特開 2022-84278 下半身に着用する下着のための吸水性物品及びその取り付け方法

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2022084278

(43)【公開日】2022-06-07

(54)【発明の名称】下半身に着用する下着のための吸水性物品及びその取り付け方法

(51)【国際特許分類】

   A61F 13/56 20060101AFI20220531BHJP

   A61F 13/64 20060101ALI20220531BHJP

【ＦＩ】

A61F13/56 100

A61F13/64

【審査請求】未請求

【請求項の数】5

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2020196026

(22)【出願日】2020-11-26

(71)【出願人】

【識別番号】516094515

【氏名又は名称】有限会社アルファメディカル

(74)【代理人】

【識別番号】100134234

【弁理士】

【氏名又は名称】日向 麻里

(72)【発明者】

【氏名】敦賀 友紀

【テーマコード（参考）】

3B200

【Ｆターム（参考）】

3B200AA01

3B200BB11

3B200CA11

3B200CB11

3B200DE03

(57)【要約】

【課題】 男性器の収まりが良い吸水性物品を提供し、残尿や尿漏れ時の嫌な感じをなくすことを目的とする。
【解決手段】 吸水性物品は、吸水面と撥水面を有する略矩形の吸水部と、この吸水部の短手方向両端部にそれぞれ設けられた伸縮性を有する紐と、横方向に移動可能かつ取り外し自在な複数の保持具（たとえば柔らかい樹脂から成るクリップ）とを有する。保持具間を狭めれば、吸水部が横方向に丸まるので男性器の収まりが良くなる。
吸水部全体を使い捨てのものにしても良いし、伸縮性のある生地の上面に使い捨ての尿取りパッドを載せたものを吸水部としても良い。
【選択図】図１

【特許請求の範囲】

【請求項1】

下半身に着用する下着のための吸水性物品であって、
表（おもて）面と裏面を有する略矩形の吸水部と、この吸水部の両短辺側にそれぞれ設けられた伸縮性を有する輪状の紐と、横方向に移動可能かつ取り外し自在な複数の保持具とを有する
ことを特徴とする吸水性物品。

【請求項2】

前記保持具は、柔らかい樹脂から成るクリップであることを特徴とする請求項１に記載の吸収性物品。

【請求項3】

前記吸水部は、伸縮性のある生地の上面に使い捨ての尿取りパッドを載せたものであることを特徴とする請求項１及び２に記載の吸収性物品。

【請求項4】

吸水部を、伸縮性を有する紐と、横方向に移動可能かつ取り外し自在な複数の保持具を用いて下半身に着用する下着に取り付けることを特徴とする吸水性物品の取り付け方法。

【請求項5】

前記保持具は、柔らかい樹脂から成るクリップであることを特徴とする請求項４に記載の吸収性物品の取り付け方法。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、男性または女性の下半身に着用する下着（下穿き）の内側（肌側）に取り付ける吸水性物品及びその取り付け方法に関する。

【背景技術】

【0002】

健常な人でも中高年になると、排尿後の残尿や少量の尿漏れが生じやすくなってくることが知られている。残尿や少量の尿漏れ対策の男性用下着については、本出願人によるものが特許文献１や特許文献２で提案されている他、下着の前開き部内側（肌側）に貼り付けるタイプの尿取りパッド（吸収性のある消耗品）が男性用にも市販されている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】特開２０１９－７３８２４

【特許文献2】特開２０１９－２０３２１３

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

貼り付けるタイプの尿取りパッドでは、下着の前開き部内側に貼り付けて使用するがゆえに、前開き部を開けにくくなり、通常のトイレでの排尿時に男性器を取り出すとき不便であった。また、既存の尿取りパッドでは、下着の中で男性器の一部が尿取りパッドからはみ出してしまい、残尿や尿漏れ時に尿を吸収できず下着が濡れてしまうことがあった。

【0005】

そこで、本発明は、男性器の収まりが良い吸水性物品を提供し、残尿や尿漏れ時の嫌な感じをなくすことを目的とする。併せて、女性にも使える吸水性物品を提供することを目的とする。

【0006】

なお、本発明における吸水性物品が有する吸水性は、１ｃｃ～２０ｃｃ程度の尿を吸収できれば良い程度であり、介護用パンツに要求されるような多量の尿を吸収できるほどの吸水性は必要ない。

【課題を解決するための手段】

【0007】

上記の課題を解決するため、本発明の一態様による吸水性物品は、下半身に着用する下着（下穿き）のための吸水性物品であって、表（おもて）面と裏面を有する略矩形の吸水部と、この吸水部の両短辺側にそれぞれ設けられた伸縮性を有する輪状の紐と、横方向に移動可能かつ取り外し自在な複数の保持具とを有することを特徴とする。おもて面（肌側）は吸水性を有し、裏面（下着側）は撥水性もしくは防水性を有していることを特徴とする。

【0008】

吸水性物品の両短辺側に設けられた伸縮性を有する輪状の紐と、移動可能かつ取り外し自在な複数の保持具を用いることで、下着（下穿き）のウエストゴム部の適宜な位置に、吸水性物品を取り付けることができる。

【0009】

また、本発明の一態様による吸水性物品の取り付け方法は、吸水部を、伸縮性を有する紐と、横方向に移動可能かつ取り外し自在な複数の保持具を用いて下半身に着用する下着に取り付けることを特徴とする。保持具を、横方向に移動可能にすることで、一対の保持具間の幅を適宜調整することができ、伸縮性を有する紐を適宜引っ張ることで、吸水部をハンモックのように吊るすことができる。それにより、男性器を収まり良くできる。吸水部を下着に貼り付けていないので、下着の前開きから取り出すときも容易である。向きを前後逆にするなど、紐の長さを調整すれば、女性用にも使用できる。

【0010】

伸縮性を有する紐としては、例えばゴムや樹脂製の紐を使うことができる。保持具としては、例えばポリプロピレン（Ｐ．Ｐ）やポリエチレン（Ｐ．Ｅ）などの柔らかい樹脂から成るクリップを用いることができる。保持具として、柔らかい樹脂を用いることで、横方向に移動可能かつ取り外し自在な形状にすることができ、肌に触っても違和感がない。

【0011】

また、吸水部を、伸縮性のある生地の上面に使い捨ての尿取りパッドを載せたものとしてもよい。載せただけであっても、使用状態においては、尿取りパッドは、下地としての伸縮性のある生地に包み込まれるようになるので、外れる心配はない。吸水部のうち、生地の上に載せた尿取りパッドのみを使い捨てとし、吸水部の下地としての生地は再利用することができるので、コストを抑えることができる。

【発明の効果】

【0012】

以上のような構成を採っているので、本発明によれば、男性器の収まりが良い吸水性物品を提供することができ、残尿や尿漏れ時の嫌な感じをなくすることができる。

【0013】

また、本発明によれば、吸水部を貼りつけておらず、伸縮性のある紐と横方向に移動可能な保持具により下半身用の下着に取り付けられるため、伸縮性を有する紐を適宜引っ張ることで、吸水部をハンモックのように吊るすことができ、前開き部から男性器を抵抗なく取り出し、普通に小便することができる。向きを前後逆にするなど、紐の長さを調整すれば、女性用にも使用できる。

【図面の簡単な説明】

【0014】

【図1】図１は、本発明の一実施形態である吸水性物品を、下着への取り付け方がわかるように斜め上方向から見た模式的な斜視図である。

【図2】図２は、図１と同じ吸水性物品を下着（破線で示す）に取り付けた状態で真上から見た図である。図面左側が下着の前側である。

【図3】図３は、図２の取り付け部分を拡大した図で、一対の保持具同士の間隔を広げた状態の図である。

【図4】図４は、図３の場合よりも、一対の保持具同士の間隔を狭めた状態の図である。

【図5】図５は、保持具の一例としてのクリップを拡大した図である。

【図6A】図６Ａは、図２で示した吸水性物品を、一対の保持具同士の間隔を広げた状態で上から見た模式的な図である。

【図6B】図６Ｂは、図６ＡのＡ－Ｂ断面図である。

【図7A】図７Ａは、図２で示した吸水性物品を、一対の保持具同士の間隔を狭めた状態で上から見た模式的な図である。

【図7B】図７Ｂは、図７ＡのＣ－Ｄ断面図である。

【図8A】図８Ａは、本発明の他の一実施形態である吸水性物品を、一対の保持具同士の間隔を広げた状態で上から見た模式的な図である。

【図8B】図８Ｂは、図８ＡのＥ－Ｆ断面図である。

【図8C】図８Ｃは、図８ＡのＧ－Ｈ断面図である。

【図9A】図９Ａは、図８Ａで示した吸水性物品を、一対の保持具同士の間隔を狭めた状態で上から見た模式的な図である。

【図9B】図９Ｂは、図９ＡのＥ－Ｆ断面図である。

【図9C】図９Ｃは、図９ＡのＧ－Ｈ断面図である。

【発明を実施するための形態】

【0015】

本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。各図において、同一部分ないし相当する部分には、同一の符号を付してある。

【0016】

（第１の実施形態）
図１から図７Ｂは、本発明の第１の実施形態の吸水性物品及びその取り付け方法を説明するための図である。図１は、吸水性物品１を、下着（下穿き）のウエストゴムＷへの取り付け方がわかるように斜め上方向から見た模式的な斜視図である。図２は、吸水性物品１を下着（破線で示す）に取り付けた状態で真上から見た図であり、図面左側が下着の前側である。

【0017】

図１及び図２に示すように、吸水性物品１は、吸水部２と、伸縮性を有する紐３，４と、保持具５，６，７，８を有している。吸水部２は、略矩形で、表（おもて）面と裏面を有している。表（おもて）面（肌側の面）は吸水性を有しており、裏面（下着側の面）は撥水性もしくは防水性を有している。吸水部２の一方の短辺には、伸縮性を有する紐３が、吸水部２の短辺と紐３とを合わせて輪上になるように取り付けられている。この紐３には、一対の保持具５，６が、この紐３をはさむようにして取り付けられている。吸水部２の他方の短辺には、同様に、伸縮性を有する紐４が取り付けられており、この紐４には、一対の保持具７，８が取り付けられている。

【0018】

吸水部２の表面（肌側の面）は吸水性を有する吸水面であり、吸水できる容量によって、例えば、Ｓ（１～５ｃｃ），Ｍ（５～１０ｃｃ），Ｌ（１０～１５ｃｃ）というように３種類を用意しておき、使い分けることができる。吸水部２の裏面（下着側の面）は、撥水性もしくは防水性を有する面であり、吸水した尿が下着側に漏れないようにすることができる。

【0019】

紐３，紐４は、伸縮性を有していれば、材料や断面形状は特に限定しないが、例えば、ゴム紐など、マスクによく使われるようなものを用いることができる。肌に触れても違和感のないものであることが好ましい。紐３，紐４を吸水部２に取り付ける方法としては、不織布マスクの紐のように、端部に圧着により固定することもできるし、布マスクの紐のように袋状に縫った生地の中に紐を通して取り付けても良い。紐３，４は、吸水部２の短辺と併せて、輪状になっていれば良い。

【0020】

図示するように、保持具５，６，７，８は、横方向に移動可能かつ取り外し自在に構成されており、伸縮性を有する紐と下着のウエストゴム部Ｗと挟み込んで保持できるものであればよい。保持具５，６，７，８は、例えば、図５に示すような形状のクリップであり、例えばポリプロピレン（Ｐ．Ｐ）やポリエチレン（Ｐ．Ｅ）などの柔らかい樹脂でできている市販のクリップを用いることができる。

【0021】

次に、図面を用いて吸水性物品１の下着への取り付け方法について説明する。
図１及び図２に示すように、吸水部２を、肌側が吸水面、下着側が撥水面となるようにして、一対の保持具５，６を用いて紐３を伸ばして下着のウエストゴム部Ｗの前側に挟むようにして取り付ける。下着のウエストゴム部Ｗの後ろ側には、一対の保持具７，８で挟むようにして紐４を伸ばして取り付ける。男性の場合、前側のほうが濡れやすいので、前側に取り付ける紐３よりも後ろ側に取り付ける紐４のほうが長くなるようにする。女性用の場合も、紐の長さを適宜調整する。

【0022】

図３及び図４は、吸水性物品１の取り付け部分の下着前側を拡大した図である。図３は、一対の保持具５，６の間隔を広げた状態の図であり、図４は、図３の場合よりも、一対の保持具５，６の間隔を狭めた状態の図である。図３及び図４において、２本の波形の線は、吸水部２の一部を省略していることを示している。図５は、保持具単体の拡大図である。図６Ａは、吸水性物品１を、一対の保持具５，６及び一対の保持具７，８の間隔をそれぞれ広げた状態で上から見た模式的な図であり、図６Ｂは、図６ＡのＡ－Ｂ断面図である。図７Ａは、吸水性物品１を、一対の保持具５，６及び一対の保持具７，８の間隔をそれぞれ狭めた状態で上から見た模式的な図であり、図７Ｂは、図７ＡのＣ－Ｄ断面図である。

【0023】

これらの図面に示すように、保持具５，６，７，８は、横方向に移動可能かつ取り外し自在に構成されている。図４，図７Ａに示すように、保持具５，６及び保持具７，８の間隔を狭めることで、図７ＢのＣＤ断面図に示すように、吸水部２が、前後方向だけでなく、横方向にも丸くたわむ。このように、吸水部２が横方向に丸くたわむので、平らになっているものに比べて、男性器の収まりが良くなる。すなわち、吸水部２全体が、幅がそれほど広くない矩形であり、伸縮性のある紐３，４と保持具５～８で取り付けられているので、吸水性物品１全体としてハンモックのようになり、男性器の収まりが良くなる。また、小便時に、ズボン及び下着の前開き部から取り出すときにも容易である。

【0024】

上記のように制作した吸水性物品１の試作品を市販の男性用下着に取り付けて、複数名の利用者に着用してもらったところ、上記課題が解決され、本発明の効果が確認された。実際に何度か小用を足してもらったところ、特に取り出しにくさはなく、普通に小便できた。女性が使用しても特に違和感がないことが確認できた。

【0025】

（第２の実施形態）
次に、第２の実施形態について、図８Ａ，８Ｂ，８Ｃ，９Ａ，９Ｂ，及び９Ｃを参酌しながら説明する。図８Ａは、本発明の他の一実施形態である吸水性物品１０を、一対の保持具４，５及び保持具６，７の間隔を広げた状態で上から見た模式的な図である。図８Ｂは、図８ＡのＥ－Ｆ断面図であり、図８Ｃは、図８ＡのＧ－Ｈ断面図である。図９Ａは、図８Ａで示した吸水性物品を、一対の保持具４，５及び保持具６，７の間隔を狭めた状態で上から見た模式的な図である。図９Ｂは、図９ＡのＥ－Ｆ断面図であり、図９Ｃは、図９ＡのＧ－Ｈ断面図である。

【0026】

図８Ａから９Ｃに示すように、第２の実施形態では、吸水部２を、下地２２の上面に、下地２２よりも一回り小さい矩形の使い捨て尿取りパッド２１を載せたものとしている。下地２２としては、柔らかく伸縮性のある生地を用い、裏面（下着側の面）が撥水性もしくは防水性のあるものが好ましい。尿取りパッド２１は、尿の保水パッドで、尿量によってＳ（１～５ｃｃ），Ｍ（５～１０ｃｃ），Ｌ（１０～１５ｃｃ）を使い分ける。一対の保持具４，５及び６，７の間隔を狭めて、かつ、伸縮性を有する紐３，４を伸ばして、吸水性物品１０を下着に取り付けたとき、図９Ａ～９Ｃに示すように、柔らく伸縮性のある生地である下地２１が前後方向（Ｇ－Ｈ方向）及び横方向（Ｅ－Ｆ方向）に丸くたわみ、内側の尿取りパッド２１が下地２２に囲まれて固定され、外れることはない。尿取りパッド２１だけを使い捨てにして、他の部品は再利用できるので、無駄が少なく、コストを下げることができる。第２の実施形態は、吸水部の構成が異なるだけで、他は第１の実施形態と同じであるから、他の記載は省略する。

【0027】

なお、上記構成は、一例であり、本発明は上記構成に限られるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、自由に構成することができる。たとえば、伸縮性のある紐を保持する保持部としては、下着に縫い付けたボタンなどを用いても良い。

【0028】

なお、寸法は、下着本体の大きさや形状等に合わせ、適宜調節されるものであるから、上記では寸法の記載を省略した。

【符号の説明】

【0029】

１…本発明の第１の実施形態に係る吸水性物品
２…吸水部
３…伸縮性を有する紐（前側）
４…伸縮性を有する紐（後ろ側）
５，６…一対の保持具（前側）
７，８…一対の保持具（後ろ側）
１０…本発明の第２の実施形態に係る吸水性物品
２１…尿取りパッド
２２…伸縮性のある生地（下地）
Ｗ…下着のウエストゴム部

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6A】

【図6B】

【図7A】

【図7B】

【図8A】

【図8B】

【図8C】

【図9A】

【図9B】

【図9C】