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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022084920
(43)【公開日】2022-06-07
(54)【発明の名称】庇
(51)【国際特許分類】
   E04F 10/08 20060101AFI20220531BHJP
【FI】
E04F10/08
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022058444
(22)【出願日】2022-03-31
(62)【分割の表示】P 2018104849の分割
【原出願日】2018-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】591181562
【氏名又は名称】アルフィン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中川 実
(57)【要約】
【課題】外壁材を剥離することなく、庇板の修理や交換等が容易に行える庇を提供する。
【解決手段】庇1は、庇板2と、庇板2の後端部を保持する保持具3と、保持具3上に被せられる上部カバー5とを有する。上部カバー5は、第1カバー部5Aと第2カバー部5Bとを含み、第1カバー部5Aは、前端部が庇板2の後端部上に支持され、後端部が第2カバー部5Bの前端部に分離可能な接続部5Cを介して接続される。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
庇板と、前記庇板の後端部を保持する保持具と、前記保持具上に被せられる上部カバーとを有し、前記上部カバーは、第1カバー部と第2カバー部とを含み、前記第1カバー部は、前端部が前記庇板の後端部上に支持され、後端部が前記第2カバー部の前端部に分離可能な接続部を介して接続される庇。
【請求項2】
前記接続部は、前記第2カバー部の前端部に備えられた凹溝内に前記第1カバー部の後端部が係入されるものである請求項1に記載の庇。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、庇板が前方へ張り出すように建物の外壁に設置される防水構造を備える庇に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、その種の庇として、図8に示すように、建物の外壁に取り付けられた保持具100により庇板101の後端部が全幅にわたって保持された構造のものがある(例えば特許文献1参照)。建物の外壁は、外装パネルのような外壁材により覆われ、その外壁材の表面uに保持具100が固定される。
【0003】
保持具100は、背板部103と上下一対の保持板部104,105とを一体に有し、上側の保持板部104と下側の保持板部105との間に庇板101の後端部が差し込まれる。庇板101の後端面は背板部103の前面に突き当たり、この状態で庇板101の後端部が上下の保持板部104,05間に挟まれた状態でボルト106およびナット107により固定される。
【0004】
保持具100には、上部カバー108と下部カバー111とが上下から被せられる。上部カバー108の前端部は庇板101の上面に支持され、後端部は背板部103の上端縁に係合される。上部カバー108の前端部と庇板101の後端部との間および上部カバー108の後端部と外壁材の表面uとの間にコーキング材109,110が充填される。
【0005】
建物の外壁に庇を設置するには、建物の外壁の下地上に外壁材を施工した後、保持具100を複数のボルト102により外壁材の表面uに取り付ける。次に、保持具100の上下の保持板部104,105間に庇板101の後端部を差し込み、ボルト106、ナット107で締め付けて固定した後、上部カバー108および下部カバー111を装着する。
上記の組立作業が完了した後、上部カバー108の前端部と庇板101の後端部との間および上部カバー108の後端部と外壁材の表面uとの間にコーキング材109,110をそれぞれ充填する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015-68064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
コーキング材109,110の充填作業は、高所での作業であり、特に、上部カバー108の後端部と外壁材の表面uとの間にコーキング材110を充填する場合、充填作業は上方からの作業となり、作業効率が悪い。また、充填されたコーキング材110は、直接雨水に晒され、劣化が早いため、劣化により雨水が上部カバー108内に浸入して保持具100の下方へ流下する。また、劣化がある度に、頻繁に補修する必要があり、そのうえ補修作業も上方からの作業となり、作業性が著しく悪い。また、外壁材の表面uに保持具100を取り付けるため、外壁材の表面uから保持具100や上部カバー108が大きく出っ張り、庇全体の見栄えを低下させる。
【0008】
この発明は、コーキング材の充填や補修の各作業を効率よく行うことができ、また、保持具や上部カバーが外壁材の表面から大きく出っ張らない見栄えのよい庇を提供するために、外壁材を剥離することなく、庇板を修理したり交換したりすることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明による庇は、庇板と、庇板の後端部を保持する保持具と、保持具上に被せられる上部カバーとを有する。上部カバーは、前端部が庇板の後端部上に支持され、後端部が第2カバー部の前端部に分離可能な接続部を介して接続される。
【0010】
庇を建物に設置するには、建物の外壁の下地上に保持具を取り付けた後、保持具に庇板の後端部を保持させ、保持具上に上部カバーを被せる。上部カバーは前端部が庇板の後端部上に支持され、後端部が建物の外壁の下地にねじ止めされて固定される。上部カバーの後端部上に建物の外壁の下地を覆う外壁材が重ねられる。上部カバーの上面と外壁材の下端面との間の隙間は前面が開放されており、その開放部分より隙間にコーキング材を充填する。隙間へのコーキング材の充填作業、さらには劣化したコーキング材の補修作業は前方からの作業となるので効率よく行える。保持具および上部カバーは外壁材に半ば埋もれた状態となり、外壁材の表面より大きく出っ張らないので、見栄えのよい庇となる。また、第1カバー部を接続部において第2カバー部より分離することで、庇板の修理や交換等が容易に行える。
【0011】
接続部は、種々の態様のものが考えられるが、分離作業を容易にするために、第2カバー部の前端部に備えられた凹溝内に第1カバー部の後端部が係入される構成のものが望ましい。
【0012】
上部カバーは、好ましくは後端部に、帯板状の後縁部を備え、後縁部が建物の外壁の下地上に重ねられてねじ止めされる。この実施態様によると、コーキング材が劣化しても上部カバーの後端部より上部カバーの内部に雨水が浸入することはない。
【発明の効果】
【0013】
この発明によると、庇板を修理したり交換したりする場合、接続部を分離して第1カバー部を取り外せば、庇板の保持具からの取り外しが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】一実施態様の庇の外観を示す斜視図である。
図2図1の一実施態様の庇の構成を示す断面図である。
図3】庇板を前方から見た端面図である。
図4】保持具に庇板が組み付けられる状態を示す斜視図である。
図5】保持具に庇板が組み付けられる状態を示す断面図である。
図6】他の実施態様の庇の構成を示す断面図である。
図7】他の実施態様の庇の構成を示す断面図である。
図8】従来の庇の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は一実施態様の庇の外観を、図2はその庇の構造を、それぞれ示す。
図示の庇1は、建物の外壁から張り出すように設置されるもので、庇板2と、建物の外壁に固着され庇板2の後端部を全幅にわたって保持する保持具3と、庇板2の前端縁に全幅にわたって装着される前縁板4と、保持具3上に被せられる上部カバー5と、保持具3に下方より被せられる下部カバー6とを含む。庇板2、保持具3、前縁板4、上部カバー5、および下部カバー6を構成する材料にはアルミニウムの押出型材が用いられる。図1において、10は保持具3の両端の開放部分を塞ぐ端板である。なお、以下の説明において、庇板2が建物の外壁から張り出す方向を「前後方向」、前後方向および上下方向と直交する方向を「幅方向」という。
【0016】
庇1は、庇板2がわずかに前側へ低く傾いた前下がり状態で保持具3により庇板2の後端部が保持されている。なお、建物の外壁からの張出し量や幅が大きな庇については、必要に応じて、庇板2の少なくとも1箇所をサポートポールにより支持するのが望ましい。また、庇板2は後側へ低く傾いた後下がり状態で庇板2の後端部を保持するようにしてもよい。
【0017】
庇板2は、図1および図3に示すように、側端面を互いに付き合わせて幅方向に連結される複数の中間板材21と、両側位置の中間板材21の外側端面にそれぞれ連結される側板材22,22とで構成される。各中間板材21は両側端面に第1、第2の各係合片23,24を備える。各側板材22は内側端面に中間板材21の第1の係合片23と係合する第2の係合片24、または中間板材21の第2の係合片24と係合する第1の係合片23のいずれかを備える。第1、第2の各係合片23,24は、隣合う板材の一方を他方に対して前後方向へ摺動させることにより係合するもので、図4には中間板材21を矢印qで示す前後方向へ摺動させる状態が示されている。
【0018】
各中間板材21の内部には、補強のためのリブ26が一体形成され、さらに、各リブ26の位置に補強板25が設けられている。なお、庇板2は、種々の態様のものがあり、複数の中空の板材を連結した図3に示す構成態様のものに限らず、例えば全体が一枚構成のものであってもよい。
【0019】
保持具3は、建物の外壁の下地wに背面を密接させて複数のアンカーボルト8により固定される背板部31と、背板部31の前面より突出し庇板2の後端部を上下から挟んで保持する一対の保持板部32,33とを有する。上側の保持板部32と下側の保持板部33とは互いに平行であり、上下に対向している。上側の保持板部32と下側の保持板部33との間は、庇板2を構成する各中間板材21および各側板材22の後端部が挿入される溝34を構成する。上下の保持板部32,33は背板部31に一体に形成されており、上下方向へわずかな可撓性を有し、後述するボルト9およびナット92による上下方向の締め付け力が作用したとき、溝34が閉じる方向へわずかに撓むようにその厚みや突出長さが設定されている。
【0020】
溝34は、図4に示すように、庇板2を構成する各板材21,22の後端部を前方より差し込むことが可能な溝幅を有し、前面が全長にわたって開放されている。上側の保持板部32は、図5に示すように、わずかに上開きであり、下側の保持板部33はわずかに下開きである。溝34の溝底での溝幅dは各板材21,22の後端部の厚みとほぼ一致しており、溝34の溝開口部での溝幅dは、d>dである。
【0021】
背板部31および上下の保持板部32,33は、庇板2の全幅に対応する長さを有する。背板部31には、上下の保持板部32,33間の位置に、アンカーボルト8が挿入されるボルト挿通孔35が一定間隔毎に横一列に設けられている。図2において、82はアンカーボルト8の頭部80と背板部31との間に介在させる座金である。
【0022】
上下の保持板部32,33の複数の対向する位置には、図2および図4に示されるように、貫通するボルト通し孔36,37がそれぞれ設けられる。庇板2の後端部の各ボルト通し孔36,37に対応する位置にはボルト貫通孔27が設けられる。各ボルト通し孔36,37とボルト貫通孔27とは上下に連通し、これらの孔に一連に通されたボルト9の軸部91にナット92がねじ込まれることにより庇板2の後端部は上下の保持板部32,33間に挟着されて固定される。
【0023】
ボルト9は、上側の保持板部32の上方より軸部91がボルト通し孔36へ挿入され、中間板材21または側板材22のボルト貫通孔27および下側の保持板部33のボルト通し孔37を一連に貫通する。ボルト9の頭部90は上側の保持板部32の上面に支持される。ボルトの軸部91は下側の保持板部33のボルト通し孔37より下方へ突出し、ナット92がねじ込まれる。図2において、93はボルトの頭部90と上側の保持板部32との間に介在させる座金、94はナット92と下側の保持板部33との間に介在させる座金である。
【0024】
なお、ボルト9は、下側の保持板部33の下方より軸部91をボルト通し孔37へ挿入してもよい。この場合、ボルト9の頭部90は下側の保持板部33の下面に支持され、軸部91は上側の保持板部32のボルト通し孔36より上方へ突出し、ナット92がねじ込まれる。
【0025】
上側の保持板部32と庇板2の後端部との間には、帯板状のシール材7が庇板2の全幅にわたって設けられる。シール材7は、ボルト9に対するナット92の締め付けによって上側の保持板材32が下方に撓むので、上側の保持板部32の下面と庇板2の後端部の上面とに密接する。これによって、シール材7は、ボルト通し孔36の前側の位置で、上側の保持板部32と庇板2の後端部との間を止水する。
【0026】
シール材7は、全長にわたって同一幅、同一厚みを有しており、上側の保持板部32の下面に形成された一定深さの凹溝38内に嵌まった状態で定位する。凹溝38は庇板2の全幅にわたり、前端面および両側端面が開放されている。シール材7は、凹溝38の溝底に接着剤により貼設されるが、接着は必ずしも必要ではない。なお、シール材7を凹溝38の溝底に接着するのに、表裏両面に粘着層を有する粘着テープを用いるとよい。
【0027】
シール材7として、天然ゴム、シリコンゴムのような合成ゴムなど、弾性を有するものが好適であるが、止水が可能であれば、弾性を有するものに限定されず、例えば植物繊維や皮革などを用いてもよい。シール材7が弾性を有する場合、シール材7の厚みを凹溝38の溝深さよりわずかに大きく設定することにより、ボルト9に対するナット92の締め付けによりシール材7が溝深さに対応する厚みにまで圧縮変形するので、水密性が高められる。
【0028】
保持具3の背板部31の上端部には、斜め上方へ突出する第1の係合突起32aが、下側の保持板部33の下面には下方へ突出する第2の係合突起32bが、それぞれ全幅にわたり一体に形成されている。第1の係合突起32aには上部カバー5の下面に下向きに突設された突片50が係合する。第2の係合突起32bには下部カバー6の後端縁が係合する。下部カバー6の前端縁は下側の保持板部33の前端縁に係合する。
【0029】
上部カバー5の前端部には、庇板2の後端部の上面に全幅にわたって突き当てられ複数箇所がねじ止めされる第1の固定部51が設けられる。上部カバー5の後端部には建物の外壁の下地wに突き当てられ複数箇所がねじ止めされる第2の固定部52が設けられる。
【0030】
第1の固定部51は、上部カバー5の前端部に屈曲形成された帯板状の前縁部53を有し、前縁部53に複数個の孔53aが幅方向へ一定間隔で形成されたものである。各孔53aにねじ54が通され、庇板2の後端部にねじ込まれることにより上部カバー5の前端部が庇板2の後端部の上面に固定される。前縁部53の下面には、凹溝55が全幅にわたって形成され、凹溝55に帯板状の第2のシール材56が嵌め込まれて止水される。
【0031】
第2の固定部52は、上部カバー5の後端部に屈曲形成された帯板状の後縁部57を有し、後縁部57に複数個の孔57aが幅方向へ一定間隔で形成されたものである。後縁部57は長さLが50mm程度のものであり、建物の外壁の下地w上であって外壁材Xの背後に位置している。各孔57aに皿状のねじ58が通され、外壁の下地wにねじ込まれることにより上部カバー5の後端部が外壁の下地wに固定される。
【0032】
上部カバー5は、第1の固定部51と第2の固定部52との間が前側へ低く傾斜し湾曲する傾斜部50aになっている。傾斜部50aは後部に平坦な面よりなる第2の傾斜部50bを含んでいる。第2の傾斜部50bの傾斜は傾斜部50aの傾斜より緩い傾斜になっている。第2の傾斜部50bの前端は屈曲部50cを介して傾斜部50aに連なっている。
【0033】
第2の傾斜部50bの平坦な上面と外壁材Xの下端面との間に隙間sが介在する。隙間sは前面が開放されており、隙間s内には後部側に緩衝材としての弾性材59aが嵌められている。隙間sの前部側には、コーキングガンなどを用いてコーキング材59bが充填される。コーキング材59bには、アクリル系、変成シリコン系、ウレタン系など、種々のものがあり、最適なものが適宜選択される。コーキング材59bは、隙間sを埋めて防水性を得る目的に加えて、地震の揺れ等に対して緩衝材として機能させ上部カバー5の欠損を防ぐ。なお、建物の外壁の下地w上に施工される外壁材Xとして、サイディング、タイル、レンガ、ALCなどがある。
【0034】
図6は、庇1の他の実施態様を示す。この実施態様では、上部カバー5は、傾斜部50aの第2の傾斜部50bを除く部分を含む第1カバー部5Aと、第2の傾斜部50bを含む第2カバー部5Bとが分離可能な接続部5Cを介して接続されている。
接続部5Cは、第2カバー部5Bの前端部に下向きに屈曲させて形成された二股状の係合凹部50dと、第1カバー部5Aの後端部であって係合凹部50dの凹溝50eに係入される係合縁部50fと、凹溝50eの溝底部に配備されたシール材50gとを含む。係合縁部50fは係合凹部50dの凹溝50e内に挿入され、先端がシール材50gに突き当たることにより第1カバー部5Aと第2カバー部5Bとの間が水密状態となる。
【0035】
図7は、庇1のさらに他の実施態様を示す。この実施態様は、接続部5Cの分離可能な構成が図6の実施態様と異なっている。
この実施形態の接続部5Cは、第2カバー部5Bの前端部より斜め下方へ突出する突縁50hと、第2カバー部5Bの前端部の下面に一体形成されたねじ挿入部50iとを含んでおり、突縁50hとねじ挿入部50iとの間に形成される凹溝50eに第1カバー部5Aの後端部の係合縁部50fを挿入させて係止させるものである。
【0036】
図6および図7に示す各実施態様において、上部カバー5の他の構成、および保持具3、庇板2などの各構成は、図2に示した実施例と同様の構成であり、ここでは対応する構成に同一の符号を付することで説明を省略する。なお、図6に示す実施態様では、保持具3の背板部31は上方へ大きく突出した形態であるので、背板部31は上下2箇所でアンカーボルト8により外壁の下地w上に固定されている。
【0037】
また、図6に示す実施態様では、上部カバー5の前端部は庇板2の後端部上にねじ止めされているが、必ずしもねじ止めする必要はなく、図7に示す実施態様のように、庇板2の後端部上に支持されるだけであってもよい。
さらに、保持具3や庇板2も、上記した実施態様に限定されるものではなく、種々の態様のものを採択し得る。
【0038】
上記した構成の庇1を組み立てるには、建物の外壁の下地wに保持具3を複数本のアンカーボルト8により水平に取り付ける。次に、図4に示されるように、保持具3の上下の保持板部32,33間の溝34内へ庇板2を構成する側板材22および中間板材21の後端部を順次差し込み、上側の保持板部32のボルト通し孔36よりボルト9を挿入して庇板2のボルト貫通孔27および下側の保持板部33のボルト通し孔37を通し、ボルト9に対してナット92を締め付け固定する。
【0039】
ボルト9に対するナット92の締め付けによって、帯板状のシール材7が上側の保持板部32の凹溝38の溝底と庇板2の後端部の上面とに密接し、上側の保持板部32と庇板2の後端部との間がシール材7により庇板2の全幅にわたり止水される。
【0040】
その後、保持具3上に上部カバー5を被せ、また、保持具3の下方から下部カバー6を被せる。下部カバー6は前端部および後端部を保持具3に係合させて取り付けられる。上部カバー5は、第1の固定部51の前縁部53を庇板2の後端部の上面に突き当ててねじ54によりねじ止めし、第2の固定部52の後縁部57を建物の外壁の下地w上に重ねてねじ58によりねじ止めする。
【0041】
その後、建物の外壁の下地wを外壁材Xで覆った後、外壁材Xの下端面と上部カバー5の第2の傾斜部50b上との間の隙間sにコーキングガンなどを用いてコーキング材59bを充填する。隙間sは前面が開放されているので、隙間sへのコーキング材59bの充填作業、さらには、劣化後のコーキング材59bの補修作業は前方からの作業となり効率よく行える。
【0042】
また、コーキング材59bが劣化しても、第2の固定部52の後縁部57がコーキング材59bより高い位置にあるので、上部カバー5の後端部より雨水が上部カバー5の内部に侵入することがない。
【0043】
保持具33よび上部カバー5は、外壁材Xに半ば埋もれた状態となるので、保持具3や上部カバー5が外壁材Xの表面uから大きく出っ張らず、見栄えのよい庇となる。
【0044】
図6および図7の実施態様においては、上部カバー5の第1カバー部5Aと第2カバー部5Bとが接続部5Cにおいて分離可能であるので、庇板2を修理したり交換したりする場合、接続部5Cを分離して第1カバー部5Aを取り外せば、外壁材Xを剥離することなく、庇板2の保持具3からの取り外しが可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 庇
2 庇板
3 保持具
5 上部カバー
5A 第1カバー部
5B 第2カバー部
5C 接続部
50a 傾斜部
50e 凹溝
57 後縁部
58 ねじ
59b コーキング材
w 下地
X 外壁材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8