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特開2022-84249測定システム、端末、測定器、及び測定プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022084249
(43)【公開日】2022-06-07
(54)【発明の名称】測定システム、端末、測定器、及び測定プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01D 9/00 20060101AFI20220531BHJP
   G08C 15/00 20060101ALI20220531BHJP
   G08C 19/00 20060101ALI20220531BHJP
【FI】
G01D9/00 A
G08C15/00 G
G08C19/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020195989
(22)【出願日】2020-11-26
(71)【出願人】
【識別番号】000227180
【氏名又は名称】日置電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 哲也
【テーマコード(参考)】
2F070
2F073
【Fターム(参考)】
2F070AA01
2F070BB01
2F070CC03
2F070DD14
2F070FF12
2F070GG06
2F070HH08
2F073AA01
2F073AA02
2F073AA33
2F073AB01
2F073BB01
2F073BC02
2F073CC03
2F073CC07
2F073CC14
2F073CD11
2F073DD01
2F073DE07
2F073DE13
2F073EF09
2F073FF01
2F073FG01
2F073FG02
2F073GG01
2F073GG08
2F073GG09
2F073GG10
(57)【要約】
【課題】利便性の向上が可能な測定システム、端末、測定器、及び測定プログラムを提供する。
【解決手段】測定器と端末とが通信可能に構成される測定システムである。端末は、測定器の測定対象を特定する特定情報を測定器に送信する送信手段を備える。測定器は、端末からの特定情報を受信する受信手段と、測定対象の物理量を測定する測定手段と、受信した特定情報に基づいて測定手段により測定対象の物理量を測定した測定結果に基づく保存データを特定情報に関連付けて保存する保存手段とを備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定器と端末とが通信可能に構成される測定システムであって、
前記端末は、前記測定器の測定対象を特定する特定情報を前記測定器に送信する送信手段を備え、
前記測定器は、
前記端末からの前記特定情報を受信する受信手段と、
前記測定対象の物理量を測定する測定手段と、
受信した前記特定情報に基づいて前記測定手段により前記測定対象の物理量を測定した結果に基づく保存データを前記特定情報に関連付けて保存する保存手段と、を備える、
測定システム。
【請求項2】
請求項1に記載の測定システムであって、
前記端末は、前記特定情報を生成する生成手段をさらに含み、
前記特定情報は、
複数の前記測定対象を有する測定対象群を特定する対象群特定情報と、
前記測定対象群の各々を管理するための識別子と、を含み、
前記保存手段は、前記特定情報に基づいて、前記測定手段による前記測定対象群の各々の前記保存データに前記識別子と共に前記対象群特定情報を関連付ける、
測定システム。
【請求項3】
請求項2に記載の測定システムであって、
前記対象群特定情報は、前記測定対象群の種類を示す種類情報と前記測定対象群を収容する部屋を特定するための部屋情報とのうち少なくとも一つを含む、
測定システム。
【請求項4】
請求項2から請求項3のいずれか一項に記載の測定システムであって、
前記測定器は、前記特定情報に基づいて前記測定対象群の各々の前記識別子を順番に報知する報知手段をさらに備え、
前記保存手段は、前記報知手段が前記測定対象の前記識別子を報知するたびに、前記保存データを、報知した前記識別子に関連付けて保存する、
測定システム。
【請求項5】
請求項4に記載の測定システムであって、
前記測定器は、前記報知手段が次に報知する前記識別子を前記端末に送信し、
前記端末は、前記測定器から前記識別子を受信すると、受信した前記識別子を報知する、
測定システム。
【請求項6】
請求項5に記載の測定システムであって、
前記測定器は、前記保存手段による保存処理が終了した場合に保存の終了を前記端末に通知し、
前記端末は、前記測定器から保存の終了が通知された場合に次に報知する前記識別子を報知する、
測定システム。
【請求項7】
請求項5又は請求項6に記載の測定システムであって、
前記端末は、測定者が携帯可能に構成され、前記測定対象の前記識別子を音で報知する、
測定システム。
【請求項8】
請求項4から請求項7のいずれか一項に記載の測定システムであって、
前記測定器は、前記保存手段が最後に保存した前記保存データ及び前記識別子を、測定者による操作入力に応じて削除する削除手段を備える、
測定システム。
【請求項9】
請求項8に記載の測定システムであって、
前記報知手段は、前記削除手段が削除を実施した場合には、削除された前記保存データに関連付けられた前記識別子を報知する、
測定システム。
【請求項10】
端末と通信可能に構成される測定器であって、
前記端末から測定対象を特定するための特定情報を受信する受信手段と、
受信した前記特定情報に基づいて前記測定対象の測定結果に基づく保存データを前記特定情報に関連付けて保存する保存手段と、
を備える測定器。
【請求項11】
測定器と通信可能に構成される端末であって、
前記測定器の測定対象を特定するための特定情報を生成する生成手段と、
前記測定器が前記特定情報に基づいて前記測定対象の測定結果に基づく保存データを前記特定情報に関連付けて保存するよう前記測定器に対して前記特定情報を送信する送信手段と、
を備える端末。
【請求項12】
測定器と通信可能に構成される端末のコンピュータに、
前記測定器の測定対象を特定するとともに前記測定対象の測定結果に基づく保存データに関連付けて保存される特定情報を前記測定器に送信する手順を実行させるための測定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定システム、端末、測定器、及び測定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、テスターが示されている。このテスターは、測定結果を記憶するメモリを備えており、測定結果を記憶するメモリの記憶領域には、仕様で定められたメモリ番号が付与されている。
【0003】
このテスターでは、測定を行なう度に繰り上げられるメモリ番号の記憶領域に測定結果が記憶される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第10393815号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようなテスターにあっては、測定結果を記憶する記憶領域のメモリ番号は、測定に関する情報を示すものではない。
【0006】
このため、複数の測定対象を測定する場合、測定対象と測定結果とを対応付けるためには、メモリ番号と測定対象を特定するための情報とを測定毎に記録として残す必要がある。これにより、測定に手間がかかり不便であった。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、利便性の向上が可能な測定システム、端末、測定器、及び測定プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある態様によれば、測定器と端末とが通信可能に構成される測定システムであって、前記端末は、前記測定器の測定対象を特定する特定情報を前記測定器に送信する送信手段を備える。前記測定器は、前記端末からの前記特定情報を受信する受信手段と、前記測定対象の物理量を測定する測定手段と、受信した前記特定情報に基づいて前記測定手段による前記測定対象の測定結果に基づく保存データを前記特定情報に関連付けて保存する保存手段と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
この態様において、測定対象を特定する特定情報を端末から測定器に送信することができるので、測定器での特定情報の入力作業が不要となる。
【0010】
また、測定器での測定結果に基づく保存データは、特定情報に関連付けられてメモリに保存されており、メモリに保存されたデータを参照することにより保存データと特定情報との関係を把握することが可能となる。
【0011】
このため、作業者が測定対象と測定結果とを対応付けるための記録を測定毎に残さなければならない場合と比較して、測定作業が容易となり、利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、一実施形態に係る測定システムを示すブロック図である。
図2図2は、一実施形態に係る測定器のハードウエア構成を示すブロック図である。
図3図3は、一実施形態に係る端末のハードウエア構成を示すブロック図である。
図4図4は、一実施形態に係る測定システムの各部の機能を示す機能ブロック図である。
図5図5は、一実施形態に係る測定システムの動作を示すフローチャートである。
図6図6は、図5に続く動作を示すフローチャートである。
図7図7は、図6に続く動作を示すフローチャートである。
図8図8は、端末に表示されるプロファイル情報の編集画面の一例を示す図である。
図9図9は、特定情報と特定情報に対応するメモリ番号との関係の一例を示す説明図である。
図10図10は、測定開始前に端末に表示される測定ガイド画面の一例を示す図である。
図11図11は、端末に表示される報知画面と端末からの音声ガイドとの一例を説明する説明図である。
図12図12は、測定開始後に端末に表示される報知画面の一例を示す図である。
図13図13は、測定器に表示されるバッテリ番号「1」の報知画面の一例を示す図である。
図14図14は、測定器に表示されるバッテリ番号「1」の測定結果の表示画面の一例を示す図である。
図15図15は、測定器に表示されるバッテリ番号「50」の報知画面の一例を示す図である。
図16図16は、測定器に表示されるバッテリ番号「50」の測定結果の表示画面の一例を示す図である。
図17図17は、測定器に保存されるデータの一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照しながら本発明の一実施形態について説明する。
【0014】
図1は、一実施形態に係る測定システム10を示すブロック図である。この測定システム10は、互いに通信可能に接続される測定器12と端末14とで構成される。
【0015】
測定器12は、対象物の測定を行なう装置である。この測定器12としては、電圧、電流、又は抵抗値を測定する装置、あるいは対象物の状態を測定する装置等が挙げられる。本実施形態では、対象物をバッテリとするとともにバッテリの状態を測定するバッテリテスタを測定器12の一例として説明する。ここで、複数の測定対象である測定対象群として、複数のバッテリ40が用いられる。
【0016】
端末14は、入力操作が行える装置で構成される。この端末14としては、パソコン又は携帯型端末等が挙げられ、本実施形態では、測定者が携帯可能であるスマートフォンを端末14の一例として説明する。
【0017】
(ハードウエア構成)
[測定器]
図2は、一実施形態に係る測定器12のハードウエア構成を示すブロック図である。測定器12は、コンピュータを構成する制御部20を中心に構成されている。この制御部20には、測定デバイス部22と、表示部24と、報知装置部26と、入力部28と、時計部30と、記憶部32と、通信部34とが接続されている。
【0018】
測定デバイス部22は、一例として無停電電源装置38のバッテリ40の正極端子42に接続される正極探針44と負極端子46に接続される負極探針48とを備えており、両探針44、48に流れる電流値からバッテリ40の内部抵抗を示す抵抗値を測定する。また、測定デバイス部22は、両探針44、48に生ずる電位差から電圧値を測定し、バッテリ40の各端子42、46の温度を検出してバッテリ40の温度値を測定する。
【0019】
表示部24は、測定者に測定結果等を表示により報知する。表示部24は、一例としてLCD(Liquid Crystal Display)等の液晶表示パネルで構成される。
【0020】
報知装置部26は、測定者にガイドや警告音等を報知する。報知装置部26は、一例としてスピーカで構成される。
【0021】
入力部28は、測定者の入力操作を受け付ける入力インターフェースで構成される。入力部28は、一例として複数の操作ボタンで構成され、測定を開始する為の開始ボタン、測定を終了する為の終了ボタン、文字や数字などのデータを入力する為のデータ入力ボタン、及び保存したデータを削除するためのデータクリアボタンを有する。
【0022】
時計部30は、現在の年月日及び時刻を制御部20に出力する。
【0023】
記憶部32は、測定器12の動作を制御する制御プログラムが格納される。記憶部32は、情報処理装置としての機能を実現するプログラムを格納する記憶媒体として機能する。記憶部32は、不揮発性メモリ(ROM;Read Only Memory)、及び揮発性メモリ(RAM;Random Access Memory)などにより構成される。
【0024】
また、記憶部32は、プログラムで使用するデータが読み出し可能に記憶される。具体的に記憶部32には、測定対象の測定結果に基づく保存データが、端末14より受信した特定情報に関連付けられて記憶され保存される。ここでいう、保存データとは、一又は複数回取得した測定結果の中央値、最多値、又は平均値などの代表値のことをいう。
【0025】
通信部34は、データを送受信するためのインターフェースを構成する。通信部34は、制御部20と外部装置との間でデータの送受信を可能とする。外部装置としては、一例として端末14が挙げられる。通信部34は、例えばUSB(universal serial bus)、有線LAN、Bluetooth(登録商標)、無線LANなどを用いて通信を行う。
【0026】
制御部20は、プロセッサである中央演算処理装置(CPU;Central Processing Unit)を中心に構成される。制御部20は、記憶部32に格納されたプログラムを読み出すとともに、読み出したプログラムを中央演算処理装置で実行することで、測定器12の各部を制御する。
【0027】
プログラムが外部装置から供給される場合、制御部20は、通信部34を介して外部装置からプログラムを受信するとともに、受信したプログラムを記憶部32に記憶する。通信部34がインターネット接続装置で構成される場合、制御部20は、インターネット網及び電話網などのネットワークを通じて、外部装置であるサーバなどからプログラムを受信し記憶部32に記憶する。
【0028】
[端末]
図3は、一実施形態に係る端末14のハードウエア構成を示すブロック図である。端末14は、コンピュータを構成する制御部50を中心に構成されている。この制御部50には、表示部54と、報知装置部56と、入力部58と、時計部59と、記憶部61と、通信部63とが接続されている。
【0029】
表示部54は、測定者に測定結果等を表示により報知する。表示部54は、一例としてLCD(Liquid Crystal Display)等の液晶表示パネルで構成される。
【0030】
報知装置部56は、測定者にガイドや警告音等を報知する。報知装置部56は、一例としてスピーカで構成され、出力する音量を変更する機能を備える。
【0031】
入力部58は、測定者の入力操作を受け付ける入力インターフェースで構成される。入力部58は、一例として操作ボタン、音量ボタン、及びタッチパネルを含む。タッチパネルは、測定者が表示部54の表示内容に従って表示画面に触れることで、表示内容に応じた入力を行う。音量ボタンは、報知装置部56から出力する音量を変更する際に操作される。
【0032】
時計部59は、現在の年月日及び時刻を制御部50に出力する。
【0033】
記憶部61は、端末14の動作を制御する制御プログラムが格納される。記憶部61は、情報処理装置としての機能を実現する測定プログラムを格納する記憶媒体として機能する。記憶部61は、不揮発性メモリ(ROM)、及び揮発性メモリ(RAM)などにより構成される。
【0034】
また、記憶部61は、測定プログラムで使用するデータが読み出し可能に記憶される。具体的に記憶部61には、入力部58より入力された特定情報などが記憶され保存される。
【0035】
通信部63は、データを送受信するためのインターフェースを構成し、通信部63は、制御部50と外部装置との間でデータの送受信を可能とする。外部装置としては、一例として測定器12が挙げられ、端末14の通信部63は、測定器12の通信部34と通信可能に接続され、端末14の制御部50と測定器12の制御部20との間でデータのやり取りを行う。
【0036】
通信部63は、例えばUSB、有線LAN、Bluetooth(登録商標)、無線LANなどを用いて通信を行う。
【0037】
本実施形態において端末14と測定器12とは、一例としてBluetooth(登録商標)を用いた無線通信で通信可能に接続される。
【0038】
なお、本実施形態では、端末14と測定器12とが無線通信で接続される場合について説明するが、これに限定されるものではない。例えば、端末14と測定器12とを、USB接続された有線通信で接続してもよい。
【0039】
制御部50は、プロセッサである中央演算処理装置(CPU)を中心に構成される。制御部50は、記憶部61に格納された測定プログラムを読み出すとともに、読み出した測定プログラムを中央演算処理装置で実行することで、端末14の各部を制御する。
【0040】
測定プログラムが外部装置から供給される場合、制御部50は、通信部63を介して外部装置から測定プログラムを受信するとともに、受信した測定プログラムを記憶部61に記憶する。通信部63がインターネット接続装置で構成される場合、制御部50は、インターネット網及び電話網などのネットワークを通じて、外部装置であるサーバなどから測定プログラムを受信し記憶部61に記憶する。
【0041】
(機能ブロック)
図4は、一実施形態に係る測定システム10の各部の機能を示す機能ブロック図である。
【0042】
[測定器]
測定システム10の測定器12は、受信手段を構成する受信部60と、測定手段を構成する測定部62と、保存手段を構成する保存部64と、報知手段を構成する報知部66と、削除手段を構成する削除部68とを備える。また、測定システム10の測定器12は、検知手段を構成する検知部70と、送信許可手段を構成する送信許可部72とを備える。
【0043】
受信部60は、通信部34を介して端末14からの特定情報を受信する。
【0044】
報知部66は、特定情報に基づいて測定対象群の各々の識別子を順番に報知する。また、報知部66は、削除部68が削除を実施した場合、削除された保存データに関連付けられた識別子を報知する。
【0045】
測定部62は、測定対象の物理量を測定するための測定処理を実行する。検知部70は、測定部62による測定処理の実行を検知する。送信許可部72は、検知部70が測定処理の実行を検知したことを契機として端末14への測定結果の送信を許可する。
【0046】
保存部64は、端末14より受信した特定情報に基づく測定対象の物理量の測定を、測定部62を用いて実施した際に、測定部62による測定対象の測定結果に基づく保存データを、特定情報に関連付けて記憶部32に保存する。
【0047】
具体的に保存部64は、特定情報に基づいて、測定部62による測定対象群の各々の保存データに識別子と共に測定対象群の情報である対象群特定情報を関連付けて保存する。また、保存部64は、報知部66が測定対象の識別子を報知するたびに、保存データを、報知した識別子に関連付けて保存する。
【0048】
削除部68は、保存部64が最後に保存した保存データ及び識別子を、測定者による操作入力に応じて削除する。
【0049】
他の機能として、測定器12は、報知部66が次に報知する識別子を端末14に送信する。また、測定器12は、保存部64による保存処理が終了した場合に保存の終了を端末14に通知する。
【0050】
本実施形態では、測定器12の各部の機能は、制御部20が記憶部32から読み出したプログラムを実行することで実現される。
【0051】
[端末]
測定システム10の端末14は、送信手段を構成する送信部80と、生成手段を構成する生成部82と、結果受信手段を構成する結果受信部84と、実行手段を構成する実行部86とを備える。
【0052】
生成部82は、入力部58からの入力に従って特定情報を生成する。送信部80は、測定器12の測定対象を特定する特定情報を、通信部63を介して測定器12に送信する。
【0053】
結果受信部84は、測定器12からの測定結果を、通信部63を介して受信する。実行部86は、受信した測定結果に基づいて所定の処理を実行する。所定の処理としては、一例として測定結果の表示又は測定対象のガイドなどが挙げられる。
【0054】
この端末14は、測定器12から識別子を受信すると、受信した識別子を報知する。また、端末14は、測定器12から保存の終了が通知された場合に、次に報知する識別子を報知する。そして、端末14は、測定対象の識別子を音で報知する。
【0055】
本実施形態において、この端末14の各部の機能は、制御部50が記憶部61から読み出した測定プログラムを実行することで実現される。
【0056】
(動作説明)
次に、測定システム10の動作を、図5から図17を用いて説明する。以下では、測定器12における制御部20のプロセッサが実行する処理手順、及び端末14における制御部50のプロセッサが実行する処理手順に従って説明する。
【0057】
なお、本実施形態では、各部屋に設置された無停電電源装置38(UPS(Uninterruptible Power Supply))の各バッテリ40を測定する場合を例に挙げて説明する(図2参照)。しかしながら、これに限定されるものではなく、測定対象の各所の電圧、電流、又は抵抗値を測定する際に用いてもよい。
【0058】
図5は、一実施形態に係る測定システム10の動作を示すフローチャートである。図6は、図5に続く動作を示すフローチャートであり、図7は、図6に続く動作を示すフローチャートである。
【0059】
無停電電源装置38のバッテリ40の測定を開始する場合、測定器12の制御部20のプロセッサが記憶部32に記憶されたプログラムに従って動作を開始する。また、端末14の制御部50のプロセッサが記憶部61に記憶された測定プログラムに従って動作を開始する。
【0060】
端末14において、特定情報の入力及び生成処理を実行すると、端末14は、入力部58から測定対象を特定するための情報を入力して特定情報を生成する(ステップST1)。
【0061】
ここで、特定情報について、図17を用いて説明する。なお、図17の詳細については、後述する。また、特定情報90は、プロファイル情報と言い換えることができる。
【0062】
この特定情報90は、特定情報90の番号を示すプロファイル番号情報92と、対象群特定情報96と、測定対象群の各々を管理するための識別子98とを含む。
【0063】
特定情報90であるプロファイル番号情報92は、プロファイル番号91を含み、プロファイル番号情報92は、一例として、特定情報90を特定するための番号を示す「1」の数字で構成される。
【0064】
対象群特定情報96は、一例として、測定対象の設置位置を示す位置情報100を含み、位置情報100は、測定対象群が設置された部屋を特定するための部屋情報102で構成される。部屋情報102は、一例として、社名、階数、部屋名を示す「HIOKI 1F UPS ROOM」の文字列で構成される。
【0065】
対象群特定情報96は、一例として、測定の対象となる対象物を示すデバイス情報104を含み、デバイス情報104は、デバイスの種類を示す種類情報106で構成される。種類情報106は、一例として、設置された無停電電源装置38を特定するための「UPS1-1」の文字列で構成される。
【0066】
識別子98は、バッテリ40を特定するためのバッテリ番号108で構成され、バッテリ番号108は、一例として、各バッテリ40に付与された番号を示す「1」の数字で構成される。
【0067】
なお、本実施形態では、特定情報90の識別子98を示すバッテリ番号108を数字で構成したが、これに限定されるものではない。例えば、識別子98を文字列で構成してもよい。
【0068】
さらに、特定情報90について、図9を用いて説明する。なお、図9の詳細については、後述する。
【0069】
この特定情報90は、識別子98を特定する管理情報110を含む。管理情報110は、プロファイル番号91が「1」の特定情報90に設定された一群の識別子98を特定するための情報であり、管理情報110は、一例として開始番号112を示す「1」と終了番号114を示す「50」が示されている。
【0070】
この特定情報90は、測定器12のメモリを構成する記憶部32に割り当てられた各領域に記憶され、管理情報110によって特定される複数の識別子98と、各領域を識別するメモリ番号115を示すメモリ識別子116とは一対一で対応付けられている。
【0071】
具体的に説明すると、管理情報110によって特定される識別子98の「1」は、メモリ識別子116の「A.001」と対応する。また、識別子98の番号「2」~「50」のそれぞれは、メモリ識別子116の「A.002」から「A.050」に各々対応する。
【0072】
そして、開始番号112の「1」が示すメモリ番号115の「A.001」から終了番号114の「50」が示すメモリ番号115の「A.050」までの領域の各データは、位置情報100及びデバイス情報104が関連付けられていることが記憶される。
【0073】
これにより、各メモリ番号115の測定データ194に位置情報100及びデバイス情報104を付加して記憶する場合と比較して、記憶部32の使用量を抑えることができる。
【0074】
次に、図5に示すステップST1の特定情報90の生成手法について図8を用いて具体的に説明する。
【0075】
図8は、端末14に表示されるプロファイル情報の編集画面120の一例を示す図である。端末14において、特定情報90を生成する為にプロファイル情報の編集を開始すると、端末14の表示部54に、図8に示すように、プロファイル情報の編集画面120が表示される。
【0076】
測定者は、この編集画面120の表示に従って、編集画面のプロファイル番号欄122に、プロファイル番号91を示す「1」を入力するとともに、位置情報100を示す位置情報欄124に、測定を実施する部屋の部屋情報102を示す「HIOKI 1F UPS ROOM」の文字列を入力する。
【0077】
なお、本実施形態では、特定情報90の部屋情報102を文字列で構成する場合について説明するが、これに限定されるものではない。例えば、位置情報100を示す部屋情報102を、フロアマップの各所に設定されたマッピング番号としてもよい。この場合、端末14は、表示部54にフロアマップを表示するとともに、マッピング番号が示すフロアマップの位置に印を表示して、無停電電源装置38の設置位置を示してもよい。
【0078】
また、測定者は、デバイス情報欄126に、測定を実施する無停電電源装置38の種類情報106を示す「UPS1-1」の文字列を入力する。
【0079】
そして、測定者は、バッテリ番号欄128に最初に測定を実施するバッテリ番号の識別子を示す「1」を入力するとともに、最後に測定を実施するバッテリ番号の識別子を示す「50」を入力する。
【0080】
また、測定者は、メモリ番号欄130に、最初に測定を実施する識別子98が「1」のバッテリ40の測定結果を記憶する領域を特定するためのメモリ番号115としてメモリ識別子116を示す「A.001」を入力する(図17参照)。さらに、測定者は、メモリ番号欄130に、最後に測定を実施する識別子98が「50」のバッテリ40の測定結果を記憶する領域を特定するためのメモリ番号115としてメモリ識別子116を示す「A.050」を入力する。
【0081】
これらの入力は、入力部28を構成するタッチパネルへのタッチで行ったり、タッチペンなど利用して行ったりすることができる。
【0082】
この編集画面120において、測定者が「OK」ボタン132をタッチすると、図5に示すように、端末14は、測定器12での測定対象を特定するための特定情報90を測定器12に送信する(ステップST2)。
【0083】
その後、測定器12は、端末14から送信された特定情報90を受信し(ステップSS1)、受信した特定情報90を登録する(ステップSS2)。この登録について図9を用いて説明する。
【0084】
図9は、特定情報90と、特定情報90に対応するメモリ番号115との関係の一例を示す説明図であり、測定器12の記憶部32に記憶される特定情報90が示されている。
【0085】
この特定情報90のプロファイル番号91としては、「1」が記憶されており、この特定情報90は、プロファイル番号91が「1」の情報であることが示されている。位置情報100としては「HIOKI 1F UPS ROOM」と記憶され、デバイス情報欄に104は、「UPS1-1」と記憶されている。
【0086】
バッテリ番号108の開始番号112としては「1」が記憶され、この「1」に関連付けられたメモリ番号115としては「A.001」が記憶されている。また、バッテリ番号108の終了番号114としては「50」が記憶されており、この「50」に関連付けられたメモリ番号115としては「A.050」が記憶されている。
【0087】
このプロファイル番号91が「1」の特定情報90は、「HIOKI 1F UPS ROOM」設置された「UPS1-1」の無停電電源装置38のバッテリ番号が「1」から「50」までのバッテリ40を測定する際に用いられる。
【0088】
この測定器12を用いて、測定対象群のバッテリ40の測定を実施する際の動作を、図10から図17を用いて説明する。
【0089】
図10は、測定開始前に端末14に表示される開始前測定ガイド画面140の一例を示す図である。図11は、端末14に表示される報知画面142と端末14からの音声ガイドとの一例を説明する説明図である。図12は、測定開始後に端末14に表示される報知画面142の一例を示す図である。
【0090】
測定器12で測定を開始する際には、図5に示すように、使用するプロファイル番号91の入力を行うとともに(ステップSS3)、測定記録ガイド開始ボタン146の入力を行う(ステップSS4)。
【0091】
具体的には、図10に示すように、表示部24に表示された開始前測定ガイド画面140より、測定対象者に対して使用するプロファイル番号91の選択が促される。これに対して、測定者は、一例として、使用プロファイル番号欄148の「1」を選択した後、測定記録ガイド開始ボタン149をタッチする。
【0092】
そして、図5に示すように、測定記録ガイド開始ボタン149の操作状況から測定開始か否かが判断され(ステップSS5)、測定開始でないと判断した場合には、ステップSS3へ分岐する一方、測定開始と判断した場合には、次ステップSS6へ移行する。
【0093】
なお、ステップSS3からステップSS4に対応する処理は、端末14でも行うことができる。
【0094】
すなわち、端末14では、例えば測定を開始する開始ボタンが押されたか否かを検知することにより開始指示があったか否かを判断する(ステップST3)。開始指示がなかった場合には、ステップST6へ分岐する一方、開始指示があった場合には、ステップSS3と同様に使用するプロファイル番号91の入力を行う(ステップST4)。
【0095】
そして、端末14に表示される測定記録ガイド開始ボタン149が押された際には、入力されたプロファイル番号91と開始信号とを測定器12に送信する(ステップST5)。
【0096】
端末14からプロファイル番号91と開始信号とを受けた測定器12は、測定開始と判断し(ステップSS5)、次ステップSS6へ移行する。
【0097】
ステップSS6において、測定器12は、測定器12又は端末14で選択されたプロファイル番号91の特定情報90から最初に測定を実施する測定対象を示す測定対象番号を設定して記憶部32に記憶する(ステップSS6)。そして、設定した測定対象番号を端末14に送信して(ステップSS7)、測定対象番号を報知する(ステップSS8)。
【0098】
端末14は、測定器12から送信された測定対象番号を受信して記憶部61に記憶するとともに(ステップST6)、受信した測定対象番号を音で報知する(ステップST7)。
【0099】
次に、図13から図16を用いて、測定対象方法の報知手法の具体例を説明する。図13は、測定器12の表示部24に表示されるバッテリ番号「1」の報知画面150の一例を示す図である。図14は、測定器12の表示部24に表示されるバッテリ番号「1」の測定結果表示画面152の一例を示す図である。
【0100】
測定器12は、図5に示すステップSS7で、選択されたプロファイル番号91が「1」の特定情報90において、バッテリ番号108の開始番号112から最初に測定を実施する測定対象番号を「1」に設定し、設定した「1」を端末14に送信する。
【0101】
そして、測定器12は、報知装置部26から「GUIDE START」と音声出力して測定の開始を報知する。また、測定器12は、図13に示すように、報知画面150において、表示内容欄160に「NEXT BATTERRY No.」と表示するとともに、バッテリ番号欄162に、測定対象のバッテリ番号108である「1」を点滅表示する。
【0102】
さらに、測定器12は「NEXT BATTERRY No.1」と音声出力して、次の測定対象は、バッテリ番号108が「1」のバッテリ40であることを報知する。また、メモリ番号欄164には「A.001」と表示し、メモリ番号115が「A.001」の領域に測定結果が記録されることを示す。このように、バッテリ40がバッテリ番号108の順番に測定されていく。
【0103】
図15は、バッテリ番号108が「50」の場合に測定器12に表示される報知画面150の一例を示す図である。
【0104】
後述する図7に示すステップSS19において、測定対象番号がカウントアップされ、測定対象番号が「50」になった場合、ステップSS8の処理により、図15に示すように、報知画面150の表示内容欄160には「NEXT BATTERRY No.」が表示される。また、報知画面150のバッテリ番号欄162には、測定対象のバッテリ番号108である「50」が点滅表示され、「NEXT BATTERRY No.50」と音声出力される。
【0105】
さらに、報知画面150のメモリ番号欄164には「A.050」が表示され、測定結果が「A.050」に記録されることが示される。
【0106】
なお、図13及び図15の報知画面150において、測定対象であるバッテリ40の総数を表示してもよい。
【0107】
次に、端末14の動作を、図11を用いて説明する。図11には、バッテリ番号108が「1」から「19」までのバッテリ40の測定が終了した状態の報知画面142が示されている。この報知画面142には、次回記録するバッテリ番号欄170に、測定対象のバッテリ番号108である「20」が示されている。
【0108】
端末14は、報知装置部56から「GUIDE START」と音声出力して測定の開始を報知する。その後、測定対象の識別子98であるバッテリ番号108を示す「1」を報知画面142に表示するとともに、「NEXT BATTERRY No.1」と音声出力し、次の測定対象は、バッテリ番号108が「1」のバッテリ40であることを報知する。
【0109】
これにより、測定器12は、図5に示すステップSS7において、次に報知する識別子98を端末14に送信し、端末14は、ステップST6において、測定器12から識別子98を受信すると、ステップSS7において、受信した識別子98を報知する。
【0110】
図12は、測定器12の表示例を示す図である。図12には、次に測定対象となるバッテリ40のバッテリ番号108が「20」の場合が示されている。
【0111】
測定器12の表示部24に表示された報知画面142において、次回記録するバッテリ番号欄170のバッテリ番号欄172には「20」が表示され、次の測定対象は、バッテリ番号が「20」のバッテリ40であることが示されている。また、メモリ番号欄174には「A.020」が表示され、測定結果が「A.020」に記録されることが示されている。
【0112】
そして、記録したバッテリ番号欄176には、「1」から「19」までのバッテリ番号108の測定結果が、メモリ番号115が「A.001」から「A.019」までの各領域に記録済みであることが示されている。
【0113】
なお、図12の報知画面142において、測定対象であるバッテリ40の総数を表示してもよい。
【0114】
次に、測定器12は、図6に示すように、測定デバイス部22を用いて、測定対象の物理量を測定するための測定処理を実行し(ステップSS9)、測定処理が実行されたか否かを検知する(ステップSS10)。測定処理の実行が検知された場合には、次ステップSS11へ移動する一方、測定処理の実行が検知されない場合には、検知されるまで待機する。
【0115】
具体的に説明すると、測定者は、図2に示すように、測定デバイス部22の正極探針44を測定対象であるバッテリ40の正極端子42に接続するとともに、負極探針48を当該バッテリ40の負極端子46に接続して測定を実施する。このとき、測定デバイス部22は、検出用交流信号を正極探針44と負極探針48との間に印加し、両探針44、48間に検出用交流信号に応ずる交流電流が流れたか否かを検出する。交流電流が検出された場合、各探針44、48が各端子42、46に接続され通電されたことを確認できるので、測定処理が実行されたと判断する。
【0116】
図6に示すステップSS10において、測定処理の実行が検知された場合、測定結果を、一例として200mS(秒)に一回取得する(ステップSS11)。そして、この測定処理の実行を検知したことを契機として端末14への測定結果の送信を許可し、測定結果を端末14に送信する(ステップSS12)。
【0117】
具体的に説明すると、ステップSS10において測定処理の実行が検知されるまでは、端末14への測定結果の送信が禁止された禁止状態であり、測定処理の実行が検知された場合に禁止状態が解除される。
【0118】
禁止状態では、測定デバイス部22においてノイズ等によって何らかの信号が検出されても、その検出結果は測定結果として採用せず、測定器12及び端末14には一例として「----」を表示する。
【0119】
そして、ステップSS10で測定処理の実行が検知された後において、測定デバイス部22での検出結果を測定結果として採用するとともに、その測定結果を、測定器12及び端末14で表示する。
【0120】
端末14は、測定器12より送信された測定結果を受信するとともに(ステップST8)、測定結果の表示を実行し、表示部54に測定結果を表示する(ステップST9)。これにより、端末14は、測定器12より受信した測定結果に基づいて所定の処理を実行する。
【0121】
測定結果としては、両探針44、48間に流れる電流値から求められるバッテリ40の内部抵抗を示す抵抗値と、両探針44、48に生ずる電位差から求められるバッテリ40の電圧値とが挙げられる。また、測定結果としては、両探針44、48の温度から求められるバッテリ40の温度値が挙げられる。さらに、測定結果としては、前述した抵抗値、電圧値、及び温度値から得られる判定結果が挙げられ、本実施形態では、これらの抵抗値、電圧値、温度値、及び判定結果が測定結果として端末14に送信される。
【0122】
これにより、端末14の表示部54には、測定結果として送信された抵抗値、電圧値、温度値、及び判定結果などが表示される。
【0123】
また、測定器12は、測定結果を表示部24に表示し(ステップSS13)、取得した測定結果として物理量の測定値である抵抗値、電圧値、温度値を、それぞれを取得するたびに、記憶部32の記憶領域を利用して積算値として加算する(ステップSS14)。そして、測定処理の実行が検知されてから予め設定された所定時間経過したか否かを判断し(ステップSS15)、所定時間経過するまで、ステップSS11からステップSS14を繰り返す。所定時間は、一例として、1600mS(秒)とする。
【0124】
具体的に説明すると、図14に示すように、測定器12の表示部24には、測定結果表示画面152が表示される。この測定結果表示画面152において、抵抗値欄180には、測定結果である抵抗値を示す「1.000mΩ」が表示され、電圧値欄182には、測定結果である電圧値を示す「12.00V」が表示される。また、判定結果欄184には、測定結果である判定結果が合格を示す「PASS」として表示される。
【0125】
続いて、図16は、測定器12に表示されるバッテリ番号「50」の測定結果の表示画面の一例を示す図である。このように、測定器12には、バッテリ番号「1」からバッテリ番号「50」の測定結果が順番に表示される。
【0126】
後述する図7に示すステップSS19において、測定対象番号がカウントアップされ、測定対象番号が「50」になった場合について説明する。この場合、ステップSS13の処理により、図16に示すように、測定結果表示画面152の抵抗値欄180には、測定結果である抵抗値を示す「1.000mΩ」が表示され、電圧値欄182には、測定結果である電圧値を示す「12.00V」が表示される。また、判定結果欄184には、測定結果である判定結果が合格であることを示す「PASS」が表示される。
【0127】
図7に戻り、測定器12は、ステップSS15において、所定時間が経過したと判断した場合、保存データを取得する(ステップSS16)。保存データは、測定処理の実行を検知した後の所定期間に得られる測定結果に基づいて定められるデータである。
【0128】
具体的に説明すると、記憶部32に記憶された積算値には、過去に取得した八回分の抵抗値及び電圧値が積算されている。この積算値を「8」で除算することで、1600mS(秒)間で八回得られた抵抗値及び電圧値の平均値を保存データとして取得する。
【0129】
このようにして測定器12は取得した保存データを、測定結果を取得した測定対象の特定情報90に関連付けて記憶部32に保存する(ステップSS17)。これにより、測定器12は端末14より受信した特定情報90に基づいて測定対象の測定結果に基づく保存データを特定情報90に関連付けて保存する。特定情報90としては、測定対象群の対象群特定情報96及び識別子98を含む。
【0130】
図17は、測定器12に保存されるデータ190の一例を示す説明図であり、測定器12の記憶部32において、メモリ番号115が「A.001」に設定された領域の記憶内容が示されている。
【0131】
メモリ番号115が「A.001」の領域には、特定情報90を示すプロファイル情報192と、測定結果を示す測定データ194とが関連付けられて記憶されている。
【0132】
プロファイル情報192のプロファイル番号91としては「1」が記憶されており、プロファイル情報192における対象群特定情報96の部屋情報102が示す位置情報100としては「HIOKI 1F UPS ROOM」の文字列が記憶されている。
【0133】
また、プロファイル情報192における対象群特定情報96の種類情報106が示すデバイス情報104としては「UPS1-1」の文字列が記憶されており、プロファイル情報192の識別子98が示すバッテリ番号108としては「1」の数字が記憶されている。
【0134】
測定データ194のメモリ番号115としては「A.001」の文字列が記憶されており、メモリ番号115は、一例として記憶部32のメモリ領域に設定されたメモリアドレスのラベルが挙げられる。測定データ194の日付時刻196としては測定時刻を示す「2020/4/20 13:00:00」が記憶されている。
【0135】
測定データ194における保存データ198を構成する抵抗値200としては「1.000」mΩが記憶されており、電圧値202としては「12.00」Vが記憶されている。測定データ194における保存データを構成する温度値204としては「●●.●●」℃が記憶されている。
【0136】
測定データ194のコンパレータしきい値206としては測定結果の判断に用いる「mΩ」及び「V」などから選択された指標が記憶されている。また、測定データ194の判定結果208としては合格を示す「PASS」、注意を示す「WARNING」、及び不合格を示す「FAIL」から選択された一つが記憶されている。
【0137】
そして、測定器12は、図7に示すように、記憶部32にデータ190を保存した後に、記憶部32に保存したデータ190を端末14に送信する(ステップSS18)。このデータ190は、保存データ198を含み、データ190の送信は、測定器12がデータ190の保存を終了した旨の通知を示す。
【0138】
このデータ190が送信された端末14は、保存データ198を含むデータ190を受信したか否かを判断する(ステップST10)。データ190を受信したと判断した場合には、保存データ198を表示部54に表示するとともに(ステップST11)、測定対象を特定するために記憶部61に記憶した測定対象番号をカウントアップする(ステップST12)。
【0139】
これと同様に、測定器12は、記憶部32に記憶した測定対象番号をカウントアップする(ステップSS19)。
【0140】
そして、測定器12は、例えばデータクリアボタンが操作されたか否かを判断し(ステップSS20)、データクリアボタンが操作されていないと判断した場合には、ステップSS24へ分岐する。
【0141】
また、測定者が測定器12に設けられたデータクリアボタンを操作した際には、ステップSS20でデータクリアボタンが操作されたと判断され、記憶部32に最後に保存した保存データ198及び識別子98を含むデータ190を削除する(ステップSS21)。
【0142】
さらに、測定器12は、記憶部32の測定対象番号をカウントダウンし(ステップSS22)、測定対象番号をカウントダウンした旨を端末14に送信した後(ステップSS23)、ステップSS24へ移行する。
【0143】
本実施形態では、操作入力に応じて最後に保存したデータ190を削除する機能のみについて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、操作入力に応じて、次に測定する測定対象を一つ飛ばす機能を備えてもよい。
【0144】
一方、測定器12は、カウントダウンした旨を受信したか否かを判断し(ステップST13)、カウントダウンした旨を受信しないと判断した場合には、ステップST15へ分岐する。また、ステップST13でカウントダウンした旨を受信したと判断した場合には、記憶部61の測定対象番号をカウントダウンする(ステップST14)。そして、測定対象番号が特定情報90のバッテリ番号108の終了値を示す終了番号114に達したか否かかに基づいて、測定が完了したか否かを判断する(ステップST15)。
【0145】
ステップST15で、測定対象番号が終了番号114に達しており測定が完了したと判断した場合には、測定処理を終了する。また、ステップST15で、測定対象番号が終了番号114に達しておらず測定が完了していないと判断した場合には、ステップST7へ分岐して、測定対象番号を報知する。
【0146】
これにより、記憶部32に最後に保存した保存データ198及び識別子98を含むデータ190の削除を実施した場合には、削除された保存データ198に関連付けられた識別子98が報知される(ステップST7)。
【0147】
一方、記憶部32に最後に保存したデータ190の削除を実施しない場合には、ステップST12でカウントアップした測定対象番号が示す識別子98が報知される(ステップST7)。これにより、特定情報90に基づいて測定対象群の各々の識別子98が「1」から「50」まで順番に報知される。
【0148】
ここで、ステップST7の報知は、ステップST10において、測定器12からのデータ190を受信し、測定器12からデータ190の保存を終了した通知を受けた場合に次ステップへ移行することで実施される。これにより、端末14は、測定器12から保存の終了が通知された場合に、次に報知する識別子98を報知する。
【0149】
測定器12は、ステップSS24において、測定対象番号が終了番号114に達したか否かかに基づいて、測定が完了したか否かを判断する(ステップSS24)。
【0150】
ステップSS24で、測定対象番号が終了番号114に達しており、測定が完了したと判断した場合には、この処理を終了する。また、ステップSS24で、測定対象番号が終了番号114に達しておらず測定が完了していないと判断した場合には、ステップSS8へ分岐して、測定対象番号を報知する。
【0151】
これにより、記憶部32に最後に保存した保存データ198及び識別子98を含むデータ190の削除を実施した場合には、削除された保存データ198に関連付けられた識別子98が報知される(ステップSS8)。
【0152】
一方、記憶部32に最後に保存したデータ190の削除を実施しない場合には、ステップSS19でカウントアップした測定対象番号が示す識別子98が報知される(ステップSS8)。これにより、特定情報90に基づいて測定対象群の各々の識別子98が「1」から「50」まで順番に報知される。
【0153】
また、ステップSS17において、ステップSS16で取得した保存データ198を、測定結果を取得した測定対象の特定情報90に関連付けて記憶部32に保存する。これにより、測定対象の識別子98を報知するたびに、保存データ198を、報知した識別子98に関連付けて保存する。
【0154】
(作用及び効果)
次に、本実施形態による作用効果について説明する。
【0155】
本実施形態における測定システム10は、測定器12と端末14とが通信可能に構成される測定システム10である。測定システム10の端末14は、測定器12の測定対象を特定する特定情報90を測定器12に送信する送信部80を備える。
【0156】
測定システム10の測定器12は、端末14からの特定情報90を受信する受信部60と、測定対象の物理量を測定する測定部62とを備える。また、測定システム10の測定器12は、受信した特定情報90に基づいて測定部62により測定対象の物理量を測定した測定結果に基づく保存データ198を特定情報90に関連付けて保存する保存部64を備える。
【0157】
この構成によれば、測定対象を特定する特定情報90を端末14から測定器12に送信することができる。このため、測定器12での特定情報90の入力作業が不要となる。また、特定情報90を測定器12で手入力する場合と比較して、作業性の向上及び作業時間の抑制が可能となる。
【0158】
そして、測定作業開始前に、例えば複数の特定情報90をまとめて測定器12に登録することができる。これにより、入力ミスの削減が可能となる。また、端末14が有する、例えばコピー&ペースト機能を利用することで、作業時間をさらに短縮することが可能となる。
【0159】
また、測定器12での測定結果に基づく保存データ198は、特定情報90に関連付けられて保存されているので、保存されたデータ190から保存データ198と特定情報90との関係を把握することが可能となる。
【0160】
このため、測定対象と測定結果とを対応付けるための記録を測定毎に残さなければならない場合と比較して、測定作業が容易となり、利便性が向上する。
【0161】
また、保存データ198と特定情報90とが関連付けられて保存される。このため、測定後に報告書を作成する際に、保存データ198の一例である測定結果と特定情報90の一例である測定場所との整合を人的作業として行う必要がない。
【0162】
また、測定後のデータの照合作業が不要となる。このため、測定後の作業時間を短縮することができるとともに、整合ミスに起因した測定のやり直しを防止することができる。
【0163】
さらに、測定者と記録者との二名で行っていた作業を、測定者のみで行うことができる。これにより、測定作業に要する人員を削減することが可能となる。
【0164】
そして、保存データ198などは測定器12に保存される。このため、保存データ198を送信して端末14に保存する場合と比較して、通信障害に起因したデータの保存ミスなどの発生を未然に防止することができ、信頼性が高まる。
【0165】
また、本実施形態において、端末14は、特定情報90を生成する生成部82をさらに含む。特定情報90は、複数の測定対象を有する測定対象群を特定する対象群特定情報96と、測定対象群の各々を管理するための識別子98とを含む。保存部64は、特定情報90に基づいて、測定部62による測定対象群の各々の保存データ198に識別子98とともに対象群特定情報96を関連付ける。
【0166】
この構成によれば、測定器12において、測定対象群を特定する対象群特定情報96と、測定対象群の各々を管理するための識別子98とを手入力する場合と比較して、測定器12での煩わしい入力作業を省略することができる。
【0167】
さらに、本実施形態において、対象群特定情報96は、測定対象群の種類を示す種類情報106と測定対象群を収容する部屋を特定するための部屋情報102とのうち少なくとも一つを含む。
【0168】
この構成によれば、保存されたデータ190に含まれる種類情報106又は部屋情報102を利用することで、測定後の報告書の作成作業が容易となる。
【0169】
また、本実施形態において、測定器12は、特定情報90に基づいて測定対象群の各々の識別子98を順番に報知する報知部66をさらに備えている。保存部64は、報知部66が測定対象の識別子98を報知するたびに、保存データ198を、報知した識別子98に関連付けて保存する。
【0170】
この構成によれば、測定器12に設定された特定情報90に基づいて測定対象を測定者にガイドすることができる。
【0171】
このため、測定者は、測定中に測定対象が記載された資料などを見る必要がない。これにより、測定ミスを抑制できるとともに、測定に要する作業時間を短縮することが可能となる。
【0172】
特に、測定対象が多数ある場合、測定対象を一つ飛ばして測定したり、同じ測定対象を二度測定したりする測定ミスを抑止することできる。
【0173】
また、識別子98の報知は、測定器12が行う。このため、測定器12と別装置で構成されたスマートフォンなどの無線通信機器を測定場所に持ち込めない場合であっても、測定器12単独で報知を行うことができる。
【0174】
さらに、本実施形態において、測定器12は、報知部66が次に報知する識別子98を端末14に送信し、端末14は、測定器12から識別子98を受信すると、受信した識別子98を報知する。
【0175】
この構成によれば、測定対象を端末14から測定者にガイドすることができる。
【0176】
また、本実施形態において、測定器12は、保存部64による保存処理が終了した場合に保存の終了を端末14に通知し、端末14は、測定器12から保存の終了が通知された場合に次に報知する識別子98を報知する。
【0177】
この構成によれば、測定器12での保存処理が終了した後に、次に報知する識別子98が報知される。これにより、測定者が測定対象の測定を終了した際に、次に報知する識別子98を報知する場合と比較して、確実なデータ保存を行いつつ、測定時間の短縮を促進することが可能となる。
【0178】
また、本実施形態において、端末14は、測定者が携帯可能に構成され、測定対象の識別子98を音で報知する。
【0179】
この構成によれば、測定対象の識別子98を表示で報知する場合と比較して、測定箇所から目を離すことなく、測定作業に集中することが可能となる。これにより、測定ミスを抑制するとともに、測定に要する作業時間の短縮が可能となる。
【0180】
また、音による識別子98の報知は、測定者が携帯可能な端末14で行われる。このため、端末14を、測定器12よりも耳に近い例えば胸ポケットに収容することで、識別子98の聞き間違えを抑制することができる。特に、音量調整機能を有する端末14を利用することで、識別子98の聞き間違えをさらに抑制することができる。
【0181】
また、本実施形態において、測定器12は、保存部64が最後に保存した保存データ198及び識別子98を、測定者による操作入力に応じて削除する削除部68を備える。
【0182】
この構成によれば、測定対象を間違えた場合には、測定者が操作入力することで、最後に保存した保存データ198及び識別子98を削除することができる。また、操作入力を繰り返し行うことで、測定開始状態まで戻ることができる。
【0183】
これにより、測定ミスをした場合に、最初の測定対象から測定をやり直さなければならない場合と比較して、利便性が向上する。
【0184】
そして、この操作入力は、測定器12で行う。ここで、測定者は、感電防止などの目的で手袋をする場合があり、操作入力は、スマートフォンなどの携帯端末やパソコンでの操作よりも、測定器12に設けられた例えばラバーキーのほうが扱いやすい。また、操作入力をスマートフォンなどの携帯端末又はパソコンで行う場合と比較して、手袋を取り外し時間が不要となり、測定時間の短縮が可能となる。
【0185】
また、本実施形態において、報知部66は、削除部68が削除を実施した場合には、削除された保存データ198に関連付けられた識別子98を報知する。
【0186】
この構成によれば、最後に保存した保存データ198及び識別子98を削除した場合には、削除された保存データ198に関連付けられた識別子98が報知される。これにより、測定対象の間違えを抑制することができる。
【符号の説明】
【0187】
10 測定システム
12 測定器
14 端末
20 制御部
38 無停電電源装置
40 バッテリ
50 制御部
60 受信部
62 測定部
64 保存部
66 報知部
68 削除部
70 検知部
72 送信許可部
80 送信部
82 生成部
84 結果受信部
86 実行部
90 特定情報
96 対象群特定情報
98 識別子
100 位置情報
102 部屋情報
106 種類情報
108 バッテリ番号
110 管理情報
112 開始番号
114 終了番号
116 メモリ識別子
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