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特開2022-84912作業ガスとしてのヘリウムを有する極低温冷凍機のための熱交換器、こうした熱交換器を生産するための方法、およびこうした熱交換器を含む極低温冷凍機
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022084912
(43)【公開日】2022-06-07
(54)【発明の名称】作業ガスとしてのヘリウムを有する極低温冷凍機のための熱交換器、こうした熱交換器を生産するための方法、およびこうした熱交換器を含む極低温冷凍機
(51)【国際特許分類】
   F25B 9/00 20060101AFI20220531BHJP
   F28F 3/00 20060101ALI20220531BHJP
   F28D 9/02 20060101ALI20220531BHJP
【FI】
F25B9/00 J
F25B9/00 D
F28F3/00 311
F28D9/02
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022057805
(22)【出願日】2022-03-31
(62)【分割の表示】P 2019526323の分割
【原出願日】2017-12-06
(31)【優先権主張番号】202016106860.6
(32)【優先日】2016-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102017203506.4
(32)【優先日】2017-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】514025672
【氏名又は名称】プレッシャー・ウェーブ・システムズ・ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】PRESSURE WAVE SYSTEMS GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】ヘーヘン イェンス
(57)【要約】      (修正有)
【課題】蓄熱材料としてヘリウムを使用するにもかかわらず単純な構造を有する、希土類化合物を有する熱交換器と比べてコストの少ない熱交換器を提供する。
【解決手段】外側(4a)および内側(4i)を含むセル壁(4)を有する少なくとも1つのセル(2)を含み、セル壁(4)は少なくとも一部で熱伝導性であり、少なくとも1つのセル(2)は、セル壁(4)に囲まれた、互いに接続された1つまたは複数の空洞(6)を有し、セル壁(4)の外側(4a)は、ヘリウム作業ガスのための流動チャネルの境界を少なくとも部分的に定め、少なくとも1つのセル(2)は圧力平衡開口部(8)を有し、1つ/複数の空洞(6)には蓄熱材料としてのヘリウムが充填される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業ガスとしてのヘリウムを有する極低温冷凍機のための熱交換器であって、外側(4a)および内側(4i)を含むセル壁(4;104)を有する少なくとも1つのセル(2;102)を含み、
前記セル壁(4;104)は少なくとも一部で熱伝導性であり、
前記少なくとも1つのセル(2;102)は、セル壁(4;104)に囲まれた、互いに接続された1つまたは複数の空洞(6;6-i;6a、6b;106)を有し、
前記セル壁(4;104)の前記外側(4a)は、前記ヘリウム作業ガスのための流動チャネルの境界を少なくとも部分的に定め、
前記少なくとも1つのセル(2;102)は圧力平衡開口部(8;108)を有し、
前記1つ/複数の空洞(6;6-I;6a、6b;106)には蓄熱材料としてのヘリウムが充填される、熱交換器。
【請求項2】
前記少なくとも1つのセル(2;102)は、セル壁(4;104)によって境界を定められた、前記作業ガスのための流動チャネル(20;120)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記少なくとも1つのセル(2;102)は、円形の断面を有するディスクとして形成されることを特徴とする、請求項1~2のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項4】
複数のセル(2)は、前記作業ガスの流動方向において互いの後ろに配置されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記作業ガスの流動方向において互いの後ろに配置されるセル(2)は、前記作業ガスのための流動チャネル(20)を含む断熱層(34)によって互いに分離されることを特徴とする、請求項4に記載の熱交換器。
【請求項6】
前記セル(2)および前記断熱層(34)の各々が整列構成要素(30、32)を有することで、前記セル(2)および前記断熱層または複数の断熱層(34)の前記流動チャネル(20)が互いに整列することを特徴とする、請求項5に記載の熱交換器。
【請求項7】
前記整列構成要素は、前記セル(2)の一方の側部における複数の整列ピン(30)と、前記セルの他方の側部における相補的に形成された整列凹部(32)とを含むことを特徴とする、請求項6に記載の熱交換器。
【請求項8】
前記断熱層(34)は、前記整列ピン(30)によって貫通される整列開口部を含むことで、前記セル(2)内および前記断熱層(34)内の前記作業ガスのための前記流動チャネル(20)が互いに整列されることを特徴とする、請求項7に記載の熱交換器。
【請求項9】
前記圧力平衡開口部(8;108)は毛管として形成されることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項10】
前記圧力平衡開口部(8;108)は前記熱交換器の生産中に起こる漏出によってもたらされることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項11】
前記圧力平衡開口部(8;108)のサイズは、前記熱交換器の作業サイクル中の前記セル内の最大圧力変化が20%、好ましくは10%となるように選択されることを特徴とする、請求項9または10に記載の熱交換器。
【請求項12】
前記セル壁(4;104)の前記外側は、前記作業ガスのための前記流動チャネル(20)内に乱流構造を有することを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項13】
前記空洞(6-i;6’、6a、6b)はチューブの形状と、三角形の形の断面、矩形の形の断面、または少なくとも1つの傾斜したセル壁を有する断面とを有することを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項14】
複数のチューブ形状の空洞(6-i、6’、6a、6b)において、前記チューブ形状の空洞(6-i、6’、6a、6b)の間にセル(2)ごとに前記作業ガスのための流動チャネル(20)が配置されることを特徴とする、請求項13に記載の熱交換器。
【請求項15】
前記セル(2)は2つの半体セル(51、50)で構成され、各々の前記半体セル(51、50)は三角形の形の断面を有する複数の空洞を含み、
前記チューブ形状の空洞(6-i;6’;6a、6b)は前記作業ガスのための前記流動チャネル(20)の間に配置され、
前記半体セルの各々は平坦な側部と平坦でない側部とを有し、
前記2つの半体セルの前記平坦でない側部は互いに相補的に形成され、
前記2つの半体セルの前記2つの相補的な平坦でない側部は互いに接触することを特徴とする、請求項1~14のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか一項に記載の熱交換器を生産するための方法であって、前記熱交換器(1;101)は3D印刷によって生産されることを特徴とする、方法。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか一項に記載の熱交換器を生産するための方法であって、前記熱交換器(101)は少なくとも2つの部品(40、44)から生産され、前記2つの部品(40、44)は製造後に互いに接続され、少なくとも1つの部品(40)は前記1つ/複数の空洞(6’)の少なくとも一部を形成する凹部(42)を有することを特徴とする、方法。
【請求項18】
スターリング冷凍機、ギフォード・マクマホン冷凍機、またはパルスチューブ冷凍機の形の極低温冷凍機であって、少なくとも1つの熱交換器(1;101)を含み、請求項1~17のいずれか一項に記載の熱交換器(1;101)を特徴とする、極低温冷凍機。
【請求項19】
前記極低温冷凍機の作業サイクル中の前記熱交換器(1;101)の前記少なくとも1つのセル(2;102)内の最大圧力変化は20%、好ましくは10%であることを特徴とする、請求項18に記載の極低温冷凍機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載の作業ガスとしてのヘリウムを有する極低温冷凍機のための熱交換器、請求項16および17に記載のこうした熱交換器を生産するための方法、ならびに請求項18に記載のこうした熱交換器を含む極低温冷凍機に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえばスターリング冷凍機、ギフォード・マクマホン(Gifford-McMahon)冷凍機、およびパルスチューブ冷凍機などの周期的に動作される極低温冷凍機は再生方式で動作され、すなわち低温ガスを保存し、かつ/または高温ガスを予冷するために、膨張室に入るときに材料の熱容量が用いられる。問題は、2Kから20Kの範囲の温度において、ほぼすべての材料の熱容量が非常に低下することである。よって、2Kから20Kの範囲で十分に高い熱容量を有する材料を見出すことは非常に困難である。図12は、約30Kまでの第1の低温段階20と、約2Kまでの第2の低温段階22とを有する2段階パルスチューブ冷凍機の典型的な構造を示す。第1の低温段階220は、第1のパルスチューブ224と、第1の熱交換器226とを含む。第2の低温段階222は、第2のパルスチューブ228と、本発明による第2の熱交換器230とを含む。第1の低温段階220によって約30Kの温度に到達し、第2の低温段階222によって約4Kの温度に到達する。第1のパルスチューブ224と、第1の熱交換器226と、第2のパルスチューブ228とは、冷却すべき区域を環境と分離している接続手段232において終端している。作業ガスは、ポンプ(表示されていない)によって作業ガスライン234を通じてパルス状の方式で供給および排出される。作業ガスライン234は第1の熱交換器226内で終端しており、弁236を通じて第1のパルスチューブ224および第2のパルスチューブ228への接続、ならびにバラスト体積238との接続が存在する。第2の低温段階222の第2の熱交換器230は、第1の熱交換器部分240と、低温熱交換器部分242とからなる。第1の熱交換器部分240は、互いの頂部に位置する金属ふるい244からなる。図13を参照。低温熱交換器部分242は、たとえばErNiおよびHoCuなどの希土類化合物を含む。第2の熱交換器230の構造を図11に概略的に示す。希土類化合物は比較的高価である。さらに、それらの材料は(直径が100から数100マイクロメートルの)ペレット46の形で用いられる。問題となるのは、作業ガスの振動する流れの中にペレットを固定することである。なぜなら、各種の運動が摩耗による粉塵をもたらし、それが極低温冷凍機の寿命を激減させるからである。さらに、図13によるペブルベッドは、熱交換にも冷却容量にも寄与しない無駄な体積をかなり必要とする。
【0003】
極低温冷凍機における作業ガスとして、ヘリウムがしばしば用いられる。2Kから20Kの温度範囲において、ヘリウムは前記温度範囲の希土類化合物の熱容量に適合する比較的高い熱容量を有する。よって、熱交換器材料としてヘリウムを用いることが提案されている。特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、および特許文献6から、ヘリウムを充填したガラスまたは金属の閉じた中空体が熱交換器構造として公知である。こうした基本的発想は、今日まで完成製品をもたらしていない。さらに、ヘリウムが充填されたペレットも摩耗をもたらすため、極低温冷凍機の適用期間を低減させる。この公知のヘリウムを伴う閉じた中空体の主な問題点は、正圧下で中空体にヘリウムを充填するプロセスにコストがかかることである。この正圧のために中空体の壁の厚さを増す必要があり、それによって熱伝達抵抗性が悪化する。
【0004】
非特許文献1の論文においては、ヘリウムを吸収するために好適な吸着剤材料を有する構造が、極低温冷凍機のための熱交換器として提案されている。この熱交換器の構造は複雑でコストがかかり、かつ吸着剤材料の一部が作業ガス流によって運び去られる危険がある。運び去られた吸着剤粒子は、こうした熱交換器を有する極低温冷凍機の寿命を激減させるだろう。
【0005】
したがって本発明の目的は、蓄熱材料としてヘリウムを使用するにもかかわらず単純な構造を有する、希土類化合物を有する熱交換器と比べてコストの少ない熱交換器を提供することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2012/0304668A1号
【特許文献2】独国特許出願公開第10319510A1号
【特許文献3】独国特許出願公開第102005007627A1号
【特許文献4】中国特許出願公開第104197591A号
【特許文献5】独国特許出願公開第19924184A1号
【特許文献6】米国特許第4359872A号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】「Heat Capacity Characterization of a 4K Regenerator with Non-Rare Earth Material」Cryocoolers 19,International Cryocooler Conference,Inc.,Boulder,CO,2016
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、請求項1の特徴によって解決される。
【0009】
最も単純な場合の熱交換器は、熱伝導性のセル壁を有する中空セルからなる。セル壁の外側は、ヘリウム作業ガスのための流動チャネルの境界を少なくとも部分的に定める。中空の空洞には蓄熱材料としてのヘリウムが充填され、この空洞は圧力平衡開口部を介してセルの外側に接続される。ヘリウム作業ガスは缶形状のセルの周りを流れることによって、セル壁を介して空洞の外側のヘリウム作業ガスと空洞内のヘリウムとの間に熱が伝達される。作業ガスの流動チャネルのサイズに対するセル(単数または複数)のサイズは、無駄な体積をできる限り小さくしながら熱交換器の高圧側と低圧側との所望の圧力差が設定されるように選択される。所望の熱交換が行われ得るように、セルの壁は非常に低い壁強度を有する。圧力平衡開口部の開口部表面または排出抵抗性に対する単数/複数の空洞の体積の比率は、冷却動作の作業周波数範囲(約1~60Hz)における単数または複数の空洞内の圧力がほとんど変わらないか、または少なくともわずかしか変わらないように選択される。動作のモードは、高周波数におけるコンデンサのものに匹敵する。すなわち、容量が十分に高く、かつ電圧変化が少ないときには、それは事実上電圧変化の影響を受けない。典型的な適用において、セル内の圧力は常に、典型的に約16バールである冷却システムの平均圧力の近くで変動するだろう。したがって、安定した圧力が重要である。そうでなければ、圧力が各期間にたとえば8~24バールなどの近くで常に変動する場合に、単数/複数の空洞の体積が冷却に寄与せずに「無駄な体積」に大きく寄与することになるからである。圧力平衡開口部の開口部表面または排出抵抗性は、熱交換器の動作の前および始動段階において、存在する圧力比によってヘリウムが単数/複数の空洞に進入するように選択される。圧力平衡開口部の高い排出抵抗性のために、冷凍機の作業周波数による熱交換器の領域における圧力変動の際に、上記に示した「コンデンサ効果」が起こる。始動段階において、ヘリウム作業ガスおよび熱交換器の空洞内のヘリウムの温度も低下する。結果としてヘリウムの体積が減少し、圧力平衡開口部を通じてヘリウムが熱交換器の空洞に流入し続ける。このことは、始動段階の際に作業温度および作業圧力が設定されるまで、ヘリウムを補充する必要があることを意味する。圧力平衡開口部がないときは、セルの空洞に予めヘリウムを充填する必要があり、その結果として極低温冷凍機の作業範囲における16バールの範囲内の圧力のために、セル壁がかなり厚くなるだろう。空洞に周囲温度にてヘリウムが充填される場合も、周囲温度におけるヘリウムの密度が低いために、充填のためにかなり高い圧力を選択する必要がある。このことは、かなり高い耐熱性を有するより厚いセル壁をもたらす。より厚いセル壁によってセル壁の耐熱性があまりに高くなるため、極低温冷凍機の作業周波数範囲において、ヘリウム作業ガスと単数/複数の空洞の内側のヘリウムとの熱交換がほとんどなくなるだろう。おそらくはこのことも、閉じた空洞内のヘリウムを有する熱交換器を用いた極低温冷凍機が市販されていないという事実の原因であろう。
【0010】
請求項2の好ましい構成によると、セルはセル壁によって境界を定められた流動チャネルによって貫通される。このことは熱交換表面の拡大をもたらし、よって空洞内のヘリウムと外側の作業ガスとの熱伝達の改善をもたらす。流動チャネルは、好ましくはスリットとして形成される。作業ガスに対するスリット形状の流動チャネルは、好ましくは直線状に互いに平行に走ることで、一方では流動抵抗性を最小化し、他方では流動チャネル間にチューブ形状の空洞を均一に構成するようにする。直線および平行であるという簡単な方式によって、2つの流動チャネル間の空間が等しくなる。
【0011】
熱交換器の円形の外側形状は、それらを簡単なやり方で極低温冷凍機の典型的に円形の断面に統合することを可能にする。複数のチューブ形状の構造を含み得る単一のセルは、ディスクの形状を有してもよい。代替的に、複数のセルが組み合わされてディスクを形成してもよい。請求項3。
【0012】
請求項4に記載のとおりにセルを互いの後ろに配置することによって、熱交換器の蓄熱容量が増加する。
【0013】
請求項5の、作業ガスの流動方向において互いの後ろに配置されたセル間の断熱は、作業ガスの流動方向において空洞間で熱が交換されることを防ぐ。作業ガスの流動方向におけるこうした熱交換は、熱交換器の短絡を表し得る。すなわち、作業ガスの流動方向における熱交換は熱交換器の機能に寄与しない。断熱層の厚さは、好ましくは0.1mmから0.5mmである。
【0014】
請求項6~8に記載の整列構成要素によって、セルの流動チャネルの互いの頂部における正しい整列が簡単になる。整列構成要素は、たとえば円錐形またはピラミッド形状の先端部を有する整列ピンなどである。
【0015】
圧力平衡開口部は好ましくは毛管の形状を有し、すなわち開口部の断面積は中空体の表面と比べて非常に小さい。請求項9。
【0016】
加えて、圧力平衡開口部はセルの生産中に起こる漏出を通じて提供されてもよい。請求項10。
【0017】
圧力平衡開口部のサイズおよびそれによる透過性は、熱交換器の作業サイクル中のセル内の圧力変化が最大20%、好ましくは最大10%となるように選択される。これは最適化プロセスである。毛管が大きいほど望ましくない材料交換が多くなり、セルの空洞内の圧力変動が大きくなり、熱交換器の動作の際の空洞へのヘリウムの進入が速くなる。毛管が小さいほど必要な圧縮作業が少なくなるが、熱交換器の動作の際の空洞へのヘリウムの進入が長くなる。請求項11および19。
【0018】
ヘリウム作業ガスと、中空体内に存在して熱を貯蔵するヘリウムとの熱交換を改善するために、中空体の表面には乱流構造が設けられる。請求項12。
【0019】
請求項13に記載のチューブ形状の空洞の断面形状は、3D印刷によって熱交換器を生産することを可能にする(請求項16)。空洞の断面は矩形のブロック形状または矩形の形状であることが、熱交換のために理想的である。少なくとも1つの傾斜したセル壁または三角形の断面を有するチューブ形状の空洞を有するセルが、3D印刷によって容易に生産されてもよい。3D印刷によって、鉛直または傾斜したセル壁(45°以上の傾斜)を有する構造が容易に生産されてもよい。空洞の三角形の断面が直角を有するときが最も容易であることが確実にされる。ダイヤモンド形状の断面、五角形の断面、または家の形状の断面も好適である。請求項13。
【0020】
チューブ形状の空洞内のヘリウムと、空洞の外側のヘリウム作業ガスとの最適な熱交換のために、チューブ形状の空洞の間に流動チャネルが配置される。請求項14。
【0021】
ディスク形状の熱交換器は1つまたは複数のディスク形状のセルからなり、各セルは2つの半体セルを含む、請求項15に記載の有利な構成によって、両方の半体セルが3D印刷によって製造され得ることが達成される。同時に、熱交換器の総体積に対する空洞の体積およびそれによる空洞内のヘリウムの体積の割合は、単一片のセルしか含まない熱交換器に比べて増加する。このことによって、熱交換器の蓄熱容量が増加するか、または同じ熱容量を有する熱交換器をよりコンパクトにし得る。
【0022】
3D印刷法において、矩形のブロック形状または楕円体の空洞は全体として製造されてもよいし、2つの部品から2つのステップで製造されてもよい。請求項16または17。請求項17によると、「開口空洞」またはポット形状の凹部を有する第1の部品は、第1の場所において生産される。次いでそれらの凹部は、第2のステップにおいて第2の部品によって覆われる。第1および第2の部品は、たとえば結合または溶接などによって、互いに永続的に接続される。
【0023】
本発明の熱交換器は、特にスターリング冷凍機、ギフォード・マクマホン冷凍機、またはパルスチューブ冷凍機に対して好適である。請求項18。
【0024】
中空体は金属からなり、かつ/または圧力平衡開口部によって先行技術とは反対に非常に薄くてもよく、それによって空洞の内側のヘリウムと空洞の外側のヘリウム作業ガスとの熱伝達抵抗性が低減する。空洞のセル壁は、好ましくは少なくとも流動チャネルに沿って一定の厚さを有し、その厚さは0.1mmから0.5mmの範囲内である。セル壁の一定の壁強度によって、流動チャネル内のヘリウム作業ガスと空洞内のヘリウムとの均一な熱伝達が達成される。
【0025】
熱交換器全体は、好ましくは作業ガスの流動方向に5mmから100mmの厚さを有する。
【0026】
残りの請求項は、本発明のさらに有利な特徴に関する。
【0027】
以下において、図面によって本発明の好ましい実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】作業ガスのための流動チャネルにおける熱交換器の第1の実施形態を示す断面図である。
図2図1のII-IIに沿った第1の実施形態を示す断面図である。
図3a】第2の実施形態を概略的に表す図である。
図3b】第2の実施形態を概略的に表す図である。
図4】第3の実施形態を概略的に表す図である。
図5】第4の実施形態を概略的に表す図である。
図6】第5の実施形態を概略的に表す図である。
図7】環状の外径を有する2層のセルを有する3次元マトリックス配置の形の第6の実施形態を示す図である。
図8】作業ガスの流動方向に対して垂直に見たときの、3層のセルを有するマトリックス配置を詳細に表す図である。
図9】第7の実施形態による、シェル構造およびカバーで作られた熱交換器の生産を概略的に表す図である。
図10】第7の実施形態による、シェル構造およびカバーで作られた熱交換器の生産を概略的に表す図である。
図11】3D印刷によって生産された2つの構造からなる、本発明の第8の実施形態を示す図である。
図12a】3D印刷によって容易に製造され得る、蓄熱ヘリウムを含む空洞の断面の例を示す図である。
図12b】3D印刷によって容易に製造され得る、蓄熱ヘリウムを含む空洞の断面の例を示す図である。
図12c】3D印刷によって容易に製造され得る、蓄熱ヘリウムを含む空洞の断面の例を示す図である。
図13】2つの低温段階を含み、第2の低温段階は低温熱交換器を含むパルスチューブ冷凍機の形の極低温冷凍機の典型的な構造を示す図である。
図14】ペレットの形の希土類材料を用いた先行技術による低温熱交換器の概略的構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1および図2は、本発明による熱交換器1の第1の構成を最も単純な形で示す。熱交換器1は、空洞6を囲むセル壁4を含むセル2からなる。セル壁4は、外側4aおよび内側4iを有する。セル壁4は、毛管の形の圧力平衡開口部8によって貫通される。熱交換器1は環状の断面を有し、ヘリウム作業ガスのためのチューブ形状の流動チャネル10の中に配置される。空洞6の内側には、熱交換器媒体または蓄熱媒体としてのヘリウムが充填される。作業ガスのためのチューブ形状の流動チャネル10とセル壁4の外側4aとの間に環状の間隙12が残るように、熱交換器1および/またはセル2の寸法が定められる。よって、ヘリウム作業ガスは熱交換器1の周囲を流れて、熱伝導性のセル壁4を介して空洞6内のヘリウムと熱を交換できる。
【0030】
図3aおよび図3bは、ディスク形状のセル2を有する本発明の第2の実施形態を示す。第2の実施形態によるセル2は、作業ガスのための流動チャネルとしての1つの面における複数の直線状のスリット20によって貫通されているという点で、このセル2は図1および図2によるセル2と区別される。スリット形状の流動チャネル20は互いに平行だが、セル2の端縁よりも前に終端するためにセル2はばらばらになり得ない。スリット形状の流動チャネル20の間のセル壁4によって囲まれた矩形のブロック形状の区域には、矩形の断面を有するチューブ形状の空洞6が存在する。すべての空洞6は、ディスク形状のセル2の端縁に提供された周囲チャネル24において終端するため、空洞6と周囲チャネル24とが単一の空洞を形成する。
【0031】
3D印刷によるディスク形状のセル2の製造においては、最初に1つまたは2つのより大きい開口部22が残り、3D印刷の後に3D印刷による粉末状の材料がこれらのより大きい開口部22を通じて吹き出されてもよい。それらの開口部はその後閉じられるため、1つまたは複数の圧力平衡開口部8のみが毛管の形で残る。加えて、作業ガスの流動方向に複数のセル2が互いの後ろに配置されることによって、性能が増した熱交換器がもたらされてもよい。
【0032】
図4は、複数のセル2-1、2-2、2-3が互いの上に積み重ねられた本発明の第3の実施形態を示す。円形の断面を有する3つのディスク形状のセル2-iは、同一の構造を有する。セル2-iは第2の実施形態のセル2と類似のものであり、セル2-iは作業ガスのための流動チャネルとしての1つの面における複数の直線状のスリット20によって貫通されているという点で、図1および図2によるセルと区別される。スリット形状の流動チャネル20は互いに平行だが、セル2-iの端縁よりも前に終端するためにセル2はばらばらになり得ない。スリット形状の流動チャネル20の間のセル壁4によって囲まれた矩形のブロック形状の区域には、直角を有する等辺三角形の形状の断面を有するチューブ形状の空洞6-iが存在する。三角形の直角を有する頂点は上方を指しているため、等辺三角形の2つの側部は45°の角度にて上向きに延在する。三角形の断面を有する空洞6-iは、3D印刷によって容易に製造されてもよい。3D印刷によるディスク形状のセル2の製造においては、最初に1つまたは2つのより大きい開口部22が残り、3D印刷の後に3D印刷による粉末状の材料がこれらのより大きい開口部22を通じて吹き出されてもよい。それらの開口部はその後閉じられるため、1つまたは複数の圧力平衡開口部8のみが毛管の形で残る。
【0033】
ディスク形状のセル2-iの端縁において、空洞6-iは相互接続される。圧力平衡開口部8は、空洞6-iをセル2-iの外側の区域に接続する。セル2-iはその上側に複数の整列ピン30を有し、反対側には対応する整列凹部32が位置する。それらの整列構成要素30、32によって、互いの頂部に位置するセル6-iのスリット形状の流動チャネル20が互いに整列されることが達成され、結果として熱交換器を通過する流動チャネルが得られる。整列ピン30によって貫通された断熱層34が個々のセル6-iの各々の間に配置されるため、整列ピンは上に位置する整列開口部32と噛み合う。
【0034】
図5はディスク形状のセル2の形の熱交換器の第4の実施形態を概略的に示し、このセル2は、三角形の断面を有するチューブ形状の空洞の代わりに2つのチューブ形状の空洞6aおよび6bがそれぞれ提供されるという点で、図4によるセル2-iと区別される。チューブ形状の空洞6aおよび6bの断面も同様に、直角を有する等辺三角形の形状を有する。この直角は、スリット形状の流動チャネルの境界を定める仕切り壁4の内側から始まる。このことによって、流動チャネル20と空洞6-iとの間に一定の壁強度を有する仕切り壁4がもたらされる。このことは、流動チャネル20内の作業ガスと空洞6aおよび6b内のヘリウムとの間の熱伝達の改善をもたらす。圧力平衡開口部8は、空洞6a、6bをセル2の外側の区域に接続する。
【0035】
図6は本発明の第5の実施形態を示し、この実施形態は、三角形の断面を有するチューブ形状の空洞6a、6bが直角三角形の底辺を流動チャネル20に向けて配置されるという点のみによって、図4による実施形態と区別される。この底辺が等辺三角形の側部の長さを形成するため、それによって熱伝達が改善される。
【0036】
図7および図8は、本発明の第6の実施形態の構造を概略的に示す。図7は、2層のセル102を有する3次元マトリックス103の形に配置された多数のセル102を有する熱交換器101を示す。セル102は立方体の形状を有し、基本的に同一の構造である。しかし、熱交換器101はチューブの断面を充填するものであるため、端縁におけるセル102は必然的に逸脱した形状を有する。個々のセル102の各々は、熱伝導性のシェル104と毛管の形の圧力平衡開口部108とを含む立方形の空洞106を包含する。図8にみられるとおり、個々のセル102は作業ガスの流動方向112において互いの後ろに互い違いに配置される。隣り合ったセル102は、熱伝導性の接続構成要素114によって互いに接続される。流動方向112において互いの後ろにあるセル102は、断熱性であるかまたは伝導性の低い接続構成要素116によって互いに接続されて流動チャネル120を形成することによって、セル102による機械的に固定されたマトリックス配置103をもたらす。図7は2層のセル102のみを示すが、図8には3層のセル102が示される。個々の空洞106のガス体積は約1mmであり、シェル104の壁強度は約0.2mmである。個々のセル102の間の距離は約0.2mmである。セル102の合計空間要求は約8mmに達する。
【0037】
本発明による熱交換器101は、好ましくは極低温冷凍機の最低の低温段階における低温熱交換器部分242として用いられる。
【0038】
図9および図10は本発明の第7の実施形態を示し、ここでセル2には、図3図6による実施形態に対応するスリット形状の流動チャネル20が設けられる。図4図6による実施形態との相違点は、チューブ形状の空洞6’の形状である。図3aおよび図3bによる第2の実施形態と同様に、空洞6’は矩形の断面を有する。第2の実施形態とは対照的に、製造は少なくとも2つの部品によって2つのステップで行われる。最初に、たとえば3D印刷などによって、「開口空洞」またはポット形状の凹部42を有する第1の部品40が生成される。第2のステップにおいて、粉末状の3D印刷材料がポット形状の凹部から除去される。次いで第3のステップにおいて、凹部42が第2の部品44によって覆われる。第1および第2の部品40、44は、たとえば結合または溶接などによって、互いに永続的に接続される。
【0039】
図11は、第1および第2の半体セル50、52で構成されるディスク形状のセル2の形の本発明の第8の実施形態を示し、結果として得られるセル2は、図5および図6の実施形態と同様に、スリット形状の流動チャネル20の間に立方形の断面の構造を含む。両方の半体セル50、52の各々は、等辺三角形の断面を有する複数の第1および第2の空洞54および56を有する。2つの半体セル50、52は、3D印刷によって生産されてもよい。2つの半体セルの各々は、平坦な側部58および平坦でない側部60を有する。2つの平坦でない側部60は相補的な形状であり、2つの半体セル50、52が組み立てられるときに、2つの半体セルの相補的な平坦でない側部60が互いの頂部に位置する。図4図6による実施形態と比べて、各々が2つの半体セル50、52を有するセル2を有する熱交換器においては、熱交換器の総体積に対する空洞体積の割合が増加する。このことによって、熱交換器はより高い性能を有する。
【0040】
図3aおよび図3bによる第2の実施形態と同様に、図4図6および図9図11による実施形態も周囲チャネル24を示す。
【0041】
図2図6および図9図11には圧力平衡開口部8が描かれていないが、それは存在している。空洞6-i、6’、6a、6bは相互接続されているため、圧力平衡開口部8はセル2の任意の場所に提供されてもよい。
【0042】
図12a、図12b、および図12cは、3D印刷によって容易に生産され得る、図3図6および図11によるディスク形状の熱交換器における空洞6の断面のさらにとり得る形状を示す。
【符号の説明】
【0043】
1 熱交換器
2 セル
4 セル壁
4i セル壁4の内側
4a セル壁4の外側
6、6-i、6a、6b 空洞
8 圧力平衡開口部
10 作業ガスのための流動チャネル
12 2と10との間の環状の間隙
20 作業ガスのためのスリット形状の流動チャネル
22 吹き出し穴
24 周囲連絡チャネル
30 整列ピン
32 整列凹部
34 断熱層
40 ポット形状の凹部を有する第1の部品
42 ポット形状の凹部
44 カバー
50 第1の半体セル
52 第2の半体セル
54 第1の空洞
56 第2の空洞
58 50、52の平坦な側部
60 50、52の平坦でない側部
101 熱交換器
102 セル
103 マトリックス配置
104 シェルおよび/またはセル壁
106 空洞
108 圧力平衡開口部
112 作業ガスの流動方向
114 熱伝導性の接続構成要素
116 断熱性の接続構成要素
120 流動チャネル
220 第1の低温段階
222 第2の低温段階
224 第1のパルスチューブ
226 第1の熱交換器
228 第2のパルスチューブ
230 第2の熱交換器
232 接続手段
234 作業ガスライン
236 弁
238 バラスト体積
240 230の第1の熱交換器部分
242 230の低温熱交換器部分
244 230内の金属ふるい
246 希土類化合物のペレット
図1
図2
図3a
図3b
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12a
図12b
図12c
図13
図14
【手続補正書】
【提出日】2022-04-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業ガスとしてのヘリウムを有する極低温冷凍機のための熱交換器であって、外側および内側を含むセル壁を有する少なくとも1つのセルを含み、
前記セル壁は少なくとも一部で熱伝導性であり、
前記少なくとも1つのセルは、セル壁に囲まれた、互いに接続された複数の空洞を有し、
前記セル壁の前記外側は、前記ヘリウム作業ガスのための流動チャネルの境界を少なくとも部分的に定め、
前記少なくとも1つのセルは、毛管として形成されて、永続的に開口している圧力平衡開口部を有し、
前記少なくとも1つのセルは、セル壁によって境界を定められた、前記作業ガスのための流動チャネルを含み、
記複数の空洞には蓄熱材料としてのヘリウムが充填され、
前記流動チャネルは、セルの端縁よりも前に終端するためにセルはばらばらになり得ない前記空洞間のいくつかのスリットである、熱交換器。
【請求項2】
前記流動チャネルは、直線状に互いに平行に走ることを特徴とする、請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
すべての空洞は、セルの端縁に提供された周囲チャネルにおいて終端するため、空洞と周囲チャネルとが単一の空洞を形成することを特徴とする、請求項1または2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記圧力平衡開口部は、空洞を少なくとも1つのディスク形状のセルの外側に接続することを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記少なくとも1つのセルは、円形の断面を有するディスクとして形成されることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項6】
複数のセルは、前記作業ガスの流動方向において互いの後ろに配置されることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項7】
前記作業ガスの流動方向において互いの後ろに配置されるセルは、前記作業ガスのための流動チャネルを含む断熱層によって互いに分離されることを特徴とする、請求項に記載の熱交換器。
【請求項8】
前記セルおよび前記断熱層の各々が整列構成要素を有することで、前記セルおよび前記断熱層または複数の断熱層の前記流動チャネルが互いに整列することを特徴とする、請求項に記載の熱交換器。
【請求項9】
前記整列構成要素は、前記セルの一方の側部における複数の整列ピンと、前記セルの他方の側部における相補的に形成された整列凹部とを含むことを特徴とする、請求項に記載の熱交換器。
【請求項10】
前記断熱層は、前記整列ピンによって貫通される整列開口部を含むことで、前記セル内および前記断熱層内の前記作業ガスのための前記流動チャネルが互いに整列されることを特徴とする、請求項に記載の熱交換器。
【請求項11】
前記圧力平衡開口部は前記熱交換器の生産中に起こる漏出によってもたらされることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項12】
前記圧力平衡開口部のサイズは、前記熱交換器の作業サイクル中の前記セル内の最大圧力変化が20%、好ましくは10%となるように選択されることを特徴とする、請求項10または11に記載の熱交換器。
【請求項13】
前記セル壁の前記外側は、前記作業ガスのための前記流動チャネル内に乱流構造を有することを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項14】
前記空洞はチューブの形状と、三角形の形の断面、矩形の形の断面、または少なくとも1つの傾斜したセル壁を有する断面とを有することを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項15】
複数のチューブ形状の空洞において、前記チューブ形状の空洞の間にセルごとに前記作業ガスのための流動チャネルが配置されることを特徴とする、請求項14に記載の熱交換器。
【請求項16】
前記セルは2つの半体セルで構成され、各々の前記半体セルは三角形の形の断面を有する複数の空洞を含み、
前記チューブ形状の空洞は前記作業ガスのための前記流動チャネルの間に配置され、
前記半体セルの各々は平坦な側部と平坦でない側部とを有し、
前記2つの半体セルの前記平坦でない側部は互いに相補的に形成され、
前記2つの半体セルの前記2つの相補的な平坦でない側部は互いに接触することを特徴とする、請求項1~15のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか一項に記載の熱交換器を生産するための方法であって、前記熱交換器は3D印刷によって生産されることを特徴とする、方法。
【請求項18】
請求項1~16のいずれか一項に記載の熱交換器を生産するための方法であって、前記熱交換器は少なくとも2つの部品から生産され、前記2つの部品は製造後に互いに接続され、少なくとも1つの部品は前記1つ/複数の空洞の少なくとも一部を形成する凹部を有することを特徴とする、方法。
【請求項19】
スターリング冷凍機、ギフォード・マクマホン冷凍機、またはパルスチューブ冷凍機の形の極低温冷凍機であって、少なくとも1つの熱交換器を含み、請求項1~16のいずれか一項に記載の熱交換器を特徴とする、極低温冷凍機。
【請求項20】
前記極低温冷凍機の作業サイクル中の前記熱交換器の前記少なくとも1つのセル内の最大圧力変化は20%、好ましくは10%であることを特徴とする、請求項19に記載の極低温冷凍機。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は、請求項1に記載の作業ガスとしてのヘリウムを有する極低温冷凍機のための熱交換器、こうした熱交換器を生産するための方法、ならびにこうした熱交換器を含む極低温冷凍機に関する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
ルはセル壁によって境界を定められた流動チャネルによって貫通される。このことは熱交換表面の拡大をもたらし、よって空洞内のヘリウムと外側の作業ガスとの熱伝達の改善をもたらす。流動チャネルは、好ましくはスリットとして形成される。作業ガスに対するスリット形状の流動チャネルは、好ましくは直線状に互いに平行に走ることで、一方では流動抵抗性を最小化し、他方では流動チャネル間にチューブ形状の空洞を均一に構成するようにする。直線および平行であるという簡単な方式によって、2つの流動チャネル間の空間が等しくなる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
熱交換器の円形の外側形状は、それらを簡単なやり方で極低温冷凍機の典型的に円形の断面に統合することを可能にする。複数のチューブ形状の構造を含み得る単一のセルは、ディスクの形状を有してもよい。代替的に、複数のセルが組み合わされてディスクを形成してもよい
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
ルを互いの後ろに配置することによって、熱交換器の蓄熱容量が増加する。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
業ガスの流動方向において互いの後ろに配置されたセル間の断熱は、作業ガスの流動方向において空洞間で熱が交換されることを防ぐ。作業ガスの流動方向におけるこうした熱交換は、熱交換器の短絡を表し得る。すなわち、作業ガスの流動方向における熱交換は熱交換器の機能に寄与しない。断熱層の厚さは、好ましくは0.1mmから0.5mmである。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
列構成要素によって、セルの流動チャネルの互いの頂部における正しい整列が簡単になる。整列構成要素は、たとえば円錐形またはピラミッド形状の先端部を有する整列ピンなどである。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
圧力平衡開口部は好ましくは毛管の形状を有し、すなわち開口部の断面積は中空体の表面と比べて非常に小さい
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
加えて、圧力平衡開口部はセルの生産中に起こる漏出を通じて提供されてもよい
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
圧力平衡開口部のサイズおよびそれによる透過性は、熱交換器の作業サイクル中のセル内の圧力変化が最大20%、好ましくは最大10%となるように選択される。これは最適化プロセスである。毛管が大きいほど望ましくない材料交換が多くなり、セルの空洞内の圧力変動が大きくなり、熱交換器の動作の際の空洞へのヘリウムの進入が速くなる。毛管が小さいほど必要な圧縮作業が少なくなるが、熱交換器の動作の際の空洞へのヘリウムの進入が長くなる
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
ヘリウム作業ガスと、中空体内に存在して熱を貯蔵するヘリウムとの熱交換を改善するために、中空体の表面には乱流構造が設けられる
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
ューブ形状の空洞の断面形状は、3D印刷によって熱交換器を生産することを可能にする。空洞の断面は矩形のブロック形状または矩形の形状であることが、熱交換のために理想的である。少なくとも1つの傾斜したセル壁または三角形の断面を有するチューブ形状の空洞を有するセルが、3D印刷によって容易に生産されてもよい。3D印刷によって、鉛直または傾斜したセル壁(45°以上の傾斜)を有する構造が容易に生産されてもよい。空洞の三角形の断面が直角を有するときが最も容易であることが確実にされる。ダイヤモンド形状の断面、五角形の断面、または家の形状の断面も好適である
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
チューブ形状の空洞内のヘリウムと、空洞の外側のヘリウム作業ガスとの最適な熱交換のために、チューブ形状の空洞の間に流動チャネルが配置される
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
ディスク形状の熱交換器は1つまたは複数のディスク形状のセルからなり、各セルは2つの半体セルを含む、有利な構成によって、両方の半体セルが3D印刷によって製造され得ることが達成される。同時に、熱交換器の総体積に対する空洞の体積およびそれによる空洞内のヘリウムの体積の割合は、単一片のセルしか含まない熱交換器に比べて増加する。このことによって、熱交換器の蓄熱容量が増加するか、または同じ熱容量を有する熱交換器をよりコンパクトにし得る。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
3D印刷法において、矩形のブロック形状または楕円体の空洞は全体として製造されてもよいし、2つの部品から2つのステップで製造されてもよい。「開口空洞」またはポット形状の凹部を有する第1の部品は、第1の場所において生産される。次いでそれらの凹部は、第2のステップにおいて第2の部品によって覆われる。第1および第2の部品は、たとえば結合または溶接などによって、互いに永続的に接続される。
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
本発明の熱交換器は、特にスターリング冷凍機、ギフォード・マクマホン冷凍機、またはパルスチューブ冷凍機に対して好適である
【外国語明細書】