(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022084717
(43)【公開日】2022-06-07
(54)【発明の名称】MAGL阻害剤の結晶形態
(51)【国際特許分類】
C07D 295/205 20060101AFI20220531BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20220531BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20220531BHJP
A61K 31/496 20060101ALI20220531BHJP
A61P 25/08 20060101ALI20220531BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20220531BHJP
【FI】
C07D295/205 CSP
A61P25/00
A61P37/06
A61K31/496
A61P25/08
A61P29/00
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022035398
(22)【出願日】2022-03-08
(62)【分割の表示】P 2019523672の分割
【原出願日】2017-11-15
(31)【優先権主張番号】62/423,126
(32)【優先日】2016-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】514171762
【氏名又は名称】ルンドベック ラ ホーヤ リサーチ センター,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】グライス,シェリル エー.
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ,トッド ケー.
(72)【発明者】
【氏名】グリム,カート ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ブランクマン,ジャクリーン ロレイン
(72)【発明者】
【氏名】ビールス,チャニング ロドニー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】MAGL阻害剤である1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラート、及びその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物の新規結晶形態を提供する。
【解決手段】7.1°2-シータ、8.0°2-シータ、12.2°2-シータ、12.8°2-シータ、14.2°2-シータ、14.4°2-シータ、17.2°2-シータ、17.7°2-シータ、18.0°2-シータ、18.4°2-シータ、18.8°2-シータ、20.0°2-シータ、20.2°2-シータ、20.7°2-シータ、21.3°2-シータ、23.4°2-シータ、24.4°2-シータ、26.0°2-シータ、27.6°2-シータ、29.5°2-シータでの特徴的なピークを備えたX線粉末回折(XRPD)パターンを有するフマル酸塩である、結晶を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートの結晶形態、或いはその薬学的に許容可能な塩、又は溶媒和物。
【請求項2】
1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートは遊離塩基である、請求項1に記載の結晶形態。
【請求項3】
1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラート遊離塩基の結晶形態は、以下の特性:
(a)
図1に示されるものとほぼ同じ、X線粉末回折(XRPD)パターン;
(b)7.8°2-シータ、12.0°2-シータ、18.5°2-シータ、19.0°2-シータ、19.6°2-シータ、及び21.2°2-シータでの特徴的なピークを備えた、X線粉末回折(XRPD)パターン;
(c)
図2に示されるものとほぼ同様の熱重量分析(TGA);
(d)
図3に示されるものとほぼ同様のDSCサーモグラム;
(e)約80℃での発現を有する吸熱を備えるDSCサーモグラム;
(f)
図6に示されるものとほぼ同様の赤外線(IR)スペクトル;
(g)約1735cm
-1、1427cm
-1、1102cm
-1、982cm
-1及び888cm
-1のピークを有する赤外線(IR)スペクトル;
(h)非吸湿性;又は
(i)それらの組み合わせ
の少なくとも1つを持つ、請求項2に記載の結晶形態。
【請求項4】
結晶形態は、
図1に示されるものとほぼ同じ、X線粉末回折(XRPD)パターンを有する、請求項3に記載の結晶形態。
【請求項5】
結晶形態は、7.8°2-シータ、12.0°2-シータ、18.5°2-シータ、19.0°2-シータ、19.6°2-シータ、及び21.2°2-シータでの特徴的なピークを備えた、X線粉末回折(XRPD)パターンを有する、請求項3に記載の結晶形態。
【請求項6】
結晶形態は
図2に示されるものとほぼ同様の熱重量分析(TGA)を有する、請求項3に記載の結晶形態。
【請求項7】
結晶形態は、
図3に示されるものとほぼ同様のDSCサーモグラムを有する、請求項3に記載の結晶形態。
【請求項8】
結晶形態は、約80℃での発現を有する吸熱を備えるDSCサーモグラムを有する、請求項3に記載の結晶形態。
【請求項9】
結晶形態は、
図6に示されるものとほぼ同様の赤外線(IR)スペクトルを有する、請求項3に記載の結晶形態。
【請求項10】
結晶形態は、約1735cm-1、1427cm-1、1102cm-1、982cm-1及び888cm-1でのピークを備える赤外線(IR)スペクトルを有する、請求項3に記載の結晶形態。
【請求項11】
結晶形態は非吸湿性である、請求項3に記載の結晶形態。
【請求項12】
結晶形態は、特性(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、及び(h)を有することを特徴とする、請求項3に記載の結晶形態。
【請求項13】
結晶形態は、アセトン、アセトン/水、アセトニトリル、アニソール、ジクロロメタン、ジイソプロピルエーテル、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、1,4-ジオキサン、エタノール、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、メタノール、メタノール/水、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、N-メチル-2-ピロリドン、2-プロパノール、2-プロパノール/水、tert-ブチルメチルケトン、テトラヒドロフラン、トルエン、水、1-ブタノール、2-エトキシエタノール、2-メチルテトラヒドロフラン、ベンゾニトリル、クロロベンゼン、ヘプタン、ヘキサン又はtert-アミルアルコールから得られる、請求項3乃至12の何れか1つに記載の結晶形態。
【請求項14】
1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートは、一塩酸塩、ビス塩酸塩、フマル酸塩、ベシル酸塩、又はメシル酸塩;又はその溶媒和物である、請求項1に記載の結晶形態。
【請求項15】
1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートの薬学的に許容可能な塩は、一塩酸塩、又はその溶媒和物である、請求項14に記載の結晶形態。
【請求項16】
1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラート一塩酸塩の結晶形態は、以下の特性:
(a)
図9に示されるものとほぼ同じ、X線粉末回折(XRPD)パターン;
(b)6.4°2-シータ、14.9°2-シータ、16.9°2-シータ、18.4°2-シータ、及び20.9°2-シータでの特徴的なピークを備えた、X線粉末回折(XRPD)パターン;
(c)
図10に示されるものとほぼ同様の熱重量分析(TGA);
(d)
図11に示されるものとほぼ同様のDSCサーモグラム;
(e)約182℃での発現を有する吸熱を備えるDSCサーモグラム;
(f)非吸湿性;又は
(g)それらの組み合わせ
の少なくとも1つを有する形態1である、請求項15に記載の結晶形態。
【請求項17】
結晶形態は、
図9に示されるものとほぼ同じX線粉末回折(XRPD)パターンを有する、請求項16に記載の結晶形態。
【請求項18】
結晶形態は、6.4°2-シータ、14.9°2-シータ、16.9°2-シータ、18.4°2-シータ、及び20.9°2-シータでの特徴的なピークを備えた、X線粉末回折(XRPD)パターンを有する、請求項16に記載の結晶形態。
【請求項19】
結晶形態は、
図10に示されるものとほぼ同様の熱重量分析(TGA)を有する、請求項16に記載の結晶形態。
【請求項20】
結晶形態は、
図11に示されるものとほぼ同様のDSCサーモグラムを有する、請求項16に記載の結晶形態。
【請求項21】
結晶形態は、約182℃での発現を有する吸熱を備えるDSCサーモグラムを有する、請求項16に記載の結晶形態。
【請求項22】
結晶形態は非吸湿性である、請求項16に記載の結晶形態。
【請求項23】
結晶形態は、特性(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、及び(f)を有することを特徴とする、請求項16に記載の結晶形態。
【請求項24】
結晶形態は、アセトニトリル、1,4-ジオキサン、酢酸エチル、メタノール、tert-ブチルメチルエーテル、又は2-プロパノールから得られる、請求項16乃至23の何れか1つに記載の結晶形態。
【請求項25】
1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラート一塩酸塩の結晶形態は、以下の特性:
(a)
図28に示されるものとほぼ同じ、X線粉末回折(XRPD)パターン;
(b)8.6°2-シータ、14.3°2-シータ、15.6°2-シータ、19.0°2-シータ、19.8°2-シータ、及び20.7°2-シータでの特徴的なピークを備えた、X線粉末回折(XRPD)パターン;
(c)
図26に示されるものとほぼ同様の熱重量分析(TGA);
(d)
図27に示されるものとほぼ同様のDSCサーモグラム;
(e)約201℃での発現を有する吸熱を備えるDSCサーモグラム;
(f)
図29に示されるものとほぼ同様の赤外線スペクトル;
(g)約1729cm
-1、1426cm
-1、1102cm
-1、984cm
-1及び907cm
-1のピークを有する赤外線(IR)スペクトル;
(h)非吸湿性;又は
(i)それらの組み合わせ
の少なくとも1つを有する形態2である、請求項15に記載の結晶形態。
【請求項26】
結晶形態は、
図28に示されるものとほぼ同じX線粉末回折(XRPD)パターンを有する、請求項25に記載の結晶形態。
【請求項27】
結晶形態は、8.6°2-シータ、14.3°2-シータ、15.6°2-シータ、19.0°2-シータ、19.8°2-シータ、及び20.7°2-シータでの特徴的なピークを備えた、X線粉末回折(XRPD)パターンを有する、請求項25に記載の結晶形態。
【請求項28】
結晶形態は、
図26に示されるものとほぼ同様の熱重量分析(TGA)を有する、請求項25に記載の結晶形態。
【請求項29】
結晶形態は、
図27に示されるものとほぼ同様のDSCサーモグラムを有する、請求項25に記載の結晶形態。
【請求項30】
結晶形態は、約182℃での発現を有する吸熱を備えるDSCサーモグラムを有する、請求項25に記載の結晶形態。
【請求項31】
結晶形態は、
図29に示されるものとほぼ同様の赤外線(IR)スペクトルを有する、請求項25に記載の結晶形態。
【請求項32】
結晶形態は、約1729cm-1、1426cm-1、1102cm-1、984cm-1及び907cm-1のピークを有する赤外線(IR)スペクトルを有する、請求項25に記載の結晶形態。
【請求項33】
結晶形態は非吸湿性である、請求項25に記載の結晶形態。
【請求項34】
結晶形態は、特性(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、及び(h)を有することを特徴とする、請求項25に記載の結晶形態。
【請求項35】
結晶形態は、アセトン、アセトニトリル、アニソール、ジクロロメタン、ジイソプロピルエーテル、エタノール、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、メタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、tert-ブチルメチルエーテル、2-プロパノール、テトラヒドロフラン、トルエン、2-エトキシエタノール、2-メチルテトラヒドロフラン、又はtert-アミルアルコールから得られる、請求項25乃至34の何れか1つに記載の結晶形態。
【請求項36】
1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートの薬学的に許容可能な塩は、ビス塩酸塩、又はその溶媒和物である、請求項14に記載の結晶形態。
【請求項37】
1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートビス塩酸塩の結晶形態は、以下の特性:
(a)
図17に示されるものとほぼ同じ、X線粉末回折(XRPD)パターン;
(b)6.4°2-シータ、12.0°2-シータ、12.5°2-シータ、14.3°2-シータ、18.5°2-シータ、及び22.8°2-シータでの特徴的なピークを備えた、X線粉末回折(XRPD)パターン;
(c)
図18に示されるものとほぼ同様の熱重量分析(TGA);
(d)
図19に示されるものとほぼ同様のDSCサーモグラム;
(e)約154℃での発現を有する吸熱を備えるDSCサーモグラム;又は
(f)それらの組み合わせ
の少なくとも1つを持つ、請求項36に記載の結晶形態。
【請求項38】
結晶形態は、
図17に示されるものとほぼ同じX線粉末回折(XRPD)パターンを有する、請求項37に記載の結晶形態。
【請求項39】
結晶形態は、6.4°2-シータ、12.0°2-シータ、12.5°2-シータ、14.3°2-シータ、18.5°2-シータ、及び22.8°2-シータでの特徴的なピークを備えた、X線粉末回折(XRPD)パターンを有する、請求項37に記載の結晶形態。
【請求項40】
結晶形態は、
図18に示されるものとほぼ同様の熱重量分析(TGA)を有する、請求項37に記載の結晶形態。
【請求項41】
結晶形態は、
図19に示されるものとほぼ同様のDSCサーモグラムを有する、請求項37に記載の結晶形態。
【請求項42】
結晶形態は、約154℃での発現を有する吸熱を備えるDSCサーモグラムを有する、請求項37に記載の結晶形態。
【請求項43】
結晶形態は、特性(a)、(b)、(c)、(d)、及び(e)を有することを特徴とする、請求項37に記載の結晶形態。
【請求項44】
結晶形態はtert-ブチルメチルエーテル及び5当量のHClから得られる、請求項37乃至43の何れか1つに記載の結晶形態。
【請求項45】
1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートの薬学的に許容可能な塩は、フマル酸塩、又はその溶媒和物である、請求項14に記載の結晶形態。
【請求項46】
1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートフマル酸塩の結晶形態は、以下の特性:
(a)
図42に示されるものとほぼ同じ、X線粉末回折(XRPD)パターン;
(b)13.6°2-シータ、14.1°2-シータ、14.3°2-シータ、20.0°2-シータ、及び21.9°2-シータでの特徴的なピークを備えた、X線粉末回折(XRPD)パターン;
(c)
図44に示されるものとほぼ同様の熱重量分析(TGA);
(d)
図45に示されるものとほぼ同様のDSCサーモグラム;
(e)約126℃での発現を有する吸熱を備えるDSCサーモグラム;
(f)非吸湿性;又は
(g)それらの組み合わせ
の少なくとも1つを持つ、請求項45に記載の結晶形態。
【請求項47】
結晶形態は、
図42に示されるものとほぼ同じX線粉末回折(XRPD)パターンを有する、請求項46に記載の結晶形態。
【請求項48】
結晶形態は、13.6°2-シータ、14.1°2-シータ、14.3°2-シータ、20.0°2-シータ、及び21.9°2-シータでの特徴的なピークを備えた、X線粉末回折(XRPD)パターンを有する、請求項46に記載の結晶形態。
【請求項49】
結晶形態は、
図44に示されるものとほぼ同様の熱重量分析(TGA)を有する、請求項46に記載の結晶形態。
【請求項50】
結晶形態は、
図45に示されるものとほぼ同様のDSCサーモグラムを有する、請求項46に記載の結晶形態。
【請求項51】
結晶形態は、約126℃での発現を有する吸熱を備えるDSCサーモグラムを有する、請求項46に記載の結晶形態。
【請求項52】
結晶形態は非吸湿性である、請求項46に記載の結晶形態。
【請求項53】
結晶形態は、特性(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、及び(f)を有することを特徴とする、請求項46に記載の結晶形態。
【請求項54】
結晶形態は、1-ブタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、アセトン/水の混合物、アセトニトリル/水の混合物、エタノール、酢酸メチル/水、メチルエチルケトン/水、メタノール/アセトニトリル、及び2-メトキシエタノール/アセトニトリルから得られる、請求項46乃至53の何れか1つに記載の結晶形態。
【請求項55】
1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートの薬学的に許容可能な塩は、メシル酸塩、又はその溶媒和物である、請求項14に記載の結晶形態。
【請求項56】
1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートメシル酸塩の結晶形態は、以下の特性:
(a)
図38に示されるものとほぼ同じ、X線粉末回折(XRPD)パターン;
(b)8.6°2-シータ、12.4°2-シータ、14.6°2-シータ、16.5°2-シータ、17.7°2-シータ、及び19.7°2-シータでの特徴的なピークを備えた、X線粉末回折(XRPD)パターン;
(c)
図40に示されるものとほぼ同様の熱重量分析(TGA)サーモグラム;
(d)
図41に示されるものとほぼ同様のDSCサーモグラム;
(e)約179℃での発現を有する吸熱を備えるDSCサーモグラム;又は
(f)それらの組み合わせ
の少なくとも1つを持つ、請求項55に記載の結晶形態。
【請求項57】
結晶形態は、
図38に示されるものとほぼ同じX線粉末回折(XRPD)パターンを有する、請求項56に記載の結晶形態。
【請求項58】
結晶形態は、8.6°2-シータ、12.4°2-シータ、14.6°2-シータ、16.5°2-シータ、17.7°2-シータ、及び19.7°2-シータでの特徴的なピークを備えた、X線粉末回折(XRPD)パターンを有する、請求項56に記載の結晶形態。
【請求項59】
結晶形態は、
図40に示されるものとほぼ同様の熱重量分析(TGA)を有する、請求項56に記載の結晶形態。
【請求項60】
結晶形態は、
図41に示されるものとほぼ同様のDSCサーモグラムを有する、請求項56に記載の結晶形態。
【請求項61】
結晶形態は、約179℃での発現を有する吸熱を備えるDSCサーモグラムを有する、請求項56に記載の結晶形態。
【請求項62】
結晶形態は、特性(a)、(b)、(c)、(d)、及び(e)を有することを特徴とする、請求項56に記載の結晶形態。
【請求項63】
結晶形態は、tert-ブチルメチルエーテル、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、水/アセトン、水/アセトニトリル、又は水/2-プロパノールから得られる、請求項56乃至62の何れか1つに記載の結晶形態。
【請求項64】
結晶形態は溶媒和されていない、請求項3乃至63の何れか1つに記載の結晶形態。
【請求項65】
結晶形態は無水である、請求項3乃至64の何れか1つに記載の結晶形態。
【請求項66】
請求項1乃至65の何れか1つに記載の結晶形態、或いはその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物、及び薬学的に許容可能な担体、希釈剤、及び賦形剤から選択された少なくとも1つの不活性成分を含む、医薬組成物。
【請求項67】
薬剤に使用するための請求項1乃至65の何れか1つに記載の結晶形態。
【請求項68】
患者の疼痛を処置する方法であって、治療上有効な量の請求項1乃至65の何れか1つに記載の結晶形態、又は請求項66に記載の医薬組成物を患者に投与する工程を含む、方法。
【請求項69】
疼痛は神経障害性疼痛である、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
疼痛は炎症性疼痛である、請求項68に記載の方法。
【請求項71】
患者の癲癇/発作障害、多発性硬化症、視神経脊髄炎(NMO)、トゥーレット症候群、アルツハイマー病、又は過敏性腸症候群に関連付けられる腹痛を処置する方法であって、治療上有効な量の請求項1乃至65の何れか1つに記載の結晶形態、又は請求項66に記載の医薬組成物を患者に投与する工程を含む、方法。
【請求項72】
患者の急性疼痛、炎症性疼痛、癌性疼痛、末梢性ニューロパシーによって引き起こされる疼痛、中枢性疼痛、線維筋痛、片頭痛、鎌状赤血球症における血管閉塞性の痛みを伴う発作、多発性硬化症に関連する痙攣又は疼痛、機能的な胸痛、関節リウマチ、変形性関節症、或いは機能性ディスペプシアを処置する方法であって、治療上有効な量の請求項1乃至65の何れか1つに記載の結晶形態、又は請求項66に記載の医薬組成物を患者に投与する工程を含む、方法。
【請求項73】
患者のジストニアを処置する方法であって、治療上有効な量の請求項1乃至65の何れか1つに記載の結晶形態、又は請求項66に記載の医薬組成物を患者に投与する工程を含む、方法。
【請求項74】
薬剤に使用するための、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラート、或いはその薬学的に許容可能な塩、又は溶媒和物。
【請求項75】
1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラート(化合物1)の薬学的に許容可能な塩であって、一塩酸塩、ビス塩酸塩、フマル酸塩、ベシル酸塩、又はメシル酸塩である、薬学的に許容可能な塩。
【請求項76】
薬学的に許容可能な塩は一塩酸塩である、請求項75に記載の薬学的に許容可能な塩。
【請求項77】
薬学的に許容可能な塩はビス塩酸塩である、請求項75に記載の薬学的に許容可能な塩。
【請求項78】
薬学的に許容可能な塩はフマル酸塩である、請求項75に記載の薬学的に許容可能な塩。
【請求項79】
薬学的に許容可能な塩はベシル酸塩である、請求項75に記載の薬学的に許容可能な塩。
【請求項80】
薬学的に許容可能な塩はメシル酸塩である、請求項75に記載の薬学的に許容可能な塩。
【請求項81】
薬学的に許容可能な塩は結晶である、請求項75乃至80の何れか1つに記載の薬学的に許容可能な塩。
【請求項82】
薬学的に可能な塩は非晶質である、請求項75乃至80の何れか1つに記載の薬学的に許容可能な塩。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2016年11月16日出願の米国仮特許出願第62/423,126号の利益を主張するものであり、当該文献は参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
モノアシルグリセロールリパーゼ(MAGL)は、神経系において、アラキドン酸ベースの脂質である2-AG(2-アラキドノイルグリセロール)などの、エンドカンナビノイドの加水分解に関与する酵素である。セリンヒドロラーゼα-β-ヒドロラーゼドメイン6(ABHD6)は別の脂質メディエーターである。
【発明の概要】
【0003】
本明細書には、MAGL阻害剤である1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラート、その薬学的に許容可能な溶媒和物(水和物を含む)、多形体、及び非晶質相、並びにそれらの使用方法が記載される。本明細書にはまた、MAGL阻害剤である1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートの薬学的に許容可能な塩、その薬学的に許容可能な溶媒和物(水和物を含む)、多形体、及び非晶質相、並びにそれらの使用方法が記載される。1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートの他、その薬学的に許容可能な塩は、MAGL活性に関連付けられる疾患又は疾病の処置のための薬剤の製造に使用される。
【0004】
本明細書には、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートの結晶形態を調製するための方法も記載される。更に、結晶形態を含む医薬組成物、並びに、疾患又は疾病(MAGLの不可逆的な阻害が疾患又は疾病を抱える哺乳動物に治療効果をもたらす、疾患又は疾病を含む)の処置においてMAGL阻害剤を使用する方法が、記載される。
【0005】
一実施形態において、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートの結晶形態、或いはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物がある。
【0006】
別の実施形態において、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートの結晶形態は遊離塩基である。
【0007】
別の態様において、本明細書には、以下の特性の少なくとも1つを持つ遊離塩基である、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートの結晶形態が記載される:
(a)
図1に示されるものとほぼ同じ、X線粉末回折(XRPD)パターン;
(b)7.8°2-シータ、12.0°2-シータ、18.5°2-シータ、19.0°2-シータ、19.6°2-シータ、及び21.2°2-シータでの特徴的なピークを備えた、X線粉末回折(XRPD)パターン;
(c)
図2に示されるものとほぼ同様の熱重量分析(TGA);
(d)
図3に示されるものとほぼ同様のDSCサーモグラム;
(e)約80℃での発現を有する吸熱を備えるDSCサーモグラム;
(f)
図6に示されるものとほぼ同様の赤外線(IR)スペクトル;
(g)約1735cm
-1、1427cm
-1、1102cm
-1、982cm
-1及び888cm
-1のピークを有する赤外線(IR)スペクトル;
(h)非吸湿性;又は
(i)それらの組み合わせ。
【0008】
幾つかの実施形態において、結晶性遊離塩基は、
図1に示されるものとほぼ同じ、X線粉末回折(XRPD)パターンを有する。幾つかの実施形態において、結晶性遊離塩基は、7.8°2-シータ、12.0°2-シータ、18.5°2-シータ、19.0°2-シータ、19.6°2-シータ、及び21.2°2-シータでの特徴的なピークを備えた、X線粉末回折(XRPD)パターンを有する。幾つかの実施形態において、結晶性遊離塩基は、
図2に示されるものとほぼ同様の熱重量分析(TGA)サーモグラムを有する。幾つかの実施形態において、結晶性遊離塩基は、
図3に示されるものとほぼ同様のDSCサーモグラムを有する。幾つかの実施形態において、結晶性遊離塩基は、約80℃での発現を有する吸熱を備えるDSCサーモグラムを有する。幾つかの実施形態において、結晶性遊離塩基は、約80℃での発現及び約83℃でのピークを持つ吸熱を備える、DSCサーモグラムを有する。幾つかの実施形態において、結晶性遊離塩基は、
図6に示されるものとほぼ同様の赤外線(IR)スペクトルを有する。幾つかの実施形態において、結晶性遊離塩基は、約1735cm
-1、1427cm
-1、1102cm
-1、982cm
-1及び888cm
-1での赤外線(IR)スペクトルの弱いピークを有する。幾つかの実施形態において、結晶性遊離塩基は、非吸湿性である。幾つかの実施形態において、結晶性遊離塩基は、特性(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、及び(h)を有していると特徴付けられる。幾つかの実施形態において、結晶性遊離塩基は、アセトン、アセトン/水、アセトニトリル、アニソール、ジクロロメタン、ジイソプロピルエーテル、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、1,4-ジオキサン、エタノール、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、メタノール、メタノール/水、メチルエチル(methyethyl)ケトン、メチルイソブチルケトン、N-メチル-2-ピロリドン、2-プロパノール、2-プロパノール/水、tert-ブチルメチルケトン、テトラヒドロフラン、トルエン、水、1-ブタノール、2-エトキシエタノール、2-メチルテトラヒドロフラン、ベンゾニトリル、クロロベンゼン、ヘプタン、ヘキサン又はtert-アミルアルコールから得られる。幾つかの実施形態において、結晶性遊離塩基は溶媒和される。幾つかの実施形態において、結晶性遊離塩基は溶媒和されていない。幾つかの実施形態において、結晶性遊離塩基は無水である。
【0009】
別の実施形態において、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートの結晶形態は、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートである。幾つかの実施形態において、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートは、一塩酸塩、ビス塩酸塩、フマル酸塩、ベシル酸塩、又はメシル酸塩;又はその溶媒和物である。
【0010】
別の実施形態において、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートの結晶形態は、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラート一塩酸塩;又はその溶媒和物である。
【0011】
別の実施形態において、本明細書には、以下の特性の少なくとも1つを持つ、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラート一塩酸塩の結晶形態1が記載される:
(a)
図9に示されるものとほぼ同じ、X線粉末回折(XRPD)パターン;
(b)6.4°2-シータ、14.9°2-シータ、16.9°2-シータ、18.4°2-シータ、及び20.9°2-シータでの特徴的なピークを備えた、X線粉末回折(XRPD)パターン;
(c)
図10に示されるものとほぼ同様の熱重量分析(TGA)サーモグラム;
(d)
図11に示されるものとほぼ同様のDSCサーモグラム;
(e)約182℃での発現を有する吸熱を備えるDSCサーモグラム;
(f)非吸湿性;又は
(g)それらの組み合わせ。
【0012】
幾つかの実施形態において、結晶性一塩酸塩である形態1は、
図9に示されるものとほぼ同じ、X線粉末回折(XRPD)パターンを有する。幾つかの実施形態において、結晶性一塩酸塩である形態1は、6.4°2-シータ、14.9°2-シータ、16.9°2-シータ、18.4°2-シータ、及び20.9°2-シータでの特徴的なピークを備えた、X線粉末回折(XRPD)パターンを有する幾つかの実施形態において、結晶性一塩酸塩である形態1は、
図10に示されるものとほぼ同様の熱重量分析(TGA)サーモグラムを有する。幾つかの実施形態において、結晶性一塩酸塩である形態1は、
図11に示されるものとほぼ同様のDSCサーモグラムを有する。幾つかの実施形態において、結晶性一塩酸塩である形態1は、約182℃での発現を有する吸熱を備えるDSCサーモグラムを有する。幾つかの実施形態において、結晶性一塩酸塩である形態1は、約182℃での発現及び約187℃でのピークを持つ吸熱を備える、DSCサーモグラムを有する。幾つかの実施形態において、結晶性一塩酸塩である形態1は非吸湿性である。幾つかの実施形態において、結晶性一塩酸塩である形態1は、特性(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、及び(f)を有していると特徴付けられる。幾つかの実施形態において、結晶性一塩酸塩である形態1は、アセトニトリル、1,4-ジオキサン、酢酸エチル、メタノール、tert-ブチルメチルエーテル、又は2-プロパノールから得られる。幾つかの実施形態において、結晶性一塩酸塩である形態1は溶媒和される。幾つかの実施形態において、結晶性一塩酸塩である形態1は溶媒和されていない。幾つかの実施形態において、結晶性一塩酸塩である形態1は無水である。
【0013】
別の実施形態において、本明細書には、以下の特性の少なくとも1つを持つ、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラート一塩酸塩の結晶形態2が記載される:
(a)
図28に示されるものとほぼ同じ、X線粉末回折(XRPD)パターン;
(b)8.6°2-シータ、14.3°2-シータ、15.6°2-シータ、19.0°2-シータ、19.8°2-シータ、及び20.7°2-シータでの特徴的なピークを備えた、X線粉末回折(XRPD)パターン;
(c)
図26に示されるものとほぼ同様の熱重量分析(TGA)サーモグラム;
(d)
図27に示されるものとほぼ同様のDSCサーモグラム;
(e)約201℃での発現を有する吸熱を備えるDSCサーモグラム;
(f)
図29に示されるものとほぼ同様の赤外線(IR)スペクトル;
(g)約1729cm
-1、1426cm
-1、1102cm
-1、984cm
-1及び907cm
-1のピークを有する赤外線(IR)スペクトル;
(h)非吸湿性;又は
(i)それらの組み合わせ。
【0014】
幾つかの実施形態において、結晶性一塩酸塩である形態2は、
図28に示されるものとほぼ同じ、X線粉末回折(XRPD)パターンを有する。幾つかの実施形態において、結晶性一塩酸塩である形態2は、8.6°2-シータ、14.3°2-シータ、15.6°2-シータ、19.0°2-シータ、19.8°2-シータ、及び20.7°2-シータでの特徴的なピークを備えた、X線粉末回折(XRPD)パターンを有する。幾つかの実施形態において、結晶性一塩酸塩である形態2は、
図26に示されるものとほぼ同様の熱重量分析(TGA)サーモグラムを有する。幾つかの実施形態において、結晶性一塩酸塩である形態2は、
図27に示されるものとほぼ同様のDSCサーモグラムを有する。幾つかの実施形態において、結晶性一塩酸塩である形態2は、約201℃での発現を有する吸熱を備えるDSCサーモグラムを有する。幾つかの実施形態において、結晶性一塩酸塩である形態2は、約201℃での発現及び約205℃でのピークを持つ吸熱を備える、DSCサーモグラムを有する。幾つかの実施形態において、結晶性一塩酸塩である形態2は、
図29に示されるものとほぼ同様の赤外線(IR)スペクトルを有する。幾つかの実施形態において、結晶性一塩酸塩である形態2は、約1729cm
-1、1426cm
-1、1102cm
-1、984cm
-1及び907cm
-1のピークを有する赤外線(IR)スペクトルを有する。幾つかの実施形態において、結晶性一塩酸塩である形態2は非吸湿性である。幾つかの実施形態において、結晶性一塩酸塩である形態2は、特性(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、及び(h)を有していると特徴付けられる。幾つかの実施形態において、結晶性一塩酸塩である形態2は、アセトン、アセトニトリル、アニソール、ジクロロメタン、ジイソプロピルエーテル、エタノール、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、メタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、tert-ブチルメチルエーテル、2-プロパノール、テトラヒドロフラン、トルエン、2-エトキシエタノール、2-メチルテトラヒドロフラン、又はtert-アミルアルコール。幾つかの実施形態において、結晶性一塩酸塩である形態2は溶媒和される。幾つかの実施形態において、結晶性一塩酸塩である形態2は溶媒和されていない。
幾つかの実施形態において、結晶性一塩酸塩である形態2は無水である。
【0015】
別の実施形態において、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートの結晶形態は、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートビス塩酸塩;又はその溶媒和物である。
【0016】
別の実施形態において、本明細書には、以下の特性の少なくとも1つを持つ、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートビス塩酸塩の結晶形態が記載される:
(a)
図17に示されるものとほぼ同じ、X線粉末回折(XRPD)パターン;
(b)6.4°2-シータ、12.0°2-シータ、12.5°2-シータ、14.3°2-シータ、18.5°2-シータ、及び22.8°2-シータでの特徴的なピークを備えた、X線粉末回折(XRPD)パターン;
(c)
図18に示されるものとほぼ同様の熱重量分析(TGA)サーモグラム;
(d)
図19に示されるものとほぼ同様のDSCサーモグラム;
(e)約154℃での発現を有する吸熱を備えるDSCサーモグラム;又は
(f)それらの組み合わせ。
【0017】
幾つかの実施形態において、結晶性ビス塩酸塩は、
図17に示されるものとほぼ同じ、X線粉末回折(XRPD)パターンを有する。幾つかの実施形態において、結晶性ビス塩酸塩は、6.4°2-シータ、12.0°2-シータ、12.5°2-シータ、14.3°2-シータ、18.5°2-シータ、及び22.8°2-シータでの特徴的なピークを備えた、X線粉末回折(XRPD)パターンを有する。幾つかの実施形態において、結晶性ビス塩酸塩は、
図18に示されるものとほぼ同様の熱重量分析(TGA)サーモグラムを有する。幾つかの実施形態において、結晶性ビス塩酸塩は、
図19に示されるものとほぼ同様のDSCサーモグラムを有する。幾つかの実施形態において、結晶性ビス塩酸塩は、約154℃での発現を有する吸熱を備えるDSCサーモグラムを有する。幾つかの実施形態において、結晶性ビス塩酸塩は、約154℃での発現及び約164℃でのピークを持つ吸熱を備える、DSCサーモグラムを有する。幾つかの実施形態において、結晶性ビス塩酸塩は、特性(a)、(b)、(c)、(d)、及び(e)を有していると特徴付けられる。幾つかの実施形態において、結晶性ビス塩酸塩は、tert-ブチルメチルエーテル及び5当量のHClから得られる。幾つかの実施形態において、結晶性ビス塩酸塩は溶媒和される。幾つかの実施形態において、結晶性ビス塩酸塩は溶媒和されていない。幾つかの実施形態において、結晶性ビス塩酸塩は無水である。
【0018】
別の実施形態において、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートの結晶形態は、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートフマル酸塩;又はその溶媒和物である。
【0019】
別の実施形態において、本明細書には、以下の特性の少なくとも1つを持つ、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートフマル酸塩の結晶形態1が記載される:
(a)
図42に示されるものとほぼ同じ、X線粉末回折(XRPD)パターン;
(b)13.6°2-シータ、14.1°2-シータ、14.3°2-シータ、20.0°2-シータ、及び21.9°2-シータでの特徴的なピークを備えた、X線粉末回折(XRPD)パターン;
(c)
図44に示されるものとほぼ同様の熱重量分析(TGA)サーモグラム;
(d)
図45に示されるものとほぼ同様のDSCサーモグラム;
(e)約126℃での発現を有する吸熱を備えるDSCサーモグラム;
(f)非吸湿性;又は
(g)それらの組み合わせ。
【0020】
幾つかの実施形態において、結晶性フマル酸塩である形態1は、
図42に示されるものとほぼ同じ、X線粉末回折(XRPD)パターンを有する。幾つかの実施形態において、結晶性フマル酸塩である形態1は、13.6°2-シータ、14.1°2-シータ、14.3°2-シータ、20.0°2-シータ、及び21.9°2-シータでの特徴的なピークを備えた、X線粉末回折(XRPD)パターンを有する。幾つかの実施形態において、結晶性フマル酸塩である形態1は、
図44に示されるものとほぼ同様の熱重量分析(TGA)サーモグラムを有する。幾つかの実施形態において、結晶性フマル酸塩である形態1は、
図45に示されるものとほぼ同様のDSCサーモグラムを有する。幾つかの実施形態において、結晶性フマル酸塩である形態1は、約126℃での発現を有する吸熱を備えるDSCサーモグラムを有する。幾つかの実施形態において、結晶性フマル酸塩である形態1は、約126℃での発現及び約132℃でのピークを持つ吸熱を備える、DSCサーモグラムを有する。幾つかの実施形態において、結晶性フマル酸塩である形態1は非吸湿性である。幾つかの実施形態において、結晶性フマル酸塩である形態1は、特性(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、及び(f)を有していると特徴付けられる。幾つかの実施形態において、結晶性フマル酸塩である形態1は、1-ブタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、アセトン/水の混合物、アセトニトリル/水の混合物、エタノール、酢酸メチル/水、メチルエチルケトン/水、メタノール/アセトニトリル、及び2-メトキシエタノール/アセトニトリルから得られる。幾つかの実施形態において、結晶性フマル酸塩である形態1は溶媒和される。幾つかの実施形態において、結晶性フマル酸塩である形態1は溶媒和されていない。幾つかの実施形態において、結晶性フマル酸塩である形態1は無水である。
【0021】
別の実施形態において、本明細書には、以下の特性の少なくとも1つを持つ、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートフマル酸塩の結晶形態2が記載される:
(a)
図46に示されるものとほぼ同じ、X線粉末回折(XRPD)パターン;
(b)9.2°2-シータ、12.1°2-シータ、15.2°2-シータ、17.4°2-シータ、18.2°2-シータ、19.1°2-シータ、及び19.7°2-シータでの特徴的なピークを備えた、X線粉末回折(XRPD)パターン;
(c)
図48に示されるものとほぼ同様の熱重量分析(TGA)サーモグラム;又は
(d)それらの組み合わせ。
【0022】
幾つかの実施形態において、結晶性フマル酸塩である形態2は、
図46に示されるものとほぼ同じ、X線粉末回折(XRPD)パターンを有する。幾つかの実施形態において、結晶性フマル酸塩である形態2は、9.2°2-シータ、12.1°2-シータ、15.2°2-シータ、17.4°2-シータ、18.2°2-シータ、19.1°2-シータ、及び19.7°2-シータでの特徴的なピークを備えた、X線粉末回折(XRPD)パターンを有する。幾つかの実施形態において、結晶性フマル酸塩である形態2は、
図48に示されるものとほぼ同様の熱重量分析(TGA)サーモグラムを有する。幾つかの実施形態において、結晶性フマル酸塩である形態2は、特性(a)、(b)、及び(c)を有していると特徴付けられる。幾つかの実施形態において、結晶性フマル酸塩である形態2はアセトン/水から得られる。
【0023】
別の実施形態において、本明細書には、以下の特性の少なくとも1つを持つ、3,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートフマル酸塩の結晶形態3が記載される:
(a)
図49に示されるものとほぼ同じ、X線粉末回折(XRPD)パターン;
(b)6.7°2-シータ、9.5°2-シータ、12.0°2-シータ、13.9°2-シータ、14.6°2-シータ、17.6°2-シータ、19.4°2-シータ、及び20.3°2-シータでの特徴的なピークを備えた、X線粉末回折(XRPD)パターン;
(c)
図51に示されるものとほぼ同様の熱重量分析(TGA)サーモグラム;
(d)
図52に示されるものとほぼ同様のDSCサーモグラム;
(e)約107℃での発現を有する吸熱を備えるDSCサーモグラム;又は
(f)それらの組み合わせ。
【0024】
幾つかの実施形態において、結晶性フマル酸塩である形態3は、
図49に示されるものとほぼ同じ、X線粉末回折(XRPD)パターンを有する。幾つかの実施形態において、結晶性フマル酸塩である形態3は、6.7°2-シータ、9.5°2-シータ、12.0°2-シータ、13.9°2-シータ、14.6°2-シータ、17.6°2-シータ、19.4°2-シータ、及び20.3°2-シータでの特徴的なピークを備えた、X線粉末回折(XRPD)パターンを有する。幾つかの実施形態において、結晶性フマル酸塩である形態3は、
図51に示されるものとほぼ同様の熱重量分析(TGA)サーモグラムを有する。幾つかの実施形態において、結晶性フマル酸塩である形態3は、
図52に示されるものとほぼ同様のDSCサーモグラムを有する。幾つかの実施形態において、結晶性フマル酸塩である形態3は、約107℃での発現を有する吸熱を備えるDSCサーモグラムを有する。幾つかの実施形態において、結晶性フマル酸塩である形態3は、約107℃での発現及び約115℃でのピークを持つ吸熱を備える、DSCサーモグラムを有する。幾つかの実施形態において、結晶性フマル酸塩である形態3は、特性(a)、(b)、(c)、(d)、及び(e)を有していると特徴付けられる。幾つかの実施形態において、結晶性フマル酸塩である形態3はジオキサン/水から得られる。
【0025】
別の実施形態において、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートの結晶形態は、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートメシル酸塩;又はその溶媒和物である。
【0026】
別の実施形態において、本明細書には、以下の特性の少なくとも1つを持つ、1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートメシル酸塩の結晶形態が記載される:
(a)
図38に示されるものとほぼ同じ、X線粉末回折(XRPD)パターン;
(b)8.6°2-シータ、12.4°2-シータ、14.6°2-シータ、16.5°2-シータ、17.7°2-シータ、及び19.7°2-シータでの特徴的なピークを備えた、X線粉末回折(XRPD)パターン;
(c)
図40に示されるものとほぼ同様の熱重量分析(TGA)サーモグラム;
(d)
図41に示されるものとほぼ同様のDSCサーモグラム;
(e)約179℃での発現を有する吸熱を備えるDSCサーモグラム;又は
(f)それらの組み合わせ。
【0027】
幾つかの実施形態において、結晶性メシル酸塩は、
図38に示されるものとほぼ同じ、X線粉末回折(XRPD)パターンを有する。幾つかの実施形態において、結晶性メシル酸塩は、8.6°2-シータ、12.4°2-シータ、14.6°2-シータ、16.5°2-シータ、17.7°2-シータ、及び19.7°2-シータでの特徴的なピークを備えた、X線粉末回折(XRPD)パターンを有する。幾つかの実施形態において、結晶性メシル酸塩は、
図40に示されるものとほぼ同様の熱重量分析(TGA)サーモグラムを有する。幾つかの実施形態において、結晶性メシル酸塩は、
図41に示されるものとほぼ同様のDSCサーモグラムを有する。幾つかの実施形態において、結晶性メシル酸塩は、約179℃での発現を有する吸熱を備えるDSCサーモグラムを有する。幾つかの実施形態において、結晶性メシル酸塩は、約179℃での発現及び約182℃でのピークを持つ吸熱を備える、DSCサーモグラムを有する。幾つかの実施形態において、結晶性メシル酸塩は、特性(a)、(b)、(c)、(d)、及び(e)を有していると特徴付けられる。幾つかの実施形態において、結晶性メシル酸塩は、tert-ブチルメチルエーテル、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、水/アセトン、常水/アセトニトリル、又は水/2-プロパノールから得られる。幾つかの実施形態において、結晶性メシル酸塩は溶媒和される。幾つかの実施形態において、結晶性メシル酸塩は溶媒和されていない。幾つかの実施形態において、結晶性メシル酸塩は無水である。
【0028】
別の実施形態において、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートの結晶形態は、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートベシル酸塩;又はその溶媒和物である。
【0029】
幾つかの実施形態において、結晶性ベシル酸塩である形態1は、
図30に示されるものとほぼ同じ、X線粉末回折(XRPD)パターンを有する。幾つかの実施形態において、結晶性ベシル酸塩である形態1は、13.2°2-シータ、15.2°2-シータ、18.2°2-シータ、19.3°2-シータ、及び21.6°2-シータでの特徴的なピークを備えた、X線粉末回折(XRPD)パターンを有する。幾つかの実施形態において、結晶性ベシル酸塩は、アセトン、アセトニトリル、酢酸エチル、2-プロパノール、及びTHFから得られる。幾つかの実施形態において、結晶性ベシル酸塩である形態1は溶媒和される。幾つかの実施形態において、結晶性ベシル酸塩である形態1は溶媒和されていない。幾つかの実施形態において、結晶性ベシル酸塩である形態1は無水である。
【0030】
別の実施形態において、本明細書には、以下の特性の少なくとも1つを持つ、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートベシル酸塩の結晶形態2が記載される:
(a)
図31に示されるものとほぼ同じ、X線粉末回折(XRPD)パターン;
(b)6.4°2-シータ、15.9°2-シータ、17.8°2-シータ、18.8°2-シータ、及び19.9°2-シータでの特徴的なピークを備えた、X線粉末回折(XRPD)パターン;
(c)
図33に示されるものとほぼ同様の熱重量分析(TGA)サーモグラム;又は
(d)それらの組み合わせ。
【0031】
幾つかの実施形態において、結晶性ベシル酸塩である形態2は、
図31に示されるものとほぼ同じ、X線粉末回折(XRPD)パターンを有する。幾つかの実施形態において、結晶性ベシル酸塩である形態2は、6.4°2-シータ、15.9°2-シータ、17.8°2-シータ、18.8°2-シータ、及び19.9°2-シータでの特徴的なピークを備えた、X線粉末回折(XRPD)パターンを有する。幾つかの実施形態において、結晶性ベシル酸塩は、特性(a)、(b)、及び(c)を有していると特徴付けられる。幾つかの実施形態において、結晶性ベシル酸塩である形態2はtert-ブチルメチルエーテルから得られる。幾つかの実施形態において、結晶性ベシル酸塩である形態2は溶媒和される。幾つかの実施形態において、結晶性ベシル酸塩である形態2は溶媒和されていない。幾つかの実施形態において、結晶性ベシル酸塩である形態2は無水である。
【0032】
更なる態様において、本明細書に記載されるような1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラート、及び、薬学的に許容可能な担体、希釈剤、及び賦形剤から選択された少なくとも1つの追加の成分を含む、医薬組成物が提供される。幾つかの実施において、医薬組成物は、結晶性1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートの遊離塩基を含む。幾つかの実施において、医薬組成物は、結晶性1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートのモノHCl塩である形態1を含む。幾つかの実施において、医薬組成物は、結晶性1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートのモノHCl塩である形態2を含む。幾つかの実施において、医薬組成物は、結晶性1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートのビスHCl塩を含む。幾つかの実施において、医薬組成物は、結晶性1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートフマル酸塩を含む。幾つかの実施において、医薬組成物は、結晶性1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートメシル酸塩を含む。幾つかの実施において、医薬組成物は、結晶性1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートベシル酸塩である形態1を含む。幾つかの実施において、医薬組成物は、結晶性1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートベシル酸塩である形態2を含む。幾つかの実施形態において、医薬組成物は、哺乳動物への経口投与に適した形態である。幾つかの実施形態において、医薬組成物は、経口固形剤形である。幾つかの実施において、医薬組成物は、約0.5mg~約1000mgの結晶性1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートを含む。
【0033】
別の態様において、本明細書には、薬剤での使用のための、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラート、或いはその薬学的に許容可能な塩、又は溶媒和物が提供される。
【0034】
別の態様において、本明細書には、患者の疼痛を処置する方法が提供され、該方法は、治療上有効な量の本明細書に記載されるような1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートの結晶形態を患者に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、本明細書には、患者の疼痛を処置する方法が提供され、該方法は、治療上有効な量の本明細書にされるような1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートの医薬組成物を患者に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、疼痛は神経障害性疼痛である。幾つかの実施形態において、疼痛は炎症性疼痛である。
【0035】
別の態様において、本明細書には、患者の癲癇/発作障害、多発性硬化症、視神経脊髄炎(NMO)、トゥーレット症候群、アルツハイマー病、又は過敏性腸症候群に関連する腹痛を処置する方法が提供され、該方法は、治療上有効な量の本明細書に記載されるような1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートの結晶形態を患者に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、本明細書には、患者の癲癇/発作障害、多発性硬化症、視神経脊髄炎(NMO)、トゥーレット症候群、アルツハイマー病、又は過敏性腸症候群に関連する腹痛を処置する方法が提供され、該方法は、治療上有効な量の本明細書に記載されるような1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートの医薬組成物を患者に投与する工程を含む。
【0036】
別の態様において、本明細書には、患者の急性疼痛、炎症性疼痛、癌性疼痛、末梢性ニューロパシーによって引き起こされる疼痛、中枢性疼痛、線維筋痛、片頭痛、鎌状赤血球症における血管閉塞性の痛みを伴う発作、多発性硬化症に関連する痙攣又は疼痛、機能的な胸痛、関節リウマチ、変形性関節症、又は機能性ディスペプシアを処置する方法が提供され、該方法は、治療上有効な量の本明細書に記載されるような1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートの結晶形態を患者に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、本明細書には、患者の急性疼痛、炎症性疼痛、癌性疼痛、末梢性ニューロパシーによって引き起こされる疼痛、中枢性疼痛、線維筋痛、片頭痛、鎌状赤血球症における血管閉塞性の痛みを伴う発作、多発性硬化症に関連する痙攣又は疼痛、機能的な胸痛、関節リウマチ、変形性関節症、又は機能性ディスペプシアを処置する方法が提供され、該方法は、治療上有効な量の本明細書に記載されるような1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートの医薬組成物を患者に投与する工程を含む。
【0037】
別の態様において、本明細書には、患者のジストニアを処置する方法が提供され、該方法は、治療上有効な量の本明細書に記載されるような1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートの結晶形態を患者に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、本明細書には、患者のジストニアを処置する方法が提供され、該方法は、治療上有効な量の本明細書に記載されるような1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートの医薬組成物を患者に投与する工程を含む。
【0038】
別の態様において、本明細書には、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラート(化合物1)の薬学的に許容可能な塩が提供され、薬学的に許容可能な塩は、一塩酸塩、ビス塩酸塩、フマル酸塩、ベシル酸塩、又はメシル酸塩である。幾つかの実施形態において、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートの薬学的に許容可能な塩は、一塩酸塩である(化合物2)。幾つかの実施形態において、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートの薬学的に許容可能な塩は、ビス塩酸塩である(化合物3)。幾つかの実施形態において、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートの薬学的に許容可能な塩は、フマル酸塩である(化合物6)。幾つかの実施形態において、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートの薬学的に許容可能な塩は、メシル酸塩である(化合物5)。幾つかの実施形態において、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートの薬学的に許容可能な塩は、ベシル酸塩である(化合物4)。
【0039】
別の実施形態において、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートの薬学的に許容可能な塩は、結晶である。別の実施形態において、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートの薬学的に許容可能な塩は、非晶質である。
【0040】
本明細書に記載されている方法及び組成物の他の目的、特徴、利点は、後述する詳細な説明から明らかになるだろう。しかし、詳細な説明と特定の例は、特定の実施形態を示しているが、本開示の精神及び範囲内での様々な変更及び修正は、この詳細な説明から当業者に明白となるので、単なる例示目的として与えられることを理解されたい。本明細書で使用されるセクションの見出しは、構成上の目的のみのためであり、記載される主題を制限すると解釈されるものではない。限定されないが、特許、特許出願、論文、書籍、マニュアル、及び論説を含む、本出願において引用される全ての文書、又は該文書の一部は、任意の目的のためにその全体を参照することで本明細書に明確に組み込まれる。
【0041】
引用による組み込み
本明細書で言及された刊行物及び特許出願は全て、適用可能且つ関連する程度までの引用により本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】結晶性1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートの遊離塩基のX線粉末回折(XRPD)パターンを示す。
【
図2】結晶性1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートの遊離塩基の熱重量分析(TGA)サーモグラムを示す。
【
図3】結晶性1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートの遊離塩基の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを示す。
【
図4】結晶性1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートの遊離塩基の重量蒸気吸着(GVS)分析を示す。
【
図5】GVS前とGVS後の結晶性1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートの遊離塩基のX線粉末回折(XRPD)パターンを示す。
【
図6】結晶性1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートの遊離塩基の赤外線(IR)スペクトルを示す。
【
図7】結晶性1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートの遊離塩基のNMRスペクトルを示す。
【
図8】結晶性1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートの遊離塩基のHPLC純度を示す。
【
図9】結晶性1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートのモノHCl塩である形態1のXRPDパターンを示す。
【
図10】結晶性1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートのモノHCl塩である形態1のTGAサーモグラムを示す。
【
図11】結晶性1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートのモノHCl塩である形態1のDSCサーモグラムを示す。
【
図12】140℃での加熱と冷却の後の、結晶性1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートのモノHCl塩である形態1のX線粉末回折(XRPD)パターンを示す。
【
図13】結晶性1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートのモノHCl塩である形態1の重量蒸気吸着(GVS)分析を示す1。
【
図14】GVS後の結晶性1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートのモノHCl塩である形態1のX線粉末回折(XRPD)パターンを示す。
【
図15】結晶性1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートのモノHCl塩である形態1のNMRスペクトルを示す。
【
図16】結晶性1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートのモノHCl塩である形態1のHPLC純度を示す。
【
図17】結晶性1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートのビスHCl塩のXRPDパターンを示す。
【
図18】結晶性1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートのビスHCl塩のTGAサーモグラムを示す。
【
図19】結晶性1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートのビスHCl塩のDSCサーモグラムを示す。
【
図20】結晶性1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートのビスHCl塩のGVS分析を示す。
【
図21】GVS後の結晶性1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートのビスHCl塩のXRPDパターンを示す。
【
図22】結晶性1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートのビスHCl塩のNMRスペクトルを示す。
【
図23】結晶性1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートのビスHCl塩のHPLC純度を示す。
【
図24A】溶媒の溶解度スクリーン(solvent solubility screen)から得られた結果のXRPD分析を示す。
【
図24B】溶媒の溶解度スクリーンから得られた結果のXRPD分析を示す。
【
図24C】溶媒の溶解度スクリーンから得られた結果のXRPD分析を示す。
【
図24D】溶媒の溶解度スクリーンから得られた結果のXRPD分析を示す。
【
図25】第1の多形体スクリーン(primary polymorph screen)から得られた結果のXRPD分析を説明する。
【
図26】結晶性1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートのモノHCl塩である形態2のTGAサーモグラムを示す。
【
図27】結晶性1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートのモノHCl塩である形態2のDSCサーモグラムを示す。
【
図28】結晶性1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートのモノHCl塩である形態2のXRPDパターンを示す。
【
図29】結晶性1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートのモノHCl塩である形態2の赤外線(IR)スペクトルを示す。
【
図30】結晶性1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートベシル酸塩である形態1のXRPDパターンを示す。
【
図31】結晶性1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートベシル酸塩である形態2のXRPDパターンを示す。
【
図32】結晶性1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートベシル酸塩である形態1及び2のXRPDパターンを示す。
【
図33】結晶性1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートベシル酸塩である形態2のTGAサーモグラムを示す。
【
図34】焦点塩スクリーン(focused salt screen)から1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートメシル酸塩に対して得られた結果のXRPD分析を示す。
【
図35】焦点塩スクリーンから1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートメシル酸塩に対して得られた結果のXRPD分析を示す。
【
図36】焦点塩スクリーンから1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートフマル酸塩に対して得られた結果のXRPD分析を示す。
【
図37】焦点塩スクリーンから1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートフマル酸塩に対して得られた結果のXRPD分析を示す。
【
図38】結晶性1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートメシル酸塩のXRPDパターンを示す。
【
図39】結晶性1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートメシル酸塩のNMRスペクトルを示す。
【
図40】結晶性1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートメシル酸塩のTGAサーモグラムを示す。
【
図41】結晶性1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートメシル酸塩のDSCサーモグラムを示す。
【
図42】結晶性1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートフマル酸塩である形態1のXRPDパターンを示す。
【
図43】結晶性1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートフマル酸塩である形態1のNMRスペクトルを示す。
【
図44】結晶性1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートフマル酸塩である形態1のTGAサーモグラムを示す。
【
図45】結晶性1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートフマル酸塩である形態1のDSCサーモグラムを示す。
【
図46】結晶性1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートフマル酸塩である形態2のXRPDパターンを示す。
【
図47】結晶性1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートフマル酸塩である形態2のNMRスペクトルを示す。
【
図48】結晶性1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートフマル酸塩である形態2のTGAサーモグラムを示す。
【
図49】結晶性1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートフマル酸塩である形態3のXRPDパターンを示す。
【
図50】結晶性1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートフマル酸塩である形態3のNMRスペクトルを示す。
【
図51】結晶性1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートフマル酸塩である形態3のTGAサーモグラムを示す。
【
図52】結晶性1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートフマル酸塩である形態3のDSCサーモグラムを示す。
【
図53】結晶性1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートフマル酸塩である形態1の重量蒸気吸着(GVS)分析を示す。
【
図54】結晶性1,1,3,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートフマル酸塩である形態3の重量蒸気吸着(GVS)分析を示す。
【
図55】GVSの前及び後の結晶性1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートフマル酸塩である形態1のXRPDパターンを示す。
【
図56】結晶性1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートフマル酸塩である形態1のNMRスペクトルを示す。
【
図57】結晶性1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートフマル酸塩である形態1のHPLC純度を示す。
【発明を実施するための形態】
【0043】
モノアシルグリセロールリパーゼ(MAGL)は、神経系において、アラキドン酸ベースの脂質である2-AG(2-アラキドノイルグリセロール)などの、エンドカンナビノイドの加水分解に関与する主要な酵素である。エンドカンナビノイド系は、例えば、痛覚、炎症、及び記憶を含む一連の生理的なプロセス調節する。更に、肥満、慢性疼痛、不安、及びうつ病などの障害は、エンドカンナビノイド系のシグナル伝達活性の調節に関連付けられてきた。
【0044】
例えば、MAGL調節化合物は、2-AG媒介性のシグナル伝達活性、及び、疼痛、炎症、代謝障害などを含む、そのようなシグナル伝達活性に関係する障害の刺激に有用であり得る。
【0045】
しかし、現在に至るまで、MAGL調節化合物は典型的に、インビボの薬学的に許容可能な薬剤として、とりわけ、主要なN-アラキドノイルエタノールアミド(AEA)加水分解酵素である、脂肪酸アミドヒドロラーゼ(FAAH)に対する選択的な薬剤として、一般的な使用に必要とされる選択性を欠いている。FAAHの遺伝子破壊又は薬理学的な破壊により、1つ以上のカンナビノイド依存性の行動学的効果、例えば、炎症、不安、うつ病、又は、痛覚の減少がもたらされることもある。
【0046】
更に、MAGL及びその遊離脂肪酸の生成物が、侵攻性の癌細胞及び一次腫瘍においてアップレギュレートされることが最近発見され、ここでMAGLは、癌細胞移動及び腫瘍成長を促進する脂肪酸ネットワークを調整する。それ故、MAGLの新しい、選択的な阻害剤が、癌の処置に有用であり得る。
【0047】
化合物1、及びその薬学的に許容可能な塩
本明細書に記載されるMAGL阻害剤化合物である、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートは、MAGLに対して選択的である。化合物1は、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートの遊離塩基形態である。「化合物1」又は「1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートの遊離塩基」は、以下の構造を持つ化合物を指す:
【0048】
【0049】
種々様々な薬学的に許容可能な塩は化合物1から形成され、次のものを含む:
-脂肪族モノカルボン酸及びジカルボン酸、フェニルで置換したアルカン酸、ヒドロキシルアルカン酸、アルカンジオール(alkanedioic)酸、芳香族酸、脂肪族及び芳香族のスルホン酸、アミノ酸等を含み、並びに、例えば、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸などを含む、有機酸と化合物1とを反応させることによって形成された、酸付加塩;
-塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、ヨウ化水素酸、フッ化水素酸、亜リン酸などを含む無機酸と化合物1とを反応させることによって形成された、酸付加塩。
【0050】
化合物1に関連する用語「薬学的に許容可能な塩」は、化合物1の塩を指し、これは、投与される哺乳動物に対して著しい刺激作用を引き起こさず、生物学的活性及び化合物の特性をほとんど抑制しない。
【0051】
薬学的に許容可能な塩に対する言及が、その溶媒付加形態(溶媒和物)を含むことを理解されたい。溶媒和物は、溶媒の化学量論又は非化学量論の何れかの量を含み、薬学的に許容可能な溶媒(水、エタノール、メタノール、メチルtert-ブチルエーテル(MTBE)、ジイソプロピルエーテル(DIPE)、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、イソプロピルアルコール、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルエチルケトン(MEK)、アセトン、ニトロメタン、テトラヒドロフラン(THF)、ジクロロメタン(DCM)、ジオキサン、ヘプタン、トルエン、アニソール、アセトニトリルなど)による、生成物の形成又は分離のプロセス中に形成される。1つの態様において、溶媒和物は、限定されないが、クラス3の溶媒を用いて形成される。溶媒のカテゴリーは、例えば、International Conference on Harmonization of Technical Requirements for Registration of Pharmaceuticals for Human Use (ICH), ”Impurities: Guidelines for Residual Solvents, Q3C(R3),(November 2005)に定義されている。溶媒が水であるときに水和物が形成されるか、或いは溶媒がアルコールであるときにアルコラートが形成される。幾つかの実施形態において、化合物1の溶媒和物、又はその薬学的に許容可能な塩は、本明細書に記載されるプロセス中に好都合に調製又は形成される。幾つかの実施形態において、化合物1の溶媒和物は無水である。幾つかの実施形態において、化合物1、又はその薬学的に許容可能な塩は、非溶媒和形態で存在する。幾つかの実施形態において、化合物1、又はその薬学的に許容可能な塩は、非溶媒和形態で存在し、無水である。
【0052】
また他の実施形態において、化合物1、又はその薬学的に許容可能な塩は、限定されないが、非晶質相、結晶形態、粉砕された形態、及びナノ粒子形態を含む、様々な形態で調製される。幾つかの実施形態において、化合物1又はその薬学的に許容可能な塩は、非晶質である。幾つかの実施形態において、化合物1又はその薬学的に許容可能な塩は、非晶質であり、無水である。幾つかの実施形態において、イブルチニブ又はその薬学的に許容可能な塩は、結晶である。幾つかの実施形態において、イブルチニブ又はその薬学的に許容可能な塩は、結晶であり、無水である。
【0053】
特定の理論に縛られることは意図されていない一方、特定の固体形態は、医薬的及び治療的な剤形に適切な物理的特性、例えば、安定性、溶解度、及び溶出速度を特徴とする。更に、特定の理論に縛られることを望まない一方、特定の固体形態は、固形剤形の製造に適切な特定の固体形態を作る特定のプロセス(例えば産出、濾過、洗浄、乾燥、ミリング、混合、錠剤化、流動性、溶解、製剤、及び凍結乾燥)に影響を及ぼす物理的特性(例えば密度、圧縮性、硬度、形態学、開裂、粘着性、溶解度、水摂取、電気特性、温度特性、固態反応性、物理的安定性及び化学的安定性)を特徴とする。そのような特性は、本明細書に記載且つ当該技術分野で知られるような、固態分析技術(例えばX線回折、顕微鏡検査、分光法、及び熱分析)を含む特定の分析的な化学技術を使用して判定することができる。
【0054】
非晶質の化合物1
幾つかの実施形態において、化合物1は非晶質であり無水である。幾つかの実施形態において、化合物1は非晶質である。幾つかの実施形態において、非晶質の化合物1は、結晶度の不足を示すX線粉末回折(XRPD)パターンを有する。
【0055】
MAGL阻害剤の結晶形態
固体形態の変化が、他の重要な薬学的特徴の中で、処理、製剤、安定性、生物学的利用能、貯蔵、取扱い(例えば輸送)の利益又は欠点をもたらす様々な物理的特性及び化学的特性に影響を及ぼしかねない場合、医薬化合物の固体形態の同定及び選択は複雑になる。有用な医薬固体は、生成物及びその投与形態に依存して、結晶性固体及び非晶質固体を含む。非晶質固体は、長距離の構造的な順序の欠如を特徴とする一方、結晶性固体は構造的な周期性を特徴とする。望ましいクラスの医薬品固体は特定の用途に依存し、非晶質固体は時折、例えば増強された溶解プロファイルに基づいて選択されるが、結晶性固体は、例えば物理的又は化学的安定性などの特性に望ましい場合もある。
【0056】
結晶性又は非晶質であるかにかかわらず、医薬化合物の固体形態は、単一の構成要素及び多数の構成要素の固体を含む。単一の構成要素の固体は、他の化合物がない状態で医薬化合物又は有効成分から実質的に成る。単一の構成要素の結晶質間の多様性は場合によって、複数の三次元構成が特定の医薬化合物のために存在する多型性の現象から生じ得る。
【0057】
著しくは、化合物の結晶形態が更に存在するかどうか、加えてそれらを成功裡に調製する方法を演繹的に予測することはできない(例えば、Braga and Grepioni, 2005, “Making crystals from crystals: a green route to crystal engineering and polymorphism,” Chem. Commun.:3635-3645 (結晶の設計に関して、指示が非常に正確ではなく及び/又は他の外部要因がプロセスに影響を及ぼす場合、結果が予測不能となりかねない); Jones et al., 2006, Pharmaceutical Cocrystals: An Emerging Approach to Physical Property Enhancement,” MRS Bulletin 31:875-879 (今のところ、最も単純な分子観察可能な多形体の数を計算的に予測することは一般的に可能ではない); Price, 2004, “The computational prediction of pharmaceutical crystal structures and polymorphism,” Advanced Drug Delivery Reviews 56:301-319 (“Price”); and Bernstein, 2004, “Crystal Structure Prediction and Polymorphism,” ACA Transactions 39:14-23 (結晶構造、即ちあまり多形性でない形態を予測する能力を、ある程度の信頼をおいて提示可能とする前に、多くの事が学習され且つなされる必要が未だにある)を参照)。
【0058】
様々な可能な固体形態が、与えられた医薬化合物に対する物理的及び化学的特性において潜在的な多様性をもたらす。固体形態の発見及び選択は、有効であり、安定した、市場性のある医薬生成物の開発において非常に重要である。
【0059】
結晶性化合物1
幾つかの実施形態において、化合物1は結晶である。幾つかの実施形態において、結晶性化合物1は以下の特性の少なくとも1つを持つことを特徴とする:
(a)
図1に示されるものとほぼ同じ、X線粉末回折(XRPD)パターン;
(b)7.8°2-シータ、12.0°2-シータ、18.5°2-シータ、19.0°2-シータ、19.6°2-シータ、及び21.2°2-シータでの特徴的なピークを備えた、X線粉末回折(XRPD)パターン;
(c)
図2に示されるものとほぼ同様の熱重量分析(TGA);
(d)
図3に示されるものとほぼ同様のDSCサーモグラム;
(e)約80℃での発現を有する吸熱を備えるDSCサーモグラム;
(f)
図6に示されるものとほぼ同様の赤外線(IR)スペクトル;
(g)約1735cm
-1、1427cm
-1、1102cm
-1、982cm
-1及び888cm
-1の赤外線(IR)スペクトルの弱いピーク;
(h)非吸湿性;又は
(i)それらの組み合わせ。
【0060】
幾つかの実施形態において、結晶性化合物1は、(a)~(h)から選択された特性のうち少なくとも2つを持つことを特徴とする。幾つかの実施形態において、結晶性化合物1は、(a)~(h)から選択された特性のうち少なくとも3つを持つことを特徴とする。幾つかの実施形態において、結晶性化合物1は、(a)~(h)から選択された特性のうち少なくとも4つを持つことを特徴とする。幾つかの実施形態において、結晶性化合物1は、(a)~(h)から選択された特性のうち少なくとも5つを持つことを特徴とする。幾つかの実施形態において、結晶性化合物1は、(a)~(h)から選択された特性のうち少なくとも6つを持つことを特徴とする。幾つかの実施形態において、結晶性化合物1は、(a)~(h)から選択された特性のうち少なくとも7つを持つことを特徴とする。幾つかの実施形態において、結晶性化合物1は、特性(a)~(h)を持つことを特徴とする。
【0061】
幾つかの実施形態において、結晶性化合物1は、
図1に示されるものとほぼ同じ、X線粉末回折(XRPD)パターンを有する。幾つかの実施形態において、結晶性化合物1は、7.8°2-シータ、12.0°2-シータ、18.5°2-シータ、19.0°2-シータ、19.6°2-シータ、及び21.2°2-シータでの特徴的なピークを備えた、X線粉末回折(XRPD)パターンを有する。幾つかの実施形態において、結晶性化合物1は、
図2に示されるものとほぼ同様の熱重量分析(TGA)サーモグラムを有する。幾つかの実施形態において、結晶性化合物1は、
図3に示されるものとほぼ同様のDSCサーモグラムを有する。幾つかの実施形態において、結晶性化合物1は、約80℃での発現を有する吸熱を備えるDSCサーモグラムを有する。幾つかの実施形態において、結晶性化合物1は、約80℃での発現及び約83℃でのピークを持つ吸熱を備える、DSCサーモグラムを有する。幾つかの実施形態において、結晶性化合物1は、
図6に示されるものとほぼ同様の赤外線(IR)スペクトルを有する。幾つかの実施形態において、結晶性化合物1は、約1735cm
-1、1427cm
-1、1102cm
-1、982cm
-1及び888cm
-1での赤外線(IR)スペクトルの弱いピークを有する。幾つかの実施形態において、結晶形態は、非吸湿性である。幾つかの実施形態において、結晶性化合物1は、アセトン、アセトン/水、アセトニトリル、アニソール、ジクロロメタン、ジイソプロピルエーテル、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、1,4-ジオキサン、エタノール、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、メタノール、メタノール/水、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、N-メチル-2-ピロリドン、2-プロパノール、2-プロパノール/水、tert-ブチルメチルケトン、テトラヒドロフラン、トルエン、水、1-ブタノール、2-エトキシエタノール、2-メチルテトラヒドロフラン、ベンゾニトリル、クロロベンゼン、ヘプタン、ヘキサン又はtert-アミルアルコールから得られる。幾つかの実施形態において、結晶性遊離塩基は溶媒和される。幾つかの実施形態において、結晶性化合物1は溶媒和されていない。幾つかの実施形態において、結晶性化合物1は無水である。
【0062】
化合物2、モノ-HCl塩
化合物2は、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートのモノHCl塩である。幾つかの実施において、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートのモノHCl塩は結晶形態1である。幾つかの実施において、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートのモノHCl塩は結晶形態2である。
【0063】
化合物2、形態1
幾つかの実施形態において、化合物2は結晶である。いくつかの実施形態では、化合物2は結晶形態1である。化合物2の結晶形態1は以下の特性の少なくとも1つを持つことを特徴とする:
(a)
図9に示されるものとほぼ同じ、X線粉末回折(XRPD)パターン;
(b)6.4°2-シータ、14.9°2-シータ、16.9°2-シータ、18.4°2-シータ、及び20.9°2-シータでの特徴的なピークを備えた、X線粉末回折(XRPD)パターン;
(c)
図10に示されるものとほぼ同様の熱重量分析(TGA)サーモグラム;
(d)
図11に示されるものとほぼ同様のDSCサーモグラム;
(e)約182℃での発現を有する吸熱を備えるDSCサーモグラム;
(f)非吸湿性;又は
(g)それらの組み合わせ。
【0064】
幾つかの実施形態において、化合物2である形態1は、(a)~(f)から選択された特性のうち少なくとも2つを持つことを特徴とする。幾つかの実施形態において、化合物2である形態1は、(a)~(f)から選択された特性のうち少なくとも3つを持つことを特徴とする。幾つかの実施形態において、化合物2である形態1は、(a)~(f)から選択された特性のうち少なくとも4つを持つことを特徴とする。幾つかの実施形態において、化合物2である形態1は、(a)~(f)から選択された特性のうち少なくとも5つを持つことを特徴とする。幾つかの実施形態において、化合物2である形態1は、特性(a)~(f)を持つことを特徴とする。
【0065】
幾つかの実施形態において、化合物2である形態1は、
図9に示されるものとほぼ同じ、X線粉末回折(XRPD)パターンを有する。幾つかの実施形態において、化合物2である形態1は、6.4°2-シータ、14.9°2-シータ、16.9°2-シータ、18.4°2-シータ、及び20.9°2-シータでの特徴的なピークを備えた、X線粉末回折(XRPD)パターンを有する。幾つかの実施形態において、化合物2である形態1は、
図10に示されるものとほぼ同様の熱重量分析(TGA)サーモグラムを有する。幾つかの実施形態において、化合物2である形態1は、
図11に示されるものとほぼ同様のDSCサーモグラムを有する。幾つかの実施形態において、化合物2である形態1は、約182℃での発現を有する吸熱を備えるDSCサーモグラムを有する。幾つかの実施形態において、化合物2である形態1は、約182℃での発現及び約187℃でのピークを持つ吸熱を備える、DSCサーモグラムを有する。幾つかの実施形態において、化合物2である形態1は非吸湿性である。幾つかの実施形態において、化合物2である形態1は、アセトニトリル、1,4-ジオキサン、酢酸エチル、メタノール、tert-ブチルメチルエーテル、又は2-プロパノールから得られる。幾つかの実施形態において、化合物2である形態1は溶媒和される。幾つかの実施形態において、化合物2である形態1は溶媒和されていない。幾つかの実施形態において、化合物2である形態1は無水である。
【0066】
化合物2、形態2
幾つかの実施形態において、化合物2は結晶である。幾つかの実施形態において、化合物2は結晶形態2である。化合物2の結晶形態2は以下の特性の少なくとも1つを持つことを特徴とする:
(a)
図28に示されるものとほぼ同じ、X線粉末回折(XRPD)パターン;
(b)8.6°2-シータ、14.3°2-シータ、15.6°2-シータ、19.0°2-シータ、19.8°2-シータ、及び20.7°2-シータでの特徴的なピークを備えた、X線粉末回折(XRPD)パターン;
(c)
図26に示されるものとほぼ同様の熱重量分析(TGA)サーモグラム;
(d)
図27に示されるものとほぼ同様のDSCサーモグラム;
(e)約201℃での発現を有する吸熱を備えるDSCサーモグラム;
(f)
図29に示されるものとほぼ同様の赤外線(IR)スペクトル;
(g)約1729cm
-1、1426cm
-1、1102cm
-1、984cm
-1及び907cm
-1のピークを有する赤外線(IR)スペクトル;
(h)非吸湿性;又は
(i)それらの組み合わせ。
【0067】
幾つかの実施形態において、化合物2である形態2は、(a)~(h)から選択された特性のうち少なくとも2つを持つことを特徴とする。幾つかの実施形態において、化合物2である形態2は、(a)~(h)から選択された特性のうち少なくとも3つを持つことを特徴とする。幾つかの実施形態において、化合物2である形態2は、(a)~(h)から選択された特性のうち少なくとも4つを持つことを特徴とする。幾つかの実施形態において、化合物2である形態2は、(a)~(h)から選択された特性のうち少なくとも5つを持つことを特徴とする。幾つかの実施形態において、化合物2である形態2は、(a)~(h)から選択された特性のうち少なくとも6つを持つことを特徴とする。幾つかの実施形態において、化合物2である形態2は、(a)~(h)から選択された特性のうち少なくとも7つを持つことを特徴とする。幾つかの実施形態において、化合物2である形態2は、特性(a)~(h)を持つことを特徴とする。
【0068】
幾つかの実施形態において、化合物2である形態2は、
図28に示されるものとほぼ同じ、X線粉末回折(XRPD)パターンを有する。幾つかの実施形態において、化合物2である形態2は、8.6°2-シータ、14.3°2-シータ、15.6°2-シータ、19.0°2-シータ、19.8°2-シータ、及び20.7°での特徴的なピークを備えた、X線粉末回折(XRPD)パターンを有する。幾つかの実施形態において、化合物2である形態2は、
図26に示されるものとほぼ同様の熱重量分析(TGA)サーモグラムを有する。幾つかの実施形態において、化合物2である形態2は、
図27に示されるものとほぼ同様のDSCサーモグラムを有する。幾つかの実施形態において、化合物2である形態2は、約201℃での発現を有する吸熱を備えるDSCサーモグラムを有する。幾つかの実施形態において、化合物2である形態2は、約201℃での発現及び約205℃でのピークを持つ吸熱を備える、DSCサーモグラムを有する。幾つかの実施形態において、化合物2である形態2は、
図29に示されるものとほぼ同様の赤外線(IR)スペクトルを有する。幾つかの実施形態において、化合物2である形態2は、約1729cm
-1、1426cm
-1、1102cm
-1、984cm
-1及び907cm
-1のピークを有する赤外線(IR)スペクトルを有する。幾つかの実施形態において、化合物2である形態2は、アセトン、アセトニトリル、アニソール、ジクロロメタン、ジイソプロピルエーテル、エタノール、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、メタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、tert-ブチルメチルエーテル、2-プロパノール、テトラヒドロフラン、トルエン、2-エトキシエタノール、2-メチルテトラヒドロフラン、又はtert-アミルアルコール。幾つかの実施形態において、化合物2である形態2は溶媒和される。幾つかの実施形態において、化合物2である形態2は溶媒和されていない。幾つかの実施形態において、化合物2である形態2は無水である。
【0069】
化合物3、ビスHCl塩
化合物3は、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートのビスHCl塩である。幾つかの実施形態において、化合物3は結晶である。幾つかの実施形態において、化合物3は以下の特性の少なくとも1つを持つ結晶である:
(a)
図17に示されるものとほぼ同じ、X線粉末回折(XRPD)パターン;
(b)6.4°2-シータ、12.0°2-シータ、12.5°2-シータ、14.3°2-シータ、18.5°2-シータ、及び22.8°2-シータでの特徴的なピークを備えた、X線粉末回折(XRPD)パターン;
(c)
図18に示されるものとほぼ同様の熱重量分析(TGA)サーモグラム;
(d)
図19に示されるものとほぼ同様のDSCサーモグラム;
(e)約154℃での発現を有する吸熱を備えるDSCサーモグラム;又は
(f)それらの組み合わせ。
【0070】
幾つかの実施形態において、化合物3は、(a)~(e)から選択された特性のうち少なくとも2つを持つことを特徴とする。幾つかの実施形態において、化合物3は、(a)~(e)から選択された特性のうち少なくとも3つを持つことを特徴とする。幾つかの実施形態において、化合物3は、(a)~(e)から選択された特性のうち少なくとも4つを持つことを特徴とする。幾つかの実施形態において、化合物3は、特性(a)~(e)を持つことを特徴とする。
【0071】
幾つかの実施形態において、化合物3は、
図17に示されるものとほぼ同じ、X線粉末回折(XRPD)パターンを有する。幾つかの実施形態において、化合物3は、6.4°2-シータ、12.0°2-シータ、12.5°2-シータ、14.3°2-シータ、18.5°2-シータ、及び22.8°2-シータでの特徴的なピークを備えた、X線粉末回折(XRPD)パターンを有する。幾つかの実施形態において、化合物3は、
図18に示されるものとほぼ同様の熱重量分析(TGA)サーモグラムを有する。幾つかの実施形態において、結晶性ビス塩酸塩は、
図19に示されるものとほぼ同様のDSCサーモグラムを有する。幾つかの実施形態において、化合物3は、約154℃での発現を有する吸熱を備えるDSCサーモグラムを有する。幾つかの実施形態において、化合物3は、約154℃での発現及び約164℃でのピークを持つ吸熱を備える、DSCサーモグラムを有する。幾つかの実施形態において、化合物3は、tert-ブチルメチルエーテル及び5当量のHClから得られる。幾つかの実施形態において、結晶性ビス塩酸塩は溶媒和される。幾つかの実施形態において、化合物3は溶媒和されていない。幾つかの実施形態において、化合物3は無水である。
【0072】
化合物4、ベシル酸塩
化合物4は、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートベシル酸塩である。幾つかの実施形態において、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートベシル酸塩は結晶形態1である。幾つかの実施形態において、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートベシル酸塩は結晶形態2である。
【0073】
化合物4、形態1
幾つかの実施形態において、化合物4は結晶である。幾つかの実施形態において、化合物4は結晶形態1である。幾つかの実施形態において、化合物4である形態1は、
図30に示されるものとほぼ同じ、X線粉末回折(XRPD)パターンを有する。幾つかの実施形態において、化合物4である形態1は、6.4°2-シータ、15.9°2-シータ、17.8°2-シータ、18.8°2-シータ、及び19.9°2-シータでの特徴的なピークを備えた、X線粉末回折(XRPD)パターンを有する。幾つかの実施形態において、化合物4である形態1は、アセトン、アセトニトリル、酢酸エチル、2-プロパノール、及びTHFから得られる。幾つかの実施形態において、化合物4である形態1は溶媒和される。幾つかの実施形態において、化合物4である形態1は溶媒和されていない。幾つかの実施形態において、化合物4である形態1は無水である。
【0074】
化合物4、形態2
幾つかの実施形態において、化合物4は結晶である。幾つかの実施形態において、化合物4は結晶形態2である。化合物4の結晶形態2は以下の特性の少なくとも1つを持つことを特徴とする:
(a)
図31に示されるものとほぼ同じ、X線粉末回折(XRPD)パターン;
(b)6.4°2-シータ、15.9°2-シータ、17.8°2-シータ、18.8°2-シータ、及び19.9°2-シータでの特徴的なピークを備えた、X線粉末回折(XRPD)パターン;
(c)
図33に示されるものとほぼ同様の熱重量分析(TGA)サーモグラム;又は
(d)それらの組み合わせ。
【0075】
幾つかの実施形態において、化合物4である形態2は、(a)~(c)から選択された特性のうち少なくとも2つを持つことを特徴とする。幾つかの実施形態において、化合物4である形態2は、特性(a)~(c)を持つことを特徴とする。6.4°2-シータ、15.9°2-シータ、17.8°2-シータ、18.8°2-シータ、及び19.9°2-シータ。
【0076】
幾つかの実施形態において、化合物4である形態2は、
図31に示されるものとほぼ同じ、X線粉末回折(XRPD)パターンを有する。幾つかの実施形態において、化合物4である形態2は、6.4°2-シータ、15.9°2-シータ、17.8°2-シータ、18.8°2-シータ、及び19.9°2-シータでの特徴的なピークを備えた、X線粉末回折(XRPD)パターンを有する。幾つかの実施形態において、化合物4である形態2はtert-ブチルメチルエーテルから得られる。幾つかの実施形態において、結晶性ベシル酸塩である形態2は溶媒和される。幾つかの実施形態において、化合物4である形態2は溶媒和されていない。幾つかの実施形態において、化合物4である形態2は無水である。
【0077】
化合物5、メシル酸塩
化合物5は、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートメシル酸塩である。幾つかの実施形態において、化合物5は結晶である。幾つかの実施形態において、化合物5は以下の特性の少なくとも1つを持つ結晶である:(a)
図38に示されるものとほぼ同じ、X線粉末回折(XRPD)パターン;
(b)8.6°2-シータ、12.4°2-シータ、14.6°2-シータ、16.5°2-シータ、17.7°2-シータ、及び19.7°2-シータでの特徴的なピークを備えた、X線粉末回折(XRPD)パターン;
(c)
図40に示されるものとほぼ同様の熱重量分析(TGA)サーモグラム;
(d)
図41に示されるものとほぼ同様のDSCサーモグラム;
(e)約179℃での発現を有する吸熱を備えるDSCサーモグラム;又は
(f)それらの組み合わせ。
【0078】
幾つかの実施形態において、化合物5は、(a)~(e)から選択された特性のうち少なくとも2つを持つことを特徴とする。幾つかの実施形態において、化合物5は、(a)~(e)から選択された特性のうち少なくとも3つを持つことを特徴とする。幾つかの実施形態において、化合物5は、(a)~(e)から選択された特性のうち少なくとも4つを持つことを特徴とする。幾つかの実施形態において、化合物5は、特性(a)~(e)を持つことを特徴とする。
【0079】
幾つかの実施形態において、化合物5は、
図38に示されるものとほぼ同じ、X線粉末回折(XRPD)パターンを有する。幾つかの実施形態において、化合物5は、8.6°2-シータ、12.4°2-シータ、14.6°2-シータ、16.5°2-シータ、17.7°2-シータ、及び19.7°2-シータでの特徴的なピークを備えた、X線粉末回折(XRPD)パターンを有する。幾つかの実施形態において、化合物5は、
図40に示されるものとほぼ同様の熱重量分析(TGA)サーモグラムを有する。幾つかの実施形態において、化合物5は、
図41に示されるものとほぼ同様のDSCサーモグラムを有する。幾つかの実施形態において、化合物5は、約179℃での発現を有する吸熱を備えるDSCサーモグラムを有する。幾つかの実施形態において、化合物5は、約179℃での発現及び約182℃でのピークを持つ吸熱を備える、DSCサーモグラムを有する。幾つかの実施形態において、化合物5は、tert-ブチルメチルエーテル、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、水/アセトン、常水/アセトニトリル、又は水/2-プロパノールから得られる。幾つかの実施形態において、化合物5は溶媒和される。幾つかの実施形態において、化合物5は溶媒和されていない。幾つかの実施形態において、化合物5は無水である。
【0080】
化合物6、フマル酸塩
化合物6は、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートフマル酸塩である。幾つかの実施形態において、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートフマル酸塩は結晶形態1である。幾つかの実施形態において、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートフマル酸塩は結晶形態2である。幾つかの実施形態において、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートフマル酸塩は結晶形態3である。
【0081】
化合物6、形態1
幾つかの実施形態において、化合物6は結晶である。幾つかの実施形態において、化合物6は結晶形態1である。化合物6の結晶形態1は以下の特性の少なくとも1つを持つことを特徴とする:
(a)
図42に示されるものとほぼ同じ、X線粉末回折(XRPD)パターン;
(b)13.6°2-シータ、14.1°2-シータ、14.3°2-シータ、20.0°2-シータ、及び21.9°2-シータでの特徴的なピークを備えた、X線粉末回折(XRPD)パターン;
(c)
図44に示されるものとほぼ同様の熱重量分析(TGA)サーモグラム;
(d)
図45に示されるものとほぼ同様のDSCサーモグラム;
(e)約126℃での発現を有する吸熱を備えるDSCサーモグラム;
(f)非吸湿性;又は
(g)それらの組み合わせ。
【0082】
幾つかの実施形態において、化合物6である形態1は、(a)~(f)から選択された特性のうち少なくとも2つを持つことを特徴とする。幾つかの実施形態において、化合物6である形態1は、(a)~(f)から選択された特性のうち少なくとも3つを持つことを特徴とする。幾つかの実施形態において、化合物6である形態1は、(a)~(f)から選択された特性のうち少なくとも4つを持つことを特徴とする。幾つかの実施形態において、化合物6である形態1は、(a)~(f)から選択された特性のうち少なくとも5つを持つことを特徴とする。幾つかの実施形態において、化合物6である形態1は、特性(a)~(f)を持つことを特徴とする。
【0083】
幾つかの実施形態において、化合物6である形態1は、
図42に示されるものとほぼ同じ、X線粉末回折(XRPD)パターンを有する。幾つかの実施形態において、化合物6である形態1は、13.6°2-シータ、14.1°2-シータ、14.3°2-シータ、20.0°2-シータ、及び21.9°2-シータでの特徴的なピークを備えた、X線粉末回折(XRPD)パターンを有する。幾つかの実施形態において、化合物6である形態1は、
図44に示されるものとほぼ同様の熱重量分析(TGA)サーモグラムを有する。幾つかの実施形態において、化合物6である形態1は、
図45に示されるものとほぼ同様のDSCサーモグラムを有する。幾つかの実施形態において、化合物6である形態1は、約126℃での発現を有する吸熱を備えるDSCサーモグラムを有する。幾つかの実施形態において、化合物6である形態1は、約126℃での発現及び約132℃でのピークを持つ吸熱を備える、DSCサーモグラムを有する。幾つかの実施形態において、化合物6は、非吸湿性である。幾つかの実施形態において、化合物6である形態1は、1-ブタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、アセトン/水の混合物、アセトニトリル/水の混合物、エタノール、酢酸メチル/水、メチルエチルケトン/水、メタノール/アセトニトリル、及び2-メトキシエタノール/アセトニトリルから得られる。幾つかの実施形態において、化合物6である形態1は溶媒和される。幾つかの実施形態において、化合物6である形態1は溶媒和されていない。幾つかの実施形態において、化合物6である形態1は無水である。
【0084】
化合物6、形態2
幾つかの実施形態において、化合物6は結晶である。幾つかの実施形態において、化合物6は結晶形態2である。化合物6の結晶形態2は以下の特性の少なくとも1つを持つことを特徴とする:
(a)
図46に示されるものとほぼ同じ、X線粉末回折(XRPD)パターン;
(b)9.2°2-シータ、12.1°2-シータ、15.2°2-シータ、17.4°2-シータ、18.2°2-シータ、19.1°2-シータ、及び19.7°2-シータでの特徴的なピークを備えた、X線粉末回折(XRPD)パターン;
(c)
図48に示されるものとほぼ同様の熱重量分析(TGA)サーモグラム;又は
(d)それらの組み合わせ。
【0085】
幾つかの実施形態において、化合物6である形態2は、(a)~(c)から選択された特性のうち少なくとも2つを持つことを特徴とする。幾つかの実施形態において、化合物6である形態2は、特性(a)~(c)を持つことを特徴とする。
【0086】
幾つかの実施形態において、化合物6である形態2は、
図46に示されるものとほぼ同じ、X線粉末回折(XRPD)パターンを有する。幾つかの実施形態において、化合物6である形態2は、9.2°2-シータ、12.1°2-シータ、15.2°2-シータ、17.4°2-シータ、18.2°2-シータ、19.1°2-シータ、及び19.7°2-シータでの特徴的なピークを備えた、X線粉末回折(XRPD)パターンを有する。幾つかの実施形態において、化合物6である形態1は、
図48に示されるものとほぼ同様の熱重量分析(TGA)サーモグラムを有する。幾つかの実施形態において、結晶フマル酸である形態2はアセトン/水から得られる。
【0087】
化合物6、形態3
幾つかの実施形態において、化合物6は結晶である。幾つかの実施形態において、化合物6は結晶形態3である。化合物6の結晶形態3は以下の特性の少なくとも1つを持つことを特徴とする:
(a)
図49に示されるものとほぼ同じ、X線粉末回折(XRPD)パターン;
(b)6.7°2-シータ、9.5°2-シータ、12.0°2-シータ、13.9°2-シータ、14.6°2-シータ、17.6°2-シータ、19.4°2-シータ、及び20.3°2-シータでの特徴的なピークを備えた、X線粉末回折(XRPD)パターン;
(c)
図51に示されるものとほぼ同様の熱重量分析(TGA)サーモグラム;
(d)
図52に示されるものとほぼ同様のDSCサーモグラム;
(e)約107℃での発現を有する吸熱を備えるDSCサーモグラム;又は
(f)それらの組み合わせ。
【0088】
幾つかの実施形態において、化合物6である形態3は、(a)~(e)から選択された特性のうち少なくとも2つを持つことを特徴とする。幾つかの実施形態において、化合物6である形態3は、(a)~(e)から選択された特性のうち少なくとも3つを持つことを特徴とする。幾つかの実施形態において、化合物6である形態3は、(a)~(e)から選択された特性のうち少なくとも4つを持つことを特徴とする。幾つかの実施形態において、化合物6である形態3は、特性(a)~(e)を持つことを特徴とする。
【0089】
幾つかの実施形態において、化合物6である形態3は、
図49に示されるものとほぼ同じ、X線粉末回折(XRPD)パターンを有する。幾つかの実施形態において、結晶は、6.7°2-シータ、9.5°2-シータ、12.0°2-シータ、13.9°2-シータ、14.6°2-シータ、17.6°2-シータ、19.4°2-シータ、及び20.3°2-シータを有する。幾つかの実施形態において、化合物6である形態3は、
図51に示されるものとほぼ同様の熱重量分析(TGA)サーモグラムを有する。幾つかの実施形態において、化合物6である形態3は、
図52に示されるものとほぼ同様のDSCサーモグラムを有する。幾つかの実施形態において、化合物6である形態3は、約107℃での発現を有する吸熱を備えるDSCサーモグラムを有する。幾つかの実施形態において、化合物6である形態3は、約107℃での発現及び約115℃でのピークを持つ吸熱を備える、DSCサーモグラムを有する。幾つかの実施形態において、結晶フマル酸である形態3はジオキサン/水から得られる。
【0090】
結晶形態の調製
幾つかの実施形態において、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラートの結晶形態は、実施例に概説されるように調製される。本明細書で提示される溶媒和物、温度、及び他の反応条件は変動してもよいことに留意する。
【0091】
特定の実施形態において、本明細書には、化合物1の固体形態を製造するための方法が提供され、該方法は、1)第1の温度(例えば約60℃)で溶媒において化合物1の飽和溶液を得る工程;2)第1の温度で飽和溶液に逆溶剤を加える工程;3)第2の温度(例えば約-5℃~約15℃)まで冷却する工程;4)沈殿反応がある場合に固体を集め、及び沈澱反応がない場合に固体を集めるために溶媒を蒸発させる工程;及び5)随意に乾燥させる工程を含む。特定の実施形態において、本明細書には、化合物1の固体形態を製造するための方法が提供され、該方法は、1)約60℃で溶媒において化合物1の飽和溶液を得る工程;2)約60℃で飽和溶液に逆溶剤を加える工程;3)約5℃に冷却する工程;4)沈殿反応がある場合に固体を集め、及び沈澱反応がない場合に固体を集めるために溶媒を蒸発させる工程;及び5)随意に風乾させる工程を含む。特定の実施形態において、溶媒及び逆溶剤の容積比は約1:9である。特定の実施形態において、化合物1の固体形態を作るための方法は、逆溶剤再結晶実験である。
【0092】
別の実施形態において、結晶性化合物1は実質的に純粋ではない。特定の実施形態において、実質的に純粋な結晶性化合物1は、他の固体形態、例えば非晶質固体を実質的に含まない。特定の実施形態において、実質的に純粋な結晶性化合物1の純度は、約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、約98.5%以上、約99%以上、約99.5%以上、又は約99.8%以上である。
【0093】
特定の実施形態において、本明細書には、化合物2の固体形態を作るための方法が提供され、該方法は、1)第1の温度(例えば約60℃)で溶媒において化合物2の飽和溶液を得る工程;2)第1の温度で飽和溶液に逆溶剤を加える工程;3)第2の温度(例えば約-5℃~約15℃)まで冷却する工程;4)沈殿反応がある場合に固体を集め、及び沈澱反応がない場合に固体を集めるために溶媒を蒸発させる工程;及び5)随意に乾燥させる工程を含む。特定の実施形態において、本明細書には、化合物2の固体形態を作るための方法が提供され、該方法は、1)約60℃で溶媒において化合物2の飽和溶液を得る工程;2)約60℃で飽和溶液に逆溶剤を加える工程;3)約5℃に冷却する工程;4)沈殿反応がある場合に固体を集め、及び沈澱反応がない場合に固体を集めるために溶媒を蒸発させる工程;及び5)随意に風乾させる工程を含む。特定の実施形態において、溶媒及び逆溶剤の容積比は約1:9である。特定の実施形態において、化合物2の固体形態を作るための方法は、逆溶剤再結晶実験である。特定の実施形態において、化合物2である形態1が調製される。特定の実施形態において、化合物2である形態2が調製される。
【0094】
別の実施形態において、結晶性化合物2である形態1は実質的に純粋ではない。特定の実施形態において、実質的に純粋な結晶性化合物2である形態1は、他の固体形態、例えば非晶質固体を実質的に含まない。特定の実施形態において、実質的に純粋な結晶性化合物2である形態1の純度は、約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、約98.5%以上、約99%以上、約99.5%以上、又は約99.8%以上である。
【0095】
別の実施形態において、結晶性化合物2である形態2は実質的に純粋ではない。特定の実施形態において、実質的に純粋な結晶性化合物2である形態2は、他の固体形態、例えば非晶質固体を実質的に含まない。特定の実施形態において、実質的に純粋な結晶性化合物2である形態2の純度は、約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、約98.5%以上、約99%以上、約99.5%以上、又は約99.8%以上である。
【0096】
特定の実施形態において、本明細書には、化合物3の固体形態を作るための方法が提供され、該方法は、1)第1の温度(例えば約60℃)で溶媒において化合物3の飽和溶液を得る工程;2)第1の温度で飽和溶液に逆溶剤を加える工程;3)第2の温度(例えば約-5℃~約15℃)まで冷却する工程;4)沈殿反応がある場合に固体を集め、及び沈澱反応がない場合に固体を集めるために溶媒を蒸発させる工程;及び5)随意に乾燥させる工程を含む。特定の実施形態において、本明細書には、化合物3の固体形態を作るための方法が提供され、該方法は、1)約60℃で溶媒において化合物3の飽和溶液を得る工程;2)約60℃で飽和溶液に逆溶剤を加える工程;3)約5℃に冷却する工程;4)沈殿反応がある場合に固体を集め、及び沈澱反応がない場合に固体を集めるために溶媒を蒸発させる工程;及び5)随意に風乾させる工程を含む。特定の実施形態において、溶媒及び逆溶剤の容積比は約1:9である。特定の実施形態において、化合物3の固体形態を作るための方法は、逆溶剤再結晶実験である。
【0097】
別の実施形態において、結晶性化合物3は実質的に純粋ではない。特定の実施形態において、実質的に純粋な結晶性化合物3は、他の固体形態、例えば非晶質固体を実質的に含まない。特定の実施形態において、実質的に純粋な結晶性化合物3の純度は、約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、約98.5%以上、約99%以上、約99.5%以上、又は約99.8%以上である。
【0098】
特定の実施形態において、本明細書には、化合物4の固体形態を作るための方法が提供され、該方法は、1)第1の温度(例えば約60℃)で溶媒において化合物4の飽和溶液を得る工程;2)第1の温度で飽和溶液に逆溶剤を加える工程;3)第2の温度(例えば約-5℃~約15℃)まで冷却する工程;4)沈殿反応がある場合に固体を集め、及び沈澱反応がない場合に固体を集めるために溶媒を蒸発させる工程;及び5)随意に乾燥させる工程を含む。特定の実施形態において、本明細書には、化合物4の固体形態を作るための方法が提供され、該方法は、1)約60℃で溶媒において化合物4の飽和溶液を得る工程;2)約60℃で飽和溶液に逆溶剤を加える工程;3)約5℃に冷却する工程;4)沈殿反応がある場合に固体を集め、及び沈澱反応がない場合に固体を集めるために溶媒を蒸発させる工程;及び5)随意に風乾させる工程を含む。特定の実施形態において、溶媒及び逆溶剤の容積比は約1:9である。特定の実施形態において、化合物4の固体形態を作るための方法は、逆溶剤再結晶実験である。特定の実施形態において、化合物4である形態1が調製される。特定の実施形態において、化合物4である形態2が調製される。
【0099】
別の実施形態において、結晶性化合物4である形態1は実質的に純粋ではない。特定の実施形態において、実質的に純粋な結晶性化合物4である形態1は、他の固体形態、例えば非晶質固体を実質的に含まない。特定の実施形態において、実質的に純粋な結晶性化合物4である形態1の純度は、約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、約98.5%以上、約99%以上、約99.5%以上、又は約99.8%以上である。
【0100】
別の実施形態において、結晶性化合物4である形態2は実質的に純粋ではない。特定の実施形態において、実質的に純粋な結晶性化合物4である形態2は、他の固体形態、例えば非晶質固体を実質的に含まない。特定の実施形態において、実質的に純粋な結晶性化合物4である形態2の純度は、約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、約98.5%以上、約99%以上、約99.5%以上、又は約99.8%以上である。
【0101】
特定の実施形態において、本明細書には、化合物5の固体形態を作るための方法が提供され、該方法は、1)第1の温度(例えば約60℃)で溶媒において化合物5の飽和溶液を得る工程;2)第1の温度で飽和溶液に逆溶剤を加える工程;3)第2の温度(例えば約-5℃~約15℃)まで冷却する工程;4)沈殿反応がある場合に固体を集め、及び沈澱反応がない場合に固体を集めるために溶媒を蒸発させる工程;及び5)随意に乾燥させる工程を含む。特定の実施形態において、本明細書には、化合物5の固体形態を作るための方法が提供され、該方法は、1)約60℃で溶媒において化合物5の飽和溶液を得る工程;2)約60℃で飽和溶液に逆溶剤を加える工程;3)約5℃に冷却する工程;4)沈殿反応がある場合に固体を集め、及び沈澱反応がない場合に固体を集めるために溶媒を蒸発させる工程;及び5)随意に風乾させる工程を含む。特定の実施形態において、溶媒及び逆溶剤の容積比は約1:9である。特定の実施形態において、化合物5の固体形態を作るための方法は、逆溶剤再結晶実験である。
【0102】
別の実施形態において、結晶性化合物5は実質的に純粋ではない。特定の実施形態において、実質的に純粋な結晶性化合物5は、他の固体形態、例えば非晶質固体を実質的に含まない。特定の実施形態において、実質的に純粋な結晶性化合物5の純度は、約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、約98.5%以上、約99%以上、約99.5%以上、又は約99.8%以上である。
【0103】
特定の実施形態において、本明細書には、化合物6の固体形態を作るための方法が提供され、該方法は、1)第1の温度(例えば約60℃)で溶媒において化合物6の飽和溶液を得る工程;2)第1の温度で飽和溶液に逆溶剤を加える工程;3)第2の温度(例えば約-5℃~約15℃)まで冷却する工程;4)沈殿反応がある場合に固体を集め、及び沈澱反応がない場合に固体を集めるために溶媒を蒸発させる工程;及び5)随意に乾燥させる工程を含む。特定の実施形態において、本明細書には、化合物6の固体形態を作るための方法が提供され、該方法は、1)約60℃で溶媒において化合物6の飽和溶液を得る工程;2)約60℃で飽和溶液に逆溶剤を加える工程;3)約5℃に冷却する工程;4)沈殿反応がある場合に固体を集め、及び沈澱反応がない場合に固体を集めるために溶媒を蒸発させる工程;及び5)随意に風乾させる工程を含む。特定の実施形態において、溶媒及び逆溶剤の容積比は約1:9である。特定の実施形態において、化合物6の固体形態を作るための方法は、逆溶剤再結晶実験である。特定の実施形態において、化合物6である形態1が調製される。特定の実施形態において、化合物6である形態2が調製される。特定の実施形態において、化合物6である形態3が調製される。
【0104】
別の実施形態において、結晶性化合物6である形態1は実質的に純粋ではない。特定の実施形態において、実質的に純粋な結晶性化合物6である形態1は、他の固体形態、例えば非晶質固体を実質的に含まない。特定の実施形態において、実質的に純粋な結晶性化合物6である形態1の純度は、約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、約98.5%以上、約99%以上、約99.5%以上、又は約99.8%以上である。
【0105】
別の実施形態において、結晶性化合物6である形態2は実質的に純粋ではない。特定の実施形態において、実質的に純粋な結晶性化合物6である形態2は、他の固体形態、例えば非晶質固体を実質的に含まない。特定の実施形態において、実質的に純粋な結晶性化合物6である形態2の純度は、約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、約98.5%以上、約99%以上、約99.5%以上、又は約99.8%以上である。
【0106】
別の実施形態において、結晶性化合物6である形態3は実質的に純粋ではない。特定の実施形態において、実質的に純粋な結晶性化合物6である形態3は、他の固体形態、例えば非晶質固体を実質的に含まない。特定の実施形態において、実質的に純粋な結晶性化合物6である形態3の純度は、約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、約98.5%以上、約99%以上、約99.5%以上、又は約99.8%以上である。
【0107】
適切な溶媒
ヒトなどの哺乳動物に投与可能な治療薬は以下の規制ガイドラインに従って調製されなければならない。こうした政府により規制されたガイドラインは製造管理及び品質管理規則(GMP)と呼ばれる。GMPガイドラインは、例えば最終生成物中の残留溶媒の量などの、活性な治療薬の許容可能な汚染レベルを概説したものである。好ましい溶媒和物は、GMP設備での使用に適しており、産業上の安全性に係る懸念に矛盾しない。溶媒のカテゴリーは、例えば、International Conference on Harmonization of Technical Requirements for Registration of Pharmaceuticals for Human Use (ICH), ”Impurities: Guidelines for Residual Solvents, Q3C(R3),(November 2005)に定義されている。
【0108】
溶媒は3つのクラスへ分類される。クラス1の溶媒は毒性であり、避けるべきものとされている。クラス2の溶媒は治療薬の製造中の使用に制限された溶媒である。クラス3の溶媒は潜在的に低毒性あり、ヒトの健康に対するリスクが低い溶媒である。クラス3の溶媒のデータは、それが急性又は短期の研究において毒性が低く、遺伝毒性試験でも陰性であることを示す。
【0109】
回避されるべきクラス1の溶媒は、ベンゼン;四塩化炭素;1,2-ジクロロエタン;1,1-ジクロロエテン;及び1,1,1-トリクロルエタンを含む。
【0110】
クラス2の溶媒の例は、アセトニトリル、クロロベンゼン、クロロホルム、シクロヘキサン、1,2-ジクロロエテン、ジクロロメタン、1,2-ジメトキシエタン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、1,4-ジオキサン、2-エトキシエタノール、エチレングリコール、ホルムアミド、ヘキサン、メタノール、2-メトキシエタノール、メチルブチルケトン、メチルシクロヘキサン、N-メチルピロリジン、ニトロメタン、ピリジン、スルフォラン、テトラリン、トルエン、1,1,2-トリクロロエテン、及びキシレンである。
【0111】
低毒性のクラス3の溶媒和物は、酢酸、アセトン、アニソール、1-ブタノール、2-ブタノール、酢酸ブチル、tert-ブチルメチルエーテル(MTBE)、クメン、ジメチルスルホキシド、エタノール、酢酸エチル、エチルエーテル、ギ酸エチル、ギ酸、ヘプタン、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、酢酸メチル、3-メチル-1-ブタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2-メチル-1-プロパノール、ペンタン、1-ペンタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、酢酸プロピル、及びテトラヒドロフランを含む。
【0112】
医薬品有効成分(API)中の残留溶媒はAPIの製造から生じる。場合によっては、溶媒は実際の製造技術によっては完全には取り除かれない。APIの合成のための溶媒の適切な選択により、収率が増強されることもあれば、結晶形、純度、及び溶解度などの特性が決定されることもある。それ故、溶媒は合成プロセスでは重大なパラメータである。
【0113】
幾つかの実施形態において、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6を含む組成物は、有機溶媒を含む。幾つかの実施形態において、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6を含む組成物は、残存量の有機溶媒を含む。幾つかの実施形態において、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6を含む組成物は、残存量のクラス3の溶媒を含む。幾つかの実施形態において、有機溶媒はクラス3の溶媒である。幾つかの実施形態において、クラス3の溶媒は、酢酸、アセトン、アニソール、1-ブタノール、2-ブタノール、酢酸ブチル、tert-ブチルメチルエーテル、クメン、ジメチルスルホキシド、エタノール、酢酸エチル、エチルエーテル、ギ酸エチル、ギ酸、ヘプタン、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、酢酸メチル、3-メチル-1-ブタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2-メチル-1-プロパノール、ペンタン、1-ペンタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、及びテトラヒドロフランからなる群から選択される。幾つかの実施形態において、クラス3の溶媒和物は、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、tert-ブチルメチルエーテル、ヘプタン、イソプロパノール、及びエタノールから選択される。
【0114】
特定の用語
別段の定めのない限り、本明細書で使用される技術用語と科学用語は全て、主張される主題が属する当該技術分野の当業者により一般に理解されるのと同じ意味を持っている。前述の一般的な説明及び以下の詳細な説明は、典型的且つ例示的なものにすぎず、請求された主題の内容を限定するものではないことを理解されたい。本出願において、単数形の使用は、特に別記しない限り複数を含む。明細書と添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「a」、「an」、及び「the」は、他にその内容が明確に指示しない限り、複数の指示対象を含むということに留意しなければならない。本出願において、「又は」の使用は、特に明記しない限り、「及び/又は」を意味する。更に、用語「含むこと(including)」の使用は、「含む(include)」、「含む(includes)」、及び「含まれる(included)」といった他の形態と同じく、制限はない。
【0115】
本明細書で使用されるセクションの見出しは、構成上の目的のみのためであり、記載される主題を制限すると解釈されるものではない。限定されないが、特許、特許出願、論文、書籍、マニュアル、及び論説を含む、本出願において引用される全ての文書、又は該文書の一部は、任意の目的のためにその全体を参照することで本明細書に明確に組み込まれる。
【0116】
本明細書で使用されるように、製剤、組成物、又は成分に関して、用語「許容可能な」又は「薬学的に許容可能な」は、治療を受ける被験体の全般的な健康に対し、持続的な有害な効果を及ぼさないこと、又は、化合物の生物活性又は特性を抑止せず、比較的無毒である、ということを意味する。
【0117】
本明細書で使用されるように、特定の化合物又は医薬組成物の投与による、特定の疾患、障害、又は疾病の症状の「改善」とは、永続的か一時的か、持続的か暫定的かにかかわらず、化合物又は組成物の投与に帰する或いは関連付けられ得る、重症度の任意の低下、発症の遅れ、進行の鈍化、又は持続時間の短縮を指す。
【0118】
「生物学的利用能」は、動物又は人間の体循環に送達される、投与された化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6のパーセンテージを指す。静脈内投与された時の薬物の総曝露(AUC(0-∞))は通常、100%生物に利用可能(F%)として定義される。「経口生物学的利用能」は、静脈内注射と比較して、医薬組成物が経口摂取されるときに、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6が体循環へと吸収される範囲を指す。
【0119】
「血漿中濃度」は、被験体の血液の血漿構成要素における、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6の濃度を指す。代謝及び/又は他の治療薬との可能な相互作用に対する不安定性により、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6の血漿中濃度が、被験体間で大幅に変動するかもしれないことが理解される。本明細書に開示される一実施形態に従って、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6の血漿中濃度は、被験体間で変動するかもしれない。同様に、最大の血漿中濃度(Cmax)又は最大の血漿中濃度に達する時間(Tmax)、或いは血漿中濃度時間曲線の下の合計領域(AUC(0-∞))などの値は、被験体間で変動するかもしれない。この不安定性により、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6の「治療上有効な量」を構成するのに必要な量は、被験体間で変動するかもしれない。
【0120】
用語「共投与」などは、本明細書で使用されるように、一人の患者への選択された治療薬の投与を包含することを意味し、同じ又は異なる投与経路、或いは同じ又は異なる投与時間によって薬剤が投与される処置レジメンを含むことが意図されている。
【0121】
用語「有効な量」又は「治療上有効な量」は、本明細書で使用されるように、処置される疾患又は疾病の1以上の症状をある程度和らげる、投与される薬剤又は化合物の十分な量を表す。その結果、疾患の兆候、症状、又は原因を減少及び/又は軽減し、或いは生物系の他の望ましい変化をもたらすことができる。例えば、治療用途に「有効な量」は、過度の有害な副作用を生じずに、疾患症状を臨床的に十分に減らすのに必要な、本明細書に開示される化合物を含む組成物の量である。任意の個々のケースにおける適切な「有効な量」は、用量漸増研究などの技術を使用して決定されることがある。用語「治療上有効な量」は、例えば、予防に有効な量を含む。本明細書に開示される化合物の「有効な量」は、過度の有害な副作用を生じることなく、望ましい薬理学的効果又は治療の向上を達成するのに有効な量である。「有効な量」又は「治療上有効な量」は、化合物1の代謝の変動、被験体の年齢、体重、全身状態、処置されている疾病、処置されている疾病の重症度、及び処方医師の判断次第で、被験体ごとに変動することがあることに留意されたい。一例において、治療上有効な量は、限定されないが段階的線量増加臨床試験を含む型通りの実験によって決定されることがある。
【0122】
用語「増強する(enhannce)」又は「増強している(enhancing)」は、効力又は持続時間のいずれかにおいて、所望の効果を増加又は延長することを意味する。一例として、治療薬の効果を「増強する」とは、疾患、障害、又は疾病の処置中に治療薬の効果を、効能又は継続時間のいずれかにおいて増加又は延長させる能力を指す。「増強に有効な量」とは、本明細書で使用されるように、疾患、障害、又は疾病の処置において治療薬の効果を増強するのに適切な量を指す。患者に用いる時、この用途に有効な量は、疾患、障害、又は疾病の重篤度及び経過、以前の治療、患者の健康状態及び薬物に対する反応、並びに処置を行う医師の判断に依存する。
【0123】
本明細書で使用されるように、用語「同一」は、同じである2つ以上の配列又は部分列を指す。加えて、本明細書で使用されるように、用語「実質的に同一」は、比較窓上での最大一致のために比較され且つ位置合わせされた時、又は、比較アルゴリズムを使用して或いは手作業による位置合わせ及び外観検査によって測定されるような領域を指定した時に同じである、配列単位のパーセンテージを有する、2以上の配列を指す。ほんの一例として、連続単位が指定された領域にわたり約60%同一、約65%同一、約70%同一、約75%同一、約80%同一、約85%同一か、約90%同一、又は約95%同一である場合、2つ以上の配列は「実質的に同一」である場合もある。そのようなパーセンテージは、2以上の配列の「パーセント同一性」について記載するためのものである。配列の同一性は、長さが少なくとも約75-100の連続単位である領域、長さが約50の連続単位である領域、又は、特に指定されない場合、全体の配列にわたって存在し得る。この定義はまた、試験配列の補体を指す。ほんの一例として、アミノ酸残基が同じである時、2以上のポリペプチド配列は同一であり、一方で、アミノ酸残基が、指定領域にわたり約60%同一、約65%同一、約70%同一、約75%同一、約80%同一、約85%同一、約90%同一、又は約95%同一である場合、2以上のポリペプチド配列は、「実質的に同一」である。同一性は、長さが少なくとも約75-100のアミノ酸である領域、長さが約50のアミノ酸である領域、又は、特に指定されない場合、ポリペプチド配列の全体の配列にわたって存在し得る。加えて、ほんの一例として、核酸残基が同じである時、2以上のポリヌクレオチド配列は同一であり、一方で、核酸残基が、指定領域にわたり約60%同一、約65%同一、約70%同一、約75%同一、約80%同一、約85%同一、約90%同一、又は約95%同一である場合、2以上のポリヌクレオチド配列は、「実質的に同一」である。同一性は、長さが少なくとも約75-100の核酸である領域、長さが約50の核酸である領域、又は、特に指定されない場合、ポリヌクレオチド配列の全体の配列にわたって存在し得る。
【0124】
本明細書で使用されるように、用語「阻害する」、「阻害すること」、又はキナーゼの「阻害剤」は、酵素活性の阻害を指す。
【0125】
用語「単離した」とは、本明細書で使用されるように、対象の成分を対象ではない成分から分離及び除去することを指す。単離された物質は、乾燥状態又は半乾燥状態であり、或いは、限定されないが水溶液を含む溶液内に存在し得る。単離された成分は均質の状態であるか、又は、単離された成分は、追加の薬学的に許容可能な担体及び/又は賦形剤を含む医薬組成物の一部となり得る。ほんの一例として、核酸又はタンパク質は、自然状態で随伴する細胞成分の少なくとも幾つかを持たない時、又は、そのインビボ又はインビトロでの産生の濃度より高いレベルに濃縮された時に、「単離される」。また、一例として、遺伝子の側面に位置し、且つ対象の遺伝子以外のタンパク質をコード化する、オープンリーディングフレームから分離された時、遺伝子が単離される。
【0126】
用語「調節する」は、本明細書で使用されるように、標的の活性を改質するように標的と直接的又は間接的に相互作用することを意味し、標的の活性の改質には、ほんの一例ではあるが、標的の活性の増強、標的の活性の阻害、標的の活性の制限、又は標的の活性の拡大が含まれる。
【0127】
本明細書で使用されるように、用語「修飾物質」は、分子の活性を変更する化合物を指す。例えば、修飾物質は、修飾物質の不在下での活性の規模と比較して、分子の特定の活性の大きさを増大又は減少させ得る。特定の実施形態において、モジュレータは、分子の1以上の活性の規模を減少させる阻害剤である。特定の実施形態において、阻害剤は分子の1つ以上の活性を完全に防ぐ。特定の実施形態において、モジュレータは、分子の少なくとも1つの活性の規模を増加させる活性化因子である。特定の実施形態において、修飾物質の存在は、修飾物質がない状態では生じない活性をもたらす。
【0128】
用語「予防的に有効な量」とは、本明細書で使用されるように、処置されている疾患、障害、又は疾病の症状の1つ以上をある程度まで軽減する、患者に適用された組成物の量を指す。そのような予防用途において、そのような量は、患者の健康状態や体重などに依存し得る。限定されないが、用量漸増臨床試験を含む型通りの実験によってこうした予防的に有効な量を決定することは当業者に十分考慮されている。
【0129】
用語「被験体」は、本明細書で使用されるように、処置、観察、又は実験の対象である動物を指す。ほんの一例として、被験体は、限定されないがヒトを含む哺乳動物であってもよいが、これに限定されない。
【0130】
本明細書で使用されるように、用語「標的活性」は、選択的な修飾物質によって調節される能力を有する生物活性を指す。特定の典型的な標的活性はとしては、限定されないが、結合親和性、シグナル伝達、酵素活性、腫瘍増殖、炎症又は炎症に関連するプロセス、及び、疾患又は疾病に関連する1つ以上の症状の改善が挙げられる。
【0131】
用語「処置する」、「処置すること」、又は「処置」は、本明細書で使用されるように、疾患又は疾病の症状を緩和するか、軽減するか、或いは改善すること、追加の症状を防ぐこと、症状の根本的な代謝原因を改善するか、或いは予防すること、疾患又は疾病を阻害すること、例えば、疾患又は疾病の発生を妨げること、疾患又は疾病を軽減すること、疾患又は疾病の退行を引き起こすこと、疾患又は疾病によって引き起こされた状態を緩和すること、或いは疾患又は疾病の症状を止めることを含む。用語は「処置する」、「処置すること」、又は「処置」は、限定されないが、予防的及び/又は治療的な処置を含む。
【0132】
本明細書で使用されるように、IC50は、反応を測定するアッセイにおいて、MAGLの阻害などの、最大の反応の50%阻害を達成する、特定の試験化合物の量、濃度又は1回分の用量を指す。
【0133】
本明細書で使用されるように、EC50は、特定の試験化合物によって誘発され、引き起こされ、又は、強められる特定の反応の最大の50%発現で用量依存性の反応を誘い出す特定の試験化合物の1回分の用量、濃度又は量を指す。
【0134】
医薬組成物/製剤
医薬組成物は、薬学的に使用可能な調製物への活性化合物の処理を促進する賦形剤と助剤を含む、1つ以上の生理学的に許容可能な担体を使用して、従来の様式で製剤されてもよい。適切な製剤は、選択される投与経路に左右される。周知の技術、担体、及び賦形剤のいずれかは、適切なものとして、及び当該技術で理解されるように使用されてもよい。本明細書に記載される医薬組成物の要約は、例えば:The Science and Practice of Pharmacy, Nineteenth Ed (Easton, Pa.: Mack Publishing Company, 1995);Hoover, John E., Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton, Pennsylvania 1975;Liberman, H.A. and Lachman, L., Eds., Pharmaceutical Dosage Forms, Marcel Decker, New York, N.Y., 1980;及びPharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, Seventh Ed.(Lippincott Williams & Wilkins1999)で見られるものを含み、これらの文献は、その全体を引用することで本明細書に組み込まれる。
【0135】
医薬組成物は、本明細書で使用されるように、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6と、担体、安定化剤、希釈剤、分散剤、懸濁化剤、増粘剤、及び/又は賦形剤などの他の化学成分との混合物を指す。医薬組成物は、哺乳動物への化合物の投与を促進する。本明細書で提供される処置又は使用の方法の実施において、治療上有効な量の化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5又は化合物6は、処置されるべき疾患、障害、又は疾病を抱える哺乳動物へと医薬組成物で投与される。好ましくは、哺乳動物はヒトである。特定の実施形態において、治療上有効な量は、疾患の重症度、被験体の年齢及び相対的な健康状態、使用される化合物の力価、並びに他の因子に依存して変化する。本明細書で記載される化合物は、単一で、又は、混合物の成分としての1以上の治療薬と組み合わせて使用される。
【0136】
用語「医薬配合」は、本明細書で使用されるように、1より多くの有効成分の混合又は配合により生じた生成物を意味し、活性部分の固定配合と非固定配合の両方を含む。用語「固定された組み合わせ」は、有効成分、例えば化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6、及び共薬剤が共に、単一の実体又は用量の形態で同時に患者へ投与されることを意味する。用語「固定されていない組み合わせ」は、有効成分、例えば化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6、及び共薬剤が、特定の介入的な時間制限なしに、別個の存在として同時に、一斉に、又は連続的に患者へ投与されることを意味し、そのような投与は、患者の身体に有効なレベルの2つの化合物をもたらす。後者はまた、カクテル療法、例えば3つ以上の有効成分の投与にも当てはまる。
【0137】
幾つかの実施形態において、結晶性の化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5又は化合物6は、固形経口剤形を提供するために医薬組成物へと組み込まれる。他の実施形態において、結晶性の化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5又は化合物6は、経口固形剤形とは別の医薬組成物を調製するために使用される。本明細書に記載される医薬製剤は、限定されないが、経口、非経口(例えば、静脈内、皮下、筋肉内)、鼻腔内、頬側、局所的、直腸、又は経皮的な投与経路を含む、複数の投与経路によって被験体に投与可能である。本明細書に記載される医薬製剤は、水性液体分散、自己乳化分散、固溶体、リポソーム分散液、エアロゾル、固形剤形、粉末剤、即時放出製剤、制御放出製剤、速溶製剤、錠剤、カプセル剤、丸剤、遅延放出製剤、拡張放出製剤、パルス放出製剤、多重微粒子製剤、及び、即時混合且つ制御放出製剤を含むが、これらに限定されない。
【0138】
本明細書に記載される化合物を含む医薬組成物は、ほんの一例として、従来の混合、溶解、粒状化、ドラジェ製造、粉末化、乳化、カプセル化、封入、又は圧縮のプロセスなどによって従来の様式で製造され得る。
【0139】
剤形
本明細書に記載される医薬組成物は、限定されないが、経口、非経口(例えば、静脈内、皮下、又は筋肉内)、頬側、鼻腔内、直腸、又は経皮の投与経路を含む、任意の従来の手段を介する哺乳動物への投与のために処方され得る。本明細書で使用されるように、用語「被験体」は、動物、好ましくは、ヒト又は非ヒトを含む哺乳動物を意味するために使用される。患者及び被験体という用語は、互換的に使用され得る。
【0140】
更に、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5又は化合物6を含む、本明細書に記載される医薬組成物は、適切な剤形、限定されないが、固形経口剤形、制御放出製剤、即時溶解製剤、発泡性製剤、錠剤、粉末、丸剤、カプセル剤、遅延放出製剤、拡張放出製剤、パルス放出製剤、多微粒子製剤、及び混合された即時放出及び制御放出製剤を含む剤形へと製剤され得る。
【0141】
経口用の医薬調製物は、必要に応じて、錠剤又は糖衣錠コアを得るために、適切な助剤を添加した後、1以上の固形賦形剤を、本明細書に記載の1以上の化合物と混合し、結果として生じる混合物を随意に粉砕し、及び顆粒の混合物を処理することによって得ることができる。適切な賦形剤は、例えば、ラクトース、スクロース、マンニトール、又はソルビトールを含む糖などの充填材;例えば、トウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、微結晶性セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース調製物;或いは、ポリビニルピロリドン(PVP又はポビドン)又はリン酸カルシウムなどの他のものを含む。必要に応じて、架橋したクロスカルメロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、寒天、又は、アルギン酸或いはアルギン酸ナトリウムなどのアルギン酸の塩といった崩壊剤が加えられることもある。
【0142】
経口で使用され得る医薬調製物は、ゼラチンで作られた押し込み型カプセル剤の他に、グリセロール又はソルビトールなどの、ゼラチン及び可塑剤で作られた軟らかい、密閉されたカプセル剤も含む。押し込み型カプセル剤は、ラクトースなどの充填剤、デンプンなどの結合剤、及び/又は、滑石又はステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤、及び随意に安定化剤と混合して、有効成分を含み得る。ソフトカプセルにおいて、活性化合物は、脂肪油、流動パラフィン、又は液体ポリエチレングリコールなどの、適切な液体中に溶解又は懸濁されてもよい。更に、安定剤を加えてもよい。経口投与のための製剤は全て、このような投与に適した用量でなければならない。
【0143】
幾つかの実施形態において、本明細書に開示される固形剤形は、錠剤(懸濁液錠剤、速溶性錠剤、咬傷崩壊錠剤、急崩壊錠剤、発泡錠、又はカプレットを含む)、丸剤、粉剤(無菌のパッケージ化された粉剤、分注可能な粉剤、又は発泡性の粉剤を含む)、カプセル(ソフトカプセルとハードカプセルの両方、例えば、動物由来のゼラチン又は植物由来のHPMCから作られたカプセル、或いは、「スプリンクルカプセル(sprinkle capsules)」、固形の分散剤、固溶体、生体浸食性(bioerodible)の剤形、制御放出製剤、パルス状放出剤形、多重微粒子剤形、ペレット剤、果粒剤、又はエアロゾルの形態であってもよい。他の実施形態において、医薬製剤は、粉末剤の形態である。また他の実施形態において、医薬製剤は、限定されないが速溶錠剤を含む錠剤の形態である。加えて、本明細書に記載される医薬製剤は、単一のカプセルとして、又は複数のカプセルの剤形として、投与されてもよい。幾つかの実施形態において、医薬製剤は、2、3、又は4つのカプセル又は錠剤で投与される。
【0144】
幾つかの実施形態において、固形剤形、例えば錠剤、発泡錠、及びカプセル剤は、バルク混合組成物を形成するために化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5又は化合物6の粒子と1つ以上の医薬賦形剤とを混合することによって調製される。これらバルク混合組成物を均質と称する場合、それは化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6の粒子が、組成物中に均一に分散し、その結果、組成物は錠剤、丸剤及びカプセル等の、等しい効果の単位用量形態へと容易に細分類され得る、ということを意味する。個々の単位用量は更に、経口摂取或いは希釈剤との接触後に崩壊する、フィルムコーティングを含み得る。こうした製剤は、従来の薬理学的技術によって製造され得る。
【0145】
従来の薬理学的技術は、例えば、以下の方法の1つ又は組み合わせを含む:(1)乾燥混合、(2)直接圧縮、(3)ミリング、(4)乾燥又は非水性の造粒、(5)湿式造粒法、又は(6)融合。例えば、Lachman et al., The Theory and Practice of Industrial Pharmacy (1986)を参照。他の方法は、例えば、噴霧乾燥、パンコーティング、溶解造粒(melt granulation)、造粒、流動床噴霧乾燥又はコーティング(例えばウースターコーティング)、接点コーティング(tangential coating)、頂部噴霧(top spraying)、錠剤化、押し出しなどを含む。
【0146】
本明細書に記載される薬学的な固形剤形は、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6と、1以上の薬学的に許容可能な添加剤、例えば、適合性担体、結合剤、充填剤、懸濁剤、香味料、甘味料、崩壊剤、分散剤、界面活性剤、潤滑剤、着色料、希釈剤、可溶化剤、保湿剤、可塑剤、安定剤、浸透促進剤、湿潤剤、消泡剤、抗酸化物質、防腐剤、又は1以上のそれらの組み合わせを含む。また他の態様において、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 20th Edition (2000)に記載されるものなどの標準コーティング手順を使用して、フィルムコーティングが、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6の製剤の周囲に提供される。一実施形態において、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6の粒子の一部又は全てがコーティングされる。別の実施形態において、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6の粒子の一部又は全てがマイクロカプセル化される。また別の実施形態において、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6の粒子の又は全てがマイクロカプセル化されず、コーティングされない。
【0147】
本明細書に記載される固体の剤形で使用される適切な担体は、限定されないが、アカシア、ゼラチン、コロイド状二酸化ケイ素、グリセロリン酸カルシウム、乳酸カルシウム、バクガデキストリン、グリセリン、ケイ酸マグネシウム、カゼイン酸ナトリウム、ダイズレシチン、塩化ナトリウム、リン酸三カルシウム、リン酸二カリウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、カラギーナン、モノグリセリド、ジグリセリド、α化デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセタートステアラート、スクロース、微結晶性セルロース、ラクトース、マンニトールなどを含む。
【0148】
本明細書に記載される固体の剤形で使用される適切な充填薬は、限定されないが、ラクトース、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、硫酸カルシウム、微結晶性セルロース、セルロース粉末、デキストロース、デキストラート、デキストラン、デンプン、α化デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセタートステアラート(HPMCAS)、スクロース、キシリトール、ラクチトール、マンニトール、ソルビトール、塩化ナトリウム、ポリエチレングリコールなどを含む。
【0149】
固形剤形マトリックスから化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6を可能な限り効率的に放出するために、崩壊剤が大抵、特に剤形が結合剤により圧縮されるときに、製剤に使用される。崩壊剤は、水分が剤形中に吸収される際に、膨張又は毛細管作用によって剤形マトリクスの破裂を助ける。本明細書に記載される固体の剤形で使用される適切な崩壊剤は、限定されないが、トウモロコシデンプン又はジャガイモデンプンなどの天然のデンプン、National1551又はAmijel(登録商標)などのα化デンプン、或いはPromogel(登録商標)又はExplotab(登録商標)などのデンプングリコール酸ナトリウム、木材生成物などのセルロース、メチル結晶性セルロース(例えば、Avicel(登録商標)、Avicel(登録商標)PH101、Avicel(登録商標)PH102、Avicel(登録商標)PH105、Elcema(登録商標)P100、Emcocel(登録商標)、Vivacel(登録商標)、Ming Tia(登録商標)、及びSolka-Floc(登録商標)、メチルセルロース、クロスカルメロース、又は、架橋セルロース、例えば、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム(Ac-Di-Sol(登録商標))、架橋カルボキシメチルセルロース、又は架橋クロスカルメロース、架橋デンプン、例えば、デンプングリコール酸ナトリウムなど、架橋ポリマー、例えば、架橋クロスポビドンなど、架橋ポリビニルピロリドン、アルギン酸塩、例えば、アルギン酸またはアルギン酸ナトリウムの塩など、Veegum(登録商標)HV(ケイ酸アルミニウムマグネシウム)などの粘土、ゴム、例えば、寒天、グアー、イナゴマメ、カラヤ、ペクチン、又はトラガント、デンプングリコール酸ナトリウム、ベントナイト、天然のスポンジ、界面活性剤、陽イオン交換樹脂などの樹脂、柑橘類の果肉、ラウリル硫酸ナトリウム、デンプンと組み合わせたラウリル硫酸ナトリウムなどを含む。本明細書で提供される幾つかの実施形態において、崩壊剤は、天然のデンプン、α化デンプン、ナトリウムデンプン、メチル結晶(methylcrystalline)セルロース、メチルセルロース、クロスカルメロース、クロスカルメロースナトリウム、架橋したナトリウムカルボキシメチルセルロース、架橋したカルボキシメチルセルロース、架橋したクロスカルメロース、ナトリウムデンプングリコレートなどの架橋したデンプン、クロスポビドンなどの架橋したポリマー、架橋したポリビニルピロリドン、アルギン酸ナトリウム、粘土、又はゴムから成る群から選択される。本明細書で提供される幾つかの実施形態において、崩壊剤はクロスカルメロースナトリウムである。
【0150】
結合剤は固体の経口剤形製剤に粘着性を与える:粉末を充填したカプセル製剤について、それらは、ソフトシェル又はハードシェルのカプセルに充填され得る栓の形成を支援し、及び錠剤製剤について、それらは、圧縮後に錠剤を確実に無傷で残るようにし、圧縮又は充填の工程前に混合均一性を確実にするのを支援する。本明細書に記載される固体の剤形の結合剤としての使用に適した材料としては、限定されないが、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース(例えばMethocel(登録商標))、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば、Hypromellose USP Pharmacoat-603、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセタートステアラート(Aqoate HS-LFとHS)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(例えば、Klucel(登録商標))、エチルセルロース(例えばEthocel(登録商標))、及び微結晶性セルロース(例えば、Avicel(登録商標))、微結晶性デキストロース、アミロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、多糖類酸、ベントナイト、ゼラチン、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、クロスポビドン、ポビドン、デンプン、α化デンプン、トラガント、デキストリン、糖、例えば、スクロース(例えばDipac(登録商標))、グルコース、デキストロース、糖蜜、マンニトール、ソルビトール、キシリトール(例えばXylitab(登録商標))、ラクトース、天然又は合成ゴム、例えば、アカシア、トラガント、ガティガム、イサポール皮(isapol husks)の粘液、デンプン、ポリビニルピロリドン(例えば、Povidone(登録商標)CL、Kollidon(登録商標)CL、Polyplasdone(登録商標)XL-10、及びPovidone(登録商標)K-12)、カラマツアラボカラクタン(arabogalactan)、Veegum(登録商標)、ポリエチレングリコール、ロウ、アルギン酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0151】
一般に、20-70%の結合剤レベルが、粉末で充填されたゼラチンカプセル製剤中で使用される。錠剤製剤における結合剤の使用レベルは、直接圧縮、湿式造粒法、ローラー圧縮、又は、それ自体が中程度の結合剤として作用し得る充填剤などの他の賦形剤の使用の何れかで変動する。当該技術分野における処方者は、製剤に関する結合剤レベルを決定することができるが、錠剤製剤における70%までの結合剤使用レベルは、共通である。
【0152】
本明細書に記載される固形剤形で使用されるのに適切な滑沢剤又は流動促進剤は、ステアリン酸、水酸化カルシウム、タルク、トウモロコシデンプン、フマル酸ステアリルナトリウム、アルカリ金属及びアルカリ土類金属塩、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、ステアリン酸、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ロウ、Stearowet(登録商標)、ホウ酸、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ロイシン、ポリエチレングリコール、又はメトキシポリエチレングリコール、例えばCarbowax(登録商標)、PEG4000、PEG5000、PEG6000、プロピレングリコール、オレイン酸ナトリウム、ベヘン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリン(glyceryl palmitostearate)、安息香酸グリセリル、マグネシウム、又はラウリル硫酸ナトリウムなどを含むが、これらに限定されない。本明細書で提供される幾つかの実施形態において、滑沢剤は、ステアリン酸、水酸化カルシウム、タルク、トウモロコシデンプン、フマル酸ナトリウムステアリル、ステアリン酸、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、及びロウから成る群から選択される。本明細書で提供される幾つかの実施形態において、滑沢剤はステアリン酸マグネシウムである。
【0153】
本明細書に記載される固体の剤形で使用される適切な希釈剤としては、限定されないが、糖(ラクトース、スクロース、及びデキストロースを含む)、多糖類(デキストラートとバクガデキストリンを含む)、ポリオール(マンニトール、キシリトール、及びソルビトールを含む)、シクロデキストリンなどが挙げられる。本明細書で提供される幾つかの実施形態において、希釈剤は、ラクトース、スクロース、デキストロース、デキストラート、マルトデキストリン、マンニトール、キシリトール、ソルビトール、シクロデキストリン、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、デンプン、加工デンプン、微結晶性セルロース、微細セルロース、及びタルクから成る群から選択される。本明細書で提供される幾つかの実施形態において、希釈剤は微結晶性セルロースである。
【0154】
用語「非水溶性希釈剤」は、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、デンプン、加工デンプン、及び微結晶性セルロースなどの製薬、及び微細セルロース(例えば、約0.45g/cm3の密度を有し、例えばアビセル、粉末セルロースである)、及びタルクの製剤において典型的に使用される化合物を表わす。
【0155】
本明細書に記載される固体の剤形で使用される適切な湿潤剤としては、例えば、オレイン酸、モノステアリン酸グリセリン、ソルビタンモノオレアート、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミンオレアート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、四級アンモニウム化合物(例えば、Polyquat 10(登録商標))、オレイン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ドクサートナトリウム、トリアセチン、ビタミンE TPGSなどが挙げられる。
【0156】
本明細書に記載される固体の剤形で使用される適切な界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ソルビタンモノオレアート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリソルベート、ポロキサマー、胆汁酸塩、モノステアリン酸グリセリン、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのコポリマー、例えば、Pluronic(登録商標)(BASF)などが挙げられる。本明細書で提供される幾つかの実施形態において、界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム、モノオレイン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンモノオレイン酸ソルビタン、ポリソルベート、ポロキサマー(polaxomers)、胆汁酸塩、モノステアリン酸グリセリン、エチレンオキシドと酸化プロピレンのコポリマーから成る群から選択される。本明細書で提供される幾つかの実施形態において、界面活性剤はラウリル硫酸ナトリウムである。
【0157】
本明細書に記載される固形剤形で使用される適切な懸濁剤は、限定されないが、ポリビニルピロリドン(例えばポリビニルピロリドンK12、ポリビニルピロリドンK17、ポリビニルピロリドンK25、又はポリビニルピロリドンK30)、ポリエチレングリコール(例えば、ポリエチレングリコールは約300~約6000、約3350~約4000、又は約7000~約5400の分子量を有する)、ビニルピロリドン/ビニルアセテートコポリマー(S630)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシ-プロピルメチルセルロース、ポリソルベート80、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ゴム(例えば、トラガカントゴム、アカシアゴム、グアーゴム、キサンタンゴムを含むキサンタンなど)、砂糖、セルロース系のも(例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなど)、ポリソルベート80、アルギン酸ナトリウム、ポリエトキシレートソルビタンモノラウリン酸、ポリエトキシレートソルビタンモノラウリン酸、ポビドンなどを含む。
【0158】
本明細書に記載される固形剤形で使用される適切な抗酸化剤としては、例えばブチルヒドロキシトルエン、アスコルビン酸ナトリウム、及びトコフェロール(BHT)が挙げられる。
【0159】
本明細書に記載される固形剤形において使用される添加剤の間に、相当な重なりが存在することを、理解されたい。故に、上記の列挙された添加剤は、単に例示的なものとして、及び、限定されないが、本明細書に記載される固形剤形に含まれ得る添加剤のタイプのものとして、得られねばならない。そのような添加剤の量は、所望される特定の特性に従って、当業者によって容易に決定され得る。
【0160】
他の実施形態において、医薬製剤の1つ以上の層が可塑化される。例示的に、可塑剤は一般的に高沸点の固体又は液体である。適切な可塑剤は、コーティング組成物の約0.01重量%~約50重量%(w/w)まで加えられ得る。可塑剤は、限定されないが、フタル酸ジエチル、クエン酸エステル、ポリエチレングリコール、グリセロール、アセチル化グリセリド、トリアセチン、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、クエン酸トリエチル、セバシン酸ジブチル、ステアリン酸、ステアロール、ステアレート、及びヒマシ油を含む。
【0161】
圧縮錠剤は、上述の製剤の大量の混合物の圧縮により調製された固体の剤形である。様々な実施形態において、口の中で溶解するよう設計される圧縮錠剤は、1以上の香味料を含む。他の実施形態において、圧縮錠剤は、最終的な圧縮錠剤を囲むフィルムを含む。幾つかの実施形態において、フィルムコーティングは、製剤からの化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6の遅延放出を提供することができる。他の実施形態において、フィルムコーティングは患者のコンプライアンスを助ける(例えばOpadry(登録商標)コーティング又は糖衣)。Opadry(登録商標)を含むフィルムコーティングは典型的に、錠剤重量の約1%から約3%まで変動する。他の実施形態において、圧縮錠剤は1以上の賦形剤を含む。
【0162】
カプセル剤は、例えばカプセル剤の内部に化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6の製剤のバルク混合を配することにより調製され得る。幾つかの実施形態において、製剤(非水性の懸濁液及び溶液)は、ソフトゼラチンカプセルに入れられる。幾つかの実施形態において、製剤(非水性の懸濁液及び溶液)は、ハードシェルゼラチンカプセルに入れられる。他の実施形態において、製剤は、HPMCを含むカプセルなどの、標準のゼラチンカプセル又は非ゼラチンカプセルに入れられる。他の実施形態において、製剤はスプリンクルカプセルに入れられ、ここで、カプセルはその全てが呑み込まれ得るか、又は、カプセルが開かれ、内容物を食事前に食物にまき散らしてもよい。幾つかの実施形態において、治療用量は、複数の(例えば2、3、又は4の)カプセルに分けられる。幾つかの実施形態において、製剤の全用量は、カプセル形態で送達される。
【0163】
様々な実施形態において、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5又は化合物6の粒子、及び1以上の賦形剤は、乾燥混合されて、錠剤等の塊に圧縮され、この塊は、経口投与後、約30分未満、約35分未満、約40分未満、約45分未満、約50分未満、約55分未満、又は約60分未満以内で略分解され、それにより製剤を胃腸液へ放出する、医薬組成物がもたらされるのに十分な硬さを有する。
【0164】
別の態様において、剤形はマイクロカプセル化された製剤を含んでもよい。幾つかの実施形態において、1つ以上の他の互換性をもつ材料がマイクロカプセル化材料の中に存在する。典型的な材料は、限定されないが、pH調整剤、侵食促進剤、消泡剤、抗酸化剤、香味料、並びに、結合剤、懸濁化剤、崩壊剤、充填剤、界面活性剤、可溶化剤、安定剤、潤滑剤、湿潤剤、及び希釈剤などの担体材料を含む。
【0165】
本明細書に記載されるマイクロカプセル化に有用な材料は、他の非適合賦形剤から化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6を十分に単離する、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6に適合する材料を含む。化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6と適合可能な材料は、インビボでの化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6の放出を遅らせるものである。
【0166】
本明細書に記載される化合物を含む製剤の放出を遅らせるのに役立つ典型的なマイクロカプセル化材料は、限定されないが、Klucel(登録商標)又はNisso HPCなどのヒドロキシプロピルセルロースエーテル(HPC)、低置換ヒドロキシプロピルセルロースエーテル(L-HPC)、Seppifilm-LC、Pharmacoat(登録商標)、Metolose SR、Methocel(登録商標)-E、Opadry YS、PrimaFlo、Benecel MP824、Benecel MP843などのヒドロキシプロピルメチルセルロースエーテル(HPMC)、Methocel(登録商標)-Aなどのメチルセルロースポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートステアラートAqoat(HF-LS、HF-LG、HF-MS)及びMetolose(登録商標)、エチルセルロース(EC)とその混合物、例えば、E461、Ethocel(登録商標)、Aqualon(登録商標)-EC、Surelease(登録商標)、Opadry AMBなどのポリビニルアルコール(PVA)、Natrosol(登録商標)などのヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びカルボキシメチルセルロース(CMC)の塩、例えばAqualon(登録商標)-CMCなど、ポリビニルアルコール及びポリエチレングリコールコポリマー、例えば、Kollicoat IR(登録商標)、モノグリセリド(Myverol)、トリグリセリド(KLX)、ポリエチレングリコール、修飾食物デンプン、アクリルポリマー、及びアクリルポリマーとEudragit(登録商標)EPO、Eudragit(登録商標)L30D-55、Eudragit(登録商標)FS 30D Eudragit(登録商標)L100-55、Eudragit(登録商標)L100、Eudragit(登録商標)S100、Eudragit(登録商標)RD100、Eudragit(登録商標)E100、Eudragit(登録商標)L12.5、Eudragit(登録商標)S12.5、Eudragit(登録商標)NE30D、及びEudragit(登録商標)NE 40Dなどのセルロースエーテルとの混合物、酢酸フタル酸セルロース、セピフィルム(sepifilms)(HPMCとステアリン酸の混合物など)、シクロデキストリン、及びこれら材料の混合物を含む。
【0167】
また他の実施形態において、ポリエチレングリコール、例えば、PEG 300、PEG 400、PEG 600、PEG 1450、PEG 3350、PEG 800、ステアリン酸、プロピレングリコール、オレイン酸、及びトリアセチンなどの可塑剤はマイクロカプセル化材料に組みこまれる。他の実施形態において、医薬組成物の放出を遅らせるのに有用なマイクロカプセル化材料は、USP又は国民医薬品集(NF)からのものである。また他の実施形態において、マイクロカプセル化材料はKlucelである。また他の実施形態において、マイクロカプセル化材料はmethocelである。
【0168】
マイクロカプセル化された化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6は、当業者に既知の方法によって製剤されてもよい。そのような既知の方法は、例えば、噴霧乾燥法、回転盤による溶解プロセス、ホットメルトプロセス、噴霧冷却方法、流動床、静電気沈着、遠心排出、回転懸濁液分離、液体-ガス又は固体-ガスのインターフェースでの重合、圧力による押し出し、或いはスプレー溶媒抽出槽を含む。これらに加え、様々な化学技術、例えば、複合コアセルベーション、溶解蒸発、ポリマー間の不適合性、液体培地中の界面重合、インサイツの重合、液中乾燥法、及び液体培地中の脱溶媒和も、使用され得る。更に、ローラー圧縮、排出/球形化、コアセルベーション、又はナノ粒子コーティングなど他の方法も使用してもよい。
【0169】
一実施形態において、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6の粒子は、上記の形態の1つへと製剤される前にマイクロカプセル化される。また別の実施形態において、粒子の幾つか又は大半は、標準のコーティング手順(Remington’s Pharmaceutical Sciences, 20th Edition (2000)に記載されるものなど)を使用することによって更に製剤される前に、コーティングされる。
【0170】
他の実施形態において、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6の固形投与製剤は、1つ以上の層で可塑化(コーティング)される。例示的に、可塑剤は一般的に高沸点の固体又は液体である。適切な可塑剤は、コーティング組成物の約0.01重量%~約50重量%(w/w)まで加えられ得る。可塑剤は、限定されないが、フタル酸ジエチル、クエン酸エステル、ポリエチレングリコール、グリセロール、アセチル化グリセリド、トリアセチン、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、クエン酸トリエチル、セバシン酸ジブチル、ステアリン酸、ステアロール、ステアレート、及びヒマシ油を含む。
【0171】
他の実施形態において、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6を有する製剤を含む粉末は、1つ以上の医薬賦形剤及び香料を含むように製剤されてもよい。そのような粉末剤は、例えば、バルク混合組成物を形成するために製剤と随意の医薬賦形剤を混合することにより、調製され得る。追加の実施形態はまた、懸濁化剤及び/又は湿潤剤を含む。このバルク混合は、単位用量パッケージ又は多重用量パッケージのユニットへと均一に細分される。
【0172】
また他の実施形態において、発泡粉末も本開示に従い調製される。発泡塩は、経口投与のために水中で薬を分散させるために使用されている。発泡塩は、通常は重炭酸ナトリウム、クエン酸、及び/又は酒石酸で構成される、乾燥混合物中で薬剤を含む果粒剤又は粗粉である。本明細書に記載される組成物の塩が水に加えられると、酸と塩基は反応して炭酸ガスを遊離し、それにより「発泡」を引き起こす。発泡塩の例は、例えば以下の成分を含む:重炭酸ナトリウム、又は重炭酸ナトリウムと炭酸ナトリウムの混合物、クエン酸及び/又は酒石酸。成分が医薬的用途に適しており、且つ結果として約6.0以上のpHをもたらす限り、二酸化炭素の遊離を結果的にもたらす任意の酸-塩基の組み合わせは、重炭酸ナトリウム、クエン酸、及び酒石酸の組み合わせの代わりに使用され得る。
【0173】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載される固体の剤形は、腸溶性コーティングを施された遅延放出経口剤形として、つまり、胃腸管の小腸での放出に影響を与えるために腸溶コーティングを利用する、本明細書に記載されるような医薬組成物の経口剤形として製剤することができる。腸溶コーティングした剤形は、それ自体がコーティングされる或いはコーティングされない、有効成分及び/又は他の組成成分の果粒剤、粉末、ペレット、ビーズ、又は微粒子を含む、圧縮した、成型した、或いは押し出し加工した錠剤/モールド(コーティングした又はコーティングしていない)であり得る。腸溶コーティングした経口剤形はまた、それ自体がコーティングされる或いはコーティングされない、固形担体又は組成物のペレット、ビーズ、又は顆粒を含むカプセル(コーティングされる又はコーティングされない)であり得る。
【0174】
本明細書で使用されるように、用語「遅延放出」は、遅延放出の変化が存在しない場合に達成されるものよりも遠位の胃腸管にある、幾つかの一般的に予測可能な位置で、放出が達成され得るような送達を指す。幾つかの実施形態において、放出の遅延の方法は、コーティングである。コーティング全体が約5より下のpHで胃腸液に溶けないが、5以上のpHで溶けるように、任意のコーティングは十分な厚みに適用されねばならない。下方の胃腸管への送達を達成するための、本明細書に記載される方法及び組成物における腸溶コーティングとして、pH依存性の可溶性特性を示す任意の陰イオンポリマーが使用され得ることが、予測される。幾つかの実施形態において、本明細書に記載されるポリマーは、陰イオンのカルボン酸ポリマーである。他の実施形態において、ポリマー及びその互換性をもつ混合物、及びそれらの特性の幾つかは、限定されないが次のものを含む:
【0175】
精製されたラック(lac)とも呼ばれるセラックは、昆虫の樹脂質の分泌物から得られる精製品である。このコーティングはpH>7の培地で溶解する;
【0176】
アクリルポリマー。アクリルポリマーのパフォーマンス(主として生体液中のそれらの可溶性)は、置換の程度及び型に基づいて異なり得る。適切なアクリルポリマーの例は、メタクリル酸コポリマー及びメタクリル酸アンモニウムコポリマーを含む。EudragitシリーズE、L、S、RL、RS、及びNE(Rohm Pharma)は、有機溶媒、水分散液、又は乾燥粉末中で可溶化されるように、利用可能である。EudragitシリーズRL、NE、及びRSは胃腸管において不溶性であるが、透過性であり、主として結腸の標的化に使用される。Eudragitシリーズ(E)は胃に溶ける。EudragitシリーズL、L-30D及びSは胃において不溶性であり、腸で溶ける;
【0177】
セルロース誘導体。適切なセルロース誘導体の例は次のとおりである:エチルセルロース;セルロースの部分的な酢酸塩エステルの無水フタル酸との反応混合物。そのパフォーマンスは、置換の程度及び型によって変動し得る。酢酸フタル酸セルロース(CAP)はpH>6で溶解する。Aquateric(FMC)は水性ベースの系であり、<1μmの粒子を持つ噴霧乾燥されたCAP プスエドラテックス(psuedolatex)である。Aquateric中の他の構成要素は、pluronic、Tween、及びアセチル化モノグリセリドを含み得る。他の適切なセルロース誘導体は、酢酸セルローストリメリテート(Eastman);メチルセルロース(Pharmacoat、Methocel);ヒドロキシプロピルメチルセルロースフラタート(HPMCP);ヒドロキシプロピルメチルセルローススクシナート(HPMCS);及びヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシナート(例えばAQOAT(Shin Etsu))を含む。そのパフォーマンスは、置換の程度及び型によって変動し得る。例えば、HP-50、HP-55、HP-55S、HP-55FのグレードなどのHPMCPが適切である。そのパフォーマンスは、置換の程度及び型によって変動し得る。例えば、適切なグレードのヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシナートは、限定されないが、pH5で溶けるAS-LG(LF)、pH5.5で溶けるAS-MG(MF)、及びより高いpHで溶けるAS-HG(HF)を含む。これらポリマーは、水性分散液;ポリビニルアセテートフタラート(PVAP)のための顆粒剤、又は細粉として提供される。PVAPはpH>5で溶解し、水蒸気と胃液に対してあまり浸透性がない。
【0178】
幾つかの実施形態において、コーティングは、当該技術分野で周知の、可塑剤、及び、着色料、タルク、及び/又はステアリン酸マグネシウムなどの他のコーティング賦形剤を含むことができ、且つ通常はそれらを含んでいる。適切な可塑剤は、クエン酸トリエチル(Citroflex 2)、トリアセチン(三酢酸グリセリン)、クエン酸アセチルトリエチル(Citroflec A2)、カーボワックス400(ポリエチレングリコール400)、フタル酸ジエチル、クエン酸トリブチル、アセチル化モノグリセリド、グリセロール、脂肪酸エステル、プロピレングリコール、及びフタル酸ジブチルを含む。特に、陰イオン性のカルボキシのアクリルポリマーは通常、可塑剤、特にフタル酸ジブチル、ポリエチレングリコール、クエン酸トリエチル及びトリアセチンの10-25重量%を包含する。スプレーコーティング又はパンコーティングなどの従来のコーティング技術が、コーティングを施すために使用される。コーティングの厚みは、腸管での局所送達の所望部位に到達するまで、経口剤形が完全なままであることを確実にするのに、十分でなければならない。
【0179】
着色剤、デタッキファイヤー(detackifiers)、界面活性剤、消泡剤、滑沢剤(例えば、カルナウバロウ又はPEG)は、コーティング材料を可溶性にする又は分散させるために、且つコーティングパフォーマンスとコーティングされた生成物を改善するために、可塑剤の他コーティングに加えられることがある。
【0180】
他の実施形態において、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6を含む、本明細書に記載される製剤は、パルス剤形を使用して送達される。パルス剤形は、制御された遅延時間後の予め決められた時点、又は特定の部位で、1つ以上の即時放出パルスを提供することができる。当業者に既知の制御放出系の他の多くのタイプが、本明細書に記載される製剤での使用に適している。そのような送達系の例としては、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ酸無水物及びポリカプロラクトンなどの、ポリマーベースの系;多孔性のマトリックス、ステロール、例えば、コレステロール、コレステロールエステル、及び脂肪酸、又は中性脂肪、例えば、モノグリセリド、ジグリセリド、及びトリグリセリドなどの、脂質である非ポリマーベースの系;ヒドロゲル放出系;サイラスティック系;ペプチドベースの系;ワックスコーティング、生体内分解性の剤形、従来の結合剤を使用する圧縮錠剤などが挙げられる。例えば、それぞれ参照により具体的に組み込まれる、Liberman et al., Pharmaceutical Dosage Forms, 2 Ed., Vol. 1, pp. 209-214 (1990);Singh et al., Encyclopedia of Pharmaceutical Technology, 2nd Ed., pp. 751-753 (2002)、米国特許第4,327,725号、第4,624,848号、第4,968,509号、第5,461,140号、第5,456,923号、第5,516,527号、第5,622,721号、第5,686,105号、第5,700,410号、第5,977,175号、第6,465,014号、及び第6,932,983号を参照。
【0181】
幾つかの実施形態において、被験体の経口投与のための化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6の粒子、少なくとも1つの分散剤又は懸濁化剤を含む、医薬製剤が提供される。製剤は懸濁用の粉末及び/又は顆粒であってもよく、水との混合後に実質的に均一な懸濁液が得られる。
【0182】
所定の添加物が大抵、当該技術分野の異なる実行者によって異なるように分類されることがあり、又は、複数の異なる機能のいずれかのために共有して用いられることがあるため、本明細書に記載の水分散液及び懸濁液中で用いられる上記列挙した添加物間には重なりがあることを理解されたい。故に、上記の列挙された添加剤は、本明細書に記載される製剤に含まれ得る添加剤のタイプの単なる例証に過ぎず、限定的なものではないと解釈されなければならない。そのような添加剤の量は、所望される特定の特性に従って、当業者によって容易に決定され得る。
【0183】
投薬と処置レジメン
幾つかの実施形態において、哺乳動物に投与される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6の量は、約0.5mg/日~約1000mg/日である。幾つかの実施形態において、哺乳動物に投与される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6の量は、約1mg/日~約500mg/日である。幾つかの実施形態において、哺乳動物に投与される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6の量は、約2mg/日~約400mg/日である。幾つかの実施形態において、哺乳動物に投与される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6の量は、約5mg/日~約300mg/日である。幾つかの実施形態において、哺乳動物に投与される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6の量は、約10mg/日~約160mg/日である。幾つかの実施形態において、哺乳動物に投与される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6の量は、約5mg/日~約100mg/日である。幾つかの実施形態において、哺乳動物に投与される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6の量は、約1mg/日~約50mg/日である。幾つかの実施形態において、哺乳動物に投与される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6の量は、約2mg/日~約50mg/日である。幾つかの実施形態において、哺乳動物に投与される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6の量は、約2mg/日~約30mg/日である。幾つかの実施形態において、哺乳動物に投与される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6の量は、約1mg/日~約20mg/日である。幾つかの実施形態において、哺乳動物に投与される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6の量は、約2mg/日~約20mg/日である。幾つかの実施形態において、哺乳動物に投与される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6の量は、約1mg/日~約10mg/日である。幾つかの実施形態において、哺乳動物に投与される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6の量は、約2mg/日~約10mg/日である。幾つかの実施形態において、哺乳動物に投与される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6の量は、約500mg/日である。幾つかの実施形態において、哺乳動物に投与される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6の量は、約450mg/日である。幾つかの実施形態において、哺乳動物に投与される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6の量は、約400mg/日である。幾つかの実施形態において、哺乳動物に投与される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6の量は、約350mg/日である。幾つかの実施形態において、哺乳動物に投与される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6の量は、約300mg/日である。幾つかの実施形態において、哺乳動物に投与される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6の量は、約275mg/日である。幾つかの実施形態において、哺乳動物に投与される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6の量は、約250mg/日である。幾つかの実施形態において、哺乳動物に投与される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6の量は、約225mg/日である。幾つかの実施形態において、哺乳動物に投与される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6の量は、約200mg/日である。幾つかの実施形態において、哺乳動物に投与される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6の量は、約190mg/日である。幾つかの実施形態において、哺乳動物に投与される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6の量は、約180mg/日である。幾つかの実施形態において、哺乳動物に投与される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6の量は、約170mg/日である。幾つかの実施形態において、哺乳動物に投与される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6の量は、約160mg/日である。幾つかの実施形態において、哺乳動物に投与される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6の量は、約150mg/日である。幾つかの実施形態において、哺乳動物に投与される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6の量は、約140mg/日である。幾つかの実施形態において、哺乳動物に投与される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6の量は、約130mg/日である。幾つかの実施形態において、哺乳動物に投与される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6の量は、約120mg/日である。幾つかの実施形態において、哺乳動物に投与される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6の量は、約110mg/日である。幾つかの実施形態において、哺乳動物に投与される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6の量は、約100mg/日である。幾つかの実施形態において、哺乳動物に投与される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6の量は、約95mg/日である。幾つかの実施形態において、哺乳動物に投与される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6の量は、約90mg/日である。幾つかの実施形態において、哺乳動物に投与される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6の量は、約85mg/日である。幾つかの実施形態において、哺乳動物に投与される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6の量は、約80mg/日である。幾つかの実施形態において、哺乳動物に投与される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6の量は、約75mg/日である。幾つかの実施形態において、哺乳動物に投与される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6の量は、約70mg/日である。幾つかの実施形態において、哺乳動物に投与される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6の量は、約65mg/日である。幾つかの実施形態において、哺乳動物に投与される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6の量は、約60mg/日である。幾つかの実施形態において、哺乳動物に投与される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6の量は、約55mg/日である。幾つかの実施形態において、哺乳動物に投与される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6の量は、約50mg/日である。幾つかの実施形態において、哺乳動物に投与される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6の量は、約45mg/日である。幾つかの実施形態において、哺乳動物に投与される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6の量は、約40mg/日である。幾つかの実施形態において、哺乳動物に投与される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6の量は、約35mg/日である。幾つかの実施形態において、哺乳動物に投与される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6の量は、約30mg/日である。幾つかの実施形態において、哺乳動物に投与される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6の量は、約25mg/日である。幾つかの実施形態において、哺乳動物に投与される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6の量は、約20mg/日である。幾つかの実施形態において、哺乳動物に投与される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6の量は、約15mg/日である。幾つかの実施形態において、哺乳動物に投与される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6の量は、約10mg/日である。幾つかの実施形態において、哺乳動物に投与される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6の量は、約5mg/日である。幾つかの実施形態において、哺乳動物に投与される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6の量は、約2mg/日である。幾つかの実施形態において、哺乳動物に投与される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6の量は、約1mg/日である。幾つかの実施形態において、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6は、経口投与される。幾つかの実施形態において、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6は、1日1回、1日2回、又は1日3回投与される。幾つかの実施形態において、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6は、毎日投与される。幾つかの実施形態において、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6は、毎日1回投与される。幾つかの実施形態において、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6は、隔日で投与される。幾つかの実施形態において、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6は、維持療法である。
【0184】
化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6は、MAGLの阻害のための薬剤の調製において、或いは、炎症又は神経障害性疼痛の処置におけるMAGLの阻害から少なくとも部分的に利益を得る疾患又は疾病の処置のために使用することができる。加えて、そのような処置を必要としている被験体における本明細書に記載される疾患又は疾病のいずれかを処置するための方法は、前記被験体に治療上有効な量で、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6、或いはそれらの薬学的に許容可能な溶媒和物を含む医薬組成物の投与を含む。
【0185】
化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6を含む組成物は、予防処置、治療処置、又は維持処置のために投与される。幾つかの実施形態において、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6を含む組成物は、治療用途のために投与される。幾つかの実施形態において、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6を含む組成物は、予防用途のために投与される。
【0186】
幾つかの実施形態において、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6は、毎日投与される。幾つかの実施形態において、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6は、隔日で投与される。
【0187】
幾つかの実施形態において、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6は、1日1回投与される。幾つかの実施形態において、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6は、1日2回投与される。幾つかの実施形態において、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6は、1日3回投与される。幾つかの実施形態において、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6は、1日4回投与される。
【0188】
幾つかの実施形態において、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6は、疾患の進行、許容できない毒性、又は個々の選択まで投与される。幾つかの実施形態において、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6は、疾患の進行、許容できない毒性、又は個々の選択まで毎日投与される。幾つかの実施形態において、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6は、疾患の進行、許容できない毒性、又は個々の選択まで隔日で投与される。
【0189】
患者の状態が改善しない場合、医師の決定に従って、化合物を継続的に投与することもある。代替的に、投与されている薬物の投与量は、一時的に減らされるか、又は特定の長さにわたって一時的に停止される(つまり「休薬日」)。休薬日の長さは、ほんの一例として、2日、3日、4日、5日、6日、7日、10日、12日、15日、20日、28日、35日、50日、70日、100日、120日、150日、180日、200日、250日、280日、300日、320日、350日、又は365日を含む、2日~1年の間で変動し得る。休薬日中の投与量の減少は、ほんの一例として、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、或いは100%を含む、10%-100%である。
【0190】
一旦患者の疾病の改善が生じると、必要ならば維持量が投与される。その後、用量又は投与頻度、或いはその両方は、症状に応じて、改善された疾患、障害、又は疾病が保持されるレベルにまで減少可能である。しかし、患者は症状の任意の再発時に長期間にわたって断続的な処置を必要とし得る。
【0191】
幾つかの実施形態において、そのような量に相当する薬剤の量は、特定の化合物、疾患の重症度、処置を必要とする被験体又は宿主の同一性(例えば重量)などの要因に依存して変動するが、それにもかかわらず、例えば投与される特定の薬剤、投与経路、及び処置される被験体又は宿主を含む、症例を取り囲む特定の状況に従って、当該技術分野で既知の様式で慣例的に決定され得る。しかし、一般的に、成人の処置に用いられる投与量は典型的に、一日当たり0.002~5000mg、又は一日当たり約1~1500mgの範囲である。所望の投与量は都合よく、単回用量で提示されるか、或いは分割投与量として、同時に(又は短時間で)、或いは、適切な間隔で、例えば、1日当たり2、3、又は4回以上の下位用量として投与されてもよい。
【0192】
本明細書に記載される医薬組成物は、正確な用量の単回投与に適した単位剤形にある。単位剤形において、製剤は、適量の1以上の化合物を含む単位投与量に分割される。単位投与量は、製剤の離散量を含む包装の形態をしていてもよい。非限定的な例は、包装された錠剤又はカプセル、及びバイアル又はアンプルの中にある粉末剤である。水性懸濁液組成物は単回量の再密閉できない容器で包むことができる。代替的に、複数回投与用の再密閉できる容器を使用することができ、この場合、組成物中に保存剤を含むことが典型的である。個々の処置レジメンに関する変数の数が大きいため、前述の範囲は単なる示唆的なものに過ぎず、これらの推奨値からかなり逸脱することは珍しいことではない。こうした用量は、多くの変数、限定されないが、使用される化合物の活性、処置される疾患又は疾病、投与の様式、個々の被験体の要件、処置されている疾患又は疾病の重症度、及び医師の判断に依存して変更されることがある。
【0193】
こうした治療レジメンの毒性と治療の有効性は、限定されないが、LD50(母集団の50%に対する致死投与量)と、ED50(母集団の50%で治療上有効な投与量)の測定を含む、細胞培養又は実験動物中の標準的な製薬手順によって決定することができる。毒性効果と治療効果との間の用量比は、治療指数であり、LD50とED50との間の比率として表され得る。高い治療指数を示す化合物が好ましい。細胞培養アッセイと動物研究から得られたデータは、ヒトで使用される一連の用量を製剤するのに使用可能である。そのような化合物の用量は、好ましくは毒性が最小限のED50を含む、血中濃度の範囲内にある。用量は、利用された剤形及び利用された投与経路に依存して、この範囲内で変動し得る。
【0194】
方法
幾つかの実施形態において、本明細書にはMAGLの活性を調節する方法が開示される。企図されている方法は例えば、本明細書に記載される化合物に前記酵素を晒す工程を含む。MAGLを調節する又は阻害する、本明細書に記載される化合物の能力は、当該技術分野で既知の又は本明細書に記載される手順によって評価される。本開示の別の態様は、患者におけるMAGLの発現或いは活性に関連する疾患を処置する方法を提供する。
【0195】
本明細書にはまた、必要としている患者の急性又は慢性の疼痛及び神経障害の1つ以上などの障害を処置する及び/又は予防する方法が開示される。開示される方法は、本明細書に記載される薬学的に有効な量の化合物を投与する工程を含む。
【0196】
神経障害性疼痛と炎症
MAGL阻害剤は、神経障害性疼痛のモデルを含む疼痛の様々なげっ歯類モデルに効果的である。MAGL阻害剤はまた、複数の前臨床モデルにおいて疾患と炎症を減少させる。多発性硬化症のマウスの実験用の自己免疫性脳脊髄炎モデルにおいて、MAGL阻害は疾患重症度を減らし、脱髄を妨げ、及び炎症を減らした。幾つかの実施形態において、必要とする患者の疼痛を処置する方法であって、該方法は、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6を患者に投与する工程を含む。別の実施形態において、必要とする患者の神経障害性疼痛を処置する方法であって、該方法は、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6を患者に投与する工程を含む。別の実施形態において、必要とする患者の炎症性疼痛を処置する方法であって、該方法は、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6を患者に投与する工程を含む。別の実施形態において、必要とする患者の炎症を処置する方法であって、該方法は、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6を患者に投与する工程を含む。
【0197】
急性疼痛、炎症性疼痛、癌性疼痛、及び末梢性ニューロパシーによって引き起こされる疼痛
MAGL阻害剤は、急性疼痛、炎症性疼痛、癌性疼痛、及び、化学療法により誘発された末梢神経障害によって引き起こされる疼痛のモデルを含む、様々な疼痛のげっ歯類モデルにおいて効果を示した。
【0198】
幾つかの実施形態において、本明細書には、必要とする患者の急性疼痛を処置する方法が開示され、該方法は、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6を患者に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、本明細書には、必要とする患者の炎症性疼痛を処置する方法が開示され、該方法は、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6を患者に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、本明細書には、必要とする患者の癌性疼痛を処置する方法が開示され、該方法は、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6を患者に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、本明細書には、必要とする患者の末梢性ニューロパシーによって引き起こされる疼痛を処置する方法であって、該方法は、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6を患者に投与する工程を含む。
【0199】
中枢性疼痛
中枢性疼痛は、中枢神経系の病変又は機能不全によって引き起こされた神経障害性疼痛であり、例えば、卒中後の多発性硬化症、視神経脊髄炎、特発性の炎症性の横断性脊髄炎、脊髄損傷、上腕の放射状の疼痛症候群、及び中央の頭蓋顔面痛である。エキソカンナビノイドは、多発性硬化症に関連する中枢性疼痛において活性を実証した。例えば、CB1アゴニストデルタ-9-テトラヒドロカンナビノールとカンナビジオール(別の大麻由来のアルコール)を含むTHC/CBDを口腔粘膜スプレーとして使用する、MSと中枢性疼痛を抱える第三者の4週間の無作為化された二重盲検のプラセボ対照の並行群間試験は、疼痛(NRS-11)と睡眠障害の平均強度を減少する際に活性薬剤がプラセボよりも優れていたことを示した。同じTHC/CBD調製は、二段階設計を利用して中枢神経障害性疼痛を患う大きな集団のMS患者で研究され;この研究の第2段階において、疼痛NRS-11及び睡眠の質が改善されたように、処置の失敗までの時間(第1のエンドポイント)は統計的にTHC/CBDを支持した。中心性疼痛におけるエキソカンナビノイドに関する他の様々な第三者研究は活性を示した。
【0200】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載されるMAGL阻害剤は、中心性疼痛の処置における効果を持つ。幾つかの実施形態において、本明細書には、必要とする患者の中枢性疼痛を処置する方法が開示され、該方法は、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6を患者に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、本明細書には、必要とする患者の卒中後疼痛を処置する方法が開示され、該方法は、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6を患者に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、本明細書には、必要とする患者の多発性硬化症に関連する疼痛を処置する方法が開示され、該方法は、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6を患者に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、本明細書には、必要とする患者の視神経脊髄炎を処置する方法が開示され、該方法は、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6を患者に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、本明細書には、必要とする患者の突発性炎症性横断性脊髄炎を処置する方法が開示され、該方法は、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6を患者に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、本明細書には、必要とする患者の脊髄損傷に関連する疼痛を処置する方法であって、該方法は、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6を患者に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、本明細書には、必要とする患者の上腕橈骨疼痛症候群を処置する方法が開示され、該方法は、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6を患者に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、本明細書には、必要とする患者の中枢性頭蓋顔面疼痛を処置する方法が開示され、該方法は、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6を患者に投与する工程を含む。
【0201】
線維筋痛
線維筋痛(FM)は、びまん性の身体疼痛と圧力異痛症の存在を特徴とする一般的な慢性の特発性の疾病である。FMにおけるエキソカンナビノイドに関する様々な第三者研究は活性を示した。例えば、疼痛(例えばNRS-11、疼痛VAS)、及びFibromyalgia Impact Questionnaire(FIQ)は、FMによる影響を受けた様々な日常生活動作の制限を測定し、FM臨床試験における薬物の活性を実証した。8週目に、40の患者の研究において、プラセボと比較して、エキソカンナビノイドは10cmのVASで測定された疼痛を改善し、不安症のFIQドメイン及びFIQ総スコアを改善した。
【0202】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載されるMAGL阻害剤は、FMの処置における効果を持つ。幾つかの実施形態において、本明細書には、必要とする患者の線維筋痛症を処置する方法が開示され、該方法は、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6を患者に投与する工程を含む。
【0203】
片頭痛
片頭痛は頭と顔面の疼痛の一般的な突発性障害である。
片頭痛発作は、NSAID、アセトアミノフェン、様々なトリプタン(例えばスマトリプタン)、及び鎮吐薬で迅速に処置することができるが、片頭痛患者の中には既存の処置の選択肢に反応しない疼痛を抱えている人もいる。第三者のデータでは、エンドカンナビノイドの経路が片頭痛に関連し得ると示されている。慢性片頭痛、及び起こり得る鎮痛薬の過剰使用による頭痛を抱える患者において、健康な対照と比較して、CSFサンプルは、より高レベルのエンドカンナビノイドパルミトイルエタノールアミド、及びより低レベルのアナンダミドを示した。加えて、片頭痛の第1の診断を備えた患者は、マリファナ治療開始後の片頭痛の頻度の減少を見出した。
【0204】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載されるMAGL阻害剤は、片頭痛の処置における効果を持つ。幾つかの実施形態において、本明細書には、必要とする患者の片頭痛を処置する方法が開示され、該方法は、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6を患者に投与する工程を含む。鎌型赤血球症における血管閉塞性疼痛性発作(Vasoocclusive Painful Crisis)
【0205】
血管閉塞性疼痛性発作は、ミクロキャピラリーの閉塞、及び鎌型赤血球症(SCD)、即ち成体ヘモグロビンβ遺伝子における突然変異による遺伝的疾病を抱える患者における虚血性疼痛による、赤血球(RBC)のレオロジー改変の結果であると考えられる。第三者のデータは疼痛関連の挙動を実証し、ヒト鎌状ヘモグロビンを発現するマウスにおける神経化学的な改質は、カンナビノイド受容体アゴニストでのマウスの処置によって著しく改善される。
【0206】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載されるMAGL阻害剤は、SCDにおける血管閉塞性疼痛性発作の処置における効果を持つ。幾つかの実施形態において、本明細書には、必要とする患者の鎌型赤血球症における血管閉塞性疼痛性発作を処置する方法が開示され、該方法は、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6を患者に投与する工程を含む。
【0207】
多発性硬化症の鎮静療法
全ての亜型の多発性硬化症(MS)患者はほぼ全て、痙直、疼痛、睡眠障害、膀胱機能不全、及び疲労のうち1つ以上の症状を抱えている。疾患を改変させる治療は症状を改善するものではない。痙直は、MSの患者の80%以上に影響を及ぼし;34%は中程度、重度、又は総合的な痙直を抱えている。重度の痙直はケアのコスト及びレベルに関係し、且つ独立してMSにおける生活の質に関係する。第三者のデータは、MSの痙直及び疼痛の処置のためのエンドカンナビノイドの使用を支持する。
【0208】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載されるMAGL阻害剤は、多発性硬化症に関連付けられる痙直、疼痛、睡眠障害、又は膀胱機能不全の処置における効果を持つ。幾つかの実施形態において、本明細書には、必要とする患者の多発性硬化症に関連付けられる痙直、疼痛、睡眠障害、又は膀胱機能不全を処置する方法が開示され、該方法は、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6を患者に投与する工程を含む。
【0209】
機能性胸痛
機能性胸痛、時に非GERDと称される非心臓性胸痛は、上部GI構造の不快感が胸に知覚される機能性の胃腸障害である。他の治療可能な疾病を除外するために医療資源を消費することに加えて、機能性胸痛は患者に苦痛を引き起こす。これは、三環系抗うつ薬又はセロトニンノルエピネフリン再摂取阻害剤により治療され得るが、全ての患者が反応するわけではない。機能性胸痛、即ちGI過敏性に帰する症候群を抱える患者において、第三者のデータは、エキソカンナビノイドが胸痛の症状を改善し、且つプラセボ対照の4週間の研究において食道のバルーン膨脹に対する感覚閾値を上昇させたことを示した。
【0210】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載されるMAGL阻害剤は、機能性胸痛の処置における効果を持つ。幾つかの実施形態において、本明細書には、必要とする患者の機能性胸痛を処置する方法が開示され、該方法は、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6を患者に投与する工程を含む。
【0211】
関節リウマチ及び変形性関節症
第三者のデータは、CB1及びCB2の受容体が関節リウマチ(RA)及び変形性関節症(OA)患者の滑液に存在することを見出した。エンドカンナビノイドアナンダミド及び2-AGは、正常なボランティアではなくRA及びOAの患者の滑液において同定された。加えて、ナビキシモルス(THC/CBD口腔粘膜スプレー)での小さなRA患者の試験は、休止時の動作に対する疼痛の改善、睡眠の改善、及び28の関節における標準RA疾患活性スコアの改善を示した。
【0212】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載されるMAGL阻害剤は、RA及びOAにおける疼痛と炎症の処置における効果を持つ。幾つかの実施形態において、本明細書には、必要とする患者の関節リウマチ又は変形性関節症を処置する方法が開示され、該方法は、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6を患者に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、本明細書には、必要とする患者の関節リウマチ疼痛又は変形性関節症疼痛を処置する方法が開示され、該方法は、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6を患者に投与する工程を含む。
【0213】
アルツハイマー病
アルツハイマー病(AD)は、米国で~530万人に影響を及ぼす、痴呆の最も一般的な原因である。興奮及び攻撃性は痴呆を抱える患者の施設収容に対する危険要因である。第三者のデータは、エキソカンナビノイドが拒食症を改善し、AD患者の興奮を減らし、且つ夜間の興奮を減らしたことを示した。このデータは、MAGL阻害剤が痴呆及び興奮を抱えるAD患者において効果的であることを示唆する。
【0214】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載されるMAGL阻害剤は、アルツハイマー病の処置における効果を持つ。幾つかの実施形態において、本明細書には、必要とする患者のアルツハイマー病に関連する興奮又は攻撃性を処置する方法が開示され、該方法は、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6を患者に投与する工程を含む。
【0215】
機能性ディスペプシア
機能性ディスペプシア(FD)は、臨床診療で遭遇される最も一般的な胃腸障害の1つである。様々な病態生理学的な機構が、中央又は末梢感作、軽度の炎症状態、消化管ホルモンの分泌の改変、遺伝的素因、及び異常な胃内容排出又は適応による、内臓の過敏症を含むFDの症状の生成の基をなすことが提唱されている。第三者のデータは、エンドカンナビノイド系の機能がFD患者において改変されるという仮説を支持する。
【0216】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載されるMAGL阻害剤は、機能性ディスペプシアの処置における効果を持つ。幾つかの実施形態において、本明細書には、必要とする患者の機能性ディスペプシアを処置する方法が開示され、該方法は、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6を患者に投与する工程を含む。
【0217】
炎症性腸疾患
炎症性腸疾患(IBD)は、消化器官の全て又は一部の慢性炎症に関与している。IBDは主に潰瘍性大腸炎及びクローン病を含む。両者は通常、重度の下痢、疼痛、疲労、及び体重減少に関与している。IBDは衰弱性であり、時に命にかかわる合併症に繋がり得る。第三者のデータは、MAGL阻害がIBDのマウスモデルにおいて保護的であったことを示した。
【0218】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載されるMAGL阻害剤は、炎症性腸疾患の処置における効果を持つ。幾つかの実施形態において、本明細書には、必要とする患者の炎症性腸疾患を処置する方法が開示され、該方法は、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6を患者に投与する工程を含む。
【0219】
骨格筋挫傷
骨格筋挫傷は、筋肉に対する直接的な鈍い圧縮力を示す。挫傷は、最も一般的なスポーツ関連の損傷の1つである。挫傷の重症度は、筋肉に対する単純な皮膚挫傷及び骨の挫傷から、内臓挫傷にまで及ぶ。第三者のデータにおいて、MAGL阻害は、ラット骨格筋挫傷モデルにおける抗炎症性効果を実証した。
【0220】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載されるMAGL阻害剤は、骨格筋挫傷の処置における効果を持つ。幾つかの実施形態において、本明細書には、必要とする患者の骨格筋挫傷を処置する方法が開示され、該方法は、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6を患者に投与する工程を含む。
【0221】
別の実施形態において、患者の疾患又は障害を処置する方法であって、該方法は、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6を患者に投与する工程を含み、疾患又は障害は、癲癇/発作障害、多発性硬化症、視神経脊髄炎(NMO)、トゥーレット症候群、アルツハイマー病、及び過敏性腸症候群に関連付けられる腹痛から成る群から選択される。別の実施形態において、必要とする患者の癲癇/発作障害を処置する方法であって、該方法は、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6を患者に投与する工程を含む。別の実施形態において、必要とする患者の多発性硬化症を処置する方法であって、該方法は、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6を患者に投与する工程を含む。別の実施形態において、必要とする患者の視神経脊髄炎(NMO)を処置する方法であって、該方法は、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6を患者に投与する工程を含む。別の実施形態において、必要とする患者のトゥーレット症候群を処置する方法であって、該方法は、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6を患者に投与する工程を含む。別の実施形態において、必要とする患者のアルツハイマー病を処置する方法であって、該方法は、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6を患者に投与する工程を含む。別の実施形態において、必要とする患者の過敏性腸症候群に関連付けられる腹痛を処置する方法であって、該方法は、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6を患者に投与する工程を含む。
【0222】
別の実施形態において、必要とする患者の急性疼痛、炎症性疼痛、癌性疼痛、末梢神経障害、中心性疼痛、線維筋痛症、片頭痛、鎌型赤血球症における血管閉塞性疼痛性発作、機能性胸痛、関節リウマチ、変形性関節症、機能性ディスペプシア又は痙直、多発性硬化症に関連付けられる疼痛、睡眠障害、又は膀胱機能不全を処置する方法であって、該方法は、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6を患者に投与する工程を含む。
【0223】
トゥーレット症候群及び慢性運動又は音声チック障害
トゥーレット症候群(TS)は、18歳の前の発症を伴う慢性運動及び音声チックを特徴とする神経発達疾病である。チックは、急速で、再発性の、無目的の動作又は発声である。持続性の運動又は音声チック障害はそれぞれ、単離された運動又は音声チックを特徴とする2つの認識された症候群である。他の態様において、持続性の運動又は音声チック障害の疾病はTSと同様である。
【0224】
TSは主に、5歳頃の発症を伴う小児の疾患であると考慮される。チックは典型的に、10代半ばの年齢まで重症度を増大させ、その後、青年期後期及び成人期初期に下降する。成人期までのチックの持続性の客観的な再試験は、TSを抱える小児と診断された成人の90%が今尚チックを抱えていることを示した。
【0225】
TSは、様々な発現により大いに遺伝性である。男性は女性よりも共通して影響を受け、男性と女性の比率は、3及び4対1である。TSは頻繁に、注意欠陥多動性障害(ADHD)及び強迫性障害(OCD)と共に生じる。TSの影響は実質的なものであり、生活の質の減少は多くの場合、失業、達成不全、チック重症度の増加、OCD、ADHD、不安症、及びうつ病などの共病的状態の存在に関連付けられる。
【0226】
TSにおける第三者の量的画像化研究は、小児及び成人にわたる感覚運動の皮質の尾状核及び菲薄化の容積の減少を示した。これらの観察は、皮質の運動領域及び基底核機能障害が因果的にTSに関係することを示唆する。この仮説は、慣例的な行動又は習慣を含む運動行動を選択する又は抑えることにおける、基底核の関与によって支持される。尾状核は、黒質からのドーパミン作用性の投射によって重度に神経分布され、これは、TSのチック重症度を低下させる際のドーパミン作用性アンタゴニストの臨床的有用性に関係し得る。基底核のドーパミン作用性の伝達を抑える際のエンドカンナビノイド(eCB)系の関与は、TSの治療効果に対するこの受容体系の操作の理由付けを示唆する。様々な第三者の研究が、カンナビス又はTHCの投与によるチック症状の改善について記載する。
【0227】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載されるMAGL阻害剤は、トゥーレット症候群、持続性運動チック障害、及び持続性音声チック障害の処置における効果を持つ。幾つかの実施形態において、本明細書には、患者のトゥーレット症候群を処置する方法が開示され、該方法は、治療上有効な量の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラート、或いはその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物を患者に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、本明細書には、必要とする患者のトゥーレット症候群を処置する方法が開示され、該方法は、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6を患者に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、本明細書には、患者の持続性運動チック障害を処置する方法が開示され、該方法は、治療上有効な量の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラート、或いはその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物を患者に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、本明細書には、必要とする患者の持続性チック障害を処置する方法が開示され、該方法は、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6を患者に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、本明細書には、患者の持続性音声チック障害を処置する方法が開示され、該方法は、治療上有効な量の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラート、或いはその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物を患者に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、本明細書には、必要とする患者の持続性音声チック障害を処置する方法が開示され、該方法は、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6を患者に投与する工程を含む。
【0228】
注意欠陥・多動性障害(ADHD)
ADHDは、多数の設定に生じ且つ学業、社会活動、又は職業活動の機能に影響を及ぼす、不注意、過活動及び衝動的な行動を伴う、慢性の精神健康疾病である。症状は小児で始まり、成人期まで持続し得る。米国の学齢の小児の8~11%にADHDがあり、且つ米国の成人の4%に成人ADHDがあると推定される。診断は、精神障害の診断と統計マニュアルの第5版における規準に従い行われ得る。標的の症状はADHDに特異的な評定尺度を介してモニタリングされ得る。
【0229】
ADHDを抱える成人は多くの場合、カンナビスの使用時に症状の改善を報告し、その幾つかは、自身のADHD刺激薬療法以上のカンナビスに対するパフォーマンスを報告する。多数の薬理学処置に耐性があるADHD患者に関する第三者の研究は、スモークしたカンナビスによるADHD症状の改善、特に、濃度、衝動、及び睡眠の改善を説明する。他の第三者の研究は、THCの経口投与後の運転(driving)に関連付けられる注意の改善を示した。加えて、トゥーレット症候群の患者は頻繁に、共存症の疾病としてADHDを抱えている。
【0230】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載されるMAGL阻害剤は、注意欠陥・多動性障害の処置における効果を持つ。幾つかの実施形態において、本明細書には、患者の注意欠陥・多動性障害を処置する方法が開示され、該方法は、治療上有効な量の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラート、或いはその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物を患者に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、本明細書には、必要とする患者の注意欠陥・多動性障害を処置する方法が開示され、該方法は、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6を患者に投与する工程を含む。
【0231】
強迫性障害(OCD)
強迫性障害(OCD)は、典型的には不安症又は苦痛を引き起こす再発性の侵入思考、イメージ、又は本能(妄想)、及び、個人が行動するよう駆り立てられるように感じる反復的な精神又は行動上の行為(強迫)を特徴とする、慢性の精神健康疾病である。OCDは典型的に青年期で始まり、人の生命全体にわたり持続し、病気の重度及び慢性の性質が原因で機能化における実質的な機能障害をもたらす。米国では生涯有病率は2%と推定される。診断は、精神障害の診断と統計マニュアルの第5版における規準に従い行われ得る。標的の症状はOCDに特異的な評定尺度を介してモニタリングされ得る。多くの証拠が、OCDの病態生理学に対する皮質-線条体-視床-皮質回路を示唆する。OCDを抱える患者は頻繁に、心配性障害の診断を有している。不安症を標的とする処置は多くの場合、OCD処置のために考慮される。
【0232】
心配性障害に関係のある反復的行動のげっ歯類モデルは、THC及びMAGL阻害剤の両方が反復的行動を減少させるが、MAGL阻害剤のみが運動行動の減少を示さなかったことを、同定された。効果はCB1受容体により媒介された。加えて、屈折性の強迫障害を抱える成人の第三者の症例報告は、経口でのTHCによる利益について記載している。多くの場合に共存症のOCDが付随するトゥーレット症候群を抱える成人における経口のTHCの対照試験は、強迫性行動の改善を確認した。
【0233】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載されるMAGL阻害剤は、強迫性障害の処置における効果を持つ。幾つかの実施形態において、本明細書には、強迫性障害を処置する方法が開示され、該方法は、治療上有効な量の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラート、或いはその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物を患者に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、本明細書には、必要とする患者の強迫性障害を処置する方法が開示され、該方法は、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6を患者に投与する工程を含む。
【0234】
抜毛症
抜毛症は、脱毛及び機能障害に繋がる、人毛の反復的な引き抜きを特徴とする。この抜毛症は比較的一般的なものであり、社会混乱に関連付けられる。トゥーレット症状群との重なり合いは、両方の診断群が抑制困難な運動心拍を特徴とすると示唆されている。第三者の研究において、経口のTHCは、非盲検の臨床研究において抜毛癖の症状を減少し、このことはエンドカンナビノイド経路の関与を示している。
【0235】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載されるMAGL阻害剤は、抜毛狂の処置における効果を持つ。幾つかの実施形態において、本明細書には、患者の抜毛狂を処置する方法が開示され、該方法は、治療上有効な量の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラート、或いはその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物を患者に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、本明細書には、必要とする患者の抜毛狂を処置する方法が開示され、該方法は、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6を患者に投与する工程を含む。
【0236】
三叉神経痛及び舌咽神経痛
慢性神経障害性疼痛の珍しい形態は三叉神経痛又は舌咽神経痛である。三叉神経痛(TN)又は疼痛性チックは、第5の頭蓋神経(三叉神経)或いは第9又は第10の頭蓋神経(舌咽神経)の1つ以上の分裂の分配における一方のみの疼痛の、再発性の短期間の発症(episodes)を特徴とする。多くの症例が、症状に通じる神経の血管圧迫によって引き起こされる。他の原因は、外傷後の、又は腫瘍による感染であり得る(例えば帯状疱疹)。多発性硬化症に見出したものなどの脱髄病変はまた、脳幹における異所性の神経衝撃生成の確立により三叉神経痛を引き起こし得る。
【0237】
TGは、人間の最も痛みを伴う苦痛の1つと考慮される。第三者のデータは、抵抗性のある三叉神経痛がカンナビスベースの薬剤に反応することを示唆する。
【0238】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載されるMAGL阻害剤は、三叉神経痛及び舌咽神経痛の処置における効果を持つ。幾つかの実施形態において、本明細書には、患者の三叉神経痛を処置する方法が開示され、該方法は、治療上有効な量の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラート、或いはその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物を患者に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、本明細書には、必要とする患者の三叉神経痛を処置する方法が開示され、該方法は、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6を患者に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、本明細書には、患者の舌咽神経痛を処置する方法が開示され、該方法は、治療上有効な量の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラート、或いはその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物を患者に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、本明細書には、必要とする患者の舌咽神経痛を処置する方法が開示され、該方法は、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6を患者に投与する工程を含む。
【0239】
外傷性脳損傷(TBI)
外傷性脳損傷(TBI)は、北アメリカにおいて45歳未満の人の死亡の主な原因である。生存者は、主要な社会経済的な負担を結果としてもたらす相当な身体障害を抱えて生活する場合もある。
【0240】
TBI関連の脳損傷の病態生理学は、第1の脳損傷及び第2の脳損傷といった2つの別個の概念へと分割される。外傷性脳損傷TBIの後の急性脳損傷は第1の損傷に起因し、これは、挫傷、裂傷及び凝血異常に繋がる外部の機械的な力の結果生じるものである。
【0241】
第2の脳損傷は第1の損傷に直接追従するものであり、これは、神経炎症、興奮毒性、酸化ストレス、カルシウムホメオスタシスの崩壊、ミトコンドリアの機能障害、ニューロンの損傷、及びニューロンの死滅を結果としてもたらす、分子、細胞、及び免疫応答の複合カスケードにより媒介される。軽度のTBIの反復的な発作(bouts)は軍事戦闘者及びスポーツイベントに見出され、慢性外傷性脳障害又は「ボクサー痴呆」に繋がりかねない。慢性外傷性脳障害(CTE)は、記憶障害、情動不安定、人格変化により臨床的にマーキングされ、最終的には痴呆に進行し得る。病理学的に、これらの変化は、萎縮症、即ち、ベータアミロイド、リン酸化されたタウ(tau)及びトランス活性化反応DNA結合タンパク質43(TDP-43)で構成される異常なタンパク質の堆積を特徴とする。同様の病理変化が、TBIの単一の発症の数年後に見られるかもしれない。第2の脳損傷のプロセスの妨害は、TBIの結果を妨げる神経保護処置の中心であった。
【0242】
第2の損傷に対する応答において、他のプロセスに関連付けられる炎症反応はおそらく、TBI後に神経病理学を引き起こす重要な役割を果たす。炎症はTBIの重要な特徴(hallmarks)の1つであると認識されている。サイトカインインターロイキン(IL)-1β、IL-6、及び腫瘍壊死因子α(TNFα)などの炎症誘発性のマーカー、並びに、脳及び脳脊髄液の活性化された星状膠細胞及び浸潤さされた白血球から放出されるケモカインは、TBI後に強健に上昇し、結果と相関され得る。慢性状態に見られる組織学的変化は、タウタンパク質の神経原線維濃縮体及び凝集物を実証する。慢性外傷性脳障害は現在、「タウオパチー」と考慮され、タウタンパク質の凝集物を伴う他の退化する疾患に観察された特徴との組織学的な類似性を伴う。TBI後の第1の損傷に続くこの重大なウィンドウ中の適切且つ適時の介入は、大幅に第2の脳損傷を軽減し、最終的にはCTEの発生を予防し得る。
【0243】
第三者のデータは、MAGL阻害が様々なADの動物モデルにおいて広範囲の神経炎症を減少させたことを示した。MAGL阻害剤の作用は、反復する軽度の非解放性頭部損傷の有効なマウスモデルにおいて試験された。このモデルは、特別な学習及び記憶の試験を含む、動物の神経機能の機能障害を示した。他の第三者のデータにおいて、MAGL阻害剤はまた、認知機能を改善し、多様な脳領域における神経炎症、神経変性、ホスホ-タウの蓄積、及びTDP-43凝集物を減少させた。
【0244】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載されるMAGL阻害剤は、外傷性脳損傷の処置における効果を持つ。幾つかの実施形態において、本明細書には、患者の外傷性脳損傷を処置する方法が開示され、該方法は、治療上有効な量の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラート、或いはその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物を患者に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、本明細書には、必要とする患者の外傷性脳損傷を処置する方法が開示され、該方法は、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6を患者に投与する工程を含む。
【0245】
アルツハイマー病
アルツハイマー病(AD)は多くの場合、外傷性脳損傷によって引き起こされた慢性外傷性脳障害と共に第2のタウオパチーとして分類される。ADの神経原線維濃縮体の病理学的特徴は、微小管機能を阻害する過剰リン酸化されたタウタンパク質で構成される。マウスへの突然変異体タウタンパク質の抽出は、脳の他の部分のタウ病状の拡散に繋がる。ADに対する臨床試験におけるタウ過剰リン酸化を制御する複数の手法がある。これらは、ホスホ-タウ、タウキナーゼの阻害剤、O-glcNAcationの阻害、及びタウフィラメントと濃縮体を分解可能な小分子に対する受動及び能動免疫法を含む。
【0246】
第三者のデータは、MAGL阻害がこれらのマウスにおけるミクログリア活性化、神経変性、及び行動異常を減少させることを示した。MAGL阻害の同様の利益が、AD(PS1/APP+)の異なる遺伝学的なマウスモデルに観察された。
【0247】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載されるMAGL阻害剤は、アルツハイマー病に関連する認知力低下の処置における効果を持つ。幾つかの実施形態において、本明細書には、患者のアルツハイマー病に関連する認知力低下を処置する方法が開示され、該方法は、治療上有効な量の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラート、或いはその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物を患者に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、本明細書には、必要とする患者のアルツハイマー病に関連する認知力低下を処置する方法が開示され、該方法は、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6を患者に投与する工程を含む。
【0248】
第1のタウオパチー
第1のタウオパチーは進行性核上性麻痺(PSP)、大脳皮質基底核変性症、及び前頭側頭型認知症(FTD)を含む。第2のタウオパチーは慢性外傷性脳障害及びアルツハイマー病を含む。
【0249】
前頭側頭型認知症(FTD)は、行動の性質及び言葉における混乱を特徴とする臨床的且つ神経病理学的に多様な障害である。65歳未満の患者において、これはアルツハイマー病としての痴呆の等しく一般的な原因である。前頭葉及び側頭葉の変性が生じ、臨床的症候群と比較的十分に相関するが、病理学的亜型には相関しない。FTDは、症例の50%を損なう行動的変異体FTD(bvFTD)を含む臨床的スペクトルを含む包括的な用語であり、及び第1の進行性失語症の3つの形態は言語障害のタイプによって区別される。
【0250】
前頭側頭部の肺葉性の変質(FTLD)は臨床的スペクトルに関連付けられる病理学診断である。萎縮症及びニューロン欠損、ミエリン欠損及びグリオーシスは前頭葉及び側頭葉に見られる。FTLDの独特の病理学的特徴は、過剰リン酸化されたタウ又はトランス活性化反応DNA結合タンパク質、TDP-43、又はFUSプロテイノパチーの凝集物から成る異常な内部ニューロン及びグリアタンパク質封入体の存在である。
【0251】
進行性核上性麻痺(PSP)は、パーキンソン症候群(運動緩徐、硬直及び姿勢の不安定性)の幾つかの特徴を持つ珍しい神経変性の運動症候群である。PSPは運動及び認知作用の変化から成る。運動性の態様は、えん下障害、硬直、体幹ジストニア、特徴的な歩行及び転倒を含む。1つの固有の運動特徴は、一定の驚きの特徴的な表情として現われる、核上の眼筋麻痺(垂直の共同眼球運動における虚弱)である。bvFTDと同様の認知作用の変化がPSPに生じる。病理学的特徴は、基底核、小脳、脳幹、及びより少ない範囲では皮質における、ニューロンの欠損及び神経膠症である。第三者の画像化研究において、PSP患者はマーキングされた中脳萎縮症を実証する。多数の神経化学的異常が記載されており、アセチルコリンニューロンの減少、線条体に突出するドーパミン作動性神経の減少が含まれる。GABAergicニューロンが減少される。超微細構造の変化は、ニューロン(単一の直線のフィラメントである球状の神経原線維濃縮体)、オリゴデンドロサイト(コイル状体)、及びアストロサイト(房状アストロサイト)においてリン酸化されたタウ凝集を示す。これらの変化は、様々な神経伝達物質を発現するニューロンを傷つけると思われる。タウタンパク質は、CSFにおいてより低レベルで見出される。疾患進行は急速であり、患者は3-4年で依存的になり、提示後6-12年で死亡に至る。
【0252】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載されるMAGL阻害剤は、第1のタウオパチーの処置における効果を持つ。幾つかの実施形態において、本明細書に記載されるMAGL阻害剤は、進行性核上性麻痺(palsym)、大脳皮質基底核変性症、又は前頭側頭型認知症の処置における効果を持つ。幾つかの実施形態において、本明細書には、患者の進行性核上性麻痺を処置する方法が開示され、該方法は、治療上有効な量の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラート、或いはその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物を患者に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、本明細書には、必要とする患者の進行性核上性麻痺を処置する方法が開示され、該方法は、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6を患者に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、本明細書には、患者の大脳皮質基底核変性症を処置する方法が開示され、該方法は、治療上有効な量の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラート、或いはその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物を患者に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、本明細書には、必要とする患者の大脳皮質基底核変性症を処置する方法が開示され、該方法は、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6を患者に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、本明細書には、患者の前頭側頭型認知症を処置する方法が開示され、該方法は、治療上有効な量の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラート、或いはその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物を患者に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、本明細書には、必要とする患者の前頭側頭型認知症を処置する方法が開示され、該方法は、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6を患者に投与する工程を含む。
【0253】
脳卒中
脳の一部への血液供給が遮断されるとき、脳卒中がニューロン死を引き起こす。虚血性脳卒中は脳出血よりも一般的であり、アテローム動脈硬化症は、脳に供給する動脈内の風土病の最も一般的な原因である。外傷性脳損傷のように、脳卒中の病態生理学は、2つの領域である、遮られた血液供給に厳密に依存する第1の領域、及び、死滅するニューロン、活性化された神経膠及び星状細胞、及び炎症細胞の流入による要因の同化によるリスクのある脳の第2の領域へと概念的に分割される。
【0254】
第三者のデータは、MAGL阻害剤での前処置が新生児のラットにおける低酸素症の虚血性脳損傷を妨げたことを示した。神経保護の別のモデルは、眼における網膜の神経中枢細胞の有毒損傷の効果を検査することである。網膜の神経中枢細胞は虚血に対して大いに敏感なニューロンである。MAGL阻害剤は、CB1及びCB2の受容体上でアゴニストとして作用するエンドカンナビノイド2-AGを向上させる。CB1受容体のアゴニストは、網膜の神経中枢細胞の死滅を妨げる。カンナビノイドの生理学的な役割は、過度の神経伝達のフィードバック機構として機能することであり、脳の興奮性神経毒性を制限する。
【0255】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載されるMAGL阻害剤は、脳卒中後の機能的な結果の改善における効果を持つ。幾つかの実施形態において、本明細書には、患者の脳卒中後の機能的な結果を改善する方法が開示され、該方法は、治療上有効な量の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラート、或いはその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物を患者に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、本明細書には、必要とする患者の脳卒中後の機能的な結果を改善する方法が開示され、該方法は、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6を患者に投与する工程を含む。
【0256】
筋萎縮性側索硬化症
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、ルー・ゲーリッグ病としても知られており、診断から通常3-5年以内に完全な麻痺及び死亡へと通じる、脳及び脊髄における運動ニューロンの選択的な欠損を特徴とする急速な進行性神経変性障害である。ALS症例の大部分が散在性である一方、増大する数の疾患の家族性形態(全症例の~10%)が認識され、スーパーオキシドジスムターゼ-1(SOD-1)、TAR-DNA結合タンパク質-43(TDP-43)、又はFUS(肉腫において縮合された)タンパク質をコードする遺伝子に対する突然変異の他、遺伝子C9ORF72の非コード領域におけるヘキサヌクレオチド反復拡張により引き起こされたものが含まれる。この疾患は未だに、症状及び/又は疾患進行に有効な処置を欠いている。ALSの(G93A)SOD-1マウスモデルにおいて、エキソカンナビノイドΔ9-THC、カンナビノール、WIN55,212-2、又はAM1241での処置の他、エンドカンナビノイド分解酵素FAAHの遺伝手術を介する内因性カンナビノイドの増加は全て、大幅に疾患進行を遅らせるためと示されている。カンナビスを自己投薬するALS患者に関する第三者の研究は、疼痛、痙攣、痙直、及び過度のよだれを含む、ALS関連の症状の緩和を報告した。ALSにおける疾患を改変する可能性も、死亡のエンドポイント又は気管切開術までの時間を使用して無作為化された臨床研究において示された。
【0257】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載されるMAGL阻害剤は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)又はALS関連の症状の処置における効果を持つ。幾つかの実施形態において、本明細書には、患者の筋萎縮性側索硬化症(ALS)又はALS関連の症状を処置する方法が開示され、該方法は、治療上有効な量の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラート、或いはその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物を患者に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、本明細書には、必要とする患者の筋萎縮性側索硬化症(ALS)又はALS関連の症状を処置する方法が開示され、該方法は、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6を患者に投与する工程を含む。
【0258】
ハンチントン病
ハンチントン病(HD)は、認知作用の、精神医学的な、及び運動の混乱を特徴とする、遺伝子的で、致命的で、進行性の神経変性障害である。HDは、ハンチンチン遺伝子における多形性のトリヌクレオチドCAG反復拡張によって引き起こされ、常染色体優性様式で遺伝される。米国ではこの疾患を示す人々は約30000人であり、それを遺伝するリスクを持つ人々は更に200,000人である。HDにおける症状の緩和のための薬物治療が現在利用可能ではあるが限定的なものであり、処置ではこの疾患に関連する衰弱を防ぐことはできない。第三者のデータは、カンナビジオールなどの外因性カンナビノイドを示し、CB1/CB2薬学的アゴニストは、HDの様々な動物モデル(例えば、R6/2マウス、キノリン酸-病変マウス、3-ニトロプロピオン酸-又はマロン酸塩病変ラット)における神経保護を提供する。
【0259】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載されるMAGL阻害剤は、ハンチントン病の処置における効果を持つ。幾つかの実施形態において、本明細書には、患者のハンチントン病を処置する方法が開示され、該方法は、治療上有効な量の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラート、或いはその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物を患者に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、本明細書には、必要とする患者のハンチントン病を処置する方法が開示され、該方法は、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6を患者に投与する工程を含む。
【0260】
緑内障
緑内障は、不可逆性の視野欠損及び盲目に繋がる、網膜の神経節細胞(RGC)の選択的な損失及び進行性視神経損傷を特徴とする視神経症の群である。上昇した眼内圧(IOP)は、緑内障における視神経損傷に対する主要な危険因子を構成する。現在認可された全ての緑内障処置は、直接RGC欠損を妨げることなくIOPを調節することにより行われる。第三者のデータは、ヒト、非ヒト霊長類、及びげっ歯類における全身及び局所のカンナビノイド受容体アゴニストのIOP低下効果を実証した。MAGL阻害後の内因性カンナビノイド2-アラキドノイルグリセロール(2-AG)の増加も、マウスにおける同様により低いIOPに対して示された。
【0261】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載されるMAGL阻害剤は、緑内障の処置における効果を持つ。幾つかの実施形態において、本明細書には、患者の緑内障を処置する方法が開示され、該方法は、治療上有効な量の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラート、或いはその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物を患者に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、本明細書には、必要とする患者の緑内障を処置する方法が開示され、該方法は、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6を患者に投与する工程を含む。
【0262】
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎(AD)は、湿疹としても知られ、身体の免疫系の機能障害に関連付けられる一般的な慢性炎症性皮膚病である。ADは小児の最大20%に影響を及ぼすが、成人の最大3%に影響を及ぼす成人期にまで拡張し得る。ADにおいて、皮膚が非常にかゆくなる。過度の引っ掻きは、皮膚の赤み、腫れ、亀裂、「水疱性の(weeping)」透明な流体、及び痂皮に繋がる。機能性のエンドカンナビノイドシグナル伝達系は皮膚に存在し、皮膚の生物学の多数の態様を媒介する。第三者の研究は、CB1及びCB2の受容体がアトピー性皮膚炎においてアップレギュレートされ、エンドカンナビノイド系が皮膚アレルギーのモデルにおいて保護効果を働かせることを示す。加えて、MAGL阻害剤がMAGL活性を減らし、げっ歯類の皮膚における2-AGのレベルを増大することができることが、実証された。
【0263】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載されるMAGL阻害剤は、アトピー性皮膚炎の処置における効果を持つ。幾つかの実施形態において、本明細書には、患者のアトピー性皮膚炎を処置する方法が開示され、該方法は、治療上有効な量の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラート、或いはその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物を患者に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、本明細書には、必要とする患者のアトピー性皮膚炎を処置する方法が開示され、該方法は、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6を患者に投与する工程を含む。
【0264】
そう痒症
そう痒症、即ちかゆみは、引っ掻きたいという望みを抱かせる不快感である。そう痒症は、多くの皮膚病(例えばアトピー性皮膚炎)の一般的で煩わしい症状であるが、多くの全身性(例えば肝臓及び腎臓病)、神経原性(例えば疱疹性の神経痛、手術、脳卒中)、及び薬学的(オピオイドで誘導されたそう痒症)の起源にも関連付けられる。様々な原因にもかかわらず、そう痒症は、エンドカンナビノイド系によって調節されると考えられる神経系における一般的な感覚系伝導路によって媒介される。第三者の人体研究において、強力な混合されたCB1及びCB2アゴニストの局所適用は、ヒスタミンで誘導されたかゆみを減らした。更に、CB1アンタゴニストは、げっ歯類の引っ掻きを促進すると示されが、アゴニストはげっ歯類モデルにおけるそう痒症を減少させる。
【0265】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載されるMAGL阻害剤は、そう痒症の処置における効果を持つ。幾つかの実施形態において、本明細書には、患者のそう痒症を処置する方法が開示され、該方法は、治療上有効な量の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラート、或いはその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物を患者に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、本明細書には、必要とする患者のそう痒症を処置する方法が開示され、該方法は、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6を患者に投与する工程を含む。
【0266】
パーキンソン病
パーキンソン病(PD)は基底核に影響を与える進行性の神経変性障害である。PDの特徴的な運動症状は、震え、硬直、運動緩徐及び筋肉強直を含む。PDの運動性症状は、黒質ドーパミン作動性ニューロンの死滅を含む、黒質における改質によって主に引き起こされる。ドーパミン置換療法などのPDの現行の処置は症状を緩和する役目を果たすが、疾患を改変する治療は利用不能である。外因性カンナビノイドはPD症状に有益な効果があると見出されている。例えば、第三者の非盲検の解析的研究において、スモークしたカンナビスは、現行のパーキンソン薬物療法によって不適当に制御された、重度のPD関連の疼痛及び震えを抱える患者の震え、硬直及び運動緩徐における相当な改善を与えることが分かった。相当な改善は、疼痛及び睡眠のスコアに対するカンナビス消費後にも観察された。前臨床的に、外因性カンナビノイド及びMAGL阻害剤は、パーキンソン病のげっ歯類モデルにおける疾患を改変する保護効果をもたらす。
【0267】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載されるMAGL阻害剤は、パーキンソン病の処置における効果を持つ。幾つかの実施形態において、本明細書には、患者のパーキンソン病を処置する方法が開示され、該方法は、治療上有効な量の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラート、或いはその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物を患者に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、本明細書には、必要とする患者のパーキンソン病をする方法が開示され、該方法は、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6を患者に投与する工程を含む。
【0268】
自閉症
自閉症障害(ASD)は、社会的相互関係及びコミュニケーションでの反復的行動及び機能障害を特徴とする一般的な神経発達障害の群である。自閉症は、世界で約2200万人、及び米国で小児の約1.5%に影響を及ぼしている。症状は個体間に大幅に変動するが、幼児期で始まり、日常の機能に影響を与える。自閉症は強い遺伝学的な繋がりを持ち、多数の遺伝子は、シナプスの特性を制御するポストシナプスの細胞接着分子であるニューロリジン1-4に対する遺伝子における30を超える突然変異を含む、障害に関連付けられる。ニューロリジン-3における自閉症に関連した突然変異を抱えるマウスの第三者のデータにおいて、持続性のエンドカンナビノイドシグナル伝達は劇的に損なわれ、過度の阻害シナプス活性に繋がる。
【0269】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載されるMAGL阻害剤は、自閉症の処置における効果を持つ。幾つかの実施形態において、本明細書には、患者の自閉症を処置する方法が開示され、該方法は、治療上有効な量の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラート、或いはその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物を患者に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、本明細書には、必要とする患者の自閉症を処置する方法が開示され、該方法は、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6を患者に投与する工程を含む。
【0270】
疼痛におけるオピオイドの節約
疼痛の処置に対するオピオイド鎮痛薬の臨床的使用は、便秘、呼吸抑制、心因掻痒、耐性、乱用及び中毒を含む重篤な臨床的責任に関連付けられる。処方オピオイドの乱用は公衆衛生上の危機と考慮され、米国で推定210万人が、処方オピオイド鎮痛剤に関連する物質使用障害に苦しむ。オピオイドの負の副作用を低減するための1つの戦略は、別の抗侵害受容性薬剤と組み合わせることにより十分に疼痛を制御するのに必要なオピオイドの投与量を減らすことである。
【0271】
MAGL阻害剤は、炎症性で、急性、神経性、炎症性、及び癌性の疼痛のモデルを含む、多数の疼痛モデルにおける単独療法として効果的である。MAGL阻害は、前臨床疼痛モデルのオピオイド節約効果をもたらすとも示された。マウスにおける慢性収縮性損傷(CCI)神経障害性疼痛モデルにおいて、MAGL阻害剤とオピオイドモルヒネとの併用処置は、結果として、何れかの化合物単独の処置と比較して効果の相乗的な改善をもたらした。MAGL阻害とモルヒネの組み合わせは、胃運動性におけるオピオイドの様な減少をもたらさず、薬物区別アッセイにおける大麻類似性効果をもたらさず、或いは反復投薬後に耐性を受けなかった。
【0272】
ラットにおけるホルマリン急性疼痛モデルにおいて、MAGL阻害は、相乗的にオピオイドのモルヒネの活性を強めた。この研究において、単独療法として効果がなかったMAGL阻害剤及びモルヒネの投薬は、組み合わせにおける相当な抗侵害受容性効果をもたらし、このことは、MAGL阻害剤が、オピオイド薬物負荷が実質的に減らされた患者の適切な鎮痛を可能にすることを示している。オピオイド薬物の副作用は用量依存性である故に、幾つかの実施形態において、このオピオイド節約効果は、便秘、めまい、便秘、鎮静、及び口渇などのオピオイド鎮痛薬に関連付けられる急性副作用を低減し、且つ、依存、停止、及び過剰投与による死亡を含む長期的なオピオイド使用の負の結果の発生の可能性を減らす。
【0273】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載されるMAGL阻害剤は、オピオイド鎮痛薬の活性を相乗的に強める。幾つかの実施形態において、本明細書に記載されるMAGL阻害剤は、オピオイド鎮痛薬に関連付けられる急性副作用を低減する。幾つかの実施形態において、本明細書には、オピオイド鎮痛薬で処置されている患者のオピオイド鎮痛薬の活性を相乗的に強める方法が開示され、該方法は、治療上有効な量の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラート、或いはその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物を患者に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、本明細書には、オピオイド鎮痛薬で処置されている患者のオピオイド鎮痛薬の活性を相乗的に強める方法が開示され、該方法は、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6を患者に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、本明細書には、オピオイド鎮痛薬で処置されている患者のオピオイド鎮痛薬に関連する急性副作用を低減する方法が開示され、該方法は、治療上有効な量の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラート、或いはその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物を患者に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、本明細書には、オピオイド鎮痛薬で処置されている患者のオピオイド鎮痛薬に関連する急性副作用を低減する方法が開示され、該方法は、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6を患者に投与する工程を含む。
【0274】
ジストニア
ジストニアは、基底核の主張された関与を1980年代後半に概念的に再び特徴とし、且つ、異常で頻繁な反復の運動、姿勢、又は両方を引き起こす維持された筋収縮又は断続的な筋収縮を臨床的に特徴とする、運動障害の異種混合群である。ジストニー運動は典型的に、パターン化され、ねじれ、及び震えであり得る。ジストニアは多くの場合、自発的な動作によって開始又は悪化され、且つ溢流性筋肉活性化(overflow muscle activation)に関連付けられる。
【0275】
ジストニアは、臨床的特徴(発症時の年齢、身体分布、時間パターン、他の運動障害の共存、及び他の精神症状)及び原因論的特徴(他の神経系病状及び遺伝のパターン)に基づいて分類され得る。第1のジストニアは小児に生じ、多くの場合全身性であり、痙直又は脳障害などの他の臨床的特徴が付随し、且つ遺伝学的な基礎を備え得る。成人の第1のジストニアは通常単離され、実施された活動に関連し、小児のジストニアよりも一般的であり、特発性であり、進行性ではない。例となる第1の単離されたジストニアは、眼瞼痙攣、頚部ジストニア(斜頚)、及び書痙である。機能を改善する経口薬物療法のジストニアにおける必要性は満たされていない。
【0276】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載されるMAGL阻害剤は、ジストニアの処置における効果を持つ。幾つかの実施形態において、本明細書には、患者のジストニアを処置する方法が開示され、該方法は、治療上有効な量の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラート、或いはその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物を患者に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、本明細書には、必要とする患者のジストニアを処置する方法が開示され、該方法は、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6を患者に投与する工程を含む。
【0277】
別の実施形態において、本明細書には、患者のダウン症候群を処置する方法が開示され、該方法は、治療上有効な量の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラート、或いはその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物を患者に投与する工程を含む。別の実施形態において、必要とする患者のダウン症候群疼痛を処置する方法であって、該方法は、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6を患者に投与する工程を含む。
【0278】
別の実施形態において、本明細書には、患者の眼内圧(IOP)を低下させる方法が開示され、該方法は、治療上有効な量の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラート、或いはその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物を患者に投与する工程を含む。別の実施形態において、必要とする患者の眼内圧(IOP)を低下させる方法であって、該方法は、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6を患者に投与する工程を含む。別の実施形態において、本明細書には、患者の緑内障を処置する方法が開示され、該方法は、治療上有効な量の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラート、或いはその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物を患者に投与する工程を含む。別の実施形態において、必要とする患者の緑内障を処置する方法であって、該方法は、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6を患者に投与する工程を含む。
【0279】
別の実施形態において、本明細書には、患者の複合性局所疼痛症候群を処置する方法が開示され、該方法は、治療上有効な量の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラート、或いはその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物を患者に投与する工程を含む。別の実施形態において、必要とする患者の複合性局所疼痛症候群疼痛を処置する方法であって、該方法は、治療上有効な量の本明細書に記載される化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6を患者に投与する工程を含む。
【0280】
特定の実施形態において、前述の方法の1つ以上により活用される、開示された化合物は、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6などの、本明細書に記載される属、亜属、又は特異的な化合物の1つである。
【0281】
開示される化合物は、最適な薬理学的効力を提供する用量で、そのような処置を必要としている患者(動物及びヒト)に投与される。任意の特定用途での使用に必要とされる投与量が、選択される特定の化合物又は組成物だけでなく、投与経路、処置されている疾病の性質、患者の年齢及び状態、併用投薬、或いは患者が従う特別食、及び他の要因によって、患者間で変動し、適正な投薬が最終的に担当医師の裁量に委ねられることが理解される。上に留意される臨床的疾病及び疾患を処置するために、本明細書に開示された熟考される化合物は、従来の無毒な薬学的に許容可能な担体、アジュバント、及びビヒクルを含有している投与量単位(dosage unit)製剤において、経口、皮下、局所、非経口、吸入スプレーにより、又は直腸に投与される。非経口投与は、皮下注射、静脈内又は筋肉内の注射或いは注入技術を含む。
【0282】
併用療法
同様に、併用療法、例えば、本明細書に開示される化合物と追加の活性薬剤の同時作用による有意な効果を発揮するように意図された特別な処置レジメンの一部として、開示された化合物と追加の活性薬剤を同時投与することが本明細書で企図されている。組み合わせの有益な効果は、限定されないが、治療薬の組み合わせに起因する薬物動態学的又は薬力学的な同時作用を含む。組み合わせにおけるこうした治療薬の投与は、定められた時間(通常、選択された組み合わせに応じて数週間、数カ月、又は数年)にわたって行われるのが一般的である。併用療法は、連続的に、即ち、各治療薬が異なる時間に投与されるような複数の治療薬の投与だけでなく、これらの治療薬、又はこれらの治療薬の少なくとも2つのほぼ同時の投与を包含することを意図している。
【0283】
実質的に同時の投与は、例えば、(例えば、各治療薬に対する固定比率を有する錠剤又はカプセル、或いは治療薬の各々に対する複数の、単一の製剤(例えばカプセル)で)単一の製剤又は組成物を被験体に投与することによって達成される。各治療薬の連続する又は実質的に同時の投与は、限定されないが、経口経路、静脈内経路、筋肉内経路、及び粘膜組織を介する直接の吸収を含む、任意の適切な経路によって達成される。治療薬は、同じ経路又は異なる経路によって投与される。例えば、選択される併用療法の第1の治療薬は、静脈内注射によって投与され、一方で併用療法の他の治療薬は、経口投与される。代替的に、例えば、治療薬は全て、経口投与されるか、或いは静脈内注射によって投与される。
【0284】
併用療法はまた、他の生物学的に活性な成分及び非薬物療法と更に組み合わせた、上に記載されるような治療薬の投与を包含する。併用療法が非薬物処置を更に含む場合、治療薬及び非薬物処置の併用の同時作用からの有益な効果が達成される限り、非薬物処置が任意の適切な時間に実行される。例えば、適切な場合、非薬物療法が数日又は数週間だけ治療薬の投与から一時的に除外されても、有益な効果は依然として達成される。
【0285】
併用療法の構成成分は、同時に又は連続して患者に投与される。構成成分が、同じ薬学的に許容可能な担体中に存在し、それ故、同時に投与されることが認識される。代替的に、有効成分は、同時に又は連続して投与される、従来の経口投薬形態などの、別々の薬学的担体中に存在する。
【0286】
例えば、熟考される疼痛の処置に関して、開示される化合物は、オピオイド、カンナビノイド受容体(CB1又はCB2)モジュレータ、COX-2阻害剤、アセトアミノフェン、及び/又は非ステロイド性の抗炎症剤などの、疼痛用の別の治療薬と同時投与される。例えば、同時投与される疼痛の処置のための追加の治療薬は、モルヒネ、コデイン、ヒドロモルフォン、ヒドロコドン、オキシモルホン、フェンタニル、トラマドール、及びレボルファノールを含む。
【0287】
同時投与のための他の企図される治療薬は、アスピリン、ナプロキセン、イブプロフェン、サルサレート、ジフルニサル、デクスイブプロフェン、フェノプロフェン、ケトプロフェン、オキサプロジン、ロキソプロフェン、インドメタシン、トルメチン、スリンダク、エトドラク、ケトロラク、ピロキシカム、メロキシカム、テノキシカム、ドロキシカム、ロルノキシカム、セレコキシブ、パレコキシブ、リモナバン、及び/又はエトリコキシブを含んでいる。
【0288】
幾つかの実施形態において、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6などの、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラート、或いはその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物は、イミプラミン、アミトリプチリン、又はデシプラミンなどの三環系抗うつ薬と同時投与される。幾つかの実施形態において、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6などの、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラート、或いはその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物は、デュロキセチン、ミルナシプラン、ベンラファキシン、又はクロミプラミンなどのセロトニンノルエピネフリン再摂取阻害剤と同時投与される。幾つかの実施形態において、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6などの、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラート、或いはその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物は、ガバペンチン又はプレガバリンなどのα-2-δ阻害剤と同時投与される。幾つかの実施形態において、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6などの、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラート、或いはその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物は、トピラマート、ラモトリギン、レベチラセタム、バルプロ酸塩、クロナゼパム、オクスカルバジン、又はカルバマゼピンなどの抗癲癇薬と同時投与される。
【0289】
幾つかの実施形態において、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6などの、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラート、或いはその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物は、モルヒネ、コデイン、オキシコドン、オキシモルホン、トラマドール、タペンタドール、メタドン、又はフェンタニルなどのオピオイドと同時投与される。
【0290】
幾つかの実施形態において、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6などの、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラート、或いはその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物は、アセトアミノフェンと同時投与される。幾つかの実施形態において、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6などの、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラート、或いはその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物は、イブプロフェン、ナプロキセン、セレコキシブ、又はジクロフェナクなどの非ステロイド性抗炎症薬と同時投与される。幾つかの実施形態において、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6などの、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラート、或いはその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物は、トファシチニブ、レフルノミド、又はメトトレキサートなどの疾患修飾性抗リウマチ薬と同時投与される。
【0291】
幾つかの実施形態において、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6などの、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラート、或いはその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物は、経口のデルタ-9-THC及びナビキシモルス(Sativex)などのエキソカンナビノイドと同時投与される。
【0292】
幾つかの実施形態において、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6などの、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラート、或いはその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物は、バクロフェン及びチザニジンなどの筋弛緩剤と同時投与される。幾つかの実施形態において、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6などの、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラート、或いはその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物は、ジアゼパムと同時投与される。
【0293】
幾つかの実施形態において、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6などの、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラート、或いはその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物は、メトクロプラミド、ドンペリドン、又はイトプリドなどの消化管機能改善薬と同時投与される。幾つかの実施形態において、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6などの、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラート、或いはその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物は、テガセロド又はモサプリドなどの5-HT4アゴニストと同時投与される。幾つかの実施形態において、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6などの、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラート、或いはその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物は、ブスピロンと同時投与される。
【0294】
幾つかの実施形態において、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6などの、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラート、或いはその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物は、ピモジド、オランザピン、リスペリドン、又はクエチアピンなどの神経遮断薬と同時投与される。
【0295】
幾つかの実施形態において、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6などの、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラート、或いはその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物は、ドネペジル、リバスチグミン、又はガランタミンなどのコリンエステラーゼ阻害剤と同時投与される。幾つかの実施形態において、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6などの、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラート、或いはその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物は、メマンチンドなどのNMDAアンタゴニストと同時投与される。
【0296】
幾つかの実施形態において、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6などの、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラート、或いはその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物は、レボドパ又はカルビドパ-レボドパなどのドーパミン置換治療薬と同時投与される。幾つかの実施形態において、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6などの、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラート、或いはその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物は、トルカポン又はエンタカポンなどのカテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害剤と同時投与される。幾つかの実施形態において、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6などの、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラート、或いはその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物は、ブロモクリプチン、プラミペキソール、又はロピニロールなどのドーパミンアゴニストと同時投与される。幾つかの実施形態において、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6などの、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラート、或いはその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物は、セレギリン又はラサギリンなどのモナミンオキシダーゼ(MAO)B阻害剤と同時投与される。幾つかの実施形態において、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6などの、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラート、或いはその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物は、ベンズトロピン、トリヘキシフェニジル、又はプロシクリジンなどの抗コリン薬と同時投与される。
【0297】
幾つかの実施形態において、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6などの、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラート、或いはその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物は、ハロペリドール、ピモジド、又はフルフェナジンなどのドーパミンアンタゴニストと同時投与される。幾つかの実施形態において、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6などの、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラート、或いはその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物は、テトラベナジンなどのドーパミンを枯渇させるVMAT2阻害剤と同時投与される。幾つかの実施形態において、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6などの、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラート、或いはその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物は、クロニジン又はグアンファシンなどのαアドレナリンアゴニストと同時投与される。
【0298】
幾つかの実施形態において、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6などの、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラート、或いはその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物は、デュロキセチン、フルオキセチン、セルトラリン、パロキセチン、シタロプラム、又はエスシタロプラムなどの選択的セロトニン再摂取阻害剤(SSRI)と同時投与される。
【0299】
幾つかの実施形態において、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6などの、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラート、或いはその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物は、メチルフェニデート、デキストロアンフェタミン、又はリスデキサフェタミンなどの興奮剤と同時投与される。幾つかの実施形態において、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6などの、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラート、或いはその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物は、ブプロピオン又はアトモキセチンなどの抗うつ薬と同時投与される。
【0300】
幾つかの実施形態において、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6などの、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラート、或いはその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物は、セロトニン1b/1dアゴニストと同時投与される。幾つかの実施形態において、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6などの、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラート、或いはその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物は、スマトリプタン又はゾルミトリプタンなどのトリプタンと同時投与される。
【0301】
幾つかの実施形態において、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6などの、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラート、或いはその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物は、リルゾールなどのグルタミン酸塩阻害剤と同時投与される。
【0302】
幾つかの実施形態において、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6などの、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシラート、或いはその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物は、ジフェンヒドラミン、ヒドロキシジン、セチリジン、ロラタジン、又はデスロラタジンなどのH1抗ヒスタミン剤と同時投与される。
【0303】
キット/製品
本明細書に記載の治療用途で使用するために、キット及び製品も本明細書中で記載される。このようなキットは、バイアル、チューブなどの1以上の容器を収容するために仕切られた運搬装置、パッケージ、又は容器を含み、各容器は本明細書に記載される方法で使用される別個の要素の1つを備える。適切な容器として、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ、及び試験管が挙げられる。他の実施形態において、容器は、ガラス又はプラスチック等の様々な材料から形成される。
【0304】
本明細書で提供される製品は、包装材料を含む。医薬製品の包装に使用するための包装材料は、例えば、米国特許第5,323,907号を含む。製薬用包装材料の例としては、限定されないが、ブリスターパック、ボトル、チューブ、バッグ、容器、瓶、及び選択された製剤と、投与及び処置の意図した形態に適する任意の包装材料が挙げられる。
【0305】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載される化合物又は組成物は、有効成分を含有する1つ以上の単位投与形態を含み得る、パッケージ又はディスペンサーデバイスで提供される。本明細書に記載される化合物又は組成物は単独で包装されるか、或いは、他の化合物、他の成分、又は添加剤と共に包装される。幾つかの実施形態において、パッケージは、医薬組成物の成分の1つ以上で満たされた1つ以上容器を含んでいる。幾つかの実施形態において、パッケージは、ブリスターパックなどの金属又はプラスチックホイルを含む。幾つかの実施形態において、パッケージ又はディスペンサーデバイスには、腫瘍疾患を処置するための化合物又は組成物の投与に関する指示書など、投与の指示書が付随する。幾つかの実施形態において、パッケージ又はディスペンサーデバイスには、医薬品の製造、使用、又は販売を規制する政府機関によって規定された形態の容器に関連する通知が添えられ、当該通知は、ヒト又は動物の投与に関する薬物の形態の政府機関による承認を反映している。幾つかの実施形態において、このような通知書は、例えば、処方薬又は承認された生成物の挿入に関する、米国食品医薬品局により承認されたラベルである。幾つかの実施形態において、組成物は、適合可能な医薬担体で製剤される本明細書に記載の化合物を含み、適切な容器に入れられ、示された疾病の処置のためにラベル付けされる。
【0306】
例えば、容器は、随意に組成物において、又は本明細書に開示される別の薬剤と組み合わせて、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、又は化合物6を含む。そのようなキットは、識別用の記載又はラベル、或いは本明細書に記載される方法における使用に関する説明書を随意に含む。
【0307】
キットは典型的に、使用される内容物及び/又は説明書を列挙するラベルと、使用される説明書を備えた添付文書とを含んでいる。1セットの説明書も典型的に含まれる。
【0308】
1つの実施形態において、ラベルは容器上にあるか容器に付随される。1つの実施形態において、ラベルを形成する文字、数字又は他の表示が、容器自体に貼り付けられるか、成形されるか、或いは刻まれている場合、ラベルは容器上に取付けられる。例えば添付文書として、容器を同様に保持するレセプタクル又は運搬体内に存在する時、ラベルは容器に付随する。一実施形態において、ラベルは、内容物が特定の治療用途に用いられるべきものであるということを示すために用いられる。ラベルはまた、例えば本明細書に記載の方法での内容物の使用に関する指示を示す。
【0309】
特定の実施形態において、医薬組成物は、本明細書で提供された化合物を含む1以上の単位剤形を含むパック又はディスペンサーデバイスで提示される。パックは、例えば、ブリスターパックなどの金属又はプラスチックホイルを含む。一実施形態において、パック又はディスペンサーデバイスには、投与の指示書が付随する。別の実施形態において、パック又はディスペンサーには、医薬品の製造、使用、又は販売を制御する政府機関によって規定された形態の容器に付属の通知書が添付してあり、この通知書は、ヒト又は動物の投与のための薬物の形態に関する政府機関の承認を反映するものである。このような通知書は、例えば、処方薬又は承認された製品の挿入に関して、米国食品医薬品局により承認されたラベルである。1つの実施形態において、適合可能な医薬担体で製剤される本明細書で提供される化合物を含む組成物も調製され、適切な容器に入れられ、示された疾病の処置のためにラベル付けされる。
【実施例0310】
略語のリスト
上記で使用されるように、及び本発明の記載の全体にわたって、以下の略語は、他に明記されない限り、以下の意味を持つものであると理解される:
ACN又はMeCN アセトニトリル
Bn ベンジル
BOC又はBoc tert-ブチルカルバマート
t-Bu tert-ブチル
Cy シクロヘキシル
DCE ジクロロエタン(ClCH2CH2Cl)
DCM ジクロロメタン(CH2Cl2)
DIPEA又はDIEA ジイソプロピルエチルアミン
DMAP 4-(N,N-ジメチルアミノ)ピリジン
DMF ジメチルホルムアミド
DMA N,N-ジメチルアセトアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
equiv 当量
Et エチル
Et2O ジエチルエーテル
EtOH エタノール
EtOAc 酢酸エチル
HPLC 高性能液体クロマトグラフィー
Me メチル
MeOH メタノール
MS 質量分光法
NMR 核磁気共鳴
RP-HPLC 逆相高圧液体クロマトグラフィー
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
TLC 薄層クロマトグラフィー
【0311】
I.化学合成
別段の明記のない限り、市販の供給元から入手されるような試薬と溶媒を使用した。無水溶媒及び炉乾燥したガラス製品を、湿気及び/又は酸素に敏感な合成変換に使用した。収率を最適化しなかった。反応時間はおおよそのものであり、最適化されたものではない。他に特に明記のない限り、カラムクロマトグラフイー及び薄層クロマトグラフィー(TLC)を、シリカゲル上で実行した。
【0312】
実施例1.化合物1の調製(形態1)[[遊離塩基]]
化合物1の調製はWO2013/103973に開示され、その内容は参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0313】
実施例2.化合物2の調製(形態1)[[モノHCl]]
9v/wのtert-ブチルメチルエーテル中の化合物1(20.0g)に、35℃で濃縮HCl(1.06eq)を加えた。懸濁液を室温に冷却し、固形物を濾過によって収集し、tert-ブチルメチルエーテルで洗浄した。固形物を乾燥して、化合物2(19.3g、90%)を得た。
【0314】
実施例3.化合物3の調製(形態1)[[ビスHCl]]
5当量のHClが手順に使用されることを除いて、実施例2の化合物2について記載されるのと同様の様式で化合物3を作製した。
【0315】
II.化合物の特徴化
実施例1:X線粉末回折(XRPD)
XRPD分析をPANalytical X’ert pro上で行い、3と35°2θとの間でサンプルをスキャンした。材料を、Kapton又はMylarのポリマーフィルムを備えたマルチウェルプレートへと優しく圧縮し、サンプルを支持した。その後、マルチウェルプレートを、転送モードで実行するPANalytical回折計へと充填し、以下の実験条件を使用して分析した:
【0316】
生データの由来:XRD測定(*.XRDML)
スキャン軸:Gonio
開始位置[°2θ]:3.0066
終了位置[°2θ]:34.9866
ステップサイズ[°2θ]:0.0130
スキャンステップ時間[s]:18.8700
スキャンタイプ:連続
PSDモード:スキャン
PSD長[°2θ]:3.35
オフセット[°2θ]:0.0000
発散スリットタイプ:固定
発散スリットサイズ[°]:1.0000
測定温度[°C]:25.00
陽極材料:Cu
K-Alpha1[Å]:1.54060
K-Alpha2[Å]:1.54443
K-Beta[Å]:1.39225
K-A2/K-A1の比率:0.50000
ジェネレーターの設定:40mA、40kV
ゴニオメーター半径[mm]:240.00
Dist. Focus-Diverg. Slit [mm]:91.00
入射ビームモノクロメーター:無し
スピニング:無し
【0317】
化合物1の形態1のXRPD分析(
図1)は、遊離塩基が結晶であることを示した。
【0318】
化合物2の形態1のXRPD分析(
図9)は、モノ塩酸塩のこの形態が結晶であることを示した。
【0319】
化合物2の形態2のXRPD分析(
図28)は、モノ塩酸塩のこの形態が結晶であることを示した。
【0320】
化合物3の形態1のXRPD分析(
図17)は、ビス塩酸塩のこの形態が結晶であることを示した。
【0321】
化合物4の形態1のXRPD分析(
図30)は、ベシル酸塩のこの形態が結晶であることを示した。
【0322】
化合物4の形態2のXRPD分析(
図31)は、ベシル酸塩のこの形態が結晶であることを示した。
【0323】
化合物5の形態1のXRPD分析(
図38)は、メシル酸塩のこの形態が結晶であることを示した。
【0324】
化合物6の形態1のXRPD分析(
図42)は、フマル酸塩のこの形態が結晶であることを示した。
【0325】
化合物6の形態2のXRPD分析(
図46)は、フマル酸塩のこの形態が結晶であることを示した。
【0326】
化合物6の形態3のXRPD分析(
図49)は、フマル酸塩のこの形態が結晶であることを示した。
【0327】
実施例2:偏光顕微鏡法(PLM)
Moticのカメラ及び画像取り込みソフトウェア(Motic Images Plus 2.0)を搭載したOlympus BX50の偏光顕微鏡を使用して、結晶度(複屈折)の存在を判定した。特に明記されていない限り、全ての画像を20倍の対物レンズを使用して記録した。
【0328】
化合物1の形態1のPLM分析は、プレート様の形態の複屈折粒子を示した。
【0329】
化合物2の形態1のPLM分析は、針/木摺様の形態の複屈折粒子を示した。
【0330】
化合物2の形態2のPLM分析は、プレート様の形態の複屈折粒子を示した。
【0331】
化合物3の形態1のPLM分析は、杆体様の形態の複屈折粒子を示した。
【0332】
化合物6の形態1のPLM分析は、プレート様の形態の複屈折粒子を示した。
【0333】
化合物6の形態2のPLM分析は、プレート様の形態の複屈折粒子を示した。
【0334】
化合物6の形態3のPLM分析は、プレート様の形態の複屈折粒子を示した。
【0335】
実施例3:熱重量分析(TGA)
およそ5mgの物質を計量してオープンアルミニウムパンへと送り、同時の熱重量/示差熱分析器(TG/DTA)へと充填し、室温で保持した。その後、サンプルを、25℃から300℃、又は20℃から300℃まで10℃/分の速度で加熱し、その間に、サンプル重量の変化を任意の示差熱事象(DTA)と共に記録した。窒素を、100又は300mL/分の流量でパージガスとして使用した。
【0336】
化合物1の形態1のTGA(
図2)は、分解の前に最大約140℃で0.1%の非常に小さな質量損失を示した。DTAは、約81.4℃での発症温度を伴う単一の吸熱を示した。
【0337】
化合物2の形態1のTG/DTA(
図10)は、おそらく残留溶媒(水)損失により0.3%の小さな体重減少、その後、分解の前に8.3%の損失を示した。DTAは、約159.4℃での発症を伴う広範囲の吸熱を示した。発症は、実施例4における受け取られたDSCデータに相当した。
【0338】
化合物3の形態1のTGA(
図18)は、1.2%の損失(おそらく残留溶媒/水)、その後に第1の吸熱に関連付けられる8.2%の損失を示した。DTAは、約89.3℃での発症を伴う広範囲の吸熱、及び約171.9℃での発症を伴う更なる吸熱を示した。一水和物に対しては3.2%、HClの損失に対しては6.0%が必要とされる。
【0339】
化合物6の形態1のTG/DTA(
図44)は、128.1℃での発症を伴う急激な吸熱、及び133.4℃でのピークを示した。
【0340】
化合物6の形態2のTG/DTA(
図48)は、8.1%の質量損失に相当する、約75℃での発症を伴う広範囲の熱事象を示した。
【0341】
化合物6の形態3のTG/DTA(
図51)は、6.5%の質量損失に相当する、106℃での発症を伴う広範囲の熱事象を示した。熱事象は約200℃で確認され、完全な質量損失を結果としてもたらす固形物の昇華に相当する。
【0342】
実施例4:示差走査熱量測定法(DSC)
およそ5mgの物質の重量を計りアルミニウムDSCパンへと送り、穴の開いたアルミニウム蓋で非密閉的に封をした。その後、サンプルパンをSeiko DSC6200(冷却器を搭載)に充填して冷却し、25℃で保持した。一旦安定した熱流量反応を得ると、サンプル及び基準を10℃/分の走査速度で、160℃、175℃、200℃、205℃、215℃、又は220℃に加熱し、結果として生じる熱流量反応をモニタリングした。
【0343】
化合物1に関して、1.5のサイクルでサンプルを分析した。窒素を、50mL/分の流量でパージガスとして使用した。化合物1の形態1のDSC分析(
図3)は、80.3℃での発症温度を伴う急激な吸熱を示した。
【0344】
化合物2の形態1のDSC分析(
図11)は、181.6℃の発症温度を伴う急激な吸熱、その後に192.6℃でのピークを示した。これは、DTAによるものよりも高い温度で現われ、且つ異なる調製物によるものであり得る:DSC分析をピンホールを伴う閉じたパン(非密閉)において行い、一方でTG/DTAを開いたパンの環境で実行した。
【0345】
化合物2(形態1)からの材料も140℃に加熱し、冷却した。材料をXRPDによって分析し(
図12)、固形物間の移動に一貫し得るあらゆる形態変化を判定した。材料は変化しないままであると示された。
【0346】
化合物3の形態1のDSC分析(
図19)は、154.3℃での発症を伴う吸熱を示した。受け取られたデータは、168.23℃及び170.69℃の値を示す。DSC分析でのより高い事象は異なる調製物を反映する場合があり、DSC分析をピンホールを伴う閉じたパン(非密閉)において行い、一方でTGAを開いたパンにおいて実行した。
【0347】
化合物6の形態1のDSC分析(
図45)は、126.4℃での発症を伴う吸熱を示した。DSC分析をピンホールを伴う閉じたパン(非密閉)において行い、一方でTGAを開いたパンにおいて実行した。
【0348】
化合物6の形態3のDSC分析(
図52)は、106.9℃での発症を伴う吸熱を示した。DSC分析をピンホールを伴う閉じたパン(非密閉)において行い、一方でTGAを開いたパンにおいて実行した。
【0349】
実施例5:重量測定蒸気吸着(GVS)
およそ10mgのサンプルをメッシュ蒸気吸着天秤皿(mesh vapour sorption balance pan)に入れ、Hiden AnalyticalによるIGASorp Moisture Sorption Analyserバランスに充填した。サンプルを、10%のインクリメントで40-90%の相対湿度(RH)からのランピングプロファイルにさらして、安定した重量が達成される(98%の工程完了)まで各工程にてサンプルを維持した。吸着サイクルの完了後、同じ手順を使用して0%のRHにサンプルを乾燥し、最終的に40%のRHの出発点に戻した。吸着/脱離サイクル中の重量変化をプロットし、判定されるサンプルの吸湿性の性質を可能にした。
【0350】
化合物1の形態1のGVS分析(
図4)は、遊離塩基が90%のRHで<0.07%の重量摂取により非常に非吸湿性であることを示した。XRPDによるGVS後の分析(
図5)は、材料が未変化のままであり、極度の湿度に向かうこの形態の高い安定性を示した。
【0351】
化合物2の形態1のGVS分析(
図13)は、材料が90%のRHで<0.1%の摂取により非常に非吸湿性であることを示した。XRPDによるGVS後の分析(
図14)は、材料が未変化のままであり、極度の湿度に向かうこの形態の高い安定性を示した。
【0352】
化合物3の形態1のGVS分析(
図20)は、材料が90%のRHで1.4%の摂取により僅かに吸湿性であることを示した。0-10%のRHでの大きな工程は、材料が水和され得ることを示唆する。XRPDによるGVS後の分析(
図21)は、材料が未変化のままであることを示した。
【0353】
化合物6の形態1のGVS分析(
図53)は、材料が90%のRHで0.11%の摂取により非吸湿性であることを示した。XRPDによるGVS後の分析(
図55)は、材料が未変化のままであることを示した。
【0354】
化合物6の形態3のGVS分析(
図54)は、材料が90%のRHで0.08%の摂取により非吸湿性であることを示した。XRPDによるGVS後の分析は、軽微な変化、結晶形態がGVS実験中に変化し得ることを示した。形態3に1週間にわたり高湿度でストレスをかけると、化合物6の形態1へと変換した。
【0355】
実施例6:動的蒸気吸着(DV)
およそ10mgのサンプルを、メッシュ蒸気吸着天秤皿に入れ、表面測定システムによってDVS-1の動的蒸気吸着バランスに充填した。サンプルを、10%のインクリメントで40-90%の相対湿度(RH)からのランピングプロファイルにさらして、安定した重量が達成される(99.5%の工程完了)まで各工程にてサンプルを維持した。吸着サイクルの完了後、同じ手順を使用して0%のRHにサンプルを乾燥し、その後第2の吸着サイクルで40%のRHに戻した。吸着/脱離サイクル中の重量変化をプロットし、判定されるサンプルの吸湿性の性質を可能にした。その後、XRPD分析を、任意の保持された固形物上で行った。
【0356】
実施例7:カール・フィッシャー電量滴定(KF)
およそ10-15mgの固体材料を正確に計量してバイアルに移した。その後、Mettler Toledo C30 Compact Titratorの滴定細胞へと固形物を手動で導入した。固形物の添加後にバイアルを計量し、添加した固形物の重量を器機に入力した。一旦サンプルが細胞中で完全に溶解したら、滴定を始めた。水含有量をパーセンテージとして器機により自動的に算出し、データを印刷した。
【0357】
形態3との比較のために実行される、化合物2の形態1のKF分析は、1.4%の水を算出した。一水和物は3.1%を必要とする。最大約0.5%が、細胞へのサンプルの導入による場合がある。この計算値はTG/DTA及びGVS分析から予想されたものよりも高いが、格子結合水(lattice bound water)の示唆は無い。
【0358】
化合物3の形態1のKF分析は3.2%の水を算出した。一水和物は3.1%を必要とする。
【0359】
実施例8:赤外分光法(IR)
赤外分光法をBruker ALPHA P光度計の上で実行した。十分な材料を光度計のプレートの中心上に配して、以下のパラメータを使用してスペクトルを得た:
【0360】
分解:4cm-1
バックグラウンド・スキャン時間:16のスキャン
サンプル・スキャン時間:16のスキャン
データ収集:4000~400cm-1
結果のスペクトル:透過率
【0361】
【0362】
実施例9:1H核磁気共鳴(1H-NMR)
1H-NMR実験をBruker AVA500(周波数:500MHz)上で実行した。重水素化DMSOにおいて実験を行い、各サンプルを約10mMの濃度に調製した。
【0363】
化合物1の
1H-NMRスペクトルを
図7に示す。純度を実施例10に示す。IR分析を実施例8に示す。実施例1-5におけるXRPD、PLM、TG/DTA、DSC、及びGVSによる更なる特徴化は、このサンプルが化合物1の形態1であることを示す。
【0364】
化合物2の
1H-NMRスペクトルを
図15に示す。純度を実施例10に示す。実施例1-5、7、及び11におけるXRPD、PLM、TG/DTA、DSC、GVS、KF、及びICによる更なる特徴化は、このサンプルが化合物2の形態1であることを示す。
【0365】
化合物3の
1H-NMRスペクトルを
図22に示す。純度を実施例10に示す。実施例1-5、7、及び11におけるXRPD、PLM、TG/DTA、DSC、GVS、KF、及びICによる更なる特徴化は、このサンプルが化合物3の形態1であることを示す。
【0366】
化合物6の
1H-NMRスペクトルを
図56に示す。純度を実施例10に示す。実施例1-5におけるXRPD、PLM、TG/DTA、DSC、及びGVSによる更なる特徴化は、このサンプルが化合物6の形態1であることを示す。
【0367】
実施例10:高速液体クロマトグラフィー-紫外線検出(HPLC-UV)
以下のパラメータを使用してHPLC-UVを実行した:
【0368】
器機:UV検出器を有するHPLC-Agilent 1100
カラム:Waters XBridge C18 3.5μm 150×4.6mm
カラム温度:40℃
UV波長:265nm
注入容量:25μL
流速:1.0mL/分
移動相A:水性の10mM pH8.5の酢酸アンモニウム
移動相B:アセトニトリル
【0369】
【0370】
化合物1のHPLC純度は>99.9%であると測定された(
図8を参照)。
【0371】
化合物2のHPLC純度は>99.9%であると測定された(
図16を参照)。
【0372】
化合物3のHPLC純度は99.8%であると測定された(
図23を参照)。
【0373】
化合物6のHPLC純度は>99.9%であると測定された(
図57を参照)。
【0374】
実施例11:イオンクロマトグラフィー(IC)
以下のパラメータを使用してイオンクロマトグラフィーを実行した:
【0375】
カラム:Dionex IonPac AS14A-5μm、3x150mm
ガードカラム:Dionex IonPac AS14A-5μm、3x30mm
移動相:8mMのNa2CO3/1mMのNaHCO3
流速:0.5mL/分
ランタイム:15分
検出器の抑制:50mA、必要とされるような水再生体
カラム温度:30℃
注入容量:25μL
【0376】
化合物2(水:2-プロパノール(20%の溶媒)を使用するサンプル調製物)のIC分析は、0.86モルのHCl:遊離塩基と等しい5.9%w/wのHClを算出した。繰り返しの分析(水:メタノール(50%の溶媒)を使用するサンプル調製物)は、0.95モルのHCl:遊離塩基と等しい6.4%w/wのHClを算出した。メタノール調製物は結果として、調和した結果の改善(各サンプルにつき2つの注入)をもたらした。
【0377】
化合物3の初期のIC分析(水:2-プロパノール(20%の溶媒)を使用するサンプル調製物)は、1.95モルのHCl:遊離塩基と等しい11.2%w/wのHClを算出した。繰り返しの分析水:メタノール(50%の溶媒)を使用するサンプル調製物は、1.94モルのHCl:遊離塩基と等しい11.1%w/wのHClを算出した。
【0378】
実施例12:化合物1に対する溶媒溶解度スクリーン
約100mgの遊離塩基を1.1mLのジクロロメタンに溶解し、真空内で濃縮して透明なガムを産生し、これを静置後に白い静的固形物に変換した。サンプルをXRPDによって分析し、結晶度を確認した。定向性をXRPDによって観察すると、PLM分析も行った。
【0379】
約100mgの遊離塩基を1mLのアセトンに溶解し、真空内で濃縮して透明なガムを産生し、これをスパーテルで引っ掻いた後に白い固形物に変換した。サンプルをXRPDによって分析し、結晶度を確認した。定向性をXRPDによって観察すると、PLM分析も行った。
【0380】
約200mgの遊離塩基を6時間かけて50Hzでボールミル中で粉砕し、結果として生じる固形物は静的であることが分かった。
【0381】
約100mgの遊離塩基を、1mLのアセトン及び1mLのDCMに溶解した。両方の溶液をシリンジ濾過して、任意の「種子」を取り除き、新しいバイアル中で周囲温度で蒸発させた。
【0382】
DCMとアセトンの両方から真空内で濃縮された化合物1は形態1として残ることが分かった。加えて、DCM及びアセトンからの蒸発実験と6時間の粉砕実験の両方が、結晶形態1材料を元に戻すことが分かった。
【0383】
非晶質化合物1を調製する試みが失敗したため、結晶形態1材料を溶媒溶解度スクリーンに使用した。
【0384】
約10mgの結晶性化合物1を32のバイアルに入れ、適切な溶媒系の5容量のアリコートを適切なバイアルに加えた。各添加間で、溶解について混合物を確認し、溶解が明らかでなかった場合、混合物を約40℃に加熱し、再び確認した。溶解が観察されるか、或いは100容量の溶媒が添加されるまで、この手順を継続させた。100容量の添加後、更に100容量を、合計200容量になるように、溶解していないサンプルに加えた。溶解無しに200容量が加えられた場合、溶解度はこの点より下(<5mg/mL)であると算出した。結果を表1に示す。
【0385】
【0386】
結晶性化合物1は、32の溶媒系のうちの29の溶媒系において完全に溶解する(≧5mg/mL)ことが分かった。特に、32の検査された溶媒系のうち19では高い溶解度(>196mg/mL)、32の検査された溶媒系のうち10では中程度の溶解度(>39mg/mL)、及び32の検査された溶媒系のうち3つでは乏しい溶解度(<5mg/mL)であった。アセトン:水(50%)のサンプルは、約30分後に沈殿したことを観察した。2-プロパノールサンプルは、約2日後に沈殿したことを観察した。
【0387】
XRPD分析を全てのサンプルに対して行った。溶解したサンプルは蒸発した。これらXRPD統計分析は、全てのサンプルにおける化合物1の形態1の観察を示した。定向性を示した、ジメチルホルムアミド、エタノール、メタノール、1-ブタノール、2-エトキシエタノール、及びヘプタンからのサンプルを、PLMによって更に分析した。
【0388】
実施例13:化合物1の第1の多形体スクリーニング
以下の実験を24の溶媒(アセトン、50:50アセトン/水、アセトニトリル、アニソール、ジイソプロピルエーテル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、エタノール、酢酸エチル、メタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、N-メチル-2-ピロリドン、2-プロパノール、tert-ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、トルエン、1-ブタノール、2-エトキシエタノール、ベンゾニトリル、クロロベンゼン、ヘプタン、ヘキサン及びtert-アミルアルコール)において行った。
【0389】
A.温度サイクル実験
【0390】
溶解度の近似実験から得た結果を、温度サイクルに関してスラリーを調製するために使用した。スラリーを、48時間の期間にわたり4時間のサイクルで、40℃で温度サイクルさせた(スラリーを4時間かけて40℃で保持し、その後、4時間かけて周囲温度で保持し、4時間の保持期間後の冷却/加熱速度は約1℃/分であった)。温度サイクルの後、サンプルの大部分を冷凍装置に保管して、固形物を得た。
【0391】
B.急速冷却(Crash cooling)実験
【0392】
2℃及び-18℃の環境で、24の選択された溶媒系の各々において、材料の濾過した飽和溶液を入れることによって急速冷却実験を行った。その後、あらゆる固体材料を回収し、分析前に周囲条件で乾燥させた。
【0393】
C.メタノール急速冷却の再調製(-18℃)
【0394】
-18℃のメタノール急速冷却サンプルを再び調製して、初期のサンプルに観察された追加のピークが再生可能であるかどうかを判定した。
【0395】
化合物1のスラリーを200μLのメタノールにおいて調製し、シリンジ濾過して、冷凍装置に保管した。約2時間以内に固形物が形成され、これをXRPDによって分析した。
【0396】
D.逆溶剤添加実験
【0397】
選択された逆溶剤を材料の濾過した飽和溶液に加えることにより周囲温度(約22℃)で、逆溶剤添加実験を行った。逆溶剤を24の選択された溶媒系の各々に加え、50:50溶媒:逆溶剤の混合物を得て、冷蔵庫に保管して沈澱反応を促進させた。脱イオン水を逆溶剤として全てのサンプルに対して使用した。逆溶剤の更なるアリコートを、沈殿しなかったサンプルに加えた。
【0398】
E.蒸発実験
【0399】
24の溶媒系の各々において、濾過した飽和溶液がオープンバイアルにおいて周囲条件で蒸発するのを可能にすることにより、蒸発実験を行った。その後、産生された固形材料を回収し、サンプルを乾燥するまで蒸発させた後に分析した。
【0400】
これら実験からのサンプルをXPRDによって分析した。温度サイクルの結果は、実施例9の溶解度サンプルと一致していた。形態1は、分析に十分な固形物を持つ全ての実験から得られ、このことは単形性の系を示唆している。
【0401】
定向性を示したサンプルをPLMによって分析し、初期の化合物1材料に対して観察されたようにプレート様の形態を示した(実施例2を参照)。
【0402】
実施例14:化合物2に対する溶媒溶解度スクリーン
およそ100mgのHCl塩(形態1、化合物2)を50Hzでボールミルして、15及び30分後にXRPDによって分析し、非晶質材料がどれくらい容易に獲得可能であったかを試験した。15分間のミリング後、HCl塩(100mg)は乏しい結晶であった。しかし、30分間のミリング後、HCl塩は非晶質であることが分かった。
【0403】
およそ500mgのHCl塩(形態1、化合物2)を50Hzでボールミルして、3.5時間まで30分毎にXRPDによって分析した。3時間のミリング後、HCl塩(500mg)は最小の結晶度を示した。しかし、3.5時間後、HCl塩は非晶質であることが分かった。
【0404】
(500mgのバッチからの)およそ10mgの非晶質HCl塩を28のバイアルの各々に入れ、適切な溶媒系の5容量のアリコートを適切なバイアルに加えた。各添加間で、溶解について混合物を確認し、溶解が明らかでなかった場合、混合物を約40℃に加熱し、再び確認した。溶解が観察されるか、或いは100容量の溶媒が添加されるまで、この手順を継続させた。その後、100容量の更なる添加を、溶解していないサンプルに対して行った。200容量の溶媒が溶解無しに加えられた場合、溶解度は、この点より下であると算出された。結果を表2に示す。
【0405】
【0406】
非晶質性化合物2は、28の溶媒系のうちの15の溶媒系において完全に溶解することが分かった(≧5mg/mL)ことが分かった。アセトン:水(50%)のサンプルは、約2時間後に沈殿したことが観察され、溶解は18mg/mLで最初に観察された。ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、及び2-エトキシエタノールのサンプルは、一晩かけて沈殿したことが観察された。
【0407】
溶解したサンプルは蒸発した(DMA、DMF、DMSO、及びNMPの溶媒とは別に)。XRPD分析を、固形物が得られた全ての残りのサンプル上で行った。これらのサンプルのうち、14の溶媒系(アセトン、アニソール、ジクロロメタン、ジイソプロピルエーテル、エタノール、酢酸イソプロピル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、tert-ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、トルエン、2-エトキシルエタノール、2-メチルテトラヒドロフラン、及び-tertアミルアルコール)からの固形物は、以前に観察されていない形態である化合物2の形態2であり、3つの溶媒系(1,4-ジオキサン、酢酸エチル及び2-プロパノール)からの固形物は化合物2の形態1であった。5つの溶媒系(1:1のアセトン:水、1:1のメタノール:水、1:1の2-プロパノール:水、水、及び1-ブタノール)は何れも、固形物又は遊離塩基材料(化合物1)をもたらさなかった。2つの溶媒系(アセトニトリル及びメタノール)は、化合物2の形態1及び2の混合物をもたらした(
図24A-24D)。
【0408】
実施例15:化合物2の第1の多形体スクリーニング
I.反応性結晶化による多形性の探索
8つの溶媒系(アセトン、ジクロロメタン、エタノール、酢酸エチル、メタノール、2-プロパノール、tert-ブチルメチルエーテル、及びテトラヒドロフラン)を、反応性結晶化のために選択した。およそ50mgの遊離塩基を、250μL~1250μLの溶媒に溶解した。適切な溶媒中の貯蔵液(200μL)からの1当量のHClを加えた。酸の添加を撹拌しながら40℃で行い、その後、溶液を冷却した。酸の添加時、tert-ブチルメチルエーテルサンプルは、直接の沈澱反応が観察された唯一のサンプルであった。しかし、沈殿物は再び溶解し、周囲温度への冷却時に再び沈殿した。約20時間かけて周囲温度で撹拌した後、2-プロパノールサンプルには非常に小量の沈殿物があった。その後、50:50の溶媒:逆溶剤混合物をもたらすt-BMEを除く全てのサンプルにヘプタンを加えた。結果として生じるメタノールサンプルはヘプタンと混ざらなかった。沈殿物は、アセトン、酢酸エチル、2-プロパノール、及びTHFのサンプルにおいて観察された。約5日間の冷蔵庫での保管後、DCM/ヘプタン及びエタノール/ヘプタン混合物から沈殿物を得た。
【0409】
サンプルをXRPDにより分析した。アセトン、エタノール、及びtert-ブチルメチルエーテルは、化合物2の形態2をもたらした。ジクロロメタンからの固形物は、化合物2の形態2に対する弱いデータを提供した。酢酸エチル及びテトラヒドロフランは、化合物2の形態1をもたらした。2-プロパノールは形態1及び2の混合物をもたらし、メタノールは固形物をもたらさなかった(
図25)。
【0410】
tert-ブチルメチルエーテルからの形態2のTG/DTAは、材料が形態1と異なり且つ無水形態であることを示した。TGAは、最初から0.3%の緩やかな損失、その後分解の発現を示した。DTAは、約78.8℃での発現を伴う小さな吸熱、約163.7℃での発現を伴う吸熱、及び約199.5℃でのピークを伴う吸熱を示した(
図26)。
【0411】
エタノールからの形態2のDSC分析は、200.4℃での発現温度を伴う吸熱を示した(
図27)。
【0412】
KF分析は、アセトンからの形態2に対して1.6%の水を算出した。この値は熱分析から予測された値よりも高い。存在するあらゆる水が非格子結合でなければならない。
【0413】
tert-ブチルメチルエーテルからの形態2のIC分析(水:メタノール(50%の溶媒)を使用するサンプル調製物)は、0.89モルのHCl:遊離塩基と等しい6.0%w/wのHClを算出した。
【0414】
II.HCl塩の結晶化による多形体スクリーニングに対する非晶質HCl塩の使用
およそ1gのHCl塩(化合物2)を50Hzでボールミルにおいて粉砕し、5時間かけて1時間毎にXRPDによって分析した。HCl塩(1g)は、5時間のミリング後に顕著に非晶質であることが分かり、4~5時間のミリング間に結晶度が僅かに減少したことだけ示された。
【0415】
24の溶媒系をこの多形体スクリーニングに使用した。水及び水混合物は、溶解度評価で観察された解離のために回避された。
【0416】
A.温度サイクル実験
【0417】
溶解度の近似実験から得た結果を、温度サイクルに関してスラリーを調製するために使用した。スラリーを、24時間の期間にわたり4時間のサイクルで、40℃で温度サイクルさせた(スラリーを4時間かけて40℃で保持し、その後、4時間かけて周囲温度で保持し、4時間の保持期間後の冷却/加熱速度は約1℃/分であった)。
【0418】
B.急速冷却実験
【0419】
2℃及び-18℃の環境で、24の選択された溶媒系の各々において、材料の濾過した飽和溶液を入れることによって急速冷却実験を行った。その後、あらゆる固体材料を回収し、分析前に周囲条件で乾燥させた。
【0420】
C.逆溶剤添加実験
【0421】
24の選択された溶媒系の各々において、選択された逆溶剤を材料の濾過した飽和溶液に加えることにより、周囲温度(約22℃)で逆溶剤添加実験を行い、50:50に溶媒:逆溶剤の混合物を得た。これらのサンプルを冷蔵庫に保管して、沈澱反応を促進した。トルエンが使用されるDMSO及びt-BMEサンプルとは別の全てのサンプルに対してt-BMEを逆溶剤として使用した。逆溶剤の更なるアリコートを、沈殿しなかったサンプルに加えた。
【0422】
D.蒸発実験
【0423】
24の溶媒系の各々において、溶媒がオープンバイアルにおいて周囲条件で材料の濾過した飽和溶液から蒸発するのを可能にすることにより、蒸発実験を行った。その後、産生された固形材料を回収し、溶媒を乾燥するまで蒸発させた後に分析した。周囲温度で約17日後、アニソールサンプルを50℃で蒸発させ、固形物を産生した。
【0424】
これら実験からのサンプルをXPRDによって分析した。温度サイクルの結果は、以下とは別の溶解度サンプルと一致していた:
・1,4-ジオキサン、酢酸エチル、及び2-プロパノール:形態1は溶解度サンプルから得られ、形態2は温度サイクルから得られた;
・DIPE及びt-BME:形態2は溶解度スクリーンから得られ、形態1と2の混合物は温度サイクルから得られた;
・アセトニトリル及びメタノール:形態1と2の混合物は溶解度スクリーンから得られ、形態2は温度サイクルから得られた;
・MIBK:形態2は溶解度スクリーンから得られ、非晶質材料は温度サイクルから得られたが、僅かな固形物しか分析することができなかった。
【0425】
形態2を50の異なる実験から得て、プレート又は針状の形態から成ることを見出した。
【0426】
(50℃でのホットプレートからの蒸発を介して得られた)アニソール蒸発からの「形態3」はおそらく分解物であると示され、純度は96.5%であると測定された。小さなサンプル量のために、このサンプルをPLMによって分析しなかった。
【0427】
追加のピークを、MIBK形態2の蒸発から約6.2及び18.1°2θで観察したが、これは異なる形態として割り当てられるのに十分ではなかった。
【0428】
実施例16:化合物2の第2の多形体スクリーン
化合物2の形態2を2つの溶媒においてスケールアップした。材料は7日間の安定性試験及び/又は水溶解度評価を受けた。7日間の安定性試験を以下のように行った。材料を7日間、40℃/75%のRH、周囲光、及び80℃の環境に晒し、結果として生じる固形物をXRPDで分析して何らかの変化が生じたかどうかを判定し、且つHPLCによって分析して純度を判定した。水溶解度評価を以下のように行った。スラリーを脱イオン化水(5.1mgの形態2及び300μLの水)の中で作成し、周囲温度(約22℃)で約24時間振盪させた。初期のpH及び最終のpHを測定した。その後、結果として生じる混合物を遠心分離機により単離し、得られた溶液をHPLCにより分析して、溶解した材料の濃度を算出した。残りの固形物をXRPDにより分析して、スラリー化の際に何らかの変化が生じたかどうかを判定した。
【0429】
A.アセトンからの形態2(化合物2)のスケールアップ
【0430】
およそ300mgの化合物1を1mLのアセトンに溶解した。1当量のHClを、40℃でアセトン(200μL)中の貯蔵液から撹拌しながら加えた。その後、結果として生じる溶液を冷却した。酸の添加の際、サンプルは透明な溶液のままであった。その後、ヘプタンを加え、50:50の溶媒:逆溶剤の混合物を得た。約1時間の撹拌後、(XRPD分析に対して不十分な固形物を伴う)薄いスラリーを形成し、サンプルを約64時間かけて冷蔵庫に保管し、白色のスラリーを得た。固体材料を濾過により単離し、XRPDにより分析した(
図28)。その後、材料を約6時間、真空下で乾燥し、XRPDにより再分析した。得られた収量は127mgであった。
【0431】
XRPD分析は、形態2が成功裡にスケールアップされたが、乾燥後に結晶度が減少したことを示した。PLM分析は、形態2がプレート様の形態の複屈折粒子から成ることを示した。TG/DTAは、材料がt-BME反応性結晶からの形態2と一致し、人工物は約79℃でこれ以上存在しなくなることを示した。TGAは、最初から分解の発現まで0.5%の損失を示した。DTAは、約159.1℃での発症温度を伴う吸熱を示した。DSC分析は197.6℃の発現温度を伴う吸熱を示し;この分析を、不十分な材料のために小さな量の材料で行った。DVS分析は、形態2が90%のRHで<0.12%の全摂取により非吸湿性であることを示す。40%のRHでの最初及び最後の質量の違いは、投入材料に存在する少量の残留溶媒を示し得る。DVS後のXRPD分析は、材料が同じ結晶形態のままであることを示した。1H-NMR分析は、材料が、残留溶媒が観察されない提供された構造に相当することを示した。HPLC純度は99.9%であると測定された。IC分析(水:メタノール(50%の溶媒)を使用するサンプル調製物)は、0.95モルのHCl:遊離塩基と等しい6.3%w/wのHClを算出した。材料は7日間、40℃/75%のRH、周囲光、及び80℃の環境下で同じ形態のままであると示された。HPLC純度は不変であることが分かった:>99.9%の純度(40℃/75%のRH);>99.9%の純度(周囲);99.9%の純度(80℃)。水溶解度は0.5mg/mLであると測定された。形態2は、非晶質材料を使用した溶解度スクリーンにおいて以前に観察されたように、遊離塩基へと分離することが分かった。初期のpHは1.87、及び最終のpHは1.68であると測定された(脱イオン化水のpHは5.91であると測定された)
【0432】
B.アセトンからの形態2(化合物2)のスケールアップ(乾燥の減少)
【0433】
およそ300mgの遊離塩基を0.5mLのアセトンに溶解した。1当量のHClを、40℃でアセトン(200μL)中の貯蔵液から撹拌しながら加えた。その後、結果として生じる溶液を冷却した。酸の添加の際、サンプルは透明な溶液のままであった。その後、ヘプタンを加え、50:50の溶媒:逆溶剤の混合物を得た。約1時間の撹拌後、白色の沈殿物を形成した。サンプルを約3-4日間、冷蔵庫に保管して、白色のスラリーを得た。固体材料は濾過により単離し、約2時間かけて真空下で乾燥し、その後、XRPDにより分析した。得られた収量は90mgであった。
【0434】
XRPD分析は、形態2が成功裡にスケールアップされたが、乾燥の減少により結晶度の改善が達成されたことを示した。GVS分析は、形態2が90%のRHで<0.08%の全摂取により(非常に)非吸湿性であることを示した。40%のRHでの最初及び最後の質量の違いは、投入材料に存在する少量の残留溶媒を示し得る。GVS後のXRPD分析は、材料が同じ結晶形態のままであることを示した。
【0435】
C.エタノールからの形態2(化合物2)のスケールアップ
【0436】
およそ300mgの遊離塩基を4mLのエタノールに溶解した。1当量のHClを、40℃でエタノール(200μL)中の貯蔵液から撹拌しながら加えた。その後、結果として生じる溶液を冷却した。酸の添加の際、サンプルは透明な溶液のままであった。その後、ヘプタンを加え、50:50の溶媒:逆溶剤の混合物を得た。約1時間の撹拌後、さらに2.3mLのヘプタンを加えた。サンプルを約3-4日間、冷蔵庫に保管して、白色のスラリーを得た。固体材料は濾過により単離し、約2時間かけて真空下で乾燥し、その後、XRPDにより分析した。得られた収量は154mgであった。
【0437】
XRPD分析は、形態2が成功裡にスケールアップされたが、乾燥の減少により結晶度の改善が達成されたことを示した。KF分析は0.8%の水を算出した。DSC分析は、200.7℃の発現分解を伴う吸熱を示した。IR分析を行い、基準スペクトルを得た。
【0438】
この第2のスクリーンは、形態2が非水和/溶媒和の非吸湿性のモノ-HCl塩であり、1週間の安定性試験後に固体形態及び化学純度に変化は観察されなかったが、低い水溶解度及び遊離塩基への解離を示した。著しくは、形態1はまた、水中で遊離塩基へと容易に分離する。
【0439】
実施例17:化合物2の多形体安定性研究(競合的なスラリー化)
A.t-BMEの溶解度測定
【0440】
化合物2の形態1の溶解度を、10mgのサンプル上で実施例14に記載されるような溶媒添加法を使用して測定した。t-BMEを1mLのアリコートに加えて最大10mLとし、その後5mL及び10mLのアリコートに加えて最大100mLの総容量とした。
【0441】
t-BMEの形態1の溶解度は<0.1mg/mLであると測定され、そのため、この溶媒は競合的スラリー化に対して選択されなかった。
【0442】
B.競合的スラリー化手順
【0443】
4つの溶媒(アセトン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、及び2-プロパノール)を競合的スラリー化に対して選択した。飽和溶液を選択された溶媒中で形態1から調製し、20mgの50:50の形態1と2の混合物に加えて、スラリーを作成した。スラリーを約48時間、60℃及び周囲温度で振盪させた。その後、固形物を遠心分離濾過により単離し、XRPDにより分析した。
【0444】
60℃及び周囲温度でスラリーから得られた固形物のXRPD分析は全て、形態2のみの存在を示した。これらの結果は、形態2が形態1よりも熱力学的に安定していることを示唆する。60℃でのMEK及びアセトンのサンプルは、オレンジ色/茶色のスラリーを形成したことが観察されたが、単離された固形物は白いままであった。これは、より高温での化学分解を示し得る。
【0445】
実施例19:化合物1に対する焦点塩スクリーン
A.第1の塩スクリーン:40℃での対イオン添加
合計42の実験を、6つの異なる溶媒(アセトン、アセトニトリル、酢酸エチル、2-プロパノール、tert-ブチルメチルエーテル、又はTHF)において7つの対イオン(フマル酸、クエン酸、L-酒石酸、馬尿酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸。又はHCl)を使用して設定した。HClを陽性対照実験に使用した。約25mgの化合物1(遊離塩基)を計量して2mLのガラスバイアルに移し、その後、40℃で適切な溶媒(500μL)において溶解させた。1当量の対イオンを別個に計量し、40℃で割り付けられた溶媒において溶解し、0.5Mの溶液を得た。対イオンが溶解しなかったバイアルにおいて、更に200μLの脱イオン化を加えて、対イオンを可溶化した。溶解が可能でなかった幾つかの場合、酸のスラリーを加えた。対イオンが液体(例えばメタンスルホン酸)であった場合、これをニート溶液として加えた。対イオン添加後、バイアルを40℃で1時間振盪させた。結果として生じる固形物をXRPDによって分析した。十分な固形物が入手可能な場合、1H NMR及びTGAの分析も行った。
【0446】
未だに溶液中にあるサンプルを、バイアルキャップに穴を通すことにより周囲温度で蒸発させた。固形物をXRPDにより分析し、十分な材料が得られた場合、新たな結晶形態も1H NMR及びTGAにより分析した。
【0447】
未だに溶液にあるサンプルを5℃で冷蔵庫に保管し、固形物形成を促進させた。固形物をXRPDにより分析した。
【0448】
冷蔵後に固体材料を産生しなかったサンプルを逆溶剤添加にさらした。沈殿物を遠心分離により単離し、XRPDにより分析した。
【0449】
B.ベンゼンスルホン酸塩(化合物4):形態1及び2
アセトン、アセトニトリル、2-プロパノール、及びtert-ブチルメチルエーテル中での対イオン実験に関して、周囲条件でバイアルを一晩保管することにより沈澱反応を生じさせた。5℃で5日間の冷却後、沈澱反応をEtOAc及びTHFに観察した。XRPD分析は2つのベンゼンスルホン酸塩形態を同定した。形態1(
図30)を、アセトン、アセトニトリル、酢酸エチル、2-プロパノール、及びTHFから得た。形態2(
図31)をtert-ブチルメチルエーテルから得た。XRPDパターンの比較は、異なる結晶形態の明らかな証拠を提供した(
図32)。
【0450】
次に1H NMR分析を行い、塩形成を確認し、塩の化学量論をチェックした。各バイアル中で形成された少量のベンゼンスルホン酸塩の形態1のために、アセトン及びアセトニトリルの結晶ヒット(crystalline hit)からの固形物を、1H NMR分光法のために組み合わせた。1H NMRスペクトルは、API及び対イオンの両方が存在するが、様々な余分なピークも存在することを示した。より清潔なスペクトルを得る試みにおいて、2-プロパノール及びTHFからのサンプルを組み合わせ、第2の1H NMRスペクトルを記録した。同じ余分なピークを検出し、これはおそらく分解産物に相当する。ベンゼンスルホン酸塩の形態2のNMRスペクトルは、材料がベンゼンスルホン酸塩に相当し、不純物が存在しないことを示した。形態1及び2の両方に対するスペクトルは、ピークにおける有意なシフト及び広がりを示し、塩形成を確認した。
【0451】
ベンゼンスルホン酸塩の形態1に対する熱分析を実行可能な実験から回収された十分なサンプルが存在しない一方、TG/DTA実験を、tert-ブチルメチルエーテルから得られたベンゼンスルホン酸塩の形態2に対して実行した(
図33)。材料は無水であり、分解前に質量損失はなかった。急激な吸熱事象が、約161.9℃での発現及び約162.8℃でのピークと共に観察された。これは、恐らく塩の分解が原因である広範囲の発熱に追従する。
【0452】
C.メタンスルホン酸塩(化合物5):形態1
ニートメタンスルホン酸溶液を、全ての溶媒中で遊離塩基に加えた。tert-ブチルメチルエーテルにおいて、遊離塩基への対イオン添加の15分後に沈澱反応を生じさせた。更なる固形物を一晩かけて酢酸エチルから、及び5℃で5日間の冷却後にTHFから得た。アセトン、アセトニトリル、及び2-プロパノールの水逆溶剤添加は、固形物形成に通じた。XRPD分析は1つのメタンスルホン酸の塩形態を同定した(
図34及び35)。
【0453】
次に1H NMR分析を行い、塩形成を確認し、塩の化学量論をチェックした。スペクトルは、API及び対イオン両方の存在、ピークにおける有意なシフト及び広がりを示し、塩形成の明らかな証拠を提供する。
【0454】
TG/DTA実験も、固形物の性質を探求するためにtert-ブチルメチルエーテルから得られたメタンスルホン酸塩上で行った。化合物の融点の前に0.4%の残留溶媒の損失があった。形跡はベンゼンスルホン酸塩に対して得られたものと同様であるが、メタンスルホン酸塩に対する融点は前者よりも大幅に高かった。急激な吸熱事象が、約180.2℃での発現及び約181.5℃でのピークと共に観察された。これは、恐らく塩の分解が原因である広範囲の発熱に追従する。
【0455】
D.フマル酸塩(化合物6):形態1
フマル酸は全ての試験された溶媒において低溶解度を有しており、そのため、0.5Mの溶液を調製することはできなかった。更に200μLの水をバイアルに加え、対イオン溶解を補助した。アセトン、アセトニトリル、酢酸エチル、及び2-プロパノール中のサンプルは溶解せず、そのためスラリーとして加えられた。サンプルを全ての溶媒における遊離塩基に加えた。tert-ブチルメチルエーテルにおいて、遊離塩基への対イオン添加の15分後に沈澱反応を生じさせた。更なる固形物を一晩かけてEtOAcから、及び5℃で5日間の冷却後にTHFから得た。アセトン、アセトニトリル、及び2-プロパノールの水逆溶剤添加は、固形物形成に通じた。
【0456】
アセトニトリルとは別の全ての溶媒から得られたサンプルは、高い程度の定向性で、遊離塩基のものに相当するXRPDパターンを与えた。一晩、アセトニトリル中のサンプルは蒸発乾固し、結果として生じる固形物のXRPDは潜在的に新たな形態を示した(
図36及び37)。新たな固形物が分解によるものではなかったことを除外するために、アセトニトリルにおけるスケールアップ実験を、50mgの遊離塩基を使用して行った。結果として生じる固形物は、新たな形態を確認したXRPDを特徴とする。
【0457】
1H NMR分析は塩形成を確認し、塩の化学量論を解明した。スペクトルは、API及び対イオンの両方が存在したことを示した。API:フマル酸の比率は1対0.91であった。スペクトルは、ピークにおける有意なシフトを示し、塩形成の明らかな証拠を提供した。
【0458】
TG/DTA実験は、化合物の融点の前に溶媒の損失がなかったことを示した。DTAの形跡では、遊離塩基に相当する、80.1℃での発現(82.9℃でのピーク)を伴う非常に小さな吸熱が存在した。第2の急激な吸熱事象が、約133.2℃での発現及び約140.2℃でのピークと共に観察された。
【0459】
E.クエン酸
クエン酸は全ての試験された溶媒において低溶解度を有しており、そのため、0.5Mの溶液を調製することはできなかった。更に200μLの水をバイアルに加え、完全な対イオン溶解を得た。tert-ブチルメチルエーテルにおいて、遊離塩基への対イオン添加後の緩やかな蒸発の3日後に沈澱反応を生じさせた。更なる固形物を、5℃で5日間の冷却後にアセトン及び2-プロパノールから、及び、緩やかな蒸発の更に2日後にアセトニトリル及び酢酸エチルから得た。THFへの水逆溶剤添加は固形物をもたらさなかった。固形物の大多数が単結晶として結晶化した。グラウンド結晶(ground crystal)のXRPD分析後、結果として生じる物質は、純粋な遊離塩基に相当するパターンを表示したことが明らかになった。
【0460】
F.L-酒石酸
L-酒石酸は全ての試験された溶媒において低溶解度を有しており、そのため、0.5Mの溶液を調製することはできなかった。更に200μLの水をバイアルに加え、完全な対イオン溶解を得た。tert-ブチルメチルエーテルにおいて、遊離塩基への対イオン添加後の緩やかな蒸発の3日後に沈澱反応を生じさせた。更なる固形物を、5℃で5日間の冷却後2-プロパノールから、及び、緩やかな蒸発の更に2日後にアセトン及びアセトニトリル及びから得た。酢酸エチル及びTHFへの水逆溶剤添加は、どちらの場合においても固形物をもたらした。固形物の大多数が単結晶として結晶化した。XRPD分析後、結果として生じる物質が、遊離塩基、又は遊離塩基及び対イオンの混合物のいずれかに相当するパターンを表示したことが明らかになった。
【0461】
G.馬尿酸
馬尿酸は全ての試験された溶媒において低溶解度を有しており、そのため、0.5Mの溶液を調製することはできなかった。更に200μLの水をバイアルに加え、完全な対イオン溶解を得た。アセトン、アセトニトリル、酢酸エチル、及び2-プロパノール中のサンプルは溶解せず、そのためスラリーとして加えられた。アセトニトリル、2-プロパノール、及びtert-ブチルメチルエーテルにおいて、固形物を、遊離塩基の対イオン添加後に一晩沈殿させた。更なる固形物を、緩やかな蒸発の3日後にアセトン、酢酸エチル、及びTHFから得た。XRPD分析後、結果として生じる物質が、遊離塩基、対イオン、又は遊離塩基及び対イオンの混合物のいずれかに相当するパターンを表示したことが明らかになった。
【0462】
H.第2の塩スクリーン:
第1のスクリーンの後、以下の2つの塩をスケールアップした:メタンスルホン酸塩(又はメシル酸塩)の塩(化合物5)及びフマル酸塩(化合物6)。
【0463】
メシル酸塩(化合物5)
300mgの化合物1を計量して、20mLのガラスシンチレーションバイアルに移した。固形物を、40℃でtert-ブチルメチルエーテル(6.0mL)に完全に溶解させた。1.0当量のニートメタンスルホン酸(38.4μL)を遊離塩基溶液に加えた。沈澱反応が添加から数分以内に観察された。混合物を40℃で1時間撹拌し、その後室温に冷却した。結果として生じる固形物を遠心分離により単離し(作物1)、バイアルに残るスラリーを残して徐々に蒸発させた。これにより、より多くの固形物(作物2)を得た。両方の作物を3時間、デシケーター中で乾燥させ、XRPD及びHPLCにより別個に分析した。XRPD分析に従い、作物1及び2は共に同じ形態に相当し、同様のレベルの結晶度を備えていた。更に、XRPD分析は、第2のスクリーンから得られたメシル酸塩が第1のスクリーンにおいて得られた形態に相当することを確認した。組み合わせた作物の収率は85.3%であった。作物1を塩の完全な特徴化に使用した。
【0464】
メシル酸塩のXRPDパターンは新たな形態を確認した(
図38)。
【0465】
1H NMR分析を行い、塩形成を確認し、塩の化学量論をチェックした。スペクトルは、API及び対イオン両方の存在、ピークにおける有意なシフト及び広がりを示し、塩形成の明らかな証拠を提供する(
図39)。
【0466】
HPLC分析は、作物1が99.97%の純度を備えることを示した。純度レベルは、40°C/75%のRHへの7日間の曝露後に99.98%であり;80℃への7日間の曝露後で99.97%、及び周囲条件での7日間の曝露後で99.95%が観察され、変化は有意であると考えられなかった。作物2の純度は99.96%であった。
【0467】
作物1のTG/DTAは溶解前に0.3%の重量損失を示した。178.6℃での発現及び181.3でのピークを伴う単一の急激な吸熱、その後、サンプル分解に相当した発熱が存在した(
図40)。
【0468】
塩のDSC研究はTGAと一致し、179.0℃での発現(181.8℃でのピーク)を伴う急激な吸熱の存在を確かにした。加えて、遊離塩基の溶解に相当する、77.0℃での発現(79.4℃でのピーク)を伴う小さな吸熱があった(
図41)。
【0469】
GVS研究は、相対湿度を伴う質量の緩やかな増加により材料が中程度に吸湿性であったことを示す。重量摂取は、2.8%~最大70%の湿度、及び3.5%~最大90%の湿度であり、吸着と脱離サイクルとの間にヒステリシスはなかった。GVS後の材料のXRPD分析は、サンプルがその形態及び結晶度を維持したことを示した。
【0470】
フマル酸塩(化合物6)、形態1
300mgの化合物1を計量して、20mLのガラスシンチレーションバイアルに移した。固形物を、40℃でMeCN(1.5mL)に完全に溶解させた。1.05当量のフマル酸(72.06mg)を計量して異なるバイアルに入れ、固形物を40℃でEtOH(2.4mL)に完全に溶解させた。フマル酸溶液を遊離塩基溶液に加え、混合物を40℃で1時間撹拌した。混合物を室温に冷却し、溶液を2日間の緩やかな蒸発にさらした。後で、バイアルを更に3日間、5℃で保管し、沈澱反応を補助した。結果として生じる固形物を遠心分離により単離し(作物1)、結果として生じる母液を残して徐々に蒸発させた。これにより、より多くの固形物(作物2)を得た。両方の作物を3時間、デシケーター中で乾燥させ、XRPD及びHPLCにより分析した。
【0471】
作物1を塩の完全な特徴化に使用した。同じ形態を、同様のレベルの結晶度を持つ両方の作物から得た。
【0472】
フマル酸塩のXRPDパターンは新たな形態を確認した(
図42)。
【0473】
HPLC分析は、フマル酸塩の作物1が>99.9%の純度を備えることを示した。純度は、40℃/75%mpRH、80℃、及び周囲条件への7日間の曝露後に99.9%にとどまった。変化は有意であると考えられない。
【0474】
1H NMRスペクトルは、材料がフマル酸塩に相当することを示した(
図43)。
【0475】
フマル酸塩の作物1のTG/DTAは溶解前に重量損失を示さなかった。128.1℃での発現及び133.4℃でのピークを伴う単一の急激な吸熱がある。遊離塩基に相当する吸熱はスケールアップ材料上では見られなかった(
図44)。
【0476】
塩のDSC研究はTGAと一致し、126.4℃での発現132.1℃でのピークを伴う急激な吸熱の存在を確かにした(
図45)。
【0477】
GVS研究は、50%の相対湿度より上で質量の非常に僅かな増加により材料が非吸湿性であることを示す。重量摂取は、0.11%~最大90%の湿度である。GVS後の材料のXRPD分析は、サンプルがその形態及び結晶度を維持することを示した。
【0478】
フマル酸塩(化合物6)多形体スクリーン、形態2及び3
化合物6の多形体スクリーンにおいて、2つの更なる化合物6の結晶形態を識別した。化合物6(形態2)を95/5のアセトン/水のスラリーから単離し、化合物6(形態3)を80/20のジオキサン/水の混合物から単離した。化合物6の形態1は、3つの化合物6のうち熱力学的に最も安定した形態であった。