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特開2022-84871流体送達システムのためのアクチュエータ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022084871
(43)【公開日】2022-06-07
(54)【発明の名称】流体送達システムのためのアクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/14 20060101AFI20220531BHJP
【FI】
B41J2/14 301
B41J2/14 607
【審査請求】有
【請求項の数】37
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022051382
(22)【出願日】2022-03-28
(62)【分割の表示】P 2019532714の分割
【原出願日】2017-12-18
(31)【優先権主張番号】62/436,276
(32)【優先日】2016-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】502122794
【氏名又は名称】フジフィルム ディマティックス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(72)【発明者】
【氏名】ウェイン リウ
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ メンゼル
(72)【発明者】
【氏名】シンヤ スギモト
(72)【発明者】
【氏名】マッツ ジー. オットソン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】アクチュエータの変型により流体を液体送達システムから吐出させることができるが、アクチュエータは変型されると、材料応力を被り得る。
【解決手段】リザーバと、印刷ヘッドとを含む。印刷ヘッドは、圧送チャンバの少なくとも上面を画定する変形可能部分を含む、支持構造と、リザーバから圧送チャンバに流体を移送するためにリザーバから圧送チャンバに延在する、流路と、支持構造の変形可能部分上に配置される、アクチュエータとを含む。溝が、アクチュエータの上面内に画定される。アクチュエータへの電圧の印加は、アクチュエータを溝に沿って変形させ、それによって、支持構造の変形可能部分の変形部に、流体の液滴を圧送チャンバから吐出させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷ヘッドであって、
圧送チャンバの少なくとも上面を画定する変形可能部分を備える支持構造と、
前記支持構造の変形可能部分上に配置されるアクチュエータであって、溝が、前記アクチュエータの上面内に画定され、前記アクチュエータの上面の中央領域から離れるように放射状に延在する、アクチュエータと
を備え、
前記溝は、前記変形可能部分の周の一部から内向きにオフセットされたループの少なくとも一部を画定し、
前記アクチュエータが活性層と不活性層を含み、前記溝が前記アクチュエータの厚さを通して延在する、印刷ヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、米国特許法第119条の下、2017年12月18日に出願された米国仮出願第62/436,276号の優先権の利益を主張して2017年1月11日に出願された国際出願の日本国へ国内移行された特願2019-532714を親出願とする分割出願である。
【0002】
本明細書は、流体送達システムのためのアクチュエータに関する。
【背景技術】
【0003】
インクジェット印刷は、複数のノズルを含むインクジェット印刷ヘッドを使用して実施されることができる。インクは、アクティブ化されると、インクジェット印刷ヘッドの中にもたらされ、ノズルは、インクの液滴を吐出し、基材上に画像を形成する。印刷ヘッドは、印刷ヘッドの圧送チャンバから流体を吐出するための変形可能なアクチュエータを伴う流体送達システムを含むことができる。アクチュエータは、変形され、圧送チャンバの容積を変化させることができる。アクチュエータが駆動されるにつれて、容積における変化は、流体を流体送達システムから吐出させることができる。アクチュエータは、変形されると、材料応力を被り得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
ある側面において、印刷ヘッドは、圧送チャンバの少なくとも上面を画定する変形可能部分を備える支持構造と、支持構造の変形可能部分上に配置されるアクチュエータであって、溝が、アクチュエータの上面内に画定される、アクチュエータとを含む。
【0005】
実施形態は、以下の特徴のうちの1つ以上のものを含むことができる。
【0006】
アクチュエータへの電圧の印加は、アクチュエータを溝に沿って変形させ、それによって、変形可能部分の変形部に、流体の液滴を圧送チャンバから吐出させる。
【0007】
アクチュエータは、第1および第2の電極と、第1の電極と第2の電極との間の圧電層とを備え、印刷ヘッドは、第1および第2の電極の一方に電圧を印加し、変形可能部分を変形させるためのコントローラを備える。
【0008】
コントローラは、変形可能部分が圧送チャンバから離れるように変形するように、第1および第2の電極の一方に電圧を印加するように構成される。
【0009】
溝は、アクチュエータの上面の中央領域から離れるように半径方向外向きすなわち放射状に延在する。
【0010】
印刷ヘッドは、それぞれ、アクチュエータの上面の中央領域から離れるように半径方向外向きすなわち放射状に延在する、複数の半径方向すなわち放射状の溝を含む。
【0011】
半径方向の溝はそれぞれ、半径方向の溝が溝に出会う点において溝に対して垂直に配向される。
【0012】
溝と変形可能部分の周との間の距離は、溝と変形可能部分の上面の中央領域との間の距離よりも大きい。
【0013】
溝と変形可能部分の周との間の距離は、溝と変形可能部分の上面の中央領域との間の距離よりも小さい。
【0014】
溝と支持構造の変形可能部分の周との間の距離は、変形可能部分の中心と変形可能部分の周との間の距離の20%~80%である。
【0015】
溝は、溝が、変形可能部分の周から内向きにオフセットされるように、アクチュエータの上面に沿って延在する。
【0016】
溝は、変形可能部分の周の一部から内向きにオフセットされた、ループの少なくとも一部を画定する。
【0017】
溝は、第1の溝であり、さらに、アクチュエータの上面内に画定される、第2の溝を備え、第2の溝は、第1の溝から半径方向外向きに延在する。
【0018】
第2の溝の第1の端部は、第1の溝に接続され、第2の溝の第2の端部は、アクチュエータの上面内に画定される第3の溝に接続され、第3の溝は、丸みを帯びた形状を有する。
【0019】
溝の幅は、0.1マイクロメートル~10マイクロメートルである。
【0020】
溝は、第1の端部と、第2の端部とを有する曲線を画定し、曲線は、変形可能部分の周の一部から内向きにオフセットされる。
【0021】
溝は、アクチュエータの上面から支持構造の変形可能部分の上面までのアクチュエータの厚さを通して延在する。
【0022】
変形可能部分は、酸化物層を含み、溝は、酸化物層の上面まで延在する。
【0023】
溝は、変形可能部分の周の少なくとも一部に重複する。
【0024】
溝は、第1のループの少なくとも一部を画定する、第1の溝であり、第2の溝が、アクチュエータの上面内に形成され、第2の溝は、第1のループから分離される第2のループの少なくとも一部を画定する。
【0025】
溝は、第1の溝であり、第2の溝が、アクチュエータの上面内に形成され、さらに、第1の溝および第2の溝は、アクチュエータの上面の中央領域から離れるように半径方向外向きに延在し、かつ相互に平行である。
【0026】
溝は、第1の溝であり、第2および第3の溝が、アクチュエータの上面内に形成され、第1の溝は、アクチュエータの中央領域から半径方向外向きに延在し、かつ第2の溝を第3の溝に接続し、第2の溝および第3の溝は、外部表面を横断して円周方向に延在する。
【0027】
溝は、アクチュエータの中心から離れるように半径方向外向きに延在する、第1の溝であり、アクチュエータはさらに、第2、第3、および第4の溝を画定し、第2の溝は、外部表面を横断して円周方向に延在し、第3の溝は、アクチュエータの中心から離れるように半径方向外向きに延在し、第4の溝は、外部表面を横断して円周方向に延在し、第1の溝および第2の溝は、相互に接続され、第3の溝および第4の溝は、相互に接続され、第1および第2の溝は、第3および第4の溝から分離される。
【0028】
一般的側面において、本装置は、リザーバと、印刷ヘッドとを備え、該印刷ヘッドは、圧送チャンバの少なくとも上面を画定する変形可能部分を備える、支持構造と、リザーバから圧送チャンバに流体を移送するためにリザーバから圧送チャンバに延在する、流路と、支持構造の変形可能部分上に配置されるアクチュエータであって、溝が、アクチュエータの上面内に画定される、アクチュエータとを含み、アクチュエータへの電圧の印加は、アクチュエータを溝に沿って変形させ、それによって、支持構造の変形可能部分の変形部に、流体の液滴を圧送チャンバから吐出させる。
【0029】
実施形態は、以下の特徴のうちの1つ以上のものを含むことができる。
【0030】
アクチュエータは、第1および第2の電極と、第1の電極と第2の電極との間の圧電層とを備え、印刷ヘッドは、第1および第2の電極の一方に電圧を印加し、変形可能部分を変形させるためのコントローラを備える。
【0031】
コントローラは、変形可能部分が圧送チャンバから離れるように変形するように、第1および第2の電極の一方に電圧を印加するように構成される。
【0032】
溝は、溝が、変形可能部分の周から内向きにオフセットされるように、アクチュエータの上面に沿って延在する。
【0033】
溝は、第1の端部と、第2の端部とを有する曲線を画定し、曲線は、変形可能部分の周の一部から内向きにオフセットされる。
【0034】
溝は、変形可能部分の周の一部から内向きにオフセットされたループの少なくとも一部を画定する。
【0035】
溝は、第1の溝であり、さらに、アクチュエータの上面内に画定される、第2の溝を備え、第2の溝は、第1の溝から半径方向外向きに延在する。
【0036】
第2の溝は、第1の溝に接続される、第1の端部と、第3の溝に接続される、第2の端部とを備え、第3の溝は、アクチュエータの上面上に丸みを帯びた周を画定する。
【0037】
溝は、アクチュエータの上面の中央領域から離れるように半径方向外向きに延在する。
【0038】
本装置は、複数の半径方向の溝を含み、該複数の半径方向の溝のそれぞれは、アクチュエータの上面の中央領域から離れるように半径方向外向きに延在する。
【0039】
半径方向の溝のそれぞれの経路は、溝に対して垂直である。
【0040】
溝と変形可能部分の周との間の距離は、溝とアクチュエータの上面の中央領域との間の距離よりも小さい。
【0041】
溝は、アクチュエータの上面から支持構造の変形可能部分の上面までのアクチュエータの厚さを通して延在する。
【0042】
溝の幅は、0.1マイクロメートル~10マイクロメートルである。
【0043】
溝と変形可能部分の周との間の距離は、溝とアクチュエータの上面の中央領域との間の距離よりも大きい。
【0044】
溝と変形可能部分の周との間の距離は、アクチュエータの上面の中央領域と変形可能部分の周との間の距離の20%~80%である。
【0045】
溝は、変形可能部分の周に重複する。
【0046】
溝は、第1のループの少なくとも一部を画定する、第1の溝であり、第2の溝が、アクチュエータの上面内に形成され、第2の溝は、第1のループから分離される第2のループの少なくとも一部を画定する。
【0047】
溝は、第1の溝であり、第2の溝が、アクチュエータの上面内に形成され、第1の溝および第2の溝は、アクチュエータの上面の中央領域から離れるように半径方向外向きに延在し、かつ相互に平行である。
【0048】
溝は、第1の溝であり、第2および第3の溝が、アクチュエータの上面内に形成され、第1の溝は、アクチュエータの上面の中央領域から半径方向外向きに延在し、かつ第2の溝を第3の溝に接続し、第2の溝および第3の溝は、アクチュエータの上面を横断して円周方向に延在する。
【0049】
溝は、アクチュエータの上面の中央領域から離れるように半径方向外向きに延在する、第1の溝であり、アクチュエータはさらに、第2、第3、および第4の溝を画定し、第2の溝は、アクチュエータの上面を横断して円周方向に延在し、第3の溝は、アクチュエータの上面の中央領域から離れるように半径方向外向きに延在し、第4の溝は、上面を横断して円周方向に延在し、第1の溝および第2の溝は、相互に接続され、第3の溝および第4の溝は、相互に接続され、第1および第2の溝は、第3および第4の溝から分離される。
【0050】
一般的側面において、本方法は、変形可能な支持構造上に配置される圧電性アクチュエータの電極に電圧を印加するステップであって、支持構造は、印刷ヘッドの圧送チャンバを画定する、ステップと、電圧の印加に応答して、圧電性アクチュエータの上面内に画定される溝に沿って圧電性アクチュエータを変形させるステップと、圧電性アクチュエータの変形によってもたらされる支持構造の変形可能部分の変形によって、圧送チャンバから流体の液滴を吐出するステップとを含む。
【0051】
実施形態は、以下の特徴のうちの1つ以上のものを含むことができる。
【0052】
電圧を印加するステップは、圧送チャンバの容積が増加されるように、アクチュエータを変形させるように電圧を印加するステップを含む。
【0053】
一般的側面において、本方法は、圧電性アクチュエータを印刷ヘッドの支持構造上に配置するステップであって、支持構造は、印刷ヘッドの圧送チャンバを画定する、ステップと、アクチュエータの上面内に溝を形成するステップとを含む。
【0054】
実施形態は、以下の特徴のうちの1つ以上のものを含むことができる。
【0055】
溝を形成するステップは、溝が、変形可能部分の周から内向きにオフセットされるように、溝を形成するステップを含む。
【0056】
溝を形成するステップは、溝が、第1の端部と、第2の端部とを有する曲線を画定し、かつ曲線が、変形可能部分の周の一部から内向きにオフセットされるように、溝を形成するステップを含む。
【0057】
溝を形成するステップは、溝が、変形可能部分の周の一部から内向きにオフセットされたループの少なくとも一部を画定するように、溝を形成するステップを含む。
【0058】
溝は、第1の溝であり、本方法はさらに、アクチュエータの上面内に第2の溝を形成するステップを含み、第2の溝は、第1の溝から半径方向外向きに延在する。
【0059】
本方法は、外部表面上に丸みを帯びた周を画定する、第3の溝を形成するステップを含み、第2の溝を形成するステップは、第2の溝が、第1の溝に接続される第1の端部から第3の溝に接続される第2の端部まで延在するように、第2の溝を形成するステップを含む。
【0060】
溝を形成するステップは、溝が、アクチュエータの上面の中央領域から離れるように半径方向外向きに延在するように、溝を形成するステップを含む。
【0061】
本方法は、複数の半径方向の溝を形成するステップを含み、該複数の半径方向の溝のそれぞれは、アクチュエータの上面の中央領域から離れるように半径方向外向きに延在する。
【0062】
半径方向の溝を形成するステップは、半径方向の溝のそれぞれの経路が溝に対して垂直であるように、複数の溝を形成するステップを含む。
【0063】
溝を形成するステップは、溝と変形可能部分の周との間の距離が、溝とアクチュエータの上面の中央領域との間の距離よりも小さいように、溝を形成するステップを含む。
【0064】
溝を形成するステップは、アクチュエータの上面から支持構造の変形可能部分の外部上面までのアクチュエータの厚さを通した溝を形成するステップを含む。
【0065】
溝を形成するステップは、溝の幅が、0.1マイクロメートル~10マイクロメートルであるように、溝を形成するステップを含む。
【0066】
溝を形成するステップは、溝と変形可能部分の周との間の距離が、溝とアクチュエータの上面の中央領域との間の距離よりも大きいように、溝を形成するステップを含む。
【0067】
溝を形成するステップは、溝と変形可能部分の周との間の距離が、アクチュエータの上面の中央領域と変形可能部分の周との間の距離の20%~80%であるように、溝を形成するステップを含む。
【0068】
溝を形成するステップは、溝が、変形可能部分の周に重複するように、溝を形成するステップを含む。
【0069】
溝を形成するステップは、アクチュエータの外部表面をエッチングし、溝を形成するステップを含む。
【0070】
本明細書において説明される主題の1つ以上の実装の詳細が、添付図面および下記の説明内に記載される。他の潜在的特徴、側面、および利点は、説明、図面、および請求項から明白となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0071】
図1図1は、アクチュエータの横断面斜視図である。
図2図2は、印刷ヘッドの横断面図である。
図3図3は、印刷ヘッドの一部の横断面図である。
図4図4は、流体吐出器の横断面図である。
図5A図5Aは、図3における線5A-5Aに沿って得られた印刷ヘッドの一部の横断面図である。
図5B図5Bは、図3における線5B-5Bに沿って得られた印刷ヘッドの一部の横断面図である。
図6A図6Aは、流体送達システムの上面図である。
図6B図6Bは、図6Aの流体送達システムの概略側面図である。
図7図7は、アクチュエータのある実施例の上面図である。
図8図8は、アクチュエータのある実施例の上面図である。
図9図9は、アクチュエータのある実施例の上面図である。
図10図10は、本流体送達システムのアクチュエータが変形された、流体送達システムの側面概略図である。
図11図11は、アクチュエータを製造するためのプロセスのフローチャートである。
図12図12-19は、例示的アクチュエータの上面図である。
図13図12-19は、例示的アクチュエータの上面図である。
図14図12-19は、例示的アクチュエータの上面図である。
図15図12-19は、例示的アクチュエータの上面図である。
図16図12-19は、例示的アクチュエータの上面図である。
図17図12-19は、例示的アクチュエータの上面図である。
図18図12-19は、例示的アクチュエータの上面図である。
図19図12-19は、例示的アクチュエータの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0072】
種々の図面における同様の参照番号および記号は、同様の要素を示す。
【0073】
例えば、インクジェットプリンタのための流体送達システムは、0.1ピコリットル~100ピコリットルの体積を伴う液滴等の流体の大きい液滴を吐出することが可能である、高出力アクチュエータを有することができる。高出力アクチュエータはまた、流体吐出器のサイズが低減されながら、流体送達システムから所与の液滴サイズを吐出するための能力を維持することができる。より小型の流体吐出器は、概して、それらが流体吐出器が形成される原材料上の空間をあまり占めないため、生産するためにあまり費用がかからない。さらに、より小型の流体吐出器は、より高い共振周期を有し得、故に、より急速な吐出を達成することができる。本明細書に説明される高出力アクチュエータを伴う流体送達システムは、その中に形成される1つ以上の溝を含むことにより流体吐出器からの増加された流体送達出力を促進するアクチュエータを利用する。
【0074】
図1は、例えば、図2に示される印刷ヘッド200のための、高流体送達出力に対応する流体送達システム100のある実施例を描写する。特に、図1は、印刷ヘッド200の支持構造102と、アクチュエータ108とを含む、流体送達システム100の横断面斜視図を示す。支持構造102の、変形可能膜等の変形可能部分104が、圧送チャンバ106を画定する。アクチュエータ108が、支持構造102の変形可能部分104上に位置付けられる。アクチュエータ108は、支持構造102の変形可能部分104を変形させ、したがって、流体の液滴を圧送チャンバ106から吐出させる。
【0075】
アクチュエータ108は、アクチュエータ108の外部表面112上等、アクチュエータ108内に形成される1つ以上の溝を含む、溝配列を含む。アクチュエータ108は、アクチュエータ108が、支持構造102の変形可能部分104の外側の領域内に固定されるように位置付けられることができる。この点について、アクチュエータ108が作動されると、アクチュエータ108は、変形可能部分104の領域内で変形するが、変形可能部分104の外側の領域においては変形を実質的に被らない。溝110は、所与の電圧によってアクチュエータ108が駆動されると、変形可能部分104のより高い変形を促進することができる。
【0076】
いくつかの実装では、流体送達システム100は、図2に描写されるような印刷ヘッド200の一部を形成する。印刷ヘッド200は、インク、生物学的液体、ポリマー、電子構成要素を形成するための液体、または他のタイプの流体等の流体の液滴を表面上に吐出する。印刷ヘッド200は、1つ以上の流体送達システム100を含み、各流体送達システムは、図1に関して説明されるように、対応する支持構造102およびアクチュエータ108を含む。
【0077】
図2-4を参照すると、印刷ヘッド200は、流体送達システム100の支持構造102およびインターポーザアセンブリ214に結合される、基板300を含む。基板300は、ある場合には、基板300を通した流体のための流路を画定する通路がそれを通して形成される、シリコン基板等のモノリシック半導体本体である。いくつかの実装では、基板300および特定の流体送達システム100の支持構造102は、その流体送達システムの圧送チャンバ106をともに画定する。いくつかの実装では、支持構造102は、基板300の一部である。
【0078】
印刷ヘッド200は、流体供給チャンバ204および流体帰還チャンバ206に分割される内部容積を有する、ケーシング202を含む。ある場合には、内部容積は、分割構造208によって分割される。分割構造208は、例えば、上側分割部210と、下側分割部212とを含む。流体供給チャンバ204および流体帰還チャンバ206の底部は、インターポーザアセンブリ214の上面によって画定される。
【0079】
インターポーザアセンブリ214は、接合、摩擦、または別の取付機構等によって、ケーシング202に取り付け可能である。インターポーザアセンブリ214は、例えば、上側インターポーザ216と、下側インターポーザ218とを含む。下側インターポーザ218は、上側インターポーザ216と基板300との間に位置付けられる。上側インターポーザ216は、流体供給入口222と、流体帰還出口224とを含む。流体供給入口222および流体帰還出口224は、例えば、上側インターポーザ216内の開口として形成される。
【0080】
流路226が、流体供給チャンバ204を流体帰還チャンバ206に接続するように形成される。流路226は、例えば、上側インターポーザ216、下側インターポーザ218、および基板300内に形成される。流路226は、供給チャンバ204から基板300を通した流体供給入口222の中への流体流を可能にし、そして図3に示されるように、印刷ヘッド200からの流体の吐出のための1つ以上の流体吐出部306への流体流を可能にする。いくつかの実装では、流体送達システム100は、流体吐出器306のうちの1つ以上のものを含み、流体送達システム100のアクチュエータ108は、駆動されると、圧送チャンバ106から流体吐出器306を通して流体を吐出する。流路226はまた、流体吐出部306から流体帰還出口224の中への、および帰還チャンバ206の中への流体流も可能にする。図2は、流路226を一直線の通路を形成する単一の流路として描写するが、いくつかの実装では、印刷ヘッド200は、複数の流路を含む。代替として、または加えて、流路のうちの1つ以上のものは、一直線ではない。
【0081】
流路226では、基板入口310が、供給チャンバ204から流体を受容し、基板300を通して、特に、支持構造102を通して延在し、1つ以上の入口給送チャネル304に流体を供給する。各入口給送チャネル304は、対応する入口通路を通して複数の流体吐出器306に流体を供給する。
【0082】
各流体吐出器306は、単一のノズル等の、1つ以上のノズル308を含む。ノズル308は、基板300のノズル層312内、例えば、基板300の底部表面上に形成される。いくつかの実施例では、ノズル層312は、基板300の一体型部分である。いくつかの実施例では、ノズル層312は、基板300の表面上に堆積される層である。流体は、流体吐出器306のうちの1つ以上のもののノズル308から選択的に吐出される。流体は、例えば、表面上に画像を印刷するために表面上に吐出されるインクである。
【0083】
流体は、吐出部流路400に沿って各流体吐出部306を通して流動する。吐出部流路400は、例えば、圧送チャンバ入口通路402、圧送チャンバ106、ディセンダ404、および出口通路406を含む。圧送チャンバ入口通路402は、圧送チャンバ106を入口給送チャネル304に接続する、例えば、流体的に接続する。圧送チャンバ入口通路402は、いくつかの実施例では、アセンダ410および圧送チャンバ入口412を含む。ディセンダ404は、対応するノズル308に接続される。出口通路406は、ディセンダ404を出口給送チャネル408に接続する。いくつかの実施例では、基板出口(図示せず)は、出口給送チャネル408を帰還チャンバ206に接続する。
【0084】
図3および4に示される実施例では、基板入口310、入口給送チャネル304、および出口給送チャネル408等の通路が、共通平面内に存在する。いくつかの実施例では、基板入口310、入口給送チャネル304、および出口給送チャネル408のうちの1つ以上のものは、他の通路との共通平面内に存在しない。
【0085】
図5Aおよび5Bを参照すると、基板300は、その中に形成され、相互に平行に延在する、複数の入口給送チャネル304を含む。各入口給送チャネル304は、入口給送チャネル304から延在する、例えば、入口給送チャネル304から垂直に延在する少なくとも1つの基板入口310と流体連通する。複数の出口給送チャネル408が、基板300内に形成され、ある場合には、相互に平行に延在する。各出口給送チャネル408は、出口給送チャネル408から延在する、例えば、出口給送チャネル408から垂直に延在する少なくとも1つの基板出口(図示せず)と流体連通する。いくつかの実施例では、入口給送チャネル304および出口給送チャネル408は、交互行に配列される。
【0086】
基板は、複数の流体吐出器306を含む。流体は、各流体吐出器306を通して、アセンダ410と、圧送チャンバ入口412と、圧送チャンバ106と、ディセンダ404とを含む、対応する吐出器流路400に沿って流動する。各アセンダ410は、入口給送チャネル304のうちの1つに接続される。各アセンダ410もまた、圧送チャンバ入口412を通して、対応する圧送チャンバ106に接続される。圧送チャンバ106は、関連付けられたノズル308に接続される、対応するディセンダ404に接続される。各ディセンダ404はまた、対応する出口通路406を通して、出口給送チャネル408のうちの1つに接続される。例えば、図4の流体吐出器306の横断面図が、図5Aの線4-4に沿って得られる。
【0087】
特定の流路構成は、いくつかの実装において変動し得る。いくつかの実施例では、印刷ヘッド200は、平行な列500内に配列される、複数のノズル308を含む。所与の列500内のノズル308は全て、同一入口給送チャネル304および同一出口給送チャネル408に接続されることができる。すなわち、例えば、所与の列内のアセンダ410は全て、同一入口給送チャネル304に接続されることができ、所与の列内のディセンダは全て、同一出口給送チャネル408に接続されることができる。
【0088】
いくつかの実施例では、隣接する列内のノズル308は、同一の入口給送チャネル304または同一の出口給送チャネル408に接続されることができるが、両方に接続されることはできない。別の実施例では、列500a内の各ノズル308は、入口給送チャネル304aおよび出口給送チャネル408aに接続される。隣接する列500b内のノズル308もまた、入口給送チャネル304aに接続されるが、出口給送チャネル408bには接続されない。
【0089】
いくつかの実施例では、ノズル308の列は、交互パターンにおいて同一入口給送チャネル304または同一出口給送チャネル408に接続されることができる。印刷ヘッド200についてのさらなる詳細は、米国特許第7,566,118号(その内容は、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる)に見出されることができる。
【0090】
再び、図3を参照すると、各流体吐出器306は、圧電性アクチュエータ、抵抗加熱器、または別のタイプのアクチュエータ等の、対応するアクチュエータ108を有する。各流体吐出器306の圧送チャンバ106は、対応するアクチュエータ108に接近している。各アクチュエータ108は、例えば、圧送チャンバ106を加圧するような様式で変形することによって、対応する圧送チャンバ106を加圧するように選択的に作動されるように構成される。圧送チャンバ106が加圧されると、流体が、加圧された圧送チャンバに接続されるノズル308から吐出される。
【0091】
図6Aおよび6Bを参照すると、アクチュエータ108は、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)の層等の圧電層314を含む。圧電層314は、約50μm以下、例えば、約1μm~約25μm、例えば、約2μm~約5μmの厚さを有することができる。図3の実施例では、圧電層314は、連続的である。いくつかの実施例では、圧電層314は、不連続的である。圧電層314は、不連続的である場合、例えば、加工の間のエッチングまたは鋸切断ステップによって形成される、2つ以上の非連結部分を含む。
【0092】
いくつかの実装では、アクチュエータ108は、第1の電極と、第2の電極とを含む。圧電層314は、第1の電極と第2の電極との間に位置付けられる。第1の電極は、例えば、駆動電極316であり、第2の電極は、例えば、接地電極318である。駆動電極316および接地電極318は、例えば、銅、金、タングステン、酸化インジウムスズ(ITO)、チタン、白金、または伝導性材料の組み合わせ等の伝導性材料(例えば、金属)から形成される。駆動電極316および接地電極318の厚さは、例えば、約3μm以下、約2μm以下、約0.23μm、約0.12μm、約0.5μmである。いくつかの実装では、駆動電極316および接地電極318は、異なるサイズである。接地電極318は、例えば、駆動電極316の厚さの100%~300%である厚さを有する。一実施例では、接地電極318は、0.23μmの厚さを有し、駆動電極316は、0.12μmの厚さを有する。
【0093】
支持構造102は、アクチュエータ108と圧送チャンバ106との間に位置付けられ、それによって、接地電極318を圧送チャンバ106内の流体から隔離する。いくつかの実施例では、支持構造102は、基板300と別個である層である。いくつかの実施例では、支持構造102は、基板300と一体化されている。図6Aおよび6Bは、支持構造102と圧電層314との間に位置付けられる接地電極318を描写するが、いくつかの実装では、駆動電極316は、支持構造102と圧電層314との間に位置付けられる。
【0094】
圧電性アクチュエータ108を作動させるために、電圧が、駆動電極316と接地電極318との間に印加され、電圧を圧電層314に印加することができる。印加された電圧は、圧電性アクチュエータ上に極性を誘起し、これは、圧電層314を偏向させ、ひいては、支持構造102を変形させる、例えば、支持構造102の変形可能部分104を変形させる。支持構造102の変形可能部分104の偏向は、圧送チャンバ106の容積の変化をもたらし、圧送チャンバ106内に圧力パルスを産出する。圧力パルスは、ディセンダ404を通して対応するノズル308に伝搬し、したがって、流体の液滴をノズル308から吐出させる。
【0095】
印刷ヘッド200は、いくつかの実装では、支持構造102の変形可能部分104を変形させるように駆動電極316に電圧を印加するための、コントローラ600を含む。コントローラ600は、例えば、駆動部602、例えば、駆動電極316に印加される電圧を変調させるための制御可能な電圧源を動作させる。印加された電圧は、支持構造102の変形可能部分104を選択可能な量だけ変形させる。いくつかの実装では、電圧は、支持構造102の変形可能部分104が圧送チャンバ106から離れるように変形するような様式で、駆動電極316に印加される。印加された電圧は、例えば、電圧差、例えば、圧電層314を駆動電極316に向かって偏向させる接地電極318と駆動電極316との間の極性をもたらす。この点について、接地電極318が、変形可能部分104と圧電層314との間に位置付けられる場合、変形可能部分104は、圧送チャンバ106から離れるように変形する。
【0096】
いくつかの実装では、支持構造102は、シリコン、例えば、単結晶シリコンの単一の層から形成される。いくつかの実装では、支持構造102は、別の半導体材料の層、酸化アルミニウム(AlO2)または酸化ジルコニウム(ZrO2)等の酸化物、ガラス、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、他のセラミックまたは金属の1つ以上の層、シリコン・オン・インシュレータ、または他の材料から形成される。支持構造102は、例えば、支持構造102の変形可能部分104が、アクチュエータ108が駆動されると、流体の液滴を吐出するように十分に撓曲するような弾性を有する不活性材料から形成される。いくつかの実施例では、支持構造102は、接着部302を用いてアクチュエータ108に固着される。いくつかの実施例では、基板300、ノズル層312、および変形可能部分104のうちの2つ以上のものが、一体化本体として形成される。
【0097】
いくつかの実装では、アクチュエータは、アクチュエータの外部表面内に形成される1つ以上の溝を含む、溝配列を含む。溝は、図7-9に示されるもの等の種々の形状を呈することができる。本明細書に説明される溝の実施例は、より多くの量の流体が、アクチュエータ上により大きいフープ応力をもたらすことなく、アクチュエータの動作の間に圧送チャンバから吐出されることを可能にすることができる。図10は、流体送達システム1000のアクチュエータ1002の動作のある実施例を描写する。駆動されると、アクチュエータ1002は、圧送チャンバ1004からノズル(図示せず)を通して流体を吐出するような様式で偏向する。アクチュエータ1002が変形されると、圧送チャンバ1004が、流体を吐出するように膨張する。ある場合には、本明細書に説明されるように、アクチュエータ1002上に形成された溝が、流体を吐出するための圧送チャンバ1004の容積膨張の量を前提として、アクチュエータ1002内のフープ応力の量を低減させる。
【0098】
図10の挿入部1006に示されるように、溝1008が、支持構造102の変形可能部分104の周1010内に形成される。いくつかの実装では、溝1008は、アクチュエータ1002の外部表面1014から変形可能部分104の外部表面1016まで延在する。いくつかの実装では、変形可能部分104は、酸化物層1018を含み、変形可能部分104の外部表面1016は、酸化物層1018の外部表面である。
【0099】
アクチュエータ1002が駆動され、変形可能部分104を変形させる、アクチュエータ1002の動作の間、溝1008は、円周方向に延在することによって、ヒンジとしての役割を果たす。特に、溝1008の位置は、アクチュエータ1002が偏向されるときのアクチュエータ1002の湾曲の変曲点の場所を決定する。変曲点は、アクチュエータ1002の湾曲が符号を変更する点、例えば、アクチュエータ1002が内向きの曲線から外向きの曲線または外向きの曲線から内向きの曲線になる点に対応する。溝1008は、この点について、変形可能部分104の周1010に近接してまたはその中心1020に近接して位置付けられる。本様式で位置付けられることによって、アクチュエータ1002のより多くの部分が、同一の方向に湾曲される、例えば、内向きに湾曲される、または外向きに湾曲される。結果として、アクチュエータ1002は、より大きい変形を達成し、それによって、圧送チャンバ1004のより大きい達成可能な容積膨張をもたらすことができる。溝1008が、周1010の近傍に位置付けられる場合、溝1008と中心1020との間の領域における変形可能部分104の変形は、溝を伴わない変形可能部分の変形より大きい。溝1008が、中心1020の近傍に位置付けられる場合、周1010と溝1008との間の領域における変形可能部分104の変形は、溝を伴わない変形可能部分の変形より大きい。溝1008は、したがって、アクチュエータ1002が駆動されるとき、圧送チャンバ1004から吐出され得る流体の量を増加させることができる。特に、圧送チャンバ1004から吐出される流体の各液滴は、0.01mL~80mLの体積を有する。
【0100】
本明細書に説明されるように、アクチュエータ1002は、電圧差、例えば、その電極1022と1024との間で維持される極性に応答して変形する、圧電性アクチュエータである。図10に示されるように、アクチュエータ1002を動作させるために、第1の電圧Vが、アクチュエータ1002の電極1022に印加される。第2の電圧Vが、アクチュエータ1002の電極1024に印加され、電極1022と1024との間の極性を維持する。コントローラ1025は、例えば、第1の電圧Vを印加するように駆動部1027を動作させ、コントローラ1025は、第2の電圧Vを印加するように駆動部1027を動作させる。極性は、支持構造102によって画定された圧送チャンバ1004が、例えば、流体吐出器306を通して流体の液滴を吐出するように、溝1008に沿ってアクチュエータ1002を変形させる。
【0101】
ある場合には、第1の電圧Vは、接地電圧であり、第2の電圧Vは、電圧源、例えば、駆動部1027によって印加される電圧である。この点について、電極1022は、接地電極に対応し、電極1024もまた、接地電極に対応する。
【0102】
いくつかの実装では、第2の電圧Vは、印加されると、圧送チャンバ1004の容積を増加させる様式でアクチュエータ1002を変形させる。第2の電圧Vが低減されると、圧送チャンバ1004の容積が、減少し、それによって、流体の液滴を吐出させる。
【0103】
図10は、溝1008を円周方向に延在する溝として描写する一方、いくつかの実装では、溝1008を含むことに加えて、アクチュエータ1002は、半径方向に延在する溝、丸みを帯びた溝、または本明細書に説明されるような他の溝を含む。本明細書に説明されるように、溝の種々の配列が、所与の電圧によって駆動されると、アクチュエータの偏向の量を増加させ、アクチュエータの偏向の所与の量によって引き起こされるフープ応力を低減させることが可能である。図7を参照すると、ある実施例では、アクチュエータ700は、溝702を含む、溝配列を含む。溝702は、半径方向に延在する溝、例えば、支持構造の変形可能部分の中心704から離れるように半径方向外向きに延在する溝等である。本明細書に説明されるように、半径方向に延在する溝702は、それを通して溝702が延在するアクチュエータ700を通したフープ応力を低減させることができる。
【0104】
いくつかの実装では、溝配列は、複数の半径方向に延在する溝を含む。溝702は、例えば、複数の半径方向に延在する溝702のうちの1つである。半径方向に延在する溝702は、例えば、相互に対して角度付けられる。半径方向に延在する溝702はそれぞれ、例えば、中心704から離れるように半径方向外向きに延在する。中心704は、例えば、変形可能部分104の幾何中心に対応する。
【0105】
溝配列が複数の溝を含む実装において、アクチュエータ700を通した溝702の分布は、いくつかの実施例では、変形可能部分の周712の曲率に依存する。溝702はそれぞれ、周712を通過する対応する軸に沿って延在する。対応する軸は、例えば、変形可能部分の中心704から、周712を通して延在する。いくつかの実装では、周712が、より低い曲率部分と、より高い曲率部分とを含む場合、アクチュエータ700は、より低い曲率部分における単位長さあたりの溝の数と異なる、より高い曲率部分における単位長さあたりの溝の数を有する。特に、より高い曲率部分における単位長さあたりの溝の数は、より低い曲率部分における単位長さあたりの溝の数よりも多いことができる。周712の最も高い曲率部分は、最も高いフープ応力を有する変形可能部分の部分に対応することができる。より高い曲率部分に近接するより多い溝702の数は、したがって、これらの部分の近傍のより高いフープ応力を低減させることができる。
【0106】
いくつかの実装では、アクチュエータ700の溝配列は、円周方向の溝等の溝708を含む。溝708は、例えば、周712から内向きに(例えば、変形可能部分の中心704に向かって)オフセットされる。溝708は、周712の一部から内向きにオフセットされる、ループを画定する。いくつかの実施例では、溝708によって画定されるループの形状は、変形可能部分の周712を辿ることができる。いくつかの実装では、溝708の中心は、変形可能部分の中心704と一致し、例えば、溝708によって囲まれる面積の幾何中心は、変形可能部分の幾何中心と一致する。溝708は、中心704から延在する半径に沿ったアクチュエータ700の変形が、そのような溝を伴わないアクチュエータにおいて予期される変形より周712から溝708において大きくなるように位置付けられる。
【0107】
溝708によって画定されたループは、アクチュエータ700の中心704を囲繞する連続的なループであり得る。この点について、溝708は、アクチュエータ700を、中心内側部分711aと、中心内部部分711bを囲繞する外側部分711bとに分割する。溝702は、外側部分711bを通して半径方向に延在する。中心内側部分711aは、外側部分711bに対して不連続的であり、溝708によって外側部分711bから分離されている。
【0108】
ある場合には、溝708と変形可能部分の周712との間の距離714は、溝708と変形可能部分の中心704との間の距離716よりも大きい。ある場合には、溝と周712との間の距離714は、溝708と中心704との間の距離716の20%~80%である。
【0109】
いくつかの実装では、アクチュエータ700の電極、例えば、駆動電極316は、アクチュエータ700の外部表面上かつ溝708と変形可能部分の周712との間に位置付けられる。この点について、アクチュエータ700の電極は、内周囲長および外周囲長を有するリングである。リング電極の厚さ(例えば、内周囲長と外周囲長との間の距離)は、溝708と変形可能部分の周712との間の距離714以下であり得る。アクチュエータ700の溝配列は、アクチュエータ700の電極が、アクチュエータ700が溝配列を有していない場合より変形可能部分の中心704に近接して位置付けられることを可能にすることができる。
【0110】
図7に描写されるように、いくつかの実装では、アクチュエータ700の溝配列は、溝702および溝708の両方を含む。溝702は、例えば、溝702が溝708に出会う点において溝708に対して垂直である。アクチュエータ700が、複数の溝702を含む場合、複数の溝702はそれぞれ、溝702が溝708に出会う点において溝708に対して垂直である。いくつかの実装では、アクチュエータ700は、円周方向の溝708を伴わずに1つ以上の半径方向に延在する溝702のみを含む。いくつかの実施例では、アクチュエータ700は、半径方向に延在する溝702を伴わずに円周方向の溝708のみを含む。
【0111】
図7のアクチュエータ700と同様に、図8に示されるアクチュエータ800の実施例は、1つ以上の半径方向に延在する溝802を含む溝配列を含む。半径方向に延在する溝802はそれぞれ、第1の端部804と、第2の端部806とを含む。第1の端部804は、例えば、周810によって画定される変形可能部分の中心808に近接する。第2の端部806は、例えば、変形可能部分の周に近接する。アクチュエータ700の溝配列は、アクチュエータ800の外部表面813上に丸みを帯びた周を有する、溝812を含む。溝802は、周810に向かってある長さに沿って半径方向に延在し、溝812は、例えば、溝802の幅よりも大きい幅を有する。溝812の幅は、例えば、溝812が接続される溝802の幅よりも大きい。溝812は、例えば、アクチュエータ800の外部表面813上に円形または楕円形の周を有する。溝812が、円形または楕円形の周を有する場合、ある場合には、周は、溝802の幅よりも大きい直径を有する。
【0112】
溝802の第2の端部806における溝812は、溝802の第2の端部806に近接するアクチュエータ800によって被られる応力を低減させることができる。例えば、溝812の丸みを帯びた幾何学形状は、アクチュエータ800が変形されるとき、溝802の第2の端部806における応力集中の大きさを低減させることができる。
【0113】
いくつかの実装では、溝812は、複数の溝812のうちの1つであり、例えば、溝配列は、複数の溝812を含む。溝812はそれぞれ、対応する半径方向に延在する溝802の第2の端部に位置付けられる。いくつかの実施例では、アクチュエータ800は、図7に関して説明される溝708に類似する、溝814を含む。この点について、アクチュエータ800の溝配列は、3つの相互接続された溝、例えば、溝802と、溝812と、溝814とを含む。
【0114】
いくつかの実装では、溝802、814の幅は、0.1~10マイクロメートル、例えば、0.1~1マイクロメートル、および1~10マイクロメートルである。いくつかの実装では、溝812の幅は、0.1~100マイクロメートル、例えば、0.1~1マイクロメートル、1~10マイクロメートル、および10~100マイクロメートルである。
【0115】
アクチュエータ700、800の実施例が、それぞれ、変形可能部分の周よりも変形可能部分の中心に近接している溝708、814を含む一方、いくつかの実装では、図9に示されるように、アクチュエータ900は、変形可能部分の中心906よりも変形可能部分の周904に近接している溝902を含む溝配列を含む。図9に示されるように、溝902は、変形可能部分の周904の外側に位置付けられる。代替として、または加えて、溝902は、周904の内側に位置付けられる。いくつかの実装では、周904および溝902は、相互に重複する。
【0116】
溝902および周904は、ある場合には、重複する。溝902は、溝902が、変形可能部分の周904を辿るまたはそれに重複するように、アクチュエータ900上に配列される。周904に沿って位置付けられることによって、溝902は、変形可能部分の周904が支持し得るモーメントの量を減少させることができる。結果として、変形可能部分は、所与の電圧に応答してより大きい量変形する。いくつかの実装では、アクチュエータ900の電極、例えば、駆動電極316は、アクチュエータ700の外部表面上かつ溝902と変形可能部分の周904との間に位置付けられる。この点について、アクチュエータ900の電極は、距離913にほぼ等しい半径を有する、例えば、周904から距離911をあけて位置付けられる周を有する、円形プレートである。
【0117】
ある場合には、溝902は、第1の端部908と、第2の端部910とを有する、曲線を画定する。第1の端部908は、例えば、電極914に電圧を印加するために、電極914を電気システム915に接続し、例えば、電極914を図6に関して説明されるコントローラ600および駆動部602に接続する、電気コネクタ912に近接する。この点について、電極914は、変形可能部分の中心906においてアクチュエータの外部表面922上に位置付けられる。第2の端部910は、例えば、圧送チャンバ入口930、例えば、圧送チャンバ入口412に近接する。圧送チャンバ入口は、例えば、基板、例えば、溝902の第2の端部910に近接する場所において、基板300を通して延在し、圧送チャンバ932、例えば、圧送チャンバ106に接続する。
【0118】
いくつかの実装では、溝902は、溝902と、別の溝916とを含む溝配列の一部である。溝配列は、例えば、溝が、周904の部分からオフセットされるように延在する、不連続的な溝のセットを含む。溝902および溝916は、例えば、外部表面922および外部領域926上に内部領域924を画定する。ある場合には、電極914は、内部領域924内に位置付けられ、溝902および溝916は、電気コネクタ912が内部領域924から外部領域926に通過することを可能にするように位置付けられる。溝902および溝916は、中心906から延在する半径に沿ったアクチュエータ900の変形が、外部領域926から内部領域924に急激に増加するように位置付けられる。より大きな変形が、溝および溝916に近接する領域に限局化される。この点について、ある場合には、溝902および溝916は、より大きな変形の領域が、圧送チャンバ入口930から隔離されるように位置付けられる。
【0119】
溝916は、第1の端部918と、第2の端部920とを有する。溝916の第1の端部918は、例えば、圧送チャンバ入口930に近接し、溝916の第2の端部920は、例えば、電気コネクタ912に近接する。溝916の第1の端部918および溝902の第2の端部は、アクチュエータの外部表面922上に間隙を画定する。電気コネクタ912は、間隙を通過する。電気コネクタ912は、変形に起因する損傷が生じやすくあり得る。間隙は、電気コネクタ912の領域内の変形を低減させ、それによって、アクチュエータ900が駆動されるときの電気コネクタ912の損傷のリスクを低減させることができる。溝916の第2の端部920および溝902の第1の端部908は、アクチュエータの外部表面922上に間隙を画定する。基板の圧送チャンバ入口930は、間隙の場所において基板を通して延在する。圧送チャンバ入口930の近傍の領域における変形は、圧送チャンバから吐出される流体の量を低減させる、流動動態をもたらすことができる。本間隙は、圧送チャンバ入口930の近傍の領域における変形可能部分の変形を低減させ、それによって、圧送チャンバから吐出される流体の出力を増加させることができる。いくつかの実装では、アクチュエータ900は、溝の第1の端部908および第2の端部910が両方、電気コネクタ912および/または圧送チャンバ入口930に近接する、単一の溝902を含む。
【0120】
図11は、流体送達システム、例えば、圧電性アクチュエータおよび支持構造を含む、本明細書に説明される流体送達システムのうちの1つを製造するためのプロセス1100を描写する。動作1102において、圧電性アクチュエータが、支持構造上に位置付けられる。動作1104において、溝が、アクチュエータの外部表面上に形成される。例えば、溝は、乾式または湿式エッチング、機械的鋸切断、または他のプロセスによって形成されることができる。
【0121】
いくつかの実装が、説明されている。但し、種々の修正が、他の実装において存在する。
【0122】
図7-9は、アクチュエータの外部表面上に形成される溝の種々の配列を示すが、他の実装では、溝の配列は、変動し得る。例えば、図12-19は、代替の溝配列を示す。図12-18に描写されるアクチュエータは、支持部材、例えば、アクチュエータの内側部分をアクチュエータの外側部分に接続するコネクタを含む。これらの支持部材は、アクチュエータとアクチュエータが接着されている下層の支持構造との間の接続を強化することができる。特に、これらの支持部材は、アクチュエータが変形されるとき、層間剥離を防止することができる。加えて、支持部材は、破損に対してアクチュエータを強化することができる。例えば、支持部材の存在は、アクチュエータの中央領域が破損することを防止することができる。
【0123】
図12において、アクチュエータ1200は、アクチュエータ1200の中心1204から半径方向外向きに延在する、複数の半径方向に延在する溝1202a、1202b、1202c、1202d、および1202e(集合的に溝1202と称される)を含む。いくつかの実施例では、アクチュエータ1200を中心とした半径方向に延在する溝1202の分布は、図7に関して説明される半径方向に延在する溝702の分布に類似し得る。アクチュエータ1200は、半径方向に延在する溝1202を相互に接続する、1つ以上の円周方向に延在する溝1208a、1208bを含む。アクチュエータ1200の中心1204のまわりに閉ループを形成するアクチュエータ700の溝708とは異なり、溝1208a、1208bは、相互に接続しない。この点について、アクチュエータ1200は、連続的なループである溝を含まない。図12の実施例では、円周方向に延在する溝1208aは、半径方向に延在する溝1202a、1202eに接続され、円周方向に延在する溝1208bは、半径方向に延在する溝1202b、1202cに接続されるが、他の配列もまた、可能性として考えられる。図12に示されるように、いくつかの実装では、溝のうちの1つ以上のもの、例えば、溝1202dは、他の半径方向に延在する溝1202b-eのうちのいずれにも接続されず、他の円周方向に延在する溝のうちのいずれにも接続されない、例えば、溝1208a、1208bには接続されない。
【0124】
アクチュエータ1200は、連続的なループを形成する溝を含まないため、アクチュエータ1200の中心内側部分1211aが、溝1208aと1208bとの間に延在するコネクタ1213a、1213bによって、アクチュエータ1200の外側部分1211bに接続される。図12の実施例では、コネクタ1213aは、溝1208a、1202bから溝1202dを分離し、コネクタ1213a、1213bはさらに、溝1208a、1208bを相互から分離するが、コネクタはまた、溝に対して他の場所に設置されることができる。外側部分1211bに接続されることによって、中心部分1211aは、中心部分1211aを外側部分1211bに接続するコネクタ1213a、1213bによって提供される支持のため、より容易に下層の支持構造に付着されたままであることができる。いくつかの実装では、コネクタ1213a、1213bの幅は、本明細書に説明される他の溝に類似する幅を有するアクチュエータ1200の溝の幅の0.5~10倍である。
【0125】
図13では、アクチュエータ1300は、アクチュエータ1300の中心1304から半径方向外向きに延在する、複数の半径方向に延在する溝1302a、1302b、1302c、1302d、および1302e(集合的に溝1302と称される)を含む。いくつかの実施例では、アクチュエータ1300は、円周方向に延在する溝1308a、1308bが、相互に接続せず、半径方向に延在する溝1302から分離されているという点において、アクチュエータ1200と異なる。いくつかの実施例では、アクチュエータ1200の溝1202とは異なり、半径方向に延在する溝1302はそれぞれ、他の半径方向に延在する溝1302のうちの少なくとも1つに接続されることができる。アクチュエータ1300は、半径方向に延在する溝1302を相互に接続する、接続溝1309a、1309bを含む。例えば、接続溝1309bは、半径方向に延在する溝1302a、1302bを相互に接続し、接続溝1309aもまた、半径方向に延在する溝1302c-1302eを相互に接続するが、他の配列もまた、可能性として考えられる。いくつかの実装では、接続溝1309a、1309bは、円周方向に延在する溝である一方、他の実装では、接続溝1309a、1309bは、アクチュエータ1300の中心1304から離れるように湾曲する。
【0126】
いくつかの実施例では、アクチュエータ1200の中心部分1211aと同様に、アクチュエータ1300の中心部分1311aは、コネクタ1313a、1313b、1313c、1313dによって、アクチュエータ1300の外側部分1311bに接続されることができる。コネクタ1313aは、溝1308aと接続溝1309aとの間に延在し、コネクタ1313bは、溝1308bと接続溝1309aとの間に延在し、コネクタ1313cは、溝1308bと接続溝1309bとの間に延在し、コネクタ1313dは、溝1308aと接続溝1309bとの間に延在する。外側部分1311bに接続されることによって、中心部分1311aは、中心部分1311aを外側部分1311bに接続するコネクタ1313a、1313b、1313c、1313dによって提供される支持のため、より容易に下層の支持構造に付着されたままであることができる。
【0127】
図14では、アクチュエータ1400は、アクチュエータ1400の中心1404から半径方向外向きに延在する、複数の半径方向に延在する溝1402a、1402b、1402c、1402d、および1402e(集合的に溝1402と称される)を含む。いくつかの実施例では、アクチュエータ1400は、円周方向に延在する溝1408a、1408bが相互に対して不連続的である点において、アクチュエータ1300に類似し得る。いくつかの実施例では、アクチュエータ1300の円周方向に延在する溝1308a、1308bとは異なり、溝1408a、1408bは、それぞれ、半径方向に延在する溝1402のうちの少なくとも1つに接続されることができる。例えば、半径方向に延在する溝1402eが、円周方向に延在する溝1408aに接続され、半径方向に延在する溝1402cが、円周方向に延在する溝1408bに接続される。半径方向に延在する溝1402a、1402bは、接続溝1409によって、相互に接続される。図14に示されるように、半径方向に延在する溝1402dは、任意の他の半径方向に延在する溝に接続されず、円周方向の溝1408aのうちのいずれのものにもまた接続されない。本溝配列を用いて、コネクタ1413a、1413b、1413cは、アクチュエータ1400の中心内側部分1411aをアクチュエータ1400の外側部分1411bに接続する。コネクタ1413aは、円周方向の溝1408a、1408bから半径方向に延在する溝1402dを分離し、円周方向の溝1408a、1408bを相互から分離する。コネクタ1413bは、円周方向の溝1408aから溝1402a、1402b、および接続溝1409を分離し、コネクタ1413cは、円周方向の溝1408bから溝1402a、1402b、および接続溝1409を分離する。
【0128】
図15の実施例では、アクチュエータ1500は、円周方向の溝1508aが、接続溝1509aに接続され、ひいては、円周方向の溝1508aを半径方向に延在する溝1502a、1502bに接続する点において、アクチュエータ1400と異なる。これらの溝は、溝の第1のセットを形成する。円周方向の溝1508bは、接続溝1509bに接続され、ひいては、円周方向の溝1508bを半径方向に延在する溝1502c、1502d、1502eに接続する。これらの溝は、溝の第2のセットを形成する。いくつかの実施例では、アクチュエータ1400の円周方向の溝1408a、1408bと同様に、円周方向の溝1508a、1508bは、相互から分離されることができる。この点について、溝の第1のセットは、溝の第2のセットから分離される。コネクタ1513a、1513bは、アクチュエータ1500の外側部分1511bからのアクチュエータ1500の中心内側部分1511aを接続し、溝の第2のセットから溝の第1のセットを分離する。
【0129】
図16の実施例では、アクチュエータ1600は、アクチュエータ1600が、溝の第1のセットを溝の第2のセットに接続する、接続溝1609cを含むという点において、アクチュエータ1500と異なる。溝の第1のセットは、円周方向の溝1608aを半径方向に延在する溝1602a、1602bに接続する接続溝1609aに直接接続される、円周方向の溝1608aを含む。溝の第2のセットは、円周方向の溝1608bを半径方向に延在する溝1602c、1602d、1602eに接続する接続溝1609bに直接接続される、円周方向の溝1608bを含む。接続溝1609cは、円周方向の溝1608aを円周方向の溝1608bに直接接続し、それによって、溝の第1のセットを溝の第2のセットに接続する。いくつかの実装では、接続溝1609cは、複数の半径方向において中心1606から円周方向の溝1608a、1608bまで半径方向外向きに延在するアクチュエータ1600の中心1606を通して延在する。この点について、コネクタ1613a、1613bは、コネクタ1513a、1513bの幅よりも大きい、例えば、コネクタ1513a、1513bの幅よりも2~15倍大きい幅を有する。さらに、アクチュエータ1500の内側部分1511aとは異なり、アクチュエータ1600の内側部分は、接続溝1609cによって、第2の内側部分1611bから分離された、第1の内側部分1611aに分割される。コネクタ1613aは、第1の内側部分1611aをアクチュエータ1600の外側部分1611cに接続し、コネクタ1613bは、第2の内側部分1611bを外側部分1611cに接続する。
【0130】
図17の実施例では、アクチュエータ1700は、半径方向に延在する溝1702a-1702iと、接続溝1709a、1709bとを含む。いくつかの実施例では、半径方向に延在する溝1702a-1702eは、図13に関して説明される半径方向に延在する溝1302a-1302eに類似し得、接続溝1709a、1709bは、接続溝1309a、1309bに類似する。円周方向の溝1308a、1308bと同様に、円周方向の溝1708a、1708bは、半径方向に延在する溝1702a-1702eから分離される。いくつかの実施例では、円周方向の溝1308a、1308とは異なり、円周方向の溝1708a、1708bは、半径方向に延在する溝1702f-1702iに接続されることができる。特に、円周方向の溝1708aは、半径方向に延在する溝1702fおよび半径方向に延在する溝1702iに接続され、円周方向の溝1708bは、半径方向に延在する溝1702gおよび半径方向に延在する溝1702hに接続される。半径方向に延在する溝1702f-1702iは、それぞれ、半径方向に延在する溝1702a-1702c、1702eに平行に、半径方向外向きに延在する。コネクタ1713a-1713dは、半径方向に延在する溝1702f-1702iと半径方向に延在する溝1702a-1702c、1702eとの間に位置付けられ、アクチュエータ1700の中心内側部分1711aをアクチュエータ1700の外側部分1711bに接続する。この点について、コネクタ1713a-1713dは、半径方向外向きに延在し、アクチュエータ1700の周1612に近接して終端する。
【0131】
図18の実施例では、アクチュエータ1800は、アクチュエータ1700の半径方向に延在する溝1702c-1702iに類似する、半径方向に延在する溝1802a-1802gを含む。いくつかの実施例では、アクチュエータ1800は、円周方向の溝1708a、1708bに類似する、円周方向の溝1808a、1808bを含むことができる。いくつかの実施例では、アクチュエータ1800は、アクチュエータ1700の接続溝1709aに類似する接続溝を含まず、アクチュエータ1700の接続溝1708bに類似する接続溝1809を含む。アクチュエータ1800は、アクチュエータ1800が、アクチュエータ1700の半径方向に延在する溝1702a、1702bに類似する溝を含まないという点において、アクチュエータ1700と異なり得る。結果として、アクチュエータ1800は、アクチュエータ1700のコネクタ1713c、1713dに類似するコネクタ1813b、1813cを含むが、アクチュエータ1800は、コネクタ1713a、1713bに類似するコネクタを含まない。むしろ、アクチュエータ1800は、アクチュエータ1800の内側部分1811aをアクチュエータ1800の外側部分1811bに接続する、コネクタ1813aを含む。コネクタ1813aは、アクチュエータ1200のコネクタ1213bに類似する。
【0132】
図19は、アクチュエータ1200の半径方向に延在する溝1202a-1202eに類似する、半径方向に延在する溝1902a、1902b、1902c、1902d、1902e(集合的に半径方向に延在する溝1902と称される)を含む、アクチュエータ1900のある実施例を示す。いくつかの実施例では、溝1202とは異なり、溝1902が、中心溝1903によって相互に接続される。アクチュエータ1200の中心内側部分1211aのような中心内側部分を含む代わりに、アクチュエータ1900は、半径方向に延在する溝1902を相互に接続する、中心溝1903を含む。結果として、アクチュエータ1900は、下層の支持構造からの層間剥離のリスクがあり得る、中心内側部分を含まない。
【0133】
本明細書に説明されるアクチュエータは、いくつかの実装では、ユニモルフである。この点について、そのような実装におけるアクチュエータは、単一の活性層と、単一の不活性層とを含む。アクチュエータ108は、例えば、支持構造102を含む。この点について、圧電層314は、活性層に対応し、支持構造102、例えば、支持構造102の変形可能部分104は、不活性層に対応する。
【0134】
1つの具体的な実施例では、印刷ヘッドは、16個の流体吐出器としての役割を果たす(故に、給送チャネルと関連付けられた16のメニスカスが、存在する)、給送チャネル(例えば、入口給送チャネル304または出口給送チャネル408)を有する。給送チャネルは、0.39mmの幅、0.27mmの深度、および6mmの長さを有する。シリコンノズル層312の厚さは、30μmであり、ノズル層312の弾性係数は、186E9Paである。各メニスカスの半径は、例えば、7~25μmである。水系インクのための典型的体積弾性係数は、約B=2E9Paであり、典型的表面張力は、約0.035N/mである。
【0135】
故に、他の実装もまた、本請求項の範囲内である。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
【手続補正書】
【提出日】2022-04-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周が圧送チャンバの上面の外周を画定する変形可能部分を備える支持構造と、
前記支持構造の前記変形可能部分上に配置されるアクチュエータとを備え、
アクチュエータの上面内に溝が画定され、溝は前記変形可能部分の外周の一部から内向きにオフセットされたループの少なくとも一部を画定し、該溝の全体が前記変形可能部分の外周内にある、印刷ヘッド。
【請求項2】
外周が圧送チャンバの上面の外周を画定する変形可能部分を備える支持構造と、
前記支持構造の前記変形可能部分上に配置されるアクチュエータとを備え、
前記変形可能部分の外周が前記圧送チャンバの外周と整列しており、
前記アクチュエータの上面に溝が形成され、前記溝の全体が前記変形可能部分の外周内にある、印刷ヘッド。
【請求項3】
前記溝は、前記アクチュエータの上面の中央領域から半径方向外向きに延在する、請求項1または2に記載の印刷ヘッド。
【請求項4】
前記溝は、前記変形可能部分の前記外周の一部から内側にオフセットされた、ループの少なくとも一部を画定する、請求項2に記載の印刷ヘッド。
【請求項5】
前記溝は、第1のループの少なくとも一部を画定する第1の溝であり、前記アクチュエータの前記上面に第2の溝が形成され、前記第2の溝は、前記第1のループから離れた第2のループの少なくとも一部を画定する、請求項2に記載の印刷ヘッド。
【請求項6】
前記アクチュエータへの電圧の印加は、前記アクチュエータを前記溝に沿って変形させ、それによって、前記変形可能部分の変形部に、流体の液滴を前記圧送チャンバから吐出させる、請求項1または2に記載の印刷ヘッド。
【請求項7】
複数の半円方向の溝を備え、前記複数の半円方向の溝のそれぞれは、前記アクチュエータの上面の中央領域から離れるように半径方向外向きに延びる、請求項1または2に記載の印刷ヘッド。
【請求項8】
前記半円方向の溝はそれぞれ、前記半円方向の溝が前記中央領域の前記溝に出会う点において該溝に対して垂直に配向される、請求項7に記載の印刷ヘッド。
【請求項9】
前記溝と前記変形可能部分の外周との間の距離は、前記溝と前記変形可能部分の上面の中央領域との間の距離よりも大きい、請求項1または2に記載の印刷ヘッド。
【請求項10】
前記溝と前記変形可能部分の外周との間の距離は、前記溝と前記変形可能部分の上面の中央領域との間の距離よりも小さい、請求項1または2に記載の印刷ヘッド。
【請求項11】
前記溝は、第1の溝であり、さらに、前記アクチュエータの上面内に画定される、第2の溝を備え、前記第2の溝は、前記第1の溝から半径方向外向きに延在する、請求項1または2に記載の印刷ヘッド。
【請求項12】
前記第2の溝の第1の端部は、前記第1の溝に接続され、前記第2の溝の第2の端部は、前記アクチュエータの上面内に画定される第3の溝に接続され、前記第3の溝は、丸みを帯びた形状を有する、請求項11に記載の印刷ヘッド。
【請求項13】
前記溝の幅は、0.1マイクロメートル~10マイクロメートルである、請求項1または2に記載の印刷ヘッド。
【請求項14】
前記溝は、前記アクチュエータの上面から前記支持構造の変形可能部分の上面までの前記アクチュエータの厚さを通して延在する、請求項1または2に記載の印刷ヘッド。
【請求項15】
前記溝は、第1の溝であり、前記ループは第1のループであり、前記アクチュエータの前記上面に第2の溝が形成され、前記第2の溝は、前記第1のループから離れた第2のループの少なくとも一部を画定する、請求項1または2に記載の印刷ヘッド。
【請求項16】
前記溝は、第1の溝であり、第2の溝が、前記アクチュエータの上面内に形成され、
さらに、第1の溝および第2の溝は、前記アクチュエータの上面の中央領域から離れるように半円方向外向きに延在し、かつ相互に平行である、請求項1または2に記載の印刷ヘッド。
【請求項17】
リザーバと、
請求項1または2に記載の印刷ヘッドとを備えた装置であって、
前記アクチュエータへの電圧の印加は、前記アクチュエータを前記溝に沿って変形させ、それによって、前記支持構造の変形可能部分を変形させて、前記圧送チャンバから流体の液滴を吐出させる、装置。
【請求項18】
圧送チャンバの少なくとも上面を画定する変形可能部分を備える支持構造、
前記支持構造の前記変形可能部分上に配置されるアクチュエータ、
アクチュエータの上面に画定された第1の溝、および
前記第1の溝に接続された第2の溝を備え、
前記第2の溝の周囲が丸みを帯びた部分を含む第2の溝を含む、印刷ヘッド。
【請求項19】
前記第1の溝が、前記第2の溝の端部に設けられる、請求項18に記載の印刷ヘッド。
【請求項20】
前記第1の溝は、前記変形可能部分の中心に近接する第1の端部と、前記変形可能部分の周囲に近接する第2の端部を備え、前記第2の溝は、前記第1の溝の前記第2の端部に設けられる、請求項18に記載の印刷ヘッド。
【請求項21】
前記第1の溝は、一つの軸に平行である、請求項20に記載の印刷ヘッド。
【請求項22】
前記軸は、前記変形可能部分の中心を通して延在する半径方向軸である、請求項22に記載の印刷ヘッド。
【請求項23】
前記第1の溝の前記第2の端部に配置された第3の溝をさらに備える、請求項21に記載の印刷ヘッド。
【請求項24】
前記第3の溝は、前記第2の溝と非ゼロ角度を形成する、請求項23に記載の印刷ヘッド。
【請求項25】
前記第3の溝に接続された第4の溝、および
前記第4の溝に接続された第5の溝であって、丸みを帯びた部分からなる外周を有する前記第5の溝をさらに含む、請求項23に記載の印刷ヘッド。
【請求項26】
第3の溝は、変形可能な部分の中央領域を囲むループを形成する、請求項23に記載の印刷ヘッド。
【請求項27】
前記第2の溝は、前記第1の溝よりも幅が広い、請求項18に記載の印刷ヘッド。
【請求項28】
前記第1の溝の幅が0.1~10マイクロメートルであり、前記第2の溝の幅が0.1~100マイクロメートルである、請求項18に記載の印刷ヘッド。
【請求項29】
前記第2の溝の外周の丸みを帯びた部分は、円形である、請求項18に記載の印刷ヘッド。
【請求項30】
前記第2の溝の外周の丸みを帯びた部分は、楕円形である、請求項18に記載の印刷ヘッド。
【請求項31】
第1の溝を含む複数の第1の溝、および
前記第2の溝を含む複数の第2の溝を備え、前記複数の第2の溝の各々は、対応する丸みを帯びた部分を含み、前記複数の第1の溝の各々は、前記複数の第2の溝の対応する第2の溝に近接している複数の第2の溝を更に含む、請求項18に記載の印刷ヘッド。
【請求項32】
前記第1の溝の全体および前記第2の溝の全体が、前記変形可能部分の外周内に配置される、請求項18に記載の印刷ヘッド。
【請求項33】
前記変形可能な部分の外周は、前記圧送チャンバの外周と整列している、請求項32に記載の印刷ヘッド。
【請求項34】
前記第2の溝は、前記第1の溝に対応する単一の溝に近接している、請求項18に記載の印刷ヘッド。
【請求項35】
前記第1の溝および前記第2の溝を含む複数の溝を備え、前記第2の溝は、前記複数の溝のうち最も外側の溝である、請求項34に記載の印刷ヘッド。
【請求項36】
リザーバと、
請求項18に記載の印刷ヘッドと、
前記リザーバから前記印刷ヘッドの前記圧層チャンバに延在する流路とを含む、装置。
【請求項37】
圧送チャンバの少なくとも上面を画定する変形可能部分を備える支持構造と、
前記支持構造の前記変形可能な部分に設けられたアクチュエータと、
前記アクチュエータの上面に画定された溝であって、終端部を有し、該終端部の周囲が丸みを帯びた溝とを含む、印刷ヘッド。