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特開2022-84210アルミニウム顔料を含有する水性樹脂組成物、水性電着樹脂液、水性電着塗料、塗膜、及び電着塗膜の形成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022084210
(43)【公開日】2022-06-07
(54)【発明の名称】アルミニウム顔料を含有する水性樹脂組成物、水性電着樹脂液、水性電着塗料、塗膜、及び電着塗膜の形成方法
(51)【国際特許分類】
   C08L 101/08 20060101AFI20220531BHJP
   C09D 5/44 20060101ALI20220531BHJP
   C09D 161/20 20060101ALI20220531BHJP
   C09D 7/61 20180101ALI20220531BHJP
   C09D 201/08 20060101ALI20220531BHJP
   C08L 61/26 20060101ALI20220531BHJP
   C08L 61/28 20060101ALI20220531BHJP
   C08L 75/02 20060101ALI20220531BHJP
   C08K 9/00 20060101ALI20220531BHJP
   C08F 20/04 20060101ALI20220531BHJP
   C08F 22/02 20060101ALI20220531BHJP
   C25D 13/00 20060101ALI20220531BHJP
   C25D 9/02 20060101ALI20220531BHJP
【FI】
C08L101/08
C09D5/44
C09D161/20
C09D7/61
C09D201/08
C08L61/26
C08L61/28
C08L75/02
C08K9/00
C08F20/04
C08F22/02
C25D13/00 H
C25D9/02
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020195923
(22)【出願日】2020-11-26
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】000111591
【氏名又は名称】ハニー化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】三浦 章弘
(72)【発明者】
【氏名】述金 幸弘
(72)【発明者】
【氏名】前田 和文
【テーマコード(参考)】
4J002
4J038
4J100
【Fターム(参考)】
4J002BC04W
4J002BG01W
4J002BG04W
4J002BG05W
4J002BG06W
4J002BG13W
4J002BH00W
4J002CC18X
4J002CC19X
4J002CK01X
4J002DA096
4J002FB076
4J002FB266
4J002FD096
4J002GH01
4J038CC022
4J038CG032
4J038CG141
4J038DA161
4J038HA066
4J038KA08
4J038NA01
4J038NA24
4J038NA25
4J038NA27
4J038PA04
4J038PC02
4J100AB02R
4J100AJ02S
4J100AL03P
4J100AL09Q
4J100CA03
4J100DA29
4J100FA03
4J100FA19
4J100FA30
4J100JA01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】低VOC性を有し、経時安定性に優れ、電着塗装による塗着効率、被塗装物への密着性、下地の隠蔽性に優れた、アルミニウム顔料を含有する水性樹脂組成物及び該水性樹脂組成物からなる水性電着樹脂液、水性電着塗料、金属調の外観(メタリック感、光沢、色調)を有し、耐食性(耐候性及び、耐酸性、耐アルカリ性、耐溶剤性等の耐薬品性)に優れた塗膜、及び該塗膜の形成方法を提供する。
【解決手段】(A)水分散性ビニル系共重合体、(B)アミノ樹脂及び(C)水分散性アルミニウム顔料を含有し、(A)水分散性ビニル系共重合体は、置換基としてカルボキシル基を有し、酸価が20~100mgKOHであり、水性溶媒への分散性を有し、炭素-炭素不飽和結合が(共)重合した(共)重合体であり、質量比(A)/(B)は、40/60~80/20であり、質量比(C)/{(A)+(B)}は、0.1/99.9~15/85である水性樹脂組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)水分散性ビニル系共重合体、(B)アミノ樹脂及び(C)水分散性アルミニウム顔料を含有する水性樹脂組成物であって、
(A)水分散性ビニル系共重合体は、置換基としてカルボキシル基を有し、酸価が20~100mgKOHであり、水性溶媒への分散性を有し、炭素-炭素不飽和結合が(共)重合した(共)重合体であり、
質量比(A)/(B)は、40/60~80/20であり、
質量比(C)/{(A)+(B)}は、0.1/99.9~15/85であることを特徴とする、水性樹脂組成物。
【請求項2】
前記水分散性アルミニウム顔料が、表面処理アルミニウム顔料からなり、
該表面処理アルミニウム顔料の表面は、無機リン系化合物、モリブデン系化合物、珪素系化合物、有機樹脂からなる群から選ばれる1種、または2種以上の組み合わせを含有することを特徴とする、請求項1に記載の水性樹脂組成物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の水性樹脂組成物からなることを特徴とする、水性電着樹脂液。
【請求項4】
請求項3に記載の水性電着樹脂液からなることを特徴とする、水性電着塗料。
【請求項5】
請求項4に記載の水性電着塗料から形成され、金属調の外観を有することを特徴とする、電着塗膜。
【請求項6】
請求項3に記載の水性電着樹脂液または請求項4に記載の水性電着塗料を、定電流法で電着塗装することを特徴とする、電着塗膜の形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミニウム顔料を含有する水性樹脂組成物、該水性樹脂組成物からなる水性電着樹脂液、水性電着塗料、それらから形成された、金属素材(アルミニウム、ステンレス及び各種合金などの)等の導電性素材からなる被塗装物に対して優れた密着性及び下地の隠蔽性を有し、金属調で均一な外観を有する塗膜、及びその塗装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から金属素材に対し、耐食性や意匠性を付与するために電着塗装法が検討されている。電着塗装法は他の塗装方法と比較して塗着効率に優れるなどの利点があるが、比重の大きな顔料などは沈降するため電着塗装では使用が制限されている。また、高輝性や、様々な意匠性を付与することが容易で、アルミニウム顔料を含有してメタリック外観が得られる塗料は、主にスプレー塗装により塗膜を形成されている。
スプレー塗装は優れた意匠性が得られるが、塗着効率が悪く、多量のVOCを発生させるため近年では低VOC型の塗料が望まれている。
【0003】
上記の問題点を解決するための方法として、古くからアルミニウム顔料などを配合した電着塗料が検討されている(特許文献1)。
しかしながら、1μm~100μmと粒子径が大きく、また比重が2.7g/cm3と大きなアルミニウム顔料は電着塗装時に沈降しやすいため、電着塗装によって得られる外観は、塗装対象物の上部と下部、また側面と天面とではアルミニウム顔料の塗着度合い(付着量)が異なり、ムラが発生しやすい。また水系においてアルミニウムが水と反応し水素ガスを発生して経時劣化するなど、課題が多かった。
その後、アルミニウムと水との反応を抑制する為の表面処理したアルミニウム顔料が開発され、それらを用いた電着塗料が提案されている(特許文献2、3)。
しかしながら、上記と同様な塗着度合い(付着量)の差異が生じてしまい、下地を隠蔽し金属調を満足する外観を得られない、または均一な金属調の外観を得ることができなかった。
また、沈降しにくいリーフィング形状のアルミニウム顔料を含有したアニオン電着塗料が提案されているが(特許文献4)、リーフィング形状のアルミニウム顔料は、沈降は抑制されているが液面に浮遊しやすく、塗装対象物の上部と下部とでアルミニウム顔料の付着量に差が生じ、下地の隠蔽性が不十分になり、十分な金属調外観が得られなかった。
【0004】
以上のように、アルミニウム顔料を用い、十分な金属調外観の得られる電着塗料はこれまでになかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開 昭48-051925号公報
【特許文献2】特開 2006-137864号公報
【特許文献3】特開 2015-187197号公報
【特許文献4】特開 2007-138089号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記のような従来技術における問題点を解決し、低VOC性を有し、経時安定性に優れ、電着塗装による塗着効率、被塗装物への密着性、下地の隠蔽性に優れた、ア
ルミニウム顔料を含有する水性樹脂組成物及び該水性樹脂組成物からなる水性電着樹脂液、水性電着塗料、更には、それらから形成される、均一な膜厚及び均一な金属調の外観(メタリック感、光沢、色調)を有し、密着性、意匠性、耐食性(耐候性及び、耐酸性、耐アルカリ性、耐溶剤性等の耐薬品性)、経時安定性に優れた、アルミニウム顔料を含有する塗膜、及び該塗膜の形成方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、鋭意研究の結果、特定のビニル系共重合体、アミノ樹脂、アルミニウム顔料を含有する水性樹脂組成物、それにより得られる水性樹脂組成物を用いて、定電流法で電着塗装することにより、金属調の外観を有するアルミニウム顔料含有電着塗膜を形成することで、上記問題点を克服できることを見出して本発明に至った。
そして本発明は、以下の点を特徴とする。
【0008】
1.(A)水分散性ビニル系共重合体、(B)アミノ樹脂及び(C)水分散性アルミニウム顔料を含有する水性樹脂組成物であって、
(A)水分散性ビニル系共重合体は、置換基としてカルボキシル基を有し、酸価が20~100mgKOHであり、水性溶媒への分散性を有し、炭素-炭素不飽和結合が(共)重合した(共)重合体であり、
質量比(A)/(B)は、40/60~80/20であり、
質量比(C)/{(A)+(B)}は、0.1/99.9~15/85であることを特徴とする、水性樹脂組成物。
2.前記水分散性アルミニウム顔料が、表面処理アルミニウム顔料からなり、
該表面処理アルミニウム顔料の表面は、無機リン系化合物、モリブデン系化合物、珪素系化合物、有機樹脂からなる群から選ばれる1種、または2種以上の組み合わせを含有する
ことを特徴とする、上記1記載の水性樹脂組成物。
3.上記1又は2に記載の水性樹脂組成物からなることを特徴とする、水性電着樹脂液。4.上記3に記載の水性電着樹脂液からなることを特徴とする、水性電着塗料。
5.上記4に記載の水性電着塗料から形成され、金属調の外観を有することを特徴とする、電着塗膜。
6.上記3に記載の水性電着樹脂液または上記4に記載の水性電着塗料を、定電流法で電着塗装することを特徴とする、電着塗膜の形成方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、低VOCの塗装プロセスを実現できることで産業上極めて有用であり、安定性に優れ、電着塗装による塗着効率、金属素材への密着性、下地の隠蔽性に優れた、アルミニウム顔料を含有する水性樹脂組成物及び該水性樹脂組成物からなる水性樹脂組成物、更には、それらから形成されるアルミニウム顔料を含有して金属調の外観を有して、密着性、意匠性、耐食性、経時安定性に優れた塗膜、及び該塗膜の形成方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明について更に詳しく説明する。
本発明は、アルミニウム顔料を含有する低VOC性の水性樹脂組成物、該水性樹脂組成物からなる水性樹脂液、該水性樹脂液からなる水性電着塗料、更には、それらから形成される金属調の外観を有する均一で経時安定性に優れ塗膜、及び該塗膜の形成方法に関する。
【0011】
<水性樹脂組成物>
本発明の水性樹脂組成物は、有効成分(固形分、非溶剤成分)として、(A)水分散性
ビニル系共重合体、(B)アミノ樹脂、(C)水分散性アルミニウム顔料を含有することが好ましい。
そして、必要に応じて、(D)中和剤や、(E)水性溶剤を更に含有することができる。
【0012】
また、塗膜が意匠性を有し易いように顔料、染料、フィラー等を更に含有したり、塗膜形成時の作業性の向上や塗膜への様々な機能付与の為に、光安定剤、酸化防止剤、湿潤剤、レベリング剤、消泡剤等の各種添加剤や、ウレタン樹脂やエポキシ樹脂等の他の樹脂を更に含有したりできる。
【0013】
本発明の水性樹脂組成物中の、(A)水分散性ビニル系共重合体と(B)アミノ樹脂との質量比(A)/(B)は、40/60~80/20が好ましく、50/50~75/25がより好ましい。
質量比(A)/(B)が上記範囲未満であると、水性樹脂組成物中での、樹脂成分である(A)水分散性ビニル系共重合体及び(B)アミノ樹脂の水分散性(水溶性または乳化性)が低下して、液分離や沈降を生じ易くなり、また、塗膜の硬度が不十分になり易く、製造コストも大きく上昇する。
質量比(A)/(B)が上記範囲よりも大きいと、十分な塗膜性能(耐薬品性、塗膜硬度)を得ることが困難になる。
【0014】
本発明の水性樹脂組成物中の、(C)水分散性アルミニウム顔料と、(A)水分散性ビニル系共重合体及び(B)アミノ樹脂の合計の質量比(C)/{(A)+(B)}は、0.1/99.9~15/85が好ましく、5/95~11/89がより好ましい。
上記範囲未満であると、十分な金属調外観(メタリック感)の塗膜を得ることが困難であり、上記範囲よりも大きいと、塗膜性能や耐アルカリ性が悪くなり、製造コストが著しく上昇する。
【0015】
[(A)水分散性ビニル系共重合体]
(A)水分散性ビニル系共重合体は、水性溶媒への可溶性または水性溶媒中での乳化性を有することによって水性溶媒中での分散が可能なビニル系共重合体である。
(A)水分散性ビニル系共重合体の主骨格は、重合性炭素-炭素2重結合または3重結合等の重合性炭素-炭素不飽和結合基同士の(共)重合によって主に形成されている。
炭素-炭素不飽和結合基の具体例としては、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリル基、αβ不飽和カルボニル基等が挙げられ、これらは単独で重合してもよく、2種以上が共重合してもよい。
【0016】
(A)水分散性ビニル系共重合体は、置換基としてカルボキシル基を有することが好ましい。そして、カルボン酸エステル基および/または水酸基をさらに有していてもよい。
(A)水分散性ビニル系共重合体は、上記の置換基を有することによって、優れた水分散性を有することが容易になる。
そして、(A)水分散性ビニル系共重合体は、水酸基および/またはカルボキシル基を有することによって、(B)アミノ樹脂と架橋を形成することができ、塗膜に耐食性(耐候性、耐薬品性)、高硬度などを付与することができる。
【0017】
(A)水分散性ビニル系共重合体は、酸価が20~100mgKOHであることが好ましく、30~80mgKOHであることがより好ましい。上記範囲未満であると十分な水分散性が得ることが困難になり易く、上記範囲よりも高いと耐水性が低下し易く、十分な塗膜性能を得難くなり、また、表面処理した水分散性アルミニウム顔料の安定性を低下させ易くなる。なお、本発明において酸価はJIS K5601-2-1に準拠して測定した。
【0018】
上記のような水分散性ビニル系共重合体は、重合性炭素-炭素不飽和結合基とカルボキシル基とを有する単量体、重合性炭素-炭素不飽和結合基とカルボキシル基と水酸基とを有する単量体、重合性炭素-炭素不飽和結合基とカルボン酸エステル基とを有する単量体、重合性炭素-炭素不飽和結合基とカルボン酸エステル基と水酸基とを有する単量体からなる群から選ばれる1種または2種以上を組み合わせて、(共)重合させることによって得ることができる。
また、共重合成分として、重合性炭素-炭素不飽和結合基を有する他の単量体を併用することもできる。
【0019】
重合性炭素-炭素不飽和結合基とカルボキシル基とを有する単量体の具体例としては、アクリル酸、α-クロロアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、シトラコン酸、メサコン酸等が挙げられ、これらの群から選ばれる1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。上記の中でもアクリル酸が好ましい。
【0020】
重合性炭素-炭素不飽和結合基とカルボン酸エステル基とを有する単量体は、炭素数約20までのアルキル基や脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリレート等が好ましく用いられ、具体例としては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n-プロピルアクリレート、n-プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、ノルマルブチルアクリレート、ノルマルブチルメタクリレート、ノルマルヘキシルアクリレート、ノルマルヘキシルメタクリレート、ノルマルヘプチルアクリレート、ノルマルヘプチルメタクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、ノルマルラウリルアクリレート、ノルマルラウリルメタクリレート、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート等が挙げられ、これらの群から選ばれる1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記の中でも、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレートを組み合わせて用いることが好ましい。
【0021】
重合性炭素-炭素不飽和結合基とカルボン酸エステル基と水酸基とを有する単量体の具体例としては、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、3-ヒドロキシプロピルアクリレート、3-ヒドロキシプロピルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、4-ヒドロキシブチルメタクリレート、ジエチレングリコールモノアクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノメタクリレート等が挙げられ、これらの群から選ばれる1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記の中でも、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、3-ヒドロキシプロピルアクリレート、3-ヒドロキシプロピルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、4-ヒドロキシブチルメタクリレートからなる群から選ばれる1種または2種以上を組み合わせて用いることが好ましい。上記の中でも、2-ヒドロキシエチルアクリレートが好ましい。
【0022】
重合性炭素-炭素不飽和結合基を有する他の単量体の具体例としては、芳香族基を有するビニル系単量体、N-アルコキシアルキルアミド基を有する共重合性ビニル系単量体、末端にビニル基を有する高分子であるマクロモノマー、アクリロニトリル、酢酸ビニル、アリル基含有化合物等が挙げられ、これらの群から選ばれる1種または2種以上を組み合
わせて用いることができる。
【0023】
芳香族基を有するビニル系単量体の具体例としては、スチレン、α-メチルスチレン、α-クロロスチレン、ビニルトルエン等が挙げられ、これらの群から選ばれる1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。上記の中でもスチレンが好ましい。
【0024】
N-アルコキシアルキルアミド基を有する共重合性ビニル系単量体の具体例としては、N-メトキシメチルアクリルアミド、N-エトキシメチルアクリルアミド、N-ノルマルブトキシメチルアクリルアミド、N-イソブトキシメチルアクリルアミド、N-メトキシメチルメタクリルアミド、N-エトキシメチルメタクリルアミド、N-ノルマルブトキシメチルメタクリルアミド、N-イソブトキシメチルメタクリルアミド等が挙げられ、これらの群から選ばれる1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0025】
上記の(共)重合成分を(共)重合させて(共)重合体を合成する際には、各種水性溶媒中で合成することが好ましく、必要に応じて、各種の重合開始剤を用いることができる。
【0026】
水性溶媒の具体例としては、水、アルコール類、エチレングリコールエーテル類、プロピレングリコールエーテル類が挙げられ、これらの群から選ばれる1種または2種以上を組み合わせて用いることができるが、これらに限定されない。
上記の中でも、イソプロパノール、エチレングリコールモノノルマルブチルエーテル等が好ましく用いられる。
【0027】
重合開始剤には、ラジカル開始剤を用いることが好ましい。
ラジカル開始剤の具体例としては、ジハロゲン化合物、アゾ化合物、有機過酸化物、レドックス開始剤等が挙げられ、これらの群から選ばれる1種または2種以上を組み合わせて用いることができるがこれらに限定されない。
上記の中でもアゾ化合物が好ましく用いられ、アゾ化合物の中でも、2,2′-アゾビスイソブチロニトリル、2,2′-アゾビスイソ(2-メチルブチロニトリル)、2,2′-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)が好ましく用いられる。
【0028】
[(B)アミノ樹脂]
(B)アミノ樹脂の具体例としては、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂からなる群から選ばれる1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
特にメラミン樹脂を用いることが好ましく、そして、メラミン樹脂の中でも、メチロール基の少なくとも一部を低級アルコールでアルコキシ化したアルコキシ化メラミンを含むことがより好ましい。
低級アルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコールからなる群から選ばれる1種または2種以上を組み合わせて用いることが好ましい。
(B)アミノ樹脂は加熱によって硬化させることが可能であり、水酸基やカルボキシル基を有する化合物を硬化剤として用いてもよく、各種の硬化促進剤を用いてもよい。
【0029】
[(C)水分散性アルミニウム顔料]
(C)水分散性アルミニウム顔料は、水性溶媒への分散性に優れたアルミニウム顔料である。水分散性アルミニウム顔料が塗膜に含有されていることで、立体感のある金属調外観を示すことができる。
水分散性アルミニウム顔料とは、粉体のまま水性溶剤への均一に分散することに優れたアルミニウム顔料である。
(C)水分散性アルミニウム顔料は、アルミニウム粉末の表面を表面処理剤によって処
理して得られた顔料であり、形成された表面処理面によって、金属アルミニウムと水との反応が抑制され、優れた水分散性が得られている。
(C)水分散性アルミニウム顔料は、アルミニウム粉含有量が40~60質量%のペースト状にした状態で用いることが好ましい。
【0030】
金属アルミニウムは水と反応して水酸化アルミニウムと水素ガスを発生させる。このような反応が進行すると、アルミニウム顔料は金属調の外観を損ない、アルミニウム顔料を含有する水性樹脂組成物は、発泡し、アルミニウム顔料の凝集物が派生し、粘度が変化して、経時安定性が低下する。また、該水性樹脂組成物から形成された塗膜も同様に金属調の外観を損い、経時安定性が低下する。
【0031】
(C)水分散性アルミニウム顔料の粒子の形状は、塗膜中に敷き詰められて、下地を隠蔽する効果も得ら為に、鱗片状が好ましい。
また、電着用途で従来用いられているリーフィングタイプは浮遊しやすく隠蔽性に劣ることから、塗膜中に一様に分散配列することができるノンリーフィングタイプがより好ましい。
【0032】
(C)水分散性アルミニウム顔料の平均粒子径は、一般塗料用途には平均粒子径7~50μmが好ましく、水性樹脂組成物用途には7~20μmが好ましく、7~15μmがより好ましい。上記範囲よりも小さいものは、入手困難な割には性能があまり変わらず、上記範囲よりも大きいと、(C)水分散性アルミニウム顔料は比重が約2.7g/cm3と大きい為に自重による沈降を生じ易くなる。
(C)水分散性アルミニウム顔料の表面を構成する化合物の具体例としては、無機リン系化合物、モリブデン系化合物、珪素系化合物、有機樹脂等が挙げられ、これらの群から選ばれる1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。特に、有機珪素系化合物及び有機樹脂のハイブリッドが好ましい。
【0033】
表面処理剤には、市販のものを用いることが可能であり、無機リン系表面処理剤、モリブデン系表面処理剤、珪素系表面処理剤、有機樹脂系表面処理剤が挙げられ、これらの群から選ばれる1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
表面処理剤は、1種単独よりも2種以上を組み合わせて用いることが好ましく、特に、珪素系表面処理剤と有機樹脂系表面処理剤との組み合わせが好ましい。
【0034】
無機リン系表面処理剤の具体例としてはリン酸等が、モリブデン系表面処理剤の具体例としてはモリブデン酸アンモニウム、ポリモリブデン酸等が、珪素系表面処理剤の具体例としてはアルコキシシラン等が挙げられる。
【0035】
有機樹脂系表面処理剤は、各種の樹脂を含むことができ、含まれる樹脂は、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂の何れか、または両方を含んでもよいが、堅固な三次元架橋構造を生じて不溶及び不融化する熱硬化性樹脂を含むことが好ましい。
【0036】
熱可塑性樹脂の具体例としては、アクリル酸エステル共重合体、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂等が挙げられる。
熱硬化性樹脂の具体例としては、アクリル酸エステル共重合体、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられ、これらの群から選ばれる1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。上記の中でも、三次元架橋構造を形成し得るアクリル酸エステル共重合体を含むことがより好ましい。
【0037】
市販されている(C)水分散性アルミニウム顔料の具体例としては、例えば、東洋アルミニウム株式会社製の水性アルペーストが有り、処理方法によって、WXMシリーズ(無
機リン酸化合物系処理剤による処理)、WLシリーズ(モリブデン系処理剤による処理)、EMRシリーズ(有機珪素系処理剤による処理)、BPシリーズ(アクリル樹脂コート処理剤による処理)、WRAシリーズ(アクリル樹脂コート剤及び有機珪素系処理剤によるハイブリッド処理)等が上市されており、これらの群から選ばれる1種または2種以上を組み合わせて用いることができるが、これらに限定されない。
【0038】
[(D)中和剤]
本発明の水性樹脂組成物は、(A)水分散性ビニル系共重合体が有するカルボキシル基を中和する為の(D)中和剤を含有することができる。
【0039】
(D)中和剤は、有機アミン類を含むことが好ましい。
有機アミン類の具体例としては、アルキルアミン類、アルカノールアミン類、アルキレンポリアミン類、アルキレンイミン類、環状アミン類等が挙げられ、これらの群から選ばれる1種または2種以上を組み合わせて用いることができるが、これらに限定されない。上記の中でも、アルカノールアミン類を含むことがより好ましい。
【0040】
アルキルアミン類の具体例としては、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、モノブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン等が挙げられ、これらの群から選ばれる1種または2種以上を組み合わせて用いることができるが、これらに限定されない。
【0041】
アルカノールアミン類の具体例としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノ(2-ヒドロキシプロピル)アミン、ジ(2-ヒドロキシプロピル)アミン、トリ(2-ヒドロキシプロピル)アミン、ジメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノール等が挙げられ、これらの群から選ばれる1種または2種以上を組み合わせて用いることができるが、これらに限定されない。
【0042】
アルキレンポリアミン類の具体例としては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等が挙げられ、これらの群から選ばれる1種または2種以上を組み合わせて用いることができるが、これらに限定されない。
【0043】
アルキレンイミン類の具体例としては、エチレンイミン、プロピレンイミン等が挙げられ、これらの群から選ばれる1種または2種以上を組み合わせて用いることができるが、これらに限定されない。
【0044】
環状アミン類の具体例としては、ピペラジン、モルホリン、ピラジン、ピリジン等が挙げられ、これらの群から選ばれる1種または2種以上を組み合わせて用いることができるが、これらに限定されない。
【0045】
これらの有機アミン類は、(A)水分散性ビニル系共重合体が有するカルボキシル基に配向して塩化することで、(A)水分散性ビニル系共重合体の水性溶剤中での乳化性または水溶性を高めて、水性溶剤中での分散性を高めることができる。
【0046】
水性樹脂組成物中の(D)中和剤の含有量は、有機アミン類のアミノ基と(A)水分散性ビニル系共重合体が有するカルボキシル基とのモル比アミノ基/カルボキシル基が、好ましくは0.3~0.9、より好ましくは0.4~0.7になる割合が好ましい。
上記範囲よりも高いと、アルカリ成分の増加により水分散性アルミニウム顔料の安定性が低下し、上記範囲よりも低いと、(A)水分散性ビニル系共重合体の水溶性または乳化性を高める効果が不十分になり易い
【0047】
[(E)水性溶剤]
水性樹脂組成物は、(A)水分散性ビニル系共重合体が固体や高粘度液体である場合には、(E)水性溶剤を含有することが好ましい。
(E)水性溶剤は、水性の溶剤であり、具体例としては、水、アルコール類、エチレングリコールエーテル類、プロピレングリコールエーテル類が挙げられ、これらの群から選ばれる1種または2種以上を組み合わせて用いることができるが、これらに限定されない。
【0048】
アルコール類の具体例としては、メタノール、エタノール、ノルマルプロパノール、イソプロパノール、ノルマルブタノール、イソブタノール、ノルマルヘキシルアルコール、2-エチルヘキシルアルコール、ベンジルアルコール等が挙げられ、これらの群から選ばれる1種または2種以上を組み合わせて用いることができるが、これらに限定されない。
【0049】
エチレングリコールエーテル類の具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノノルマルプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノノルマルブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノターシャリブチルエーテル、エチレングリコールモノノルマルヘキシルエーテル、エチレングリコールモノノルマルオクチルエーテル、エチレングリコールモノ-2-エチルヘキシルエーテル等が挙げられ、これらの群から選ばれる1種または2種以上を組み合わせて用いることができるが、これらに限定されない。
【0050】
プロピレングリコールエーテル類の具体例としては、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノノルマルプロピルエーテル、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノノルマルブチルエーテル、プロピレングリコールモノイソブチルエーテル、プロピレングリコールモノターシャリブチルエーテル、プロピレングリコールモノノルマルヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノノルマルオクチルエーテル、プロピレングリコールモノ2-エチルヘキシルエーテル等が挙げられ、これらの群から選ばれる1種または2種以上を組み合わせて用いることができるが、これらに限定されない。
【0051】
水性樹脂組成物中の(E)水性溶剤の含有量は、1~10質量%が好ましく、2~8質量%がより好ましい。
【0052】
<水性電着樹脂液>
本発明の水性電着樹脂液は、本発明の水性樹脂組成物からなる電着用の樹脂液であり、電着によって電着膜を形成することができる。
水性電着樹脂液の組成は水性樹脂組成物と同一であってもよく、必要に応じて他の成分を更に含有することもできる。
【0053】
<水性電着塗料>
本発明の水性電着塗料は、本発明の水性電着樹脂液からなる塗料であり、電着塗装によって電着塗膜を形成することができる。
水性電着塗料の組成は、水性電着樹脂液と同一であってもよく、必要に応じて他の成分を更に含有することもできる。
【0054】
<電着塗膜>
本発明の電着塗膜は、本発明の水性樹脂組成物、水性電着樹脂液、または水性電着塗料を、被塗装物に電着塗装することにより形成された塗膜であり、金属調の外観を有する。
該電着塗装は、定電流法による電着塗装が好ましい。
上記の被塗装物は、導電性を有する素材であれば特に限定されないが、金属素材(特に、アルミニウム、ステンレス及び各種合金)が好ましい。
【0055】
<電着塗膜形成方法>
本発明の電着塗膜形成(電着塗装)方法は、本発明の水性樹脂組成物、水性電着樹脂液または水性電着塗料を用いて、電着塗装する形成方法である。
電着塗装は、定電流法で行われることが好ましい。
また、電着塗装は、被塗装物を陽極、電極を陰極として通電するアニオン電着塗装によって行うことが好ましい。
アニオン電着塗装は、カチオン電着塗装よりも、塗装色の安定性が高く、焼付温度を低くできる等の点で有利である。
そして、本発明の水性樹脂組成物が含有する(C)水分散性アルミニウム顔料は、比重が約2.7g/cm3と大きく、電着塗装時に沈降し易いため、被塗装物への通電条件としては、短時間で所定の膜厚を得られるように、印加電圧を高くすることが好ましい。
【0056】
定電流法による電着塗装における膜の形成プロセスの段階においては、膜形成の初期段階では相対的に低い電圧を印加し、膜厚が大きくなって膜抵抗が大きくなるにつれて、相対的に高い電圧を印加することが好ましい。このように膜厚に応じて印加電圧を変化させることによって、定電流で電着塗装して、膜厚ムラの発生を抑制して、均一な金属調外観を得ることができる。
【0057】
これに対し、定電圧法による電着塗装の場合は、膜抵抗が大きくなるにつれて電流値が低下もしくは鈍化し、高電圧処理においても所定膜厚が容易には得られ難い、もしくは、後半の通電がアルミニウム顔料を含まない塗膜を形成させるため、金属調外観の不足やムラが生じ易い。
【0058】
定電流法で電着塗装する形成方法の具体的な条件としては、例えば、電着塗装を施す被塗装物の表面積100cm2に対して、印加電圧を、好ましくは100~250V、より好ましくは150~200Vの範囲で変化させて、電流密度を、好ましくは1.0~6.0mA/cm2、より好ましくは2.0~4.0mA/cm2に保ち、通電時間を、好ましくは0.10分~0.50分、より好ましくは0.20~0.30分で、電着塗装することが挙げられる。
電着塗装された被塗装物は、水洗され、次いで150~250℃で15~60分間加熱されて、溶剤が除去され、電着塗膜の架橋による硬化が進行し、優れた耐食性や硬度を有する電着塗膜が形成される。
【実施例0059】
以下に本発明の実施例及び比較例を挙げてさらに具体的に説明するが、これによって本発明が限定されるものではない。
【0060】
実施例で用いる(B)アミノ樹脂、(C)水分散性アルミニウム顔料は下記の通りである。
[(B)アミノ樹脂]
・アミノ樹脂1:オルネクスジャパン株式会社製メラミン樹脂 サイメル232、有効成分100%。
[(C)水分散性アルミニウム顔料]
・水分散性アルミニウム顔料1:東洋アルミニウム株式会社製、WRA-5660。有効成分50%、表面はアクリル樹脂及び珪素系化合物からなるハイブリッド組成を含有する。鱗片状、ノンリーフィングタイプ。平均粒子径10μm。
・水分散性アルミニウム顔料2:東洋アルミニウム株式会社製、EMR-D5620、有効成分60%、表面は珪素系化合物を含有する。鱗片状、ノンリーフィングタイプ平均粒子径17μm。
・水分散性アルミニウム顔料3:東洋アルミニウム株式会社製、BP-6360J。有効成分50%、表面はアクリル樹脂を含有する。鱗片状、ノンリーフィングタイプ。平均粒子径10μm。
【0061】
<(A)水分散性ビニル系共重合体の製造>
[合成例1]
攪拌装置、還流冷却器及び窒素導入管を備えた3リットルの4つ口フラスコに下記原料を仕込み、90℃に昇温した。
イソプロパノール 12質量部
エチレングリコールモノノルマルブチルエーテル 8質量部
上記とは別に、下記原料の混合液を滴下ロートに仕込み、前記フラスコ内に120分かけて滴下した。ここで2,2′-アゾビスイソブチロニトリルは重合開始剤として作用する。
イソプロパノール 5質量部
エチレングリコールモノノルマルブチルエーテル 13質量部
アクリル酸 5質量部
2-ヒドロキシエチルアクリレート 15質量部
スチレン 10質量部
2-エチルヘキシルアクリレート 10質量部
エチルアクリレート 10質量部
ブチルアクリレート 10質量部
メチルメタクリレート 40質量部
2,2′-アゾビスイソブチロニトリル 1質量部
上記の滴下が終了した後に、さらに、下記の混合物を30分毎に3回添加した。
イソプロパノール 0.4質量部
2,2′-アゾビスイソブチロニトリル 0.2質量部
そしてさらに、90℃で90分反応を続け、水分散性ビニル系共重合体溶液1(固形分72.2質量%、固形分の酸価38.3mgKOH。)を得た。
【0062】
[合成例2]
攪拌装置、還流冷却器及び窒素導入管を備えた3リットルの4つ口フラスコに下記を仕込み、90℃に昇温した。
イソプロパノール 12.0質量部
エチレングリコールモノノルマルブチルエーテル 8.0質量部
上記とは別に、下記の混合液を滴下ロートに仕込み、前記フラスコ内に120分かけて滴下した。
イソプロパノール 5質量部
エチレングリコールモノノルマルブチルエーテル 13質量部
アクリル酸 7質量部
2-ヒドロキシエチルアクリレート 15質量部
スチレン 10質量部
2-エチルヘキシルアクリレート 10質量部
エチルアクリレート 10質量部
ブチルアクリレート 10質量部
メチルメタクリレート 38質量部
2,2′-アゾビスイソブチロニトリル 1質量部
滴下終了後、さらに下記の混合物を、30分毎に3回添加した。
イソプロパノール 0.4質量部
2,2′-アゾビスイソブチロニトリル 0.2質量部
そしてさらに、90℃で90分反応を続け、水分散性ビニル系共重合体溶液2(固形分72.2質量%、固形分の酸価53.6mgKOH。)を得た。
【0063】
[合成例3]
攪拌装置、還流冷却器及び窒素導入管を備えた3リットルの4つ口フラスコに下記を仕込み、90℃に昇温した。
イソプロパノール 12質量部
エチレングリコールモノノルマルブチルエーテル 8質量部
上記とは別に、下記の混合液を滴下ロートに仕込み、前記フラスコ内に120分かけて滴下した。
イソプロパノール 5質量部
エチレングリコールモノノルマルブチルエーテル 13質量部
アクリル酸 2質量部
2-ヒドロキシエチルアクリレート 15質量部
スチレン 10質量部
2-エチルヘキシルアクリレート 10質量部
エチルアクリレート 10質量部
ブチルアクリレート 10質量部
メチルメタクリレート 43質量部
2,2′-アゾビスイソブチロニトリル 1質量部
滴下終了後、さらに下記の混合物を、30分毎に3回添加した。
イソプロパノール 0.4質量部
2,2′-アゾビスイソブチロニトリル 0.2質量部
さらに90℃で90分反応を続け、水分散性ビニル系共重合体溶液3(固形分72.2質量%、固形分の酸価15.3mgKOH。)を得た。
【0064】
[合成例4]
攪拌装置、還流冷却器及び窒素導入管を備えた3リットルの4つ口フラスコに下記を仕込み、90℃に昇温した。
イソプロパノール 12質量部
エチレングリコールモノノルマルブチルエーテル 8質量部
上記とは別に、下記の混合液を滴下ロートに仕込み、前記フラスコ内に120分かけて滴下した。
イソプロパノール 5質量部
エチレングリコールモノノルマルブチルエーテル 13質量部
アクリル酸 14質量部
2-ヒドロキシエチルアクリレート 15質量部
スチレン 10質量部
2-エチルヘキシルアクリレート 10質量部
エチルアクリレート 10質量部
ブチルアクリレート 10質量部
メチルメタクリレート 31質量部
2,2′-アゾビスイソブチロニトリル 1質量部
滴下終了後、さらに下記の混合物を、30分毎に3回添加した。
イソプロパノール 0.4質量部
2,2′-アゾビスイソブチロニトリル 0.2質量部
さらに90℃で90分反応を続け、水分散性ビニル系共重合体溶液4(固形分72.2質量%、固形分の酸価107.2mgKOH。)を得た。
【0065】
【表1】
【0066】
[実施例1]
(水性樹脂組成物(水性電着樹脂液)の製造)
下記の割合で、水分散性ビニル系共重合体溶液1とアミノ樹脂1とを混合し、さらにジメチルアミノエタノールを添加混合した。攪拌を続けながら、脱イオン水を加えて転相乳化を行ない、原液1を得た。
水分散性ビニル系共重合体溶液1 90.0質量部
アミノ樹脂1 35.0質量部
ジメチルアミノエタノール 1.2質量部
脱イオン水 123.8質量部
ここで、原液1中の水分散性ビニル系共重合体1の濃度は、90×0.722/(90+35+1.2+123.8)×100=25.99質量%である。
また、原液1中のアミノ樹脂1の濃度は、35/(90+35+1.2+123.8)×100=14.00質量%である。
そしてさらに、90℃で90分反応を続け、水分散性ビニル系共重合体溶液1(固形分72.2質量%、固形分の酸価38.3mgKOH。)を得た。
そして、下記の割合で、別の容器に脱イオン水を仕込み、攪拌しながら上記で得た原液1を投入し、次にブチルセロソルブとジメチルアミノエタノールとを添加して均一化して、電着塗料用希釈液1(有効成分8%)を得た。
脱イオン水 789.4質量部
原液1 200.0質量部
ブチルセロソルブ 10.0質量部
ジメチルアミノエタノール 0.6質量部
ここで、原液1中の水分散性ビニル系共重合体1の濃度は、200×0.2599/(789.4+200+10+0.6)×100=5.20質量%である。
また、原液1中のアミノ樹脂1の濃度は、200×0.14/(789.4+200+10+0.6)×100=2.80質量%である。
得られた電着塗料用希釈液1と水分散性アルミニウム顔料1とを下記割合で混合、攪拌して、水性樹脂組成物(水性電着樹脂液)1を得た。
電着塗料用希釈液1 100質量部
水分散性アルミニウム顔料1 1質量部
ここで、水性樹脂組成物中の水分散性ビニル系共重合体1/アミノ樹脂1/水分散性アルミニウム顔料1、の質量比は、5.20/2.80/1×0.5であることから、下記
の質量比が算出される。
水分散性ビニル系共重合体1/アミノ樹脂1=5.20/2.80=65.0/35.0。
水分散性アルミニウム顔料1/(水分散性ビニル系共重合体1+アミノ樹脂1)=6.3/100.0
また、水性樹脂組成物の固形分中の各々の質量%は、下記の通りに算出される。
水分散性ビニル系共重合体1:5.20/(5.20+2.80+0.5)×100=61.2質量%。
アミノ樹脂1:2.80/(5.20+2.80+0.5)×100=32.9質量%。
水分散性アルミニウム顔料1:0.5/(5.20+2.80+0.5)×100=5.9質量%。
【0067】
(塗膜の形成)
水性樹脂組成物1と下記の被塗装物及び陰極を用いて、下記条件の定電流法にて両極間に電圧印加して、定電圧法アニオン電着塗装を行った。印加電圧は、下記範囲の電流密度を維持できるように、初期では低い電圧を印加し、塗膜の電気抵抗の上昇に応じて高い電圧が印加した。
被塗装物:アルカリ脱脂後に酸洗処理された厚さ1mmのA1100板材をコの字状に曲げて、上面部、側面部、下面部を有する形状にした。
陰極:18-8ステンレス鋼板
浴温:20℃
電流密度:3.0mA/cm2
通電時間:10秒
次いで、電着塗装された被塗装物を取り出して充分に水洗したのちに、170℃の温度で20分間加熱して、電着塗膜を乾燥及び硬化(焼付乾燥)させて、金属調の外観を有する電着塗膜を得た。
そして、各種評価を行い、上記の算出結果と各種評価結果を表2に示した。
【0068】
[実施例2]
下記の割合で、水分散性ビニル系共重合体溶液2とアミノ樹脂1とを混合し、さらにジメチルアミノエタノールを添加混合した。攪拌を続けながら、脱イオン水を加えて転相乳化を行ない、原液2を得た。
水分散性ビニル系共重合体溶液2 90.0質量部
アミノ樹脂1 35.0質量部
ジメチルアミノエタノール 1.7質量部
脱イオン水 123.3質量部
そして、下記の割合で、別の容器に脱イオン水を仕込み、攪拌しながら上記で得た原液2を投入し、次にブチルセロソルブとジメチルアミノエタノールとを添加して均一化して、電着塗料用希釈液2(有効成分8%)を得た。
脱イオン水 789.1質量部
原液2 200.0質量部
ブチルセロソルブ 10.0質量部
ジメチルアミノエタノール 0.9質量部
得られた電着塗料用希釈液2と水分散性アルミニウム顔料1とを下記割合で混合、攪拌して、水性樹脂組成物(水性電着樹脂液)2を得た。
電着塗料用希釈液2 100質量部
水分散性アルミニウム顔料1 1質量部
そして、水性樹脂組成物(水性電着樹脂液)2を用いた以外は実施例1と同じ方法で電着塗膜を形成して、同様に評価を行った。
【0069】
[実施例3]
下記の割合で、水分散性ビニル系共重合体溶液2とアミノ樹脂1とを混合し、さらにジメチルアミノエタノールを添加混合した。攪拌を続けながら、脱イオン水を加えて転相乳化を行ない、原液3を得た。
水分散性ビニル系共重合体溶液2 83.1質量部
アミノ樹脂1 40.0質量部
ジメチルアミノエタノール 1.5質量部
脱イオン水 125.4質量部
そして、下記の割合で、別の容器に脱イオン水を仕込み、攪拌しながら上記で得た原液3を投入し、次にブチルセロソルブとジメチルアミノエタノールとを添加して均一化して、電着塗料用希釈液3(有効成分8%)を得た。
脱イオン水 789.2質量部
原液3 200.0質量部
ブチルセロソルブ 10.0質量部
ジメチルアミノエタノール 0.8質量部
得られた電着塗料用希釈液3と水分散性アルミニウム顔料1とを下記割合で混合、攪拌して、水性樹脂組成物(水性電着樹脂液)3を得た。
電着塗料用希釈液3 100質量部
水分散性アルミニウム顔料1 1質量部
そして、水性樹脂組成物(水性電着樹脂液)3を用いた以外は実施例1と同じ方法で電着塗膜を形成して、同様に評価を行った。
【0070】
[実施例4]
下記の割合で、水分散性ビニル系共重合体溶液1とアミノ樹脂1とを混合し、さらにジメチルアミノエタノールを添加混合した。攪拌を続けながら、脱イオン水を加えて転相乳化を行ない、原液4を得た。
水分散性ビニル系共重合体溶液 1 66.4質量部
アミノ樹脂1 58.6質量部
ジメチルアミノエタノール 0.9質量部
脱イオン水 124.1質量部
そして、下記の割合で、別の容器に脱イオン水を仕込み、攪拌しながら上記で得た原液を投入し、次にブチルセロソルブとジメチルアミノエタノールとを添加して均一化して、電着塗料用希釈液4(有効成分8%)を得た。
脱イオン水 789.4質量部
原液4 200.0質量部
ブチルセロソルブ 10.0質量部
ジメチルアミノエタノール 0.6質量部
得られた電着塗料用希釈液4と水分散性アルミニウム顔料1とを下記割合で混合、攪拌して、水性樹脂組成物(水性電着樹脂液)4を得た。
電着塗料用希釈液4 100質量部
水分散性アルミニウム顔料1 1質量部
そして、水性樹脂組成物(水性電着樹脂液)2を用いた以外は実施例1と同じ方法で電着塗膜を形成して、同様に評価を行った。
【0071】
[実施例5]
下記の割合で、水分散性ビニル系共重合体溶液1とアミノ樹脂1とを混合し、さらにジメチルアミノエタノールを添加混合した。攪拌を続けながら、脱イオン水を加えて転相乳化を行ない、原液5を得た。
水分散性ビニル系共重合体溶液1 90.0質量部
アミノ樹脂1 35.0質量部
ジメチルアミノエタノール 1.2質量部
脱イオン水 123.8質量部
そして、下記の割合で、別の容器に脱イオン水を仕込み、攪拌しながら上記で得た原液5を投入し、次にブチルセロソルブとジメチルアミノエタノールとを添加して均一化して、電着塗料用希釈液5(有効成分8%)を得た。
脱イオン水 789.4質量部
原液4 200.0質量部
ブチルセロソルブ 10.0質量部
ジメチルアミノエタノール 0.6質量部
得られた電着塗料用希釈液5と水分散性アルミニウム顔料2とを下記割合で混合、攪拌して、水性樹脂組成物(水性電着樹脂液)5を得た。
電着塗料用希釈液5 100質量部
アルミニウム顔料2 1質量部
そして、水性樹脂組成物(水性電着樹脂液)5を用いた以外は実施例1と同じ方法で電着塗膜を形成して、同様に評価を行った。
【0072】
[実施例6]
下記の割合で、水分散性ビニル系共重合体溶液1とアミノ樹脂1とを混合し、さらにジメチルアミノエタノールを添加混合した。攪拌を続けながら、脱イオン水を加えて転相乳化を行ない、原液6を得た。
水分散性ビニル系共重合体溶液1 90.0質量部
アミノ樹脂1 35.0質量部
ジメチルアミノエタノール 1.2質量部
脱イオン水 123.8質量部
そして、下記の割合で、別の容器に脱イオン水を仕込み、攪拌しながら上記で得た原液6を投入し、次にブチルセロソルブとジメチルアミノエタノールとを添加して均一化して、電着塗料用希釈液6(有効成分8%)を得た。
脱イオン水 789.4質量部
原液5 200.0質量部
ブチルセロソルブ 10.0質量部
ジメチルアミノエタノール 0.6質量部
得られた電着塗料用希釈液6とアルミニウム顔料3とを下記割合で混合、攪拌して、水性樹脂組成物(水性電着樹脂液)6を得た。
電着塗料用希釈液6 100質量部
水分散性アルミニウム顔料3 1質量部
そして、水性樹脂組成物(水性電着樹脂液)6を用いた以外は実施例1と同じ方法で電着塗膜を形成して、同様に評価を行った。
【0073】
[実施例7]
下記の割合で、水分散性ビニル系共重合体溶液1とアミノ樹脂1とを混合し、さらにジメチルアミノエタノールを添加混合した。攪拌を続けながら、脱イオン水を加えて転相乳化を行ない、原液7を得た。
水分散性ビニル系共重合体溶液1 90.0質量部
アミノ樹脂1 35.0質量部
ジメチルアミノエタノール 1.2質量部
脱イオン水 123.8質量部
そして、下記の割合で、別の容器に脱イオン水を仕込み、攪拌しながら上記で得た原液7を投入し、次にブチルセロソルブとジメチルアミノエタノールとを添加して均一化して、電着塗料用希釈液7(有効成分8%)を得た。
脱イオン水 789.4質量部
原液6 200.0質量部
ブチルセロソルブ 10.0質量部
ジメチルアミノエタノール 0.6質量部
得られた電着塗料用希釈液7とアルミニウム顔料1とを下記割合で混合、攪拌して、水性樹脂組成物(水性電着樹脂液)7を得た。
電着塗料用希釈液7 100.0質量部
アルミニウム顔料1 1.8質量部
そして、水性樹脂組成物(水性電着樹脂液)7を用いた以外は実施例1と同じ方法で電着塗膜を形成して、同様に評価を行った。
【0074】
[比較例1]
下記の割合で、ビニル系共重合体溶液3とアミノ樹脂1とを混合し、さらにジメチルアミノエタノールを添加混合した。攪拌を続けながら、脱イオン水を加えて転相乳化を行ない、原液8を得た。
水分散性ビニル系共重合体溶液3 90.0質量部
アミノ樹脂1 35.0質量部
ジメチルアミノエタノール 0.5質量部
脱イオン水 124.5質量部
そして、下記の割合で、別の容器に脱イオン水を仕込み、攪拌しながら上記で得た原液8を投入し、次にブチルセロソルブとジメチルアミノエタノールとを添加して均一化して、電着塗料用希釈液8(有効成分8%)を得た。
脱イオン水 789.7質量部
原液8 200.0質量部
ブチルセロソルブ 10.0質量部
ジメチルアミノエタノール 0.3質量部
得られた電着塗料用希釈液8と水分散性アルミニウム顔料1とを下記割合で混合、攪拌して、水性樹脂組成物(水性電着樹脂液)8を得た。
電着塗料用希釈液8 100質量部
水分散性アルミニウム顔料1 1質量部
そして、水性樹脂組成物(水性電着樹脂液)8を用いた以外は実施例1と同じ方法で電着塗膜を形成して、同様に評価を行った。
【0075】
[比較例2]
下記の割合で、ビニル系共重合体溶液4とアミノ樹脂1とを混合し、さらにジメチルアミノエタノールを添加混合した。攪拌を続けながら、脱イオン水を加えて転相乳化を行ない、原液9を得た。
水分散性ビニル系共重合体溶液4 90.0質量部
アミノ樹脂1 35.0質量部
ジメチルアミノエタノール 3.4質量部
脱イオン水 121.6質量部
そして、下記の割合で、別の容器に脱イオン水を仕込み、攪拌しながら上記で得た原液9を投入し、次にブチルセロソルブとジメチルアミノエタノールとを添加して均一化して、電着塗料用希釈液9(有効成分8%)を得た。
脱イオン水 788.2質量部
原液9 200.0質量部
ブチルセロソルブ 10.0質量部
ジメチルアミノエタノール 1.8質量部
得られた電着塗料用希釈液9とアルミニウム顔料1とを下記割合で混合、攪拌して、水性樹脂組成物(水性電着樹脂液)9を得た。
電着塗料用希釈液9 100質量部
水分散性アルミニウム顔料1 1質量部
そして、水性樹脂組成物(水性電着樹脂液)9を用いた以外は実施例1と同じ方法で電着塗膜を形成して、同様に評価を行った。
【0076】
[比較例3]
下記の割合で、水分散性ビニル系共重合体溶液1とアミノ樹脂1とを混合し、さらにジメチルアミノエタノールを添加混合した。攪拌を続けながら、脱イオン水を加えて転相乳化を行ない、原液10を得た。
水分散性ビニル系共重合体溶液1 90.0質量部
アミノ樹脂1 35.0質量部
ジメチルアミノエタノール 1.2質量部
脱イオン水を 123.8質量部
そして、下記の割合で、別の容器に脱イオン水を仕込み、攪拌しながら上記で得た原液10を投入し、次にブチルセロソルブとジメチルアミノエタノールとを添加して均一化して、電着塗料用希釈液10(有効成分8%)を得た。
脱イオン水 789.4質量部
原液10 200.0質量部
ブチルセロソルブ 10.0質量部
ジメチルアミノエタノール 0.6質量部
得られた電着塗料用希釈液10とアルミニウム顔料1とを下記割合で混合、攪拌して、水性樹脂組成物(水性電着樹脂液)10を得た。
電着塗料用希釈液10 100質量部
水分散性アルミニウム顔料1 0.01質量部
そして、水性樹脂組成物(水性電着樹脂液)10を用いた以外は実施例1と同じ方法で電着塗膜を形成して、同様に評価を行った。
【0077】
[比較例4]
下記の割合で、水分散性ビニル系共重合体溶液1とアミノ樹脂1とを混合し、さらにジメチルアミノエタノールを添加混合した。攪拌を続けながら、脱イオン水を加えて転相乳化を行ない、原液11を得た。
水分散性ビニル系共重合体溶液1 90質量部
アミノ樹脂1 35質量部
ジメチルアミノエタノール 1.2質量部
脱イオン水 123.8質量部
そして、下記の割合で、別の容器に脱イオン水を仕込み、攪拌しながら上記で得た原液11を投入し、次にブチルセロソルブとジメチルアミノエタノールとを添加して均一化して、電着塗料用希釈液11(有効成分8%)を得た。
脱イオン水 789.4質量部
原液11 200.0質量部
ブチルセロソルブ 10.0質量部
ジメチルアミノエタノール 0.6質量部
得られた電着塗料用希釈液11とアルミニウム顔料1とを下記割合で混合、攪拌して、水性樹脂組成物(水性電着樹脂液)11を得た。
電着塗料用希釈液11 100質量部
水分散性アルミニウム顔料1 3質量部
そして、水性樹脂組成物(水性電着樹脂液)11を用いた以外は実施例1と同じ方法で電着塗膜を形成して、同様に評価を行った。
【0078】
[比較例5]
下記の割合で、水分散性ビニル系共重合体溶液1とアミノ樹脂1とを混合し、さらにジメチルアミノエタノールを添加混合した。攪拌を続けながら、脱イオン水を加えて転相乳化を行ない、原液12を得た。
水分散性ビニル系共重合体溶液1 124.7質量部
アミノ樹脂1 10質量部
ジメチルアミノエタノール 1.7質量部
脱イオン水 114.6質量部
そして、下記の割合で、別の容器に脱イオン水を仕込み、攪拌しながら上記で得た原液12を投入し、次にブチルセロソルブとジメチルアミノエタノールとを添加して均一化して、電着塗料用希釈液12(有効成分8%)を得た。
脱イオン水 789.1質量部
原液12 200.0質量部
ブチルセロソルブ 10.0質量部
ジメチルアミノエタノール 0.9質量部
得られた電着塗料用希釈液12とアルミニウム顔料1とを下記割合で混合、攪拌して、水性樹脂組成物(水性電着樹脂液)12を得た。
電着塗料用希釈液12 100質量部
水分散性アルミニウム顔料1 1質量部
そして、水性樹脂組成物(水性電着樹脂ビニル系共重合体液)12を用いた以外は実施例1と同じ方法で電着塗膜を形成して、同様に評価を行った。
【0079】
[比較例6]
下記の割合で、水分散性ビニル系共重合体溶液1とアミノ樹脂1とを混合し、さらにジメチルアミノエタノールを添加混合した。攪拌を続けながら、脱イオン水を加えて原液13を得た。
しかしながら、原液13は、水溶化も転相乳化も生じず不均一であった為、以降の作業及び評価を中止した。
水分散性ビニル系共重合体溶液1 41.6質量部
アミノ樹脂1 70質量部
ジメチルアミノエタノール 0.6質量部
脱イオン水 137.8質量部
【0080】
[比較例7]
実施例1で得た水性樹脂組成物(水性電着樹脂液)1を用いて、定電流法の代わりに定電圧法(250vで10秒間印加)を用いたこと以外は、実施例1と同じ方法で電着塗装を行って、塗膜を形成して、同様に評価を行った。
【0081】
<電着塗膜の評価方法>
[メタリック感]
塗装物の電着塗膜のメタリック感(金属調外観)を、目視比較によって判定した。表中の記号の意味は下記の通り。
◎:メタリック感が良好で均一。
○:メタリック感がやや不足、または少々ムラ有り。
×:メタリック感が不足またはムラ多い。
【0082】
[膜厚均一性]
渦電流式膜厚計(Fisher製ISOSCOPE)を用いて、塗装物の上面部、側面部、下面部の電着塗膜の膜厚を測定して、σ(分散)を算出して判定した。表中の記号の意味は下記の通り。
◎:σが1.0μm未満。
○:σが1.0μm以上、2.0μm未満。
×:σが2.0μm以上。
【0083】
[光沢均一性]
塗装物の側面部、上面部、下面部の電着塗膜の光沢を、60°鏡面反射率を用いて測定して、σ(分散)を算出して判定した。表中の記号の意味は下記の通り。
◎:σが5%未満。
○:σが5%以上、10%未満。
×:σが10%以上。
【0084】
[色調均一性]
塗装物の側面部、上面部、下面部の電着塗膜の色調を、色彩色差計CR-400(コニカミノルタ製)を用いて測定し、側面部に対する上面部及び下面部の各々の色差ΔEを算出して、平均値で判定した。表中の記号の意味は下記の通り。
◎:ΔEが1未満。
○:ΔEが1以上2未満。
×:ΔEが2以上。
【0085】
[密着性]
JIS K 5600-5-6に従って、塗膜に5×5=25個の碁盤状の升目を刻み入れて、テープ貼り付け及び剥離操作によって、剥離や欠けを生じなかった升目の数を数えた。表中の記号の意味は下記の通り。
◎:25個。
〇:24個以上、25個未満。
×:24個未満。
【0086】
[耐酸性]
内径32mm、高さ30mmのリングをワセリンで塗膜表面に接触させ、リング内に、リングの高さ1/2まで5%硫酸水溶液を入れ、24時間後の外観状態を評価した。表中の記号の意味は下記の通り。
◎:腐食や膨れが無い、または僅かである。
○:腐食と膨れが見られる。
×:著しい腐食または膨れが見られる。
【0087】
[耐アルカリ性]
内径32mm、高さ30mmのリングをワセリンで塗膜表面に接触させ、リング内に、リングの高さ1/2まで0.5%水酸化ナトリウム水溶液を入れ、24時間後の外観状態を評価した。表中の記号の意味は下記の通り。
◎:腐食や膨れが無い、または僅かである。
○:腐食と膨れが見られる。
×:著しい腐食または膨れが見られる。
【0088】
[耐溶剤性]
内径32mm、高さ30mmのリングをワセリンで塗膜表面に接触させ、リング内に、リングの高さ1/2までキシレンを入れ、24時間後の外観状態を評価した。表中の記号の意味は下記の通り。
◎:腐食や膨れが無い、または僅かである。
○:腐食と膨れが見られる。
×:著しい腐食または膨れが見られる。
【0089】
【表2】
【0090】
<結果のまとめ>
各実施例の水性樹脂組成物(水性電着樹脂液)及びそれを用いて定電流法で電着塗装された電着塗装膜は、水性溶媒を用いたことで低VOC性を有し、表面処理された水分散性アルミニウム顔料を用いたことで経時安定性に優れ、優れたメタリック感、膜厚均一性、
光沢均一性、色調均一性、密着性、耐酸性、耐アルカリ性、耐溶剤性のバランスを示し、本発明の課題を解決するものであった。
一方、水分散性ビニル系共重合体の酸価が低すぎる比較例1は劣った耐アルカリ性及び耐溶剤性を示し、高すぎる比較例2は劣った密着性を示した。
水分散性アルミニウム顔料の含有量が低すぎる比較例3は劣ったメタリック感を示し、高すぎる比較例4は劣った耐アルカリ性を示した。
質量比(A)水分散性ビニル系共重合体/(B)アミノ樹脂が高すぎる比較例5は光沢均一性に劣り、低すぎる比較例6は水性液状樹脂組成物が水溶化も乳化転相もせず不均一であった為に、以降の評価を中断した。
定電圧法で電着塗装した比較例7はメタリック感、膜厚均一性、光沢均一性、色調均一性に劣った結果を示した。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明のアルミニウム顔料を含有する水性樹脂組成物及び該水性樹脂組成物からなる水性電着樹脂液、水性電着塗料及びこれを用いて形成された金属調の外観を有するアルミニウム顔料を含有する電着塗膜は、意匠性及び耐食性が要求され、低VOCの要求が高い分野において好適に使用される。
【手続補正書】
【提出日】2021-04-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)水分散性ビニル系共重合体、(B)アミノ樹脂及び(C)水分散性アルミニウム顔料を含有する定電流法電着塗装用水性樹脂組成物であって、
(A)水分散性ビニル系共重合体は、置換基としてカルボキシル基を有し、酸価が20~100mgKOHであり、水性溶媒への分散性を有し、炭素-炭素不飽和結合が(共)重合した(共)重合体であり、
質量比(A)/(B)は、40/60~80/20であり、
質量比(C)/{(A)+(B)}は、0.1/99.9~15/85であることを特徴とする、定電流法電着塗装用水性樹脂組成物。
【請求項2】
前記水分散性アルミニウム顔料が、表面処理アルミニウム顔料からなり、
該表面処理アルミニウム顔料の表面は、無機リン系化合物、モリブデン系化合物、珪素系化合物、有機樹脂からなる群から選ばれる1種、または2種以上の組み合わせを含有することを特徴とする、請求項1に記載の定電流法電着塗装用水性樹脂組成物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の定電流法電着塗装用水性樹脂組成物からなることを特徴とする、水性電着樹脂液。
【請求項4】
請求項3に記載の水性電着樹脂液からなることを特徴とする、水性電着塗料。
【請求項5】
請求項4に記載の水性電着塗料から形成され、金属調の外観を有することを特徴とする、電着塗膜。
【請求項6】
請求項3に記載の水性電着樹脂液または請求項4に記載の水性電着塗料を、定電流法で電着塗装することを特徴とする、電着塗膜の形成方法。