IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 吉本産業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-カウンターの製造方法及びカウンター 図1
  • 特開-カウンターの製造方法及びカウンター 図2
  • 特開-カウンターの製造方法及びカウンター 図3
  • 特開-カウンターの製造方法及びカウンター 図4
  • 特開-カウンターの製造方法及びカウンター 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022084434
(43)【公開日】2022-06-07
(54)【発明の名称】カウンターの製造方法及びカウンター
(51)【国際特許分類】
   A47B 96/18 20060101AFI20220531BHJP
【FI】
A47B96/18 F
A47B96/18 B
A47B96/18 E
A47B96/18 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020196309
(22)【出願日】2020-11-26
(71)【出願人】
【識別番号】593078279
【氏名又は名称】吉本産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】吉本 明義
(57)【要約】
【課題】難加工材で構成され、かつ水が手前から零れることを防止できるカウンターを提供すること。
【解決手段】難加工材により構成される天板10を有するカウンター1の製造方法では、天板10は、使用者が使用時に位置する側の端部となる前端10aと、前端10aに対向する後端10bとを有し、前端10aから所定距離後方へ下方に傾斜する傾斜面部4を配置する傾斜面配置工程S1と、傾斜面部4の後端4bから略水平方向後方へ延びる平面部3を配置する平面部配置工程S2と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
難加工材により構成される天板を有するカウンターの製造方法であって、
前記天板は、使用者が使用時に位置する側の端部となる前端と、前記前端に対向する後端とを有し、
前記前端から所定距離後方へ下方に傾斜する傾斜面部を配置する傾斜面配置工程と、
前記傾斜面部の後端から略水平方向後方へ延びる平面部を配置する平面部配置工程と、を有するカウンターの製造方法。
【請求項2】
前記傾斜面部と、前記平面部との間に段差部を形成する段差部形成工程を有する、請求項1に記載カウンターの製造方法。
【請求項3】
前記傾斜面部及び前記平面部を接着剤で接着する接着工程を有する、請求項2に記載のカウンターの製造方法。
【請求項4】
前記傾斜面部の下面に、防水性の支持部を配置する支持部配置工程を有する請求項1~3のいずれか1項に記載のカウンターの製造方法。
【請求項5】
難加工材により構成される天板を有するカウンターであって、
前記天板は、
使用者が使用時に位置する側の端部となる前端と、
前記前端に対向する後端と、
前記前端から所定距離後方へ下方に傾斜する傾斜面部と、
前記傾斜面部を構成する部分と別体で構成され、前記傾斜面部の後端から所定距離後方へ延びるように配置され、略水平に延びる平面部と、を有する、カウンター。
【請求項6】
前記傾斜面部と前記平面部とは接着されている、請求項5に記載のカウンター。
【請求項7】
前記傾斜面部と前記平面部との間に形成される段差部を有する、請求項5又は6に記載のカウンター。
【請求項8】
前記天板の下に配置される補強板と、
前記補強板と前記天板との間に配置される防水性の支持部と、を備える、請求項5~7のいずれか1項に記載のカウンター。
【請求項9】
前記支持部は、前記傾斜面部の下面を支持する傾斜面支持部及び前記傾斜面支持部から連続して前記平面部側へ延出する平面部支持部を有する、請求項8に記載のカウンター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カウンターの製造方法及びカウンターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、台所や洗面所のカウンターの天板として、樹脂を一体成形で形成する人工大理石により構成されたものが知られている。樹脂を成形する場合は、凹凸や傾斜を天板に設けることが容易である。しかし、人工大理石よりもより硬度が高く、かつ高級な外観を備える天板として、人造大理石(エンジニアドストーン)や、硬度の高いセラミック、天然石等の他の素材で構成されるカウンターも提案されている。硬度の高い天板によれば、耐久性及び意匠性が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-217342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
硬度の高い天板は、切削や成形が困難である。このため、天板全体が、素材を切り出した状態の平坦な板面で構成されることが多い。しかし、天板が平坦な板面で構成されていると、システムキッチンや洗面台に天板を用いた場合、シンクで使用した水が手間に零れて垂れ落ちやすいという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、難加工材により構成される天板を有するカウンターの製造方法であって、前記天板は、使用者が使用時に位置する側の端部となる前端と、前記前端に対向する後端とを有し、前記前端から所定距離後方へ下方に傾斜する傾斜面部を配置する傾斜面配置工程と、前記傾斜面部の後端から略水平方向後方へ延びる平面部を配置する平面部配置工程と、を有するカウンターの製造方法に関する。
【0006】
また、本発明は、難加工材により構成される天板を有するカウンターであって、前記天板は、使用者が使用時に位置する側の端部となる前端と、前記前端に対向する後端と、前記前端から所定距離後方へ下方に傾斜する傾斜面部と、前記傾斜面部を構成する部分と別体で構成され、前記傾斜面部の後端から所定距離後方へ延びるように配置され、略水平に延びる平面部と、を有する、カウンターに関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、難加工材で構成され、かつ水が手前から零れることを防止できるカウンターを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態のカウンターを示す斜視図である。
図2】本実施形態のカウンターを示す平面図である。
図3図2のA-A断面図である。
図4】本実施形態のカウンターの側面図である。
図5】使用の状態を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。本実施形態のカウンター1は、台所等に配置されるシステムキッチンの上面を構成するカウンター1である。本明細書において、前とは、カウンター1における使用者が使用時に位置し、最も使用者が近接する側を意味し、後ろとは、前に対向する側を言う。また、左右とは、カウンター1の正面からみた左右方向を言う。外側とは、カウンター1の外縁側を意味し、内側とは、カウンター1の中央部寄りを意味する。図1及び図2に示すように、カウンター1には、シンク7及び加熱調理器8が配置される。図2では、蛇口は省略して示されている。図示を省略するが、カウンター1は、食器や食材等を収納可能なキャビネットの上面に配置され、キャビネットによって支持される。
【0010】
カウンター1は、天板10と、天板10の下面に配置される補強板11(図3参照)と、支持部12と、を有する。図1及び図2に示すように、天板10は、前端10aと、後端10bと、左側端部10cと、右側端部10dと、前垂部2と、平面部3と、傾斜面部4と、段差部5と、を有する。
【0011】
天板10は、平面視長方形の板状の部材である。天板10は、樹脂製の人工大理石よりも高い硬度を有する難加工材、例えば、エンジニアドストーン、クォーツエンジニアドストーン等の人造大理石、セラミック及び天然石等により構成される。本明細書において「難加工材」とは、射出成形等の樹脂素材用の成形方法を適用することが難しく、研磨や切断、接着以外の加工が困難な難加工性の素材を意味する。
【0012】
天板10は、使用者が使用時に位置する側の端部である前端10aと、前端10aに対向する側の端部である後端10bと、左それぞれ左側及び右側の端部である左側端部10c及び右側端部10dとを有する。
【0013】
前垂部2は、天板10の前端10aから屈曲して下垂する。前垂部2は、前端10aからわずかに前方外側へ傾斜している。傾斜の角度θ1は、鉛直方向に対して2度に満たない程度である。前垂部2が外側へ傾斜しながら下垂していることにより、前端10aから仮に水が零れ落ちたとしても、カウンター1の下方に位置するキャビネットの内部等に水が入り込まないように形成されている。
【0014】
傾斜面部4は、天板10の外側の縁から内側へ下り傾斜する斜面となった部分である。図1及び図2に示すように、傾斜面部4は、天板10の三方の周縁に沿って形成され、前傾斜面部41と、側傾斜面部42と、を有する。
【0015】
前傾斜面部41は、天板10の前端側で長手方向に沿って延びる。前傾斜面部41は、天板10の前端10aから後方へ下方に傾斜する部分である。図3に示すように、前傾斜面部41の傾斜の角度θ2は、設置面に平行な仮想線、すなわち水平に対して、例えば1度~5度の範囲内であり、好ましくは2度~4度、さらに好ましくは3度程度である。前傾斜面部41は、その前端4aから後端4bまで、20mm~100mm程度の所定距離を有して形成される。所定距離とは、例えば、好ましくは30mm~70mm程度、さらに好ましくは60mm前後の距離D1である。
【0016】
側傾斜面部42は、天板10の左右方向で天板10の前後方向に沿って延びる。側傾斜面部42は、天板10の左右方向の端部10c、10dから天板10の中央側へ下り傾斜する部分である。側傾斜面部42の傾きは、前傾斜面部41の傾斜の角度θ2と同じである。すなわち、側傾斜面部42は、角度θ2で傾斜しており、具体的には水平に対して、例えば1度~5度の範囲内であり、好ましくは2度~4度、さらに好ましくは3度程度である。また、側傾斜面部42の左右方向の長さは、前傾斜面部41の前後方向の長さと同じである。具体的には、天板10の左右方向の外側の端部10c、10dに位置する傾斜面部4の外側の端部から、側傾斜面部42の内側の端部4c、4dまで、20mm~100mm程度の所定距離を有して形成される。所定距離とは、例えば、好ましくは30mm~70mm程度、さらに好ましくは60mm前後の距離D1である。
【0017】
図1及び図2に示すように、前傾斜面部41と、側傾斜面部42とが突き合わさる端面43は、天板10の角部で45度に切断されて、接着される。また、図4に示すように、天板10の左右方向の側部の端面は、天板10、後述する補強板11及び支持部12等の端面が見えないように、天板10と同じ素材を薄く切り出して貼って処理されている。
【0018】
平面部3は、傾斜面部4の内側で、略水平に延びる面である。平面部3は、前傾斜面部41の後端4bから略水平方向後方に、側傾斜面部42の内側の端部4c、4dから内側へ略水平方向に延びる。平面部3は、傾斜面部4よりも下方に位置しており、傾斜面部4の外側の端部(前端4a、左右方向の端部10c及び10d)、すなわち天板10の外縁から鉛直方向3.5mm~2.5mm程度、好ましくは3mm前後下に位置している。平面部3は、傾斜面部4を構成する部分40とは別体の平面部3を構成する部分30により構成されている。平面部3の前端、前傾斜面部41の後端及び側傾斜面部42の内側の端部は、それぞれ端面が略45度程度の傾斜面を有するように切断されており、互いの向い合う傾斜面を合わせて接着されている。図2に示すように、平面部3の左側に加熱調理器8が、右側にシンク7が配置され、加熱調理器8とシンク7の間が調理の作業スペースとなっている。
【0019】
段差部5は、図3に示すように、傾斜面部4と平面部3との間に配置され、傾斜面部4と平面部3とを接続する。段差部5は、天板10の三方の傾斜面部4に沿って、傾斜面部4の内側に形成されている。詳細には、段差部5は、前傾斜面部41の後端4bと平面部3との間、左右の側傾斜面部42の内側の端部4c、4dと平面部3との間に形成される。段差部5は、傾斜面部4よりも大きな角度θ3で傾斜する。具体的には、段差部5は、前傾斜面部41の後端4b、側傾斜面部42の内側の端部4c、4dと平面部3との間を、40度~50度、好ましくは45度程度の角度で傾斜しながら接続する。段差部5は、前傾斜面部41の後端4b、側傾斜面部42の内側の端部4c、4dとの間で、鉛直方向に高さHの差を有して形成される。高さHは、0.5mm~1.5mm、好ましくは0.8mm~1.2mm程度、さらに好ましくは1mm前後である。
【0020】
補強板11は、天板10の下面に配置される平坦な板材であり、合板の木材で構成される。図3に示すように、補強板11は、平面部3の下面から傾斜面部4の下面に連続し、前垂部25の裏面まで延びる板である。補強板11は、以下に説明する支持部12が配置される部分では、支持部12が配置されない部分よりも薄く形成されている。
【0021】
支持部12は、図3に示すように、天板10の外縁側、すなわち前端10a及び左右方向の端部10c、10d側で、天板10と補強板11との間に配置される。支持部12は、その大部分が傾斜面部4の下面に配置され、天板10が傾斜することで形成される補強板11との隙間を埋めるようにスペーサーとして配置される。支持部12は、防水性で、水が浸透しにくい素材で構成される。防水性の素材とは、例えば、人工大理石やプラスチック等の樹脂製の素材で、気泡等を有さずに水を保持しない素材のものが好ましい。支持部12は、傾斜面支持部121と、平面部支持部122と、を有する。
【0022】
傾斜面支持部121は、傾斜面部4の下面を支持する。傾斜面支持部121は、断面視略三角形状に形成され、天板10の外縁側が厚く、外縁側から内側に向かうにしたがって薄く形成される。傾斜面支持部121の傾斜は、天板10の傾斜面部4の傾斜に沿っている。
【0023】
平面部支持部122は、傾斜面支持部121の内側(平面部3側)の端部から連続し、傾斜面支持部121の内側の端部よりもさらに薄い厚さで平面部3側へ延出する。支持部12が傾斜面支持部121から平面部支持部122へ連続することで、天板10の傾斜面部4と平面部3との境界を連続して支持することができる。
【0024】
次に、本実施形態のカウンター1の製造方法について説明する。まず、難加工材、例えばエンジニアドストーンで構成される板材を用意し、前垂部2、傾斜面部4、平面部3を切り出しておく。より詳細に言えば、天板10となる基材の前垂部2を構成する部分20、傾斜面部4を構成する部分40、平面部3を構成する部分30をそれぞれ切り出しておく。図3に示すように、前垂部2及び傾斜面部4を構成する部分20、40を、平面部3よりも幅寸法が小さく、平面部3の前端側の縁、左右方向に沿う縁とそれぞれ同じ長さを有するように切断する。傾斜面部4を構成する部分40の幅は、60mm程度である。
【0025】
図3に示すように、前垂部2、傾斜面部4及び平面部3を構成する部分20、30、40の端部を傾斜するように切断する。後に前垂部2と傾斜面部4、傾斜面部4と平面部3とを、隙間を有さずに接着させるためである。例えば、図3に示す断面視で、前傾斜面部41を構成する部分40の後端を、傾斜面部4を構成する部分40の下面側から45度の角度を有するように切断し、平面部3を構成する部分30の端部を、平面部3を構成する部分30の前端から45度の角度を有するように切断する。同様に、側傾斜面部42を構成する部分における天板10の左右方向の内側の端部を、45度の角度を有するように切断し、平面部3を構成する部分の左右方向の外側の端部を、左右方向の内側から外側に45度の角度を有するように切断する。
【0026】
次に、傾斜面配置工程(S1)において、傾斜面部4を配置する。詳細には、傾斜面部4を構成する部分40を、平面部3を構成する部分30に対して傾斜するように配置する。前傾斜面部41を構成する部分40を、天板10の前端10aから角度θ2、例えば3度下方に傾斜させる。
【0027】
次に、平面部配置工程(S2)において、平面部3を配置する。詳細には、前傾斜面部41を構成する部分40の後方の端部から略水平方向の後方へ平面部3を構成する部分30を配置する。これにより、天板10の前傾斜面部41及び平面部3が形成される。このとき、段差部形成工程(S3)において前傾斜面部41の後端4bと平面部3の前端との間に段差部5を形成するようにずらして配置する。すなわち、前傾斜面部41の後端4bを、平面部3の上面から高さH、例えば1mm上方にずらす。傾斜面部4を構成する部分40と平面部3を構成する部分30は、対面する端部が45度で傾斜するように切断されているので、段差部5に形成される角度θ3は45度となる。
【0028】
傾斜面部4を構成する部分40と平面部3を構成する部分30の対面する面には、予め接着剤を塗布しておく。段差部形成工程(S3)で段差部5を形成しながら、接着工程(S4)において、傾斜面部4を構成する部分40と平面部3を構成する部分30を接着する。
【0029】
傾斜面部4を構成する部分40と、前垂部2を構成する部分20も同様に、対面する端部を傾斜させて切断しておく。前傾斜面部41を構成する部分40の前端から後方へ、45度前後の傾斜角度を有して切断し、前垂部2を構成する部分20の上端を、前面側から後方へ45度前後の傾斜角度を有して切断し、両者を合わせて接着する。前垂部2は、下端が上端よりもカウンター1の前方へ位置するように配置する。傾斜面部4を構成する部材と前垂部2を構成する部材の接合部の表面を面取りする。
【0030】
次に、支持部配置工程(S5)にて、前傾斜面部41の下面に支持部12を配置し、補強板11の上に天板10を重ねて固定する。詳細には、支持部12の傾斜面支持部121を前傾斜面部41の下面に配置することで、傾斜面支持部121から延出する平面部支持部122が平面部3の前側の下面に配置される。これにより、前傾斜面部41と平面部3との境界が、支持部12により支持される。
【0031】
なお、側傾斜面部42についても、前傾斜面部41と同様の手順で形成する。側傾斜面部42を構成する部分40を傾斜させ(傾斜面配置工程S1)、平面部3を構成する部分30を配置して(平面部配置工程S2)、段差部5を形成しながら(段差部形成工程S3)、側傾斜面部42と平面部3とを接着する。
【0032】
また、側傾斜面部42及び平面部3を含む天板10の側面、補強板11及び支持部12の形状に合わせて天板10を構成する素材を切り出し、天板10の側面を覆って固定する。これにより、カウンター1が形成される。
【0033】
図5を参照して、カウンター1の使用の状態について説明する。従来のようにカウンターが平面だけで構成されていた場合、手前側から水が垂れ落ちてしまう。また、略水平なカウンターの平面でまな板91を載せて作業をすると、まな板91の裏に回った水が周囲から跳ねたり、まな板91が動いたりする。本実施形態では、傾斜面部4が天板10に設けられており、前傾斜面部41が手前側から平面部3に向かって緩い角度で傾斜している。傾斜面部4の傾斜角度が非常に小さいので、安定してまな板91を傾斜面部4から平面部3にかけて置くことができる。傾斜面部4と平面部3との間に形成される隙間Gで、まな板91の裏に回る水が移動できるので、水がまな板91の周囲から跳ねるようなことはない。まな板91を傾斜面部4に載せて使用すると、まな板91の上の水が傾斜により平面部3へ落ちるため、作業がしやすい。
【0034】
本実施形態によれば、以下の効果を奏する。難加工材により構成される天板10を有するカウンター1の製造方法において、天板10を、使用者が使用時に位置する側の端部となる前端10aと、前端10aに対向する後端10bとを含んで構成し、前端10aから距離D1後方へ下方に傾斜する前傾斜面部41を配置する傾斜面配置工程(S1)と、前傾斜面部41の後端4bから略水平方向後方へ延びる平面部3を配置する平面部配置工程(S2)と、を含んで構成した。自由に成形の困難な難加工材により構成される天板10を有するカウンター1であっても、カウンター1の前端から傾斜面部4を配置させ、傾斜面部4の後端から平面部3を配置させたので、カウンター1の前側から水が零れ落ちにくくなる。よって、利便性が高まる。難加工材は、樹脂製の人工大理石等と比べて、硬度が高く、耐水性に優れ、高い意匠性を有することが多い。このため、成形しにくい難加工材を用いても、前側から水が垂れることを防止できるようになるため、カウンター1の意匠性、耐久性等も向上する。
【0035】
本実施形態によれば、傾斜面部4と、平面部3との間に段差部5を形成する段差部形成工程(S3)を含んで構成した。これにより、前傾斜面部41や側傾斜面部42の傾斜角度を緩くしつつ、前傾斜面部41の前端4a及び側傾斜面部42の外側の端部と平面部3側の端部との間の高低差を大きくすることが可能になる、これにより、傾斜面部4から平面部3側へ流しやすくなる。
【0036】
本実施形態によれば、傾斜面部4及び平面部3を接着剤で接着する接着工程(S4)を含んで構成した。傾斜面部4と平面部3とが接着剤で接着されるため、傾斜面部4と平面部3の間にごみや水が浸入することを防止することができる。
【0037】
本実施形態によれば、傾斜面部4の下面に、防水性の支持部12を配置する支持部配置工程(S5)を含んで構成した。傾斜面部4の下面に、防水性の支持部12を配置したので、傾斜面部4が平面部3に対して傾斜していても、安定して支持部12に支持され、傾斜面部4を支持する強度が向上する。また、支持部12が人工大理石等の防水性の素材で構成されていることにより、仮に傾斜面部4の裏面にわずかに水が回るようなことがあった場合でも、支持部12に水がしみ込まないので、耐久性が向上する。
【0038】
本実施形態によれば、難加工材により構成される天板10を有するカウンター1において、天板10を、使用者が使用時に位置する側の端部となる前端10aと、前端10aに対向する後端10bと、前端10aから距離D1後方へ下方に傾斜する傾斜面部4と、傾斜面部4を構成する部分と別体で構成され、傾斜面部4の後端4bから所定距離後方
へ延びるように配置され、略水平に延びる平面部3と、を含んで構成した。難加工材により構成される天板10を有するカウンター1が、傾斜面部4と平面部3とを有することで、難加工材により得られる硬度、耐水性及び耐久性を有しつつも、カウンター1の手前から水が落ちることを防止することができ、利便性が向上する。
【0039】
本実施形態によれば、傾斜面部4と平面部3とを接着させた。傾斜面部4と平面部3とが接着剤で接着されるため、傾斜面部4と平面部3の間にごみや水が浸入することを防止することができる。
【0040】
本実施形態によれば、傾斜面部4と平面部3との間に形成される段差部5を含んで構成した。これにより、傾斜面部4の傾斜角度を緩くしつつ、前傾斜面部41の前端4a、側傾斜面部42の外側の端部と、平面部3の間の高低差を大きくすることが可能になる、これにより、傾斜面部4から平面部3側へ流しやすくなる。
【0041】
本実施形態によれば、天板10の下に配置される補強板11と、補強板11と天板10との間に配置される防水性の支持部12と、を含んで構成した。天板10の下に補強板11及び支持部12を配置することで、天板10がこれらにより支えられ、カウンター1としての強度が向上する。
【0042】
本実施形態によれば、傾斜面部4の下面を支持する傾斜面支持部121及び傾斜面支持部121から連続して平面部3側へ延出する平面部支持部122を含んで構成した。傾斜面部4の下面に、防水性の傾斜面支持部121を配置したので、傾斜面部4が平面部3に対して傾斜していても、安定して傾斜面支持部121に支持され、傾斜面部4を支持する強度が向上する。また、支持部12が人工大理石等の防水性の素材で構成されていることにより、仮に傾斜面部4の裏面にわずかに水が回ったり、湿気がこもるようなことがあった場合でも、傾斜面支持部121に水がしみ込まないので、耐久性が向上する。加えて、傾斜面支持部121から平面部3側へ平面部支持部122が延出していることにより、傾斜面部4と平面部3の間で万が一水が下面側へ染みるということがあった場合でも、傾斜面支持部121と平面部支持部122が連続して天板10の下面に配置されていることにより、水の浸透が防止され、カウンター1の耐久性が向上する。
【0043】
本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本開示に含まれる。カウンター1自体の寸法や、傾斜面部4及び平面部3の比率や寸法等は、適宜変更されてよい。また、傾斜面部の幅は、デザインに応じて異なっていてもよい。カウンター1は、キッチンカウンターのみに限られず、洗面台等に用いられてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 カウンター
3 平面部
4 傾斜面部
5 段差部
10 天板
10a 前端
10b 後端
12 支持部
121 傾斜面支持部
122 平面部支持部

図1
図2
図3
図4
図5