(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022084433
(43)【公開日】2022-06-07
(54)【発明の名称】カウンター
(51)【国際特許分類】
A47B 96/18 20060101AFI20220531BHJP
【FI】
A47B96/18 F
A47B96/18 B
A47B96/18 E
A47B96/18 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020196308
(22)【出願日】2020-11-26
(71)【出願人】
【識別番号】593078279
【氏名又は名称】吉本産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】吉本 明義
(57)【要約】
【課題】意匠性を向上しつつ、手前から水が落ちることを防止できるカウンターを提供すること。
【解決手段】カウンター1は、使用者が使用時に位置する側の端部となる前端10aと、前端10aに対向する後端10bを有し、前端10aから所定距離D1後方へ延びる平坦な第一平面部21と、第一平面部21から連続して後方へ延び、下方に傾斜する傾斜面部4と、傾斜面部4の後方から後端10b側に延びる第二平面部3と、を有する。傾斜面部4は、傾斜面前端4aから傾斜面後端4bまでの間に、第一平面部21に対して1度~5度の範囲内で傾斜することが好ましい。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が使用時に位置する側の端部となる前端と、前記前端に対向する後端を有するカウンターにおいて、
前記前端から所定距離後方へ延びる平坦な第一平面部と、
前記第一平面部から連続して後方へ延び、下方に傾斜する傾斜面部と、
前記傾斜面部の後方から前記後端側に延びる第二平面部と、を有する、カウンター。
【請求項2】
前記傾斜面部は、傾斜面前端から傾斜面後端までの間に、前記第一平面部に対して1度~5度の範囲内で傾斜する、請求項1に記載のカウンター。
【請求項3】
前記傾斜面部は、前記傾斜面前端から前記傾斜面後端まで30mm~50mmの範囲内の距離を有する、請求項2に記載のカウンター。
【請求項4】
前記傾斜面部及び前記第二平面部の間に配置され、前記傾斜面部及び前記第二平面部を接続する段差部をさらに有する、請求項1~3のいずれか1項に記載のカウンター。
【請求項5】
前記第一平面部を含んで形成され、前記カウンターの外縁に沿って枠状に形成される平坦な外周部をさらに有し、
前記傾斜面部は、前記外周部の内側で、枠状に形成される、請求項1~4のいずれか1項に記載のカウンター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カウンターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、キッチンキャビネット等のカウンターにはシンクが設けられて、水を使用して作業を行うように構成されている。シンクの周囲のカウンターの平面に飛び散った水が、カウンターの縁から下方に零れ落ちないようにするため、平坦な板状のカウンターの前端部に、水を堰き止める膨出部が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カウンターを膨出部を有さない平面のみで構成すれば、水が手前に落ちやすくなる。しかし、膨出部が、カウンターの前端部に形成されていると、カウンターの作業面に届きにくいようなバリアー感が生じる。このため、バリアー感が生じないように意匠性を向上させつつ、水の落ちにくいカウンターが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、使用者が使用時に位置する側の端部となる前端と、前記前端に対向する後端を有するカウンターにおいて、前記前端から所定距離後方へ延びる平坦な第一平面部と、前記第一平面部から連続して後方へ延び、下方に傾斜する傾斜面部と、前記傾斜面部の後方から前記後端側に延びる第二平面部と、を有する、カウンターに関する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、カウンターから下方に水が落ちることを防止しつつ、意匠性を向上したカウンターを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施形態のカウンターを示す斜視図である。
【
図2】本実施形態のカウンターを示す平面図である。
【
図7】他の実施形態のカウンターを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。本実施形態のカウンター1は、台所等に配置されるシステムキッチンの上面を構成するカウンター1である。本明細書において、前とは、カウンター1における使用者が使用時に位置し、最も使用者に近接する側を意味し、後ろとは、前に対向する側を言う。また、左右とは、カウンター1の正面からみた左右方向を言う。
図1及び
図2に示すように、カウンター1には、シンク7及び加熱調理器8が配置される。
図2では、蛇口は省略して示されている。図示を省略するが、カウンター1は、食器や食材等を収納可能なキャビネットの上面に配置され、キャビネットによって支持される。
【0009】
カウンター1は、平面視長方形の板状の天板10と、天板10の下面に配置される合板の補強板11(
図5及び
図6参照)を有する。
図1及び
図2に示すように、天板10は、前端10aと、後端10bと、外周部2と、作業部3と、傾斜面部4と、段差部5と、を有する。前端10aは、使用者が使用時に位置する側の端部であり、天板10の長手方向に沿って延びる一方の側縁である。後端10bは、前端10aに対向する側の端部であり、天板10の長手方向に沿って延びる他方の側縁である。天板10は、例えば人工大理石で形成される。
【0010】
外周部2は、
図2に示すように、カウンター1の外縁から所定距離内側へ延び、外縁に沿ってカウンター1の上面で枠状に形成される平坦な面である。外周部2は、
図5に示すように、設置面と略平行で略水平に形成される。外周部2は、第一平面部としての前外周部21と、後外周部22と、左外周部23と、右外周部24と、前垂部25と、を有する。
【0011】
図3は、天板10を
図2のA-A線で切断した部分断面図である。
前外周部21は、
図3に示すように、カウンター1の縦断面視において、天板10の前端から所定距離D1後方へ延びる。所定距離D1とは、天板10の前端から鉛直方向に延ばした仮想線から、例えば20mmから30mm程度である。前外周部21は、後外周部22、左外周部23、右外周部24よりも天板10の外縁から内側へ延びる距離が短い。
後外周部22は、
図3に示すように、天板10の後端から所定距離D2前方へ延びる。所定距離D2とは、例えば100mmから400mm程度であり、天板10の大きさや
デザインによって適宜変更される。
左外周部23及び右外周部24は、
図2に示すように、天板10の左右の端部から所定距離D3内側へ延びる。所定距離D3とは、例えば100mmから400mm程度であり、天板10の大きさやデザインによって適宜変更される。
【0012】
前垂部25は、前外周部21の前端から下垂する。前垂部25は、前外周部21の前端からわずかに前方外側へ傾斜している。傾斜の角度θ1は、鉛直方向に対して2度以下程度である。前垂部25が外側へ傾斜しながら下垂していることにより、前外周部21から仮に水が零れ落ちたとしても、カウンター1の下方に位置するキャビネットの内部等に水が入り込まないように形成されている。
【0013】
作業部3は、
図2及び
図3に示すように、外周部2の内側に配置され、床等の設置面と略平行で略水平に延びる面である。作業部3は、本発明の第二平面部を構成する。作業部3は、外周部2よりも下方に位置しており、具体的には、例えば、外周部2から鉛直方向3.5mm~2.5mm程度下に位置している。
図2に示すように、作業部3の左側に加熱調理器8が、右側にシンク7が配置され、加熱調理器8とシンク7の間が調理の作業スペースとなっている。
【0014】
傾斜面部4は、外周部2と作業部3との間に位置し、
図2に示すように、外周部2の内周に枠状に形成されている。傾斜面部4は、外周部2の内周側の端部から連続して下方へ傾斜する。傾斜面部4の傾斜の角度θ2は、例えば1度~5度の範囲内であり、好ましくは2度~4度、さらに好ましくは3度程度である。傾斜面部4は、傾斜面部4の外周部2と接する側の端部から、作業部3側の端部まで、距離D4を有して形成される。
図2及び
図3に示すように、例えば前外周部21に接する傾斜面部4の傾斜面前端4aから作業部3側の傾斜面後端4bまでの距離D4は、30mm~50mm程度であり、好ましくは35mm~45mm、さらに好ましくは40mm前後である。
【0015】
図3に示すように、天板10の前方における傾斜面部4は、前外周部21から連続して後方へ延び、下方に傾斜している。傾斜面部4の傾斜面前端4aから傾斜面後端4bまでの間に、外周部2に対して上述した1度~5度の間で傾斜しながら延びている。傾斜面部4の後方から、カウンター1の後端10b側へ向かって作業部3が延びている。
【0016】
段差部5は、傾斜面部4の作業部3側の端部と作業部3との間に配置され、傾斜面部4と作業部3とを接続する。段差部5は、傾斜面部4の内周に枠状に形成されている。段差部5は、傾斜面部4よりも大きな角度θ3で傾斜する。具体的には、段差部5は、傾斜面部4の作業部3側の端部と作業部3との間を、40度~50度、好ましくは45度程度の角度で傾斜しながら接続する。段差部5は、傾斜面部4の作業部3側の端部と作業部3との間で0.5mm~1.5mm、好ましくは0.8mm~1.2mm程度の高さHの差を有して形成される。
図4は、天板10の左外周部23と、傾斜面部4及び作業部3を示す断面図である。
図3及び
図4に示すように、天板10の後方及び左右方向においても、傾斜面部4及び段差部5は同様の構成を有するため、説明を省略する。
【0017】
なお、
図5において省略して示されているが、天板10及び補強版11の側面は、これらを覆う部材で覆われ、端部処理される。例えば、天板10と同じ素材を切り出し、天板10及び補強版11の側面に貼り付けるように配置してよい。
【0018】
図6を参照して、カウンター1の使用の状態について説明する。従来のようにカウンターが平面だけで構成されていた場合、手前側から水が垂れ落ちてしまう。また、略水平なカウンターの平面でまな板91を載せて作業をすると、まな板91の裏に回った水が周囲から跳ねたり、まな板91が動いたりする。水が垂れることを防止するために、カウンターの前端に膨出部を設けた場合、膨出部を乗り越えて作業部に手を延ばすため、手前に障害物があるかのようなバリアー感が生じる。また、膨出部にまな板91が載ると、傾斜がきつくなり、安定感が損なわれる。本実施形態では、前外周部21が平坦であるため、バリアー感が生じない。傾斜面部4の傾斜角度が非常に小さいので、安定してまな板91を傾斜面部4から作業部3にかけて置くことができる。傾斜面部4と作業部3との間に形成される隙間Gで、まな板91の裏に回る水が移動できるので、水がまな板91の周囲から跳ねるようなことはない。まな板91を傾斜面部4に載せて使用すると、まな板91の上の水が傾斜により作業部3へ落ちるため、作業がしやすい。
【0019】
本実施形態によれば、以下の効果を奏する。使用者が使用時に位置する側の端部となる前端10aと、前端10aに対向する後端10bを有するカウンター1を、前端10aから所定距離D1後方へ延びる前外周部21と、前外周部21から連続して後方へ延び、下方に傾斜する傾斜面部4と、傾斜面部4の後方から後端10b側に延びる作業部3と、を含んで構成した。カウンター1の前端10aから平坦な前外周部21が延びている。このため、バリアー感を生じることなく、作業部3に容易にアクセスできる。かつ、前外周部21から後方に連続して傾斜面部4が下方に傾斜するので、水が前外周部21から手前に落ちにくい。よって、意匠性が向上しつつ、水がこぼれにくくなる。
【0020】
本実施形態によれば、傾斜面部4を、傾斜面前端4aから傾斜面後端4bまでの間に前外周部21に対して1度~5度の範囲内で傾斜させた。傾斜面部が傾斜していることで水が作業部3側へ流れるが、その傾斜角度が前外周部21に対して1度~5度と極めて緩い傾斜であるため、傾斜面部4にまな板91を置いたり食材を加工したりする作業をするのに傾斜による違和感が少ない。よって利便性が高まる。
【0021】
本実施形態によれば、傾斜面部4を、傾斜面前端4aから傾斜面後端4bまで30mm~50mmの範囲内の距離を有するように構成した。傾斜面部4の前後方向の長さが30mm~50mmの範囲内の距離であることから、平坦な作業部3の面積を多くとることが可能になり、カウンター1上での調理作業がしやすくなる。
【0022】
本実施形態によれば、傾斜面部4及び作業部3の間に配置され、傾斜面部4及び作業部3を接続する段差部5をさらに含んで構成した。傾斜面部4と作業部3との間に段差部5が配置されていることで、傾斜面部4の傾斜角度を緩くしつつ、傾斜面部4の外周部2側の端部と作業部3側の端部との間の高低差を大きくすることが可能になる、これにより、傾斜面部4から水を作業部3側へ流しやすくなる。
【0023】
本実施形態によれば、前外周部21を含んで形成され、カウンター1の外縁に沿って枠状に形成される平坦な外周部2をさらに含んで構成した。傾斜面部4を、外周部2の内側で、枠状に形成した。これにより、カウンター1の外縁に沿って枠状に形成される外周部2を有し、外周部2の内側に傾斜面部4が形成されることで、水がカウンター1の外側にこぼれにくくなり、カウンター1上での作業性が向上する。外周部2と傾斜面部4とで二重の枠が形成されたようなデザインとなり、意匠性に優れる。
【0024】
本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本開示に含まれる。
図7は、他の実施形態のカウンター1Aを示す平面図である。
図7に示すように、後外周部22Aは、上記説明した実施形態よりも大きな面積を有して形成されている。カウンター1A自体の寸法や、外周部2、傾斜面部4及び作業部3の比率や寸法等は、適宜変更されてよい。また、左外周部23及び右外周部24の幅は、デザインに応じて異なっていてもよい。カウンター1は、キッチンカウンターのみに限られず、洗面台等に用いられてもよい。また、天板10を構成する素材として、人工大理石を例に説明したが、上記の形状を実現できる素材であれば、特に限定されない。
【符号の説明】
【0025】
1 カウンター
2 外周部
3 作業部(第二平面部)
4 傾斜面部
5 段差部
4a 傾斜面前端
4b 傾斜面後端
10a 前端
10b 後端
21 前外周部(第一平面部)