(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022084498
(43)【公開日】2022-06-07
(54)【発明の名称】デジタル通信方式
(51)【国際特許分類】
H04B 1/713 20110101AFI20220531BHJP
【FI】
H04B1/713
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2020207126
(22)【出願日】2020-11-26
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】501259190
【氏名又は名称】巻島 洋二
(72)【発明者】
【氏名】巻島 洋二
(57)【要約】 (修正有)
【課題】信号送出の立ち上がり時間の短く、受信側の逆変換における同期の安定性の改善をしたドローン等を含めた無線機器及び通信方法を提供する。
【解決手段】受信入力をアンテナ201、バンドパスフィルタ202、増幅回路203及びバンドパスフィルタ204を介して混合回路205に入力する。混合回路205は、受信入力と第1局部発振波と混合し、バンドパスフィルタ211及びバンドパスフィルタ224に出力し、増幅回路212を介して、乗算回路213で乗算し、周波数の和と差の周波数から差の周波数を抽出して、ベースバンド回路215に入力する。非指定波の入力は、同期がとれず通過帯域外に広く拡散されて、その出力の大部分は減衰して、指定波に影響を及ぼす干渉を起こさない。指定波出力をベースバンド回路において復調及び復号して、直並列変換回路206において、出力の他、ベースバンド回路225の出力を入力し、直列信号に変換する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周波数分割多元接続(FDMA)方式において、同じ占有帯域幅(ここではチャネル間隔と同一とする)の複数のチャネルを使用し、その送信側では、同一の発振源を持ち、前記占有帯域幅を1/τHzとしたとき、τ秒の整数倍ごとに同期する複数の発振回路及び前記同一の発振源を持つ複数の発振回路のうちの複数の発振回路の出力が前もって定められた時間毎に切替わり、前記出力の切換が前記τ秒の整数倍を周期として繰り返されるとともに前記周期が発振回路と定期的に同期している出力を一方の入力とする周波数変換回路を出力側に具備した送信側ベースバンド回路をデータの速度及び種類に応じた数具備し、前記複数の発振回路の発振源と定期的に同期する信号によって搬送波を変調し、直接又はさらに周波数変換して送信し、送信初期の前もって定められた時間内においては、前もって定められた同一の信号によって変調され、さらに前もって定められた周波数変換回路に入力される周波数変換用周波数を前もって定められた1周波数のみとする手段を有し、
受信側においては、送信側と同様に同一の発振源を持ち、前記τ秒の整数倍ごとに同期する複数の発振回路及び入力側に前記複数の発振回路の出力のうちの複数の発振回路の出力が前もって定められた時間毎に切替わり前記切換が前記τ秒の複数倍を周期として繰り返される入力を一方の入力とする乗算回路を具備した受信側ベースバンド回路を送信側のベースバンドの数に応じた数具備し、受信波を直接又は周波数変換して、その出力を乗算回路に入力し、前記個々の乗算回路において、前記複数の発振回路の出力であって送信側と同じ周波数間隔で同じ数の周波数で構成され、それらの周波数が切り替わる間隔が、送信側複数の発振回路の出力の切り替わる間隔と同期した受信側局部発振波によって前記乗算回路において周波数変換(逆変換)し、その出力をベースバンド回路に入力し、復調、複号し、受信入力直後の前もって定められた時間内においては、前もって定められた乗算回路に入力される周波数変換用周波数は送信側に対応した1周波数のみとし、前記乗算回路の出力側の受信側ベースバンド回路の出力によって前記複数の発振回路の発信源を制御して、送信側と同期させ、同期させることによって前もって定められた別のベースバンド回路に出力が得られ、その出力を前記乗算回路の出力側の受信側ベースバンド回路の出力に加えて、前記複数の発振回路の発信源を制御することを特徴とするデジタル通信方式
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル情報データを送受信する通信方式に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、ドローン等を含めた無線機器において、電波の使用が非常に多くなってきている。
しかし、この分野においては、個別の通信及び種類の異なる信号を同時に伝送する場合が多く、そのため、携帯電話のような周波数利用効率の改善は難しいのが現状である。
今後、電波を使用する機器が多くなるにつれて、機器間の干渉が多くなっていくことが考えられる。従って、安価で小型でありながら、機器間の干渉が限りなく少なく、しかも周波数利用効率に優れている方式が望まれている。
そこで、発明者は、前記に関連する特許、特願2014-193053、特願2017-63853及び特願2018―208466を出願している。
しかし、前記出願においては、周波数利用効率は改善されたが、特願2014-193053においては、前記逆変換する場合の同期の安定性に問題があり、特願2017-63853においては、回路部品が多くなるという問題があり、さらに特願2018―208466においては、信号送出の立ち上がり時間が長いという問題があった。
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
干渉を少なくする方法として、送信側において、希望波の搬送波に雑音及び非希望波と異なる特殊な変化を加え、受信側においては、前記入力と前記特殊の変化と逆の変化をする入力を乗算回路に入力して逆変換することによって元に戻し、一方、特殊の変化のない雑音を含めた非希望波の電力は逆変換されず、その電力が広く拡散されるようにする方法が考えられる。前記非希望波の帯域内及び近接帯域内の電力が広く拡散されることにより、前記非希望波の帯域内及び近接帯域内の電力は大幅に減少する。これにより、雑音を含めた非希望波の電力による希望波の干渉を非常に小さくできる。この手法は、前記出願済みの特願2014-193053、特願2017-63853及び特願2018―208466によって達成されている。しかし、これらには前記の通り種々の欠点があった。
これらを解決するためには、前記特願2018―208466において、信号送出の立ち上がり時間を十分短くするとともに、前記受信側の逆変換における同期の安定性の改善を行う必要がある。
【課題を解決する為の手段】
【0004】
周波数分割多元接続(FDMA)方式において、使用する周波数帯域を占有帯域幅(ここではチャネル間隔と同一とする)が同一の複数のチャネルを使用する。
送信側では、同一の発振源を持ち、占有帯域幅を1/τHzとしたとき、τ秒の整数倍毎に同期する複数の発振回路(以降送信側ホッピング用局発と称する)及び前記ホッピング用局発のうちの複数の出力を一方の入力とする周波数変換回路を出力側に具備したベースバンド回路を、デジタル信号の種類及びデータ速度に対応じた数、複数具備する。この場合、ベースバンド回路の数が最小で2個となるので、機器の大型化及び高価格化が懸念されるが、当該ベースバンド回路はIC化が可能であるので、小型で安価にすることが可能であり、信号伝搬用にも使用するため問題ないと考える。
入力信号は、前記複数の発振回路の同一の発振源の分周された出力と同期し、そのデータ幅が前記τ秒の複数倍となるデジタル信号に変換される。前記変換されたデジタル信号によって変調された被変調波を、それぞれのベースバンド回路の出力側に具備された周波数変換回路において、複数の周波数から構成され、それらの周波数、周波数の切り替わる間隔、及び順番が前もって定められており、さらに前記変化がデジタルデータの幅より十分短い時間(1/10以下)でτ秒の整数倍を周期として繰り返される送信側ホッピング用局発の周波数により周波数変換し、直接又はさらに周波数変換して送信する。
受信側においては、送信側と同様に同一の発振源を持ち、τ秒の整数倍毎に同期する複数の発振回路(以降受信側ホッピング用局発と称する)及び入力側に前記複数の発振回路の出力を一方の入力とする乗算回路を具備した受信側ベースバンド回路を、前もって定められた数具備する。
受信波を直接又は周波数変換して、その出力を乗算回路に入力する。前記個々の乗算回路において、前記複数の受信側ホッピング用局発の出力であって送信側と同じ周波数間隔で同じ数の周波数で構成され、それらの周波数が切り替わる周期が、複数の送信側ホッピング用局発の出力の切り替わる周期と同期した受信側ホッピング用局発によって前記乗算回路において周波数変換(逆変換)する。
周波数変換された個々の出力を個々のベースバンド回路に入力し、復調し、復号して、前記複数の個々のベースバンド回路の出力を適応する信号に変換する。
【0005】
本考案においての大きな課題は、送信側ホッピング用局発の切り替わる周期と受信側ホッピング用局発の切り替わる周期との同期を早期に安定的に確立することである。
それには、送信側の周波数及び送信側ホッピング用局発の切り替わる間隔及びその周期を定期的に送信側周波数に同期させる情報を、受信側に常時伝送する方法がある。
しかし、送信初期においては、前記同期が成立していないため、前記同期の情報を伝送することは出来ない。そこで、本考案では、送信初期の前もって定められた時間内においては、前もって定められた送信側周波数と定期的に同期した同期用信号によって変調し、さらに、前もって定められた周波数変換回路においては、入力される周波数変換用周波数を前もって定められた1周波数のみとした。
また、受信側においては、受信入力直後の前もって定められた時間内において、乗算回路及び受信側ベースバンド回路の内、2個の乗算回路及び受信側ベースバンド回路において、前もって定められた一対の乗算回路及び受信側ベースバンド回路の乗算回路において、その乗算回路に入力される周波数変換用周波数を送信側に対応した1周波数のみとする。この状態では現行の方式と同じとなるので、送受間の同期は不要となり、前記受信側ベースバンド回路(以降回路Aと称する)から復調出力が得られるようになり、その出力から同期用信号(本実施例では1/4τHz)成分を抽出出来るようになる。この出力によって受信側発振回路の発信源の周波数を制御するようになる。これにより、前記発振回路の出力が送信側と同期する。同期することによって、他の乗算回路において逆変換が正常に行われるようになり、前もって定められたもう一つの受信側ベースバンド回路(以降回路Bと称する)から出力が得られる。これにより、回路Aの出力に回路Bの出力が加えられ、受信側発振回路の発信源の周波数を制御するようになる。前記出力がある一定以上になると、回路Aの乗算回路の周波数変換用周波数は、複数波の切換となり、回路Aの出力は一時断となる。その後すぐにAの出力が得られ、前記二つの信号は、同一の信号であり出力及び位相が一致しているため、これらの出力の合成がスムーズに行われ、前記同期が安定に継続される。この状態において、前記同期用信号が伝送用信号に切り替わった場合、伝送用信号の同期用信号(本実施例では1/4τHz)成分は少ないため、A及びBの回路の出力は一時減少するが、AGCによって保証される。従って、前記同期は途切れることなく安定的に継続される。また、この場合の信号送出の立ち上がり時間は、前記回路Aから出力が再度得られるまでの時間に相当するため、大幅に短くなる。
よって、送信側ホッピング用局発の切り替わる間隔周期と受信側ホッピング用局発の切り替わる周期との同期を早期に安定的に確立することが解決された。
【0006】
本考案においては、受信入力が複数の入力から構成され、それらはそれぞれ複数の同じ周波数で構成され、前記複数の周波数が前もって定められた間隔で切り替わっている。また、送信初期において、受信入力は、単一の周波数の入力と前記の複数の同じ周波数で構成され、前もって定められた間隔で切り替わっている入力から構成されている。
通常、同一の搬送波周波数を同時に入力した場合、干渉を起こし通信できない。干渉を起こすのは、希望波入力が、他の入力によって、受信側ベースバンド回路の復調回路までの間で、入出力特性が非直線に追い込まれるか、復調出力が変化して複号に際して、その許容誤差を超えるからである。言い換えれば、各ベースバンド回路に同一の周波数が入力されても、雑音を含めた希望波以外の電力が復調回路までの間に減衰して、複号において誤りを起こすまでの電力にならなければ、干渉が問題とならない。
そこで、本考案においては、雑音を含めた指定波以外の電力を、受信側乗算回路において逆変換出来ないようにして大きく拡散させ、バンドパスフィルタによって大きく減衰させている。これにより、通過帯域内に入る妨害波の電力は大幅に減少して、複号における誤りが起こらなくなる。受信側乗算回路に入力される受信入力と周波数変換用周波数のいずれかが急激に位相が変化した場合、受信側乗算回路出力側において、位相が大幅にずれて大きな拡散が起きる。これは同期がとれない場合である。また、前記のいずれか入力が急激に変化した場合、もう一方の入力も前記位相の変化を打ち消すように変化すれば、受信側乗算回路出力側においての大きな拡散は起きない。これは同期がとれた場合である。前記位相の変化をデータ幅より十分短い間隔で起こさせると、その出力が収束する前に、入力側が切り替わるため出力側位相がまた大幅にずれて拡散が起きる。この拡散が切れ目なく起こるため、妨害波の電力は大幅に減少する。これにより希望波は干渉されず出力されることになる。これは、携帯電話等に多く使用されている符号分割多元接続(CDMA)方式の場合と同様な原理である。
【0007】
CDMA方式においては、拡散符号の幾つかの符号が同じになっても、拡散符号の符号系列が同一でなければ、干渉は生じない。従って、同一搬送波で拡散符号(PN符号)の数のチャネルの運用が可能となっている。異なっているのは、CDMA方式の場合は、搬送波を拡散符号で変調し変化させているが、本考案の場合は、複数のホッピング用局発の切換によって搬送波周波数を変化させていることである。従って、前記乗算回路に入力されるホッピング用局発の周波数及びホッピング用局発の切り替わる間隔の違いにより分類されるチャネル(以降ホッピング用局発系列と称する)がCDMA方式の場合の拡散符号に相当するため、CDMA方式と同様に、同一搬送波でホッピング用局発系列の数のチャネルの運用が可能となっている。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載されているような効果がある。
【0009】
通過帯域幅がCDMA方式の場合より大幅に狭いので、混信に対して十分強くなっている。
【0010】
ベースバンド回路の数が送受各2個の場合、それぞれのホッピング用局発系列が異なれば、それぞれ同じホッピング用局発系列の機器同士は複数同時に使用でき、ホッピング用局発系列の種類及びベースバンド回路の数を多くすれば、狭帯域幅の周波数帯で超高速のデータ伝送が可能となるので、周波数利用効率が大幅に改善される。
【0011】
各ベースバンド回路は独立しているので、一台の機器において、信号の種類の数だけベースバンド回路を具備すれば、データ速度が異なっていても、複数の信号を同時に伝送できる。
【0012】
従来の方式より微弱な受信入力で、良好な通信ができるので、送信出力をより小さくできる。
【0013】
妨害波及び内部雑音を含めた雑音の影響を大幅に削減できるので、周波数利用効率の良い振幅変復調方式を容易に使用できる。また、単側帯(SSB)方式にも使用できるため、短波帯に使用した場合、地球の裏側までの通信がより容易になる。
【0015】
ホッピング用局発の周波数の数及びホッピング用局発系列の幅の数を多くすれば、それぞれに秘匿コードを形成できるため、CDMA以上の秘匿性が得られる。
【発明を実施する為の最良の形態】
【0016】
図1は送信側回路の全体構成図例、
図2は受信側回路の全体構成図例、
図3はシンセサイザ回路の全体構成図例、
図4は送信側乗算回路112ホッピング用局発入力1サイクル例、
図5は受信初期における動作タイムチャート
【0017】
図1において、入力のデジタル信号を、直並列変換回路101に入力する。直並列変換回路101において、直列信号から並列信号に変換する。信号の種類が多い場合は、その種類の数に従って、直並列変換回路の数を増す。
【0018】
直並列変換回路101の出力は、前もって定められた順序で、前もって定められた送信側ベーバンド回路111、121に入力する。
【0019】
送信初期の前もって定められた時間内においては、前もって定められた同期用信号によって変調する。前記同期用信号は、同期信号(本実施例では1/4τHz)成分の多いデータ信号に設定する。例えば1,0の信号が交互にある一定時間継続する信号、多値信号の場合は、ある一定時間最大値と最小値が交互に継続する信号等。
【0020】
入力のデジタル信号は、ベースバンド回路111において、前記所定の並列信号は多値化する等の変調に適した信号に変換した後、搬送波fTBを変調し、乗算回路112に入力する。
本実施例において、変調周波数をfmとすれば、2fm<1/τであり、変調方式が周波数変調で周波数偏移をfdとすれば、2fm+2fd<1/τであるので、本実施例では、発振源同期用信号を1/4τHz、データ幅を2τとしている。
【0021】
切換回路113に2個の局部発振周波数f
RC1、f
RC2を入力し、前記4τ秒を周期とする所定のホッピング用局発系列に従って前記2個の周波数を所定の時間毎に切り替えて乗算回路113に入力する。ホッピング用局発系列(
図4参照)は、他のベースバンド回路(ベースバンド回路111系以外の回路)毎に異なるように設定する。
送信初期の前もって定められた時間内においては、周波数変換用周波数(局部発振周波数)は前もって定められた連続した1周波数のみとする。
【0022】
乗算回路112において、ベースバンド回路111からの出力と切換回路113の出力の周波数の和と差を発生させ、バンドパスフィルタ114に入力する。
乗算回路112は、他の周波数変換回路でもよいが、乗算回路の出力は、理論的には2つの入力の和と差の周波数のみであるので、次段のフィルタ114では主に差の周波数のみを減衰させればよく、フィルタの選択度を低くできるので乗算回路を使用している。
【0023】
バンドパスフィルタ114において、前記差の周波数を減衰させ、和の周波数を増幅回路115に出力する。このフィルタ以降の通過帯域幅は、周波数切換時の立ち上がり立ち下がり時間を可能な限り短くするため、可能な限り広く設定する。
【0024】
バンドパスフィルタ回路114の出力を混合回路115に出力する。
【0025】
混合回路115において、送信側第1局部発振波の周波数fTLを混合して、その出力をバンドパスフィルタ116に入力し、その和の出力を取り出して増幅回路102に出力する。
【0026】
増幅回路102において、増幅してバンドパスフィルタ103を介してアンテナ104から出力する。
【0027】
送信側ベースバンド回路121からバンドパスフィルタ126の回路動作は、送信側ベースバンド回路111からバンドパスフィルタ116の回路動作と同一であるので省略する。
【0028】
図2において、受信入力fcを、アンテナ201、バンドパスフィルタ202、増幅回路203及びバンドパスフィルタ204を介して混合回路205に入力する。
【0029】
混合回路205において、受信入力fcと第1局部発振波fRLと混合してfc-fRL=fRC1#fRC2+fRBをバンドパスフィルタ211及びバンドパスフィルタ224に出力する。(以降fRC1#fRC2においての#は、交互に代わることを意味する)
【0030】
バンドパスフィルタ211において、fRC1#fRC2+fRBを抽出して、増幅回路212に出力する。
【0031】
バンドパスフィルタ221以降の動作は、個々の乗算回路に入力される受信側ホッピング用局発系列が異なるのみで、他は同じであるので、図上段の増幅回路212系のみを説明する。但し、切換回路214においては、受信初期の前もって定められた時間内において、切換制御信号によって、乗算回路223に入力される局発入力は前もって定められた一波のみとなる。
【0032】
増幅回路212の出力を、乗算回路213に入力する。
【0033】
乗算回路213において、前記周波数fRC1#fRC2+fRBとホッピング用局発周波数fRC1及びfRC2とを送信側ホッピング用局発系列に同期させて乗算し、前記周波数の和と差の周波数を出力する。
【0034】
そのうち、前記差の周波数を抽出して、ベースバンド回路215に入力する。
【0035】
非指定波の入力は、同期がとれず通過帯域外に広く拡散されて、その出力の大部分は減衰して、指定波に影響を及ぼす干渉を起こさない。
【0036】
指定波出力を、ベースバンド回路において復調及び復号して、直並列変換回路206に入力する。
【0037】
直並列変換回路206において、前記出力の他、ベースバンド回路225の出力を入力し、それらの出力を直列信号に変換する。
【0038】
図3において、送信側第1局部発振周波数f
TLは電圧制御発振回路VCO301、送信側ホッピング用局発周波数f
TC1、f
TC2は電圧制御発振回路VCO302,303、送信側ベースバンド回路周波数f
TBは電圧制御発振回路VCO304、受信側第1局部発振周波数f
RLは電圧制御発振回路VCO305、受信側ホッピング用局発周波数f
RC1、f
RC2は電圧制御発振回路VCO306,307並びに、送受共通発信源周波数f
0は水晶制御発振回路308から出力する。
【0039】
前記電圧制御発振回路(VCO)の出力の一部は、それぞれ可変分周回路311、312、313、314、315、316及び317に出力し、それぞれの周波数に相当する分周数で分周し、それぞれの出力を、位相比較回路321、322、323、324、325、326及び327に出力する。可変分周回路311、314はチャネル変更時に、可変分周回路312、313、315、316及び317は周波数及び周波数間隔の変更時に分周比を変更する。
【0040】
位相比較回路321、322、323、324、325、326及び327において、水晶制御発振回路308の出力を分周回路309において分周した出力(1/τHz)を入力し、可変分周回路311、312、313、314、315、316及び317の出力と位相比較され、その出力をローパスフィルタ331、332、333、334、335、336及び337に出力する。
【0041】
ローパスフィルタ331、332、333、334、335、336及び337で平滑された出力は、それぞれ電圧制御発振回路(VCO)301,302.303、304、305、306及び307に出力され、前記電圧制御発振回路(VCO)の分周された出力が、水晶制御発振回路308の分周回路309により分周された出力(1/τHz)と同期するように制御する。
【0042】
分周回路309の出力の一部を、さらに分周回路341によって分周して、位相比較回路342に入力する。そこで復調出力A又はBと位相比較し、その出力をローパスフィルタ343に入力する。
【0043】
ローパスフィルタ343の出力を、スイッチ回路310に入力する。そこで復調出力A又はBの入力がある一定以上の場合は、ローパスフィルタ343の出力を水晶制御発振回路308に入力し、水晶制御発振回路308の出力が、復調出力A又はBと4τ秒ごとに同期するように制御する。
【0044】
復調出力A及びBの出力が一定以下の場合、スイッチ回路344は「断」となり、水晶制御発振回路308の出力周波数は、固有の発信周波数となる。
【0045】
受信入力直後の前もって定められた時間内においては、受信入力の1波は単一の周波数であり、乗算回路213に入力されるホッピング用局発は一波のみとなるため、送受間の同期は不要となり、ベースバンド回路215からは、前もって定められた復調出力Aを出力する。
【0046】
前記復調出力Aは、BPF346を介してAGC345に入力されとともにスイッチ回路344を「接」にして、発振回路308のループを開く。BPF346のおいては、信号成分の受信入力時とBPF346出力の位相が同一になるように調整されている。さらにAGC345にて一定出力に制御され、位相比較回路342に入力され送信側と受信側の周波数の同期がとれる。
受信側周波数と送信側周波数が同期すれば、ベースバンド回路225の出力は、前もって定められた復調出力Bが得られる。復調出力Bは一定以上となり、BPF348を介してスイッチ回路347に入力する。BPF348においては、信号成分の受信入力時とBPF348出力の位相が同一になるように調整しておく。
【0047】
復調出力Bが一定以上になれば、スイッチ回路347が「接」となり、その出力は復調出力Aと復調回路Bの合成された出力となる。以降合成された出力となる。
【0048】
ベースバンド回路225の出力に復調出力Bが得られてから、前もって定められた時間の経過後、乗算回路213に入力されるホッピング用局発は、前もって定められた複数の周波数が切り替わるようになる。前記切り替わる間、復調出力Aは一時途切れるが、前記切換が終了後、再度出力される。この一定時間後、同期用信号が切れて、伝搬用信号に切り替わる。
【0049】
、
前記同期用信号が切れて伝搬用信号に切り替わると、同期用信号の成分が減少するが、AGC345にて一定出力に制御されて、送受信周波数の同期は、通信が修了するまで継続されることになる。以上動作の詳細は、
図5にて説明する。
【0050】
同期状態においては、発振源同期信号(1/4τHz)によってホッピング用局発系列が切換を起動してからの時間をt秒としたとき、t=0において、ホッピング用局発の2波は同期しているのでそれらの位相は0となり、ホッピング用局発系列に従って接、断を繰り返すが、位相の変化は連続しているので、fTL及びfTBの位相の和をθとすれば、受信側の入力の2波の位相は、次の通りとなる。
入力1 2π(fTL+fTC1+fTB)t+θ、
入力2 2π(fTL+fTC2+fTB)t+θ
【0051】
さらに、t=0の時、ホッピング用局発fRC1及びfRC2の位相は0であるので、fRLの位相をθRとすれば、前項[0050]と同様に位相の変化は連続しているので、受信側乗算回路213の2波の出力の位相は、次の通りとなる。
入力1 2π(fTL+fTC1+fTB―fRL―fRC1)t+θ―θR・・・▲1▼
入力2 2π(fTL+fTC2+fTB―fRL―fRC2)t+θ―θR・・・▲2▼
【0052】
ここで、fTC2=fTC1+△f1(=1/τHz)
fRC2=fRC1+△f1(=1/τHz)
であるから、▲2▼式は
2π(fTL+fTC1+fTB―fRL―fRC1)t+θ―θR
となり、これにより▲1▼式は▲2▼式と等しくなる。
従って、受信側乗算回路212の出力の2波(([0051]項の▲1▼式と▲2▼式)の位相は、同一となるので、任意の時間にホッピング用局発が切り替わっても、位相の不連続は発生しない。出力周波数は送信側ベースバンド回路の周波数fTBとは異なるが、信号成分は送信側と同一となり、ベースバンド回路に入力され、復調され復号される。受信側乗算回路213以外の乗算回路においても、乗算回路213と同様に送信側ベースバンド回路の周波数fTBとは異なるが、信号成分は送信側と同一となり、ベースバンド回路に入力され、復調され復号される。さらに他のベーバンド回路の出力とともに直列信号に変換されて、送信側の信号と同一の信号が出力される。
【0053】
乗算回路213においては、ホッピング用局発信号の他、信号伝送用の指定波及び非指定波が入力されるが、非指定波は同期がとれず拡散して、出力されない。
【0054】
図4は、送信側乗算回路112ホッピング用局発系列の1サイクル例である。
1サイクルは4τ秒(1/τ=占有帯域幅とする)で、n回切り替わる場合である。
各系列において、少なくとも1個以上異なるように設定される。
【0055】
図5は、受信初期における動作タイムチャートの図である。
順を追って説明する。
▲1▼ 同期用信号によって変調された搬送波が単一の周波数と複数波(本実施例では2波)切り替わる入力が受信側回路に入力される。(チャート図▲1▼▲2▼▲3▼対応)
▲2▼ 受信側ベースバンド回路215から復調出力Aが出力され、BPF346に入力される。(チャート図▲4▼▲5▼▲7▼対応)
▲3▼ BPF346の出力が一定以上になると、スイッチ回路344が接になり、受信側水晶制御発振回路308の発信周波数が、送信側水晶制御発振回路308の周波数と同期する。(チャート図▲7▼▲9▼対応)
▲4▼ 受信側ベースバンド回路225から復調出力Bが出力され、BPF348に入力される。(チャート図▲6▼▲8▼対応)
▲5▼ BPF348の出力が一定以上になると、スイッチ回路347を接にするとともに、乗算回路213に入力されるホッピング用局発入力を1波から2波切換に変える。(チャート図▲4▼▲8▼対応)
▲6▼ 位相比較回路342の入力は、BPF346とBPF348の出力の合成された出力となり、BPF346とBPF348の出力のいずれかが断となっても、AGC345の出力は一定となり、前記同期は継続される。(チャート図▲7▼▲8▼▲9▼対応)
▲7▼ 復調出力Aの出力は断となるが、前記同期は継続される。(チャート図▲5▼▲9▼対応)
▲8▼ 受信波を入力してからBPF348の出力がある一定以上になるまでの時間(t
s)から前もって定められた一定時間(t
0)後、送信側乗算回路112に入力されるホッピング用局発入力を1波から2波切換に変える。(チャート図▲1▼▲3▼▲8▼対応)
▲9▼ 前項▲9▼以降、伝搬用信号を送出できるようになる。つまりt
s+t
0が立ち上がり時間となる。
▲10▼ 前記t
0は、前記t
sのバラツキ及び環境変化による変化を補償するための数値であるので、t
sの半分以下と考えて良い。
以上の記載から、立ち上がり時間は、先願の特願2018―208466より大幅に改善されたと考えられる。先願の特願2018―208466の立ち上がり時間は、本願の立ち上がり時間t
s+t
0に復調出力Aの立ち上がり時間が追加される。さらに同期を維持するには、位相回路342の入力を一定以上に保持する必要があるため、BPF346(先願特願2018―208466の図面ではBPF3071)の立ち下がり時間を前記t
0の時間より長くする必要がある。そして、前記立ち下がり時間を長くすれば、立ち上がり時間t
s+t
0におけるt
sの一部であるBPF346の立ち上がり時間もt
0より長くなることになる。従って、立ち上がり時間は、先願の場合より本願の場合の方が遙かに短いことになる。また、バンドパスフィルタの立ち上がり時間は、中心周波数/通過帯域幅で決定されるので、選択度の非常に狭いフィルタが必要となるので、形状、コスト及び安定度等で問題となる場合がある。以上により、先願の特願2018―208466の問題点は解決された。
【実施例0056】
主な仕様は次のとおり。ベースバンド回路は発明者による特許第4918710号を使用した。
1 送受信回路共通事項
・ベースバンド回路数:2
・搬送波周波数:450MHz及び450.025MHzが交互に変化する
・占有帯域幅:25kHz,(各ベースバンド当たりの値で、実際に使用する占有帯域幅は50kHzとなる。)
・ホッピング用局発系列の周期:160μs
・ホッピング用局発系列:切り替わる間隔順序を次の通りにした。
▲1▼ 乗算回路113入力
8.0μs、7.68μs、8.16μs、7.52μs、8.64μs、8.0μs、8.32μs、7.84μs、8.48μs、7.36μs、8.0μs、7.2μs、8.8μs、7.04μs、8.96μs、7.52μs、8.480μs、8.0μs、8.16μs、7.84μs
▲2▼ 乗算回路123入力
8.16μs、7.84μs、8.0μs、7.68μs、8.16μs、7.52μs、8.64μs、8.0μs、8.32μs、7.84μs、8.48μs、7.36μs、8.0μs、7.2μs、8.8μs、7.04μs、8.96μs、7.52μs、8.480μs、8.0μs、
・データ幅:80μs
・デジタル信号:16多値数に変換
・同期用信号:多値の最大値16と最小値0が交互に変わる信号
・同期用信号長:50ms
・前記の条件で、発明者による特願2012-200946によればベースバンド回路1個当たりのデータ伝送速度は16多値数に変換して50kbpsになる。
2 送信回路
・第1局発周波数:300MHz、
・ホッピング用局発周波数:100MHz,100.025MHz
・ベースバンド回路周波数:50MHz
3 受信回路
・第1局発周波数:360MHz、
・ホッピング用局発周波数:89.545MHz,89.570MHz
・ベースバンド回路周波数:455kHz
・ベースバンド回路通過帯域幅:20kHz
・前記ベースバンド回路選択度:±25kHz;-20dB以下、
±100kHz;-80dB以下
±100kHz;-80dB以下
以上の仕様の機器において、デジタルデータを16多値数に変換して、一方を多値数の8,0,4,2,16の繰り返し、もう一方を2,8の繰り返しに設定した。妨害波として標準信号発生器(SG)の出力(変調周波数1kHz、偏移10kHz)を使用した。
但し、送信回路と受信回路は、別に隔離して設置した。
この場合の結果は次の通り。
【0057】
送信側の出力を20dBμVに、標準信号発生器(SG)の出力を20dBμVに設定して復調出力を測定した結果、データ、多値数の80,4,2,16及び2,8の繰り返しに殆ど影響なかった。但し、前記標準信号発生器(SG)の出力は、送受の同期確立後に入力した。
【0058】
前項[0057]において、標準信号発生器(SG)の出力を26dBμVに設定して復調出力を測定した結果、データ、多値数の80,4,2,16及び2,8の繰り返しに殆ど影響なかった。
【0059】
以上の測定により、ベースバンド回路が2台の場合においては、各ベースバンド回路が互いに影響されず独立して復調されていること、及び同等の電力の妨害波が入力されても独立して復調されていることが実証された。さらに、その4倍の電力の妨害波が入力されても、影響されず独立して復調されていることが実証された。これより、ベースバンド回路が6台の場合も問題ないと考えられる。よって、本考案が実証されたことになる。送受のベースバンド回路の数が何個まで可能であるかは、主にデータの幅、ホッピング用局発の切換間隔及び切換間隔の組み合わせの数によって決まり、また、受信入力の最小値は、主に受信側高周波回路の利得並びにベーバンド回路の利得及び選択度によって決まるので、送受のベースバンド回路の数の最大値及び受信入力の最小値がどの程度であるかは、今後の課題となる。
周波数分割多元接続(FDMA)方式において、同じ占有帯域幅(ここではチャネル間隔と同一とする)の複数のチャネルを使用し、その送信側では、同一の発振源を持ち、前記占有帯域幅を1/τHzとしたとき、τ秒の整数倍ごとに同期する複数の発振回路及び前記同一の発振源を持つ複数の発振回路の内の前もって定まられた周波数変換回路の一方の入力に使用される周波数変換用の複数の発振回路の出力が前もって定められた時間毎に切替わり、前記出力の切換が前記τ秒の整数倍を周期として繰り返されるとともに前記周期が発振回路と定期的に同期している出力を周波数変換用入力とする周波数変換回路を出力側に具備した送信側ベースバンド回路をデータの速度及び種類に応じた数複数具備し、前記複数の発振回路の発振源と定期的に同期する信号によって搬送波を変調し、直接又はさらに周波数変換して送信し、送信初期の前もって定められた時間内においては、前記複数の送信側ベースバンド回路の内の前もって定められた2個のベースバンド回路が同時に前もって定められた同期用信号によって変調され、さらに前もって定められた周波数変換回路に入力される周波数変換用周波数を前もって定められた1周波数のみとする手段を有し、
受信側においては、送信側と同様に同一の発振源を持ち、前記τ秒の整数倍ごとに同期する複数の発振回路及び入力側に前記複数の発振回路の内の前もって定められて周波数変換回路の一方の入力に使用される複数の発振回路の出力が、前もって定められた時間毎に切替わり前記切換が前記τ秒の複数倍を周期として繰り返される入力を周波数変換用入力とする乗算回路を具備した受信側ベースバンド回路を送信側のベースバンド回路の数に応じた数具備し、受信波を直接又は周波数変換して、その出力を乗算回路に入力し、前記出力を入力された乗算回路それぞれにおいて、前記複数の発振回路の出力であって送信側と同じ周波数間隔で同じ数の周波数で構成され、それらの周波数が切り替わる間隔が、送信側複数の発振回路の出力の切り替わる間隔と同期した受信側局部発振波によって前記乗算回路において周波数変換(逆変換)し、その出力をベースバンド回路に入力し、復調、復号し、受信入力直後の前もって定められた時間内においては、前もって定められた乗算回路に入力される周波数変換用周波数は送信側に対応した1周波数のみとし、前記乗算回路の出力側の受信側ベースバンド回路の出力によって前記複数の発振回路の発振源を制御して、送信側と同期させ、同期させることによって前もって定められた別のベースバンド回路に出力が得られ、その出力を前記乗算回路の出力側の受信側ベースバンド回路の出力に加えて、前記複数の発振回路の発振源を制御することを特徴とするデジタル通信方式
本考案においては、受信入力が複数の入力から構成され、それらはそれぞれ複数の同じ周波数で構成され、前記複数の周波数が前もって定められた間隔で切り替わっている。また、送信初期において、受信入力は、単一の周波数の入力と前記の複数の同じ周波数で構成され、前もって定められた間隔で切り替わっている入力から構成されている。
通常、同一の搬送波周波数を同時に入力した場合、干渉を起こし通信できない。干渉を起こすのは、希望波入力が、他の入力によって、受信側ベースバンド回路の復調回路までの間で、入出力特性が非直線に追い込まれるか、復調出力が変化して復号に際して、その許容誤差を超えるからである。言い換えれば、各ベースバンド回路に同一の周波数が入力されても、雑音を含めた希望波以外の電力が復調回路までの間に減衰して、復号において誤りを起こすまでの電力にならなければ、干渉が問題とならない。
そこで、本考案においては、雑音を含めた指定波以外の電力を、受信側乗算回路において逆変換出来ないようにして大きく拡散させ、バンドパスフィルタによって大きく減衰させている。これにより、通過帯域内に入る妨害波の電力は大幅に減少して、復号における誤りが起こらなくなる。受信側乗算回路に入力される受信入力と周波数変換用周波数のいずれかが急激に位相が変化した場合、受信側乗算回路出力側において、位相が大幅にずれて大きな拡散が起きる。これは同期がとれない場合である。また、前記のいずれか入力が急激に変化した場合、もう一方の入力も前記位相の変化を打ち消すように変化すれば、受信側乗算回路出力側においての大きな拡散は起きない。これは同期がとれた場合である。前記位相の変化をデータ幅より十分短い間隔で起こさせると、その出力が収束する前に、入力側が切り替わるため出力側位相がまた大幅にずれて拡散が起きる。この拡散が切れ目なく起こるため、妨害波の電力は大幅に減少する。これにより希望波は干渉されず出力されることになる。これは、携帯電話等に多く使用されている符号分割多元接続(CDMA)方式の場合と同様な原理である。
周波数分割多元接続(FDMA)方式において、同じ占有帯域幅(ここではチャネル間隔と同一とする)の複数のチャネルを使用し、その送信側では、同一の発振源を持ち、前記占有帯域幅を1/τHzとしたとき、τ秒の整数倍ごとに同期する複数の発振回路及び前記同一の発振源を持つ複数の発振回路の内の前もって定まられた周波数変換回路の一方の入力に使用される周波数変換用の複数の発振回路の出力が前もって定められた時間毎に切替わり、前記出力の切換が前記τ秒の整数倍を周期として繰り返されるとともに前記周期が発振回路と定期的に同期している出力を周波数変換用入力とする周波数変換回路を出力側に具備した送信側ベースバンド回路をデータの速度及び種類に応じた数複数具備し、前記複数の発振回路の発振源と定期的に同期する信号によって搬送波を変調し、直接又はさらに周波数変換して送信し、送信初期の前もって定められた時間内においては、前記複数の送信側ベースバンド回路の内の前もって定められた2個のベースバンド回路のそれぞれの搬送波が同時に前もって定められた同期用信号によって変調され、さらに前もって定められた周波数変換回路に入力される周波数変換用周波数を前もって定められた1周波数のみとする手段を有し、
受信側においては、送信側と同様に同一の発振源を持ち、前記τ秒の整数倍ごとに同期する複数の発振回路及び入力側に前記複数の発振回路の内の前もって定められて周波数変換回路の一方の入力に使用される複数の発振回路の出力が、前もって定められた時間毎に切替わり前記切換が前記τ秒の複数倍を周期として繰り返される入力を周波数変換用入力とする乗算回路を具備した受信側ベースバンド回路を送信側のベースバンド回路の数に応じた数具備し、受信波を直接又は周波数変換して、その出力を乗算回路に入力し、前記出力を入力された乗算回路それぞれにおいて、前記複数の発振回路の出力であって送信側と同じ周波数間隔で同じ数の周波数で構成され、それらの周波数が切り替わる間隔が、送信側複数の発振回路の出力の切り替わる間隔と同期した受信側局部発振波によって前記乗算回路において周波数変換(逆変換)し、その出力をベースバンド回路に入力し、復調、復号し、受信入力直後の前もって定められた時間内においては、前もって定められた乗算回路に入力される周波数変換用周波数は送信側に対応した1周波数のみとし、前記乗算回路の出力側の受信側ベースバンド回路の出力によって前記複数の発振回路の発振源を制御して、送信側と同期させ、同期させることによって前もって定められた別のベースバンド回路に出力が得られ、その出力を前記乗算回路の出力側の受信側ベースバンド回路の出力に加えて、前記複数の発振回路の発振源を制御することを特徴とするデジタル通信方式