(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022084711
(43)【公開日】2022-06-07
(54)【発明の名称】高度な液体冷却シール構造
(51)【国際特許分類】
G06F 1/20 20060101AFI20220531BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20220531BHJP
G06F 1/16 20060101ALI20220531BHJP
H01L 23/473 20060101ALI20220531BHJP
F28F 1/00 20060101ALI20220531BHJP
【FI】
G06F1/20 E
H05K7/20 P
H05K7/20 U
H05K7/20 N
G06F1/16 312L
G06F1/16 312B
G06F1/20 A
G06F1/20 C
H01L23/46 Z
F28F1/00 D
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
【公開請求】
(21)【出願番号】P 2022034393
(22)【出願日】2022-03-07
(31)【優先権主張番号】17/195,013
(32)【優先日】2021-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516357421
【氏名又は名称】バイドゥ ユーエスエイ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Baidu USA LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ガオ ティエンイ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】冷却液体の漏れ検出・防止を行うシール材、冷却台及びシール材の製造方法を提供する。
【解決手段】第一層、第二層及び第三層で構成された多層シール材において、第一層は、水溶性着色剤を結合することによって漏れの視覚的検出を行う視覚的検出層400であり、第二層は、センサによって漏れの電気的検出を行い、水と接触すると水の中に分散して水の化学的性質及び/又は電気的性質を変化させる分散剤に結合される電気的検出層410であり、第三層は、水と接触すると膨張する吸水膨張材料で製造される漏れ防止層405である。3つの層は、漏れがまず第一層に到達し、次に第二層に到達し、最後に第三層に到達するように配置される。シール層の配置は、流体の流れ方向と関連付けられる。各層は、同列に配置された独立部品を形成するか又は単一のシールリングに結合する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性着色剤を含む視覚的漏れ検出層と、
水分散性電気的検出剤を含む電気的漏れ検出層と、
吸水膨張材料を含む膨張層と、
を含む、サーバラックに取り付けられた冷却システムのシール材。
【請求項2】
視覚的漏れ検出層は、水と接触すると溶解するように配置された圧縮着色粉末を含む、
請求項1に記載のシール材。
【請求項3】
前記電気的漏れ検出層は、水と接触すると分散して前記水の化学的性質、電気的性質および/または光学的性質を変化させることができる導電性ナノ粒子または化学試薬のうちの1つを含む、
請求項1に記載のシール材。
【請求項4】
前記電気的漏れ検出層は銅ナノ粒子を含む、
請求項3に記載のシール材。
【請求項5】
前記電気的漏れ検出層は化学変化剤を含む、
請求項3に記載のシール材。
【請求項6】
前記視覚的漏れ検出層、前記電気的漏れ検出層、および前記膨張層は単一のリングに結合されており、前記膨張層は前記リングのコアを形成し、前記視覚的漏れ検出層および前記電気的漏れ検出層は前記コアの上方に設けられる、
請求項1に記載のシール材。
【請求項7】
前記電気的漏れ検出層は前記コア内に含浸される、
請求項6に記載のシール材。
【請求項8】
前記視覚的漏れ検出層は第一帯を含み、前記電気的漏れ検出層は前記第一帯を囲む第二帯を含み、前記膨張層は前記第二帯を囲む第三帯を含む、
請求項1に記載のシール材。
【請求項9】
前記第一帯は圧縮着色粉末を含む、
請求項8に記載のシール材。
【請求項10】
第一ブロックおよび第二ブロックであって、前記第二ブロックが係合面で前記第一ブロックに取り付けられ、前記第一ブロックと前記第二ブロックとの間にチャンバが設けられ、前記第一ブロックおよび前記第二ブロックが前記係合面内に通路を形成するものと、
前記チャンバに流体を供給する給水口フックと、
前記チャンバの流体回路を形成する排水口フックと、
通路内に設けられたシール材であって、水溶性着色剤を結合することによって漏れの視覚的検出を行う第一層と、水と接触すると前記水の中に分散して前記水の化学的性質、光学的性質および/または電気的性質を変化させる分散剤に結合されており、センサによって漏れの電気的検出を行う第二層と、水と接触すると膨張する吸水膨張材料で製造される第三層とを含むものと、
を含む冷却台。
【請求項11】
水溶性着色剤を結合することによって漏れの視覚的検出を行う第一リング型層と、水と接触すると水の中に分散して前記水の化学的性質、光学的性質および/または電気的性質
を変化させる分散剤に結合されており、センサによって漏れの電気的検出を行う第二リング型層と、水と接触すると膨張する吸水膨張材料で製造される第三リング型層とを含む、排水口フック上に設けられたリング型シール材をさらに含む、
請求項10に記載の冷却台。
【請求項12】
前記第一層、前記第二層、および前記第三層は単一のリングに結合される、
請求項10に記載の冷却台。
【請求項13】
前記単一のリングは、前記第三層を形成する前記吸水膨張材料で製造されたコアを含み、前記第一層および前記第二層は、前記コアの上方に設けられる、
請求項12に記載の冷却台。
【請求項14】
前記第一層、前記第二層、および前記第三層は3つの同心リングを形成し、前記第一層は前記チャンバに最も近いリングを形成する、
請求項10に記載の冷却台。
【請求項15】
前記第一層、前記第二層、および前記第三層は、前記チャンバからの漏れがまず前記第一層に到達し、次に前記第二層に到達し、最後に前記膨張層に到達するように配置される、
請求項10に記載の冷却台。
【請求項16】
前記チャンバの前記流体回路を流れる水の化学的性質または電気的性質の変化を検出するように配置された電気センサをさらに含む、
請求項10に記載の冷却台。
【請求項17】
前記シール材と同心に設けられて前記シール材の周りに位置決めされるサブシールリングをさらに含む、
請求項10に記載の冷却台。
【請求項18】
吸水膨張材料を用いてコア層を形成することと、
水と接触すると前記水の中に分散して前記水の化学的性質、光学的性質および/または電気的性質を変化させる分散剤を用いて、前記コア層に電気的漏れ検出層を形成することと、
水溶性着色剤を用いて、前記電気的漏れ検出層に視覚的漏れ検出層を形成することと、
を含む、冷却システムおよび冷却機器のためのシール材の製造方法。
【請求項19】
前記電気的漏れ検出層を形成することは、前記コア層に導電性ナノ粒子または化学変化剤を塗布することを含む、
請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記視覚的漏れ検出層を形成することは、圧縮着色粉末を使用することを含む、
請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、一般に、サーバおよびデータセンター内の電子機器の冷却に関する。より具体的には、本発明の実施形態は、冷却液体の漏れ検出・防止を行うためのシール構造に関する。
【背景技術】
【0002】
冷却は、コンピュータシステムとデータセンターの設計プロセスにおける重要な要素である。高性能の電子部品(サーバにカプセル化された高性能プロセッサなど)の数が増加しているため、サーバの通常動作中に発生して消費される熱量が増加している。動作環境の温度が経時的に増加している場合は、データセンターで使用されるサーバの信頼性が低下する。適切な熱環境を維持することは、データセンターのサーバの通常動作、およびサーバの性能と耐用年数にとって重要である。従って、特に高性能サーバを冷却する場合は、より効率的かつ効果的な冷却ソリューションが必要とされる。
【0003】
電子機器の冷却は、コンピューティングハードウェア、およびCPUサーバ、GPUサーバ、ストレージサーバ、ネットワークデバイス、エッジ/モバイルシステム、車載コンピューティングボックスなどの他の電子機器にとって重要である。これらのデバイスとコンピュータのすべては、会社の日常業務運営の基盤となる重要な業務に使用される。性能要件を継続的にサポートするために、ハードウェアコンポーネントと電子パッケージの設計を改善する必要がある。これらの電子機器の冷却は、適切な設計および信頼性の高い熱環境を継続的に提供することによって、それらが正常に動作していることを確保するのにますます困難になってきている。
【0004】
多くの高度なチップ(特に高電力密度チップ)は、液体冷却を必要とする。これらのチップが非常に高価であるので、それらの適切な放熱を確保する必要がある。さらに、あらゆる液体漏れがこれらのチップを潜在的に破壊する可能性があるため、例えば、回路短絡、ハードウェア損失、置換操作中に利用可能な処理時間の損失、および漏れ中に処理されたサービスレベル契約への潜在的な影響を引き起こす可能性があるため、液体冷却機器は、信頼性が高くなければならない。
【0005】
データセンターが液体冷却を必要とする数千のチップを有する可能性があるため、液体冷却ソリューションが必要な耐熱性および信頼性を提供しなければならないが、液体冷却システムのコストは、許容範囲内に維持されなければならない。液体冷却システムのコストは、冷却部品を製造する期間および冷却部品をサーバに結合する期間に適切な試験を行うのにかかるコスト、およびサーバの安全動作を確保するために必要な関連センサと漏れ検出器のコストを含み得る。
【0006】
製造プロセス中に、液体冷却機器を試験することは、プリセット圧力レベルに達するまで、ガス(窒素ガスなど)で充填し続けて、設定期間内にあらゆる圧力降下が発生したか否かを監視することによって行われ得る。しかし、この試験では、外部漏れとして表現されていない内部欠陥を検出することはできない。さらに、この試験を実行することが単一の機器にとって簡単であるが、多くの機器がサーバシステムに結合される場合、この試験を実行することが困難になる。
【発明の概要】
【0007】
本願のいくつかの態様では、サーバラックに取り付けられた冷却システムのシール材が提供される。前記シール材は、水溶性着色剤を含む視覚的漏れ検出層と、水分散性電気的
検出剤を含む電気的漏れ検出層と、吸水膨張材料を含む膨張層と、を含み得る。
【0008】
本願のいくつかの態様では、冷却台が提供される。前記冷却台は、第一ブロックおよび第二ブロックであって、第二ブロックが係合面で第一ブロックに取り付けられ、第一ブロックと第二ブロックとの間にチャンバが設けられ、第一ブロックおよび第二ブロックが係合面内に通路を形成するものと、チャンバに流体を供給する給水口フックと、チャンバの流体回路を形成する排水口フックと、通路内に設けられたシール材であって、水溶性着色剤を結合することによって漏れの視覚的検出を行う第一層と、水と接触すると水の中に分散して水の化学的性質、光学的性質および/または電気的性質を変化させる分散剤に結合されており、センサによって漏れの電気的検出を行う第二層と、水と接触すると膨張する吸水膨張材料で製造される第三層とを含むものと、を含み得る。
【0009】
本願のいくつかの態様では、冷却システムおよび冷却機器のためのシール材の製造方法が提供される。前記方法は、吸水膨張材料を用いてコア層を形成することと、水と接触すると水の中に分散して水の化学的性質、光学的性質および/または電気的性質を変化させる分散剤を用いて、コア層に電気的漏れ検出層を形成することと、水溶性着色剤を用いて、電気的漏れ検出層に視覚的漏れ検出層を形成することと、を含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図面において、本発明の実施形態は、例示的かつ非限定的な例として示されており、図面中の同じ図面記号は、同じ要素を示す。
【
図1】一実施形態に係るデータセンター設備の一例を示すブロック図である。
【
図2】一実施形態に係る電子ラックの一例を示すブロック図である。
【
図3】一実施形態に係る冷却台構造の一例を示すブロック図である。
【
図4】実施形態に係る漏れ検出・防止を示す概念図である。
【
図5】冷却システムの部品を示す全体概略図であり、ここで、本開示の実施形態に係る装置は漏れ検出・防止に使用され得る。
【
図8A】本開示の実施形態に係る装置の操作を示す図である。
【
図8B】本開示の実施形態に係る装置の操作を示す図である。
【
図9A】本開示の実施形態に係る装置の操作を示す図である。
【
図9B】本開示の実施形態に係る装置の操作を示す図である。
【
図10A】本開示の実施形態に係る装置の操作を示す図である。
【
図10B】本開示の実施形態に係る装置の操作を示す図である。
【
図11A】本開示の実施形態に係る装置の操作を示す図である。
【
図11B】本開示の実施形態に係る装置の操作を示す図である。
【
図12】実施形態に係る漏れ検出・防止装置を含むサーバ冷却モジュールの実施形態を示す図である。
【
図13】実施形態に係る漏れ検出・防止装置の配置方法を示す概念図である。
【
図14】実施形態に係るシール材の製造プロセスを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の様々な実施形態および実施態様は、以下で説明される詳細を参照して説明されており、図面は、様々な実施形態を示す。以下の説明および図面は、本発明を説明するものであり、本発明を限定するものではない。本発明の様々な実施形態の包括的な理解を提供するために、多くの特定の詳細が説明される。しかし、特定の場合は、本発明の実施形態の簡潔な説明を提供するために、公知または従来の詳細が説明されていない。
【0012】
本明細書における「一実施形態」または「実施形態」への言及は、この実施形態に関連
して説明される特定の特徴、構造、または特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれ得ることを意味する。本明細書の様々な場所での「一実施形態では」という句は、必ずしも同じ実施形態を指すとは限らない。
【0013】
本開示の実施形態は、潜在的な漏れを検出し、潜在的な漏れが実際の漏れに発展することを防止するために使用されるメカニズムを提供する。このように、1つの特徴は、予備漏れ検出メカニズムと呼ばれ得る。本開示の実施形態は、冷却機器の製造期間およびサーバ内の冷却機器の動作期間に予備漏れ検出を行うことができる。
【0014】
本開示の実施形態では、標準シールを補充または代替する3つの安全レベルが含まれる。この3つのレベルは、単一の安全機器に集合され得るか、または3つの独立機器に提供され得る。3つのレベルのすべての使用が必須ではないが、3つのレベルのすべての組み合わせが相乗効果をもたらし、また、実際にはシステムの信頼性が向上するので、必要な漏れ検出器の数を減らすことができ、システムのコストを削減することができる。
【0015】
以下、本開示の実施形態の適用についての背景情報を提供し、次に特定の実施形態を開示する。
【0016】
図1は、一実施形態に係るデータセンターまたはデータセンターユニットの一例を示すブロック図である。この一例として、
図1は、データセンターの少なくとも一部の平面図を示す。
図1を参照すると、一実施形態によれば、データセンターシステム100は、1列または複数列の情報技術(IT)部品、装置、または機器101および102(例えば、Internetなどのネットワークを介して様々なクライアントにデータサービスを提供するコンピュータサーバまたはコンピューティングノード)の電子ラックを含む。この実施形態では、各列には、電子ラック110A~110Nなどの電子ラックのアレイが含まれる。しかし、より多くの列またはより少ない列の電子ラックを実装することができる。通常、列101および列102は平行に位置合わせされており、その前端は互いに対向し、その後端は互いに背向しており、それらの間には管理者が通行することを可能にする通路103が形成される。しかし、他の構造または配置も適用することができる。例えば、2列の電子ラックの背面は互いに対向していてもよく、それらの間には通路が形成されず、同時に2列の電子ラックの前端は互いに背向する。電子ラックの後端は、室内冷却液体マニホールドに接続され得る。
【0017】
一実施形態では、電子ラック(例えば、電子ラック110A~110N)のそれぞれは、積層形態で配置される複数のIT部品を収容するためのハウジングを含む。電子ラックは、冷却液体マニホールド、複数のサーバスロット(例えば、同じまたは類似の形状を備えた標準ラックまたはシャーシ)、およびサーバスロットに挿入されたり、サーバスロットから取り外されたりできる複数のサーバシャーシ(サーバブレードまたはサーバラックとも呼ばれる)を含み得る。各サーバシャーシは、1つまたは複数のプロセッサ、メモリ、および/または永続ストレージデバイス(例えば、ハードディスク)を有するコンピューティングノードを表し、ここでコンピューティングノードはその中で動作する1つまたは複数のサーバを含み得る。少なくとも1つのプロセッサは、冷却液体を収容するための液体冷却台(冷却台部品とも呼ばれる)に取り付けられる。さらに、1つまたは複数の任意選択の冷却ファンは、サーバシャーシに関連付けられて、その中に含まれるコンピューティングノードに空冷を提供する。なお、冷却システム120は、データセンターシステム100などの複数のデータセンターシステムに接続され得る。
【0018】
一実施形態では、冷却システム120は、建築物/ハウジング容器の外部に位置する乾式冷却器または冷却塔に接続された外部液体回路を含む。冷却システム120は、蒸発冷却、自由空気、高熱質量排出、および廃熱回収設計を含み得るが、これらに限定されない
。冷却システム120は、冷却液体を供給する冷却液体供給源を含み得るか、またはそれに接続され得る。
【0019】
一実施形態では、各サーバシャーシは、電子ラック内の残りのサーバシャーシおよび冷却液体マニホールドの動作に影響を与えずにサーバシャーシを電子ラックから取り外すことができるように、冷却液体マニホールドにモジュール的に接続される。別の実施形態では、各サーバシャーシは、高速放出接続部品を介して冷却液体マニホールドに接続されており、前記高速放出接続部品は、サーバ液体入口コネクタおよびサーバ液体出口コネクタを有し、前記サーバ液体出口コネクタは、冷却液体をプロセッサに分配するためにフレキシブルホースに接続される。サーバ液体入口コネクタは、ラック液体入口コネクタを介して、電子ラックの後端に取り付けられた冷却液体マニホールドから冷却液体を受け取る。サーバ液体出口コネクタは、ラック液体出口コネクタを介して、プロセッサと交換された熱を運ぶ温暖/高温液体を冷却液体マニホールドに排出し、次に電子ラック内の冷却剤分配ユニット(CDU)に返送する。
【0020】
一実施形態では、各電子ラックの後端に設けられた冷却液体マニホールドは、冷却システム120からの冷却液体を受け取るために、液体供給管132(室内供給マニホールドとも呼ばれる)に接続される。冷却液体は、プロセッサを備えた冷却台部品に取り付けられた液体分配回路によって分配されて、プロセッサから熱を除去する。冷却台は、液体分配管が取り付けられるかまたは埋め込まれる放熱器と同様に配置される。プロセッサと交換された熱を運ぶ取得済みの温暖/高温液体は、液体返送管131(室内返送マニホールドとも呼ばれる)を介して、冷却システム120に返送される。
【0021】
液体供給/返送管131および132は、列101および102のすべての電子ラックに冷却液体を供給するデータセンターまたは室内液体供給/返送管(例えば、グローバル液体供給/返送管)と呼ばれる。液体供給管132および液体返送管131は、主回路を形成するために、各電子ラック内に配置されたCDUの熱交換器に接続される。熱交換器の副回路は、冷却液体をプロセッサの冷却台に輸送するために、電子ラック内の各サーバシャーシに接続される。
【0022】
一実施形態では、データセンターシステム100は、任意選択の気流輸送システム135をさらに含む。前記気流輸送システムは、気流を発生させ、気流に電子ラック内のサーバシャーシの空気空間を通過させることにより、コンピューティングノードがコンピューティングノード(例えば、サーバ)の動作によって発生する熱を交換し、熱交換された気流を外部環境または冷却システム(例えば、空気から液体への熱交換器)に排出して、気流の温度を低下させるために使用される。例えば、空気供給システム135は、涼空気/冷空気の気流を発生させ、気流に通路103を通過させて、電子ラック110A~110Nで循環させることにより、交換された熱を排出する。
【0023】
冷気流は電子ラックの前端を介して電子ラックに入り、温暖気流/高温気流は電子ラックの後端から電子ラックを出る。熱交換された温暖空気/高温空気は、部屋/建築物から排出されるか、または別個の冷却システム(例えば、空気から液体への熱交換器)を使用して冷却される。従って、冷却システムは、混合型液体空気冷却システムである。ここで、プロセッサが発生する熱の一部は、適切な冷却台を通過して冷却液体によって除去されるが、プロセッサ(または他の電子機器または処理機器)が発生する熱の残部は、気流冷却によって除去される。さらに、液体冷却は多相システムであり得、ここで流体は液相または気相で流れる。
【0024】
図2は、一実施形態に係る電子ラックを示すブロック図である。電子ラック200は、
図1に示す電子ラック(例えば、電子ラック110A~110N)のいずれかを表すこと
ができる。
図2を参照すると、一実施形態によれば、電子ラック200は、CDU201、ラック管理ユニット(RMU)202、および1つまたは複数のサーバシャーシ203A~203E(サーバシャーシ203と総称される)を含むが、これらに限定されない。サーバシャーシ203は、電子ラック200の前端204または後端205からサーバスロット(例えば、標準ラック)のアレイに挿入され得る。なお、本明細書では5つのサーバシャーシ203A~203Eが示されているが、電子ラック200にはより多くのまたはより少ないサーバシャーシが収容され得る。また、CDU201、RMU202、および/またはサーバシャーシ203の特定の位置が説明のためだけに示されるため、CDU201、RMU202、および/またはサーバシャーシ203の他の構造または配置も実施され得る。一実施形態では、冷却ファンが前端から後端への気流を発生させることができる限り、電子ラック200は、環境に暴露され得るか、またはラック容器に部分的に収容され得る。
【0025】
さらに、サーバシャーシ203の少なくとも一部については、任意選択のファンモジュール(図示せず)はサーバシャーシに関連付けられる。各ファンモジュールは、1つまたは複数の冷却ファンを含む。ファンモジュールは、前端204から流入してサーバシャーシ203の空気空間を通過して電子ラック200の後端205から排出される気流を発生させるために、サーバシャーシ203の後端または電子ラックに取り付けられ得る。
【0026】
一実施形態では、CDU201は、主に熱交換器211、液体ポンプ212、およびポンプコントローラ(図示せず)、ならびに液体貯蔵容器、電源、監視センサなどの他のいくつかの部品を含む。熱交換器211は、液相熱交換器または多相熱交換器であり得る。熱交換器211は、入口ポートおよび出口ポートを有する第一回路を含む。前記入口ポートおよび前記出口ポートは、主回路を形成するために外部液体供給/返送管131および132に接続された第一対の液体コネクタを有する。外部液体供給/返送管131および132に接続されたコネクタは、電子ラック200の後端205に配置または設置され得る。上述のように、液体供給/返送管131および132(室内液体供給/返送管とも呼ばれる)は、冷却システム120に接続され得る。
【0027】
さらに、熱交換器211は、2つのポートを有する第二回路をさらに含み、ここで前記2つのポートは、副回路を形成するために液体マニホールド225(ラックマニホールドとも呼ばれる)に接続された第二対の液体コネクタを有し、前記副回路は、冷却液体をサーバシャーシ203に供給する供給マニホールド(ラック液体供給管またはラック供給マニホールドとも呼ばれる)と、温暖/高温液体をCDU201に返送する返送マニホールド(ラック液体返送管またはラック返送マニホールドとも呼ばれる)と、を含む。なお、CDU201は、市販またはカスタマイズされ得る任意のタイプのCDUであり得る。従って、本明細書ではCDU201の詳細は説明されていない。
【0028】
サーバシャーシ203のそれぞれは、1つまたは複数のIT部品(例えば、中央処理装置またはCPU、ユニバーサル/グラフィック処理ユニット(GPU)、メモリ、および/またはストレージデバイス)を含み得る。各IT部品はデータ処理タスクを実行することができ、ここでIT部品は、ストレージデバイスにインストールされ、メモリにロードされ、データ処理タスクを実行するために1つまたは複数のプロセッサによって実行されるソフトウェアを、含み得る。サーバシャーシ203は、1つまたは複数のコンピューティングサーバ(CPUサーバやGPUサーバなどのコンピューティングノードとも呼ばれる)に接続されたホストサーバ(ホストノードと呼ばれる)を含み得る。ホストノード(1つまたは複数のCPUを有する)は通常、ネットワーク(例えば、Internet)を介して、ストレージサービス(例えば、バックアップおよび/または復元などのクラウドベースのストレージサービス)などの特定のサービスをクライアントインターフェースから受信し、アプリケーションプログラムを実行して特定の操作(例えば、サービスとし
てのソフトウェアまたはSaaSプラットフォームの一部としての画像処理、深度データ学習アルゴリズムまたはモデリングなど)の要求を実行する。この要求に応答して、ホストサーバは、ホストサーバによって管理された1つまたは複数のコンピューティングノードまたはコンピューティングサーバ(1つまたは複数のGPUを有するもの)にタスクを分配する。コンピューティングサーバは実際のタスクを実行し、ここでそれは動作中に熱を発生させる。
【0029】
電子ラック200は、サーバ203およびCDU201に供給される電力を供給管理するように配置された任意選択のRMU202をさらに含む。RMU202は、電源ユニットの消費電力を管理するために電源ユニット(図示せず)に接続され得る。電源ユニットは、電子ラック200の残りの部品に電力を供給するために必要な回路(例えば、交流(AC)から直流(DC)へ、またはDCからDCへの電力変換器、電池、変圧器またはレギュレータなど)を含み得る。
【0030】
一実施形態では、RMU202は、最適化モジュール221、およびラック管理コ222ントローラ(RMC)222を含む。RMC222は、電子ラック200内の様々な部品(例えば、コンピューティングノード203、CDU201、およびファンモジュール)の動作状態を監視するためのモニタを含み得る。具体的には、モニタは、電子ラック200の動作環境を表示する様々なセンサから動作データを受信する。例えば、モニタは、様々な温度センサによって取得収集され得る、プロセッサ、冷却液体、および気流の温度を示す動作データを受信することができる。モニタはまた、ファンモジュールおよび液体ポンプ212が発生するファン電力およびポンプ電力を示すデータを受信することもでき、ここでそれらはそれぞれの速度に正比例し得る。これらの動作データは、リアルタイム実行データと呼ばれる。なお、モニタは、RMU202内の別個のモジュールとして実装され得る。
【0031】
動作データに基づいて、最適化モジュール221は、所定の最適化関数または最適化モデルを用いて最適化を実行して、ファンモジュールの最適なファン速度、および液体ポンプ212の最適なポンプ速度を取得することにより、液体ポンプ212およびファンモジュールの総電力を最小限に抑制し、同時に液体ポンプ212およびファンモジュールの冷却ファンに関連する動作データがそれぞれの設計仕様内にあるようにする。最適なポンプ速度および最適なファン速度が決定されると、RMC222は、最適なポンプ速度およびファン速度に基づいて、液体ポンプ212およびファンモジュールの冷却ファンを配置する。
【0032】
一例として、最適なポンプ速度に基づいて、RMC222は、CDU201のポンプコントローラと通信して液体ポンプ212の速度を制御し、次に液体ポンプ212の速度を利用して、液体マニホールド225に供給されてサーバシャーシ203に分配された少なくとも一部の冷却液体の液体流速を制御する。同様に、最適なファン速度に基づいて、RMC222は、各ファンモジュールと通信してファンモジュールの各冷却ファンの速度を制御し、次に冷却ファンの速度を利用してファンモジュールの気流速度を制御する。なお、各ファンモジュールは、その特定の最適なファン速度に基づいて個別に制御され得、異なるファンモジュール、および/または同じファンモジュール内の異なる冷却ファンは、異なる最適なファン速度を有し得る。
【0033】
なお、
図2に示すラック構成が説明のためだけに示されるため、他の構造または配置も配置され得る。例えば、CDU201は、任意選択のユニットであり得る。サーバシャーシ203の冷却台は、CDUを使用せずに室内マニホールド131および132に直接接続され得るラックマニホールドに接続され得る。図示されていないが、電源ユニットは電子ラック200内に設けられ得る。電源ユニットは、サーバシャーシと同じまたは同様の
標準シャーシとして実装され得、ここで電源シャ??ーシは任意のサーバシャーシ203の代わりに任意の標準ラックに挿入され得る。さらに、電源ラックは、主電源が利用できないときにサーバシャーシ203に電池電源を供給するための電池予備ユニット(BBU)をさらに含み得る。BBUは、1つまたは複数の電池パックを含み得、各電池パックは、1つまたは複数の電池セル、および電池セルを充放電するために必要な充放電回路を含む。
【0034】
図3は、一実施形態に係るプロセッサ冷却台構造を示すブロック図である。プロセッサ/冷却台部品300は、
図2に示すサーバシャーシ203のプロセッサ/冷却台構造のいずれかを表すことができる。
図3を参照すると、プロセッサ301は、データ処理システムまたはサーバに接続された他の電子部品または回路のプリント回路基板(PCB)またはマザーボードに取り付けられたプロセッサソケットに挿入される。プロセッサ301は、それに取り付けられた冷却台303をさらに含み、冷却台303は、ラックマニホールドに接続されており、このラックマニホールドは、例えばブラインドメイトコネクタを介して液体供給管132および/または液体返送管131に接続される。プロセッサ301によって発生する熱の一部は、冷却台303を通過して冷却液体によって除去される。熱の残部は、空気空間の下方または上方に入り、冷却ファン304によって発生する気流によって除去され得る。
【0035】
図4は、結合または非結合ソリューションを用いて、漏れ検出・防止層の概念で示され得る。これらの層は異なる安全層と見なされ得るが、それらは結合された単一の機器または複数の機器として形成され得る。ここで、視覚的検出層400は冷却機器の液体収容空間に向かって配置されるべきであり、従来のシール層415は収容装置と機器の外部との間の最終層であるべきである。漏れ防止層および電気的検出層の順序は、変更され得る。従来のシール層は、最終シール層として設計され得る。
【0036】
視覚的検出層は、冷却液体(例えば、純水または脱イオン水)に溶解した着色材料で製造される。冷却液体が視覚的検出層に接触すると、この材料が溶解され、冷却液体が着色される。この特徴は、ホースが透明であるため、製造および組み立て試験中に特に有利であるので、ホースを流れる冷却液体の色の変化を非常に容易に識別することができる。さらに、色の変化の起源位置を識別することも容易になるため、内部漏れによる色の変化を引き起こす機器を識別することができる。視覚的検出層を製造する簡単な方法は、水を接触すると溶解しやすい固体を形成するために、乾燥食用着色粉末を圧縮することである。さらに、食用着色粉末は、冷却機器の湿潤材料と反応しておらず、冷却機器を腐食させたり、冷却機器との他の化学反応を発生させたりすることはない。実施形態では、提供された機能を満たす他のタイプの材料は使用され得る。
【0037】
液体冷却システムがコンピューティングシステムに組み込まれると、管が絶縁体によって覆われるので、視覚的検出層は有用ではない。管が透明に維持され、ホースを流れる流体の色が見える場合でも、ホースを流れる流体の流速が速く、何千もの操作機器をリアルタイムで観測する現場作業者がいないため、漏れを識別することは不可能である。従って、通常動作中に予備検出用の電気的検出層410が追加される。電気的検出層は、例えばナノ粒子または化学試薬を用いて実施することができ、前記ナノ粒子または化学試薬は、冷却液体に添加されると、冷却液体の光学的性質、化学的性質および/または電気的性質を変化させる。例えば、ナノ粒子が導電性材料(例えば、銅ナノ粒子)で製造される場合、ナノ粒子が冷却液体の流れに入ると、冷却液体の導電性が変化し、検出が電気センサによって行われ得る。さらに、ナノ粒子は回折光によって水の光学的性質を変化させることができるため、検出は、適切な電気信号を生成する光学センサによって行われ得る。ナノ粒子または超微粒子は一般に、1ナノメートル(nm)から100ナノメートル(nm)の間の直径の材料粒子に限定される。これらの粒子は小さすぎるため、冷却液体の流れに
導入されると、冷却流体の流れを大幅に妨害しない可能性がある。実施形態では、ナノ粒子は、それらの熱伝導性および熱安定性に基づいて耐熱性を高めることができる。
【0038】
なお、本明細書に開示されるように、電気センサという用語は、漏れを示す電気信号を提供するセンサを指す。センサの検出メカニズムは、電気的メカニズム、化学的メカニズム、光学的メカニズムなどであり得る。即ち、「電気」という用語は、センサによる漏れ検出を意味するものではなく、センサによる漏れ伝達を意味するものである。なお、通信リンクは光信号を送信する光ファイバを含み得るが、この信号は、センサの電気出力から生成されるため、電気的漏れ検出または電気センサという用語に含まれる。
【0039】
以下に詳細に説明されるように、視覚的検出層400および電気的検出層410は、潜在的な漏れが冷却機器を破壊してサーバ回路の損傷を引き起こす前にこの潜在的な漏れを検出することができる。従って、漏れ防止層405を増加させることは、冷却液体の漏れをさらに防止し、損傷を引き起こす前に漏れを検出して故障部品を置換するのに十分な時間を提供する。本開示の実施形態の巨大な利点は、冷却液体が漏れて動作中のサーバの損傷を引き起こす前に故障した冷却部品を置換することができるので、サーバ置換コストを節約し、サーバのアイドルタイムを短縮または回避し、データ損失を潜在的に防止するということである。
【0040】
本開示の実施形態では、漏れ防止層は、吸水膨張材料(WSM)で製造され得る。漏れ防止層が漏れ検出層に結合されるかまたは漏れ検出層を軽減(abating)しているので、水が漏れ防止層に到達して警報をトリガーする場合にそれも漏れ防止層に到達することができ、それに応じて、漏れ防止層は膨張して、漏れを防止する。吸水膨張材料は、例えば、合成樹脂エラストマーを基材として使用して、高吸収性ポリマー、充填材、および溶剤を混合することによって製造され得る。WSMの他の例は、ポリクロロプレン、ポリクロロプレンとEPDMゴム、またはポリウレタンまたは半硫化ブチルゴムを基材とすることができる吸水膨張ゴム(親水性ゴム)である。さらに別の例によれば、セルロース成分(カルボキシメチルセルロースなど)は、メタクリル酸コポリマーと共に使用して、冷却液体(例えば、水)中のニトリルゴムの膨張能力を高めることができる。
【0041】
図3に示すように、液体冷却システムは、冷却台303、液体供給管、および液体返送管を含み得る。
図5は、漏れの影響を受けやすい領域を示す液体冷却配置図を示し、ここで本開示の実施形態は漏れ検出・防止に使用され得る。
図5は、一般に2つの部品503aおよび503bで構成される冷却台503を示し、この2つの部品は組み立てられたときに係合面505に直接接触する。2つの部品503aおよび503bが組み立てられたとき、それらはチャンバ504(例えば、マイクロチャネルフィン領域)を画定し、冷却液体はチャンバ504内の供給管510から返送管512に循環される。管510および512は、フック518を介して冷却台503に取り付けられ、高速切断器516を介して冷却マニホールドに取り付けられる。図示されるように、本開示の実施形態に係る漏れ検出・防止装置500は、冷却台の係合面505、フックコネクタ、および高速切断器など、漏れの影響を受けやすい領域に配置され得る。
【0042】
図5はまた、冷却台503の返送管512における電気的検出センサ520の配置を示す。返送液体の化学的性質、光学的性質または電気的性質の変化が検出された場合は、漏れがセンサ520の位置の上方に始まることを意味するので、それが漏れ発生源の位置決めに役立つ。なお、センサを機器の流体の下流に配置することが提案される。
【0043】
これから、本開示の実施形態に係る漏れ検出・防止装置の具体例を説明する。
図6は、冷却台503の部品503bの平面図を示し、ここで頂部部品503aが除去される。
図5に説明されるように、部品503bは、液体チャンバ504を囲む係合面を含む。液体
チャンバ504は、冷却マイクロチャネルまたは当技術分野で知られている他の任意の熱交換メカニズムを含み得る。さらに、標準シールリング630は、2つの係合面505の間に取り付けられ得る。シールリング630が存在するかどうかに関わらず、適切に加工されて組み立てられたとき、係合面505上の任意の箇所に冷却液体が存在すべきではないことを理解されたい。本明細書では、液体が係合面505上の任意の箇所に存在することは、内部漏れと呼ばれる。なお、このような内部漏れがシールリング630の内部に許容され得るが、液体がシールリング630を超えると発生する漏れは、外部漏れと呼ばれ得る。外部漏れは、それらが接触する電子機器に壊滅的な損傷を引き起こす可能性がある。従って、本開示の実施形態は、潜在的に進行する外部漏れの警告としての内部漏れを検出することを目的としており、内部漏れ部品を置換できるように少なくとも十分な期間に外部漏れを防止することを目的とする。それは、即ち、本明細書で言及された予備漏れ検出である。
【0044】
図6の挿図は、実施形態に係る漏れ検出・防止装置600の断面図を示す。この例では、装置600は、視覚的検出層、電気的検出層、および漏れ防止層が単一の装置600内に結合される結合ソリューションを提供する。具体的には、この実施形態では、装置600は、標準シールリング630内に取り付けられた閉ループとして形成された矩形シール材である。挿図に示すように、この実施形態では、シールリング600のコア650は、吸水膨張材料で製造される。第一塗層652は、コア650上に設けられ、化学変化剤のナノ粒子で製造される。第二塗層654は、第一塗層652上に設けられ、着色材料で製造される。
【0045】
図6の挿図に示すように配置されたシール材600が使用される場合、係合面505が不適切に製造されるか、または膨張したり収縮変形したりするとき、冷却水が係合面505の間に存在し、第二塗層654に到達すると、第二塗層654が溶解され、冷却液体が着色される。これは、製造試験中に冷却台を電気回路に結合する前、および絶縁体を透明供給管および透明返送管に応用する前に検出することができる。
【0046】
初期試験が正常に行われるが、通常動作中に熱循環、腐食または他の長期的な要因のために係合面の間に水が存在し始まる場合、透明管が不透明管で覆われるため、前記着色は検出できない可能性がある。さらに、上述のように、データセンターでは、ホース内の流速が大きいため、色の変化は迅速に消失する可能性がある。しかし、第二塗層654が溶解されると、水が係合面505の間に留まる場合、第一塗層652が溶解され始まり、ナノ粒子が水中に放出される。これが電気センサによって検出されるので、水が漏れる前に冷却台の潜在的な故障について早期警報を発することができる。
【0047】
さらに、水が連続的に漏れると、コア650の膨張特性が活性化されるので、コア650は膨張して、水漏れによる外部漏れを防止する役割を果たす。従って、冷却台の信頼性を高めることに加えて、吸水膨張コア650は、水が漏れる前に技術者が冷却台を置換するのに十分な時間を提供する。
【0048】
挿図の主な図において、コアおよび2つの検出層は異なる部品として示される。しかし、代替の実施形態では、いくつかの部品は、単一の部品として組み合わせることができる。例えば、コア650は、ナノ粒子または化学試薬を含む吸水膨張材料で製造され得る。この場合は挿図の左側に示される。従って、コアが膨張し始まると、内部漏れを検出できるようにナノ粒子または化学試薬が放出される。逆に、第一検出層および第二検出層は、着色材料と、ナノ粒子/化学試薬とを有する単層として組み合わせることができる。この場合は挿図の右側に示される。製造試験中に機器が無効になる場合、この単層が溶解され、水が着色される。従って、機器が廃棄または修理される。この場合、新しい装置600を取り付けるか、または600のモジュール全体を置換する。逆に、機器が製造試験に合
格して実際の使用に投入される場合、水が漏れ始めると、単層が溶解され、ナノ粒子/化学試薬が内部漏れの電気的検出を活性化する。
【0049】
図7は、各漏れ検出・防止層を独立して形成する別の実施形態を示す。説明の便宜上、この実施形態は標準シールリングを省略するが、それは
図6の実施形態と同じシールリングを含み得る。挿図に示すように、係合面505は、漏れ検出・防止層が挿入される通路を含む。頂部部品503aは、一致する通路を有し得るか、または層上に押圧されるように平らに加工され得る。ここで、第一矩形挿入物754は着色材料で製造され、視覚的漏れ検出器として使用されており、第二矩形挿入物752はナノ粒子または化学試薬で製造され、電気的漏れ検出器として使用されており、シール材としての最終矩形挿入物750は吸水膨張材材料で製造される。
【0050】
この漏れ検出・防止装置が異なる形状に製造され得るため、それは、漏れの影響を受けやすいシステムの任意の箇所に使用され得る。従って、冷却台については、
図6および
図7に示すように、この装置は矩形リングとして形成され得る。一方、装置はO型リングとして形成されるため、高速切断器およびフックコネクタ(
図5に示す)の箇所に使用され得る。この点に関して、本明細書で使用される「リング」という用語は、閉じた形状またはリングを含むことを意図し、円形に限定されない。「ボクシングリング(boxing
ring)」のように、「リング」は実際に正方形である。
【0051】
図8A~
図11Bは、異なる程度の漏れに応答する本開示の実施形態に係る装置の操作を示す図であり、ここでそれは異なる時間および異なる試験または動作環境で行われ得る。例えば、
図8Aは、乾式係合面805と、従来のシールリング830とを有する通常動作中の冷却台を示す。さらに、この例では、冷却台は、視覚的漏れ検出層854、電気的漏れ検出層852、および吸水膨張層850を含む。水供給管810は、冷却水を輸送するために使用されており、ここでこの冷却水は、チャンバ804内で冷却フィンなどによって循環され、管812を介して返送されて冷却台から熱を除去する。
【0052】
図8Bは、
図8Aの冷却台に小さな内部漏れ860が発生するが、それが視覚的漏れ検出層のみに到達するという場合を示す。漏れ860が視覚的漏れ検出層に到達する結果として、色が水中に放出されており、返送管812は、着色された水を表示して、内部欠陥または故障を指示する。本実施形態の視覚的漏れ検出は、任意の電気センサおよび関連回路を使用せずに冷却台を試験することができるので、部品メーカーにとって非常に有用である。さらに、この様態は、特に複数の冷却ユニットが一緒に組み立てられるとき、それが複数のセンサを使用せずに漏れの位置および故障点または故障ユニットを識別することができるので、システムメーカーにとって有用である。同様に、それがシステムを完全に試験する能力を提供するので、OEMやODMなどのシステムメーカーもこの様態から利点を享受する。さらに、いかなる物理センサも使用せずにフルラックの水平試験を行うことができ、漏れの位置を正確に決定することができる。
【0053】
冷却台はすべての初期漏れ試験に合格する可能性があるが、通常動作期間より後の期間に、熱循環や腐食などによる漏れを引き起こす可能性がある。
図9Aは、
図8Aに示す冷却台を示し、ここでこれはいかなる漏れも発生せずに通常の動作状態にある。逆に、
図9Bは、漏れ862が発生し、漏れ862が電気的漏れ検出層に到達するという場合を示す。この場合、透明返送管が絶縁体によって覆われていない場合、視覚的漏れ検出層854は、その着色剤を放出して返送管内の水の色を変化させ、漏れの視覚的識別を実現する。さらに、電気的漏れ検出層852は、そのナノ粒子または化学試薬を放出して、返送管812内の水の化学的性質または電気的性質を変化させる。このとき、センサ820は、返送管812内の水の化学的性質または電気的性質の変化を検出して、内部漏れを指示する。
【0054】
図9Bに示す態様は、製造システムの通常動作中に特に有用であり得る。視覚的漏れ検出は、何千もの機械が取り付けられた実行中のクラスタ内で正常に動作できない可能性があるため、すべての返送管を観測することが困難であるか、または返送管が絶縁体によって覆われて可視化できない。従って、電気的漏れ検出層は、実際の製造環境で漏れ検出を行うことができる。単一のモジュール、またはシャーシの冷却モジュール、またはラック全体のためにセンサの位置をカスタマイズすることができる。なお、本開示の実施形態は多段階の漏れ検出・防止を提供するので、システムの信頼性を高めて、システムに必要なセンサの数を減少させることができる。センサ自体は、ナノ粒子に基づく検出、化学的性質に基づく検出、または光回折に基づく光学的検出に使用されるものとして設計され得る。それが化学的性質に基づいて検出を行う場合、電気的漏れ検出層852は、ナノ粒子ではなく化学試薬を含み得る。例えば、電気的漏れ検出層852は水の化学的性質を変化させる化学試薬を含み得、センサは化学的性質に基づくセンサである。
【0055】
図10Aは、
図8Aに示す冷却台を示し、ここでこれはいかなる漏れも発生せずに通常の動作状態にある。逆に、
図10Bは、内部漏れ864が発生し、内部漏れ864が電気的漏れ検出層に到達するという場合を示す。このとき、視覚的漏れ検出層854からの着色剤は水中に溶解される。同様に、電気的漏れ検出層852からのナノ粒子または化学試薬も水中に放出されて、警報をトリガーする。しかし、内部漏れが徐々に外部漏れに発展することを防止するために、膨張層850は、漏れからの水を吸収して膨張して、漏れを水膨張層の範囲内に抑制する障壁を発生させる。
【0056】
図11Aは、
図8Aに示す冷却台を示し、ここでこれはいかなる漏れも発生せずに通常の動作状態にある。逆に、
図11Bは、内部漏れ864が発生し、内部漏れ864が水膨張層850を超えるという場合を示す。このとき、視覚的漏れ検出層854からの着色剤は水中に溶解される。同様に、電気的漏れ検出層852からのナノ粒子または化学試薬も水中に放出されて、警報をトリガーする。さらに、吸水膨張層850が漏れからの水を吸収して膨張するが、漏れは依然として吸水膨張層850を超えている。このとき、漏れは、従来のシールリング830に到達し、シールリング830の範囲内に留まる。
【0057】
図8Aから
図11Bの説明から分かるように、冷却台の外部に漏れる水がないため、電気機器への損傷が回避される。従って、冷却システムの信頼性を向上させ、漏れ検出センサの数を減少させることができるので、漏れ検出センサおよび関連電子機器のコストを削減することができる。これは、
図12に示す実施形態によって例示的に説明される。
図12において、供給マニホールド970は冷却水を複数の相互接続管916に供給し、相互接続管916は冷却水を複数の冷却台900に輸送し、冷却台900は並列接続および/または直列接続のいずれかの配置形態で接続され得る。返送高温水は、返送マニホールド980によって収集され、返送管へ案内される。理想的には、各冷却台がそれ自身の電気的漏れ検出センサ920を有し得るが、これはシステムのコストおよび複雑さを過度に増大させる可能性がある。代替として、センサ920は、(破線で示すように)返送マニホールド980の端部および/または返送マニホールド980自体に接続されるように配置され得る。さらに、メイン返送管913は、視覚的検出を行って水の色変化を検出するかまたは光学センサを配置することができるように、窓914を含み得る。このような窓914は、冷却サプライヤーから冷却モジュールを受け取り、次にモジュールをシステムサーバサプライヤーまたはシステムサプライヤーに組み立てることにも役立つ。システムサプライヤーが最終ユーザに輸送される前に完全試験を実行するので、窓914は、システムサプライヤーが輸送される前に最終製品を検出することに役立つ。
【0058】
図13は、実施形態に係る漏れ検出・防止装置の配置方法を示す概念図である。ブロック10において、視覚的漏れ検出層Iは、試験中に冷却部品メーカーおよびシステムサプ
ライヤーによって使用され得る。(水道管に絶縁体を取り付ける前に)部品レベル、システムレベル、およびラックレベルの試験は実行され得る。ブロック12に示すように、視覚的検出で十分であるので、これらの試験中に電気的漏れ検出センサは必要とされていない可能性がある。これは、システムレベルおよびラックレベルの試験を簡素化する。ブロック14に示すように、フルラックレベルの試験においても視覚的検出は迅速かつ正確である。ブロック16は、システム実行中に、電気的漏れ検出層IIから放出されたナノ粒子または化学試薬を検出する漏れ検出センサを使用して、漏れ検出を実現することを示す。ブロック18は、センサがシステム内の漏れ位置を識別できることを示す。
【0059】
従って、本開示の実施形態によれば、漏れ検出・防止装が提供される。前記装置は、水溶性着色剤を含む視覚的漏れ検出層と、水分散型電気的検出剤を含む電気的漏れ検出層と、吸水膨張材料を含む漏れ防止層とを含む。視覚的漏れ検出層は、水と接触すると溶解するように配置された圧縮着色粉末を含み得る。電気的漏れ検出層は、水と接触すると分散できる可導電性ナノ粒子または化学試薬を含み得、それらは、例えば、水の化学的性質、電気的性質、および/または光学的性質を変化させることができる溶液、コロイドまたは懸濁液を形成する。
【0060】
図14は、シール材の製造プロセスを示す。このプロセスは11から始まり、一般に閉じた形状(例えば、円形、矩形、正方形など)のコアを形成する。コアは、吸水膨張材料で構成される。13において、コア上には電気的検出層が形成される。これは、例えば、コアに検出剤(導電性ナノ粒子または化学変化材料など)を塗布または含浸することによって達成され得る。15において、コア上には、視覚的検出層が、例えばコアおよび電気的検出層に圧縮着色粉末を塗布することによって形成される。
【0061】
別の実施形態によれば、シール材が提供される。前記シール材は、吸水膨張材料で製造されるリング型コアと、水と接触すると水の中に分散して水の化学的性質、光学的性質および/または電気的性質を変化させる分散剤を含み、コア上に設けられた電気的検出層と、電気的検出層に設けられ、水溶性着色剤を含む視覚的漏れ検出層と、を含む。
【0062】
別の実施形態によれば、シール材が提供される。前記シール材は、第一リングを形成し、吸水膨張材料で製造されたコアと、第一リングよりも小さい第二リングを形成し、水と接触すると水の中に分散して水の化学的性質、光学的性質および/または電気的性質を変化させる分散剤を含む電気的検出層と、第二リングよりも小さい第三リングを形成し、水溶性着色剤を含む視覚的漏れ検出層と、を含む。
【0063】
冷却台が提供される。前記冷却台は、第一ブロックおよび第二ブロックを有し、第一ブロックと第二ブロックとが係合面で相互に接触しており、第一ブロックと第二ブロックとの間にチャンバが設けられ、係合面内に通路が形成され、シールリングが通路内に配置される。前記シールリングは、水溶性着色剤を結合することによって漏れの視覚的検出を行う第一層と、水と接触すると水の中に分散して水の化学的性質、光学的性質および/または電気的性質を変化させる分散剤を含み、センサによって漏れの電気的検出を行う第二層と、水と接触すると膨張する吸水膨張材料で製造される第三層と、を含む。前記3つの層は、チャンバからの漏れがまず第一層に到達し、次に第二層に到達し、最後に膨張層に到達するように配置され得る。これらの層は、同列に配置された独立部品を形成することができる。ここで、第一層は内側リングを形成し、第二層は中間リングを形成し、第三層は外側リングを形成し、これらの層のすべてはチャンバに同心円状に囲まれるか、または単一のシールリング内に結合され得る。
【0064】
サーバ用冷却システムは、複数の冷却台と、フックに取り付けられた端部を有する複数の液体管とを含み、ここで前記冷却台のそれぞれおよび前記フックの少なくとも1つが漏
れ検出・防止シールリングに結合される。前記漏れ検出・防止シールリングは、水溶性着色剤を含む視覚的漏れ検出層と、水分散性電気的検出剤を含む電気的漏れ検出層と、吸水膨張材料を含む漏れ防止層と、冷却台から返送された冷却液体の化学的性質、電気的性質、および/または光学的性質の変化を検出するために使用される少なくとも1つのセンサと、を含む。視覚的漏れ検出層は、水と接触すると溶解するように配置された圧縮着色粉末を含み得る。電気的漏れ検出層は、水と接触すると分散できる可導電性ナノ粒子または化学試薬を含み得、それらは、例えば、水の化学的性質、電気的性質、および/または光学的性質を変化させることができる溶液、コロイドまたは懸濁液を形成する。
【0065】
漏れ検出・防止方法が提供される。前記方法は、水溶性着色剤を含む視覚的漏れ検出層と、水分散性電気的検出剤を含む電気的漏れ検出層と、吸水膨張材料を含む漏れ防止層とを有するシール材を、冷却台に挿入することと、冷却台を試験治具に取り付け、透明管を介して水を冷却台に供給することと、透明管の視覚的検出を行って水の色の変化を検出することと、水の色の変化が検出されていない場合、冷却台を回路の冷却システムに取り付けることと、電気センサを冷却システムに取り付けることと、漏れ検出の電気信号を指示するための電気センサを監視することと、を含む。
【0066】
前述の明細書では、本発明の実施形態は、本発明の具体例示的な実施形態を参照して説明される。添付の特許請求の範囲に記載の本発明のより広い精神および範囲から逸脱することなく、本発明に様々な変更を加えることができることは明らかであろう。従って、明細書および図面は、例示的なものであり、限定的なものではない。
【外国語明細書】