(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022084543
(43)【公開日】2022-06-07
(54)【発明の名称】集積電流センサを有する半導体デバイス
(51)【国際特許分類】
H01L 29/78 20060101AFI20220531BHJP
H01L 29/12 20060101ALI20220531BHJP
H01L 29/06 20060101ALI20220531BHJP
H01L 29/41 20060101ALI20220531BHJP
H01L 21/76 20060101ALI20220531BHJP
H01L 29/739 20060101ALI20220531BHJP
【FI】
H01L29/78 657F
H01L29/78 652T
H01L29/78 652P
H01L29/06 301F
H01L29/06 301V
H01L29/44 Y
H01L29/78 652K
H01L29/78 652R
H01L29/78 652Q
H01L29/78 652S
H01L29/78 653C
H01L29/78 655A
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021186259
(22)【出願日】2021-11-16
(31)【優先権主張番号】17/104,483
(32)【優先日】2020-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】506236358
【氏名又は名称】インフィネオン テクノロジーズ オーストリア アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ダネーゼ, マッテオ
(72)【発明者】
【氏名】シンナー, ゲオルク
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルター, フランク
(57)【要約】 (修正有)
【課題】集積電流センサを有する半導体デバイスを提供する。
【解決手段】半導体デバイスは、長さ方向に互いに平行に延びる第1のトレンチ108及び第2のトレンチ110を含み、半導体メサ112がトレンチのうちの隣接するものの間にあり、各第1のトレンチが第1の電位におけるゲート電極Gを含み、各第2のトレンチが第2の電位におけるフィールドプレートSを含むパワーデバイス領域102と、半導体基板内に形成された電流感知領域104と、を含む。第1のトレンチの部分セット、第2のトレンチの部分セット及び半導体メサの部分セットは、電流感知領域及びパワーデバイス領域の両方に共通している。第2のトレンチは、電流感知領域の反対の第1の側面S1及び第2の側面S2に沿って分断されている。これにより、フィールドプレートは、パワーデバイス領域と電流感知領域との間で分断されている。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板内に形成されており、長さ方向に互いに平行に延びる複数の第1のトレンチ及び複数の第2のトレンチを含むパワーデバイス領域であって、半導体メサが前記トレンチのうちの隣接するものの間にあり、各第1のトレンチが第1の電位にあるゲート電極を含み、各第2のトレンチが第2の電位にあるフィールドプレートを含む、パワーデバイス領域と、
前記半導体基板内に形成された電流感知領域と、
を含み、
前記第1のトレンチの部分集合、前記第2のトレンチの部分集合、及び前記半導体メサの部分集合が前記電流感知領域及び前記パワーデバイス領域の両方に共通しており、
前記第2のトレンチが、前記電流感知領域の対向する第1及び第2の側面に沿って分断されており、これにより、前記フィールドプレートが前記パワーデバイス領域と前記電流感知領域との間で分断されている、半導体デバイス。
【請求項2】
前記半導体基板の上方の金属配線層をさらに含み、前記金属配線層が、前記パワーデバイス領域内の前記半導体メサ及び前記フィールドプレートの両方に電気接続された第1のコンタクトパッド、並びに前記第1のコンタクトパッドと分離しており、前記電流感知領域内の前記半導体メサ及び前記フィールドプレートの両方に電気接続された第2のコンタクトパッドを含む、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項3】
前記半導体メサが、第1の導電型のドーパントによって形成されたソース又はエミッタ領域、及び前記第1の導電型と反対の第2の導電型のドーパントによって形成された本体領域を含み、前記第2の導電型の前記ドーパントが前記半導体メサから省かれているか、又は前記電流感知領域を横方向に包囲する周辺領域内の前記第1の導電型の前記ドーパントによってオフセットされている、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項4】
前記第2のトレンチが前記電流感知領域の前記第1の側面に沿って分断されている領域内で前記第1のトレンチを接続する第1の交差トレンチと、
前記第2のトレンチが前記電流感知領域の前記第2の側面に沿って分断されている領域内で前記第1のトレンチを接続する第2の交差トレンチと、
をさらに含み、
前記半導体メサが、第1の導電型のソース又はエミッタ領域、及び前記第1の導電型と反対の第2の導電型の本体領域を含み、
前記第1の交差トレンチ、前記第2の交差トレンチ、前記電流感知領域の第3の側面の最も近くに配設された前記第1のトレンチ、及び前記第3の側面の反対側にある前記電流感知領域の第4の側面の最も近くに配設された前記第1のトレンチが前記電流感知領域を横方向に包囲しており、これにより、前記電流感知領域内の前記本体領域が、前記電流感知領域を横方向に包囲する前記トレンチによって前記パワーデバイス領域内で前記本体領域から切り離されている、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項5】
前記第1のトレンチが前記電流感知領域の前記第1及び第2の側面に沿って分断されている、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項6】
前記第1のトレンチが第1及び第2の分断領域において分断されており、前記第2のトレンチが第3及び第4の分断領域において分断されており、前記第1及び第2の分断領域が前記トレンチの長さ方向に沿って前記第3及び第4の分断領域から横方向にオフセットしている、請求項5に記載の半導体デバイス。
【請求項7】
前記半導体基板の上方の金属配線層をさらに含み、
前記金属配線層が、
前記パワーデバイス領域内で前記半導体メサ及び前記フィールドプレートの両方に電気接続された第1のコンタクトパッド、
前記第1のコンタクトパッドと分離しており、前記電流感知領域内で前記半導体メサ及び前記フィールドプレートの両方に電気接続された第2のコンタクトパッド、並びに
前記第1のトレンチが分断されている第1の領域の上に配設された第1のゲートランナ、
を含み、
前記第1の領域内で分断された前記第1のトレンチ内の前記ゲート電極が前記分断の両端部において前記第1のゲートランナに電気接続されている、請求項5に記載の半導体デバイス。
【請求項8】
前記第1のゲートランナが前記第1のコンタクトパッドと前記第2のコンタクトパッドとの間に介在させられている、請求項7に記載の半導体デバイス。
【請求項9】
前記金属配線層が、
前記第1のゲートランナと分離した少なくとも1つの追加のゲートランナをさらに含み、
前記第1のトレンチ内の前記ゲート電極が前記少なくとも1つの追加のゲートランナに電気接続されている、請求項7に記載の半導体デバイス。
【請求項10】
前記第2のトレンチが前記電流感知領域の前記第1の側面に沿って分断されている領域内で前記第1のトレンチを接続する第1の交差トレンチと、
前記第2のトレンチが前記電流感知領域の前記第2の側面に沿って分断されている領域内で前記第1のトレンチを接続する第2の交差トレンチと、
をさらに含み、
前記半導体メサが、第1の導電型のソース又はエミッタ領域、及び前記第1の導電型と反対の第2の導電型の本体領域を含み、
前記第1の交差トレンチ、前記第2の交差トレンチ、前記電流感知領域の第3の側面の最も近くに配設された前記第1のトレンチ、及び前記第3の側面の反対側にある前記電流感知領域の第4の側面の最も近くに配設された前記第1のトレンチが前記電流感知領域を横方向に包囲しており、これにより、前記電流感知領域内の前記本体領域が、前記電流感知領域を横方向に包囲する前記トレンチによって前記パワーデバイス領域内で前記本体領域から切り離されている、請求項5に記載の半導体デバイス。
【請求項11】
前記第2の交差トレンチと平行に延びており、それと隣接している第3の交差トレンチをさらに含み、
前記第3の相互接続トレンチが、前記第2のトレンチが前記電流感知領域の前記第2の側面に沿って分断されている前記領域内における前記第1のトレンチ内の前記ゲート電極を前記分断の第1の端部において接続しており、
前記第2の相互接続トレンチが、前記第2のトレンチが前記電流感知領域の前記第2の側面に沿って分断されている前記領域内における前記第1のトレンチ内の前記ゲート電極を前記第1の端部の反対の前記分断の第2の端部において接続している、請求項10に記載の半導体デバイス。
【請求項12】
半導体デバイスを製作する方法であって、前記方法が、
パワーデバイス領域を半導体基板内に形成することであって、前記パワーデバイス領域が、長さ方向に互いに平行に延びる複数の第1のトレンチ及び複数の第2のトレンチを含むパワーデバイス領域であって、半導体メサが前記トレンチのうちの隣接するものの間にあり、各第1のトレンチが第1の電位にあるゲート電極を含み、各第2のトレンチが第2の電位にあるフィールドプレートを含む、パワーデバイス領域を形成することと、
電流感知領域を前記半導体基板内に形成することであって、前記第1のトレンチの部分集合、前記第2のトレンチの部分集合、及び前記半導体メサの部分集合が前記電流感知領域及び前記パワーデバイス領域の両方に共通している、電流感知領域を形成することと、
を含み、
前記パワーデバイスを形成することが、前記第2のトレンチを、前記電流感知領域の、対向する第1及び第2の側面に沿って分断されているように形成し、これにより、前記フィールドプレートが前記パワーデバイス領域と前記電流感知領域との間で分断されているようにすることを含む、方法。
【請求項13】
前記半導体基板の上方の金属配線層を形成することをさらに含み、前記金属配線層が、前記パワーデバイス領域内で前記半導体メサ及び前記フィールドプレートの両方に電気接続された第1のコンタクトパッド、並びに前記第1のコンタクトパッドと分離しており、前記電流感知領域内で前記半導体メサ及び前記フィールドプレートの両方に電気接続された第2のコンタクトパッドを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
第1の導電型のドーパントを前記半導体メサ内に注入し、ソース又はエミッタ領域を形成することと、
前記第1の導電型と反対の第2の導電型のドーパントを前記半導体メサ内に注入し、本体領域を形成することと、
前記第2の導電型の前記ドーパントを前記半導体メサから省くか、又は前記第2の導電型の前記ドーパントを、前記電流感知領域を横方向に包囲する周辺領域内で前記第1の導電型の前記ドーパントによってオフセットすることと、
をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記第2のトレンチが前記電流感知領域の前記第1の側面に沿って分断されている領域内で前記第1のトレンチを接続する第1の交差トレンチを形成することと、
前記第2のトレンチが前記電流感知領域の前記第2の側面に沿って分断されている領域内で前記第1のトレンチを接続する第2の交差トレンチを形成することと、
をさらに含み、
前記第1の交差トレンチ、前記第2の交差トレンチ、前記電流感知領域の第3の側面の最も近くに配設された前記第1のトレンチ、及び前記第3の側面の反対側にある前記電流感知領域の第4の側面の最も近くに配設された前記第1のトレンチが前記電流感知領域を横方向に包囲しており、これにより、前記電流感知領域内の本体領域が、前記電流感知領域を横方向に包囲する前記トレンチによって前記パワーデバイス領域内で本体領域から切り離されている、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記第1のトレンチを、前記電流感知領域の前記第1及び第2の側面に沿って分断されるように形成することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記半導体基板の上方の金属配線層を形成することであって、前記金属配線層が、前記パワーデバイス領域内で前記半導体メサ及び前記フィールドプレートの両方に電気接続された第1のコンタクトパッド、前記第1のコンタクトパッドと分離しており、前記電流感知領域内で前記半導体メサ及び前記フィールドプレートの両方に電気接続された第2のコンタクトパッド、並びに前記第1のトレンチが分断されている第1の領域の上に配設された第1のゲートランナを含む、金属配線層を形成することと、
前記第1の領域内で分断された前記第1のトレンチ内の前記ゲート電極を前記分断の両端部において前記第1のゲートランナに電気接続することと、
をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第1のゲートランナが前記第1のコンタクトパッドと前記第2のコンタクトパッドとの間に介在させられている、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記金属配線層が、前記第1のゲートランナと分離した少なくとも1つの追加のゲートランナをさらに含み、前記方法が、
前記第1のトレンチ内の前記ゲート電極を前記少なくとも1つの追加のゲートランナに電気接続することをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記第2のトレンチが前記電流感知領域の前記第1の側面に沿って分断されている領域内で前記第1のトレンチを接続する第1の交差トレンチを形成することと、
前記第2のトレンチが前記電流感知領域の前記第2の側面に沿って分断されている領域内で前記第1のトレンチを接続する第2の交差トレンチを形成することと、
をさらに含み、
前記第1の交差トレンチ、前記第2の交差トレンチ、前記電流感知領域の第3の側面の最も近くに配設された前記第1のトレンチ、及び前記第3の側面の反対側にある前記電流感知領域の第4の側面の最も近くに配設された前記第1のトレンチが前記電流感知領域を横方向に包囲しており、これにより、前記電流感知領域内の本体領域が、前記電流感知領域を横方向に包囲する前記トレンチによって前記パワーデバイス領域内で本体領域から切り離されている、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記第2の交差トレンチと平行に延びており、それと隣接している第3の交差トレンチを形成することと、
前記第3の相互接続トレンチを介して、前記第2のトレンチが前記電流感知領域の前記第2の側面に沿って分断されている前記領域内における前記第1のトレンチ内の前記ゲート電極を前記分断の第1の端部において接続することと、
前記第2の相互接続トレンチを介して、前記第2のトレンチが前記電流感知領域の前記第2の側面に沿って分断されている前記領域内における前記第1のトレンチ内の前記ゲート電極を前記第1の端部の反対の前記分断の第2の端部において接続することと、
をさらに含む、請求項20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
電流ミラーが、パワーMOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor(酸化金属半導体電界効果トランジスタ))、IGBT(insulated gate bipolar transistor(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ))、SiCパワートランジスタ等などのパワートランジスタのための電流センサとして広く用いられている。チップ(ダイ)に印加されるソース/エミッタ電位は、電流感知パッド及び主ソース/エミッタパッドへの分離した接触を可能にするために、能動デバイス領域の部分内で、2つの部分に分離される。ストライプトレンチ構成を有するトランジスタセルの場合には、電流ミラーセルをパワートランジスタ(負荷)セルに対して隔離することに問題が生じる。クロストレンチを用いることによって、熱、電流、及び、IGBTの場合には、電子-正孔プラズマ結合を低減することなく、感知及びパワーデバイスセルの間の絶縁が改善される。
【0002】
アプローチによっては、p型本体ドーピングが、例えばリソグラフィによって、パワーデバイス領域を電流感知領域から分離する半導体メサの領域内で分断される。ストライプ状コンタクトの場合には、コンタクトストライプもパワーデバイスと電流感知領域との間で分断されなければならない。場合によっては、デバイスはトレンチを有し得、トレンチ内のポリシリコンは負荷ソース/エミッタ電位に接触させられており、それに対して、電流感知領域内の半導体メサは感知ソース/エミッタ電位に接触させられている。このような構成は、主(負荷)セルと電流感知セルとの間の望ましくない容量結合を生じさせる。
【0003】
上述されたアプローチは、動作点に依存して、異なる蓄積及び反転層がゲートにおいて生じ得るため、主(負荷)セルと電流感知セルとの間の比較的複雑な絶縁構造を必要とする。さらに、デバイスの設計をさらに複雑にする、半導体メサに沿った寄生pnp構造が存在し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
それゆえ、同じ半導体デバイス内に集積された主(負荷)トランジスタセルと電流感知セルとの間の、改善された隔離アプローチが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
半導体デバイスの一実施形態によれば、半導体デバイスは、半導体基板内に形成されており、長さ方向に互いに平行に延びる複数の第1のトレンチ及び複数の第2のトレンチを含むパワーデバイス領域であって、半導体メサがトレンチのうちの隣接するものの間にあり、各第1のトレンチが第1の電位におけるゲート電極を含み、各第2のトレンチが第2の電位におけるフィールドプレートを含む、パワーデバイス領域と、半導体基板内に形成された電流感知領域と、を含み、第1のトレンチの部分セット、第2のトレンチの部分セット、及び半導体メサの部分セットは電流感知領域及びパワーデバイス領域の両方に共通しており、第2のトレンチは、電流感知領域の、反対の第1及び第2の側面に沿って分断されており、これにより、フィールドプレートはパワーデバイス領域と電流感知領域との間で分断されている。
【0006】
半導体デバイスを製作する方法の一実施形態によれば、本方法は、パワーデバイス領域を半導体基板内に形成することであって、パワーデバイス領域が、長さ方向に互いに平行に延びる複数の第1のトレンチ及び複数の第2のトレンチを含むパワーデバイス領域であって、半導体メサがトレンチのうちの隣接するものの間にあり、各第1のトレンチが第1の電位におけるゲート電極を含み、各第2のトレンチが第2の電位におけるフィールドプレートを含む、形成することと、電流感知領域を半導体基板内に形成することであって、第1のトレンチの部分セット、第2のトレンチの部分セット、及び半導体メサの部分セットが電流感知領域及びパワーデバイス領域の両方に共通している、形成することと、を含み、パワーデバイスを形成することは、第2のトレンチを、電流感知領域の、反対の第1及び第2の側面に沿って分断されているように形成し、これにより、フィールドプレートがパワーデバイス領域と電流感知領域との間で分断されているようにすることを含む。
【0007】
当業者は、以下の詳細な説明を読み、添付の図面を見れば、追加の特徴及び利点を認識するであろう。
【0008】
図面の要素は必ずしも互いに対して原寸に比例しているとは限らない。同様の参照符号は、対応する類似の部分を指定する。様々な例示された実施形態の特徴は、それらが互いを排除しない限り、組み合わせることができる。実施形態は図面において示され、以下の説明において詳述される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】
図1Aは半導体デバイスの一実施形態の部分平面図を示す。
【
図1B】
図1Bは、
図1AにおけるA-A’と標識された線に沿った半導体デバイスの断面図を示す。
【
図1C】
図1Cは、
図1AにおけるB-B’と標識された線に沿った半導体デバイスの断面図を示す。
【
図2A】
図2Aは、半導体デバイスの別の実施形態の部分平面図を示す。
【
図2B】
図2Bは、
図2AにおけるC-C’と標識された線に沿った半導体デバイスの断面図を示す。
【
図2C】
図2Cは、
図2AにおけるD-D’と標識された線に沿った半導体デバイスの断面図を示す。
【
図3】
図3は、半導体デバイスの別の実施形態の部分平面図を示す。
【
図4】
図4は、半導体デバイスのパワーデバイス領域と電流感知領域との間の境界領域内における、ゲートトレンチ及びエミッタ/ソーストレンチの一実施形態の簡略平面図を示す。
【
図5】
図5は、半導体デバイスのパワーデバイス領域と電流感知領域との間の境界領域内における、ゲートトレンチ及びエミッタ/ソーストレンチの別の実施形態の簡略平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書において説明されるのは、同じ半導体デバイス内に集積された主(負荷)トランジスタセルと電流感知セルとの間の隔離を改善するための実施形態である。実施形態は、別個に、又は互いに組み合わせて用いられ得る、トレンチ分断及びクロストレンチを含む。トレンチ分断のアプローチは、デバイスのパワーデバイス領域内の主(負荷)エミッタ/ソース電位に割り当てられたトレンチを、デバイスの電流感知領域内の感知パッド電位に割り当てられたトレンチと分離することを含む。クロストレンチのアプローチは、クロストレンチを用いて、メサ/トレンチに沿った隔離の連鎖を単純にし、寄生結合を最小限に抑える仕方で、主パワートランジスタの本体領域を電流感知デバイスの本体領域から隔離することを含む。この場合も先と同様に、トレンチ分断及びクロストレンチのアプローチは、別個に、又は互いに組み合わせて用いられ得る。
【0011】
いずれの場合にも、本明細書において説明される隔離技法は、半導体メサに沿った、及び/又はソース/エミッタトレンチに沿った等電位(ゲート電位及び/又はソース/エミッタ電位)を分断し、電流感知デバイスを主パワートランジスタからより良好に隔離する。実施形態によっては、本体及びメサ注入のために通例必要とされる2つのリソグラフィプロセスステップを省くことができる。さらに、電流感知領域内のソース/エミッタトレンチが感知パッド電位に設定されたときには、より高いESD(electrostatic discharge(静電気放電))強度がデバイスの電流感知領域内で観察された。これは、電流感知領域内のトレンチ及びメサ電位のより良好な同期によるものである。
【0012】
図を参照して次に説明されるのは、同じ半導体デバイス内に集積された主(負荷)トランジスタセルと電流感知セルとの間の隔離を改善するための技法の例示的な実施形態である。
【0013】
図1Aは、半導体デバイス100の一実施形態の部分平面図を示す。
図1Bは、
図1AにおけるA-A’と標識された線に沿った半導体デバイス100の断面図を示す。
図1Cは、
図1AにおけるB-B’と標識された線に沿った半導体デバイス100の断面図を示す。
【0014】
半導体デバイス100は、半導体基板106内に形成されたパワーデバイス領域102及び電流感知領域104を含む。半導体基板106は、パワーMOSFET、IGBT、SiCトランジスタ等などの半導体デバイスを形成するために用いられる、種々の半導体材料のうちの1種以上を含み得る。例えば、半導体基板106は、シリコン(Si)、炭化ケイ素(SiC)、ゲルマニウム(Ge)、シリコンゲルマニウム(SiGe)、窒化ガリウム(GaN)、ヒ化ガリウム(GaAs)、及び同様のものを含み得る。半導体基板106はバルク半導体材料であり得るか、又はバルク半導体材料上に成長させられた1つ以上のエピタキシャル層を含み得る。
【0015】
半導体基板106内に形成された第1のトレンチ108及び第2のトレンチ110が長さ方向に互いに平行に延びており、半導体メサ112がトレンチ108、110のうちの隣接するものの間に閉じ込められている。各第1のトレンチ108は、第1の電位における、及びゲート絶縁膜107によって半導体基板106と分離されたゲート電極「G」を含む。各第2のトレンチ110は、第2の電位における、及びフィールド絶縁膜109によって半導体基板106と分離されたフィールドプレート「S」を含む。電位は異なるか、又は独立し得る。例えば、第1の電位はゲート電位であり得、第2の電位はソース又はエミッタ電位であり得る。いずれにしても、第1のトレンチ108の部分セット、第2のトレンチ110の部分セット、及び半導体メサ112の部分セットは、電流感知領域104及びパワーデバイス領域102の両方に共通しているか、又はそれらによって共有されている。
【0016】
パワートランジスタセルがパワーデバイス領域102内に形成されており、電流感知セルが電流感知領域104内に形成されている。例えば、パワーMOSFETセル、IGBTセル、SiCトランジスタセル等が、パワーデバイス領域102内に形成され得る。電流感知セルは、パワーデバイス領域102内を流れる電流を反映する。
【0017】
図1A~
図1Cに示されるパワーデバイス領域102は、ストライプ状の第1及び第2のトレンチ108、110並びにストライプ状の半導体メサ112によって規定された複数のストライプ状セルを有する、IGBTデバイスとして示されている。電流感知領域104は、パワーデバイス領域102と同じセルベースの構成であるが、パワーデバイス領域102と比べて、より少数のセル、例えば、1/10、1/100、1/1000、又はさらにより少数のセルを有する構成を有し得る。
【0018】
IGBTデバイスの場合には、パワーデバイス領域102内のパワートランジスタセル及び電流感知領域104内の電流感知セルは、第1の導電型のエミッタ領域114、第1の導電型と反対の第2の導電型の本体領域116、第1の導電型のドリフトゾーン118、及び第2の導電型のコレクタ領域120をさらに含む。チャネルがゲートトレンチ108に沿って本体領域116内に生じ、パワーデバイス領域102及び電流感知領域104の両方の内部における、エミッタ領域114とドリフトゾーン118との間の導電接続をもたらす。チャネルは、ゲート電極「G」に印加される電圧によって制御される。IGBTデバイスは、ドリフトゾーン118とコレクタ領域120との間の第1の導電型のフィールドストップ領域122をさらに含み得、フィールドストップ領域122は、ドリフトゾーン118よりも高いドーピング濃度を有する。
【0019】
別の種類のパワートランジスタがパワーデバイス領域102内に実施されてもよい。例えば、パワーMOSFET又はSiCトランジスタがパワーデバイス領域102内に実施されてもよい。パワーMOSFET又はSiCトランジスタの場合には、第2の導電型のコレクタ領域120は第1の導電型のドレイン領域によって置換され、フィールドストップ領域122は省かれ、エミッタ領域114は代わりにソース領域となる。例えば、JFET(junction field-effect transistor(接合型電界効果トランジスタ))デバイスなどの、さらに他の種類のパワートランジスタがパワーデバイス領域102内に実施されてもよい。
【0020】
以上において説明されたように、半導体基板106の電流感知領域104内に形成された電流感知デバイスは、パワーデバイス領域102内を流れる電流を反映し、通例、セル数はより少ないものの、主パワートランジスタと同じセル構成を有する。第1及び第2の導電型は、半導体デバイス100がpチャネルデバイスであるのか、それともnチャネルデバイスであるのかに依存する。nチャネルデバイスの場合には、第1の導電型はn型であり、第2の導電型はp型である。pチャネルデバイスの場合には、第1の導電型はp型であり、第2の導電型はn型である。
【0021】
半導体基板106の背面における第1の金属配線層124が、主パワートランジスタ及び電流感知デバイスの両方のコレクタ/ドレイン電位をセルに提供する。少なくとも1つの層間絶縁膜128によって半導体基板106の前面から分離された、第2の金属配線層126が、ゲート電位を主パワートランジスタ及び電流感知デバイスの両方のセルに提供し、エミッタ/ソース電位を主パワートランジスタのセルに提供し、及び電流感知接続を、電流感知領域104内に形成された電流感知デバイスのセルに提供する。
【0022】
第2の金属配線層126及び層間絶縁膜128は
図1Aに示されず、半導体基板106内に形成されたパワーデバイス領域102及び電流感知領域104の、遮るもののない図を提供している。
図1Aにおける破線の枠によって指示されるように、第2の金属配線層126は、層間絶縁膜128内の対応する開口部を通して半導体基板106のパワーデバイス領域102内の半導体メサ112及びフィールドプレート「S」の両方に電気接続された第1のコンタクトパッド「主ソース/エミッタパッド」130と、第1のコンタクトパッド130と分離しており、層間絶縁膜128内の追加の開口部を通して半導体基板106の電流感知領域104内の半導体メサ112及びフィールドプレート「S」の両方に電気接続された第2のコンタクトパッド132「電流感知パッド」とを含み得る。
【0023】
図1A及び
図1Cに示されるように、第2のトレンチ110は、電流感知領域104の、反対の第1及び第2の側面S1、S2に沿って分断されており、これにより、フィールドプレート「S」はパワーデバイス領域102と電流感知領域104との間で分断されている。パワーデバイス領域102内のフィールドプレート「S」及びエミッタ/ソース領域114は、層間絶縁膜128内の第1の開口部を通して第2の金属配線層126の第1のコンタクトパッド130に接続されており、電流感知領域104内のフィールドプレート「S」及びエミッタ/ソース領域114は、層間絶縁膜128内の第2の開口部を通して第2の金属配線層126の第2のコンタクトパッド132に接続されている。
【0024】
電流感知領域104内のフィールドプレート「S」及びエミッタ/ソース領域114が第2のコンタクトパッド132と同じ電位にあることを確実にすることによって、電流感知領域104内の半導体メサ112とフィールドプレート「S」との間には電位差が生じず、さもなければ電流センサの動的性能における干渉/ノイズを生み出し得る、パワーデバイス領域102との容量結合を回避する。これは、スイッチング時間(非定常状態)の間に、並びに主パワートランジスタ及び電流センサのソース/エミッタ経路が寄生に関して整合していないときは常に、特に有益である。
【0025】
スイッチング速度/スイッチング勾配、例えば、0.5~50V/nsの範囲内のdV/dt、0.1~30A/nsのdi/dt等が、通例はマイクロ秒範囲内でスイッチングされる、パワートランジスタのためには重要である。例えば、500Aの負荷電流及び1対1000の電流感知面積比については、感知電流は約0.5Aである。負荷及び感知電流は同時にオフにスイッチングされ、その結果、主パワートランジスタは、1000倍高いスイッチング速度を有する。di/dtは、漂遊インダクタンスと関連して高くなり得、且つ主パワートランジスタ及び電流感知デバイスのソース/エミッタ電位の間の不整合を生じさせ得る、過電圧を招く。これらの問題は、電流感知領域104内のフィールドプレート「S」及びエミッタ/ソース領域114を、第2の金属配線層126の第2のコンタクトパッド132と同じ電位に接続することによって回避される。
【0026】
電流感知領域104の、反対の第1及び第2の側面S1、S2に沿って、第2のトレンチ110を分断し、電流感知領域104内のフィールドプレート「S」及びエミッタ/ソース領域114を第2のコンタクトパッド132と同じ電位に接続することはまた、ESD(静電気放電)人体モデル性能に、測定された改善をももたらし、この場合、第2のコンタクトパッド132と主トランジスタエミッタ/ソース電位との間の少なくとも2kVの絶縁を含む、より高い耐久性が観察された。
【0027】
第2のトレンチ110は、標的領域内における半導体基板106内への第2のトレンチ110のエッチングを防止するフォトマスクを用いて、電流感知領域104の、反対の第1及び第2の側面S1、S2に沿って分断され得る。エミッタ/ソース領域112もまた、
図1A~
図1Cにおける電流感知領域104の第1及び第2の側面S1、S2に沿って分断されており、これにより、エミッタ/ソース領域112はパワーデバイス領域102と電流感知領域104との間で分断されている。
【0028】
同じく
図1A~
図1Cに示されるように、第2の導電型のドーパントは半導体メサ112から省かれているか、又は電流感知領域104を横方向に包囲する周辺領域134内の第1の導電型のドーパントによってオフセットされ得る。本実施形態によれば、本体領域116はパワーデバイス領域102と電流感知領域104との間で不連続であり、さらなる切り離しをもたらす。主パワートランジスタ及び電流センサの両方のエミッタ/ソース領域114は、第1の導電型のドーパントを、パワーデバイス領域102内、及び電流感知領域104内の半導体メサ112内に注入することによって形成され得る。主パワートランジスタ及び電流センサの両方の本体領域116は、第2の導電型のドーパントを、パワーデバイス領域102内、及び電流感知領域104内の半導体メサ112内に注入することによって形成され得る。
【0029】
本体領域116は、例えば、本体領域116の形成の間にフォトリソグラフマスクを用いて、第2の導電型のドーパントを周辺領域134内の半導体メサ112から省くことによって、電流感知領域104を横方向に包囲する周辺領域134内で分断され得る。別の実施形態では、本体領域の注入は周辺領域134内で阻止されないが、代わりに、第2の導電型のドーパントは、例えば、第2の型のドーパントと同じ、又はそれよりも高い濃度の第1の型のドーパントを周辺領域134内に注入することによって、周辺領域134内の第1の導電型のドーパントによってオフセットされる。
【0030】
図2Aは、半導体デバイス200の別の実施形態の部分平面図を示す。
図2Bは、
図2AにおけるC-C’と標識された線に沿った半導体デバイス200の断面図を示す。
図2Cは、
図2AにおけるD-D’と標識された線に沿った半導体デバイス200の断面図を示す。
【0031】
図2A~
図2Cに示される半導体デバイス200は、
図1A~
図1Cに示される半導体デバイス100と類似している。しかし、異なるのは、
図2A~
図2Cに示される半導体デバイス200は、第2のトレンチ110が電流感知領域104の第1の側面S1に沿って分断されている周辺領域134内の第1のトレンチ108を接続する第1の交差トレンチ202をさらに含むことである。
図2A~
図2Cに示される半導体デバイス200はまた、第2のトレンチ110が電流感知領域104の第2の側面S2に沿って分断されている周辺領域134内の第1のトレンチ108を接続する第2の交差トレンチ204を含む。
【0032】
図2A~
図2Cに示される実施形態によれば、第1の交差トレンチ202、第2の交差トレンチ204、電流感知領域104の第3の側面S3の最も近くに配設された第1のトレンチ108’、及び第3の側面S3と反対の電流感知領域104の第4の側面S4の最も近くに配設された第1のトレンチ108’’は全て互いに接続され、電流感知領域104を横方向に包囲しており、これにより、電流感知領域104内の本体領域116は、電流感知領域104を横方向に包囲するトレンチ202、204、108’、108’’によってパワーデバイス領域102内の本体領域116から切り離されている。パワーデバイス領域102と電流感知領域104との間にもたらされる、本体領域、ひいてはソース/エミッタの隔離は、トレンチ202、204、108’、108’’の、及び広範な動作条件に耐えることができる誘電体絶縁107、109によってもたらされる。
【0033】
パワーデバイス領域102と電流感知領域104との間の本体領域の切り離しをもたらすべく、電流感知領域104を横方向に包囲する周辺領域134内の第2の導電型のドーパントを省くか、又はオフセットするための、追加のステップが取られることは必ずしも必要でなく、2つのリソグラフィプロセスステップを不要にする。すなわち、パワーデバイス領域102の本体領域116は、電流感知領域104を横方向に包囲する周辺領域134内へ延びていてもよいが、
図2B及び
図2Cに示されるように、トレンチ構造202、204、108’、108’’が本体領域116よりも半導体基板106内へ深く延びることができるため、電流感知領域104を横方向に包囲するトレンチ構造202、204、108’、108’’によって、依然として電流感知領域104内の本体領域116から分離されている。
【0034】
図3は、半導体デバイス300の別の実施形態の部分平面図を示す。
図3に示される半導体デバイス300は、
図2A~
図2Cに示される半導体デバイス200と類似している。しかし、異なるのは、第1のトレンチ108を、電流感知領域104の、反対の第1及び第2の側面S1、S2に沿って分断することによって、さらなる隔離レベルがもたらされていることである。第1のトレンチ108は第1及び第2の分断領域において分断されており、第2のトレンチ110は第3及び第4の分断領域において分断されており、第1及び第2の分断領域は、トレンチ108、110の長さ方向に沿って第3及び第4の分断領域から横方向にオフセットしている。第1のトレンチ108は、標的領域内における半導体基板106内への第1のトレンチ108のエッチングを防止することによって、リソグラフィを用いて分断され得る。
【0035】
図3に示される実施形態によれば、半導体基板106の上方の金属配線層126はまた、第1のトレンチ108が分断されている第1の領域の上に配設された第1のゲートランナ302を含む。
図3には、ゲートランナ302の外形のみが示され、半導体基板106内に形成されたパワーデバイス領域102及び電流感知領域104の、遮るもののない図を提供している。
【0036】
第1のトレンチ108は第1のゲートランナ302の下で分断されている。ゲート電位が第1のゲートランナ302によってこの領域内の第1のトレンチ108の両方のセグメントに提供されるが、第1のトレンチ108は、さもなければ、この領域内の半導体基板106内で分断されている。第1の領域内で分断された第1のトレンチ108内のゲート電極「G」は、金属配線層126を半導体基板106から分離する層間絶縁膜128内の対応する開口部を通して、分断の両端部304、306において第1のゲートランナ302に電気接続されている。一実施形態では、第1のゲートランナ302は金属配線層126の第1のコンタクトパッド130と第2のコンタクトパッド132との間に介在させられている。半導体基板106内に形成されたパワーデバイス領域102及び電流感知領域104の、遮るもののない図を提供するために、
図3には、第1のコンタクトパッド130及び第2のコンタクトパッド132の外形のみが示されている。
【0037】
金属配線層126は、第1のゲートランナ302と分離した少なくとも1つの追加のゲートランナをさらに含み得る。パワーデバイス領域102内のゲート電極「G」のための冗長な電気接続性をもたらすために、パワーデバイス領域102内のゲート電極「G」は第1のゲートランナ302及び少なくとも1つの追加のゲートランナの両方に電気接続されている。
図3は部分平面図であり、それゆえ、少なくとも1つの追加のゲートランナは視野外にあるが、パワーデバイス領域102内のゲート電極「G」のための別のゲート接続点を提供するために半導体基板106の別の部分の上に位置付けられていてもよい。
【0038】
半導体デバイス300は、第2のトレンチ110が電流感知領域104の第1の側面S1に沿って分断されている領域内の第1のトレンチ108を接続する第1の交差トレンチ308と、第2のトレンチ110が電流感知領域104の第2の(反対の)側面S2に沿って分断されている領域内の第1のトレンチ108を接続する第2の交差トレンチ310とを含み得る。第1の交差トレンチ308、第2の交差トレンチ310、電流感知領域104の第3の側面S3の最も近くに配設された第1のトレンチ108’、及び第3の側面S3と反対の電流感知領域104の第4の側面S4の最も近くに配設された第1のトレンチ108’’は電流感知領域104を横方向に包囲しており、これにより、電流感知領域104内の本体領域116は、電流感知領域104を横方向に包囲するトレンチ308、310、108’、108’’によって、パワーデバイス領域102内の本体領域116から切り離されている。
【0039】
一実施形態によれば、第3の交差トレンチ312が第2の交差トレンチ310と平行に延びており、それと隣接している。第3の相互接続トレンチ312は、第2のトレンチ110が電流感知領域104の第2の側面S2に沿って分断されている領域内における第1のトレンチ108内のゲート電極「G」を分断の第1の端部314において接続している。第2の相互接続トレンチ310は、第2のトレンチ110が電流感知領域104の第2の側面S2に沿って分断されている領域内における、第1のトレンチ108内のゲート電極「G」を、第1の端部314と反対の分断の第2の端部316において接続している。
【0040】
第1のトレンチ108を、電流感知領域104の第2の側面S2に沿って、及びゲート電極「G」と交差することによって、パワーデバイス領域102と電流感知領域104との間で分離することは、第1のトレンチ108内のゲート電極「G」が、例えば、第1のゲートランナ302を介して電流感知領域104の第1の側面S1及び電流感知領域104の第2の側面S2に沿って、複数の場所で接触させられるという点で、ゲート接触の冗長性をもたらす。
【0041】
図4は、パワーデバイス領域102と電流感知領域104との間の境界領域内における第1のトレンチ108及び第2のトレンチの別の実施形態の簡略平面図を示し、トレンチ電極及びドープデバイス領域は、説明を容易にするために省かれている。本実施形態によれば、第2のトレンチ110は、トレンチ108、110の長さ方向の延長(
図4におけるy方向)と垂直な方向(
図4におけるx方向)に千鳥状の様態で分断されている。第1のトレンチは、トレンチ108、110の幅方向の延長(
図4におけるx方向)に沿って、はしご様の様態で第2のトレンチ110の千鳥状の分断の間で接続されている。
【0042】
図5は、パワーデバイス領域102と電流感知領域104との間の境界領域内における第1のトレンチ108及び第2のトレンチの別の実施形態の簡略平面図を示し、トレンチ電極及びドープデバイス領域は、説明を容易にするために省かれている。本実施形態によれば、電流感知領域104内の第1及び第2のトレンチ108、110は、パワーデバイス領域102内の第1及び第2のトレンチ108、110に対してトレンチ108、110の長さ方向(
図5におけるy方向)に1つのトレンチ位置分、オフセットしている、又は移動させられている。
【0043】
本開示は、このように限定されるわけではないが、以下の番号付けされた実施例は、本開示の1つ以上の態様を示す。
【実施例0044】
実施例1. 半導体基板内に形成されており、長さ方向に互いに平行に延びる複数の第1のトレンチ及び複数の第2のトレンチを含むパワーデバイス領域であって、半導体メサがトレンチのうちの隣接するものの間にあり、各第1のトレンチが第1の電位にあるゲート電極を含み、各第2のトレンチが第2の電位にあるフィールドプレートを含む、パワーデバイス領域と、半導体基板内に形成された電流感知領域と、を含み、第1のトレンチの部分集合、第2のトレンチの部分集合、及び半導体メサの部分集合が電流感知領域及びパワーデバイス領域の両方に共通しており、第2のトレンチが、電流感知領域の対向する第1及び第2の側面に沿って分断されており、これにより、フィールドプレートがパワーデバイス領域と電流感知領域との間で分断されている、半導体デバイス。
【0045】
実施例2. 半導体基板の上方の金属配線層をさらに含み、金属配線層が、パワーデバイス領域内の半導体メサ及びフィールドプレートの両方に電気接続された第1のコンタクトパッド、並びに第1のコンタクトパッドと分離しており、電流感知領域内の半導体メサ及びフィールドプレートの両方に電気接続された第2のコンタクトパッドを含む、実施例1の半導体デバイス。
【0046】
実施例3. 半導体メサが、第1の導電型のドーパントによって形成されたソース又はエミッタ領域、及び第1の導電型と反対の第2の導電型のドーパントによって形成された本体領域を含み、第2の導電型のドーパントが半導体メサから省かれているか、又は電流感知領域を横方向に包囲する周辺領域内の第1の導電型のドーパントによってオフセットされている、実施例1又は2の半導体デバイス。
【0047】
実施例4. 第2のトレンチが電流感知領域の第1の側面に沿って分断されている領域内で第1のトレンチを接続する第1の交差トレンチと、第2のトレンチが電流感知領域の第2の側面に沿って分断されている領域内で第1のトレンチを接続する第2の交差トレンチと、をさらに含み、半導体メサが、第1の導電型のソース又はエミッタ領域、及び第1の導電型と反対の第2の導電型の本体領域を含み、第1の交差トレンチ、第2の交差トレンチ、電流感知領域の第3の側面の最も近くに配設された第1のトレンチ、及び第3の側面の反対側にある電流感知領域の第4の側面の最も近くに配設された第1のトレンチが電流感知領域を横方向に包囲しており、これにより、電流感知領域内の本体領域が、電流感知領域を横方向に包囲するトレンチによってパワーデバイス領域内で本体領域から切り離されている、実施例1~3のうちのいずれかの半導体デバイス。
【0048】
実施例5. 第1のトレンチが電流感知領域の第1及び第2の側面に沿って分断されている、実施例1~4のいずれかの半導体デバイス。
【0049】
実施例6. 第1のトレンチが第1及び第2の分断領域において分断されており、第2のトレンチが第3及び第4の分断領域において分断されており、第1及び第2の分断領域がトレンチの長さ方向に沿って第3及び第4の分断領域から横方向にオフセットしている、実施例5の半導体デバイス。
【0050】
実施例7. 半導体基板の上方の金属配線層をさらに含み、金属配線層が、パワーデバイス領域内で半導体メサ及びフィールドプレートの両方に電気接続された第1のコンタクトパッド、第1のコンタクトパッドと分離しており、電流感知領域内で半導体メサ及びフィールドプレートの両方に電気接続された第2のコンタクトパッド、並びに第1のトレンチが分断されている第1の領域の上に配設された第1のゲートランナ、を含み、第1の領域内で分断された第1のトレンチ内のゲート電極が分断の両端部において第1のゲートランナに電気接続されている、実施例5又は6の半導体デバイス。
【0051】
実施例8. 第1のゲートランナが第1のコンタクトパッドと第2のコンタクトパッドとの間に介在させられている、実施例7の半導体デバイス。
【0052】
実施例9. 金属配線層が、第1のゲートランナと分離した少なくとも1つの追加のゲートランナをさらに含み、第1のトレンチ内のゲート電極が少なくとも1つの追加のゲートランナに電気接続されている、実施例7又は8の半導体デバイス。
【0053】
実施例10. 第2のトレンチが電流感知領域の第1の側面に沿って分断されている領域内で第1のトレンチを接続する第1の交差トレンチと、第2のトレンチが電流感知領域の第2の側面に沿って分断されている領域内で第1のトレンチを接続する第2の交差トレンチと、をさらに含み、半導体メサが、第1の導電型のソース又はエミッタ領域、及び第1の導電型と反対の第2の導電型の本体領域を含み、第1の交差トレンチ、第2の交差トレンチ、電流感知領域の第3の側面の最も近くに配設された第1のトレンチ、及び第3の側面の反対側にある電流感知領域の第4の側面の最も近くに配設された第1のトレンチが電流感知領域を横方向に包囲しており、これにより、電流感知領域内の本体領域が、電流感知領域を横方向に包囲するトレンチによってパワーデバイス領域内で本体領域から切り離されている、実施例5~9のうちのいずれかの半導体デバイス。
【0054】
実施例11. 第2の交差トレンチと平行に延びており、それと隣接している第3の交差トレンチをさらに含み、第3の相互接続トレンチが、第2のトレンチが電流感知領域の第2の側面に沿って分断されている領域内における第1のトレンチ内のゲート電極を分断の第1の端部において接続しており、第2の相互接続トレンチが、第2のトレンチが電流感知領域の第2の側面に沿って分断されている領域内における第1のトレンチ内のゲート電極を第1の端部の反対の分断の第2の端部において接続している、実施例10の半導体デバイス。
【0055】
実施例12. 半導体デバイスを製作する方法であって、該方法が、パワーデバイス領域を半導体基板内に形成することであって、パワーデバイス領域が、長さ方向に互いに平行に延びる複数の第1のトレンチ及び複数の第2のトレンチを含むパワーデバイス領域であって、半導体メサがトレンチのうちの隣接するものの間にあり、各第1のトレンチが第1の電位にあるゲート電極を含み、各第2のトレンチが第2の電位にあフィールドプレートを含む、パワーデバイス領域を形成することと、電流感知領域を半導体基板内に形成することであって、第1のトレンチの部分集合、第2のトレンチの部分集合、及び半導体メサの部分集合が電流感知領域及びパワーデバイス領域の両方に共通している、電流感知領域を形成することと、を含み、パワーデバイスを形成することが、第2のトレンチを、電流感知領域の、対向する第1及び第2の側面に沿って分断されているように形成し、これにより、フィールドプレートがパワーデバイス領域と電流感知領域との間で分断されているようにすることを含む、方法。
【0056】
実施例13. 半導体基板の上方の金属配線層を形成することをさらに含み、金属配線層が、パワーデバイス領域内で半導体メサ及びフィールドプレートの両方に電気接続された第1のコンタクトパッド、並びに第1のコンタクトパッドと分離しており、電流感知領域内で半導体メサ及びフィールドプレートの両方に電気接続された第2のコンタクトパッドを含む、実施例12の方法。
【0057】
実施例14. 第1の導電型のドーパントを半導体メサ内に注入し、ソース又はエミッタ領域を形成することと、第1の導電型と反対の第2の導電型のドーパントを半導体メサ内に注入し、本体領域を形成することと、第2の導電型のドーパントを半導体メサから省くか、又は第2の導電型のドーパントを、電流感知領域を横方向に包囲する周辺領域内で第1の導電型のドーパントによってオフセットすることと、をさらに含む、実施例12又は13の方法。
【0058】
実施例15. 第2のトレンチが電流感知領域の第1の側面に沿って分断されている領域内で第1のトレンチを接続する第1の交差トレンチを形成することと、第2のトレンチが電流感知領域の第2の側面に沿って分断されている領域内で第1のトレンチを接続する第2の交差トレンチを形成することと、をさらに含み、第1の交差トレンチ、第2の交差トレンチ、電流感知領域の第3の側面の最も近くに配設された第1のトレンチ、及び第3の側面の反対側にある電流感知領域の第4の側面の最も近くに配設された第1のトレンチが電流感知領域を横方向に包囲しており、これにより、電流感知領域内の本体領域が、電流感知領域を横方向に包囲するトレンチによってパワーデバイス領域内で本体領域から切り離されている、実施例12~14のいずれかの方法。
【0059】
実施例16. 第1のトレンチを、電流感知領域の第1及び第2の側面に沿って分断されるように形成することをさらに含む、実施例12~15のいずれかの方法。
【0060】
実施例17. 半導体基板の上方の金属配線層を形成することであって、金属配線層が、パワーデバイス領域内で半導体メサ及びフィールドプレートの両方に電気接続された第1のコンタクトパッド、第1のコンタクトパッドと分離しており、電流感知領域内で半導体メサ及びフィールドプレートの両方に電気接続された第2のコンタクトパッド、並びに第1のトレンチが分断されている第1の領域の上に配設された第1のゲートランナを含む、金属配線層を形成することと、第1の領域内で分断されている第1のトレンチ内のゲート電極を分断の両端部において第1のゲートランナに電気接続することと、をさらに含む、実施例16の方法。
【0061】
実施例18. 第1のゲートランナが第1のコンタクトパッドと第2のコンタクトパッドとの間に介在させられている、実施例17の方法。
【0062】
実施例19. 金属配線層が、第1のゲートランナと分離した少なくとも1つの追加のゲートランナをさらに含み、本方法が、第1のトレンチ内のゲート電極を少なくとも1つの追加のゲートランナに電気接続することをさらに含む、実施例17又は18の方法。
【0063】
実施例20. 第2のトレンチが電流感知領域の第1の側面に沿って分断されている領域内で第1のトレンチを接続する第1の交差トレンチを形成することと、第2のトレンチが電流感知領域の第2の側面に沿って分断されている領域内で第1のトレンチを接続する第2の交差トレンチを形成することと、をさらに含み、第1の交差トレンチ、第2の交差トレンチ、電流感知領域の第3の側面の最も近くに配設された第1のトレンチ、及び第3の側面の反対側にある電流感知領域の第4の側面の最も近くに配設された第1のトレンチが電流感知領域を横方向に包囲しており、これにより、電流感知領域内の本体領域が、電流感知領域を横方向に包囲するトレンチによってパワーデバイス領域内で本体領域から切り離されている、実施例16~19のいずれかの方法。
【0064】
実施例21. 第2の交差トレンチと平行に延びており、それと隣接している第3の交差トレンチを形成することと、第3の相互接続トレンチを介して、第2のトレンチが電流感知領域の第2の側面に沿って分断されている領域内における第1のトレンチ内のゲート電極を分断の第1の端部において接続することと、第2の相互接続トレンチを介して、第2のトレンチが電流感知領域の第2の側面に沿って分断されている領域内における第1のトレンチ内のゲート電極を第1の端部の反対の分断の第2の端部において接続することと、をさらに含む、実施例20の方法。
【0065】
「第1(first)」、「第2(second)」、及び同様のものなどの用語は、様々な要素、領域、区域などを記述するために用いられ、同じく、限定を意図されてはいない。本記載全体を通じて同様の用語は同様の要素を指す。
【0066】
本明細書で使用するとき、用語「~を有する(having)」、「~を包含する(containing)」、「~を含む(including)」、「~を含む(comprising)」及び同様のものは、述べられている要素又は特徴の存在を指示するが、追加の要素又は特徴を除外しないオープンエンドな用語である。冠詞「a」、「an」及び「the」は、文脈が別途明確に指示しない限り、複数形も単数形も含むことが意図される。
【0067】
本明細書においては、特定の実施形態が図示され及び説明されているが、種々の代替及び/又は同等の実装形態が、本発明の範囲から逸脱することなく、図示され及び説明されている特定の実施形態と置き換えられ得ることが、当業者によって理解されるであろう。本出願は、本明細書において説明されている特定の実施形態の任意の適応例又は変形例を包括することを意図されている。したがって、本発明は請求項及びそれらの均等物によってのみ限定されることが意図されている。