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  • 特開-縫目ほつれ防止装置 図1
  • 特開-縫目ほつれ防止装置 図2
  • 特開-縫目ほつれ防止装置 図3
  • 特開-縫目ほつれ防止装置 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022084374
(43)【公開日】2022-06-07
(54)【発明の名称】縫目ほつれ防止装置
(51)【国際特許分類】
   D05B 1/10 20060101AFI20220531BHJP
【FI】
D05B1/10 Z
D05B1/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020196217
(22)【出願日】2020-11-26
(71)【出願人】
【識別番号】000113229
【氏名又は名称】ペガサスミシン製造株式会社
(72)【発明者】
【氏名】向井 裕親
【テーマコード(参考)】
3B150
【Fターム(参考)】
3B150AA05
3B150AA12
3B150CB14
3B150CE05
3B150DF02
(57)【要約】
【課題】 簡素な機構で縫目の縫い終わり端側からの縫目ほつれを防止できるようにした縫目ほつれ防止装置を提供する。
【解決手段】 縫目ほつれ防止装置は可動片5を備える。可動片5はミシンの布送り方向Fと交差する左右方向に進退揺動するルーパ1の進退方向に沿って進退可能に配置されている。縫製終了に際し、ルーパ1が前進位置に進出した状態で一旦ミシンを停止し、次いで可動片5を左方へ動作させて、ルーパ1に捉えられた針2,2の針糸3のうち、左側(ルーパ前進方向側)の針2の針糸ループ3Lを左方へ押し出す。然る後に、ミシンを1針分駆動させてルーパ1が再度前進位置に進出した状態で糸切装置によってルーパ糸4、およびルーパ1に係合する針糸3,3を切断する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
針糸を挿通し、上下動する少なくとも1本の針と、該針を挟んで前進位置と後退位置との間を進退揺動し、前記針糸と二重環縫目を形成するルーパ糸を挿通するルーパを備えたミシンによる布地の縫製において、縫製終了に際しルーパが前進位置へ進出した状態で、ルーパが補足した針糸ループのうちルーパの前進方向側に位置する針糸ループを含む少なくとも1つの針糸ループをルーパの前進方向に押し出す針糸ループ押し出し手段と、針糸ループ押し出し手段によって押し出された針糸ループをルーパ糸と共に捉えるようにして1針分ミシンを駆動した後にルーパに係合する針糸およびルーパ糸を切断する糸切断手段とを備えることを特徴とする、縫目ほつれ防止装置。
【請求項2】
前記針糸ループ押し出し手段は、ルーパの進退方向に沿って進退可能かつ先端部が針糸ループにルーパの後退位置側から当接可能に配置された可動片を備えることを特徴とする、請求項1に記載の縫目ほつれ防止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミシンにより布地に二重環縫目や偏平縫目を形成するに際して、縫目の縫い終わり端側からの縫目ほつれを防止するための装置に関する。
本発明において、前後とはミシンの生地送り方向における前後方向をいい、左右とはミシンを正面から見た時の左右方向をいう。また上下とはミシンの上下方向をいう。
【背景技術】
【0002】
従来の縫目ほつれ防止装置としては、縫製終了に際しルーパが前進位置に揺動した状態で糸掛けフックを揺動して、ルーパが捕らえた複数の針糸ループのうち、進出側に位置する針糸ループを保持し、この状態で少なくとも1針分の縫製動作を行わせ、保持した針糸ループに下降する針を通し、この針が保持する針糸で前期針糸ループを自糸ルーピングし、その後、この自糸ルーピングされた針糸ループを含む各糸をルーパの後退位置側に配置された糸切りメス(受けメス)にて切断するものが知られている(例えば、特許文献1を参照。)。なおルーパ糸掛けフックや糸切りフックはミシンベッド内に配置されている。
【0003】
【特許文献1】特開2011-206527
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上述した従来の縫目ほつれ防止装置においては、糸掛けフックが針糸ループを補足するために糸掛けフックは複雑な動きを要求されると共にその調整が難しいという問題があった。
また、糸掛けフックを動作させる機構も複雑かつ部品点数が多く、主要な部品が針落ちの後方に配置されているため、針落ち周辺のミシンベッドをコンパクトにしづらいという問題があった。
【0005】
従って、本発明の課題は、簡素な機構で縫目の縫い終わり端側からの縫目ほつれを防止できるようにした縫目ほつれ防止装置を提供することにある。
【0006】
本発明は、上記目的を達成する為に、 針糸を挿通し、上下動する少なくとも1本の針と、該針を挟んで前進位置と後退位置との間を進退揺動し、前記針糸と二重環縫目を形成するルーパ糸を挿通するルーパを備えたミシンによる布地の縫製において、縫製終了に際しルーパが前進位置へ進出した状態で、ルーパが補足した針糸ループのうちルーパの前進方向側に位置する針糸ループを含む少なくとも1つの針糸ループをルーパの前進方向に押し出す針糸ループ押し出し手段と、針糸ループ押し出し手段によって押し出された針糸ループをルーパ糸と共に捉えるようにして1針分ミシンを駆動した後にルーパに係合する針糸およびルーパ糸を切断する糸切断手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
なお、前記針糸ループ押し出し手段は、ルーパの進退方向に沿って進退可能かつ先端部が針糸ループにルーパの後退位置側から当接可能に配置された可動片を備えるとよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、非常に簡素な構造で縫目ほつれ防止装置を構成できると共に装置の調整が簡単になる。また、針落ちの後方に部品が配置されないので、針落ち周辺のミシンベッドをコンパクトにできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明に係る縫目ほつれ防止装置について説明する。図1乃至図4は縫い目ほつれ防止装置の主要な動作工程を示した概略俯瞰図で、主要な構成のみ示している。
【0010】
図1は縫い目ほつれ防止装置によるほつれ防止動作を行う直前の状態を示している。上下動する針2,2は図示しない針板の上方に位置している。ミシンの布送り方向Fと交差する左右方向に進退揺動するルーパ1は前進位置(左方)に進出した状態にある。ルーパ1の先端から図示しない布に連なるルーパ糸4はルーパ1の後方においてルーパ1の長手方向と所定の角度をもって配置されている。針糸ループ3L,3LL針2,2の後方に形成されると共にルーパ1に補足されている。針2,2うち左側(ルーパ前進方向側)の針2は針糸ループ3Lの左方(ルーパ前進方向側)に、右側(ルーパ後退方向側の針2は左右方向において針糸ループ3Lの右方かつ針糸ループ3LLの左方に夫々位置している。
【0011】
可動片5は針2,2の針落ちよりも右方に配置されていると共に図示しないアクチュエータに左右方向すなわちルーパ1の進退方向に沿って揺動可能に連結されている。
【0012】
縫目ほつれ防止装置を作動させると、縫製終了に際し、先ず図1に示す状態にてミシンが一旦停止する。次いで、図2に示すようにアクチュエータの動作によって可動片5が左方に移動し、可動片5の先端部5aが左側の針2の針糸ループ3Lに右側(ルーパの後退位置側)から当接して針糸ループ3L左方に押し出す。この時、針糸ループ3Lが針2の針落ちよりも左方に移動するように可動片5のストローク量は調整されている。可動片5は針糸ループ3Lを押し出す動作が完了した後に速やかに右方へ後退し、元の位置(図1に示す位置)に戻る。
【0013】
次に、1針分ミシンを駆動させる。針2,2が針落ちを貫通して下降すると、左側の針2は針糸ループ3Lの下端よりも右側を通過する。また、ルーパ1は右方すなわちルーパ後退方向側に向かって徐々に後退する。
このようにしてルーパ1が後退位置まで後退すると、左側の針2はルーパ糸4と共に針糸ループ3Lを捉えて係合する(図4)。
図4に示す状態から再度ルーパ1を前進位置まで前進させた後に、公知の糸切装置によってルーパー糸4、およびルーパ1に係合する針糸ループ3,3を切断する。
【0014】
上述した一連の動作によって、左側の針2の針糸3の縫い終わり部分が自糸レーシングされ、縫い目の縫い終わり端からのほつれを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の縫目ほつれ防止装置の主要な動作工程を示した概略俯瞰図である。
図2】本発明の縫目ほつれ防止装置の主要な動作工程を示した概略俯瞰図である。
図3】本発明の縫目ほつれ防止装置の主要な動作工程を示した概略俯瞰図である。
図4】本発明の縫目ほつれ防止装置の主要な動作工程を示した概略俯瞰図である。
【符号の説明】
【0016】
1 ルーパ
2 針
3 針糸
3L,3LL 針糸ループ
4 ルーパ糸
5 可動片
図1
図2
図3
図4