(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022084783
(43)【公開日】2022-06-07
(54)【発明の名称】RFサーキュレータ
(51)【国際特許分類】
H01P 1/383 20060101AFI20220531BHJP
H01P 1/36 20060101ALI20220531BHJP
C03C 3/091 20060101ALI20220531BHJP
C03C 3/093 20060101ALI20220531BHJP
C03C 3/102 20060101ALI20220531BHJP
C03C 3/105 20060101ALI20220531BHJP
C03C 3/108 20060101ALI20220531BHJP
【FI】
H01P1/383 A
H01P1/36 A
C03C3/091
C03C3/093
C03C3/102
C03C3/105
C03C3/108
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022043710
(22)【出願日】2022-03-18
(62)【分割の表示】P 2019556333の分割
【原出願日】2018-04-26
(31)【優先権主張番号】62/491,918
(32)【優先日】2017-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516218823
【氏名又は名称】スリーディー グラス ソリューションズ,インク
【氏名又は名称原語表記】3D GLASS SOLUTIONS,INC
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【弁理士】
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【弁理士】
【氏名又は名称】園元 修一
(72)【発明者】
【氏名】バリントン ジェフ
(72)【発明者】
【氏名】フレミング ジェブ エイチ.
(57)【要約】 (修正有)
【課題】高周波特性を向上した、サーキュレータ/アイソレータデバイスを提供する。
【解決手段】サーキュレータ/アイソレータは、シリカ、酸化リチウム、酸化アルミニウム及び酸化セリウムを含む、単一の感光性ガラスセラミック複合基板と、基板内の開口内に形成される鉄芯で構成する。導電コイルは、基板内又は基板上に形成され、かつ、入力、出力及び負荷に電気的に接続される。入力、出力及び負荷は、1又は2以上のインダクタ及び1又は2以上のコンデンサを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリカ、酸化リチウム、酸化アルミニウム、及び酸化セリウムを含む、単一の感光性ガラスセラミック複合基板;
1又は2以上のインダクタ及び1又は2以上のコンデンサを含む入力、1又は2以上のインダクタ及び1又は2以上のコンデンサを含む出力、並びに1又は2以上のインダクタ及び1又は2以上のコンデンサを含む負荷;
前記基板内、又は前記基板上に形成され、かつ前記入力、前記出力、及び前記負荷に電気的に接続される、1又は2以上の導電コイル;及び
前記基板内の開口内に形成される、鉄芯;
を含む、サーキュレータ/アイソレータデバイスであって、
前記入力、前記出力及び前記負荷が電気的に接続され、
前記鉄芯が、前記基板内のサーキュレータ/アイソレータを作出するように配置及び成形され、
前記入力及び前記出力が、1又は2以上のデバイスに接続されるように構成される、前記サーキュレータ/アイソレータデバイス。
【請求項2】
環境からデバイスを保護するために、前記デバイス上にパッシベーション又はコーティングをさらに含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
鉄芯が、溶融又は焼結された鉄粒子、鉄マイクロ粒子、又は鉄ナノ粒子を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
1又は2以上の導電コイルが銅を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
サーキュレータ/アイソレータデバイスが、シグナル入力対シグナル出力の50%、40%、30%、25%、20%、15%、又は10%未満の損失を有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
基板が、60~76重量%のシリカ;K2OとNa2Oとの組合せが6~16重量%となる少なくとも3重量%のK2O;0.003~1重量%の、Ag2O及びAu2Oからなる群から選択される少なくとも1つの酸化物;0.003~2重量%のCu2O;B2O3とAl2O3との組合せが13重量%を超えない、0.75~7重量%のB2O3及び6~7重量%のAl2O3;8~15重量%のLi2O;並びに0.001~0.1重量%のCeO2の組成物を含むか;
あるいは基板が、35~76重量%のシリカ;3~16重量%のK2O;0.003~1重量%のAg2O;0.75~13重量%のB2O3;8~15重量%のLi2O;及び0.001~0.1重量%のCeO2の組成物を含むか;
あるいは基板が、少なくとも0.3重量%のSb2O3又はAs2O3;又は0.003~1重量%のAu2O;又は1~18重量%の、CaO、ZnO、PbO、MgO、及びBaOからなる群から選択される酸化物、のうちの少なくとも1つを含み、かつ、
暴露された部分と暴露されていない部分の異方性エッチング比が、10~20:1、21~29:1、30~45:1、20~40:1、41~45:1、及び30~50:1のうちの少なくとも1つであってもよい、
請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
シリカ、酸化リチウム、酸化アルミニウム、及び酸化セリウムを含む感光性ガラスセラミック基板を提供するステップと、
前記基板上又は前記基板内に1又は2以上の導電コイルを形成するステップと、
1又は2以上のインダクタ及び1又は2以上のコンデンサを含む入力、1又は2以上のインダクタ及び1又は2以上のコンデンサを含む出力、並びに1又は2以上のインダクタ及び1又は2以上のコンデンサを含む負荷を形成するステップであって、前記入力、前記出力及び前記負荷が電気的に接続される、前記形成するステップと、
前記入力及び前記出力を前記1又は2以上の導電コイルに電気的に接続するステップと、
前記基板内に開口をエッチングするステップと、
前記開口内に鉄粒子を堆積させるステップと、
前記1又は2以上の導電コイルの形成後に、前記鉄粒子を溶融又は焼結させて、前記基板内の鉄芯にするステップであって、前記鉄芯が、前記基板内のサーキュレータ/アイソレータを作出するように配置及び成形される、ステップと、
前記入力及び出力にコネクタを形成するステップであって、前記コネクタが1又は2以上のデバイスに接続されるように構成されるステップと
を具備する、サーキュレータ/アイソレータデバイスを作製するための方法。
【請求項8】
環境からサーキュレータ/アイソレータデバイスを保護するために、前記サーキュレータ/アイソレータデバイス上にパッシベーション又はコーティングを形成するステップをさらに具備する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
方法が、
1又は2以上の導電コイルを形成するステップの後に、希ガスの存在下で鉄芯を形成するステップをさらに具備する、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
1又は2以上の導電コイルが銅を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
サーキュレータ/アイソレータデバイスが、シグナル入力対シグナル出力の50%、40%、30%、25%、20%、15%、又は10%未満の損失を有する、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
基板が、60~76重量%のシリカ;K2OとNa2Oとの組合せが6~16重量%となる少なくとも3重量%のK2O;0.003~1重量%の、Ag2O及びAu2Oからなる群から選択される少なくとも1つの酸化物;0.003~2重量%のCu2O;B2O3とAl2O3との組合せが13重量%を超えない、0.75~7重量%のB2O3及び6~7重量%のAl2O3;8~15重量%のLi2O;並びに0.001~0.1重量%のCeO2の組成物を含むか;あるいは基板が、35~76重量%のシリカ;3~16重量%のK2O;0.003~1重量%のAg2O;0.75~13重量%のB2O3;8~15重量%のLi2O;及び0.001~0.1重量%のCeO2の組成物を含むか;あるいは基板が、少なくとも0.3重量%のSb2O3又はAs2O3;又は0.003~1重量%のAu2O;又は1~18重量%の、CaO、ZnO、PbO、MgO、及びBaOからなる群から選択される酸化物;のうちの少なくとも1つを含み、かつ、
暴露された部分と暴露されていない部分の異方性エッチング比が、10~20:1、21~29:1、30~45:1、20~40:1、41~45:1、及び30~50:1のうちの少なくとも1つであってもよい、請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
なし。
【0002】
連邦政府資金による研究についての言明
なし。
【0003】
本発明は一般に、RFサーキュレータの分野に関し、より詳細には、新規な最適化された高周波RFサーキュレータに関する。
【背景技術】
【0004】
本発明の範囲を限定することなく、その背景技術について、RFサーキュレータに関連して説明する。
【0005】
Yap, et al.に付与された、「Tunablephotonic RF circulator for simultaneous transmit and receive」という名称の米国特許第9,250,452号明細書は、同時送受
信デバイスにおける受信RFシグナルと送信RFシグナルとの間の40dbよりも大きな分離を提供する、フォトニックRFサーキュレータを教示するものと言われている。このフォトニックRFサーキュレータは、光導波路格子内での光変調を使用するものと言われており、この場合、受信RFシグナルが、光と共伝播し(co-propagate)、送信RFシグナルが、光と逆方向に伝播する(counter-propagate)。加えてそれは、T/R分離の帯
域幅を広げ、さまざまなノイズ源の除去を可能にする変形形態についても説明するものと言われている。
【0006】
Chuiに付与された、「Ferro magnetic metal-insulator multilayer radio frequency circulator」という名称の米国特許第7,362,195号明細書は、無線周波シグナルを外部のバイアス磁界なしで誘導する、方向性RFサーキュレータ(directional RF circulator)を教示するものと言われている。この方向性RFサーキュレータは、強磁性材
料の層及び絶縁材料の層を含み、それらが積層ナノ構造を形成する。強磁性材料の層及び絶縁材料の層は、無線周波シグナルの波長よりも小さな、かつ材料中のシグナルの表皮深さよりも小さな厚さを有するものが選択される。強磁性材料及び絶縁体は、シグナルの動作周波数付近の共振周波数を有する共振空洞を形成し、複数のコネクタを積層強磁性材料の周縁部周りに位置付け、このデバイスの入力ポート及び出力ポートを提供することができる。このRFサーキュレータは、半導体薄膜処理と適合するとも言われており、モノリシック集積回路上に集積され得る。方向性RFサーキュレータを形成する方法も開示されるものと言われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第9,250,452号明細書
【特許文献2】米国特許第7,362,195号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のサーキュレータ/アイソレータデバイスは、一般に電子、マイクロ波、及び無線周波用の、ガラスセラミック基板内のデバイス及びアレイのために使用することができる。一実施形態では、本発明は、1又は2以上の導電コイルを含む基板であって、1又は
2以上の導電コイルが、基板内、基板上、又は基板の周りに形成される、基板と、基板内の、鉄芯を含む開口であって、鉄芯が、1又は2以上の導電コイルの形成後に基板内に形成され、鉄芯が、基板内のサーキュレータ/アイソレータを作出するように配置及び成形される、開口と、サーキュレータ/アイソレータに接続された、1又は2以上のコネクタ、ビア、抵抗器、コンデンサ、又は他のデバイス集積回路とを含むサーキュレータ/アイソレータデバイスを含む。一態様では、デバイスが、環境からデバイスを保護するために、デバイス上にパッシベーション又はコーティングをさらに含む。別の態様では、1又は2以上の導電コイルの形成後に、鉄芯がインサイチュで形成される。別の態様では、導電コイルが銅を含む。別の態様では、サーキュレータ/アイソレータデバイスが、既存のサーキュレータ/アイソレータデバイスに比べて低減されたシグナル損失を有する。別の態様では、サーキュレータ/アイソレータデバイスが、シグナル入力対シグナル出力の50%、40%、30%、25%、20%、15%、又は10%未満の損失を有する。別の態様では、鉄芯が、溶融又は焼結された鉄粒子、鉄マイクロ粒子、又は鉄ナノ粒子を含む。別の態様では、サーキュレータ/アイソレータデバイスの幾何形状が、実質的に円形である。別の態様では、基板がガラスである。別の態様では、基板が、60~76重量%のシリカ、K2OとNa2Oとの組合せが6重量%~16重量%となる少なくとも3重量%のK2O、0.003~1重量%の、Ag2O及びAu2Oからなる群から選択される少なくとも1つの酸化物、0.003~2重量%のCu2O、B2O3とAl2O3との組合せが13重量%を超えない、0.75重量%~7重量%のB2O3及び6~7重量%のAl2O3、8~15重量%のLi2O、並びに0.001~0.1重量%のCeO2からなる組成物を含むガラス基板である。別の態様では、基板が、35~76重量%のシリカ、3~16重量%のK2O、0.003~1重量%のAg2O、0.75~13重量%のB2O3、8~15重量%のLi2O、及び0.001~0.1重量%のCeO2からなる組成物を含むガラス基板である。別の態様では、基板が、少なくとも0.3重量%のSb2O3又はAs2O3を含むフォトデファイナブル(photo-definable)ガラス基板、
0.003~1重量%のAu2Oを含むフォトデファイナブルガラス基板、1~18重量%の、CaO、ZnO、PbO、MgO、及びBaOからなる群から選択される酸化物を含むフォトデファイナブルガラス基板、のうちの少なくとも1つであり、暴露された部分と前記暴露されていない部分の、10~20:1、21~29:1、30~45:1、20~40:1、41~45:1、及び30~50:1のうちの少なくとも1つである異方性エッチング比を有していてもよい。別の態様では、基板が、少なくともシリカ、酸化リチウム、酸化アルミニウム、及び酸化セリウムを含む、感光性ガラスセラミック複合基板である。
【0009】
別の実施形態では、本発明は、基板上に1又は2以上の導電コイルを形成するステップであって、1又は2以上の導電コイルが、基板内、基板上、又は基板の周りに形成される、ステップと、基板内に開口をエッチングするステップと、開口内に鉄粒子を堆積させるステップと、鉄粒子を溶融又は焼結させて、鉄芯にするステップであって、鉄芯が、1又は2以上の導電コイルの形成後に基板内に形成され、鉄芯が、基板内のサーキュレータ/アイソレータを作出するように配置及び成形される、ステップと、サーキュレータ/アイソレータの導電コイルを、サーキュレータ/アイソレータデバイスに接続された、1又は2以上のコネクタ、ビア、抵抗器、コンデンサ、又は他のデバイス集積回路に接続するステップとを具備する、サーキュレータ/アイソレータデバイスを作製するための方法も含む。一態様では、方法は、環境からサーキュレータ/アイソレータデバイスを保護するために、サーキュレータ/アイソレータデバイス上にパッシベーション又はコーティングを、コーティングし、又は堆積させるステップをさらに具備する。別の態様では、方法は、1又は2以上の導電コイルを形成するステップの後に、鉄芯をインサイチュで形成するステップをさらに具備する。別の態様では、方法は、1又は2以上の導電コイルを希ガスの存在下で形成するステップの後に、鉄芯をインサイチュで形成するステップをさらに具備する。別の態様では、導電コイルが銅を含む。別の態様では、サーキュレータ/アイソレ
ータデバイスが、既存のサーキュレータ/アイソレータデバイスに比べて低減されたシグナル損失を有する。別の態様では、サーキュレータ/アイソレータデバイスが、シグナル入力対シグナル出力の50%、40%、30%、25%、20%、15%、又は10%未満の損失を有する。別の態様では、鉄芯が、溶融又は焼結された鉄粒子、鉄マイクロ粒子、又は鉄ナノ粒子を含む。別の態様では、サーキュレータ/アイソレータデバイスの幾何形状が、実質的に円形である。別の態様では、基板が、60~76重量%のシリカ、K2OとNa2Oとの組合せが6重量%~16重量%となる少なくとも3重量%のK2O、0.003~1重量%の、Ag2O及びAu2Oからなる群から選択される少なくとも1つの酸化物、0.003~2重量%のCu2O、B2O3とAl2O3との組合せが13重量%を超えない、0.75重量%~7重量%のB2O3及び6~7重量%のAl2O3、8~15重量%のLi2O、並びに0.001~0.1重量%のCeO2からなる組成物を含むガラス基板である。別の態様では、基板が、35~76重量%のシリカ、3~16重量%のK2O、0.003~1重量%のAg2O、0.75~13重量%のB2O3、8~15重量%のLi2O、及び0.001~0.1重量%のCeO2からなる組成物を含むガラス基板である。別の態様では、基板が、少なくとも0.3重量%のSb2O3又はAs2O3を含むフォトデファイナブルガラス基板、0.003~1重量%のAu2Oを含むフォトデファイナブルガラス基板、1~18重量%の、CaO、ZnO、PbO、MgO、及びBaOからなる群から選択される酸化物を含むフォトデファイナブルガラス基板、のうちの少なくとも1つであり、暴露された部分と前記暴露されていない部分の異方性エッチング比が、10~20:1、21~29:1、30~45:1、20~40:1、41~45:1、及び30~50:1のうちの少なくとも1つであってもよい。別の態様では、基板が、少なくともシリカ、酸化リチウム、酸化アルミニウム、及び酸化セリウムを含む、感光性ガラスセラミック複合基板である。
【0010】
別の実施形態では、基板上に1又は2以上の導電コイルを形成するステップであって、1又は2以上の導電コイルが、基板内、基板上、又は基板の周りに形成される、ステップと、基板内に開口をエッチングするステップと、開口内に鉄粒子を堆積させるステップと、鉄粒子を溶融又は焼結させて、鉄芯にするステップであって、鉄芯が、1又は2以上の導電コイルの形成後に基板内に形成され、鉄芯が、基板内のサーキュレータ/アイソレータを作出するように配置及び成形される、ステップと、サーキュレータ/アイソレータの導電コイルを、例えば増幅器、アンテナ、抵抗器、コンデンサなどに接続するステップとを具備する方法によって、RFサーキュレータ/アイソレータデバイスが作製される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明の特徴及び利点のより完全な理解を得るために、ここで、本発明の詳細な説明を、添付の図とともに参照されたい。
【
図1】本発明のRFサーキュレータ/アイソレータデバイスを示す図である。
【
図2】本発明のRFサーキュレータ/アイソレータデバイスによる結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のさまざまな実施形態の作製及び使用について、下で詳細に論じるが、本発明は、多種多様な特定の文脈において具現化することのできる、応用可能な多くの発明概念を提供する、ということを理解されたい。本明細書において論じる特定の実施形態は、本発明を作製及び使用する特定の方途の例示にすぎず、本発明の範囲を定めるものではない。
【0013】
本発明の理解を容易にするために、いくつかの用語を下に定義する。本明細書において定義する用語は、本発明に関連するエリアの当業者によって一般に理解される意味を有する。「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」などの用語は、単数の実体のみを指すことが意図されているのではなく、そのうちの特定の例が例示に使用されて
よい一般的集合を含む。本明細書における術語は、本発明の特定の実施形態を説明するために使用されるが、それらの使用は、特許請求の範囲において概説される場合を除き、本発明を限定するものではない。
【0014】
本発明のサーキュレータ/アイソレータデバイスは、一般に電子、マイクロ波、及び無線周波用の、ガラスセラミック基板内のデバイス及びアレイのために使用することができる。本発明は、コスト効率の良いガラスセラミック誘導性単独デバイス又はアレイデバイスを提供する。ここで、ガラスセラミック基板は、個別に又は同時に、垂直面と水平面の両方の処理を通じてそのような構造を形成して、多種多様な電気通信プラットフォーム及び他のプラットフォームにおいて使用することのできるサーキュレータ/アイソレータデバイスを形成することのできる能力を実証している。この新規なサーキュレータ/アイソレータガラスセラミックデバイスは、他のデバイスに追加するためのスタンドアロンデバイスとして作製することができ、基板内に直接構築し、次いで、ビア、ワイヤ、又はボールボンディングなどを使用して他の電子コンポーネントに接続することができる。
【0015】
一実施形態では、本発明は、集積型受動デバイス(IPD,integrated passive device)用に構築されたRFサーキュレータ/アイソレータであり、これは、現在入手可能な
選択肢に対して低減されたサイズを有する。本発明は、テストビークル内の鉄芯材料を最適化することによって作製することができる。テストビークルは、例えば、3DGS社、USAから得られる、例えば以下に説明するように作製及び配合された1又は2以上のタイプのガラスを含むことができ、方法及び部品が、鉄芯充填によって改善される。最初に、一貫性のある測定を確実なものにするために、標準的な空洞深さを使用する。次に、形成され、追加され、又は接続されて回路を形成するコンポーネントを、サーキュレータ/アイソレータに接続し、次いで、テストが進んで、正確な計算のために特定の量が必要になったときに評価する。
【0016】
図1は、本発明のRFサーキュレータ/アイソレータデバイスを示す。本発明は、少なくともシリカ、酸化リチウム、酸化アルミニウム、及び酸化セリウムを含む、感光性ガラスセラミック複合基板を準備するステップと、感光性ガラス基板内の1又は2以上の2又は3次元誘導性デバイスを含む設計レイアウトをマスクするステップと、感光性ガラス基板の少なくとも1つの部分を、活性化エネルギー源に暴露するステップと、感光性ガラス基板を、そのガラス転移温度(glass transition temperature)より上の、少なくとも10分の加熱段階に暴露するステップと、感光性ガラス基板を冷却して、暴露されたガラスの少なくとも一部を結晶性材料に転換し、それによって、結晶性ガラス基板(glass-crystalline substrate)を形成するステップと、結晶性ガラス基板をエッチャント溶液でエ
ッチングして、RFサーキュレータ/アイソレータにおいて次いで使用される1又は2以上の角度付きチャネル又は貫通孔を形成するステップとによってなされる、RFサーキュレータ/アイソレータデバイスを製作する方法を含む。
【0017】
RFサーキュレータ/アイソレータは、半導体、RF電子回路、マイクロ波電子回路、及び光学イメージング用の新規なパッケージング及び基板材料としてのガラスセラミック(APEX(登録商標)ガラスセラミック、3DGS社、USA)内、ガラスセラミック上、又はガラスセラミックの周りに構築することができる。APEX(登録商標)ガラスセラミックは、第1世代の半導体機器を使用して、単純な3ステッププロセスにおいて処理され、最終材料は、ガラスとセラミックのいずれかに作り上げることもでき、ガラスとセラミックの両方の領域を含有することもできる。APEX(登録商標)ガラスセラミックは、容易に製作される高密度ビア、実証されたマイクロ流体能力、マイクロレンズ又はマイクロレンズアレイ、より剛性のパッケージを得るための高いヤング率、ハロゲンフリー製造、及び経済的製造を含む、現在の材料に勝るいくつかの利点をもつ。フォトエッチング可能なガラスは、多種多様なマイクロシステムコンポーネントの製作に関して、いくつか
の利点を有する。これらのガラスを用い、従来の半導体処理機器を使用して、微細構造が比較的安価に生産されている。一般に、ガラスは、高い温度安定性、良好な機械的特性及び電気的特性を有し、また、プラスチック及び多くの金属よりも良好な耐化学性を有する。本発明のRFサーキュレータ/アイソレータを作製するためのガラスセラミックの一例は、例えば、75~85重量%の酸化シリコン(SiO2)、7~11重量%の酸化リチウム(Li2O)、3~6重量%の酸化アルミニウム(Al2O3)、1~2重量%の酸化ナトリウム(Na2O)、0.2~0.5重量%の三酸化アンチモン(Sb2O3)又は酸化ヒ素(As2O3)、0.05~0.15重量%の酸化銀(Ag2O)、及び0.01~0.04重量%の酸化セリウム(CeO2)を含む。本明細書では、「APEX(登録商標)ガラスセラミック」、「APEX(登録商標)ガラス」、又は単純に「APEX(登録商標)」という用語は、本発明のRFサーキュレータ/アイソレータを作製するためのガラスセラミック組成物の一実施形態を表すために使用される。
【0018】
APEX(登録商標)ガラスは、めっき又は気相成長を含むいくつかの方法によって、金属、合金、複合物、ガラス、又は他の磁気媒体で充填することができる。媒体の透磁率(magnetic permittivity)が、デバイス内の構造(ループ、巻線、又は他の誘導性要素
)の寸法及び数と相まって、デバイスのインダクタンスを提供する。RFサーキュレータ/アイソレータデバイスの動作周波数に応じて、設計は、さまざまな透磁率材料を必要とする。100MHz未満の低周波数では、デバイスは、フェライト又は他のさまざまな高透磁率材料を使用することができる。100MHzを上回るより高い周波数では、さまざまな高透磁率材料は、大きな電気損失を作出する渦電流を生じさせることがある。そのため、より高周波の動作では、銅や他の類似材料などの材料が、RFサーキュレータ/アイソレータデバイス用に選ばれる媒体となる。ひとたびRFサーキュレータ/アイソレータデバイスが生じさせられれば、支持するAPEX(登録商標)ガラスを所定の位置に残すか又は除去して、本発明のRFサーキュレータ/アイソレータなどの自立構造を作出することができる。
【0019】
ガラスセラミック内へのデバイスの作製に伴う問題を回避するために、本発明では、50:1よりも大きな平均エッチングアスペクト比をもつガラスセラミックを使用する。これによりユーザは、より小さくより深い特徴を作出することが可能になる。加えて、本明細書において教示する製造プロセスは、90%よりも大きな製品歩留まりを可能にする(旧来のガラスの歩留まりのほうは50%に近い)。最後に、旧来のガラスセラミックでは、ガラスのおよそ30%しかセラミック状態に変換されないが、APEX(登録商標)ガラスセラミックのほうは、この変換は70%に近い。
【0020】
本発明は、電磁伝送、変成器、フィルタリング、及び他の用途において使用されるRFサーキュレータ/アイソレータ構造を形成する際に使用するガラスセラミック構造内に、RFサーキュレータ/アイソレータを製作するための方法を含む。本発明は、ガラスセラミック基板の複数の面内に作出されたRFサーキュレータ/アイソレータ構造を含み、そのようなプロセスは、(a)基板の配向を変えることとエネルギー源の配向を変えることのいずれかによって暴露がさまざまな角度で生じるような、励起エネルギーへの暴露、(b)ベークステップ、及び(c)エッチングステップを用いる。角度サイズは、鋭角と鈍角のいずれかとすることができる。実行不可能ではないにせよ、大半のガラス基板、セラミック基板、又はシリコン基板内に、湾曲した構造及びデジタル構造を作出することは困難である。本発明は、ガラスセラミック基板について垂直面と水平面の両方内にそのようなRFサーキュレータ/アイソレータ構造を作出することのできる能力を作出した。本発明は、RFサーキュレータ/アイソレータ構造をガラスセラミック上又はガラスセラミック内に製作するための方法を含む。
【0021】
ガラスのセラミック化は、ガラス基板全体をおよそ20J/cm2の310nm光に暴
露することによって成し遂げられる。セラミック内にガラススペースを作出しようと試みるとき、ユーザは、ガラスがガラスのままであるべき場所を除き、全ての材料を暴露させる。一実施形態では、本発明は、例えば、RFサーキュレータ/アイソレータのさまざまなコンポーネント、例えば、コイル、コネクタ若しくは電気導体、コンデンサ、抵抗器、含鉄コンポーネント及び/又は強磁性コンポーネントなどを含有する、石英/クロムマスクを使用することができる。
【0022】
本発明は、電気的マイクロ波及び無線周波用途の、ガラスセラミック構造内又はガラスセラミック構造上のRFサーキュレータ/アイソレータデバイスを製作するための方法を含む。このガラスセラミック基板は、60~76重量%のシリカ、K2OとNa2Oとの組合せが6重量%~16重量%となる少なくとも3重量%のK2O、0.003~1重量%の、Ag2O及びAu2Oからなる群から選択される少なくとも1つの酸化物、0.003~2重量%のCu2O、B2O3とAl2O3との組合せが13重量%を超えない、0.75重量%~7重量%のB2O3及び6~7重量%のAl2O3、8~15重量%のLi2O、並びに0.001~0.1重量%のCeO2を含むがそれに限定されない、多数の組成変形形態を有する感光性ガラス基板であってよい。この組成物及び他の多様な組成物は一般に、APEX(登録商標)ガラスと呼ばれる。
【0023】
暴露された任意の部分は、ガラス基板をガラス転移温度(glass transformation temperature)付近の温度に加熱することによって、結晶性材料に転換され得る。このガラス基板を、フッ化水素酸などのエッチャント中でエッチングするとき、暴露された部分と暴露されていない部分の異方性エッチング比は、ガラスが広域スペクトル中紫外(約308~312nm)フラッドランプ(flood lamp)に暴露されたときに、少なくとも30:1であり、それによって、少なくとも30:1のアスペクト比を有する成形ガラス構造が提供され、かつ誘導性構造が作出される。暴露用のマスクは、誘導性構造/デバイスの作出のための湾曲した構造を形成するように、暴露に対して連続したグレースケールを提供する、ハーフトーンマスクとすることができる。デジタルマスクをフラッド暴露(flood exposure)とともに使用することもでき、デジタルマスクは、誘導性構造/デバイスの作出をもたらすために使用することができる。次いで、暴露されたガラスを、典型的には2ステッププロセスにおいてベークする。銀イオンを合体させて銀ナノ粒子にするための、10分から2時間の間にわたって420℃~520℃の間で加熱される温度範囲、及び銀ナノ粒子の周囲に酸化リチウムが形成することを可能にする、10分から2時間の間にわたって520℃~620℃の間で加熱される温度範囲。次いで、ガラスプレートをエッチングする。ガラス基板は、典型的には5体積%~10体積%のHF溶液のエッチャント中でエッチングされ、ここで、暴露された部分と暴露されていない部分のエッチング比は、広域スペクトル中紫外フラッド光で暴露されたときに、少なくとも30:1であり、レーザで暴露されたときに、30:1よりも大きく、それによって、少なくとも30:1の異方性エッチング比をもつ成形ガラス構造が提供される。いくつかの場合には、金属充填して本発明のRFサーキュレータ/アイソレータを作製する前に、RFサーキュレータ/アイソレータデバイスを取り囲む材料がセラミックに変換される。
【0024】
いくつかの最適化パラメータには、それらに限定されないが、次のものが含まれる。(1)操作すべき独立変数は、a)鉄含有量、b)エポキシ含有量、c)ベーク時間、d)ベーク温度、e)鉄のタイプ、f)空洞高さ、g)鉄芯から脱気するための真空引き、である、(2)鉄芯材料の最適化は、信頼性テストを通して構造的完全性及び元の電気的パラメータを維持する鉄の比が決定されたときに達成される、並びに/又は(3)部品から部品へと一貫して使用することができ、かつ顧客が特定の顧客部品最適化に使用することのできる標準化されたパラメータセットに従うか若しくはそれを使用する、理想的な材料の特定。
【0025】
次に、それらに限定されないが、次のものを含む、1又は2以上の妥当性確認ステップが続いてよい。(1)外観検査は、鉄を充填する前の空洞深さの測定、及び鉄充填後に実施される凹所測定を含む。ハイブリッド材料全体を通した鉄分散の質を検査する、(2)コンダクタンスを、鉄充填前、鉄充填後、及び再度、信頼性テスト後に測定する、(3)信頼性を、主として、設定されたサーモサイクラローテーション(thermocycler rotation)数を用いて測定する。外観検査及びコンダクタンスは、サーモサイクリングの追加時
間後に実施する。必要なら、部品が一貫したパラメータを維持する間に耐えることのできる温度サイクリングの量に関する時間調査を行うために、より多くのサイクル数にわたって、部品をサーモサイクラから取り出し、テストし、次いで、元のサーモサイクラ内に戻す、及び/又は(4)インダクタンス測定を、鉄充填前に実施し、次いで信頼性の前後にも行って、鉄芯を追加することの全体的な改善量と、次いで鉄芯の経時的な、また温度サイクリングにかけた場合の一貫性を決定する。
【0026】
さらに、鉄ハイブリッド材料を最適化又は特定することもできる。そうするためには、1又は2以上の芯測定が得られるか、又は決定される。芯測定の非限定的な例には、次のものが含まれ得る。(1)鉄ハイブリッド材料の磁気的特性及び電気的特性に関する定量化可能な値又は値の範囲。(2)最終ハイブリッド材料中に存在する鉄の選択された比について、材料が耐えることが期待できる温度範囲及び時間枠。(3)材料は、所与のサイクル数及び反復数でのサーモサイクラテストを使用して評価することができる。(4)加えて、zeta、立体鏡、及び他の顕微鏡が、表面粒、凹所、鉄ハイブリッドの分散及び集合(packing)に関する定性的評価の解析に使用される。(5)誘電率値は、(虚数値を表
す)コンダクタンス、及び(実数値を表す)容量性効果と誘導性効果との関係を使用して、理論的に達成される。実数と虚数の比が(有限値になると決定された場合)、次いで、材料中の電気的特性と磁気的特性との間の位相遅れに関する値を提供するために使用される。
【0027】
誘電率値に関して言うと、これらには、次のものの使用が含まれ得る。(1)実験的設定における誘電率を計算するために、(RF共振器としても知られる)空洞共振器を使用することができる。空洞共振器=電磁波を空洞にわたって往復進行させることのできる、密閉された容器である、と定義されたい。それが鉄ハイブリッド基板によって遮られ、それを空の容器の場合の較正基準と比較することができる。(2)個別のトロイダルインダクタ(手で巻いたワイヤ)を開発し使用しても、誘電率計算のためのインダクタンスの測定の可能性をもたらすことができる。(3)比誘電率(誘電定数)並びに複素誘電率(電気波と磁気波との相互作用)のさらなるパラメータを評価するためのコードの起草。
【0028】
鉄ハイブリッドの透磁率(permeability)に関して言うと、これは、鉄の粒子サイズ及び粒構造の評価を実施することによって決定することができ、これにより、鉄の磁化並びに磁界自体に関するより多くの情報がもたらされる。測定には、鉄凝集粒子間の配置及び間隔を決定するための、走査電子顕微鏡法(SEM,scanning electron microscopy)/エネルギー分散X線(EDX,Energy Dispersive X-Ray)も含まれ得る。Zeta画像を使
用して、材料の表面上に存在する粒構造パターンを評価することができる。これは、異なる鉄材料間の差異を評価するために使用することもでき、というのも、粒構造が異なるためである。さらに、抵抗測定を、Rohde & Schwarz上で、並びに既存のツールセットを使
用して測定することができ、インダクタ中に存在する電流に変換することができる。絶対透磁率は、インダクタの抵抗、周波数、及び/又は入力電圧を用いて決定することができる。加えて、所与のインダクタの巻線の巻数を使用して、絶対値(absolute)を理論値(theoretical)と比較することができる。
【0029】
周波数値に関して言うと、これらを、顧客コンポーネントの評価すべき周波数にどのように透磁率が影響を及ぼすかを決定するために、透磁率とともに測定することもできる。
これが、鉄ハイブリッド材料中の適切な比をさらに定義するのを助ける。さらにこれが、実数又は複素数である範囲を定義し、損失正接の決定を助ける。例えば、Rohde & Schwarzツールセット並びに他の入手可能なツールを使用して、個々の部品の周波数値を測定す
ることができる。これは、周波数について評価するために使用される既存の技法と一致する。かくして、鉄ハイブリッド材料についての全体的な知識が、どのようにサーキュレータに電力を印加するかを決定する次なるステップに導き、その結果として、流れの正しい方向、及び部品の損傷又は故障を回避するためのシグナルの正しい相殺(cancellation)がもたらされる。また、誘電率は、それが正しい方向に進行するために正しく分極されなければならないので、この決定において非常に重要な値である。
【0030】
RFサーキュレータ/アイソレータは、ソフトウェアにおけるモデルサーキュレータを使用して評価することもできる。ソフトウェアソーシングには、次のものが含まれ得る。(1)NI AWR +Analyst(National Instruments社、USA)、これはカスタム材料セクションを有し、それは、透磁率及び複素誘電率を入力するためのエリアを含み、また永久磁性体を定義する自由度も含む。一次ソフトウェア(first order software)をEMシミュレーションに使用することができる。(2)COMSOLソフトウェア(又は類似の、EMProなどのフィジックスベースのシミュレーションソフトウェア)。COMSOLでは、AC/DCモジュールを用いて、シミュレーション環境内に永久磁石を追加することが可能である。加えて、このソフトウェアは、磁気芯材料を定義するために導き出される、定義のためのカスタム方程式を柔軟に含める。いくつかのデバイスアーキテクチャ及び製品分割をモデリングして、生産のために、レイヤー定義を定義した2Dフラットモデルに変換することもできる。最終的に、製品構築仕様(例えば基板の厚さ、金属ライン幅など)、及びトレランスが決定される。
【0031】
デバイスの生産。EMモデリングの完了後、設計は2Dフラットモデルから生産用リソグラフィマスクに変換され、それらが次いで、ガラス又はセラミック中のRFサーキュレータ/アイソレータを備えたウェーハを作製するために使用される。
【0032】
RFサーキュレータ/アイソレータのテスト及び妥当性確認。製品設計には、SMTローンチ型サーキュレータ構造とプローブローンチ型サーキュレータ構造の両方が組み込まれる。RFサーキュレータ/アイソレータは、表面実装技術(SMT,surface mount technologies)デバイスを用いて作製することができ、サーキュレータのRF性能を3ポートテストすること、及びコネクタとテストボードをディエンベディングして、サーキュレータのディエンベディング後の性能を妥当性確認することの可能な、プリント回路ボード(PCB,printed circuit board)又は何らかの類似のテストボード上に、それを直接
はんだ付けすることができる。本発明者らは、作業のこの部分に活用される、低損失SMTローンチ及びボードレベル較正基準のセットを開発した。プローブローンチ設計及びオンウェーハ較正構造を備えたプローブローンチサーキュレータデバイスは、0.5~40GHzの低損失のテスト及び較正構造として妥当性確認することができる。例えば、250μmピッチのグランド-シグナル-グランド(GSG,ground-signal-ground)プローブを使うと、本明細書において説明するように設計及びレイアウトされた、集積型受動デバイスとしてのサーキュレータのオンウェーハ3ポート測定が可能になる。
【0033】
製品ウェーハは、オンウェーハ生産管理のための、多様な統計的プロセス管理(SPC,statistical process control)モニターダイ(ウェーハ当たり5箇所)を含むこともできる。これには次のものが含まれる。(1)標準的SPCモニタリング、例えばビア抵抗、表面金属ライン抵抗モニタリング、層間位置整合妥当性確認、及び/又は特徴サイズ妥当性確認。また、標準的RF SPCモニタリングには、インダクタ妥当性確認、コンデンサ妥当性確認、マイクロストリップ伝送ライン性能妥当性確認が含まれ得る。最後に、本製品定義のための高度なRF SPCモニタリングには、一貫した磁気芯性能を確実
なものにするための磁気芯妥当性確認構造、並びに/又は性能及び位置整合を妥当性確認するための永久磁石妥当性確認構造が含まれ得る。
【0034】
本発明のサーキュレータ/アイソレータデバイスで使用する基板の非限定的な一例は、例えば、高精度構造をもたらすように、中紫外フラッド暴露システムを使用して30:1以上の、場合によってはレーザベースの暴露システムを使用して40:1以上(好ましくは50:1以上)のエッチング比で微細加工された、ガラスを含む。したがって、例えば、光構造化された(photostructured)中空のマイクロニードルの内径と外径の両側のほ
ぼ垂直の壁勾配では、先端から基部までの壁厚変動がわずかしか生じない。加えて、非中空のマイクロニードルであるマイクロポストは、小さな壁勾配をもつように微細加工され、それによって、全体的なマイクロポスト径の低減が可能になり得る。同様に、マイクロレンズは、精密に制御された水平方向変動を伴って成形することができ、また垂直方向変動をわずかしか有さないことが可能である。
【0035】
さらに、40:1以上の異方性エッチング比をもつガラス構造の精密な形状を使用して、ネガモールド(negative mold)内の非ガラス材料の形状を決定することができる。モールド材料を、(1)高い異方性エッチング比をもつ成形ガラス構造上に堆積させて、ネガモールドを提供し、(2)ネガモールドをガラスデバイスから取り外し、(3)ネガモールドに非ガラス材料を流し込み、(4)ネガモールド内の材料が固化し、(5)固化した非ガラス材料を、ネガモールドから取り外して、非ガラス材料の精密な(例えば40:1~50:1の異方性エッチング比の)鋳造物を提供することができる。さらに、シリコン半導体タイプのプロセスにおいて使用される高価な乾式エッチングプロセスとは異なり、このプロセスは、非常に高い異方性エッチング比を、比較的安価な湿式エッチングを用いてもたらすことができる。
【0036】
本発明のサーキュレータ/アイソレータデバイスは、60~76重量%のシリカ、K2OとNa2Oとの組合せが6重量%~16重量%となる少なくとも3重量%のK2O、0.003~1重量%の、Ag2O及びAu2Oからなる群から選択される少なくとも1つの酸化物、0.003~2重量%のCu2O、B2O3とAl2O3との組合せが13重量%を超えない、0.75重量%~7重量%のB2O3及び6~7重量%のAl2O3、8~15重量%のLi2O、並びに0.001~0.1重量%のCeO2からなる組成物を有する感光性ガラス基板を使用した、高い異方性エッチング比をもつ成形ガラス構造内に、製作することができる。この多様な組成物は一般に、APEXと呼ばれる。感光性ガラス基板の少なくとも1つの部分を紫外光に暴露すると同時に、前記ガラス基板の少なくとも第2の部分を暴露されないままにしておき、ガラス基板をガラス転移温度付近の温度に加熱して、暴露されたガラスの少なくとも一部を結晶性材料に転換し、ガラス基板を、エッチャント中でエッチングし、ここで、暴露された部分と暴露されていない部分のエッチング比は、広域スペクトル中紫外フラッド光で暴露されたときに、少なくとも30:1であり、レーザで暴露されたときに、30:1よりも大きく、それによって、少なくとも30:1の異方性エッチング比をもつ成形ガラス構造が提供される。パーセンテージは、本明細書では、成分の重量パーセントで表す。
【0037】
本発明のサーキュレータ/アイソレータデバイスは、35~76重量%のシリカ、3~16重量%のK2O、0.003~1重量%のAg2O、0.75~13重量%のB2O3、8~15重量%のLi2O、及び0.001~0.1重量%のCeO2から構成することのできる、感光性の、高い異方性エッチング比をもつ成形ガラス構造内に、製作することができる。この感光性ガラスは、次の、感光性ガラス基板の少なくとも1つの部分を紫外光に暴露すると同時に、前記ガラス基板の少なくとも第2の部分を暴露されないままにしておくステップと、ガラス基板をガラス転移温度付近の温度に加熱して、暴露されたガラスの少なくとも一部を結晶性材料に転換するステップと、ガラス基板を、エッチャン
ト中でエッチングするステップであって、暴露された部分と暴露されていない部分のエッチング比が、広域スペクトル中紫外フラッド光で暴露されたときに、少なくとも30:1であり、レーザで暴露されたときに、30:1よりも大きく、それによって、少なくとも30:1の異方性エッチング比をもつ成形ガラス構造が提供される、ステップとのうちの少なくとも1つを使用して処理される。
【0038】
本発明のサーキュレータ/アイソレータデバイスは、46~76重量%のシリカ、3~16重量%のK2O、0.003~1重量%のAg2O、0.75~13重量%のB2O3、6~7重量%のAl2O3、11~15重量%のLi2O、及び0.001~0.1重量%のCeO2からなる組成物を有する感光性ガラス基板を使用して高い異方性エッチング比をもつ成形ガラス構造を製作する方法を使用して、製作することができる。この感光性ガラスは、次の、感光性ガラス基板の少なくとも1つの部分を紫外光に暴露すると同時に、前記ガラス基板の少なくとも第2の部分を暴露されないままにしておくステップと、ガラス基板をガラス転移温度付近の温度に加熱して、暴露されたガラスの少なくとも一部を結晶性材料に転換するステップと、ガラス基板を、エッチャント中でエッチングするステップであって、暴露された部分と暴露されていない部分のエッチング比が、広域スペクトル中紫外フラッド光で暴露されたときに、少なくとも30:1であり、レーザで暴露されたときに、30:1よりも大きく、それによって、少なくとも30:1の異方性エッチング比をもつ成形ガラス構造が提供される、ステップとのうちの少なくとも1つを使用して処理される。本発明者らの解析は、処理中により小さな結晶LiAlSi2O6が形成することが、観測される、紫外光暴露に対する感度及びエッチング速度の重要な要因となり得ることを示している。
【0039】
一実施形態では、本発明のサーキュレータ/アイソレータデバイスは、基本的にゲルマニウムフリーである。いくつかの実施形態では、組成物の酸化状態の制御を助けるために、Sb2O3又はAs2O3が追加される(例えば、少なくとも0.3重量%のSb2O3又はAs2O3)。いくつかの好ましい実施形態では、少なくとも0.75重量%のB2O3が含められ、他の好ましい実施形態では、少なくとも1.25重量%のB2O3が含められる。いくつかの好ましい実施形態では、少なくとも0.003重量%のAg2Oに加えて、少なくとも0.003%のAu2Oが含められる。いくつかの実施形態では、CaO及び/又はZnOの組合せが、18重量%まで追加される。いくつかの実施形態では、10重量%までのMgOが追加される。いくつかの実施形態では、18重量%までの酸化鉛が追加される。材料を常磁性にするために、5重量%までFe2O3が追加されてよく、ガラスの自家蛍光を低減させるために、鉄(II)及び鉄(III)が消光剤として追
加されてよい。
【0040】
好ましくは、ガラス基板は、10分から2時間の間にわたって420~520℃の温度に加熱され、次いで、10分から2時間の間にわたって520~620℃に加熱される温度範囲に加熱される。
【0041】
いくつかの実施形態では、エッチャントがHFであり、いくつかの実施形態では、エッチャントが、HFと、塩酸や硝酸などの追加成分との組合せである。暴露に使用される紫外光の好ましい波長は、およそ308~312nmである。
【0042】
一実施形態では、本発明のサーキュレータ/アイソレータデバイスは、あるガラス転移温度をもつ感光性ガラス基板を有する、高い異方性エッチング比をもつ成形ガラス構造内にある。この感光性ガラス基板は、1又は2以上のパターン化構造、並びに約60~76重量%のシリカ、K2Oが少なくとも3重量%である、6重量%~16重量%のK2OとNa2Oとの組合せ、0.001~1重量%のAg2O、B2O3とAl2O3との組合せが13重量%を超えない、0.75重量%~7重量%のB2O3及び5~8重量%のA
l2O3、8~15重量%のLi2O、並びに0.04~0.1重量%のCeO2からなるガラス組成物を有してよい。
【0043】
パターン化構造は、紫外光などの活性化エネルギー源に暴露された少なくとも1つの部分、及びガラス基板の、紫外光に暴露されていない少なくとも第2の部分を有してよい。この暴露された部分の一部は、ガラス基板をガラス転移温度付近の温度に加熱することによって、結晶性材料に転換され得る。このガラス基板を、フッ化水素酸などのエッチャント中でエッチングするとき、暴露された部分と暴露されていない部分の異方性エッチング比は、ガラスが広域スペクトル中紫外(約308~312nm)フラッドランプに暴露されたときに、少なくとも30:1であり、それによって、少なくとも30:1のアスペクト比をもつ成形ガラス構造が提供され、またそれによって、ガラスがレーザなどの高出力エネルギー源を使用して暴露されたときに、30:1よりもずっと大きなアスペクト比をもつ成形ガラス構造が提供される。
【0044】
好ましくは、成形ガラス構造は、マイクロ光学レンズ、マイクロ光学マイクロポスト、マイクロチャネル、又はマイクロリッジマイクロ光学導波路のうちの少なくとも1つを含有する。マイクロリッジ光導波路は、マイクロリッジによって光がガイドされるように、暴露されたガラスをエッチング除去して、ガラスマイクロリッジを残すことによって形成されてよい。マイクロリッジは、感光性ガラスよりも低い屈折率の非感光性ガラス層を覆う感光性ガラス層を使用して形成され、それによって、マイクロリッジによってガイドされる光が、マイクロリッジの底部から、マイクロリッジの少なくとも1つの部分(例えば、より低い位置での光ガイドへの光結合を可能にするために、非感光性ガラス内に底部ビアがエッチングされてよい)において退出することを実質的に防ぐようになっていてよい。
【0045】
この実施形態では、本発明のサーキュレータ/アイソレータデバイスは、基本的にゲルマニウムフリーであり、少なくとも0.5重量%のB2O3又は少なくとも1.25重量%のB2O3を含有し、少なくとも0.3重量%のSb2O3又はAs2O3を含有し、0.003~1重量%の、Au2O及びAg2Oのうちの少なくとも一方を含有し、1~18重量%の、CaO、ZnO、PbO、MgO、及びBaOなどの酸化物を含有し、組成物を常磁性にするために、並びに/又は鉄(II)及び鉄(III)を、固有の自家蛍光の
消光に使用するために、0~5重量%の鉄(Fe2O3)を含有し、かつ2重量%までの酸化銅を含有する、成形ガラス構造の組成物内に形成される。この成形ガラス構造はまた、約30~45:1の異方性エッチング比を有してよい。
【0046】
別の実施形態では、本発明のサーキュレータ/アイソレータデバイスは、あるガラス転移温度をもつ感光性ガラス基板を有する、高い異方性エッチング比をもつ成形ガラス構造である。この感光性ガラス基板は、1又は2以上のパターン化構造、並びに約35~76重量%のシリカ、3~16重量%のK2O、0.001~1重量%の、少なくとも1つの、Ag2OやAu2Oなどの酸化物、0.75~13重量%のB2O3、8~15重量%のLi2O、及び0.0014~0.1重量%のCeO2からなるガラス組成物を有してよい。
【0047】
この実施形態では、パターン化構造は、紫外光などの活性化エネルギー源に暴露された少なくとも1つの部分、及びガラス基板の、紫外光に暴露されていない少なくとも第2の部分を有してよい。この暴露された部分の一部は、ガラス基板をガラス転移温度付近の温度に加熱することによって、結晶性材料に転換され得る。このガラス基板を、フッ化水素酸などのエッチャント中でエッチングするとき、暴露された部分と暴露されていない部分の異方性エッチング比は、ガラスが広域スペクトル中紫外(約308~312nm)フラッドランプに暴露されたときに、少なくとも30:1であり、それによって、少なくとも
30:1のアスペクト比をもつ成形ガラス構造が提供され、またそれによって、ガラスがレーザなどの高出力エネルギー源を使用して暴露されたときに、30:1よりもずっと大きなアスペクト比をもつ成形ガラス構造が提供される。加えて、この成形ガラス構造の組成物は、基本的にゲルマニウムフリーでよく、少なくとも0.5重量%のB2O3又は少なくとも1.25重量%のB2O3を含有してよい。
【0048】
別の実施形態では、本発明は、あるガラス転移温度をもつ感光性ガラス基板を有する、高い異方性エッチング比をもつ成形ガラス構造である。この感光性ガラス基板は、1又は2以上のパターン化構造、並びに約46~76重量%のシリカ、3~16重量%のK2O、0.001~1重量%のAg2O、0.5~13重量%のB2O3、8~15重量%のLi2O、及び0.001~0.1%のCeO2からなるガラス組成物を有してよい。例えば、この感光性ガラス基板は、1又は2以上のパターン化構造、並びに約45、50、55、60、70、75、又は76重量%のシリカ、3、5、7、8、10、12、又は16重量%のK2O、0.001、0.01、0.1、0.25、0.5、0.75、又は1重量%のAg2O、0.5、1、2.5、5、7.5、10、12.5、又は13重量%のB2O3、8、7、9、10、12.5、又は15重量%のLi2O、及び0.001、0.01、0.05、又は0.1%のCeO2からなるガラス組成物を有してよい。
【0049】
この実施形態では、パターン化構造は、紫外光などの活性化エネルギー源に暴露された少なくとも1つの部分、及びガラス基板の、紫外光に暴露されていない少なくとも第2の部分を有してよい。この暴露された部分の一部は、ガラス基板をガラス転移温度付近の温度に加熱することによって、結晶性材料に転換され得る。このガラス基板を、フッ化水素酸などのエッチャント中でエッチングするとき、暴露された部分と暴露されていない部分の異方性エッチング比は、ガラスが広域スペクトル中紫外(約308~312nm)フラッドランプに暴露されたときに、少なくとも30:1であり、それによって、少なくとも30:1のアスペクト比をもつ成形ガラス構造が提供され、またそれによって、ガラスがレーザなどの高出力エネルギー源を使用して暴露されたときに、30:1よりもずっと大きなアスペクト比をもつ成形ガラス構造が提供される。
【0050】
本発明のサーキュレータ/アイソレータデバイス用のガラス構造は、光がより高屈折率の材料内に実質的に閉じ込められるように、より低屈折率のエリアによって取り囲まれたより高屈折率の暴露領域を作出するようにパターン化されてよい。反対に、パターン化ガラス構造は、光がより低屈折率の材料内に実質的に閉じ込められるように、より低屈折率のエリアを取り囲むより高屈折率の暴露領域を作出するようにパターン化されてよい。どちらの方途でも、本発明者らのガラスをそのような紫外光で暴露すると、ガラスの屈折率を上げることができ、変更された屈折率は、光子を誘導、操作、又は処理するために使用されてよい。したがって、場合によっては、光をそのようなパターン化ガラス構造内に誘導するためにガラスをエッチングする必要はない。
【0051】
いくつかの実施形態では、パターン化ガラス構造は、感光性ガラス基板の暴露された部分内で貴金属が合体して失透のための核として働くことを可能にするために、10分から2時間の間にわたってそのガラス転移温度より上に加熱され、次いで、ガラス基板は、10分から2時間の間にわたってそのガラスセラミック転移温度より上(そのガラス転移温度より少なくとも25C上)に加熱される。これにより、ガラス基板の後続の冷却中に、感光性ガラス基板の暴露された部分がガラスセラミックに転換することが可能になる。次いで、このガラス基板をHF含有エッチャント溶液中でエッチングすると、暴露された部分と暴露されていない部分の少なくとも30:1のエッチング比を、成形ガラス構造内に与えることができる。
【0052】
いくつかの実施形態では、マイクロ光学デバイスの表面の光透過率が増加するように、成形ガラス構造内の少なくとも1つのマイクロ光学デバイスの表面粗さを低減させるべく、表面金属銀を溶解するために使用される硝酸及び/又は表面セリウム金属を溶解するために使用される塩酸のうちの少なくとも1つを含有する表面平滑化用酸(surface-smoothing acid)が、HFエッチング中又はHFエッチング後に使用される。最終のパターン化ガラス構造は、エッチングされた側壁を平滑化するために、そのガラス転移温度付近でアニールされてもよい。
【0053】
形成され得るパターン化ガラス構造は、マイクロ光学レンズ、マイクロ光学マイクロポスト、並びにマイクロチャネル、マイクロリッジ(暴露されたガラスがエッチング除去されて、ガラスマイクロリッジが残る)、及びガラスのパターン化暴露によって形成される屈折率ガイドなどのマイクロ光学導波路を含む。
【0054】
いくつかの実施形態では、パターン化ガラス構造が、300~320nm光に暴露させるフラッドによって処理され、そのガラス転移温度付近の温度に加熱されると、還元後の貴金属の少なくとも一部が合体することが可能になり、それによって、少なくとも1つのプラズモン解析技法、例えば、表面増強蛍光、表面増強ラマン分光法、及び表面プラズモン共鳴のためのより大きなクラスタの形成に使用されるパターン化ガラス構造が提供される。
【0055】
いくつかの実施形態では、本発明のサーキュレータ/アイソレータデバイスが、多層光プリント回路ボードの少なくとも一部を形成するガラス構造内にパターン化される。これは、第1のガラス転移温度を有し、かつ76%未満のシリカ、少なくとも0.0008%の貴金属酸化物及び/又は酸化銅のうちの少なくとも1つ、少なくとも11%のLi2O、並びに少なくとも0.0014%のCeO2を含む組成物を有する、第1の感光性ガラス層を準備するステップと、第1の感光性ガラス層内の第1の経路セットを、紫外光240~360nm光又は有向陽子源(directed source of protons)で暴露すると同時に、第1のガラス層の少なくとも第2の部分を暴露されないままにしておくステップと、第1の層上に、紫外光反射又は吸収層を堆積させるステップと、紫外光反射又は吸収層上に、非感光性ガラス層を堆積させるステップと、紫外光反射又は吸収層及び非感光性ガラス層内にビアをパターン化及びエッチングして、光結合ビア(light-coupling via)を提供するステップと、パターン化及びエッチングした非感光性ガラス上に、第2の感光性ガラス層を堆積させるステップであって、第2の感光性ガラス層が、第2のガラス転移温度を有し、かつ72%未満のシリカ、少なくとも0.008%の貴金属酸化物及び酸化銅のうちの少なくとも1つ、少なくとも11%のLi2O、少なくとも0.75%のB2O3、並びに少なくとも0.0014%のCeO2を含む組成物を有し、第2の感光性ガラス層が、非感光性ガラスよりも高い屈折率を有する、ステップと、第2の感光性ガラス層内の第2の経路セットを、紫外光300~320nm光又は有向陽子源で暴露すると同時に、第2の感光性ガラス層の少なくとも第2の部分を暴露されないままにしておくステップと、感光性ガラス層を、それらのガラス転移温度より上に加熱して、第1の経路セット及び第2の経路セットの屈折率を上げ、それによって、これらの経路セットを光ガイド性にするステップとを具備する、マイクロ光相互接続装置を作製する方法でもあり得る。
【0056】
これは、第1のガラス転移温度を有する、第1の感光性ガラス層を準備するステップと、第1の感光性ガラス層内の第1の経路セットを、紫外光240~360nm光又は有向陽子源で暴露すると同時に、第1のガラス層の少なくとも第2の部分を暴露されないままにしておくステップと、第1の層上に、紫外光反射又は吸収層を堆積させるステップと、紫外光反射又は吸収層上に、非感光性ガラス層を堆積させるステップと、紫外光反射又は吸収層及び非感光性ガラス層内にビアをパターン化及びエッチングして、光結合ビアを提供するステップと、パターン化及びエッチングした非感光性ガラス上に、第2の感光性ガ
ラス層を堆積させるステップであって、第2の感光性ガラス層が、第2のガラス転移温度を有し、かつ72%未満のシリカ、少なくとも0.008%の貴金属酸化物及び酸化銅のうちの少なくとも1つ、少なくとも11%のLi2O、少なくとも0.75%のB2O3、並びに少なくとも0.0014%のCeO2を含む組成物を有し、第2の感光性ガラス層が、非感光性ガラスよりも高い屈折率を有する、ステップと、第2の感光性ガラス層内の第2の経路セットを、紫外光300~320nm光又は有向陽子源で暴露すると同時に、第2の感光性ガラス層の少なくとも第2の部分を暴露されないままにしておくステップと、感光性ガラス層を、それらのガラス転移温度より上に加熱して、第1の経路セット及び第2の経路セットの屈折率を上げ、それによって、これらの経路セットを光ガイド性にするステップとを具備する、マイクロ光相互接続装置を作製する方法でもあり得る。
【0057】
いくつかの実施形態では、本発明のサーキュレータ/アイソレータデバイスは、少なくともシリカ、酸化リチウム、酸化アルミニウム、及び酸化セリウムを含む、感光性ガラス基板内に、感光性ガラス基板内に1又は2以上の金属ビアを形成し、入口及び出口と、それらを接続する、感光性ガラス基板内に配向された1又は2以上の経路とを含む設計レイアウトをマスクし、感光性ガラス基板の少なくとも1つの部分を、活性化エネルギー源に暴露し、感光性ガラス基板を、そのガラス転移温度より上の、少なくとも10分の加熱段階に暴露し、感光性ガラス基板を冷却して、暴露されたガラスの少なくとも一部を結晶性材料に転換し、それによって、結晶性ガラス基板を形成し、かつ結晶性ガラス基板をエッチャント溶液でエッチングして、基板内で光を輸送及び反射させるための、1又は2以上の金属ビアと光学的に連通する1又は2以上の経路を含む、エッチングされた設計レイアウトを形成して、形成される。
【0058】
本発明のサーキュレータ/アイソレータデバイス用のフォトデファイナブルガラス基板は、少なくとも0.3重量%のSb2O3又はAs2O3を含む。このフォトデファイナブルガラス基板は、0.003~1重量%のAu2Oを含む。このフォトデファイナブルガラス基板は、1~18重量%の、CaO、ZnO、PbO、MgO、及びBaOからなる群から選択される酸化物を含む。暴露された部分と前記暴露されていない部分の異方性エッチング比は、10~20:1、21~29:1、30~45:1、20~40:1、41~45:1、及び30~50:1のうちの少なくとも1つである。エッチャントは、フッ化水素酸であってよい。活性化エネルギー源は、約308~312nmの波長を有する紫外光であってよい。
【0059】
本発明のサーキュレータ/アイソレータデバイス用の別のフォトデファイナブルガラスセラミック基板は、SiO2、K2O、Na2O、Ag2O、Au2O、Cu2O、B2O3、Al2O3、Li2O、及び/又はCeO2を含むがそれらに限定されない、多数の組成変形形態を有する感光性ガラス基板である。市販のさまざまな形態のフォトデファイナブルガラスには、APEX(登録商標)ガラス及びFOTURAN(商標)が含まれる。APEX(登録商標)ガラスは、3D Glass Solutions社の登録商標であり、FOTURAN(商標)は、Schott社の商標である。
【0060】
図2は、本発明のRFサーキュレータ/アイソレータデバイスを使用したことによる結果を示すグラフである。簡潔に言って、インダクタは、RFサーキュレータにおける決定的に重要な要素である。インダクタンスが、RFサーキュレータの効率及びサイズを決定する。鉄芯インダクタは、ガラス芯インダクタ又は中空芯インダクタに比べて向上した性能を有しており、したがって、RFサーキュレータ又はフィルタやアイソレータを含む他のRFデバイスのサイズ及び損失が低減する。
【0061】
本明細書において論じた任意の実施形態を、本発明の任意の方法、キット、試薬、又は組成物に関して実施することができ、逆も同様である、ということが企図されている。さ
らに、本発明の組成物は、本発明の方法を達成するために使用することができる。
【0062】
本明細書において説明した特定の実施形態は、例示として示されており、本発明の制限として示されているのではない、ということが理解されよう。本発明の主要な特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく、さまざまな実施形態において用いることができる。当業者なら、本明細書において説明した特定の手順の数多くの均等物を認識し、又は通常の実験だけを使用して確認できるであろう。そのような均等物は、本発明の範囲に含まれるとみなされ、特許請求の範囲によって網羅される。
【0063】
本明細書において述べた全ての刊行物及び特許出願は、本発明が関係する当業者の技術レベルを示す。全ての刊行物及び特許出願は、個別の刊行物又は特許出願がそれぞれ、参照により組み込まれていると明確かつ個別に示されるのと同程度に、参照により本明細書に組み込まれている。
【0064】
特許請求の範囲及び/又は本明細書において、「含む(comprising)」という用語と一緒に使用されるとき、「1つの(a)」又は「1つの(an)」という語の使用は、「1つ
(one)」を意味し得るが、「1又は2以上(one or more)」、「少なくとも1つ」、及び「1又は2以上(one or more than one)」という意味とも一致する。本開示は、選択肢のみ及び「及び/又は」を指す定義を支持しているが、特許請求の範囲における「又は」という用語の使用は、選択肢のみを指すこと、又は選択肢同士が相互に排他的であることが明示的に示されていない限り、「及び/又は」を意味するために使用される。本出願全体を通して、「約」という用語は、ある値が、その値を決定するために用いられているデバイス、方法の固有の誤差変動、又は研究対象の間に存在する変動を含む、ということを示すために使用される。
【0065】
本明細書及び請求項では、「含む(comprising)」(及び「含む(comprise)」や「含む(comprises)」など、含む(comprising)の任意の形態)という語、「有する(having)」(及び「有する(have)」や「有する(has)」など、有する(having)の任意の形態)という語、「含む(including)」(及び「含む(includes)」や「含む(include)」など、含む(including)の任意の形態)という語、又は「含有する(containing)」
(及び「含有する(contains)」や「含有する(contain)」など、含有する(containing)の任意の形態)という語は、包含的又はオープンエンド型であり、記述されていない
追加の要素又は方法ステップを除外するものではない。本明細書において提供される組成物及び方法のいずれかの実施形態では、「含む(comprising)」は、「基本的に~からなる(consisting essentially of)」又は「~からなる(consisting of)」と置き換えられてよい。本明細書では、「基本的に~からなる」という句は、指定された完全体又はステップ、並びに特許請求される発明の特質又は機能に実質的に影響を及ぼさないものを必要とする。本明細書では、「なる(consisting)」という用語は、記述された完全体(例えば、特徴、要素、特質、特性、方法/プロセスステップ、若しくは制限)、又は完全体の群(例えば、特徴、要素、特質、特性、方法/プロセスステップ、若しくは制限)のみの存在を示すために使用される。
【0066】
「又はそれらの組合せ」という用語は、本明細書では、その用語に先行する列挙された項目の全ての順列及び組合せを指す。例えば、「A、B、C、又はそれらの組合せ」は、A、B、C、AB、AC、BC、又はABCのうちの少なくとも1つを含むことが意図されており、特定の文脈において順番が重要である場合は、BA、CA、CB、CBA、BCA、ACB、BAC、又はCABのうちの少なくとも1つを含むことも意図されている。この例を続けると、BB、AAA、AB、BBC、AAABCCCC、CBBAAA、CABABBなどのような、1又は2以上の項目又は用語の反復を含有する組合せが、明らかに含まれる。当業者なら、文脈から別段明らかではない限り、典型的には、任意の組
合せにおける項目又は用語の数に制限はない、ということを理解するであろう。
【0067】
本明細書では、限定はしないが、「約」、「実質的な」、又は「実質的に」などの近似の語は、そのように修飾されたときに、必ずしも絶対的又は完全であるとは限らないと理解されるものの、当業者にとって、条件の存在を指定する根拠となるのに十分なほど近いとみなされる、条件を指す。説明が変動し得る程度は、どれだけ大きな変化を設けることができるか、またどれだけ大きな変化が、修飾された特徴を修飾されていない特徴の必要な特質及び能力を引き続き有しているものと当業者に認識させることが引き続きできるか、に応じて決まる。一般には、ただし先行する議論に従って、「約」などの近似の語によって修飾された、本明細書における数値は、述べられた値から少なくとも±1、2、3、4、5、6、7、10、12、又は15%変動してよい。
【0068】
本明細書に開示し特許請求する組成物及び/又は方法は全て、本開示に照らせば、過度の実験なしに作製及び実行することができる。本発明の組成物及び方法について、好ましい実施形態の点から説明してきたが、本発明の概念、趣旨、及び範囲から逸脱することなく、組成物及び/又は方法に、また本明細書において説明した方法のステップ又はステップの順序に変更が加えられてよいことが、当業者には明らかとなろう。当業者には明らかな、かかる全ての類似の代替形態及び修正形態は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の趣旨、範囲、及び概念に含まれるとみなされる。
【0069】
特許庁、及び本出願に対して発行される任意の特許の任意の読者が本明細書に添付の請求項を解釈するのを助けるべく、それらの請求項は、添付の請求項のいずれかが、本明細書の出願日に存在するような米国特許法第112条の第6段落、米国特許法第112条の段落(f)、又は均等物を、「~するための手段」又は「~するためのステップ」という文言が特定の請求項において明示的に使用されていない限り発動することを意図していないということに、本出願人らは言及しておきたい。
【0070】
請求項の各々について、各従属請求項は、独立請求項と、先行する請求項が請求項の用語又は要素にとって適切な先行詞を提供する限りは、各請求項にとっての先行する従属請求項の各々との両方に、従属することができる。