(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022084536
(43)【公開日】2022-06-07
(54)【発明の名称】大きなサーマルバジェットに適合する単結晶材料から製造された層を有するコンポーネントを製造するプロセス
(51)【国際特許分類】
H03H 3/02 20060101AFI20220531BHJP
H01L 41/187 20060101ALI20220531BHJP
H01L 41/43 20130101ALI20220531BHJP
H01L 41/332 20130101ALI20220531BHJP
【FI】
H03H3/02 B
H01L41/187
H01L41/43
H01L41/332
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021181655
(22)【出願日】2021-11-08
(31)【優先権主張番号】2012176
(32)【優先日】2020-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】311015001
【氏名又は名称】コミサリヤ・ア・レネルジ・アトミク・エ・オ・エネルジ・アルテルナテイブ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マリー・ブスケ
(72)【発明者】
【氏名】ピエール・ペロー
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンドル・ラインハルト
【テーマコード(参考)】
5J108
【Fターム(参考)】
5J108AA07
5J108CC10
5J108EE03
5J108KK01
5J108KK02
5J108KK03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】大きなサーマルバジェットに適合する単結晶材料から製造された層を有するコンポーネントを製造するプロセスを提供する。
【解決手段】コンポーネントを製造するプロセスは、ドナー基材(100)の一部分を形成する1つ又は複数の圧電又は焦電又は強誘電材料(100a)の少なくとも1つの層を最終的基材(700)に転写するステップと、単結晶圧電又は焦電又は強誘電材料のドナー基材と一時的基材(200)の間における脆い分離領域の製造を介して前記層を一時的基材に結合するステップと、を有する。異なる材料の少なくとも2つの層(300、310)は、2つの化合物の少なくとも1つのものの1つ又は複数の構成要素の相互拡散を生成する傾向を有する2つの化合物が接触することを保証する。
【選択図】
図4L
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ又は複数の単結晶圧電又は焦電又は強誘電材料の1つ又は複数の層を有する組立体を最終的基材に転写するステップを有するコンポーネントを製造するプロセスであって、少なくとも、
-〇前記単結晶圧電又は焦電又は強誘電材料内において層領域を定義するように、注入レベルにおいて単結晶圧電又は焦電又は強誘電材料(100)のドナー基材内にイオンを注入するステップ、
〇前記単結晶圧電又は焦電又は強誘電材料のドナー基材が一時的基材(200)に結合される第1結合ステップであって、前記第1結合ステップは、前記単結晶圧電又は焦電又は強誘電材料のドナー基材と前記一時的基材の間において脆い分離インターフェイス領域を生成するステップを有し、前記領域は、2つの化合物の少なくとも1つのものの1つ又は複数の構成要素の相互拡散を生成する傾向を有する前記2つの化合物が接触することを保証するべく異なる材料の少なくとも2つの層を有する、ステップ、
〇単結晶圧電又は焦電又は強誘電材料の層(100a)を定義するように、前記単結晶圧電又は焦電又は強誘電材料のドナー基材を前記注入レベルにシニングするステップ、
〇前記単結晶圧電又は焦電又は強誘電材料の層(100a)の熱アニーリングを介して残留欠陥を治癒するステップ、
を有するステップの第1の組と、
-〇前記1つ又は複数の単結晶圧電又は焦電又は強誘電材料の1つ又は複数の層と前記一時的基材を有する組立体が最終的基材(700)に結合される第2結合ステップ、
〇前記脆い分離インターフェイス領域を介して前記単結晶圧電又は焦電又は強誘電材料の層から前記一時的基材(200)を分離するステップ、
を少なくとも有する、前記ステップの第1の組に後続するステップの第2の組と、
を有するプロセス。
【請求項2】
前記ステップの第2の組は、前記単結晶圧電又は焦電又は強誘電材料の層の1つのもの上において第1機能構造を製造するステップを有する、請求項1に記載の製造プロセス。
【請求項3】
前記ステップの第2の組は、前記単結晶圧電又は焦電又は強誘電材料の層の1つのもの上において第2機能構造(800)を製造するステップを有する、請求項1又は2に記載の製造プロセス。
【請求項4】
単結晶圧電又は焦電又は強誘電材料の層を定義するように、第1単結晶圧電又は焦電又は強誘電材料から製造された前記ドナー基材を前記注入レベルにシニングする前記ステップの後に、前記プロセスは、前記単結晶圧電又は焦電又は強誘電材料の層の表面上において第2単結晶圧電又は焦電又は強誘電材料の更なる層を製造するステップを有し、前記第1及び第2材料は、同一であるか又は異なっている、請求項1~3のいずれか1項に記載の製造プロセス。
【請求項5】
前記第1材料の層の厚さは1ミクロン以下であり、且つ、前記第2材料の更なる層の厚さは0.1~5ミクロンである、請求項4に記載の製造プロセス。
【請求項6】
前記単結晶圧電又は焦電又は強誘電材料のドナー基材と前記一時的基材の間の前記脆い分離インターフェイス領域の製造は、少なくとも、
-酸化物又は窒化物の層を製造するステップと、
-貴金属の層を堆積させるステップと、
-前記2つの化合物の少なくとも1つのものの1つ又は複数の構成要素の相互拡散を生成する傾向を有する熱アニーリングを実行するステップと、
を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の製造プロセス。
【請求項7】
-酸化ケイ素又は窒化ケイ素の層を製造するステップと、
-Pt又はAu又はRh又はOs又はPd又はRu又はIrの貴金属の層を堆積させるステップと、
を有する、請求項6に記載の製造プロセス。
【請求項8】
熱アニーリングを介して残留欠陥を治癒する前記ステップは、前記酸化物又は前記窒化物内への前記貴金属の拡散をもたらす傾向を有するサーマルバジェットを伴って実行され、前記サーマルバジェットは、1時間~10時間の時間にわたって300℃~700℃の温度において消費されている、請求項6又は7に記載の製造プロセス。
【請求項9】
前記単結晶圧電又は焦電又は強誘電材料の基材が一時的基材(200)に結合される前記第1結合ステップは、前記2つの化合物の少なくとも1つのものの1つ又は複数の構成要素の相互拡散を生成する傾向を有する2つの化合物が接触することを保証するべく前記材料の1つのものの構成材料から製造された第1接合層を伴って実行されている、請求項1~8のいずれか1項に記載の製造プロセス。
【請求項10】
前記単結晶圧電又は焦電又は強誘電材料の基材が一時的基材(200)に結合される前記第1結合ステップは、第1接合層を伴って実行され、前記第1接合層は、酸化ケイ素(SiO2)の層、金属層(Cu、Au、Ti、Ag、など)、又はベンゾシクロブタン(BCB)などのポリマーの層である、請求項1~9のいずれか1項に記載の製造プロセス。
【請求項11】
前記1つ又は複数の単結晶圧電又は焦電又は強誘電材料の1つ又は複数の層及び前記一時的基材を有する組立体が最終的基材(700)に結合される前記第2結合ステップは、少なくとも1つの第2接合層(600)を伴って実行され、前記第2接合層は、無機物であり、且つ、例えば、SiO2又は酸窒化ケイ素(SiOxNy)から製造されている、請求項1~10のいずれか1項に記載の製造プロセス。
【請求項12】
前記一時的基材(200)を分離する前記ステップは、前記脆いインターフェイスを介して機械的に実行されている、請求項1~11のいずれか1項に記載の製造プロセス。
【請求項13】
前記単結晶圧電又は焦電又は強誘電材料のドナー基材は、ニオブ酸リチウム又はタンタル酸リチウムから製造されている、請求項1~12のいずれか1項に記載の製造プロセス。
【請求項14】
前記一時的基材は、前記単結晶圧電又は焦電又は強誘電材料のドナー基材と同一の特性を有する、請求項1~13のいずれか1項に記載の製造プロセス。
【請求項15】
前記最終的基材は、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、又はシリコン、又はガラス、又はサファイアなどの材料から製造されている、請求項1~14のいずれか1項に記載の製造プロセス。
【請求項16】
-前記単結晶圧電又は焦電又は強誘電材料の層の第1面上において第1金属機能構造(400)を製造するステップであって、前記構造は、連続的な電極又は一連の不連続な電極となるように構成されている、ステップと、
-前記単結晶圧電又は焦電又は強誘電材料の層の反対側面上において、或いは、単結晶圧電又は焦電又は強誘電材料の別の層の反対側面上において、第2金属機能構造(800)を製造するステップであって、前記構造は、連続的な電極又は一連の不連続な電極となるように構成されており、前記第1面は、前記単結晶圧電又は焦電又は強誘電材料のドナー基材の前記シニングされた面に対応している、ステップと、
を有する、請求項2~15のいずれか1項に記載のコンポーネントを製造するプロセス。
【請求項17】
前記コンポーネントは、音波共振器であり、前記プロセスは、
-単結晶圧電又は焦電又は強誘電材料の層の表面上において、或いは、第2単結晶圧電又は焦電又は強誘電材料の更なる層の表面上において、且つ/又は、前記第1金属機能構造の表面上において、犠牲層(500)を堆積させるステップであって、前記犠牲層は、例えば、アモルファスシリコンから製造されている、ステップと、
-前記犠牲層(500)内において少なくとも1つの井戸を生成するステップと、
-単結晶圧電又は焦電又は強誘電材料の吊り下げられたメンブレインを製造するように前記井戸をエッチングするステップと、
を有する、請求項1~16のいずれか1項に記載の製造プロセス。
【請求項18】
前記コンポーネントは、音波共振器であり、前記プロセスは、前記第2結合ステップの前に前記最終的基材(700)内において空洞を生成するステップを有する、請求項1~16のいずれか1項に記載の製造プロセス。
【請求項19】
前記コンポーネントは、音波共振器であり、前記プロセスは、ブラッグミラー構造を生成するべく前記単結晶圧電又は焦電又は強誘電材料の層の表面上において、或いは、第2単結晶圧電又は焦電又は強誘電材料の更なる層(100a、101a、102a)の表面上において、交互に、例えば、SiO2/W、又はSiO2/Mo、又はSiO2/AlN、又はSiOC/SiN、など(600、610、601、620)のような異なる音響インピーダンスを有する層を有する積層体を製造するステップを有する、請求項1~16のいずれか1項に記載の製造プロセス。
【請求項20】
前記コンポーネントは、少なくとも2つの積層されたバルク音波共振器の組を有し、前記プロセスは、
〇最終的基材(701)上において、少なくとも単結晶圧電又は焦電又は強誘電材料の第1層(101a)、第1金属機能構造(401)、及び第2金属機能構造(801)を有する共振器を製造するステップと、
〇前記第1共振器(901)の表面上において1つ又は複数の音響結合又は隔離層を堆積させるステップと、
〇前記1つ又は複数の音響結合又は音響隔離層の表面上において第2共振器の第1電極を形成する傾向を有する第1金属機能構造(402)を生成するステップと、
〇予め転写された単結晶圧電又は焦電又は強誘電材料の第2層(102a)を前記一時的基材(202)の表面に対する脆い分離インターフェイス領域(302、312)を介して一時的基材(202)に転写するステップと、
〇前記第2能動層(102a)の第2面を自由な状態において残すように、前記一時的基材を除去するステップと、
〇前記第2共振器を定義するように、第2金属機能構造(802)を生成するステップと、
を有する、請求項1~19のいずれか1項に記載の製造プロセス。
【請求項21】
前記コンポーネントは、2つの連続的な電極(400、800)の間において活性層(100a)を有する焦電センサであり、前記単結晶圧電又は焦電又は強誘電材料の層は、例えば、タンタル酸リチウムであり、前記プロセスは、前記最終的基材内においてメンブレインを定義するように、後部側から、例えば、シリコンから製造された前記最終的基材(700)を部分的にエッチングするステップを更に有する、請求項1~16のいずれか1項に記載の製造プロセス。
【請求項22】
前記脆いインターフェイス領域は、貴金属の層と、以下の材料、
-酸化物、
-窒化物、
-酸窒化ケイ素、
-酸炭化ケイ素(SiOC)、
-SiOF
の少なくとも1つを有する別の層と、を有する、請求項1~21のいずれか1項に記載の製造プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、最終的基材に転写される圧電又は焦電又は強誘電材料の少なくとも1つの層を有するコンポーネントのものである。
【背景技術】
【0002】
圧電層を有しうる高周波音響コンポーネントの分野においては、高品質係数又は高拒否率を有する且つ固体媒体を通じた弾性波の伝播が電気波の伝播を置換しているコンパクトな受動型フィルタ又は共振器の生成を許容するコンポーネントに言及される場合がある。これらのフィルタは、特に無線通信システムにおいて利用されており、この場合に、これらは、通信端末のアンテナを介して収集された多くの信号の弁別を許容しており、且つ、従って、現時点の電気通信規格によって必要とされている信号対雑音比レベルの実現を許容している。
【0003】
これらのフィルタは、音波共振器の使用に基づいており、音波共振器は、以下の3つの大きな種類に分割することができる。
-弾性表面波(SAW)共振器であって、これは、バルク圧電基材の表面上における音波の伝播を使用している。このタイプの基材によれば、櫛歯の形態を有する電極は、これらの波が電気信号を使用して励起されることを許容しているのみならず、電極に到達する波の画像である電流が相互に生成されることをも許容している。反射構造を生成することにより、これらの表面波について共振空洞を実現することができると共に、従って、電気共振を実現することができる。
-バルク音波(BAW)共振器の場合には、圧電材料の層の厚さを通じた音波の伝播を使用している。構造の厚さが半波のレベルである又はその厚さの倍数である際に機械的共振が得られる。従って、無線テレフォニーにおいて使用されている周波数に到達するには、これらの層は、1μmのレベルの厚さを有していなければならず、従って、薄層と呼称される。共振空洞は、空気が充填されたチャンバを圧電層の下方において配置することにより、或いは、構造の担持体して機能する基材から圧電層を隔離する音響ミラーを使用することにより、形成されている。SAW共振器においては、圧電材料が使用された場合に、構造の機械的共振が電気的共振を結果的にもたらしている。
【0004】
最後に、第3のタイプのコンポーネントは、現在、学界において研究されており、これは、プレートモードの(或いは、ラム波、又は外形モード(contour mode)、などの)共振器の問題である。このタイプの共振器においては、圧電層を通じて横方向において導波された波の伝播が活用されている。SAWコンポーネントとまったく同じように、これらの波も、励起され、且つ、櫛歯の形態を有する電極によって検出されている。BAWコンポーネントとまったく同じように、波の閉じ込めは、基材と圧電層の間における空気が充填されたチャンバ又は音響ミラーの挿入を介した導波路として機能している薄い圧電層の隔離を必要としている。
【0005】
問題の共振器のタイプに拘わらず、コンポーネントの電気的応答は、まずは、所謂バターワース-ファンダイク(BVD)等価回路によって記述されており、これは、(構造の機械的共振の電気ドメインへの転移を表す)直列R-L-C電気共振器と並列状態において接続された(絶縁圧電材料の周りの電極の配置を表す)コンデンサから構成されている。従って、このタイプのコンポーネントの電気応答は、コンデンサのもののすべてを上回っているが、その上部において電気共振が重畳されている。この共振が発生した際に、共振器のインピーダンスは、非常に小さくなり、且つ、従って、これは、最小の損失を伴って電気信号を送信する能力を有することになる。共振周波数よりもわずかに高い周波数においては、共振器の静的コンデンサと共振ブランチの間の結合をもたらす現象が発生し、これは、共振器のインピーダンスの増大を結果的にもたらす。これは、この周波数において電気信号の送信を阻止する能力を有することになる。
【0006】
この1つの周波数を通過させ且つ別のものを阻止する共振器の能力は、帯域通過回路を生成するべく使用されている。これらのアーキテクチャの原理は、1930年代において理論化されている。これは、所謂「直列」共振器を電気信号の経路上において配置し、且つ、その他の所謂「並列」共振器を電気信号の経路と回路の接地の間において配置するステップを有する。これらの共振器の2つの組は、直列共振器の共振が並列共振器の反共振と同時に発生するように、周波数においてオフセットされている。これは、この周波数における回路の入力から出力への信号の送信を保証しており、この周波数は、中央周波数と呼称されている。並列共振個の共振周波数において、これは、コンポーネントを短絡し、且つ、信号の任意の送信を阻止し、これにより、フィルタが信号を阻止するようにしている。直列共振器の反共振周波数において、これは、開回路として振る舞い、且つ、従って、信号の通過を妨げている。従って、回路は、中央周波数の近傍においては、信号を通過させ、且つ、その他の周波数においては、これを阻止している。従って、フィルタの帯域の幅は、それが構成されている共振器の共振及び反共振周波数の間の相対的な間隔に依存している。いまや、この間隔は、所謂電気機械結合係数(k2)によって定量化されており、これは、更に、発振のそれぞれの周期において共振器内において電気ドメインから機械ドメインに又はこの逆に変換されうるエネルギーの一部分を定量化している。この係数は、共振器の形状に、活用されている波のタイプに、但し、更には、利用されている材料の圧電プロパティに、直接的に依存している。
【0007】
データの送信レートの増大は、帯域幅の観点における相対的に大きなニーズに結び付いている。従って、このような帯域幅フィルタは、益々大きな電気機械結合係数を有する音響共振器に基づいたものでなければならない。
【0008】
歴史的に、相対的な幅において2~3%のレベルの通過帯域は、5~6%のレベルの電気機械結合係数を有する共振器を必要としている。現時点において、これらの帯域は、4%のレベルの相対幅に向かう傾向を有しており、これにより、8%に接近した結合係数を必要としている。相対的に高い周波数に周波数帯域を開くことは、相対通過帯域の観点におけるニーズが緩和されることを許容する。但し、共振構造は、周波数の増大に追随するように正確にスケーリングすることができず、これが、大きな電気機械結合係数の生成に望ましくない状態をもたらしている。同様に、周波数帯域の増大も、無線スペクトルのクラッタリングをもたらし、これが、様々な帯域の間において利用可能な周波数マージンの減少に結び付いている。これは、通過帯域のエッジにおける大きな拒否率を有するフィルタに対するニーズと、但し、更には、(製造公差に且つ環境感度に関係するドリフトに起因した)小さな周波数分散と、をもたらしている。この状況に対するフィルタ製造者の応答は、減少した又は場合によってはゼロに減少した温度の関数として周波数のドリフトを提示するべく温度補償された共振器構造を導入するというものであった。但し、これらの構造は、共振構造の内側の温度の効果についての補償を保証する材料の層の追加を必要しており、これには、しばしば、電気機械結合係数の減少が伴っている。これらの結合係数を受け入れ可能なレベルにおいて維持するというこれらの条件下における唯一の手段は、改善された圧電プロパティを有する材料を求めるというステップを有する。
【0009】
最後に、直近の数年間において、周波数アジリティ共振器、即ち、電気的に制御可能な共振周波数を有する共振器の概念が登場している。但し、十分なアジリティは、周波数の相対変動の範囲について共振器のオリジナルの電気機械結合係数のいくつかを取引することによって得られている。従って、この場合にも、改善された圧電プロパティを有する材料が必要とされている。
【0010】
表面波コンポーネントは、一般に、タンタル酸又はニオブ酸リチウム(LiTaO3又はLiNbO3)、石英(SiO2)、ニオブ酸カリウム(KNbO3)、ランガサイト(La3Ga5SiO14)、及びランガレート(La3Ga5.5Ta0.5O14)などの圧電材料の単結晶基材から製造されている。(40ppm/Kのレベルの)受け入れ可能なレベルにおいて温度に伴う周波数のドリフトを維持するべく試みつつ、表面波との関係において、フィルタ合成の観点における要件に適合する電気機械結合係数(4~7%)を実現するべく、特権的結晶方位がこれらの材料について判定されている。プレート又はバルク波コンポーネントとの関係において、これは、主には窒化アルミニウム(AlN)を圧電材料として使用して開発されている。具体的には、この材料の薄い層を堆積させる技法が、いまや明確に確立されており、且つ、6~7%の電気機械結合係数がバルク波について実現されることを許容していると共に、補償を伴うことなしに30~35ppm/Kのレベルの温度に伴う周波数のドリフトを許容している。最近数年間において、この材料(特に、ScxAl1-xN)から導出された固体溶液の開発は、既存の技術の大きな変更を必要とすることなしに、15%のレベルのスカジウム濃度により、電気機械結合係数が最大で12%に増大されることを許容している(Moreira,Aluminum scandium nitride thin-film bulk acoustic resonators for wide band applications,Vacuum 86,23(2011))。
【0011】
但し、これらの増大は、周波数アジリティフィルタリング解決策の開発を許容するには、いまだ十分なものではない。これらの理由から、現時点において、研究は、バルク波又はプレート波フィルタの適用におけるタンタル酸又はニオブ酸リチウムの薄い層の使用に向かって導かれている。具体的には、特定の結晶方位は、最大で45%の電気機械結合係数の取得を許容しており、且つ、従って、理論的には、10~20%のレベルの相対周波数アジリティを許容することになろう(A.Reinhardt,Acoustic filters based on thin single crystal LiNbO3 films:status and prospects,Proceedings of the 2014 IEEE International Ultrasonics Symposium,p.773-781)。
【0012】
但し、これは、ニオブ酸リチウムが高品質単結晶基材の形態において利用可能となることを必要とすることになろう。但し、この材料は、薄い層の形態において合成することが極めて困難である。具体的には、その結晶化が極めて高い温度(≧600℃)を必要としている一方で、その非常に大きな膨張係数により、このような薄膜が亀裂を呈しうるように又は剥離しうるように、大きな熱弾性ストレスを生成する傾向を有する。
【0013】
更には、このような薄膜及びその結晶品質の化学量論の制御は、依然として問題である状態に留まっている。これに加えて、大きな電気機械結合係数を呈する波の生成に好適な結晶方位は、主要な対称軸に対応しておらず、これにより、最適なプロパティを伴って薄膜をエピタキシャル成長させることがほとんど不可能になっている。更には、この材料のエピタキシーは、バルク音波共振器又はプレート波共振器の特定の形態において必要とされている薄膜の下方の金属電極の存在に適合していない。
【0014】
いままでのところ、定義された結晶方位を有する単結晶材料の薄膜が生成されている方法は、薄膜層を転写する技法を使用するステップを有する。仏国特許第2953647号明細書(米国特許第8,431,031B2号明細書)は、このような技法を使用したバルク波共振器の生成を許容するプロセスについて記述しているが、これは、プレート波共振器を生成するためにも良好に使用することができる。以下、
図1A~
図1Hを参照し、この技法を使用した製造プロセスの一例について説明することとする。
【0015】
図1Aに示されているステップ1及び2:
結晶欠陥11を含む層を形成するべく、軽イオンがニオブ酸リチウム基材10内に注入されている。
【0016】
例えば、AlSiなどの金属がスパッタリングによって堆積され、次いで、下部電極12の組を形成するべく、フォトリソグラフィ、ウェットエッチング、及びレジスト除去が実行されている。
【0017】
図1Bにおいて示されているステップ3:
それぞれの共振器の活性領域の下方において配置された解放井戸を形成するべく、犠牲活性層13が堆積及び構築されている。
【0018】
図1Cにおいて示されているステップ4:
直接的接合に適合したプレーナー表面を有するべく、接合層14が堆積され、次いで、化学機械研磨によって平坦化されている。
【0019】
図1Dにおいて示されているステップ5、6、及び7:
レシーバ基材20と呼称される第2基材上において、接合層が堆積され、ドナー基材10が直接的接合によってレシーバ基材20に接合され、接合を強固にするべく、アニーリングステップが実行されている。
【0020】
図1Eにおいて示されているステップ8及び9:
基材がスプリットする時点まで、注入欠陥が基材10内において成熟するようにするべく意図された熱処理が実行されている。
【0021】
スプリット後の粗度を除去するべく且つ転写された圧電層の最終厚さを調節するべく、化学機械研磨動作が実行されている。
【0022】
図1Fにおいて示されているステップ10:
上部電極21が堆積及び構築されている。
【0023】
図1Gにおいて示されているステップ11:
転写された薄膜10内においてスルーアパーチャを形成するべく、フォトリソグラフィ、イオンビームエッチング、及びレジスト除去動作が実行されており、これにより、下部電極12に対する電気接点の再分散及び犠牲層13に対するアクセスが許容されている。
【0024】
図1Hにおいて示されているステップ12:
ガス性XeF
2によってシリコンを化学エッチングすることにより、共振器構造が解放されている。
【0025】
この製造プロセスは、機能コンポーネントの取得を許容している。但し、結晶のスプリットを許容することを目的とした結晶内へのガス性種の注入が多くの欠陥を結晶構造内において生成している。スプリット(ステップ8)の後に、注入されたイオンのいくつかは、自身が局所的応力を生成する結晶内において存在する状態において留まり、且つ、結晶構造を変形させ、これにより、層の微視的圧電プロパティの減少をもたらしている。これらの残留欠陥のいくつかは、化学機械研磨(ステップ9)において除去されているが、これは、十分なものからほど遠い。従って、(具体的には、ガス種のエキソ拡散に起因した)残留する注入/スプリット欠陥を除去するべく、加熱処理を層のバルクに対して適用することが必要であり、即ち、熱処理などの処理を転写された層に適用することが必要である。これらの処理は、必然的にサンプルをスプリット温度超の温度に、即ち、300℃超に、上昇させなければならないが、結晶内において確立された強誘電ドメインの方位喪失状態を結果的にもたすことになる、且つ、従って、任意の微視的圧電性を除去することになる相の変化(強誘電→常誘電)を生成しないように、材料のキュリー点(LiNbO3の場合には、約1140℃であり、且つ、LiTaO3の場合には、602℃である)をはるかに下回ったところに留まっていなければならない。さもなければ、次いで、強誘電ドメインを再方向付けするべく、且つ、従って、微視的圧電特性を取得するべく、保磁場(LiNbO3の場合には、Ec=180kV/cmであり、且つ、LiTaO3の場合には、160kV/cmである)よりも大きな電界を印加するステップを有するポーリングステップが必要になる。
【0026】
本出願人は、350℃及び400℃の両方において2時間にわたって実行されたアニーリングの影響を研究した。この研究は、350℃におけるアニーリングのケースにおいては100nm超の、且つ、400℃のアニーリングにケースにおいては50nm超の、深さまで延在する気泡形態の欠陥の存在を明らかにしている。2時間にわたる400℃におけるアニーリングは、残留注入欠陥を除去するべく、且つ、従って、圧電材料が治癒されることを許容するべく、明らかに不十分である。更に高い温度及び/又は更に長いアニーリング時間を適用しなければならないであろう。
【0027】
但し、以上において提示されている製造プロセスにおいて、注入欠陥を治癒するためのアニーリングは、積層体が既に特定の異質性を有する時点において実行されていることに留意されたい。具体的には、アルミニウム(或いは、アルミニウムシリコン又はアルミニウム銅)から製造された下部電極が、転写されたニオブ酸リチウム層の下方において存在している。この金属は、約660℃の溶解点と、ニオブ酸リチウムの特定の結晶方位のものよりも大きな膨張係数(約13ppm/℃)と、を有する。これらの2つの状態は、大きなサーマルバジェットの印加の際に材料内における大きな歪の出現をもたらし、これより、金属薄膜の内部の機械的効果の結果としてもたらされる小丘の形成に結び付いている。例えば、
図2A及び
図2Bにおいて観察されうるこのような小丘[これらは、堆積(
図2A)の後に、且つ、2時間にわたる400℃におけるアニーリング(
図2B)の後に、ニオブ酸リチウム基材上において堆積された薄いアルミニウム層の表面の原子間力顕微鏡による観察に関係している]は、薄膜の粗度の増大をもたらし、且つ、恐らくは、これらの小丘が隣接層の内側において成長した際に電気的欠陥をもたらす。
【0028】
この現象は、マイクロエレクトロニクスの世界においては周知である。共振器の電気応答の観点において、アニーリングの影響は、
図3A及び
図3Bにおいて観察されうるが、これは、ニオブ酸リチウムから製造されたバルク波共振器の電気応答に対するアニーリングの影響に関係しており、且つ、そのアドミッタンスのモジュラス(
図3A)及びそのインピーダンスの位相(
図3B)を示している。破線の曲線及び太い実線の曲線は、それぞれ、350℃及び400℃においてアニーリングされたニオブ酸リチウムの層から生成された共振器に対応しており、同一の共振器が2つの異なるサンプル上において製造され、且つ、一方は、350℃においてアニーリングされ、且つ、他方は、400℃においてアニーリングされている。その層が相対的に高い温度においてアニーリングされているサンプルの品質係数の劣化は、留意するべき主なものである。これは、主には下部電極の劣化に起因しうる。
【0029】
この問題を回避するべく、その他の金属電極の使用を想定することができる。具体的には、プラチナ又はパラジウムなどの金属が、しばしば、例えば、PbZrxTi1-xO3などの高温において合成された圧電材料用の電極として、或いは、高温(400℃超)において動作することを要するセンサの用途において、使用されている。但し、これらの材料は、高抵抗性を有するという且つ大きな機械的損失を生成するという欠点を有しており、これが、場合によっては、アルミニウム電極の劣化よりも大幅に品質係数を劣化させている。更には、これらの材料は、ニオブ酸リチウムに又は接合層として使用されている酸化ケイ素に弱く接着しており、且つ、その結果、剥離が発生する。これは、接着層を挿入することにより、克服することができるが、接着層は、タンタル酸又はニオブ酸リチウムとの接触状態において容易に酸化する場合があり、これが、インターフェイスコンデンサの形成と、圧電材料内における酸素空孔の形成と、を結果的にもたらしている。これらの2つの現象は、それぞれ、材料の圧電プロパティの減少と、対象の用途に有害である漏洩電流と、を結果的にもたらす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0030】
【特許文献1】仏国特許第2953647号明細書
【特許文献2】米国特許第8,431,031号明細書
【非特許文献】
【0031】
【非特許文献1】Moreira,Aluminum scandium nitride thin-film bulk acoustic resonators for wide band applications,Vacuum 86,23(2011)
【非特許文献2】A.Reinhardt,Acoustic filters based on thin single crystal LiNbO3 films:status and prospects,Proceedings of the 2014 IEEE International Ultrasonics Symposium,p.773-781
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0032】
一般に、機械的及び電気的プロパティの間における受け入れ可能な妥協を提供しているすべての材料は、1つの方式又は別のものにおいて高温アニーリングの影響(酸化、歪、再結晶化、など)を受けやすい。従って、この結果、存在している層(金属、犠牲層)が、ニオブ酸リチウム内の注入欠陥を治癒するべく必要とされる高温アニーリングを経験しなければならないことを回避するべく、これらの共振器を製造するプロセスを変更することが必要である。
【0033】
上述のプロセスに関係する別の課題は、存在している材料の間における熱膨張係数の差の管理に関係している。具体的には、ニオブ酸リチウムは、シリコンよりも5~10倍だけ大きなレベルの膨張係数を有する。更には、その膨張は、異方性を有する。従って、既にスプリットアニーリングにおいて、1つに接合されたドナー基材及びレシーバ基材から構成された積層体の変形が極めて大きくなる場合があり、且つ、接合剥離又は接合エネルギーが十分に大きい場合には構造の機械的な破壊に結び付く場合がある。これを理由として、現時点において使用されているプロセスは、ニオブ酸リチウム薄膜をニオブ酸リチウム基材に転写するステップのみを有する(ホモ構造転写)。ニオブ酸リチウム薄膜をシリコンに転写するステップを有する一つの方式(ヘテロ構造転写)は、現時点においては、依然として、再現可能に実行するには、やりにくい状態に留まっている。これは、シリコン基材に専用の製造ライン上におけるコンポーネントの製造を妨げ、製造プロセスを複雑化させ、且つ、いくつかの観点において利用可能な技術の観点における選択肢を減少させている。従って、薄い単結晶層がシリコン基材に転写されることを許容するべく、既存の製造プロセスを変更することが必要である。
【0034】
最後に、現時点のプロセスにおいては、下部電極が製造される層、解放井戸、及び接合層は、ドナー基材の早期のスプリットに起因した表面の剥脱を結果的にもたらしうる注入欠陥を成熟させるように、低温堆積、即ち、スプリット温度未満の温度における堆積、を必要としている。実際に、スプリットステップの前に実行されている堆積は、約150℃の温度に限定されている。これは、使用可能な製造プロセスの選択肢を制限し、且つ、利用される材料の品質を一定程度制限している。例えば、使用される電極は、まったく又は高度に結晶化及びテクスチャ化されておらず、これは、恐らくは、限られたパワー耐性を有するコンポーネントを結果的にもたらす。第2の潜在的な問題は、酸化ケイ素の不十分な密度の層の堆積において存在しており、従って、これは、堆積プロセス(主に、Ar)の結果として、湿気を、或いは、場合によっては、特定のガスを、吸収しうる。高温の治癒アニーリングにおいて、これらのトラップされたガスは、潜在的に、気泡の出現をもたらす場合があり、或いは、場合によっては、ガスの逃避を許容するべく積層体を貫通する場合がある。最後に、外部環境からコンポーネントを保護するべくパッシベーション層を追加することが望ましいケースにおいては、前記層は、周辺の湿気及び/又は酸素に対する障壁としてのその役割を果たすべく十分に高密度ではないというリスクを冒している。従って、現時点においては、コンポーネントの信頼性が依然として制限されている。従って、この場合にも、積層体の第1層の堆積との関連においてサーマルバジェットの観点における制限にもはや晒されないように、製造プロセスを変更することが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0035】
従って、本発明の1つ主題は、1つ又は複数の単結晶圧電又は焦電又は強誘電材料の1つ又は複数の層を有する組立体を最終的基材に転写するステップを有するコンポーネントを製造するプロセスであり、前記プロセスは、少なくとも、
-〇前記単結晶圧電又は焦電又は強誘電材料内において層領域を定義するように、注入レベルにおいて単結晶圧電又は焦電又は強誘電材料のドナー基材内にイオンを注入するステップ、
〇前記単結晶圧電又は焦電又は強誘電材料のドナー基材が一時的基材に結合される第1結合ステップであって、前記第1結合ステップは、前記単結晶圧電又は焦電又は強誘電材料のドナー基材と前記一時的基材の間において脆い分離インターフェイス領域を製造するステップを有し、前記領域は、2つの化合物の少なくとも1つのものの1つ又は複数の構成要素の相互拡散を生成する傾向を有する2つの化合物が接触することを保証するべく異なる材料の少なくとも2つの層を有する、ステップ、
〇単結晶圧電又は焦電又は強誘電材料の層を定義するように、前記単結晶圧電又は焦電又は強誘電材料のドナー基材を注入レベルにシニングするステップ、
〇前記単結晶圧電又は焦電又は強誘電材料の層の熱アニーリングを介して残留欠陥を治癒するステップ、
を有するステップの第1の組と、
-ステップの第1の組に後続する、
〇1つ又は複数の単結晶圧電又は焦電又は強誘電材料の1つ又は複数の層及び前記一時的基材を有する組立体が最終的な基材に結合される第2結合ステップ、
〇前記脆い分離インターフェイス領域を介して前記単結晶圧電又は焦電又は強誘電材料の層から一時的基材を分離するステップ、
を少なくとも有する、ステップの第1の組に後続する、ステップの第2の組と、
を有する。
【0036】
「2つの化合物の少なくとも1つのものの1つ又は複数の構成要素の相互拡散」は、脆いインターフェイス領域の2つの層の間の化学的拡散を意味している。この化学的拡散は、化合物がこれらの2つ層の間において交換されることを許容しており、これは、前記脆いインターフェイス領域における前記2つの層の組成の均一性を増大させる傾向を有する。
【0037】
本発明の変形によれば、ステップの第2の組は、単結晶圧電又は焦電又は強誘電材料の層の1つのもの上において第1機能構造を生成するステップを有する。
【0038】
本発明の変形によれば、ステップの第2の組は、単結晶圧電又は焦電又は強誘電材料の層の1つのもの上において第2機能構造を生成するステップを有する。
【0039】
本発明の変形によれば、単結晶圧電又は焦電又は強誘電材料の層を定義するように前記第1単結晶圧電又は焦電又は強誘電材料から製造されたドナー基材を注入レベルにシニングするステップの後に、前記プロセスは、前記単結晶圧電又は焦電又は強誘電材料の層の表面上において第2単結晶圧電又は焦電又は強誘電材料の更なる層を生成するステップを有し、前記第1及び第2材料は、恐らくは、同一であるか又は異なっている。
【0040】
本発明の変形によれば、第1材料の層の厚さは、1ミクロン以下であり、且つ、更なる層の厚さは、複数ミクロン超である。
【0041】
本発明の変形によれば、前記単結晶圧電又は焦電又は強誘電材料のドナー基材と前記一時的基材の間の前記脆い分離インターフェイス領域の製造は、少なくとも、
-酸化物又は窒化物の層を生成するステップと、
-貴金属の層を堆積させるステップと、
-2つの化合物の少なくとも1つのものの1つ又は複数の構成要素の前記相互拡散を生成する傾向を有する熱アニーリングを実行するステップと、
を有する。
【0042】
本発明の変形によれば、プロセスは、
-酸化ケイ素又は窒化ケイ素の層を生成するステップと
-Pt又はAu又はRh又はOs又はPd又はRu又はIrの貴金属の層を堆積させるステップと、
を有する。
【0043】
本発明の変形によれば、熱アニーリングを介して残留欠陥を治癒するステップは、酸化物又は窒化物内への貴金属の拡散をもたらす傾向を有するサーマルバジェットを伴って実行されており、前記サーマルバジェットは、恐らくは、1時間~10時間の時間にわたって300℃~700℃の温度において消費されている。
【0044】
本発明の変形によれば、前記単結晶圧電又は焦電又は強誘電材料の基材が一時的基材に結合される第1結合ステップは、2つの化合物の少なくとも1つのものの1つ又は複数の構成要素の相互拡散を生成する傾向を有する2つの化合物が接触することを保証するべく材料の1つのものの構成材料から製造された第1接合層を伴って実行されている。
【0045】
本発明の変形によれば、前記単結晶圧電又は焦電又は強誘電材料の基材が一時的基材に結合される第1結合ステップは、第1接合層を伴って実行されており、前記第1接合層は、恐らくは、酸化ケイ素(SiO2)の層、金属層(Cu、Au、Ti、Ag、など)、又はベンゾシクロブタン(BCB)などのポリマーの層である。
【0046】
本発明の変形によれば、1つ又は複数の単結晶圧電又は焦電又は強誘電材料の1つ又は複数の層及び前記一時的基材を有する組立体が最終的基材に結合される第2結合ステップは、少なくとも1つの第2接合層を伴って実行されており、前記第2接合層は、恐らくは、無機物であり、且つ、恐らくは、SiO2又はSiOxNyから製造されている。
【0047】
本発明の変形によれば、一時的基材を分離するステップは、脆いインターフェイスを介して機械的に実行されている。
【0048】
本発明の変形によれば、単結晶圧電又は焦電又は強誘電材料のドナー基材は、ニオブ酸リチウム又はタンタル酸リチウムから製造されている。
【0049】
本発明の変形によれば、一時的基材は、単結晶圧電又は焦電又は強誘電材料のドナー基材と同一の特性を有する。
【0050】
本発明の変形によれば、最終的基材は、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、又はシリコン、又はガラス、又はサファイアなどの材料から製造されている。
【0051】
本発明の変形によれば、製造プロセスは、
-前記単結晶圧電又は焦電又は強誘電材料の層の第1面上において第1金属機能構造を製造するステップであって、前記構造は、連続的な電極又は一連の不連続な電極となるように構成されている、ステップと、
-前記単結晶圧電又は焦電又は強誘電材料の層の反対側面上において、或いは、単結晶圧電又は焦電又は強誘電材料の別の層の反対側面上において、第2金属機能構造を製造するステップであって、前記構造は、連続的な電極又は一連の不連続な電極となるように構成されており、前記第1面は、単結晶圧電又は焦電又は強誘電材料のドナー基材のシニングされた面に対応している、ステップと、
を有する。
【0052】
本発明の変形によれば、コンポーネントは、音波共振器であり、前記プロセスは、
-単結晶圧電又は焦電又は強誘電材料の層の表面上において、又は第2単結晶圧電又は焦電又は強誘電材料の更なる層の表面上において、且つ/又は、第1金属機能構造の表面上において、犠牲層を堆積させるステップであって、前記犠牲層は、例えば、恐らくは、アモルファスシリコンから製造されている、ステップと、
-前記犠牲層内において少なくとも1つの井戸を生成するステップと、
-単結晶圧電又は焦電又は強誘電材料の吊り下げられたメンブレインを生成するように前記井戸をエッチングするステップと、
を有する。
【0053】
本発明の変形によれば、コンポーネントは、音波共振器であり、前記プロセスは、第2結合ステップの前に前記最終的基材内において空洞を生成するステップを有する。
【0054】
本発明の変形によれば、コンポーネントは、音波共振器であり、前記プロセスは、ブラッグミラー構造を生成するべく、単結晶圧電又は焦電又は強誘電材料の層の表面上において又は第2単結晶圧電又は焦電又は強誘電材料の更なる層の表面上において、交互に、低音響インピーダンスを有する層及び高音響インピーダンスを有する層(例えば、SiO2/W、又はSiO2/Mo、又はSiO2/AlN、又はSiOC/SiN、など)を有する積層体を生成するステップを有する。
【0055】
本発明の変形によれば、コンポーネントは、少なくとも2つの積層されたバルク音波共振器の組を有し、プロセスは、
〇最終的基材上において、少なくとも、単結晶圧電又は焦電又は強誘電材料の第1層、第1金属機能構造、及び第2金属機能構造を有する共振器を製造するステップと、
〇前記第1共振器の表面上において1つ又は複数の音響結合又は隔離層を堆積させるステップと、
〇前記1つ又は複数の音響結合又は音響隔離層の表面上において第2共振器の第1電極を形成する傾向を有する第1金属機能構造を生成するステップと、
〇前記一時的基材の表面に対する脆い分離インターフェイス領域を介して、予め転写された単結晶圧電又は焦電又は強誘電材料の第2層を一時的基材に転写するステップと、
〇前記第2活性層の第2面を自由な状態において残すように、前記一時的基材を除去するステップと、
〇第2共振器を定義するように、第2金属機能構造を生成するステップと、
を有する。
【0056】
本発明の変形によれば、コンポーネントは、2つの連続的な電極の間において活性層を有する焦電センサであり、単結晶圧電又は焦電又は強誘電材料の層は、恐らくは、タンタル酸リチウムから製造され、前記プロセスは、前記最終的基材内においてメンブレインを定義するように、後ろ側から最終的基材を部分的にエッチングするステップを更に有しており、前記最終的基材は、恐らくは、シリコンから製造されている。
【0057】
変形実施形態によれば、脆いインターフェイス領域は、貴金属の層と、以下の材料、
-酸化物、
-窒化物、
-酸窒化ケイ素、
-酸炭化ケイ素(SiOC)、
-SiOF
の少なくとも1つを有する別の層と、を有する。
【0058】
「貴金属」は、腐食及び酸化に対する耐性を有する金属を意味している。このような金属は、例えば、金、銀、プラチナ、パラジウム、イリジウム、ラジウム、オスミウム、ルテニウム、銅、レニウム、水銀、ステンレス鋼、チタニウム、ジルコニウム、タンタルである。
【0059】
本発明のその他の特徴又は利点については、以下の添付図面を参照して付与される以下の説明の支援により、明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【
図1A】従来技術によるプロセスの1つのステップを示す。
【
図1B】従来技術によるプロセスの1つのステップを示す。
【
図1C】従来技術によるプロセスの1つのステップを示す。
【
図1D】従来技術によるプロセスの1つのステップを示す。
【
図1E】従来技術によるプロセスの1つのステップを示す。
【
図1F】従来技術によるプロセスの1つのステップを示す。
【
図1G】従来技術によるプロセスの1つのステップを示す。
【
図1H】従来技術によるプロセスの1つのステップを示す。
【
図2A】堆積後のニオブ酸リチウム基材上において堆積された薄いアルミニウム層の表面の原子間力顕微鏡観察を示す。
【
図2B】2時間にわたる400℃におけるアニーリングの後にニオブ酸リチウム基材上において堆積された薄いアルミニウム層の表面の原子間力顕微鏡観察を示す。
【
図3A】ニオブ酸リチウムのバルク波共振器の電気応答に対するアニーリングの影響(アドミッタンスのモジュラス)を示す。
【
図3B】ニオブ酸リチウムから製造されたバルス波共振器の電気応答(インピーダンスの相)に対するアニーリングの影響を示す。破線の曲線及び太い実線の曲線は、それぞれ、350℃及び400℃においてアニーリングされたニオブ酸リチウム層から製造された共振器に対応している。
【
図4A】本発明によるプロセスの第1変形のステップを示す。
【
図4B】本発明によるプロセスの第1変形のステップを示す。
【
図4C】本発明によるプロセスの第1変形のステップを示す。
【
図4D】本発明によるプロセスの第1変形のステップを示す。
【
図4E】本発明によるプロセスの第1変形のステップを示す。
【
図4F】本発明によるプロセスの第1変形のステップを示す。
【
図4G】本発明によるプロセスの第1変形のステップを示す。
【
図4H】本発明によるプロセスの第1変形のステップを示す。
【
図4I】本発明によるプロセスの第1変形のステップを示す。
【
図4J】本発明によるプロセスの第1変形のステップを示す。
【
図4K】本発明によるプロセスの第1変形のステップを示す。
【
図4L】本発明によるプロセスの第1変形のステップを示す。
【
図4M】本発明によるプロセスの第1変形のステップを示す。
【
図4N】本発明によるプロセスの第1変形のステップを示す。
【
図4O】本発明によるプロセスの第1変形のステップを示す。
【
図4P】本発明によるプロセスの第1変形のステップを示す。
【
図5A】本発明によるプロセスの第2変形のステップを示す。
【
図5B】本発明によるプロセスの第2変形のステップを示す。
【
図5C】本発明によるプロセスの第2変形のステップを示す。
【
図5D】本発明によるプロセスの第2変形のステップを示す。
【
図5E】本発明によるプロセスの第2変形のステップを示す。
【
図5F】本発明によるプロセスの第2変形のステップを示す。
【
図5G】本発明によるプロセスの第2変形のステップを示す。
【
図6A】本発明によるプロセスの第3変形のステップを示す。
【
図6B】本発明によるプロセスの第3変形のステップを示す。
【
図6C】本発明によるプロセスの第3変形のステップを示す。
【
図6D】本発明によるプロセスの第3変形のステップを示す。
【
図7A】本発明によるプロセスの第6変形のステップを示す。
【
図7B】本発明によるプロセスの第6変形のステップを示す。
【
図7C】本発明によるプロセスの第6変形のステップを示す。
【
図7D】本発明によるプロセスの第6変形のステップを示す。
【
図7E】本発明によるプロセスの第6変形のステップを示す。
【
図7F】本発明によるプロセスの第6変形のステップを示す。
【
図7G】本発明によるプロセスの第6変形のステップを示す。
【
図7H】本発明によるプロセスの第6変形のステップを示す。
【
図7I】本発明によるプロセスの第6変形のステップを示す。
【
図7J】本発明によるプロセスの第6変形のステップを示す。
【
図7K】本発明によるプロセスの第6変形のステップを示す。
【
図7L】本発明によるプロセスの第6変形のステップを示す。
【
図7M】本発明によるプロセスの第6変形のステップを示す。
【
図7N】本発明によるプロセスの第6変形のステップを示す。
【
図8A】本発明によるプロセスの第7変形のステップを示す。
【
図8B】本発明によるプロセスの第7変形のステップを示す。
【
図8C】本発明によるプロセスの第7変形のステップを示す。
【
図8D】本発明によるプロセスの第7変形のステップを示す。
【
図8E】本発明によるプロセスの第7変形のステップを示す。
【
図8F】本発明によるプロセスの第7変形のステップを示す。
【
図8G】本発明によるプロセスの第7変形のステップを示す。
【
図8H】本発明によるプロセスの第7変形のステップを示す。
【
図8I】本発明によるプロセスの第7変形のステップを示す。
【
図8J】本発明によるプロセスの第7変形のステップを示す。
【
図8K】本発明によるプロセスの第7変形のステップを示す。
【
図8L】本発明によるプロセスの第7変形のステップを示す。
【
図8M】本発明によるプロセスの第7変形のステップを示す。
【
図8N】本発明によるプロセスの第7変形のステップを示す。
【
図8O】本発明によるプロセスの第7変形のステップを示す。
【
図8P】本発明によるプロセスの第7変形のステップを示す。
【
図8Q】本発明によるプロセスの第7変形のステップを示す。
【
図8R】本発明によるプロセスの第7変形のステップを示す。
【
図8S】本発明によるプロセスの第7変形のステップを示す。
【
図9A】本発明によるプロセスの第8変形のステップを示す。
【
図9B】本発明によるプロセスの第8変形のステップを示す。
【
図9C】本発明によるプロセスの第8変形のステップを示す。
【
図9D】本発明によるプロセスの第8変形のステップを示す。
【
図9E】本発明によるプロセスの第8変形のステップを示す。
【
図9F】本発明によるプロセスの第8変形のステップを示す。
【
図9G】本発明によるプロセスの第8変形のステップを示す。
【
図9H】本発明によるプロセスの第8変形のステップを示す。
【
図9I】本発明によるプロセスの第8変形のステップを示す。
【
図9J】本発明によるプロセスの第8変形のステップを示す。
【
図9K】本発明によるプロセスの第8変形のステップを示す。
【発明を実施するための形態】
【0061】
一般に、前文において提示されている課題を克服するべく、出願人は、課題を分離することを提案し、且つ、オリジナルの転写プロセスを使用して順番に最終的コンポーネントを構築することを提案している。従って、コンポーネントを製造するプロセスは、具体的には、以下のステップのすべてを有することができる。
【0062】
ステップ1:転写することが望ましい圧電又は焦電又は強誘電材料内にイオンを注入することにより、弱化された領域を生成し、酸化ケイ素(SiO2)の層でありうる接合層を堆積させ、且つ、化学機械研磨(CMP)処理及び/又はプラズマ活性化から構成された処理を介して接合層を活性化させている。5Å未満の二乗平均平方根(RMS)粗度が好ましい。また、この接合層は、イオン注入の前に堆積及び平坦化することもできる。
ステップ2:圧電又は焦電又は強誘電層を一時的基材に転写しているが、これは、この圧電又は焦電又は強誘電層の一時的基材からの後からの取り外しを許容する脆い分離インターフェイス領域を生成するステップを有する。この脆い分離インターフェイス領域は、有利には、接触状態において配置された状態においてこのインターフェイスにおいてわずかな接着力を自然に有する少なくとも2つの材料の積層体から構成することができる。
ステップ3:スプリット及びイオン注入によって生成された欠陥を治癒している。これは、研磨ステップ及びアニーリング(又は、研磨ステップによって後続されるアニーリング)を介して実現されている。このステージにおいて、転写された薄膜を取り外すための手段は、適用されたサーマルバジェットに耐える能力を有していなければならない。
ステップ4:低いレベル(下部電極、犠牲層井戸、適宜、温度補償層及びパッシベーション層、或いは、場合によっては、下部過剰金属化の追加、など)を生成している。
ステップ5:接合層を堆積し、且つ、これを平坦化している。
ステップ6:この積層体を最終的なホスト基材に接合している。
ステップ7:脆い分離インターフェイス領域を介して一時的基材を分離している。
ステップ8:一時的基材内に内蔵されている任意の層を除去している。
ステップ9:上部レベルを追加する(転写された薄膜、上部電極、温度補償層、パッシベーション層、過剰金属化、など内においてアパーチャをエッチングする)ことにより、製造プロセスを継続している。
【0063】
このように進捗することにより、存在している機能層、並びに、従って、実現される一体的積層体を劣化させることなしに、大きなサーマルバジェットが一時的基材に適用されることが許容されている。更には、後続するステップを治癒アニーリングのものに等しい温度まで実行することができる。早期の剥奪をもたらす傾向を有する注入欠陥の存在に関係するサーマルバジェットに関する限度が除去され、これにより、格段に高密度な且つ格段に良好な音響品質を有する薄い層の実現が許容されている。
【0064】
本発明は、例えば、一時的基材にスプリットし、次いで、転写された層を最終的なホスト基材に転写することによって単結晶層を転写する技法を既に開示している仏国特許第2816445号明細書において提示されている技法のすべてなどの当技術分野において既知である技法に基づいている。但し、本出願人がこれらの技法において脆い分離インターフェイス領域を含むことを提案しているという点において、本発明は、これとは異なっている。
【0065】
また、米国特許公開第2011/0278993A1号明細書は、本発明の主題であるプロセスに非常に似ているプロセスを開示しており、これは、上述のステップのシーケンスであるステップ1~9を使用して予め転写された単結晶圧電薄膜から構成された表面又はバルク音波コンポーネントを生成するステップについて記述している。上述のステップ2において、この特許は、転写された層と一時的基材と圧電基材の間のインターフェイスにおいて担持体基材と薄い圧電薄膜の間の応力よりも小さな熱応力を誘発する材料から製造された基材の間において誘電体層を挿入することを提案している。薄い圧電層の様々なリソグラフィ及び統合レベル(上述のステップ3~6)が実行された後に、一時的基材は、薄い圧電薄膜と一時的基材の間において配置された層(ZnO、SiO2、AlN、Cu、Al、Ti、又はポリイミド)の選択的(物理的又は化学的)エッチングを介して除去されている。この犠牲層の厚さは、言及されてはいないが、これは、一時的基材の化学的浸潤及び/又は機械的ラッピングによって除去されるものと考えることできる。これら2つの技法は、処理持続時間及び/又は製造費用の観点において法外なものとなることが即座に証明されうる。
【0066】
本発明の主題であるプロセスは、有利には、積層体内において圧電又は焦電又は強誘電薄膜と一時的基材又は初期担持体基材の間において配置された脆い分離インターフェイス領域を形成するようになっているという点において、米国特許出願第2011/0278993A1号明細書の教示とは異なっている。
【0067】
従って、初期基材を消費することなしに、機械的手段(例えば、ブレードの挿入)を介してこのインターフェイスを元に戻すことが可能になる。
【0068】
本発明の1つの主要な利点は、初期基材を回復することが可能であるという事実にある(一般に使用されている化学的/物理的/機械的エッチング法とは異なり、これが消費されてはいない)。
【0069】
一般に、本発明の利点は、一時的基材への(バルク単結晶基材から切り離された)圧電又は焦電又は強誘電層の転写、サーマルバジェット及び関連する熱機械的応力に耐えうる脆い分離インターフェイス領域を提供する能力、最終的な基材に対する圧電又は焦電又は強誘電層の第2の接合を提供する能力であって、最終的なものである能力、並びに、最後に、最終的な基材から取り外すことなしに一時的基材から圧電又は焦電又は強誘電層を取り外す能力において存在している。
【0070】
一般に、脆いインターフェイスは、接触状態において配置されている2つの化合物が構造的欠陥及び/又は応力の生成に結び付く相互拡散を呈している際に生成することができる。脆さを生成することが既知である反応のうち、金属(W、Ti、Co、Ni、Mo、Ta、Ru、など)がシリコンとの接触状態になった際に高温において発生する金属のケイ化に言及することができる。この結果、O.Thomasによる文献「Les siliciures de metaux de transition en microelectronique:proprietes mecaniques et contraintes induites au cours de la formation en phase solide[“The silicides of transition metals in microelectronics:mechanical properties and stresses induced during solid-phase formation”と翻訳されうる],PlastOx 2007,277-286(2009)」又はC.S.Peterssonによる文献「J.E.E.Baglin,J.J.Dempsey,F.M.d’Heurle,S.J.La Placa,“Silicides of ruthenium and osmium:thin film reactions,diffusion,nucleation and stability”,Journal of Applied Physics 53,4866(1982)」において記述されているインターフェイスの剥離をもたらしうる大きな応力の出現に結び付くオリジナルの金属のものよりも大きな容積を有する化合物(WSi2、TiSi2、CoSi2、NiSi、MoSi2、TaSi2、Ru2Si3、など)が生成されている。
【0071】
また、脆いインターフェイスは、分離インターフェイスにおいて接触する層の1つが少なくともSiO2及び/又は(SiN及びSi3N4などの)窒化ケイ素を有し、且つ、その他のものが、少なくとも1つの貴金属(プラチナPt、金Au、銀Ag、ロジウムRh、オスミウムOs、パラジウムPd、ルテニウムRu、イリジウムIr)を有する、際に、形成されうる[G.Le Rhun,C. Dieppedale and S.Fanget,Procede de transfert de couche(s)de materiau depuis un premier substrat sur un deuxieme substrat[“Process for transferring one or more layers of material from a first substrate to a second substrate”と翻訳されうる]、仏国特許第3082997号明細書]。上述のプロセスのステップ3において選択された材料のペアに応じた特定の閾値超の温度におけるアニーリングの適用は、貴金属が酸化又は窒化ケイ素の層にマイグレートすることをもたらし、且つ、インターフェイスが脆くなることをもたらし、且つ、この脆いインターフェイスは、その後に、機械的手段を通じて上述のものなどのステップ7において開放することできるようになる。
【0072】
薄い圧電層が転写された後に、上述のプロセスのステップ2において、サーマルバジェットは中程度において留まっていることから、相互拡散効果は依然として活性化されていない。また、大きなサーマルバジェットを上述のプロセスのステップ3において積層体上において消費することにより、圧電層を治癒するべく使用されているアニーリング(通常は、1~10時間にわたって適用される300~700℃の温度)も、金属が酸化又は窒化ケイ素内に拡散するようにすることにより、脆いインターフェイスの形態をもたらしている。このインターフェイスは、上述のプロセスのステップ4~6を許容するべく十分な接合エネルギーを保持しているが、その脆さが、上述のプロセスのステップ7においてブレードの挿入などの機械的手段を通じて取り外しがもたらされることを許容している。
【0073】
結晶イオンスライシング(CIS)(熱的に、機械的に、又は化学的に誘発されうるイオン注入、接合、及びスプリットの組合せ)を介して層転写を実現するプロセスの仕様に起因し、
-上述のプロセスのステップ2における第1の接合は、ドナー基材をスプリットする且つ化学機械的研磨のステップにおいて経験される大きな熱機械的応力にも拘らず、一時的基材及びドナー基材から構成された組立体の機械的完全性を保証するべく十分な接合エネルギーを有していなければならず、且つ、高温(400℃超、並びに、潜在的には最高で600℃)におけるアニーリングに耐える能力を有していなければならない。通常、接合エネルギーは、1~1.5mJ/m2のレベルでなければならない。また、この接合は、機械的取り外しを介して(例えば、ブレードの挿入を介して)相対的に容易に元に戻すことができなければならない。最後に、この材料は、注入欠陥の早期の成熟をもたらさないように、低温において(且つ、理想的には、室温において)堆積することができなければならない。
-ステップ6における第2の接合は、それ自体で、製造プロセスの残りの部分の全体を通じて、且つ、特に、大きなサーマルバジェットを伴うステップにおいて、転写された層の接着のみならず、製造の末尾におけるコンポーネントの信頼性を保証するべく、大きな接合エネルギーを有し、且つ、一時的な第1の接合を元に戻すステップに抵抗するという制約を充足しなければならないことに留意されたい。従って、取り外しインターフェイスのもの(通常、2~3mJ/cm2超)よりも大きなエネルギーを有する無機物接合層(例えば、SiO2、SiOxNy)又は金属接合層(例えば、銅、金、など)が必然的に好ましいものとなる。
【0074】
理想的には、接合材料は、第2の転写の前に挿入される層(即ち、例えば、下部電極などの層)のカプセル化を促進するべく、平坦化特性を有しており、且つ、接合の前に平坦化することができなければならない。この層の温度耐性に関する制約は、大幅に緩和されており、且つ、もはや、プロセスの残りの部分以外のなんらのものにも依存してはいない。これは、例えば、任意選択により、従来においては大きなサーマルバジェット(>300℃)に耐えることができていないポリマーが、可能な接合材料候補のリスト内に統合されることを許容している。
【0075】
バルク音波共振器の基礎をなしている課題について上述したが、本発明は、相対的に高い温度における治癒アニーリングのステップを必要としている単結晶層の転写、並びに、更には、これらのアニーリングに潜在的に耐えられない材料の統合を必要としている任意のタイプのコンポーネントに全体的に適用可能であることに留意されたい。可能な用途は、任意のその他のタイプの弾性波コンポーネント(SAWフィルタ又はラム波フィルタ)を有するが、潜在的には、例えば、焦電センサなどの材料の圧電及び強誘電プロパティを使用している要素をも有する。
【0076】
本発明のプロセスを使用して有利に製造されうるコンポーネントの多様性を示すべく、本出願人は、用途のいくつかの例を以下において記述している。
【0077】
ニオブ酸リチウムから製造されたバルク音波(BAW)共振器を製造するステップを有する本発明の第1変形
ステップ1.1:
図4Aにおいて示されているように、軽イオン(He、H)が、ニオブ酸リチウムドナー基材100内に注入されている。
【0078】
ステップ1.2:
図4Bに示されているように、例えば、Ar/O
2プラズマ内のSiターゲットの反応性スパッタリングによって堆積されたSiO
2の層でありうる接合層110がドナー基材100上において堆積されている。次いで、化学機械的研磨(CMP)及び/又はプラズマ活性化の動作が実行されている。
【0079】
ステップ1.3:
並行して、酸化物層210が一時的レシーバ基材200上において堆積されている。酸化物層は、
図4Cにおいて示されているように、ドナー基材上において生成されているものと同一であってもよく、或いは、熱酸化物であってもよい。同様に、一時的レシーバ基材200は、ドナー基材100のものと同一の特性(LiNbO
3)を有していてもよく、或いは、異なる特性(Si、ガラス、サファイア)を有していてもよい。
【0080】
ステップ1.4:
次いで、脆い分離インターフェイス領域が一時的受取り基材200上において接合層210全体の表面上において生成されている。これを目的として、
図4Dにおいて示されているように、貴金属300(例えば、Pt、Pd、Au)が堆積され、且つ、(酸化物)接合層310が堆積され、次いで、化学機械研磨及び/又はプラズマ活性化の動作が実行されている。貴金属層の粗度は、通常、0.5~5nmであってよい。任意選択により、その接着を促進するべく、接着層(例えば、Cr、Ti、TiN、Ta、TaN、Ta
2O
5、TiO
2、WN、WO
3)を貴金属の層と接合酸化物の層の間において挿入することができる。また、この接着層は、基材内への要素の拡散に対する障壁層として機能することもできる。
【0081】
ステップ1.5:
図4Eにおいて示されているように、ドナー基材100(並びに、接合層110)が一時的基材200(並びに、接合層210、並びに、脆いインターフェイス領域300及び310)に接合されている。この例においては、これは、
図4Eにおいて示されているように、例えば、2つの基材の研磨、表面活性化、接触状態における配置、及び強固にするためのアニーリングによって実現可能である直接的なSiO
2/SiO
2接合の問題である。ドナー及び一時的基材の間の異なる膨張の影響を回避するべく、この例においては、ニオブ酸リチウムから製造された(ドナーと同一の結晶方位を有する)一時的基材が利用されている。
【0082】
ステップ1.6:
図4Fにおいて示されているように、転写された層100aが、この例においては、「スマートカット」プロセス(本出願人によって開発された技術)及びスプリットアニーリングを使用して取り外され、且つ、従って、露出状態において残されている。
【0083】
ステップ1.7:
図4Gにおいて示されているように、治癒アニーリングが実行され、次いで、転写された層100aが研磨され、且つ、その厚さが調節され、或いは、逆も又真であり、転写層が研磨され、その厚さが調節され、且つ、次いで、治癒アニーリングが実行されている。
【0084】
ステップ1.8:
図4Hにおいて示されているように、(例えば、アルミニウムから製造された)下部電極400が(スパッタリングによって)堆積され、次いで、金属層のフォトリソグラフィ及びエッチング(例えば、化学的エッチング)の動作が実行され、且つ、レジストが除去されている。
【0085】
ステップ1.9:
次いで、
図4Iにおいて示されているように、解放井戸を定義するべく、例えば、アモルファスシリコンから製造された犠牲層500の堆積、フォトリソグラフィ、反応性イオンエッチング、及びレジスト除去が実行されている。
【0086】
ステップ1.10:
図4Jにおいて示されているように、(例えば、SiO
2から製造された)接合層600が(Ar/O
2プラズマ内のシリコンターゲットの反応性スパッタリングにより)堆積され、且つ、下部電極及び解放井戸の存在によってもたらされるトポロジーを除去するべく、化学機械研磨(CMP)の動作が実行されている。
【0087】
ステップ1.11:
図4Kにおいて示されているように、一時的基材200が最終的基材700に接合される第2結合動作が実行されている。使用されるプロセスは、第1の接合を形成するべく使用されているものと同一である。遊離には、膨張の相違の影響を回避するべく、ニオブ酸リチウムから製造された且つ一時的基材のものと同一の結晶方位を有する最終的基材が使用されている。
【0088】
ステップ1.12:
次いで、
図4Lにおいて示されているように、剥離(取り外し)を実現するべく、層300を有する脆い分離インターフェイス領域を介して2つの基材を分離する動作が実行されており、これは、恐らくは、有利には、脆いインターフェイスにおいてブレードを挿入することにより、実行されている。
【0089】
ステップ1.13:
次いで、
図4Mにおいて示されているように、脆い分離インターフェイス領域内において存在している金属層300が除去され、これにより、対象の層100aが露出状態において残されている。これは、通常、Pt金属をドライエッチングを介して除去する且つHF内の酸化物を除去する問題でありうる。
【0090】
プロセスの残りの部分は、通常、従来技術において提示されているものと同一のステップから構成されうる。
【0091】
ステップ1.14:
図4Nにおいて示されているように、アパーチャが、例えば、フォトリソグラフィ、イオンビームエッチング(IBE)、及びレジスト除去により、対象の層100a内において、即ち、ニオブ酸リチウム薄膜内において、エッチングされている。
【0092】
ステップ1.15:
次いで、
図4Oにおいて示されているように、例えば、アルミニウムから製造された上部電極800が、スパッタリングによる堆積、フォトリソグラフィ、ウェットエッチング、及びレジスト除去を介して、対象の予め構築された層100aの表面上において形成されている。
【0093】
ステップ1.16:
次いで、
図4Pにおいて示されているように、(ここでは、アモルファスシリコンから製造された井戸を分解するべくガス性XeF
2を使用して)犠牲層500の井戸をエッチングすることにより、共振器を含むメンブレインが解放されている。
【0094】
この第1変形実施形態は、接合インターフェイスとの関係におけるこの層の正確な場所を仮定することなしに、転写された層との接触状態において直接的に配置された取り外し層を使用することを提案していることに留意されたい。例えば、一時的基材との接触状態においてこの犠牲層を配置することが可能であり、或いは、場合によっては、接合層と同一の2つの層の間においてこれを挿入することも可能である。これらのケースの両方において、第1ン接合が元に戻された後に、この残留層が最終的な積層体内において望ましくない場合には、転写された層と接触している残留層を除去するステップを提供することができる。
【0095】
薄い圧電薄膜が予め定義された空洞を有する基材に転写されている本発明の第1変形
この変形によれば、ステップ1.9においてプロセスの第1変形において提示されている(aSi)犠牲層が存在してはいない。遮音が、最終的な基材内における予め定義された空洞の形成を介して実現されている。以下は、この変形を使用するプロセスの一例である。
【0096】
ステップ2.1と呼称される第1の一連のステップ:
第1プロセス変形のステップ1.1~ステップ1.8において記述されているものと同一の動作が反復されてもよく、これは、電極400を有する層の積層体200/210/300/310/110/100aを示す
図5Aに示されている構造をもたらし、層100aは、圧電材料の層に対応している。
【0097】
ステップ2.2:
図5Bにおいて示されているように、(例えば、SiO
2から製造された)接合層600が(Ar/O
2プラズマ内のシリコンターゲットの反応性スパッタリングにより)堆積され、次いで、電極の存在によってもたらされるトポロジーを除去するべく、化学機械研磨(CMP)の動作が実行されている。
【0098】
ステップ2.3:
図5Cにおいて示されているように、予め定義された空洞が、リソグラフィ、物理的且つ/又は化学的エッチング、次いで、レジスト除去(或いは、ストリッピング)により、最終的基材700(Si、ガラス、サファイア、LNO、LTO)内において生成されている。
【0099】
ステップ2.4:
接合酸化物710の層が熱酸化(提示されているケース)を介して(好ましくは、適合性を目的として化学的に)堆積又は成長されている。酸化物は、
図5Dにおいて示されているように、0.1~0.5ÅのRMS粗度を有していてもよく、且つ、直接接合に適合している。
【0100】
ステップ2.5:
次いで、
図5Eにおいて示されているように、一時的基材200及び最終的基材700が予め生成された中間層のすべてを介して結合され、次いで、強固にするためのアニーリングが実行されている。
【0101】
ステップ2.6:
図5Fにおいて示されているように、一時的な基材200が脆い分離インターフェイス領域を介して(有利には、ブレードを挿入することにより)取り外され、次いで、脆いインターフェイスが製造されている材料がエッチングされている。
【0102】
ステップ2.7と呼称される最後の一連のステップ:
0103 第1変形のステップにおいて記述されているものと同一の動作を実行することにより、製造プロセスが終了し、これにより、電極400及び800の間において存在している対象の構造化層100aを示す
図5Gにおいて示されている構造がもたらされる。
【0103】
薄い単結晶薄膜をシリコンに転写するステップを有する本発明の第3変形
従来技術において言及されている課題の1つは、薄い単結晶圧電層をシリコンに転写する能力を有してないという事実である。これは、高温熱処理を適用するニーズに部分的に関係しており、これは、これらの材料とシリコンの間の熱膨張の係数の大きな差と組み合わせられた状態において、しばしば、サンプルの破壊をもたらしている。従って、本出願人は、圧電層をシリコンに相対的に容易に転写するべく本発明の使用を提案している。
【0104】
この結果、製造プロセスは、先行するプロセスとすべての方式において同一である。ドナー基材と同一の一時的基材への薄い圧電層の第1の転写(従って、ホモ構造転写と呼称される)が実行されている。これは、接合、スプリット、及び高温におけるアニーリングのステップにおける熱弾性応力の影響が限定されることを許容している。第2の転写において、一時的及び最終的基材の間の熱膨張の差から結果的にもたらされる熱機械的応力を制限するべく、ステップ1.11(或いは、2.5)において必要とされている(通常は、存在する材料に応じて、150~200℃のレベルを有する)相対的に低い接合アニール温度が活用されている。従って、1つに接合されたウエハの破壊のリスクがほとんどゼロに低減されており、これは、最終的基材としてのシリコン基材の使用の想定を許容している。
【0105】
転写された層が一時的基材との関係において十分に薄い(500μmのレベルの基材の場合に、1ミクロンよりも薄い)場合には、アニーリングステップにおいて熱弾性応力を生成する可能性がなくなり、逆に、これは、基材の膨張を弾性的に経験することになるという点に留意されたい。このケースにおいては、接合が、剥離のリスクが低くなるほどに十分に強力である場合には、ドナー基材とは異なる最終的基材への直接的転写を想定することができる。
【0106】
プレート波コンポーネントを生成するステップを有する本発明の第4変形
先行する実施形態は、BAW共振器以外のタイプの共振器についても使用することができる。これらは、例えば、プレート音波共振器(ラム波共振器、又は外形モード共振器、などとも呼称されている)を製造するべく使用することができる。これらのコンポーネントの変形の1つは、垂直方向フィールド励起(VFE)を利用していると表現され、プレート波は、プレートの厚さを通じて方向付けされた電界を印加することにより、圧電メンブレイン内において励起されており、これは、メンブレインの面の1つ(例えば、下部面)上においてフローティング電極を配置し、且つ、反対側の面上において櫛歯の形態を有する電極を配置することにより、実現されている。従って、これらのコンポーネントを製造するプロセスは、バルク波共振器のものと非常に似ており、唯一の差は、電極及び犠牲層のパターンの形状である。
【0107】
これらのプレート波コンポーネントの別の変形は、横方向フィールド励起(LFE)を利用していると表現され、この場合に、プレート波は、水平方向電界を印加することにより、圧電メンブレイン内において励起されており、これは、この場合にも櫛歯の形態を有する電極をプレートの面の1つのもののみ上において配置することにより、実現されている。従って、製造プロセスは、下部又は上部電極を製造するべく必要とされるステップが必要とされてはいないという点を除いてまったく同一である。
【0108】
堅固に取り付けられた又は導波型のバルク音波共振器を製造するステップを有する本発明の第5変形
バルク音波又はプレート音波共振器の変形は、圧電層内において弾性波を閉じ込めるべく空気が充填された空洞の代わりにブラッグミラーを使用している。この結果、それぞれ、堅固に取り付けられた共振器(SMR)又は導波型共振器と呼称されている。これらのミラーは、小さい及び大きい音響インピーダンス(例えば、SiO2/W、又はSiO2/Mo、又はSiO2/AlN、又はSiOC/SiN、など)を交互に有する且つ波長の4分の1に実質的に等しい厚さを有する層を積層することによって生成されているが、これらのミラーの音響特性を最適化するという目的で、この規則を破る変形も存在している。
【0109】
例えば、ニオブ酸リチウムから製造された共振器内へのこのようなミラーの統合は、やりにくいものであり、その理由は、これらの構造の層が、一般には、結果的に妥当な音響減衰を有することになる相対的に高密度の又は乏しい多孔性を有する材料を実現するべく、高温において堆積されているからである。完成した積層体を生成するべく必要とされる堆積を実行するために所要される時間及びこれらの層内の応力に伴う課題と結合された状態において、これらの(通常は、400~500℃のレベルを有する)堆積温度は、ドナー基材上におけるこれらのミラーの従来技術プロセスを使用した生産を複雑にしている。対照的に、本明細書において提示されている本発明の使用は、治癒された転写された層上におけるミラーの製造を許容しており、これは、想定されている(治癒アニーリング温度に近接した)400~500℃の温度に耐えることができる。
【0110】
以下、このようなミラーを含む且つ製造プロセスの第1変形によって着想される製造プロセスの一例について説明する。
【0111】
ステップ5.1と呼称される第1の一連のステップ:
第1変形のステップ1.1~1.7のものに類似した動作が実行され、且つ、層300を有する且つ層210によってカバーされた一時的基材200の表面上において生成された脆い分離インターフェイス領域の表面上において対象層100aを示す
図6Aに示されている構造をもたらし、対象の層100aは、電極400によってカバーされている。
【0112】
ステップ5.2:
SiO
2から製造された600と呼称される層/Wから製造された610と呼称される層/SiO
2から製造された601と呼称される層/Wから製造された620と呼称される層の積層体が、例えば、SiO
2との関係においてはプラズマエンハンス化学気相蒸着(PECVD)により、且つ、Wとの関係においては化学気相蒸着(CVD)により、堆積されている。フォトリソグラフィ及び反応性イオンエッチングの動作がW/SiO
2/Wの3層に対して実行され、次いで、レジストが除去されている。これは、
図6Bにおいて示されているように、ミラーが共振器の下方において定義されることを許容している。
【0113】
ステップ5.3:
SiO
2の層602は、この場合にも、PECVDによって堆積されている。
図6Cにおいて示されているように、先行するステップにおいて形成されたW/SiO
2/W積層体上において配置されたSiO
2層の事前エッチングによって任意選択によって支援される化学機械研磨による平坦化動作が実行されている。
【0114】
ステップ5.4:
次いで、
図6Dにおいて示されているように、そのブラッグミラーを有する圧電層を最終的基材700に転写するべく、第1製造プロセス変形に従って製造プロセスを継続することができる。
【0115】
焦電センサを有する本発明の第6変形
本発明は、圧電共振器のケースにのみ適用可能ではなく、且つ、その他のタイプのコンポーネントに一般化されうる。更には、これは、ニオブ酸リチウムなどの圧電材料の使用に限定されるものでもない。例として、本出願人は、本発明をタンタル酸リチウムに基づいた焦電センサのケースに適用することを提案している。原理は、このケースにおいては、基材から断熱するべく吊り下げられた且つ金属/絶縁体/金属コンデンサを形成するべくその両方の面上において金属化されたタンタル酸リチウムメンブレインを生成するステップを有する。これらのセンサの原理は、熱放射が吊り下げられたコンデンサを加熱した際に観察される静電容量の変動を計測するステップを有する。
【0116】
吊り下げられたメンブレインを形成するための解放井戸の使用については、先行する例において記述されている。このケースにおいては、本発明によってシリコンにタンタル酸リチウムを転写することが可能である場合には、シリコンの後部側をエッチングすることが完全に可能である。
【0117】
ステップ6.1:
図7Aにおいて示されているように、軽イオンがニオブ酸リチウム基材100内に注入されている。
【0118】
ステップ6.2:
接合層110がドナー基材上において堆積されている。この例においては、Ar/O
2プラズマ内のSiターゲットの反応性スパッタリングによって堆積されたSiO
2の層を使用することが提案されている。
図7Bにおいて示されているように、化学機械研磨(CMP)及び/又はプラズマ活性化の動作が実行されている。
【0119】
ステップ6.3:
図7Cにおいて示されているように、酸化物層210が一時的レシーバ基材200上において堆積されている。酸化物層は、ドナー基材のものと同一であってもよく、或いは、熱酸化物であってもよい。同様に、一時的レシーバ基材200も、ドナー基材と同一の特性(LiTaO
3)有してもよく、或いは、異なる特性(Si、ガラス、サファイア)を有していてもよい。
【0120】
ステップ6.4:
貴金属(例えば、Pt、Pd、Au)300を堆積し且つ(酸化物)接合層310を堆積することにより、脆い分離インターフェイス領域が生成されている。次いで、
図7Dにおいて示されているように、化学機械研磨及び/又はプラズマ活性化の動作が実行されている。任意選択により、その接着を促進するべく、接着層(例えば、Cr、Ti、TiN、Ta、TaN、Ta
2O
5、TiO
2、WN、WO
3)を貴金属の層と接合酸化物の層の間において挿入することができる。
【0121】
ステップ6.5:
図7Eにおいて示されているように、ドナー基材100が一時的レシーバ基材200に接合されている。この例においては、これは、例えば、2つの基材の研磨、表面活性化、接触状態における配置、強固にするためのアニーリングによって実現可能な直接的SiO
2/SiO
2接合の問題である。ドナー及び一時的基材の間の異なる膨張の影響を回避するべく、この例においては、ニオブ酸リチウムから製造された(ドナー基材のものと同一の結晶方位を有する)一時的基材が利用されている。
【0122】
ステップ6.6:
転写された層が、この例においては「スマートカットプロセス」を使用して取り外されており、
図7Fにおいて示されているスプリットアニーリングは、対象の薄い層が材料100内において定義されることを許容している。
【0123】
ステップ6.7:
図7Gに示されているように、ヒーリングアニールが実行され、次いで、転写された層100が研磨され、且つ、その厚さが調節されており、或いは、逆も又真であり、転写層が研磨され、その厚さが調節され、且つ、次いで、治癒アニーリングが実行されている。
【0124】
ステップ6.8:
図7Hにおいて示されているように、(例えば、アルミニウムから製造された)下部電極400が(スパッタリングによって)堆積され、且つ、金属層のフォトリソグラフィ及びエッチング(例えば、化学エッチング)が実行され、且つ、レジストが除去されている。
【0125】
ステップ6.9:
(例えば、SiO
2から製造された)接合層600が(例えば、Ar/O
2プラズマ中におけるシリコンターゲットの反応性スパッタリングにより)堆積されている。
図7Iにおいて示されているように、電極の存在によってもたらされたトポロジーを除去するべく、化学機械研磨(CMP)の動作が実行されている。
【0126】
ステップ6.10:
図7Jに示されているように、一時的基材200が最終的に基材700に接合される第2接合動作が実行されている。この例においては、使用されているプロセスは、第1接合を形成するべく使用されたものと同一であり、これは、例えば、2つの基材の研磨、表面活性化、接触状態における配置、及び強固にするためのアニーリングによって実現可能な直接的SiO
2/SiO
2接合の問題である。ステップ6.3におけると同様に、ドナー及び一時的基材の間の膨張の相違の影響を回避するべく、この例においては、ニオブ酸リチウムから製造された(一時的基材のものと同一の結晶方位を有する)一時的基材が利用されている。
【0127】
ステップ6.11:
図7Kにおいて示されているように、スプリット動作が脆いインターフェイスを介して実行され、次いで、
図7Lにおいて示されているように、脆いインターフェイス300及び310+110の層がドライエッチング及び/又はウェットエッチングによって除去されている。
【0128】
ステップ6.12:
図7Mに示されているように、赤外線放射を吸収するための上部電極800及び層810が堆積され、且つ、コンデンサを形成するべく上部電極及びこの層が定義されている。
【0129】
ステップ6.13:
図7Nにおいて示されているように、基材の後部側がディープシリコンエッチング(例えば、DRIE)によってエッチングされている。
【0130】
複合共振器又は長手方向において結合されたフィルタを製造するステップを有する本発明の第7変形
例えば、周波数アジリティ共振器の提供を目的として、「複合共振器」と呼称されるバルク波共振器の特定の変形が文献において提案されている。このケースにおいては、共振器は、2つの圧電層と、個々の電極の組と、から構成されており、積層体の1つの部分は、フィルタ回路に接続され、且つ、その他の部分は、周波数チューニング回路に結合されている。
【0131】
類似の構造は、フィルタ機能を生成するべく、1つ又は複数の層を介して機械的に結合された積層されたバルク波共振器の組から構成することができる。このケースにおいては、それぞれの圧電層は、1つの共振器を形成し、且つ、共振器の1つは、入力として機能し、且つ、その他のものは、フィルタの出力として機能している。この結果、結合された共振器フィルタ(CRF)又は積層された水晶フィルタ(SCF)と呼称されている。複合共振器との関係において、最終的に、層の厚さ及び電極の形状のみが異なっているが、同一の製造プロセスを想定することができる。
【0132】
従来技術による且つ層の転写を伴う複合フィルタを製造するプロセスについては、例えば、仏国特許出願第3076126号明細書において記述されている。これは、1つの治癒アニーリングをそれぞれが含む2つの層転写ステップを連続的に実行するステップを有する。従って、第2の転写された層の治癒アニールの際に、この場合にも第1層及び関連する電極から構成された積層体は、高温において相対的に長いアニーリングを経験している。これは、特に、最も深いところにおいて配置された電極に対して劇的な影響を及ぼしうる。従って、それぞれの層転写ごとに、提案されている本発明を使用することが有利である。
【0133】
従って、本発明と仏国特許第3076126号明細書のものの両方を利用する製造プロセスは、以下の形態を有する。
【0134】
ステップ7.1:
図8Aに示されているように、軽イオンが2つのニオブ酸リチウム基材101及び102内に注入されている。
【0135】
ステップ7.2:
図8Bにおいて示されているように、第1ドナー基材101及び第2ドナー基材102上において脆い分離インターフェイス領域が生成され、且つ、SiO
2から製造された接合層が堆積及び平坦化されており、これらの脆い分離インターフェイス領域301/311及び302/312は、それぞれ、一時的基材が取り外されることを許容することになる。
【0136】
ステップ7.3:
図8Cに示されているように、ドナー基材101及び102が一時的基材201及び202に対する接合によって結合されている。
【0137】
ステップ7.4:
図8Dに示されているように、層101a及び102aを生成するべく、ニオブ酸リチウム層がスプリットされ且つ取り外されている。
【0138】
ステップ7.5:
図8Dにおいて示されているように、ニオブ酸リチウム層に治癒アニーリング、研磨、及びその厚さの調節が適用される動作が実行されている。
【0139】
ステップ7.6:
図8Fにおいて示されているように、(例えば、400℃の温度においてスパッタリングによって堆積されたAlから製造された)下部電極401が下部圧電層101aの表面上において堆積及び構築されている。
【0140】
ステップ7.7:
図8Gにおいて示されているように、アモルファスシリコン501の層が堆積され、且つ、犠牲層の井戸を形成するべく、フォトリソグラフィ、エッチング、及びレジスト除去の動作が実行されている。
【0141】
ステップ7.8:
図8Hにおいて示されているように、シリコン酸化物から製造されうる最終的接合層601が堆積されている。
【0142】
ステップ7.9:
第1一時的基材201が、このケースにおいては熱によって酸化されたシリコンから製造された最終的基材701に接合されている。
図8Iにおいて示されているように、表面活性化の後に、直接的SiO
2/SiO
2接合を実行することができる。
【0143】
ステップ7.10:
図8Jにおいて示されているように、対象の層101aの表面を露出状態において残すべく、ブレードを挿入することにより、第1の一時的接合が元に戻されている。
【0144】
ステップ7.11:
図8Kにおいて示されているように、金属(例えば、400℃の温度においてスパッタリングによって堆積されたAl)が堆積され、且つ、第1圧電層101aの上部電極801が構築されている。
【0145】
ステップ7.12:
図8Lにおいて示されているように、目的の用途に応じて、共振器間SiO
2隔離又は結合層901が堆積されている。
【0146】
ステップ7.13:
図8Mにおいて示されているように、金属(例えば、この場合にもAl)が堆積され、且つ、(転写されることになる)上部圧電層の下部電極402が構築されている。
【0147】
ステップ7.14:
SiO
2の層902が堆積され、且つ、2つの電極によって形成された階段が平坦化されている。
図8Nに示されているように、SiO
2の非常に小さな(10~20nmのレベルの)厚さが電極上において残されている。
【0148】
ステップ7.15:
図8Oにおいて示されているように、SiO
2の薄い層302(厚さにおいて約10~20nmの)が第2一時的基材202上において堆積され、(貴金属312の層を有する)脆い分離インターフェイス領域が生成され、且つ、次いで、接合を強固にするべく、直接接合が実行され、次いで、アニーリングが実行されている。
【0149】
ステップ7.16:
図8Pにおいて示されているように、対象の第2層102aを露出状態において残すべく、ブレードを挿入することにより、第2一時的基材202を取り外す動作が実行されている。
【0150】
ステップ7.17:
図8Qにおいて示されているように、堆積及びAlから製造されうる第4電極レベル802を定義する動作が実行されている。
【0151】
ステップ7.18:
図8Rにおいて示されているように、様々な電極レベルに対する電気接点の再分散を許容するアパーチャを生成するべく、様々な層が連続的にエッチングされる動作が実行され、且つ、アモルファスシリコン501の井戸内に開放する解放アパーチャが生成されている。
【0152】
ステップ7.19:
図8Sにおいて示されているように、ガス性XeF
2内のアモルファスシリコンの井戸をエッチングすることにより、共振器が解放されており、これは、それぞれ、電極401及び801及び402及び802の間において存在するその対象の層101a及び102aを有する2つの共振器を示している。
【0153】
また、本発明は、圧電又は焦電又は強誘電材料の相対的に厚い層の文脈において、或いは、そうではなくて材料の異なる特性を有するこのような材料の少なくとも2つの層の文脈において、適用することもできる。この文脈においては、有利には、スプリット動作の後の対象の材料の薄い層の取得の直後に、中間成長ステップが提供されている。
【0154】
この文脈において、本出願人は、以下、上述の実施形態の1つに関する且つ圧電薄膜再成長のステップを内蔵する本発明の第8変形について説明する。
【0155】
上述の実施形態は、「スマートカット」(或いは、「結晶イオンスライシング」)プロセスを使用して得られた且つその厚さが1μm未満である薄い単結晶圧電薄膜を使用している。圧電薄膜の厚さは、主に、注入エネルギーによって決定されている。例えば、220keV(160keV)の注入エネルギーの場合に、LiNbO3(LiTaO3)において得られる厚さは、600~750nm(700~900nm)である。
【0156】
但し、先ほど引用された用途(焦電センサ、バルク音波共振器、弾性表面波共振器、プレート波共振器、エネルギー回収、電気光変調器、など)は、1~10μmの薄膜厚さを有する薄い単結晶薄膜の使用を必要としうる。現時点において、1~10μmの厚さを有する且つ機能埋め込み層を内蔵する薄い単結晶薄膜、パターン化された電極、及び/又は犠牲層の取得を許容する産業的技法は、存在していない。
【0157】
この実施形態は、本発明の第1変形のステップ1.7(治癒アニーリング、次いで、転写された層の研磨、及びその厚さの調節、或いは、この逆も又真であり、転写された層の研磨、その厚さの調節、及び治癒アニーリング)及び1.8((例えば、アルミニウムから製造された)下部電極の(スパッタリングによる)堆積、フォトリソグラフィ、及び金属層のエッチング(例えば化学的エッチング))、及びレジスト除去)の間においてスマートカット(商標)プロセスを使用して転写される材料の層と(化学的特性、結晶構造、及び膨張係数の観点において)同一又は類似の特性の材料を堆積させるステップの挿入に基づいている。次いで、成長は、ホモエピタキシャルであり、且つ、「スマートカット」プロセスを使用して転写される層(<1μm)は、堆積によって取得される層(0.01~5μmの厚さ)用のシードとして機能することになる。この結果、堆積された層は、「スマートカット」プロセスを使用して転写される層と同一の構造を採用することができる。従って、堆積された層の再成長は、その厚さが0.5~5μmでありうる材料の層の取得を許容している。
【0158】
最後に、本発明は、(アルカリ-金属)-ニオブ酸塩圧電材料のケースに限定されるものではなく、且つ、窒化物(AlN、GaN)、GaAs、Ge、などのような材料のその他の種類に一般化されうることに留意されたい。
【0159】
この8番目の変形によるプロセスの一例
第1ステップは、例えば、上述のステップ1.1~1.7に類似している。
【0160】
ステップ8.1:
一時的基材200、脆い分離インターフェイス層300、酸化物層310、及び対象の第1材料の層100a:LNO層を示す
図9Aにおいて示されているように、ニオブ酸リチウムの転写された層「LNO」の治癒アニーリング、次いで、研磨、並びに、次いで、その厚さの調節が実行されている、或いは、逆も又真であり、転写された層が研磨され、その厚さが調節され、且つ、治癒アニーリングが実行される動作が実行されている。
【0161】
ステップ8.2:
LiTaO
3の層でありうる対象の第2層100bが堆積されている。層の厚さは、0.1~5μmである。
図9Bにおいて示されているように、前記層は、レーザーアブレーションにより、好ましくは、500~700℃の堆積温度において堆積することができる(PLD:パルス化レーザー堆積)。
【0162】
ステップ8.3:
図9Cにおいて示されているように、(例えば、アルミニウムから製造された)下部電極400が(スパッタリングによって)堆積され、且つ、金属層のフォトリソグラフィ及びエッチング(例えば、化学エッチング)が実行され、且つ、レジストが除去されている。
【0163】
ステップ8.4:
次いで、
図9Dにおいて示されているように、解放井戸を定義するべく、例えば、アモルファスシリコンから製造された犠牲層500の堆積、次いで、フォトリソグラフィ、反応性イオンエッチング、及びレジスト除去の動作が実行されている。
【0164】
ステップ8.5:
図9Eにおいて示されているように、最終的な基材の接合を目的として、接合層600が堆積されている。
【0165】
ステップ8.6:
一時的基材200が最終的基材700に接合される第2接合動作が実行されている。この例においては、使用されるプロセスは、第1接合を形成するべく使用されたものと同一である。
図9Fにおいて示されているように、膨張の相違の影響を回避するべく、ニオブ酸リチウムの且つ一時的基材のものと同一の結晶方位を有する最終的基材が使用されている。
【0166】
ステップ8.7:
図9Gにおいて示されているように、層300を有する脆いインターフェイスにおいてブレードを挿入することにより、剥離(取り外し)が実現されている。
【0167】
ステップ8.8:
図9Hにおいて示されているように、このケースにおいてはPtである貴金属300から製造された脆いインターフェイスの層がドライエッチングによって除去され、且つ、酸化物がHFにおいて除去され、これにより、対象層100aが露出状態において残されている。
【0168】
次いで、従来技術との関係において提示されているものと同一であるステップが実行されている。
【0169】
ステップ8.9:
図9Iにおいて示されているように、アパーチャが、転写されたニオブ酸リチウム薄膜100a内において、且つ、(このケースにおいてはタンタル酸リチウムである)薄膜100b内において、例えば、フォトリソグラフィ、イオンビームエッチング(IBE)、及びレジスト除去により、エッチングされている。
【0170】
ステップ8.10:
次いで、
図9Jにおいて示されているように、例えば、アルミニウムから製造された上部電極800が、スパッタリングによる堆積、フォトリソグラフィ、ウェットエッチング、及びレジスト除去を介して形成されている。
【0171】
ステップ8.11:
次いで、
図9Kにおいて示されているように、犠牲層500の井戸をエッチングすることにより、共振器を含むメンブレインが(ここでは、アモルファスシリコンから製造された井戸を分解するべくガス性XeF
2を使用して)解放されている。
【符号の説明】
【0172】
10 ドナー基材
11 結晶欠陥
12 下部電極
13 犠牲活性層
14 接合層
20 レシーバ基材
21 上部電極
100 ドナー基材
100a 転写された層
100b 第2層
101 第1ドナー基材
101a 層
102 第2ドナー基材
102a 第2層
110 接合層
200 一時的レシーバ基材
201 第1一時的基材
202 第2一時的基材
210 酸化物層
300 貴金属
302 層
310 接合層
312 貴金属
400 下部電極
401 電極
402 下部電極
500 犠牲層
501 アモルファスシリコン
600 接合層
601 最終的接合層
602 層
700 最終的基材
701 最終的基材
710 接合酸化物
800 上部電極
801 上部電極
802 第4電極レベル
810 層
901 結合層
902 層
【外国語明細書】