に、より正確に冷却ガスを導くことができ、これにより冷却性能の向上が可能となる。
【0030】
[第2の実施形態]
次に、
図5~
図7を参照して、第2の実施形態について説明する。なお、前述した
図1~
図4、
図14と共通する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。以下では、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0031】
図5は、第2の実施形態に係る回転電機の構成を示す縦断面図である。
【0032】
この第2の実施形態が第1の実施形態と異なる点は、ガイド部材14が、円環状の板と円筒状の板との境界部に、回転子外径側に導かれる冷却ガス6の流れの向きを軸方向に位置するポール9間もしくはポール9の方へ緩やかに転換させる湾曲面Wを有する点と、この湾曲面Wの形状に沿って同様に湾曲した湾曲面を有する複数の整流板18Aがさらに回転子61に設けられている点にある。複数の整流板18Aは、それぞれ回転子リム7もしくはガイド部材14に取り付けられた支持部材(図示せず)により支持される。
【0033】
複数の整流板18Aは、具体的には、それぞれ
図6に示すような形状を成しており、回転子外径側へ向かう冷却ガス6の流れの向きを軸方向に位置するポール間もしくはポールの方へ緩やかに転換させる湾曲面W1を有する。
図7に、
図6中に示される複数の整流板18Aの1つを拡大して示す正面図(回転子回転方向に見た図)、上面図(上側から下側へ軸方向に見た図)、および側面図(外径側から内径側に見た図)をそれぞれ示す。なお、整流板18Aの枚数や長さは、冷却ガス6の流量や圧力によって選定しても良い。
【0034】
このように構成された回転電機においては、回転子61が回転している間、ガイド部材14の円環状の板の内側を外径側に流れる冷却ガス6は、ガイド部材14の湾曲面Wの形状および円筒状の板の形状に沿って、また、個々の整流板18Aの湾曲面W1の形状に沿って、流れの向きを軸方向に位置するポール9間もしくはポール9の方へ転換して流れる。
【0035】
本実施形態によれば、ガイド部材14の円環状の板の内側を外径側に流れる冷却ガス6は、ガイド部材14の湾曲面Wの形状および整流板18Aの湾曲面W1の形状に沿って滑らかに流れるため、軸方向に位置するポール9間もしくはポール9の方へ流れの向きを転換する際に、通風抵抗を抑えることができ、これにより更に通風損失を低減させることが可能となる。
【0036】
[第3の実施形態]
次に、
図8~
図11を参照して、第3の実施形態について説明する。なお、前述した
図1~
図7、
図14と共通する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。以下では、第2の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0037】
図8は、第3の実施形態に係る回転電機の構成を示す縦断面図である。
図9は、
図8中に示される回転子のA-A断面形状を示す縦断面図である。
【0038】
この第3の実施形態が第2の実施形態と異なる点は、ガイド部材14が、ガイド部材14と円環状の板との境界部に、回転子回転方向側に導かれる冷却ガス6の流れの向きを軸方向に位置するポール9間もしくはポール9の方へ緩やかに転換させる湾曲面W′を有する点と、前述した複数の整流板18Aの代わりに(あるいは前述した複数の整流板18Aと共に)、それらと同様の構造を有する複数の整流板18Bを、湾曲面W′の形状に沿って同様に湾曲した湾曲面を有するよう向きを変えて配置した点などにある。複数の整流板18Bは、それぞれ回転子リム7もしくはガイド部材14に取り付けられた支持部材(図示せず)により支持される。
【0039】
複数の整流板18Bは、具体的には、それぞれ
図10に示すような形状を成しており、回転子回転方向へ向かう冷却ガス6の流れの向きを軸方向に位置するポール間もしくはポールの方へ緩やかに転換させる湾曲面W2を有する。
図11に、
図10中に示される複数の整流板18Bの1つを拡大して示す正面図(回転子回転方向に見た図)、上面図(上側から下側へ軸方向に見た図)、および側面図(外径側から内径側に見た図)をそれぞれ示す。なお、整流板18Bの枚数や長さは、冷却ガス6の流量や圧力によって選定しても良い。
【0040】
このように構成された回転電機においては、回転子61が回転している間、ガイド部材14の円環状の板の内側を外径側に流れた冷却ガス6のうち、回転子回転方向に流速ベクトルを有する冷却ガス6は、ガイド部材14の湾曲面W′の形状に沿って、また、個々の整流板18Bの湾曲面W2の形状に沿って、流れの向きを軸方向に位置するポール9間もしくはポール9の方へ転換して流れる。
【0041】
本実施形態によれば、回転子回転方向に流速ベクトルを有する冷却ガス6は、同ベクトルに適するガイド部材14の湾曲面W′の形状および整流板18Bの湾曲面W2の形状に沿って滑らかに流れるため、軸方向に位置するポール9間もしくはポール9の方へ流れの向きを転換する際に、通風抵抗を抑えることができ、これにより更に通風損失を低減させることが可能となる。
【0042】
[第4の実施形態]
次に、
図12及び
図13を参照して、第4の実施形態について説明する。なお、前述した
図1~
図11、
図14と共通する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。以下では、第3の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0043】
この第4の実施形態が第3の実施形態と異なる点は、前述した複数の整流板18Bの代わりに、これと形状の異なる複数の整流板18Cを配置した点にある。複数の整流板18Cは、それぞれ回転子リム7もしくはガイド部材14に取り付けられた支持部材(図示せず)により支持される。
【0044】
複数の整流板18Cは、具体的には、それぞれ
図12に示すような形状を成している。また、
図13に、複数の整流板18Cの1つを拡大して示す正面図(回転子回転方向に見た図)、上面図(上側から下側へ軸方向に見た図)、および側面図(外径側から内径側に見た図)をそれぞれ示す。
【0045】
複数の整流板18Cは、少なくとも、回転子外径側へ向かう冷却ガス6の流れの向きを軸方向に位置するポール間もしくはポールの方へ緩やかに転換させる湾曲面W11を有すると共に、回転子回転方向へ向かう冷却ガス6の流れの向きを軸方向に位置するポール間もしくはポールの方へ緩やかに転換させる湾曲面W12を有する。そのほか、回転子外径側へ向かう冷却ガス6の流れの向きを回転子回転方向と反対の方向へ緩やかに転換させる湾曲面W10もある。
【0046】
このように構成された回転電機においては、ガイド部材14の円環状の板の内側を外径側に流れる冷却ガス6は、個々の整流板18Cの湾曲面W11の形状に沿って、流れの向きを軸方向に位置するポール9間もしくはポール9の方へ転換して流れる。その際に、個々の湾曲面W10の形状に沿って、回転子回転方向と反対の方向へ転換して流れる冷却ガス6もある。また、回転子回転方向に流速ベクトルを有する冷却ガス6は、個々の整流板18Cの湾曲面W12の形状に沿って、流れの向きを軸方向に位置するポール9間もしくはポール9の方へ転換して流れる。
【0047】
本実施形態によれば、第2の実施形態の効果と第3の実施形態の効果の両方を得ることができると共に、設置する整流板の数を少なくしつつ、各種の方向から流れてくる冷却ガス6を適切な方向に効率よく整流することができる。
【0048】
以上詳述したように、各実施形態によれば、十分な冷却性能を維持し、通風損失を低減させることができる。
【0049】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0050】
1…回転子軸、2…回転子スポーク機構、3…回転子スポーク、4…流入孔、5…端板、6…冷却ガス、7…回転子リム、8…リムダクト、9…ポール(磁極)、10…回転子コイル、14…ガイド部材、15…支持部材、18A,18B,18C…整流板、32…固定子鉄心、33…固定子コイル、61…回転子、62…固定子。