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▶ 株式会社フジキンの特許一覧

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  • 特開-開閉弁 図1
  • 特開-開閉弁 図2
  • 特開-開閉弁 図3
  • 特開-開閉弁 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022084255
(43)【公開日】2022-06-07
(54)【発明の名称】開閉弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 1/32 20060101AFI20220531BHJP
【FI】
F16K1/32 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020195997
(22)【出願日】2020-11-26
(71)【出願人】
【識別番号】390033857
【氏名又は名称】株式会社フジキン
(72)【発明者】
【氏名】柳田 保昌
(72)【発明者】
【氏名】薬師神 忠幸
(72)【発明者】
【氏名】平松 浩司
【テーマコード(参考)】
3H052
【Fターム(参考)】
3H052AA01
3H052BA02
3H052CD01
3H052EA01
(57)【要約】
【課題】ロングタイプボンネットの開閉弁であっても、ボンネット内への流体の溜りを防止し、閉弁時に流体の2次側への漏洩を防止することのできる開閉弁を提供すること。
【解決手段】流入口20A、流出口20B及び両者を連通する流路21、22を備えたバルブボディ2と、流入流路21の弁室23側開口端に形成された弁座24に当接離間する弁体40を先端に形成したステム4と、このステム4が挿通される貫通孔30を形成するとともに、バルブボディ2に固定されるボンネット3とを備え、貫通孔30のバルブボディ2側は、ステム4がステム軸に直交する方向への移動を規制するステムの摺動領域H1を形成し、摺動領域H1に摺接するステム4の外周面の軸方向全長に亘ってスリット41aを形成している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流入口、流出口及び両者を連通する流路と弁室を備えたバルブボディと、
流入流路の前記弁室側開口端に形成された弁座に、当接離間する弁体を先端に形成したステムと、
該ステムが挿通される貫通孔を形成するとともに、前記バルブボディに固定されるボンネットとを備え、
前記貫通孔のバルブボディ側は、前記ステムがステム軸に直交する方向への移動を規制するステムの摺動領域を形成し、
前記ステムは、前記摺動領域に摺接する部分に圧抜き手段を形成した開閉弁。
【請求項2】
前記圧抜き手段は、ステムの外周面の軸方向全長に亘って形成したスリットとした請求項1に記載の開閉弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉弁に関し、特に弁体を移動させるステムが収納されるボンネットが長尺タイプの開閉弁に関する。
【背景技術】
【0002】
ガス等の流体が流れる管路に配設される開閉弁は、バルブボディに流入口と流出口との間に弁座を形成した弁室を設け、弁室内をアクチュエータや手動ハンドルの回転によって作動するステム先端に設けられた弁体が弁座から当接離間することで流体の流れを制御する。
【0003】
一般に、高温又は低温の流体に対応する開閉弁では、アクチュエータの誤作動を防止する観点から、また、手動の場合には操作ハンドルを流路から離す必要があることから、ステム及びステムを収納するボンネットを長尺にした開閉弁が用いられている(参考文献1参照)。
【0004】
この開閉弁10は、図4に示すように、流入口20A、流出口20B、流入口20Aから内部も延設される流入流路21、流出口20Bから内部も延設される流出流路22及び流入流路21と流出流路22との間に形成される弁室23とを備えたバルブボディ2と、弁室23内の流入流路21の開口端に形成された弁座24に当接離間する弁体40を先端に形成したステム4と、このステム4が挿通される貫通孔30を形成するとともに、バルブボディ2に固定されるボンネット3とを備えている。
【0005】
そして、この開閉弁10では、ステム4及びステム4を内部に内包するボンネット3を長尺としているため、ステム4の先端がステム4の軸方向と直交する方向へぶれやすく、弁体40が弁座24に対し片当たりし、弁体40及び弁座24に傷がつき漏れの原因となる虞があった。そのため、ステム4の先端がステム4の軸方向と直交する方向への移動を規制するために、貫通孔30のバルブボディ2側の内径を、ステム4の弁体40近傍の大径部40の外径と略同径とし、当該部分のステム4が貫通孔30に摺動するようにして弁体40のぶれを防止するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2018-150982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、開閉弁10の開弁状態において、流入口20A側(1次側)からの高圧の流体は、弁室23を介し流出口20B側(2次側)に流れる際、ボンネット3の貫通孔30とステム4の摺動部の僅かな隙間から上部に流れ込みボンネット3の上部に配設したシール部材7と、ステム4の大径部41の上端部との間の空間に流体が溜まり、閉弁時に微小ではあるが溜まった流体が2次側に漏洩する場合がある。この流体の漏洩は、複数種類のガス(流体)を使用するシステムにおいては、ガスの置換特性を悪化させるという問題があった。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ロングタイプボンネットの開閉弁であってもボンネット内への流体の溜りを防止し、閉弁時に流体の2次側への漏洩を防止することのできる開閉弁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するためになされた本発明に係る開閉弁は、
流入口、流出口及び両者を連通する流路と弁室を備えたバルブボディと、
流入流路の弁室側開口端に形成された弁座に、当接離間する弁体を先端に形成したステムと、
ステムが挿通される貫通孔を形成するとともに、バルブボディに固定されるボンネットとを備え、
貫通孔のバルブボディ側は、ステムがステム軸に直交する方向への移動を規制するステム摺動領域を形成し、
ステムは、摺動領域に摺接する部分に圧抜き手段を形成するようにしている。
【0010】
この開閉弁は、ステムに、ボンネットと摺動する箇所に圧抜き手段を設け、弁体のぶれを抑制しつつ、ボンネット内に流体の滞留を防止する。
【0011】
この場合において、圧抜き手段をステムの外周面の軸方向全長に亘って形成したスリットとすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ロングボンネットタイプの改変弁であっても、ステム先端の弁体のぶれを抑制しつつ、ステムとボンネットとの摺動部を越え、ステムとボンネットの間隙に流入する流体は、当該空間に留まることがなく弁室から2次側に流出し、閉弁後に2次側に流体が漏洩することがない開閉弁を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施の形態に係る開閉弁を示す正面からの一部切り欠きの断面図である。
図2】同開閉弁のステムを示し、(a)一部切り欠きの斜視図、(b)は図1のX-X断面図を示す。
図3】同開閉弁のステムの別の例を示す斜視図である。
図4】従来の開閉弁を示す正面からの一部切り欠きの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0015】
<実施形態1>
図1図2に、本発明の実施形態1を示す。
【0016】
この開閉弁1は、流入口20A、流出口20B、流入口20Aから内部に延設される流入流路21、流出口20Bから内部も延設される流出流路22及び流入流路21と流出流路22との間に形成される弁室23とを備えたバルブボディ2と、弁室23内の流入流路21の開口端に形成された弁座24に当接離間する弁体40を先端に形成したステム4と、このステム4が挿通される貫通孔30を形成するとともに、バルブボディ2に固定されるボンネット3とを備えている。そして、ボンネット3は、従来例と同様、ロングボンネットの長尺タイプである。
【0017】
バルブボディ2は、内部に形成される弁室23の開放端側に段差部を有し、弁室よりも大径でボンネット3が挿通されるとともに、ボンネット3をバルブボディ2に固定するボンネットナット5が螺合する雌ねじ部を内周面に備えた取付空間25が形成されている。
【0018】
ボンネット3は、貫通孔30を形成した筒状体である。そして、貫通孔30は、バルブボディ2に挿通される一端側にステム4の外周面が摺動する摺動領域H1と、摺動領域H1よりも小径の通常領域H2とに区分けされている。また、貫通孔の他端側(アクチュエータ8側)には、ステム4と貫通孔30との間に流入する流体の外部漏洩を抑制するシール部材7が配設されている。
【0019】
ボンネット3は貫通孔30にステム4を挿通した状態で取付空間25に載置し、ボンネットナット5を取付空間25の雌ねじ部に螺合することで弁座24側に押圧され、弁室23開放端がわの段差に配備する環状のシール部材6と圧接し、弁室23からの流体の流出を防止するようにしている。
【0020】
ステム4は、一端に弁体40を形成した柱状体である。弁体40は、ステム4と一体であっても構わないし、別体とし、ボルト等の締結手段を用いて接続するようにしても構わない。ステム4の他端側はシール部材7に囲繞され、シール部材7から突出した部分はアクチュエータ8に接続されている。アクチュエータ8は、エア等、流体駆動式のものや、電動モータの他、ステム4を進退させることのできるものであれば、その種類は特に限定するものではない。また、アクチュエータ8に代えて手動式のハンドルであっても構わない。
【0021】
さらに、本開閉弁1のステム4は、摺動領域H1で貫通孔30の内周面と摺接する大径部41と、大径部よりも小径で、ボンネットの通常領域H2に位置する小径部42とに分かれている。
【0022】
そして、大径部41には、小径部42と貫通孔30との間の空隙に流体が滞留することを抑制する圧抜き手段とし、外周面の軸方向全長に亘ってスリット41aを形成するようにしている。
【0023】
このスリット41aは、本実施形態では、図2に示すように、均等に4箇所に形成するようにしているが、数は特に限定するものではない。このスリット41aによって、小径部42と貫通孔30との間の空隙は、流体に抵抗を与えることなく連通されることとなり、閉弁後に小径部42と貫通孔30との間の空隙に流体が溜まった状態を防止することができ、開弁後に2次側に流体が漏洩することはない。
【0024】
また、圧抜き手段は、図3に示すように、スリット41aに限らず大径部41の小径部42側端面から弁体40周面まで貫通した小孔41bとすることもできる。この場合、小孔41bの弁体40側の開放部は弁座24との当接部よりもボンネット5側となる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
以上説明したように、本発明の開閉弁は、低温高温の開閉弁としてボンネットが長尺のロングボンネットタイプの開閉弁として好適に用いることができ、例えば、水素ステーション用の水素ガス流路に配設する開閉弁として好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0026】
1 開閉弁
2 バルブボディ
20A 流入口
20B 流出口
21 流入流路
22 流出流路
23 弁室
24 弁座
3 ボンネット
30 貫通孔
4 ステム
40 弁体
41a スリット
5 ボンネットナット
H1 摺動領域
図1
図2
図3
図4