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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022084315
(43)【公開日】2022-06-07
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 45/43 20180101AFI20220531BHJP
   F21V 29/503 20150101ALI20220531BHJP
   F21V 29/508 20150101ALI20220531BHJP
   F21V 29/67 20150101ALI20220531BHJP
   F21V 19/00 20060101ALI20220531BHJP
   F21W 103/00 20180101ALN20220531BHJP
   F21W 103/20 20180101ALN20220531BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20220531BHJP
   F21Y 115/15 20160101ALN20220531BHJP
   F21Y 115/20 20160101ALN20220531BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20220531BHJP
   F21W 103/35 20180101ALN20220531BHJP
   F21W 103/45 20180101ALN20220531BHJP
【FI】
F21S45/43
F21V29/503
F21V29/508
F21V29/67 100
F21V19/00 150
F21V19/00 170
F21W103:00
F21W103:20
F21Y115:10
F21Y115:15
F21Y115:20
F21Y115:30
F21W103:35
F21W103:45
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020196109
(22)【出願日】2020-11-26
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100109047
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 雄祐
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 友由
(72)【発明者】
【氏名】山本 薫
(72)【発明者】
【氏名】木原 勇也
【テーマコード(参考)】
3K013
【Fターム(参考)】
3K013AA07
3K013BA01
3K013CA05
(57)【要約】
【課題】車両用灯具の小型化を図る。
【解決手段】車両用灯具は、少なくとも2つの配線基板64と、ファン56と、第1面および第2面24bを有し配線基板64およびファン56を支持するベース部材24とを備える。ベース部材24は、第1貫通孔88を有し、第1貫通孔88に向けて送風するようにファン56を支持する。ベース部材24は、複数の第2貫通孔90を有し、各配線基板64を第1面側に配置するとともに、各配線基板64の一部分が第1貫通孔88と重なり、各配線基板64の他の一部分がいずれかの第2貫通孔90と重なるように支持する。ベース部材24は、第1貫通孔88および各第2貫通孔90をつなぐとともに2つの配線基板64それぞれに沿って延びる表側通風路を第1面側に有し、第1貫通孔88と各第2貫通孔90とをつなぐ裏側通風路94を第2面24b側に有する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子が搭載される少なくとも2つの配線基板と、
前記配線基板を冷却するためのファンと、
灯具前後方向と交わる方向に広がり灯具前方側を向く第1面および灯具後方を向く第2面を有し、前記配線基板および前記ファンを支持するベース部材と、を備え、
前記ベース部材は、
灯具前後方向に前記ベース部材を貫通する第1貫通孔を有し、前記第1貫通孔に向けて送風するように前記ファンを支持し、
灯具前後方向に前記ベース部材を貫通する複数の第2貫通孔を有し、各配線基板を前記第1面側に配置するとともに、各配線基板の一部分が灯具前後方向から見て前記第1貫通孔と重なり、各配線基板の他の一部分が灯具前後方向から見ていずれかの前記第2貫通孔と重なるように支持し、
前記ベース部材は、前記第1貫通孔および各第2貫通孔をつなぐとともに2つの前記配線基板それぞれに沿って延びる表側通風路を前記第1面側に有し、前記第1貫通孔と各第2貫通孔とをつなぐ裏側通風路を前記第2面側に有する、
車両用灯具。
【請求項2】
前記車両用灯具は、少なくとも3つの前記配線基板を有し、
各配線基板は、前記第1面側において放射状に広がり、放射の中心側に位置する各配線基板の一部分のうち少なくとも2つが灯具前後方向から見て前記第1貫通孔と重なり、各配線基板の他の一部分が灯具前後方向から見ていずれかの前記第2貫通孔と重なるように配置され、
前記ベース部材は、各配線基板に対応する前記表側通風路および前記裏側通風路を有する、
請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記車両用灯具は、少なくとも4つの前記配線基板と、少なくとも2つの前記ファンと、少なくとも2つの前記第1貫通孔とを有し、
一方のファンは一方の前記第1貫通孔に向けて送風するように配置され、他方のファンは他方の前記第1貫通孔に向けて送風するように配置され、
3つの前記配線基板は、前記第1面側において放射状に広がり、放射の中心側に位置する各配線基板の一部分のうち少なくとも2つが灯具前後方向から見て一方の前記第1貫通孔と重なり、各配線基板の他の一部分が灯具前後方向から見ていずれかの前記第2貫通孔と重なるように配置され、
残り1つの前記配線基板は、前記第1面側において前記3つの配線基板のうちの1つと隣接し、一部分が灯具前後方向から見て前記他方の第1貫通孔と重なり、他の一部分が灯具前後方向から見ていずれかの前記第2貫通孔と重なるように配置され、
前記ベース部材は、各配線基板に対応する前記表側通風路および前記裏側通風路を有する、
請求項1または2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記車両用灯具は、前記発光素子の点消灯を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記車両用灯具の発光領域が徐々に拡大するよう複数の前記発光素子を点灯させる、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記車両用灯具は、少なくとも2つの前記ファンと、少なくとも2つの前記第1貫通孔とを有し、
前記配線基板は、前記発光素子が最初に点灯する先行配線基板と、前記先行配線基板の前記発光素子より遅く前記発光素子が点灯する後続配線基板と、を含み、
一方のファンは一方の前記第1貫通孔に向けて送風するように配置され、他方のファンは他方の前記第1貫通孔に向けて送風するように配置され、
前記一方の第1貫通孔は、灯具前後方向から見て前記後続配線基板と重なるように配置され、
前記他方の第1貫通孔は、灯具前後方向から見て前記先行配線基板と重なるように配置され、
前記他方の第1貫通孔と重なる前記配線基板の数は、前記一方の第1貫通孔と重なる前記配線基板の数よりも少ない、
請求項4に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光源を冷却するためのファンを搭載した車両用灯具が知られている(例えば特許文献1参照)。この車両用灯具は、光源に熱伝導可能に接続されたヒートシンクを備え、ファンからヒートシンクに向けて送風することで光源を冷却していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-266436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両デザインの自由度を高めたり、灯具設置とは別の目的で利用できる空間を増やしたりするために、車両用灯具の小型化が求められる場合がある。上述した従来の車両用灯具は、ヒートシンクおよびファンを搭載していたため小型化が困難であった。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的の1つは、車両用灯具の小型化を図る技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様は車両用灯具である。この車両用灯具は、発光素子が搭載される少なくとも2つの配線基板と、配線基板を冷却するためのファンと、灯具前後方向と交わる方向に広がり灯具前方側を向く第1面および灯具後方を向く第2面を有し、配線基板およびファンを支持するベース部材とを備える。ベース部材は、灯具前後方向にベース部材を貫通する第1貫通孔を有し、ファンを第1貫通孔に向けて送風するように支持する。また、ベース部材は、灯具前後方向にベース部材を貫通する複数の第2貫通孔を有し、各配線基板を第1面側に配置するとともに、各配線基板の一部分が灯具前後方向から見て第1貫通孔と重なり、各配線基板の他の一部分が灯具前後方向から見ていずれかの第2貫通孔と重なるように支持する。また、ベース部材は、第1貫通孔および各第2貫通孔をつなぐとともに2つの配線基板それぞれに沿って延びる表側通風路を第1面側に有し、第1貫通孔と各第2貫通孔とをつなぐ裏側通風路を第2面側に有する。
【0007】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム等の間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、車両用灯具の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態に係る車両用灯具の分解斜視図である。
図2】車両用灯具の斜視図である。
図3】車両用灯具の模式図である。
図4】ターン-テール光源の模式図である。
図5図5(a)は、ターン-テール光源の発光領域を示す図である。図5(b)は、制御部によるターン-テール光源の点消灯制御の一例を示すタイミングチャートである。
図6】第1配線基板~第4配線基板およびファンが搭載されたベース部材を灯具前方側から見た斜視図である。
図7】ベース部材を灯具前方側から見た斜視図である。
図8】第1配線基板~第4配線基板およびファンが搭載されたベース部材を灯具後方側から見た斜視図である。
図9】第1配線基板~第4配線基板、ファンおよび第2灯具ユニットが搭載されたベース部材の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図に示す各部の縮尺や形状は、説明を容易にするために便宜的に設定されており、特に言及がない限り限定的に解釈されるものではない。また、本明細書または請求項中に「第1」、「第2」等の用語が用いられる場合には、特に言及がない限りこの用語はいかなる順序や重要度を表すものでもなく、ある構成と他の構成とを区別するためのものである。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0011】
図1は、実施の形態に係る車両用灯具1の分解斜視図である。本実施の形態の車両用灯具1は、一例として車両の後部に配置されるリアランプである。図1において、「前」は灯具前方(車両後方)を、「後」は灯具後方(車両前方)を、「内」は車幅方向内側を、「外」は車幅方向外側を、「上」は鉛直方向上方を、「下」は鉛直方向下方をそれぞれ意味する。なお、図1では、ファン56の図示を省略している。車両用灯具1は、ケース2と、エクステンション部材4と、第1灯具ユニット6と、第2灯具ユニット8とを備える。
【0012】
ケース2は、ランプボディ10と、透光カバー12とを有する。ランプボディ10は、透光性を有しない直方体状の箱体である。ランプボディ10は、灯具前方を向く一面に開口を有する。透光カバー12は、ランプボディ10の開口を覆う。透光カバー12は、透光性を有する平面状の板体である。
【0013】
ランプボディ10と透光カバー12とで灯室が形成される。灯室には、エクステンション部材4と、第1灯具ユニット6と、第2灯具ユニット8とが収容される。エクステンション部材4は、車両用灯具1の内部構造を灯具外部から見えないようにするための目隠し用の部材である。エクステンション部材4は枠状であり、灯具前方側から見て枠内に第1灯具ユニット6および第2灯具ユニット8が配置される。
【0014】
第1灯具ユニット6は、第1光源14~第5光源22と、ベース部材24と、制御基板26と、インナーレンズ28と、光反射部材30とを有する。第1光源14~第5光源22は、例えば配線基板に複数の発光素子が敷設された構造を有する。配線基板は、例えばアルミ製である。発光素子は、例えばLED(発光ダイオード)である。なお、発光素子は、LD(レーザーダイオード)、有機または無機EL(エレクトロルミネセンス)等のLED以外の半導体発光素子であってもよい。各光源の構造については、後に詳細に説明する。
【0015】
第1光源14および第2光源16は、車幅方向に長い矩形状であり、互いに車幅方向に並ぶ。第1光源14は、第2光源16よりも車幅方向内側に配置される。第3光源18は、車幅方向外側に向かうほど鉛直方向上方に位置するよう湾曲する。第4光源20は、車幅方向外側に向かうほど鉛直方向下方に位置するように湾曲する。第3光源18および第4光源20は鉛直方向に並び、且つ第2光源16よりも車幅方向外側に配置される。第3光源18は、第4光源20よりも上方に配置される。第1光源14~第4光源20は、互いに集合して90度回転したY字を形成している。
【0016】
第5光源22は、第1部分22aと、第2部分22bと、第3部分22cとを有する。第1部分22aは、車幅方向に延びる。第2部分22bは、第1部分22aの車幅方向外側の端部から上方に延びる。第3部分22cは、第1部分22aの車幅方向略中央から上方に延びる。第5光源22は、第1光源14および第2光源16の上方に配置される。
【0017】
ベース部材24は、透光カバー12に対し略平行に広がる扁平な部材である。ベース部材24は、第1光源14~第5光源22の灯具後方に配置され、灯具前方を向く面に第1光源14~第5光源22が搭載される。制御基板26は、第1光源14~第5光源22の点消灯と、後述するファン56の駆動とを制御する。制御基板26は、ベース部材24の灯具後方に配置されて、ベース部材24に搭載される。インナーレンズ28は、透光性を有し、第1光源14~第5光源22の灯具前方に配置されて第1光源14~第5光源2252を覆う。第1光源14~第5光源22から出射される光は、インナーレンズ28および透光カバー12を透過して灯具前方に照射される。
【0018】
光反射部材30は、線状部30aと、三角形状部30bとを有する。線状部30aは、車幅方向に延びる。三角形状部30bは、線状部30aの車幅方向外側の端部に頂点の1つが接続され、車幅方向外側に向かうにつれて上下に広がる。線状部30aは、灯具前方側から見て第1光源14および第2光源16を上下に二分するように配置される。三角形状部30bは、灯具前方側から見て第3光源18と第4光源20との間に配置される。
【0019】
線状部30aは、灯具前方を向く面の略全体に光反射面30a1を有する。三角形状部30bは、線状部30aの車幅方向外側の端部から斜め上に延びる縁部と、当該端部から斜め下に延びる縁部とに光反射面30b1を有する。光反射面30b1は、光反射面30a1の端部から連続している。したがって、光反射面30a1および光反射面30b1は、互いに集合して90度回転したY字状を形成している。例えば、線状部30aおよび三角形状部30bは樹脂製であり、光反射面30a1,30b1はアルミ蒸着等によって形成される。
【0020】
また、三角形状部30bは、灯具外部から進入する光を灯具外部に向けて反射するリフレックスリフレクタ30b2を有する。リフレックスリフレクタ30b2は、90度回転したV字状であり、V字の頂点が車幅方向内側を向く。三角形状部30bは、リフレックスリフレクタ30b2よりも車幅方向外側に、三角形状の開口部30b3を有する。開口部30b3には、三角形状のバックアップランプ31が嵌め込まれる。バックアップランプ31は、ベース部材24に搭載される。
【0021】
第2灯具ユニット8は、光源8aとインナーレンズ8bとが組み付けられた構造を有する。光源8aは、例えば配線基板に複数の発光素子が敷設された構造を有する。インナーレンズ8bは、透光性を有し、光源8aの灯具前方に配置されて光源8aを覆う。第2灯具ユニット8は、ベース部材24の灯具後方に配置されて、ベース部材24に組み付けられる。第2灯具ユニット8の一部は、第5光源22の第1部分22aより上方で且つ第3部分22cよりも車幅方向内側に配置されて、灯具前方側から視認される。また、第2灯具ユニット8の他の一部は、第5光源22の第2部分22bと第3部分22cとの間に配置されて、灯具前方側から視認される。また、第2灯具ユニット8のさらに他の一部は、第5光源22の第2部分22bと第3光源18との間に配置されて、灯具前方側から視認される。
【0022】
続いて、車両用灯具1が備える発光部の形状について説明する。図2は、車両用灯具1の斜視図である。車両用灯具1は、第1発光部32、第2発光部34、第3発光部36および第4発光部38を備える。各発光部から出射される光は、透光カバー12を透過して灯具前方に向けて照射される。
【0023】
第1発光部32は、第1長尺部32aと、第1突出部32bとを有する。第1長尺部32aは、車幅方向に直線状に延びる。第1突出部32bは、第1長尺部32aの車幅方向外側の端部から車幅方向と交わる方向に突出する。第1突出部32bの先端は、第1長尺部32aよりも鉛直方向の第1側に位置する。本実施の形態において第1側は上方であり、第1突出部32bは第1長尺部32aの端部から上方に突出している。また、本実施の形態の第1突出部32bは、先端に向かうほど車幅方向外側に位置するように斜めに延びている。また、第1突出部32bの幅は、第1長尺部32aの幅より太い。
【0024】
第1長尺部32aは主に、第1光源14の線状部30aより上方の部分から出射される光と、第2光源16の線状部30aより上方の部分から出射される光とを灯具前方に照射する。第1突出部32bは主に、第3光源18から出射される光を灯具前方に照射する。なお、第1発光部32は、おおよそ全体が同一平面上に位置して、平坦な発光面を構成している。
【0025】
第2発光部34は、第2長尺部34aと、第2突出部34bとを有する。第2長尺部34aは、車幅方向に直線状に延びる。第2突出部34bは、第2長尺部34aの車幅方向外側の端部から車幅方向と交わる方向に突出する。第2突出部34bの先端は、第2長尺部34aよりも鉛直方向の第1側つまり上方に位置する。また、本実施の形態の第2突出部34bは、先端に向かうほど車幅方向外側に位置するように斜めに延びている。また、第2突出部34bの幅は、第2長尺部34aの幅より太い。
【0026】
第2発光部34は、第1長尺部32aよりも第1側つまり上方で且つ第1突出部32bよりも車幅方向内側に配置される。また、第1発光部32は、第2発光部34に対し透光カバー12に近づく方向にずれて配置される。また、第2長尺部34aは第1長尺部32aより短く、第2長尺部34aの車幅方向内側の端部は、第1長尺部32aの車幅方向内側の端部よりも車幅方向外側に位置する。第2長尺部34aは主に、第5光源22の第1部分22aから出射される光を灯具前方に照射する。第2突出部34bは主に、第5光源22の第2部分22bから出射される光を灯具前方に照射する。なお、第2発光部34は、おおよそ全体が同一平面上に位置して、平坦な発光面を構成している。
【0027】
第3発光部36は、第3長尺部36aと、第3突出部36bとを有する。第3長尺部36aは、車幅方向に直線状に延びる。第3突出部36bは、第3長尺部36aの車幅方向外側の端部から車幅方向と交わる方向に突出する。第3突出部36bの先端は、第3長尺部36aよりも第1側つまり上方に位置する。また、本実施の形態の第3突出部36bは、先端に向かうほど車幅方向外側に位置するように斜めに延びている。また、第3突出部36bの幅は、第3長尺部36aの幅より太い。
【0028】
第3発光部36は、第2長尺部34aよりも第1側つまり上方で且つ第2突出部34bよりも車幅方向内側に配置される。また、第2発光部34は、第3発光部36に対し透光カバー12に近づく方向にずれて配置される。また、第3長尺部36aは第2長尺部34aよりも短く、第3長尺部36aの車幅方向内側の端部は、第2長尺部34aの車幅方向内側の端部よりも車幅方向外側に位置する。第3長尺部36aは主に、第5光源22の第1部分22aから出射される光を灯具前方に照射する。第3突出部36bは主に、第5光源22の第3部分22cから出射される光を灯具前方に照射する。なお、第3発光部36は、おおよそ全体が同一平面上に位置して、平坦な発光面を構成している。
【0029】
第4発光部38は、第4長尺部38aと、第4突出部38bとを有する。第4長尺部38aは、第1長尺部32aよりも鉛直方向の第1側とは反対の第2側で第1長尺部32aに沿って延びる。本実施の形態において、第2側は下方である。第4突出部38bは、第4長尺部38aの車幅方向外側の端部から車幅方向と交わる方向に突出する。第4突出部38bの先端は、第4長尺部38aよりも第2側つまり下方に位置する。また、本実施の形態の第4突出部38bは、先端に向かうほど車幅方向外側に位置するように延びている。また、第4突出部38bの幅は、第4長尺部38aの幅よりも太い。第1長尺部32aおよび第4長尺部38aは、ほぼ同じ長さであり、透光カバー12に対する距離もほぼ同じである。したがって、第1発光部32および第4発光部38は、互いに集合して90度回転したY字を形成している。
【0030】
第4長尺部38aは主に、第1光源14の線状部30aより下方の部分から出射される光と、第2光源16の線状部30aより下方の部分から出射される光とを灯具前方に照射する。第4突出部38bは主に、第4光源20から出射される光を灯具前方に照射する。なお、第4発光部38は、おおよそ全体が同一平面上に位置して、平坦な発光面を構成している。
【0031】
また、車両用灯具1は、第1長尺部32aと第4長尺部38aとの間で車幅方向に延びる非発光部40を有する。非発光部40は、線状部30aの光反射面30a1で構成される。第1突出部32bおよび第4突出部38bの車幅方向外側には、三角形状部30bの光反射面30b1、リフレックスリフレクタ30b2およびバックアップランプ31がこの順に配置される。
【0032】
また、本実施の形態の第1突出部32bは、光拡散部42を有する。光拡散部42は、例えばインナーレンズ28に設けられるスリットや反射ステップ等の光学要素で構成される。また、本実施の形態では、第2突出部34bおよび第3突出部36bも光拡散部42を有する。各突出部から照射される光の一部は、光拡散部42によって進行方向が変えられる。なお、第4突出部38bにも光拡散部42が設けられてもよい。
【0033】
また、本実施の形態の車両用灯具1は、第5発光部44、第6発光部46および第7発光部48を有する。第5発光部44は、第3長尺部36aより上方で且つ第3突出部36bより車幅方向内側に配置される。第6発光部46は、第2突出部34bと第3突出部36bとの間に配置される。第7発光部48は、第1突出部32bと第2突出部34bとの間に配置される。第5発光部44、第6発光部46および第7発光部48は、第2灯具ユニット8の光源8aから出射される光を灯具前方に照射する。
【0034】
本実施の形態の第1発光部32および第4発光部38は、テールランプ機能およびターンシグナルランプ機能を発揮する。したがって、第1発光部32および第4発光部38を構成する第1光源14~第4光源20は、アンバー色の光および赤色の光を出射する。また、第2発光部34および第3発光部36は、テールランプ機能およびストップランプ機能を発揮する。したがって、第2発光部34および第3発光部36を構成する第5光源22は、赤色の光を出射する。第5発光部44~第7発光部48は、ストップランプ機能を発揮する。したがって、第5発光部44~第7発光部48を構成する光源8aは、赤色の光を出射する。
【0035】
なお、本実施の形態では、鉛直方向の第1側を上方、第2側を下方としているが、これに限らず第1側を下方、第2側を上方としてもよい。
【0036】
続いて、ターン-テール光源50の点消灯制御について説明する。図3は、車両用灯具1の模式図である。図3では、車両用灯具1の構成要素の一部を機能ブロックとして描いている。これらの機能ブロックは、ハードウェア構成としてはコンピュータのCPUやメモリをはじめとする素子や回路で実現され、ソフトウェア構成としてはコンピュータプログラム等によって実現される。これらの機能ブロックがハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0037】
車両用灯具1は、ターン-テール光源50と、テール光源52と、制御部54と、ファン56とを備える。ターン-テール光源50は、ターンシグナルランプ機能とテールランプ機能とを兼ね備えた光源であり、第1光源14~第4光源20で構成される。テール光源52は、少なくともテールランプ機能を有し、ターンシグナルランプ機能を有しない光源であり、第5光源22で構成される。制御部54は、制御基板26で構成される。
【0038】
ファン56は、ターン-テール光源50を冷却する。ファン56は、送風方向がターン-テール光源50を向くように姿勢が定められて、ベース部材24に搭載される。本実施の形態の車両用灯具1は、第1ファン56aと第2ファン56bとを有する。第1ファン56aは、主に第2光源16、第3光源18および第4光源20に送風するように配置される。第2ファン56bは、主に第1光源14に送風するように配置される。以下では適宜、第1ファン56aおよび第2ファン56bをまとめてファン56と称する。
【0039】
制御部54には、外部からテールランプの点灯を指示するテールオン信号と、ターンシグナルランプの点灯を指示するターンオン信号とが入力される。本実施の形態では、一例として車両ECU(Electronic Control Unit)58から制御部54にテールオン信号およびターンオン信号が入力される。制御部54は、テールオン信号およびターンオン信号の入力に応じて、ターン-テール光源50およびテール光源52を制御する。
【0040】
図4は、ターン-テール光源50の模式図である。ターン-テール光源50(第1光源14~第4光源20)は、ターンシグナルランプ用発光素子60、テールランプ用発光素子62ならびに配線基板64を有する。ターンシグナルランプ用発光素子60は、アンバー色の光を出射する。テールランプ用発光素子62は、赤色の光を出射する。ターンシグナルランプ用発光素子60およびテールランプ用発光素子62は、配線基板64に搭載される。本実施の形態のターン-テール光源50は、複数のターンシグナルランプ用発光素子60と、複数のテールランプ用発光素子62とを有する。
【0041】
法規で定められるターンシグナルランプの光度(輝度)を満たすために、ターンシグナルランプ用発光素子60は、テールランプ用発光素子62よりも高輝度の発光素子である。また、配線基板64には、テールランプ用発光素子62よりもターンシグナルランプ用発光素子60の方が多く搭載されている。一例として、3つのテールランプ用発光素子62と2つのターンシグナルランプ用発光素子60とが縦に交互に並んで、一組の素子列が形成されている。そして、複数の素子列が車幅方向に配列されている。また、隣り合う素子列の間に、3つのターンシグナルランプ用発光素子60が縦に並べられている。よって、第1光源14~第4光源20において、複数のターンシグナルランプ用発光素子60は車幅方向に配列されている。
【0042】
各発光素子は、配線基板64に設けられる配線パターンにワイヤボンディング等により電気的に接続される。また、複数のターンシグナルランプ用発光素子60が互いに電気的に接続され、複数のテールランプ用発光素子62が互いに電気的に接続される。これにより、複数のターンシグナルランプ用発光素子60と、複数のテールランプ用発光素子62とを互いに独立に点消灯させることができる。一例として、隣り合う発光素子の中心間の距離(ピッチ)は、3mmである。
【0043】
テール光源52は、ターンシグナルランプ用発光素子60を有せず、テールランプ用発光素子62を有する。また、本実施の形態のテール光源52は、上述のとおり第5光源22で構成される。そして、第5光源22は、テールランプ機能およびストップランプ機能を発揮する第2発光部34および第3発光部36を構成する。したがって、テール光源52が有するテールランプ用発光素子62は、制御部54の制御に基づいて、テールランプ機能用の低強度の光と、ストップランプ機能用の高強度の光とを出射することができる。なお、テール光源52は、テールランプ用発光素子62に加えて、ストップランプ用発光素子を有してもよい。また、テール光源52は、テールランプ機能のみを有してもよい。
【0044】
制御部54は、ターン-テール光源50の発光領域が徐々に拡大するよう複数のターンシグナルランプ用発光素子60を点灯させる。例えば制御部54は、複数のターンシグナルランプ用発光素子60を車幅方向内側から徐々に点灯させていく。つまり、制御部54は、ターンシグナルランプをシーケンシャル点灯させる。図5(a)は、ターン-テール光源50の発光領域を示す図である。図5(b)は、制御部54によるターン-テール光源50の点消灯制御の一例を示すタイミングチャートである。
【0045】
図5(a)に示すように、本実施の形態のターン-テール光源50は、発光領域が第1ブロック66~第7ブロック78に分けられている。第1ブロック66~第7ブロック78は、車幅方向内側から外側に向かってこの順に配列されている。一例として、第1光源14が車幅方向に並ぶ3つの領域に区分けされ、この3つの領域が第1ブロック66、第2ブロック68および第3ブロック70を構成している。また、第2光源16が車幅方向に並ぶ3つの領域に区分けされ、この3つの領域が第4ブロック72、第5ブロック74および第6ブロック76を構成している。また、第3光源18および第4光源20が第7ブロック78を構成している。
【0046】
複数のターンシグナルランプ用発光素子60は、各ブロックに振り分けられてブロック毎に点消灯が切り替えられる。図5(b)に示すように、制御部54は、第1ブロック66~第7ブロック78を車幅方向内側から順番に、連鎖的に発光させていく。一例としての制御部54は、車両ECU58からターンオン信号が入力されると、まず第1ブロック66の各ターンシグナルランプ用発光素子60を点灯させて、第1ブロック66を発光させる。続いて、制御部54は、第1ブロック66の発光から所定時間(例えば30ms)が経過した時点で第2ブロック68の各ターンシグナルランプ用発光素子60を点灯させて、第2ブロック68を発光させる。
【0047】
制御部54は、第3ブロック70~第7ブロック78についても、前のブロックの発光から所定時間(例えば30ms)が経過した時点で発光させる。そして、制御部54は、全ブロックが発光した状態を所定時間(例えば30ms以上)維持した後、全ブロックのターンシグナルランプ用発光素子60を消灯させる。これにより、ターン-テール光源50の発光領域が車幅方向内側から外側に向かって徐々に拡大していく。
【0048】
また、制御部54は、ターンシグナルランプ用発光素子60の点灯に連動して駆動するようファン56を制御する。例えば、制御部54は、車両ECU58からのターンオン信号の入力に連動してファン56を駆動させる。上述のように、ターンシグナルランプ用発光素子60は、テールランプ用発光素子62よりも高輝度の発光素子であるため、発熱量が大きい。また、ターン-テール光源50は、テールランプ用発光素子62に比べてターンシグナルランプ用発光素子60をより多く搭載している。さらに、配線基板64には、複数のターンシグナルランプ用発光素子60が密に配列されている。
【0049】
したがって、ターンシグナルランプ用発光素子60が点灯すると、より多くの熱が発生する。これに対し、ターンシグナルランプ用発光素子60の点灯に合わせてファン56を駆動させることで、より効率よくターン-テール光源50を冷却することができる。なお、ターンシグナルランプ用発光素子60が間欠的に消灯している間は、ファン56は惰性で回転する。
【0050】
続いて、配線基板64の冷却構造について説明する。図6は、第1配線基板80~第4配線基板86およびファン56が搭載されたベース部材24を灯具前方側から見た斜視図である。図7は、ベース部材24を灯具前方側から見た斜視図である。図8は、第1配線基板80~第4配線基板86およびファン56が搭載されたベース部材24を灯具後方側から見た斜視図である。図9は、第1配線基板80~第4配線基板86、ファン56および第2灯具ユニット8が搭載されたベース部材24の背面図である。
【0051】
車両用灯具1は、少なくとも2つの配線基板64を備える。本実施の形態の車両用灯具1は、4つの配線基板64、つまり第1配線基板80~第4配線基板86を有する。第1配線基板80は第1光源14の配線基板64に相当し、第2配線基板82は第2光源16の配線基板64に相当し、第3配線基板84は第3光源18の配線基板64に相当し、第4配線基板86は第4光源20の配線基板64に相当する。なお、配線基板64の数は2つ以上であればよい。また、車両用灯具1は、配線基板64を冷却するためのファン56を備える。本実施の形態の車両用灯具1は、2つのファン56、つまり第1ファン56aおよび第2ファン56bを有する。
【0052】
ベース部材24は、灯具前後方向と交わる方向に広がり、灯具前方側を向く第1面24aおよび灯具後方を向く第2面24bを有する。また、ベース部材24は、配線基板64およびファン56を支持する。本実施の形態のベース部材24は、第1配線基板80~第4配線基板86を第1面24a側で支持し、第1ファン56aおよび第2ファン56bを第2面24b側で支持する。
【0053】
ベース部材24は、灯具前後方向にベース部材24を貫通する第1貫通孔88を有する。そして、ベース部材24は、第1貫通孔88に向けて送風するようにファン56を支持する。本実施の形態のベース部材24は、2つの第1貫通孔88a,88bを有する。第1貫通孔88aは、第1貫通孔88bよりも車幅方向外側に配置される。一方のファン56、具体的には第1ファン56aは、一方の第1貫通孔88aに向けて送風するように支持される。他方のファン56、具体的には第2ファン56bは、他方の第1貫通孔88bに向けて送風するように支持される。一例として、第1ファン56aは第1貫通孔88aに嵌め込まれて固定され、第2ファン56bは第1貫通孔88bに嵌め込まれて固定される。
【0054】
また、ベース部材24は、灯具前後方向にベース部材24を貫通する複数の第2貫通孔90を有する。本実施の形態のベース部材24は、少なくとも第2貫通孔90a~第2貫通孔90dを有する。そして、ベース部材24は、少なくとも2つの配線基板64について、各配線基板64の一部分が灯具前後方向から見て共通の第1貫通孔88と重なり、各配線基板64の他の一部分が灯具前後方向から見ていずれかの第2貫通孔90と重なるように、2つの配線基板64を支持する。また、ベース部材24は、第1貫通孔88および各第2貫通孔90をつなぐとともに2つの配線基板64それぞれに沿って延びる表側通風路92を第1面24a側に有する。また、ベース部材24は、第1貫通孔88と各第2貫通孔90とをつなぐ裏側通風路94を第2面24b側に有する。
【0055】
本実施の形態では、第3配線基板84および第4配線基板86が上述の2つの配線基板64に相当する。すなわち、第3配線基板84は、車幅方向内側の端部が灯具前後方向から見て第1貫通孔88aと重なっている。また、第3配線基板84は、車幅方向外側の端部が灯具前後方向から見て第2貫通孔90aと重なっている。一方、第4配線基板86は、車幅方向内側の端部が灯具前後方向から見て第1貫通孔88aと重なっている。また、第4配線基板86は、車幅方向外側の端部が灯具前後方向から見て第2貫通孔90bと重なっている。
【0056】
そして、ベース部材24は、第1貫通孔88aおよび第2貫通孔90aをつなぐとともに第3配線基板84に沿って延びる表側通風路92aを第1面24a側に有する。また、ベース部材24は、第1貫通孔88aおよび第2貫通孔90aをつなぐ裏側通風路94aを第2面24b側に有する。また、ベース部材24は、第1貫通孔88aおよび第2貫通孔90bをつなぐとともに第4配線基板86に沿って延びる表側通風路92bを第1面24a側に有する。また、ベース部材24は、第1貫通孔88aおよび第2貫通孔90bをつなぐ裏側通風路94bを第2面24b側に有する。
【0057】
第1ファン56aが駆動すると、第1ファン56aから送り出された空気の一部は、第1貫通孔88aを通過して第1面24a側に進み、表側通風路92aを通って第2貫通孔90aに到達する。表側通風路92aを空気が流れることで、第3配線基板84が冷却される。第2貫通孔90aに到達した空気は、第2貫通孔90aから第2面24b側に進み、裏側通風路94aを通って第1貫通孔88aに戻る。これにより、第1貫通孔88a、表側通風路92a、第2貫通孔90aおよび裏側通風路94aの順で空気が循環する第3配線基板84の空冷機構が形成される。
【0058】
また、第1ファン56aが駆動すると、第1ファン56aから送り出された空気の一部は、第1貫通孔88aを通過して第1面24a側に進み、表側通風路92bを通って第2貫通孔90bに到達する。表側通風路92bを空気が流れることで、第4配線基板86が冷却される。第2貫通孔90bに到達した空気は、第2貫通孔90bから第2面24b側に進み、裏側通風路94bを通って第1貫通孔88aに戻る。これにより、第1貫通孔88a、表側通風路92b、第2貫通孔90bおよび裏側通風路94bの順で空気が循環する第4配線基板86の空冷機構が形成される。
【0059】
また、本実施の形態では、3つの配線基板64が以下のように配置される。すなわち、各配線基板64は、第1面24a側において放射状に広がり、放射の中心側に位置する各配線基板64の一部分のうち少なくとも2つが灯具前後方向から見て第1貫通孔88と重なるように配置される。また、各配線基板64の他の一部分が灯具前後方向から見ていずれかの第2貫通孔90と重なるように配置される。そして、ベース部材24は、各配線基板64に対応する表側通風路92および裏側通風路94を有する。
【0060】
本実施の形態では、第2配線基板82、第3配線基板84および第4配線基板86が上述の3つの配線基板64に相当する。すなわち、第2配線基板82、第3配線基板84および第4配線基板86は、第1面24a側で放射状に広がっている。具体的には、第2配線基板82の車幅方向外側の端部と、第3配線基板84の車幅方向内側の端部と、第4配線基板86の車幅方向内側の端部とが一点に集まっている。そして、第2配線基板82は、放射の中心から車幅方向内側に延びている。第3配線基板84は、放射の中心から車幅方向外側且つ上方に斜めに延びている。第4配線基板86は、放射の中心から車幅方向外側且つ下方に斜めに延びている。
【0061】
放射の中心側において、第3配線基板84の車幅方向内側の端部および第4配線基板86の車幅方向内側の端部は、灯具前後方向から見て第1貫通孔88aと重なっている。また、このような構成によれば、第2配線基板82の車幅方向外側の端部も必然的に第1貫通孔88aの近傍に配置される。また、第3配線基板84の車幅方向外側(放射の先端側)の端部は、灯具前後方向から見て第2貫通孔90aと重なっている。第4配線基板86の車幅方向外側の端部は、灯具前後方向から見て第2貫通孔90bと重なっている。第2配線基板82の車幅方向の中央部は、灯具前後方向から見て第2貫通孔90cと重なっている。さらに、第2配線基板82の車幅方向内側の端部は、灯具前後方向から見て第2貫通孔90dと重なっている。
【0062】
そして、ベース部材24は、第3配線基板84に対応する表側通風路92aおよび裏側通風路94aを有する。また、ベース部材24は、第4配線基板86に対応する表側通風路92bおよび裏側通風路94bを有する。また、ベース部材24は、第1貫通孔88aおよび第2貫通孔90c、あるいは第1貫通孔88aおよび第2貫通孔90dをつなぐとともに第2配線基板82に沿って延びる表側通風路92cを第1面24a側に有する。また、ベース部材24は、第1貫通孔88aおよび第2貫通孔90c、あるいは第1貫通孔88aおよび第2貫通孔90dをつなぐ裏側通風路94cを第2面24b側に有する。
【0063】
第1ファン56aが駆動すると、第1ファン56aから送り出された空気の一部は、第1貫通孔88a、表側通風路92a、第2貫通孔90aおよび裏側通風路94aの順で循環して、第3配線基板84を冷却する。また、第1ファン56aから送り出された空気の一部は、第1貫通孔88a、表側通風路92b、第2貫通孔90bおよび裏側通風路94bの順で循環して第4配線基板86を冷却する。
【0064】
さらに、第1ファン56aから送り出された空気の一部は、第1貫通孔88aを通過して第1面24a側に進み、表側通風路92cを通って第2貫通孔90cあるいは第2貫通孔90dに到達する。表側通風路92cを空気が流れることで、第2配線基板82が冷却される。第2貫通孔90cあるいは第2貫通孔90dに到達した空気は、第2貫通孔90cあるいは第2貫通孔90dから第2面24b側に進み、裏側通風路94cを通って第1貫通孔88aに戻る。これにより、第1貫通孔88a、表側通風路92c、第2貫通孔90cまたは第2貫通孔90d、および裏側通風路94cの順で空気が循環する第2配線基板82の空冷機構が形成される。なお、第2貫通孔90dに到達した空気の一部は、第2ファン56b側に流れ得る。
【0065】
また、本実施の形態では、4つの配線基板64が以下のように配置される。すなわち、3つの配線基板64は、第1面24a側において放射状に広がり、放射の中心側に位置する各配線基板64の一部分のうち少なくとも2つが灯具前後方向から見て一方の第1貫通孔88と重なるように配置される。また、各配線基板64の他の一部分が灯具前後方向から見ていずれかの第2貫通孔90と重なるように配置される。残り1つの配線基板64は、第1面24a側において、放射状に広がる3つの配線基板64のうちの1つと隣接し、一部分が灯具前後方向から見て他方の第1貫通孔88と重なり、他の一部分が灯具前後方向から見ていずれかの第2貫通孔90と重なるように配置される。そして、ベース部材24は、各配線基板64に対応する表側通風路92および裏側通風路94を有する。
【0066】
本実施の形態では、第2配線基板82、第3配線基板84および第4配線基板86が上述の3つの配線基板64に相当し、第1配線基板80が上述の残り1つの配線基板64に相当する。第2配線基板82~第4配線基板86の配置と、これらの配線基板に対応する表側通風路92a~92cおよび裏側通風路94a~94cとについては、上述の通りである。
【0067】
残り1つの配線基板64である第1配線基板80は、第1面24a側において、放射状に広がる3つの配線基板64のうちの第2配線基板82と隣接する。第2配線基板82と第1配線基板80とは、車幅方向に一列に並んでいる。そして、第1配線基板80の車幅方向の中央部は、灯具前後方向から見て第1貫通孔88bと重なっている。また、第1配線基板80の車幅方向外側の端部は、灯具前後方向から見て第2貫通孔90dと重なっている。
【0068】
そして、ベース部材24は、第1貫通孔88bおよび第2貫通孔90dをつなぐとともに第1配線基板80に沿って延びる表側通風路92dを第1面24a側に有する。また、ベース部材24は、第1貫通孔88bおよび第2貫通孔90dをつなぐ裏側通風路94dを第2面24b側に有する。第2ファン56bが駆動すると、第2ファン56bから送り出された空気の一部は、第1貫通孔88bを通過して第1面24a側に進み、表側通風路92dを通って第2貫通孔90dに到達する。表側通風路92dを空気が流れることで、第1配線基板80が冷却される。第2貫通孔90dに到達した空気は、第2貫通孔90dから第2面24b側に進み、裏側通風路94dを通って第1貫通孔88bに戻る。これにより、第1貫通孔88b、表側通風路92d、第2貫通孔90dおよび裏側通風路94dの順で空気が循環する第1配線基板80の空冷機構が形成される。なお、第2貫通孔90dに到達した空気の一部は、第1ファン56a側に流れ得る。
【0069】
また、制御部54は、上述のとおり車両用灯具1の発光領域、本実施の形態ではターン-テール光源50の発光領域が徐々に拡大するよう複数のターンシグナルランプ用発光素子60を点灯させる。これにより、車両用灯具1は、ターンシグナルランプ機能を発揮する。このようなターン-テール光源50の発光態様において、配線基板64は、先行配線基板64aと、後続配線基板64bとを含む。先行配線基板64aは、ターンシグナルランプ用発光素子60がシーケンシャル点灯の点灯サイクルにおいて最初に点灯する基板である。後続配線基板64bは、先行配線基板64aのターンシグナルランプ用発光素子60より遅くターンシグナルランプ用発光素子60が点灯する基板である。
【0070】
そして、各第1貫通孔88と各配線基板64とは、互いの位置関係が以下のように定められる。すなわち、一方の第1貫通孔88は、灯具前後方向から見て後続配線基板64bと重なるように配置され、他方の第1貫通孔88は、灯具前後方向から見て先行配線基板64aと重なるように配置される。また、他方の第1貫通孔88と重なる配線基板64の数が一方の第1貫通孔88と重なる配線基板64の数よりも少なくなるように、各配線基板64が配置される。
【0071】
本実施の形態では、第1配線基板80が先行配線基板64aに相当し、第3配線基板84および第4配線基板86が後続配線基板64bに相当する。すなわち、図5(b)に示すように、第1配線基板80を有する第1光源14には、発光領域の第1ブロック66~第3ブロック70が割り当てられており、第1ブロック66~第3ブロック70は、第4ブロック72以降よりも先に発光する。また、第3配線基板84を有する第3光源18と、第4配線基板86を有する第4光源20とには、発光領域の第7ブロック78が割り当てられており、第1ブロック66~第4ブロック72よりも後に発光する。
【0072】
そして、第3配線基板84および第4配線基板86は第1貫通孔88aと重なるように配置され、第1配線基板80は第1貫通孔88bと重なるように配置される。また、第1貫通孔88aと重なる配線基板64の数は1枚、つまり第1配線基板80のみであるのに対し、第1貫通孔88bと重なる配線基板64の数は第3配線基板84および第4配線基板86の2枚である。
【0073】
つまり、ターンシグナルランプ用発光素子60の点灯時間が長い第1配線基板80は主に第2ファン56bで冷却し、ターンシグナルランプ用発光素子60の点灯時間が短い第3配線基板84および第4配線基板86は主に第1ファン56aで冷却する。また、第2配線基板82の車幅方向外側の端部は第1貫通孔88aの近傍に配置されるため、第2配線基板82も主に第1ファン56aで冷却される。配線基板64は、ターンシグナルランプ用発光素子60の点灯時間が長い程、発熱量は増大する。このため、第2ファン56bの冷却対象の数を第1ファン56aの冷却対象の数よりも減らして、温度が上がりやすい第1配線基板80をより冷却しやすくしている。
【0074】
以上説明したように、本実施の形態に係る車両用灯具1は、発光素子が搭載される少なくとも2つの配線基板64(第3配線基板84および第4配線基板86)と、配線基板64を冷却するためのファン56(第1ファン56a)と、灯具前後方向と交わる方向に広がり灯具前方側を向く第1面24aおよび灯具後方を向く第2面24bを有し、配線基板64およびファン56を支持するベース部材24とを備える。ベース部材24は、灯具前後方向にベース部材24を貫通する第1貫通孔88(第1貫通孔88a)を有する。そして、第1貫通孔88に向けて送風するようにファン56を支持する。
【0075】
また、ベース部材24は、灯具前後方向にベース部材24を貫通する複数の第2貫通孔90(第2貫通孔90a,90b)を有する。そして、各配線基板64を第1面24a側に配置するとともに、各配線基板64の一部分が灯具前後方向から見て第1貫通孔88と重なり、各配線基板64の他の一部分が灯具前後方向から見ていずれかの第2貫通孔90と重なるように支持する。また、ベース部材24は、第1貫通孔88および各第2貫通孔90をつなぐとともに2つの配線基板64それぞれに沿って延びる表側通風路92(表側通風路92a,92b)を第1面24a側に有し、第1貫通孔88と各第2貫通孔90とをつなぐ裏側通風路94(裏側通風路94a,94b)を第2面24b側に有する。
【0076】
このように、ベース部材24の第1面24aに設ける表側通風路92と第2面24bに設ける裏側通風路94とで構成される空気の循環路によって各配線基板64を冷却することで、各配線基板64の冷却効率を高めることができる。よって、ヒートシンクを省略することができ、車両用灯具1の小型化を図ることができる。また、各配線基板64に対応する複数の循環路を1つのファン56で形成している。この点でも車両用灯具1の小型化を図ることができる。
【0077】
また、本実施の形態の車両用灯具1は、少なくとも3つの配線基板64(第2配線基板82~第4配線基板86)を有する。各配線基板64は、第1面24a側において放射状に広がり、放射の中心側に位置する各配線基板64の一部分のうち少なくとも2つ(第3配線基板84の端部および第4配線基板86の端部)が灯具前後方向から見て第1貫通孔88(第1貫通孔88a)と重なるように配置される。また、各配線基板64の他の一部分が灯具前後方向から見ていずれかの第2貫通孔90(第2貫通孔90a~90d)と重なるように配置される。そして、ベース部材24は、各配線基板64に対応する表側通風路92(表側通風路92a~92c)および裏側通風路94(裏側通風路94a~94c)を有する。このような構成により、配線基板64の数の増加による車両用灯具1の大型化を抑制することができる。
【0078】
また、本実施の形態の車両用灯具1は、少なくとも4つの配線基板64(第1配線基板80~第4配線基板86)と、少なくとも2つのファン56(第1ファン56aおよび第2ファン56b)と、少なくとも2つの第1貫通孔88(第1貫通孔88a,88b)とを有する。一方のファン56(第1ファン56a)は一方の第1貫通孔88(第1貫通孔88a)に向けて送風するように配置され、他方のファン56(第2ファン56b)は他方の第1貫通孔88(第1貫通孔88b)に向けて送風するように配置される。
【0079】
3つの配線基板64(第2配線基板82~第4配線基板86)は、第1面24a側において放射状に広がり、放射の中心側に位置する各配線基板64の一部分のうち少なくとも2つ(第3配線基板84の端部および第4配線基板86の端部)が灯具前後方向から見て一方の第1貫通孔88と重なり、各配線基板64の他の一部分が灯具前後方向から見ていずれかの第2貫通孔90(第2貫通孔90a~90d)と重なるように配置される。
【0080】
残り1つの配線基板64(第1配線基板80)は、第1面24a側において3つの配線基板64のうちの1つ(第2配線基板82)と隣接し、一部分が灯具前後方向から見て他方の第1貫通孔88と重なり、他の一部分が灯具前後方向から見て第2貫通孔90(第2貫通孔90d)と重なるように配置される。そして、ベース部材24は、各配線基板64に対応する表側通風路92(表側通風路92a~92d)および裏側通風路94(裏側通風路94a~94d)を有する。
【0081】
このような構成により、車両用灯具1の小型化を図りながら、車幅方向に延びる横Y字状の発光部を形成することができる。これにより、車両用灯具1の誘目性を高めて、車両用灯具1の自車表示機能を向上させることができる。この結果、他車両や歩行者により注意喚起することができ、車両運転の安全性を向上させることができる。
【0082】
また、本実施の形態の車両用灯具1は、発光素子(ターンシグナルランプ用発光素子60)の点消灯を制御する制御部54を備える。制御部54は、車両用灯具1の発光領域(ターン-テール光源50の発光領域)が徐々に拡大するよう複数の発光素子を点灯させる。このような制御により、車両用灯具1の誘目性を高めて、車両用灯具1の自車表示機能を向上させることができる。この結果、他車両や歩行者により注意喚起することができ、車両運転の安全性を向上させることができる。
【0083】
また、本実施の形態の配線基板64は、発光素子(ターンシグナルランプ用発光素子60)が最初に点灯する先行配線基板64aと、先行配線基板64aの発光素子より遅く発光素子が点灯する後続配線基板64bとを含む。一方の第1貫通孔88(第1貫通孔88a)は、灯具前後方向から見て後続配線基板64b(第3配線基板84および第4配線基板86)と重なるように配置される。また、他方の第1貫通孔88(第1貫通孔88b)は、灯具前後方向から見て先行配線基板64a(第1配線基板80)と重なるように配置される。そして、他方の第1貫通孔88と重なる配線基板64の数は、一方の第1貫通孔88と重なる配線基板64の数よりも少ない。
【0084】
このような構成により、発光素子の点灯時間が長く温度が上がりやすい配線基板64を、発光素子の点灯時間が短く温度が上がりにくい配線基板64よりも、より冷却しやすくすることができる。この結果、発熱により発光素子の光度が低下することを抑制することができる。よって、車両用灯具1の信頼性を高めることができる。
【0085】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明した。前述した実施の形態は、本発明を実施するにあたっての具体例を示したものにすぎない。実施の形態の内容は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、請求の範囲に規定された発明の思想を逸脱しない範囲において、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。設計変更が加えられた新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態および変形それぞれの効果をあわせもつ。前述の実施の形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「本実施の形態の」、「本実施の形態では」等の表記を付して強調しているが、そのような表記のない内容でも設計変更が許容される。以上の構成要素の任意の組み合わせも、本発明の態様として有効である。図面の断面に付したハッチングは、ハッチングを付した対象の材質を限定するものではない。
【符号の説明】
【0086】
1 車両用灯具、 24 ベース部材、 24a 第1面、 24b 第2面、 54 制御部、 56 ファン、 56a 第1ファン、 56b 第2ファン、 64 配線基板、 64a 先行配線基板、 64b 後続配線基板、 80 第1配線基板、 82 第2配線基板、 84 第3配線基板、 86 第4配線基板、 88,88a,88b 第1貫通孔、 90,90a,90b,90c,90d 第2貫通孔、 92,92a,92b,92c,92d 表側通風路、 94,94a,94b,94c,94d 裏側通風路。
図1
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図9