(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022084265
(43)【公開日】2022-06-07
(54)【発明の名称】蓋部材および容器
(51)【国際特許分類】
B65D 47/08 20060101AFI20220531BHJP
B65D 53/00 20060101ALI20220531BHJP
【FI】
B65D47/08 230
B65D53/00 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020196008
(22)【出願日】2020-11-26
(71)【出願人】
【識別番号】591011650
【氏名又は名称】アスベル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100168321
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 敦
(72)【発明者】
【氏名】今井 勤
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA05
3E084AA12
3E084AA24
3E084AB01
3E084BA01
3E084CA01
3E084CB02
3E084CC03
3E084DA01
3E084DB09
3E084DB12
3E084DB18
3E084DC03
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3E084GA01
3E084GB01
3E084HA02
3E084HB01
3E084HC03
3E084HD01
3E084JA10
3E084KB01
3E084LB01
3E084LB07
3E084LC01
3E084LD01
(57)【要約】
【課題】シール部材を蓋本体部材に対して一体形成するのに適した構成を有する蓋部材および当該蓋部材を備える容器を提供する。
【解決手段】蓋部材は、蓋本体部材12を有する。蓋本体部材12は、円筒状の周壁部12aと円板状の上壁部12bとが一体形成され、周壁部12aの周壁内周面12iに雌ネジ部が形成されている。蓋部材は、蓋本体部材12の雌ネジ部が容器本体の口部における外周面に設けられた雄ネジ部と螺合することにより、容器本体に取り付けられる。蓋本体部材12の周壁部12aの周壁内周面12iに設けられた雌ネジ部は、周壁内周面12iの間欠的に形成されたネジ部12jとネジ部12kとを有する部分ネジである。蓋本体部材12の上壁部12bの内面には、シール部材14が形成されている。シール部材14は、エラストマーから構成され、2色成型により蓋本体部材12と一体成型されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体に取り付けられる蓋部材であって、
前記容器本体の口部における外周面を覆うように装着される周壁部と、前記周壁部における前記容器本体の前記口部の開口上部を覆う上壁部とが一体形成された蓋本体部材と、
前記蓋本体部材の前記上壁部の内面における前記周壁部よりも内側部分において、前記蓋本体部材と一体形成されたシール部材と、
を備え、
前記蓋本体部材における前記周壁部の内周面には、前記容器本体の口部における外周面に設けられた雄ネジ部と螺合する雌ネジ部が形成されており、
前記蓋本体部材の前記雌ネジ部は、前記上壁部に対して直交する方向からの平面視で、周方向に間欠的に形成された複数のネジ部を有する、
蓋部材。
【請求項2】
前記蓋本体部材の前記上壁部は、当該上壁部を厚み方向に貫通する孔部を有し、
前記孔部に対して前記上壁部の外面側から封止するための栓部を有する栓部材をさらに備え、
前記シール部材は、前記容器本体における前記口部の口部上端と前記蓋本体部材の前記上壁部の内面との間に介挿されるように、前記上壁部の内面における外縁部分に設けられた第1シール部と、前記栓部との間に挟まれるように前記孔部の周縁に設けられるとともに、前記第1シール部に連絡された第2シール部と、を有する、
請求項1に記載の蓋部材。
【請求項3】
前記第1シール部は、外周縁と内周縁との間の中央部分が、前記上壁部に向けて凹み、前記外周縁および前記内周縁に沿って周回するよう形成された環状溝を有し、
前記環状溝の両側面は、前記上壁部に直交する方向に対して傾斜した斜面で形成されている、
請求項2に記載の蓋部材。
【請求項4】
前記第2シール部は、前記孔部の周縁に沿って環状に設けられた本体部と、前記本体部の径方向内側に向けて延びるとともに、前記径方向に交差する上下方向の厚みが前記本体部よりも薄肉のヒダ部を有する、
請求項2または請求項3に記載の蓋部材。
【請求項5】
前記蓋本体部材は、前記前記第1シール部が形成される部分に、前記上壁部の前記内面から隆起するように設けられたリブ部を有し、
前記第1シール部は、前記蓋本体部材の前記リブ部に対応する部分に前記上壁部の前記内面から離間する方向に凹入する溝部を有し、
前記蓋本体部材と前記第1シール部材とは、前記リブ部と前記溝部とが互いに嵌合した状態で一体形成されている、
請求項2から請求項4の何れかに記載の蓋部材。
【請求項6】
前記上壁部に対して直交する方向からの平面視において、
前記蓋本体部材の成型に係るゲート跡は、前記上壁部の前記内面のうち前記ネジ部よりも径方向内側の部分に配置されている、
請求項1から請求項5の何れかに記載の蓋部材。
【請求項7】
前記上壁部に対して直交する方向からの平面視において、
前記蓋本体部材における前記周壁部の前記複数のネジ部には、互いに径方向に対向するとともに、互いの一端同士および互いの他端同士が間隔を空けて設けられた、それぞれが円弧形状を有する第1ネジ部および第2ネジ部が含まれており、
前記第1ネジ部の前記一端と前記他端とを結ぶ第1仮想直線と、前記第2ネジ部の前記一端と前記他端とを結ぶ第2仮想直線とを引くとき、
前記蓋本体部材の成型に係るゲート跡は、前記第1仮想直線と前記第2仮想直線との間の領域内に配置されている、
請求項1から請求項6の何れかに記載の蓋部材。
【請求項8】
前記上壁部に対して直交する方向からの平面視において、
前記シール部材の成型に係るゲート跡は、前記上壁部の前記内面のうち前記ネジ部よりも径方向内側の部分に設けられている、
請求項1から請求項7の何れかに記載の蓋部材。
【請求項9】
前記上壁部は、前記シール部材が形成される部分よりも径方向外側の外縁部に、前記シール部材を形成する際に成型型との封止を行うための封止面を有し、
前記蓋本体部材における前記周壁部または前記上壁部において、前記上壁部における前記シール部材が配された箇所よりも径方向外側であって、前記周壁部における前記封止面よりも前記上壁部の側の部分には、前記蓋本体部材の外側から内側に向けて窪ませるための切欠部が形成されている、
請求項1から請求項8の何れかに記載の蓋部材。
【請求項10】
前記シール部材は、エラストマーから構成されている、
請求項1から請求項9の何れかに記載の蓋部材。
【請求項11】
請求項1から請求項10の何れかの蓋部材と、
前記蓋部材により口部が閉じられる容器本体と、
を備える、
容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋部材および容器に関する。
【背景技術】
【0002】
有底筒状の容器本体の口部に蓋部材を取り付けた容器は、飲料などを収容しておくために多く利用されている。例えば、特許文献1には、茶や水などの飲料を保存しておくための容器が開示されている。
【0003】
特許文献1に開示の容器は、上部に通液口が開けられた蓋部材を有する。通液口は通液孔に繋がっている。蓋部材には、容器本体内に収容した飲料が外部に漏出しないようにシール部材が設けられている。シール部材は、蓋部材の上壁内面(容器本体の飲料収容部に面する部分)に設けられており、容器本体の口部先端が当接する部分に設けられた第1シール部と、通液孔の内側開口縁に設けられた第2シール部とを有している。
【0004】
特許文献1では、第1シール部と第2シール部とが連続するように形成されているとともに、シール部材が蓋部材の上壁と一体形成されていると開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
飲料等を保存しておくための容器に対しては、ユーザが洗浄し易い構造とすることが望まれる。このため、容器を構成する部品点数をできる限り少なくすることが求められる。このような要望を満たすために、上記特許文献1に開示の容器において、シール部材を含めて蓋部材を一体形成して部品点数を少なくすることも考えられる。
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に開示の蓋部材について、シール部材を含めて一体形成することは製造上の観点から困難であると考えられる。具体的には、2色成型を行って蓋部材を形成することを考える場合に、製造設備の構成上、蓋部材を形成するための樹脂材料を射出するためのゲートと、シール部材を形成するためのエラストマーを射出するためのゲートとを、移動型または固定型の一方に設けることが必要となる。
【0008】
ところが、上記特許文献1に開示の蓋部材では、容器本体との螺合のためのネジ部を周壁部の内周面に設ける必要があり、成型後に移動型を抜型させるために当該移動型をネジ溝に沿って回転させながら移動させる必要がある。よって、上記特許文献1に開示の構造では、樹脂材料を射出するためのゲートを固定型に設定することが必要となり、蓋部材の上壁外面にゲートを設定せざるを得なくなる。このため、製造設備の構造上、シール部材を形成するためのゲートを設けることが困難となる。
【0009】
本発明は、上記のような問題の解決を図ろうとなされたものであって、シール部材を蓋本体部材に対して一体形成するのに適した構成を有する蓋部材および当該蓋部材を備える容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様に係る蓋部材は、容器本体に取り付けられる蓋部材であって、前記容器本体の口部における外周面を覆うように装着される周壁部と、前記周壁部における前記容器本体の前記口部の開口上部を覆う上壁部とが一体形成された蓋本体部材と、前記蓋本体部材の前記上壁部の内面における前記周壁部よりも内側部分において、前記蓋本体部材と一体形成されたシール部材と、を備え、前記蓋本体部材における前記周壁部の内周面には、前記容器本体の口部における外周面に設けられた雄ネジ部と螺合する雌ネジ部が形成されており、前記蓋本体部材の前記雌ネジ部は、前記上壁部に対して直交する方向からの平面視で、周方向に間欠的に形成された複数のネジ部を有する。
【0011】
上記態様に係る蓋部材では、周壁部の内周面における雌ネジ部を周方向に間欠的に配された複数のネジ部で形成、換言すると、雌ネジ部を部分ネジで形成している。このため、蓋本体部材の成型に際して、周壁部の内周面に雌ネジ部を形成するための成型型を割型とし、且つ、周壁部の径方向にスライド可能の構成を採用することができる。このため、上記態様に係る蓋部材では、蓋本体部材の成型に際してのゲート(蓋本体部材を形成するための樹脂材料を射出するためのゲート)を蓋本体部材の上壁部における内面に配置することができる。よって、上記態様に係る蓋部材では、蓋本体部材における上壁部の内面にシール部材を一体形成(2色成型)しながら、上壁部と周壁部とが一体形成されてなる蓋本体部材を形成することができる。
【0012】
従って、上記態様に係る蓋部材では、シール部材を蓋本体部材に対して一体形成するのに適し、ユーザが蓋部材を洗浄する際に分解・組み立てといった煩雑な作業を必要としない。
【0013】
上記態様に係る蓋部材において、前記蓋本体部材の前記上壁部は、当該上壁部を厚み方向に貫通する孔部を有し、前記孔部に対して前記上壁部の外面側から封止するための栓部を有する栓部材をさらに備え、前記シール部材は、前記容器本体における前記口部の口部上端と前記蓋本体部材の前記上壁部の内面との間に介挿されるように、前記上壁部の内面における外縁部分に設けられた第1シール部と、前記栓部との間に挟まれるように前記孔部の周縁に設けられるとともに、前記第1シール部に連絡された第2シール部と、を有するようにしてもよい。
【0014】
上記態様に係る蓋部材では、シール部材が互いに連絡された第1シール部と第2シール部とを有する。よって、シール部材の形成に際して、蓋本体部材の上壁部の内面における1つのゲートからシール部材を形成するための材料を射出するだけで、第1シール部および第2シール部の両部分を形成することができ、高い生産性を実現することができる。
【0015】
上記態様に係る蓋部材において、前記第1シール部は、外周縁と内周縁との間の中央部分が、前記上壁部に向けて凹み、前記外周縁および前記内周縁に沿って周回するよう形成された環状溝を有し、前記環状溝の両側面は、前記上壁部に直交する方向に対して傾斜した斜面で形成されているようにしてもよい。
【0016】
上記態様に係る蓋部材では、両側面が斜面で形成された環状溝を第1シール部が有する。このため、容器本体に対して蓋部材を螺合により取り付けて行く際に、装着開始時には、第1シール部の環状溝における両側面に対して容器本体の口部上端の接触を点接触等にすることになる。よって、上記態様に係る蓋部材では、容器本体への蓋部材の装着開始時での第1シール部に対する容器本体の接触面積を小さくし、雄ネジ部と雌ネジ部とを互いに締め込んで行くのに従って徐々に互いの接触面積が大きくなるようにすることができる。これより、上記態様に係る蓋部材を容器本体に装着する場合には、装着開始時には小さな力で容器本体に対して蓋部材を螺合でき、締め込むに従って徐々に摩擦抵抗が大きくなるようにすることで、ユーザが液漏れ等を生じない状態まで十分にネジを締め込むことが可能となる。
【0017】
上記態様に係る蓋部材において、前記第2シール部は、前記孔部の周縁に沿って環状に設けられた本体部と、前記本体部の径方向内側に向けて延びるとともに、前記径方向に交差する上下方向の厚みが前記本体部よりも薄肉のヒダ部を有するようにしてもよい。
【0018】
上記態様に係る蓋部材では、第2シール部がヒダ部を有する。このように薄肉に形成されたヒダ部は、孔部の周縁と栓部との間に第2シール部が挟まれる際に、大きく撓む。よって、蓋部材において栓部で閉栓する際に、孔部への栓部の侵入に対してヒダ部が柔軟に追従し、液漏れなどを生じ難くすることができる。
【0019】
上記態様に係る蓋部材において、前記蓋本体部材は、前記前記第1シール部が形成される部分に、前記上壁部の前記内面から隆起するように設けられたリブ部を有し、前記第1シール部は、前記蓋本体部材の前記リブ部に対応する部分に前記上壁部の前記内面から離間する方向に凹入する溝部を有し、前記蓋本体部材と前記第1シール部材とは、前記リブ部と前記溝部とが互いに嵌合した状態で一体形成されているようにしてもよい。
【0020】
上記態様に係る蓋部材では、蓋本体部材の上壁部における内面に設けられたリブ部が第1シール部の溝部に嵌合した状態で蓋本体部材と第1シール部材とが一体形成されている。このため、蓋本体部材の上壁部と第1シール部との境界部分の面積が大きく、互いの接合強度が高い。よって、上記態様に係る蓋部材では、第1シール部が蓋本体部材から剥がれ難い。
【0021】
上記態様に係る蓋部材において、前記上壁部に対して直交する方向からの平面視で、前記蓋本体部材の成型に係るゲート跡は、前記上壁部の前記内面のうち前記ネジ部よりも径方向内側の部分に配置されているようにしてもよい。
【0022】
上記態様に係る蓋部材では、蓋本体部材の内面のうちネジ部よりも径方向内側の部分に蓋本体部材の成型に係るゲート跡が配されている。このため、上述のように、蓋本体部材における周壁部の内周面に雌ネジ部(部分ネジ)を形成ために用いられる成型型が、成型後に上壁部の径方向内側に向けてスライドする場合にあっても、当該スライドする成型型に対して、ゲートを有するノズルが干渉するのを回避することが可能となる。よって、蓋本体部材の成型に際して、上壁部の内面にゲートを配することができる。
【0023】
上記態様に係る蓋部材において、前記上壁部に対して直交する方向からの平面視で、前記蓋本体部材における前記周壁部の前記複数のネジ部には、互いに径方向に対向するとともに、互いの一端同士および互いの他端同士が間隔を空けて設けられた、それぞれが円弧形状を有する第1ネジ部および第2ネジ部が含まれており、前記第1ネジ部の前記一端と前記他端とを結ぶ第1仮想直線と、前記第2ネジ部の前記一端と前記他端とを結ぶ第2仮想直線とを引くとき、前記蓋本体部材の成型に係るゲート跡は、前記第1仮想直線と前記第2仮想直線との間の領域内に配置されているようにしてもよい。
【0024】
上記態様に係る蓋部材では、上記のように第1仮想直線と第2仮想直線との間の領域内に、蓋本体部材の成型に係るゲート跡が配置されている。このため、上述のように、蓋本体部材における周壁部の内周面に雌ネジ部(部分ネジ)を形成ために用いられる成型型が、成型後に上壁部の径方向内側に向けてスライドする場合にあっても、当該スライドする成型型に対して、ゲートを有するノズルが干渉するのを回避することが可能となる。よって、蓋本体部材の成型に際して、上壁部の内面にゲートを配することができる。
【0025】
上記態様に係る蓋部材において、前記上壁部に対して直交する方向からの平面視で、前記シール部材は、前記上壁部の前記内面のうち前記ネジ部よりも径方向内側の部分に設けられているようにしてもよい。
【0026】
上記態様に係る蓋部材では、蓋本体部材の内面のうちネジ部よりも径方向内側の部分にシール部材の成型に係るゲート跡が配されている。このため、シール部材の成型が終わった後に、当該シール部材を成型するのに用いた成型型を離間させる場合にも、先に形成されている蓋本体部材の雌ネジ部に成型型が干渉するのを防ぐことができる。よって、シール部材の形成に際して、蓋本体部材における上壁部の内面にゲートを配することができる。
【0027】
上記態様に係る蓋部材において、前記上壁部は、前記シール部材が形成される部分よりも径方向外側の外縁部に、前記シール部材を形成する際に成型型との封止を行うための封止面を有し、前記蓋本体部材における前記周壁部または前記上壁部において、前記上壁部における前記シール部材が配された箇所よりも径方向外側であって、前記周壁部における前記封止面よりも前記上壁部の側の部分には、前記蓋本体部材の外側から内側に向けて窪ませるための切欠部が形成されているようにしてもよい。
【0028】
上記態様に係る蓋部材では、蓋本体部材の周壁部または上壁部の上記領域に切欠部を設けている。ここで、シール部材の成型を行う際には、蓋本体部材における上壁部の上記封止面に対して成型型を当接させ、これによりシール部材を形成するための材料が不所望の領域に漏れ出さないようにすることが必要となる。このため、蓋本体部材における上記封止面を設けた部分の肉厚を厚くすることが必要であり、仮に切欠部を設けない場合には肉厚な部分が形成されるの至ってしまい、ヒケや収縮による変形などを生じることが懸念される。これに対して、上記態様に係る蓋部材では、上記領域に切欠部を設けることで、ヒケや変形が生じるのを抑制することができる。
【0029】
なお、本明細書において「切欠部」とは、蓋本体部材を形成した後に切り欠くのではなく、該当部分に凸部を有する成型型を用いて形成した部分を指す。即ち、本明細書における「切欠部」は、射出成型を行って蓋本体部材を形成した際には既に形成されている部分である。
【0030】
上記態様に係る蓋部材において、前記シール部材は、エラストマーから構成されている。
【0031】
上記態様に係る蓋部材では、上記のようにエラストマーを用いてシール部材が構成されている。このため、容器本体に装着する場合の装着性、および液密性を確保するのに優位である。
【0032】
本発明の一態様に係る容器は、上記の何れかの態様に係る蓋部材と、前記蓋部材により口部が閉じられる容器本体と、を備える。
【0033】
上記態様に係る容器は、上記態様に係る蓋部材を備えるので、上記同様の効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0034】
上記の各態様では、シール部材を蓋本体部材に対して一体形成しながら、部品点数の増加を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本発明の実施形態に係る容器の外観構成を示す斜視図である。
【
図4】蓋本体部材における部分ねじの形成態様を示す平面図である。
【
図5】通液孔が閉じられた状態の蓋部材を示す斜視図である。
【
図6】通液孔が空けられた状態の蓋部材を示す斜視図である。
【
図7】容器における上部の構成を示す断面図である。
【
図8】
図7の矢印Cで指し示す部分を拡大して示す断面図である。
【
図9】蓋本体部材に一体形成されたシール部材の一部を示す断面図である。
【
図10】容器本体に対して蓋部材を取り付ける際の蓋部材の操作を示す平面図である。
【
図11】蓋本体部材における上壁部の外縁部分に設けられたリブ部を示す平面図(斜視図)である。
【
図12】蓋本体部材のリブ部とシール部材との勘合構造を示す平面図(断面図)である。
【
図13】蓋本体部材の成型方法を示す図であって、(a)は平面図、(b)は断面図である。
【
図14】蓋本体部材の成型後において、スライド型を取り外す方法を示す図であって、(a)は平面図、(b)は断面図である。
【
図15】蓋本体部材に対してシール部材を一体成型する方法を示す図であって、(a)は平面図、(b)は断面図である。
【
図16】(a)は、変形例1に係る蓋本体部材の一部を示す断面図であり、(b)は、変形例2に係る蓋本体部材の一部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下では、本発明の実施形態について、図面を参酌しながら説明する。なお、以下で説明の形態は、本発明の一例であって、本発明は、その本質的な構成を除き何ら以下の形態に限定を受けるものではない。
【0037】
[実施形態]
1.容器1の構成
容器1の構成について、
図1を用いて説明する。
【0038】
図1に示すように、本実施形態に係る容器1は、容器本体10と蓋部材11とを備えている。
【0039】
容器本体10は、筒状の周壁部10cと、周壁部10cと一体形成され、当該周壁部10cのZ方向下部に設けられた底壁部10bと、周壁部10cと一体形成され、当該周壁部10cのZ方向上部に設けられた口部10aとを有する。容器本体10は、Z方向上方に向けて開口された有底筒状の部材である。なお、本実施形態では、例えば、AS樹脂(アクリロニトリル・スチレン共重合合成樹脂)を用いて形成されており、容器本体10は光透過性を有する。
【0040】
蓋部材11は、蓋本体部材12と栓部材13とを有する。蓋本体部材12は、容器本体10の口部10aの外周面を覆うように、当該口部10aに装着される周壁部12aと、周壁部12aと一体形成され、当該周壁面12aのZ方向上側部分を閉じるように設けられた上壁部12bと、上壁部12bと一体形成され、上壁部12bの外側上面からZ方向上方に向けて設けられるとともに、X方向に延びるように設けられた枠部12cと、上壁部12bおよび枠部12cと一体形成され、ユーザが把持する取っ手部12dとを有する。
【0041】
栓部材13は、蓋本体部材12の枠部12cに取付けられ、ユーザの操作によりX方向の左側部分が上下する。
【0042】
2.蓋部材11の構成
蓋部材11の構成について、
図2および
図3を用いて説明する。
【0043】
図2に示すように、蓋本体部材12における枠部12cのX方向の左端部分には、注ぎ口12eが設けられている。本実施形態に係る容器1は、所謂、冷水筒であって、ユーザが容器本体10に収容された液体(茶、水)をコップなどに注ぐ際に用いられる部分である。
【0044】
蓋本体部材12の上壁部12bにおける枠部12c同士で挟まれた領域には、注ぎ口12eの近傍にZ方向に貫通する孔部(通液孔)12fが設けられている。通液孔12eは、ユーザが液体を注ごうとした際に、当該液体が通過する孔部である。栓部材13の前部13aにおける通液孔12fに対応する部分には、Z方向下向きに突出するように栓部13bが形成されている。通液孔12fは、栓部材13の栓部13bが挿入されることにより閉栓される。
【0045】
蓋本体部材12における枠部12c同士で挟まれた領域には、X方向右側部分に連結軸部12gおよび留め具部12hが設けられている。連結軸部12gは、栓部材13の後部13cに設けられた被連結部13dが係止される部分である。留め具部12hは、栓部材13を回動操作する際にユーザが指を宛がう部分である。なお、蓋本体部材12は一例としてPP樹脂(ポリプロピレン)を用いて形成されているのに対して、蓋本体部材12の留め具部12hおよび栓部材13はABS樹脂(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合合成樹脂)を用いて形成されている。
【0046】
図3に示すように、蓋本体部材12の周壁部12aの内周面12iには、容器本体10の口部12aに設けられた雄ネジ部と螺合可能な雌ネジ部が設けられている。周壁部12aにおける雌ネジ部は、間欠的に形成された複数のネジ部12j,12kを有し、Z方向からの平面視でネジ部12jとネジ部12kとの間にはネジが形成されていない部分ネジである。本実施形態では、1条のネジ溝が周方向に分割されてなるネジ部12j,12kが形成されている。
【0047】
蓋本体部材12の上壁部12bの内面には、蓋本体部材12と一体形成(2色成型)されたシール部材14が設けられている。
図3に示すように、シール部材14は、容器本体10の口部10aの口部上端と蓋本体部材12の上壁部12bの内面との間に介挿されるように、上壁部12bの内面における外周縁部分に設けられた第1シール部(外周縁シール部)14aと、通液孔12fの周縁に設けられるととともに、第1シール部である外周縁シール部14aに連絡された第2シール部(孔シール部)14bとを有する。なお、
図2に示すように、蓋本体部材12の上壁部12bをZ方向外側から見る場合に、孔シール部14bの一部は、枠部12c同士の間の領域において露出しており、栓部材13の栓部13bが通液孔12fに侵入した際に、当該栓部13bと通液孔12fの周縁との間に挟まれる。
【0048】
ここで、シール部材14は、一例として硬度が50未満(例えば、40)であって、圧縮永久ひずみ(c-set)が65%以上のエラストマーを用いて形成されている。
【0049】
3.雌ネジ部12jと射出成型に係るゲート跡PG1,PG2と位置関係
蓋本体部材12の周壁部12aに設けられた雌ネジのネジ部12j,12kの形成領域と、蓋本体部材12およびシール部材14の形成に係るゲート跡PG1,PG2との位置関係について、
図4を用いて説明する。
【0050】
上述のように、本実施形態に係る雌ネジ部は部分ネジである。
図4に示すように、雌ネジ部を構成するネジ部12j,12kは、互いに径方向に対向するように領域AR1に形成され、領域AR1同士の間となる領域AR2にはネジ部は形成されていない。領域AR1と領域AR2との境界部分、換言すると、ネジ部12jの一端12j1と他端12j2とを結ぶように仮想直線L1を引き、ネジ部12kの一端12k1と他端12k2とを結ぶように仮想直線L2を引く。なお、ネジ部12j,12kの各端12j1,12j2,12k1,12k2の詳細については、
図4の拡大部分に示す。
【0051】
また、当該仮想直線L1,L2のそれぞれに対してネジ深さ分だけ内側にオフセットした仮想直線L11,L12も引く。
【0052】
上記のように仮想直線L1,L2,L11,L12を引いた場合に、蓋本体部材12の形成(射出成型)に係るゲート跡PG1およびシール部材14の形成(射出成型)に係るゲート跡PG2は、ともに仮想直線L1と仮想直線L2との間の領域内であって、仮想直線L11と仮想直線L12との間の領域内に配置されている。
【0053】
なお、本実施形態に係る蓋本体部材12は、取っ手部12dのY方向中心と注ぎ口12eのY方向中心とを結ぶ仮想直線L0上にゲートPG1,PG2が配置されている。また、蓋本体部材12は、仮想直線L1,L2,L11,L12と仮想直線L0とが角度θ1(例えば、15°~20°)をなすように形成されている。
【0054】
4.通液孔12fの開閉
本実施形態に係る蓋部材11における通液孔12fの開閉について、
図5および
図6を用いて説明する。
【0055】
図5に示すように、ユーザが留め具部12hをZ方向上向きでX方向左向きにスライド操作することにより、栓部材13は、矢印Aで示すように前部13aがZ方向下向きに押し下げられる。
図5に示す状態では、栓部13b(
図2を参照。)のZ方向下端が孔シール部14bに圧接され、容器本体10(
図1を参照。)の内方に収容された液体が漏出することが防がれる。
【0056】
図6に示すように、ユーザが留め具部12hをZ方向下向きにスライド操作することにより、栓部材13は、矢印Bで示すように前部13aがZ方向上向きに引き上げられる。これにより、蓋本体部材12の通液孔12fが開栓され、容器本体10(
図1を参照。)の内方に収容された液体が通液孔12fおよび注ぎ口12eを介してコップ等に注がれる。
【0057】
5.容器1の上部構造
容器1の上部構造について、
図7を用いて説明する。
【0058】
図7に示すように、容器本体10における口部10aの外周面には、雄ネジ部10dが形成されている。雄ネジ部10dは、蓋本体部材12の雌ネジ部のネジ部12j,12kと螺合可能に形成されている。
【0059】
容器本体10の口部10aに蓋部材11を装着した状態(
図7に示す状態)では、容器本体10における口部10aの口部上端は、外周縁シール部14aに圧接されている。これについては、後述する。
【0060】
また、上述のように、蓋本体部材12の通液孔12fは、栓部材13の前部13aが上下するように操作することにより開栓/閉栓が切り替えられる。通液孔12fが栓部材13の栓部13bにより閉栓された状態(
図7に示す状態)では、栓部材13bの下端は、孔シール部14bを液密に押圧した状態となっている。これについても、後述する。
【0061】
6.外周縁シール部14aへの口部10aの口部上端10eの圧接
蓋部材11を容器本体10の口部10aに装着した際の、外周縁シール部14aへの口部10aにおける口部上端10eの圧接について、
図8を用いて説明する。なお、
図8では、
図7のC部だけを抜き出して図示しているが、外周縁シール14aおよび口部10aの全周にわたって同様の構成となっている。
【0062】
図8に示すように、蓋本体部材12における上壁部12bの内面12mには、外周縁において、外周縁シール部14aが設けられている。外周縁シール部14aにおけるZ方向下側の面(シール面)14cは、X方向の中央部分が上向きに(上壁部12bに向けて)凹み、当該外周縁シール部14aの外周縁および内周縁に沿って周回するように設けられた環状溝14cを有する。なお、
図8に示す断面において、環状溝14cは、容器本体10における口部10aの厚みW1(例えば、2mm)よりも広い幅で形成されている。
【0063】
また、環状溝14cでは、両側面14g,14hがZ方向に対して傾斜した斜面で形成されている。
【0064】
容器本体10の口部10aに蓋部材11を取り付けようとする場合には、口部10aに設けられた雄ネジ部10dと蓋本体部材12における周壁部12aに設けられた雌ネジ部(ネジ部12j,12kを有する雌ネジ部)とを螺合させて行く。そして、雄ネジ部10dと雌ネジ部12jとが締め込まれることで取り付けが完了する。容器本体10の口部10aへの蓋部材11の取り付けが完了した状態(
図8に示す状態)では、外周縁シール部14aの凹入面14cから深さH1(例えば、0.5mm)だけ口部上端10eが圧入された状態となる。
【0065】
7.孔シール部14bの構成
孔シール部14bの構成について、
図9を用いて説明する。
【0066】
図9に示すように、シール部材14において、孔シール部14bは外周縁シール部14aに連絡された状態で形成されている。孔シール部14bは、蓋本体部材12に設けられた通液孔12fの外周縁および通液孔12fの周縁12rよりも径方向内側に張り出すように形成されている。孔シール部14bにおける周縁12rからの張り出し寸法は、W2(例えば、5~6mm)である。
【0067】
図9に示すように、孔シール部14bは、内縁12rの近傍に形成された本体部14iと、本体部14iと一体に形成されるとともに、当該本体部14iから径方向内側に向けて延びるヒダ部14fとを有する。ヒダ部14fの厚み(Z方向の厚み)T1は、本体部14iの厚みよりも薄く、例えば、1mmに設定されている。また、ヒダ部14fの径方向での寸法は、W3(例えば、3.5mm)である。
【0068】
また、ヒダ部14fの根元部分には、Z方向上向きに凹入され、ヒダ部14fの他の部分よりもZ方向の厚みが薄い薄肉部14eが設けられている。なお、薄肉部14eの厚みは、厚みT1に対して0.4倍~0.6倍程度である。
【0069】
上記のような形状をもって形成された孔シール部14bに対しては、閉栓時において栓部材13の栓部13bの押圧を受ける。この場合に、栓部13bの端面13eは、孔シール部14bのヒダ部14fにおける薄肉部14eよりも径方向内側の部分を押圧する。本実施形態では、栓部13bの端面13eがヒダ部14fに対してH2だけ押圧されるように設計されている。
【0070】
8.容器本体10に対して蓋部材11を装着する際の蓋部材11の操作
容器本体10に対して蓋部材11を取り付ける際の蓋部材11の操作について、
図10を用いて説明する。
【0071】
図10に示すように、容器本体10の口部10aに蓋部材11を取り付けようとする場合には、仮想中心線L3と仮想中心線L4とがなす角度θ2が蓋部材11の助走角度となる。本実施形態に係る容器1では、蓋部材11の助走角度θ2を40~60deg.(例えば、50deg.)としている。これは、シール部材14を、硬度が50未満の柔らかいエラストマーを用い、また潤滑剤を添付することにより実現できる。このように助走角度を40~60deg.と大きくとることにより、容器本体10の口部10aに蓋部材11を取り付けるユーザが確実に締め込んでいるという感触(操作感)を得ることができ、装着後における液漏れなどを生じ難い。
【0072】
9.蓋本体部材12と外周縁シール部14aとの接合部
上述のように、本実施形態に係る蓋部材11では、蓋本体部材12とシール部材14とを一体形成(2色成型)するのであるが、蓋本体部材12と外周縁シール部14aとの接合強度を高めるために採用する構成について、
図11および
図12を用いて説明する。
【0073】
図11に示すように、蓋本体部材12の内面12mにおける外周縁シール部14aを設けようとする領域(外周領域)には、周方向に互いに離間した複数のリブ部12lが分散形成されている。
図11の拡大部に示すように、各リブ部12lは、周壁部12aの内周面12iから離間して設けられており、内面12mから隆起するように設けられている。
【0074】
図12に示すように、外周縁シール部14aには、Z方向におけるシール面14cとは反対側の面にリブ部12lの嵌合を受け入れる溝部14dが形成されている。蓋本体部材12とシール部材14とは、2色成型を行った後において、溝部14dにリブ部12lが嵌合した状態で一体形成される。
【0075】
なお、実際には、シール部材14は蓋本体部材12と一体形成(2色成型)されるので、シール部材14を形成するためのエラストマーをキャビティ内に射出することで、リブ部12lの外面に対して密に接した状態で外周縁シール部14aの溝部14dが形成されることになる。
【0076】
10.蓋本体部材12およびシール部材14の形成方法
蓋本体部材12およびシール部材14の形成方法について、
図13から
図15を用いて説明する。
【0077】
先ず、
図13(a)、(b)に示すように、ノズル50と、スライドベース51と、スライド型52,53と、キャビティ型54と、コア55との組み合わせにより、形成しようとする蓋本体部材12の形状に相当するキャビティSP1を形成する。なお、
図13(a)に示すように、スライド型52とスライド型53とは径方向に互いに離間した状態で配置され、スライドベース51に対してスライド可能に構成されている。スライド型52,53の外周部分には、雌ネジ部12jを形成するための凹凸52a,53aが設けられている。
【0078】
ノズル50のゲート50aからキャビティSP1に対して樹脂材料(本実施形態では、一例としてポリプロピレン)を射出する。そして、射出された樹脂材料が固化することにより、
図14(b)に示すように、蓋本体部材12が形成される。上述のように、蓋本体部材12は、周壁部12aと上壁部12bとを備え、周壁部12aの内周面12iには雌ネジ部12jが形成される。
【0079】
図14(a)、(b)に示すように、蓋本体部材12の形成が完了すると、スライドベース51を矢印Eのように移動させ、スライド型52,53をスライドベース51に対して矢印Dのように径方向内側に向けてスライド移動させる。なお、スライド型52,53のスライド量は、雌ネジ部12lのネジ深さ以上となっている。
【0080】
以上のように、スライド型52,53を径方向内側に向けてスライド移動させることにより、スライド型52,53を回転させなくても蓋本体部材12から取り外すことができる。
【0081】
次に、形成された蓋本体部材12をシール部材14を形成するための成型ステーションに移載する。そして、蓋本体部材12の内方にキャビティ型56およびノズル57を挿入する。このとき、
図15(b)の拡大部分に示すように、キャビティ型56の外周縁部56aは、蓋本体部材12における上壁部12bの外周縁に設けられた棚状の封止面12nに密接する。これにより、射出されたエラストマーがシール部材14を形成しようとする領域外に漏れ出すのを防ぐことができる。
【0082】
ここで、
図15(a)に示すように、ノズル57のゲート57a(
図4のPG2に相当)は、
図13および
図14で示したノズル50のゲート50a(
図4のPG1に相当)と同様に上壁部12bの内面に配置される。ただし、ゲート57aは、ゲート50aに対して、径方向における外側(通液孔12fの側)にオフセット配置される。ただし、ゲート57aの位置については、
図15(a)に示す位置に限定されるものではなく、蓋本体部材12の周壁部12aにおけるネジ部12j,12kよりも径方向内側であれば任意の箇所に配置することができる。
【0083】
また、ゲート50aの位置についても、
図15(a)に示す位置に限定されるものではなく、
図14(a)で示したように、スライドによって離型したスライド型52とスライド型53との間で空いている領域であれば配置することができる。さらに、ゲート50aの配置についても、形成しようとする蓋本体部材12の周壁部12aにおけるネジ部12j,12kよりも径方向内側であれば任意の箇所に配置することができる。
【0084】
また、キャビティ型56の外側面56aは、蓋本体部材12の周壁部12aにおける内周面12iに設けられた雌ネジ部12jに干渉しないサイズとされている。
【0085】
以上のようにキャビティ型56およびノズル57を配した状態でエラストマーを射出することで、蓋本体部材12へのシール部材14の一体形成(2色成型)が完了する。
【0086】
11.効果
本実施形態に係る蓋部材11では、蓋本体部材12の周壁部12aの内周面12iにおける雌ネジ部をネジ部12j,12kを有する部分ネジとしている(
図4を参照)。このため、蓋本体部材12の成型に際して、周壁部12aの内周面12iに雌ネジ部のネジ部12j,12kを形成するための成型型(スライド型52,53)を割型とし、且つ、周壁部12aの径方向にスライド可能の構成を採用している(
図13,14を参照)。このため、本実施形態に係る蓋部材11では、蓋本体部材12の成型に際してのゲート50a(ゲート跡PG1)を蓋本体部材12の上壁部12bにおける内面12mに配置することができる。よって、蓋部材11では、蓋本体部材12における上壁部12bの内面12mにシール部材14を一体形成(2色成型)しながら、蓋本体部材12における上壁部12bと周壁部12aとを一体形成することができる。
【0087】
従って、本実施形態に係る蓋部材11では、シール部材14を蓋本体部材12に対して一体形成するのに適した構成である。
【0088】
また、本実施形態に係る蓋部材11では、外周縁シール部(第1シール部)14aと、当該外周縁シール部14aに連絡された孔シール部(第2シール部)14bとを有するシール部材14を備える。よって、シール部材14の形成に際して、蓋本体部材12の上壁部12bの内面12mにおける1つのゲート57s(ゲート跡PG2)からシール部材用の材料(エラストマー)を射出するだけで、外周縁シール部14aおよび孔シール部14bの両部分を形成することができる。
【0089】
また、本実施形態に係る蓋部材11では、外周縁シール部14aにおける容器本体10の口部上端10eが圧接される面に環状溝14cを形成し、環状溝14cの両側面14g,14hを斜面としている(
図8を参照)。このため、容器本体10に対して蓋部材11を取り付ける場合において、装着開始時(螺合開始時)においては、外周縁シール部14aの環状溝14cに対する容器本体10の口部上端10eの接触を点接触等にすることで、孔シール部14bに対する口部上端10eの接触面積を小さくし、互いのネジ同士10d,12j,12kを締め込むに従って徐々に互いの接触面積が大きくなるようにすることができる。よって、蓋部材11を容器本体10に取り付ける場合には、装着開始時における容器本体10の口部上端10eに対する外周縁シール部14aの摩擦抵抗を低く抑えることができ、締め込むに従って徐々に摩擦抵抗が大きくなるようにすることで、ユーザが液漏れ等を生じない状態まで十分にネジ同士10d,12j,12kを締め込むことが可能となる。
【0090】
また、本実施形態に係る蓋部材11では、孔シール部14bが
図9に示すようなヒダ部14fを有する。このヒダ部14fには、閉栓時に栓部材13の栓部13bの端面13eにより押圧を受ける。そして、ヒダ部14fの寸法W3を一例として3.5mmと大きくすることで、従来よりも通液孔12fの径方向内側に向けて大きくせり出すようにすることができる。よって、蓋部材11では、閉栓時におけるヒダ部14fへの栓部13bの圧着量H2を確実に確保することができ、液漏れなどを生じ難くすることができる。
【0091】
また、本実施形態に係る蓋部材11では、蓋本体部材12における上壁部12bの内面12mに複数のリブ部12lを設け、シール部材14を形成することで、当該シール部材14が複数のリブ部12lのそれぞれの表面に沿って密着する(
図12を参照)。これより、形成後における蓋部材11では、複数のリブ部12lと外周縁シール部14aの溝部14dとが互いに勘合した構造となり、高い接合強度を確保することができる。よって、蓋部材11では、外周縁シール部14aが蓋本体部材12から剥がれ難い。特に、蓋本体部材12の上壁部12bでは、複数のリブ部12lを周方向に互いに間隔を空けた状態で設けているので、容器本体10に対して蓋部材11をネジ締めする際に外周縁シール部14aに作用するせん断力に対しても効果的に抗することが可能となる。
【0092】
また、本実施形態に係る蓋部材では、
図4および
図15(a)に示す位置にゲート50a(ゲート跡PG1)が配置されている。このため、蓋本体部材12における周壁部12aの内周面12iに雌ネジ部(部分ネジ)を構成するネジ部12j,12kを形成ために用いられる成型型(スライド型52,53)が、
図14に示すように、成型後に上壁部12bの径方向内側に向けてスライドする(矢印Dで示すようにスライドする)場合にあっても、当該スライドするスライド型52,53に対して、ゲート50aを有するノズル50が干渉するのを回避することが可能となる。
【0093】
また、本実施形態に係る蓋部材12では、上述のようにエラストマーを用いてシール部材14が構成されている。このため、容器本体10に取り付ける場合の装着性、および液密性を確保するのに優位である。
【0094】
また、本実施形態に係る容器1は、上記のような効果を有する蓋部材11を備えるので、上記同様の効果を奏することができる。
【0095】
[変形例1]
変形例1に係る蓋本体部材22の構成について、
図16(a)を用いて説明する。なお、本変形例に係る蓋本体部材22は、以下で説明する部分を除き、上記実施形態に係る蓋本体部材12と同じ構成を有する。また、本変形例に係る蓋部材は、上記実施形態に係る蓋部材11に対して蓋本体部材12が蓋本体部材22に置き換わっただけであって、他の構成は同じである。さらに、本変形例に係る容器も、上記実施形態に係る容器1に対して蓋本体部材12が蓋本体部材22に置き換わっただけであって、他の構成は同じである。
【0096】
図16(a)に示すように、本変形例に係る蓋本体部材22も、円筒状の周壁部22aと円板状の上壁部22bとが一体形成されている。また、周壁部22aの内周面22iには、雌ネジ部22jが形成されている。さらに、上壁部22bの内面22mにおける外周縁には、シール部材14を形成する際にキャビティ型56が密に当接するための封止面22nが形成されている(
図15(b)を参照)。
【0097】
蓋本体部材22では、
図16(a)に示すような構造を採用することによって、周壁部22aにおける上壁部22bの近傍領域の厚みT2や、上壁部22bにおける封止面22nが形成された部分の厚みT3が、周壁部22aおよび上壁部22bの他の部分に比べて厚肉となる。即ち、蓋本体部材22では、上壁部22bの径方向外側の外縁部であって、上壁部22aのZ方向上部の部分が厚肉となってしまうことが考えられる。このように部分的に厚みが厚肉となると、射出成型を行った際にヒケや変形(収縮)などが発生することが懸念される。
【0098】
これに対して、本変形例に係る蓋本体部材22では、周壁部22aの箇所P1と上壁部22bの箇所P2とを直線でカットするようにC面処理を施している。これにより、C面処理を施さない仮想線L5に対して矢印Fで示すように減肉がなされる。即ち、本変形例に係る蓋本体部材22では、角部をC面処理することにより、切欠部としての斜面部22qを形成することとしている。
【0099】
本変形例に係る蓋本体部材22を備える蓋部材、および当該蓋部材を備える容器は、蓋本体部材22における角部をC面処理して斜面部22qを形成したことを除き、上記実施形態と同じであるので、上記実施形態と同じ効果を有する。
【0100】
また、本変形例に係る蓋本体部材22を備える蓋部材、および当該蓋部材を備える容器では、蓋本体部材22の角部をC面処理により肉厚を減肉しているので、蓋本体部材22の形成時にヒケや変形が発生するのを抑制することができる。
【0101】
[変形例2]
変形例2に係る蓋本体部材32の構成について、
図16(b)を用いて説明する。なお、本変形例に係る蓋本体部材32についても、以下で説明する部分を除き、上記実施形態に係る蓋本体部材12と同じ構成を有する。また、本変形例に係る蓋部材は、上記実施形態に係る蓋部材11に対して蓋本体部材12が蓋本体部材32に置き換わっただけであって、他の構成は同じである。さらに、本変形例に係る容器も、上記実施形態に係る容器1に対して蓋本体部材12が蓋本体部材32に置き換わっただけであって、他の構成は同じである。
【0102】
図16(b)に示すように、本変形例に係る蓋本体部材32も、円筒状の周壁部32aと円板状の上壁部32bとが一体形成されている。また、周壁部32aの内周面32iには、雌ネジ部32jが形成されている。さらに、上壁部32bの内面32mにおける外周縁には、シール部材14を形成する際にキャビティ型56が密に当接するための封止面32nが形成されている(
図15(b)を参照)。
【0103】
蓋本体部材32でも、
図16(b)に示すような構造を採用することによって、周壁部32aにおける上壁部32bの近傍領域の厚みT4や、上壁部32bにおける封止面32nが形成された部分の厚みT5が、周壁部32aおよび上壁部32bの他の部分に比べて厚肉となる。即ち、蓋本体部材32でも、上壁部32bの径方向外側の外縁部であって、周壁部32aのZ方向上部の部分が厚肉となってしまうことが考えられる。このように蓋本体部材32の一部領域が厚肉となってしまい、射出成型を行った際にヒケや変形(収縮)などが発生することが懸念される。
【0104】
これに対して、本変形例に係る蓋本体部材32では、周壁部22aの箇所P3と上壁部32bの箇所P4とをステップ状に窪ませる処理を施している。即ち、本変形例では、上記変形例1のC面処理に代わり、角部を窪ませた凹入部32qを切欠部として形成することとしている。よって、本変形例に係る蓋本体部材32においても、角部を窪ませる処理を施さない場合に比べて矢印Gで示すように窪ませることで薄肉化が図られる。
【0105】
本変形例に係る蓋本体部材32を備える蓋部材、および当該蓋部材を備える容器は、蓋本体部材32における角部に凹入部32qを設けている点を除き、上記実施形態と同じであるので、上記実施形態と同じ効果を有する。
【0106】
また、本変形例に係る蓋本体部材32を備える蓋部材、および当該蓋部材を備える容器では、蓋本体部材32の角部に凹入部32qを設けることによって角部の薄肉化を図っているので、蓋本体部材32の形成時にヒケや変形が発生するのを抑制することができる。
【0107】
[その他の変形例]
上記実施形態および上記変形例1,2では、容器本体10の構成材料としてAS樹脂、蓋本体部材12,22,32の構成材料としてPP樹脂、留め具部12hおよび栓部材13の構成材料としてABS樹脂、シール部材14の構成材料としてエラストマーをそれぞれ用いることとしたが、本発明は、これに限定されることなく、種々の材料を用いることができる。
【0108】
上記実施形態では、外周縁シール部14aと孔シール部14bとが互いに連絡するように形成されることとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではなく、互いに分離されていてもよい。
【0109】
上記実施形態では、蓋本体部材12の上壁部12bにおける内面12mに複数のリブ部12lを設けることとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、連続する1本のリブ部を設けることにしてもよいし、リブ部を設けないようにすることも可能である。
【0110】
上記実施形態では、外周縁シール部14aに環状溝14cを設けることとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではなく、表面に細かな凹凸を設けたり、滑らかな平面にしたりすることも可能である。
【0111】
上記実施形態では、孔シール部14bが
図9に示すようなヒダ部14fを有する構成を採用したが、本発明は、これに限定を受けるものではない。
図9の形状や寸法と異なるヒダ部を設けたり、ヒダ部を設けないことにしたりすることも可能である。
【符号の説明】
【0112】
1 容器
10 容器本体
10a 口部
10d 雄ネジ部
11 蓋部材
12,22,32 蓋本体部材
12a,22a,32a 周壁部
12f 通液孔(孔部)
12j,12k,22j,32j ネジ部
12l リブ部
13 栓部材
14 シール部材
14a 外周縁シール部(第1シール部)
14b 孔シール部(第2シール部)
14f ヒダ部
14c シール面
22q 斜面部(切欠部)
32q 凹入部(切欠部)
50a 第1ゲート
52,53 スライド型
54 キャビティ型
57a 第2ゲート
PG1 第1ゲート跡
PG2 第2ゲート跡