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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022084235
(43)【公開日】2022-06-07
(54)【発明の名称】タンパク質加水分解物
(51)【国際特許分類】
   A23L 27/21 20160101AFI20220531BHJP
【FI】
A23L27/21 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020195967
(22)【出願日】2020-11-26
(71)【出願人】
【識別番号】000175283
【氏名又は名称】三栄源エフ・エフ・アイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】越前谷 一成
(72)【発明者】
【氏名】島田 正輝
(72)【発明者】
【氏名】山本 孝
【テーマコード(参考)】
4B047
【Fターム(参考)】
4B047LB05
4B047LB09
4B047LF10
4B047LG05
4B047LG39
4B047LG52
4B047LG60
4B047LG70
4B047LP01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】タンパク質加水分解物を改質することによって、うま味を増強するための、また、醤油又はだしの風味を増強するための、新規のタンパク質加水分解物を提供する。
【解決手段】固形分質量に対して、イソバレルアルデヒドを100ppb以下、メチオナールを100ppb以下、フェニル酢酸を2000ppb以下、及びフェニルアセトアルデヒドを200ppb以下含有する、タンパク質加水分解物である。固形分質量に対して、イソバレルアルデヒド、メチオナール、フェニル酢酸及びフェニルアセトアルデヒドを合計で2000ppb以下含有することが好ましい。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固形分質量に対して、イソバレルアルデヒドを100ppb以下、メチオナールを100ppb以下、フェニル酢酸を2000ppb以下、及びフェニルアセトアルデヒドを200ppb以下含有する、タンパク質加水分解物。
【請求項2】
固形分質量に対して、イソバレルアルデヒド、メチオナール、フェニル酢酸及びフェニルアセトアルデヒドを合計で2000ppb以下含有する、請求項1に記載のタンパク質加水分解物。
【請求項3】
うま味を増強するための、請求項1又は2に記載のタンパク質加水分解物。
【請求項4】
醤油、だし、卵又はシソの風味を増強するための、請求項1~3のいずれか一項に記載のタンパク質加水分解物。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載のタンパク質加水分解物を含有する、飲食品。
【請求項6】
さらに醤油、だし、卵若しくはシソを含有する、又は醤油風味、だし風味、卵風味若しくはシソ風味である、請求項5に記載の飲食品。
【請求項7】
タンパク質加水分解物を、合成吸着剤と接触させることを含む、改質されたタンパク質加水分解物の製造方法。
【請求項8】
タンパク質加水分解物を、合成吸着剤と接触させることを含む、
前記タンパク質加水分解物のうま味を増強するための、又は、醤油、だし、卵若しくはシソの風味を増強するための方法。
【請求項9】
タンパク質加水分解物のイソバレルアルデヒド、メチオナール、フェニル酢酸及びフェニルアセトアルデヒドからなる群より選ばれる1以上の化合物の含有量を減少させることを含む、
前記タンパク質加水分解物のうま味を増強するための、又は、醤油、だし、卵若しくはシソの風味を増強するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イソバレルアルデヒド、メチオナール、フェニル酢酸及びフェニルアセトアルデヒドが特定量以下のタンパク質加水分解物に関する。
【背景技術】
【0002】
タンパク質加水分解物(「たん白加水分解物」とも表記される)は、植物、畜肉等のタンパク質を酵素や酸、アルカリ等で加水分解して得られる、アミノ酸を主成分とする調味素材であり、食品の旨味の付与に広く用いられる。
【0003】
例えば、特許文献1には、タンパク質をプロテイナーゼ又は酸で部分加水分解し、さらに該部分加水分解物の苦みを低減もしくは消去すると同時にプロリン及びヒドロキシプロリンを遊離することができるカルボキシペプチダーゼでさらに低分子化することを特徴とする製造方法により、苦みのないもしくは大幅に低減されたまろやかな風味のタンパク質加水分解物が得られることが開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、基質蛋白の少ない鶏胸肉をミンチし、水を加え、特定条件でアルカリプロテアーゼ処理して得られる可溶化エキスが、風味があり旨味が強いことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000-279126号公報
【特許文献2】特開2017-148019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、タンパク質加水分解物を改質することによって、うま味を増強するための、また、醤油又はだしの風味を増強するための、新規のタンパク質加水分解物を提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意検討した結果、イソバレルアルデヒド、メチオナール、フェニル酢酸及びフェニルアセトアルデヒドが特定量以下であるタンパク質加水分解物が、飲食品等のうま味を増強し、また、醤油又はだし特有の風味を増強することを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
即ち、本発明は、以下のタンパク質加水分解物を提供する。
[1]
固形分質量に対して、イソバレルアルデヒドを100ppb以下、メチオナールを100ppb以下、フェニル酢酸を2000ppb以下、及びフェニルアセトアルデヒドを200ppb以下含有する、タンパク質加水分解物。
[2]
固形分質量に対して、イソバレルアルデヒド、メチオナール、フェニル酢酸及びフェニルアセトアルデヒドを合計で2000ppb以下含有する、[1]に記載のタンパク質加水分解物。
[3]
うま味を増強するための、[1]又は[2]に記載のタンパク質加水分解物。
[4]
醤油、だし、卵又はシソの風味を増強するための、[1]~[3]のいずれか1に記載のタンパク質加水分解物。
[5]
[1]~[4]のいずれか1に記載のタンパク質加水分解物を含有する、飲食品。
[6]
さらに醤油、だし、卵若しくはシソを含有する、又は醤油風味、だし風味、卵風味若しくはシソ風味である、[5]に記載の飲食品。
[7]
タンパク質加水分解物を、合成吸着剤と接触させることを含む、改質されたタンパク質加水分解物の製造方法。
[8]
タンパク質加水分解物を、合成吸着剤と接触させることを含む、
前記タンパク質加水分解物のうま味を増強するための、又は、醤油、だし、卵若しくはシソの風味を増強するための方法。
[9]
タンパク質加水分解物のイソバレルアルデヒド、メチオナール、フェニル酢酸及びフェニルアセトアルデヒドからなる群より選ばれる1以上の化合物の含有量を減少させることを含む、
前記タンパク質加水分解物のうま味を増強するための、又は、醤油、だし、卵若しくはシソの風味を増強するための方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明のイソバレルアルデヒド、メチオナール、フェニル酢酸及びフェニルアセトアルデヒドが特定量以下のタンパク質加水分解物により、これらの成分が当該特定量を超えるタンパク質加水分解物に比べて、飲食品のうま味を増強することができる。また、醤油、だし、卵若しくはシソを含有する、又は醤油風味、だし風味、卵風味若しくはシソ風味である飲食品に本発明のタンパク質加水分解物を添加することで、これらの成分が当該特定量を超えるタンパク質加水分解物を添加した場合に比べて、醤油風味、だし風味、卵風味若しくはシソ風味を増強させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書において、成分調整処理は、特定の組成物に含まれる、水以外の特定成分(複数種類の成分であってもよい)の、当該組成物の固形分質量に対する割合を増加又は減少させる処理を表す。例えば、抽出物から水のみを減じただけの場合は、成分調整処理に該当しない。
【0011】
本明細書において、ppbは、特に記載がない限り、質量当たりの10億分の1(10-9)を表す。即ち、1ppbは10-9g/gに相当する。
【0012】
[タンパク質加水分解物]
本発明のタンパク質加水分解物は、イソバレルアルデヒド、メチオナール、フェニル酢酸及びフェニルアセトアルデヒドが特定量以下であることを特徴とする。
【0013】
本明細書において、タンパク質加水分解物とは、飲食品に使用可能なタンパク質のペプチド結合の一部又は全部を、飲食品の製造に適用可能な方法によって加水分解処理することによって得られる、アミノ酸に富む組成物を指す。
【0014】
上記の加水分解の対象となるタンパク質は、飲食品に使用可能であれば特に限定されない。例えば、植物由来タンパク質;卵由来タンパク質(卵白、アルブミン等);畜肉由来タンパク質;水産物由来タンパク質、ゼラチン、コラーゲン;乳由来タンパク質(牛乳、脱脂粉乳、全脂粉乳、乳タンパク質濃縮物、乳清タンパク質(ホエイ)、カゼイン、ラクトフェリン等);及び酵母由来タンパク質等の微生物由来タンパク質からなる群より選ばれる1種単独又は2種以上の組み合わせが挙げられる。中でも、タンパク質としては、植物由来タンパク質が好ましい。
【0015】
植物由来タンパク質としては、例えば、トウモロコシタンパク質、大豆タンパク質、エンドウタンパク質、緑豆タンパク質、大麦タンパク質、小麦タンパク質(グルテン等)、米タンパク質、野菜由来タンパク質、果実由来タンパク質からなる群より選ばれるいずれか1種単独又は2種以上の組み合わせが挙げられる。
【0016】
ペプチド結合の加水分解処理の方法としては、例えば、微生物等を用いた発酵、プロテアーゼ等の酵素による分解、酸加水分解及びアルカリ加水分解からなる群より選ばれるいずれか1種単独又は2種以上の組み合わせを用いることができる。中でもペプチド結合の加水分解処理の方法は、酸加水分解が好ましい。
【0017】
本発明のタンパク質加水分解物は、例えば、下記の[タンパク質加水分解物の製造方法]の項に記載された方法によって得ることができる。
【0018】
(イソバレルアルデヒド、メチオナール、フェニル酢酸、フェニルアセトアルデヒド)
イソバレルアルデヒドは、3-メチルブタナール、3-メチルブチルアルデヒドとも呼ばれ、CAS番号590-86-3の化合物である。
メチオナールは3-(メチルチオ)プロパナールとも呼ばれ、CAS番号3268-49-3の化合物である。
フェニル酢酸はCAS番号103-82-2の化合物である。
フェニルアセトアルデヒドはCAS番号122-78-1の化合物である。
【0019】
本発明のタンパク質加水分解物中のイソバレルアルデヒドの含有量は、本発明の効果を顕著に奏する観点から、その固形分質量に対して、100ppb以下であり、好ましくは50ppb以下、40ppb以下、30ppb以下又は20ppb以下であり、より好ましくは10ppb以下である。また、本発明のタンパク質加水分解物中のイソバレルアルデヒドの含有量は、その固形分質量に対して、例えば、0.001ppb以上、0.01ppb以上又は0.1ppb以上であってもよい。
【0020】
本発明のタンパク質加水分解物中のメチオナールの含有量は、本発明の効果を顕著に奏する観点から、その固形分質量に対して、100ppb以下であり、好ましくは50ppb以下、40ppb以下、30ppb以下又は20ppb以下であり、より好ましくは10ppb以下である。また、本発明のタンパク質加水分解物中のメチオナールの含有量は、その固形分質量に対して、例えば、0.001ppb以上、0.01ppb以上又は0.1ppb以上であってもよい。
【0021】
本発明のタンパク質加水分解物中のフェニル酢酸の含有量は、本発明の効果を顕著に奏する観点から、その固形分質量に対して、2000ppb以下であり、好ましくは1500ppb以下又は1000ppb以下であり、より好ましくは800ppb以下、500ppb以下、200ppb以下又は100ppb以下であり、更に好ましくは80ppb以下、50ppb以下又は20ppb以下であり、更により好ましくは10ppb以下である。また、本発明のタンパク質加水分解物中のフェニル酢酸の含有量は、その固形分質量に対して、例えば、0.00001ppb以上、0.001ppb以上又は0.01ppb以上であってもよい。
【0022】
本発明のタンパク質加水分解物中のフェニルアセトアルデヒドの含有量は、本発明の効果を顕著に奏する観点から、その固形分質量に対して、200ppb以下であり、好ましくは150ppb以下又は100ppb以下であり、より好ましくは80ppb以下、50ppb以下又は20ppb以下であり、更に好ましくは10ppb以下である。また、本発明のタンパク質加水分解物中のフェニルアセトアルデヒドの含有量は、その固形分質量に対して、例えば、0.00001ppb以上、0.001ppb以上又は0.01ppb以上であってもよい。
【0023】
本発明のタンパク質加水分解物中のイソバレルアルデヒド、メチオナール、フェニル酢酸及びフェニルアセトアルデヒドの合計量は、その固形分質量に対して、本発明の効果を顕著に奏する観点から、好ましくは2000ppb未満であり、本発明の効果を顕著に奏する観点から、好ましくは1500ppb以下、より好ましくは1000ppb以下、更に好ましくは500ppb以下、更により好ましくは200ppb以下、特に好ましくは100ppb以下、特により好ましくは50ppb以下である。
本発明のタンパク質加水分解物中のイソバレルアルデヒド、メチオナール、フェニル酢酸及びフェニルアセトアルデヒドの合計量は、その固形分質量に対して、例えば、0.00001ppb以上、0.001ppb以上又は0.01ppb以上であってもよい。
【0024】
本明細書におけるイソバレルアルデヒド、メチオナール、フェニル酢酸及びフェニルアセトアルデヒドの含有量は、例えば、ガスクロマトグラフ質量分析計(GC/MS)を用いて測定することができる。測定方法にGC/MSを用いる場合は、下記の実施例に記載の<GC/MS分析条件>及び<GC/MSサンプルの調製>に記載された条件及び方法を用いるものとする。
【0025】
本発明のタンパク質加水分解物中の全窒素含有量は、特に限定されないが、当該タンパク質加水分解物の固形分質量に対して、例えば6~16質量%、好ましくは10~16質量%、より好ましくは10~14.5質量%である。
【0026】
本発明のタンパク質加水分解物中のタンパク質及びアミノ酸の総含有量は、特に限定されないが、当該タンパク質加水分解物の固形分質量に対して、例えば5~100質量%、好ましくは30~100質量%である。
【0027】
(賦形剤)
本発明のタンパク質加水分解物には、さらに賦形剤を含有させることができる。賦形剤としては、例えば、食塩、澱粉分解物(デキストリン、粉飴等)、糖類(単糖(グルコース、フルクトース等)、二糖(例えば、ショ糖、乳糖、麦芽糖、トレハロース等)、オリゴ糖(セロオリゴ糖、マルトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖等)、糖アルコール(キシリトール、ソルビトール、ラクチトール、マルチトール等)、還元糖化物等)、食物繊維(例えば、難消化性デキストリン、ポリデキストロース、グァーガム酵素分解物等)が挙げられる。これらの賦形剤は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0028】
本発明のタンパク質加水分解物に賦形剤が含まれる場合は、賦形剤の総含有量は、特に限定されないが、タンパク質加水分解物の全量に対して、例えば、0.1~90質量%が挙げられ、好ましくは3~80質量%、より好ましくは4~75質量%、更に好ましくは5~70質量%である。
【0029】
(乳化剤)
本発明のタンパク質加水分解物には、さらに乳化剤を含有させることができる。乳化剤としては、例えば、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル(例えば、モノグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル、有機酸モノグリセリド等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、レシチン、酵素分解レシチン、酵素処理レシチン、ステアロイル乳酸ナトリウム、ステアロイル乳酸カルシウム、キラヤ抽出物、サポニン、ポリソルベート(例えば、ポリソルベート20、ポリソルベート60、ポリソルベート65、ポリソルベート80)等が挙げられる。これらの乳化剤は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0030】
本発明のタンパク質加水分解物に乳化剤が含まれる場合は、乳化剤の総含有量は、特に限定されないが、タンパク質加水分解物の全量に対して、好ましくは0.01~2質量%、より好ましくは0.05~1質量%、更に好ましくは0.1~0.5質量%である。
【0031】
(その他成分)
本発明のタンパク質加水分解物は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、イソバレルアルデヒド、メチオナール、フェニル酢酸、フェニルアセトアルデヒド、賦形剤及び乳化剤以外に、その他の成分をさらに含有してもよい。当該その他の成分としては、例えば、食塩、糖類、アミノ酸系うま味調味料(L-グルタミン酸ナトリウム、L-グルタミン酸アンモニウム、L-グルタミン酸カリウム、L-グルタミン酸カルシウム、L-グルタミン酸マグネシウム等のグルタミン酸塩;L-アスパラギン酸ナトリウム;グルタミルバリルグリシン、グリシン、DL-アラニン等)、核酸系うま味調味料(5′-イノシン酸二ナトリウム、5′-グアニル酸二ナトリウム、5′-ウリジル酸二ナトリウム、5′-シチジル酸二ナトリウム、5′-リボヌクレオチド二ナトリウム、5′-リボヌクレオチドカルシウム等)、有機酸又はその塩(コハク酸二ナトリウム、コハク酸、クエン酸三ナトリウム、グルコン酸カリウム、クエン酸カルシウム、酢酸等)、無機塩類(塩化カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム等)、アミノ酸(アルギニン、リジン等)、酵母エキス、畜肉・魚介由来成分(チキンエキス、ポークエキス、ビーフエキス、かつおぶしエキス、かつおぶし粉末等)、野菜由来成分(野菜粉末、野菜エキス、しいたけエキス等)、海藻由来成分(昆布エキス、昆布粉末等)、アルコール類、等張化剤(ソルビトール等)、緩衝剤(酢酸ナトリウム等)、防腐剤(亜硝酸ナトリウム等)、抗酸化剤(L-アスコルビン酸等)、着色剤(ベニバナ色素等)、pH調整剤(酢酸ナトリウム等)が挙げられる。これらの成分は、1種の成分を用いてもよく、2種以上の成分を組み合わせて用いてもよい。
【0032】
(形態)
本発明のタンパク質加水分解物の形態は、例えば、固体形態(例えば、粉末状、ペースト状、顆粒状及び錠剤状等)、液体形態(例えば、溶解液、分散液等)等が挙げられる。
【0033】
(用途)
本発明のタンパク質加水分解物は、そのまま飲食品に添加して飲食品の製造に用いてもよいし、飲食品に添加して用いられる製剤の製造に用いてもよい。当該飲食品の具体的実施形態は、後述の[飲食品]の項に記載した飲食品が挙げられる。
【0034】
本発明のタンパク質加水分解物はうま味を増強する効果を奏する。従って、本発明のタンパク質加水分解物は、例えば、飲食品に適用して、そのうま味を増強するのに用いることができる。
【0035】
また、本発明のタンパク質加水分解物は、醤油、だし、卵又はシソ特有の風味を増強する効果を奏する。従って、本発明のタンパク質加水分解物は、例えば、醤油、だし、卵若しくはシソを含有する飲食品、又は、醤油風味、だし風味、卵風味若しくはシソ風味である飲食品に適用して、醤油、だし、卵若しくはシソ特有の風味を増強するのに用いることができる。
【0036】
[タンパク質加水分解物の製造方法]
本発明のタンパク質加水分解物は、その原料となるタンパク質加水分解物(以下、原料タンパク質加水分解物)から、成分調整処理によってイソバレルアルデヒド、メチオナール、フェニル酢酸及びフェニルアセトアルデヒドのいずれか1つ又は2以上の組み合わせを減ずることによって得ることができる。
【0037】
(原料タンパク質加水分解物)
原料タンパク質加水分解物のタンパク質の由来及び加水分解方法としては、上記の[タンパク質加水分解物]の項に記載したものが挙げられる。
【0038】
原料タンパク質加水分解物は、そのまま成分調整処理を行ってもよいし、また、いったん乾燥物等に加工してから、任意で保存等を経た後で、成分調整処理を行ってもよい。
【0039】
原料タンパク質加水分解物の形状は、液状、ペースト状、粉末状、固体状などが挙げられるが、成分調整処理を行うためには、液状であることが望ましい。
【0040】
例えば、合成吸着剤と接触させる液は、原料タンパク質加水分解物を水に溶解して希釈したものを使用することができる。希釈の程度に関しては、特に限定されないが、当該原料タンパク質加水分解物の固形分含有量が、原料タンパク質加水分解物の全量に対して、0.01~40重量%、好ましくは1~20重量%に調整されることが好ましい。
【0041】
(成分調整処理)
本発明のタンパク質加水分解物を製造する場合、上記の原料タンパク質加水分解物又はその乾燥物に、成分調整処理を行う。当該処理により、イソバレルアルデヒド、メチオナール、フェニル酢酸及びフェニルアセトアルデヒドが特定量以下のタンパク質加水分解物の組成に調整する。
【0042】
本発明の製造方法に用いられる成分調整処理としては、例えば、合成吸着剤、イオン交換樹脂等による精製処理;活性炭、シリカゲル、ゼオライト、活性白土、珪藻土、酸性白土、合成吸着剤等を用いた吸着濾過処理;限外濾過、精密ろ過等のろ過処理;真空や不活性ガスの充てん等によって液体中の気体成分を除去する脱ガス処理からなる群より選ばれる、1種単独の処理又は2種以上の処理の組み合わせが挙げられる。中でも、本発明の製造方法には、少なくとも合成吸着剤による精製処理を含むことが好ましい。
【0043】
原料タンパク質加水分解物中に不溶性固形分が混在している状態である場合、その精製処理の前に、予め吸着濾過処理を経ることが好ましい。
【0044】
本明細書において、合成吸着剤とは、不溶性の三次元架橋構造ポリマーであってイオン交換基を実質的に有しないものを表す。このような合成吸着剤としては、例えば、ポリスチレン系、スチレン-ジビニルベンゼン共重合体系等の芳香族系樹脂;芳香族系樹脂にさらに臭素等で修飾をして得られる芳香族系修飾型樹脂;アクリル酸エステル系樹脂;メタクリル酸エステル系樹脂;メタクリル系樹脂などが挙げられる。中でも、本発明の製造方法に用いられる合成吸着剤としては、芳香族系樹脂が好ましく、スチレン-ジビニルベンゼン共重合体系がより好ましい。
【0045】
上記の芳香族系樹脂としては、ポリスチレン系として、例えばアンバーライトXAD-16(ローム・アンド・ハース社製);スチレン-ジビニルベンゼン共重合体系として、例えばダイヤイオンHP-20、セパビーズSP700、同SP70(以上、三菱化学(株)製);アクリル酸エステル系として、例えばアンバーライトXAD-7HP(ローム・アンド・ハース社製);芳香族系修飾型として、セパビーズSP207(三菱化学(株)製);メタクリル酸エステル系として、ダイヤイオンHP2MGL(三菱化学(株)製)などの中から1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0046】
原料タンパク質加水分解物を合成吸着剤に通液させる方法としては、カラム方式を採用するのが好ましく、上記合成吸着剤を充填したカラムもしくは樹脂塔に、使用する合成吸着剤の1~200倍量、好ましくは5~50倍量の原料タンパク質加水分解物を用いることができる。
【0047】
以上のようにして得られたタンパク質加水分解物は、そのまま或いは濃縮して液状もしくはペースト状製剤とする他、デキストリン、乳糖やアラビアガムなどの既知の賦形剤を適時添加して、乾燥工程を経て粉末化してもよい。
【0048】
(その他処理)
本発明の製造方法には、さらにろ過又は遠心分離によって夾雑物を除去する工程を含んでいてもよい。
【0049】
本発明の製造方法には、さらに殺菌工程を含むことが好ましい。
【0050】
本発明の製造方法には、使用の態様によって、一部濃縮するための、又は、乾燥物を調製するための、乾燥工程を含んでもよい。このような水分の除去の方法は、特に限定されず、減圧乾燥法、凍結乾燥法、噴霧乾燥(スプレードライ)法、ドラムドライ法等を用いることができる。
【0051】
上記の乾燥工程を行う場合、タンパク質加水分解物には当該工程の前に賦形剤を含有させておくことが好ましい。賦形剤の具体例及び使用量は、上記の[タンパク質加水分解物]の項に記載の賦形剤と同じである。
【0052】
[飲食品]
本発明の飲食品は、例えば、上記の[タンパク質加水分解物]の項に記載したタンパク質加水分解物を含有する飲食品が挙げられる。
【0053】
本発明の飲食品としては、例えば、即席めん、即席スープ等の即席食品;レトルト食品;うどん、ラーメン、そば、パスタ、唐揚げ、カレー、おでん等の調理食品;焼豚、焼き鳥、ローストビーフ、ハム、ソーセージ、ベーコン、ドライソーセージ、ビーフジャーキー等の畜肉類加工品;蒲焼、みりん干し、魚肉ハム、魚肉ソーセージ、蒲鉾、チクワ、ハンペン等の魚介類加工品;漬物等の野菜加工品、果物加工品、海産物加工品、穀物加工品等の加工食品;固形ブイヨン、粉末だし、みそ、粉末みそ、醤油、粉末醤油、もろみ、魚醤、めんつゆ、ソース、ケチャップ、マヨネーズ、ソース、ドレッシング、焼き肉のタレ、食用油、スパイス、ラーメンスープ等の調味料;ポテトチップス、スナック菓子、焼菓子、タブレット、カプセル菓子、フィルム菓子、キャンディー、チューインガム、チョコレート等の菓子類;おかき、せんべい、おこし、まんじゅう、飴、団子、カステラ等の和菓子類;清涼飲料(フレーバーウォーター、炭酸飲料、果汁飲料、乳性飲料、茶系飲料等のアルコール度数1度未満の飲料);アルコール飲料(酎ハイ、カクテル等のアルコール度数1度以上の飲料);クッキー、ビスケット、クラッカー、パイ、スポンジケーキ、カステラ、ドーナッツ、ワッフル、プリン、バタークリーム、カスタードクリーム、シュークリーム、ゼリー、ホットケーキ、パン等のパティスリー;アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、氷菓等の冷菓;ヨーグルト、チーズ等の乳製品;シロップ、ジャム等が挙げられる。
中でも、本発明の飲食品は、醤油、だし、卵若しくはシソを含有する、又は醤油風味だし風味、卵風味若しくはシソ風味の飲食品であることが好ましく、醤油、めんつゆ、マヨネーズ又はドレッシングであることが更に好ましい。
【0054】
本発明の飲食品のタンパク質加水分解物の含有量(固形分換算量)は、特に限定されず、食品の種類や使用目的等に応じて適宜調節し得るが、飲食品の全量に対して、例えば、0.01~20質量%、0.1~15質量%、又は1~10質量%である。
【0055】
本発明の飲食品のタンパク質加水分解物の添加量は、特に限定されず、食品の種類や使用目的等に応じて適宜調節し得るが、本発明の効果を顕著に奏する観点から、例えばイソバレルアルデヒド又はメチオナールの含有量が、それぞれ飲食品の全量に対して10ppb以下、好ましくは5ppb以下、より好ましくは1ppb以下増加するように添加される。また、本発明の飲食品のタンパク質加水分解物は、イソバレルアルデヒド及びメチオナールの含有量が、例えば飲食品の全量に対して、それぞれ、例えば、0.0000001ppb以上、0.00001ppb以上、0.0001ppb以上増加するように添加されてもよい。
【0056】
本発明の飲食品のタンパク質加水分解物の添加量は、本発明の効果を顕著に奏する観点から、例えばフェニル酢酸の含有量が飲食品の全量に対して350ppb以下、300ppb以下、200ppb以下又は100ppb以下、好ましくは50ppb以下又は20ppb以下、より好ましくは1ppb以下増加するように添加される。また、本発明の飲食品のタンパク質加水分解物は、フェニル酢酸の含有量が、例えば飲食品の全量に対して、例えば、0.0000001ppb以上、0.00001ppb以上又は0.0001ppb以上増加するように添加されてもよい。
【0057】
本発明の飲食品のタンパク質加水分解物の添加量は、本発明の効果を顕著に奏する観点から、例えばフェニルアセトアルデヒドの含有量が飲食品の全量に対して100ppb以下、50ppb以下又は20ppb以下、好ましくは10ppb以下、5ppb以下又は2ppb以下、より好ましくは1ppb以下増加するように添加される。また、本発明の飲食品のタンパク質加水分解物は、フェニルアセトアルデヒドの含有量が、例えば飲食品の全量に対して、例えば、0.0000001ppb以上、0.00001ppb以上、0.0001ppb以上増加するように添加されてもよい。
【0058】
[タンパク質加水分解物のうま味を増強するための、又は、醤油、だし、卵若しくはシソの風味を増強するための方法]
本発明の方法は、タンパク質加水分解物(原料タンパク質加水分解物)を、合成吸着剤と接触させることを含み、前記組成物のうま味を増強するための、又は、醤油、だし、卵若しくはシソの風味を増強するためのものであることを特徴とする。
【0059】
あるいは、本発明の方法は、タンパク質加水分解物(原料タンパク質加水分解物)のイソバレルアルデヒド、メチオナール、フェニル酢酸及びフェニルアセトアルデヒドからなる群より選ばれる1以上の化合物の含有量を減少させることを含む。
【0060】
上記の原料タンパク質加水分解物の具体的な実施形態は[タンパク質加水分解物の製造方法]に記載したものが挙げられる。また、得られるタンパク質加水分解物の具体的な実施形態は、[タンパク質加水分解物]の項に記載したものが挙げられる。本発明の方法のその他の実施形態の詳細については、当業者は上記の記載から理解することができる。
【実施例0061】
以下、本発明を実験例及び実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら制限されるものではない。なお、実施例中の「部」「%」は、特に記載がない限り、それぞれ「質量部」「質量%」を意味する。また、文中「*」印は、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製であることを示し、文中「※」印は、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社の登録商標であることを示す。
【0062】
[試験例1.タンパク質加水分解物の調製]
(実施例のタンパク質加水分解物の調製)
トウモロコシタンパク質の塩酸加水分解物である、原料タンパク質加水分解物〔グルタミン酸含有量3質量%(L-グルタミン酸ナトリウム換算量で3.45質量%)、食塩含有量20質量%、固形分含有量32.6質量%〕150gにイオン交換水850gを混合し、40℃で30分撹拌溶解した。溶解液に活性炭(タケコール50WG-T、大阪ガスケミカル(株)製)3.0gを投入して、室温下にて30分撹拌混合した。活性炭を濾過にて除去し、原料タンパク質加水分解物濾過液を911.2g得た。
【0063】
前工程で得られた原料タンパク質加水分解物濾過液は、合成吸着剤SP700(三菱化学(株)製)50mLを充填した樹脂塔にSV=6.0の条件で通液し、通過液を減圧濃縮下で濃縮し、固形分含有量が32.6質量%のタンパク質加水分解物(実施例1)を得た。
【0064】
(比較例のタンパク質加水分解物の調製)
上記の原料タンパク質加水分解物と同じ市販のトウモロコシタンパク質の加水分解物を比較例1とした。
【0065】
実施例1及び比較例1の植物タンパク質加水分解物を試料として、ガスクロマトグラフ質量分析計(GC/MS)にて香気成分を測定した。測定条件は以下のとおりである。
<GC/MS分析条件>
GC: アジレントテクノロジー 7890A GC
MS: アジレントテクノロジー 5975C Inert XL MSD
キャピラリーカラム: アジレントテクノロジー DB-WAX 長さ60m、内径0.25mm、膜厚0.25μm
温度プログラム: 50℃、2分間保持→3℃/分→220℃
キャリアガス: ヘリウム
注入口圧: 25psi、定圧モード
<GC/MSサンプルの調製>
(1)試料27gにイオン交換水を加えて300gとし、内部標準として3-ヘプタノールを50μg添加し、ジエチルエーテル300mLを加えて攪拌する。
(2)ジエチルエーテル層を分液し、およそ50~1000倍に濃縮したものをGC/MS用サンプルとする。なお、濃縮倍率はサンプル中の測定すべき成分の量に応じて適宜調整しうる。
【0066】
GC/MS法によって求められた実施例1及び比較例1のタンパク質加水分解物のイソバレルアルデヒド、メチオナール、フェニル酢酸及びフェニルアセトアルデヒドの固形分質量当たりの含有量は、表1の通りであった。
【0067】
【表1】
【0068】
[試験例2.タンパク質加水分解物の風味への効果の検証]
(試験用のめんつゆの調製)
以下の製法で、本試験例で使用するめんつゆA(3倍濃縮品)を製造した。
(1)表2の原料1~11を加えて加熱溶解する。
(2)80℃達温で、容器にホットパック充填する。
【0069】
【表2】
【0070】
(試験食品の調製)
(1)試験食品は、市販のマヨネーズ、市販のドレッシング及び上記めんつゆAの3種類を使用した。試験食品95.6質量%に4.4質量%の実施例1のタンパク質加水分解物を加えて十分に混合した食品(ブランク試験食品)を調製した。
(2)また、(1)の3種類のブランク試験食品の全量に対して、50ppbのイソバレルアルデヒド又はメチオナールを添加したもの、1000ppbのフェニル乳酸を添加したもの、又は500ppbのフェニルアセトアルデヒドを添加したものを調製した。
(3)(2)で調製した各種香気成分を所定濃度分添加した試験食品と(1)のブランク試験食品を混合して、種々の濃度で香気成分が添加された、4.4質量%の実施例1のタンパク質加水分解物を含有する試験食品を調製した。
【0071】
(官能評価用コントロールサンプル)
官能評価に用いるコントロールサンプルとして、試験食品の種類ごとに、サンプルS1(試験食品95.6質量%にグルタミン酸ナトリウム0.15質量%、食塩0.88質量%、水3.37質量%を添加したもの)及びサンプルS2(試験食品95.6質量%に比較例1のタンパク質加水分解物を4.4質量%添加したもの)を調製した。即ち、サンプルS1及びS2のグルタミン酸ナトリウム含有量及び食塩含有量が同じになるように調製した。
【0072】
(官能評価)
得られた試験サンプルを、以下の方法で官能評価した。食品の研究開発に従事し、官能評価の訓練を受けた10名を官能評価パネラーとした。試食はパネラーがサンプルを完全に口内に含み、飲み込むことによって、味覚及び口腔から咽頭を通じて鼻腔に抜けて感じる嗅覚(レトロネーザルフレーバー)を評価した。
(1)まず、パネラーに各試験食品のサンプルS1とサンプルS2を試食してもらった。
(2)パネラー間の協議で、以下の傾向が各パネラーで一致して見られることを確認した。
・サンプルS1のマヨネーズのほうがサンプルS2のマヨネーズよりうま味及び卵特有の風味が強い。
・サンプルS1のシソドレッシングのほうがサンプルS2のシソドレッシングよりうま味及びシソ特有の風味が強い。
・サンプルS1のめんつゆのほうがサンプルS2のめんつゆよりうま味並びに醤油及びだし特有の風味が強い。
(3)そして、マヨネーズのうま味、マヨネーズの卵特有の風味、シソドレッシングのうま味、シソドレッシングのシソ特有の風味、めんつゆのうま味、並びにめんつゆの醤油及びだし特有の風味のそれぞれの強度について、各パネラーが、サンプルS1の強度を2点、サンプルS2の強度を0点、サンプルS1とS2の中間の強度を1点として、試験サンプルの風味を評価した。即ち、評点が大きいほどうま味、卵特有の風味、シソ特有の風味、又は醤油及びだし特有の風味が強いことを表す。
【0073】
(結果)
マヨネーズの結果を表3-1~4に示した。マヨネーズ中のイソバレルアルデヒド、メチオナール、フェニル酢酸及びフェニルアセトアルデヒドが、それぞれ少ないほど、マヨネーズにおいてうま味が増強され、また卵特有の風味が増強された。
【0074】
シソドレッシングの結果を表4-1~4に示した。シソドレッシング中のイソバレルアルデヒド、メチオナール、フェニル酢酸及びフェニルアセトアルデヒドが、それぞれ少ないほど、シソドレッシングにおいてうま味が増強され、またシソ特有の風味が増強された。
【0075】
めんつゆの結果を表5-1~4に示した。めんつゆ中のイソバレルアルデヒド、メチオナール、フェニル酢酸及びフェニルアセトアルデヒドが、それぞれ少ないほど、めんつゆにおいてうま味が増強され、また醤油及びだし特有の風味が増強された。
【0076】
よって、食品に添加されるタンパク質加水分解物は、イソバレルアルデヒド、メチオナール、フェニル酢酸及びフェニルアセトアルデヒドがそれぞれ少ないほど、うま味を増強し、また卵、シソ、醤油及びだし特有の風味を増強することが示された。
【0077】
【表3-1】
【0078】
【表3-2】
【0079】
【表3-3】
【0080】
【表3-4】
【0081】
【表4-1】
【0082】
【表4-2】
【0083】
【表4-3】
【0084】
【表4-4】
【0085】
【表5-1】
【0086】
【表5-2】
【0087】
【表5-3】
【0088】
【表5-4】