(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022008488
(43)【公開日】2022-01-13
(54)【発明の名称】拡張可能な脊柱前彎椎間インプラント
(51)【国際特許分類】
A61F 2/44 20060101AFI20220105BHJP
【FI】
A61F2/44
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021153966
(22)【出願日】2021-09-22
(62)【分割の表示】P 2017559030の分割
【原出願日】2016-05-12
(31)【優先権主張番号】62/160,544
(32)【優先日】2015-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/190,251
(32)【優先日】2015-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】508296440
【氏名又は名称】ニューヴェイジヴ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ブロットマン,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ストルツ,サラ
(72)【発明者】
【氏名】マリク,ジェレミー
(72)【発明者】
【氏名】ブルーム,アマンダ
(72)【発明者】
【氏名】スナイダー,ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】バニガン,シェファー
(72)【発明者】
【氏名】ステイン,クリストファー
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA10
4C097BB01
4C097BB04
4C097CC01
4C097CC03
4C097CC05
4C097CC12
4C097CC15
4C097CC18
(57)【要約】
【課題】インプラントの特定の配置の必要性又は機能性に依存して特定の脊柱前彎角を形成するように調整され得る新規なインプラント装置を提供する。
【解決手段】本主題の開示は、脊柱前彎の精密な角度をもたらすよう容易に調節可能である新規なインプラントを提供する。インプラントは、低プロファイルの折り畳まれた幾何学的形状である間に位置付けられてよく、所定の場所にあるときに拡張されて脊柱前彎の精密な角度を提供してよい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の実質的に平面的なプレートと、
第2の実質的に平面的なプレートと、
前記第1のプレートと前記第2のプレートとの間のリンク機構とを含み、
前記第2のプレート内の並進機構が、前記リンク機構を、前記第1のプレート及び前記第2のプレートが互いに実質的に平行である折畳み位置から、前記第1のプレート及び前記第2のプレートが互いに対してある角度を形成するよう、前記第1のプレートが対角線方向に前記第2のプレートから離れる方向に押される、拡張位置まで移動させる、
インプラント装置。
【請求項2】
前記リンク機構は、前記第2のプレートの平面と平行なままであるピンを介して前記第2のプレートに直接的に接続される、請求項1に記載のインプラント装置。
【請求項3】
前記ピンは、前記第2のプレートにあるスロット内を並進する、請求項2に記載のインプラント装置。
【請求項4】
前記ピンが前記スロットの第1の端にあるとき、前記第1のプレートは、前記第2のプレートと平行である、請求項3に記載のインプラント装置。
【請求項5】
前記ピンが前記スロットの第2の端にあるとき、前記第1のプレートは、前記第2のプレートとある角度を形成する、請求項4に記載のインプラント装置。
【請求項6】
前記並進機構は、前記第2のプレート内に位置付けられる駆動シャフトによってアクティブ化される、請求項1に記載のインプラント装置。
【請求項7】
前記第1のプレート及び前記第2のプレートは、ヒンジ機構によって接続される、請求項1に記載のインプラント装置。
【請求項8】
拡張前方壁を有する頂部プレートと、
拡張前方壁を有する底部プレートと、
前記頂部プレートと前記底部プレートとの間のリンク機構とを含み、
前記底部プレート内の並進機構が、前記リンク機構を、前記頂部プレートの前記拡張前方壁及び前記底部プレートの前記拡張前方壁が互いに実質的に平行である折畳み位置から、前記頂部プレートの前記拡張前方壁及び前記底部プレートの前記拡張前方壁が互いに対してある角度を形成するよう、前記頂部プレートが対角線方向に前記底部プレートから離れる方向に押される、拡張位置まで移動させる、
インプラント装置。
【請求項9】
前記リンク機構は、前記底部プレートの平面と平行なままであるピンを介して前記底部プレートに直接的に接続される、請求項8に記載のインプラント装置。
【請求項10】
前記ピンは、前記底部プレートにあるスロット内を並進する、請求項9に記載のインプラント装置。
【請求項11】
前記ピンが前記スロットの第1の端にあるとき、前記頂部プレートの前記拡張前方壁は、前記底部プレートの前記拡張前方壁と平行である、請求項10に記載のインプラント装置。
【請求項12】
前記ピンが前記スロットの第2の端にあるとき、前記頂部プレートの前記拡張前方壁は、前記底部プレートの前記拡張前方壁とある角度を形成する、請求項11に記載のインプラント装置。
【請求項13】
前記並進機構は、前記底部プレート内に位置付けられる可動なシャーシによってアクティブ化される、請求項8に記載のインプラント装置。
【請求項14】
前記リンク機構は、前記シャーシ内に配置される球状ヘッド部分を備える回転式に関節作動する主リンクを更に含み、前記球状ヘッド部分は、前記頂部プレートの内壁と連通する、請求項13に記載のインプラント装置。
【請求項15】
前記リンク機構は、前記シャーシと直接的に接続され且つ前記主リンクの回転式の動きを方向付ける、回転式に関節作動し且つ線形に並進する第2のリンクを更に含む、請求項14に記載のインプラント装置。
【請求項16】
前記シャーシ内に位置付けられる対角スロットを含む折畳み機構を更に含み、該折畳み機構は、前記対角スロット内で突起をスライドさせることによって拡張中に前記頂部プレートの上向きの動きを受動的に可能にし、前記対角スロット内で前記突起を引き下げることによって折畳み中に前記頂部プレートを能動的に引き下げ、それにより、前記頂部プレートを引き下げる、請求項13に記載のインプラント装置。
【請求項17】
前記シャーシは、前記底部プレートにある適合チャネル内でスライドし且つロックする突起を有する、請求項13に記載のインプラント装置。
【請求項18】
前記並進機構の増分的なラチェット動作をもたらす前記シャーシ内に位置付けられるネジ及びワッシャを更に含む、請求項13に記載のインプラント装置。
【請求項19】
前記増分的なラチェット動作は、前記シャーシ内の突起及び圧痕によって行われる、請求項18に記載のインプラント装置。
【請求項20】
調節可能な脊柱前彎椎間インプラントを挿入する方法であって、
側方アプローチを介して椎間板空間にアクセスするステップと、
ゼロ度の脊柱前彎を有するその折畳み位置において前記インプラントを前記準備した椎間板空間内に挿入するステップと、
拡張ツールを使用して前記インプラント内でネジ山付き継手を回転させ、それにより、駆動シャフトを近位方向に並進させるステップと、
所望の程度の脊柱前彎が達成されるまで前記インプラントを拡張するステップと、
前記インプラントから前記拡張ツールを引き抜くステップと、
前記インプラントの近位端に固定タブを取り付けるステップと、
前記固定タブを通じて椎体内にネジを挿入するステップとを含む、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
この出願は、2015年7月9日に出願された米国仮特許出願第62/190,251号及び2015年5月12日に出願された米国仮特許出願第62/160,544号の優先権を主張し、その全文を本明細書中に参照として援用する。
【0002】
主題の開示は、一般的に、脊椎インプラント(spinal implants)に関する。具体的には、主題の開示は、拡張可能な脊柱前彎椎間インプラント(expandable lordosis intervertebral implants)に関する。
【背景技術】
【0003】
背中の問題は、全ての民族の人々の中で最も一般的で衰弱させる出来事の1つである。米国だけでも、毎年50万を超える背骨腰部及び頸部固定術(spine lumbar and cervical fusion procedures)が行われている。背痛及び障害の原因の1つは、脊椎内の1つ又はそれよりも多くの椎間板の破裂又は変性に起因する。外傷、疾患、又は加齢に起因する、転位した、損傷した、又は変性した椎間板の問題を矯正するために、外科処置が一般的に行われる。一般的に、脊椎固定術(spinal fusion procedures)は、罹患した又は損傷した椎間板の一部又は全部を除去して、結果として生じる椎間板空間内に1つ又はそれよりも多くの椎間インプラントを挿入することを含む。前腰椎椎体間固定(anterior lumbar interbody fusion)(ALIF)及び側方腰椎椎体間固定術(lateral lumbar interbody fusion procedures)は、脊椎外科医が修復されるべき又は置換されるべき脊柱の部分にアクセスするために使用する技法のうちの2つである。損傷した又は劣化した脊椎骨を人工インプラントと置換することは、脊椎に固有のストレスのメカニズム並びに装置に応答する身体の生物学的特性の知識のバランスを必要とする。更に、人工インプラントの大きさ、構成、及び配置は、熟練した外科医による精密な位置決め及び取扱いを必要とする。
【発明の概要】
【0004】
本主題の開示は、インプラントの特定の配置の必要性又は機能性に依存して特定の脊柱前彎角を形成するように調整され得る新規なインプラント装置を提供する。
【0005】
1つの例示的な実施形態において、主題はインプラント装置である。インプラント装置は、第1の実質的に平面的なプレートと、第2の実質的に平面的なプレートと、第1のプレートと第2のプレートとの間のリンク機構とを含み、第2のプレート内の並進機構が、リンク機構を、第1のプレート及び第2のプレートが互いに実質的に平行である折畳み位置から、第1のプレート及び第2のプレートが互いに対してある角度を形成するよう、第1のプレートが第2のプレートから離れる方向に押される、拡張位置まで移動させる。
【0006】
他の例示的な実施形態において、主題はインプラント装置である。インプラント装置は、拡張前方壁を有する頂部プレートと、拡張前方壁を有する底部プレートと、頂部プレートと底部プレートとの間のリンク機構とを含み、底部プレート内の並進機構が、リンク機構を、頂部プレートの拡張前方壁及び底部プレートの拡張前方壁が互いに対して実質的に平行である折畳み位置から、頂部プレートの拡張前方壁及び底部プレートの拡張前方壁が互いに対してある角度を形成するよう、頂部プレートがある方向において底部プレートから離れる方向に押される、拡張位置まで移動させる。
【0007】
更に他の例示的な実施形態において、主題は、調整可能な脊柱前彎椎間インプラントを挿入する方法である。挿入する方法は、側方アプローチを介して椎間板空間にアクセスするステップと、ゼロ度の脊柱前彎を有するその折畳み位置においてインプラントを準備した椎間板空間内に挿入するステップと、拡張ツールを使用してインプラント内でネジ山付き継手を回転させ、それにより、駆動シャフトを近位方向に並進させるステップと、所望の程度の脊柱前彎が達成されるまでインプラントを拡張するステップと、インプラントから拡張ツールを引き抜くステップと、インプラントの近位端に固定タブを取り付けるステップと、固定タブを通じて椎体内にネジを挿入するステップとを含む。
【0008】
本主題の開示の多くの利点は、添付の図面に併せて本明細書を読むことで、当業者には明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】主題の開示の第1の例示的な実施形態に従った拡張させられたインプラントの頂面斜視図を示している。
【0010】
【
図2】主題の開示の第1の例示的な実施形態に従った拡張させられたインプラントの他の頂面斜視図を示している。
【0011】
【
図3】主題の開示の第1の例示的な実施形態に従った拡張させられたインプラントの正面図を示している。
【0012】
【
図4】主題の開示の第1の例示的な実施形態に従った拡張させられたインプラントの近位側面図を示している。
【0013】
【
図5】主題の開示の第1の例示的な実施形態に従った拡張させられたインプラントの背面図を示している。
【0014】
【
図6】主題の開示の第1の例示的な実施形態に従った拡張させられたインプラントの遠位側面図を示している。
【0015】
【
図7】主題の開示の第1の例示的な実施形態に従ったインプラントの頂部プレートの底面図を示している。
【0016】
【
図8】主題の開示の第1の例示的な実施形態に従ったインプラントの底部プレートの斜視図を示している。
【0017】
【
図9】主題の開示の第2の例示的な実施形態に従った折り畳まれたインプラントの頂面斜視図を示している。
【0018】
【
図10】主題の開示の第2の例示的な実施形態に従った折り畳まれたインプラントの底部プレートの頂面斜視図を示している。
【0019】
【
図11】主題の開示の第2の例示的な実施形態に従った拡張させられたインプラントの頂面斜視図を示している。
【0020】
【
図12】主題の開示の第2の例示的な実施形態に従った拡張させられたインプラントの底部プレートのみの頂面斜視図を示している。
【0021】
【
図13】主題の開示の第2の例示的な実施形態に従った拡張させられたインプラントの底面斜視図を示している。
【0022】
【
図14】主題の開示の第2の例示的な実施形態に従った拡張させられたインプラントの近位側面図を示している。
【0023】
【
図15】主題の開示の第3の例示的な実施形態に従った拡張させられたインプラントの頂面斜視図を示している。
【0024】
【
図16】主題の開示の第3の例示的な実施形態に従った拡張させられたインプラントの近位側面図を示している。
【0025】
【
図17】主題の開示の第3の例示的な実施形態に従った拡張させられたインプラントの遠位側面図を示している。
【0026】
【
図18】主題の開示の第3の例示的な実施形態に従った拡張させられたインプラントの背面図を示している。
【0027】
【
図19】主題の開示の第3の例示的な実施形態に従った折り畳まれたインプラントの背面斜視図を示している。
【0028】
【
図20】主題の開示の第3の例示的な実施形態に従った折り畳まれたインプラントの頂面図を示している。
【0029】
【
図21】主題の開示の第2の例示的な実施形態に従った折り畳まれたインプラントの底面図を示している。
【0030】
【
図22】主題の開示の第3の例示的な実施形態に従ったシャーシを含むインプラントの底部プレートの頂面斜視図を示している。
【0031】
【
図23】主題の開示の第3の例示的な実施形態に従ったインプラントのシャーシの正面斜視図を示している。
【0032】
【
図24】主題の開示の第3の例示的な実施形態に従ったインプラントのシャーシの背面斜視図を示している。
【0033】
【
図25】主題の開示の第2の例示的な実施形態に従ったインプラントの頂部プレートの底面図を示している。
【0034】
【
図26】主題の開示の第3の例示的な実施形態に従った、シャーシが取り外された状態のインプラントの底部プレートの正面斜視図を示している。
【0035】
【
図27】主題の開示の第3の例示的な実施形態に従った、シャーシが取り外された状態のインプラントの底部プレートの背面斜視図を示している。
【0036】
【
図28】主題の開示の第3の例示的な実施形態に従ったラプトルバネの斜視図を示している。
【0037】
【
図29】主題の開示の第3の例示的な実施形態に従ったインプラントの平面的な切断の断面図を示している。
【0038】
【
図30】主題の開示の第3の例示的な実施形態に従ったインプラントの他の平面的な切断の断面図を示している。
【0039】
【
図31】主題の開示の例示的な実施形態に従った逆戻り防止装置を備える固定装置の斜視図を示している。
【0040】
【
図32】主題の開示の例示的な実施形態に従った逆戻り防止装置を備える固定装置の頂面図を示している。
【0041】
【
図33】主題の開示の例示的な実施形態に従った逆戻り防止装置を備える固定装置の側面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下の詳細な記載は、各実施形態を実施するためのそれぞれの最良の形態(ベストモード)を含む、主題の開示の具体的な実施形態及び添付の図面を参照する。これらの例示は一例であり、限定するものでないことが理解されるべきである。
【0043】
本発明の例示的な実施形態を以下に記載する。明瞭性のために、実際の実施の全ての構成がこの明細書中に記載されているわけではない。そのような実際の実施形態の開発では、実施毎に異なる、システム関連及びビジネス関連の制約への準拠のような、開発者の特定の目標を達成するために、数多くの実施特異な決定が行われなければならないことはもちろんである。その上、そのような開発努力は複雑で時間がかかるが、それにも拘わらず、この開示の利益を有する当業者にとって日常的な事業であることが理解されるであろう。本明細書に開示される調節可能な脊柱前彎インプラント(lordosis implant)及び関連方法は、個別及び組み合わせの両方における特許保護を正当化する様々な新規な構成及び構成要素(コンポーネント)を有する。
【0044】
主題は、様々な修正及び代替的な形態の影響を受けやすいが、それらの特定の実施形態が図面に一例として示され、本明細書中で詳細に記載される。しかしながら、特定の実施形態の本明細書中の記述は、主題を開示の特定の形態に限定することを意図せず、むしろ、主題は、本明細書中に定められる主題の精神及び範囲に入る全ての修正、均等物、及び代替物を包含する。例えば、本明細書中に記載される特定の例の構成のうちのいずれかは、本主題の範囲から逸脱することなく、本明細書中に記載される他の例と共に使用されてよい。
【0045】
主題の開示は、拡張可能な脊柱前彎椎間インプラント(expandable lordosis intervertebral implant)に関する。インプラントは、折畳み構成(collapsed)と拡張構成(expanded configuration)とを有し、その折畳み構成において椎間板空間内に配置され、次に、椎間板空間内にある間に拡張されてその拡張構成になるように設計される。インプラントがその拡張構成にあるとき、それは椎間板内に脊柱前彎角(lordotic angle)を創成する(即ち、インプラントの前方高さ(anterior height)は、インプラントの後方高さ(posterior height)よりも大きい)。本明細書に記載し且つ図示するようなインプラントの例示的な実施形態は、脊柱への直接的な側方アプローチ(lateral approach)における使用のために寸法決めされるが、類似の拡張機構を備える類似のインプラントを、脊椎に対する前方アプローチ(anterior approach)で使用し得ることが想定される。
【0046】
図1乃至8に示すように、インプラント100の第1の例示的な実施形態は、頂部プレート112と、底部プレート114と、頂部プレート112と底部プレート114とを接続するリンク機構116と、リンク機構116に連結される駆動シャフト118と、頂部プレート114と駆動シャフト118との間のネジ山付き継手110(threaded coupling)とを含む。
【0047】
頂部プレート112は、上方骨接触面122と、反対側の内面112(
図7を参照)とを有する。例示的な実施形態に示すように、頂部プレート112は、骨接触面122及び内面124を通じて延びる1つ又はそれよりも多くの固定孔126(fusion apertures)を含む。内面124は、インプラント100の内面124内にリンク機構116を収容する凹部128を含む。凹部128は、リンク機構116の上方端117(superior ends)を収容するポケット127を更に含む。
図3に示すように、リンク機構116の上方端117は、ピボットピン130を介して頂部プレート112の内面124に連結される。
【0048】
底部プレート114は、下方骨接触面132と、反対側の内面134とを有する。底部プレート114は、下方骨接触面132及び反対側の内面134を通じて延びる1つ又はそれよりも多くの固定孔126を含む。下方プレート114の遠位壁136は、ネジ山付き継手120を受け入れるネジ山付き穴を含む。底部プレート114の前方壁140は、リンク機構116の下方端(inferior end)を底部プレート114に連結するピンを受けるように構成されたピンスロット(図示せず)を含む。底部プレート114の近位端141は、取外し可能な固定タブ144を受け入れるように構成された凹部142を含む。凹部142は、取外し可能な固定タブ144の取付け部分146の形状を補完する形状を有する。例示的な実施形態に示すように、取外し可能な固定タブ144の取付け部分146及び凹部142は、取外し可能な固定タブ144が様々な位置に取り付けられるのを可能にするように概ね花形状であるが、他の形状が実施されてよい。
【0049】
底部プレート114の内面134は、駆動シャフト118を収容する。
図1乃至8の例示的な実施形態に例示するように、底部プレート114の内面134は、駆動シャフト118を受けるように寸法決めされたトラックを含む。
図3及び
図8に示すように、駆動シャフト118の遠位端138は、ネジ山付き継手112を受け入れる穴を含む。駆動シャフト118は、リンク機構116の下方端152を底部プレート114に連結するピン150を受け入れるように寸法決めされたピン穴148を更に含む。ピン150の一端は、底部プレート114の前方壁158にあるスロット156内に存在して並進(平行移動)し、ピン150の中心は、リンク機構116の下方端152を通じるピン穴に受け入れられ、ピン150の第2の端は、駆動シャフト118にあるピン穴148に受け入れられる。
【0050】
駆動シャフト118は、インプラント100がその折畳み構成にあるときに、駆動シャフト118の遠位面138が、底部プレート114の遠位壁136の近位面160に近接しているように構成される。ネジ山付き継手112が第1の方向に回転すると、駆動シャフト118は近位方向に並進する。近位方向における駆動シャフト118の並進は、リンク機構116の下方端152を通じて受け入れられるピン150を底部プレート114にあるピンスロット156内で近位にスライドさせながら、リンク機構116を頂部プレート112に連結されるピボットピン130について枢動させる。ピボットピン130の周りのリンク機構116の枢動は、リンク機構116がインプラント100の内部の第1の概ね水平な位置から第2のより垂直な位置に移動して、頂部プレート112を上向きに押すことにより、インプラント100がその拡張状態にあるときに、インプラント100の前方の高さの変化を引き起こすことが可能である。頂部プレート112は、インプラント100の後方側164にあるヒンジ162を介して底部プレート114に連結される。記載した拡張機構は、インプラント100の脊柱前彎角が、非離散的な増分(non-discrete increments)において増大させられるのを可能にし、それは望ましい量の脊柱前彎に達するまで外科医が脊柱前彎の角度を増加させることができることを意味する。
【0051】
インプラント100が所望のレベルの脊柱前彎までひとたび拡張されると、インプラント100は、駆動機構を作動させるために使用される器具が挿入される穴と同じ穴166を通じて骨グラフト(bone graft)又は骨グラフト代替物(bone graft substitute)で充填されることができる。インプラント100を骨グラフト又は骨グラフト代替物を充填した後に、固定タブ144がインプラント100の近位端141に連結される。例示的な実施形態に示すように、固定タブ144は、上方拡張部168及び下方拡張部169を含み、上方拡張部168及び下方拡張部169は、それらを貫通するネジ穴167を備える。上方拡張部168は、上方椎体に隣接して位置付けられるように構成され、下方拡張部169は、下方椎体に隣接して位置付けられるように構成される。単一のネジを受け入れる並びに上方椎体及び下方椎体の一方のみに隣接して位置付けられる単一の拡張部を備える固定タブ144も想定される。拡張部は、ネジが拡張部を通じて椎体内に配置された後にネジが逆戻りする(backout)のを防止する、逆戻り防止要素(anti-backout element)を含むことも想定される。例示的な固定タブ144の更なる詳細は、
図31乃至33に示されている。
【0052】
図1乃至8に示す例示的な実施形態によれば、インプラント100を使用する方法は以下の通りである。椎間板空間が、側方アプローチを介してアクセスされる。椎間板空間は、椎間インプラントを受け入れるように準備される。インプラント100は、0度の脊柱前彎を有する折畳み位置において準備された椎間板空間内に挿入される。拡張ツールを使用してネジ山付き継手120を回転させ、それにより、駆動シャフト118を近位方向に並進させる。インプラント100は所望の程度の湾曲が達成されるまで拡張される。拡張ツールは、インプラント100から引き抜かれる。骨グラフト又は骨グラフト代替物がインプラント100の内部に充填される。固定タブ144がインプラント100の近位端140に取り付けられ、少なくとも1つのネジが固定タブ144を通じて椎体に挿入される。
【0053】
図9乃至14は、拡張可能な脊柱前彎椎間インプラントの代替的な実施形態を例示している。この実施形態に従ったインプラントは、
図1乃至8のインプラントと同じ構成のうちの多くを共有する。同じ構成及び要素はこの実施形態で再度記載されていないが、3桁の標識(ラベル)の第1桁として「1」の代わりに「2」を使用して印されることがある。読者はそれらの構成が第1の実施形態におけると同じ又は類似であることを理解しなければならない。この実施形態と
図1乃至8に提示された実施形態との間の区別が留意される。この代替的な実施形態による相違の1つは、頂部プレート212及び底部プレート214が、インプラント200がその拡張状態にあるときに前方壁を共に定める平面的な拡張部213,215を含むことである。これらの平面的な拡張部213,215は、インプラント200の略中空の内部を取り囲むように構成される。
【0054】
図9乃至14の代替的な実施形態に従った装置200の拡張機構は、ネジ山付き内部を有するシャーシ270を含む。打込みネジ390(drive screw)がシャーシ270内に存在し、シャーシ270のネジ山付き内部と係合するネジ山を有する。打込みネジを回すと、シャーシ270が近位に並進し、その結果、シャーシ270に連結されたピン250を、底部プレート214の底部前方壁215にあるスロット256内で近位に並進させる。シャーシ270が近位に並進するときに、リンク機構216の下方端が近位に移動させられて、リンク機構216をより上方の位置に移動させることにより、頂部プレート212を底部プレート214から離れる方向に上向きに移動させて、インプラントの高さ及び脊柱前彎角を増大させるよう、リンク機構216は、それらの下方端でこれらのピン250に連結され、頂部プレート212に連結される。この動きは図面において見られることがある。何故ならば、
図9及び
図10は、低プロファイルの閉塞/折畳み構成におけるインプラント200を示しているからである。
図10は、機構のより良好な描写のために頂部プレート212が取り外された状態の様々な構成要素の位置を示しており、ピン250はそれらのそれぞれのスロット256内の最遠位位置にある。
図11及び
図12は、開放された拡張した脊柱前彎角構成のインプラント200を示している。
図12は、機構のより良好な描写のために頂部プレート212が取り外された状態の様々な構成要素の位置を示しており、ピン250はスロット256内で近位に並進され、それにより、リンク機構216を垂直に押し、その結果、頂部プレート212の持上げがもたらされる。
図13及び
図14は、開放された拡張位置における下方斜視図(
図13)及び側面図(
図14)からのインプラント200を示しており、ピン250はスロット256内で近位に並進され、それにより、リンク機構216を垂直に押し、その結果、頂部プレート212の持上げがもたらされる。
【0055】
図9乃至14に提示する代替的な実施形態は、
図1乃至8に示していない代替的な追加的な構成を提示している。頂部プレート212は、追加的な頂部前方カバー213を有し、底部プレート214は、追加的な底部前方カバー215を有し、それらは、折り畳まれた又は拡張されたインプラント構成にあるときに、インプラント200の前方部分全体を一緒に覆う働きをする。更に、ピン250がピンスロット256内で近位にスライドさせられるときに、頂部前方カバー213は、頂部プレート212と共に持ち上げられる。頂部プレート212及び底部プレート214の両方の外部部分にある移動防止構成21が、インプラント200と隣接する椎骨との間の更なる摩擦及び接触面を提供する働きをする。
【0056】
図示されていないが、
図9乃至14に提示する第2の実施形態は、
図1乃至8に提示する第1の実施形態において既に記載したような固定タブ144を受け入れる取付け構成も有する。第2の実施形態の使用方法も、第1の実施形態について記載した使用方法と同じである。
【0057】
図15乃至30は、拡張可能な脊柱前彎椎間インプラントの更なる代替的な実施形態を例示している。この実施形態に従ったインプラントは、
図1乃至8の例示的な実施形態及び
図9乃至14の例示的な実施形態と同じ構成のうちの多くを共有する。同じ構成はこの実施形態で再度記載されていないが、3桁の標識(ラベル)の第1桁として「1」の代わりに「3」を使用して印されることがある。読者はそれらの構成が第1及び第2の実施形態におけると同じ又は類似であることを理解しなければならない。この実施形態と先に説明した実施形態との間の区別に留意する。この実施形態と前に記載した実施形態との間の区別が留意される。
図9乃至14に図示し且つ記載する実施形態と同様に、本実施形態も、インプラント300がその拡張状態にあるときに前方壁を一緒に定める平面的な拡張部313,315を含む頂部プレート312及び底部プレート314を有する。これらの拡張部313,315は、インプラント300の概ね中空の内部を取り囲むように構成される。追加的な構成は、頂部プレート312の外面及び底部プレート314の外面の両方にある多数の突起317である。これらの牙状突起317は、頂部プレート312の表面及び底部プレート314の表面にある移動防止構成311と協働して、隣接する椎骨との摩擦嵌めを創り出す。
【0058】
頂部プレート312は、インプラント300の近位端370に位置する挿入ポート375から離れる方向に、インプラント300の遠位端371に位置する更なる側壁318を素なる頂部前方壁313を有する。この反対側及び前方設計は、
図9乃至9に記載したものと類似し且つ標準的なガレージドアと類似する開閉機構を有する。追加的な孔377が、長方形の挿入ツール(図示せず)のための受入れ開口として挿入ポート375と共に使用されてよい。ピン362が、頂部プレート312を底部プレート314に接続するために使用され、他方のプレートに対する一方のプレートの回転軸として働く。
【0059】
図22乃至24は、シャーシ380と、底部プレート314内でのその相対的な位置付けを示している。球状の端部分382を有する主リンク機構381のセットが、支持リンク機構383のセットに接続され、支持リンク機構383のセットは、ピン384を介してシャーシ380の本体部分385に接続される。ピン384は、支持リンク機構383の回転軸として働き、次いで、支持リンク機構383は、ピン386を介して主リンク機構381の回転を可能にする。主リンク機構381は、シャーシ本体385に直接的に接続されない。よって、主リンク機構381は、ピン386によって形成される回転軸について関節作動するだけであり、並進しない。支持リンク機構383は、関節作動し且つ並進する。
【0060】
シャーシ380は、楕円形の突起387を含み、楕円形の突起387は、チャネル319と整列させられ、シャーシ380を底部プレート314の内部フレーム内に「降下させ」、次に、シャーシ380をシフトさせて遠位に戻して、シャーシ380を底部プレート314のフレーム内にロック(係止)するために使用される。この機構は、底部プレート314に対するシャーシ380の位置を固定する。
【0061】
ネジ390がワッシャ391と共に作用してシャーシ380内の拡張/折畳み機構をロックする。
図29に示すように、ワッシャ391を備えるネジ390は、底部プレート314の収容部分393内の摩擦嵌めによって所定の位置にロックされる。追加的に、ラプトルバネ392(raptor spring)が、突起394を有し、突起394は、ネジ396がそれを所定の場所に位置付けるためのロック機構(係止機構)を更に提供する。突起394は、環状に位置付けられたディボット395(divots)と噛合して、環状の花パターンを形成する。頂部プレート312の精密な開放レベルが望まれることを外科医が決定するために、ラチェット機構が利用可能であるよう、ディボットは、15~20度毎に利用可能である。そのような脊柱前彎角がひとたび決定されると、バネ392の突起394は、底部プレート314のディボット395と噛み合って、その位置を本質的にロックして更なる動きを防止するのを可能にする。頂部プレート312を更に開閉するために、幾らかの力が必要とされる。
【0062】
主リンク機構381の球状ヘッド382が物理的な上向きの力によって頂部プレート312を上向きに押すよう、頂部プレート312はシャーシ380によって駆動される機構によって開放される。これは本質的に拡張機構である。インプラント300の収縮又は折畳みは、シャーシ380に位置付けられる異なる機構も含む。
図30に示すように、シャーシ385の本体にある対角線上に切られた溝396が、シャーシ380内の突起397の対角線方向の並進を可能にし、それは接続398を通じて頂部プレート312に接続される。収縮したインプラント300は、溝396の遠位端の最下方位置にある突起397を有する。これは頂部プレート312と底部プレート314との間の比較的緊密な接続及び平行な構成を維持する働きをする。拡張機構がアクティブ化されると、突起が溝396内で対角線上に持ち上がり始め、それにより、頂部プレート312を持ち上げるよう、突起は近位に拡張される。しかしながら、インプラント300を収縮させることが望ましいならば、突起397は、溝396を下って戻り、頂部プレート312と底部プレート314との間の接続部398を下げる働きをし、それにより、頂部プレート312は、底部プレート314に向かって再び下降させられる。拡張プロセスの間に、このスライド突起機構は受動的であり、収縮機構の間に、このスライド突起機構は能動的になり、頂部プレート312を引き下げる。
【0063】
ロック機構及び逆戻り防止機構を備える様々な固定装置が、本開示に示されるインプラント100、200、及び300と共に使用されてよい。1つのそのような種類が
図31乃至33に示されている。図示のこの特定の実施形態では、逆戻り防止装置を備える固定装置444が、開口467を有する底部円形部分469と頂部円形部分468とを有する。中間部分446は、
図1乃至2に示すような、インプラントの収容部分にロックするように働く係合機構である。図示の装置は、その逆戻り防止機構として傾斜コイル機構449を含むが、インプラントがひとたび配置されると、隣接する椎骨に対するインプラント位置を固定するために、他の種類も使用されてよい。
【0064】
本主題の開示の例示的な実施形態の前述の開示は、例示及び記述の目的のために提示されている。それは包括的であることを意図せず、或いは主題の開示を開示の精密な形態に限定することを意図しない。本明細書に記載する実施形態の多くの変形及び修正が、上記開示に照らして当業者には明らかであろう。主題の開示の範囲は、添付の請求項及びそれらの均等物によってのみ定められるべきである。
【0065】
更に、本主題の開示の代表的な実施形態を記載するに際し、本明細書は、本主題の開示の方法及び/又はプロセスを特定のシーケンスのステップとして提示することがある。しかしながら、方法又はプロセスが本明細書に示すステップの特定の順序に依存しない限り、方法又はプロセスは、記載するステップの特定のシーケンスに限定されるべきでない。当業者が理解するように、他のシーケンスのステップが可能なことがある。従って、明細書に示すステップの特定の順序は、請求項に対する限定として解釈されてならない。加えて、本主題の開示の方法及び/又はプロセスに向けられた請求項は、記載された順序でのそれらのステップの実行に限定されてならず、当業者はそれらのシーケンスが異なってよく、本主題の開示の精神及び範囲内に依然として留まることを直ちに理解し得る。
【外国語明細書】