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特開2022-84914貫入要素との相互作用によって汚染除去する隔壁
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022084914
(43)【公開日】2022-06-07
(54)【発明の名称】貫入要素との相互作用によって汚染除去する隔壁
(51)【国際特許分類】
   A61J 1/05 20060101AFI20220531BHJP
【FI】
A61J1/05 315C
【審査請求】有
【請求項の数】33
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022057992
(22)【出願日】2022-03-31
(62)【分割の表示】P 2018513828の分割
【原出願日】2016-09-15
(31)【優先権主張番号】62/219,035
(32)【優先日】2015-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514180649
【氏名又は名称】ドクター ピー インスティチュート エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ピー ダニエル
(57)【要約】      (修正有)
【課題】物理的な相互作用によって、汚染除去するための隔壁を提供する。
【解決手段】隔壁10は、物理的な相互作用によって汚染除去するように、針12によって貫入可能である。隔壁は、周囲部分14と、外表面16と、内表面18とを含み得る。貫入部分20は、外表面と内表面との間に延在し、周囲部分から内向きに隔てられており、可撓部分22は、貫入部分と周囲部分との間に位置する。より分厚い部分24は、可撓部分と貫入部分との間に延在し、外表面と内表面との間で可撓部分よりも増した厚さを画成する。針による貫入部分への貫入中に、可撓部分は周囲部分に対して内向きに可撓である。針が隔壁に貫入するときに、貫入部分は針と物理的に相互作用し、針を汚染除去する。隔壁は、針が引き抜かれるときに、逆行性汚染を低減させ、または防止することもできる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
隔壁であって、
前記隔壁の周囲周りに延在する周囲部分、前記隔壁の外側に位置する外表面、および前記隔壁の反対側に位置する内表面と、
針または他の貫入要素によって貫入可能であって、前記外表面と前記内表面との間に延在し、前記周囲部分から内向きに隔てられており、前記針または他の貫入要素によって貫入可能である貫入部分と、
前記貫入部分と前記周囲部分との間に位置する可撓部分と、
前記可撓部分と前記貫入部分との間に延在し、前記外表面と前記内表面との間で、前記可撓部分よりも増した厚さを画成する、厚さが増した部分とを備え、前記可撓部分は、針または他の貫入要素による前記貫入部分への貫入中に、前記周囲部分に対して内向きに可撓可能であり、前記貫入部分が、前記針または他の貫入要素と物理的に相互作用し、前記針または他の貫入要素を汚染除去し、
前記隔壁が、針または他の貫入要素を、これらによる前記貫入部分への貫入中に、前記隔壁と前記針または他の貫入要素との相互作用によって、汚染除去するように構成されたことを特徴とする、隔壁。
【請求項2】
請求項1に記載の隔壁であって、前記厚さが増した部分が、前記貫入部分周りに環状に延在することを特徴とする隔壁。
【請求項3】
請求項1または2に記載の隔壁であって、前記隔壁が対称軸を画成し、前記可撓部分が、前記対称軸に対して実質的に垂直な平面の片側に位置しており、前記厚さが増した部分を画成する前記内表面の少なくとも一部分が、前記平面の、前記可撓部分とは反対側に位置することを特徴とする隔壁。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の隔壁であって、前記厚さが増した部分が、実質的にドーム形状の内表面によって画成されることを特徴とする隔壁。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の隔壁であって、前記厚さが増した部分が、形状がドーナツ形、半ドーナツ形、または部分的にドーナツ形である内表面によって画成されることを特徴とする隔壁。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の隔壁であって、前記厚さが増した部分が、曲線形状の内表面によって画成されることを特徴とする隔壁。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の隔壁であって、前記厚さが増した部分は、断面が実質的に凸形状であることを特徴とする隔壁。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の隔壁であって、前記貫入部分が、前記外表面と前記内表面との間で、前記厚さが増した部分に比べて薄い厚さを画成することを特徴とする隔壁。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の隔壁であって、前記外表面が、実質的にドーム形状および実質的に凸形状のうちの1つ以上であることを特徴とする隔壁。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の隔壁であって、前記貫入部分が、前記外表面において凹所を画成することを特徴とする隔壁。
【請求項11】
請求項10に記載の隔壁であって、前記貫入部分の前記凹所が、実質的に円錐形状であることを特徴とする隔壁。
【請求項12】
請求項10に記載の隔壁であって、前記貫入部分の前記凹所が、実質的に円錐台形状であることを特徴とする隔壁。
【請求項13】
請求項10に記載の隔壁であって、前記貫入部分の前記凹所が、前記貫入部分の貫入可能な外表面を形成する実質的に平坦なベース部を画成することを特徴とする隔壁。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか1項に記載の隔壁であって、前記可撓部分が、前記厚さが増した部分と前記周囲部分との間で、前記厚さが増した部分周りに延在する凹所を、前記内表面に含むことを特徴とする隔壁。
【請求項15】
請求項14に記載の隔壁であって、前記可撓部分の前記凹所が、前記厚さが増した部分周りに環状に延在し、前記周囲部分と前記厚さが増した部分との間で径方向に延在することを特徴とする隔壁。
【請求項16】
請求項14または15に記載の隔壁であって、前記可撓部分の前記凹所は、断面が実質的にv形状、実質的にu形状、または実質的に凹形状であることを特徴とする隔壁。
【請求項17】
請求項14から16のいずれか1項に記載の隔壁であって、前記厚さが増した部分の前記内表面が、前記可撓部分の前記凹所のベース部から、前記外表面とは反対の方向に軸方向に延在し、それにより前記貫入部分周りで増した厚さを画成することを特徴とする隔壁。
【請求項18】
請求項1から17のいずれか1項に記載の隔壁であって、前記周囲部分が、デバイスの取付け表面と一体成形され、バイスの取付け表面にオーバーモールドされ、またはバイスの取付け表面に固着されることを特徴とする隔壁。
【請求項19】
請求項1から18のいずれか1項に記載の隔壁であって、前記外表面がおおよそドーム形状であり、前記厚さが増した部分の前記内表面が、おおよそドーム形状であることを特徴とする隔壁。
【請求項20】
請求項1から19のいずれか1項に記載の隔壁であって、前記外表面がおおよそ凸形状であり、前記厚さが増した部分の前記内表面が、おおよそ凸形状であることを特徴とする隔壁。
【請求項21】
請求項1から20のいずれか1項に記載の隔壁であって、前記厚さが増した部分が、(i)前記針または他の貫入要素による前記貫入部分への貫入中に、前記貫入部分の前記外表面に比べて前記貫入部分の前記内表面上でのひずみを低減させること、(ii)前記針または他の貫入要素による前記貫入部分への貫入中に、前記貫入部分の内表面と前記針または他の貫入要素との間の径方向圧力に比べて、比較的高い径方向圧力の環状ゾーンを、前記貫入部分の外表面と前記針または他の貫入要素との間に適用すること、および(iii)前記針または他の貫入要素による貫入中に、前記貫入部分の前記外表面を、その前記内表面から隔てること、のうちの1つ以上を行なうように構成されたことを特徴とする隔壁。
【請求項22】
請求項1から21のいずれか1項に記載の隔壁であって、前記隔壁の前記内表面が滅菌されていることを特徴とする隔壁。
【請求項23】
請求項1から22のいずれか1項に記載の隔壁であって、前記貫入部分、前記厚さが増した部分、および前記可撓部分がそれぞれ弾性材料から作られ、前記外表面が、曲線形状、実質的に凸形状、または実質的にドーム形状のうちの1つ以上であり、前記針または他の貫入要素から結果的に生じた貫入穴が、自動再封止することを特徴とする隔壁。
【請求項24】
請求項1から23のいずれか1項に記載の隔壁であって、前記針または他の貫入要素により前記隔壁に形成された孔が、前記針または他の貫入要素が前記隔壁から引き抜かれるときに、前記隔壁の前記内表面から前記隔壁の前記外表面へ向かう方向に漸進的に閉じ、または封止するように、前記貫入部分が構成されたことを特徴とする隔壁。
【請求項25】
請求項1から24のいずれか1項に記載の隔壁であって、前記針または他の貫入要素が前記隔壁から引き抜かれるときに、前記針または他の貫入要素の外部にある液体または汚染物質が、前記隔壁の前記内表面を通ることまたは流れることを防止するように、前記隔壁が構成されたことを特徴とする隔壁。
【請求項26】
請求項1から25のいずれか1項に記載の隔壁であって、前記隔壁が、前記隔壁からの前記針または他の貫入要素の引き抜き中に、(i)前記針もしくは他の貫入要素の外表面、または(ii)前記貫入部分のうちの1つ以上から、前記隔壁の前記外表面に向かって、液体または汚染物質を移動させるように構成されたことを特徴とする隔壁。
【請求項27】
請求項1から26のいずれか1項に記載の隔壁であって、前記隔壁が、少なくとも0.4MPaの圧力を前記針または他の貫入要素に加えるように構成されたことを特徴とする隔壁。
【請求項28】
隔壁であって、
前記隔壁をデバイスに係合させるための、前記隔壁の周囲周りに延在する第1の手段と、
前記隔壁の外表面と内表面との間に延在し、針または他の貫入要素によって貫入されるように前記第1の手段から内向きに隔てられており、前記針または他の貫入要素と物理的に相互作用し、前記針または他の貫入要素を汚染除去する第2の手段と、
前記第1の手段と前記第2の手段との間に位置し、針または他の貫入要素による前記第2の手段への貫入中に、前記第1の手段に対して内向きに撓む第3の手段と、
(1)前記針または他の貫入要素による貫入中に、前記第2の手段の前記外表面に比べて前記第2の手段の前記内表面上でのひずみを低減させること、(2)前記第2の手段の内表面に比べて、比較的高い圧力の環状ゾーンを、前記第2の手段の外表面と前記針または他の貫入要素との間に適用すること、および(3)前記針または他の貫入要素による貫入中に、前記第2の手段の前記外表面を、その前記内表面から隔て、それにより前記外表面と前記内表面との間に安全ゾーンまたはリングを提供し、前記安全ゾーンまたはリングにおいて前記針または他の貫入要素が前記第2の手段に貫入すること、のうちの1つ以上を行なうように、前記第2の手段と前記第3の手段との間に延在する第4の手段と、
を備え、
前記隔壁が、前記針または他の貫入要素を、それらによる前記第2の手段への貫入中に、前記隔壁と前記針または他の貫入要素との相互作用によって、汚染除去するように構成されたことを特徴とする、隔壁。
【請求項29】
請求項28に記載の隔壁であって、前記第1の手段が前記隔壁の周囲部分であり、前記第2の手段が前記隔壁の貫入部分であり、前記第3の手段が前記隔壁の可撓部分であり、前記第4の手段が前記隔壁の厚さが増した部分であることを特徴とする隔壁。
【請求項30】
外表面および内表面を画成する隔壁の貫入部分に、針または他の貫入要素を貫入するステップと、
前記貫入するステップ中に、比較的高いおおよそ径方向の圧力のゾーンを、前記貫入部分の前記外表面またはその近くにおいて前記針または他の貫入要素に適用し、比較的より低いおおよそ径方向の圧力のゾーンを、前記貫入部分の前記内表面またはそのより近くにおいて前記針または他の貫入要素に適用するステップと、
前記針または他の貫入要素が前記隔壁を貫通するときに、少なくとも前記比較的高いおおよそ径方向の圧力のゾーンにおいて、前記針または他の貫入要素の外表面を漸進的に拭き取り、それにより前記隔壁に貫入した前記針または他の貫入要素の部分を汚染除去するステップと
を備えることを特徴とする方法。
【請求項31】
請求項30に記載の方法であって、前記針または他の貫入要素による前記貫入部分への貫入中に、前記貫入部分の前記外表面に比べて、前記貫入部分の前記内表面においてひずみを低減させるステップ、またはより低いひずみを生じさせるステップのうちの1つ以上をさらに備えることを特徴とする方法。
【請求項32】
請求項30または31に記載の方法であって、前記貫入するステップ中に、前記貫入部分の前記外表面が前記針または他の貫入要素周りに内向きに引っ込むこと、巻くこと、または丸まることを防止するステップをさらに備えることを特徴とする方法。
【請求項33】
請求項30から32のいずれか1項に記載の方法であって、前記貫入部分の前記外表面上の任意の細菌、バクテリア、または他の汚染物質が、前記貫入部分の前記内表面または前記隔壁の内表面の環境と連通すること、およびこれらを汚染することを防止するステップをさらに備えることを特徴とする方法。
【請求項34】
請求項30から33のいずれか1項に記載の方法であって、前記貫入するステップ中に、前記貫入部分の前記外表面をその前記内表面から隔てるステップと、前記貫入部分の前記外表面上の細菌、バクテリア、または他の汚染物質が、前記貫入部分の前記内表面、または前記隔壁の内表面の環境と連通すること、およびこれらを汚染することを防止する安全リングを、前記針または他の貫入要素と前記隔壁の境界において前記貫入部分の前記外表面と前記内表面との間に提供するステップとをさらに備えることを特徴とする方法。
【請求項35】
請求項30から34のいずれか1項に記載の方法であって、前記比較的高い径方向の圧力のゾーンにおいて、前記適用するステップ中に加えられる前記比較的高いおおよそ径方向の圧力が、少なくとも0.4MPaであることを特徴とする方法。
【請求項36】
請求項30から35のいずれか1項に記載の方法であって、
前記隔壁から前記針または他の貫入要素を引き抜くステップと、
前記引き抜くステップ中に、比較的高いおおよそ径方向の圧力のゾーンを、前記貫入部分の前記外表面またはその近くにおいて、前記針または他の貫入要素に適用し、比較的より低いおおよそ径方向の圧力のゾーンを、前記貫入部分の前記内表面またはその近くにおいて、前記針または他の貫入要素に適用するステップと、
前記引き抜くステップ中に、前記針または他の貫入要素を漸進的に拭き取り、それにより前記貫入部分の前記外表面、または前記針もしくは他の貫入要素の外表面から、前記貫入部分の前記内表面に、液体または汚染物質が通ることもしくは流れることを防止するステップと、
をさらに備えることを特徴とする方法。
【請求項37】
請求項36に記載の方法であって、前記拭き取るステップが、前記隔壁の内表面から前記隔壁の外表面に向かう方向に前記針または他の貫入要素を拭き取るステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項38】
請求項36または37に記載の方法であって、前記引き抜くステップ中に、前記針または他の貫入要素によって前記隔壁に形成された孔を、前記貫入部分の前記内表面から前記貫入部分の前記外表面に向かう方向に漸進的に閉じ、または封止するステップをさらに備えることを特徴とする方法。
【請求項39】
請求項30から38のいずれか1項に記載の方法であって、前記隔壁からの前記針または他の貫入要素の引き抜き中に、(i)前記針もしくは他の貫入要素の表面、または(ii)前記貫入部分のうちの1つ以上から、前記貫入部分の前記外表面に向かって、液体または汚染物質を移動させるステップをさらに備えることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(i)充填針の円筒形または円錐台形の表面などの表面を、当該充填針が貫入可能な隔壁によって画成された拭き取りリングとの純粋に物理的な相互作用によって、汚染除去するためのデバイスおよび方法、(ii)針または他の貫入要素によって貫入可能であるそのような隔壁、(iii)閉じた充填針などの充填針を、当該針によって貫入可能な隔壁との相互作用によって汚染除去するためのデバイスおよび方法であって、結果として生じた、隔壁の貫入穴が、熱的、化学的、または機械的な再封止による気密再封止などにより、自動的に閉じ、再封止可能なものである、デバイスおよび方法、ならびに(iv)閉じた針または他の閉じた貫入要素内から、滅菌コネクタ、滅菌連結部材、もしくは滅菌容器などの別の閉じた滅菌部材またはデバイスに、滅菌状態での製品の移送を可能にするデバイスおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願の相互参照
本特許出願は、米国特許法第119条の下に、2015年9月15日に出願された同様の名称の米国仮特許出願第62/219,035号の利益を主張し、その全体が、本開示の一部分として本願に引用して援用される。
【0003】
バイアル(バイアル瓶)または他のデバイスを封止するために使用されるストッパなどの典型的な隔壁は、エラストマなど、いくらかの伸長特性を有する材料、または熱可塑性エラストマもしくはシリコーンなどのゴム状材料から作られる。隔壁は、針によって貫入可能である貫入ゾーンを画成する外表面と、バイアルもしくは他のタイプのデバイスの開口部に受けられる、またはそれらの開口部を封止するように他の態様で取り付けられる、隔壁の下側に位置する内部フランジとを備える。典型的には隔壁は、平らな外表面と、貫入ゾーンおよびその周りの一定の壁厚さとを画成する。
【0004】
そのような先行技術の隔壁の1つの欠点は、針が貫入ゾーンを貫通したときに、針と係合する外表面が貫入サイトにおいて裂け、ひいては、特に針によって隔壁に加えられる軸方向内向きの力の下で、針周りの開口部において隔壁が内向きに引っ込む、巻き込まれる、または丸まる恐れがあることである。その結果、針開口部において隔壁の外表面にある任意の細菌、バクテリア、または他の汚染物質が、バイアルまたは他のデバイスの内部と連通し、それを汚染する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2016/0199258号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2014/0311617号明細書
【特許文献3】国際公開第2017/127584号
【特許文献4】米国特許第9951899号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2013/0292592号明細書
【特許文献6】米国特許第9460152号明細書
【特許文献7】米国特許第8966866号明細書
【特許文献8】米国特許出願公開第2010/0107784号明細書
【特許文献9】米国特許第5584850号明細書
【特許文献10】米国特許出願公開第2014/0114807号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、上述した先行技術の欠点のうちの1つ以上を克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様によれば、隔壁は、針または他の貫入要素により貫入可能であり、隔壁と貫入要素との相互作用によって汚染除去する。隔壁は、隔壁の周囲周りに延在する周囲部分と、汚染された環境に露出され得る隔壁の外側に位置する外表面と、滅菌チャンバまたは他の滅菌環境に露出され得る内表面とを備える。隔壁の貫入エリアまたは部分は、外表面と内表面との間に延在し、周囲部分から内向きに隔てられており、針または他の貫入要素により貫入可能である。隔壁の可撓部分は、貫入エリアと周囲部分との間に位置している。隔壁のより分厚い部分は、可撓部分と貫入エリアとの間に延在し、好ましくは、外表面と内表面との間で、可撓部分よりも分厚い部分を画成する。可撓部分は、針または他の貫入要素による貫入エリアへの貫入中に、周囲部分に対して内向きに可撓であり、貫入部分は、針または他の貫入要素と物理的に相互作用し、針または他の貫入要素を汚染除去する。
【0008】
いくつかの実施形態では、より分厚い部分は、貫入部分周りに環状に延在する。いくつかのそのような実施形態では、隔壁は対称軸を画成し、可撓部分は、その対称軸に実質的に垂直な平面の片側に位置しており、より分厚い部分を画成する内表面の少なくとも一部分は、その平面の、可撓部分とは反対側に位置している。いくつかのそのような実施形態では、より分厚い部分の内表面は、平面の下に隔てられており、可撓部分の内表面は当該平面の上に隔てられている。いくつかの実施形態では、より分厚い部分は、曲線形状の内表面によって画成される。いくつかのそのような実施形態では、より分厚い部分は、実質的にドーム形状の内表面によって画成される。いくつかのそのような実施形態では、ドーム形状の内表面は、貫入エリアにおいて、実質的に凹形状凹所などの凹所を画成する。いくつかの実施形態では、より分厚い部分は、実質的にドーナツ形状(円環形状)、半ドーナツ形状、または部分的にドーナツ形状の内表面によって画成される。いくつかの実施形態では、より分厚い部分は、断面が実質的に凸形状であり、好ましくは、下向きに垂下し可撓部分と貫入部分との間に延在する、環状に延在する実質的に凸形状の突出部を画成する。
【0009】
いくつかの実施形態では、貫入エリアは、外表面と内表面との間で、より分厚い部分に比べて薄い厚さを画成する。いくつかの実施形態では、外表面は、実質的にドーム形状および実質的に凸形状のうちの1つ以上である。いくつかのそのような実施形態では、貫入エリアは、外表面の凹所によって画成される。いくつかのそのような実施形態では、凹所は実質的に円錐形状である。いくつかのそのような実施形態では、凹所は実質的に円錐台形状である。いくつかの実施形態では、凹所は、貫入エリアの貫入可能な外表面を形成する実質的に平坦なベース部分を画成する。
【0010】
いくつかの実施形態では、可撓部分は、より分厚い部分と周囲部分との間でより分厚い部分周りに延在する溝を外表面に含む。いくつかのそのような実施形態では、溝は、より分厚い部分周りに環状に延在し、周囲部分とより分厚い部分との間で径方向に延在する。いくつかのそのような実施形態では、溝は断面が実質的にv形状またはu形状である。
【0011】
いくつかの実施形態では、より分厚い部分における外表面と内表面の両方がおおよそドーム形状である。いくつかのそのような実施形態では、外表面はおおよそ凸形状であり、より分厚い部分の内表面もおおよそ凸形状である。いくつかのそのような実施形態では、可撓部分は、周囲部分とより分厚い部分との間に延在する環状の凹所を画成する。いくつかのそのような実施形態では、環状の凹所は、断面がおおよそ凹形状である。
【0012】
いくつかの実施形態では、より分厚い部分は、(i)針または他の貫入要素による貫入中に、貫入エリアの外表面に比べて貫入エリアの内表面上でのひずみを低減させること、(ii)針または他の貫入要素による貫入中に、貫入エリアの内表面と針または他の貫入要素との間の径方向圧力に比べて、比較的高い径方向圧力の環状ゾーンを、貫入エリアの外表面と針または他の貫入要素との間に適用すること、および(iii)針または他の貫入要素による貫入中に、貫入部分の外表面を内表面から隔て、それにより、外表面と内表面との間に安全ゾーンまたはリングを提供し、その安全ゾーンまたはリングにおいて針または他の貫入要素が貫入エリアに貫入すること、のうちの1つ以上を行なうように構成/適合される。
【0013】
いくつかの実施形態では、周囲部分は、デバイスの取付け表面と一体成形され、デバイスの取付け表面にオーバーモールドされ、または、デバイスの取付け表面に固着されている、うちの1つ以上である。デバイスは、バイアル、シリンジ、ボトル、容器、試験管、およびディスペンサなど、1つ以上の隔壁によって周囲大気に対して封止された貯蔵チャンバを有するデバイス、および、隔壁が雌コネクタの一部を形成し、その雌コネクタが雄コネクタによって貫入されて、雄コネクタと雌コネクタとの間で滅菌連結部を形成され、その滅菌連結部を通って製品または流体が移送される、滅菌コネクタなどのコネクタを含む、現在知られているまたは今後知られるようになる多数の異なるデバイスのうちの任意のデバイスの形態を取ることができる。
【0014】
いくつかの実施形態では、針または他の貫入要素により隔壁に形成された孔が、針または他の貫入要素が隔壁から引き抜かれるときに、隔壁の内表面から隔壁の外表面へ向かう方向に漸進的に閉じ、または封止するように、貫入部分が構成される。いくつかの実施形態では、隔壁は、針または他の貫入要素が隔壁から引き抜かれるときに、液体または汚染物質が隔壁の外表面から隔壁の内表面に通ることまたは流れることを防止するように構成される。隔壁は、針または他の貫入要素が隔壁から引き抜かれている間に、(i)針もしくは他の貫入要素の表面、または(ii)貫入部分のうちの1つ以上から、隔壁の外表面に向かって、液膜または汚染物質を移動させるように構成されてもよい。
【0015】
別の態様によれば、隔壁は、針または他の貫入要素により貫入可能であり、隔壁と貫入要素との相互作用によって汚染除去する。隔壁は、(i)隔壁をデバイスに取り付けるための、隔壁の周囲周りに延在する第1の手段と、(ii)隔壁の外表面と内表面との間に延在し、針または他の貫入要素によって貫入されるように第1の手段から内向きに隔てられており、針または他の貫入要素と物理的に相互作用し、針または他の貫入要素を汚染除去するための第2の手段と、(iii)第1の手段と第2の手段との間に位置し、針または他の貫入要素による第2の手段への貫入中に、第1の手段に対して内向きに撓む第3の手段と、(iv)(a)針または他の貫入要素による貫入中に、第2の手段の外表面に比べて第2の手段の内表面上でのひずみを低減させること、(b)第2の手段の内表面に比べて、比較的高い圧力の環状ゾーンを、第2の手段の外表面と針または他の貫入要素との間に適用すること、および(c)針または他の貫入要素による貫入中に、第2の手段の外表面を、その内表面から隔て、それにより外表面と内表面との間に安全ゾーンまたはリングを提供し、安全ゾーンまたはリングにおいて針または他の貫入要素が第2の手段に貫入すること、のうちの1つ以上を行なうように、第2の手段と第3の手段との間に延在する第4の手段と、を備える。
【0016】
本発明のいくつかの実施形態では、第1の手段は隔壁の周囲部分であり、第2の手段は隔壁の貫入部分または貫入エリアであり、第3の手段は隔壁の可撓部分であり、第4の手段は隔壁の厚さが増した部分またはより分厚い部分である。
【0017】
別の態様によれば、隔壁への貫入中に針または他の貫入要素との物理的相互作用によって針または他の貫入要素を汚染除去する方法などの方法は、
外表面および内表面を画成する隔壁の貫入部分に、針または他の貫入要素を貫入するステップと、
前記貫入するステップ中に、比較的高いおおよそ径方向の圧力のゾーンを、貫入部分の外表面またはその近くにおいて針または他の貫入要素に適用し、比較的より低いおおよそ径方向の圧力のゾーンを、貫入部分の内表面またはそのより近くにおいて針または他の貫入要素に適用するステップと、
針または他の貫入要素が隔壁を貫通するときに、少なくとも比較的高いおおよそ径方向の圧力のゾーンにおいて、針または他の貫入要素の外表面を漸進的に拭き取り、それにより針または他の貫入要素の一部分を汚染除去するステップと、を備える。
【0018】
いくつかの実施形態では、本方法は、針または他の貫入要素による貫入中に、貫入エリアの外表面に比べて、貫入エリアの内表面においてひずみを低減させるステップ、またはより低いひずみを生じさせるステップをさらに備える。そのような実施形態は、針または他の貫入要素が貫入エリアの内表面を穿孔するとき、貫入エリアの外表面が、針周りの貫入穴においてまたはその周りで内向きに引っ込むこと、巻くこと、または丸まることを防止するステップをさらに備えてもよい。そのような実施形態は、貫入穴における外表面上の任意の細菌、バクテリア、または他の汚染物質が、デバイスの滅菌チャンバなどの隔壁の内部、または隔壁の内表面の環境と連通すること、およびこれらを汚染することを防止するステップをさらに備えてもよい。
【0019】
いくつかの実施形態は、針または他の貫入要素による貫入中に、貫入エリアの外表面をその内表面から隔てるステップと、針または他の貫入要素との境界において、外表面と内表面との間で安全ゾーンまたはリングを提供するステップとをさらに備える。安全ゾーンまたはリングは、貫入穴における外表面上の任意の細菌、バクテリア、または他の汚染物質が、デバイスの滅菌チャンバなどの隔壁の内部、または隔壁の内表面の環境と連通すること、およびそれらを汚染することを防止する。
【0020】
いくつかの実施形態では、本方法は、隔壁から針または他の貫入要素を引き抜くステップと、この引き抜くステップ中に、比較的高いおおよそ径方向の圧力のゾーンを、貫入部分の外表面またはその近くにおいて、針または他の貫入要素に適用し、比較的より低いおおよそ径方向の圧力のゾーンを、貫入部分の内表面またはその近くにおいて、針または他の貫入要素に適用するステップとをさらに備える。いくつかのそのような実施形態では、本方法は、針または他の貫入要素を漸進的に拭き取り、それにより貫入部分の外表面、または針もしくは他の貫入要素の外表面から、貫入部分の内表面に、液体または汚染物質が通ることもしくは流れることを防止するステップをさらに備えてもよい。
【0021】
いくつかのそのような実施形態では、引き抜くステップ中に、拭き取るステップは、隔壁の内表面から隔壁の外表面に向かう方向に針または他の貫入要素を拭き取るステップを含む。いくつかのそのような実施形態では、本方法は、針または他の貫入要素によって隔壁に形成された孔を、貫入部分の内表面から貫入部分の外表面に向かう方向に漸進的に閉じ、または封止するステップをさらに備える。いくつかのそのような実施形態では、本方法は、隔壁からの針または他の貫入要素の引き抜き中に、(i)針もしくは他の貫入要素の表面、または(ii)貫入部分のうちの1つ以上から、貫入部分の外表面に向かって、液膜または汚染物質を移動させるステップを備えてもよい。
【0022】
本発明の実施形態の1つの利点は、針または他の貫入要素による貫入エリアへの貫入中に、貫入エリアの外表面に比べて、貫入エリアの内表面上のひずみが、より分厚い部分によって低減されることである。その結果、針または他の貫入要素が貫入エリアの内表面を穿孔するときに、針周りの貫入穴において外表面が内向きに引っ込むこと、巻くこと、または丸まることが概して防止される。このことは、ひいては貫入穴における外表面の任意の細菌、バクテリア、または他の汚染物質が、隔壁の内部、または隔壁の内表面の環境と連通すること、もしくはそれを汚染することを防止し、または低減させることになる。
【0023】
本発明のいくつかの実施形態のさらに別の利点は、隔壁のドーム形状、凸形状、または他の曲線形状の外表面が、厚さが増した部分と相まって、針または他の貫入要素による貫入中に、貫入エリアの内表面と針または他の貫入要素との間の径方向圧力に比べて、比較的高い径方向圧力の環状ゾーンまたはリングを、貫入エリアの外表面と針または他の貫入要素との間に適用することである。比較的高い径方向に向かう圧力の環状リングは、針または他の貫入要素の先端が隔壁に貫入するときに、隔壁の穿孔された外表面との境界においてその先端に適用される。したがって、針または他の貫入要素が隔壁に貫入し続けるとき、比較的高い径方向に向かう圧力の環状リングは、貫入要素が隔壁に貫通するときに、隔壁に接触する貫入要素の表面全体を連続的または漸進的に拭き取る。比較的高い圧力の環状リングは、貫入要素が隔壁に貫入するときに、先端から始まって貫入要素の表面を能動的に拭き取り、次いでそれが隔壁に貫入するにつれて貫入要素の表面に沿って漸進的に移動し、それにより、隔壁と貫入要素とのそのような物理的相互作用によって、貫入要素を汚染除去する。
【0024】
本発明の様々な実施形態のさらに別の利点は、より分厚い部分があることにより可能になる内部滅菌層のひずみ低減によって、針または他の貫入要素による貫入中に、貫入部分の汚染された外表面が、滅菌内表面から隔てられ、それにより貫入部分の外表面と内表面との間に安全ゾーンまたはリングが提供されることである。針または他の貫入要素が貫入エリアに貫入するとき、針または他の貫入要素は貫入エリアの材料を伸ばし、それによって、表面の伸長により細菌の密度が低減する。弾性的な径方向への変形によって、貫入エリア周りのより分厚い部分は、押し下げられた外表面が滅菌された内側空洞部内に引っ込むことを概して防止するのに充分な内向きのまたは径方向に向かう圧力を維持し、針または他の貫入要素と隔壁との境界において外表面と内表面との間の安全ゾーンまたはリングを大きくする。変形全体は、隔壁と貫入要素との間に比較的高い圧力の境界を与えるように調整され、そのダイナミクスによって、貫入要素が隔壁に貫通するときに貫入要素の表面に沿って拭き取り波が適用され、それにより、そのような物理的相互作用を介して、境界における圧迫および摩擦などによって表面が汚染除去される。
【0025】
本発明および/または開示される実施形態の他の目的ならびに利点は、実施形態の以下の詳細な記述および添付図面に鑑み、より容易に明らかになるであろう。
【0026】
特許または出願書類は、カラーで作成された少なくとも1つの図面を含んでいる。カラー図面を有するこの特許または特許出願公開の写しは、請求し、必要な手数料を支払えば、当局から提供される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】バイアルのチャンバを封止するためにバイアルに取り付けられた隔壁の斜視断面図であり、隔壁の貫入エリアの上に、隔壁に貫入する前の充填針を示す図である。
図2】スナップリングによってバイアルに固定された、図1の隔壁の断面図である。
図3】可撓性のあるパウチのチャンバを封止するためにパウチのポートに取り付けられた隔壁の断面図である。
図4A図1図3に示される隔壁と同様の隔壁の貫入エリアに貫通する充填針の進行を示す断面図であり、より厚い部分と針との間、および内表面と針との間の径方向圧力に比べて、貫入エリアの外表面と針との境界における比較的高い径方向に向かう圧力を、シェーディングを用いることによって示す図である。
図4B図1図3に示される隔壁と同様の隔壁の貫入エリアに貫通する充填針の進行を示す断面図であり、より厚い部分と針との間、および内表面と針との間の径方向圧力に比べて、貫入エリアの外表面と針との境界における比較的高い径方向に向かう圧力を、シェーディングを用いることによって示す図である。
図4C図1図3に示される隔壁と同様の隔壁の貫入エリアに貫通する充填針の進行を示す断面図であり、より厚い部分と針との間、および内表面と針との間の径方向圧力に比べて、貫入エリアの外表面と針との境界における比較的高い径方向に向かう圧力を、シェーディングを用いることによって示す図である。
図5A図1図4Cに示される隔壁と同様の隔壁の貫入エリアからの充填針の引き抜きを示す断面図であり、径方向圧力に比べて、貫入エリアの外表面と針との境界における比較的高い径方向に向かう圧力を、シェーディングを用いることによって示し、針が引き抜かれるときに隔壁の逆行性汚染を低減させ、または防止する隔壁の粘弾性特徴をさらに示す図である。
図5B図1図4Cに示される隔壁と同様の隔壁の貫入エリアからの充填針の引き抜きを示す断面図であり、径方向圧力に比べて、貫入エリアの外表面と針との境界における比較的高い径方向に向かう圧力を、シェーディングを用いることによって示し、針が引き抜かれるときに隔壁の逆行性汚染を低減させ、または防止する隔壁の粘弾性特徴をさらに示す図である。
図5C図1図4Cに示される隔壁と同様の隔壁の貫入エリアからの充填針の引き抜きを示す断面図であり、径方向圧力に比べて、貫入エリアの外表面と針との境界における比較的高い径方向に向かう圧力を、シェーディングを用いることによって示し、針が引き抜かれるときに隔壁の逆行性汚染を低減させ、または防止する隔壁の粘弾性特徴をさらに示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1図3において、隔壁は概して参照符号10により示される。図1に示されるように、隔壁10は、針12または他の貫入要素によって貫入可能であり、以下でさらに記述するように、隔壁と貫入要素との相互作用によって汚染除去される。隔壁10は、隔壁の周囲周りに延在する周囲部分14と、隔壁の片側に位置する外表面16と、(外表面とは)隔壁の反対側に位置する内表面18とを備える。隔壁の貫入エリアまたは部分20は、外表面16と内表面18との間に延在し、周囲部分14から内向きに隔てられており、針12または他の貫入要素によって貫入可能である。隔壁の可撓部分22は、貫入部分20と周囲部分14との間に位置する。隔壁のより分厚い部分24は、可撓部分22と貫入部分20との間に延在し、外表面16と内表面18との間で可撓部分22よりも増した厚さを画成する。可撓部分22は、針12または他の貫入要素による貫入部分20への貫入中に、周囲部分14に対して内向きに可撓可能であり、以下でさらに記述するように、貫入部分20は、針12または他の貫入要素と物理的に相互作用し、それを汚染除去する。
【0029】
より分厚い部分24は、貫入部分20周りに環状に延在する。図2に示されるように、隔壁10は対称軸26を画成し、可撓部分22は、対称軸26に実質的に垂直な平面28の片側に位置し、より分厚い部分24を画成する内表面18の少なくとも一部分は、平面28の可撓部分とは反対側に位置する。確認され得るように、より分厚い部分24の内表面18は、平面28の下に隔てられており、可撓部分22の内表面は、平面の上に隔てられている。図1および図2にも示されるように、より分厚い部分24は曲線形状の内表面18によって画成される。示される実施形態では、より分厚い部分24は実質的にドーム形状の内表面18によって画成される。また、示される実施形態では、ドーム形状のより分厚い部分は、隔壁の下側に形成された実質的にドーナツ形状の内表面21によって画成され、貫入部分20の下側に凹所30を含む。表面は、半ドーナツ形、部分的なドーナツ形、または本明細書に記述する特徴を有する、当業者に知られている任意の他の構成であってもよい。ドーナツ形状という用語は、本出願の残りの部分において、半ドーナツ形状および部分的なドーナツ形状を含むものとして使用される。図2および図3に示されるように、ドーナツ形状のより分厚い部分24は、断面が実質的に凸形状であり、間に凹所30が形成された2つの実質的に凸状の下向きに垂下する突出部19を断面に画成する。図3に示されるように、各突出部19の内表面18は、単一の径方向曲線「R」によって画成される。図2および図3に示されるように、ドーナツ形状の突出部19は、平面28下で下向きに延在しており、その一方で可撓部分22は平面28上に位置する。典型的には図3に示されるように、より分厚い部分24は、軸方向における可撓部分22の厚さT2よりも大きい、軸方向における厚さT1を画成する。厚さT1は厚さT2よりも、少なくとも約10%大きくてもよく、少なくとも約20%大きくてもよく、また少なくとも約25%大きくてもよく、さらに少なくとも約30%大きくてもよい。厚さT1によって付加される厚さは、径方向曲線R(または他の実質的にドーム形状もしくは実質的にドーナツ形状の構成)と結合されて、貫入サイトにおいて外表面に比べて内表面上でひずみを低減させ、貫入サイトにおいて外表面と内表面との間に環状の安全ゾーンまたはリングを提供し、貫入中に針または他の貫入要素を拭き取り汚染除去するための比較的高い径方向圧力の環状リングの形成を容易にする。本明細書における教示に基づく関連技術の当業者によって認識され得るように、隔壁のより分厚い部分24は、現在知られているもしくは今後知られるようになる多数の異なる構成または形状のうちの任意のものを取ることができる。例えば内表面は、ドーナツ形状ではなく、単一の曲率半径によって画成される凸形状などの、貫入部分に凹所のない凸形状とすることができる。
【0030】
図1および図2に示されるように、貫入部分20は、外表面16と内表面18との間でより分厚い部分24に比べて薄い厚さを画成する。確認され得るように、外表面16は、実質的にドーム形状と実質的に凸形状の両方である。貫入部分20は外表面の凹所32によって画成される。示される実施形態では、凹所32は実質的に円錐台形状である。図3に示されるように、凹所32は挟角Aを画成する。挟角Aは、針20の先端36の挟角にほぼ等しい、またはそれよりもわずかに大きい(例えば約1/2°~約10°大きい)。凹所32は、貫入部分20の貫入可能な外表面を形成する実質的に平坦なベース部分34を画成する。本明細書における教示に基づく関連技術の当業者によって認識され得るように、貫入部分20は、現在知られているもしくは今後知られるようになる多数の異なる構成または形状のうちの任意のものを取ることができる。例えば隔壁の外表面16は、貫入部分に凹所のない(例えば貫入部分が実質的に平らなまたはドーム形状である)ドーム形状、または示されるものとは異なる凹所形状もしくは構成を有するドーム形状を画成してもよい。円錐形状の凹所の1つの利点は、針先端が隔壁と係合するときに、貫入部分が針先端に実質的に嵌合するまたは接触することが可能になり、貫入部分と針先端とが緊密に接触することが容易になり、それにより拭き取りおよび汚染除去効果が向上することである。さらに別の利点は、(貫入部分の上側と下側の両方にある)凹所によって、貫入部分のベース部34において厚さが薄くなり、ひいてはそれにより、より分厚い貫入部分を画成する隔壁に比べて、針による貫入力を小さくすることが可能になることである。貫入力がこのように小さくなることによって、貫入穴における針周りの内向きの引っ込み、巻き、または丸まりの防止を補助することができる。
【0031】
可撓部分22は、より分厚い部分と周囲部分14との間により分厚い部分24周りに延在する環状凹所または溝38を、内表面18に含む。示される実施形態では、溝38は、より分厚い部分24周りに環状に延在し、周囲部分14とより分厚い部分24との間で径方向に延在する。示される実施形態では、溝38は断面が実質的にv形状である。しかし本明細書における教示に基づく関連技術の当業者によって認識され得るように、貫入部分20への貫入中に、隔壁の撓み、およびより分厚い部分24による針などの貫入要素12の係合を容易にするように、可撓部分の溝または凹所は、u形状または凹形状などの現在知られているもしくは今後知られるようになる多数の異なる形状または構成のうちの任意のものを取ることができる。図3に示されるように、より分厚い部分24は、可撓部分22の環状凹所38のベース部より下に、軸方向厚さT3だけ延在する。付加される厚さT3は、より分厚い部分24の厚さT1の少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、さらに少なくとも約20%とすることができる。付加される厚さT3は、より分厚い部分24の内表面18の曲線形状と結合されて、貫入サイトにおいて外表面16に比べて内表面18上でひずみを低減させ、貫入サイトにおいて外表面16と内表面18との間に環状の安全ゾーンまたはリングを提供し、貫入中に針または他の貫入要素12を拭き取り汚染除去するための比較的高い径方向圧力の環状リングの形成を容易にする。
【0032】
図1および図2では、隔壁10は、スナップリング42によってバイアル40の口に固着される。確認され得るように、この実施形態では、周囲部分14はバイアルの口にある環状フランジ44上に着座しており、スナップリング42と取付けフランジ44との間で圧縮されて圧縮封止を形成し、それにより、気密封止を形成するなど周囲大気からバイアルの滅菌内部チャンバ46を封止する。その一方で図3では、隔壁10は、パウチ(図示せず)のポート48に取り付けられる。確認され得るように、隔壁の周囲部分14は、ポート48の環状フランジ50に着座し、それにより、気密封止を形成するなど周囲大気からパウチの滅菌内部チャンバ52を封止する。そのような実施形態では、周囲部分14は圧縮される必要はない。示される実施形態では、ポートの環状フランジ50に対して隔壁とその周囲部分14をオーバーモールドすることなどによって、(隔壁自体とともに)周囲部分14がポートと一体成形され、それにより隔壁の周囲部分をポートの取付けフランジに固着させ、封止する。確認され得るように、図2および図3の隔壁は、周囲部分14の形状を除き、材料に関しては同じである。図1および図2では、周囲部分14は、バイアル40に取り付けられるように構成され、バイアル取付け表面44とスナップリング42との間で圧縮封止を形成し、その一方で図3では、周囲部分14は、ポート48の環状フランジ50と一体成形されるように構成される。本明細書における教示に基づく関連技術の当業者によって認識され得るように、現在知られているまたは今後知られるようになる多数の異なるデバイスのうちの任意のデバイスで隔壁を使用できるようにし、現在知られているもしくは今後知られるようになる多数の異なる工程または機構のうちの任意のものに応じて、任意のそのようなデバイスに隔壁を取り付けることを可能にするために、周囲部分は、現在知られているもしくは今後知られるようになる多数の異なる形状または構成のうちの任意のものを取ることができる。
【0033】
図4A図4Cに目をやると、針12の先端36が隔壁10の貫入部分20に漸進的に貫通する様子が示される。異なるシェーディングは、針による貫入中に隔壁の貫入部分、およびその周りに生じる異なるレベルの圧力を示す。最も内側の水平方向にシェーディングが付いた領域54は、圧力が最高であるまたは比較的高く、シェーディングのないゾーンまたは領域56は、水平方向にシェーディングが付いたゾーン54よりも圧力が低く、垂直方向にシェーディングが付いたゾーンまたは領域58は、シェーディングのないゾーンまたは領域56よりも圧力が低く、ハッチングによりシェーディングが付いたゾーンまたは領域60は、垂直方向にシェーディングが付いたゾーンまたは領域58よりも圧力が低く、後方に傾斜したシェーディングが付いたゾーンまたは領域66は、ハッチングによりシェーディングが付いたゾーンまたは領域60よりも圧力が低く、前方に傾斜したシェーディングが付いたゾーンまたは領域62は、後方に傾斜したシェーディングが付いたゾーンまたは領域66よりも圧力が低い。ゾーンまたは領域は、各ゾーンまたは領域内で均一なシェーディングを有して示されるが、各ゾーンまたは領域内の圧力は異なっていてもよい。さらに各ゾーンおよび領域の間の境界は別々の分画として区分されているが、圧力は漸進的に変化してもよく、すなわち異なるゾーンまたは領域の間にはっきりした分画がなくてもよい。
【0034】
いくつかの実施形態では、領域またはゾーンのそれぞれにおいて、隔壁または針に以下の圧力が加えられる。
【表1】
【0035】
隔壁10のドーム形状、凸形状、または他の曲線形状の外表面16は、より分厚い部分24と相まって、少なくとも実質的に環状のゾーン54を適用し、このゾーンは、針先端36と、針先端が外表面16に貫入する点に近接および/または隣接した貫入部分の外表面16との境界に位置する(例えば水平方向のまたは赤色の)比較的高い径方向圧力の図において確認することができる。水平方向または赤いゾーン54は、針による貫入中、貫入部分20の内表面18と針12との間の前方に傾斜したまたは紫色のゾーン62におけるおおよそ径方向の圧力に比べて、比較的高いおおよそ径方向の圧力の環状ゾーンを、貫入部分20の外表面16と針36との間に画成する。確認され得るように、シェーディングのない/黄色のゾーン56、および垂直方向にシェーディングが付いた/緑色のゾーン58、ならびに程度は弱まるがハッチングによりシェーディングが付いた/水色のゾーン60も、比較的高いおおよそ径方向の圧力の環状ゾーンの形成に寄与する。
【0036】
図4Aに示されるように、針12が隔壁に貫入し、下向きの力が貫入部分20に加えられるとき、凹所32を囲む隔壁の部分によって、径方向内向きの力が針に対して与えられる。この力は針12との摩擦を生成し、その摩擦によって、針が挿入されるときに針12が拭き取られる。
【0037】
貫入部分の内表面と針との境界における比較的高い圧力の環状リングは、針が貫入部分に貫通するときに、針の表面全体を拭き取る。おおよそ径方向に向かう比較的高い圧力の環状リングによって、貫入部分が針の表面を拭き取ることになり、それにより隔壁と貫入要素とのそのような物理的相互作用によって針が汚染除去される。また、図4A図4Cに例示的に示されるように、針12による貫入中、隔壁のより分厚い部分24は、貫入部分の外表面16に比べて、貫入部分の内表面18上のひずみを低減させる。このことは、外表面16に比べて隔壁の内表面18における径方向圧力が低いことによって、図4A図4Cにおいて実証される。その結果、針12が貫入部分20の内表面18を穿孔するとき、針周りの貫入穴において針12の下向きの力によって隔壁10が下向きに変形することに起因した外表面16の引っ込み、巻き、または丸まりが制限される、または防止される。これにより、ひいては貫入穴の外表面上にある任意の細菌、バクテリア、または他の汚染物質が、隔壁の内部、または隔壁が取り付けられているデバイスの内部チャンバに連通し、それを汚染することが防止もしくは低減される。
【0038】
図4Cに最もよく示されるように、より分厚い部分24があることによって、針12による貫入中に貫入部分20の外表面16がその内表面18から隔てられ、それにより外表面16と内表面18との間に環状の安全ゾーンまたはリング64が提供され、その安全ゾーンまたはリングにおいて、針12が貫入部分20に貫入する。針12が貫入部分に貫入するとき、針は貫入部分の材料を伸ばし、それにより針と貫入部分20との境界において貫入部分20の断面厚さを低減させる。しかし貫入部分20周りにより分厚い部分24によって付加される厚さT1があることによって、針12と隔壁10との境界において外表面16と内表面18との間に充分な隔たりが維持され、それにより外表面16に存在し得る任意の細菌、バクテリア、または他の汚染物質が、隔壁10の内表面18に移動するまたは他の態様で通過することを防止するもしくは低減させる安全リングまたはゾーン64が提供される。
【0039】
隔壁10と針12との間のこの比較的高い圧力の境界によって、針が隔壁10の貫入部分20に貫通するときに針の表面に沿って比較的高い圧力の拭き取り波(wiping wave)がもたらされ、それにより、境界における圧迫および摩擦などによって、物理的相互作用を介して表面が汚染除去される。この拭き取り波は、図4Aの先端36の最下部分から、図4Bの中間部分、図4Cの先端の上側部分へ、最高圧力ゾーン54が漸進的に移動することによってさらに示される。汚染物質は、この拭き取り波によって、先端36の下部から安全リングまたはゾーン64内の点に至り、最終的には隔壁10の内表面18から離れるように運ばれる。
【0040】
図5A図5Cに目をむけると、針12の先端36が、隔壁10の貫入部分20から漸進的に引き抜かれる様子が示される。異なるタイプのシェーディングは、針の引き抜き中に隔壁の貫入部分、およびその周りに生じる異なるレベルの圧力を示す。図4A図4Cに用いられたのと同じシェーディングのパターンが、図5A図5Cで用いられる。図4A図4Cと同様に、ゾーンまたは領域は、各ゾーンまたは領域内で均一なシェーディングを有して示されるが、各ゾーンまたは領域内の圧力は異なっていてもよい。さらに、各ゾーンおよび領域の間の境界は別々の分画として区分されているが、圧力は漸進的に変化してもよく、すなわち異なるゾーンまたは領域の間にはっきりした分画がなくてもよい。
【0041】
針が容器に挿入され、それを通して流体が送達された後、液膜が針の表面に残存していることがある。針が引き抜かれるとき、この液膜は大気に露出され、汚染物質を捕らえることがある。これらの汚染物質は、ひいては液膜を通り、例えば滴り落ちることによって容器内に流れ、こうして容器内の物質を汚染する恐れがある。
【0042】
図5A図5Cに示される隔壁の構成によって、この逆行性汚染が防止または低減される。針が引き抜かれるとき、特に図5Bに示されるように、安全リング64は針に対して材料の密な封止を維持し、液体または汚染物質が安全リングを通過して容器内に入ることを防止するのに役立つ。
【0043】
図5Cに示されるように、隔壁から針が引き抜かれるとき、針12の貫入により形成された孔は、内部から外部に向かって閉じる。すなわち、針が隔壁10の上側部分内(外表面16の近く)に残っていても、隔壁の底部分(内表面18の近く)は封止される。隔壁により加えられる径方向の力は、単なる隔壁の弾性復元力よりも大きく、隔壁の穴を閉じる。針が先細の形状であると、隔壁から漸進的に針が引き抜かれることによって、このように閉じることが容易になる。針がさらに引き抜かれると、それに対応して、(外表面16側の)隔壁のより高い部分が封止される。したがって、液体が隔壁を通過して容器内に入るための開口穴または経路はなくなる。さらに、凹所32を含む隔壁の設計によって、拭き取り作用が生成される。隔壁の構成、例えば安全リングがあることによって、隔壁材料の単なる弾性復元力よりも大きい径方向内向きの力が、隔壁によって針に加えられる。この径方向内向きの力は、隔壁の穴が漸進的に(上向きに)閉じることと相まって、針を上方向に、隔壁の外部に向かって拭き取り、針上のまたは隔壁10と針12の境界にある液膜および汚染物質を、隔壁の孔から上向きおよび外向きに押し出す、拭き取り波を生み出す。このことは、針12が引き抜かれるときに、高い圧力の領域/安全リングが隔壁10の外表面16に向かって進行する様子を示す図5A図5Cにおいて実証される。
【0044】
いくつかの実施形態では、隔壁から針を引き抜いた後で、隔壁に結果的に生じた針穴または貫入穴は自動再封止される。この自動再封止は、隔壁材料の弾性的な性質に起因して生じ、そのような穴に加えられる径方向の圧縮は、隔壁の外表面および/または内表面のドーム形状または他の曲線形状に起因して生じる。自動再封止の特徴によって、さらに容器の内部が汚染から保護される。
【0045】
本発明の隔壁は、上述した特徴を有する任意の隔壁の形状または外観を取ることができる。例えば、隔壁は、2015年9月15日に出願された「隔壁」という名称の米国特許出願第29/539,571号に開示されている隔壁のうちの任意の隔壁の外観を取ることができ、その内容は本明細書に引用して援用される。
【0046】
本発明の隔壁は、以下の同時係属中の特許出願、すなわち、米国特許法第119(e)条の下に、2013年3月15日に出願された米国仮特許出願第61/798,210号の利益を主張する2014年3月15日に出願された米国特許出願第14/214,890号、米国特許法第119(e)条の下に、2015年1月7日に出願された米国仮特許出願第62/100,725号の利益を主張する2016年1月7日に出願された米国特許出願第14/990,778号、2016年1月19日に出願された米国仮特許出願第62/280,700号、2016年2月14日に出願された米国仮特許出願第62/295,139号、2016年2月22日に出願された米国仮特許出願第62/298,214号、2016年4月15日に出願された米国仮特許出願第62/323,561号、において開示されているデバイス、装置、および方法を含む、多数の異なる充填装置のうちの任意の装置において充填され、多数の異なる充填方法のうちの任意の方法に応じて充填された多数の異なるデバイスのうちの任意のデバイスを用いて、またはそれらのデバイスにおいて使用されてもよく、これらの同時係属中の特許出願は、その全体が本開示の一部として本明細書に引用して援用される。さらに、本発明の隔壁は、以下の同時係属中の特許出願、すなわち、米国特許法第119(e)条の下に、2012年4月17日に出願された米国仮特許出願第61/625,663号、2012年4月18日に出願された第61/635,258号、および2013年3月14日に出願された第61/784,764号の利益を主張する2014年4月17日に出願された米国特許出願第13/864,919号、ならびに、米国特許法第119(e)条の下に、2012年5月1日に出願された米国仮特許出願第61/641,248号の利益をどちらも主張する、2013年5月1日に出願された米国特許出願第13/874,839号、および2014年7月11日に出願された米国特許出願第14/535,566号、において開示されているコネクタのうちの任意のコネクタを含む、多数の異なる滅菌コネクタまたは他のタイプのコネクタのうちの任意のコネクタにおいて、またはその一部として使用されてもよく、これらの同時係属中の特許出願は、その全体が本開示の一部として本明細書に引用して援用される。
【0047】
本明細書における教示に基づく関連技術の当業者によって認識され得るように、本発明の上述したおよび他の実施形態に対して、例えば添付の特許請求の範囲において規定されたその範囲から逸脱することなく、多数の変更および修正を加えることができる。例えば隔壁は、ゴム、熱可塑性物質、シリコーンなどの多数の異なる天然または合成の弾性材料のうちの任意の材料などの多数の異なる材料のうちの任意の材料、あるいは現在知られているもしくは今後知られるようになる前出の材料のうちの1つ以上の材料の多数の異なる組合せまたは混合物のうちの任意のものから作られてもよい。さらに、隔壁の外形および外観は、本明細書において示される外形および/または外観とは異なってもよい。自動再封止することに加えて、隔壁は、現在知られているもしくは今後知られるようになる多数の異なる再封止機構または工程のうちの任意のものを用いて再封止されるように構成されてもよい。例えば隔壁は、2013年4月12日に出願された米国特許出願第13/861,502号、現在は2015年3月3日に発行された米国特許第8,966,866号において開示されている液体シーラントを使用することによって再封止されるように構成されてもよく、この特許の内容はその全体が本開示の一部として本明細書に引用して援用される。また隔壁は、機械的、化学的、または熱的な再封止によって再封止されるように構成されてもよく、熱的な再封止は、レーザまたは超音波機構などによる、現在知られているもしくは今後知られるようになる多数の異なるエネルギー源またはデバイスのうちの任意のものを用いて誘発されてもよい。本明細書に開示されている特徴は、任意の組合せまたは構成において使用されることが可能であり、本明細書において明示的に記されるまたは図示される特定の組合せまたは構成に限定されないことが、さらに理解されるべきである。したがって、この詳細な記述は、制限する意味合いではなく、例示的なものとして受け取られるべきである。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
【手続補正書】
【提出日】2022-04-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
隔壁であって、
前記隔壁の外側に位置する外表面、および前記隔壁の反対側に位置する内表面と、
針または他の貫入要素によって貫入可能であって、前記外表面と前記内表面との間に延在する貫入部分と、
を備え、
前記貫入部分が前記針または他の貫入要素によって貫入された時に、
前記隔壁は、比較的高いおおよそ径方向の圧力のゾーンを、前記外表面またはその近くにおいて針または他の貫入要素に適用し、比較的低いおおよそ径方向の圧力のゾーンを、前記内表面またはそのより近くにおいて針または他の貫入要素に適用し、
前記隔壁は、少なくとも前記比較的高いおおよそ径方向の圧力のゾーンにおいて、前記針または他の貫入要素の外表面を漸進的に拭き取り、それにより、前記隔壁に貫入した前記針または他の貫入要素の各部分を汚染除去する
ことを特徴とする、隔壁。
【請求項2】
請求項1に記載の隔壁であって、厚さが増した部分を前記貫入部分周りにさらに備えることを特徴とする隔壁。
【請求項3】
請求項に記載の隔壁であって、前記厚さが増した部分が、前記貫入部分周りに環状に延在することを特徴とする隔壁。
【請求項4】
請求項2または3に記載の隔壁であって、前記厚さが増した部分が、実質的にドーム形状の内表面によって画成されることを特徴とする隔壁。
【請求項5】
請求項から4のいずれか1項に記載の隔壁であって、前記厚さが増した部分が、形状がドーナツ形、半ドーナツ形、または部分的にドーナツ形である内表面によって画成されることを特徴とする隔壁。
【請求項6】
請求項から5のいずれか1項に記載の隔壁であって、前記厚さが増した部分が、曲線形状の内表面によって画成されることを特徴とする隔壁。
【請求項7】
請求項から6のいずれか1項に記載の隔壁であって、前記厚さが増した部分は、断面が実質的に凸形状であることを特徴とする隔壁。
【請求項8】
請求項から7のいずれか1項に記載の隔壁であって、前記貫入部分が、前記外表面と前記内表面との間で、前記厚さが増した部分に比べて薄い厚さを画成することを特徴とする隔壁。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の隔壁であって、前記外表面が、実質的にドーム形状および実質的に凸形状のうちの1つ以上であることを特徴とする隔壁。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の隔壁であって、前記貫入部分が、前記外表面において凹所を画成することを特徴とする隔壁。
【請求項11】
請求項10に記載の隔壁であって、前記貫入部分の前記凹所が、実質的に円錐形状であることを特徴とする隔壁。
【請求項12】
請求項10に記載の隔壁であって、前記貫入部分の前記凹所が、実質的に円錐台形状であることを特徴とする隔壁。
【請求項13】
請求項10に記載の隔壁であって、前記貫入部分の前記凹所が、前記貫入部分の貫入可能な外表面を形成する実質的に平坦なベース部を画成することを特徴とする隔壁。
【請求項14】
請求項2から13のいずれか1項に記載の隔壁であって、前記外表面がおおよそドーム形状であり、前記厚さが増した部分の前記内表面が、おおよそドーム形状であることを特徴とする隔壁。
【請求項15】
請求項2から14のいずれか1項に記載の隔壁であって、前記外表面がおおよそ凸形状であり、前記厚さが増した部分の前記内表面が、おおよそ凸形状であることを特徴とする隔壁。
【請求項16】
請求項2から15のいずれか1項に記載の隔壁であって、前記厚さが増した部分が、(i)前記針または他の貫入要素による前記貫入部分への貫入中に、前記外表面に比べて前記内表面上でのひずみを低減させること、(ii)前記針または他の貫入要素による貫入中に、前記外表面を、前記内表面から隔てること、のうちの1つ以上を行なうように構成されたことを特徴とする隔壁。
【請求項17】
請求項2から16のいずれか1項に記載の隔壁であって、前記隔壁の前記内表面が滅菌されていることを特徴とする隔壁。
【請求項18】
請求項2から17のいずれか1項に記載の隔壁であって、前記貫入部分および前記厚さが増した部分がそれぞれ弾性材料から作られ、前記外表面が、曲線形状、実質的に凸形状、または実質的にドーム形状のうちの1つ以上であり、前記針または他の貫入要素から結果的に生じた貫入穴が、自動再封止することを特徴とする隔壁。
【請求項19】
請求項1から18のいずれか1項に記載の隔壁であって、前記針または他の貫入要素により前記隔壁に形成された孔が、前記針または他の貫入要素が前記隔壁から引き抜かれるときに、前記隔壁の前記内表面から前記隔壁の前記外表面へ向かう方向に漸進的に閉じ、または封止するように、前記貫入部分が構成されたことを特徴とする隔壁。
【請求項20】
請求項1から19のいずれか1項に記載の隔壁であって、前記針または他の貫入要素が前記隔壁から引き抜かれるときに、前記針または他の貫入要素の外部にある液体または汚染物質が、前記隔壁の前記内表面を通ることまたは流れることを防止するように、前記隔壁が構成されたことを特徴とする隔壁。
【請求項21】
請求項1から20のいずれか1項に記載の隔壁であって、前記隔壁が、前記隔壁からの前記針または他の貫入要素の引き抜き中に、(i)前記針もしくは他の貫入要素の外表面、または(ii)前記貫入部分のうちの1つ以上から、前記隔壁の前記外表面に向かって、液体または汚染物質を移動させるように構成されたことを特徴とする隔壁。
【請求項22】
請求項1から21のいずれか1項に記載の隔壁であって、前記隔壁が、少なくとも0.4MPaの圧力を前記針または他の貫入要素に加えるように構成されたことを特徴とする隔壁。
【請求項23】
方法であって、
隔壁を針または他の貫入要素によって貫入するステップを含み、前記隔壁は、
前記隔壁の周囲周りに延在する周囲部分と、
外表面と内表面とを有し、前記外表面と前記内表面との間に延在する貫入部分であって、前記周囲部分から径方向内向きに隔てられており、前記針または他の貫入要素によって貫入可能である貫入部分と、
径方向において前記貫入部分と前記周囲部分との間に位置する可撓部分と、
径方向において前記可撓部分と前記貫入部分との間に位置する厚さが増した部分であって、前記外表面と前記内表面との間で、前記可撓部分よりも増した厚さを画成する、厚さが増した部分と、を備え、前記可撓部分が、前記針または他の貫入要素による貫入中に、前記周囲部分に対して内向きに可撓可能であって、
前記隔壁が、前記針または他の貫入要素を、これらによる前記貫入部分への貫入中に、前記隔壁と前記針または他の貫入要素との相互作用によって、汚染除去するように構成され、
前記貫入するステップ中に、前記隔壁と前記針または他の貫入要素との間の相互作用によって前記針または他の貫入要素を汚染除去するステップをさらに含むことを特徴とする、方法。
【請求項24】
請求項23に記載の方法であって、前記針または他の貫入要素による前記貫入部分への貫入中に、前記貫入部分の前記外表面に比べて、前記貫入部分の前記内表面においてひずみを低減させるステップ、またはより低いひずみを生じさせるステップのうちの1つ以上をさらに備えることを特徴とする方法。
【請求項25】
請求項23または24に記載の方法であって、前記貫入するステップ中に、前記貫入部分の前記外表面が前記針または他の貫入要素周りに内向きに引っ込むこと、巻くこと、または丸まることを防止するステップをさらに備えることを特徴とする方法。
【請求項26】
請求項23から25のいずれか1項に記載の方法であって、前記貫入部分の前記外表面上の任意の細菌、バクテリア、または他の汚染物質が、前記貫入部分の前記内表面または前記隔壁の内表面の環境と連通すること、およびこれらを汚染することを防止するステップをさらに備えることを特徴とする方法。
【請求項27】
請求項23から26のいずれか1項に記載の方法であって、前記貫入するステップ中に、前記貫入部分の前記外表面をその前記内表面から隔てるステップと、前記貫入部分の前記外表面上の細菌、バクテリア、または他の汚染物質が、前記貫入部分の前記内表面、または前記隔壁の内表面の環境と連通すること、およびこれらを汚染することを防止する安全リングを、前記針または他の貫入要素と前記隔壁の境界において前記貫入部分の前記外表面と前記内表面との間に提供するステップとをさらに備えることを特徴とする方法。
【請求項28】
請求項23から27のいずれか1項に記載の方法であって、
前記貫入するステップ中に、比較的高いおおよそ径方向の圧力のゾーンを、前記貫入部分の前記外表面またはその近くにおいて、前記針または他の貫入要素に適用し、比較的より低いおおよそ径方向の圧力のゾーンを、前記貫入部分の前記内表面またはその近くにおいて、前記針または他の貫入要素に適用するステップと、
をさらに備えることを特徴とする方法
【請求項29】
請求項23から28のいずれか1項に記載の方法であって、前記貫入するステップ中に、少なくとも0.4MPaの圧力を前記針または他の貫入要素に加えるステップをさらに含むことを特徴とする方法
【請求項30】
請求項23から29のいずれか1項に記載の方法であって、
前記隔壁から前記針または他の貫入要素を引き抜くステップと、
前記引き抜くステップ中に、比較的高いおおよそ径方向の圧力のゾーンを、前記貫入部分の前記外表面またはその近くにおいて、前記針または他の貫入要素に適用し、比較的より低いおおよそ径方向の圧力のゾーンを、前記貫入部分の前記内表面またはその近くにおいて、前記針または他の貫入要素に適用するステップと、
前記引き抜くステップ中に、前記針または他の貫入要素を漸進的に拭き取り、それにより前記貫入部分の前記外表面、または前記針もしくは他の貫入要素の外表面から、前記貫入部分の前記内表面に、液体または汚染物質が通ることもしくは流れることを防止する、拭き取りステップと、
をさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項31】
請求項30に記載の方法であって、前記引き抜くステップ中における前記針または他の貫入要素に対する前記拭き取るステップが、前記貫入部分の前記内表面から前記貫入部分の前記外表面に向かう方向に前記針または他の貫入要素を拭き取るステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項32】
請求項30または31に記載の方法であって、前記引き抜くステップ中に、前記針または他の貫入要素によって前記隔壁に形成された孔を、前記貫入部分の前記内表面から前記貫入部分の前記外表面に向かう方向に漸進的に閉じ、または封止するステップをさらに備えることを特徴とする方法。
【請求項33】
請求項23から32のいずれか1項に記載の方法であって、前記隔壁からの前記針または他の貫入要素の引き抜き中に、(i)前記針もしくは他の貫入要素の表面、または(ii)前記貫入部分のうちの1つ以上から、前記貫入部分の前記外表面に向かって、液体または汚染物質を移動させるステップをさらに備えることを特徴とする方法。